JP2005068285A - 水性インクおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐水性、定着性に優れかつ印字特性に優れる水系インクを提供する。
【解決手段】 (イ)架橋性モノマー由来の構成単位を10重量%以上含有する架橋ポリマー粒子(A)の表面に、架橋性モノマー由来の構成単位を10重量%未満含有する重合体(B)が部分的または全面に積層し、かつ(A)/(B)の重量割合が100/0.01〜900重量部であり、平均粒子径が0.01〜1μmである複合架橋ポリマー粒子、ならびに(ロ)染料および/または顔料を含有する水系インク。
【選択図】なし

Description

本発明は、印刷物の耐水性および定着性の優れた水系インクに関するものであり、特にインクジェット記録用インクとして有用な水性インクに関するものである。
紙などの基材にインクジェット方式により記録する方法は、コンピューターなどのプリンターなどに採用され、近年、急速に普及している。インクジェット方式による記録方式は、インクの微少液滴を飛翔させて紙や高分子シートなどの記録シートに付着させ、画像、文字などの記録を行うもので、高速、低騒音であり、多色化が可能であり、記録パターンの融通性が大きく、現像、定着が不要であるなどの特徴がある。さらに、多色インクジェット記録方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得ることが可能である。代表的なプリンター装置の一つであるインクジェットプリンターに使用されるインクには、ノズルにインクが目詰まりすることを防ぐために、通常、水に溶解する水溶性染料が用いられている。水溶性染料を用いることにより、インクはノズルに目詰まりしにくくなるが、その反面、印刷物の耐水性に問題がある。従って、印刷物の耐水性を向上させるためには、インクの組成が重要となる。
従来、耐水性を向上させるために、特許文献1(特開平4−28776号公報)には水溶性染料の代わりに顔料を用いたり、特許文献2(特開平5−331397号公報)には非水系媒体を用いたり、特許文献3(米国特許第4,963,189号明細書)には耐水性の優れた染料を用いたりすることなどが提案されている。しかしながら、インクとして顔料を用いた場合には、紙やOHPシートなどへのインクの定着が不十分であり、記録保存性が悪いという問題がある。また、非水溶剤を用いることにより、ある程度、耐水性は向上するが、環境汚染の問題が生じる。その他の提案も、インクの滲み防止、印刷物の耐水性、定着性、印字特性という点で、まだまだ十分でないという問題があり、さらに優れた水系インクの登場が望まれている。
特開平4−28776号公報 特開平5−331397号公報 米国特許第4,963,189号明細書
本発明は、耐水性、定着性に優れかつ印字特性に優れる水系インクを提供することであり、特に、インクジェット用水系インクを提供することを目的とする。
本発明は、(イ)架橋性モノマー由来の構成単位を10重量%以上含有する架橋ポリマー粒子(A)の表面に、架橋性モノマー由来の構成単位を10重量%未満含有する重合体(B)が部分的または全面に積層し、かつ(A)/(B)の重量割合が100/0.01〜900重量部であり、平均粒子径が0.01〜1μmである複合架橋ポリマー粒子、ならびに
(ロ)染料および/または顔料
を含有することを特徴とする水系インクに関する。
次に、本発明は、(イ)複合架橋ポリマー粒子ならびに(ロ)染料および/または顔料を水に混合して分散液を得る工程と、該分散液をろ過して水性インクを得る工程とを含むことを特徴とする請求項とする請求項1〜9記載いずれかに記載の水性インクの製造方法に関する。
本発明の水系インクは、耐水性に優れ、かつインクの定着性にも優れ、インクジェット記録用のインクなどに有用である。
本発明の水性インクに用いられる(イ)複合架橋ポリマー粒子は、分子中に重合性二重結合を含有する基を2個以上有する架橋性モノマー(以下、単に「架橋性モノマー(A)」という)の含有量が10重量%以上の重合性モノマーを重合して得られる架橋ポリマー粒子(A)の表面に、架橋性モノマーの含有量が10重量%未満の重合性モノマーを重合して得られる重合体(B)が部分的または全面に積層し、かつ(A)/(B)の重量割合が100/0.01〜900重量部、平均粒子径が0.01〜1μmである。
架橋ポリマー粒子(A)で用いられる重合性モノマー中の架橋性モノマー(A)の含有量は10重量%以上、好ましくは15重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上である。架橋性モノマーの含有量が10重量%未満であると、インクの定着性が劣る。
重合体(B)で用いられる重合性モノマー中の架橋性モノマーの含有量は10重量%未満、好ましくは8重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。重合体(B)を構成する重合性モノマーのうち架橋性モノマーの含有量が10重量%以上であるとインクの耐水性が劣る。
架橋ポリマー粒子(A)の表面に、部分的または全面的に積層する重合体(B)の量は、架橋ポリマー粒子(A)100重量部に対して0.01〜900重量部、好ましくは0.1〜400重量部、さらに好ましくは0.5〜200重量部である。重合体(B)の量が0.01重量部未満であると、インクの耐水性に劣る。一方、900重量部を超えると、インクの定着性が劣る。
なお、重合体(B)が分子中に化学反応性またはイオン性を有する基であり、重合性二重結合を含む基を除いた官能基(以下、単に「官能基」という)を有する重合体であると、インクの定着性にさらに優れる。
ここで、官能基としては、カルボキシル基、水酸基、N−メチロール基、スルホン基、無水マレイン酸ユニット、エポキシ基、アミノ基、アミド基、ニトリル基などの反応性を有する官能基を挙げることができる。好ましい官能基としてはカルボキシル基、水酸基、アミノ基、アミド基である。
本発明の(イ)複合架橋ポリマー粒子の平均粒子径は、0.01〜1μm、好ましくは0.01〜0.5μm、さらに好ましくは0.01〜0.1μmである。平均粒子径が0.1μm未満であるとインクの定着性が劣り、一方1μmを超えるとインクジェット記録の際にノズル詰まりを生じるおそれがある。ここでの平均粒子径は、日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布測定装置UPA-100で測定される体積平均粒子径である。
上記の重合体(B)の好ましいガラス転移温度は、200℃以下、特に150℃以下である。
上記の架橋ポリマー粒子(A)および重合体(B)で用いられる架橋性モノマーとしては、ジビニルベンゼンに代表される非共役ビニル化合物あるいはトリメチレンプロパントリメタクリレートに代表される多価アクリレート化合物などの2個以上の共重合性二重結合を有する下記の化合物が挙げられ、これらは1種または2種以上で用いられる。
架橋性モノマーの具体例としては、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキシレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリプロピレンジアクリレート、2,2'−ビス(4−アクリロキシプロピルオキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパンなどのジアクリレート化合物、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレートなどのトリアクリレート化合物、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどのテトラアクリレート化合物、エチレングコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパンなどのメタクリレート化合物、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレートなどのトリメタクリレート化合物、メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
以上のうち、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、またはトリメチロールプロパントリメタクリレートを用いることが好ましく、特にジビニルベンゼンが好ましい。
架橋性モノマー以外の重合性モノマーのうち、官能基を有さないモノマーとしては、下記の化合物が挙げられ、これらは1種または2種以上で使用される。
スチレン、エチルビニルベンゼン、α−メチルスチレン、フルオロスチレン、ビニルピリジンなどの芳香族モノビニル化合物、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、β−メタクリロイルオキシエチルハイドロジエンフタレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートなどのアクリル酸エステルモノマー、2−エチルヘキシルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートなどのメタクリル酸エステルモノマー、シリコン変性モノマー、マクロモノマーなど。さらに、ブタジエン、イソプレンなどの共役二重結合化合物や酢酸ビニルなどのビニルエステル化合物、4−メチル−1−ペンテン、その他のα−オレフィン化合物が挙げられる。
また、架橋性モノマー以外の重合性モノマーのうち、官能基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などのモノまたはジカルボン酸モノマー、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、スチレンスルホン酸ナトリウム、無水マレイン酸、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチレンビスアミドなどのアミド化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物などを挙げることができる。
本発明において、官能基を有するモノマーは、重合体(B)を構成するモノマー中の0.05〜20重量%、特に0.1〜15重量%含まれることがインクの定着性を向上させることから好ましい。好ましい重合性モノマーは、スチレン、エチルビニルベンゼン、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、官能基を有するモノマーである。
架橋性ポリマー粒子(A)を構成する重合性モノマーの好ましい組合せとしては、非共役ビニル化合物、多価メタクリレート化合物などの架橋性モノマーと芳香族モノビニル化合物、アクリル酸エステルモノマー、メタクリル酸エステルモノマーなどの重合性モノマーとの組み合わせを挙げることができ、特に、非共役ビニル化合物と芳香族モノビニル化合物の組合せが好ましい。
また、重合体(B)を構成する重合性モノマーの好ましい組合せとしては、非共役ビニル化合物、多価メタクリレート化合物などの架橋性モノマーと芳香族モノビニル化合物、アクリル酸エステルモノマー、メタクリル酸エステルモノマーなどの重合性モノマーと官能基を含有するモノマーの組み合わせを挙げることができ、特に、非共役ビニル化合物と芳香族モノビニル化合物とジまたはモノカルボン酸との組合せが好ましい。
次に、本発明の複合架橋ポリマー粒子(A)の好ましい製造方法を説明する。
まず、架橋性モノマーの含有量が10重量%以上である重合性モノマーを好ましくは乳化重合法の重合法で重合し、架橋ポリマー粒子(A)を得る。このときの架橋ポリマー粒子(A)の平均粒子径については、特に限定するものでなく、最終的に得られる複合架橋ポリマー粒子の目的とする平均粒子径が得られるように、架橋性ポリマー粒子(A)の平均粒子径は適宜決める。
架橋ポリマー粒子(A)の平均粒子径のコントロールは、乳化剤の量、撹拌、その他公知の方法により行なうことができる。
この架橋ポリマー粒子(A)100重量部の存在下で、架橋性モノマーの含有量が10重量%未満、および好ましくはさらに官能基を有するモノマーの含有量が0.05〜20重量%の重合性モノマー0.01〜900重量部を、好ましくは乳化重合法の重合法で重合することで、重合体(B)を架橋ポリマー粒子(A)の表面の全面または部分的に積層させる。
本発明において、架橋ポリマー粒子の表面を部分的に重合体(B)で被覆するということは、架橋ポリマー粒子の全表面積の100%未満、好ましくは0.00001%以上100%未満を重合体(B)で被覆するということを示す。
上記の重合体(B)を得るための重合における重合性モノマーの添加方法は、好ましくは一部または全量を連続的または間欠的に添加する方法である。また、上記の重合体(B)に官能基を化学処理することにより付与する方法については、例えば、エポキシ基を持つ重合体(B)を得た後、アンモニア、メチルアミンなどで処理することによるアミノ基の付与、または亜硫酸水素ナトリウム、硫酸で処理することによるスルホン基を付与することができる。
上記の乳化重合で使用される重合開始剤としては、通常の乳化重合、懸濁重合で用いられるものであれば特に制限されないが、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩系開始剤、アゾ系開始剤および過酸化水素、有機過酸化物などを単独で、あるいはアスコルビン酸などの各種還元剤と組み合わせて使用してもよい。
上記の乳化重合においては、重合反応系の安定性を高めるため、懸濁保護剤または界面活性剤が使用される。界面活性剤としては通常のものを用いることができ、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ドデシル硫酸塩、ラウリル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアラルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物などのアニオン系界面活性剤を例示するこができる。ここで、塩としてナトリウム、アンモニウムなどを挙げることができる。さらに、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル、ソルビタンモノステアレートなどのノニオン系界面活性剤を使用することも可能である。
また、一般に知られている反応性乳化剤を単独あるいは上記の界面活性剤と併用して使用することが可能である。これらは、単独でもよく、また組み合わせて使用することが可能である。好ましい組み合わせとしては、アニオン系界面活性剤と反応性界面活性剤の組み合わせがある。
本発明の水系インクにおいては、(イ)複合架橋ポリマー粒子は、インク中に固形分換算で、通常、0.1〜50重量%配合され、好ましくは1〜30重量%である。0.1重量%未満では、耐水性および定着性が低下し、一方、50重量%を超えると、インクとしての保存安定性が低下する場合がある。
次に、本発明に使用される(ロ)成分のうち、染料は特に制限なく使用できる。例えば、水性染料、油性染料、分散染料、直接染料、酸性染料および塩基性染料などを挙げることができるが、好ましくは、油性染料あるいは分散染料である。上記分散染料としては、例えばC.I.ディスパーズイエロー5,42,54,64,79,82,83,93,100,122,124,126,160,184,199,204および224、C.I.ディスパーズオレンジ13,29,31,33,49,54,55,66,73,118および163、C.I.ディスパーズレッド60,72,73,86,88,91,92,93,111,126,127,134,135,145, 164、177,181,204,206,207,239,240,283,323,343,および362、C.I.ディスパーズブルー56,60,73,87,113,128,143,148,154,158,197,198,201,257,266,287,354,および365、ならびにC.I.ディスパーズグリーン9などが挙げられる。
上記油性染料としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック3,7,27,29,および34、C.I.ソルベント・イエロー14,16,19,29,56,82および162、C.I.ソルベント・レッド1,3,8,18,24,27,43,51および72、C.I.ソルベント・ブルー2,11,70などが挙げられる。
上記直接染料としては、例えば、C.I.ダイレクト・ブラック19などが挙げられる。
上記酸性染料としては、例えば、C.I.アシド・ブラック2および12、C.I.アシド・イエロー23、C.I.アシド・レッド51,87および92、C.I.アシド・ブルー1,9および74などが挙げられる。
上記塩基性染料としては、例えば、C.I.ベーシック・イエロー2および11、C.I.ベーシック・レッド1および13、C.I.ベーシック・ブルー5,7,9および26などが挙げられる。
上記染料は、1種単独で用いても2週以上併用して用いることも可能である。
一方、本発明の水系インクに用いられる顔料としては、例えば不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、染料レーキ、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、蛍光顔料などの有機顔料、酸化チタン、酸化鉄系、カーボンブラックなどが挙げられる。
上記顔料は、1種単独でも、2種以上併用しても用いることができる。
また、上記染料および顔料は、それぞれ単独で使用することもできるし、2種を混合して使用しても何ら問題ない。
(ロ)染料および/または顔料の使用量は、(イ)複合下記ポリマー粒子100重量部に対し、2〜3,000重量部、好ましくは10〜1,000重量部である。2重量部未満では、印刷濃度が不充分となる場合があり、一方、3,000重量部を超えると、耐水性、定着性が不充分となる。
また、本発明の水性インク中に配合される(ロ)染料および/または顔料の濃度は、通常、1重量%〜30重量%、好ましくは1.5重量%〜25重量%である。(ロ)染料および/または顔料の濃度が1重量%未満では、印字濃度が十分でなく、一方、30重量%を超えると分散物の粒径が増大したり、凝集が生じたりする場合がある。
本発明の水系インクには、上記(イ)複合架橋ポリマー粒子、(ロ)染料および/または顔料、水以外に、公知の添加剤を添加することもできる。例えば、多価アルコールなどの湿潤剤、分散剤、消泡剤、各種界面活性剤などの表面張力調整剤、キレート剤、酸素吸収剤などが添加できる。
湿潤剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールなどのグリコール類、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、カルビトール類などの多価アルコールエーテル類、アセテート類、チオジグリコール、N−メチルー2―ピロリドン、トリエタノールアミンなどの含窒素化合物類などが挙げられる。
また、分散剤としては脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩などのアニオン系界面活性剤、脂肪族アミン、4級アンモニウム塩、などのカチオン系界面活性剤、ベタイン型化合物などの両性界面活性剤、ポリオキシエチレン化合物の脂肪酸エステル型などのノニオン系界面活性剤、また、セルロース系高分子、リグニンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、スチレンーアクリル酸共重合物塩、スチレンーマレイン酸共重合物塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
本発明の水系インクは、特定の物理的性質が満たされることが好ましい。例えば、インクジェット記録に使用されるインクは、適正な粘度と表面張力を有さねばならない。本発明のインクジェット用記録用インクの粘度は、25℃で、通常、0.7mPa・s〜15mPa・s、好ましくは1mPa・s〜10mPa・sである。粘度は、顔料、染料、複合架橋ポリマー粒子などの配合量、および湿潤剤の種類と配合量で調整することができる。
また、表面張力は、25℃で、通常、20dyn/cm〜70dyn/cm、好ましくは25dyn/cm〜60dyn/cm、さらに好ましくは30dyn/cm〜40dyn/cmである。表面張力は、湿潤剤や界面活性剤の種類と配合量で調整することができる。
本発明の水性インクの製造方法としては、(イ)複合架橋ポリマー粒子ならびに(ロ)染料および/または顔料を水に混合して分散液を得る工程と、該分散液をろ過して水性インクを得る工程とを含むことを特徴とする。
(イ)複合架橋ポリマー粒子ならびに(ロ)染料および/または顔料を水に混合して分散液を得る工程としては、これら原料をいずれの順番で混合してもよい。油性染料、分散染料、顔料を用いる場合は、予めこれらを水へ分散させておくことが好ましく、この際、分散剤などを併用し、ビーズミル、サンドミル、コーレスミキサー、ペイントシェーカー、超音波分散機、高圧ホモジナイザーなど公知の分散機を用いて分散することができる。顔料の水分散液は、工業製品として市販品を入手することもできる。これら原料の混合方法の具体例としては、染料または顔料の水溶液または水分散液を攪拌しながら、複合架橋ポリマー粒子の水分散液を入れ、引き続き、水、湿潤剤、消泡剤などの添加剤を入れる方法が挙げられる。油性染料、分散染料、顔料を予め水へ分散させておく工程がある場合、湿潤剤、消泡剤などの添加剤は、この分散工程に入れることで好適なインクが得られることがある。
該分散液をろ過して水性インクを得る工程としては、ろ過材として、ステンレスメッシュ、ナイロンメッシュ、メンブランフィルター、プリーツフィルター、デプスフィルター、セラミック膜フィルターなどを用い、ろ過方式として、バッチ式、連続式、循環式などが好適に用いることができる。工業的にはデプスフィルターを用いた循環式が特に好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、部および%は、特に断らない限り重量基準である。
参考例(複合架橋ポリマー粒子の合成);
参考例1(本発明の範囲内の平均粒子径の粒子)
第一工程として、高純度ジビニルベンゼン(市販品、純度81%、残余の17%はエチルビニルベンセン、残余の2%はジエチルベンゼン)40部、スチレン7.5部、アクリル酸2.5部、アクアロンKH−10(第一工業製薬製の反応性乳化剤)9部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部、イオン交換水860部を反応容器に仕込み、次いで窒素ガスを吹き込みながら加熱し、80℃に達したところで5%過硫酸カリウム水溶液9部を入れ、引き続き80℃で1時間撹拌を続けて重合を行なった。その後、引き続き第二工程として、別容器に仕込んだメチルメタクリレート18.5部、n−ブチルアクリレート30部、メタクリル酸1.5部、イオン交換水20部、ドデシルベンゼンスルホン酸0.5部の混合物を80℃に保ったまま1時間にわたり連続的に添加し、さらにそのまま80℃で2時間攪拌を続けて重合を完結させた。これを室温まで冷却した後、2%水酸化ナトリウム水溶液でpH8に調整し、複合架橋ポリマー粒子aを製造した。得られた複合架橋ポリマー粒子aの平均粒子径を測定したところ、0.02μmであった。
参考例2(本発明の範囲を超える平均粒子径の粒子)
第一工程として、ジビニルベンゼン(市販品、純度55%、残余の40%はエチルビニルベンセン、残余の5%はジエチルベンゼン)50部、スチレン50部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5部、ポリビニルアルコール0.5部、イオン交換水1000部、アゾビスイソブチロニトリル1部を反応容器に仕込み、ホモミキサーにより12,000rpmで60分撹拌して均一とした。ついで窒素ガスを吹き込みながら80℃に加熱し3時間撹拌を続けて懸濁重合を行なった。その後、引き続き第二工程として、過硫酸カリウム1部を反応容器に仕込み、メチルメタクリレート70部、n−ブチルアクリレート20部、メタクリル酸9部、エチレングリコールメタクリレート1部、イオン交換水40部、ドデシルベンゼンスルホン酸0.5部、ポリビニルアルコール1部を混合してできるエマルジョンを3時間にわたり連続的に添加し重合を完結させ複合架橋ポリマー粒子bを製造した。得られた複合架橋ポリマー粒子bの平均粒子径を測定したところ、2.3μmであった。
実施例1
参考例1で得られた複合架橋ポリマー粒子aを固形分換算で1g、トリエチレングリコールモノブチルエーテル9g、グリセリン1g、CAB−O−JET300(米国CABOT社製カーボン水分散体)を固形分換算で3g、イオン交換水86gを混合した。得られた分散液を5ミクロンのフィルターで濾過して、粘度3.0mPa・s、表面張力34dyn/cmのインクジェット用インクを得た。得られた水性インクをMC2000(セイコーエプソン(株)製インクジェットプリンター)を用いてPM写真用紙光沢(セイコーエプソン(株)製インクジェットプリンター専用紙)に印字し、種々の特性を以下の基準で評価した。結果を表1に示した。
(1)定着性
2枚に印字後、1分間放置し、印字した2枚の紙を面/裏で重ね合わせ両手で挟んで1分間激しく擦り合わせた。インクの定着度合いを目視にて評価した。
○ 異常が認められない。
△ 印字の輪郭がわずかに汚れる。
× 印字が明らかに汚れる。
(2)耐水性
印字後、1時間放置し、印字した部分を紙ごと水中に10秒間浸し、引き上げた。インクの滲み具合、濃さを目視にて評価した。
○ 滲み具合、濃さに変化なし。
△ 滲みが若干でる あるいは 印字が若干薄くなる。
× 滲み大 あるいは 印字がかなり薄くなる。
(3)粘度
東機産業(株)製RE80L型粘度計を用いて25℃における粘度を測定した。
(4)表面張力
(株)離合社製デジタル自動表界面張力計(RTM-01DC)を用いて25℃における表面張力を測定した。
比較例1
複合架橋ポリマー粒子aを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。なお、この水性インクの、粘度は2.8mPa・s、表面張力は35dyn/cmであった。
比較例2
複合架橋ポリマー粒子aの代わりに参考例2で得られた粒径が本発明の範囲外の複合架橋ポリマー粒子bを使用した以外は、実施例1と同様に評価したが、ノズル詰まりが生じて印字できなかった。なお、この水性インクの粘度は3.2mPa・s、表面張力は33dyn/cmであった。
比較例3
複合架橋ポリマー粒子aの代わりに架橋性モノマーを原料に含まない粒径0.12μmのアクリルポリマー粒子(JSR(株)製、AE314)を使用した以外は、実施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。なお、この水性インクの、粘度は4.2mPa・s、表面張力は34dyn/cmであった。
Figure 2005068285
本発明の水系インクは、インクジェット記録用として特に有用であるが、他のインクとして、例えば、一般の万年筆、ボールペン、サインペンなどの筆記用具のインクとしても使用可能である。

Claims (10)

  1. (イ)架橋性モノマー由来の構成単位を10重量%以上含有する架橋ポリマー粒子(A)の表面に、架橋性モノマー由来の構成単位を10重量%未満含有する重合体(B)が部分的または全面に積層し、かつ(A)/(B)の重量割合が100/0.01〜900重量部であり、平均粒子径が0.01〜1μmである複合架橋ポリマー粒子、ならびに
    (ロ)染料および/または顔料
    を含有することを特徴とする水系インク。
  2. (イ)複合架橋ポリマー粒子100重量部に対し、(ロ)染料および/または顔料が2〜3,000重量部である請求項1記載の水性インク。
  3. 水性インク中における(イ)複合架橋ポリマー粒子が固形分換算で、0.1〜50重量%配合されている請求項1または2記載の水性インク。
  4. 水性インク中における(ロ)染料および/または顔料が1〜30重量%配合されている請求項1〜3いずれかに記載の水性インク。
  5. 重合体(B)がカルボキシル基、水酸基、N−メチロール基、スルホン基、無水マレイン酸ユニット、エポキシ基、アミノ基、アミド基およびニトリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する請求項1〜4いずれかに記載の水系インク。
  6. 染料が水性染料、油性染料、分散染料、直接染料、酸性染料および塩基性染料からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5いずれかに記載の水性インク。
  7. 顔料がアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、多環式顔料や、染料レーキ、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、有機顔料、酸化チタン、酸化鉄系およびカーボンブラックからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5いずれかに記載の水性インク。
  8. 25℃での粘度が0.7mPa・s〜15mPa・sである請求項1〜7いずれかに記載の水性インク。
  9. インクジェット記録用である請求項1〜8いずれかに記載の水性インク。
  10. (イ)複合架橋ポリマー粒子ならびに(ロ)染料および/または顔料を水に混合して分散液を得る工程と、該分散液をろ過して水性インクを得る工程とを含むことを特徴とする請求項1〜9記載いずれかに記載の水性インクの製造方法。
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