JP2005066659A - 充填鋳造法および造型装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】造型時の加圧流動方式に変更を加えることなく消失性模型の変形を抑えることができるようにし、もって鋳造品質の安定向上に大きく寄与する充填鋳造法を提供する。
【解決手段】エア源3から鋳枠1内の下室Aへ圧縮エアを送り、この圧縮エアを多孔質エレメント2を通して上室Bへ流出させて鋳物砂4を流動させ、鋳物砂4中に消失性模型20を埋没させる造型工程において、鋳枠1の下方に配置したエアシリンダ15から延ばした支持ロッド16を前記上室B内に突出させ、この支持ロッド16の上端部を消失性模型20の方案部22に予め形成した位置決め穴24に摺動可能に嵌入し、エアシリンダ15による支持ロッド16の下動に同期して模型20を下降させて、流動する鋳物砂4の圧力で模型20が変形するのを支持ロッド16により抑える。
【選択図】図1

Description

本発明は、消失性模型を鋳物砂中に埋設した鋳造型に溶湯を注入し、前記消失性模型を消失させて溶湯と置換する充填鋳造法に係り、特に鋳枠内で鋳物砂を流動させる加圧流動方式により造型を行う充填鋳造法と該充填鋳造法の実施に用いる造型装置とに関する。
図3は、充填鋳造法における一般的な加圧流動方式の造型工程を示したものである。同図において、1は鋳枠であり、鋳枠1の内底部には多孔質エレメント2が張設されている。前記エレメント2により画成された鋳枠1内の下室(圧力室)Aには、エア源3から圧縮エアが供給されるようになっており、この圧縮エアは、前記エレメント2を通して鋳枠1内の上室(充填室)Bに流出し、このエアによって充填室B内の鋳物砂4が流動する。
一方、上記鋳枠1に隣接して模型セットロボット5が設置されている。この模型セットロボット5は、昇降可能な支柱6と、この支柱6を中心に旋回するアーム7と、このアーム7に対して伸縮可能なハンド8とを備えており、そのハンド8の先端部には、消失性模型10を脱着可能に挟持するクランパ9が装着されている。
消失性模型10は、製品部11と方案部12とを備えており、多数個取りの場合は、図示のように方案部12に対して複数の製品部11がツリー状に配設される。この消失性模型10は、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリウレタン等の発泡体からなっており、別体に形成した製品部11と方案部12とを接着剤にて接合して一体化される。また、必要に応じて、その表面には黒鉛や珪砂などの耐熱材料が塗型される。
造型に際しては、上記したように鋳枠1の充填室Bに所定量の鋳物砂4を収納した後、エア源3から鋳枠1内へ圧縮エアを送り、鋳物砂4を流動させる。この時、模型セットロボット5は、そのハンド8に装着したクランパ9に消失性模型10の方案部12の上端部を把持しており、前記鋳物砂4の流動が開始されるタイミングで、そのアーム7を適当な軌跡で移動させて、消失性模型10を鋳枠1の上方から鋳枠1内に装入する。これにより消失性模型10は、流動する鋳物砂4中に埋没し、その後、適当なタイミングで鋳物砂4の流動を停止し、所望により加振、減圧を行うことで造型は終了する。
ところで、上記した充填鋳造法における造型工程によれば、図4に示すように、多孔質エレメント2を通過して充填室Bに噴出する圧縮エアは、鋳枠1の中心付近で最も圧力が高く、鋳枠1の周辺付近で最も圧力が低くなる圧力分布となっている。このため、消失性模型10を鋳枠1内に装入すると、該模型10の方案部12の下端部に流動する鋳物砂4が強く当り、この結果、図3に示したように模型10の方案部12が変形し、そのまま造型して鋳造を行ったのでは、鋳造品の方案部分のみならず、製品部分の寸法形状精度が著しく悪化してしまう。
そこで従来は、例えば特許文献1に記載されるように、始めに鋳型砂(鋳物砂)を高圧の圧縮空気で流動させ、模型が鋳物砂と接触する前に圧縮空気の圧力を下げるようにし、あるいは特許文献2に記載されるように、予め模型の位置決めに必要な量の鋳物砂だけを流動させて模型の一部を鋳物砂中に埋没させ、その後、鋳物砂の流動を停止して、振動を加えながら必要量の鋳物砂を充填するようにしている。
特開平4−258342号公報 特開平4−253547号公報
しかしながら、上記特許文献1および2に記載される変形防止対策によれば、途中から圧縮エアの圧力を下げ、あるいは途中で流動方式から充填方式に切替えるため、模型(製品部)が複雑形状であると、製品部の周りへの鋳物砂の流動が困難になり、製品部の周りにおける鋳物砂の充填量が不足して、鋳造品の品質特に寸法形状精度の悪化を招く虞があった。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、造型時の加圧流動方式に変更を加えることなく消失性模型の変形を抑えることができるようにし、もって鋳造品質の安定向上に大きく寄与する充填鋳造法を提供し、併せてこの充填鋳造法を効率よく実施するための造型装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る充填鋳造法は、鋳物砂を流動させた鋳枠内に消失性模型を装入することにより、該消失性模型を鋳物砂中に埋没させた鋳造型に溶湯を注入し、前記消失性模型を消失させて溶湯と置換する充填鋳造法において、前記鋳枠内に消失性模型を装入する際、該鋳枠の下方から鋳枠内に突出させた支持ロッドを該消失性模型の方案部の下端部に係合させ、鋳物砂の流動を停止した後、前記支持ロッドを前記方案部から退避させることを特徴とする。
このように行う充填鋳造法においては、造型時、支持ロッドを消失性模型の方案部に係合させることで、方案部ひいては製品部の変形が抑制される。
本充填鋳造法において、上記鋳枠内に消失性模型を装入する際、支持ロッドの下動に同期して消失性模型を装入方向へ移動させるのが望ましく、この場合は、消失性模型に支持ロッドから無理な力が加わることがないので、模型の方案部を不必要に厚肉にする必要はない。
上記課題を解決するため、本発明に係る造型装置は、内底部に多孔質エレメントを張設してなる鋳枠を備え、前記エレメントにより画成された鋳枠内の下室にエア源から圧縮エアを供給し、該圧縮エアを前記エレメントを通して鋳枠内の上室に流出させて鋳物砂を流動させる造型装置において、前記鋳枠の下方に配置した昇降駆動手段から延ばした支持ロッドを、該鋳枠の底板および前記エレメントを挿通して前記上室内に突出させ、該支持部材を、消失性模型の方案部に予め形成した係合部に係合させるようにしたことを特徴とする。
本造型装置において、上記消失性模型の方案部に形成した係合部は、支持ロッドを摺動可能に嵌入させる位置決め穴である構成としてもよい。
本造型装置は、上記多孔質エレメントの上面に、消失性模型の方案部を着座させる支承板を配置し、該支承板を摺動可能に挿通して支持ロッドを延ばした構成とすることができる。
本造型装置はまた、消失性模型の方案部の上端部を支持し、該模型を鋳枠内に装入する模型セットロボットを備えている構成とすることができる。
本発明に係る充填鋳造方法によれば、鋳物砂を流動させた鋳枠内に消失性模型を装入する際、その下端部を支持ロッドにより拘束するので、消失性模型の変形が抑えられ、寸法形状精度に優れた鋳造品を安定して得ることができる。
また、本発明に係る造型装置によれば、支持ロッドを昇降駆動手段により上下動させるだけで、精度的に優れた鋳造型を簡単に得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基いて説明する。
図1および2は、本発明に係る充填鋳造法の実施に用いる鋳造型を得るための造型工程を示したものである。なお、本造型工程は、前記した加圧流動方式により造型を行うもので、ここで用いる造型装置の基本構造は、前記図3に示したものと同じであるので、同一部分には同一符号を付すこととする。
本実施形態で用いる造型装置は、図3に示した構成に加え、鋳枠1の下方に直立姿勢で配置されたエアシリンダ(昇降駆動手段)15と、このエアシリンダ15により上下駆動される支持ロッド16とを備えている。支持ロッド16は、前記エアシリンダ15の出力軸15aにカップリング17を介して同軸に連結され、鋳枠1の中心部を、その底板1aおよび前記多孔質エレメント2を挿通して前記上室(充填室)B内まで延ばされている。本造型装置はまた、前記エレメント2の上面に、後述の消失性模型20を着座させるための支承板18を配置しており、前記支持ロッド16は、この支承板18も摺動可能に挿通して延ばされている。
本実施形態で用いられる消失性模型20は、製品部21と方案部22とを備えている点、並びに多数個取りとして構成されている点で、従来の消失性模型10(図3)と基本的に同じであり、方案部22に対して複数の製品部21がツリー状に配設されている。また、この消失性模型20は、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリウレタン等の発泡体からなっている点、別体に形成した製品部21と方案部22とを接着剤にて接合して一体化される点、並びに必要に応じて、その表面に黒鉛や珪砂などの耐熱材料が塗型される点も、従来の消失性模型10と変わるところはない。
しかして、本実施形態で用いられる消失性模型20は、中空をなす方案部22の内底部(下端部)に軸方向に延びるボス部23を備えており、このボス部23には、上記支持ロッド16を摺動可能に嵌入させるための位置決め穴(係合部)24が設けられている。
以下、上記した造型装置を用いて行う造型工程について説明する。
造型に際しては、予めエアシリンダ15の出力軸15aを伸長させて、支持ロッド16を、図1に示すように上昇端に位置決めする。この状態のもと、図示しない砂供給装置によって鋳枠1内の充填室Bに所定量の鋳物砂4を投入する。この場合、鋳物砂4の投入量は、消失性摸K20の埋込みに必要な量よりも少ない量として、これにより上昇端にある支持ピン16の上端部が砂面よりも十分長く突出する。
一方、模型セットロボット5(図3)は、そのハンド8に装着したクランパ9に消失性模型20の方案部22の上端部を把持しており、上記鋳物砂4の、所定量の投入完了により、そのアーム7を適当な軌跡で移動させ、消失性模型20を鋳枠1の上方から鋳枠1内に装入する。この時、消失性模型20は、その下端部側のボス部23内の位置決め穴24が前記支持ロッド16に対して整合するように位置決めされている。これにより、模型セットロボット5による鋳枠1内への装入に応じて、支持ロッド16の上端部が前記模型20の位置決め穴24に次第に嵌入する。
模型セットロボット5は、消失性模型20の位置決め穴24に適当深さ(一例として、位置決め穴24の半分程度)だけ支持ロッド16が嵌入された時点で、一旦模型20の装入を停止するようになっており、この停止と同時に、エア源3から鋳枠1内の下室(圧力室)Aへ圧縮エアが給送される。すると、この圧縮エアは、多孔質エレメント2を通して鋳枠1内の充填室Bに流出し、この圧縮エアによって充填室B内に投入されている鋳物砂4が流動する。
その後、模型セットロボット5の支柱6が短縮動作することで、消失性模型20が装入(下降)を再開する。また、これと同時にエアシリンダ15の出力軸15aが短縮側へ作動し、これにより支持ロッド16も下動する。この時、模型セットロボット5は、支持ロッド16の下動に同期して消失性模型20を下降させるようになっており、これにより、消失性模型20と支持ロッド16との係合状態は維持される。したがって、消失性模型20に支持ロッド16から無理な力が加わることはない。一方、この消失性模型20の下降再開と相前後して、鋳枠1の充填室Bには鋳物砂4が、一回または複数回に分けて追加投入される。これにより鋳物砂4は充填室B内で広範囲に流動し、消失性模型20は次第に鋳物砂4中に埋没される。
そして遂には、図2に示すように、消失性模型20の方案部22の下端が前記支承板18に当接して、模型20の全体がこの支承板18に支持される。しかして、この消失性模型20の装入の間、その方案部22の上端部は模型セットロボット5により、その方案部2の下端部は支持ロッド16により支持されているので、前記図4に示した圧力分布に伴う砂圧を受けても該方案部22が変形することはなく、結果として製品部21の変形も抑制される。
このようにして消失性模型20の全体が鋳物砂4中に埋没され、その後は、エアシリンダ15の出力軸15aがさらに短縮することで、支持ロッド16が消失性模型20の方案部22の位置決め穴24から抜ける。この時、支持ロッド16は、その上端が支承板18の上面と面一になるか該上面よりわずか下がった位置が下降端となり、これにて造型工程は終了する。
本発明に係る充填鋳造法においては、上記のように造型された鋳造型に溶湯を注入し、消失性模型20を消失させて溶湯と置換して鋳造品を得る。しかして、消失性模型20は、上記したように変形を起こすことなく鋳枠1内の正規位置に正規姿勢で配置されているので、その後の鋳造で得られた鋳造品は、寸法形状精度に著しく優れたものとなる。
また、支持ロッド16は、消失性模型20の方案部22から退避しているので、鋳造品の方案部分に鋳包まれることはなく、その繰返し使用が可能になり、その上、前記方案部分の再生利用の障害になることもない。
本実施形態においては特に、造型工程において支持ロッド16と同期して消失性模型20が下降するので、支持ロッド16から模型20に無理な力が加わることがなく、したがって、消失性模型20の方案部22を不必要に厚肉にする必要がない。このことは、その後の鋳造に際して模型20の消失性が良好に維持されることを意味し、これにより鋳造は安定する。
また、本実施形態においては、支持ロッド16の先端部が支承板18に摺接した状態で該支承板18内に納まっているので、鋳造時に支持ロッド16と支承板18との間から溶湯が漏れ出ることはなく、エレメント2が溶湯と接触して損傷するなどの弊害も未然に防止される。
なお、上記実施形態においては、支持ロッド16と消失性模型20とを同期して下降させるようにしたが、本発明は、支持ロッド16を上昇端に位置固定して消失性模型20のみを下降させるようにしてもよい。この場合は、消失性模型20が支持ロッド16をガイドとして下降するので、上記同様にその変形が抑制される。ただし、この場合は、支持ロッド16の上昇端位置または消失性模型20の方案部22に設ける位置決め穴24の長さを適当に設定する必要がある。
また、上記実施形態においては、消失性模型20の全体を支承板18に着座させるようにしたが、本発明は、消失性模型20の全体をエレメント2から離れた中間位置に埋設するようにしてもよいことはもちろんで、この場合は支承板18が不要になる。
本発明に係る充填鋳造法の実施に用いる鋳造型を得るための造型工程の初期段階を示す断面図である。 本造型工程の最終段階を示す断面図である。 充填鋳造法における従来の一般的な造型工程と不具合発生例を示す断面図である。 加圧流動方式による造型工程における鋳枠内の圧力分布を示す模式図である。
符号の説明
1 鋳枠
2 多孔質エレメント
3 エア源
4 鋳物砂
5 模型セットロボット
15 エアシリンダ(昇降駆動手段)
16 支持ロッド
19 支承板
20 消失性模型
21 製品部
22 方案部
24 位置決め穴(係合部)
A 鋳枠内の下室
B 鋳枠内の上室

Claims (6)

  1. 鋳物砂を流動させた鋳枠内に消失性模型を装入することにより、該消失性模型を鋳物砂中に埋没させた鋳造型に溶湯を注入し、前記消失性模型を消失させて溶湯と置換する充填鋳造法において、前記鋳枠内に消失性模型を装入する際、該鋳枠の下方から鋳枠内に突出させた支持ロッドを該消失性模型の方案部の下端部に係合させ、鋳物砂の流動を停止した後、前記支持ロッドを前記方案部から退避させることを特徴とする充填鋳造法。
  2. 支持ロッドの下動に同期して消失性模型を装入方向へ移動させることを特徴とする請求項1に記載の充填鋳造法。
  3. 内底部に多孔質エレメントを張設してなる鋳枠を備え、前記エレメントにより画成された鋳枠内の下室にエア源から圧縮エアを供給し、該圧縮エアを前記エレメントを通して鋳枠内の上室に流出させて鋳物砂を流動させる造型装置において、前記鋳枠の下方に配置した昇降駆動手段から延ばした支持ロッドを、該鋳枠の底板および前記エレメントを挿通して前記上室内に突出させ、該支持部材を、消失性模型の方案部に予め形成した係合部に係合させるようにしたことを特徴とする造型装置。
  4. 消失性模型の方案部に形成した係合部が、支持ロッドを摺動可能に嵌入させる位置決め穴であることを特徴とする請求項3に記載の造型装置。
  5. 多孔質エレメントの上面に、消失性模型の方案部を着座させる支承板を配置し、該支承板を摺動可能に挿通して支持ロッドを延ばしたことを特徴とする請求項3または4に記載の造型装置。
  6. 消失性模型の方案部の上端部を支持し、該模型を鋳枠内に装入する模型セットロボットを備えていることを特徴とする請求項3乃至5の何れか1項に記載の造型装置。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103008543A (zh) * 2012-11-26 2013-04-03 苏氏工业科学技术(北京)有限公司 利用压缩空气提供浮砂动能的浮砂机
CN112191804A (zh) * 2020-10-20 2021-01-08 含山县港鉴峰铸造厂(普通合伙) 一种手持消失模铸造辅助设备及铸造方法

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