JP2005063870A - 有機el装置とその製造方法、並びに電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 画素間隔壁を有する有機EL装置において、所望の膜厚の有機機能層を形成する。
【解決手段】 基板2の支持表面2a上に形成されかつ開口部112b1を有しかつ撥液性を有する有機系の画素間隔壁112bと、この画素間隔壁112bの開口部112b1内に配されかつ少なくとも発光層110bを有する有機機能層110と、この有機機能層110を介して互いに対向する一対の電極12,111とを備えてなる有機EL装置1であって、上記基板2の支持表面2aと上記画素間隔壁112bの側壁部112b2との接触角が5〜50°である。
【選択図】 図3
【解決手段】 基板2の支持表面2a上に形成されかつ開口部112b1を有しかつ撥液性を有する有機系の画素間隔壁112bと、この画素間隔壁112bの開口部112b1内に配されかつ少なくとも発光層110bを有する有機機能層110と、この有機機能層110を介して互いに対向する一対の電極12,111とを備えてなる有機EL装置1であって、上記基板2の支持表面2aと上記画素間隔壁112bの側壁部112b2との接触角が5〜50°である。
【選択図】 図3
Description
本発明は、有機EL装置とその製造方法、並びに電子機器に関するものである。
近年、ノートパソコン、携帯電話機、電子手帳等の電子機器において、情報を表示する手段として有機エレクトロルミネッセンス(以下有機ELと称す)素子を画素に対応させて複数備える有機EL装置等といった表示装置が提案されている。一般的に、有機EL素子は、対向する一対の電極の間に有機EL層(発光層)を含む有機機能層が配置されている構成を有している。
この有機EL装置の構造としては、様々なものが提案されているが、その1つに、基板上に配されかつ各画素に対応した開口部を有する画素間隔壁の開口部内に有機EL素子の有機機能層が配置されたものがある。このような構成を有する有機EL装置を製造する場合には、まず基板上に電極をパターニングして形成し、その電極対応した開口部を有する画素間隔壁を基板上に形成する。その後、画素間隔壁の開口部内に有機機能層材料を液滴吐出法によって吐出・配置し、この有機機能層材料を乾燥(焼成)させることによって有機機能層を形成する。そして、この有機機能層上に上記電極に対向する対向電極を形成している。
特開2001−52864号公報
ところで、上記有機機能層材料を液滴吐出法によって画素間隔壁の開口部に吐出する際には、有機機能層材料を当該有機機能層材料の量に対して約10倍程度の量の溶媒に含有させた状態で吐出する。そして、上述の乾燥工程によって、溶媒を蒸発させることによって有機機能層材料のみが開口部内に配置され、有機機能層が形成される。しかしながら、周知のように、ある領域に存在する液体は、蒸発の際に、その中央部が端部よりも多く蒸発する。このため、開口部内に吐出された溶媒は、乾燥工程において、その中央部が端部と比較して早く蒸発する。このように、溶媒の中央部が早く蒸発するために、その表面張力によって溶媒が画素間隔壁の側壁部に引き寄せられる。この結果、溶媒内に含有された有機機能像材料が、開口部の端部に残存する溶媒に引き寄せられ、最終的に乾燥させた際に、開口部の中央部の有機機能層材料量が少なくなる。したがって、開口部内において、その中央部近傍の有機機能層の膜厚が薄くなり、結果、良好な発光特性を有する有機EL装置を製造することが困難となる。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、画素間隔壁を有する有機EL装置において、所望の膜厚の有機機能層を形成することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る有機EL装置は、基板の支持表面上に形成されかつ開口部を有しかつ撥液性を有する有機系の画素間隔壁と、この画素間隔壁の開口部内に配されかつ少なくとも発光層を有する有機機能層と、この有機機能層を介して互いに対向する一対の電極とを備えてなる有機EL装置であって、上記基板の支持表面と上記画素間隔壁の側壁部との接触角が5〜50°であることを特徴とする。
また、本発明に係る有機EL装置の製造方法は、基板の支持表面上に形成されかつ開口部を有しかつ撥液性を有する有機系の画素間隔壁と、この画素間隔壁の開口部内に配されかつ少なくとも発光層を有する有機機能層と、この有機機能層を介して互いに対向する一対の電極とを備えてなる有機EL装置の製造方法であって、上記基板の支持表面と上記画素間隔壁の側壁部との接触角が5〜50°となるように上記画素間隔壁を形成する画素間隔壁形成工程を有することを特徴とする。
このような特徴を有する有機EL装置の製造方法によって製造された有機EL装置及び本発明に係る有機EL装置によれば、上記基板の支持表面と上記画素間隔壁の側壁部との接触角が5〜50°とされる。このように、基板の支持表面と画素間隔壁の側壁部との接触角を5〜50°とすることによって、有機機能層材料が溶媒に含有された状態で、画素間隔壁の開口部内に配置した場合に、基板の支持表面と画素間隔壁の側壁部との接触角が50°以上の場合と比較して、画素間隔壁の側壁部に接触する溶媒の量が減少する。これによって、溶媒が蒸発する際に、溶媒が画素間隔壁の側壁部に引き寄せられる量が減少するため、溶媒内に含有される有機機能層材料が画素間隔壁の側壁部に引き寄せられる量も減少する。この結果、所望の膜厚の有機機能層を画素間隔壁の開口部内に形成することができる。
また、画素間隔壁の表面に対して撥液性を付与する工程は、通常、基板の上方から画素間隔壁が形成された基板に対してCF4(テトラフルオロメタン)プラズマ、また、UV等による処理を施すことによって画素間隔壁の表面に対して撥液性を付与し、撥液性を有する画素間隔壁を形成している。このため、基板の支持表面と上記画素間隔壁の側壁部との接触角が5〜50°となるようにすることで、画素間隔壁の側壁部をより効率よく撥液化することができる。また、基板の支持表面と上記画素間隔壁の側壁部との接触角が5〜30°とすることがより好ましい。
なお、ここでいう「基板の支持表面と上記画素間隔壁の側壁部との接触角」とは、基板の支持表面を含む平面と、画素間隔壁の側壁部の立ち上がり部と平行な面との角度であり、基板の支持表面と上記画素間隔壁の側壁部とが直接接触されている場合に限られるものではない。
なお、ここでいう「基板の支持表面と上記画素間隔壁の側壁部との接触角」とは、基板の支持表面を含む平面と、画素間隔壁の側壁部の立ち上がり部と平行な面との角度であり、基板の支持表面と上記画素間隔壁の側壁部とが直接接触されている場合に限られるものではない。
また、画素間隔壁の側壁部の表面は、平面に限られるものではなく、曲面であっても良く、また、段階的に支持表面対する角度を異ならせても良い。このように、画素間側壁部の表面を変化させることによって、接触角度の値が小さい場合であっても、画素間を所望の距離以上に離間させることなく画素間隔壁を所望の高さに形成することができる。
また、画素間隔壁の開口部において露出した部位に対して親液性を付与する親液化処理工程を有することが好ましい。これによって、例えば、基板側に配された電極の表面が親液化されるため、溶媒が画素間隔壁の側壁部に接触する量をより減少させかつ開口部に露出した電極上に均一に溶媒を塗れ拡がらせることができる。
また、基板の支持表面と画素間隔壁との間に無機絶縁物からなる無機絶縁層を備えることが好ましい。有機機能層を開口部内に露出した表面全体に形成することができるため、基板上に形成された電極と有機機能層上に形成された電極とが接触することをより確実に防止することができる。
また、画素間隔壁が上記基板上一面に画素間隔壁材料を配する画素間隔壁材料配置工程と、画素間隔壁材料を現像する現像工程と、画素間隔壁を洗浄する洗浄工程と、画素間隔壁材料を焼成する焼成工程とによって形成される場合には、画素間隔壁を形成するための画素間隔壁材料として、ポジ型のレジスト材料を用いることができる。この場合に、画素間隔壁を現像するための露光時間や画素間隔壁を焼成する温度を変化させることによって、基板の支持表面と画素間隔壁の側壁部との接触角や側壁部の表面形状を変化させることができる。
また、画素間隔壁材料を液滴吐出法によって基板上に吐出・配置することによって、画素間隔壁を形成しても良い。特に、液滴吐出法によって画素間隔壁の各所を細分化して形成する場合には、容易に、所望形状の画素間隔壁を形成することができる。
また、本発明に係る電子機器は、上述した有機EL装置を表示装置として備えることを特徴とする。このような電子機器に備える有機EL装置は、有機機能層が所望の膜厚に形成されているため、良好な発光特性を有する表示装置を備えた電子機器を提供することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明に係る有機EL装置とその製造方法、並びに電子機器の一実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明に係る有機EL装置を採用したアクティブマトリクス型の有機EL装置の模式図である。また、図示する有機EL装置1は、薄膜トランジスタを用いたアクティブ型の駆動方式を採用している。
図1は、本発明に係る有機EL装置を採用したアクティブマトリクス型の有機EL装置の模式図である。また、図示する有機EL装置1は、薄膜トランジスタを用いたアクティブ型の駆動方式を採用している。
有機EL装置1は、基板2の上に回路素子として薄膜トランジスタを含む回路素子部14、画素電極(陽極)111、有機EL層(発光層)を含む有機機能層110、対向電極(陰極)12及び封止部3等を順次積層した構造からなる有機EL素子10をマトリクス状に複数配置したものである。
基板2としては、本実施形態ではガラス基板が用いられている。基板2は、ガラス基板の他にもシリコン基板、石英基板、セラミックス基板、プラスチック基板、プラスチックフィルム基板等、電機光学装置や回路基板に用いられる公知の様々な基板が適用される。この基板2の表面(図1における下面)は、外光の反射を抑制する減反射処理が施してあることが好ましい。基板2の表面に減反射処理を施すことによって外光の反射を抑制できるので本有機EL装置1のコントラストを向上させることが可能となる。基板2内には、発光領域としての複数の画素領域Aがマトリクス状に配列されており、カラー表示を行う場合、例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色に対応する画素領域Aが所定の配列で配置されている。各画素領域Aには、画素電極111が配置され、その近傍には信号線132、電源線133、走査線131及び図示しない他の画素電極用の走査線等が配置されている。画素領域Aの平面形状は、図示するような矩形の他に円形、長円形など任意の形状が適用される。
また、封止部3は、水や酸素の浸入を防ぐことによって陰極12あるいは有機機能層110の酸化を防止するものであり、基板2に塗布される封止樹脂及び基板2に貼り合わされる封止基板3b(封止缶)等を含む。封止樹脂の材料としては、例えば、熱硬化樹脂あるいは紫外線硬化樹脂等が用いられ、特に、熱硬化樹脂の一種であるエポシキ樹脂が好ましく用いられる。封止樹脂は、基板2の周縁に環状に塗布されており、例えば、マイクロディスペンサ等によって塗布される。封止基板3bは、ガラスや金属等からなり、基板2と封止基板3bとは封止樹脂を介して貼り合わされる。
図2は、上記有機EL装置1の回路構造を示している。この図2において、基板2の支持表面2a上には複数の走査線131と、走査線131に対して交差する方向に延びる複数の信号線132と、信号線に並列に延びる複数の電源線133とが配線されている。また、走査線131及び信号線132の各交点毎に上記画素領域Aが形成されている。信号線132には、例えば、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチを含むデータ側駆動回路103が接続されている。また、走査線131にはシフトレジスタ及びレベルシフタを含む走査側駆動回路104が接続されている。
画素領域Aには走査線131を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用の薄膜トランジスタ123と、このスイッチング用の薄膜トランジスタ123を介して信号線132から供給される画像信号を保持する保持容量135と、保持容量135によって保持された画像信号がゲート電極に供給される駆動用の薄膜トランジスタ124と、この駆動用の薄膜トランジスタ124を介して電源線133に電気的に接続したときに電源線133から駆動電流が流れ込む画素電極(陽極)111と、画素電極111と陰極12との間に挟み込まれる有機機能層110とが設けられている。有機機能層110は、有機EL素子としての発光層を含む。
画素領域Aでは走査線131が駆動されてスイッチング用の薄膜トランジスタ123がオンとなると、そのときの信号線132の電位が保持容量135に保持され、この保持容量135の状態に応じて駆動用の薄膜トランジスタ124の導通状態が決まる。また、駆動用の薄膜トランジスタ124のチャネルを介して電源線133から画素電極111に電流が流れ、さらに有機機能層110を通じて陰極12に電流が流れる。そして、このときの電流量に応じて有機機能層110が発光する。
図3は、上記有機EL装置1における表示領域の断面構造を拡大した図である。この図3には赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色に対応する3つの画素領域の断面構造が示されている。上述のように有機EL装置1は、基板2の支持表面2a上にTFTなどの回路等が形成された回路素子部14と、画素電極111及び有機機能層110が形成された発光素子部11と、陰極12とが順次積層されて構成されている。この有機EL装置1では有機機能層110から基板2側に発した光が回路素子部14及び基板2を透過して基板2の下側(観測者側)に放出されると共に、有機機能層110から基板2の反対側に発した光が陰極12によって反射されて回路素子部14及び基板2を透過して基板2の下側(観測者側)に放出されるようになっている。
回路素子部14には基板2上にシリコン酸化膜からなる下地保護膜2cが形成され、この下地保護層2c上に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜141が形成されている。なお、半導体膜141にはソース領域141a及びドレイン領域141bが高濃度Pイオン打ち込みによって形成されている。なお、Pが導入されなかった部分がチャネル領域141cとなっている。さらに回路素子部14には、下地保護膜2c及び半導体膜141を覆う透明なゲート絶縁膜142が形成され、ゲート絶縁膜142上にはAl、Mo、Ta、Ti、W等からなるゲート電極143(走査線)が形成され、ゲート電極143及びゲート絶縁膜142上には透明な第1層間絶縁膜144aと第2層間絶縁膜144bが形成されている。ゲート電極143は半導体膜141のチャネル領域141cに対応する位置に設けられている。また、第1、第2層間絶縁膜144a,144bを貫通して半導体膜141のソース、ドレイン領域141a,141bにそれぞれ接続されるコンタクトホール145,146が形成されている。
そして、第2層間絶縁膜144b上には、ITO(酸化インジウムスズ)等からなる透明な画素電極111が所定の形状にパターニングされて形成され、一方のコンタクトホール145がこの画素電極111に接続されている。このようにして、回路素子部14には各画素電極111に接続された駆動用のスイッチング用の薄膜トランジスタ123が形成されている。なお、回路素子部14には上述した保持容量135及び駆動用の薄膜トランジスタ124も形成されているが、図3ではこれらの図示を省略している。
発光素子部11は、複数の画素電極111上の各々に積層された有機機能層110と、有機機能層110同士の間に配されて各有機機能層110を区画するバンク部112とを主体として構成されている。有機機能層110上には陰極12が配置されている。発光素子である有機EL素子10は、画素電極111、陰極12及び有機機能層110等を含んで構成される。ここで、画素電極111は、ITOにより形成されてなり、平面視略矩形にパターニングされて形成されている。この画素電極111の厚さは、50〜200nmの範囲が好ましく、特に150nm程度が良い。
バンク部112は、図3に示すように基板2側に位置する無機物バンク層112a(無機絶縁膜)と当該無機物バンク層112a上に隣接して形成される有機物バンク層112b(画素間隔壁)とが積層されて構成されている。無機物バンク層112aは、例えば、SiO2、TiO2等の無機絶縁材料からなり、画素電極111に対応する開口を有するようにパターニングされている。また、有機物バンク層112bは、本実施形態において、ポジ型のレジスト材料であるTELR−003PM(材料名)から形成されている。この有機物バンク層112bには、図示するように、画素電極111に対応した開口部112b1が形成されており、有機物バンク層112bは、この開口部112b1の内壁部(側壁部)112b2が基板2の支持表面2aに対してその接触角θが5〜50°となるように形成されている。
そして、この有機物バンク層112bの開口部112b1に露出した画素電極111上に有機機能層110が配置される。なお、本実施形態において、有機系バンク層112bの内壁部112b2の表面は、図示するように、平面であるが、これは曲面であっても良く、また、段階的に基板2の支持表面に対する角度が変化するような面であっても良い。
そして、この有機物バンク層112bの開口部112b1に露出した画素電極111上に有機機能層110が配置される。なお、本実施形態において、有機系バンク層112bの内壁部112b2の表面は、図示するように、平面であるが、これは曲面であっても良く、また、段階的に基板2の支持表面に対する角度が変化するような面であっても良い。
有機機能層110は、画素電極111上に積層された正孔注入/輸送層110aと、正孔注入/輸送層110a上に隣接して形成された発光層(有機EL層)110bとから構成されている。正孔注入/輸送層110aは、正孔を発光層110bに注入する機能を有すると共に、正孔を正孔注入/輸送層110a内部において輸送する機能を有する。このような正孔注入/輸送層110aを画素電極111と発光層110aの間に設けることによって発光層110bの発光効率、寿命等の素子特性が向上する。また、発光層110bでは、正孔注入/輸送層110aから注入された正孔と、陰極12から注入される電子が発光層110bで再結合し、発光が得られる。
発光層110bは、赤色(R)に発光する赤色発光層110b1、緑色(G)に発光する緑色発光層110b2及び青色(B)に発光する青色発光層110b3の発光する波長帯域が互いに異なる3種類からなり、各発光層110b1〜110b3が所定の配列(例えばストライプ状)で配置されている。
次に、陰極12は、発光素子部11の全面に形成されており、発光層110bに電子を注入する役割を果たす。この陰極12は、カルシウム層12aとアルミニウム層12bとが積層されて構成されている。カルシウム層の層厚は例えば2〜50nmの範囲が好ましい。また、アルミニウム層12bは、発光層110b1〜110b3から発せられた光を基板2側に反射させるもので、Al膜の他、Ag膜、AlとAgの積層膜等からなることが好ましい。また、その厚さは、例えば100〜1000nmの範囲が好ましい。
次に、本実施形態の有機EL装置1の製造方法を図面を参照して説明する。本実施形態の有機EL装置1の製造方法は、例えば、(1)バンク部形成工程、(2)プラズマ処理工程(3)正孔注入/輸送層形成工程、(4)発光層形成工程、(5)陰極形成工程、及び(6)封止工程とを具備して構成されている。なお、製造方法はこれに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。なお、(3)正孔注入/輸送層形成工程、(4)発光層形成工程は、液滴吐出装置を用いた液滴吐出法(インクジェット法)を用いて行った。
(1)バンク層形成工程
バンク層形成工程は、基板2の支持表面2a上に無機物バンク層112a及び基板2の有機物バンク層112aを形成する工程である。以下に形成方法について説明する。
まず、図4(a)に示すように、基板2の支持表面2a上に走査線、信号線、薄膜トランジスタ123等の回路素子部14を有し、層間絶縁膜144a,144bの上に複数の画素電極111が形成された素子基板を準備する。そして、この基板2上に、例えば、蒸着法等によって、画素電極111に対応した開口を有する無機物バンク層112bを図4(b)に示すように形成する。なお、この無機物バンク層112aとしては、酸化珪素を用いることができる。
そして、図4(c)に示すように、この無機バンク層112aが形成された基板2上一面に、有機物バンク材料A(画素間隔壁材料)を、例えばスピンコート法によって2μmの厚みで配置する(画素間隔壁形成工程)。なお、本実施形態においては、この有機物バンク材料Aとして、いわゆるポジ型のレジスト材料であるTELR−003PM(東京応化社製)を用いた。
続いて、例えば、110℃で90秒程度焼成することによって、有機物バンク材料Aの予備焼成が行われる。そして、この有機物バンク材料Aの現像が行われる(現像工程)。この現像工程では、図4(d)に示すように、画素電極111に対応した開口を有するフォトマスクMを介して露光した後、現像液を用いて現像が行われる。
この基板2を純水等で洗浄する(洗浄工程)ことによって、有機物バンク材料Aに画素電極111に対応した開口部を形成し、その後、本焼成(焼成工程)を行うことによって、有機物バンク材料Aを乾燥させることによって、図5(e)に示すような、開口部112b1を有する有機物バンク層112bが形成される。
そして、これらの現像工程及び焼成工程等の条件を変化させることによって、基板2の支持表面2aと有機物バンク層112bの内壁部112b2との接触角θや内壁部の表面形状を変化させることができる。具体的には、露光及び現像の時間を従来と比較して若干短縮させ、さらに焼成温度を変化させることによって、接触角θを変化させることができる。なお、焼成温度が200℃の場合には接触角θが40°の有機物バンク層112bを形成することができ、焼成温度が250℃の場合には接触角θが30°の有機物バンク層112bを形成することができ、焼成温度が300℃の場合には接触角θが20°の有機物バンク層112bを形成することができた。
なお、有機物バンク材料Aを液滴吐出法によって基板2上に吐出・配置することによって、有機物バンク層112bを形成しても良い。特に、液滴吐出法によって有機物バンク層112bの各所を細分化して形成する場合には、容易に、所望形状の有機物バンク層112bを形成することができる。
バンク層形成工程は、基板2の支持表面2a上に無機物バンク層112a及び基板2の有機物バンク層112aを形成する工程である。以下に形成方法について説明する。
まず、図4(a)に示すように、基板2の支持表面2a上に走査線、信号線、薄膜トランジスタ123等の回路素子部14を有し、層間絶縁膜144a,144bの上に複数の画素電極111が形成された素子基板を準備する。そして、この基板2上に、例えば、蒸着法等によって、画素電極111に対応した開口を有する無機物バンク層112bを図4(b)に示すように形成する。なお、この無機物バンク層112aとしては、酸化珪素を用いることができる。
そして、図4(c)に示すように、この無機バンク層112aが形成された基板2上一面に、有機物バンク材料A(画素間隔壁材料)を、例えばスピンコート法によって2μmの厚みで配置する(画素間隔壁形成工程)。なお、本実施形態においては、この有機物バンク材料Aとして、いわゆるポジ型のレジスト材料であるTELR−003PM(東京応化社製)を用いた。
続いて、例えば、110℃で90秒程度焼成することによって、有機物バンク材料Aの予備焼成が行われる。そして、この有機物バンク材料Aの現像が行われる(現像工程)。この現像工程では、図4(d)に示すように、画素電極111に対応した開口を有するフォトマスクMを介して露光した後、現像液を用いて現像が行われる。
この基板2を純水等で洗浄する(洗浄工程)ことによって、有機物バンク材料Aに画素電極111に対応した開口部を形成し、その後、本焼成(焼成工程)を行うことによって、有機物バンク材料Aを乾燥させることによって、図5(e)に示すような、開口部112b1を有する有機物バンク層112bが形成される。
そして、これらの現像工程及び焼成工程等の条件を変化させることによって、基板2の支持表面2aと有機物バンク層112bの内壁部112b2との接触角θや内壁部の表面形状を変化させることができる。具体的には、露光及び現像の時間を従来と比較して若干短縮させ、さらに焼成温度を変化させることによって、接触角θを変化させることができる。なお、焼成温度が200℃の場合には接触角θが40°の有機物バンク層112bを形成することができ、焼成温度が250℃の場合には接触角θが30°の有機物バンク層112bを形成することができ、焼成温度が300℃の場合には接触角θが20°の有機物バンク層112bを形成することができた。
なお、有機物バンク材料Aを液滴吐出法によって基板2上に吐出・配置することによって、有機物バンク層112bを形成しても良い。特に、液滴吐出法によって有機物バンク層112bの各所を細分化して形成する場合には、容易に、所望形状の有機物バンク層112bを形成することができる。
(2)プラズマ処理工程
プラズマ処理工程は、有機物バンク112bの開口部112b1に露出した画素電極111の表面を活性化すること、更にバンク層112の表面を表面処理する事を目的として行われる。特に活性化工程では、画素電極111上の洗浄、更に仕事関数の調整を主な目的として行っている。更に、画素電極111の表面の親液化処理(親液化処理工程)、有機物バンク層112b表面の撥液化処理を行う(撥液化処理工程)。
プラズマ処理工程は、有機物バンク112bの開口部112b1に露出した画素電極111の表面を活性化すること、更にバンク層112の表面を表面処理する事を目的として行われる。特に活性化工程では、画素電極111上の洗浄、更に仕事関数の調整を主な目的として行っている。更に、画素電極111の表面の親液化処理(親液化処理工程)、有機物バンク層112b表面の撥液化処理を行う(撥液化処理工程)。
(親液化処理工程)
親液化処理工程としては、紫外線を照射することにより画素電極111の表面を親液化する紫外線(UV)照射処理や大気雰囲気中で酸素を処理ガスとするO2プラズマ処理等を選択できるが、ここではO2プラズマ処理を実施する。
具体的には、画素電極111の表面に対しプラズマ放電電極からプラズマ状態の酸素を照射することによって、画素電極111上の残渣が処理され、これによって画素電極111に対して親液性を付与する。
親液化処理工程としては、紫外線を照射することにより画素電極111の表面を親液化する紫外線(UV)照射処理や大気雰囲気中で酸素を処理ガスとするO2プラズマ処理等を選択できるが、ここではO2プラズマ処理を実施する。
具体的には、画素電極111の表面に対しプラズマ放電電極からプラズマ状態の酸素を照射することによって、画素電極111上の残渣が処理され、これによって画素電極111に対して親液性を付与する。
(撥液化処理工程)
撥液化処理としては、例えば大気雰囲気中でテトラフルオロメタンを処理ガスとするプラズマ処理法(CF4プラズマ処理法)を採用することができる。なお、処理ガスとしては、テトラフルオロメタン(四フッ化炭素)に限らず、他のフルオロカーボン系のガスを用いることもできる。
ここで、基板2の支持表面2aと有機物バンク層112bの内壁部112b1との接触角θが5〜50°となっているため、有機物バンク層112bの内壁部をより効率よく撥液化することができる。
このような撥液化処理を行うことにより、有機物バンク層112bにはフッ素基が導入され、画素電極111に対して高い撥液性が付与される。なお、有機物バンク層112bに対する撥液化処理により、先に親液化処理した画素電極111表面に対し多少は影響があるものの、画素電極111には撥液化処理によるフッ素基の導入が起こらないため、画素電極111はその親液性が実質上損なわれることはない。
また、有機物バンク層112bについては、撥液性を有する材料(例えばフッ素基を有する樹脂材料)によって形成することにより、その撥液処理を省略するようにしてもよい。
撥液化処理としては、例えば大気雰囲気中でテトラフルオロメタンを処理ガスとするプラズマ処理法(CF4プラズマ処理法)を採用することができる。なお、処理ガスとしては、テトラフルオロメタン(四フッ化炭素)に限らず、他のフルオロカーボン系のガスを用いることもできる。
ここで、基板2の支持表面2aと有機物バンク層112bの内壁部112b1との接触角θが5〜50°となっているため、有機物バンク層112bの内壁部をより効率よく撥液化することができる。
このような撥液化処理を行うことにより、有機物バンク層112bにはフッ素基が導入され、画素電極111に対して高い撥液性が付与される。なお、有機物バンク層112bに対する撥液化処理により、先に親液化処理した画素電極111表面に対し多少は影響があるものの、画素電極111には撥液化処理によるフッ素基の導入が起こらないため、画素電極111はその親液性が実質上損なわれることはない。
また、有機物バンク層112bについては、撥液性を有する材料(例えばフッ素基を有する樹脂材料)によって形成することにより、その撥液処理を省略するようにしてもよい。
(3)正孔注入/輸送層形成工程
続いて、画素電極111が形成された基板2上に、正孔注入/輸送層110aを形成する。正孔注入/輸送層形成工程では、例えば、液滴吐出法を用いることにより、正孔注入/輸送層形成材料を含む極性溶媒を組成物インクBとして画素電極111上に吐出する。その後に乾燥処理及び熱処理を行い、画素電極111上に正孔注入/輸送層110aを形成する。なお、この正孔注入/輸送層形成工程を含め、以降の工程は、例えば窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
続いて、画素電極111が形成された基板2上に、正孔注入/輸送層110aを形成する。正孔注入/輸送層形成工程では、例えば、液滴吐出法を用いることにより、正孔注入/輸送層形成材料を含む極性溶媒を組成物インクBとして画素電極111上に吐出する。その後に乾燥処理及び熱処理を行い、画素電極111上に正孔注入/輸送層110aを形成する。なお、この正孔注入/輸送層形成工程を含め、以降の工程は、例えば窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
液滴吐出法による正孔注入/輸送層110aの形成手順としては、液滴を吐出するための吐出ヘッド(図示略)に、正孔注入/輸送層110aの材料を含有する組成物インクBを充填し、吐出ヘッドの吐出ノズルを、バンク部112の開口部内に位置する画素電極111に対向させ、吐出ヘッドと基板2とを相対移動させながら、吐出ノズルから1滴当たりの液量が制御されたインク滴を吐出する。この際、有機物バンク層112bの表面に撥液性は付与され、さらに、有機物バンク層112bの開口部112b1の内壁部112b2が基板2の支持表面2aに対してその接触角θが5〜50°となるように形成されているため、組成物インクBは、図5(f)に示すように、有機物バンク層112bの表面に触れることなく、画素電極111上に配置される。
その後、吐出後のインク滴を乾燥処理して組成物インクに含まれる極性溶媒を蒸発させることにより、図5(g)に示すように、所望の膜厚の正孔注入/輸送層110aが形成される。
その後、吐出後のインク滴を乾燥処理して組成物インクに含まれる極性溶媒を蒸発させることにより、図5(g)に示すように、所望の膜厚の正孔注入/輸送層110aが形成される。
ここで用いる組成物としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸(PSS)等の混合物を、極性溶媒に溶解させた組成物を用いることができる。極性溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、ノルマルブタノール、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)及びその誘導体、カルビト−ルアセテート、ブチルカルビト−ルアセテート等のグリコールエーテル類等を挙げることができる。より具体的な組成物の組成としては、PEDOT:PSS混合物(PEDOT/PSS=1:20):12.52重量%、PSS:1.44重量%、IPA:10重量%、NMP:27.48重量%、DMI:50重量%のものを例示できる。なお、組成物の粘度は2〜20Ps程度が好ましく、特に4〜15cPs程度が良い。
(4)発光層形成工程
次に、正孔注入/輸送層110aが積層された画素電極111上に発光層110bを形成する。ここでは液滴吐出法により、発光層用材料を含む組成物インクを正孔注入/輸送層110a上に吐出し、その後に乾燥処理及び熱処理して、バンク部112に形成された開口部内に各色発光層110b1〜110b3を形成する。
次に、正孔注入/輸送層110aが積層された画素電極111上に発光層110bを形成する。ここでは液滴吐出法により、発光層用材料を含む組成物インクを正孔注入/輸送層110a上に吐出し、その後に乾燥処理及び熱処理して、バンク部112に形成された開口部内に各色発光層110b1〜110b3を形成する。
発光層形成工程では、正孔注入/輸送層110aの再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる組成物インクCの溶媒として、正孔注入/輸送層110aに対して不溶な無極性溶媒を用いる。この場合、無極性溶媒に対する正孔注入/輸送層110aの表面の濡れ性を高めるために、発光層形成の前に表面改質工程を行うのが好ましい。表面改質工程は、例えば上記無極性溶媒と同一溶媒又はこれに類する溶媒を液滴吐出法、スピンコート法又はディップ法等により正孔注入/輸送層110a上に塗布した後に乾燥することにより行う。なお、ここで用いる表面改質用溶媒は、組成物インクの無極性溶媒と同一なものとして例えば、シクロヘキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等を例示でき、組成物インクの無極性溶媒に類するものとしては、例えばトルエン、キシレン等を例示することができる。
液滴吐出法による発光層の形成手順としては、まず青色発光層の形成に際しては、吐出ヘッド(図示略)に青色発光層110b3を形成する材料を含有する無極性溶媒を組成物インクCとして充填し、吐出ヘッドの吐出ノズルを、有機物バンク層112bの開口部112b1内に位置する青色(B)用の正孔注入/輸送層110aに対向させ、吐出ヘッドと基板2とを相対移動させながら、吐出ノズルから1滴当たりの液量が制御されたインク滴を吐出する。吐出されたインク滴は、正孔注入/輸送層110a上に広がってバンク部112の開口部内に満たされる。ここでも、有機物バンク層112bの開口部112b1の内壁部112b2が基板2の支持表面2aに対してその接触角θが5〜50°となるように形成されているため、組成物インクCは、図5(h)に示すように、有機物バンク層112bの表面に触れることなく、画素電極111上に配置される。続いて、吐出後のインク滴を乾燥処理することによって組成物インクCに含まれる無極性溶媒が蒸発し、図6(i)に示すように、所望の膜厚の青色発光層110b3が形成される。
青色発光層110b3を形成する発光材料としては、例えばジスチリルビフェニルおよびその誘導体、クマリンおよびその誘導体、テトラフェニルブタジエンおよびその誘導体などの有機EL材料からなるものを用いることができる。一方、無極性溶媒としては、正孔注入/輸送層に対して不溶なものが好ましく、例えば、シクロヘキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等を用いることができる。
続いて、図6(j)に示すように、正孔注入/輸送層110aが配置された赤色(R)及び緑色(G)用の画素電極111の上に、赤色発光層110b1及び緑色発光層110b2をそれぞれ形成する。この赤色及び緑色発光層形成工程は、前述した青色発光層形成工程と同様の手順で行われる。すなわち、液滴吐出法により、緑色発光層110b2を形成する材料を含む組成物インクを緑色(G)用の正孔注入/輸送層110a上に吐出した後に乾燥処理及び熱処理して、有機物バンク層112bに形成された開口部112b1内に所望の膜厚の緑色発光層110b2を形成する。また、液滴吐出法により、赤色発光層110b1を形成する材料を含む組成物インクを赤色(R)用の正孔注入/輸送層110a上に吐出した後に乾燥処理及び熱処理して、有機物バンク層112bに形成された開口部112b1内に所望の膜厚の赤色発光層110b1を形成する。なお、緑色発光層110b2を形成する発光材料としては、例えばキナクリドンおよびその誘導体などの有機EL材料からなるものを用いることができ、赤色発光層110b1を形成する発光材料としては、例えばローダミンおよびその誘導体などの有機EL材料からなるものを用いることができる。
(5)陰極形成工程
次に、図6(k)に示すように、画素電極(陽極)111と対をなす対向電極(陰極)12を形成する。すなわち、各色発光層110b及び有機物バンク層112bを含む基板2上の領域全面に、カルシウム層12aとアルミニウム層12bとを順次積層して陰極12を形成する。これにより、各色発光層110bの形成領域全体に、陰極12が積層され、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色に対応する有機EL素子がそれぞれ形成される。陰極12は、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等で形成することが好ましく、特に蒸着法で形成することが、熱による発光層110bの損傷を防止できる点で好ましい。また陰極12上に、酸化防止のためにSiO2、SiN等の保護層を設けても良い。
次に、図6(k)に示すように、画素電極(陽極)111と対をなす対向電極(陰極)12を形成する。すなわち、各色発光層110b及び有機物バンク層112bを含む基板2上の領域全面に、カルシウム層12aとアルミニウム層12bとを順次積層して陰極12を形成する。これにより、各色発光層110bの形成領域全体に、陰極12が積層され、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色に対応する有機EL素子がそれぞれ形成される。陰極12は、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等で形成することが好ましく、特に蒸着法で形成することが、熱による発光層110bの損傷を防止できる点で好ましい。また陰極12上に、酸化防止のためにSiO2、SiN等の保護層を設けても良い。
(6)封止工程
最後に、表示素子部10が形成された基板2と封止缶3bとを封止樹脂を介して封止する。例えば、熱硬化樹脂または紫外線硬化樹脂からなる封止樹脂を基板2の周縁部に塗布し、封止樹脂上に封止缶3bを配置する。封止工程は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。大気中で行うと、陰極12にピンホール等の欠陥が生じていた場合にこの欠陥部分から水や酸素等が陰極12に侵入して陰極12が酸化されるおそれがあるので好ましくない。
最後に、表示素子部10が形成された基板2と封止缶3bとを封止樹脂を介して封止する。例えば、熱硬化樹脂または紫外線硬化樹脂からなる封止樹脂を基板2の周縁部に塗布し、封止樹脂上に封止缶3bを配置する。封止工程は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。大気中で行うと、陰極12にピンホール等の欠陥が生じていた場合にこの欠陥部分から水や酸素等が陰極12に侵入して陰極12が酸化されるおそれがあるので好ましくない。
この後、基板2の配線に陰極12を接続するとともに、基板2上あるいは外部に設けられる駆動IC(駆動回路)に回路素子部14(図3参照)の配線を接続することにより、本実施形態の有機EL装置1が完成する。
図7(a)〜(d)は、有機物バンク層112bの開口部112b1の内壁部112b2が基板2の支持表面2aに対してその接触角θを50°以上、40°、30°、20°とした場合において、開口部112b1内に配置された有機機能層110のプロファイルがどのようになるかを示した模式図である。なお、これらの図において、有機物バンク層112bの表面には撥液性が付与されている。
図7(a)に示すように、接触角θが50°以上の場合には、有機機能層110のプロファイルは、その端部が有機物バンク層112bの開口部112b1の内壁部112b2に引き寄せられた形状をしており、開口部112b1の中央部における有機機能層110の膜厚が薄くなっていることがわかる。
これに対し、図7(b)に示すように、接触角θが40°の場合には、有機機能層110のプロファイルは、その端部が有機物バンク層112bの開口部112b1の内壁部112b2に若干引き寄せられた形状をしており、開口部112b1の中央部における有機機能層110の膜厚が多少薄くなっていることがわかる。
また、図7(c),(d)に示すように、接触角θが30°,20°の場合には、有機機能層110のプロファイルは、その端部が有機物バンク層112bの開口部112b1の内壁部112b2に引き寄せられておらず、開口部112b1の中央部における有機機能層110の膜厚が十分に厚くなっていることがわかる。
(第2実施形態)
次に、本有機EL装置の第2実施形態について図1及び図3を用いて説明する。第1実施形態においては、有機機能層110から発した光が基板2の下側(観測者側)に放出されるようになっているのに対し、本実施形態においては封止基板3bの上側(観測者側)に放出されるようになっている。本実施形態と第1実施形態との相違点は主として材料構成であり、本実施形態においては第1実施形態と異なる部分について説明する。
次に、本有機EL装置の第2実施形態について図1及び図3を用いて説明する。第1実施形態においては、有機機能層110から発した光が基板2の下側(観測者側)に放出されるようになっているのに対し、本実施形態においては封止基板3bの上側(観測者側)に放出されるようになっている。本実施形態と第1実施形態との相違点は主として材料構成であり、本実施形態においては第1実施形態と異なる部分について説明する。
本実施形態は、基板2の対向側である封止基板3b側から発光を取り出す構成であるので、基板2としては透明基板及び不透明基板のいずれも用いることができる。不透明基板としては、例えば、アルミナ等のセラミック、ステンレススチール等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したものの他に、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。
また、画素電極111としては、必ずしも透明性材料に限る必要がなく、陽極の機能を満たす好適な材料が用いられ、また、光反射性を有する材料が好ましく、Al等が採用される。なお、画素電極111として透明金属のITO等を採用する場合には、その下層にAl薄膜等を形成し、光反射性を有する構成が好ましい。
また、陰極12の材料としては、透明性を有する必要があり、ITO等の透明金属が採用される。また、封止基板3bの材料としては、透明性を有する好適な材料が採用される。なお、封止基板3bの表面には、上述した第1実施形態の基板2の表面と同様に減反射処理を施すことが好ましい。
このように構成された有機EL装置においては、第1実施形態と同様の効果が得られると共に、封止基板3b側から有機機能層110の発光を放出させることが可能になる。
<電子機器>
次に、上述の有機EL装置を備えた電子機器の例について説明する。図8は上述した実施形態に係る表示装置を備えたモバイル型のパーソナルコンピュータ(情報処理装置)の構成を示す斜視図である。同図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、上述した有機EL装置を表示装置1106として備えた表示装置ユニットとから構成されている。このため、良好な発光特性を有する表示部を備えた電子機器を提供することができる。
次に、上述の有機EL装置を備えた電子機器の例について説明する。図8は上述した実施形態に係る表示装置を備えたモバイル型のパーソナルコンピュータ(情報処理装置)の構成を示す斜視図である。同図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、上述した有機EL装置を表示装置1106として備えた表示装置ユニットとから構成されている。このため、良好な発光特性を有する表示部を備えた電子機器を提供することができる。
なお、上述した例に加えて、他の例として、携帯電話、腕時計型電子機器、液晶テレビ、ビューファインダ型やモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、電子ペーパー、タッチパネルを備えた機器等が挙げられる。本発明の電気光学装置は、こうした電子機器の表示部としても適用できる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る有機EL装置とその製造方法、並びに電子機器の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
1……有機EL装置、2……基板、2a……支持表面、112a……無機物バンク層(無機絶縁層)、112b……有機物バンク層(画素間隔壁)、112b1……開口部、1112b2……内壁部(側壁部)、110……有機機能層、110b……発光層、12……陰極(電極)、111……画素電極(電極)、θ……接触角
Claims (15)
- 基板の支持表面上に形成されかつ開口部を有しかつ撥液性を有する有機系の画素間隔壁と、該画素間隔壁の開口部内に配されかつ少なくとも発光層を有する有機機能層と、該有機機能層を介して互いに対向する一対の電極とを備えてなる有機EL装置であって、
前記基板の支持表面と前記画素間隔壁の側壁部との接触角が5〜50°であることを特徴とする有機EL装置。 - 前記接触角は、30°以下であることを特徴とする請求項1記載の有機EL装置。
- 前記基板の支持表面と前記画素間隔壁との間に無機絶縁物からなる無機絶縁層を備えることを特徴とする請求項1または2記載の有機EL装置。
- 前記画素間隔壁の側壁部の表面は、平面であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の有機EL装置。
- 前記画素間隔壁の側壁部の表面は、曲面であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の有機EL装置。
- 前記画素間隔壁の側壁部の表面は、段階的に前記基板の支持表面に対する角度を変化させることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の有機EL装置。
- 請求項1〜6いずれかに記載の有機EL装置を表示装置として備えることを特徴とする電子機器。
- 基板の支持表面上に形成されかつ開口部を有しかつ撥液性を有する有機系の画素間隔壁と、該画素間隔壁の開口部内に配されかつ少なくとも発光層を有する有機機能層と、該有機機能層を介して互いに対向する一対の電極とを備えてなる有機EL装置の製造方法であって、
前記基板の支持表面と前記画素間隔壁の側壁部との接触角が5〜50°となるように前記画素間隔壁を形成する画素間隔壁形成工程を有することを特徴とする有機EL装置の製造方法。 - 前記接触角が30°以下となるように前記画素間隔壁を形成することを特徴とする請求項8記載の有機EL装置の製造方法。
- 前記画素間隔壁の表面に対して撥液性を付与する撥液化処理工程を有することを特徴とする請求項8または9記載の有機EL装置の製造方法。
- 前記画素間隔壁の開口部において露出した部位に対して親液性を付与する親液化処理工程を有することを特徴とする請求項8〜10いずれかに記載の有機EL装置の製造方法。
- 前記画素間隔壁形成工程は、
前記基板上一面に画素間隔壁材料を配する画素間隔壁材料配置工程と、
前記画素間隔壁材料を現像する現像工程と、
前記画素間隔壁材料を洗浄する洗浄工程と、
前記画素間隔壁を焼成する焼成工程と
を有することを特徴とする請求項8〜11いずれかに記載の有機EL装置の製造方法。 - 前記画素間隔壁材料は、ポジ型のレジスト材料であることを特徴とする請求項12記載の有機ELの製造方法。
- 前記画素間隔壁は、液滴吐出法によって画素間隔壁材料を吐出・配置することによって形成されることを特徴とする請求項8〜11いずれかに記載の有機ELの製造方法。
- 前記有機機能層は、液滴吐出法によって有機機能層材料を吐出・配置することによって形成されることを特徴とする請求項8〜14いずれかに記載の有機ELの製造方法。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20061107 |