JP2005075689A - フッ化カルシウム単結晶の製造装置および製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 レーザ光を長期照射した場合でも大きな透過率低下を生じないフッ化カルシウム単結晶を製造する。
【解決手段】 温度勾配を形成することのできる結晶成長炉と、該結晶成長炉内に配置されたルツボと、結晶成長中に該ルツボを振動させる機構とを備えるフッ化カルシウム単結晶の製造装置を用い、該ルツボを適切な周波数、変位量、加速度で振動させながら結晶成長を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】 温度勾配を形成することのできる結晶成長炉と、該結晶成長炉内に配置されたルツボと、結晶成長中に該ルツボを振動させる機構とを備えるフッ化カルシウム単結晶の製造装置を用い、該ルツボを適切な周波数、変位量、加速度で振動させながら結晶成長を行う。
【選択図】 図1
Description
本発明は、真空紫外レーザ光を光源とする半導体露光装置において光学部材として用いられるフッ化カルシウム単結晶の製造装置および製造方法に関するものであり、特に光透過耐久性に優れたフッ化カルシウム単結晶の製造装置および製造方法に関するものである。
半導体デバイスを製造するための重要な装置に半導体露光装置がある。半導体デバイスの回路は年々高集積化が期待されており、半導体露光装置の光学系にも解像力の向上が期待されている。光学系の解像力を向上させる有力な手段には、光学系の開口数を大きくすることや露光に使用する光の波長を短くすることがある。
開口数を大きくするには、光学系に使用するレンズ口径を大きくすることが有効であり、現在では口径250mm程度から300mm程度以上の大きなレンズが使用される。このような大きなレンズを製作するための光学材料も必然的に大きくなってきている。
開口数を大きくするには、光学系に使用するレンズ口径を大きくすることが有効であり、現在では口径250mm程度から300mm程度以上の大きなレンズが使用される。このような大きなレンズを製作するための光学材料も必然的に大きくなってきている。
露光に使用する光の波長を短くするには、光源に紫外光を使用することが有効である。これまでg線(波長約436nm)やi線(波長約365nm)が使用されてきたが、現在ではKrFエキシマレーザ(波長約248nm)やArFエキシマレーザ(波長約193nm)が広く使われている。最近では、さらに波長の短い真空紫外光であるF2レーザ(波長約157nm)を光源とした半導体露光装置が期待されている。比較的波長の長いg線やi線ではレンズの光学材料には光学ガラスが使用できるが、KrFエキシマレーザやArFエキシマレーザなど波長の短い紫外光では光透過性の観点から光学ガラスは不適切であり、合成石英ガラス(SiO2)やフッ化カルシウム(CaF2)単結晶が使用される。さらに波長の短いF2レーザなどの真空紫外線では、合成石英ガラスであっても光透過性に不足があるため使用できなくなり、フッ化カルシウム単結晶が光学材料として使用される。
フッ化カルシウム単結晶の製造工程は一般に次の2つの工程、すなわち前処理工程と結晶成長工程に分けることができる。前処理工程はフッ化カルシウム原料の不純物である酸素を除く工程であり、結晶成長工程はフッ化カルシウム原料を結晶成長させ単結晶を得る工程である。酸素が十分取り除かれた高純度フッ化カルシウムが入手できれば、前処理工程を省き結晶成長工程に直接投入しても良い。
なお本発明において単結晶製造装置とは、前処理工程で使用される前処理装置ではなく、結晶成長工程で使用される装置を指す語として用いるものとする。
なお本発明において単結晶製造装置とは、前処理工程で使用される前処理装置ではなく、結晶成長工程で使用される装置を指す語として用いるものとする。
まず前処理工程について説明する。半導体露光装置で使用されるフッ化カルシウム単結晶を製造するには、人工的に合成された純度の高いフッ化カルシウム粉末を原料として使用する。このような原料は鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)等の不純物が少なく好ましい。しかし単にフッ化カルシウムだけから単結晶を製造しようとしても、除去しきれない酸素不純物による光吸収が生じ、光学材料として必要な光透過性が得られない。そこで原料であるフッ化カルシウムに、フッ化鉛(PbF2)などのスカベンジャとよばれる試薬を添加混合し、加熱してフッ素化反応を進行させる。フッ化鉛は不純物である酸素と反応して酸化鉛(PbO)となり、生成した酸化鉛は高温で揮発するため、フッ化カルシウムから酸素を取り除くことができる。
前処理工程は酸素を除去することによりフッ化カルシウムを高純度化し、光透過性を向上させようとするものである。したがって前処理工程は酸素の無い真空雰囲気で行われる。このような前処理工程を行うための前処理装置は、ルツボ、ヒータ、排気系、チャンバー、断熱材などからなる。フッ化鉛と混合された粉末フッ化カルシウム原料を黒鉛製などの清浄なルツボに充填し、十分な真空雰囲気のもとフッ化カルシウムの融点まで温度を上げながらフッ素化反応を進める。その後は室温まで冷却し前処理装置から取り出す。この状態のフッ化カルシウムを前処理品と呼ぶ。
次に結晶成長工程について説明する。結晶成長の方法は、融液を固化する方法、溶液から析出させる方法、気体から析出させる方法、固体粒子を成長させる方法に大別できることが広く知られている。フッ化カルシウム単結晶を製造する方法として良く行われているのは、融液の固化による方法(融液成長法)である。融液成長法のひとつに垂直ブリッジマン法があり、例えば特許文献1には、垂直ブリッジマン法により半導体露光装置用の大口径フッ化カルシウム単結晶を製造する方法および製造装置が記載されている。
垂直ブリッジマン法とは温度勾配が形成された結晶成長炉内でルツボを降下させることによって、ルツボ中の融液を結晶化させて単結晶を得る方法である。垂直ブリッジマン法は口径200mm程度から300mm程度以上の大口径フッ化カルシウム単結晶を得るための工業的製造法として近年特に発展してきている。図3は垂直ブリッジマン法でフッ化カルシウム単結晶を成長させる単結晶製造装置(垂直ブリッジマン炉ともいう)の構成例(従来例)である。図3に示した単結晶製造装置は、フッ化カルシウムを収容するルツボ1、ルツボ1の下端に接続されたルツボ支持棒2、ルツボ1を加熱するヒータ3、温度勾配を形成する遮熱板4、真空容器のベルジャー5、ベルジャー等を保護する断熱材6、ベースプレート7、シール部8、O−リング9、ルツボ1を上下させる駆動装置10、真空排気を行うための排気機構(図示せず)、から構成される。これらの要素のうち、ベースプレート7より上部の部分が結晶成長炉21を構成する。
垂直ブリッジマン法とは温度勾配が形成された結晶成長炉内でルツボを降下させることによって、ルツボ中の融液を結晶化させて単結晶を得る方法である。垂直ブリッジマン法は口径200mm程度から300mm程度以上の大口径フッ化カルシウム単結晶を得るための工業的製造法として近年特に発展してきている。図3は垂直ブリッジマン法でフッ化カルシウム単結晶を成長させる単結晶製造装置(垂直ブリッジマン炉ともいう)の構成例(従来例)である。図3に示した単結晶製造装置は、フッ化カルシウムを収容するルツボ1、ルツボ1の下端に接続されたルツボ支持棒2、ルツボ1を加熱するヒータ3、温度勾配を形成する遮熱板4、真空容器のベルジャー5、ベルジャー等を保護する断熱材6、ベースプレート7、シール部8、O−リング9、ルツボ1を上下させる駆動装置10、真空排気を行うための排気機構(図示せず)、から構成される。これらの要素のうち、ベースプレート7より上部の部分が結晶成長炉21を構成する。
垂直ブリッジマン法でフッ化カルシウム単結晶を成長させる手順の例は以下のとおりである。フッ化カルシウムの前処理品をルツボ1に充填し、十分な真空排気のもと、ヒータ3によりルツボ1の温度を上昇させフッ化カルシウムを融解させる。融点に到達した後は、駆動装置10によりルツボ支持棒2とルツボ1を引下げることによって結晶化を行う。ルツボ1の引下げは1時間あたり0.5〜1mm程度のゆっくりした速度で行う。引下げが進み融液すべてが結晶化したら、室温まで徐冷して単結晶を取り出す。結晶成長炉から取り出された状態の単結晶を、以後インゴットと呼ぶ。
以上が原料となる粉末状フッ化カルシウムからフッ化カルシウム単結晶を製造する方法の概略である。フッ化カルシウム単結晶のインゴットは所定の形状に切断され、アニール処理、研磨加工、コーティングが施されてレンズ等の光学部品となる。光学部品は光学設計にしたがって配置され、所定の機能を有する光学系が完成する。
フッ化カルシウム単結晶の光透過性を評価するには、インゴットの一部から取り出した評価用試料(以下テストピースと呼ぶ)を用いる。テストピースにアニール処理を行った後、光透過性の評価を行うこともある。インゴットの光透過性の評価はテストピースの光透過率を測定することにより行う。測定された光透過率からテストピースの表面反射による寄与分を除き、さらに光路長を10mmとした場合の透過率に換算した値を、10mm換算内部透過率として表記する。10mm換算内部透過率によれば、実際に透過率を測定したテストピースの厚さに関係なく、インゴットの光透過性を単一指標で評価することが可能となる。この評価方法によれば、たとえばF2レーザを光源とする半導体露光装置用のフッ化カルシウム単結晶に求められる10mm換算内部透過率は、レーザ照射前の初期状態において99.5%以上である。
光学材料に紫外光を照射すると光吸収が増大し、光透過性が低下する傾向があると一般に言われている。フッ化カルシウム単結晶についても同様の傾向が認められることから、半導体露光装置で使用する紫外光(たとえばF2レーザ光など)をテストピースに照射して、照射による光透過率の変化(光透過耐久性)を測定することがある。このようにレーザ光を照射し光透過耐久性を評価する試験を照射テストと呼ぶ。F2レーザを光源とする半導体露光装置では、光学部品表面における光強度(エネルギー密度、あるいはフルエンスと称する)は1パルスあたり10mJ/cm2程度以下であると見積もられており、照射テストにおいては1パルスあたり10mJ/cm2程度の F2レーザ光を照射することが普通である。
図4はフッ化カルシウム単結晶のテストピースにF2レーザを連続照射した際の光透過率の変化傾向を示したグラフである。光透過率は照射開始から徐々に低下する。そして104パルス程度を照射したところで低下は見られなくなり、少なくとも106パルスまでは一定値となる。この一定値となった時の光透過率を光透過耐久性の指標として用いるため、照射パルス数を104〜106の間に設定したテスト条件が採用される。設定されたパルス数を照射した後の光透過率から10mm換算内部透過率を算出し、その値が高いほど光透過耐久性が高く、半導体露光装置の光学系に好適なフッ化カルシウム単結晶であると判断される。
特開平10−251097号公報
図4はフッ化カルシウム単結晶のテストピースにF2レーザを連続照射した際の光透過率の変化傾向を示したグラフである。光透過率は照射開始から徐々に低下する。そして104パルス程度を照射したところで低下は見られなくなり、少なくとも106パルスまでは一定値となる。この一定値となった時の光透過率を光透過耐久性の指標として用いるため、照射パルス数を104〜106の間に設定したテスト条件が採用される。設定されたパルス数を照射した後の光透過率から10mm換算内部透過率を算出し、その値が高いほど光透過耐久性が高く、半導体露光装置の光学系に好適なフッ化カルシウム単結晶であると判断される。
上述のとおり、フッ化カルシウム単結晶にF2レーザ光を連続照射した場合、その光透過率は当初低下するものの、104パルス程度を照射したところで一定値となり以後は変化しないものと考えられていた。ところが本発明者は、さらに長期間フッ化カルシウム単結晶にレーザ光を照射すると光透過率が再び低下に転じることを発見した。図4における破線部分は、本発明者が新たに発見した、106パルスを越える照射により生じる光透過率の低下現象を示す部分である。図4から明らかなように、従来行われていた104〜106パルスの照射テストでは、106パルスを超える長期のレーザ光照射に対する光透過耐久性は評価の対象となっていない。したがって従来の照射テストをパスし、良好な光透過耐久性を有すると考えられていたフッ化カルシウム単結晶であっても、これを光学部材として半導体露光装置に搭載し106パルスを超えるレーザ光を照射すると、予想以上の透過率低下を生じる恐れのあることが新たに判明したのである。光学部材の光透過率低下は露光光量の減少に直結し、半導体露光装置全体のスループットが低下してしまうという問題を生じる。
本発明者はこの問題を鋭意調査した結果、従来の照射テスト条件を超える長期照射によって生じた光透過率低下現象は、フッ化カルシウム単結晶に含有される不純物に起因するものではなく、研磨された結晶表面の破壊が原因であることをつきとめた。そしてこの破壊現象はフッ化カルシウム単結晶の製造方法に関連して生じているものであることを明らかにした。
本発明は上記の発見に基づいてなされたものであって、F2レーザ光の長期照射に対して優れた光透過耐久性を有するフッ化カルシウム単結晶の製造方法を提供するものである。
本発明者は、フッ化カルシウム単結晶の製造方法とF2レーザを照射した際の表面破壊の関係について鋭意検討した結果、結晶成長工程で結晶内に形成される空隙(ボイド)の存在が破壊現象に影響しているとの知見を得た。
本発明はこの空隙の形成を抑制し光透過耐久性に優れたフッ化カルシウム単結晶の製造方法として、
「温度勾配を形成することのできる結晶成長炉内にルツボを配置し、該ルツボ内で融解したフッ化カルシウムを冷却しながら結晶を成長させるフッ化カルシウム単結晶の製造方法において、前記ルツボを振動させながら結晶を成長させることを特徴とするフッ化カルシウム単結晶の製造方法(請求項1)」
を、また製造装置として、
「温度勾配を形成することのできる結晶成長炉と、該結晶成長炉内に配置されたルツボとを有するフッ化カルシウム単結晶の製造装置において、結晶成長中に前記ルツボを振動させる機構を備えることを特徴とするフッ化カルシウム単結晶の製造装置(請求項2)」
を提供する。詳細なメカニズムは未だ不明であるが、結晶成長中にルツボに振動を与えることによって結晶内の空隙形成が抑制され、レーザ照射時の結晶表面破壊とこれに起因する光透過率低下を抑制することができる。
本発明はこの空隙の形成を抑制し光透過耐久性に優れたフッ化カルシウム単結晶の製造方法として、
「温度勾配を形成することのできる結晶成長炉内にルツボを配置し、該ルツボ内で融解したフッ化カルシウムを冷却しながら結晶を成長させるフッ化カルシウム単結晶の製造方法において、前記ルツボを振動させながら結晶を成長させることを特徴とするフッ化カルシウム単結晶の製造方法(請求項1)」
を、また製造装置として、
「温度勾配を形成することのできる結晶成長炉と、該結晶成長炉内に配置されたルツボとを有するフッ化カルシウム単結晶の製造装置において、結晶成長中に前記ルツボを振動させる機構を備えることを特徴とするフッ化カルシウム単結晶の製造装置(請求項2)」
を提供する。詳細なメカニズムは未だ不明であるが、結晶成長中にルツボに振動を与えることによって結晶内の空隙形成が抑制され、レーザ照射時の結晶表面破壊とこれに起因する光透過率低下を抑制することができる。
結晶成長炉内に収められたルツボを効果的に振動させるには、該ルツボに接続された振動伝達部材を介して振動させるのが良い。本発明はかかる構造を有するフッ化カルシウム単結晶の製造装置として、
「前記ルツボを振動させる機構が、振動を発生する振動源と、該振動源で発生した振動をルツボに伝達する振動伝達部材とからなる、請求項2に記載のフッ化カルシウム単結晶の製造装置(請求項3)」
を提供する。
「前記ルツボを振動させる機構が、振動を発生する振動源と、該振動源で発生した振動をルツボに伝達する振動伝達部材とからなる、請求項2に記載のフッ化カルシウム単結晶の製造装置(請求項3)」
を提供する。
振動源の振動をルツボに伝達する振動伝達部材としては、ルツボ下端に接続されたルツボ支持棒を用いることが望ましく、本発明は、
「前記ルツボの下端に接続されたルツボ支持棒と、該ルツボ支持棒を上下に駆動するための駆動装置とを有し、かつ前記ルツボ支持棒が前記振動伝達部材である、請求項3に記載のフッ化カルシウム単結晶の製造装置(請求項4)」
を提供する。
「前記ルツボの下端に接続されたルツボ支持棒と、該ルツボ支持棒を上下に駆動するための駆動装置とを有し、かつ前記ルツボ支持棒が前記振動伝達部材である、請求項3に記載のフッ化カルシウム単結晶の製造装置(請求項4)」
を提供する。
結晶成長工程で結晶内に空隙が生じないようにするためには、振動源が発生する振動の周波数、変位、および加速度が特定の範囲内にあることが好ましい。本発明は、
「前記振動源が、振動周波数10Hz〜10MHzの範囲内の振動を発生することを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のフッ化カルシウム単結晶の製造装置(請求項5)」
及び、
「前記振動源が、変位量1μm以上の振動を発生することを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のフッ化カルシウム単結晶の製造装置(請求項6)」
及び、
「前記振動源が、加速度0.1cm/s2以上の振動を発生することを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のフッ化カルシウム単結晶の製造装置(請求項7)」
を提供する。
振動源はルツボ支持棒または該ルツボ支持棒の駆動装置に接続することが好ましい。そこで本発明は、
「前記振動源が、前記ルツボ支持棒に接続された振動発生装置である、請求項3ないし請求項7の何れか一項に記載のフッ化カルシウム単結晶の製造装置(請求項8)」
及び、
「前記振動源が、前記駆動装置に接続された振動発生装置である、請求項3ないし請求項6の何れか一項に記載のフッ化カルシウム単結晶の製造装置(請求項9)」
を提供する。
単結晶製造装置が設置された床面が所定の周波数、変位または加速度で振動している場合には、これを振動源として利用することも可能である。床面を振動源として利用し新たな振動発生装置を必要としないフッ化カルシウム単結晶の製造装置として、本発明は、
「請求項5ないし請求項7の何れか一項に記載のフッ化カルシウム単結晶の製造装置であって、該製造装置の設置床面を振動源とするフッ化カルシウム単結晶の製造装置(請求項10)」
を提供する。
さらに本発明は、本発明にかかる製造装置を使用するフッ化カルシウム単結晶の製造方法(請求項11)及び、本発明に係る製造方法により製造されたフッ化カルシウム単結晶(請求項12)であって、半導体露光装置に使用しうる光透過率耐久性に優れたフッ化物単結晶として、
「1パルスあたり10mJ/cm2のF2レーザ光を105パルス照射した後の10mm換算内部透過率T0と、1パルスあたり10mJ/cm2のF2レーザ光を107パルス照射した後の10mm換算内部透過率T1との差ΔT1=T0-T1が、ΔT1≦1%であることを特徴とする、請求項12記載のフッ化カルシウム単結晶(請求項13)」
及び、
「1パルスあたり10mJ/cm2のF2レーザ光を105パルス照射した後の10mm換算内部透過率T0と、1パルスあたり10mJ/cm2のF2レーザ光を2×107パルス照射した後の10mm換算内部透過率T2との差ΔT2=T0-T2が、ΔT2≦1%であることを特徴とする、請求項12記載のフッ化カルシウム単結晶(請求項14)」
並びに、
「1パルスあたり10mJ/cm2のF2レーザ光を2×107パルス照射したときに、表面破壊が発生しないことを特徴とする、請求項11ないし請求項14の何れか一項に記載のフッ化カルシウム単結晶(請求項15)」
を提供する。
「前記振動源が、振動周波数10Hz〜10MHzの範囲内の振動を発生することを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のフッ化カルシウム単結晶の製造装置(請求項5)」
及び、
「前記振動源が、変位量1μm以上の振動を発生することを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のフッ化カルシウム単結晶の製造装置(請求項6)」
及び、
「前記振動源が、加速度0.1cm/s2以上の振動を発生することを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のフッ化カルシウム単結晶の製造装置(請求項7)」
を提供する。
振動源はルツボ支持棒または該ルツボ支持棒の駆動装置に接続することが好ましい。そこで本発明は、
「前記振動源が、前記ルツボ支持棒に接続された振動発生装置である、請求項3ないし請求項7の何れか一項に記載のフッ化カルシウム単結晶の製造装置(請求項8)」
及び、
「前記振動源が、前記駆動装置に接続された振動発生装置である、請求項3ないし請求項6の何れか一項に記載のフッ化カルシウム単結晶の製造装置(請求項9)」
を提供する。
単結晶製造装置が設置された床面が所定の周波数、変位または加速度で振動している場合には、これを振動源として利用することも可能である。床面を振動源として利用し新たな振動発生装置を必要としないフッ化カルシウム単結晶の製造装置として、本発明は、
「請求項5ないし請求項7の何れか一項に記載のフッ化カルシウム単結晶の製造装置であって、該製造装置の設置床面を振動源とするフッ化カルシウム単結晶の製造装置(請求項10)」
を提供する。
さらに本発明は、本発明にかかる製造装置を使用するフッ化カルシウム単結晶の製造方法(請求項11)及び、本発明に係る製造方法により製造されたフッ化カルシウム単結晶(請求項12)であって、半導体露光装置に使用しうる光透過率耐久性に優れたフッ化物単結晶として、
「1パルスあたり10mJ/cm2のF2レーザ光を105パルス照射した後の10mm換算内部透過率T0と、1パルスあたり10mJ/cm2のF2レーザ光を107パルス照射した後の10mm換算内部透過率T1との差ΔT1=T0-T1が、ΔT1≦1%であることを特徴とする、請求項12記載のフッ化カルシウム単結晶(請求項13)」
及び、
「1パルスあたり10mJ/cm2のF2レーザ光を105パルス照射した後の10mm換算内部透過率T0と、1パルスあたり10mJ/cm2のF2レーザ光を2×107パルス照射した後の10mm換算内部透過率T2との差ΔT2=T0-T2が、ΔT2≦1%であることを特徴とする、請求項12記載のフッ化カルシウム単結晶(請求項14)」
並びに、
「1パルスあたり10mJ/cm2のF2レーザ光を2×107パルス照射したときに、表面破壊が発生しないことを特徴とする、請求項11ないし請求項14の何れか一項に記載のフッ化カルシウム単結晶(請求項15)」
を提供する。
本発明に係るフッ化カルシウム単結晶の製造装置および製造方法によれば、ルツボを振動させながら結晶成長させることによりフッ化カルシウム単結晶中の空隙発生を抑制し、F2レーザ光の長期照射に対して優れた光透過耐久性を有するフッ化カルシウム単結晶を製造することができる。また本発明に係るフッ化カルシウム単結晶をF2レーザを光源とする半導体露光装置の光学部材として使用すれば、F2レーザ光を長期間照射しても光透過率の低下や表面損傷を起こすことがなく、長期にわたって安定した露光性能を維持することができる。
本発明に係るフッ化カルシウム単結晶の製造装置の特徴は、結晶成長中にルツボを振動させる機構を備える点にあり、該製造装置を用いてルツボを振動させながら成長させたフッ化カルシウム単結晶は、結晶中の空隙が少なく光透過耐久性に優れるという特長を有する。
本発明に係るフッ化カルシウム単結晶製造装置の一例は、図3に示す垂直ブリッジマン炉であって、更に、振動源と、振動をルツボに伝達するための振動伝達部材とを付加したものである。
結晶成長炉内に配置されたルツボは、結晶成長中にフッ化カルシウムの融点(1373℃)付近にまで加熱されるものであるため、振動源となる振動発生装置等を直接該ルツボに装着することは困難である。そこで結晶成長炉外の低温部に振動源を配置し、その振動を振動伝達部材を介して結晶成長炉内のルツボに伝達する構成とすることが望ましい。
結晶成長炉内に配置されたルツボは、結晶成長中にフッ化カルシウムの融点(1373℃)付近にまで加熱されるものであるため、振動源となる振動発生装置等を直接該ルツボに装着することは困難である。そこで結晶成長炉外の低温部に振動源を配置し、その振動を振動伝達部材を介して結晶成長炉内のルツボに伝達する構成とすることが望ましい。
ルツボに振動を伝達する振動伝達部材としては、ルツボ下端に接続されたルツボ支持棒を利用するのが良い。ルツボ支持棒の本来の役割は、結晶成長炉内のルツボを支持すると共にルツボ下部を冷却し、ルツボ内に一定の温度勾配を形成するというものである。したがってルツボ支持棒は必要な強度を保ちながら結晶成長炉内の高温に耐える素材で構成され、さらに結晶成長炉外の一端は冷却されて比較的低温となっている。ルツボ支持棒の低温部には振動発生装置を容易に接続することができ、さらに該支持棒を介してルツボに振動を伝達することができる。ルツボ支持棒を振動伝達部材として用いずに、別個の振動伝達部材を炉内のルツボに接続して振動を伝達することも可能であるが、この場合は該別個の振動伝達部材が結晶成長炉内に熱的擾乱を引き起こし、成長中の結晶に空隙を生じる恐れがある。ルツボ支持棒を振動伝達部材として用いれば、結晶成長炉内に熱的擾乱を引き起こさず、結晶内の空隙発生を抑制しながらフッ化カルシウム単結晶を製造することができる。
振動源としては、アンバランスマス型、空気圧型、油圧型、動電型等の振動発生装置を用いることが好ましい。これらの振動発生装置は振動周波数や振幅、加速度を比較的容易に制御できるためである。アンバランスマス型はモーターに偏心した錘を付け、その遠心力によって振動を発生させるものである。空気圧型や油圧型は空気圧や油圧でアクチュエータを駆動する方式である。また動電型は磁界中のコイルに交流電流を流して電磁気力により振動を発生させる方式である。本発明に使用する振動発生装置の作動方式に特に制限は無いが、油圧型は小型のものを製作することが比較的難しく、実際の単結晶製造装置の大きさを考慮すると、他の作動方式による振動発生装置がより好ましい。またそれぞれの作動原理から、振動周波数が低い領域ではアンバランスマス型が、振動周波数が高い領域では動電型が適している。
振動発生装置はルツボ支持棒または駆動装置に接続され、ルツボ支持棒を介してルツボに振動を伝達する。ルツボ支持棒の下端と駆動装置とはどちらも通常低温に保たれているため、振動発生装置を接続する部位として好ましい。
振動発生装置はルツボ支持棒または駆動装置に接続され、ルツボ支持棒を介してルツボに振動を伝達する。ルツボ支持棒の下端と駆動装置とはどちらも通常低温に保たれているため、振動発生装置を接続する部位として好ましい。
振動源が発生する振動の振動周波数は10Hz〜10MHzの範囲内にあり、変位量は1μm以上、加速度は0.1cm/s2以上であることが好ましい。振動条件によっては効果が得られなかったり単結晶の成長が阻害されてしまうなどの悪影響があるので、あらかじめ振動源の振動を計測しておくのが良い。これらの振動計測には市販の振動計を使用すれば良く、たとえば特許機器株式会社製の微振動計測器とその解析システムなどを使用することで、変位、振動数、加速度を計測することができる。ルツボに伝達された振動は、振動源が発生した振動よりも減衰して弱まることがあるが、結晶成長炉内に収められたルツボの振動を直接測定することは困難であり、また振動源における振動が上記の範囲内にあれば効果が得られるという事実から、本発明では振動源が発生する振動の条件を特定する。
単結晶製造装置が設置された床面が上記範囲の周波数、変位、加速度で振動している場合には、床面の振動を振動源として利用することができる。この場合には振動発生装置が不要となる利点がある。床面の振動は単結晶製造装置の架台や駆動装置を介してルツボ支持棒に伝達され、最終的に結晶成長炉内のルツボを振動させる。
次に本発明に係るフッ化カルシウム単結晶の製造方法を説明する。
次に本発明に係るフッ化カルシウム単結晶の製造方法を説明する。
まずルツボを振動させる機構を備えた単結晶製造装置のルツボにフッ化カルシウムを充填する。フッ化カルシウムは前記前処理品であることが好ましいが、十分に酸素を除去した高純度なフッ化カルシウムが入手できれば前処理品と同様に使用することができる。結晶成長炉内を排気機構により真空排気しながらヒータによりルツボの温度を上昇させフッ化カルシウムを融解させる。フッ化カルシウムが融解した後は、ルツボに振動を与えながら駆動装置によりルツボ支持棒とルツボを引下げることによって結晶化を行う。ルツボの引下げは1時間あたり0.5mmから1mm程度の速度で行う。引下げが進み融液すべてが結晶化したら、室温まで徐冷してインゴットとして取り出す。得られたインゴットはルツボの振動により空隙の発生が抑制されたものである。
製造したインゴットの光透過性を評価するため、インゴットからテストピースを作製し光透過率を測定する。テストピースは光透過率を測定する装置の試料室内に設置することが可能な大きさと形状に成形加工する。向かい合う平行2面は鏡面状に研磨する。平行度は30秒程度以下、表面粗さはRMS表示で0.5nm程度以下が適当である。光透過率測定に際しては湿式洗浄などの洗浄を施すことによってテストピースの表面を清浄な状態にすることが望ましい。このように十分に滑らかな鏡面で清浄な研磨面を有するテストピースの光透過率を測定することによって、製造したインゴットの光透過性を定量評価する。
光透過率を測定する装置として代表的なものに分光光度計がある。分光光度計には、測定する波長域やそれに対応した測定雰囲気によって、真空紫外分光光度計、紫外分光光度計、可視分光光度計、赤外分光光度計などがある。本発明に係るフッ化カルシウム単結晶の評価には真空紫外分光光度計(VUV分光光度計)を使用する。
フッ化カルシウム単結晶の光透過耐久性を評価するには、F2レーザをテストピースに照射し光透過率の変化を測定する照射テストを行う。従来はフルエンスが1パルスあたり10mJ/cm2程度のF2レーザを104〜106パルス程度照射するテストが行われてきたが、本発明に係るフッ化カルシウム単結晶は長期照射時の耐久性に特徴を有するため、照射パルス数を107パルス以上とする。
テストピースに1パルスあたり10mJ/cm2のF2レーザを105パルス照射したときの10mm換算内部透過率T0と、さらに107パルス照射したときの10mm換算内部透過率T1とを測定し、両者の差ΔT1=T0-T1がΔT1≦1%であれば、該フッ化カルシウム単結晶はF2レーザ光照射による光透過率低下が小さく、半導体露光装置の光学部材として使用し得る光透過耐久性を有するものである。
また更に107パルスすなわち合計2×107パルス照射したときの10mm換算内部透過率T2を測定し、ΔT2=T0-T2がΔT2≦1%であるフッ化カルシウム単結晶は、極めて優れた光透過耐久性を有するものであり、半導体露光装置の光学部材として使用すれば長期にわたって安定した露光性能を維持することができる。
2×107パルス照射後の上記テストピースについて10倍から2000倍程度の微分干渉顕微鏡や走査電子顕微鏡、原子間力顕微鏡などで形態観察を行い、表面破壊が生じていないと認められるフッ化カルシウム単結晶は、F2レーザ光の照射に対して高い耐久性を有するものと判断される。表面破壊が生じないならば光透過率の低下も生じえず、該フッ化カルシウム単結晶はF2レーザを光源とする半導体露光装置の光学部材として好適に使用しうるものである。
テストピースに1パルスあたり10mJ/cm2のF2レーザを105パルス照射したときの10mm換算内部透過率T0と、さらに107パルス照射したときの10mm換算内部透過率T1とを測定し、両者の差ΔT1=T0-T1がΔT1≦1%であれば、該フッ化カルシウム単結晶はF2レーザ光照射による光透過率低下が小さく、半導体露光装置の光学部材として使用し得る光透過耐久性を有するものである。
また更に107パルスすなわち合計2×107パルス照射したときの10mm換算内部透過率T2を測定し、ΔT2=T0-T2がΔT2≦1%であるフッ化カルシウム単結晶は、極めて優れた光透過耐久性を有するものであり、半導体露光装置の光学部材として使用すれば長期にわたって安定した露光性能を維持することができる。
2×107パルス照射後の上記テストピースについて10倍から2000倍程度の微分干渉顕微鏡や走査電子顕微鏡、原子間力顕微鏡などで形態観察を行い、表面破壊が生じていないと認められるフッ化カルシウム単結晶は、F2レーザ光の照射に対して高い耐久性を有するものと判断される。表面破壊が生じないならば光透過率の低下も生じえず、該フッ化カルシウム単結晶はF2レーザを光源とする半導体露光装置の光学部材として好適に使用しうるものである。
本実施例で使用するフッ化カルシウム単結晶の製造装置は図1に示す構造を有するものである。フッ化カルシウムを収容するルツボ1の下端にはルツボ支持棒2が接続され、該支持棒の他端は駆動装置10に接続される。駆動装置10はルツボ支持棒2を介してルツボ1を上下に移動させることができる。ルツボ1の周囲にはヒータ3が配置され、その外側はさらに断熱材6で囲まれている。ヒータ3は上部と下部とに2分割されており、それぞれ個別に温度調節をすることができる。また両者の間には遮熱板が配置され、結晶成長に必要な温度勾配が作り出される。装置全体はベルジャー5とベースプレート7で構成される真空容器中に収められ、排気口12に接続された図示しない真空ポンプにより、内部を真空状態に保つことができる。さらにルツボ支持棒2には振動周波数1MHzの動電型振動発生装置11aが接続されており、発生した振動はルツボ支持棒2を介してルツボ1に振動を伝達する構造となっている。
フッ化カルシウムの前処理品をルツボ1に充填し、真空ポンプにより十分に真空排気した後、ヒータ3に通電してルツボ1の温度を上昇させ、内部に充填したフッ化カルシウムを融解した。フッ化カルシウムが融解した後は、駆動装置10によりルツボ1を徐々に下降させ、ルツボ1内のフッ化カルシウムを結晶化した。下降速度は0.5mm/時とした。ルツボ1の下降中は動電型振動発生装置11aを発振させ、ルツボ支持棒2を介してルツボ1を振動させた。ルツボ1内の全てのフッ化カルシウムを結晶化させた後、ヒータ3への通電を停止し、装置内部を室温まで徐冷してフッ化カルシウム単結晶(インゴット)を取り出した。
得られたインゴットにアニール処理を施した後、該インゴットからテストピースを作製し、透過率を測定した。テストピースは直径30mm、厚さ30mmの円柱状とし、光線の入射面および出射面となる対向する2平面を鏡面研磨した。鏡面研磨面の平行度は10秒程度、表面粗さは0.2nm(RMS)程度であった。テストピースの厚さを30mmとしたのは、光路長を長くすることによって吸光量を大きくし透過率測定の精度を高めるためである。透過率測定前にはテストピースを湿式洗浄し、表面を清浄にした。透過率測定には日本分光株式会社製のVUV分光光度計を用いた。なおテストピースの内部透過率を求めるには、透過率の測定値からテストピース/空気界面で生じる表面反射の寄与分を差し引く必要がある。前記界面1面あたりの反射率Rは、既知であるフッ化カルシウムの屈折率nからR=[(1-n)/(1+n)]2で求めることができ、透過率測定値への寄与分を容易に差し引くことができる。
VUV分光光度計により測定した上記テストピース(厚さ30mm)の透過率から表面反射分を差し引いた内部透過率は、波長157.6nmにおいて99.7%と算出された。これを光路長10mmに換算した10mm換算内部透過率は(0.997)10/30=0.999=99.9%であり、極めて内部透過率の高いフッ化カルシウム単結晶が得られた。
VUV分光光度計により測定した上記テストピース(厚さ30mm)の透過率から表面反射分を差し引いた内部透過率は、波長157.6nmにおいて99.7%と算出された。これを光路長10mmに換算した10mm換算内部透過率は(0.997)10/30=0.999=99.9%であり、極めて内部透過率の高いフッ化カルシウム単結晶が得られた。
次に同じインゴットから作製したテストピースを用い、F2レーザ光照射に対する光透過耐久性を評価した。照射するF2レーザ光のフルエンスは1パルスあたり10mJ/cm2とした。F2レーザ光を105パルス照射した後の10mm換算内部透過率T0は99.6%、さらにF2レーザ光の照射を続け合計1×107パルスを照射した後の10mm換算内部透過率T1は99.4%であり、ΔT1=T0-T1=0.2%であった。さらにF2レーザ光の照射を続け合計2×107パルスを照射した後の10mm換算内部透過率T2は99.3%であり、ΔT2=T0-T2=0.3%であった。
このように照射テストを実施したテストピースの被照射部位を10倍、100倍、400倍、1000倍、2000倍の微分干渉顕微鏡で形態観察したところ、表面に破壊は認められなかった。
本実施例で製造したフッ化カルシウム単結晶は光透過耐久性に優れ、F2レーザ光を長期間照射しても透過率がほとんど低下せず、表面破壊も認められなかった。したがって本実施例で製造したフッ化カルシウム単結晶に研磨加工、コーティングを施し、半導体露光装置用光学部品として好適に使用することができる。
本実施例において使用したフッ化カルシウム単結晶の製造装置は、図2に示す構成を有するものである。主要部は実施例1で使用した製造装置と同等であるが、駆動装置10にアンバランスマス型振動発生装置11bが接続されている点が異なる。
実施例1と同様にルツボ1中でフッ化カルシウムを融解し、駆動装置10により徐々に下降させた。ルツボ1の下降中はアンバランスマス型振動発生装置11bを周波数50Hz、変位量100μmで振動させ、ルツボ支持棒2を介してルツボ1を振動させながらフッ化カルシウム単結晶を成長させた。
得られたインゴットにアニール処理を施した後、該インゴットからテストピースを作製し、透過率を測定した。テストピースの形状、作製方法、透過率の測定方法は実施例1と同一である。本実施例で得られたインゴットの10mm換算内部透過率は波長157.6nmにおいて99.8%であり、光透過性の良好なフッ化カルシウム単結晶が得られた。
次に同じインゴットから作製したテストピースを用い、F2レーザ光照射に対する光透過耐久性を評価した。評価手順は実施例1と同一である。本実施例で製造したフッ化カルシウム単結晶の10mm換算内部透過率は、T0=99.5%、T1=99.2%、T2=99.2%であり、10mm換算内部透過率の変化幅はΔT1=0.3%、ΔT2=0.3%であった。また2×107パルス照射後のテストピースを10倍、100倍、400倍、1000倍、2000倍の微分干渉顕微鏡で観察したところ表面破壊は認められなかった。本実施例で製造したフッ化カルシウム単結晶は優れた光透過耐久性を有するものであり、研磨加工、コーティングを施しレンズとして半導体露光装置に搭載すれば、長期にわたって安定した露光性能を維持することができる。
本実施例において使用したフッ化カルシウム単結晶の製造装置は、図3に示す従来の製造装置と同一構造を有するものである。ただし製造装置が設置された床面13が常時振動しており、床面の振動は床面に固定された駆動装置10およびルツボ支持棒2を介してルツボ1に伝達される。床面の振動周波数は10〜100Hz、変位量は2〜5μm、加速度は0.5cm/s2である。
実施例1と同様にルツボ1中でフッ化カルシウムを融解し、床面の振動をルツボ支持棒2を介して該ルツボに伝達しながら、駆動装置10により徐々に下降させ結晶を成長させた。
得られたインゴットにアニール処理を施した後、該インゴットからテストピースを作製し、透過率を測定した。テストピースの形状、作製方法、透過率の測定方法は実施例1と同一である。本実施例で得られたインゴットの10mm換算内部透過率は波長157.6nmにおいて99.8%であり、光透過性の良好なフッ化カルシウム単結晶が得られた。
次に同じインゴットから作製したテストピースを用い、F2レーザ光照射に対する光透過耐久性を評価した。評価手順は実施例1と同一である。本実施例で製造したフッ化カルシウム単結晶の10mm換算内部透過率は、T0=99.5%、T1=99.3%、T2=99.3%であり、10mm換算内部透過率の変化幅はΔT1=0.2%、ΔT2=0.2%であった。また2×107パルス照射後のテストピースを10倍、100倍、400倍、1000倍、2000倍の微分干渉顕微鏡で観察したところ表面破壊は認められなかった。本実施例で製造したフッ化カルシウム単結晶は優れた光透過耐久性を有するものであり、研磨加工、コーティングを施しレンズとして半導体露光装置に搭載すれば、長期にわたって安定した露光性能を維持することができる。
比較例で使用するフッ化カルシウム単結晶の製造装置は、図3に示す従来の製造装置と同一構造を有するものである。床面の振動変位は1μm未満であり、振動加速度は0.1cm/s2未満であって、ルツボ1が実質的に振動することはない。
この製造装置を用い、ルツボ1を振動させることなく、各実施例に順ずる手順によりフッ化カルシウム単結晶を製造した。
この製造装置を用い、ルツボ1を振動させることなく、各実施例に順ずる手順によりフッ化カルシウム単結晶を製造した。
得られたインゴットにアニール処理を施した後、該インゴットからテストピースを作製し、透過率を測定した。テストピースの形状、作製方法、透過率の測定方法は各実施例と同一である。比較例で得られたインゴットの10mm換算内部透過率は波長157.6nmにおいて99.8%であり、光透過性の良好なフッ化カルシウム単結晶が得られた。
次に同じインゴットから作製したテストピースを用い、F2レーザ光照射に対する光透過耐久性を評価した。評価手順は各実施例と同一である。すなわち1パルスあたり10mJ/cm2のF2レーザ光を105パルス照射した後の10mm換算内部透過率をT0、さらに照射を続け合計1×107パルスを照射した後の10mm換算内部透過率をT1、さらに照射を続け合計2×107パルスを照射した後の10mm換算内部透過率をT2とした。比較例で製造したインゴットでは、T0=99.7%、T1=98.6%、T2=97.8%と測定され、F2光照射による10mm換算内部透過率の低下量は、ΔT1=T0-T1=1.1%、ΔT2=T0-T2=1.9%と極めて大きな値であった。また合計2×107パルスを照射した後のテストピースを10倍、100倍、400倍、1000倍、2000倍の微分干渉顕微鏡で観察したところ、表面に明らかな破壊が認められた。
比較例で製造したフッ化カルシウム単結晶はF2レーザ光照射時の光透過耐久性に劣り、また表面破壊も生じることから、F2レーザを光源とする半導体露光装置に用いる光学部材の材料として不適当なものである。
1:ルツボ、2:ルツボ支持棒、3:ヒータ、4:遮熱板、5:ベルジャー、6:断熱材、7:ベースプレート、8:シール部、9:O−リング、10:駆動装置、11a及び11b:振動発生装置、12:排気口、13:床面、21:結晶成長炉
Claims (15)
- 温度勾配を形成することのできる結晶成長炉内にルツボを配置し、該ルツボ内で融解したフッ化カルシウムを冷却しながら結晶を成長させるフッ化カルシウム単結晶の製造方法において、前記ルツボを振動させながら結晶を成長させることを特徴とするフッ化カルシウム単結晶の製造方法。
- 温度勾配を形成することのできる結晶成長炉と、該結晶成長炉内に配置されたルツボとを有するフッ化カルシウム単結晶の製造装置において、結晶成長中に前記ルツボを振動させる機構を備えることを特徴とするフッ化カルシウム単結晶の製造装置。
- 前記ルツボを振動させる機構が、振動を発生する振動源と、該振動源で発生した振動をルツボに伝達する振動伝達部材とからなる、請求項2に記載のフッ化カルシウム単結晶の製造装置。
- 前記ルツボの下端に接続されたルツボ支持棒と、該ルツボ支持棒を上下に駆動するための駆動装置とを有し、かつ前記ルツボ支持棒が前記振動伝達部材である、請求項3に記載のフッ化カルシウム単結晶の製造装置。
- 前記振動源が、振動周波数10Hz〜10MHzの範囲内の振動を発生することを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のフッ化カルシウム単結晶の製造装置。
- 前記振動源が、変位量1μm以上の振動を発生することを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のフッ化カルシウム単結晶の製造装置。
- 前記振動源が、加速度0.1cm/s2以上の振動を発生することを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のフッ化カルシウム単結晶の製造装置。
- 前記振動源が、前記ルツボ支持棒に接続された振動発生装置である、請求項3ないし請求項7の何れか一項に記載のフッ化カルシウム単結晶の製造装置。
- 前記振動源が、前記駆動装置に接続された振動発生装置である、請求項3ないし請求項6の何れか一項に記載のフッ化カルシウム単結晶の製造装置。
- 請求項5ないし請求項7の何れか一項に記載のフッ化カルシウム単結晶の製造装置であって、該製造装置の設置床面を振動源とするフッ化カルシウム単結晶の製造装置。
- 請求項2ないし請求項10の何れか一項に記載のフッ化カルシウム単結晶の製造装置を用い、前記ルツボを振動させながら結晶を成長させることを特徴とするフッ化カルシウム単結晶の製造方法。
- 請求項1または請求項11に記載の製造方法によって製造されたフッ化カルシウム単結晶。
- 1パルスあたり10mJ/cm2のF2レーザ光を105パルス照射した後の10mm換算内部透過率T0と、1パルスあたり10mJ/cm2のF2レーザ光を107パルス照射した後の10mm換算内部透過率T1との差ΔT1=T0-T1が、ΔT1≦1%であることを特徴とする、請求項12に記載のフッ化カルシウム単結晶。
- 1パルスあたり10mJ/cm2のF2レーザ光を105パルス照射した後の10mm換算内部透過率T0と、1パルスあたり10mJ/cm2のF2レーザ光を2×107パルス照射した後の10mm換算内部透過率T2との差ΔT2=T0-T2が、ΔT2≦1%であることを特徴とする、請求項12に記載のフッ化カルシウム単結晶。
- 1パルスあたり10mJ/cm2のF2レーザ光を2×107パルス照射したときに、表面破壊が発生しないことを特徴とする、請求項11ないし請求項14の何れか一項に記載のフッ化カルシウム単結晶。
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-
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