JP2005066444A - 塗布方法および平版印刷版 - Google Patents

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Abstract

【課題】 より低いエネルギーコストおよびランニングコストで多層型の平版印刷版を製造できる塗布方法、および前記塗布方法により製造された平版印刷版の提供。
【解決手段】帯状体の少なくとも一方の面に塗布液を塗布し、乾燥して塗布層を形成する塗布方法であって、液温が35℃以上の塗布液を塗布することを特徴とする塗布方法、およびアルミニウムウェブの少なくとも一方の面を砂目立てした支持体ウェブと、前記支持体ウェブにおける砂目立て面に形成された製版層とを有する平版印刷版であって、前記製版層は、液温が35℃以上の製版層形成液を塗布し、乾燥して形成してなる平版印刷版。
【選択図】 図1

Description

本発明は、塗布方法および平版印刷版に関し、特に、帯状体に塗布した塗布液の乾燥時間を大幅に短縮できる塗布方法、および前記塗布方法によって製版層等が形成された平版印刷版に関する。
平版印刷版は、通常、アルミニウムウェブの少なくとも一方の面を砂目立てした支持体ウェブの砂目立て面に感光層形成液を塗布し、加熱乾燥して製版層を形成することにより製造される。
従来、支持体ウェブに塗布した感光層形成液を乾燥するする方法が各種提案されてきた。そのような方法として、感光層形成液を塗布した支持体ウェブを、所定温度に保持された熱ロールに接触させる方法(特許文献1)、スリット状のノズルから熱風を吹きつけて感光層形成液を乾燥させる方法(特許文献2)、赤外線を照射して感光層形成液を乾燥させる方法(特許文献3)、感光層形成液の乾燥の後半において加熱ロールを支持体ウェブに接触させて乾燥する方法(特許文献4、5)などがある。また、加熱乾燥して表面の水分を除去した支持体ウェブを露点10℃以下の雰囲気下で冷却することにより、支持体ウェブの表面への水分の再付着を防止することも提案された(特許文献6)。
特開平4−70837号公報 特開平7−89255号公報 特開平6−317896号公報 特公平6−63487号公報 特開平8−318198号公報
近年になって、可視レーザ光や赤外レーザ光により、平版印刷版を直接走査露光して製版するダイレクト製版が商業的に行われるようになってきた。
ダイレクト製版に使用される平版印刷版、即ちダイレクト刷版としては、たとえば製版層としてエチレン性不飽和化合物と高分子バインダと光重合開始剤とが配合された光重合型ダイレクト製版層を有し、前記製版層に、光重合型ダイレクト製版層を空気中の酸素から保護する酸素遮断層を形成した光重合型平版印刷版などがある。
このように、ダイレクト刷版においては、従来の平版印刷版とは異なり、製版層の表面に保護層を積層するなど、機能の異なる層を複数積層することが一般的である。さらに、支持体ウェブの表面に、断熱層と第1の製版層と光−熱変換層と第2の製版層とをこの順に設けたダイレクト刷版もある。
ダイレクト刷版において複数の層を形成するには、支持体ウェブに製版層形成液や中間層形成液、酸素遮断層形成液などの所定の塗布液を塗布し、加熱乾燥して塗布層を形成する工程を複数回繰り返すことが一般的である。したがって、支持体に塗布された塗布液の膜である塗布液膜を従来よりも更に迅速に乾燥させることが要求される。
しかしながら、支持体ウェブに塗布液を単に塗布して塗布して乾燥させた場合には、乾燥初期においては、供給熱量の一部が支持体ウェブおよび塗布液膜の温度上昇に費やされるので、塗布液膜中の溶媒を蒸発させて乾燥させる上では非効率的である。また、支持体ウェブへの伝熱は、通常、対流伝熱によって行われるので温度上昇に時間がかかる。その結果、乾燥時間が長くなる。
したがって、塗布層を迅速に乾燥させようとすると、乾燥温度を高めたり、より大型の乾燥設備を用いたりして支持体ウェブおよび塗布液膜の温度上昇を早くする必要があったが、単に乾燥温度を高めたり、乾燥設備を大型化したりしたのでは、設備コストが上昇したり、エネルギーコストやランニングコストが増大したりするという問題があった。また、既存の製造ラインを改造してダイレクト刷版の製造に使用する場合には、乾燥設備の大型化自体が極めて困難であり、従来の乾燥設備を殆どそのまま使用しなければならない場合も多かった。
本発明は、上記問題を解決すべく成されたものであり、ダイレクト刷版のような多層型の平版印刷版の製造に適用でき、より低いエネルギーコストおよびランニングコストで前記形態の平版印刷版を製造できる塗布方法、および前記塗布方法により製造された平版印刷版を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、帯状体の少なくとも一方の面に塗布液を塗布し、乾燥して塗布層を形成する塗布方法であって、液温が35℃以上の塗布液を塗布することを特徴とする塗布方法に関する。
前記塗布方法においては、35℃以上の液温の保持された塗布液を塗布しているから、塗布後の乾燥工程で帯状体に加えられる熱は、帯状体および塗布液膜の温度上昇に殆ど費やされることなく、前記塗布液中の溶媒の蒸発に用いられる。故に、帯状体および塗布液膜の温度上昇に費やされる時間を大幅に短縮し、または殆ど0にすることができるから、乾燥時間を大幅に短縮できる。
したがって、ダイレクト刷版の製造のように、塗布液の塗布と加熱乾燥とを繰り返し行う場合に前記塗布方法を好適に適用することができる。
前記塗布液としては、たとえば支持体ウェブに塗布し、乾燥してコンベンショナル刷版やデジタルダイレクト刷版の製版層を形成するのに使用される製版層形成液、および前記デジタルダイレクト刷版の製版層に塗布し、乾燥して保護層を経営するのに使用される保護層形成液などが挙げられる。
前記塗布液としては、ほかに、前記写真フィルム、映画フィルム、および印画紙などの感光層を形成するのに使用される感光剤エマルジョン、前記写真フィルムや映画フィルムのハレーション防止層の形成に使用されるハレーション防止層形成液、前記磁気記録材料における磁気記録層を形成する磁気記録層形成液、および塗装金属板の下塗り、中塗り、上塗りに使用される各種塗料などが挙げられるが、前記基材に塗布できる溶液、懸濁液、および溶剤などであれば、前記のものには限定されない。
前記塗布液の粘度は、100mPa・s以下が好ましく、50mPa・s以下が特に好ましい。また、表面張力は20〜70mN/mの範囲が好ましい。
前記塗布液が塗布される帯状体としては、[従来の技術]の欄で述べた支持体ウェブのほか、前記磁気テープのベースフィルム、写真フィルムのベースフィルム、およびカラー鉄板の製造に使用される亜鉛鍍金鋼板などが挙げられる。
請求項2に記載の発明は、前記帯状体に塗布される塗布液の液温が35℃〜0.65Tblow(℃)(Tblowは、前記塗布液に含まれる溶媒のうち、もっとも沸点の低いもののセ氏で表した沸点である。)である塗布方法に関する。
前記塗布方法においては、塗布液を0.65Tblow(℃)以下の温度に保持して塗布しているが、塗布液を0.65Tblow(℃)よりも高い温度に保持して塗布した場合とほぼ同様の乾燥時間短縮効果が得られる上に、塗布液を予熱するエネルギーを必要最小限に抑えることができるから好ましい。
塗布液膜中の溶媒が急激に蒸発したり、沸騰したりすることを防止する観点からは、温度0.65Tblow(℃)は35℃よりも高いことが好ましい。したがって、塗布液中の溶媒の沸点は、35÷0.65=53.85℃よりも高いことが好ましい。
なお、塗布液の温度は、35℃〜0.6Tblow(℃)の範囲がより好ましい。塗布液膜中の溶媒が沸騰したり、急激に蒸発することを防止する観点から、温度0.6Tblow(℃)は35℃よりも高いことが好ましいから、塗布液中の溶媒の沸点は、35℃÷0.6=58.33℃よりも高いことが特に好ましい。
請求項3に記載の発明は、前記帯状体の温度を35℃以上に保持して前記塗布液を塗布する塗布方法に関する。
前記塗布方法においては、35℃以上の温度に保持された帯状体に塗布液を塗布しているから、折角35℃以上の液温に保持された塗布液を塗布しても帯状体によって35℃よりも低い温度に冷やされることがない。したがって、乾燥工程で加えられる熱は、殆ど全てが塗布液中の溶媒の蒸発に用いられるから、短時間で塗布膜の乾燥を行うことができる。
請求項4に記載の発明は、前記帯状体の温度を、35℃〜0.8Tblow(℃)(Tblowは、前記塗布液に含まれる溶媒のうち、もっとも沸点の低いもののセ氏で表した沸点である。)に保持して前記塗布液を塗布する塗布方法に関する。
前記塗布方法によれば、帯状体の温度が極端には高くないから、塗布液を塗布した途端に塗布液中の溶媒が急激に蒸発して泡状の欠陥が残る等の問題が生じることがない。
請求項5に記載の発明は、前記帯状体が、平版印刷版の基材である支持体ウェブであり、前記塗布液は、平版印刷版の製版層を形成する製版層形成液である塗布方法に関する。
前記塗布方法によれば、断熱層と第1の製版層と光−熱変換層と第2の製版層とをこの順に設けた感熱型ダイレクト刷版のように複数の製版層を有する平版印刷版が能率よく製造できる。
請求項6に記載の発明は、前記帯状体が、前記支持体ウェブの砂目立て面に製版層を形成した平版印刷版であり、前記塗布液は、前記製版層に塗布、乾燥して保護層を形成する保護層形成液である塗布方法に関する。
前記塗布方法によれば、光重合性感光層と前記光重合性感光層に積層された保護層とを有する光重合型ダイレクト刷版のように製版層と保護層とを有する平版印刷版が能率よく製造できる。
請求項7に記載の発明は、アルミニウムウェブの少なくとも一方の面を砂目立てした支持体ウェブと、前記支持体ウェブにおける砂目立て面に形成された製版層とを有する平版印刷版であって、前記製版層は、液温が35℃以上の製版層形成液を塗布し、乾燥して形成してなることを特徴とする平版印刷版に関する。
前記平版印刷版は、35℃以上の液温の保持された製版層形成液を支持体ウェブに塗布しているから、請求項1のところで説明したように、塗布後の乾燥工程で支持体に加えられる熱は、支持体ウェブおよび製版層形成液の温度上昇に殆ど費やされることなく、製版層形成液中の溶媒の蒸発に用いられる。したがって、製版層形成液を塗布してから乾燥するまでの時間を大幅に短縮できるから、前記平版印刷版は、より低いランニングコストおよびエネルギーコストで製造できる。
請求項8に記載の発明は、前記支持体ウェブに塗布される製版層形成液の液温が、35℃〜0.65Tblow(℃)(Tblowは、前記塗布液に含まれる溶媒のうち、もっとも沸点の低いもののセ氏で表した沸点である。)である平版印刷版に関する。
前記平版印刷版の製造においては、製版層形成液を0.65Tblow(℃)以下の温度に保持している故に、製版層形成液を0.65Tblow(℃)よりも高い温度に保持して塗布した場合とほぼ同様の乾燥時間短縮効果が得られる上、製版層形成液を予熱するエネルギーを必要最小限に抑えることができるから好ましい。
請求項9に記載の発明は、アルミニウムウェブの少なくとも一方の面を砂目立てした支持体ウェブと、前記支持体ウェブにおける砂目立て面に形成された製版層と前記製版層に積層された保護層とを有する平版印刷版であって、前記保護層が、液温が35℃以上の保護層形成液を前記製版層の表面に塗布し、乾燥して形成してなることを特徴とする平版印刷版に関する。
前記平版印刷版は、35℃以上の液温の保持された保護層形成液を支持体ウェブ表面の製版層に塗布しているから、塗布後の乾燥工程で支持体に加えられる熱は、保護層形成液の温度上昇に殆ど費やされることなく、前記保護層形成液中の溶媒の蒸発に用いられる。したがって、保護層形成液を塗布してから乾燥するまでの時間を大幅に短縮できるから、前記平版印刷版においては、より低いランニングコストおよびエネルギーコストで保護層を形成できる。
請求項10に記載の発明は、前記支持体ウェブに塗布される保護層形成液の液温が、35℃〜0.65Tblow(℃)(Tblowは、前記塗布液に含まれる溶媒のうち、もっとも沸点の低いもののセ氏で表した沸点である。)である平版印刷版に関する。
前記平版印刷版の製造においては、保護層形成液を0.65Tblow(℃)以下の温度に保持して塗布している故に、保護層形成液を0.65Tblow(℃)よりも高い温度に保持して塗布した場合とほぼ同様の乾燥時間短縮効果が得られる上、保護層形成液を予熱するエネルギーを必要最小限に抑えることができるから好ましい。
請求項11に記載の発明は、前記製版層形成液および保護層形成液を塗布するときの前記支持体ウェブの温度が35℃〜0.8Tblow(℃)以下である平版印刷版に関する。
前記平版印刷版においては、支持体ウェブに製版層形成液および保護層形成液を塗布したときに、製版層形成液および保護層形成液に含有される溶媒が支持体ウェブの熱で急激に蒸発することがないから、前記溶媒が急激に蒸発して生じる泡状の不良が生じることがない。
請求項12に記載の発明は、前記製版層が可視光または紫外光により重合する光重合型ダイレクト製版層であり、前記保護層が前記光重合型ダイレクト製版層を空気中からの酸素から保護する酸素遮断層である平版印刷版に関する。
本発明によれば、多層型の平版印刷版の製造に好適に適用でき、より低いエネルギーコストおよびランニングコストで前記形態の平版印刷版を製造できる塗布方法、および前記塗布方法により製造された平版印刷版が提供される。
本発明の平版印刷版について以下に説明する。本発明の平版印刷版には、後述するコンベンショナル製版層を有するコンベンショナル刷版と、ダイレクト製版層を有するダイレクト刷版とがある。
1.支持体ウェブ
支持体ウェブとしては、純アルミニウムまたはアルミニウム合金の帯状薄板であるアルミニウムウェブの少なくとも一方の面を粗面化したものが使用される。
アルミニウムウェブの粗面化は、たとえば、機械的粗面化工程→アルカリエッチング工程(1)→デスマット工程(1)→電解粗面化工程→アルカリエッチング工程(2)→デスマット工程(2)という順序で行うことができる。前記各処理工程の間には水洗工程を挿入することが好ましい。
前記機械的粗面化工程においては、アルミニウムウェブを一定方向に搬送しつつ、アルミニウムウェブの表面に研磨剤を吹きつけてローラ状のナイロンブラシで擦るブラシグレイン処理などを行うことができる。
前記アルカリエッチング工程においては、アルミニウムウェブの両面または粗面化した側の面に苛性ソーダなどのアルカリ溶液を噴霧することにより、アルカリエッチング処理を行うことができる。アルカリエッチング工程(1)とアルカリエッチング工程(2)とにおいては、使用するアルカリ溶液の濃度や組成、温度が異なっていてもよい。
デスマット工程においては、アルミニウムウェブの両面または粗面化した側の面に塩酸や硝酸などの酸性溶液を噴霧することにより、デスマット処理を行う。アルカリエッチング処理によってアルミニウムウェブ中の微量金属成分の酸化物が黒色のスマットして析出するが、前記デスマット処理により除去される。デスマット工程(1)とデスマット工程(2)とにおいては、使用する酸性溶液の濃度や種類、組成、温度が異なっていてもよい。
電解粗面化工程においては、通常は、前記アルミニウムウェブを酸性電解液中で交流電解する。酸性電解液としては、希塩酸や希硝酸が主に使用される。電解粗面化工程は1回だけでもよく、2回以上行ってもよい。
前記粗面化処理が終了したら、前記アルミニウムウェブに陽極酸化処理を施し、次に、水ガラス溶液等により、親水化処理を施してもよい。
前記純アルミニウムおよびアルミニウム合金としては、アルミニウムハンドブック第4版(1990、軽金属協会)に記載の、例えばJIS A 1050材、JIS A 3103材、JIS A 3005材、JIS A 1100材、JIS A 3004材、および引っ張り強度を増す目的でこれらに5重量%以下のマグネシウムを添加した合金などが挙げられる。また、再生アルミニウムも使用できる。
このようにして作成された支持体ウェブの砂目立て面に、下塗層を設け、支持体ウェブと製版層との接着性を強化するようにしてもよい。下塗層の成分としては、
カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガムなどの多糖およびその誘導体、
2−アミノエチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸、エチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、
フェニル燐酸、ナフチル燐酸、アルキル燐酸、グリセロ燐酸のような有機燐酸、
フェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸、グリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、
グリシンやβ−アラニンのようなアミノ酸類、および
トリエタノールアミンのようなヒドロキシル基含有アミンの塩酸塩
などの化合物が挙げられる。
下塗層は、たとえばこれらの化合物を水やメタノール、エタノール、メチルエチルケトンのような適宜の溶媒に溶解させた溶液を支持体ウェブの砂目立て面に塗布して乾燥させることにより形成できる。
下塗層の形成量は、2〜200mg/m2が適当であり、5〜100mg/m2が好ましい。
前記平版印刷版の支持体としては、前記支持体ウェブのほか、紙、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレンなどがラミネートされたラミネート紙、二酢酸セルローズ樹脂や三酢酸セルローズ樹脂のような半合成樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン・プロピレン共重合体、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂などの合成樹脂フィルムなどが使用できる。なお、紙、ラミネート紙、合成樹脂フィルム、半合成樹脂フィルムには、アルミニウムなどの金属を蒸着したりラミネートしたりしてもよい。
2.製版層
製版層には、可視光で露光するコンベンショナル製版層とレーザ光を照射して露光するダイレクト製版層とがある。
(1)コンベンショナル製版層
コンベンショナル製版層は、感光性樹脂および必要に応じて着色剤などを含有する組成物により形成できる。
前記感光性樹脂としては、光が当たると現像液に溶けるようになるポジ型感光性樹脂、および光が当たると現像液に溶解しなくなるネガ型感光性樹脂が挙げられる。
ポジ型感光性樹脂としては、キノンジアジド化合物およびナフトキノンジアジド化合物等のジアジド化合物と、フェノールノボラック樹脂およびクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂との組み合わせ等が挙げられる。
一方、ネガ型感光性樹脂としては、芳香族ジアゾニウム塩とホルムアルデヒド等のアルデヒド類との縮合物等のジアゾ樹脂、前記ジアゾ樹脂の無機酸塩、および前記ジアゾ樹脂の有機酸塩等のジアゾ化合物と、(メタ)アクリレート樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリウレタン等の結合剤との組み合わせ、並びに(メタ)アクリレート樹脂およびポリスチレン樹脂等のビニルポリマーと、(メタ)アクリル酸エステルおよびスチレン等のビニル重合性化合物と、ベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、およびチオキサントン誘導体等の光重合開始剤との組み合わせ等が挙げられる。
前記着色剤としては、通常の色素のほか、露光により発色する露光発色色素、および露光により殆どまたは完全に無色になる露光消色色素等が使用できる。前記露光発色色素としては、たとえばロイコ色素等が挙げられる。一方、前記露光消色色素としては、トリフェニルメタン系色素、ジフェニルメタン系色素、オキザジン系色素、キサンテン系色素、イミノナフトキノン系色素、アゾメチン系色素、およびアントラキノン系色素等が挙げられる。
前記コンベンショナル製版層は、前記感光性樹脂と前記着色剤とを溶剤に溶解した感光層形成液を塗布して乾燥することにより形成できる。なお、前記感光層形成液は、本発明の製版層形成液に包含される。
前記感光層形成液に使用される溶剤としては、前記感光性樹脂を溶解し、しかも、室温である程度の揮発性を有する溶剤が挙げられ、具体的には、たとえばアルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、アミド系溶剤、および炭酸エステル系溶剤等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、エタノール、プロパノール、およびブタノール等が挙げられる。ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、およびジエチルケトン等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、蟻酸メチル、蟻酸エチル等が挙げられる。
エーテル系溶剤としては、テトラヒドロフランおよびジオキサン等が挙げられ、グリコールエーテル系溶剤としては、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのエチレングリコールエーテル系溶媒や、1−メトキシ−2−プロパノ−ルのようなプロピレングリコールエーテル系溶媒などが挙げられる。
アミド系溶剤としては、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミド等が挙げられる。
炭酸エステル系溶剤としては、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、および炭酸ジブチル等が挙げられる。
(2)ダイレクト製版層
ダイレクト製版層としては、露光・現像後に、レーザ光を照射した部分が残存するネガ型ダイレクト製版層、レーザ光を照射した部分が除去されるポジ型ダイレクト製版層、およびレーザ光を照射すると光重合する光重合型ダイレクト製版層などが主なものとして挙げられる。
A.ネガ型ダイレクト製版層
前記ネガ型ダイレクト製版層は、(A)熱または光により分解して酸を発生する酸前駆体、(B)前記酸前駆体(A)が分解して発生した酸により架橋する酸架橋性化合物、(C)アルカリ可溶性樹脂、(D)赤外線吸収剤、および(E)フェノール性水酸基含有化合物を適宜の溶剤に溶解または懸濁させたネガ型ダイレクト製版層形成液を支持体ウェブに塗布、乾燥させて形成できる。
酸前駆体(A)としては、例えばイミノフォスフェート化合物等のように、紫外光、可視光、または熱により分解してスルホン酸を発生する化合物が挙げられる。他には、光カチオン重合開始剤、光ラジカル重合開始剤、または光変色剤などとして一般に使用されている化合物も、酸前駆体(A)として使用できる。
酸架橋性化合物(B)としては、アルコキシメチル基およびヒドロキシル基の少なくとも一方を有する芳香族化合物、N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、またはN−アシルオキシメチル基を有する化合物、およびエポキシ化合物などが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂(C)としては、ノボラック樹脂、およびポリ(ヒドロキシスチレン)などの側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマーなどが挙げられる。
赤外線吸収剤(D)としては、760nm〜1200nmの赤外線を吸収する染料および顔料が挙げられ、具体的には、黒色顔料、赤色顔料、金属枌顔料、フタロシアニン系顔料、および前記波長の赤外線を吸収するアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、シアニン色素などが挙げられる。
フェノール性水酸基含有化合物(E)としては、一般式(R1−X)n−Ar−(OH)m(R1は、炭素数6〜32のアルキル基またはアルケニル基であり、Xは、端結合、O、S、COO、またはCONHであり、Arは、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基、または複素環基であり、nおよびmは、何れも1〜3の自然数である。)で示される化合物が挙げられる。前記化合物としては、具体的にはノニルフェノールなどのアルキルフェノール類などが挙げられる。
前記ネガ型ダイレクト製版層形成液には、さらに可塑剤なども配合できる。
B.ポジ型ダイレクト製版層
前記ポジ型ダイレクト製版層は、(F)アルカリ可溶性高分子、(G)アルカリ溶解阻害剤、および(H)赤外線吸収剤を適宜の溶剤に溶解または懸濁させたポジ型ダイレクト製版層形成液を支持体ウェブに塗布、乾燥させて形成できる。
アルカリ可溶性高分子(F)としては、たとえばフェノール樹脂、クレゾール樹脂、ノボラック樹脂、ピロガロール樹脂、およびポリ(ヒドロキシスチレン)などのフェノール性水酸基を有するフェノール系ポリマー、少なくとも一部のモノマー単位がスルホンアミド基を有するポリマーであるスルホンアミド基含有ポリマー、N−(p−トルエンスルホニル)(メタ)アクリルアミド基などの活性イミド基を有するモノマーの単独重合または共重合により得られる活性イミド基含有ポリマーなどが使用できる。
アルカリ溶解阻害剤(G)としては、加熱などによりアルカリ可溶性高分子(F)と反応してアルカリ可溶性高分子(F)のアルカリ可溶性を低下させる化合物が挙げられ、具体的には、スルホン化合物、アンモニウム塩、スルホニウム塩、およびアミド化合物などが挙げられる。たとえば、アルカリ可溶性高分子(F)として前記ノボラック樹脂を用いる場合には、アルカリ溶解阻害剤(G)としてスルホン化合物の一種であるシアニン色素が好ましい。
赤外線吸収剤(H)としては、スクワリリウム色素、ピリリウム色素、カーボンブラック、不溶性アゾ染料、アントラキノン系染料など、750〜1200nmの赤外域に吸収領域があり、光/熱変換能を有する色素、染料、および顔料が挙げられる。
C.光重合型ダイレクト製版層
光重合型ダイレクト製版層は、(I)分子末端にエチレン性不飽和結合を有するビニル重合性化合物を含有する光重合型ダイレクト製版層形成液を支持体ウェブに塗布、乾燥させて形成できる。前記光重合型ダイレクト製版層形成液には、ほかに、(J)光重合開始剤、(K)増感剤、(L)バインダ樹脂などが配合される。
ビニル重合性化合物(I)としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステルであるエチレン性不飽和カルボン酸多価エステル、前記エチレン性不飽和カルボン酸と多価アミンとからなるメチレンビス(メタ)アクリルアミド、キシリレン(メタ)アクリルアミドなどのエチレン性不飽和カルボン酸多価アミドなどが挙げられる。
ビニル重合性化合物(I)としては、他に、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、および(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどのエチレン性不飽和カルボン酸モノエステルなども使用できる。
更に、エチレン性不飽和カルボン酸多価エステル、エチレン性不飽和カルボン酸多価アミド、芳香族ビニル化合物、エチレン性不飽和カルボン酸モノエステルなどのビニル系モノマーの2量体や3量体、およびオリゴマーなどの高分子ビニルモノマーも使用できる。
光重合開始剤(J)としては、ビニル系モノマーの光重合に通常に使用される光重合開始剤が使用できる。
増感剤(K)としては、チタノセン化合物、トリアジン化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、シアニン色素、メロシアニン色素、キサンテン色素、クマリン色素などが挙げられる。
バインダ樹脂(L)としては、ビニル重合性化合物(I)のところで述べたビニル系モノマーを単独重合または共重合して得られるビニルポリマー、側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体、ウレタン系バインダーポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、アルコール可溶性ポリアミドや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等が挙げられる。
ネガ型ダイレクト製版層形成液、ポジ型ダイレクト製版層形成液、光重合型ダイレクト製版層形成液に使用される溶剤、およびネガ型ダイレクト製版層形成液、ポジ型ダイレクト製版層形成液、光重合型ダイレクト製版層形成液の塗布方法については、「(1)コンベンショナル製版層」のところで述べた溶剤および塗布方法と同様である。なお、ネガ型ダイレクト製版層形成液、ポジ型ダイレクト製版層形成液、光重合型ダイレクト製版層形成液もまた、本発明の製版層形成液に包含される。前記光重合型ダイレクト製版層を形成するときは、シラン化合物を水、アルコール、またはカルボン酸で部分分解して得られる部分分解型シラン化合物などの反応性官能基を有するシリコーン化合物で支持体ウェブの粗面化面を予め処理すると、支持体ウェブと前記光重合型ダイレクト製版層との接着性が向上するから好ましい。
3.中間層および酸素遮断層
製版層として光重合型ダイレクト製版層を形成する場合には、光重合型ダイレクト製版層の上に酸素遮断層を形成するか、または、光重合型ダイレクト製版層の上に中間層を形成し、更にその上に酸素遮断層を重ねて形成することが好ましい。
中間層は、光重合型ダイレクト製版層に重ねて形成される非接着性層であり、換言すれば光重合型ダイレクト製版層のべとつきを防止し、光重合型ダイレクト製版層が搬送ローラの表面に接着するのを防止する機能を有する層である。一方、酸素遮断層は、前記中間層に重ねて空気中の酸素から前記光重合型ダイレクト製版層を保護する機能を有している。
中間層は、光重合型ダイレクト製版層が搬送ローラの表面に接着するのを防止でき、また、酸素遮断層との密着性が良好なものであれば、どのような樹脂でも使用できるが、酸素遮断層と同様に、高い酸素遮断性を有する酸素遮断性樹脂を用いることが、酸素遮断層にピンホールが残存しないようにして光重合型ダイレクト製版層を空気中の酸素から確実に保護できる点、および酸素遮断層との密着性が良好な点から好ましい。
中間層および酸素遮断層に使用できる酸素遮断性樹脂としては、具体的には、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドなどのような水溶性ポリマーが挙げられ、これらは単独または混合して使用できる。前記水溶性ポリマーのうちでは、酸素遮断性および現像除去性の点からポリビニルアルコールが最も好ましい。
前記酸素遮断性樹脂としては、ほかに、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体樹脂、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体樹脂のような塩化ビニリデン樹脂、およびエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂など、酸素遮断性が高い樹脂として一般に知られているものが挙げられる。
前記ポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を付与するのに充分な数の未置換ビニルアルコール単位を有している限り、ビニルアルコール単位の水酸基の一部がエステル、エーテル、およびアセタールで置換されていても良く、また、ビニルアルコールと他のモノマーとの共重合体の形態を有していても良い。
ポリビニルアルコールの具体例としては71〜100%加水分解され、重合繰り返し単位が300から2400の範囲のものをあげることができる。具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げられる。
前記酸素遮断性樹脂の種類は、所望の酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性、光重合型ダイレクト製版層および酸素遮断層との密着性を考慮して決定することができる。また、中間層においては、酸素遮断層と同一の種類の酸素遮断性樹脂を使用してもよく、また,異なる種類の酸素遮断性樹脂を使用してもよいが、同一の種類の酸素遮断性樹脂を使用すれば、酸素遮断層との密着性が良くなるから好ましい。ただし、前記中間層と前記酸素遮断層とでは、酸素遮断性樹脂の分子量が異なっていてもよい。
中間層および酸素遮断層に使用される酸素遮断性樹脂のの酸素透過係数は1×10-16〜1×10-10cm3・cm/cm2・sec・cmHgの範囲が適当であり、特に好ましくは1×10-15〜1×10-11cm3・cm/cm2・sec・cmHgである。酸素遮断性樹脂の分子量は、2000〜1000万の範囲が好ましく、特に2万〜300万範囲のものが好ましい。
中間層は、前記酸素遮断性樹脂の溶液またはエマルションを主成分とする中間層形成液を塗布し、乾燥させることにより、形成できるが、前記中間層形成液としては、既に形成された光重合型ダイレクト製版層に対して影響を及ぼさないようなものを用いることが好ましい。
たとえば、高分子バインダとして水可溶性ポリマーを用いたときは、中間層形成液としては塩化ビニリデン樹脂の有機溶媒溶液が好ましい。一方、高分子バインダとして有機溶媒可溶性ポリマーを用いたときは、中間層形成液としては、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンの水溶液、または塩化ビニリデン樹脂のエマルションが好ましい。
中間層形成液には、更にグリセリン、ジプロピレングリコール等を前記酸素遮断性樹脂に対して数重量%配合し、得られる中間層に可撓性を付与することができる。また、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤や、アルキルアミノカルボン酸塩、アルキルアミノジカルボン酸塩等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤を、前記酸素遮断性樹脂に対して数重量%配合して塗布性を改善することができる。また、酸素遮断性樹脂としてポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーを使用する場合には、光重合型ダイレクト製版層との密着性を高めるため、アクリル系エマルジョンまたは水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを前記酸素遮断性樹脂に対して20〜60重量%配合してもよい。
同様に、酸素遮断層は、前記酸素遮断性樹脂の溶液またはエマルションを主成分とする酸素遮断層形成液を塗布し、乾燥させることにより、形成できる。酸素遮断層形成液の組成については、中間層形成液と同様である。
5.製造ライン
本発明の平版印刷版の製造に使用される製造ラインの一例を図1に示す。
製造ライン100は、支持体ウェブWの搬送方向aに沿って上流側から下流側に向かって連続的に搬送しつつ、支持体ウェブW上に光重合型ダイレクト製版層、中間層、および酸素遮断層を順次形成して平版印刷版Pを製造するラインである。
製造ライン100は、図1に示すように、支持体ウェブWおよび平版印刷版Pの搬送方向aに沿って光重合型ダイレクト製版層形成液を塗布する第1塗布部2と、第1塗布部2で塗布された光重合型ダイレクト製版層形成液の層を乾燥して光重合型ダイレクト製版層を形成する第1乾燥部4と、第1乾燥部4を通過した支持体ウェブWを冷却する第1冷却部6と、第1冷却部6を通過した支持体ウェブWの光重合型ダイレクト製版層の表面に酸素遮断性樹脂の水溶液を主成分とする水系塗布液を塗布する第2塗布部8と、第2塗布部8で塗布された水系塗布液を乾燥して酸素遮断性樹脂層を形成する第2乾燥部10と、第2乾燥部10を通過した支持体ウェブWを冷却する第2冷却部12と、第2冷却部12を通過した平版印刷版Pを巻き取る巻取り部30とが設けられている。第1塗布部2の上流側には、支持体ウェブWを予熱する予熱ローラ1が設けられている。また、第1乾燥部4は、上流側の第1乾燥トンネル4Aと下流側の第2乾燥トンネル4Bとに分かれている。
第1乾燥トンネル4Aと下流側の第2乾燥トンネル4Bとの間には、搬送ローラ22が設けられ、第2乾燥トンネル4Bと第1冷却部6との間には搬送ローラ24が設けられている。また、第2乾燥部10と第2冷却部12との間には搬送ローラ26が設けられ、第2冷却部12と酸素遮断層塗布部14との間には、搬送ローラ28が設けられている。
支持体ウェブWは、予熱ローラ1で表面温度が35℃以上、好ましくは35〜80℃程度に予熱される。そして、第1塗布部2において支持体ウェブWの粗面化面に光重合型ダイレクト製版層形成液が塗布され、塗布された光重合型ダイレクト製版層形成液は第1乾燥トンネル4Aおよび第2乾燥トンネル4Bで乾燥される。第2乾燥トンネル4Bから導出された支持体ウェブWは、温度が約100℃と高く、表面に形成された光重合型ダイレクト製版層は軟膜状態で傷つきやすいが、第1冷却部6を通過するうちに、60〜80℃程度に冷却される。第2塗布部8においては、第1冷却部6を通過した支持体ウェブWの光重合型ダイレクト製版層に重ねて水系塗布液が塗布され、第2乾燥部10において乾燥されて酸素遮断性樹脂の層が形成される。ここで、水系塗布液としては前記中間層形成液や酸素遮断層形成液のうち、水系のものが挙げられる。
製造ライン100においては、第1塗布部2および第2塗布部8にはバーコータが使用されているが、バーコータの代わりにリバースローラコータ、グラビアコータ、スプレーコータ、スライドビードコータ、エクストルージョンコータ、カーテンコータ等の各種塗布装置を用いてもよい。
水系塗布液は、乾燥後の膜重量が0.5〜5g/m2になるように塗布するのが好適であり、特に1〜3g/m2になるように塗布するのが好適である。
1. 実施例1
厚さ0.24mmのアルミニウムウェブの表面に、ブラシグレイン法によって機械的砂目立てを施した後、交流電解槽において電気的砂目立て処理を行った。次いで、陽極酸化皮膜の量が2g/m2になるように陽極酸化処理を施し、親水化処理を行って支持体ウェブWを製造した。
次に、図1に示す製造ラインを用いて支持体ウェブWの粗面化面に光重合型ダイレクト製版層形成液を塗布して乾燥し、光重合型ダイレクト製版層を形成し、その上に、水性塗布液を塗布して中間層を形成した。光重合型ダイレクト製版層形成液は、乾燥後の膜量が1.5g/m2になるように塗布し、水系塗布液は、塗布量が11.3cc/m2になるように塗布した。第1乾燥部における乾燥風の温度を120℃に設定し、光重合型ダイレクト製版層形成液を塗布したときの乾燥温度が120℃になるようにした。また、第2乾燥部10においては、乾燥風を120℃に設定し、水系塗布液の乾燥温度が120℃になるようにした。なお加熱ローラ1による支持体ウェブの予熱は実施せずに光重合型ダイレクト製版層形成液を塗布するとともに、所定温度に設定した水系塗布液を、光重合型ダイレクト製版層に重ねて塗布した。なお、水系塗布液の温度は、第2塗布部8として使用されているバーコータの内部で測定した。また、第1冷却部6から導出された支持体ウェブWの表面温度を赤外線温度計によって測定し、この温度を前記水系塗布液を塗布するときの支持体ウェブWの温度、即ち感光性基板温度とした。光重合型ダイレクト製版層形成液および水系塗布液の処方を以下に示す。
(光重合型ダイレクト製版層形成液処方)
a.エチレン性不飽和化合物(ペンタエリスリトールテトラアクリレート)
…1.5重量部
b.高分子バインダ(メタクリル20mol%とメチルメタクリレート80mol%とを共重合した線状共重合体(MW=4万)) …2.0重量部
c.増感剤([化1]に示すもの …0.15重量部
d.光重合開始剤([化2]に示すもの) …0.2重量部
e.ε−フタロシアニン分散物 …0.02重量部
f.メガファックF117(R)(弗素系ノニオン界面活性剤、大日本インキ化学工業(株)製) …0.03重量部
g.メチルエチルケトン …9.0重量部
h.プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート…7.5重量部
i.トルエン …11.0重量部。
増感剤
Figure 2005066444
光重合開始剤
Figure 2005066444
(水系塗布液の処方)
a.ポリビニルアルコール(鹸化度98モル%、重合度500)
…20.0重量部
b.ポリビニルピロリドンK30(和光純薬(株)製) …2.0重量部
c.ノニオン界面活性剤(EMALEX NP-10(R)、(株)日本エマルジョン製)
…0.5重量部
d.蒸留水 …540重量部。
水系塗布液の液温と乾燥時間との関係を図2に示す。なお、水系塗布液の乾燥時間の算出は以下の手順で行った。
先ず、乾燥点については、第2乾燥部10において支持体ウェブの表面を、先端に布を巻き付けた棒で擦り、棒に巻き付けた布に水系塗布液が付着せず、塗布膜の表面光沢の変化が認められなくなった点を乾燥点とした。そして、第2乾燥部10の入口から乾燥点までの距離を測定し、前記距離を支持体ウェブWの搬送速度で除して乾燥時間を求めた。
図2に示すように、水系塗布液を塗布するときの感光性基板温度が50℃の場合、水系塗布液の液温が27℃のときは乾燥時間が2.5秒と長かったのに対し、水系塗布液の液温が37〜60℃のときは、1.8〜2.1秒と水系塗布液の液温が27℃のときよりも短縮されていた。これは、感光性基板温度が25℃の場合も同様であって、水系塗布液の液温が25℃のときは乾燥時間が4秒と長かったのに対し、水系塗布液の液温が36〜60℃のときは、3.2〜3.6秒と短縮されていた。
このことから、水性塗布液の液温を35℃以上にすると、乾燥時間を大きく短縮できることがわかる。なお、図2に示す結果から、水系塗布液の液温が100℃×0.65=65℃を超えても、65℃以下のときと比較して顕著な乾燥時間短縮効果は見られないと考えられる。
2. 実施例2
実施例1と同様の手順に従って作成された支持体ウェブの砂目立て面に、種々の液温のネガ型感光層形成液を塗布して乾燥させ、乾燥時間を調べた。ネガ型感光層形成液の処方は以下の通りである。
(ネガ型感光層形成液の処方)
a.1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロリドとm−クレゾールホルムアルデヒド樹脂とのエステル化物 …0.9重量部
b.クレゾールホルムアルデヒド樹脂 …1.9重量部
c.無水フタル酸 …0.2重量部
d.4−[p−N−(p−ヒドロキシベンゾイル)アミノフェニル−2,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン] …0.02重量部
e.ビクトリアピュアブルーBOH(保土谷化学(株)製) …0.03重量部
f.メガファックF−177(大日本インキ化学工業(株)製)…0.006重量部
g.メチルエチルケトン …18重量部
h.1−メトキシ−2−プロパノ−ル …15重量部。
前記ネガ型感光層形成液の塗布は、図1に示す製造ラインを用い、加熱ロール1により、支持体ウェブを25℃または50℃に加熱して行った。前記ネガ型感光層形成液は、塗布量が18.8cc/m2になるように塗布し、第1乾燥部4の温度を120℃に設定して乾燥した。前記ネガ型感光層形成液の液温は、第1塗布部2として使用したバーコータの内部で測定した。
ネガ型感光層形成液の液温と乾燥時間との関係を図3に示す。なお、乾燥時間は、以下の手順で算出した。先ず、第1乾燥部4において、支持体ウェブの表面を、先端に布を巻き付けた棒で擦り、棒に巻き付けた布にネガ型感光層形成液が付着せず、塗布膜の表面光沢の変化が認められなくなった点を乾燥点とした。そして、第1乾燥部4の入口から乾燥点までの距離を測定し、前記距離を支持体ウェブWの搬送速度で除して乾燥時間を求めた。
図3に示すように、ネガ型感光層形成液を塗布するときの支持体ウェブWの温度、即ち感光性基板温度が50℃の場合、ネガ型感光層形成液の液温が26℃および33℃のときは、乾燥時間が夫々2.8秒および2.4秒と長かったのに対し、ネガ型感光層形成液の液温が39〜51℃のときは、2.0〜2.2秒とネガ型感光層形成液の液温が26℃および33℃のときよりも短縮されていた。これは、感光性基板温度が25℃の場合も同様であって、ネガ型感光層形成液の液温が25℃および33℃のときは乾燥時間がそれぞれ5秒および4.4秒と長かったのに対し、ネガ型感光層形成液の液温が38〜50℃のときは、3.8〜4秒と短縮されていた。
このことから、水性塗布液の場合と同様、ネガ型感光層形成液の液温を35℃以上にすると、乾燥時間を大きく短縮できることがわかる。なお、図3に示す結果から、ネガ型感光層形成液の液温が80℃×0.65=51℃を越えても、51℃以下のときと比較して顕著な乾燥時間短縮効果は見られないと考えられる。
本発明の塗布方法は、帯状体の表面に多数の塗布層を形成する場合に好適に適用できる。したがって、支持体ウェブの砂目立て面に形成した製版層と前記製版層を保護する保護層と(必要に応じて中間層と)を有するダイレクト刷版、および支持体ウェブの表面に断熱層と第1の製版層と光−熱変換層と第2の製版層とをこの順に設けたダイレクト刷版などの各種ダイレクト刷版の製造に特に好適に適用できる。
また、本発明の塗布方法は、支持体ウェブの砂目立て面にネガ型またはポジ型の感光層を積層したコンベンショナル型刷版の製造にも好適に用いられる。
本発明の塗布方法は、また、オーディオテープやビデオテープのような磁気テープ、および写真フィルムや映画用フィルム、印画紙のような銀塩感光材料、および各種カラー鉄板のような塗装金属板の製造等に好適に適用できる。
図1は、本発明の塗布方法を適用して平版印刷版を製造するのに使用される製造ラインの一例を示す概略図である。 図2は、実施例1における水系塗布液の液温と乾燥時間との関係を示すグラフである。 図3は、実施例2におけるネガ型感光層形成液の液温と乾燥時間との関係を示すグラフである。
符号の説明
2 第1塗布部
4 第1乾燥部
6 第1冷却部
8 第2塗布部
10 第2乾燥部
12 第2冷却部
14 第3塗布部
16 第3乾燥部
18 第3冷却部

Claims (12)

  1. 帯状体の少なくとも一方の面に塗布液を塗布し、乾燥して塗布層を形成する塗布方法であって、液温が35℃以上の塗布液を塗布することを特徴とする塗布方法。
  2. 前記帯状体に塗布される塗布液の液温は、35℃〜0.65Tblow(℃)(Tblowは、前記塗布液に含まれる溶媒のうち、もっとも沸点の低いもののセ氏で表した沸点である。)である請求項1に記載の塗布方法。
  3. 前記帯状体の温度を35℃以上に保持して前記塗布液を塗布する請求項1または2に記載の塗布方法。
  4. 前記帯状体の温度を、35℃〜0.8Tblow(℃)(Tblowは、前記塗布液に含まれる溶媒のうち、もっとも沸点の低いもののセ氏で表した沸点である。)に保持して前記塗布液を塗布する請求項1または2に記載の塗布方法。
  5. 前記帯状体は、平版印刷版の基材である支持体ウェブであり、前記塗布液は、平版印刷版の製版層を形成する製版層形成液である請求項1〜4の何れか1項に記載の塗布方法。
  6. 前記帯状体は、前記支持体ウェブの砂目立て面に製版層を形成した平版印刷版であり、前記塗布液は、前記製版層に塗布、乾燥して保護層を形成する保護層形成液である請求項1〜4の何れか1項に記載の塗布方法。
  7. アルミニウムウェブの少なくとも一方の面を砂目立てした支持体ウェブと、前記支持体ウェブにおける砂目立て面に形成された製版層とを有する平版印刷版であって、
    前記製版層は、液温が35℃以上の製版層形成液を塗布し、乾燥して形成してなることを特徴とする平版印刷版。
  8. 前記支持体ウェブに塗布される製版層形成液の液温は、35℃〜0.65Tblow(℃)(Tblowは、前記塗布液に含まれる溶媒のうち、もっとも沸点の低いもののセ氏で表した沸点である。)である請求項7に記載の平版印刷版。
  9. アルミニウムウェブの少なくとも一方の面を砂目立てした支持体ウェブと、前記支持体ウェブにおける砂目立て面に形成された製版層と前記製版層に積層された保護層とを有する平版印刷版であって、
    前記保護層は、液温が35℃以上の保護層形成液を前記製版層の表面に塗布し、乾燥して形成してなることを特徴とする平版印刷版。
  10. 前記支持体ウェブに塗布される保護層形成液の液温は、35℃〜0.65Tblow(℃)(Tblowは、前記塗布液に含まれる溶媒のうち、もっとも沸点の低いもののセ氏で表した沸点である。)である請求項9に記載の平版印刷版。
  11. 前記製版層形成液および保護層形成液を塗布するときの前記支持体ウェブの温度は35℃〜0.8Tblow(℃)の範囲である請求項7または8に記載の平版印刷版。
  12. 前記製版層は可視光または紫外光により重合する光重合型ダイレクト製版層であり、前記保護層は前記光重合型ダイレクト製版層を空気中からの酸素から保護する酸素遮断層である請求項7〜11の何れか1項に記載の平版印刷版。
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