JP2005076608A - 乾式潤滑装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 機械損失の低減を図ることができ、燃料消費率の低減を図ることのできる乾式潤滑装置を提供する。
【解決手段】 循環経路に、オイルクーラー5が備えられた経路と、ヒーター6が備えられた経路に分岐した部分を設ける。そして、潤滑油の温度が低く、機関回転数及び機関負荷が低い場合には、ECU8は、潤滑油が加熱経路を流れるように、切替え弁7を制御する。つまり、切替え弁7は、冷却経路側の弁を閉じて、加熱経路側の弁を開くことにより、潤滑油は加熱経路を流れる。従って、潤滑油の温度を適度に高めることで、潤滑油の粘度が大きくなりすぎることを防止できる。
【選択図】 図1
【解決手段】 循環経路に、オイルクーラー5が備えられた経路と、ヒーター6が備えられた経路に分岐した部分を設ける。そして、潤滑油の温度が低く、機関回転数及び機関負荷が低い場合には、ECU8は、潤滑油が加熱経路を流れるように、切替え弁7を制御する。つまり、切替え弁7は、冷却経路側の弁を閉じて、加熱経路側の弁を開くことにより、潤滑油は加熱経路を流れる。従って、潤滑油の温度を適度に高めることで、潤滑油の粘度が大きくなりすぎることを防止できる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、クランク室外に設けたタンクからポンプで潤滑油を供給する乾式潤滑装置に関するものである。
潤滑装置には、その潤滑方式により、湿式潤滑装置(慣用的にはウェットサンプ潤滑装置とも呼ばれる)と乾式潤滑装置(慣用的にはドライサンプ潤滑装置とも呼ばれる)がある。後者の乾式潤滑装置は、クランク室の外に設けたタンクからポンプで潤滑油を供給し、循環させ潤滑する装置である。ここで、潤滑油は、その温度が高すぎると油圧が低くなって潤滑の働きが低下してしまう。そこで、潤滑油を冷却する機能を備えた乾式潤滑装置が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
しかし、潤滑油の温度は、必ずしも低ければ良いというものではない。すなわち、当該温度が低すぎると、潤滑油の粘度が大きくなるため、摩擦抵抗が増加して、機械損失が増加する。このため、例えば、機関始動時に潤滑油の温度が低いと、始動トルクが増加し、また、燃料消費率(単位出力当たりの燃料消費量)が増加する原因にもなる。
特開平8−240113号公報
実開平2−136792号公報
特開平2−61309号公報
本発明の目的の一つとしては、機械損失の低減を図ることが挙げられる。
また、本発明の目的の一つとしては、燃料消費率の低減を図ることが挙げられる。
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
すなわち、本発明は、潤滑油を加熱する機能を設け、機関の運転状態によっては、潤滑油を加熱する構成を採用した。これにより、潤滑油を加熱して、潤滑油の粘度を低下させることで、その摩擦抵抗を低減することが可能となる。従って、機関始動時など、潤滑油の温度が低い場合には、潤滑油を加熱して、その摩擦抵抗を低減させることで、機械損失を低減させることが可能となる。また、これに伴い、燃料消費率の低減も図れる。
また、本願他の発明は、潤滑油を加熱する機能と冷却する機能の両方を設け、機関の運転状態に応じて、潤滑油の温度を最適化する構成を採用した。これにより、機関の運転状態に応じて、潤滑油の粘度を最適化することが可能となる。よって、機関の運転状態に応じて、的確に潤滑機能を発揮させることができる。従って、機械損失を低減させ、燃料消費率を低減させることができる。
より具体的な本願発明の乾式潤滑装置としては、
クランク室外に設けたタンクからポンプで潤滑油を供給する乾式潤滑装置において、
潤滑油の経路に潤滑油を加熱する加熱手段が備えられており、
機関の運転状態によっては、該加熱手段によって潤滑油を加熱することを特徴とするものが挙げられる。
クランク室外に設けたタンクからポンプで潤滑油を供給する乾式潤滑装置において、
潤滑油の経路に潤滑油を加熱する加熱手段が備えられており、
機関の運転状態によっては、該加熱手段によって潤滑油を加熱することを特徴とするものが挙げられる。
本発明の構成によれば、機関の運転状態によっては、潤滑油を加熱して、その温度を高めることで、潤滑油の摩擦抵抗を低減させることができる。従って、機械損失を低減させることができる。
また、他の具体的な本願発明の乾式潤滑装置としては、
クランク室外に設けたタンクからポンプで潤滑油を供給する乾式潤滑装置において、
潤滑油の循環経路には、複数の経路に分岐する部分が含まれており、分岐した経路の少なくとも一つは潤滑油の加熱が行われる加熱経路であり、かつ分岐した経路の少なくとも一つは潤滑油の冷却が行われる冷却経路であると共に、
機関の運転状態に応じて、各経路に流れる潤滑油の流量を制御する制御弁が備えられることを特徴とするものが挙げられる。
クランク室外に設けたタンクからポンプで潤滑油を供給する乾式潤滑装置において、
潤滑油の循環経路には、複数の経路に分岐する部分が含まれており、分岐した経路の少なくとも一つは潤滑油の加熱が行われる加熱経路であり、かつ分岐した経路の少なくとも一つは潤滑油の冷却が行われる冷却経路であると共に、
機関の運転状態に応じて、各経路に流れる潤滑油の流量を制御する制御弁が備えられることを特徴とするものが挙げられる。
本発明の構成によれば、制御弁により各経路に流れる潤滑油の流量を制御することで、機関の運転状態に応じて、潤滑油の温度を制御することができる。なお、「流量制御」については、一方の経路にのみ潤滑油を流すようにして、他方の経路には潤滑油を流さない、つまり、流量をゼロにする場合も含むものとする。
ここで、機関の運転状態を決定付ける要素には、機関回転数,機関負荷、及び、潤滑油又は冷却水のうち少なくともいずれか一方の温度が含まれ、これらの検出値から、前記制御弁を制御する制御手段を備えるとよい。ただし、これらの要素の検出値は、直接的に測定した検出値には限られない。つまり、間接的に測定した検出値を用いたり、これらの要素に関連する検出値を用いたりすることができる。例えば、機関負荷は、スロットル開度やアクセルペダルの踏込み量を代用することが可能である。
本発明の構成により、機関回転数及び機関負荷に応じて、潤滑油の温度を制御することができる。従って、機関回転数及び機関負荷に応じて、潤滑油の粘度を最適化することができ、機械損失を低減させることが可能となる。
また、前記加熱経路にはヒーターが備えられており、潤滑油が該加熱経路を通らないときには、前記ヒーターをオフにしておくが望ましい。こうすることで、余分な電力消費を防止できる。
潤滑油の循環経路には、機関に対してそれぞれ異なる箇所に潤滑油を供給する複数の供給経路が含まれ、かつ、各供給経路には、それぞれ加熱経路,冷却経路及び制御弁が設けられており、
各供給経路においては、各制御弁によって、それぞれ独立に加熱経路又は冷却経路に流れる流量制御が行われると好適である。
各供給経路においては、各制御弁によって、それぞれ独立に加熱経路又は冷却経路に流れる流量制御が行われると好適である。
このようにすれば、機関の各個所に供給される潤滑油の温度を、各箇所に応じて、それぞれ異なる要求に対応させることができる。従って、より一層、潤滑機能が的確に発揮され、機械損失を低減させることができる。
ここで、前記制御弁は、加熱経路か冷却経路に切替える切替え弁であるとよい。
また、潤滑油及び冷却水のうち少なくともいずれか一方の温度に応じて、機関回転数と機関負荷から潤滑油を流す経路を決定する複数のマップを記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、潤滑油及び冷却水のうち少なくともいずれか一方の温度の検出値に応じて、該記憶手段に記憶された複数のマップの中から一つを選択し、かつ選択したマップを用いて、機関回転数及び機関負荷の検出値から潤滑油を流す経路を決定し、決定された経路に潤滑油を流すように、前記切替え弁を制御するとよい。
前記制御手段は、潤滑油及び冷却水のうち少なくともいずれか一方の温度の検出値に応じて、該記憶手段に記憶された複数のマップの中から一つを選択し、かつ選択したマップを用いて、機関回転数及び機関負荷の検出値から潤滑油を流す経路を決定し、決定された経路に潤滑油を流すように、前記切替え弁を制御するとよい。
このようにして、機関の運転状態に応じて、潤滑油の粘度が適正となるように、潤滑油の温度を制御することができる。
また、前記制御弁は、各経路における潤滑油の流量を制御する電磁弁であることも好適である。
また、機関回転数と機関負荷に応じて、潤滑油の温度を決定するマップを記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、該記憶手段に記憶されたマップを用いて、機関回転数及び機関負荷の検出値に応じて、該マップにより決定される温度となるように、フィードバック制御を行うことも好適である。
前記制御手段は、該記憶手段に記憶されたマップを用いて、機関回転数及び機関負荷の検出値に応じて、該マップにより決定される温度となるように、フィードバック制御を行うことも好適である。
このようにして、機関の運転状態に応じて、潤滑油の粘度が適正となるように、潤滑油の温度を制御することができる。なお、当該フィードバック制御は、上記切替え弁を用いて行うこともできるが、上記電磁弁によって、各経路における潤滑油の流量を制御するほうが素早く温度制御することができる。
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
以上説明したように、本発明によれば、機械損失の低減を図ることができる。また、これに伴い、燃料消費率の低減を図ることができる。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1及び図2を参照して、本発明の実施例1に係る乾式潤滑装置について説明する。図1は本発明の実施例1に係る乾式潤滑装置による潤滑油の循環経路を示すブロック構成図である。図2は本発明の実施例1に係る乾式潤滑装置における潤滑油が流れる経路を決定するマップである。なお、図2Aは機関始動開始から暖機運転中に用いるマップであり、図2Bは暖機運転終了後に用いるマップであり、図2Cは潤滑油の温度が高温状態のときに用いるマップである。
<乾式潤滑装置の全体構成>
本実施例に係る乾式潤滑装置は、機関1(のクランク室)の外部に設けられる潤滑油タンク4と、潤滑油タンク4の中に溜められた潤滑油を機関に送り込む潤滑油ポンプ(慣用的にはオイルポンプとも呼ばれる)3と、機関内のオイルパンに溜められた潤滑油を吸い上げて、吸い上げた潤滑油を潤滑油タンク4に送る潤滑油排出ポンプ(慣用的にはスカベンジングポンプとも呼ばれる)2が備えられている。そして、潤滑油タンク4は気液を分離する機能を備えている。これにより、潤滑油タンク4は、液状の潤滑油のみを下流側の循環経路に送り出すことを可能としている。
本実施例に係る乾式潤滑装置は、機関1(のクランク室)の外部に設けられる潤滑油タンク4と、潤滑油タンク4の中に溜められた潤滑油を機関に送り込む潤滑油ポンプ(慣用的にはオイルポンプとも呼ばれる)3と、機関内のオイルパンに溜められた潤滑油を吸い上げて、吸い上げた潤滑油を潤滑油タンク4に送る潤滑油排出ポンプ(慣用的にはスカベンジングポンプとも呼ばれる)2が備えられている。そして、潤滑油タンク4は気液を分離する機能を備えている。これにより、潤滑油タンク4は、液状の潤滑油のみを下流側の循環経路に送り出すことを可能としている。
そして、本実施例に係る乾式潤滑装置においては、潤滑油の循環経路のうち、潤滑油タンク4よりも下流側であって、機関1よりも上流側に、経路が分岐する部分が設けられている。この分岐した経路の一方には、オイルクーラー5が備えられ、他方には、加熱手段
となるヒーター6が備えられている。また、本実施例に係る乾式潤滑装置には、これらの分岐経路のうち、潤滑油が流れる経路を選択的に切替える切替え弁7と、この切替え弁7を制御する制御手段としてのECU8も備えられている。
となるヒーター6が備えられている。また、本実施例に係る乾式潤滑装置には、これらの分岐経路のうち、潤滑油が流れる経路を選択的に切替える切替え弁7と、この切替え弁7を制御する制御手段としてのECU8も備えられている。
<潤滑油の循環経路>
機関1には、乾式潤滑装置によって供給される潤滑油を通すための油孔となるオイルギャラリー11が設けられている。このオイルギャラリー11によって、動弁系,ピストン及びクランクシャフトの軸受などの必要箇所に潤滑油が送られる。潤滑を終えた潤滑油は、各部からオイルパン12に回収される。そして、オイルパン12に回収された潤滑油は、潤滑油排出ポンプ2により吸い取られて、再び、潤滑油タンク4に送られる。そして、潤滑油タンク4に送られて、溜められた潤滑油は、潤滑油ポンプ3によって、再び、機関1に送られる。このようにして、潤滑油は循環経路を循環する。
機関1には、乾式潤滑装置によって供給される潤滑油を通すための油孔となるオイルギャラリー11が設けられている。このオイルギャラリー11によって、動弁系,ピストン及びクランクシャフトの軸受などの必要箇所に潤滑油が送られる。潤滑を終えた潤滑油は、各部からオイルパン12に回収される。そして、オイルパン12に回収された潤滑油は、潤滑油排出ポンプ2により吸い取られて、再び、潤滑油タンク4に送られる。そして、潤滑油タンク4に送られて、溜められた潤滑油は、潤滑油ポンプ3によって、再び、機関1に送られる。このようにして、潤滑油は循環経路を循環する。
なお、機関の外部にタンクを備えない湿式潤滑装置の場合とは異なり、乾式潤滑装置の場合には、オイルパン12には基本的に潤滑油はほとんど溜めない。従って、乾式潤滑装置の場合には、オイルパン12を浅くすることができる。また、吸い込み力の大きな潤滑油排出ポンプ2を用いれば、オイルパン12をなくすことも可能である。
そして、本実施例においては、上述のように、循環経路には、オイルクーラー5が備えられた経路(以下、冷却経路と称する。)と、ヒーター6が備えられた経路(以下、加熱経路と称する。)に分岐した部分が設けられている。従って、潤滑油が循環経路を循環する場合には、切替え弁7により選択された方の分岐経路を通るように、潤滑油は循環する。
<機関の運転状態と潤滑油の温度との関係>
一般的に、潤滑油の温度が高くなりすぎると、潤滑油の粘度が小さくなり、油圧が低くなるため、潤滑機能が低下してしまう。これは、潤滑油の劣化を促進することにもなる。しかし、機関負荷が低く、機関回転数が低い運転状態において、潤滑油の温度が低すぎると、潤滑油の粘度が大きく、摩擦抵抗が大きくなるため、機械損失が大きくなってしまう。特に、機関始動時や暖機運転中などの比較的潤滑油の温度が低い状態で、潤滑油を冷却すると、始動トルクの増加など、機械損失の増加を招いてしまう。そのため、潤滑油の温度をある程度高くして、機械損失を小さくすることが望ましい。
一般的に、潤滑油の温度が高くなりすぎると、潤滑油の粘度が小さくなり、油圧が低くなるため、潤滑機能が低下してしまう。これは、潤滑油の劣化を促進することにもなる。しかし、機関負荷が低く、機関回転数が低い運転状態において、潤滑油の温度が低すぎると、潤滑油の粘度が大きく、摩擦抵抗が大きくなるため、機械損失が大きくなってしまう。特に、機関始動時や暖機運転中などの比較的潤滑油の温度が低い状態で、潤滑油を冷却すると、始動トルクの増加など、機械損失の増加を招いてしまう。そのため、潤滑油の温度をある程度高くして、機械損失を小さくすることが望ましい。
<潤滑油の温度制御>
本実施例では、潤滑油の温度を制御することで、機関の運転状態に応じて、潤滑油の粘度を最適にするようにしている。以下、この点について、詳細に説明する。
本実施例では、潤滑油の温度を制御することで、機関の運転状態に応じて、潤滑油の粘度を最適にするようにしている。以下、この点について、詳細に説明する。
<<潤滑油の温度制御に用いるマップ>>
本実施例に係るECU8は不図示の不揮発性の記憶手段(例えば、ROM)を備えている。そして、この記憶手段には、図2に示す複数のマップが記憶されている。これらのマップは、機関の運転状態を決定付ける要素となる機関回転数及び機関負荷から潤滑油を流す経路を決定するために用いられる。そして、同じく機関の運転状態を決定付ける要素となる、潤滑油又は冷却水のうち少なくともいずれか一方の温度に応じて、複数種類のマップが記憶されている。つまり、機関始動時や暖機運転時は、潤滑油や冷却水の温度は低い。この場合には、図2Aに示すマップが用いられる。また、暖機運転終了後は、潤滑油や冷却水の温度は、ある程度高い。この場合には、図2Bに示すマップが用いられる。また、高負荷・高回転での運転が長期間続いた場合等は、潤滑油や冷却水の温度は高い。この場合には、図2Cに示すマップが用いられる。なお、マップは、潤滑油の温度によってのみ選択することもできるし、冷却水の温度のみによって選択することもできるし、潤滑油の温度と冷却水の温度を総合的に判断して選択することもできる。
本実施例に係るECU8は不図示の不揮発性の記憶手段(例えば、ROM)を備えている。そして、この記憶手段には、図2に示す複数のマップが記憶されている。これらのマップは、機関の運転状態を決定付ける要素となる機関回転数及び機関負荷から潤滑油を流す経路を決定するために用いられる。そして、同じく機関の運転状態を決定付ける要素となる、潤滑油又は冷却水のうち少なくともいずれか一方の温度に応じて、複数種類のマップが記憶されている。つまり、機関始動時や暖機運転時は、潤滑油や冷却水の温度は低い。この場合には、図2Aに示すマップが用いられる。また、暖機運転終了後は、潤滑油や冷却水の温度は、ある程度高い。この場合には、図2Bに示すマップが用いられる。また、高負荷・高回転での運転が長期間続いた場合等は、潤滑油や冷却水の温度は高い。この場合には、図2Cに示すマップが用いられる。なお、マップは、潤滑油の温度によってのみ選択することもできるし、冷却水の温度のみによって選択することもできるし、潤滑油の温度と冷却水の温度を総合的に判断して選択することもできる。
これらのマップは、横軸(回転数)と縦軸(負荷)を備えた2次元領域からなり、この2次元領域は領域Xと領域Yの2つの領域に分けられている。そして、検出された機関回転数によって横軸の値が決まり、検出された機関負荷によって縦軸の値が決まる。そして、これらの交点が、領域Xと領域Yのうちいずれの領域に属するかによって、潤滑油を流す経路を決定する。すなわち、領域Xに属する場合には、潤滑油が冷却経路を流れるようにし(図1中、矢印x)、領域Yに属する場合には、潤滑油が加熱経路を流れるようにする(図1中、矢印y)。
<<潤滑油の温度制御手順>>
ECU8は、まず、温度センサS1から送られる検出温度に応じて、用いるマップを選択する。なお、温度センサS1は、潤滑油の温度を検出するセンサ、又は、冷却水の温度を検出するセンサである。ただし、潤滑油の温度と冷却水の温度を総合的に判断してマップを選択する場合には、これらの2種類のセンサが必要である。そして、ECU8は、選択したマップを用いて、回転数検出センサS2から送られる機関回転数の検出値と、機関負荷に関連する検出値を検出する検出センサS3から送られる検出値から、潤滑油を流す経路を決定する。なお、本実施例における検出センサS3は、スロットル開度を検出している。
ECU8は、まず、温度センサS1から送られる検出温度に応じて、用いるマップを選択する。なお、温度センサS1は、潤滑油の温度を検出するセンサ、又は、冷却水の温度を検出するセンサである。ただし、潤滑油の温度と冷却水の温度を総合的に判断してマップを選択する場合には、これらの2種類のセンサが必要である。そして、ECU8は、選択したマップを用いて、回転数検出センサS2から送られる機関回転数の検出値と、機関負荷に関連する検出値を検出する検出センサS3から送られる検出値から、潤滑油を流す経路を決定する。なお、本実施例における検出センサS3は、スロットル開度を検出している。
そして、潤滑油を流す経路を冷却経路と決定した場合には、ECU8は、潤滑油が冷却経路を流れるように、切替え弁7を制御する。これにより、切替え弁7は、加熱経路側の弁を閉じて、冷却経路側の弁を開くことにより、潤滑油は冷却経路を流れる。ここで、ヒーター6は、電熱式のヒーターを好適に用いることができる。この場合、ECU8は、切替え弁7の制御と同時に、ヒーター6をオフにする制御も行う。これにより、無駄な電力消費を防止できる。
また、潤滑油を流す経路を加熱経路と決定した場合には、ECU8は、潤滑油が加熱経路を流れるように、切替え弁7を制御する。これにより、切替え弁7は、冷却経路側の弁を閉じて、加熱経路側の弁を開くことにより、潤滑油は加熱経路を流れる。また、ECU8は、切替え弁7の制御と同時に、ヒーター6をオンにする制御も行う。これにより、加熱経路を流れる潤滑油はヒーター6により加熱される。なお、オイルクーラー5は、空冷式又は水冷式のものを用いることができるが、通常、特にオンオフ制御されるものではない。従って、ヒーター6の場合のような制御は不要である。
<<潤滑油の温度制御により得られる効果>>
以上のように、本実施例に係る乾式潤滑装置は、機関の運転状態に応じて、潤滑油を加熱又は冷却する制御を行っている。すなわち、本実施例に係る乾式潤滑装置は、潤滑油の温度が低く、機関負荷及び機関回転数が低いような機関の運転状態の場合には、潤滑油を加熱する制御を行っている。一方、本実施例に係る乾式潤滑装置は、潤滑油の温度が高く、機関負荷及び機関回転数が高いような機関の運転状態の場合には、潤滑油を冷却する制御を行っている。
以上のように、本実施例に係る乾式潤滑装置は、機関の運転状態に応じて、潤滑油を加熱又は冷却する制御を行っている。すなわち、本実施例に係る乾式潤滑装置は、潤滑油の温度が低く、機関負荷及び機関回転数が低いような機関の運転状態の場合には、潤滑油を加熱する制御を行っている。一方、本実施例に係る乾式潤滑装置は、潤滑油の温度が高く、機関負荷及び機関回転数が高いような機関の運転状態の場合には、潤滑油を冷却する制御を行っている。
従って、機関負荷が低く、機関回転数が低い運転状態においては、潤滑油の温度が低くなり過ぎることを防止できる。そのため、潤滑油の粘度を適度に小さくできる。これにより、好適な潤滑機能が発揮され、機械損失を低減することができる。また、これに伴い、燃料消費率を低減することもできる。特に、機関始動時や暖機運転時など、通常、潤滑油の温度が低い状態において、潤滑油の温度を高めることができるので、始動トルクを低減できるなどの効果がある。
一方、機関負荷や機関回転数が高く、潤滑油の温度が高い状態では、潤滑油の温度を下
げることで、潤滑油の粘度が過度に低下してしまうことを防止できる。従って、潤滑油の粘度を一定以上に維持できるので、好適に潤滑機能を維持できる。
げることで、潤滑油の粘度が過度に低下してしまうことを防止できる。従って、潤滑油の粘度を一定以上に維持できるので、好適に潤滑機能を維持できる。
なお、本実施例では3種類のマップを用いる場合を説明したが、より多数のマップを用いることで、より細やかな制御が可能となることは言うまでもない。
図3〜図6には、本発明の実施例2が示されている。上記実施例1では、機関に対して潤滑油を供給する箇所は1箇所の場合の構成を示したが、本実施例では、機関に対して2箇所に潤滑油を供給する場合の構成を示す。その他の基本的な構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
図3は本発明の実施例2に係る乾式潤滑装置による潤滑油の循環経路を示すブロック構成図である。図4は潤滑油の温度とフリクションとの関係を示すグラフである。図5,6は本発明の実施例2に係る乾式潤滑装置における潤滑油が流れる経路を決定するマップである。なお、図5はクランク側の制御に用いるマップであり、図5Aは機関始動開始から暖機運転中に用いるマップであり、図5Bは暖機運転終了後に用いるマップである。また、図6はヘッド側の制御に用いるマップであり、図6Aは機関始動開始から暖機運転中に用いるマップであり、図6Bは暖機運転終了後に用いるマップである。
<乾式潤滑装置の全体構成>
本実施例においては、機関1のヘッド側オイルギャラリー11aとクランク側オイルギャラリー11bに対して、それぞれ別個に潤滑油を供給する経路を設け、かつ、それぞれ独立に潤滑油の流量制御を行うように構成されている。すなわち、本実施例においては、ヘッド側オイルギャラリー11a専用に、潤滑油ポンプ3a及び切替え弁7aが設けられ、かつ、クランク側オイルギャラリー11b専用に、潤滑油ポンプ3b及び切替え弁7bが設けられている。そして、切替え弁7aと切替え弁7bは、ECU8によって、それぞれ独立に制御されるように構成されている。
本実施例においては、機関1のヘッド側オイルギャラリー11aとクランク側オイルギャラリー11bに対して、それぞれ別個に潤滑油を供給する経路を設け、かつ、それぞれ独立に潤滑油の流量制御を行うように構成されている。すなわち、本実施例においては、ヘッド側オイルギャラリー11a専用に、潤滑油ポンプ3a及び切替え弁7aが設けられ、かつ、クランク側オイルギャラリー11b専用に、潤滑油ポンプ3b及び切替え弁7bが設けられている。そして、切替え弁7aと切替え弁7bは、ECU8によって、それぞれ独立に制御されるように構成されている。
なお、ヘッド側オイルギャラリー11aを通る潤滑油の循環経路、及びクランク側オイルギャラリー11bを通る潤滑油の循環経路について、それぞれ単独で見た場合には、各経路における各部の構成及びその機能は、上記実施例1の場合と同様である。従って、それらの説明は省略する。
<潤滑油の供給箇所によって潤滑油の温度制御内容を変える理由>
機関1に対して、潤滑油が供給される箇所は、大別すると、ヘッド側の動弁系とクランク側のクランク・ピストン系である。ここで、クランク・ピストン系に関しては、各部品の摺動部分はほとんど面接触である。従って、上記実施例1で説明した温度制御を行うことで、好適に摺動機能が発揮される。
機関1に対して、潤滑油が供給される箇所は、大別すると、ヘッド側の動弁系とクランク側のクランク・ピストン系である。ここで、クランク・ピストン系に関しては、各部品の摺動部分はほとんど面接触である。従って、上記実施例1で説明した温度制御を行うことで、好適に摺動機能が発揮される。
これに対して、動弁系においては、各部品の摺動部分が線接触になっている箇所が多い(例えば、カムノーズとドリフター,ギア同士,チェーンとカムスプロケット)。線接触で摺動している部分においては、特に、機関回転数が低い状態では、摺動部分にできる流体潤滑膜は破断しやすい。そのため、潤滑油は粘度が高い方が良いため、その温度は低いことが望ましい。また、機関回転数が低い状態では、機械式のオイルポンプの吐出圧も低いため、可変動弁機構の作動圧力を確保するためにも、潤滑油の温度は低い方が良い。一方、機関回転数が高いほど、摺動部に潤滑油を多く引き込むため、流体潤滑状態を十分に確保できる。従って、この場合には、潤滑油の温度を高くして粘度を適度に下げる方が望ましい。
このように、クランク・ピストン系と動弁系では、運転状態に応じた、潤滑油の最適な温度は異なっている。また、図4には、各系について、潤滑油の温度とフリクションとの関係をグラフで示している。図中Pはクランク・ピストン系における潤滑油の温度に対するフリクションの大きさを示し、図中Qは動弁系における潤滑油の温度に対するフリクションの大きさを示している。図から明らかなように、クランク・ピストン系と動弁系では、フリクションが最も小さくなる潤滑油の温度(前者は図中p,後者は図中q)は異なる。このことからも、クランク・ピストン系と動弁系では、運転状態に応じた、潤滑油の最適な温度は異なることが分かる。
以上のことから、クランク・ピストン系と動弁系では、各系に適した潤滑油の温度制御となるように、それぞれ異なる温度制御を行うことによって、潤滑油の潤滑機能をより好適に発揮させることができる。
<潤滑油の温度制御に用いるマップ>
本実施例に係るECU8に備えられる不図示の記憶手段に記憶されるマップは、クランク・ピストン系の制御専用のものと、動弁系の制御専用のものがある。すなわち、クランク側オイルギャラリー11b専用に設けられた切替え弁7bの制御に用いるマップ(図5)と、ヘッド側オイルギャラリー11a専用に設けられた切替え弁7aの制御に用いるマップ(図6)がある。
本実施例に係るECU8に備えられる不図示の記憶手段に記憶されるマップは、クランク・ピストン系の制御専用のものと、動弁系の制御専用のものがある。すなわち、クランク側オイルギャラリー11b専用に設けられた切替え弁7bの制御に用いるマップ(図5)と、ヘッド側オイルギャラリー11a専用に設けられた切替え弁7aの制御に用いるマップ(図6)がある。
図5Aに示すマップは、機関始動時や暖機運転時など、潤滑油や冷却水の温度が低い状態の場合に、切替え弁7bを制御するために用いられる。図5Bに示すマップは、暖機運転終了後など、潤滑油や冷却水の温度が高い状態の場合に、切替え弁7bを制御するために用いられる。図から分かるように、クランク側オイルギャラリー11b専用に設けられた切替え弁7bの制御については、上記実施例1の場合と同様のマップを用いて、同様の制御を行う。
また、図6Aに示すマップは、機関始動時や暖機運転時など、潤滑油や冷却水の温度が低い状態の場合に、切替え弁7aを制御するために用いられる。図6Bに示すマップは、暖機運転終了後など、潤滑油や冷却水の温度が高い状態の場合に、切替え弁7aを制御するために用いられる。図から分かるように、ヘッド側オイルギャラリー11a専用に設けられた切替え弁7aの制御については、潤滑油や冷却水の温度が低い状態の場合には、切替え弁7bを制御する場合と同様のマップを用いる。しかし、潤滑油や冷却水の温度が高い状態では、切替え弁7bを制御する場合とは異なるマップを用いる。すなわち、機関回転数が低いほど、潤滑油を冷却し、機関回転数が高いほど、潤滑油を加熱する制御を行うようなマップを用いる。この理由は、既に説明した通りである。
なお、マップの見方や、マップを用いた潤滑油の温度制御手順については、上記実施例1の中で説明した通りであるので、その説明は省略する。
<潤滑油の供給箇所に応じて個別に温度制御を行うことにより得られる効果>
以上のように、本実施例に係る乾式潤滑装置は、機関における潤滑油の供給箇所によって、それぞれ異なる潤滑油の温度制御を行う。従って、上記実施例1における効果に加え、各箇所に応じて、潤滑油の潤滑機能が好適に発揮する効果がある。
以上のように、本実施例に係る乾式潤滑装置は、機関における潤滑油の供給箇所によって、それぞれ異なる潤滑油の温度制御を行う。従って、上記実施例1における効果に加え、各箇所に応じて、潤滑油の潤滑機能が好適に発揮する効果がある。
なお、本実施例では2箇所に分けて潤滑油を供給する場合を説明したが、より多くの箇所に分けて供給することで、より細やかな制御が可能となることは言うまでもない。
図7及び図8には、本発明の実施例3が示されている。上記第1,2実施例では、機関回転数と機関負荷から潤滑油が流れる経路を決定付けるマップを、潤滑油等の温度に応じて選択して、選択したマップを用いた制御によって、潤滑油の温度を制御する構成を示した。本実施例では、機関回転数と機関負荷から潤滑油の目標温度を設定しておき、フィードバック制御により潤滑油の温度を制御する構成を示す。なお、本実施例では、上記実施例2の場合と同様に、機関に対して2箇所に潤滑油を供給し、かつ、それぞれ独立に潤滑油の温度制御(加熱経路と冷却経路の流量制御)を行う場合を例にして説明する。その他の基本的な構成および作用については第1,2実施例と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
図7は本発明の実施例3に係る乾式潤滑装置による潤滑油の循環経路を示すブロック構成図である。図8は本発明の実施例3に係る乾式潤滑装置における潤滑油の目標温度を決定するマップである。なお、図8Aはクランク側の制御に用いるマップであり、図8Bはヘッド側の制御に用いるマップである。
<乾式潤滑装置の全体構成>
本実施例においては、潤滑油の流量を制御する制御弁として、電磁弁を採用した点が、上記第1,2実施例と異なっている。すなわち、上記第1,2実施例では、制御弁として切替え弁を採用した。切替え弁の場合には、加熱経路と冷却経路のうち一方にしか潤滑油を流すことができないため、潤滑油を素早く温度制御することは難しい。これに対して、本実施例では、電磁弁を用いることで、加熱経路に流す潤滑油の流量と冷却経路に流す潤滑油の流量をそれぞれ制御して、潤滑油を素早く温度制御することを可能にしている。制御弁に関連する構成及び制御内容以外の構成及びその作用については、上記実施例2と同様であるので、その説明は省略する。
本実施例においては、潤滑油の流量を制御する制御弁として、電磁弁を採用した点が、上記第1,2実施例と異なっている。すなわち、上記第1,2実施例では、制御弁として切替え弁を採用した。切替え弁の場合には、加熱経路と冷却経路のうち一方にしか潤滑油を流すことができないため、潤滑油を素早く温度制御することは難しい。これに対して、本実施例では、電磁弁を用いることで、加熱経路に流す潤滑油の流量と冷却経路に流す潤滑油の流量をそれぞれ制御して、潤滑油を素早く温度制御することを可能にしている。制御弁に関連する構成及び制御内容以外の構成及びその作用については、上記実施例2と同様であるので、その説明は省略する。
図示のように、本実施例においては、ヘッド側オイルギャラリー11a専用に、冷却経路用の電磁弁9aと加熱経路用の電磁弁10aが設けられている。これらは、それぞれオイルクーラー5及びヒーター6の中に設けることもできるし、これらの外部に設けることもできる。また、同様に、クランク側オイルギャラリー11b専用に、冷却経路用の電磁弁9bと加熱経路用の電磁弁10bが設けられている。これらについても、それぞれオイルクーラー5及びヒーター6の中に設けることもできるし、これらの外部に設けることもできる。
そして、ECU8は、これらの電磁弁9a,9b,10a,10bに対して、それぞれ独立に制御できるように構成されている。従って、ECU8による電磁弁9a及び電磁弁10aへの制御によって、冷却経路と加熱経路に流れる潤滑油の流量が各々調整されて、ヘッド側オイルギャラリー11aに供給される潤滑油の温度が制御される。同様に、ECU8による電磁弁9b及び電磁弁10bへの制御によって、冷却経路と加熱経路に流れる潤滑油の流量が各々調整されて、クランク側オイルギャラリー11bに供給される潤滑油の温度が制御される。
<潤滑油の温度制御に用いるマップ>
本実施例に係るECU8に備えられる不図示の記憶手段に記憶されるマップは、上記実施例2の場合と同様に、クランク・ピストン系の制御専用のものと、動弁系の制御専用のものがある。すなわち、クランク側オイルギャラリー11b専用に設けられた電磁弁9bと電磁弁10bの制御に用いるマップ(図8A)と、ヘッド側オイルギャラリー11a専用に設けられた電磁弁9aと電磁弁10aの制御に用いるマップ(図8B)がある。なお、クランク・ピストン系と動弁系とで、それぞれ異なる潤滑油の温度制御を行うことに関しては、上記実施例2で説明した通りであるので、その説明は省略する。
本実施例に係るECU8に備えられる不図示の記憶手段に記憶されるマップは、上記実施例2の場合と同様に、クランク・ピストン系の制御専用のものと、動弁系の制御専用のものがある。すなわち、クランク側オイルギャラリー11b専用に設けられた電磁弁9bと電磁弁10bの制御に用いるマップ(図8A)と、ヘッド側オイルギャラリー11a専用に設けられた電磁弁9aと電磁弁10aの制御に用いるマップ(図8B)がある。なお、クランク・ピストン系と動弁系とで、それぞれ異なる潤滑油の温度制御を行うことに関しては、上記実施例2で説明した通りであるので、その説明は省略する。
これらのマップは、横軸(回転数)と縦軸(負荷)を備えた2次元領域からなり、この2次元領域は4つの領域K,L,M,Nに分けられている。そして、検出された機関回転数によって横軸の値が決まり、検出された機関負荷によって縦軸の値が決まる。そして、これらの交点が、領域K〜Nのうちいずれの領域に属するかによって、潤滑油の目標温度を決定する。なお、目標温度の好適な具体例としては、領域Kの場合を70℃,領域Lの場合を80℃,領域Mの場合を90℃,領域Nの場合を100℃にすることが挙げられる。
<潤滑油の温度制御手順>
ECU8は、まず、図8に示すマップを用いて、回転数検出センサS2から送られる機関回転数の検出値と、機関負荷に関連する検出値を検出する検出センサS3から送られる検出値から、潤滑油の目標温度を決定する。なお、本実施例における検出センサS3は、スロットル開度を検出している。また、上記の通り、ECU8は、クランク・ピストン系と動弁系に供給する潤滑油の目標温度を、それぞれ図8A,Bを用いて個別に決定する。
ECU8は、まず、図8に示すマップを用いて、回転数検出センサS2から送られる機関回転数の検出値と、機関負荷に関連する検出値を検出する検出センサS3から送られる検出値から、潤滑油の目標温度を決定する。なお、本実施例における検出センサS3は、スロットル開度を検出している。また、上記の通り、ECU8は、クランク・ピストン系と動弁系に供給する潤滑油の目標温度を、それぞれ図8A,Bを用いて個別に決定する。
そして、ECU8は、温度センサS1によって検出された温度と目標温度を比較して、誤差があった場合には、その誤差をなくすように制御する。具体的には、検出温度が目標温度よりも高ければ、冷却経路側の流量を増やし、加熱経路側の流量を減らす制御を行い、検出温度が目標温度よりも低ければ、その逆の制御を行う。なお、温度センサS1は本実施例の場合には、潤滑油の温度を検出するセンサである。
そして、ECU8は、以上の制御を逐次行う。すなわち、ECU8は、機関回転数と機関負荷から潤滑油の目標温度を逐次設定し、潤滑油の温度が常に目標温度となるようにフィードバック制御を行う。
<潤滑油の温度をフィードバック制御することにより得られる効果>
以上のように、本実施例に係る乾式潤滑装置は、フィードバック制御により潤滑油の温度を制御する。従って、上記各実施例に比べて、潤滑油の温度を速やかに目標温度にすることができる効果がある。
以上のように、本実施例に係る乾式潤滑装置は、フィードバック制御により潤滑油の温度を制御する。従って、上記各実施例に比べて、潤滑油の温度を速やかに目標温度にすることができる効果がある。
なお、本実施例では、目標温度を4種類設定した場合について説明したが、目標温度の設定の数は、適宜設定できることは言うまでもない。また、本実施例では、本実施例では2箇所に分けて潤滑油を供給する場合を説明したが、より多くの箇所に分けて供給するようにしても良いし、実施例1のように、1箇所にのみ供給するようにしても良い。
1 機関
11 オイルギャラリー
11a ヘッド側オイルギャラリー
11b クランク側オイルギャラリー
12 オイルパン
2 潤滑油排出ポンプ
3,3a,3b オイルポンプ
4 潤滑油タンク
5 オイルクーラー
6 ヒーター
7,7a,7b 切替え弁
8 ECU
9a,9b,10a,10b 電磁弁
S1 温度センサ
S2 回転数検出センサ
S3 検出センサ
11 オイルギャラリー
11a ヘッド側オイルギャラリー
11b クランク側オイルギャラリー
12 オイルパン
2 潤滑油排出ポンプ
3,3a,3b オイルポンプ
4 潤滑油タンク
5 オイルクーラー
6 ヒーター
7,7a,7b 切替え弁
8 ECU
9a,9b,10a,10b 電磁弁
S1 温度センサ
S2 回転数検出センサ
S3 検出センサ
Claims (9)
- クランク室外に設けたタンクからポンプで潤滑油を供給する乾式潤滑装置において、
潤滑油の経路に潤滑油を加熱する加熱手段が備えられており、
機関の運転状態によっては、該加熱手段によって潤滑油を加熱することを特徴とする乾式潤滑装置。 - クランク室外に設けたタンクからポンプで潤滑油を供給する乾式潤滑装置において、
潤滑油の循環経路には、複数の経路に分岐する部分が含まれており、分岐した経路の少なくとも一つは潤滑油の加熱が行われる加熱経路であり、かつ分岐した経路の少なくとも一つは潤滑油の冷却が行われる冷却経路であると共に、
機関の運転状態に応じて、各経路に流れる潤滑油の流量を制御する制御弁が備えられることを特徴とする乾式潤滑装置。 - 機関の運転状態を決定付ける要素には、機関回転数,機関負荷、及び、潤滑油又は冷却水のうち少なくともいずれか一方の温度が含まれ、これらの検出値から、前記制御弁を制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の乾式潤滑装置。
- 前記加熱経路にはヒーターが備えられており、潤滑油が該加熱経路を通らないときには、前記ヒーターをオフにしておくことを特徴とする請求項2又は3に記載の乾式潤滑装置。
- 潤滑油の循環経路には、機関に対してそれぞれ異なる箇所に潤滑油を供給する複数の供給経路が含まれ、かつ、各供給経路には、それぞれ加熱経路,冷却経路及び制御弁が設けられており、
各供給経路においては、各制御弁によって、それぞれ独立に加熱経路又は冷却経路に流れる流量制御が行われることを特徴とする請求項2,3又は4に記載の乾式潤滑装置。 - 前記制御弁は、加熱経路か冷却経路に切替える切替え弁であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の乾式潤滑装置。
- 潤滑油又は冷却水のうち少なくともいずれか一方の温度に応じて、機関回転数と機関負荷から潤滑油を流す経路を決定する複数のマップを記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、潤滑油又は冷却水のうち少なくともいずれか一方の温度の検出値に応じて、該記憶手段に記憶された複数のマップの中から一つを選択し、かつ選択したマップを用いて、機関回転数及び機関負荷の検出値から潤滑油を流す経路を決定し、決定された経路に潤滑油を流すように、前記切替え弁を制御することを特徴とする請求項6に記載の乾式潤滑装置。 - 前記制御弁は、各経路における潤滑油の流量を制御する電磁弁であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の乾式潤滑装置。
- 機関回転数と機関負荷に応じて、潤滑油の温度を決定するマップを記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、該記憶手段に記憶されたマップを用いて、機関回転数及び機関負荷の検出値に応じて、該マップにより決定される温度となるように、フィードバック制御を行うことを特徴とする請求項2〜6又は8のいずれか一つに記載の乾式潤滑装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003311763A JP2005076608A (ja) | 2003-09-03 | 2003-09-03 | 乾式潤滑装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003311763A JP2005076608A (ja) | 2003-09-03 | 2003-09-03 | 乾式潤滑装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005076608A true JP2005076608A (ja) | 2005-03-24 |
Family
ID=34413241
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003311763A Withdrawn JP2005076608A (ja) | 2003-09-03 | 2003-09-03 | 乾式潤滑装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2005076608A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006066571A1 (en) * | 2004-11-30 | 2006-06-29 | A.P.Møller-Mærsk A/S | Method and system for reducing fuel consumption in a diesel engine |
JP2012149538A (ja) * | 2011-01-17 | 2012-08-09 | Toyota Motor Corp | オイル消費低減制御装置 |
WO2014147905A1 (ja) * | 2013-03-19 | 2014-09-25 | ヤンマー株式会社 | 内燃機関およびコージェネレーション装置 |
JP2018040315A (ja) * | 2016-09-08 | 2018-03-15 | いすゞ自動車株式会社 | エンジンオイル昇温装置 |
-
2003
- 2003-09-03 JP JP2003311763A patent/JP2005076608A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
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