JP2005068616A - 伸縮性コンパクト紡績糸の製造方法及び伸縮性コンパクト紡績糸 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のコンパクト・コア・ヤーンの問題を解消し、染色加工しやすく、脆化しにくく、さらに、良好な伸縮性を有するコンパクト紡績糸を製造する。
【解決手段】フロントローラを出た後に繊維集束用のコンパクトエレメントが設置された精紡機を用いてコンパクト紡績糸を製造する方法において、少なくとも一方がポリトリメチレンテレフタレートを主成分とし、他の一方がポリエチレンテレフタレートを主成分とするサイドバイサイド型複合または偏心シースコア型複合のポリエステル系複合繊維を、コンパクトエレメントの送りトップローラの上部に設置されたガイドローラを介して、延伸滑脱された短繊維フリース束に挿入配置させ、その後に撚り合わせることにより伸縮性コンパクト紡績糸を製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、コンパクト精紡機を用いて伸縮性コンパクト紡績糸を製造する方法に関する。さらに詳しくは、均一な糸状で且つ毛羽が非常に少ない伸縮性コンパクト紡績糸が得られる製造方法に関するものである。
通常の精紡機のフロントローラを出た後に、繊維集束装置であるコンパクトエレメントを設置した精紡機は、一般にコンパクト精紡機と称されている。このコンパクト精紡機では、コンパクトエレメントのローラに該ローラ表面に対して斜めに配置されているエア吸引スリットと、その上に設置されている多孔メッシュ状テープとにより、短繊維フリース束が多孔メッシュ状テープ上で繊維端が整列規制された状態で走行する。したがって、短繊維フリース束の繊維平行度が高まり、フリースの集束度が上がり、さらにコンパクトエレメントのフロントローラを出た直後のスピニングトライアングルが狭くなるため、得られるコンパクト紡績糸は毛羽が少なく、品位が高い均一なものとなる。また、コンパクト精紡機を使用すると工場内の風綿飛散量が減少するため、作業環境は大幅に改善される。さらにコンパクト紡績糸を使用した生地は光沢があり、生地の表面品位が格段に良好であること、毛羽焼きを一部省略できるなどの特徴により、近年急速に普及してきている。しかし、コンパクト紡績糸は伸縮性が乏しいため、伸縮性のあるコンパクト紡績糸が求められてきた。
また、伸縮性を有する紡績糸としては、特許第2769080号公報に記載されているような弾性複合糸や、特開平10−46440号公報に記載されているような精紡交撚糸条がある。しかし、これら従来の伸縮性を有する紡績糸は、伸縮性は有するものの毛羽立ちがあるため、コンパクト紡績糸と言えるものではなかった。
そこで、コンパクト精紡機を応用活用し、コンパクトエレメントの送りトップローラ上部にガイドローラを設置し、そのガイドを介してポリウレタン弾性糸を芯糸として挿入配置し、撚り合わせることによって、鞘糸となる短繊維フリースでポリウレタン弾性糸を覆ったいわばコンパクト・コア・ヤーンがある。このコンパクト・コア・ヤーンは、従来のコア・ヤーンと同様に伸縮性を有するうえに従来のコア・ヤーンと比べて毛羽が少なく光沢に優れ、糸の均斉度が高く、糸強力が高いなど糸質が良好であるため、コンパクト・ヤーンとコンパクト・コア・ヤーンとの組み合わせでの生地製品化が期待されている。
特許第2769080号公報 特開平10−46440号公報
しかし、ポリウレタン弾性糸を芯糸として用いたコンパクト・コア・ヤーンの場合、次のような問題があった。
すなわち、ポリウレタン弾性糸は精紡機上で100%以上のドラフトを掛けて使用するため、ポリウレタンの繊度、タイプ、ヨリ止めセット等によって、コンパクト・コア・ヤーンの伸縮性をコントロールしなければならない。また、精紡管糸の糸繋ぎでの糸端処理が難しく、熟練を要する。また、生地化においては、ポリウレタン弾性糸の脆化を防ぐ観点から染色加工時に塩素処理は行えず、バイオ加工も限られた条件でしか行えない。さらに、製品においても、ポリウレタン弾性糸が生地端から中に入ってしまうスリップインの問題もある。また、生地中のポリウレタン弾性糸が光によって脆化するなど、製品寿命が短かい。
そこで、本発明は、従来のコンパクト・コア・ヤーンの問題を解消し、染色加工しやすく、脆化しにくく、さらに、良好な伸縮性を有するコンパクト紡績糸を製造することを目的とする。
その目的を達成するために、本発明の伸縮性コンパクト紡績糸の製造方法は、フロントローラを出た後に繊維集束用のコンパクトエレメントが設置された精紡機を用いてコンパクト紡績糸を製造する方法において、少なくとも一方がポリトリメチレンテレフタレートを主成分とし、他の一方がポリエチレンテレフタレートを主成分とするサイドバイサイド型複合または偏心シースコア型複合のポリエステル系複合繊維を、コンパクトエレメントの送りトップローラの上部に設置されたガイドローラを介して、延伸滑脱された短繊維フリース束に挿入配置させ、その後に撚り合わせることを特徴とするものである。
即ち、本発明では、コンパクト精紡機の繊維集束装置であるコンパクトエレメントの送りトップローラ上部にガイドローラを設置し、そのガイドローラを介して、少なくとも一方がポリトリメチレンテレフタレートを主成分とし、他の一方がポリエチレンテレフタレートを主成分とするサイドバイサイド型複合または偏心シースコア型複合のポリエステル系複合繊維を、短繊維のフリース束に挿入配置させ、次いで撚り合わせることによって、伸縮性コンパクト紡績糸を製造する。
本発明による伸縮性コンパクト紡績糸は、短繊維フリース束がコンパクトエレメントのメッシュ状シート上で整列配置状態になっているところに、特定のポリエステル系複合繊維を挿入配置させることによって製造されているため、スピンドルトライアングルが鋭角になることなく短繊維フリース束と撚り合わせることができ、良好な伸縮性を有すると共に毛羽が少なく、光沢に優れ、均斉度が高く、糸強力が高い伸縮性コンパクト紡績糸が製造できる。さらに、この伸縮性コンパクト紡績糸は従来の伸縮性複合紡績糸には見られなかったふくらみも有し、伸縮性と同時にふくらみを有するという優れた特長をもつ。
また、従来のポリウレタン弾性糸を使用したコンパクト・コア・ヤーンではその伸縮性のコントロールが難しかったが、本発明による伸縮性コンパクト紡績糸は伸縮性のコントロールが容易である。また、伸縮性コンパクト紡績糸を用いた生地の染色加工についても、ポリウレタン弾性糸を使用したコンパクト・コア・ヤーンでは制限があった塩素処理及びバイオ加工が可能となる。さらに製品でのスリップインも起こりにくく、耐久性が高く、製品寿命が長くなる。
以下に本発明の実施の形態を、その工程の概略を示す図1を参照しつつ詳しく述べる。
本発明では、通常の精紡機のフロントローラを出た後に繊維集束装置であるコンパクトエレメント(1)を設置した精紡機である通称コンパクト精紡機を用いて、コンパクト紡績糸を製造するものであって、その際に、特定のポリエステル系複合繊維の糸条(2)を、コンパクトエレメントの送りトップローラ(3)の上部に設置したガイドローラ(4)を介して、延伸滑脱された短繊維フリース束(5)に挿入配置させ、その後に撚り合わせることによって伸縮性コンパクト紡績糸を製造する。
コンパクト精紡機には、繊維集束装置であるコンパクトエレメント(1)が設置されている。コンパクトエレメント(1)は、精紡工程においてドラフトされた短繊維フリース束内の短繊維を、吸引エアによる空気的作用によって整列させ、集束させるための装置であり、例えば、特開平11−286837号公報や特開2000−34631号公報に開示されているような装置があり、精紡機のフロントローラ(即ち、フロントトップローラ(6)およびフロントバックローラ(7))の下流に配置されている。
このコンパクトエレメント(1)では、短繊維フリース束を空気的に集束させるために、その下方の多孔メッシュ状シート及びスリットを通して、下方にエア吸引が行われ、さらに、本質的に移送方向に延びるエア吸引スリットを持つスライド表面上をフリース束は移送される。その移送のためにスライド表面の多孔メッシュ状シートはフリース束移送方向に移動している。エア吸引スリットは、フリース束移送方向に対し若干傾斜した方向或いはほぼ同じ方向に延びるスリットであり、そのスリット幅は、短繊維フリース束の幅よりも幅広である。多孔メッシュ状シート及びスリットの下方には、エア吸引のための中空プロファイル(図示なし)が設けられていて、この中空プロファイルにエア吸引装置(図示なし)が連結されている。
このコンパクトエレメント(1)の通過時に、多孔メッシュ状シート上を移送されるフリース束は、エア吸引スリットからの吸引エアによる空気的集束作用によって、フリース束内の短繊維どうしの平行度が高まって、フリース束の集束度が上がる。同時に、フリース束内の微細な残留屑綿成分が吸引除去される。
このコンパクトエレメント(1)内のメッシュ状シート(5)上を短繊維フリース束が通過する際の、シートとフリース束との接触長(フリース束移送方向の接触長)は、そのフリース束内の短繊維の平均繊維長の50%以上200%以下の長さであることが好ましい。その接触長が短か過ぎる場合には、集束が急激にすすみ、滑らかな束になり難いからである。メッシュ状シート部でのエア吸引力は、フリース束内の短繊維の繊維長や繊維の剛性率、繊度によって適宜調整するのが好ましい。
本発明で使用するコンパクト精紡機における精紡機部分は、短繊維精紡機または長繊維精紡機のような通常の精紡機と同様であり、この精紡工程において、粗糸やスライバ、ボビナ等の短繊維からなるストランド(粗紡糸)は、精紡機のバックローラ(9)でニップされ、エプロンローラ(10)にてドラフトをかけながら集成され、延伸滑脱された状態でフロントローラ(6、7)を出る。この精紡機部分でのバックローラとフロントローラ間での延伸滑脱は、延伸滑脱率が20倍以上60倍以下の範囲で行われることが好ましい。なお、延伸滑脱率20倍以上40倍以下は長繊維紡で、また、延伸滑脱率40倍以上60倍以下は短綿紡で使用される。
フロントローラ(6、7)を出た短繊維フリース束は続いてコンパクトエレメント(1)部分に入り、前記したとおりの空気的作用によって集束されていく。
本発明では、コンパクトエレメント(1)部分で集束度が高くなった短繊維フリース束中に、特定のポリエステル系複合繊維、即ち、少なくとも一方がポリトリメチレンテレフタレートを主成分とし、他の一方がポリエチレンテレフタレートを主成分とするサイドバイサイド型複合または偏心シースコア型複合のポリエステル系複合繊維の糸条を、コンパクトエレメントの上部に配置したガイドローラ(4)を介して挿入配置させ、その後、一緒に撚り合わせ、伸縮性コンパクト紡績糸を製造する。
ここで、上記ポリエステル系複合繊維の糸条としては、製糸後に捲縮発現のための熱加工が特に施されていない「なま糸」段階のマルチフィラメント糸が用いられる。その挿入配置時に、複合繊維糸を、鞘糸となる短繊維フリース束の中央部に配置して、芯糸が複合繊維糸からなる伸縮性コンパクト紡績糸としてもよく、また、複合繊維糸と短繊維フリース束とを並列に配置させて合撚糸状態の伸縮性コンパクト紡績糸にしてもよく、それら配置の形態は、得られる伸縮性コンパクト紡績糸の伸縮性や均斉度を阻害するものではない。
また、前記ポリエステル系複合繊維糸条を供給するために使用されるガイドローラ(4)は、前記ポリエステル系複合繊維をコンパクトエレメントにスムーズに供給できるものであれば特に限定されず、例えば、V字型ガイドローラが好ましく用いられる。また、摩擦抵抗が小さい方がスムーズな供給に効果的であるため、糸条との擦過摩耗が少ないアルミナ製またはチタン製の消極回転ガイドローラなども好ましく用いられる。該ガイドローラは、糸条が走行している間に上下左右にずれたりしないように頑丈に設置されるのが好ましい。また、そのガイドローラの設置位置は、前記ポリエステル系複合繊維の走行状態等を鑑み、コンパクトエレメント部分からの距離を適宜調整し決定するのが好ましい。
前記ポリエステル系複合繊維は、タテ取りでコンパクト精紡機へと給糸されるが、前記ポリエステル系複合繊維の設置部分とコンパクトエレメント部分の間にテンションデバイス(8)のようなテンション付与手段を設けるのが好ましい。これは、前記ポリエステル系複合繊維は顕在捲縮性を有した可伸縮糸であるため、なま糸段階のフィラメント糸でも弱いコイル状捲縮をもっているので、短繊維フリース束中に緊張状態のポリエステル系複合繊維を、安定した混率で挿入配置させるためには上記テンション付与手段を設けることが好ましいからである。適度な緊張状態とするためには、テンションデバイスによって前記ポリエステル系複合繊維に1デシテックス当たり0.11cN以上0.17cN以下の張力が付与されるのが好ましい。
また、本発明では、コンパクトエレメントを出た直後に、短繊維フリース束とポリエステル系複合繊維糸条とを一緒に撚りをかけて複合糸にするが、短綿紡でのヨリ係数Kは2.2以上5.5以下の範囲であるのが好ましく、さらには3.2以上5.0以下の範囲であるのが好ましい。なお、短綿紡のヨリ係数Kとは次式で示される係数である。
T=K√N
(但し、T:ヨリ数(t/inch)、K:ヨリ係数、N:綿番手)
また、長繊維紡でのヨリ係数Kは88以上220以下の範囲であるのが好ましく、さらには128以上200以下であるのが好ましい。なお、長繊維紡でのヨリ係数Kとは次式で示される係数である。
T=K√N
(但し、T:ヨリ数(t/meter)、K:ヨリ係数、N:メートル番手)
なお、本発明の伸縮性コンパクト紡績糸のヨリ方向は、SヨリまたはZヨリのいずれでもよい。
上記のようなコンパクト精紡機によると、コンパクトエレメント(1)の送りトップローラ(3)を出た直後におけるフリース束中のスピニングトライアングルは、エア吸引と斜めに配列した多孔メッシュ状テープとの効果により狭くなっているため、得られるコンパクト紡績糸は毛羽が少なく、品位が高く均一なものとなる。また、短繊維フリース束がコンパクトエレメントのメッシュ状シート上を走行する際にエアの吸引力によってフリース束両端の繊維端が整列配置の状態で把持されているところに、ポリエステル系複合繊維を挿入配置しているため、スピンドルトライアングルが鋭角になることなく短繊維フリース束と撚り合わせることができ、均一な糸状で且つ毛羽が非常に少ない伸縮性コンパクト紡績糸を得ることができる。
本発明において、短繊維フリース束として使用する短繊維の種類に制限はなく、例えば、綿などの天然植物繊維や羊毛などの天然獣毛繊維でもよいし、また、レーヨンなどの再生繊維やトリアセテートなどの半合成繊維、ポリエステルなどの合成繊維等の化学繊維の短繊維でも構わない。また、これらの短繊維は単一種類で使用してもよく、粗紡工程以前の前紡工程で複数種類の短繊維が混紡されたものでもよい。また、短繊維の供給前の形態は特に制限されるものではなく、粗糸やスライバ、ボビナなどが用いられる。ここで使用する短繊維の繊維長は10mm以上140mm以下の範囲であるのが好ましい。
本発明において、短繊維フリース束に挿入配置させるために使用するポリエステル系複合繊維は、少なくとも一方がポリトリメチレンテレフタレートを主成分とし、他の一方がポリエチレンテレフタレートを主成分とするサイドバイサイド型複合または偏心シースコア型複合のポリエステル系複合繊維であり、この複合繊維が得られる伸縮性コンパクト紡績糸の伸縮性を担っている。
このポリエステル系複合繊維は、製糸後のなま糸状態でも捲縮が部分的に発現していて、弱いコイル状捲縮を示すが、沸騰水処理のような熱加工を施すと捲縮がさらに顕在化して、より高い捲縮性を示すものである。このような特性をもつ糸は、一般に、顕在捲縮性を有した可伸縮糸と言われる。
このポリエステル系複合繊維は、ポリエチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレートとの組合せで、極限粘度ηの異なる異種重合体がサイドバイサイド型又は偏心シースコア型に複合されているものであるので、紡糸、延伸工程において高粘度側に応力が集中し、2成分間での内部歪みが異なり、捲縮性となっている。そのため、延伸後の弾性回復率差および布帛の熱処理工程での熱収縮差により高粘度側が大きく収縮し、単繊維内で歪みが生じて3次元コイル捲縮の形態が発現する。この3次元コイルの径および単繊維長当たりのコイル数は、高収縮ポリマ層と低収縮ポリマ層との収縮差(弾性回復率差を含む)に大きく依存し、収縮差が大きいほどコイル径が小さく、単位繊維長当たりのコイル数が多くなる。
伸縮性素材に要求されるコイル捲縮特性としては、コイル径が小さく、単位繊維長当たりのコイル数が多いこと(伸長特性に優れ、見映えがよくなるので)、コイルの耐へたり性がよいこと(伸縮回数の応じたコイルのへたり量が小さく、伸縮保持性に優れるので)がある。さらには、コイルの伸縮特性には、低収縮成分を支点とした高収縮成分の伸縮特性が支配的となるため、高収縮成分に用いる重合体には高い伸長性および回復性が要求される。
ポリエステルの優れた特性を損なうことなく優れたコイル捲縮特性を得るためには、低収縮ポリマ層をポリエチレンテレフタレートを主成分とし、高収縮ポリマ層をポリトリメチレンテレフタレートを主成分とすることが有効である。ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、代表的なポリエステル繊維であるポリエチレンテレフタレート繊維やポリブチレンテレフタレート繊維と同等の力学的特性や化学的特性を有しつつ、伸長回復性がきわめて優れているからである。これは、ポリトリメチレンテレフタレートの結晶構造においてアルキレングリコール部のメチレン鎖がゴーシューゴーシュ構造(分子鎖が90度に屈曲)であること、さらにはベンゼン環同士の相互作用(スタッキング、並列)による拘束点密度が低く、フレキシビリティーが高いことから、メチレン基の回転により分子鎖が容易に伸長・回復するためと考えられる。
本発明で用いるポリエステル系複合繊維における低収縮ポリマ層の主たる構成成分であるポリエチレンテレフタレートは、エチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリマである。すなわち、このポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルである。ただし、他のエステル結合を形成可能な共重合成分が20モル%以下の割合で含まれるものでもよい。10モル%以下の割合で含まれるものがより好ましい。共重合可能な化合物として、たとえばスルフォン酸、ナトリウムスルフォン酸、硫酸、硫酸エステル、硫酸時エチル、硫酸エチル、脂肪族スルフォン酸、エタンスルフォン酸、クロロベンゼンスルフォン酸、脂環式スルフォン酸、イソフタル酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、アジピン酸、シュウ酸、デカンジカルボン酸などのジカルボン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンなどのヒドロキシカルボン酸、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ハイドロキノン、ビスフェノールAなどのジオール類が好ましく使用される。
また、必要に応じて、艶消し剤となる二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤としてヒンダードフェノール誘導体、着色顔料などが添加されていてもよい。
このポリエステル系複合繊維における高収縮ポリマ層の主たる構成成分であるポリトリメチレンテレフタレートは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とする重合体である。すなわち、このポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸を主たる酸成分とし、1,3プロパンジオールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルである。ただし、他のエステル結合を形成可能な共重合成分が20モル%以下の割合で含まれるものでもよい。10モル%以下の割合で含まれるものがより好ましい。共重合可能な化合物として、例えば、イソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのジオール類が好ましく使用される。
また、必要に応じて、艶消し剤となる二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤としてヒンダードフェノール誘導体、着色顔料などが添加されていてもよい。
本発明で用いるポリエステル系複合繊維は、上記した2種のポリマが、溶融紡糸時にサイドバイサイド型又は偏心シースコア型に複合されたものであり、その単糸断面は丸断面でもよいが、変形断面形状であることが好ましい。変形断面形状としては、まゆ形や雪だるま形のような非円形形状や、長円のような変形円形状が挙げられる。まゆ形や雪だるま形断面形状の場合には、略丸形状の各ポリマ層が連接された複合形状がとられる。
その複合繊維におけるポリエチレンテレフタレート/ポリトリメチレンテレフタレートの重量比率は、製糸性および繊維長さ方向のコイル寸法均質性の観点から(30/70)〜(70/30)の範囲であることが好ましい。糸条に熱を加えた際に捲縮が顕在化してコイル状捲縮が発現され、糸条に更なる伸縮性を付与するためにはサイドバイサイド複合又は偏心シースコア型複合が適している。このコイル状捲縮を発現させ、編織物を形成した際に所望の伸縮性を得る観点から、ポリトリメチレンテレフタレートの極限粘度は1.0以上であるのが好ましく、1.2以上であるのがより好ましい。
本発明の伸縮性コンパクト紡績糸における前記ポリエステル系複合繊維の混用率は、適切な伸縮性と均斉度を得るために20%以上50%以下の範囲であるのが好ましい。前記ポリエステル系複合繊維の混用率が高いほど伸縮性と均斉度は高まるが、50%を超えると短繊維の特性や風合いよりも前記ポリエステル系複合繊維の特性が強く出てしまい好ましくない。また、20%未満では、前記ポリエステル系複合繊維の伸縮性能が短繊維に阻害され、複合糸としての伸縮性が発揮され難くなり、好ましくない。
また、本発明で使用する前記ポリエステル系複合繊維は、短繊維が前記ポリエステル系複合繊維のフィラメントとフィラメントの間に入り込み、十分に把持されることが有効であるので、複数のフィラメントからなるマルチフィラメント糸であるのが好ましい。マルチフィラメント糸の総繊度は17デシテックス以上235デシテックス以下の範囲であるのが好ましく、さらには33デシテックス以上167デシテックス以下の範囲にあるのが好ましい。また、それを構成する単糸の繊度は0.3デシテックス以上3.3デシテックス以下の範囲であることが好ましい。単糸繊度が細いほど、得られる伸縮性コンパクト紡績糸の風合いはしなやかでソフトになるため、使用用途によって適宜単糸繊度を選択すればよい。
さらに、本発明に使用する前記ポリエステル系複合繊維は、表面光沢がダル、セミダルあるいはブライトであるのが好ましい。特にポリエチレンテレフタレート層部分がセミダルであり、ポリトリメチレンテレフタレート層部分がブライトである複合繊維が好ましい。また、ポリエチレンテレフタレート層部分及びポリトリメチレンテレフタレート層部分が共にセミダルである複合繊維も好ましい。さらに、ダル、セミダル、ブライトの光沢において、ポリトリメチレンテレフタレート層部分とポリエチレンテレフタレート層部分が、同一の光沢であっても、異なる光沢であってもよく、光沢の組み合わせに特に制限はない。即ち、前記ポリエステル系複合繊維の光沢は、布帛等の高次加工製品で必要とされる要求特性によって、各成分についてそれぞれ適宜選択することができる。
次に、本発明法によって伸縮性コンパクト紡績糸を製造する実施例を用いて説明する。
[実施例1]
通常の精紡機のフロントローラを出た後に、繊維集束装置であるコンパクトエレメントが設置されたコンパクト精紡機として、ドイツ共和国ズッセン(SUESSEN)社製Fiomax 1000/Fiomax E1を用いた。ポリエステル系複合繊維として、ポリエチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレートが複合割合50対50でサイドバイサイド型複合されたポリエステル系複合繊維(単糸断面形状まゆ形)からなるフィラメント糸(44デシテックス、フィラメント数24本)を用いた。また、短繊維フリース束用には綿100%のコーマ(粗糸番手Ne0.9’)を用いた。
コンパクト精紡機のスピンドル回転数を12,500rpm、ヨリ数を21.5T/inch(ヨリ係数3.4)、デリベリを14.5m/分、前記ポリエステル系複合繊維のドラフトを1.03倍にして、上記コンパクト精紡機を用い、図1に示すようにガイドローラを介して複合繊維糸を供給して挿入配置させ、伸縮性コンパクト紡績糸を製造した。得られた伸縮性コンパクト紡績糸の特性は表1に示す通りであった。
得られた伸縮性コンパクト紡績糸は、糸の均斉度(IPI値)が高く、糸の強力が高く、また、毛羽数が少なく、光沢に優れるものであった。さらに、この伸縮性コンパクト紡績糸は従来品には見られないふくらみがあった。
[比較例1]
実施例1のポリエステル系複合繊維の代わりに、ポリウレタン弾性繊維のフィラメント糸(44dtex)を使用し、このポリウレタン弾性糸のドラフト率を3.5倍にした以外は、実施例1と同様の方法によって、ポリウレタン弾性糸を使用したコンパクト・コア・ヤーンを製造した。
得られたコンパクト・コア・ヤーンの特性は表1に示す通りであった。コンパクトエレメントを設置したコンパクト精紡機を使用して製造したため、後述の比較例2に示す従来のコア・ヤーンよりは糸質は優れるが、毛羽数やNEPが依然多いものであった。また、ポリウレタン弾性糸を使用しているため、染色加工時の精錬剤の配慮や、染色時の熱水温度や乾熱温度の調整設定に経験と技術が必要となり、取り扱いが難しいものであった。さらに、ポリウレタン弾性糸を使用しているため、製品での耐久性が不十分なものであった。
[比較例2]
通常の精紡機を使用し、短繊維として綿100%のコーマ(粗糸番手Ne0.9’)を用い、長繊維としてポリウレタン弾性繊維のフィラメント糸(44dtex)を使用し、ポリウレタン弾性糸のドラフト率を3.5倍にして、ポリウレタン弾性糸を使用したコア・ヤーンを製造した。
得られたコア・ヤーンの特性は表1に示す通りであった。得られたコア・ヤーンは毛羽数が多く、糸の均斉度が低く、また、糸の強力も弱いものであった。また、比較例1と同様にポリウレタン弾性糸を使用しているため、染色加工時の精錬剤の配慮や、染色時の熱水温度や乾熱温度の調整設定に経験と技術が必要となり、取り扱いが難しいものであった。さらに、ポリウレタン弾性糸を使用しているため、製品での耐久性が不十分なものであった。
Figure 2005068616
本発明による伸縮性コンパクト紡績糸は、織物や編物等の布帛類を製造するための糸条として使用でき、衣料品等の広汎な用途に適用することができる。
本発明法によって伸縮性コンパクト紡績糸を製造するコンパクト精紡工程の概略を示す工程概略図である。
符号の説明
1:コンパクトエレメント
2:ポリエステル系複合繊維
3:コンパクトエレメントの送りトップローラ
4:ガイドローラ
5:短繊維フリース束
6:フロントトップローラ
7:フロントバックローラ
8:テンションデバイス
9:バックローラ
10:エプロンローラ

Claims (7)

  1. フロントローラを出た後に繊維集束用のコンパクトエレメントが設置された精紡機を用いてコンパクト紡績糸を製造する方法において、少なくとも一方がポリトリメチレンテレフタレートを主成分とし、他の一方がポリエチレンテレフタレートを主成分とするサイドバイサイド型複合または偏心シースコア型複合のポリエステル系複合繊維を、コンパクトエレメントの送りトップローラの上部に設置されたガイドローラを介して、延伸滑脱された短繊維フリース束に挿入配置させ、その後に撚り合わせることを特徴とする伸縮性コンパクト紡績糸の製造方法。
  2. 短繊維フリース束の延伸滑脱率が20倍以上60倍以下である請求項1に記載の伸縮性コンパクト紡績糸の製造方法。
  3. 前記ポリエステル系複合繊維と短繊維とを撚り合わせるときのヨリ係数Kが2.2以上5.0以下の範囲である請求項1又は2に記載の伸縮性コンパクト紡績糸の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により製造された伸縮性コンパクト紡績糸。
  5. 前記ポリエステル系複合繊維におけるポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートとの構成比が(70/30)〜(30/70)の範囲にある請求項4に記載の伸縮性コンパクト紡績糸。
  6. 前記ポリエステル系複合繊維の混用率が20%以上50%以下の範囲である請求項4又は5に記載の伸縮性コンパクト紡績糸。
  7. 短繊維フリース束に挿入される前記ポリエステル系複合繊維がマルチフィラメント糸であり、マルチフィラメント糸の総繊度が17デシテックス以上235デシテックス以下の範囲であり、それを構成する単糸の繊度が0.3デシテックス以上3.3デシテックス以下の範囲である請求項4〜6のいずれかに記載の伸縮性コンパクト紡績糸。
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