JP2005067929A - 窒化アルミニウム焼結体の製造方法 - Google Patents

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清治 矢野
Makoto Fukuda
誠 福田
Koji Nishimura
浩二 西村
Nobuyuki Yoshino
信行 吉野
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Abstract

【課題】成形体の脱脂・焼成・冷却の各工程を連続化し、従来品以上の緻密性、強度特性、高熱伝導性を有する窒化アルミニウム焼結体を生産性良く製造する。
【解決手段】窒化アルミニウム粉末を含有してなる成形体に、脱脂、焼成及び冷却の各処理を連続的に施して窒化アルミニウム焼結体とする方法において、各処理が、非酸化性ガス雰囲気中、多重箱で構成されるインナーボックス内で連続的に行われ、且つ、インナーボックス内側の非酸化性ガス分圧Pgas inと、インナーボックス外側の非酸化性ガス分圧Pgas outとの関係がPgas in>Pgas outであることを特徴とする窒化アルミニウム焼結体の製造方法であり、多重箱が、脱脂、焼成および冷却ゾーンから構成され、各ゾーンがダンパー等で仕切られることなく、且つ、インナーボックス内の非酸化性ガスを焼成ゾーンから脱脂ゾーンへ流すことを特徴とする窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、窒化アルミニウム焼結体の製造方法に関する。
従来、半導体搭載用セラミックス基板の表面に、導電性を有する金属回路層をろう材で接合し、更に金属回路層の所定位置に半導体素子を搭載した回路基板が用いられている。回路基板が信頼性高く動作するためには、半導体素子が発生する熱を放散し、半導体素子の温度が過大とならないようにすることが肝要であり、セラミックス基板材料には、電気絶縁性に加えて、優れた放熱特性を発現するように高熱伝導率が要求されている。近年、回路基板の小型化、パワーモジュールの高出力化が進む中、小型軽量化モジュールにおいては、窒化アルミニウム基板が注目されている。
窒化アルミニウム基板となる窒化アルミニウム焼結体は、例えば、窒化アルミニウム粉末と焼結助剤と有機バインダーを含む成形体を、空気又は窒素等の不活性ガス雰囲気中、350〜600℃に加熱して有機バインダー成分を除去する脱脂工程、カーボンヒーター等の抵抗発熱炉(バッチ炉)を用いて、窒素等の非酸化性ガス雰囲気中、焼結温度1800〜2000℃で4〜10時間保持する焼成工程、焼成炉の電源を切って放冷する冷却工程を経由して製造されている。
窒化アルミニウムは、共有結合性が強く難焼結性材料であるため、焼結助剤が用いられる。焼結助剤としては、イットリア(Y)等の希土類酸化物を基本に、酸化カルシウム(CaO)等のアルカリ土類金属酸化物等の種々の化合物が提案されている。
特開昭60−127267号公報 特開昭61−10071号公報 特開昭60−71575号公報
焼結助剤の作用は、窒化アルミニウム粉末に含まれる酸素と反応して液相を生成し、窒化アルミニウム焼結体の緻密化を行うと共に、熱伝導性を阻害する酸素やFe、Ca等の陽イオン金属成分を粒界相に固定することによって高熱伝導化を可能にすると考えられている。
たとえば、イットリア(Y)は、窒化アルミニウム粉末の酸素及び窒化アルミニウム粒子表面のアルミナと反応して、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(3Y・5Al)、イットリア・アルミナ化合物(Y・Al)、イットリア・アルミナ・金属化合物(2Y・Al・M)等の複合酸化物を形成し、緻密化と高熱伝導化を促進する。また、これらの複合酸化物は、焼成時は窒化アルミニウム粒子の周囲に液相を生成するが、焼成後は窒化アルミニウム結晶粒の粒界相にガラス質又は結晶質となって残存し、窒化アルミニウム焼結体の構成成分となっている。
このように、焼結助剤、特に希土類酸化物の使用によって、緻密な窒化アルミニウム焼結体を容易に製造することが可能となった。しかしながら、焼成工程の熱処理温度は1800〜2000℃と非常に高温であるため、加熱炉のヒーターや、断熱材・マッフル等の炉材の炭素成分が焼成中にカーボンガスとなり、Al+3C+N→2AlN+3CO、によって複合酸化物中のアルミナを還元して液相量の生成を低下させ、窒化アルミニウム焼結体の緻密化を阻害させることがある。この問題を回避するため、脱脂処理された成型体を窒化硼素製容器に収納して焼成することが行われている。
特開昭62−70269号公報
また、窒化アルミニウム粉末、焼結助剤及び有機バインダーを含有してなる成形体に、脱脂、焼成の処理を連続的に施して窒化アルミニウム焼結体とする場合、脱脂時の分解ガス中に含まれるカーボンガスにより、複合酸化物のアルミナが還元され、窒化アルミニウム焼結体の緻密化が阻害されることがある。この問題を回避するため、脱脂ゾーンと焼成ゾーンとの間にそれぞれの雰囲気中のガスが混ざり合わないよう、Mo等の高融点金属や高純度のアルミナ耐火物等を材料にして形成されたシャッターや、N等の不活性ガスを上部から導入し、下部に配置された排気管から排出することにより機能するガスカーテン等からなる雰囲気遮断機構が配置することが行われている。
特開平8−259329号公報 特開平10−7465号公報
また、特許文献6では、脱脂ゾーン及び焼成ゾーンの内壁にアルミナ耐火物を用い、脱脂ゾーンと焼成ゾーンでそれぞれ異なる雰囲気中で脱脂、焼成工程を施して窒化アルミニウム焼結体を製造する方法が開示されている。
上記窒化硼素製容器に収納して焼成する方法にあっては、有機バインダーの分解ガスを系外に排出させなければならないので、成形体を容器に入れて脱脂することはできなかった。また、脱脂された成形体は脆いので、それを容器に移し替える際に成形体を破損させない細心の注意が必要であった。これらの理由により、この方法による窒化アルミニウム焼結体の生産性が低いという課題があった。
また、上記の脱脂ゾーン及び焼成ゾーンの内壁にアルミナ耐火物を用い、脱脂ゾーンと焼成ゾーンでそれぞれ異なる雰囲気中で脱脂、焼成工程を施して窒化アルミニウム焼結体を製造する方法では、1600℃、更には1800℃を超える温度にて窒化アルミニウムを焼成する際にアルミナ耐火物が劣化してしまい、生産性が低下するという不具合が生じ、
さらに、脱脂ゾーンと焼成ゾーンをそれぞれ異なる雰囲気とするために、脱脂ゾーンと焼成ゾーンとの間にダンパー等の仕切りを配置する必要があり、窒化アルミニウム成形体をプッシャー等を用いて連続して搬送することができず、生産性が低下するという不具合があった。
本発明の目的は、これらの問題を解消し、成形体の脱脂・焼成・冷却の各工程を連続化し、従来と同等以上の緻密性、強度特性、高熱伝導性を有する窒化アルミニウム焼結体を、生産性良く製造することである。
すなわち、本発明は、窒化アルミニウム粉末、焼結助剤及び有機バインダーを含有してなる成形体に、脱脂、焼成及び冷却の各処理を連続的に施して窒化アルミニウム焼結体とする方法において、各処理が、非酸化性ガス雰囲気中、多重箱で構成されるインナーボックス内で連続的に行われ、しかもインナーボックスの内側の非酸化性ガス分圧Pgas inと、インナーボックスの外側の非酸化性ガス分圧Pgas outとの関係がPgas in>Pgas outであることを特徴とする窒化アルミニウム焼結体の製造方法であり、多重箱が、脱脂、焼成および冷却ゾーンから構成され、各ゾーンがダンパー等で仕切られることなく、且つ、インナーボックス内の非酸化性ガスを焼成ゾーンから脱脂ゾーンへ流すことを特徴とする該窒化アルミニウム焼結体の製造方法である。
また、脱脂ゾーンと焼成ゾーンのインナーボックス内に、それぞれ1箇所もしくは2箇所以上非酸化性ガスの導入口が設置され、且つ、脱脂ゾーンのインナーボックス内に1箇所もしくは2箇所以上非酸化性ガスの排気口が設置されていることを特徴とする該窒化アルミニウム焼結体の製造方法であり、焼成ゾーンのインナーボックスから導入され脱脂ゾーンへ流す非酸化性ガスの流速が0.01m/s以上、脱脂ゾーンのインナーボックスから導入され排気口へ流す非酸化性ガスの流速が0.06m/s以上であることを特徴とする該窒化アルミニウム焼結体の製造方法であり、脱脂ゾーンでの成形体の昇温速度を20℃/分以下、焼成ゾーンでの成形体の昇温速度を50℃/分以下とすることを特徴とする該窒化アルミニウム焼結体の製造方法であり、さらに、焼成ゾーンのインナーボックスに窒化硼素を用い、有機バインダーが、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸、及びメタクリル酸からなる群より選ばれた一種以上を重合してなるアクリル系樹脂であることを特徴とする該窒化アルミニウム焼結体の製造方法である。
本発明によれば、従来のバッチ法に匹敵する相対密度99%以上、3点曲げ強度400MPa以上、熱伝導率150W/m・k以上の窒化アルミニウム焼結体を連続して、生産性良く製造することができる。
本発明は、窒化硼素製容器に収納することなく、脱脂・焼成・冷却の各工程をダンパー等で仕切ることなく連続化し、従来と同等以上の緻密性、強度特性、高熱伝導性とを有する窒化アルミニウム焼結体を、生産性良く製造することに大きな特徴がある。
以下、本発明を図面に基づいて更に詳しく説明する。図1は、本発明で好適に使用される連続炉の概念図であり、図2はその概略正面図(図1中の断面A−A’)である。
本発明の製造方法は、インナーボックス3とアウターボックス2を備えた多重箱を有し、Pgas in>Pgas out となるように調節された連続炉のインナーボックスの一端に、成形体7を供給しつつ、脱脂・焼成・冷却の各工程を連続して行わせ、他端から焼結体6を取り出すものである。多重箱は、炉壁1内に収容され、連続炉が構成されている。
gas in>Pgas out の調整は、非酸化性ガスを非酸化性ガス導入管4にて直接インナーボックス内のみに導入し、インナーボックス内とアウターボックス外に設置された非酸化性ガス排出管5から非酸化性ガスを系外に排出する際、インナーボックス内に導入する非酸化性ガスの量をQ1、インナーボックス内とアウターボックス外から排出する非酸化性ガスの量をQ2、Q3とすると、Q1>Q2>Q3且つQ1≧Q2+Q3という関係とする方法が好適である。Pgas in>Pgas out の関係は、圧力計、差圧計等を用いて監視することができる。また、Pgas in>Pgas out の関係を保持しつつ、アウターボックス内とアウターボックス外に非酸化性ガスを導入することもできる。
本発明では、インナーボックスが脱脂、焼成および冷却ゾーンから構成され、各ゾーンがダンパー等で仕切られることなく、且つ、インナーボックス内の非酸化性ガスを焼成ゾーンから脱脂ゾーンへ流すことを特徴としている。インナーボックス内の非酸化性ガスを焼成ゾーンから脱脂ゾーンへ流すことにより、脱脂ゾーンにて発生した有機バインダーの分解ガスが焼成ゾーンに流入することを防止することができる。これにより、脱脂ゾーンにて発生した有機バインダーの分解ガスの焼成ゾーンへの流入防止装置としてのダンパー等が不必要となる。
非酸化性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガス、水素ガス、一酸化炭素ガスの群から選ばれる一種あるいは二種以上が使用可能であり、中でも、窒素ガスが好適である。非酸化性ガスは、脱脂、焼成、冷却の各ゾーンおいて同一種類のものを用いる。
インナーボックスの大きさは処理量で決定される。また、アウターボックスの大きさは、Pgas in>Pgas outの調整が容易に行えるように決定される。具体的には、インナーボックスとアウターボックスとの間の容積が、インナーボックス容積よりも大きいことが好ましく、特に2倍以上大きいことが好ましい。
脱脂ゾーンと焼成ゾーンのインナーボックス内には、それぞれ1箇所もしくは2箇所以上非酸化性ガスの導入口が設置され、且つ、脱脂ゾーンのインナーボックス内に1箇所もしくは2箇所以上非酸化性ガスの排気口が設置されていることが好ましい。脱脂ゾーンへ非酸化性ガスを導入する目的は、焼結体の酸化防止と焼成ゾーンから脱脂ゾーンへのガスの流れを形成することであり、脱脂ゾーンへ非酸化性ガスを導入する目的は、脱脂ゾーンにて発生した有機バインダーの分解ガスを希釈し、成形体へのカーボン成分の付着とインナーマッフル内部の汚染を防止することである。また、脱脂ゾーンから非酸化性ガスを排出する目的は、焼成ゾーンから脱脂ゾーンへのガスの流れを形成することと、成形体へのカーボン成分の付着とインナーマッフル内部の汚染を防止することである。
焼成ゾーンのインナーボックスから導入され脱脂ゾーンへ流す非酸化性ガスの流速は0.01m/秒以上であり、脱脂ゾーンのインナーボックスから導入され排気口へ流す非酸化性ガスの流速は0.06m/秒以上であることが好ましい。焼成ゾーンのインナーボックスから導入され脱脂ゾーンへ流す非酸化性ガスの流速が0.01m/秒より小さいと、脱脂ゾーンで発生した有機バインダーの分解ガスが焼成ゾーンへ流入してしまう。また、脱脂ゾーンのインナーボックスから導入され排気口へ流す非酸化性ガスの流速が0.06m/秒より小さいと、脱脂ゾーンにて発生した有機バインダーの分解ガスを充分希釈することができず、成形体へのカーボン成分の付着とインナーマッフル内部の汚染の原因となる。
焼成ゾーンのインナーボックスから導入され脱脂ゾーンへ流す非酸化性ガスの流速は1.0m/秒以下であることが好ましい。1.0m/秒を超えると、窒化アルミニウム焼結体中の焼結助剤である複合酸化物の液相が飛散して焼結性が悪化し、燒結体の変形、反りの原因となる恐れがある。
脱脂工程では、非酸化性ガス雰囲気中、温度350〜600℃の温度勾配を持つ脱脂ゾーンを1〜20時間で通過させて脱脂することが望ましい。また、この際、昇温速度を20℃/分以下とすることが好ましい。昇温速度が20℃/分を超えると、有機バインダーの急激な分解により成形体にクラックが発生する恐れがある。さらに、同一成形体内の温度勾配を200℃以下とすることが好ましい。温度勾配が200℃を超えると、成形体のクラック発生の原因となる場合がある。
焼成工程は、非酸化性ガス雰囲気中、温度1600〜1900℃の温度勾配、好ましくは1700〜1800℃の温度勾配を持つ焼成ゾーンを0.1〜10時間、好ましくは0.5〜5時間で通過させることが望ましい。また、この際、昇温速度は50℃/分以下とすることが好ましい。昇温速度が50℃/分を超えると、燒結体に反り、クラックが発生する恐れがある。さらに、同一成形体内の温度勾配を50℃以下とすることが好ましい。温度勾配が50℃を超えると、焼結体の反り、クラックの発生原因となる場合がある。
冷却工程では、冷却ゾーンにおいて、非酸化性ガス雰囲気中、自然放冷又は非酸化性ガスの吹き付けによる強制冷却等の方法を用い、50℃又はそれ以下の温度にまで焼結体を冷却することが好ましい。
成形体の昇温速度は、脱脂、焼成ゾーンの温度勾配と搬送速度をパラメーターとして制御される。脱脂ゾーンと焼成ゾーンの範囲(長さ)は特に限定されることはないが、生産性を考慮し、それぞれ0.5m以上確保することが好ましい。
多重箱を構成するインナーボックス3とアウターボックス2の材質には、窒化硼素・窒化珪素等の窒化物セラミックス、炭化ケイ素等の炭化物セラミックス、更には炭素質等が用いられる。カーボンガスの影響を最小限にするため、インナーボックスの材質を相対密度70%以上の窒化硼素とするのが好ましい。
炉壁1とヒーター10は、インナーボックスの外側に位置するので、それらの材質はコスト的に優位な炭素質が好適である。ヒーター10は、インナーボックスとアウターボックスの間に配置することが好ましく、これによってインナーボックス内の均熱を高める利点がある。ヒーターのかわりに、高周波加熱、マイクロ波加熱を加熱源として用いることもできる。
成形体7は、セッター8の上に敷粉を介して複数個が段積みされる。セッターと敷粉には窒化硼素質のものが好適に使用される。また、搬送時の振動やベルトのガタツキによる成形体ずれ防止のために段積みされた最上面にはタングステン等の重しをのせることが好ましい。
成形体は、多重箱の一端からインナーボックス内に供給され、脱脂・焼成・冷却の各工程を経て他端から焼結体が取り出される。成形体と焼結体の搬送には、インナーボックス内に設置されたプッシャー、ベルト、ローラー等によって行われる。図には、プッシャー9の例が示されている。成形体の搬入口と焼結体の取り出し口は、連続炉内の酸素濃度が高まらないようにダンパー等の仕切りを設けることが好ましい。
本発明で使用される成形体は、窒化アルミニウム粉末と焼結助剤と有機バインダーを必須成分として含有してなるものであり、その形状は特に限定されるものではないが、平板状が好ましい。
窒化アルミニウム粉末としては、直接窒化法、アルミナ還元法等の公知の方法で製造された粉末が使用できるが、酸素量が2質量%以下、平均粒径が10μm以下であることが望ましい。酸素量が2質量%を超えると、窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率が著しく低下する恐れがある。また、平均粒径が10μmを超えると、焼結体密度が低下し、熱伝導率及び強度特性が低下する恐れがある。また、酸素以外の不純物としては、Alを除く陽イオン不純物が0.1質量%以下、炭素含有量が1000ppm以下であることが好ましい。これらの不純物の量が多いと、焼結性が阻害され、熱伝導率及び強度特性に悪影響を及ぼす恐れがある。
焼結助剤としては、Y、La、Ce、Ho、Yb、Gd、Nb、Sm、Dy等の希土類、Ca、Sr等のアルカリ土類金属の酸化物、フッ化物、炭酸塩、水酸化物、硝酸塩等の何れも使用可能である。これらの希土類、アルカリ土類金属は、一種又は二種以上が使用でき、さらに、アルミナと併用することもできる。焼結助剤の粒度は、平均粒子径で10μm以下、特に1μm以下であることが好ましい。平均粒子径が10μmを超えると、焼結密度が低下し、曲げ強度及び熱伝導率に悪影響を及ぼす場合がある。
焼結助剤の混合割合は、窒化アルミニウム粉末100質量部に対して1〜15質量部であることが好ましい。1質量部未満であると、焼結体の密度が上がらず、曲げ強度や熱伝導率が向上しない恐れがある。また、10部を超えると、相対的に窒化アルミニウム粉末の割合が減少するので、熱伝導率が著しく阻害される場合がある。窒化アルミニウム粉末と焼結助剤の混合には、ボールミル、ロッドミル、ボールトンミルやミキサー等が使用される。
有機バインダーとしては、ニトロセルロース、メチルセルロース等のセルロース系、ポリビニルアルコールやポリプロピレンオキサイド等の含酸素有機高分子体、石油レジン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の炭化水素系合成樹脂、ポリ塩化ビニール、ワックス及びそのエマルジョン等の有機高分子等が使用されるが、中でも、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸、及びメタクリル酸からなる群より選ばれた一種以上を重合してなるポリマーを含むアクリル系樹脂を用いることが好ましい。上記のアクリル系樹脂を有機バインダーとして用いる理由は、上記アクリル系樹脂は、窒素等の非酸化性雰囲気中の脱脂において、他の有機バインダーよりも熱分解性が良く、残留炭素分の制御が容易であるからである。また、上記ポリマーのガラス転移温度が、−50〜0℃であることが好ましい。ポリマーのガラス転移温度が−50℃より低いと、十分な成形体強度が得られず、成型ができない。また、ガラス転移温度が0℃より高いと成型体が硬く、脆いものとなり割れが発生しやすくなる。
有機バインダーの混合割合は、窒化アルミニウム粉末100質量部に対して0.5〜30質量部、特に1〜10質量部であることが好ましい。0.5質量部よりも少ないと、十分な成形体強度が得られず、容易に割れを生じる恐れがある。また、30質量部よりも多いと、脱脂処理に多大な時間がかかる上に、脱脂体の強度が低くなる場合がある。
成形体は、窒化アルミニウム粉末、焼結助剤、有機バインダー、必要に応じて可塑剤、分散剤等を混合し、押出成形法、ドクターブレード法、プレス成形法等により所望の形状に成形することができる。
窒化アルミニウム粉末(酸素量1.4%、平均粒径2.5μm)100質量部に、焼結助剤としてY(平均粒径1.0μm)6.0質量部、α−Al(平均粒径0.7μm)0.3質量部を配合してボールミルにより混合した。さらに、有機系バインダーとしてアクリル樹脂(ユケン工業製、主成分:メタクリル酸、ガラス転移温度:−45℃)4質量部、水10質量部を配合しミキサーにより混合した。ついで、スクリュー式押出成型機により、シート(幅80mm、厚さ1.2mm)成形し、100℃で1時間乾燥した後、50×50mmの形状に切り落として成形体を得、表面に離形剤として窒化硼素粉末スラリーを塗布しながら、窒化硼素製セッターの上に20枚段積みし、最上面にタングステン板を配置した。
ついで、この成形体の段積みされたものをセッターごとプッシャー搬送式の連続炉の一端から供給し、窒素ガス雰囲気中、脱脂・焼成・冷却を行い、他端から窒化アルミニウム焼結体を取り出した。このような処理操作を連続的に行った。
上記連続炉は、アウターボックス2が炭素製、インナーボックス3が窒化硼素製であり、両者の間に炭素製ヒーター10が設置されている。窒素ガスは、脱脂、焼成ゾーンそれぞれ2箇所ずつ計4箇所、非酸化性ガス導入管4aから4dを通してインナーボックス内に直接流入されており、脱脂ゾーンのインナーボックスから非酸化性ガス排出管5a、5bによって、計2箇所から窒素ガスが炉外へ排出される構造となっている(図1、2参照)。焼成ゾーンのインナーボックスから導入され脱脂ゾーンへ流す窒素ガスの流速を0.2m/秒、脱脂ゾーンのインナーボックスから導入され排気口へ流す窒素ガスの流速を0.1m/秒となるよう設定した。このとき、Pgas inが0.109MPa、Pgas out が0.102MPaとなるように、インナーボックスとアウターボックス間への窒素ガス導入量と、窒素ガス排出管5a、5bからの窒素ガスの排出量を調節した。なお、脱脂ゾーンは成形体が昇温速度10℃/分で通過し、焼成ゾーンは25℃/分で通過するように設定した。
得られた窒化アルミニウム焼結体について、密度、室温での3点曲げ強度、熱伝導率、反り及びクラックの有無を測定した。密度、室温での3点曲げ強度、熱伝導率に関しては測定数10点の平均値を、反りに関しては測定数10点の最大値を求めた。クラックに関しては50点中のクラック発生数を求めた。それらの結果を脱脂、焼成条件と共に表1に示す。
〈測定方法〉
密度:アルキメデス法により測定した。
曲げ強度:窒化アルミニウム焼結体から強度試験体(40mm×20mm×1mm)を研削加工し、JIS R 1601に準じて室温で測定した。
熱伝導率:窒化アルミニウム焼結体から円板試験体(直径10mm×1mm)を研削加工し、レーザーフラッシュ法により測定した。
反り:焼結体の最大長方向(対角線上)の反りを測定した。
クラック:目視により検査を行った。
Figure 2005067929
実施例2〜3
gas in>Pgas out の範囲で変化させたこと以外は、実施例1と同様にして窒化アルミニウム焼結体を製造した。結果を表1に示す。
実施例4〜7
焼成ゾーンのインナーボックスから導入され脱脂ゾーンへ流す非酸化性ガスの流速を0.01m/秒以上、脱脂ゾーンのインナーボックスから導入され排気口へ流す非酸化性ガスの流速を0.06m/秒以上の範囲で変化させたこと以外は、実施例1と同様にして窒化アルミニウム焼結体を製造した。結果を表1に示す。
実施例8〜12
脱脂ゾーンでの成形体の昇温速度を20℃/分以下、焼成ゾーンでの成形体の昇温速度を50℃/分以下の範囲で変化させたこと以外は、実施例1と同様にして窒化アルミニウム焼結体を製造した。結果を表1に示す。
実施例13
焼成ゾーンのインナーボックスに炭化ケイ素を用いたこと以外は、実施例1と同様にして窒化アルミニウム焼結体を製造した。結果を表1に示す。
実施例14
アクリル樹脂の代わりにセルロース系バインダー(信越化学工業社製商品名「メトローズ60SH−4000」)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして窒化アルミニウム焼結体を製造した。結果を表1に示す。
比較例1
gas in<Pgas out としたこと以外は、実施例1と同様にして窒化アルミニウム焼結体を製造した。結果を表1に示す。
比較例2〜3
焼成ゾーンのインナーボックスから導入され脱脂ゾーンへ流す非酸化性ガスの流速を0.01m/秒以下、もしくは脱脂ゾーンのインナーボックスから導入され排気口へ流す非酸化性ガスの流速を0.06m/秒以下の範囲で変化させたこと以外は、実施例1と同様にして窒化アルミニウム焼結体を製造した。結果を表1に示す。
比較例4
焼成ゾーンのインナーボックスから導入され脱脂ゾーンへ流す非酸化性ガスの流速を0.01m/秒以下、且つ脱脂ゾーンのインナーボックスから導入され排気口へ流す非酸化性ガスの流速を0.06m/秒以下の範囲で変化させたこと以外は、実施例1と同様にして窒化アルミニウム焼結体を製造した。結果を表1に示す。
比較例5〜6
脱脂ゾーンでの成形体の昇温速度を20℃/分より大きく、又は焼成ゾーンでの成形体の昇温速度を50℃/分より大きくしたこと以外は、実施例1と同様にして窒化アルミニウム焼結体を製造した。結果を表1に示す。
比較例7
脱脂ゾーンでの成形体の昇温速度を20℃/分より大きく、且つ焼成ゾーンでの成形体の昇温速度を50℃/分より大きくしたこと以外は、実施例1と同様にして窒化アルミニウム焼結体を製造した。結果を表1に示す。
表1からわかるように、本発明によれば、従来のバッチ法に匹敵する相対密度99%以上、3点曲げ強度400MPa以上、熱伝導率150W/m・K以上の窒化アルミニウム焼結体を連続して、生産性よく製造することができる。
本発明で製造された窒化アルミニウム焼結体は、厳しい使用条件で用いられる回路基板、例えばパワーモジュール用回路基板として好適な材料である。
連続炉の概念図 連続炉の一例を示す概略正面図(図1中の断面A−A’)
符号の説明
1 炉壁
2.アウターボックス
3.インナーボックス
4a.非酸化性ガス導入管
4b.非酸化性ガス導入管
4c.非酸化性ガス導入管
4d.非酸化性ガス導入管
5a.非酸化性ガス排出管
5b.非酸化性ガス排出管
5c.非酸化性ガス排出管
5d.非酸化性ガス排出管
6.窒化アルミニウム焼結体
7.窒化アルミニウム成形体
8.セッター
9.プッシャー
10.ヒーター
gas inインナーボックス内の非酸化性ガス分圧Pgas in<Pgas out
gas outインナーボックスとアウターボックスとの間の非酸化性ガス分圧

Claims (7)

  1. 窒化アルミニウム粉末、焼結助剤及び有機バインダーを含有してなる成形体に、脱脂、焼成及び冷却の各処理を連続的に施して窒化アルミニウム焼結体とする方法において、各処理が、非酸化性ガス雰囲気中、多重箱で構成されるインナーボックス内で連続的に行われ、しかもインナーボックスの内側の非酸化性ガス分圧Pgas inと、インナーボックスの外側の非酸化性ガス分圧Pgas outとの関係がPgas in>Pgas outであることを特徴とする窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  2. 多重箱が、脱脂、焼成および冷却ゾーンから構成され、各ゾーンがダンパー等で仕切られることなく、且つ、インナーボックス内の非酸化性ガスを焼成ゾーンから脱脂ゾーンへ流すことを特徴とする請求項1記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  3. 脱脂ゾーンと焼成ゾーンのインナーボックス内に、それぞれ1箇所もしくは2箇所以上非酸化性ガスの導入口が設置され、且つ、脱脂ゾーンのインナーボックス内に1箇所もしくは2箇所以上非酸化性ガスの排気口が設置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  4. 焼成ゾーンのインナーボックスから導入され脱脂ゾーンへ流す非酸化性ガスの流速が0.01m/秒以上、脱脂ゾーンのインナーボックスから導入され排気口へ流す非酸化性ガスの流速が0.06m/秒以上であることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  5. 脱脂ゾーンでの成形体の昇温速度を20℃/分以下、焼成ゾーンでの成形体の昇温速度を50℃/分以下とすることを特徴とする、請求項1〜4のうちいずれか一項記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  6. 焼成ゾーンのインナーボックスに窒化硼素を用いることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  7. 有機バインダーが、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸、及びメタクリル酸からなる群より選ばれた一種以上を重合してなるアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一項記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
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