JP2005064043A - 基板乾燥方法および基板乾燥装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ウェット洗浄工程終了時の基板の高アスペクト比の溝等の内部まで清浄な状態で確実に乾燥できる基板乾燥方法および基板乾燥装置を提供する。
【解決手段】高速の帯状気流8を噴射する帯状気流噴射ノズル5と、噴射された帯状気流8と被乾燥基板である半導体基板3の表面との角度を調節するためのノズル俯角調節機構6と、半導体基板3に噴き付けられる帯状気流8の位置および向きを調節するためのノズル位置・向き調節機構7と、を備え、高速の帯状気流8を半導体基板3の表面に傾けて噴き付けて、帯状気流8が噴き付けられる側の溝等の壁面に沿って下降気流を、その反対側の壁面に沿って上昇気流をバランス良く発生させる。
【選択図】 図1
【解決手段】高速の帯状気流8を噴射する帯状気流噴射ノズル5と、噴射された帯状気流8と被乾燥基板である半導体基板3の表面との角度を調節するためのノズル俯角調節機構6と、半導体基板3に噴き付けられる帯状気流8の位置および向きを調節するためのノズル位置・向き調節機構7と、を備え、高速の帯状気流8を半導体基板3の表面に傾けて噴き付けて、帯状気流8が噴き付けられる側の溝等の壁面に沿って下降気流を、その反対側の壁面に沿って上昇気流をバランス良く発生させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体基板等の基板をウェット洗浄した後に、洗浄液および洗浄残渣を基板上から除去し、基板表面を清浄な状態で乾燥させるための基板乾燥技術、特に、表面に高アスペクト比の溝や穴を有する基板の基板乾燥技術、に関する。
【0002】
【従来の技術】
浸漬式のウェットステーションで基板を処理する場合には、基板はカセットに収容されて処理される。純水等の洗浄液によるウェット洗浄後の乾燥工程においては、基板は、カセットに収容された状態で洗浄装置からスピンドライヤに移されてカセットごと回転させられ、遠心力で表面に付着・残留している洗浄液を振り飛ばされて除去され、乾燥される。しかし、この方法の場合には、得られる遠心力に限界がある。また、スピンドライヤ内に乾燥窒素等が送り込まれても、乾燥窒素等の気流と基板との相対速度を高くすることは困難であり、基板に当たる気流の方向を制御することはより困難である。更に、洗浄槽からスピンドライヤへカセットを移動させるまでのタイムラグにより基板上の洗浄液が不連続状態となる。これらの状況から、スピンドライヤによる乾燥工程では、基板上に洗浄液が残留し易く、特に溝や穴の中の液滴を除去することは難しく、洗浄残渣も残留し易い。
【0003】
一方、基板を1枚ずつ処理する枚葉処理の洗浄・乾燥方式の場合には、洗浄工程から乾燥工程へは連続的に切り替えられるので、上記のようなタイムラグに伴う問題はなくなるが、表面に高アスペクト比の溝等を有する基板を乾燥する場合には、被乾燥面から洗浄液や洗浄残渣を完全に除去することが困難である。
図3は、このような枚葉処理式の基板乾燥装置の従来例の主要部を示す概念斜視図であり、図4はこの装置の問題点を説明するためのイメージ図である。
この基板乾燥装置では、例えばシリコンウェハ等の半導体基板3を高速で公転または自転させることにより発生する遠心力を利用して洗浄液である水を振り切り、迅速に乾燥させようとするが、遠心力だけでは被乾燥面から水を完全に除去するに足る力を得ることは難しい。特に、図4に示すように、凹部(溝や穴)31を有する場合には、その底のコーナ部に残留水4が残ってしまうという致命的な欠点をもっている。この欠点を補うために、遠心力が小さくなる半導体基板3の中心部にノズル1から加熱乾燥窒素2を噴き付ける方法も採用されているが、凹部31が深い場合には、凹部31内から水を完全に排出して残留水4をなくすることは困難である。この問題は、アスペクト比が高くなるほどより顕著になる。
【0004】
この問題を解消するために、ノズル1から基板に噴き付ける気体をプラズマで励起された酸素ガスまたは水素ガスとする方法が、特開2002−9037号公報(特許文献1参照)に開示されている。この方法では、残留水等を分解して酸素や水素等の気体にして排出するので、分解された気体は確実に排出される。しかし、基板に噴き付ける気体を励起するためのプラズマ発生装置を装備することが必要である。
また、基板を高速で回転させた場合に舞い上がる水の飛沫が基板に再付着することを防止し、大形基板のような高速回転が困難な基板にも適用できる乾燥方法として、基板の回転中心から外周部までの間にライン状に気体を噴射する帯状のノズル(参照文献ではエアーナイフ)を用いる方法が、特開2001−349671号公報(特許文献2参照)に開示されている。この方法の場合には、基板の回転を遅くすることは可能となるが、高アスペクト比の溝等の内部の水を除去できるか否かに関しては言及されていない。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−9037号公報
【特許文献2】
特開2001−349671号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上の説明から明らかなように、高アスペクト比の溝等の内部の水等の洗浄液を除去して基板の被乾燥面を確実に乾燥させることは非常に難しい技術であり、洗浄工程で溝等の内部に洗浄残渣が再付着した場合には、この洗浄残渣を乾燥工程で除去することは更に難しい技術である。
この発明の課題は、ウェット洗浄工程終了時の基板の高アスペクト比の溝等の内部まで清浄な状態で確実に乾燥させることができる基板乾燥方法および基板乾燥装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、表面に高アスペクト比の溝等を有する基板をウェット洗浄した後に、乾燥気体の高速気流を基板に噴き付けて、洗浄液および洗浄残渣を基板表面から除去し、基板表面を乾燥させる枚葉処理・スピン方式の基板乾燥方法であって、乾燥気体を帯状の高速気流にして基板表面に傾けて噴き付けて、高速気流が噴き付けられる側の前記溝等の壁面に沿って下降気流を発生させ、且つ溝等の反対側の壁面に沿って上昇気流を発生させる。
乾燥気体を帯状の高速気流にして基板表面に傾けて噴き付けて、高速気流が噴き付けられる側の溝等の壁面に沿って下降気流を発生させ、且つ溝等の反対側の壁面に沿って上昇気流を発生させるので、溝等の内部が下降気流の領域と上昇気流の領域とに分かれ、壁面に噴き付けられて発生した下降気流は、高速気流が噴き付けられる側の壁面に沿って溝等の底まで到達し、底面で方向を反転し、反対側の壁面に沿って上昇する上昇気流となる。この気流によって溝等の内部の洗浄液が溝等の内部から掃き出され、掃き出される洗浄液の流れによって洗浄残渣も除去される。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、高速気流の噴き付け位置および噴き付け方向の少なくともいずれかを周期的に変動させる。噴き付け位置および噴き付け方向の少なくともいずれかを周期的に変動させることによって、溝等のパターンの向きがどの方向を向いていても、高速気流を全ての溝等の壁面に確実に対向して噴き付けることができる。その結果、全ての溝等で前記の下降気流および上昇気流を確実に発生させることができ、全ての溝等の内部の洗浄液および洗浄残渣を確実に除去することができる。
請求項3の発明は、表面に高アスペクト比の溝等を有する基板をウェット洗浄した後に、乾燥気体の高速気流を基板に噴き付けて、洗浄液および洗浄残渣を基板上から除去し、基板表面を乾燥させる枚葉処理・スピン方式の基板乾燥装置であって、帯状の高速気流を発生するための帯状気流噴射手段と、帯状の高速気流を基板表面に所定の角度で噴き付けるための気流噴付け角調節手段と、帯状気流噴射手段の位置および向きを調節するためのノズル位置・向き調節手段と、を備えている。
【0009】
帯状気流噴射手段、気流噴付け角調節手段およびノズル位置・向き調節手段を備えているので、乾燥対象の基板の被乾燥面の状態に合わせて高速気流をその被乾燥面に最適条件で噴き付けることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明による基板乾燥方法の特徴は、乾燥気体の帯状高速気流を基板表面に傾けて噴き付けることによって、基板の表面に形成されている溝や穴の、気流が噴き付けられる壁面側に、壁面に沿って下降する気流(下降気流)を発生させ、気流が上部を通過する壁面側には、下降気流が溝等の底で方向を変えて壁面に沿って上昇する気流に、上部を通過する高速気流による負圧も働かせて、壁面に沿って上昇する気流(上昇気流)を発生させ、溝や穴の内部にある水等の洗浄液を外部に掃き出させることである。したがって、この発明による基板乾燥装置は、このような下降気流および上昇気流を発生させるために、帯状気流噴射手段と気流噴付け角調節手段とノズル位置・向き調節手段とを備えている。
【0011】
この発明による基板乾燥方法および基板乾燥装置の実施の形態について、実施例を用いて更に詳しく説明する。
図1は、この発明による基板乾燥装置の実施例の主要部を示す概念斜視図であり、図2は、この発明による基板乾燥方法および基板乾燥装置の乾燥メカニズムを説明するためのイメージ図である。
この実施例は、帯状の高速気流(図1では帯状気流)8を噴射する帯状気流噴射ノズル(以下では「帯状ノズル」と呼ぶ)5と、被乾燥基板である半導体基板3の表面に対する噴射された帯状気流8の俯度(以下では「ノズル俯角」という)を調節するためのノズル俯角調節機構6と、半導体基板3に噴き付けられる帯状気流8の位置および向きを調節するためのノズル位置・向き調節機構7と、を備えており、帯状ノズル5には、加圧された乾燥窒素2aが供給されている。供給される乾燥窒素2aは、帯状ノズル5に接続されている不図示の電磁弁および流量計によって、その供給・停止および流量を制御される。
【0012】
ノズル俯角調節機構6は、半導体基板3の表面に形成されている溝や穴の形状に合わせてノズル俯角を最適値に調節する。この基板乾燥装置が有効に機能するためには、図2に示すように、凹部31の壁面に噴き付けられた帯状気流8が、その壁面に沿って下降し、底面で方向を変えて反対側の壁面に沿って上昇し、且つある程度の風速と風量を維持できることが必要である。帯状気流8が半導体基板3の上方から垂直または垂直に近い角度で噴き付けられる場合には、凹部31の開口部のほぼ全面に高速気流が噴き付けられるので、下降気流の領域が圧倒的に優勢となって上昇気流の領域が殆どなくなり、高アスペクト比の溝や穴では気流が底面まで届かない。また、帯状気流8が半導体基板3の表面に並行に近い角度で噴射される場合には、凹部31内へ送り込まれる風量が少なくなるので、下降気流に十分な風量が得られず、凹部31の底部のコーナ等に残留する洗浄液を除去・乾燥させることができず、洗浄残渣を除去することは更に困難となる。したがって、下降気流の領域と上昇気流の領域とをバランス良く形成して溝等の内部の洗浄液等を確実に除去するためには、適当なノズル俯角が必要であり、溝や穴のアスペクト比に合わせてノズル俯角を調節することによって、最善の乾燥状態を得ることができる。
【0013】
ノズル位置・向き調節機構7は、半導体基板3に形成されている溝の長さ方向がどのような方向であっても、帯状気流8の方向が上記の下降気流領域および上昇気流領域をバランス良く形成させるための条件に合う方向になるように、帯状ノズル5の位置および向きを調節する部材である。現実問題としては、個々の溝の向きに合わせて帯状ノズル5の方向をそれぞれに調節することは不可能であるので、帯状ノズル5の位置および向きを周期的に変動させることによって、どの溝に対しても、望ましい条件で帯状気流8が噴き付けられる時間帯を存在させている。ノズルの向きを変えることによって気流の噴付け領域が変わるので、位置の調節機能も必要となる。ノズル5の向きは、基本的には、半導体基板3の回転方向に対向する方向において調節される。例えば、偏向範囲を、半導体基板3の回転方向に垂直に対向する方向から左右に45度とする。対向する方向において調節するのは、帯状気流8と半導体基板3との相対速度が大きくなる方向であるからである。
【0014】
なお、帯状ノズル5の幅が半導体基板3の半径より大きい場合等においては、ノズルの位置および向きの両方を調節しなくても良い場合もあり、ノズル位置・向き調節機構7を位置調節だけまたは向き調節だけの機構に換えることも可能である。
また、上記の実施例では、半導体基板3の表面を乾燥させているので、ノズル俯角調節機構6を備えているが、下面を同時に乾燥させる場合には、上面側と同様に、下面側に帯状ノズルとノズル仰角調節機構とノズル位置・向き調節機構とを備えればよい。下面側であるから、ノズル俯角調節機構がノズル仰角調節機構に変わっている。
【0015】
【発明の効果】
請求項1の発明においては、乾燥気体を帯状の高速気流にして基板表面に傾けて噴き付けて、高速気流が噴き付けられる側の溝等の壁面に沿って下降気流を発生させ、且つ溝等の反対側の壁面に沿って上昇気流を発生させるので、溝等の内部が下降気流の領域と上昇気流の領域とに分かれ、壁面に噴き付けられて発生した下降気流は、高速気流が噴き付けられる側の壁面に沿って溝等の底まで到達し、底面で方向を反転し、反対側の壁面に沿って上昇する上昇気流となる。この気流によって溝等の内部の洗浄液が溝等の内部から掃き出され、掃き出される洗浄液の流れによって洗浄残渣も除去される。したがって、この発明によれば、ウェット洗浄工程終了時の基板の高アスペクト比の溝等の内部まで清浄な状態で確実に乾燥させることができる基板乾燥方法を提供することができる。
【0016】
請求項2の発明においては、高速気流の噴き付け位置および方向の少なくともいずれかを周期的に変動させるので、高速気流がどの溝等の壁面にも確実に対向して噴き付けられ、前記の下降気流および上昇気流を確実に発生させることができ、全て溝等の内部の洗浄液および洗浄残渣を確実に除去することができる。
請求項3の発明においては、帯状の高速気流を発生するための帯状気流噴射手段、帯状の高速気流を基板表面に所定の角度で噴き付けるための気流噴付け角調節手段および帯状気流噴射手段の位置および向きを調節するためのノズル位置・向き調節手段を備えているので、乾燥対象の基板の被乾燥面の状態に合わせて高速気流をその被乾燥面に最適条件で噴き付けることができ、その結果として、前記の下降気流および上昇気流を確実に発生させることができ、全ての溝等の内部の洗浄液および洗浄残渣を確実に除去することができる。
【0017】
したがって、この発明によれば、ウェット洗浄工程終了時の基板の高アスペクト比の溝等の内部まで清浄な状態で確実に乾燥させることができる基板乾燥装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による基板乾燥装置の実施例の主要部を示す概念斜視図
【図2】この発明による基板乾燥方法および基板乾燥装置の乾燥メカニズムを説明するためのイメージ図
【図3】基板乾燥装置の従来例の主要部を示す概念斜視図
【図4】従来例の問題点を説明するためのイメージ図
【符号の説明】
1 ノズル
2 加熱乾燥窒素
2a 乾燥窒素
3 半導体基板
31 凹部
4 残留水
5 帯状気流噴射ノズル
6 ノズル俯角調節機構
7 ノズル位置・向き調節機構
8 帯状気流
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体基板等の基板をウェット洗浄した後に、洗浄液および洗浄残渣を基板上から除去し、基板表面を清浄な状態で乾燥させるための基板乾燥技術、特に、表面に高アスペクト比の溝や穴を有する基板の基板乾燥技術、に関する。
【0002】
【従来の技術】
浸漬式のウェットステーションで基板を処理する場合には、基板はカセットに収容されて処理される。純水等の洗浄液によるウェット洗浄後の乾燥工程においては、基板は、カセットに収容された状態で洗浄装置からスピンドライヤに移されてカセットごと回転させられ、遠心力で表面に付着・残留している洗浄液を振り飛ばされて除去され、乾燥される。しかし、この方法の場合には、得られる遠心力に限界がある。また、スピンドライヤ内に乾燥窒素等が送り込まれても、乾燥窒素等の気流と基板との相対速度を高くすることは困難であり、基板に当たる気流の方向を制御することはより困難である。更に、洗浄槽からスピンドライヤへカセットを移動させるまでのタイムラグにより基板上の洗浄液が不連続状態となる。これらの状況から、スピンドライヤによる乾燥工程では、基板上に洗浄液が残留し易く、特に溝や穴の中の液滴を除去することは難しく、洗浄残渣も残留し易い。
【0003】
一方、基板を1枚ずつ処理する枚葉処理の洗浄・乾燥方式の場合には、洗浄工程から乾燥工程へは連続的に切り替えられるので、上記のようなタイムラグに伴う問題はなくなるが、表面に高アスペクト比の溝等を有する基板を乾燥する場合には、被乾燥面から洗浄液や洗浄残渣を完全に除去することが困難である。
図3は、このような枚葉処理式の基板乾燥装置の従来例の主要部を示す概念斜視図であり、図4はこの装置の問題点を説明するためのイメージ図である。
この基板乾燥装置では、例えばシリコンウェハ等の半導体基板3を高速で公転または自転させることにより発生する遠心力を利用して洗浄液である水を振り切り、迅速に乾燥させようとするが、遠心力だけでは被乾燥面から水を完全に除去するに足る力を得ることは難しい。特に、図4に示すように、凹部(溝や穴)31を有する場合には、その底のコーナ部に残留水4が残ってしまうという致命的な欠点をもっている。この欠点を補うために、遠心力が小さくなる半導体基板3の中心部にノズル1から加熱乾燥窒素2を噴き付ける方法も採用されているが、凹部31が深い場合には、凹部31内から水を完全に排出して残留水4をなくすることは困難である。この問題は、アスペクト比が高くなるほどより顕著になる。
【0004】
この問題を解消するために、ノズル1から基板に噴き付ける気体をプラズマで励起された酸素ガスまたは水素ガスとする方法が、特開2002−9037号公報(特許文献1参照)に開示されている。この方法では、残留水等を分解して酸素や水素等の気体にして排出するので、分解された気体は確実に排出される。しかし、基板に噴き付ける気体を励起するためのプラズマ発生装置を装備することが必要である。
また、基板を高速で回転させた場合に舞い上がる水の飛沫が基板に再付着することを防止し、大形基板のような高速回転が困難な基板にも適用できる乾燥方法として、基板の回転中心から外周部までの間にライン状に気体を噴射する帯状のノズル(参照文献ではエアーナイフ)を用いる方法が、特開2001−349671号公報(特許文献2参照)に開示されている。この方法の場合には、基板の回転を遅くすることは可能となるが、高アスペクト比の溝等の内部の水を除去できるか否かに関しては言及されていない。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−9037号公報
【特許文献2】
特開2001−349671号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上の説明から明らかなように、高アスペクト比の溝等の内部の水等の洗浄液を除去して基板の被乾燥面を確実に乾燥させることは非常に難しい技術であり、洗浄工程で溝等の内部に洗浄残渣が再付着した場合には、この洗浄残渣を乾燥工程で除去することは更に難しい技術である。
この発明の課題は、ウェット洗浄工程終了時の基板の高アスペクト比の溝等の内部まで清浄な状態で確実に乾燥させることができる基板乾燥方法および基板乾燥装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、表面に高アスペクト比の溝等を有する基板をウェット洗浄した後に、乾燥気体の高速気流を基板に噴き付けて、洗浄液および洗浄残渣を基板表面から除去し、基板表面を乾燥させる枚葉処理・スピン方式の基板乾燥方法であって、乾燥気体を帯状の高速気流にして基板表面に傾けて噴き付けて、高速気流が噴き付けられる側の前記溝等の壁面に沿って下降気流を発生させ、且つ溝等の反対側の壁面に沿って上昇気流を発生させる。
乾燥気体を帯状の高速気流にして基板表面に傾けて噴き付けて、高速気流が噴き付けられる側の溝等の壁面に沿って下降気流を発生させ、且つ溝等の反対側の壁面に沿って上昇気流を発生させるので、溝等の内部が下降気流の領域と上昇気流の領域とに分かれ、壁面に噴き付けられて発生した下降気流は、高速気流が噴き付けられる側の壁面に沿って溝等の底まで到達し、底面で方向を反転し、反対側の壁面に沿って上昇する上昇気流となる。この気流によって溝等の内部の洗浄液が溝等の内部から掃き出され、掃き出される洗浄液の流れによって洗浄残渣も除去される。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、高速気流の噴き付け位置および噴き付け方向の少なくともいずれかを周期的に変動させる。噴き付け位置および噴き付け方向の少なくともいずれかを周期的に変動させることによって、溝等のパターンの向きがどの方向を向いていても、高速気流を全ての溝等の壁面に確実に対向して噴き付けることができる。その結果、全ての溝等で前記の下降気流および上昇気流を確実に発生させることができ、全ての溝等の内部の洗浄液および洗浄残渣を確実に除去することができる。
請求項3の発明は、表面に高アスペクト比の溝等を有する基板をウェット洗浄した後に、乾燥気体の高速気流を基板に噴き付けて、洗浄液および洗浄残渣を基板上から除去し、基板表面を乾燥させる枚葉処理・スピン方式の基板乾燥装置であって、帯状の高速気流を発生するための帯状気流噴射手段と、帯状の高速気流を基板表面に所定の角度で噴き付けるための気流噴付け角調節手段と、帯状気流噴射手段の位置および向きを調節するためのノズル位置・向き調節手段と、を備えている。
【0009】
帯状気流噴射手段、気流噴付け角調節手段およびノズル位置・向き調節手段を備えているので、乾燥対象の基板の被乾燥面の状態に合わせて高速気流をその被乾燥面に最適条件で噴き付けることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明による基板乾燥方法の特徴は、乾燥気体の帯状高速気流を基板表面に傾けて噴き付けることによって、基板の表面に形成されている溝や穴の、気流が噴き付けられる壁面側に、壁面に沿って下降する気流(下降気流)を発生させ、気流が上部を通過する壁面側には、下降気流が溝等の底で方向を変えて壁面に沿って上昇する気流に、上部を通過する高速気流による負圧も働かせて、壁面に沿って上昇する気流(上昇気流)を発生させ、溝や穴の内部にある水等の洗浄液を外部に掃き出させることである。したがって、この発明による基板乾燥装置は、このような下降気流および上昇気流を発生させるために、帯状気流噴射手段と気流噴付け角調節手段とノズル位置・向き調節手段とを備えている。
【0011】
この発明による基板乾燥方法および基板乾燥装置の実施の形態について、実施例を用いて更に詳しく説明する。
図1は、この発明による基板乾燥装置の実施例の主要部を示す概念斜視図であり、図2は、この発明による基板乾燥方法および基板乾燥装置の乾燥メカニズムを説明するためのイメージ図である。
この実施例は、帯状の高速気流(図1では帯状気流)8を噴射する帯状気流噴射ノズル(以下では「帯状ノズル」と呼ぶ)5と、被乾燥基板である半導体基板3の表面に対する噴射された帯状気流8の俯度(以下では「ノズル俯角」という)を調節するためのノズル俯角調節機構6と、半導体基板3に噴き付けられる帯状気流8の位置および向きを調節するためのノズル位置・向き調節機構7と、を備えており、帯状ノズル5には、加圧された乾燥窒素2aが供給されている。供給される乾燥窒素2aは、帯状ノズル5に接続されている不図示の電磁弁および流量計によって、その供給・停止および流量を制御される。
【0012】
ノズル俯角調節機構6は、半導体基板3の表面に形成されている溝や穴の形状に合わせてノズル俯角を最適値に調節する。この基板乾燥装置が有効に機能するためには、図2に示すように、凹部31の壁面に噴き付けられた帯状気流8が、その壁面に沿って下降し、底面で方向を変えて反対側の壁面に沿って上昇し、且つある程度の風速と風量を維持できることが必要である。帯状気流8が半導体基板3の上方から垂直または垂直に近い角度で噴き付けられる場合には、凹部31の開口部のほぼ全面に高速気流が噴き付けられるので、下降気流の領域が圧倒的に優勢となって上昇気流の領域が殆どなくなり、高アスペクト比の溝や穴では気流が底面まで届かない。また、帯状気流8が半導体基板3の表面に並行に近い角度で噴射される場合には、凹部31内へ送り込まれる風量が少なくなるので、下降気流に十分な風量が得られず、凹部31の底部のコーナ等に残留する洗浄液を除去・乾燥させることができず、洗浄残渣を除去することは更に困難となる。したがって、下降気流の領域と上昇気流の領域とをバランス良く形成して溝等の内部の洗浄液等を確実に除去するためには、適当なノズル俯角が必要であり、溝や穴のアスペクト比に合わせてノズル俯角を調節することによって、最善の乾燥状態を得ることができる。
【0013】
ノズル位置・向き調節機構7は、半導体基板3に形成されている溝の長さ方向がどのような方向であっても、帯状気流8の方向が上記の下降気流領域および上昇気流領域をバランス良く形成させるための条件に合う方向になるように、帯状ノズル5の位置および向きを調節する部材である。現実問題としては、個々の溝の向きに合わせて帯状ノズル5の方向をそれぞれに調節することは不可能であるので、帯状ノズル5の位置および向きを周期的に変動させることによって、どの溝に対しても、望ましい条件で帯状気流8が噴き付けられる時間帯を存在させている。ノズルの向きを変えることによって気流の噴付け領域が変わるので、位置の調節機能も必要となる。ノズル5の向きは、基本的には、半導体基板3の回転方向に対向する方向において調節される。例えば、偏向範囲を、半導体基板3の回転方向に垂直に対向する方向から左右に45度とする。対向する方向において調節するのは、帯状気流8と半導体基板3との相対速度が大きくなる方向であるからである。
【0014】
なお、帯状ノズル5の幅が半導体基板3の半径より大きい場合等においては、ノズルの位置および向きの両方を調節しなくても良い場合もあり、ノズル位置・向き調節機構7を位置調節だけまたは向き調節だけの機構に換えることも可能である。
また、上記の実施例では、半導体基板3の表面を乾燥させているので、ノズル俯角調節機構6を備えているが、下面を同時に乾燥させる場合には、上面側と同様に、下面側に帯状ノズルとノズル仰角調節機構とノズル位置・向き調節機構とを備えればよい。下面側であるから、ノズル俯角調節機構がノズル仰角調節機構に変わっている。
【0015】
【発明の効果】
請求項1の発明においては、乾燥気体を帯状の高速気流にして基板表面に傾けて噴き付けて、高速気流が噴き付けられる側の溝等の壁面に沿って下降気流を発生させ、且つ溝等の反対側の壁面に沿って上昇気流を発生させるので、溝等の内部が下降気流の領域と上昇気流の領域とに分かれ、壁面に噴き付けられて発生した下降気流は、高速気流が噴き付けられる側の壁面に沿って溝等の底まで到達し、底面で方向を反転し、反対側の壁面に沿って上昇する上昇気流となる。この気流によって溝等の内部の洗浄液が溝等の内部から掃き出され、掃き出される洗浄液の流れによって洗浄残渣も除去される。したがって、この発明によれば、ウェット洗浄工程終了時の基板の高アスペクト比の溝等の内部まで清浄な状態で確実に乾燥させることができる基板乾燥方法を提供することができる。
【0016】
請求項2の発明においては、高速気流の噴き付け位置および方向の少なくともいずれかを周期的に変動させるので、高速気流がどの溝等の壁面にも確実に対向して噴き付けられ、前記の下降気流および上昇気流を確実に発生させることができ、全て溝等の内部の洗浄液および洗浄残渣を確実に除去することができる。
請求項3の発明においては、帯状の高速気流を発生するための帯状気流噴射手段、帯状の高速気流を基板表面に所定の角度で噴き付けるための気流噴付け角調節手段および帯状気流噴射手段の位置および向きを調節するためのノズル位置・向き調節手段を備えているので、乾燥対象の基板の被乾燥面の状態に合わせて高速気流をその被乾燥面に最適条件で噴き付けることができ、その結果として、前記の下降気流および上昇気流を確実に発生させることができ、全ての溝等の内部の洗浄液および洗浄残渣を確実に除去することができる。
【0017】
したがって、この発明によれば、ウェット洗浄工程終了時の基板の高アスペクト比の溝等の内部まで清浄な状態で確実に乾燥させることができる基板乾燥装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による基板乾燥装置の実施例の主要部を示す概念斜視図
【図2】この発明による基板乾燥方法および基板乾燥装置の乾燥メカニズムを説明するためのイメージ図
【図3】基板乾燥装置の従来例の主要部を示す概念斜視図
【図4】従来例の問題点を説明するためのイメージ図
【符号の説明】
1 ノズル
2 加熱乾燥窒素
2a 乾燥窒素
3 半導体基板
31 凹部
4 残留水
5 帯状気流噴射ノズル
6 ノズル俯角調節機構
7 ノズル位置・向き調節機構
8 帯状気流
Claims (3)
- 表面に高アスペクト比の溝等を有する基板をウェット洗浄した後に、乾燥気体の高速気流を基板に噴き付けて、洗浄液および洗浄残渣を基板表面から除去し、基板表面を乾燥させる枚葉処理・スピン方式の基板乾燥方法であって、
乾燥気体を帯状の高速気流にして基板表面に傾けて噴き付けて、高速気流が噴き付けられる側の前記溝等の壁面に沿って下降気流を発生させ、且つ溝等の反対側の壁面に沿って上昇気流を発生させる、ことを特徴とする基板乾燥方法。 - 高速気流の噴き付け位置および噴き付け方向の少なくともいずれかを周期的に変動させる、ことを特徴とする請求項1に記載の基板乾燥方法。
- 表面に高アスペクト比の溝等を有する基板をウェット洗浄した後に、乾燥気体の高速気流を基板に噴き付けて、洗浄液および洗浄残渣を基板表面から除去し、基板表面を乾燥させる枚葉処理・スピン方式の基板乾燥装置であって、
帯状の高速気流を発生させるための帯状気流噴射手段と、帯状の高速気流を基板表面に所定の角度で噴き付けるための気流噴付け角調節手段と、帯状気流噴射手段の位置および向きを調節するためのノズル位置・向き調節手段と、を備えている、ことを特徴とする基板乾燥装置。
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JP2003207439A JP2005064043A (ja) | 2003-08-13 | 2003-08-13 | 基板乾燥方法および基板乾燥装置 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101336730B1 (ko) * | 2012-04-13 | 2013-12-04 | 주식회사 케이씨텍 | 기판 건조 장치 |
CN103943538A (zh) * | 2014-04-25 | 2014-07-23 | 苏州天霖电子科技有限公司 | 一种氮气加热装置 |
JP2015115472A (ja) * | 2013-12-12 | 2015-06-22 | 株式会社ディスコ | スピンナー洗浄装置 |
CN111341856A (zh) * | 2020-02-28 | 2020-06-26 | 通威太阳能(眉山)有限公司 | 一种制绒的脱水烘干方法 |
-
2003
- 2003-08-13 JP JP2003207439A patent/JP2005064043A/ja active Pending
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