JP2005066544A - モノエタノールアミンの回収方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】塩化物イオン含有排水からモノエタノールアミンを有価物として回収できるようにして、環境負荷の低減が可能な方法を提供する。
【解決手段】塩化物イオン含有排水からモノエタノールアミンを回収する方法であって、陰イオン交換膜を用いた電気透析処理により塩化物イオン含有排水から塩化物イオンを除去した後、該処理水A(塩化物イオンを除去した処理水)から湿式触媒処理によりモノエタノールアミン以外の含有物質を除去し、しかる後に該処理水B(モノエタノールアミン以外の含有物質を除去した処理水)中のモノエタノールアミンを回収する方法。
【選択図】図1
【解決手段】塩化物イオン含有排水からモノエタノールアミンを回収する方法であって、陰イオン交換膜を用いた電気透析処理により塩化物イオン含有排水から塩化物イオンを除去した後、該処理水A(塩化物イオンを除去した処理水)から湿式触媒処理によりモノエタノールアミン以外の含有物質を除去し、しかる後に該処理水B(モノエタノールアミン以外の含有物質を除去した処理水)中のモノエタノールアミンを回収する方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、モノエタノールアミンの回収方法に関し、とくに、加圧水型原子力発電所、火力発電所等で使用される復水脱塩装置から排出される塩化物イオン含有排水からのモノエタノールアミンの回収に好適な方法に関する。
従来、火力発電所や加圧水型原子力発電所における復水は、ボイラー、蒸気発生器、配管等の機器の腐食を防止するためにアンモニアやヒドラジンを添加するAVT処理(揮発性物質処理)を行うのが一般的であった。アンモニアは気化しやすく濃度の管理が難しいため、加圧水型原子力発電所では、アンモニアの代わりにモノエタノールアミン(以下、「MEA」と略称することもある。)やモルホリン等の有機アミンが用いられるようになりはじめている。一方、火力発電所や加圧水型原子力発電所における復水は、イオン交換樹脂を充填した脱塩塔を備えた復水脱塩装置により高度に浄化して循環使用されている。脱塩塔に用いられるイオン交換樹脂は、一定期間で再生処理しなければならないが、再生においては、一般的にカチオン交換樹脂には塩酸を使用し、アニオン交換樹脂には苛性ソーダを使用している。
AVT処理においてアンモニアの代わりにMEAを使用した場合、MEAはカチオン交換樹脂に吸着するため、カチオン交換樹脂の再生廃液には、塩化物イオンとMEAが含まれてしまう。MEAは有機化合物であるため化学的酸素要求量(COD)が高く、カチオン交換樹脂の再生廃液はそのままでは放流できない。従って、再生廃液中に含まれる有機物を分解し、CODを低減する必要がある。
有機物を含む排水のCOD除去またはCOD低減方法には、生物処理法、活性炭吸着法、過酸化水素をはじめとする酸化剤による分解法、紫外線(以下、「UV」と略称することもある。)分解法、湿式酸化法等の処理方法がある。例えば、特許文献1には、排水中の塩化物イオンを除去した後、湿式酸化法によりMEAまで除去する方法が開示されている。また、廃水中から、蒸発濃縮処理により、MEA等の有機物を回収する方法も知られている(例えば、特許文献2)。
特開平9−103777号公報
特開2003−53328号公報
復水脱塩装置のカチオン交換樹脂を塩酸で再生した場合、再生廃液中には、MEAとイオン交換されて除去された無機イオン類とともに多量の再生薬品である塩酸が含まれ、苛性ソーダで中和しても多量の塩化物イオンを含んでいる。このような塩化物イオン含有排水に対し、例えば、UV分解法で有機物の分解を実施しようとする場合、塩化物イオンがUVを吸収するためか、あるいはUVがOHラジカルを消費するのか作用は不明であるが、UVによる有機物酸化分解反応が阻害され、有機物の分解に長時間を要したり、大容量のUV発生装置が必要となる。また、湿式酸化法により有機物を除去する場合は、通常250℃前後の高温水に、7MPa以上の高圧で酸素あるいは空気を吹き込むため、熱交換器並びに反応塔の材質には耐腐食性の材料が必要であるが、塩化物イオンが存在すると、高価なTi等を用いた耐塩素性材料が必要となり、設備製作費が高くなる。さらに、湿式酸化法では、排水を250℃程度まで加熱する必要があり、熱回収を行っても大容量の熱源が必要である。湿式酸化法は有機物の水中での燃焼であるから、排水中の有機物濃度が数%程度あれば、発生した燃焼熱の熱回収により熱源は不要となる。復水脱塩装置の再生廃液のように、有機物濃度の高い排水は必然的に塩化物イオン濃度も高く数%以上となり、この塩化物イオン濃度では、耐塩素性材料であるTi等を用いた高価な材料でも腐食の問題が発生する。
本発明の課題は、塩化物イオン、MEA等を含む排水が分解処理あるいはその後希釈処理にて放流されていた従来の処理方法に対し、処理の最終ステップに関する見方を変え、とくにMEAを有価物として回収できるようにして、環境負荷の低減が可能なMEAの回収方法を提供することにある。また、これを、安価な一般の耐腐食性材料を用いたシステムで実施可能とし、設備費の低減も同時に達成する可能とすることも課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るモノエタノールアミンの回収方法は、塩化物イオン含有排水からモノエタノールアミンを回収する方法であって、陰イオン交換膜を用いた電気透析処理により塩化物イオン含有排水から塩化物イオンを除去した後、該処理水A(塩化物イオンを除去した処理水)から湿式触媒処理によりモノエタノールアミン以外の含有物質を除去し、しかる後に該処理水B(モノエタノールアミン以外の含有物質を除去した処理水)中のモノエタノールアミンを回収することを特徴とする方法からなる。
本発明の処理方法の対象となる排水は、塩化物イオンと有機物(少なくとも、モノエタノールアミン)を含有する排水であり、例えば加圧水型原子力発電所や火力発電所における復水脱塩装置のカチオン交換樹脂を再生した再生廃液等が該当するが、塩化物イオンとこのような有機物を含有するものであれば、特に限定されるものではない。また、排水中に含まれる塩化物イオン、モノエタノールアミン以外の含有物質としては、アンモニアイオン、ヒドラジン等が挙げられ、本発明方法では、塩化物イオンとこれら他の含有物質が除去された後に、モノエタノールアミンが回収される。
塩化物イオンと有機物を含有する排水からあらかじめ塩化物イオンを除去する方法としては、陰イオン交換樹脂による処理法、イオン交換膜を用いた電気透析、Ag等の不溶解塩化物とする沈殿除去法、逆浸透膜処理法などが挙げられる。このうち、陰イオン交換樹脂法は、高濃度の塩化物イオンを含んだ排水を処理する場合、多量のイオン交換樹脂が必要であり、また塩化物イオンを飽和吸着したイオン交換樹脂は薬品による再生操作が必要であり、多量の二次廃棄物が発生するため好ましくない。また、逆浸透膜処理法でも塩化物イオンを除去できるが、除去する必要のない他の金属イオン、有機物も除去されるため、塩化物イオンのみを除去する方法として好ましくない。
そこで本発明方法においては、以下の理由により、陰イオン交換膜を使用した電気透析法により排水中の塩化物イオンを除去する。すなわち、陰イオン交換膜を用いた電気透析処理では、比較的容易に陰イオンのみを効率的に除去することが可能であり、カチオン交換樹脂再生廃液のように塩化物イオンの他に陰イオンをあまり含まない排水に対しては、もっとも効率的な塩化物イオン除去方法である。
本発明における陰イオン交換膜を使用した電気透析は、通常一般的に使用されている電気透析装置を用いて行えばよい。すなわち、陰イオン交換膜を隔膜として陽極室と陰極室の2室に分離し、陰極室に処理しようとする排水を通水し、陽極室には市水、工業用水、回収水等の適宜の水を通水し、陰極−陽極間に直流電流を流すことにより、塩化物イオンを陰極室から陽極室に透析させ、陰極室の排水中から塩化物イオンを除去し、塩化物イオンを陽極室を流れる水中に塩酸として回収すればよい。
更に、塩化物イオンと有機物を含有する排水から、塩化物イオンを除去した排水中には、MEA、アンモニアイオン及びヒドラジン等が混在しており、従来はそれらを分解処理して無害化する方法が提案されていたが、本発明では、それらの排水中に含まれているMEA、アンモニアイオン及びヒドラジンの内、アンモニアイオン及びヒドラジンのみを分解し、処理水中にMEAが残存する条件を見出すことができたことにより、MEAを有価物として回収することを可能としたものである。
MEA以外の含有物質を除去する方法、例えば不純物として含まれるアンモニアイオン及びヒドラジンのみの分解除去する方法として、本発明では湿式触媒処理を用いる。中でも、低温、低圧での湿式触媒処理が好ましい。後述の実施例から、低温、低圧の湿式触媒処理において、MEAの分解を抑えることができる上限の温度条件は200℃以下であり、その温度条件下ではヒドラジン及びアンモニアが確実に分解できていることが判明した。更に、低温、低圧の湿式触媒処理において、ヒドラジン及びアンモニアが85%以上の分解率で確実に分解できる温度の下限は実施例から120℃以上の温度条件となっていることも判明した。従って、アンモニアイオン及びヒドラジンのみを分解し、処理水中にMEAが残存する温度条件は120℃〜200℃の範囲内であることが分かった。また、維持管理面、コスト面から、上記の温度範囲120℃〜200℃の範囲で高圧ガス保安法の制限を受けない圧力条件、すなわち運転圧力1MPa未満の条件も満足させようとすると、低温低圧湿式触媒処理の温度範囲は120℃〜170℃の運転条件となり、本発明においてはこの条件が好ましい範囲であることも判明した。
本発明において、上記のように陰イオン交換膜を使用した電気透析により塩化物イオンを除去し、湿式触媒処理によりMEA以外の含有物質を除去した処理水Bに対しては、用途によっては、濃縮しないでそのままでもMEAを回収利用することが可能である。
ただし、さらに高濃度の回収MEAを得る場合には、処理水Bを濃縮することにより、望ましくは減圧濃縮することにより、より高濃度のMEAを回収することが可能になる。また、クロマト分離により、処理水B中のMEAをより高濃度液として回収する方法も可能である。
本発明に係るモノエタノールアミンの回収方法によれば、まず電気透析処理により塩化物イオン含有排水から塩化物イオンを除去するので、以降の湿式触媒処理や濃縮処理を含む処理システムに、安価な一般の耐腐食性材料を用いることができ、システム全体としての設備費の低減が可能になる。そして、適切な条件で湿式触媒処理を行うことにより、モノエタノールアミン以外の含有物質を除去し、除去後の処理水からモノエタノールアミンを回収するようにしたので、モノエタノールアミンを有価物として効率よく回収できるようになる。モノエタノールアミンを回収するので、従来の分解処理あるいはその後希釈処理後の放流等に比べ、環境への負荷を大幅に軽減することができる。さらに、電気透析処理において陰イオン交換膜で分離した塩酸は比較的純度の高い塩酸水溶液として得られるので、例えばカチオン交換樹脂の再生剤等として再利用することができるという効果も得られる。
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係るモノエタノールアミンの回収方法を実施するための回収処理システム例を示している。回収処理システム1には、電気透析装置2が設けられており、該電気透析装置2の陰極室に供給される塩化物イオン含有排水3と陽極室に供給される清浄水4との間で電気透析処理が行われ、塩化物イオンが陽極室を流れる水中に塩酸5として回収、除去される。
図1は、本発明の一実施態様に係るモノエタノールアミンの回収方法を実施するための回収処理システム例を示している。回収処理システム1には、電気透析装置2が設けられており、該電気透析装置2の陰極室に供給される塩化物イオン含有排水3と陽極室に供給される清浄水4との間で電気透析処理が行われ、塩化物イオンが陽極室を流れる水中に塩酸5として回収、除去される。
電気透析処理が施され、塩化物イオンが除去された処理水A(6)は、酸化分解のための空気を混入された後、湿式触媒処理を行うための、触媒7を充填した触媒分解塔8に供給され、モノエタノールアミン以外の含有物質、とくにアンモニアやヒドラジンが分解除去される。このとき、前述したような最適な処理温度範囲内に制御するために、本実施態様では、触媒分解塔8からのアンモニアやヒドラジン等が除去された処理水B(9)の熱を回収利用する1段目の熱交換器10で1段目の加熱を行い、蒸気が供給される2段目の熱交換器11で2段目の加熱を行って、最適な所定温度に制御するようにしている。但し、加熱および温度制御の方法は、本方法に限定されるものではない。
アンモニアやヒドラジン等が除去され、モノエタノールアミンを含有している処理水B(9)は、用途によってはこのままモノエタノールアミン回収用水として使用することも可能であるが、本実施態様では、処理水B(9)は、気液分離槽12に供給されて、分離されたCO2 やN2 等のガスが排出されるとともに、槽内にガス分離されたモノエタノールアミン含有水13が貯留される。そして、このモノエタノールアミン含有水13が、本実施態様では減圧濃縮に供されて、より濃縮されたモノエタノールアミン14(濃縮MEA)として回収されるようになっている。
実施例1
前述の特許文献1によれば、加圧水型原子力発電所の復水を処理した復水脱塩装置のカチオン交換樹脂の再生廃液を、陰イオン交換膜((株)トクヤマ製)を隔膜とした電気透析装置で処理することで塩化物イオンの濃度を低減できることは既知である。これらをもとに、復水脱塩装置のカチオン交換樹脂の再生廃液の陰イオン交換膜での電気透析処理後の排水として、表1に記載した組成の模擬廃液を調製した。アンモニア濃度及びヒドラジン濃度を特許文献1に示されている濃度よりも高くしたのは、試験上、アンモニア及びヒドラジンの分解効果の確認をしやすくするためである。
前述の特許文献1によれば、加圧水型原子力発電所の復水を処理した復水脱塩装置のカチオン交換樹脂の再生廃液を、陰イオン交換膜((株)トクヤマ製)を隔膜とした電気透析装置で処理することで塩化物イオンの濃度を低減できることは既知である。これらをもとに、復水脱塩装置のカチオン交換樹脂の再生廃液の陰イオン交換膜での電気透析処理後の排水として、表1に記載した組成の模擬廃液を調製した。アンモニア濃度及びヒドラジン濃度を特許文献1に示されている濃度よりも高くしたのは、試験上、アンモニア及びヒドラジンの分解効果の確認をしやすくするためである。
試験装置は、オートクレーブテスト装置(内容積:300mL)を使用し、表1記載の模擬排水を90mLに、アルミナにルテニウムを担持させたルテニウム系触媒(エヌ・イーケミキャット社製)を10mL投入し、さらにアンモニア及びヒドラジンの分解に必要とされる酸素量に対し1.3倍量以上の酸素量に相当する空気量を仕込み、温度を100℃〜250℃の範囲で、かつ液相を保つ圧力を保持しながら3時間分解試験を行い、分解処理後のアンモニア濃度、ヒドラジン濃度を測定した。なお、アンモニウムイオン濃度はJIS−K−0102(工場排水試験方法)により、ヒドラジニウムイオン濃度はJIS−B−8224(ボイラの給水及びボイラ水試験方法)により、それぞれ測定し、後述のモノエタノールアミンの濃度はキャピラリー電気泳動法により測定した。結果を、図2、表2に示す。
図2、表2から明らかなように、温度が150℃を超えてからはアンモニア(NH3 )及びヒドラジン(N2 H4 )の分解効果が顕著となり、170℃以上の分解条件ではアンモニア濃度が10mg/L以下となっている。
実施例2
加圧水型原子力発電所の復水中のアンモニアの代わりにモノエタノールアミンを含有する復水を処理した復水脱塩装置のカチオン交換樹脂の再生廃液として、表3に記載した組成の模擬排水を調製し、実施例1と同様、陰イオン交換膜を隔膜とした電気透析装置で処理した後の廃液組成に調製した。つまり、復水脱塩装置のカチオン交換樹脂の再生廃液の陰イオン交換膜での電気透析処理後の排水として、表3に記載した組成の模擬廃液を調整した。尚、本実施例においても、アンモニア濃度及びヒドラジン濃度は、試験上、アンモニア及びヒドラジンの分解効果の確認をしやすくするために、特許文献1に示されている濃度よりも高くしてある。
加圧水型原子力発電所の復水中のアンモニアの代わりにモノエタノールアミンを含有する復水を処理した復水脱塩装置のカチオン交換樹脂の再生廃液として、表3に記載した組成の模擬排水を調製し、実施例1と同様、陰イオン交換膜を隔膜とした電気透析装置で処理した後の廃液組成に調製した。つまり、復水脱塩装置のカチオン交換樹脂の再生廃液の陰イオン交換膜での電気透析処理後の排水として、表3に記載した組成の模擬廃液を調整した。尚、本実施例においても、アンモニア濃度及びヒドラジン濃度は、試験上、アンモニア及びヒドラジンの分解効果の確認をしやすくするために、特許文献1に示されている濃度よりも高くしてある。
試験装置は実施例1と同様、オートクレーブテスト装置(内容積:300mL)を使用し、表3記載の模擬排水を90mLに実施例1と同じ触媒を10mL投入し、さらにアンモニア、ヒドラジン及びモノエタノールアミン(MEA)の分解に必要とされる酸素量に対し1.3倍量の酸素量に相当する空気量を仕込み、温度を100℃〜250℃の範囲で、かつ液相を保つ圧力を保持しながら3時間分解試験を行い、分解処理後のアンモニア濃度、ヒドラジン濃度及びモノエタノールアミン濃度を測定した。その結果を、図3、表4に示す。
図3、表4から明らかなように、モノエタノールアミンの分解は分解温度が200℃を超えてから顕著に進む傾向にあり、250℃の温度条件下ではモノエタノールアミンの残存濃度は35mg/Lまで低下した。尚、この条件での圧力はゲージ圧力で6.5MPaであった。一方、ヒドラジン及びアンモニアの分解は、実施例1と同様、150℃を超える温度条件下で確実に分解ができている。アンモニアについては、200℃を超えてモノエタノールアミンが分解すると、モノエタノールアミンが分解してアンモニアに変化する影響を受けて、アンモニアの分解が若干不安定な部分も見受けられた。このように、実施例2から、モノエタノールアミンの回収ができる条件として、モノエタノールアミンの分解が進行しない温度条件下で、かつ、ヒドラジン及びアンモニアが確実に分解できる温度範囲の条件が、本実施例から120℃〜200℃の範囲であることが確認できた。
実施例1及び実施例2の試験はオートクレーブを用いて行なっているが、いずれについてもオートクレーブ内は液相状態を保つだけの圧力をかけて行っている。これは用いている触媒が粒状の形態であり、実装置化の際は塔内に充填して使用することになり、塔内が気液混合状態になると触媒が流動状態となって触媒同士が接触を繰り返し、また触媒と塔内部品との接触の繰り返しで、触媒の磨耗、劣化が進行するのを防止する必要があるためである。
実施例2の結果からは、モノエタノールアミンの分解を抑えることのできる上限の温度条件が200℃以下であり、その温度条件下ではヒドラジン及びアンモニアが確実に分解できるていることが分かる。また、実施例1及び実施例2から、ヒドラジン及びアンモニアが85%以上の分解率で確実に分解でき、また、モノエタノールアミンの分解を抑えることのできる温度範囲は120℃〜200℃の範囲にあることが分かる。
更に、分解圧力が1MPaを超えると、分解容器、分解塔は高圧ガス保安法の制約を受けることになる。そこで、上記の温度範囲120℃〜200℃の範囲のうち高圧ガス保安法の制限を受けない圧力の条件とするためには、低温低圧湿式触媒処理を120℃〜170℃の運転条件範囲で行うことが必要であることも判明した。
実施例3
加圧水型原子力発電所の復水中のアンモニアの代わりにモノエタノールアミンを含有する復水を処理した復水脱塩装置のカチオン交換樹脂の再生廃液を、陰イオン交換膜を隔膜とした電気透析装置で処理した後、更に低温低圧湿式触媒処理装置でアンモニア及びヒドラジンを分解処理した排水として、表5に記載した組成の模擬廃液を調製した。
加圧水型原子力発電所の復水中のアンモニアの代わりにモノエタノールアミンを含有する復水を処理した復水脱塩装置のカチオン交換樹脂の再生廃液を、陰イオン交換膜を隔膜とした電気透析装置で処理した後、更に低温低圧湿式触媒処理装置でアンモニア及びヒドラジンを分解処理した排水として、表5に記載した組成の模擬廃液を調製した。
試験装置は電気ヒーターを組み込んだ減圧濃縮器(内容積:40L)を使用し、表5記載の模擬排水を20L/hの速度で供給した。蒸発温度は65℃で、蒸発器内の圧力を−600mmHgに保持しながら濃縮試験を行い、濃縮処理後の濃縮液及び蒸発後の凝縮液中のアンモニア濃度、ヒドラジン濃度及びモノエタノールアミン濃度を測定した。結果を表6に示す。表6から、モノエタノールアミンが回収に好適な高濃度に濃縮されていることが分かる。
本発明に係るモノエタノールアミンの回収方法は、塩化物イオンとモノエタノールアミンを含有する排水であればどのような排水に対しても適用できるが、とくに、加圧水型原子力発電所、火力発電所等で使用される復水脱塩装置から排出される塩化物イオン含有排水からのモノエタノールアミンの回収に好適に適用できる。
1 回収処理システム
2 電気透析装置
3 塩化物イオン含有排水
4 清浄水
5 回収塩酸
6 処理水A
7 触媒
8 触媒分解塔
9 処理水B
10 1段目の熱交換器
11 2段目の熱交換器
12 気液分離槽
13 モノエタノールアミン含有水
14 濃縮モノエタノールアミン
2 電気透析装置
3 塩化物イオン含有排水
4 清浄水
5 回収塩酸
6 処理水A
7 触媒
8 触媒分解塔
9 処理水B
10 1段目の熱交換器
11 2段目の熱交換器
12 気液分離槽
13 モノエタノールアミン含有水
14 濃縮モノエタノールアミン
Claims (8)
- 塩化物イオン含有排水からモノエタノールアミンを回収する方法であって、陰イオン交換膜を用いた電気透析処理により塩化物イオン含有排水から塩化物イオンを除去した後、該処理水Aから湿式触媒処理によりモノエタノールアミン以外の含有物質を除去し、しかる後に該処理水B中のモノエタノールアミンを回収することを特徴とする、モノエタノールアミンの回収方法。
- 前記処理水Bを濃縮することにより該処理水B中のモノエタノールアミンを回収する、請求項1のモノエタノールアミンの回収方法。
- 減圧濃縮によりモノエタノールアミンを回収する、請求項2のモノエタノールアミンの回収方法。
- クロマト分離により前記処理水B中のモノエタノールアミンを回収する、請求項1のモノエタノールアミンの回収方法。
- 前記モノエタノールアミン以外の含有物質の除去を、低温低圧湿式触媒処理により行う、請求項1〜4のいずれかに記載のモノエタノールアミンの回収方法。
- 前記湿式触媒処理を120℃〜200℃の温度範囲内で行う、請求項1〜5のいずれかに記載のモノエタノールアミンの回収方法。
- 前記湿式触媒処理を120℃〜170℃の温度範囲内で行う、請求項6のモノエタノールアミンの回収方法。
- 塩化物イオン含有排水が、加圧水型原子力発電所または火力発電所における復水脱塩装置のカチオン交換樹脂の再生廃液である、請求項1〜7のいずれかに記載のモノエタノールアミンの回収方法。
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