JP2005068598A - 加工撚糸及びその製造方法並びに織編物 - Google Patents
加工撚糸及びその製造方法並びに織編物 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 熱可塑性樹脂繊維糸としてのポリエステル繊維糸13を含む複数本の糸に撚糸回数10〜60回/mの範囲で撚りがかけられてなる撚糸11が径方向に圧潰されて偏平比(=圧潰方向の糸厚/圧潰直角方向の糸幅)1/100〜1/3の偏平になっており、ポリエステル繊維糸13同士が溶着して偏平を保っていることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
熱可塑性樹脂繊維糸を含む複数本の糸に撚糸回数10〜60回/mの範囲で撚りがかけられてなる撚糸が径方向に圧潰されて偏平比(=圧潰方向の糸厚/圧潰直角方向の糸幅、本明細書にて以下同じ。)1/100〜1/3の偏平になっており、熱可塑性樹脂繊維糸が他の糸と溶着して偏平を保っていることを特徴とする加工撚糸。
(1)本発明者が検討段階において、単に引き揃えただけで撚りをかけない複数本の糸をギアプレスで圧潰して偏平化したところ、できた偏平糸の表面が非常に滑りやすく、ボビンに巻き付けてもだらけてしまう等、取扱性が悪かった。これに対し、少し撚りをかけた撚糸を同様に偏平化したところ、偏平糸の表面に微小な凹凸が斜状に並んで適度な摩擦を生じさせたため、前記だらけの問題も起きず、取扱性が良くなったこと。
(2)また、撚りをかけないで偏平化したものは、複数本の糸の境界が糸長と平行に現れるだけで、これは偏平化後も変わらず外観上の面白みが少ないのに対して、少し撚りをかけた撚糸を偏平化したものは、前記のとおり、複数本の糸の境界が糸長に対して斜状で現れ、その糸の境界が偏平化後の色彩、光沢等に変化をもたらしたこと。
(1)10回/m未満というのは、ほとんど撚りをかけないのに等しい撚糸回数であって、そもそもこのような撚糸回数を設定できる撚糸機が見当たらない。また、前記のとおりできた偏平糸の表面が滑りやすいし、外観上の面白みも少ない。また、複数本の糸は、撚りをかける前の段階で配列が一定ではなく、互いに交叉したり、断面における内外位置が糸長方向で入れ替わったりしているため、複数本の糸が撚糸の表面に糸長方向に交互に現れるときの順番はある程度不規則になる。そして、この不規則さは、撚糸回数が少ないほど目立つようになり、ある糸ばかりがまとまって見えたり、他の糸がなかなか現れなかったりすることになる。
(2)60回/mを越えると、撚りが強くなって複数本の糸が引き締まり、全体として断面丸形を維持しようとする力が強くなる。そのため、このような撚糸を圧潰しようとしても難しく、十分な偏平比の糸とすることができない。
熱可塑性樹脂繊維糸を含む複数本の糸に撚糸回数10〜60回/mで撚りをかけて撚糸をつくる撚糸工程と、撚糸を熱可塑性樹脂繊維糸の軟化温度以上に加熱した状態で径方向に圧潰することにより偏平に加工すると同時に熱可塑性樹脂繊維糸を他の糸と溶着させる偏平化工程とを含む加工撚糸の製造方法。
また、本発明に係る織編物は、上記手段の加工撚糸をその圧潰方向の糸厚が織編物の厚さ方向となるように配向して織製又は編製してなる。
織編物は、同一種類の加工撚糸のみで構成されていてもよいし、複数種類の加工撚糸で構成されていてもよい。また、加工撚糸以外の糸、例えば撚糸、熱可塑性樹脂繊維糸、非熱可塑性糸等が含まれて構成されていてもよい。特に、加工撚糸とその偏平化工程前の撚糸を組み合わせて構成すると、加工撚糸が備えるこれまでにない色彩及び光沢を強調することができて好ましい。
偏平化工程は、ギアプレスの噛み合って回転する一対のギア間に撚糸を糸長方向に通して圧潰させることにより行うとよい。また、ギアを熱可塑性樹脂繊維糸の軟化温度以上に保つことにより、撚糸の加熱をギア間で圧潰と同時に行うとよい。
撚糸11を構成する糸は、熱可塑性樹脂繊維糸としての5本のポリエステル繊維糸13であり、それぞれの太さは450デニール、色については5本中の3本が黄土色に染色され、1本が茶色に染色され、1本がこげ茶色に染色されている。
撚糸11は、図1(a)に示すように、これら5本のポリエステル繊維糸13を撚糸回数約20回/mで撚ったものである。この撚糸11の糸長方向に直角の断面は略丸形である(直径は約1.0mm)。
糸染め後のポリエステル繊維糸13の5本を、一般的な撚糸装置にて撚糸回数約20回/mで撚りをかけて撚糸11を得る。本撚糸工程は、特に限定されず、公知の撚糸工程が適用される。
まず、図2及び図3に示すように、本工程で使用する装置を説明する。同装置は、上方に設置してある撚糸11を巻きつけた6本のボビン2から撚糸11が下方に繰り出され、順に、撚糸11に張りを持たせるためのバックテンション手段3、撚糸11を下記するギアプレス1の軸方向に往復変位させるトラバース変位手段4、撚糸11を偏平な加工撚糸12にするギアプレス1、加工撚糸12の方向を制御するローラ7を通過し、巻き取り機5に加工撚糸12として巻き取られるように構成されている。さらに、ギアプレス1の加熱温度、回転速度を制御するための制御手段6が、ギアプレス1の側方に設けられている。
固定ギア25は、固定台(図示略)に設置されたモータ28により回転される軸25aに回転可能に軸着され、駆動ギアとして作用している。また、固定台には、固定台から突出して略並行となる揺動軸29が設置されている。この揺動軸29には、揺動ギア26の軸方向の両端にまで延びた2本のアーム30が、揺動可能に軸支されている。揺動ギア26は、2本のアーム30に軸26aで回転可能に軸着され、従動ギアとして作用している。
それぞれのギア25、26は、ギア25、26の噛み合わせ部分に上方から進入する撚糸11を加工して加工撚糸12が下方へ退出するように、双方の噛み合わせ部分が下向きに動く回転方向で噛み合って回転している。
上記撚糸11が巻きつけられた各ボビン2からそれぞれ1本の撚糸11を下方へ繰り出し、上方からバックテンション手段3によって張りを持たせながら下方へ通過させる。次に、撚糸11は、トラバース板21の穴20を通過することで、撚糸11がギアプレス1と接触する位置を案内される。続いて、ポリエステル繊維糸13の軟化温度(238〜240℃)の下限付近から溶融温度(255〜260℃)の上限以上である約220〜270℃に加熱された一対の固定ギア25と揺動ギア26間の噛み合わせ部分に、撚糸11を糸長方向に接触させながら通して径方向に圧潰することにより、加熱と圧潰が同時に行われ、撚糸11は、偏平になり、それぞれのギア25、26の突出部分でプレス痕15が形成される。その際、撚糸11を偏平に加工すると同時にポリエステル繊維13同士を溶着させて加工撚糸12となり、巻き取り機5に巻き取られる。
図4(b)は、本実施例による加工撚糸12と撚糸11を、緯糸と経糸にそれぞれ用いて、搦み織と平織りを組み合わせた織物18を示示している。この織物18もまた、織物17と同様に加工撚糸12をその圧潰方向の糸厚が織物18の厚さ方向となるように配向して織製されている。織物18は、織物17で得られる効果以外に、加工撚糸12を経糸にも用いることで、織物17よりさらに、薄型化及び軽量化することができる。
(1)ポリエステル繊維糸と非熱可塑性糸として羊毛を材料とした糸をあわせて撚りをかけた撚糸を加工した加工撚糸とすること。
(2)ポリエステル繊維糸とナイロン繊維糸をあわせて撚りをかけた撚糸を加工した加工撚糸とすること。
(3)同一の色彩の熱可塑性樹脂繊維糸のみを用いて撚りをかけた撚糸を加工した加工撚糸とすること。
(4)ギアプレス1の加熱温度、回転速度を制御する制御手段が、さらに、巻き取り機の巻き取り速度やトラバース変位手段も制御すること。
(5)固定ギア25が従動ギアであり、揺動ギア26が駆動ギアであること。
6 制御手段
11 撚糸
12 加工撚糸
17 織物
25 固定ギア
26 揺動ギア
27 荷重
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂繊維糸を含む複数本の糸に撚糸回数10〜60回/mの範囲で撚りがかけられてなる撚糸が径方向に圧潰されて偏平比(=圧潰方向の糸厚/圧潰直角方向の糸幅)1/100〜1/3の偏平になっており、前記熱可塑性樹脂繊維糸が他の糸と溶着して前記偏平を保っていることを特徴とする加工撚糸。
- 熱可塑性樹脂繊維糸を含む複数本の糸に撚糸回数10〜60回/mで撚りをかけて撚糸をつくる撚糸工程と、前記撚糸を前記熱可塑性樹脂繊維糸の軟化温度以上に加熱した状態で径方向に圧潰することにより偏平に加工すると同時に前記熱可塑性樹脂繊維糸を他の糸と溶着させる偏平化工程とを含む加工撚糸の製造方法。
- 前記偏平化工程は、ギアプレスの噛み合って回転する一対のギア間に前記撚糸を糸長方向に通して圧潰させることにより行う請求項2記載の加工撚糸の製造方法。
- 前記ギアを前記熱可塑性樹脂繊維糸の軟化温度以上に保つことにより、前記撚糸の加熱を前記ギア間で圧潰と同時に行う請求項3記載の加工撚糸の製造方法。
- 請求項1記載の加工撚糸をその圧潰方向の糸厚が織編物の厚さ方向となるように配向して織製又は編製してなる織編物。
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JP2003300390A JP2005068598A (ja) | 2003-08-25 | 2003-08-25 | 加工撚糸及びその製造方法並びに織編物 |
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JP2012097390A (ja) * | 2010-11-05 | 2012-05-24 | Shindo:Kk | 玉虫色調編成体 |
JP2014214392A (ja) * | 2013-04-24 | 2014-11-17 | 有限会社はじめ商事 | 織物及び製織方法 |
JP5822412B1 (ja) * | 2014-10-17 | 2015-11-24 | 株式会社山本弘商店 | 帯状物を表組織の緯糸に用いた織物 |
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2003
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