JP2005063985A - 搬送装置及び搬送方法、露光装置及び露光方法、並びにデバイスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】マスク内空間のガスを短時間に効率良く安定して置換することができるガス置換装置、露光装置、及び及びデバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】一端部がマスク基板上のパターン形成領域の周囲に設けられ、少なくとも2つの通気部が形成された枠部材と、枠部材の他端部に設けられ、パターン形成領域を保護するための保護部材とを備えたマスク(R)を搬送する搬送装置(82,83)であって、マスク(R)を保持するマスク保持部材(111)と、マスク(R)とマスク保持部材(111)とを相対移動させて、マスク保持部材(111)にマスク(R)を保持した際に、少なくとも2つの通気部の一方に対向するガス供給口(112)とを備えるようにした。
【選択図】 図5
【解決手段】一端部がマスク基板上のパターン形成領域の周囲に設けられ、少なくとも2つの通気部が形成された枠部材と、枠部材の他端部に設けられ、パターン形成領域を保護するための保護部材とを備えたマスク(R)を搬送する搬送装置(82,83)であって、マスク(R)を保持するマスク保持部材(111)と、マスク(R)とマスク保持部材(111)とを相対移動させて、マスク保持部材(111)にマスク(R)を保持した際に、少なくとも2つの通気部の一方に対向するガス供給口(112)とを備えるようにした。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、半導体素子製造における露光工程で用いられるガス置換装置、露光装置及びデバイスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子、薄膜磁気ヘッド、液晶表示素子等のデバイスを製造するフォトリソグラフィー工程では、フォトマスクあるいはレチクルに形成されたパターンの像をフォトレジスト等の感光剤を塗布した基板上に転写させる露光装置が一般的に使用されている。そして、半導体メモリの大容量化やCPUプロセッサの高速化・高集積化の進展に伴い、基板上のショット領域に投影されるパターン形状の微細化の要請は年を追う毎に厳しくなり、露光装置に使用される露光用照明光(以下、「露光光」という)は、従来の主流であった水銀ランプに代わってKrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)のような短波長の光が用いられるようになってきている。また、更なるパターン形状の微細化を目指してF2レーザー(157nm)を用いた露光装置の開発が進められている。しかし、真空紫外線と呼ばれる約190nm以下の波長の光は、酸素分子、水分子、二酸化炭素分子等の物質(以下、吸光物質という)に吸収されやすいという性質を持つため、大気中を透過することができない。したがって、真空紫外線を露光光に用いる露光装置では、露光光が通過する空間内の吸光物質を低減して、露光光を基板上面まで十分な照度で到達させる必要がある。
【0003】
ところで、マスクには、パターン面へのゴミの付着を防止する保護装置が取り付けられているのが一般的である。この保護装置は、例えば、ニトロセルロース等を主成分とする透光性の薄膜を枠部材を介してマスク基板に装着するものである。したがって、上述のような真空紫外線を露光光として用いる場合には、保護装置とマスク基板と枠部材との間に形成される空間内(以下、マスク内空間と称する)の吸光ガスも低減し、露光光のエネルギー吸収の少ないガス(低吸光性ガス)を供給する技術がある。しかしながら、この薄膜は変形及び破損しやすいため、マスク内空間内の吸光ガスを低減し、低吸光性ガスを供給するといったガス置換を安定して行うことは困難である。このため、例えば、特開2001−230202号公報で示すように、マスクを収容した予備空間内のガス置換を行うことでマスク内空間内のガスを置換する技術が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−230202号公報(第11頁、第3図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の技術では、薄膜の破損や枠部材の変形を防止できるが、マスク内空間内のガス置換に時間を要するという問題がある。すなわち、露光処理中は、頻繁にマスクの交換を行う必要があるので、露光装置の処理能力を低下させないためには、マスク内空間内のガス置換を短時間かつ繰り返し行う必要がある。その一方で、薄膜及び枠部材が歪むと、光学性能を著しく劣化させる可能性があるので、薄膜及び枠部材の変形を最小限に抑える必要がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、マスク保護装置とマスク基板との間に形成されるマスク内空間のガスを短時間に効率良く安定して置換することができるガス置換装置、露光装置、及び及びデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る搬送装置等では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
第1の発明は、一端部がマスク基板(P)上のパターン形成領域(PA)の周囲に設けられ、少なくとも2つの通気部(h)が形成された枠部材(F)と、枠部材(F)の他端部に設けられ、パターン形成領域(PA)を保護するための保護部材(C)とを備えたマスク(R)を搬送する搬送装置(82,83)であって、マスク(R)を保持するマスク保持部材(111)と、マスク(R)とマスク保持部材(111)とを相対移動させて、マスク保持部材(111)にマスク(R)を保持した際に、少なくとも2つの通気部(h)の一方に対向するガス供給口(112)とを備えるようにした。この発明によれば、マスクが搬送される際に、マスクの通気部と搬送装置に設けたガス供給口とが対向するようになる。これにより、マスク内空間のガス置換を行うことが可能となる。
【0008】
また、マスク保持部材(211)は、マスク(R)が戴置されるマスクステージ(200)であり、ガス供給口(212)は、マスクステージ(200)に設けられ、かつマスク(R)がマスクステージ(200)に搬送された際に、少なくとも2つの通気部(h)の一方に対向するものでは、マスクがマスクステージに戴置された際に、マスクの通気部とマスクステージのガス供給口とが対向するようになる。
また、ガス供給口(112,212)に接続され、ガス供給口(112,212)を介して、枠部材(F)と保護部材(C)とマスク基板(P)とにより囲まれた空間(S)に対して所定ガス(G)を供給するガス供給機構(91)を備えるものでは、マスクの通気部を介して、マスク内空間内に所定ガスを供給することができる。
また、マスク保持部材(111,211)にマスク(R)を保持する際に、枠部材(F)とガス供給口(112,212)とを押し当てるものでは、マスクの通気部とガス供給口とが密着するので、所定ガスをもらさずにマスク内空間に供給することができる。
また、少なくとも2つの通気部(h)の他方は、枠部材(F)と保護部材(C)とマスク基板(P)とにより囲まれた空間(S)内の気体を排気するものでは、マスク内空間のガスが外部に放出されるので、ガス置換を効率よく行うことができる。
また、保護部材(C)に励起酸素を吹き付ける酸素供給部(131)を備えるものでは、保護部材内に発生した透過率低下物質を排除して、透過率の低下を防止することができる。
また、保護部材(C)に吹き付けた酸素を吸引する酸素吸引部(132)を備えるものでは、光路上に酸素が拡散することによる露光光の照度低下を防止することができる。
また、酸素を励起させる光源(133)を備えるものでは、酸素供給部から供給される酸素に光を照射することにより、確実に酸素を励起させることができる。
【0009】
第2の発明は、一端部がマスク基板(P)上のパターン形成領域(PA)の周囲に設けられ、少なくとも2つの通気部(h)が形成された枠部材(F)と、枠部材(F)の他端部に設けられ、パターン形成領域(PA)を保護するための保護部材(C)とを備えたマスク(R)を搬送する搬送方法であって、マスク(R)とマスク(R)を保持するマスク保持部材(111)とを相対移動させて、マスク保持部材(111)によりマスク(R)を保持する工程と、マスク保持部材(111)のうち、少なくとも2つの通気部(h)の一方に対向してガス供給口(112)から通気部(h)の一方を介して、枠部材(F)と保護部材(C)とマスク基板(P)とにより囲まれた空間(S)に対して所定ガス(G)を供給する工程と、有するようにした。この発明によれば、マスクが搬送される際に、マスクの通気部と搬送装置に設けたガス供給口とが対向するので、マスク内空間のガス置換を行うことが可能となる。
【0010】
また、マスク保持部材(211)は、マスク(R)が戴置されるマスクステージ(200)であり、マスク(R)がマスクステージ(200)に搬送された際に、マスクステージ(200)に設けられた少なくとも2つの通気部(h)の一方に対向するガス供給口(212)から、通気部(h)の一方を介して、空間(S)に対して所定ガス(G)を供給するものでは、マスクがマスクステージに戴置された際に、マスクの通気部とマスクステージのガス供給口とが接続されるので、マスク内空間のガス置換を行うことが可能となる。
また、保護部材(C)に励起酸素原子を吹き付けるものでは、保護部材内に発生した透過率低下物質を排除して、透過率の低下を防止することができる。
【0011】
第3の発明は、露光光(EL)のもとで、マスク(R)に形成されたパターン(PA)の像を基板(W)に転写する露光装置(STP)において、第1の発明に係るマスク搬送装置(82,83)を備え、露光光(EL)の光路(LS)中にマスク(R)を搬送するに先立って、マスク搬送装置(82,83)において、マスク基板(P)と保護部材(C)と枠部材(F)とから形成される空間(S)内の気体を所定ガス(G)に置換するようにした。この発明によれは、マスクの搬送中にマスク内空間のガス置換が行われるので、即座に十分な照度の露光光を基板に照射してパターンを転写することができる。
【0012】
第4の発明は、露光光(EL)のもとで、マスク(R)に形成されたパターン(PA)の像を基板(W)に転写する露光方法において、露光光(EL)の光路(LS)中にマスク(R)を搬送する方法として、第2の発明に係るマスク搬送方法を用いるとともに、マスク基板(P)と保護部材(C)と枠部材(F)とから形成される空間(S)内の気体を所定ガス(G)に置換するようにした。この発明によれは、マスクの搬送中にマスク内空間のガス置換が行われるので、露光光が減衰することなく、即座に十分な照度の露光光を基板に照射してパターンを転写することができる。
【0013】
第5の発明は、リソグラフィ工程を含むデバイスの製造方法において、リソグラフィ工程において第3の発明に係る露光装置(STP)、或いは第4の発明に係る露光方法を用いるようにした。この発明によれば、この発明によれば、微細なパターンを備えるデバイスを製造することができるので、半導体メモリの大容量化やCPUプロセッサの高速化・高集積化を達成することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る搬送装置及び搬送方法、露光装置及び露光方法、並びにデバイスの製造方法の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、保護装置PEを備えるレチクルRを示す模式図であって、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)におけるA−A断面図である。
レチクル(マスク)Rは、図1(a)及び図1(b)に示すように、レチクル板(マスク基板)Pと保護装置PEとから構成され、レチクル板P上のパターンPAを保護するために、例えば、レチクルと呼ばれる保護装置PEがレチクル板P上に設けられる。この保護装置PEは、フレーム(又はスタンド)と呼ばれる枠部材Fと薄膜(保護部材)Cとから構成され、略四角形の枠部材Fの一端部がレチクル板Pに接着されるとともに、他端部には薄膜Cが装着される。そして、図1(b)に示すように、保護装置PEとレチクル板Pとの間、すなわち、薄膜Cとレチクル板Pと枠部材Fとの間には、空間(以下、レチクル内空間Sと称する)が形成される。
薄膜Cとしては、通常、ニトロセルロース等を主成分とする厚さが1〜2μm程度の透光性のフィルム部材が用いられるが、波長120nm〜190nmの真空紫外線の露光光ELを良好に透過させるためにレチクル板P及びレンズ類と同材質の蛍石、フッ化マグネシウム、フッ化リチウム等の結晶材料や、石英ガラス又は、フッ素ドープ石英等で形成された厚さ300〜800μm程度の光学部材を用いてもよい。
枠部材Fには、後述するレチクル内空間S内のガス置換の際にガスが流通する通気孔(通気部)hが複数設けられる。通気孔hは、四角形状の枠部材Fのそれぞれの辺(直線部分)に2つずつ形成される。通気孔hの直径は、レチクル内空間Sのガス置換効率を考慮すると、1.0mm〜2.0mmの範囲で形成されることが望ましい。特に、直径が1.6mmであり、かつ各辺に2つずつ形成されることが望ましい。また、通気孔hは、枠部材Fのそれぞれの辺に2つずつ形成される構造に限らず、それぞれの辺に1つ形成したり、3つ以上形成したりしてもよい。また、通気孔hは、枠部材Fの辺のうち、互いに対向する2辺のそれぞれに少なくとも1つ以上の通気孔hを形成してもよい。さらには、互いに対向しない2辺に形成してもよい。これら通気孔hは、枠部材Fの内面と外面とを連通して、レチクル内空間Sと外部とのガスの流通を可能とする。
そして、通気孔hによって、例えば、航空機による輸送や天候の変化等によって大気圧が変化しレチクル内空間S内の気体が膨張、収縮した際に、通気孔hを介してレチクル内空間Sと外部との間で空気が流通してレチクル内空間S内の圧力と大気圧との圧力差が低減されることにより、レチクル内空間Sの膨張、収縮を抑えて薄膜Cの破損を防止する。
なお、通気孔hには、外部からレチクル内空間S内への塵埃の侵入を防止するエアフィルタや、酸性ガス、アルカリ性ガス、有機ガスといったガス状汚染化学物質の進入を防止するケミカルフィルタ等のフィルタFLを設けることが好ましい。
なお、露光時には、露光光ELがレチクル板P側から照射されてレチクル内空間Sを透過するので、レチクル内空間S内から吸光ガスを排除して、レチクル内空間S内で真空紫外光が減衰されないようにする必要がある。
【0015】
図2は、露光装置STPの構成を示す概念図である。図2において、露光装置STPは、真空紫外域の露光用照明光(露光光)ELをレチクルRに照明しつつ、レチクルRとウエハ(基板)Wとを一次元方向に相対的に同期移動させて、レチクルRに形成されたパターン(回路パターン等)PAを投影光学系40を介してウエハW上に転写するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置、いわゆるスキャニング・ステッパである。
この露光装置STPは、真空紫外域の露光光ELによりレチクルRを照明する露光照明系10、レチクルRを保持するレチクル室20、レチクル室20への大気流入を阻止するレチクル予備室30、レチクルRから射出される露光光ELをウエハW上に照射する投影光学系40、ウエハWを保持するウエハ室50、ウエハ室50への大気流入を阻止するウエハ予備室60、露光装置STPの動作を統括的に制御する主制御系70、レチクルR及びウエハWを露光装置STPに搬送する搬送系80、レチクル室20等の各空間内のガスを置換するガス置換系90(図4参照)から構成される。
露光装置STPには、後述する光源12から照射された露光光ELが、露光照明系10、レチクル室20及び投影光学系40を経てウエハ室50内に収納されたウエハWまで到達するように光路空間(光路)LSが形成されるが、露光光ELとして真空紫外域の波長の光を用いることから、この光路空間LSから露光光ELを吸収する吸光ガス(例えば、酸素、水蒸気、炭化水素系のガス)を低減させる必要がある。そのため、光路空間LSを形成する露光照明系10、レチクル室20、投影光学系40及びウエハ室50は、それぞれ密閉された空間(室)内に配置され、その各空間内から吸光ガスが排除される。そして、外部からの大気の侵入を遮断することにより、その状態が維持される。また、レチクルR及びウエハWの搬送の際に、光路空間LSに大気が侵入しないようにレチクル予備室30及びウエハ予備室60が設けられ、これらの空間内からも吸光ガスが排除される。
なお、密閉された空間とは、各空間(室)が外部(大気)から完全に遮断された完全密閉構造であってもよいし、各空間内の圧力が大気圧よりも高めに設定され、各空間内から外部に気体が漏れる構造であってもよい。また、各空間内の気圧が大気圧と同気圧であり、各空間と外部との間で気体の流れがほとんどない構造も含まれる。
【0016】
レチクル予備室30は、レチクルRの搬入及び搬出時に、レチクル室20への吸光ガスの流入を阻止するために設けられた空間であり、保護装置PEを備えるレチクルRをレチクル室20へ搬入するに先立ち、レチクル予備室30内から吸光ガスを排除することにより、レチクル室20すなわち光路空間LSへの吸光ガスの侵入と、露光光ELの減衰を防止するものである。
レチクル予備室30は、レチクル室20と密着して設けられ、隔壁31によって覆われて光路空間LSとは独立して異なる密閉空間を有している。レチクル室20と密着する隔壁31には、開口部32が形成され、この開口部32には主制御系70の指示によって開閉する開閉扉33が設けられる。また、開口部32と対向する隔壁31には、開口部34が形成されており、この開口部34にも主制御系70の指示によって開閉する開閉扉35が設けられる。したがって、開閉扉35及び開閉扉35を閉じることによって、レチクル予備室30は密閉されて外部からの大気の侵入が遮断される。
【0017】
レチクル室20は、後述する照明系ハウジング11、投影系ハウジング41及び隔壁31と隙間無く接合された隔壁21によって覆われた密閉空間内に、レチクルRを戴置するレチクルステージ装置200を備える。
また、レチクル室20は、レチクル予備室30と密着しており、開口部32を密閉する開閉扉35が開くことによりレチクル予備室30と連通し、開閉扉35を閉じることによってレチクル室20は密閉されて外部からのガスの流入が遮断される。また、隔壁21の天井部には、照明系ハウジング11の内部空間と、レチクルRが配置されるレチクル室20の内部空間とを分離する透過窓25が配置されている。この透過窓25は、露光照明系10からレチクルRに照明される露光光ELの光路上に配置されるため、真空紫外線である露光光ELに対して透過性の高い蛍石等の結晶材料によって形成される。
【0018】
レチクルステージ装置200について詳述する。図3は、レチクルステージ装置200を示す斜視図である。
レチクルステージ装置(マスクステージ)200は、コラム201(図2参照)に支持されたレチクル定盤202上を一対のYリニアモータ205によってY軸方向に所定ストロークで駆動されるレチクル粗動ステージ206と、このレチクル粗動ステージ206上を一対のXボイスコイルモータ207Xと一対のYボイスコイルモータ207YとによってX,Y,θZ方向に微小駆動されるレチクル微動ステージ208とを備える構成となっている。
各Yリニアモータ205は、レチクル定盤202上に非接触ベアリングである複数のエアベアリング(エアパッド)209によって浮上支持されY軸方向に延びる固定子205aと、この固定子205aに対応して設けられ、連結部材231を介してレチクル粗動ステージ206に固定された可動子205bとから構成されている。このため、運動量保存の法則により、レチクル粗動ステージ206の+Y方向の移動に応じて、固定子205aは−Y方向に移動する。この固定子205aの移動によりレチクル粗動ステージ206の移動に伴う反力を相殺するとともに、重心位置の変化を防ぐことができる。
レチクル粗動ステージ206は、レチクル定盤202の中央部に形成された上部突出部202bの上面に固定されY軸方向に延びる一対のYガイド232によってY軸方向に案内されるようになっている。また、レチクル粗動ステージ206は、各Yガイド232に対して不図示のエアベアリングによって非接触で支持されている。
レチクル微動ステージ208は、レチクルR上のパターンPAに対応した開口を有し、略コ字形のレチクルホルダ211を介してレチクルRがパターンPAを下にして吸着保持されるようになっている。
また、レチクル微動ステージ208の−Y方向の端部には、コーナキューブからなる一対のY移動鏡233a,233bが固定され、更に、レチクル微動ステージ208の+X方向の端部には、Y軸方向に延びる平面ミラーからなるX移動鏡234が固定されている。そして、これら移動鏡233a,233b,234に対して、レチクル室20の外部に設けた3つのレーザー干渉計235a〜235c(不図示)が各移動鏡との距離を計測することにより、レチクル微動ステージ208のX,Y,θZ(Z軸回りの回転)方向の位置が高精度に計測される。なお、レチクル微動ステージ208の位置計測情報(すなわち、レチクルRの位置情報)は、主制御系70に送信される。
【0019】
図2に戻り、露光照明系10は、光源12から照射された露光光ELがレチクルR上の所定の照明領域内にほぼ均一な照度分布で照射するために、オプティカルインテグレータを備える。そして、露光照明系10では、光源12から照射された露光光ELが透過窓25を介してレチクルR上の所定の照明領域内にほぼ均一な照度分布で照射する。そして、オプティカルインテグレータは、照明系ハウジング11の内部に収納、密閉される。
露光光ELには、波長約120nm〜約190nmの真空紫外線又は深紫外線であり、例えば、発振波長193nmのArFエキシマレーザー(ArFレーザー)、発振波長157nmのフッ素レーザー(F2レーザー)、発振波長146nmのクリプトンダイマーレーザー(Kr2レーザー)、発振波長126nmのアルゴンダイマーレーザー(Ar2レーザー)等が用いられる。
【0020】
投影光学系40は、蛍石、フッ化リチウム等のフッ化物結晶からなるレンズや反射鏡などの複数の投影レンズ系42を投影系ハウジング41(鏡筒)で密閉したものである。投影レンズ系42は、レチクルRを介して射出される照明光を所定の投影倍率β(βは、例えば1/4)で縮小して、レチクルRのパターンPAの像をウエハW上の特定領域(ショット領域)に結像させる。なお、投影光学系40の投影レンズ系42の各要素は、それぞれ保持部材(不図示)を介して投影系ハウジング41に支持され、該各保持部材は各要素の周縁部を保持するように例えば円環状に形成されている。
【0021】
ウエハ予備室60は、ウエハWの搬入及び搬出時に、ウエハ室50への吸光ガスの流入を阻止するために設けられた空間であり、ウエハ室50と密着して設けられ、隔壁61によって覆われて光路空間LSとは独立して異なる密閉空間を有している。ウエハ室50と密着する隔壁61には、開口部62が形成され、この開口部62には主制御系70の指示によって開閉する開閉扉63が設けられる。
また、開口部62と対向する隔壁61には、開口部64が形成されており、この開口部64にも主制御系70の指示によって開閉する開閉扉65が設けられる。
したがって、開閉扉65及び開閉扉65を閉じることによって、ウエハ予備室60は密閉されて外部からの大気の侵入が遮断される。
そして、ウエハ室50へのウエハWの搬入に先だって、ウエハ室50に隣接するウエハ予備室60にウエハWを一時的に収容し、ガス置換系90によってウエハ室50及びウエハ予備室60内の吸光ガスの濃度を低減させた後、ウエハ予備室60からウエハWをウエハ室50に搬入することにより、ウエハ室50への外気の混入を防いでいる。
【0022】
ウエハ室50は、投影系ハウジング41及び隔壁61と隙間無く接合された隔壁51によって覆われた密閉空間内に、ウエハWを真空吸着することによって保持するためのウエハホルダ52、ウエハステージ53を備える。ウエハ室50は、ウエハ予備室60と密着しており、開口部62を密閉する開閉扉63が開くことによりウエハ予備室60と連通し、開閉扉63を閉じることによってウエハ室50は密閉されて外部からのガスの侵入が遮断される。ウエハホルダ52は、ウエハステージ53に支持されるとともに、ウエハWを真空吸着によって保持する。ウエハステージ53は、互いに直交する方向へ移動可能な一対のブロックをベース54上に重ね合わせたものであって、不図示の駆動部によりXY平面内で移動可能となっている。
そして、ウエハ室50の外部に設けたレーザー干渉式測長器によってウエハステージ53のX方向およびY方向の位置が逐次検出されて、主制御系70に出力される。すなわち、ウエハ室50の−X側の隔壁51には光透過窓55が設けられている。これと同様に、隔壁51の+Y側(図2における紙面奥側)にも光透過窓55が設けられている。これらの光透過窓は、隔壁51に形成された開口部にこの開口部を閉塞する光透過部材(例えば、一般的な光学ガラス)を取り付けることによって構成されている。なお、光透過窓55を構成する光透過部材の取り付け部分からのガス漏れが生じないように、金属シールやフッ素系樹脂等による封止(シーリング)が施される。
ウエハホルダ52の−X側の端部には、平面鏡からなるX移動鏡56XがY方向に延設されている。このX移動鏡56Xにほぼ垂直にウエハ室50の外部に配置されたX軸レーザー干渉計57Xからの測長ビームが光透過窓55を透過して投射され、その反射光がX軸レーザー干渉計57Xに受光されることによりウエハWのX位置が検出される。また、略同様の構成により不図示のY軸レーザー干渉計57YによってウエハWのY位置が検出される。このように、X,Y軸の各レーザー干渉計57がウエハ室50の外部に配置されているので、各レーザー干渉計57から微量の吸光ガスが発生しても、これが露光光ELに対して悪影響を及ぼすことがない。なお、X,Y軸の各レーザー干渉計57からの吸光ガスの発生が抑制されている場合は、これら各部品をウエハ室50内に配置してもよい。
そして、ウエハステージ53のXY面内の移動により、ウエハW上の任意のショット領域をレチクルRのパターンPAの投影位置(露光位置)に位置決めして、レチクルRのパターンPAの像をウエハWに投影転写する。
【0023】
搬送系80は、レチクル搬送系81とウエハ搬送系85とから構成される。レチクル搬送系81は、レチクル予備室30の内部に配置されたロボットアーム(搬送装置)82と、露光装置STPの外部に配置されたロボットアーム(搬送装置)83と、ロボットアーム82,83を制御する制御部84(不図示)とから構成される。そして、ロボットアーム83は、露光処理に使用するレチクルRを露光装置STPに付設されたレチクルライブラリ89から開口部34を介してレチクル予備室30に搬入し、また、露光処理が完了したレチクルRをレチクル予備室30内からレチクルライブラリ89に搬出する。ロボットアーム82は、レチクル予備室30内に搬送されたレチクルRを開口部32を介してレチクル室20に搬送し、また、露光処理が完了したレチクルRをレチクル室20からレチクル予備室30に搬出する。なお、レチクルライブラリ89は複数の棚を有しており、各段の棚にはそれぞれ異なるパターンPAを有するレチクルRが収納、保管される。
ウエハ搬送系85は、ウエハ予備室60の内部に配置されて開口部62を介してウエハ室50に対してウエハWを搬送するロボットアーム86と、露光装置STPの外部に配置されて開口部64を介してウエハ予備室60に対してウエハWを搬送するロボットアーム87と、ロボットアーム86,87を制御する制御部88(不図示)とから構成される。そして、ロボットアーム87は、露光装置STPの外部にある前工程から搬送されてきた露光処理前のウエハWをウエハ予備室60内に搬入し、また、露光処理が完了したウエハWをウエハ予備室60から露光装置STPの外部にある次工程に向けて搬出する。
なお、制御部84,88は通信路を介して主制御系70と接続されており、主制御系70と各種情報をやり取りすることにより、露光装置STPと連動してレチクル搬送系81及びウエハ搬送系85を制御する。
【0024】
図4は、ガス置換系90を示す概念図である。ガス置換系90は、露光照明系10、レチクル室20、レチクル予備室30、投影光学系40、ウエハ室50、ウエハ予備室60の各空間内に存在するガスを露光光ELに対する吸収性が酸素より少ない特性を有するガス、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン等、又はこれらの混合ガス(以下、これらを低吸光性ガス(所定ガス)Gという)に交換(置換)するものであり、各空間内に低吸光性ガスGを供給するガス供給装置91と、各空間内のガスを外部に排気するガス排気装置96とから構成される。また、ガス置換系90は、搬送系80に設けられるレチクル用ガス置換部110及びレチクルステージ装置200に設けられるレチクル用ガス置換部210にも接続され、レチクル用ガス置換部110,210に戴置されるレチクルRのレチクル内空間Sにも低吸光性ガスGを供給する。
ガス供給装置(ガス供給機構)91は、低吸光性ガスGを貯蔵するガスボンベ92、ガスボンベ92から低吸光性ガスGを送り出す供給ポンプ93、供給ポンプ93と各空間内とを連結する供給管路95(95a〜95h)、供給管路95の管路の途中に設けられた供給用制御弁94(94a〜94h)とから構成される。また、ガス排気装置96は、ガスを吸引する排気ポンプ97、排気ポンプ97と各空間とを連結する排気管路99(99a〜99f)、排気管路99の管路の途中に設けられた排気用制御弁98(98a〜98f)とから構成される。
そして、供給管路95(95a〜95f)を介して各空間内に低吸光性ガスGを供給するとともに、各空間内のガスを排気管路99を介して外部に排気することにより、各空間内に存在する吸光ガスの濃度を低減させる、ガス置換が行われる。また、レチクル用ガス置換部110,210には、供給管路95g,95hを介して、戴置されたレチクルRのレチクル内空間Sに低吸光性ガスGを供給するが、レチクル内空間S内のガスは、通気孔hを介してレチクル室20及びレチクル予備室30、或いは外部に排気される。
なお、各空間内の気圧を大気圧より高く、具体的には、大気圧に対して1〜10%程度高くする。これらガス供給装置91及びガス排気装置96のガス供給量及び排気量は、主制御系70の指示に基づいて各ポンプ93,97が動作し、また各制御弁94,98が開閉することにより制御される。また、供給管路95及び排気管路99の管路の一部にはエアフィルタ及びケミカルフィルタが設けられ、各空間内への塵埃等の侵入が防止されている。
【0025】
図5は、ロボットアーム82,83に設置されたレチクル用ガス置換部110を示す斜視図である。図6(a)はレチクル用ガス置換部110の断面図、図6(b)は図6(a)のB−B断面図、図6(c)は図6(a)のC−C断面図である。
レチクル用ガス置換部110は、ロボットアーム82,83の先端に設けられる把持部111に形成される。把持部(マスク保持部材)111は、2本の腕部111a,111bと、この腕部111a,111bを支持する基底部111cとを有し、2本の腕部111a,111bが基底部111cによって略コ字形に形成された部材からなり、その先端部分(コ字形の開口部分。以下、開口部113という。)からパターンPAを下にしたレチクルRを内部に案内し、吸着保持する。
把持部111の内側表面には、レチクル板Pの周縁部を支持するガイド部114が形成される。ガイド部114は、パターンPAを下にしたレチクルRを把持部111の内部に案内するとともに、レチクル板Pの周縁部表面を吸着保持する吸着部116を有する。
また、把持部111の基底部111cには、ガス供給口112が開口する。ガス供給口112は、把持部111に収容、保持されたレチクルRの通気孔hと対向する位置に設けられる。そして、ガス供給口112は、供給管路95gと接続しており、収容されたレチクルRのレチクル内空間Sに低吸光性ガスGを供給するガス供給経路を形成する。
したがって、レチクルRを把持部111の開口部113から挿入すると、レチクル板Pの周縁部が把持部111の内側のガイド部114と係合し、ガイド部114上を滑って内部に案内される。そして、把持部111がレチクルRを支持すると、通気孔hとガス供給口112とが特別な位置合わせ作業をすることなく、対向する。なお、通気孔hとガス供給口112とを確実に対向させるために、ガイド部114の奥側には、テーパー部分115が設けられている。そして、通気孔hとガス供給口112とが対向すると、吸着部116はレチクルRを吸着保持する。
更に、枠部材Fと基底部111cとは、微少な隙間を空けて非接触状態で対抗させてもよく、或いは枠部材Fと基底部111cとを接触させて通気孔hとガス供給口112とを接続してもよい。枠部材Fと基底部111cとを接触させる場合、その接触部分にシール部材121を設け、ガスの給気時に接触部分からのガスの漏出を防止することが望ましい。
また、把持部111の基底部111cには、緩衝部材122が設けられる。緩衝部材122は、レチクルRと把持部111との衝突による衝撃を吸収して、枠部材Fの変形を防止するものである。本実施形態では、枠部材Fの角部を緩衝部材122に衝突させている。その理由は、枠部材Fの角部は挿入方向の力に対する剛性が高く、この部分に力を付加しても枠部材Fが変形しづらいからである。なお、緩衝部材122とシール部材121とを一体に構成することも可能である。また、枠部材Fではなく、レチクル板Pを緩衝部材122に衝突させるように配置してもよい。
【0026】
図7は、レチクルステージ装置200に設置されたレチクル用ガス置換部210を示す模式図一部断面図である。レチクル用ガス置換部210は、レチクルホルダ211に形成される。レチクルホルダ(マスク保持部材)211は、レチクル微動ステージ208上に配置され、レチクル板Pの周縁部と係合するように、略コ字状に形成された部材からなる。そして、レチクルホルダ211は、開口部213(コ字形の開口部分)側から搬入されたレチクルRを支持し、吸着保持する。
また、レチクルホルダ211の内壁211cには、ガス供給口212が開口する。ガス供給口212は、レチクルホルダ211に収容されたレチクルRの通気孔hと対向する位置に設けられる。そして、ガス供給口212は、供給管路95hと接続しており、戴置されたレチクルRのレチクル内空間Sに低吸光性ガスGを供給するガス供給経路を形成する。
したがって、パターンPAを下にしたレチクルRをレチクルホルダ211の開口部213側から搬入すると、レチクル板Pの周縁部がレチクルホルダ211の上面と係合し、レチクルホルダ211上面を滑って案内される。そして、レチクルホルダ211がレチクルRを支持すると、通気孔hとガス供給口212とが特別な位置合わせ作業をすることなく、対向する。そして、通気孔hとガス供給口212とが対向すると、レチクルホルダ211はレチクルRを吸着保持する。すなわち、レチクルホルダ211は、上述した把持部111と同様に機能する。
そして、把持部111と同様に、テーパー部215、シール部材221(不図示)、緩衝部材222(不図示)が設けられる。これらの部材は、同一のレチクルRに同一に作用するものなので、同一形状、同一材質のものを用いることが可能である。
【0027】
図8は、薄膜改質部130を示す概念図である。薄膜改質部130は、薄膜Cに励起酸素を吹き付けることにより、薄膜Cを改質させるものである。
薄膜改質部130は、酸素供給部131と酸素吸引部132と酸素を励起させるランプ(光源)133から構成される。酸素供給部131と酸素吸引部132とは、図8に示すように、一体に形成され、酸素供給部131から薄膜Cに向けて酸素を吹き付け、その酸素を酸素供給部131の周囲に配置した酸素吸引部132により吸引する。そして、酸素供給部131から薄膜Cに向けて吹き付けた酸素に対して、ランプ133から光を照射することにより、酸素は光を吸収し、活性な励起酸素(原子状酸素)に分解される。このようにして、薄膜Cに励起酸素を吹き付けて、薄膜Cを改質させることができる。
薄膜Cに励起酸素を吹き付けることにより、薄膜Cが改質される理由は、以下の通りである。露光光ELとして、例えば、F2レーザーを用いると、薄膜Cは、露光光ELにより変質して、透過率が低下する。これは、F2レーザーにより、薄膜C内に透過率低下物質(有機物)が発生しているものと考えられている。
透過率が低下すると、露光光ELが十分な十分な照度でウエハWまで到達させることができなくなるので、薄膜Cを交換する必要がある。
一方、透過率が低下した薄膜Cに励起酸素を与えると、透過率が回復することが知られている。これは、酸素を励起させる光が薄膜Cに発生した透過率低下物質の結合を切断するとともに、励起酸素の酸化作用により,有機物は酸化分解揮発されると考えられている。
そして、薄膜改質部130は、レチクル室20内にレチクルステージ装置200と離間した位置に設けられ、薄膜C内に透過率低下物質が発生したレチクルRをレチクルステージ装置200上から薄膜改質部130の直上に退避させて、薄膜Cの改質処理を行うことにより、薄膜Cの寿命を延ばすことが可能となる。
なお、酸素供給部131の周囲に酸素吸引部132を配置して、酸素供給部131から供給された酸素を吸引するのは、酸素供給部131から供給される酸素がレチクル室20内に拡散し、露光光ELを吸光してしまわないようにするためである。また、露光処理を行う前のレチクルRに対して改質処理を行うために、薄膜改質部130をレチクル予備室30内に配置してもよい。更に、酸素供給部131から供給される酸素を励起させる光として、露光光ELを用いてもよい。この場合には、ランプ133を省略することが可能である。
【0028】
図2に戻り、主制御系70は、露光装置STPを統括的に制御するものである。例えば、露光量(露光光の照射量)や後述するレチクルステージ装置200及びウエハステージ53の位置等を制御して、レチクルRに形成されたパターンPAの像をウエハW上のショット領域に転写する露光動作を繰り返し行う。また、主制御系70には、各種演算を行う演算部71の他、各種情報を記録する記憶部72が設けられる。
【0029】
続いて、以上のような構成を備えた露光装置STPを用いて、光路空間LS及びレチクルRのレチクル内空間Sのガスを置換する方法と、ガス置換を行ったレチクルRに露光光ELを照射して露光を行う方法について説明する。
ここで、本実施形態におけるガス置換方法及び露光方法では、光路空間LS内の吸光ガスをガス置換系90により低減する第1工程、ロボットアーム82に設置されたレチクル用ガス置換部110によりレチクルRのレチクル内空間Sを低吸光性ガスGに置換する第2工程、レチクルRをレチクル予備室30に搬入する第3工程、ロボットアーム83に設置されたレチクル用ガス置換部110によりレチクルRのレチクル内空間Sを低吸光性ガスGに置換する第4工程、レチクルRをレチクル室20に搬入する第5工程、レチクル用ガス置換部210によりレチクルRのレチクル内空間Sを低吸光性ガスGに置換する第6工程、ウエハWをウエハ室50に搬入する第7工程、ウエハWにレチクルRのパターンPAを露光する第8工程、薄膜改質部130により薄膜Cの改質を行う第9工程、レチクルR及びウエハWを露光装置STP外に搬出する第10工程、からなる。
【0030】
まず、光路空間LS内に存在する吸光ガスをガス置換系90により低減する第1工程では、主制御系70の指示により、各空間に設けた供給用制御弁94(94a〜94f)及び排気用制御弁98(98a〜98f)を開放するとともに、供給ポンプ93及び排気ポンプ97を動作させて、ガスボンベに貯蔵された低吸光性ガスGを供給管路95から各空間に送る。また、各空間内に存在した吸光ガスを含むガスを排気管路99から排気される。なお、開閉扉33,35,63、65は、全て閉じておく。このようにして、各空間内に存在する吸光ガスの濃度を低減させる。また、各空間内は、所定の圧力に設定される。各空間のガス置換は、露光処理を行う直前ではなく、できるだけ事前から継続して行うことが望ましい。なぜならば、各空間内に配置されたレンズ、隔壁、ステージ等の構成要素の表面に吸着していた大量の水(H2O)分子が時間をかけて序々に分離して各空間内に放出され、露光光ELを吸収して透過率低下や透過率変動を招くからである。そして、ガス置換を行った後は、この状態を維持するために、各空間に設けた供給用制御弁94及び排気用制御弁98を閉鎖したり、また、供給管路95と排気管路99とを連結して各空間内に充満した低吸光性ガスGを循環させたりしてもよい。低吸光性ガスGを循環させることにより、供給管路95及び排気管路99の管路の一部に設けたエアフィルタ及びケミカルフィルタにより、循環されるガス中に微少に含まれる煤塵や有機ガス(この有機ガスは各空間を構成する部材や各空間内に存在する配線等の表面から分離するガスを含む)を除去することができる。
【0031】
次に、ロボットアーム83に設置されたレチクル用ガス置換部110により、レチクルRのレチクル内空間Sを低吸光性ガスGに置換する第2工程について説明する。レチクルライブラリ89には、複数のレチクルRが、それぞれパターンPAを下にして収納されている。ロボットアーム83は、レチクルライブラリ89内に把持部111を挿入し、レチクルRを把持して、搬出する。
この際、レチクルRは、把持部111の開口部113から把持部111の内部に収容され、レチクル板Pの周縁部が把持部111の内側のガイド部114と係合し、ガイド部114上を滑って把持部111の内部に案内される。そして、把持部111にレチクルRが収容されると、通気孔hとガス供給口112とが、特別な位置合わせ作業をすることなく、対向する。なお、テーパー部115により、通気孔hがガス供給口112に確実に案内される。そして、通気孔hとガス供給口112とが対向すると、ガイド部114は、レチクルRを吸着保持する。
そして、ロボットアーム83がレチクルRをレチクル予備室30に搬入するまでの間に、レチクル用ガス置換部110により、レチクル内空間Sを低吸光性ガスGに置換する。レチクル内空間Sのガス置換は、供給用制御弁94gを開放し、供給管路95gを通して通気孔hからレチクル内空間S内に低吸光性ガスGを供給する。そして、低吸光性ガスGが供給されることに、レチクル内空間S内に存在していた吸光ガスが通気孔hを通して外部に押し出されて、排気されることにより行われる。
なお、枠部材Fを基底部111cに押し付けて接続部分の密着度を上げて、ガス漏洩を防止する。例えば、把持部111を傾斜させて、レチクルRを把持部111の奥まで収容することにより、枠部材Fを基底部111cに押し付けることができる。そして、通気孔hの周囲とガス供給口112の周囲との接触部分にシール部材121が設けられているため、ガスの漏出が防止されて、短時間で効率よくガス置換が行われる。このとき、緩衝部材122により枠部材Fの変形が抑制される。
このようにして、薄膜Cの破損、枠部材Fの変形を防止しつつ、短時間で効率よくレチクル内空間Sのガス置換を行うことができる。
【0032】
レチクルRをレチクル予備室30に搬入する第3工程では、まず、主制御系70がレチクル搬送系81の制御部84に指令することにより、ロボットアーム83が、レチクル内空間Sのガス置換が完了したレチクルRを搬送する。なお、レチクル内空間Sのガス置換が未完了であっても、露光開始までにガス置換が完了するのであれば、搬送しても構わない。
そして、レチクルRを把持したロボットアーム83が開閉扉35に近づくと、主制御系70の指令によりレチクル予備室30の開閉扉35が開く。そして、ロボットアーム83が開閉扉35からレチクル予備室30内にレチクルRを搬入し、レチクル予備室30内に収容する。そして、ロボットアーム83がレチクル予備室30から退避すると、開閉扉35が閉じる。このようにして、レチクルRがレチクル予備室30内に搬入される。このとき、レチクル予備室30内の気圧を大気圧に比べて高く設定して外気の侵入を防止しているが、レチクルRを搬入することによりレチクル予備室30内に大気が侵入してしまう。したがって、このままレチクルRをレチクル室20に搬入すると、レチクル室20内に吸光ガスを含んだ大気が侵入し、露光光ELを著しく吸収して、許容できない程度の透過率低下や透過率変動を招いてしまう。そのため、レチクル室20へのレチクルRの搬入に先だって、レチクル予備室30のガス置換を再び行う。ガス置換の手順は上述した手順と同一である。そして、レチクル予備室30内の吸光ガスの濃度を低減させた後にレチクルRをレチクル室20に搬入することにより、レチクル室20への大気の侵入を防ぐことができる。
【0033】
次に、ロボットアーム82に設置されたレチクル用ガス置換部110により、レチクルRのレチクル内空間Sを低吸光性ガスGに置換する第4工程では、まず、ロボットアーム82は、レチクル予備室30内に収容されたレチクルRを把持する。この際、レチクルRは、第2工程と同様に、把持部111の開口部113から把持部111の内部に収容され、レチクル板Pの周縁部が把持部111の内側のガイド部114と係合し、ガイド部114上を滑って把持部111の内部に案内される。これにより、通気孔hとガス供給口112とが対向する。
そして、ロボットアーム82がレチクルRをレチクル室20に搬入するまでの間に、レチクル用ガス置換部110により、レチクル内空間Sを低吸光性ガスGに置換する。レチクル内空間Sのガス置換は、第2工程の場合と同様であるので、説明を省略する。なお、レチクル内空間S内の吸光ガスは、ガス供給口112に対向していない他の通気孔hからレチクル予備室30内に押し出されるが、レチクル予備室30内のガス置換の際に、排気管路99cを通して外部に排気される。
なお、第2工程及び第4工程の両工程において、レチクル内空間Sのガス置換を行う場合に限らず、第2工程或いは第4工程のいずれか一方においてガス置換を行ってもよい。
【0034】
そして、レチクルRをレチクル室20に搬入する第5工程では、主制御系70の指示により開閉扉33が開くとともに、主制御系70から指令を受けた制御部84によりロボットアーム82が動作して、レチクルRをレチクル室20に搬入する。そして、ロボットアーム82がレチクルRを開閉扉33を介してレチクル室20内に搬送して、レチクルホルダ211上に戴置する。ロボットアーム82がレチクル室20から退避すると開閉扉33が閉じる。
このように、レチクルRがレチクル予備室30を経由してレチクル室20に搬送されたので、大気がレチクル室20に直接流れ込むことがなく、即座に露光処理に移行できる。特に、レチクルRは、既にレチクル内空間Sのガス置換を終えているので、即座に露光処理に移ることができる。
【0035】
次に、レチクル用ガス置換部210によりレチクルRのレチクル内空間Sを低吸光性ガスGに置換する第6工程について説明する。まず、ロボットアーム82により、レチクルRがレチクルホルダ211上に戴置される。この際、レチクルRは、レチクルホルダ211の開口部213からレチクルホルダ211の内部に収容され、レチクル板Pの周縁部がレチクルホルダ211と係合し、レチクルホルダ211上を滑って案内される。そして、レチクルホルダ211にレチクルRが収容されると、通気孔hとガス供給口212とが、特別な位置合わせ作業をすることなく、対向する。そして、通気孔hとガス供給口112とが対向すると、レチクルホルダ211は、レチクルRを吸着保持する。
そして、露光処理を行うに先立って、レチクル用ガス置換部210により、レチクル内空間Sを低吸光性ガスGに置換する。レチクル内空間Sのガス置換は、供給用制御弁94hを開放し、供給管路95hを通して通気孔hからレチクル内空間S内に低吸光性ガスGを供給する。そして、低吸光性ガスGが供給されると、レチクル内空間S内に存在していた吸光ガスが通気孔hを通して、レチクル室20に押し出される。押し出された吸光ガスは、レチクル室20のガス置換の際に、排気管路99bを通して外部に排気される。
なお、テーパー部215、シール部材221、緩衝部材222の作用は、テーパー部115、シール部材121、緩衝部材122の作用と同様である。
このように、レチクルステージ装置200上においても、短時間で効率よくレチクル内空間Sのガス置換を行うことができる。
なお、本工程は、第2工程或いは第4工程において、既にレチクル内空間Sのガス置換が行われている場合には、これらの工程は省略可能であるが、露光処理の直前にレチクル内空間Sのガス置換を行うことにより、レチクルRの搬送中にレチクル内空間Sに大気が混入する不具合を確実に防止することができる。
【0036】
ウエハWを搬入する第7工程では、主制御系70の指令により開閉扉65が開き、主制御系70から指令を受けた制御部88によりロボットアーム87が動作して、前工程から搬送されてきたウエハWをウエハ予備室60に搬入する。そして、ロボットアーム87がウエハ予備室60から退避すると、開閉扉65が閉じて、ウエハ予備室60内のガス置換が開始される。その後、開閉扉63が開き、ロボットアーム86がウエハWをウエハ予備室60からウエハ室50内の搬入し、ウエハホルダ52上に戴置する。ロボットアーム86がウエハ室50ら退避すると、開閉扉63が閉じる。このようにして、ウエハ室50内への大気の流入が阻止される。そして、次工程においてウエハWが露光されている間に、ウエハ予備室60には次のウエハWが搬送され、即座にウエハWの入れ換えが行えるように準備される。なお、ウエハ予備室60に一度に複数枚のウエハWを搬入するようにして、開閉扉65の開閉、及びウエハ予備室60のガス置換の回数を減らすようにしてもよい。
【0037】
ウエハWにレチクルRのパターンPAを露光する第8工程では、従来通りの露光作業が行われる。この際、光路空間LS内には、低吸光性ガスGが充満し、吸光ガスが排除されているので、真空紫外線光が十分な強度でウエハWまで到達する。したがって、真空紫外線光を用いたパターンの微細化が実現できる。
【0038】
次に、薄膜改質部130により薄膜Cの改質を行う第9工程について説明する。上述したように、露光処理を行うと、薄膜C内に透過率低下物質が発生して、透過率が低下する。そのため、透過率が低下して、使用不可能となる前に、レチクルRをレチクルステージ装置200から退避して、薄膜改質部130の直上に移動ささせる。
そして、薄膜改質部130の酸素供給部131から薄膜Cに向けて酸素を吹き付けると同時に、その酸素に向けてランプ133から光を照射する。これにより、酸素は光を吸収し、活性な励起酸素(原子状酸素)に分解される。したがって、薄膜Cには、励起酸素が吹き付けられ、酸素を励起させる光により薄膜Cに発生した透過率低下物質の結合が切断されるとともに、励起酸素の酸化作用により,有機物は酸化分解揮発される。
このようにして、薄膜Cが改質されて、透過率が改善される。また、酸素供給部131から薄膜Cに向けて吹き付けられた酸素は、酸素吸引部132により吸引されて、外部に排気されることにより、酸素がレチクル室20内に拡散し、露光光ELを吸光することが防止できる。
そして、薄膜Cが改質されたレチクルRは、再び、レチクルステージ装置200上に戻されて、露光処理が再開される。
なお、第9工程は、必要に応じて行えばよく、省略することも可能である。
【0039】
最後に、レチクルR及びウエハWを露光装置STP外に搬出する第10工程は、レチクルR及びウエハWを搬入作業を後戻りするように行われる。すなわち、レチクルR及びウエハWは、ロボットアーム82,86により各予備室30,60に搬出され、更にロボットアーム83,87により外部に搬出される。その際、開閉扉33,35,63,65が順次開閉して、レチクル室20、ウエハ室50内への大気の流入が阻止される。
なお、レチクルR及びウエハWを露光装置STP外に搬出した直後に、光路空間LS内のガス置換を行うことが望ましい。また、レチクルRを露光装置STP外に搬出する際には、レチクル内空間Sのガス置換を行う必要はない。
【0040】
以上のようにして、光路空間LSから吸光ガスが低減され、真空紫外線が十分な強度を保ったままウエハWの露光面まで到達させることができる。また、繰り返し露光処理を行う場合には、以上の処理を繰り返して行えばよい。
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲においてプロセス条件や設計要求等に基づき種々変更及び省略可能である。本発明は、例えば以下のような変更をも含むものとする。
【0041】
例えば、ロボットアーム82,83は、シングルアームの場合に限らず、図9に示すように、ダブルアーム(旋回アーム)であってもよい。この場合には、各アームにレチクル用ガス置換部110を設置したり、レチクルRの搬入に用いるアームにのみにレチクル用ガス置換部110を設置したりしてもよい。
また、本実施形態では、レチクル内空間Sのガス置換を行うレチクル用ガス置換部110,210を複数設置する場合について説明したが、少なくとも1箇所以上存在すればよい。すなわち、ロボットアーム82のみに設置したり、レチクルステージ装置200のみに設置したりしてもよい。
【0042】
また、レチクルRの枠部材Fの通気孔hを介して、レチクル内空間Sをガス置換する際に、枠部材Fの通気孔hに取り付けられているフィルタFLを取り外してもよい。
また、例えば、ガス供給口112,212と接続する通気孔hに比べて、他の通気孔hの径を大きしたり、数を増やしたりして、ガスの排出を効率よくしてもよい。
【0043】
また、レチクルRの通気孔hの周囲とガス供給口112,212の周囲とを密着又は近接するために、バネ等の弾性体による付勢装置も設けてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、枠部材Fと基底部111cとを密着させて、低吸光性ガスGを供給し、かつ枠部材Fに形成された他の通気孔hからレチクル内空間Sに存在していた吸光ガスを排気する構成について説明したが、次のように構成することも可能である。予めレチクル予備室30又はレチクル室20を低吸光性ガスGで満たし、その後に、枠部材Fの通気孔hに、ガス供給口112,212から低吸光性ガスGを供給せずに、空気を吸引するようにする。これにより、レチクル内空間Sの吸光ガスが通気孔hを介して排気され、レチクル予備室30又はレチクル室20に満たされている低吸光性ガスGが枠部材Fの他の通気孔hを介してレチクル内空間Sに導かれ、最終的には、レチクル内空間Sが低吸光性ガスGにガス置換される。
【0045】
また、上述したレチクルライブラリ89の代わりに、レチクル(マスク)Rを収納する手段として、不活性ガスが充填されたマスク搬送ケース(例えば、密閉度を向上させて構成したSMIFポット)を用いてもよい。この場合、このマスク搬送ケース内に収納されているレチクルRのレチクル内空間Sは通常は低吸光性ガスGで置換されていると考えられるが、薄膜Cや枠部材Fからの脱ガス(アウトガス)によってレチクル内空間Sが汚染されている虞があるため、レチクル室20に搬入する前に、ガス置換を実施するのが好ましい。
また、上記実施形態では、大気中にレチクルライブラリ89を設け、レチクルライブラリ89とレチクル予備室30との間でレチクルRを搬送するロボットアーム83を備える構成としたが、これに限らず、レチクルライブラリ89を低吸光性ガスGで満たされた空間内に収容し、レチクルライブラリ89とレチクル予備室30との間に低吸光性ガスGで所定圧に満たされたレチクル搬送路が設けてもよい。また、レチクルライブラリ89をレチクル予備室30内に配置してもよい。
【0046】
また、露光照明系10、レチクル室20、投影光学系40、及びウエハ室50における各室内や、レチクル予備室30、ウエハ予備室60の各室内を満たす低吸光性ガスGとして、全てを同一種類としてもよいし、異なる種類の混合ガスを用いてもよい。この低吸光性ガスGとして窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等、及びこれらの混合ガスが用いられる。ただし、レチクル室20、レチクル予備室30及びレチクル内空間Sに供給される低吸光性ガスGの種類は、同じ種類にすることが望ましい。これは、ガスの混合を避けるためである。
【0047】
また、レチクル予備室30を2つ設けて、レチクル室20からレチクルRを搬出する動作とレチクル室20にレチクルRを搬入する動作とを並行して行うようにしてもよい。これにより、レチクルRのレチクル室20への搬入の終了を待つことなく、レチクル予備室30から外部にレチクルRを搬出できるので、レチクルRの交換時間を短縮することができる。
また、照明系ハウジング11、隔壁21、隔壁31、投影系ハウジング41、隔壁51、隔壁61、供給管路95は、研磨などの処理によって表面粗さが低減されたステンレス(SUS)等の材質を用いて脱ガスの発生を抑制してもよい。
【0048】
また、本実施形態では、レチクル室20内にレチクルステージ装置200を配置する構成について説明したが、レチクル室20を設けずに、照明系ハウジング11と投影系ハウジング41との間の露光光ELの光路部分を局所的にガス置換してもよい。
また、ウエハ室50内にウエハホルダ52及びウエハステージ53を配置する構成について説明したが、ウエハ室50を設けずに、投影系ハウジング41とウエハホルダ52に保持されたウエハWとの間の露光光ELの光路部分を局所的にガス置換してもよい。
【0049】
光路空間LS内の吸光ガスの濃度を低減する方法として、上述した光路空間LS内のガスを低吸光性ガスGで置換する他に、光路空間LSを減圧(真空化)することによっても実現することも可能である。
【0050】
また、本発明に係るウエハWとしては、保護部材磁気ヘッド用のセラミックウエハのみならず、半導体デバイス用の半導体ウエハや、液晶表示デバイス用のガラスプレートであってもよい。
【0051】
また、本発明が適用される露光装置として、マスクと基板とを静止した状態でマスクのパターンを露光し、基板を順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート型の露光装置を用いてもよい。
【0052】
また、本発明が適用される露光装置として、投影光学系を用いることなくマスクと基板とを密接させてマスクのパターンを露光するプロキシミティ露光装置を用いてもよい。
【0053】
また、露光装置の用途としては半導体デバイス製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを露光する液晶用の露光装置や、保護部材磁気ヘッドを製造するための露光装置にも広く適当できる。
【0054】
また、投影光学系としては、エキシマレーザーなどの遠紫外線を用いる場合は硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用いればよい。
【0055】
また、ウエハステージやレチクルステージにリニアモータを用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもいい。また、ステージは、ガイドに沿って移動するタイプでもいいし、ガイドを設けないガイドレスタイプでもよい。さらに、ステージの駆動装置として平面モ−タを用いる場合、磁石ユニット(永久磁石)と電機子ユニットのいずれか一方をステージに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットの他方をステージの移動面側(ベース)に設ければよい。
【0056】
また、ウエハステージの移動により発生する反力は、特開平8−166475号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
【0057】
また、レチクルステージの移動により発生する反力は、特開平8−330224号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
【0058】
また、本発明が適用される露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0059】
また、半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行う工程、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作する工程、シリコン材料からウエハを製造する工程、前述した実施形態の露光装置によりレチクルのパターンをウエハに露光するウエハ処理工程、デバイス組み立て工程(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査工程等を経て製造される。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば以下の効果を得ることができる。
第1の発明は、一端部がマスク基板上のパターン形成領域の周囲に設けられ、少なくとも2つの通気部が形成された枠部材と、枠部材の他端部に設けられ、パターン形成領域を保護するための保護部材とを備えたマスクを搬送する搬送装置であって、マスクを保持するマスク保持部材と、マスクとマスク保持部材とを相対移動させて、マスク保持部材にマスクを保持した際に、少なくとも2つの通気部の一方に対向するガス供給口とを備えるようにした。これにより、マスクが搬送される際に、マスクの通気部と搬送装置に設けたガス供給口とが対向するようになる。これにより、マスク内空間のガス置換を行うことが可能となる。
【0061】
第2の発明は、一端部がマスク基板上のパターン形成領域の周囲に設けられ、少なくとも2つの通気部が形成された枠部材と、枠部材の他端部に設けられ、パターン形成領域を保護するための保護部材とを備えたマスクを搬送する搬送方法であって、マスクとマスクを保持するマスク保持部材とを相対移動させて、マスク保持部材によりマスクを保持する工程と、マスク保持部材のうち、少なくとも2つの通気部の一方に対向してガス供給口から通気部の一部を介して、枠部材と保護部材とマスク基板とにより囲まれた空間に対して所定ガスを供給する工程と、有するようにした。これにより、マスクが搬送される際に、マスクの通気部と搬送装置に設けたガス供給口とが対向するので、マスク内空間のガス置換を行うことが可能となる。
【0062】
第3の発明は、露光光のもとで、マスクに形成されたパターンの像を基板に転写する露光装置において、第1の発明に係るマスク搬送装置を備え、露光光の光路中にマスクを搬送するに先立って、マスク搬送装置において、マスク基板と保護部材と枠部材とから形成される空間内の気体を所定ガスに置換するようにした。これにより、マスクの搬送中にマスク内空間のガス置換が行われるので、即座に十分な照度の露光光を基板に照射してパターンを転写することができる。
【0063】
第4の発明は、露光光のもとで、マスクに形成されたパターンの像を基板に転写する露光方法において、露光光の光路中にマスクを搬送する方法として、第2の発明に係るマスク搬送方法を用いるとともに、マスク基板と保護部材と枠部材とから形成される空間内の気体を所定ガスに置換するようにした。これにより、マスクの搬送中にマスク内空間のガス置換が行われるので、露光光が減衰することなく、即座に十分な照度の露光光を基板に照射してパターンを転写することができる。
【0064】
第5の発明は、リソグラフィ工程を含むデバイスの製造方法において、リソグラフィ工程において第3の発明に係る露光装置、或いは第4の発明に係る露光方法を用いるようにした。これにより、微細なパターンを備えるデバイスを製造することができるので、半導体メモリの大容量化やCPUプロセッサの高速化・高集積化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】保護装置を備えるレチクルを示す模式図
【図2】露光装置STPの構成を示す概念図
【図3】レチクルステージ装置を示す斜視図
【図4】ガス置換系を示す概念図
【図5】ロボットアームに設置されたレチクル用ガス置換部を示す斜視図
【図6】レチクル用ガス置換部の断面図、
【図7】レチクルステージ装置に設置されたレチクル用ガス置換部を示す模式図一部断面図
【図8】薄膜改質部を示す概念図
【図9】旋回アームに設置されたレチクル用ガス置換部を示す概念図
【符号の説明】
P レチクル板(マスク基板)
PA パターン(パターン形成領域)
C 薄膜(保護部材)
F 枠部材
h 通気孔(通気部)
R レチクル(マスク)
S レチクル内空間(空間)
G 低吸光性ガス(所定ガス)
EL 露光光
LS 光路空間(光路)
W ウエハ(基板)
STP 露光装置
82,83 ロボットアーム(搬送装置)
91 ガス供給装置(ガス供給機構)
111 把持部(マスク保持部材)
112,212 ガス供給口
131 酸素供給部
132 酸素吸引部
133 ランプ(光源)
200 レチクルステージ装置(マスクステージ)
211 レチクルホルダ(マスク保持部材)
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、半導体素子製造における露光工程で用いられるガス置換装置、露光装置及びデバイスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子、薄膜磁気ヘッド、液晶表示素子等のデバイスを製造するフォトリソグラフィー工程では、フォトマスクあるいはレチクルに形成されたパターンの像をフォトレジスト等の感光剤を塗布した基板上に転写させる露光装置が一般的に使用されている。そして、半導体メモリの大容量化やCPUプロセッサの高速化・高集積化の進展に伴い、基板上のショット領域に投影されるパターン形状の微細化の要請は年を追う毎に厳しくなり、露光装置に使用される露光用照明光(以下、「露光光」という)は、従来の主流であった水銀ランプに代わってKrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)のような短波長の光が用いられるようになってきている。また、更なるパターン形状の微細化を目指してF2レーザー(157nm)を用いた露光装置の開発が進められている。しかし、真空紫外線と呼ばれる約190nm以下の波長の光は、酸素分子、水分子、二酸化炭素分子等の物質(以下、吸光物質という)に吸収されやすいという性質を持つため、大気中を透過することができない。したがって、真空紫外線を露光光に用いる露光装置では、露光光が通過する空間内の吸光物質を低減して、露光光を基板上面まで十分な照度で到達させる必要がある。
【0003】
ところで、マスクには、パターン面へのゴミの付着を防止する保護装置が取り付けられているのが一般的である。この保護装置は、例えば、ニトロセルロース等を主成分とする透光性の薄膜を枠部材を介してマスク基板に装着するものである。したがって、上述のような真空紫外線を露光光として用いる場合には、保護装置とマスク基板と枠部材との間に形成される空間内(以下、マスク内空間と称する)の吸光ガスも低減し、露光光のエネルギー吸収の少ないガス(低吸光性ガス)を供給する技術がある。しかしながら、この薄膜は変形及び破損しやすいため、マスク内空間内の吸光ガスを低減し、低吸光性ガスを供給するといったガス置換を安定して行うことは困難である。このため、例えば、特開2001−230202号公報で示すように、マスクを収容した予備空間内のガス置換を行うことでマスク内空間内のガスを置換する技術が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−230202号公報(第11頁、第3図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の技術では、薄膜の破損や枠部材の変形を防止できるが、マスク内空間内のガス置換に時間を要するという問題がある。すなわち、露光処理中は、頻繁にマスクの交換を行う必要があるので、露光装置の処理能力を低下させないためには、マスク内空間内のガス置換を短時間かつ繰り返し行う必要がある。その一方で、薄膜及び枠部材が歪むと、光学性能を著しく劣化させる可能性があるので、薄膜及び枠部材の変形を最小限に抑える必要がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、マスク保護装置とマスク基板との間に形成されるマスク内空間のガスを短時間に効率良く安定して置換することができるガス置換装置、露光装置、及び及びデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る搬送装置等では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
第1の発明は、一端部がマスク基板(P)上のパターン形成領域(PA)の周囲に設けられ、少なくとも2つの通気部(h)が形成された枠部材(F)と、枠部材(F)の他端部に設けられ、パターン形成領域(PA)を保護するための保護部材(C)とを備えたマスク(R)を搬送する搬送装置(82,83)であって、マスク(R)を保持するマスク保持部材(111)と、マスク(R)とマスク保持部材(111)とを相対移動させて、マスク保持部材(111)にマスク(R)を保持した際に、少なくとも2つの通気部(h)の一方に対向するガス供給口(112)とを備えるようにした。この発明によれば、マスクが搬送される際に、マスクの通気部と搬送装置に設けたガス供給口とが対向するようになる。これにより、マスク内空間のガス置換を行うことが可能となる。
【0008】
また、マスク保持部材(211)は、マスク(R)が戴置されるマスクステージ(200)であり、ガス供給口(212)は、マスクステージ(200)に設けられ、かつマスク(R)がマスクステージ(200)に搬送された際に、少なくとも2つの通気部(h)の一方に対向するものでは、マスクがマスクステージに戴置された際に、マスクの通気部とマスクステージのガス供給口とが対向するようになる。
また、ガス供給口(112,212)に接続され、ガス供給口(112,212)を介して、枠部材(F)と保護部材(C)とマスク基板(P)とにより囲まれた空間(S)に対して所定ガス(G)を供給するガス供給機構(91)を備えるものでは、マスクの通気部を介して、マスク内空間内に所定ガスを供給することができる。
また、マスク保持部材(111,211)にマスク(R)を保持する際に、枠部材(F)とガス供給口(112,212)とを押し当てるものでは、マスクの通気部とガス供給口とが密着するので、所定ガスをもらさずにマスク内空間に供給することができる。
また、少なくとも2つの通気部(h)の他方は、枠部材(F)と保護部材(C)とマスク基板(P)とにより囲まれた空間(S)内の気体を排気するものでは、マスク内空間のガスが外部に放出されるので、ガス置換を効率よく行うことができる。
また、保護部材(C)に励起酸素を吹き付ける酸素供給部(131)を備えるものでは、保護部材内に発生した透過率低下物質を排除して、透過率の低下を防止することができる。
また、保護部材(C)に吹き付けた酸素を吸引する酸素吸引部(132)を備えるものでは、光路上に酸素が拡散することによる露光光の照度低下を防止することができる。
また、酸素を励起させる光源(133)を備えるものでは、酸素供給部から供給される酸素に光を照射することにより、確実に酸素を励起させることができる。
【0009】
第2の発明は、一端部がマスク基板(P)上のパターン形成領域(PA)の周囲に設けられ、少なくとも2つの通気部(h)が形成された枠部材(F)と、枠部材(F)の他端部に設けられ、パターン形成領域(PA)を保護するための保護部材(C)とを備えたマスク(R)を搬送する搬送方法であって、マスク(R)とマスク(R)を保持するマスク保持部材(111)とを相対移動させて、マスク保持部材(111)によりマスク(R)を保持する工程と、マスク保持部材(111)のうち、少なくとも2つの通気部(h)の一方に対向してガス供給口(112)から通気部(h)の一方を介して、枠部材(F)と保護部材(C)とマスク基板(P)とにより囲まれた空間(S)に対して所定ガス(G)を供給する工程と、有するようにした。この発明によれば、マスクが搬送される際に、マスクの通気部と搬送装置に設けたガス供給口とが対向するので、マスク内空間のガス置換を行うことが可能となる。
【0010】
また、マスク保持部材(211)は、マスク(R)が戴置されるマスクステージ(200)であり、マスク(R)がマスクステージ(200)に搬送された際に、マスクステージ(200)に設けられた少なくとも2つの通気部(h)の一方に対向するガス供給口(212)から、通気部(h)の一方を介して、空間(S)に対して所定ガス(G)を供給するものでは、マスクがマスクステージに戴置された際に、マスクの通気部とマスクステージのガス供給口とが接続されるので、マスク内空間のガス置換を行うことが可能となる。
また、保護部材(C)に励起酸素原子を吹き付けるものでは、保護部材内に発生した透過率低下物質を排除して、透過率の低下を防止することができる。
【0011】
第3の発明は、露光光(EL)のもとで、マスク(R)に形成されたパターン(PA)の像を基板(W)に転写する露光装置(STP)において、第1の発明に係るマスク搬送装置(82,83)を備え、露光光(EL)の光路(LS)中にマスク(R)を搬送するに先立って、マスク搬送装置(82,83)において、マスク基板(P)と保護部材(C)と枠部材(F)とから形成される空間(S)内の気体を所定ガス(G)に置換するようにした。この発明によれは、マスクの搬送中にマスク内空間のガス置換が行われるので、即座に十分な照度の露光光を基板に照射してパターンを転写することができる。
【0012】
第4の発明は、露光光(EL)のもとで、マスク(R)に形成されたパターン(PA)の像を基板(W)に転写する露光方法において、露光光(EL)の光路(LS)中にマスク(R)を搬送する方法として、第2の発明に係るマスク搬送方法を用いるとともに、マスク基板(P)と保護部材(C)と枠部材(F)とから形成される空間(S)内の気体を所定ガス(G)に置換するようにした。この発明によれは、マスクの搬送中にマスク内空間のガス置換が行われるので、露光光が減衰することなく、即座に十分な照度の露光光を基板に照射してパターンを転写することができる。
【0013】
第5の発明は、リソグラフィ工程を含むデバイスの製造方法において、リソグラフィ工程において第3の発明に係る露光装置(STP)、或いは第4の発明に係る露光方法を用いるようにした。この発明によれば、この発明によれば、微細なパターンを備えるデバイスを製造することができるので、半導体メモリの大容量化やCPUプロセッサの高速化・高集積化を達成することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る搬送装置及び搬送方法、露光装置及び露光方法、並びにデバイスの製造方法の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、保護装置PEを備えるレチクルRを示す模式図であって、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)におけるA−A断面図である。
レチクル(マスク)Rは、図1(a)及び図1(b)に示すように、レチクル板(マスク基板)Pと保護装置PEとから構成され、レチクル板P上のパターンPAを保護するために、例えば、レチクルと呼ばれる保護装置PEがレチクル板P上に設けられる。この保護装置PEは、フレーム(又はスタンド)と呼ばれる枠部材Fと薄膜(保護部材)Cとから構成され、略四角形の枠部材Fの一端部がレチクル板Pに接着されるとともに、他端部には薄膜Cが装着される。そして、図1(b)に示すように、保護装置PEとレチクル板Pとの間、すなわち、薄膜Cとレチクル板Pと枠部材Fとの間には、空間(以下、レチクル内空間Sと称する)が形成される。
薄膜Cとしては、通常、ニトロセルロース等を主成分とする厚さが1〜2μm程度の透光性のフィルム部材が用いられるが、波長120nm〜190nmの真空紫外線の露光光ELを良好に透過させるためにレチクル板P及びレンズ類と同材質の蛍石、フッ化マグネシウム、フッ化リチウム等の結晶材料や、石英ガラス又は、フッ素ドープ石英等で形成された厚さ300〜800μm程度の光学部材を用いてもよい。
枠部材Fには、後述するレチクル内空間S内のガス置換の際にガスが流通する通気孔(通気部)hが複数設けられる。通気孔hは、四角形状の枠部材Fのそれぞれの辺(直線部分)に2つずつ形成される。通気孔hの直径は、レチクル内空間Sのガス置換効率を考慮すると、1.0mm〜2.0mmの範囲で形成されることが望ましい。特に、直径が1.6mmであり、かつ各辺に2つずつ形成されることが望ましい。また、通気孔hは、枠部材Fのそれぞれの辺に2つずつ形成される構造に限らず、それぞれの辺に1つ形成したり、3つ以上形成したりしてもよい。また、通気孔hは、枠部材Fの辺のうち、互いに対向する2辺のそれぞれに少なくとも1つ以上の通気孔hを形成してもよい。さらには、互いに対向しない2辺に形成してもよい。これら通気孔hは、枠部材Fの内面と外面とを連通して、レチクル内空間Sと外部とのガスの流通を可能とする。
そして、通気孔hによって、例えば、航空機による輸送や天候の変化等によって大気圧が変化しレチクル内空間S内の気体が膨張、収縮した際に、通気孔hを介してレチクル内空間Sと外部との間で空気が流通してレチクル内空間S内の圧力と大気圧との圧力差が低減されることにより、レチクル内空間Sの膨張、収縮を抑えて薄膜Cの破損を防止する。
なお、通気孔hには、外部からレチクル内空間S内への塵埃の侵入を防止するエアフィルタや、酸性ガス、アルカリ性ガス、有機ガスといったガス状汚染化学物質の進入を防止するケミカルフィルタ等のフィルタFLを設けることが好ましい。
なお、露光時には、露光光ELがレチクル板P側から照射されてレチクル内空間Sを透過するので、レチクル内空間S内から吸光ガスを排除して、レチクル内空間S内で真空紫外光が減衰されないようにする必要がある。
【0015】
図2は、露光装置STPの構成を示す概念図である。図2において、露光装置STPは、真空紫外域の露光用照明光(露光光)ELをレチクルRに照明しつつ、レチクルRとウエハ(基板)Wとを一次元方向に相対的に同期移動させて、レチクルRに形成されたパターン(回路パターン等)PAを投影光学系40を介してウエハW上に転写するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置、いわゆるスキャニング・ステッパである。
この露光装置STPは、真空紫外域の露光光ELによりレチクルRを照明する露光照明系10、レチクルRを保持するレチクル室20、レチクル室20への大気流入を阻止するレチクル予備室30、レチクルRから射出される露光光ELをウエハW上に照射する投影光学系40、ウエハWを保持するウエハ室50、ウエハ室50への大気流入を阻止するウエハ予備室60、露光装置STPの動作を統括的に制御する主制御系70、レチクルR及びウエハWを露光装置STPに搬送する搬送系80、レチクル室20等の各空間内のガスを置換するガス置換系90(図4参照)から構成される。
露光装置STPには、後述する光源12から照射された露光光ELが、露光照明系10、レチクル室20及び投影光学系40を経てウエハ室50内に収納されたウエハWまで到達するように光路空間(光路)LSが形成されるが、露光光ELとして真空紫外域の波長の光を用いることから、この光路空間LSから露光光ELを吸収する吸光ガス(例えば、酸素、水蒸気、炭化水素系のガス)を低減させる必要がある。そのため、光路空間LSを形成する露光照明系10、レチクル室20、投影光学系40及びウエハ室50は、それぞれ密閉された空間(室)内に配置され、その各空間内から吸光ガスが排除される。そして、外部からの大気の侵入を遮断することにより、その状態が維持される。また、レチクルR及びウエハWの搬送の際に、光路空間LSに大気が侵入しないようにレチクル予備室30及びウエハ予備室60が設けられ、これらの空間内からも吸光ガスが排除される。
なお、密閉された空間とは、各空間(室)が外部(大気)から完全に遮断された完全密閉構造であってもよいし、各空間内の圧力が大気圧よりも高めに設定され、各空間内から外部に気体が漏れる構造であってもよい。また、各空間内の気圧が大気圧と同気圧であり、各空間と外部との間で気体の流れがほとんどない構造も含まれる。
【0016】
レチクル予備室30は、レチクルRの搬入及び搬出時に、レチクル室20への吸光ガスの流入を阻止するために設けられた空間であり、保護装置PEを備えるレチクルRをレチクル室20へ搬入するに先立ち、レチクル予備室30内から吸光ガスを排除することにより、レチクル室20すなわち光路空間LSへの吸光ガスの侵入と、露光光ELの減衰を防止するものである。
レチクル予備室30は、レチクル室20と密着して設けられ、隔壁31によって覆われて光路空間LSとは独立して異なる密閉空間を有している。レチクル室20と密着する隔壁31には、開口部32が形成され、この開口部32には主制御系70の指示によって開閉する開閉扉33が設けられる。また、開口部32と対向する隔壁31には、開口部34が形成されており、この開口部34にも主制御系70の指示によって開閉する開閉扉35が設けられる。したがって、開閉扉35及び開閉扉35を閉じることによって、レチクル予備室30は密閉されて外部からの大気の侵入が遮断される。
【0017】
レチクル室20は、後述する照明系ハウジング11、投影系ハウジング41及び隔壁31と隙間無く接合された隔壁21によって覆われた密閉空間内に、レチクルRを戴置するレチクルステージ装置200を備える。
また、レチクル室20は、レチクル予備室30と密着しており、開口部32を密閉する開閉扉35が開くことによりレチクル予備室30と連通し、開閉扉35を閉じることによってレチクル室20は密閉されて外部からのガスの流入が遮断される。また、隔壁21の天井部には、照明系ハウジング11の内部空間と、レチクルRが配置されるレチクル室20の内部空間とを分離する透過窓25が配置されている。この透過窓25は、露光照明系10からレチクルRに照明される露光光ELの光路上に配置されるため、真空紫外線である露光光ELに対して透過性の高い蛍石等の結晶材料によって形成される。
【0018】
レチクルステージ装置200について詳述する。図3は、レチクルステージ装置200を示す斜視図である。
レチクルステージ装置(マスクステージ)200は、コラム201(図2参照)に支持されたレチクル定盤202上を一対のYリニアモータ205によってY軸方向に所定ストロークで駆動されるレチクル粗動ステージ206と、このレチクル粗動ステージ206上を一対のXボイスコイルモータ207Xと一対のYボイスコイルモータ207YとによってX,Y,θZ方向に微小駆動されるレチクル微動ステージ208とを備える構成となっている。
各Yリニアモータ205は、レチクル定盤202上に非接触ベアリングである複数のエアベアリング(エアパッド)209によって浮上支持されY軸方向に延びる固定子205aと、この固定子205aに対応して設けられ、連結部材231を介してレチクル粗動ステージ206に固定された可動子205bとから構成されている。このため、運動量保存の法則により、レチクル粗動ステージ206の+Y方向の移動に応じて、固定子205aは−Y方向に移動する。この固定子205aの移動によりレチクル粗動ステージ206の移動に伴う反力を相殺するとともに、重心位置の変化を防ぐことができる。
レチクル粗動ステージ206は、レチクル定盤202の中央部に形成された上部突出部202bの上面に固定されY軸方向に延びる一対のYガイド232によってY軸方向に案内されるようになっている。また、レチクル粗動ステージ206は、各Yガイド232に対して不図示のエアベアリングによって非接触で支持されている。
レチクル微動ステージ208は、レチクルR上のパターンPAに対応した開口を有し、略コ字形のレチクルホルダ211を介してレチクルRがパターンPAを下にして吸着保持されるようになっている。
また、レチクル微動ステージ208の−Y方向の端部には、コーナキューブからなる一対のY移動鏡233a,233bが固定され、更に、レチクル微動ステージ208の+X方向の端部には、Y軸方向に延びる平面ミラーからなるX移動鏡234が固定されている。そして、これら移動鏡233a,233b,234に対して、レチクル室20の外部に設けた3つのレーザー干渉計235a〜235c(不図示)が各移動鏡との距離を計測することにより、レチクル微動ステージ208のX,Y,θZ(Z軸回りの回転)方向の位置が高精度に計測される。なお、レチクル微動ステージ208の位置計測情報(すなわち、レチクルRの位置情報)は、主制御系70に送信される。
【0019】
図2に戻り、露光照明系10は、光源12から照射された露光光ELがレチクルR上の所定の照明領域内にほぼ均一な照度分布で照射するために、オプティカルインテグレータを備える。そして、露光照明系10では、光源12から照射された露光光ELが透過窓25を介してレチクルR上の所定の照明領域内にほぼ均一な照度分布で照射する。そして、オプティカルインテグレータは、照明系ハウジング11の内部に収納、密閉される。
露光光ELには、波長約120nm〜約190nmの真空紫外線又は深紫外線であり、例えば、発振波長193nmのArFエキシマレーザー(ArFレーザー)、発振波長157nmのフッ素レーザー(F2レーザー)、発振波長146nmのクリプトンダイマーレーザー(Kr2レーザー)、発振波長126nmのアルゴンダイマーレーザー(Ar2レーザー)等が用いられる。
【0020】
投影光学系40は、蛍石、フッ化リチウム等のフッ化物結晶からなるレンズや反射鏡などの複数の投影レンズ系42を投影系ハウジング41(鏡筒)で密閉したものである。投影レンズ系42は、レチクルRを介して射出される照明光を所定の投影倍率β(βは、例えば1/4)で縮小して、レチクルRのパターンPAの像をウエハW上の特定領域(ショット領域)に結像させる。なお、投影光学系40の投影レンズ系42の各要素は、それぞれ保持部材(不図示)を介して投影系ハウジング41に支持され、該各保持部材は各要素の周縁部を保持するように例えば円環状に形成されている。
【0021】
ウエハ予備室60は、ウエハWの搬入及び搬出時に、ウエハ室50への吸光ガスの流入を阻止するために設けられた空間であり、ウエハ室50と密着して設けられ、隔壁61によって覆われて光路空間LSとは独立して異なる密閉空間を有している。ウエハ室50と密着する隔壁61には、開口部62が形成され、この開口部62には主制御系70の指示によって開閉する開閉扉63が設けられる。
また、開口部62と対向する隔壁61には、開口部64が形成されており、この開口部64にも主制御系70の指示によって開閉する開閉扉65が設けられる。
したがって、開閉扉65及び開閉扉65を閉じることによって、ウエハ予備室60は密閉されて外部からの大気の侵入が遮断される。
そして、ウエハ室50へのウエハWの搬入に先だって、ウエハ室50に隣接するウエハ予備室60にウエハWを一時的に収容し、ガス置換系90によってウエハ室50及びウエハ予備室60内の吸光ガスの濃度を低減させた後、ウエハ予備室60からウエハWをウエハ室50に搬入することにより、ウエハ室50への外気の混入を防いでいる。
【0022】
ウエハ室50は、投影系ハウジング41及び隔壁61と隙間無く接合された隔壁51によって覆われた密閉空間内に、ウエハWを真空吸着することによって保持するためのウエハホルダ52、ウエハステージ53を備える。ウエハ室50は、ウエハ予備室60と密着しており、開口部62を密閉する開閉扉63が開くことによりウエハ予備室60と連通し、開閉扉63を閉じることによってウエハ室50は密閉されて外部からのガスの侵入が遮断される。ウエハホルダ52は、ウエハステージ53に支持されるとともに、ウエハWを真空吸着によって保持する。ウエハステージ53は、互いに直交する方向へ移動可能な一対のブロックをベース54上に重ね合わせたものであって、不図示の駆動部によりXY平面内で移動可能となっている。
そして、ウエハ室50の外部に設けたレーザー干渉式測長器によってウエハステージ53のX方向およびY方向の位置が逐次検出されて、主制御系70に出力される。すなわち、ウエハ室50の−X側の隔壁51には光透過窓55が設けられている。これと同様に、隔壁51の+Y側(図2における紙面奥側)にも光透過窓55が設けられている。これらの光透過窓は、隔壁51に形成された開口部にこの開口部を閉塞する光透過部材(例えば、一般的な光学ガラス)を取り付けることによって構成されている。なお、光透過窓55を構成する光透過部材の取り付け部分からのガス漏れが生じないように、金属シールやフッ素系樹脂等による封止(シーリング)が施される。
ウエハホルダ52の−X側の端部には、平面鏡からなるX移動鏡56XがY方向に延設されている。このX移動鏡56Xにほぼ垂直にウエハ室50の外部に配置されたX軸レーザー干渉計57Xからの測長ビームが光透過窓55を透過して投射され、その反射光がX軸レーザー干渉計57Xに受光されることによりウエハWのX位置が検出される。また、略同様の構成により不図示のY軸レーザー干渉計57YによってウエハWのY位置が検出される。このように、X,Y軸の各レーザー干渉計57がウエハ室50の外部に配置されているので、各レーザー干渉計57から微量の吸光ガスが発生しても、これが露光光ELに対して悪影響を及ぼすことがない。なお、X,Y軸の各レーザー干渉計57からの吸光ガスの発生が抑制されている場合は、これら各部品をウエハ室50内に配置してもよい。
そして、ウエハステージ53のXY面内の移動により、ウエハW上の任意のショット領域をレチクルRのパターンPAの投影位置(露光位置)に位置決めして、レチクルRのパターンPAの像をウエハWに投影転写する。
【0023】
搬送系80は、レチクル搬送系81とウエハ搬送系85とから構成される。レチクル搬送系81は、レチクル予備室30の内部に配置されたロボットアーム(搬送装置)82と、露光装置STPの外部に配置されたロボットアーム(搬送装置)83と、ロボットアーム82,83を制御する制御部84(不図示)とから構成される。そして、ロボットアーム83は、露光処理に使用するレチクルRを露光装置STPに付設されたレチクルライブラリ89から開口部34を介してレチクル予備室30に搬入し、また、露光処理が完了したレチクルRをレチクル予備室30内からレチクルライブラリ89に搬出する。ロボットアーム82は、レチクル予備室30内に搬送されたレチクルRを開口部32を介してレチクル室20に搬送し、また、露光処理が完了したレチクルRをレチクル室20からレチクル予備室30に搬出する。なお、レチクルライブラリ89は複数の棚を有しており、各段の棚にはそれぞれ異なるパターンPAを有するレチクルRが収納、保管される。
ウエハ搬送系85は、ウエハ予備室60の内部に配置されて開口部62を介してウエハ室50に対してウエハWを搬送するロボットアーム86と、露光装置STPの外部に配置されて開口部64を介してウエハ予備室60に対してウエハWを搬送するロボットアーム87と、ロボットアーム86,87を制御する制御部88(不図示)とから構成される。そして、ロボットアーム87は、露光装置STPの外部にある前工程から搬送されてきた露光処理前のウエハWをウエハ予備室60内に搬入し、また、露光処理が完了したウエハWをウエハ予備室60から露光装置STPの外部にある次工程に向けて搬出する。
なお、制御部84,88は通信路を介して主制御系70と接続されており、主制御系70と各種情報をやり取りすることにより、露光装置STPと連動してレチクル搬送系81及びウエハ搬送系85を制御する。
【0024】
図4は、ガス置換系90を示す概念図である。ガス置換系90は、露光照明系10、レチクル室20、レチクル予備室30、投影光学系40、ウエハ室50、ウエハ予備室60の各空間内に存在するガスを露光光ELに対する吸収性が酸素より少ない特性を有するガス、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン等、又はこれらの混合ガス(以下、これらを低吸光性ガス(所定ガス)Gという)に交換(置換)するものであり、各空間内に低吸光性ガスGを供給するガス供給装置91と、各空間内のガスを外部に排気するガス排気装置96とから構成される。また、ガス置換系90は、搬送系80に設けられるレチクル用ガス置換部110及びレチクルステージ装置200に設けられるレチクル用ガス置換部210にも接続され、レチクル用ガス置換部110,210に戴置されるレチクルRのレチクル内空間Sにも低吸光性ガスGを供給する。
ガス供給装置(ガス供給機構)91は、低吸光性ガスGを貯蔵するガスボンベ92、ガスボンベ92から低吸光性ガスGを送り出す供給ポンプ93、供給ポンプ93と各空間内とを連結する供給管路95(95a〜95h)、供給管路95の管路の途中に設けられた供給用制御弁94(94a〜94h)とから構成される。また、ガス排気装置96は、ガスを吸引する排気ポンプ97、排気ポンプ97と各空間とを連結する排気管路99(99a〜99f)、排気管路99の管路の途中に設けられた排気用制御弁98(98a〜98f)とから構成される。
そして、供給管路95(95a〜95f)を介して各空間内に低吸光性ガスGを供給するとともに、各空間内のガスを排気管路99を介して外部に排気することにより、各空間内に存在する吸光ガスの濃度を低減させる、ガス置換が行われる。また、レチクル用ガス置換部110,210には、供給管路95g,95hを介して、戴置されたレチクルRのレチクル内空間Sに低吸光性ガスGを供給するが、レチクル内空間S内のガスは、通気孔hを介してレチクル室20及びレチクル予備室30、或いは外部に排気される。
なお、各空間内の気圧を大気圧より高く、具体的には、大気圧に対して1〜10%程度高くする。これらガス供給装置91及びガス排気装置96のガス供給量及び排気量は、主制御系70の指示に基づいて各ポンプ93,97が動作し、また各制御弁94,98が開閉することにより制御される。また、供給管路95及び排気管路99の管路の一部にはエアフィルタ及びケミカルフィルタが設けられ、各空間内への塵埃等の侵入が防止されている。
【0025】
図5は、ロボットアーム82,83に設置されたレチクル用ガス置換部110を示す斜視図である。図6(a)はレチクル用ガス置換部110の断面図、図6(b)は図6(a)のB−B断面図、図6(c)は図6(a)のC−C断面図である。
レチクル用ガス置換部110は、ロボットアーム82,83の先端に設けられる把持部111に形成される。把持部(マスク保持部材)111は、2本の腕部111a,111bと、この腕部111a,111bを支持する基底部111cとを有し、2本の腕部111a,111bが基底部111cによって略コ字形に形成された部材からなり、その先端部分(コ字形の開口部分。以下、開口部113という。)からパターンPAを下にしたレチクルRを内部に案内し、吸着保持する。
把持部111の内側表面には、レチクル板Pの周縁部を支持するガイド部114が形成される。ガイド部114は、パターンPAを下にしたレチクルRを把持部111の内部に案内するとともに、レチクル板Pの周縁部表面を吸着保持する吸着部116を有する。
また、把持部111の基底部111cには、ガス供給口112が開口する。ガス供給口112は、把持部111に収容、保持されたレチクルRの通気孔hと対向する位置に設けられる。そして、ガス供給口112は、供給管路95gと接続しており、収容されたレチクルRのレチクル内空間Sに低吸光性ガスGを供給するガス供給経路を形成する。
したがって、レチクルRを把持部111の開口部113から挿入すると、レチクル板Pの周縁部が把持部111の内側のガイド部114と係合し、ガイド部114上を滑って内部に案内される。そして、把持部111がレチクルRを支持すると、通気孔hとガス供給口112とが特別な位置合わせ作業をすることなく、対向する。なお、通気孔hとガス供給口112とを確実に対向させるために、ガイド部114の奥側には、テーパー部分115が設けられている。そして、通気孔hとガス供給口112とが対向すると、吸着部116はレチクルRを吸着保持する。
更に、枠部材Fと基底部111cとは、微少な隙間を空けて非接触状態で対抗させてもよく、或いは枠部材Fと基底部111cとを接触させて通気孔hとガス供給口112とを接続してもよい。枠部材Fと基底部111cとを接触させる場合、その接触部分にシール部材121を設け、ガスの給気時に接触部分からのガスの漏出を防止することが望ましい。
また、把持部111の基底部111cには、緩衝部材122が設けられる。緩衝部材122は、レチクルRと把持部111との衝突による衝撃を吸収して、枠部材Fの変形を防止するものである。本実施形態では、枠部材Fの角部を緩衝部材122に衝突させている。その理由は、枠部材Fの角部は挿入方向の力に対する剛性が高く、この部分に力を付加しても枠部材Fが変形しづらいからである。なお、緩衝部材122とシール部材121とを一体に構成することも可能である。また、枠部材Fではなく、レチクル板Pを緩衝部材122に衝突させるように配置してもよい。
【0026】
図7は、レチクルステージ装置200に設置されたレチクル用ガス置換部210を示す模式図一部断面図である。レチクル用ガス置換部210は、レチクルホルダ211に形成される。レチクルホルダ(マスク保持部材)211は、レチクル微動ステージ208上に配置され、レチクル板Pの周縁部と係合するように、略コ字状に形成された部材からなる。そして、レチクルホルダ211は、開口部213(コ字形の開口部分)側から搬入されたレチクルRを支持し、吸着保持する。
また、レチクルホルダ211の内壁211cには、ガス供給口212が開口する。ガス供給口212は、レチクルホルダ211に収容されたレチクルRの通気孔hと対向する位置に設けられる。そして、ガス供給口212は、供給管路95hと接続しており、戴置されたレチクルRのレチクル内空間Sに低吸光性ガスGを供給するガス供給経路を形成する。
したがって、パターンPAを下にしたレチクルRをレチクルホルダ211の開口部213側から搬入すると、レチクル板Pの周縁部がレチクルホルダ211の上面と係合し、レチクルホルダ211上面を滑って案内される。そして、レチクルホルダ211がレチクルRを支持すると、通気孔hとガス供給口212とが特別な位置合わせ作業をすることなく、対向する。そして、通気孔hとガス供給口212とが対向すると、レチクルホルダ211はレチクルRを吸着保持する。すなわち、レチクルホルダ211は、上述した把持部111と同様に機能する。
そして、把持部111と同様に、テーパー部215、シール部材221(不図示)、緩衝部材222(不図示)が設けられる。これらの部材は、同一のレチクルRに同一に作用するものなので、同一形状、同一材質のものを用いることが可能である。
【0027】
図8は、薄膜改質部130を示す概念図である。薄膜改質部130は、薄膜Cに励起酸素を吹き付けることにより、薄膜Cを改質させるものである。
薄膜改質部130は、酸素供給部131と酸素吸引部132と酸素を励起させるランプ(光源)133から構成される。酸素供給部131と酸素吸引部132とは、図8に示すように、一体に形成され、酸素供給部131から薄膜Cに向けて酸素を吹き付け、その酸素を酸素供給部131の周囲に配置した酸素吸引部132により吸引する。そして、酸素供給部131から薄膜Cに向けて吹き付けた酸素に対して、ランプ133から光を照射することにより、酸素は光を吸収し、活性な励起酸素(原子状酸素)に分解される。このようにして、薄膜Cに励起酸素を吹き付けて、薄膜Cを改質させることができる。
薄膜Cに励起酸素を吹き付けることにより、薄膜Cが改質される理由は、以下の通りである。露光光ELとして、例えば、F2レーザーを用いると、薄膜Cは、露光光ELにより変質して、透過率が低下する。これは、F2レーザーにより、薄膜C内に透過率低下物質(有機物)が発生しているものと考えられている。
透過率が低下すると、露光光ELが十分な十分な照度でウエハWまで到達させることができなくなるので、薄膜Cを交換する必要がある。
一方、透過率が低下した薄膜Cに励起酸素を与えると、透過率が回復することが知られている。これは、酸素を励起させる光が薄膜Cに発生した透過率低下物質の結合を切断するとともに、励起酸素の酸化作用により,有機物は酸化分解揮発されると考えられている。
そして、薄膜改質部130は、レチクル室20内にレチクルステージ装置200と離間した位置に設けられ、薄膜C内に透過率低下物質が発生したレチクルRをレチクルステージ装置200上から薄膜改質部130の直上に退避させて、薄膜Cの改質処理を行うことにより、薄膜Cの寿命を延ばすことが可能となる。
なお、酸素供給部131の周囲に酸素吸引部132を配置して、酸素供給部131から供給された酸素を吸引するのは、酸素供給部131から供給される酸素がレチクル室20内に拡散し、露光光ELを吸光してしまわないようにするためである。また、露光処理を行う前のレチクルRに対して改質処理を行うために、薄膜改質部130をレチクル予備室30内に配置してもよい。更に、酸素供給部131から供給される酸素を励起させる光として、露光光ELを用いてもよい。この場合には、ランプ133を省略することが可能である。
【0028】
図2に戻り、主制御系70は、露光装置STPを統括的に制御するものである。例えば、露光量(露光光の照射量)や後述するレチクルステージ装置200及びウエハステージ53の位置等を制御して、レチクルRに形成されたパターンPAの像をウエハW上のショット領域に転写する露光動作を繰り返し行う。また、主制御系70には、各種演算を行う演算部71の他、各種情報を記録する記憶部72が設けられる。
【0029】
続いて、以上のような構成を備えた露光装置STPを用いて、光路空間LS及びレチクルRのレチクル内空間Sのガスを置換する方法と、ガス置換を行ったレチクルRに露光光ELを照射して露光を行う方法について説明する。
ここで、本実施形態におけるガス置換方法及び露光方法では、光路空間LS内の吸光ガスをガス置換系90により低減する第1工程、ロボットアーム82に設置されたレチクル用ガス置換部110によりレチクルRのレチクル内空間Sを低吸光性ガスGに置換する第2工程、レチクルRをレチクル予備室30に搬入する第3工程、ロボットアーム83に設置されたレチクル用ガス置換部110によりレチクルRのレチクル内空間Sを低吸光性ガスGに置換する第4工程、レチクルRをレチクル室20に搬入する第5工程、レチクル用ガス置換部210によりレチクルRのレチクル内空間Sを低吸光性ガスGに置換する第6工程、ウエハWをウエハ室50に搬入する第7工程、ウエハWにレチクルRのパターンPAを露光する第8工程、薄膜改質部130により薄膜Cの改質を行う第9工程、レチクルR及びウエハWを露光装置STP外に搬出する第10工程、からなる。
【0030】
まず、光路空間LS内に存在する吸光ガスをガス置換系90により低減する第1工程では、主制御系70の指示により、各空間に設けた供給用制御弁94(94a〜94f)及び排気用制御弁98(98a〜98f)を開放するとともに、供給ポンプ93及び排気ポンプ97を動作させて、ガスボンベに貯蔵された低吸光性ガスGを供給管路95から各空間に送る。また、各空間内に存在した吸光ガスを含むガスを排気管路99から排気される。なお、開閉扉33,35,63、65は、全て閉じておく。このようにして、各空間内に存在する吸光ガスの濃度を低減させる。また、各空間内は、所定の圧力に設定される。各空間のガス置換は、露光処理を行う直前ではなく、できるだけ事前から継続して行うことが望ましい。なぜならば、各空間内に配置されたレンズ、隔壁、ステージ等の構成要素の表面に吸着していた大量の水(H2O)分子が時間をかけて序々に分離して各空間内に放出され、露光光ELを吸収して透過率低下や透過率変動を招くからである。そして、ガス置換を行った後は、この状態を維持するために、各空間に設けた供給用制御弁94及び排気用制御弁98を閉鎖したり、また、供給管路95と排気管路99とを連結して各空間内に充満した低吸光性ガスGを循環させたりしてもよい。低吸光性ガスGを循環させることにより、供給管路95及び排気管路99の管路の一部に設けたエアフィルタ及びケミカルフィルタにより、循環されるガス中に微少に含まれる煤塵や有機ガス(この有機ガスは各空間を構成する部材や各空間内に存在する配線等の表面から分離するガスを含む)を除去することができる。
【0031】
次に、ロボットアーム83に設置されたレチクル用ガス置換部110により、レチクルRのレチクル内空間Sを低吸光性ガスGに置換する第2工程について説明する。レチクルライブラリ89には、複数のレチクルRが、それぞれパターンPAを下にして収納されている。ロボットアーム83は、レチクルライブラリ89内に把持部111を挿入し、レチクルRを把持して、搬出する。
この際、レチクルRは、把持部111の開口部113から把持部111の内部に収容され、レチクル板Pの周縁部が把持部111の内側のガイド部114と係合し、ガイド部114上を滑って把持部111の内部に案内される。そして、把持部111にレチクルRが収容されると、通気孔hとガス供給口112とが、特別な位置合わせ作業をすることなく、対向する。なお、テーパー部115により、通気孔hがガス供給口112に確実に案内される。そして、通気孔hとガス供給口112とが対向すると、ガイド部114は、レチクルRを吸着保持する。
そして、ロボットアーム83がレチクルRをレチクル予備室30に搬入するまでの間に、レチクル用ガス置換部110により、レチクル内空間Sを低吸光性ガスGに置換する。レチクル内空間Sのガス置換は、供給用制御弁94gを開放し、供給管路95gを通して通気孔hからレチクル内空間S内に低吸光性ガスGを供給する。そして、低吸光性ガスGが供給されることに、レチクル内空間S内に存在していた吸光ガスが通気孔hを通して外部に押し出されて、排気されることにより行われる。
なお、枠部材Fを基底部111cに押し付けて接続部分の密着度を上げて、ガス漏洩を防止する。例えば、把持部111を傾斜させて、レチクルRを把持部111の奥まで収容することにより、枠部材Fを基底部111cに押し付けることができる。そして、通気孔hの周囲とガス供給口112の周囲との接触部分にシール部材121が設けられているため、ガスの漏出が防止されて、短時間で効率よくガス置換が行われる。このとき、緩衝部材122により枠部材Fの変形が抑制される。
このようにして、薄膜Cの破損、枠部材Fの変形を防止しつつ、短時間で効率よくレチクル内空間Sのガス置換を行うことができる。
【0032】
レチクルRをレチクル予備室30に搬入する第3工程では、まず、主制御系70がレチクル搬送系81の制御部84に指令することにより、ロボットアーム83が、レチクル内空間Sのガス置換が完了したレチクルRを搬送する。なお、レチクル内空間Sのガス置換が未完了であっても、露光開始までにガス置換が完了するのであれば、搬送しても構わない。
そして、レチクルRを把持したロボットアーム83が開閉扉35に近づくと、主制御系70の指令によりレチクル予備室30の開閉扉35が開く。そして、ロボットアーム83が開閉扉35からレチクル予備室30内にレチクルRを搬入し、レチクル予備室30内に収容する。そして、ロボットアーム83がレチクル予備室30から退避すると、開閉扉35が閉じる。このようにして、レチクルRがレチクル予備室30内に搬入される。このとき、レチクル予備室30内の気圧を大気圧に比べて高く設定して外気の侵入を防止しているが、レチクルRを搬入することによりレチクル予備室30内に大気が侵入してしまう。したがって、このままレチクルRをレチクル室20に搬入すると、レチクル室20内に吸光ガスを含んだ大気が侵入し、露光光ELを著しく吸収して、許容できない程度の透過率低下や透過率変動を招いてしまう。そのため、レチクル室20へのレチクルRの搬入に先だって、レチクル予備室30のガス置換を再び行う。ガス置換の手順は上述した手順と同一である。そして、レチクル予備室30内の吸光ガスの濃度を低減させた後にレチクルRをレチクル室20に搬入することにより、レチクル室20への大気の侵入を防ぐことができる。
【0033】
次に、ロボットアーム82に設置されたレチクル用ガス置換部110により、レチクルRのレチクル内空間Sを低吸光性ガスGに置換する第4工程では、まず、ロボットアーム82は、レチクル予備室30内に収容されたレチクルRを把持する。この際、レチクルRは、第2工程と同様に、把持部111の開口部113から把持部111の内部に収容され、レチクル板Pの周縁部が把持部111の内側のガイド部114と係合し、ガイド部114上を滑って把持部111の内部に案内される。これにより、通気孔hとガス供給口112とが対向する。
そして、ロボットアーム82がレチクルRをレチクル室20に搬入するまでの間に、レチクル用ガス置換部110により、レチクル内空間Sを低吸光性ガスGに置換する。レチクル内空間Sのガス置換は、第2工程の場合と同様であるので、説明を省略する。なお、レチクル内空間S内の吸光ガスは、ガス供給口112に対向していない他の通気孔hからレチクル予備室30内に押し出されるが、レチクル予備室30内のガス置換の際に、排気管路99cを通して外部に排気される。
なお、第2工程及び第4工程の両工程において、レチクル内空間Sのガス置換を行う場合に限らず、第2工程或いは第4工程のいずれか一方においてガス置換を行ってもよい。
【0034】
そして、レチクルRをレチクル室20に搬入する第5工程では、主制御系70の指示により開閉扉33が開くとともに、主制御系70から指令を受けた制御部84によりロボットアーム82が動作して、レチクルRをレチクル室20に搬入する。そして、ロボットアーム82がレチクルRを開閉扉33を介してレチクル室20内に搬送して、レチクルホルダ211上に戴置する。ロボットアーム82がレチクル室20から退避すると開閉扉33が閉じる。
このように、レチクルRがレチクル予備室30を経由してレチクル室20に搬送されたので、大気がレチクル室20に直接流れ込むことがなく、即座に露光処理に移行できる。特に、レチクルRは、既にレチクル内空間Sのガス置換を終えているので、即座に露光処理に移ることができる。
【0035】
次に、レチクル用ガス置換部210によりレチクルRのレチクル内空間Sを低吸光性ガスGに置換する第6工程について説明する。まず、ロボットアーム82により、レチクルRがレチクルホルダ211上に戴置される。この際、レチクルRは、レチクルホルダ211の開口部213からレチクルホルダ211の内部に収容され、レチクル板Pの周縁部がレチクルホルダ211と係合し、レチクルホルダ211上を滑って案内される。そして、レチクルホルダ211にレチクルRが収容されると、通気孔hとガス供給口212とが、特別な位置合わせ作業をすることなく、対向する。そして、通気孔hとガス供給口112とが対向すると、レチクルホルダ211は、レチクルRを吸着保持する。
そして、露光処理を行うに先立って、レチクル用ガス置換部210により、レチクル内空間Sを低吸光性ガスGに置換する。レチクル内空間Sのガス置換は、供給用制御弁94hを開放し、供給管路95hを通して通気孔hからレチクル内空間S内に低吸光性ガスGを供給する。そして、低吸光性ガスGが供給されると、レチクル内空間S内に存在していた吸光ガスが通気孔hを通して、レチクル室20に押し出される。押し出された吸光ガスは、レチクル室20のガス置換の際に、排気管路99bを通して外部に排気される。
なお、テーパー部215、シール部材221、緩衝部材222の作用は、テーパー部115、シール部材121、緩衝部材122の作用と同様である。
このように、レチクルステージ装置200上においても、短時間で効率よくレチクル内空間Sのガス置換を行うことができる。
なお、本工程は、第2工程或いは第4工程において、既にレチクル内空間Sのガス置換が行われている場合には、これらの工程は省略可能であるが、露光処理の直前にレチクル内空間Sのガス置換を行うことにより、レチクルRの搬送中にレチクル内空間Sに大気が混入する不具合を確実に防止することができる。
【0036】
ウエハWを搬入する第7工程では、主制御系70の指令により開閉扉65が開き、主制御系70から指令を受けた制御部88によりロボットアーム87が動作して、前工程から搬送されてきたウエハWをウエハ予備室60に搬入する。そして、ロボットアーム87がウエハ予備室60から退避すると、開閉扉65が閉じて、ウエハ予備室60内のガス置換が開始される。その後、開閉扉63が開き、ロボットアーム86がウエハWをウエハ予備室60からウエハ室50内の搬入し、ウエハホルダ52上に戴置する。ロボットアーム86がウエハ室50ら退避すると、開閉扉63が閉じる。このようにして、ウエハ室50内への大気の流入が阻止される。そして、次工程においてウエハWが露光されている間に、ウエハ予備室60には次のウエハWが搬送され、即座にウエハWの入れ換えが行えるように準備される。なお、ウエハ予備室60に一度に複数枚のウエハWを搬入するようにして、開閉扉65の開閉、及びウエハ予備室60のガス置換の回数を減らすようにしてもよい。
【0037】
ウエハWにレチクルRのパターンPAを露光する第8工程では、従来通りの露光作業が行われる。この際、光路空間LS内には、低吸光性ガスGが充満し、吸光ガスが排除されているので、真空紫外線光が十分な強度でウエハWまで到達する。したがって、真空紫外線光を用いたパターンの微細化が実現できる。
【0038】
次に、薄膜改質部130により薄膜Cの改質を行う第9工程について説明する。上述したように、露光処理を行うと、薄膜C内に透過率低下物質が発生して、透過率が低下する。そのため、透過率が低下して、使用不可能となる前に、レチクルRをレチクルステージ装置200から退避して、薄膜改質部130の直上に移動ささせる。
そして、薄膜改質部130の酸素供給部131から薄膜Cに向けて酸素を吹き付けると同時に、その酸素に向けてランプ133から光を照射する。これにより、酸素は光を吸収し、活性な励起酸素(原子状酸素)に分解される。したがって、薄膜Cには、励起酸素が吹き付けられ、酸素を励起させる光により薄膜Cに発生した透過率低下物質の結合が切断されるとともに、励起酸素の酸化作用により,有機物は酸化分解揮発される。
このようにして、薄膜Cが改質されて、透過率が改善される。また、酸素供給部131から薄膜Cに向けて吹き付けられた酸素は、酸素吸引部132により吸引されて、外部に排気されることにより、酸素がレチクル室20内に拡散し、露光光ELを吸光することが防止できる。
そして、薄膜Cが改質されたレチクルRは、再び、レチクルステージ装置200上に戻されて、露光処理が再開される。
なお、第9工程は、必要に応じて行えばよく、省略することも可能である。
【0039】
最後に、レチクルR及びウエハWを露光装置STP外に搬出する第10工程は、レチクルR及びウエハWを搬入作業を後戻りするように行われる。すなわち、レチクルR及びウエハWは、ロボットアーム82,86により各予備室30,60に搬出され、更にロボットアーム83,87により外部に搬出される。その際、開閉扉33,35,63,65が順次開閉して、レチクル室20、ウエハ室50内への大気の流入が阻止される。
なお、レチクルR及びウエハWを露光装置STP外に搬出した直後に、光路空間LS内のガス置換を行うことが望ましい。また、レチクルRを露光装置STP外に搬出する際には、レチクル内空間Sのガス置換を行う必要はない。
【0040】
以上のようにして、光路空間LSから吸光ガスが低減され、真空紫外線が十分な強度を保ったままウエハWの露光面まで到達させることができる。また、繰り返し露光処理を行う場合には、以上の処理を繰り返して行えばよい。
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲においてプロセス条件や設計要求等に基づき種々変更及び省略可能である。本発明は、例えば以下のような変更をも含むものとする。
【0041】
例えば、ロボットアーム82,83は、シングルアームの場合に限らず、図9に示すように、ダブルアーム(旋回アーム)であってもよい。この場合には、各アームにレチクル用ガス置換部110を設置したり、レチクルRの搬入に用いるアームにのみにレチクル用ガス置換部110を設置したりしてもよい。
また、本実施形態では、レチクル内空間Sのガス置換を行うレチクル用ガス置換部110,210を複数設置する場合について説明したが、少なくとも1箇所以上存在すればよい。すなわち、ロボットアーム82のみに設置したり、レチクルステージ装置200のみに設置したりしてもよい。
【0042】
また、レチクルRの枠部材Fの通気孔hを介して、レチクル内空間Sをガス置換する際に、枠部材Fの通気孔hに取り付けられているフィルタFLを取り外してもよい。
また、例えば、ガス供給口112,212と接続する通気孔hに比べて、他の通気孔hの径を大きしたり、数を増やしたりして、ガスの排出を効率よくしてもよい。
【0043】
また、レチクルRの通気孔hの周囲とガス供給口112,212の周囲とを密着又は近接するために、バネ等の弾性体による付勢装置も設けてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、枠部材Fと基底部111cとを密着させて、低吸光性ガスGを供給し、かつ枠部材Fに形成された他の通気孔hからレチクル内空間Sに存在していた吸光ガスを排気する構成について説明したが、次のように構成することも可能である。予めレチクル予備室30又はレチクル室20を低吸光性ガスGで満たし、その後に、枠部材Fの通気孔hに、ガス供給口112,212から低吸光性ガスGを供給せずに、空気を吸引するようにする。これにより、レチクル内空間Sの吸光ガスが通気孔hを介して排気され、レチクル予備室30又はレチクル室20に満たされている低吸光性ガスGが枠部材Fの他の通気孔hを介してレチクル内空間Sに導かれ、最終的には、レチクル内空間Sが低吸光性ガスGにガス置換される。
【0045】
また、上述したレチクルライブラリ89の代わりに、レチクル(マスク)Rを収納する手段として、不活性ガスが充填されたマスク搬送ケース(例えば、密閉度を向上させて構成したSMIFポット)を用いてもよい。この場合、このマスク搬送ケース内に収納されているレチクルRのレチクル内空間Sは通常は低吸光性ガスGで置換されていると考えられるが、薄膜Cや枠部材Fからの脱ガス(アウトガス)によってレチクル内空間Sが汚染されている虞があるため、レチクル室20に搬入する前に、ガス置換を実施するのが好ましい。
また、上記実施形態では、大気中にレチクルライブラリ89を設け、レチクルライブラリ89とレチクル予備室30との間でレチクルRを搬送するロボットアーム83を備える構成としたが、これに限らず、レチクルライブラリ89を低吸光性ガスGで満たされた空間内に収容し、レチクルライブラリ89とレチクル予備室30との間に低吸光性ガスGで所定圧に満たされたレチクル搬送路が設けてもよい。また、レチクルライブラリ89をレチクル予備室30内に配置してもよい。
【0046】
また、露光照明系10、レチクル室20、投影光学系40、及びウエハ室50における各室内や、レチクル予備室30、ウエハ予備室60の各室内を満たす低吸光性ガスGとして、全てを同一種類としてもよいし、異なる種類の混合ガスを用いてもよい。この低吸光性ガスGとして窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等、及びこれらの混合ガスが用いられる。ただし、レチクル室20、レチクル予備室30及びレチクル内空間Sに供給される低吸光性ガスGの種類は、同じ種類にすることが望ましい。これは、ガスの混合を避けるためである。
【0047】
また、レチクル予備室30を2つ設けて、レチクル室20からレチクルRを搬出する動作とレチクル室20にレチクルRを搬入する動作とを並行して行うようにしてもよい。これにより、レチクルRのレチクル室20への搬入の終了を待つことなく、レチクル予備室30から外部にレチクルRを搬出できるので、レチクルRの交換時間を短縮することができる。
また、照明系ハウジング11、隔壁21、隔壁31、投影系ハウジング41、隔壁51、隔壁61、供給管路95は、研磨などの処理によって表面粗さが低減されたステンレス(SUS)等の材質を用いて脱ガスの発生を抑制してもよい。
【0048】
また、本実施形態では、レチクル室20内にレチクルステージ装置200を配置する構成について説明したが、レチクル室20を設けずに、照明系ハウジング11と投影系ハウジング41との間の露光光ELの光路部分を局所的にガス置換してもよい。
また、ウエハ室50内にウエハホルダ52及びウエハステージ53を配置する構成について説明したが、ウエハ室50を設けずに、投影系ハウジング41とウエハホルダ52に保持されたウエハWとの間の露光光ELの光路部分を局所的にガス置換してもよい。
【0049】
光路空間LS内の吸光ガスの濃度を低減する方法として、上述した光路空間LS内のガスを低吸光性ガスGで置換する他に、光路空間LSを減圧(真空化)することによっても実現することも可能である。
【0050】
また、本発明に係るウエハWとしては、保護部材磁気ヘッド用のセラミックウエハのみならず、半導体デバイス用の半導体ウエハや、液晶表示デバイス用のガラスプレートであってもよい。
【0051】
また、本発明が適用される露光装置として、マスクと基板とを静止した状態でマスクのパターンを露光し、基板を順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート型の露光装置を用いてもよい。
【0052】
また、本発明が適用される露光装置として、投影光学系を用いることなくマスクと基板とを密接させてマスクのパターンを露光するプロキシミティ露光装置を用いてもよい。
【0053】
また、露光装置の用途としては半導体デバイス製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを露光する液晶用の露光装置や、保護部材磁気ヘッドを製造するための露光装置にも広く適当できる。
【0054】
また、投影光学系としては、エキシマレーザーなどの遠紫外線を用いる場合は硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用いればよい。
【0055】
また、ウエハステージやレチクルステージにリニアモータを用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもいい。また、ステージは、ガイドに沿って移動するタイプでもいいし、ガイドを設けないガイドレスタイプでもよい。さらに、ステージの駆動装置として平面モ−タを用いる場合、磁石ユニット(永久磁石)と電機子ユニットのいずれか一方をステージに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットの他方をステージの移動面側(ベース)に設ければよい。
【0056】
また、ウエハステージの移動により発生する反力は、特開平8−166475号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
【0057】
また、レチクルステージの移動により発生する反力は、特開平8−330224号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
【0058】
また、本発明が適用される露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0059】
また、半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行う工程、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作する工程、シリコン材料からウエハを製造する工程、前述した実施形態の露光装置によりレチクルのパターンをウエハに露光するウエハ処理工程、デバイス組み立て工程(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査工程等を経て製造される。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば以下の効果を得ることができる。
第1の発明は、一端部がマスク基板上のパターン形成領域の周囲に設けられ、少なくとも2つの通気部が形成された枠部材と、枠部材の他端部に設けられ、パターン形成領域を保護するための保護部材とを備えたマスクを搬送する搬送装置であって、マスクを保持するマスク保持部材と、マスクとマスク保持部材とを相対移動させて、マスク保持部材にマスクを保持した際に、少なくとも2つの通気部の一方に対向するガス供給口とを備えるようにした。これにより、マスクが搬送される際に、マスクの通気部と搬送装置に設けたガス供給口とが対向するようになる。これにより、マスク内空間のガス置換を行うことが可能となる。
【0061】
第2の発明は、一端部がマスク基板上のパターン形成領域の周囲に設けられ、少なくとも2つの通気部が形成された枠部材と、枠部材の他端部に設けられ、パターン形成領域を保護するための保護部材とを備えたマスクを搬送する搬送方法であって、マスクとマスクを保持するマスク保持部材とを相対移動させて、マスク保持部材によりマスクを保持する工程と、マスク保持部材のうち、少なくとも2つの通気部の一方に対向してガス供給口から通気部の一部を介して、枠部材と保護部材とマスク基板とにより囲まれた空間に対して所定ガスを供給する工程と、有するようにした。これにより、マスクが搬送される際に、マスクの通気部と搬送装置に設けたガス供給口とが対向するので、マスク内空間のガス置換を行うことが可能となる。
【0062】
第3の発明は、露光光のもとで、マスクに形成されたパターンの像を基板に転写する露光装置において、第1の発明に係るマスク搬送装置を備え、露光光の光路中にマスクを搬送するに先立って、マスク搬送装置において、マスク基板と保護部材と枠部材とから形成される空間内の気体を所定ガスに置換するようにした。これにより、マスクの搬送中にマスク内空間のガス置換が行われるので、即座に十分な照度の露光光を基板に照射してパターンを転写することができる。
【0063】
第4の発明は、露光光のもとで、マスクに形成されたパターンの像を基板に転写する露光方法において、露光光の光路中にマスクを搬送する方法として、第2の発明に係るマスク搬送方法を用いるとともに、マスク基板と保護部材と枠部材とから形成される空間内の気体を所定ガスに置換するようにした。これにより、マスクの搬送中にマスク内空間のガス置換が行われるので、露光光が減衰することなく、即座に十分な照度の露光光を基板に照射してパターンを転写することができる。
【0064】
第5の発明は、リソグラフィ工程を含むデバイスの製造方法において、リソグラフィ工程において第3の発明に係る露光装置、或いは第4の発明に係る露光方法を用いるようにした。これにより、微細なパターンを備えるデバイスを製造することができるので、半導体メモリの大容量化やCPUプロセッサの高速化・高集積化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】保護装置を備えるレチクルを示す模式図
【図2】露光装置STPの構成を示す概念図
【図3】レチクルステージ装置を示す斜視図
【図4】ガス置換系を示す概念図
【図5】ロボットアームに設置されたレチクル用ガス置換部を示す斜視図
【図6】レチクル用ガス置換部の断面図、
【図7】レチクルステージ装置に設置されたレチクル用ガス置換部を示す模式図一部断面図
【図8】薄膜改質部を示す概念図
【図9】旋回アームに設置されたレチクル用ガス置換部を示す概念図
【符号の説明】
P レチクル板(マスク基板)
PA パターン(パターン形成領域)
C 薄膜(保護部材)
F 枠部材
h 通気孔(通気部)
R レチクル(マスク)
S レチクル内空間(空間)
G 低吸光性ガス(所定ガス)
EL 露光光
LS 光路空間(光路)
W ウエハ(基板)
STP 露光装置
82,83 ロボットアーム(搬送装置)
91 ガス供給装置(ガス供給機構)
111 把持部(マスク保持部材)
112,212 ガス供給口
131 酸素供給部
132 酸素吸引部
133 ランプ(光源)
200 レチクルステージ装置(マスクステージ)
211 レチクルホルダ(マスク保持部材)
Claims (14)
- 一端部がマスク基板上のパターン形成領域の周囲に設けられ、少なくとも2つの通気部が形成された枠部材と、前記枠部材の他端部に設けられ、前記パターン形成領域を保護するための保護部材とを備えたマスクを搬送する搬送装置であって、
前記マスクを保持するマスク保持部材と、
前記マスクと前記マスク保持部材とを相対移動させて、前記マスク保持部材に前記マスクを保持した際に、前記少なくとも2つの通気部の一方に対向するガス供給口とを備えることを特徴とするマスク搬送装置。 - 前記マスク保持部材は、前記マスクが戴置されるマスクステージであり、
前記ガス供給口は、前記マスクステージに設けられ、かつ前記マスクが前記マスクステージに搬送された際に、前記少なくとも2つの通気部の一方に対向することを特徴とする請求項1に記載のマスク搬送装置。 - 前記ガス供給口に接続され、前記ガス供給口を介して、前記枠部材と前記保護部材と前記マスク基板とにより囲まれた空間に対して所定ガスを供給するガス供給機構を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマスク搬送装置。
- 前記マスク保持部材に前記マスクを保持する際に、前記枠部材と前記ガス供給口とを押し当てることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のマスク搬送装置。
- 前記少なくとも2つの通気部の他方は、前記枠部材と前記保護部材と前記マスク基板とにより囲まれた空間内の気体を排気することを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のマスク搬送装置。
- 前記保護部材に励起酸素を吹き付ける酸素供給部を備えることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載のマスク搬送装置。
- 前記保護部材に吹き付けた酸素を吸引する酸素吸引部を備えることを特徴とする請求項6に記載のマスク搬送装置。
- 酸素を励起させる光源を備えることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のマスク搬送装置。
- 一端部がマスク基板上のパターン形成領域の周囲に設けられ、少なくとも2つの通気部が形成された枠部材と、前記枠部材の他端部に設けられ、前記パターン形成領域を保護するための保護部材とを備えたマスクを搬送する搬送方法であって、
前記マスクと該マスクを保持するマスク保持部材とを相対移動させて、該マスク保持部材により該マスクを保持する工程と、
前記マスク保持部材のうち、前記少なくとも2つの通気部の一方に対向してガス供給口から前記通気部の一方を介して、前記枠部材と前記保護部材と前記マスク基板とにより囲まれた空間に対して所定ガスを供給する工程と、有することを特徴とするマスク搬送方法。 - 前記マスク保持部材は、前記マスクが戴置されるマスクステージであり、
前記マスクが前記マスクステージに搬送された際に、前記マスクステージに設けられた、前記少なくとも2つの通気部の一方に対向するガス供給口から、前記通気部の一部を介して、前記空間に対して所定ガスを供給することを特徴とする請求項9に記載のマスク搬送方法。 - 前記保護部材に励起酸素原子を吹き付けることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載のマスク搬送方法。
- 露光光のもとで、マスクに形成されたパターンの像を基板に転写する露光装置において、
請求項1から請求項8のうちいずれか一項に記載のマスク搬送装置を備え、
前記露光光の光路中に前記マスクを搬送するに先立って、該マスク搬送装置において、前記マスク基板と前記保護部材と前記枠部材とから形成される空間内の気体を所定ガスに置換することを特徴とする露光装置。 - 露光光のもとで、マスクに形成されたパターンの像を基板に転写する露光方法において、
前記露光光の光路中に前記マスクを搬送する方法として、請求項9から請求項11のうちいずれか一項に記載のマスク搬送方法を用いるとともに、前記マスク基板と前記保護部材と前記枠部材とから形成される空間内の気体を所定ガスに置換することを特徴とする露光方法。 - リソグラフィ工程を含むデバイスの製造方法において、該リソグラフィ工程において請求項12に記載の露光装置、或いは請求項13に記載の露光方法を用いることを特徴とするデバイスの製造方法。
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