JP2005068591A - 加熱延伸装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 延伸斑および巻き取り後に起こる巻きしまりなどによる品位の悪化を防ぎ、かつクリール準備などの準備作業を効率化し更に糸掛け性、糸切れ後の再糸掛け性を改善した加熱延伸装置を提供する。
【解決手段】 少なくとも熱可塑性合成繊維からなる未延伸糸条の供給手段(1)、互いに回転速度差を有する供給回転体(2)と引取回転体(3)との間に供給された前記糸条(Y)を所定の倍率で延伸する延伸手段(2)(4)、前記供給回転体(2)と前記引取回転体(4)の間に配設されかつ前記糸条(Y)を加熱して熱可塑化するための加熱手段(3)、そして前記延伸手段(2)(4)と前記加熱手段(3)とによって加熱延伸された糸条(Y)を巻き取るための巻取手段(5)を備え、その際、前記延伸手段(2)(4)と前記加熱手段(3)とが下方から上方へ走行する糸条を加熱延伸するように配設され、更に前記供給手段(1)が前記延伸手段(2)(4)の下方に配設されていることを特徴とする加熱延伸装置である。
【選択図】 図1

Description

床面に配置した可動式テーブル上に置いたクリールより原糸を供給し、上方の供給ローラーに糸掛け後更に上方の引き取りローラーの間で蒸気加熱装置によって延伸を行い、原糸クリール直上に設置した巻取機にて巻き取る加熱延伸装置である。
ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどの熱可塑性ポリマーからなる合成繊維を加熱延伸するための装置は、一般的に原糸の供給手段、前記合成繊維を加熱するための加熱手段、互いに回転速度差を有する供給ローラーと引取ローラーからなる延伸手段、そして、巻取手段によって構成される。
このような加熱延伸装置においては、たとえば特開平6−49704号公報に記載の装置のように、上記の各手段を効率的に配置するために、一般的には加熱手段、延伸手段、及び巻取手段は互いに近接した位置に配設して、原糸の供給手段はこれらの手段より若干離れた位置に集約して配設される。このように原糸の供給手段が離れた位置に配設される理由としては、紡糸工程で巻き取った原糸をまとめて取り扱うことによって、加熱延伸に供する原糸の準備作業を効率化できることが挙げられる。
しかしながら、例えば、図3に示したように、定法にしたがって加熱延伸装置の上方にクリールを設置する場合を考えると、加熱延伸装置を構成する各手段の配置は縦長となる。そうすると、例えば、供給ローラー以降で断糸が発生した場合を考えると、供給ローラーなどの回転体に糸端が取られて巻き付くのを紡糸するために、供給ローラーの手前で糸を切って、そのまま糸を保持して待機させたときに、保持した糸が自重により垂れたりして隣接錘の糸と接触してこの糸に巻き込まれて隣接錘の断糸の原因ともなる。また、クリール上の原糸から供給される糸が解舒中に切れた場合、高い位置にある原糸から糸端を取り出して糸掛けの準備をする必要が生じて非効率である。
そこで、原糸を供給する方法として、加熱延伸装置の背面側より糸通し用の吸引パイプを設け、この糸通し用パイプを介して延伸装置の奥側から糸を送り込む方法が一般に行われるようになってきた。確かに、この方法だと前述のように糸が垂れることがなくなるため、これに起因する隣接錘の糸切れは発生しない。
しかしながら、この場合には、準備作業として糸をパイプに通すという余分な作業が必要となる上に、糸通し用パイプ内へ糸を通すとなると、糸がパイプ内を走行する際にパイプの内壁面と接触することによる走行抵抗が発生し、これによって、糸条に張力がかかる。そうすると、特に高倍率で延伸する目的で紡糸時に生じる配向を抑制した糸を使用する場合には、このときに発生する張力によって延伸斑を伴った冷延伸が行われるために、原糸物性が変化してしまう。このため、目的とする糸強力を安定して得られなくなるばかりでなく、各錘によってパイプ内での張力のかかり方が異なってくるために錘間差も生じ易くなって、糸物性にバラツキを生じ易いという問題を有している。
次に、ポリエステル繊維やポリアミド繊維などの熱可塑性繊維を延伸するという面から考えると、加熱ローラーや熱板などの加熱体に走行する糸条を接触させて予熱を施しながら行うが、この方法では走行糸の片面から伝熱されるため、糸全体を必要な温度にまで昇温するために必要以上に高い加熱温度に設定するか、あるいは加熱時間を取るために何度も加熱ローラーに糸をターンさせることが必要となる。
しかしながら、加熱ローラーの設定温度が高い場合には、熱可塑性合成繊維の延伸時にネックを形成するのに必要な糸温度よりも高くなってしまうと、糸条の延伸点がローラー上に入ってしまい、ローラー上でスリップを起こすために糸がダメージを受ける。また、加熱ローラーに巻き付ける糸条のターン数が多い場合には、糸条が加熱ローラー上をターンしながら走行するにしたがって可塑化が進み、これとともに糸張力が低下して、走行する糸条のゆれが大きくなる。そうすると、延伸斑が生じたり、あるいは多錘の糸条が走行する場合には隣接する糸条同士が接触したりすることにより走行糸がダメージを受けて、毛羽や糸切れの原因となることがある。更に、加熱延伸時に糸条に生じた歪を残したような状態で延伸後すぐに巻き取ると、延伸により生じた糸の歪が十分に取れていないために、巻き取ったあとに糸条パッケージに巻き締めが発生し、糸条パッケージの最内層部の糸条物性は強度、伸度とも低く染着も薄めとなりやすいという問題を有している。
そこで、糸条の延伸開始点がローラー上に入ってしまわないように、実公昭56−11182号公報において、ピン状ガイドを用いる技術が提案されている。確かに、この従来技術によれば、延伸点を固定する効果が得られるが、熱くなったピン状ガイドによる走行糸のダメージが大きくなって毛羽の原因となり、十分な糸品位を得ることができないという問題がある。
このような背景から、たとえば特開平1−207437号公報、実公昭56−11182号公報などにおいて、加熱ローラーや熱板などの加熱体と糸条との間の接触加熱によらずに、加熱した水蒸気を介して走行糸条を加熱する延伸方法が提案されている。このような水蒸気加熱では、加熱を効率的に行うために、水蒸気が凝固する際の潜熱(凝固熱)を利用して、走行する糸条を短時間で効率的に加熱する技術が使用される。
この従来の蒸気延伸方法では、糸条を加熱するための媒体として水蒸気を使用するために、蒸気が外部に漏れないようにすることが必要となる。何故ならば、飽和水蒸気が外部に漏れ出すと、漏れ出した飽和水蒸気は極めて凝縮しやすいために、直ちに凝縮してドレン水となり、製糸設備あるいは製品を汚してしまったり、作業環境を悪化させたりするからであって、このような事態は、工業用の生産設備としては好ましいことではない。
そこで、水蒸気の外部への漏出を防止するために、特開平7−70862号公報や特開平5−339839号公報において、蒸気延伸装置の糸条の出入り口をから蒸気漏れを防ぐために、ラビリンスシールを使用することが提案されている。しかしながら、飽和水蒸気の潜熱を利用しようとすると、加熱温度を上げるために、飽和水蒸気を高圧に加圧する必要がある。そうすると、しかしながら、ラビリンスシールは、直進する糸条の出入り口のように、直線状の開口部をシールするためには効果的な方法ではなく、しかも、シール使用とする水蒸気の圧力が高くなればなるほどシールが困難となる。このため、ラビリンスシールを強化しようとすると、ラビリンス段数を多くしたり、開口部の間隙を可能な限り狭くしたりすることが必須となる。そうすると、走行糸条がラビリンスシール部と接触してダメージを受ける機会が多くなって、その結果として、走行するマルチフィラメント糸条がフィラメント切れ(単繊維切れ)を起こして毛羽を発生するという問題が生じる。
特開平6−49704号公報 特開平1−207437号公報 実公昭56−11182号公報 特開平7−70862号公報 特開平5−339839号公報
以上に述べた従来技術が有する諸問題に鑑み、本発明は、熱可塑性合成繊維を加熱延伸するに際して、延伸斑および巻取後に起こる巻き締りなどによる糸品位の悪化を防ぎ、かつクリール準備などの準備作業の効率化と、装置の起動時や断糸時における糸掛け性の向上した延伸装置を提供することを目的とする。
更に、本発明は、加熱ローラーや熱板などの加熱体に接触させて加熱延伸する際の延伸点に起因する延伸斑を蒸気加熱延伸を採用して改善すると共に、特に飽和加熱水蒸気を加熱媒体として使用する蒸気加熱延伸が有する水蒸気漏れを防ぐシール部での擦過によって走行糸条が受けるダメージを抑制し、更には、従来のように外部に漏出した飽和蒸気が凝縮して周辺設備および製品を汚したり、作業環境を悪化させたりするのを抑制することができる熱可塑性合成繊維の加熱延伸装置を提供することを目的とする。
床面に配置した可動式テーブル上に置いたクリールより原糸を供給し、上方の供給ローラーに糸掛け後更に上方の引き取りローラーの間で蒸気加熱装置にて延伸を行い、原糸クリール直上に設置した巻取機にて巻き取る延伸装置。
延伸斑および巻き取り後に起こる巻き締りなどによる品位の悪化を防ぎ、かつクリール準備などの準備作業を効率化し更に糸掛け性、糸切れ後の再糸掛け性を改善した延伸装置を提供する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどの熱可塑性ポリマーからなる未延伸の熱可塑性合成繊維に対して加熱延伸を行うための、本発明に係わる加熱延伸装置の概略構成を例示した模式説明図であって、図1(a)は正面図、そして図1(b)は側面図をそれぞれ示す。
前記図1において、Pは糸条パッケージであって、この糸条パッケージPは紡糸工程などで未延伸の熱可塑性合成繊維(以下、単に「糸条」と称する)を巻取機に巻き取られたものである。また、Yは前記糸条パッケージから供給される糸条を示し、この糸条Yは通常の状態であればマルチフィラメント(単繊維群)から構成されているが、モノフィラメントであっても構わない。
次に、1は未延伸糸条の供給手段(通常、「クリール」などと呼ばれる)であって、糸条パッケージPを挿入するペグ1a、糸条Yの解舒ガイド1bなどを含んで構成されている。なお、図1では一つの糸条パッケージPから一本の糸条Yを取り出して供給する例を示したが、2本、4本、6本などの多数本の糸条を同時に供給して、各糸条を巻取機で巻き取る構成として、生産性を上げるようにしても良い。なお、5は糸条Yを巻き取るための前記巻取機であって、その詳細説明を省略するが、図1の実施形態は周知のリングとトラベラとを使用して、糸条に実撚りを掛けながら巻き取る延撚巻取機を示している。ただし、図1の実施形態は、延伸糸に撚りを掛けながら延撚巻取機を示したが、本発明はこのような実施態様に限定されることなく、実撚りを掛けない通常の巻取機であっても構わない。
また、2と4は回転速度差を有する一対の回転体であって、この一対の回転体2と4との間で糸条Yを走行状態で把持しながら、その回転速度比に対応して、所定の延伸倍率で糸条Yを引き伸ばす役割を果たしている。したがって、本例ではこの「一対の回転体」が延伸手段を構成する。このとき、2は糸条の供給回転体、そして、4は糸条の引取回転体であって、これら回転体2と4は図示の矢印方向に回転する。したがって、糸条Yは下方から上方へ走行することとなる。なお、前記回転体2と4は、それぞれ周知のセパレートローラー2bと4bを有しており、このセパレートローラー2bと4bによって、主ローラー2aと4aに複数回ターンさせられた糸条Yが、主ローラー2aと4a上で重なり合って走行しないようにされる。
更に、3は水蒸気を利用して走行する糸条Yを加熱するための加熱手段であって、図示したように、回転体2と4の間に設置され、糸条Yを所定の温度に加熱するために過熱された(スーパーヒートされた)不飽和水蒸気を使用する。なお、この過熱された不飽和水蒸気は、その詳細説明を省略するが常套手段によって所望の温度に制御されていることは言うまでもない。例えば、通常の製糸設備において常用される飽和水蒸気をスーパーヒートするための過熱手段(図示せず)を設け、その温度を周知の熱電対のような温度検出手段によって検出し、このとき検出した温度が所定の温度となるように温度制御手段(図示せず)によってフィードバック制御することによって常に設定値に維持される。
本発明の加熱延伸装置は、以上に述べたように構成されるが、糸条パッケージPから未延伸糸条を供給するための前記供給手段1は延伸手段を構成する回転体2と4より下方に配設することが肝要である。何故ならば、このように供給手段1を回転体2と4より下方に設置することによって、延伸処理の途中または糸条パッケージPからの糸条Yの解舒時に糸切れが発生し、これによって糸が下方に垂れたとしても、糸条Yが垂れた下方には回転体が存在しないので、切断した糸端が巻きつく対象が無いからである。また、隣接錘に関しても、同様においても糸条の供給手段が回転体の下方に設けられているため、ある錘に糸切れが発生しても、その隣接錘に糸切れが伝播することがなくなる。なお、図1の例では、糸条パッケージPから解舒される糸条Yの供給手段1が、巻取機5の上方に設けられているが、この両者の位置関係としては巻取機5が糸条Yの供給手段1の上方に設けることがより好ましい。
ここで、延伸手段の一部を構成する引取回転体4は、本発明の装置のレイアウト上、その最上部に位置することも本発明の持つ大きな特徴であって、この特徴のために、引取回転体4から巻取機5までの糸条Yの走行距離を長く取れる。このため、加熱延伸処理の間に糸条中に発生した歪を緩和させるための時間が十分に取れるほか、加熱延伸中に受けた糸条Yが持つ熱がこの部分で十分に放熱される。このため、延伸中に生じた糸条Yの内部歪が緩和されると共に、糸条Yの温度も十分に低下し、これによって、特に巻糸体の再内層で顕在化しやすい製品の巻き締りによる異常物性の発生を抑制することができる。
次に、本発明の加熱延伸装置においては、糸条Yの加熱手段3として、過熱(スーパーヒート)された不飽和水蒸気を使用することを一大特徴とするので、この加熱手段3の実施態様例について、図2を参照しながら詳細に説明する。なお、図2中、図(a)は模式正断面図図、図(b)は模式側面図、そして、図(c)は模式平面図をそれぞれ表す。
前記図2において、図(a)は、前記糸条加熱手段3の模式正断面図図、図(b)は前記糸条加熱手段3の模式側面図、そして、図(c)は前記糸条加熱手段3の模式平面図をそれぞれ表す。このとき、本発明の糸条加熱手段3は、図示したように、糸条Yを内部で加熱するための加熱容器3a、水蒸気供給管3b、水蒸気排出管3c、糸条の走行空間3d、糸条入口3e、糸条出口3f、水蒸気供給口3g、水蒸気排出口3h、糸通し用スリット3i、そしてスリットの開閉手段3jなどを備えて構成される。
以上のように構成される本発明の条加熱手段3は、過熱(スーパーヒート)された不飽和水蒸気を生成するが。この過熱水蒸気はその温度を所定の設定温度に過熱された状態で水蒸気供給管3bを介して水蒸気供給口3gへ供給され、これによって、加熱容器3a内に形成された糸条の走行空間3dへと導入される。この走行空間3dへ導入する水蒸気は飽和水蒸気を過熱処理して不飽和状態にて使用するのが好ましい。何故ならば、飽和水蒸気では走行空間3dへ噴射された後、糸条Yと共に加熱容器3aから漏れ出すと、冷たい外気に接触して急速に凝縮して、周囲設備や製品を汚したり、発生したドレン水が垂れたりして作業環境を悪化させる。
また、延伸点の固定という観点からも、糸条Yの急速加熱を行うには蒸気温度が高温であることが必要であるが、飽和水蒸気であれば、蒸気圧力を上げて温度を上げざるを得ず蒸気流量が増大して糸ゆれを惹起したり、高圧に起因する蒸気漏れの増大を惹起したりするため好ましくない。
なお、前記糸条加熱手段3の加熱容器3aには、延伸中に糸条Yが貫通して走行するための糸条Yの走行空間3dが形成され、その両端部には糸条Yの入口3eと出口3fが形成されている。また、前記走行空間3dには、過熱された不飽和水蒸気が糸条Yの走行方向に沿って並流させるように形成された水蒸気供給口3gと水蒸気排出口3hとが開口している。ここで、前者の水蒸気供給口3gは、走行糸条Yに対して30〜60°の噴射角度を形成するように糸条Yの進行方向に向かって走行空間3dに開口し、後者の水蒸気排出口3は、前記走行糸条に対して30〜60°の傾斜角度を形成して前記加熱容器3aの外部へ向かって水蒸気を排出開口が走行空間3aに形成されている。
したがって、加熱容器3a内に供給された水蒸気は、糸条Yの進行方向に対して走行空間3dへ噴出され、糸条Yの走行方向への推進力を与えながら走行空間3aを糸条Yと並流して水蒸気排出口3hから加熱容器3a外へ流出することによって排出される。なお、このときの糸条Yと水蒸気が並流することによって発生させられた糸条Yk走行を推進する推進力は、糸条加熱手段3内での延伸張力を低減させる効果も有している。また、走行する糸条Yは加熱容器3aの走行空間3dへの導入された時点で直ちに水蒸気供給口3gから供給される高温の水蒸気により急速に加熱されるので、延伸点を固定化することができ、これによって、供給回転体2を非加熱にできるため、供給回転体2に糸条Yを何回も巻回する必要が無くなり、延伸点が供給回転体2に入ることもなくなる。
なお、走行空間3dへ流入した過熱水蒸気は走行する糸条Yの周囲を取り囲んで流れるため、糸条Yは過熱された不飽和水蒸気から伝熱される顕熱によって糸条Yの全周から加熱される。しかも、本発明では過熱された不飽和水蒸気を使用するために、加熱容器3a外へ排出された過熱水蒸気は直ぐに凝縮することはないのに対して、従来の水蒸気加熱装置では、熱伝達効率を上げるために飽和水蒸気の潜熱を利用しようとするため、加熱容器3aから排出されると、直ちに凝縮してドレン水となって、製品や周辺設備に付着したり、作業環境を著しく悪化させたりする。
また、本発明の加熱手段3には、加熱容器3a内に導入された大部分の過熱水蒸気を排出するための水蒸気排気口3hが設けてられているとはいえ、本発明の加熱手段3は従来装置のようにラビリンスシール構造を持たない。このため、糸条Yが加熱容器3aを貫通して走行する際に、糸条出口3fから水蒸気が若干漏れ出るこことを回避することができない。このため、長時間にわたって過熱水蒸気を漏洩させ続けることは問題である。そこで、特に、糸条Yを下方走行するような状態に加熱手段3を取り付けた場合をも含めて、少なくとも加熱容器3aを囲繞する箱体を設けるのが好ましく、その際、糸条Yの引取回転体4(引取ローラー)をも囲うように箱体6を設置し、この箱体中に漏れ出た水蒸気を排気手段7によって排出することが好ましい。
なお、図2で糸条出口の走行路の間隙は狭いほうが好ましいが、本発明ではある程度の水蒸気漏れを許容できるため、その間隙を2mmより大きくして、走行する糸条Yに糸ゆれが生じても擦過損傷が生じるのを低減することが好ましい。また、この間隙をあまりにも狭くするのは、その間隙調整が困難となるため、作業上の観点から2mmより大きくすることが好ましい。
ただし、ここで念のために付言しておくと、糸条入口3eは、水蒸気供給口3gから噴き出される水蒸気によるエジェクター作用によって、走行糸条と共に外部から空気が流入する条件を採用するため、ここからの水蒸気漏れは発生しない。そこで、この点を考慮して、糸条出口3fから漏れ出る過熱水蒸気の漏れ対策として、糸条Yを下方から上方へと走行させ、大気中に拡散させることが好ましい。何故ならば、本発明は、巻取機5によって巻き取られた延伸済み製品や糸条パッケージPは延伸手段2と4と加熱手段3の下方には位置させることを特徴とするものであるから、これら製品や糸条パッケージPに対して漏れ出た過熱水蒸気が接触することによって、余分な熱的環境に曝されることがないからである。更には、作業環境中に漏れ出た水蒸気が大気中に拡散して凝縮し、凝縮したドレン水の液垂れにより加熱延伸装置自体や製品に付着したりすることがなくなるからである。
このとき、水蒸気排出口3hが走行糸条Yに対して30〜60°の傾斜角度θ2を形成して走行空間3dから加熱容器3aの外部へ向かって形成されていることが好ましく、この角度θ2が30度よりも小さいと、導入された水蒸気はほとんど水蒸気排出口3hから排気されずに、走行糸条Yと共に糸条出口3fを直進して糸条引取側回転体2(引取ローラー)に当たってしまい、水蒸気排出口3hを設置した効果を得ることができない。なお、水蒸気排出口3hには水蒸気を排気するために周知のブロアのような排風装置あるいは吸引装置を設けてもかまわないが、強制的に大量の排気を行うと、糸条入口3eから流入する空気量が増大して、糸条Yの加熱効果を低減させると共に、糸ゆれをも惹起するという事態には十分に配慮する必要がある。なお、このような強制的な水蒸気の排気を行わずに水蒸気の自然なの流れによる排気効果を得る上で、角度θ2を30°〜60°とすることが好ましい。
また、水蒸気供給口3gから走行空間3dを走行する糸条Yに対して水蒸気を噴射するための噴射角度θ1も30〜60°とすることが好ましい。何故ならば、この噴射角度θ1が30°よりも小さいと、走行空間3dへ導入した水蒸気はほとんど排気されず走行糸条Yと共に糸条出口3fを直進して糸条引取側回転体2(引取ローラー)に当たってしまい、水蒸気排出口3hを設置した効果を得ることができないからである。また、糸条入口3eから大量の外気を吸引してしまって、過熱水蒸気による糸条Yの加熱効果が損なわれる。また、噴射角度が60°よりも大きくなると、導入した水蒸気が走行糸条の上流側へと逆流して糸条入口3eから漏れ始め、加熱手段3による急速加熱の効果が得にくい。
本発明は、過熱された不飽和水蒸気を使用して糸条Yを加熱しながら蒸気延伸をするが、このとき延伸手段として使用する糸条引取側回転体2(引取ローラー)は非加熱である方が、加熱手段3による急速加熱を行う際に、より良好な延伸点の固定効果が得られる。また、供給回転体2の表面摩擦特性などの要因によって、糸条Yがこの供給回転体2上でスリップして、供給速度が変動する可能性がなければ、図1に示すように供給回転体2に糸条Yを何度もターンをさせる必要はなくなる。そうすると、走行糸条Yを所定の倍率に加熱延伸するための加熱延伸装置として、簡単で安価な設備となる上に、糸条Yを何度も回転体2に巻回することがなくなって作業性が改善される。
前記の作業性の改善に際しては、図2(b)及び(c)に示したように、加熱容器3aの側面の全面に渡って糸条Yの走行方向に沿って、走行空間3dへ走行状態の糸条Yを導くための糸通し用スリット3iを設けることによって、複数本の糸条Yを一度に糸通しできるような構造とすることが好ましい。ただし、このスリット3iから走行糸条Yを加熱容器3aへと糸掛けするに際して、スリット3iの開閉手段3jを設けて、糸掛け作業中のみスリット部を開放し、糸掛けが完了した後はスリット部を閉塞できるようにするのが好ましい。
本発明の熱可塑性合成繊維の加熱延伸装置は、ポリエステル、ポリアミドなどの熱可塑性ポリマーからなる延伸糸を得るために、合成繊維糸条を加熱延伸するための装置して好適に利用することができる。
本発明の1つの実施態様を模式的に例示した概略装置構成図である。 本発明で用いる過熱不飽和水蒸気による加熱手段の1つの実施態様を模式的に例示した説明図であって、(a)正断面図、(b)側面図、(c)平面図をそれぞれ示す。 従来型の加熱延伸装置のを模式的に例示した概略装置構成図である。
符号の説明
1 糸条の供給手段
1a ペグ
1b 解舒ガイド
2 糸条の供給回転体
2a 主ローラー
2b セパレートローラー
3 加熱手段
4 糸条の引取回転体
4a 主ローラー
4b セパレートローラー
5 巻取機
6 箱体
7 排気手段
P 糸条パッケージ
Y 糸条

Claims (2)

  1. 少なくとも熱可塑性合成繊維からなる未延伸糸条の供給手段、互いに回転速度差を有する供給回転体と引取回転体との間に供給された前記糸条を所定の倍率で延伸する延伸手段、前記供給回転体と前記引取回転体の間に配設されかつ前記糸条を加熱して熱可塑化するための加熱手段、そして前記延伸手段と前記加熱手段とによって加熱延伸された糸条を巻き取るための巻取手段を備え、その際、前記延伸手段と前記加熱手段とが下方から上方へ走行する糸条を加熱延伸するように配設され、更に前記供給手段が前記延伸手段の下方に配設されていることを特徴とする加熱延伸装置。
  2. 前記加熱手段が過熱された不飽和水蒸気を前記原糸の走行方向に沿って流して加熱する方式の水蒸気加熱手段である請求項1に記載の加熱延伸装置。
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