JP2009259457A - 有機エレクトロルミネッセンス素子とその製造方法、及び電子機器 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子とその製造方法、及び電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】液滴吐出法で形成する機能膜の膜厚ムラをより少なくし、これによって表示性能を向上した有機エレクトロルミネッセンス素子とその製造方法、及び電子機器とを提供する。
【解決手段】隔壁14の開口部14a内に、第1電極11と少なくとも有機発光層を含む機能層と第2電極とが設けられ、機能層のうちの少なくとも一層が液滴吐出法で形成されてなる有機エレクトロルミネッセンス素子である。開口部の開口形状が、長軸Xと短軸Yとを有してなる長円状に形成されている。隔壁14の、開口部14aにおける短軸Y方向に沿う第1隔壁部141の高さaが、開口部14aにおける長軸X方向に沿う第2隔壁部142の高さbより高く形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子とその製造方法、及び電子機器に関する。
近年、多数の有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)を備えた有機エレクトロルミネッセンス装置(有機EL装置)の製造においては、機能性材料を含む液状体(機能液)を所定の位置に配置し、所望の機能膜を形成する技術が活発に開発されている。特に、インクジェット法に代表される液滴吐出法によれば、用いるインクジェットヘッドの解像度に応じて微少な機能液を所望の位置に塗布することができるため、微細なパターンの機能膜を形成することができ、したがって高解像度で高品質な有機EL装置を形成するが可能になる。
ところで、液滴吐出法を用いた製造方法では、機能液を塗布する領域の周囲に隔壁(バンク)を設け、それぞれの機能液の配置箇所を区画することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。隔壁を設けることで吐出の際の位置精度を向上し、さらに塗布された機能液が他の領域の機能液と混ざり合うことを抑制することにより、良好なパターニングを可能にするためである。
このような隔壁を用いた製造方法では、実際には隔壁に開口部を形成してこの開口部内を機能液の塗布領域、すなわち発光素子(有機EL素子)の形成領域とし、開口部内に第1電極(画素電極)を臨ませる(露出させる)ようにしている。
また、隔壁に形成される開口部の開口形状としては、当初においては矩形状(長方形状)が一般的であった。しかし、吐出配置された液滴(機能液)は、開口部内に落下すると表面張力で丸くなろうとすることから、特に開口部の角部(隅部)においては、液滴が十分に濡れ拡がらなくなってしまう。その結果、得られる機能膜に膜厚ムラ等が生じ、これによって膜内で発光量の差が生じたり、輝度や色合いに違いが生じるなど、表示不良(表示ムラ)を生じる一因になっていた。
そこで、近年では、開口形状を長円状、すなわち陸上競技におけるトラックの形状とし、これによって角部を無くすことにより、液滴の濡れ拡がり性を向上することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2002−222695号公報 特開2004−127552号公報
前記したように、長円状の開口形状を有した開口部内にインクジェット法(液滴吐出法)で液滴を吐出配置し、得られた機能膜では、開口形状が矩形状である場合に比べ、膜厚ムラが少なくなる。したがって、この有機EL素子では、膜厚ムラが少なくなった分、その表示性能が向上している。しかしながら、このように開口形状が長円状となる開口部を形成した隔壁を用いても、形成する機能膜には依然として膜厚ムラが生じ、これが表示性能を損なう一因になっている。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、液滴吐出法で形成する機能膜の膜厚ムラをより少なくし、これによって表示性能を向上した有機エレクトロルミネッセンス素子とその製造方法、及び電子機器とを提供することにある。
本発明者は、前記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得た。
図9(a)の平面図に示す、従来の長円状の開口形状を有する開口部50を形成した隔壁52を用いた場合の、機能膜のプロファイルは、実験の結果、図9(b)、(c)に示すようになることが分かった。ここで、図9(a)に示したように長円状の開口部50は、長軸Xと短軸Yとを有し、長軸Xの長さが200μm、短軸Yの長さが50μmになっている。なお、長円状の開口部50は、長軸Xに沿う直線状の辺50aと、短軸Yに沿う曲線状の辺50bとに囲まれて形成されている。曲線状の辺50bは、直径が50μmである半円の円弧形状となっている。
また、図9(b)は図9(a)におけるB−B線矢視断面図、図9(c)は図9(a)におけるC−C線矢視断面図である。これら図9(b)、(c)中において符号55は機能膜であり、この機能膜55は、有機材料を溶解または分散させてなる液状体(インク)が、前記開口部50内にインクジェット法(液滴吐出法)で吐出され配された後、乾燥処理されて形成されたものである。
また、図9(b)、(c)に示したように、隔壁52は下側に設けられたSiOからなる無機隔壁53と、これの上に形成されたアクリル樹脂からなる有機隔壁54とによって構成されている。この隔壁52は、その開口部50内に、ITOからなる第1電極(画素電極)57を露出させた(臨ませた)状態で形成されている。そして、この第1電極57の表面と無機隔壁53とには親液処理がなされており、有機隔壁54には撥液処理がなされている。なお、有機隔壁54はその高さが2μmとなっており、一方、無機隔壁53は有機隔壁54に比べて十分に薄く形成されている。したがって、隔壁52の高さとしては、有機隔壁54の高さによってほぼ決定されることになる。
このような隔壁52の開口部50内に、前記液状体(インク)をインクジェットヘッド(図示せず)から吐出し、図9(b)、(c)中二点鎖線で示すように開口部50内から流れ出ない程度に液状体を配する。その後、乾燥処理を行うことにより、図9(b)、(c)中実線で示すように機能膜55を形成する。
このようにして形成された機能膜55は、前記長円の長軸X方向にスキャンしたときの膜形状が、図9(b)に示すように、両側と中央部とが凹み、これら両側部と中央部との間が盛り上がる、M形状となる。また、前記長円の短軸Y方向にスキャンしたときの膜形状が、図9(c)に示すように、両側が外側に向かって厚くなり、中央部が凹む、U形状となる。
よって、このような長円状の開口形状を有する開口部50内に形成した従来の機能膜55は、前述したように、依然として膜厚ムラが生じているのである。
また、隔壁の高さと機能膜の膜厚プロファイルとの関係を調べるため、図10(a)の平面図に示す、円形の開口形状を有する開口部60を形成した隔壁62を用いた場合の、機能膜のプロファイルを、実験によって求めた。ここで、図10(a)に示したように円形の開口部60については、その直径を50μmに形成した。また、隔壁の62の高さについては、図10(b)に示すように有機隔壁64の高さを2μmにした場合と、図10(c)に示すように有機隔壁64の高さを1.6μmにした場合の、二通りで実験を行った。なお、図10(b)、(c)中において符号63は無機隔壁であり、この無機隔壁63は、有機隔壁64に比べ十分に薄く形成されたものである。したがって、隔壁62の高さは、前述したように有機隔壁64の高さによってほぼ決定されることになる。また、符号67はITOからなる第1電極(画素電極)である。
このような隔壁62の開口部60に対し、図9(a)〜(c)に示した場合と同様にして液状体(インク)をインクジェットヘッド(図示せず)から吐出し、機能膜を形成した。その結果、有機隔壁の高さを2μmと相対的に高くした図10(b)では、開口形状である円の直径方向にスキャンしたときの機能膜65aの膜形状は、両側が外側に向かって厚くなり、中央部が凹む、U形状となった。一方、有機隔壁の高さを1.6μmと相対的に低くした図10(c)では、円の直径方向にスキャンしたときの機能膜65bの膜形状は、その中央部が盛り上がった、逆U形状となった。
なお、図9(b)、(c)に示した傾向、及び図10(b)、(c)に示した傾向は、再現性良く現れた。
このような知見のもとに、本発明者はさらに研究を重ねた結果、特に図9(b)に示したようなM形状となる膜形状(膜厚プロファイル)を改善し、これを平坦化させるのに、図10(b)と図10(c)とで得られる膜形状の違いを応用することに思い到った。そして、後述するように実験を行った結果、開口部内に平坦な機能膜を形成することができることを確認し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、開口部を形成した隔壁の前記開口部内に、第1電極と少なくとも有機発光層を含む機能層と第2電極とが設けられ、前記機能層のうちの少なくとも一層が液滴吐出法で形成されてなる有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記開口部の開口形状が、長軸と短軸とを有してなる長円状又は楕円状に形成され、
前記隔壁の、前記開口部における短軸方向に沿う第1隔壁部の高さaが、前記開口部における長軸方向に沿う第2隔壁部の高さbより高く形成されていることを特徴としている。
この有機エレクトロルミネッセンス素子によれば、隔壁の開口部における短軸方向に沿う第1隔壁部の高さaを、開口部における長軸方向に沿う第2隔壁部の高さbより高く形成したので、前記開口部内に液滴吐出法で形成される、機能層を構成する機能膜の、長軸方向に沿ってスキャンしたときの膜形状が、中央部が凹むU形状となる傾向になる。したがって、従来ではこの長軸方向に沿ってスキャンしたときの膜形状が、両側と中央部とが凹み、これら両側部と中央部との間が盛り上がるM形状になっていたのに対し、前記のU形状となる傾向を加えることで、この長軸方向に沿ってスキャンしたときの膜形状が平坦化する。よって、この有機エレクトロルミネッセンス素子にあっては、前記機能膜の膜厚ムラがより少なくなり、これによって表示性能が向上する。
また、前記有機エレクトロルミネッセンス素子においては、前記第1隔壁部の高さaが、第2隔壁部の高さbの1.3倍以上の高さであるのが好ましい。
このようにすれば、後述する実験結果より、機能層を構成する機能膜の膜形状がより平坦化する。
また、前記有機エレクトロルミネッセンス素子においては、前記隔壁が、少なくともその表層部が樹脂材料からなり、該表層部の表面が撥液処理されているのが好ましい。
このようにすれば、隔壁の撥液性が発揮されることにより、液滴吐出法で形成される機能膜の膜厚ムラがより少なくなる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法によれば、基板上に第1電極を形成する工程と、
前記基板上に、長軸と短軸とを有してなる長円状又は楕円状の開口形状を有し、かつ前記第1電極を露出させる開口部を備えた隔壁を形成する工程と、
前記開口部内に、有機発光層を含む機能層を液滴吐出法で形成する工程と、
前記機能層を覆って第2電極を形成する工程と、を備え、
前記隔壁を形成する工程では、前記開口部における短軸方向に沿う第1隔壁部の高さaが、前記開口部における長軸方向に沿う第2隔壁部の高さbより高くなるように該隔壁を形成することを特徴としている。
この有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法によれば、隔壁の開口部における短軸方向に沿う第1隔壁部の高さaを、開口部における長軸方向に沿う第2隔壁部の高さbより高く形成したので、前述したように、前記開口部内に液滴吐出法で形成される、機能層を構成する機能膜の、長軸方向に沿ってスキャンしたときの膜形状を平坦化することができ、したがって、前記機能膜の膜厚ムラをより少なくし、これによって表示性能を向上することができる。
また、前記有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法においては、前記第1隔壁部の高さaを、第2隔壁部の高さbの1.3倍以上の高さにするのが好ましい。
このようにすれば、後述する実験結果より、機能層を構成する機能膜の膜形状をより平坦化することができる。
また、前記有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法においては、前記隔壁を形成する工程で、少なくともその表層部を樹脂材料で形成するとともに、該表層部の表面を撥液処理するのが好ましい。
このようにすれば、隔壁の撥液性が発揮されることにより、液滴吐出法で形成される機能膜の膜厚ムラがより少なくなる。
本発明の電子機器は、前記の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴としている。
この電子機器によれば、液滴吐出法で形成される機能膜の膜厚ムラがより少なくなり、これによって表示性能が向上した有機エレクトロルミネッセンス素子を備えているので、この電子機器自体も表示性能に優れたものとなる。
以下、本発明の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)を備えた有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL装置)について、図面を参照して詳しく説明する。なお、以下の各図面では、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材ごとに縮尺を適宜変更している。
図1は、本発明の有機EL素子を備えた有機EL装置の、概略構成を示す側断面図であり、図1中符号1は有機EL装置である。この有機EL装置1は、基板2上に形成された多数の有機EL素子30の機能層15から射出された光を、有機EL素子30が形成された基板2とは反対側の封止基板20から取り出す、トップエミッション方式のものである。
基板2は、ガラスや石英、樹脂、あるいは金属等の反射性を有する材料からなるもので、その表面(内面)には、例えばSiO(シリコン酸化物)からなる絶縁膜3が形成されている。絶縁膜3上には、個々の有機EL素子30に対応して駆動用TFT(薄膜トランジスタ)4が設けられている。駆動用TFT4は、絶縁膜3上に形成されたポリシリコン等からなる半導体層5と、半導体層5のチャネル領域にゲート絶縁膜(図示略)を介して対向配置されたゲート電極6と、を備えている。そして、ゲート絶縁膜及びゲート電極6を覆って、SiOやSiNからなる層間絶縁膜7が形成されている。
層間絶縁膜7上にはソース電極8及びドレイン電極9が形成され、それぞれ、コンタクトホール7a,7bを介して半導体層5のソース領域(図示せず)及びドレイン領域(図示せず)に接続されている。また、ソース電極8は、層間絶縁膜7上に形成された電源配線103に接続されている。電源配線103は、画素開口部の開口率を高めるべく、この画素開口部の側方、すなわち前記駆動用TFT4の側方に配置されたもので、Al等によって形成されたものである。
これら駆動用TFT4及び電源配線103を覆って、基板2上を平坦化する平坦化層(有機平坦化層)10が形成されている。平坦化層10は、例えば、アクリル樹脂やポリイミド樹脂等の耐熱性及び絶縁性を有する有機材料によって形成されている。
また、この平坦化層10上には、前記駆動用TFT4の直上及びその近傍部に、有機EL素子30の陽極である画素電極(第1電極)11が形成されている。この画素電極11は、例えば、Al(アルミニウム)等の反射性を有する導電性材料で形成されている。あるいは、仕事関数を調整するため、上層を透明なITOとし、下層をAl等の反射性導電材料とする、積層構造の電極としてもよい。画素電極11は、平坦化層10を貫通してドレイン電極9に到達するコンタクトホール10aを介して、ドレイン電極9に接続されている。また、駆動用TFT4のゲート電極6は、後述するスイッチング用TFT112に接続されて、画素信号を保持する保持容量capと電気的に接続されている。
画素電極11の周縁部上、及びその周囲には、無機隔壁12と、無機隔壁12上に形成された有機隔壁13とからなる隔壁14が形成されている。隔壁14には、画素電極11を有機EL素子30ごとに区画し、かつ画素電極11の上面(基板2と反対側の面)を露出させる開口部(画素開口部)14aが形成されている。また、有機隔壁13の端部(開口部14aを規定する部分)は、無機隔壁12の端部(開口部14aを規定する部分)より、開口部14aから見て外側となるように形成されている。これによって開口部14a内に露出した隔壁14には、開口部14a内の有機隔壁13と無機隔壁12との境界部分に、無機隔壁12の上面を露出させた階段状の段差部が形成されている。ただし、これら無機隔壁12の開口部と有機隔壁13の開口部13aとは、その大きさの差が開口部13aの大きさに比べて十分に小さく、したがって、無機隔壁12の開口部と有機隔壁13の開口部13aとは実質的に同一の大きさとなる。
無機隔壁12は、SiO等の絶縁性の無機材料によって形成されたもので、その表面に親液化処理が施され、濡れ性が向上させられたことにより、親液性を有したものとなっている。有機隔壁13は、例えば平坦化層10と同じ有機材料によって形成されたもので、その表面に撥液化処理が施されたことにより、撥液性を有したものとなっている。
有機隔壁13は、無機隔壁12を覆って形成されたもので、その開口形状が隔壁14全体の開口部14aの開口形状となっている。なお、本例では、有機隔壁13はその開口部13aの内面がテーパ面となっており、したがってその上面側における開口形状が最も大きな開口となっている。よって、本発明における開口部の開口形状とは、前記したテーパ面の最上部における形状をいう。また、この開口部の開口形状(開口部13a(14a)の開口形状)は、本例では図2(a)に示すように長円状(トラック形状)、すなわち長軸Xと短軸Yとを有した形状となっており、図9(a)に示した開口部50と同じ長円状になっている。また、このような隔壁14の開口部14aはマトリクス状に配置されている。
ここで、本例では、図2(a)に示す隔壁14は、前記開口部14aにおける短軸Y方向に沿う第1隔壁部141の高さaが、前記開口部14aにおける長軸X方向に沿う第2隔壁部142の高さbより高く形成されている。短軸Y方向に沿う第1隔壁部141とは、前記開口部14aの、短軸Yに沿う曲線状の辺141aを端縁として、これの近傍部を形成する隔壁部であり、長軸X方向に沿う第2隔壁部142とは、前記開口部14aの、長軸Xに沿う直線状の辺142aを端縁として、これの近傍部を形成する隔壁部である。
図2(b)は、図2(a)におけるB−B線矢視断面図であり、図2(b)に示す隔壁14が第1隔壁部141となる。図2(c)は、図2(a)におけるC−C線矢視断面図であり、図2(c)に示す隔壁14が第2隔壁部142となる。ここで、無機隔壁12の厚さは有機隔壁13の厚さに比べて十分に薄いので、隔壁14の厚さ(高さ)は、実質的に有機隔壁13の厚さによって決定されることになる。したがって、本発明では、第1隔壁部141の高さa、第2隔壁部142の高さbは、いずれも対応する箇所における有機隔壁13の厚さ(高さ)を言うものとする。
すなわち、本発明では、図2(b)に示した第1隔壁部141の高さ(有機隔壁13の高さ)aが、図2(c)に示した第2隔壁部142の高さ(有機隔壁13の高さ)bより高くなっている。これら高さの差は、より大きくなっているのが好ましく、具体的には、後述する実験結果より、その比(a/b)が1.3以上であるのが好ましい。
なお、このような第1隔壁部141の高さaと第2隔壁部142の高さbとの差(違い)は、図2(b)に示すように、隔壁14中の第1隔壁部141と対応する位置に、第3の隔壁145を設けたことによる。この第3の隔壁145は、無機隔壁12上に形成されたもので、無機材料、有機材料のいずれからなっていてもよい。そして、無機隔壁12上に第3の隔壁145が形成された後、該第3の隔壁145を覆って無機隔壁12上のほぼ全域に有機隔壁13が形成されることにより、図2(b)に示した第1隔壁部141の高さaは、図2(c)に示した第2隔壁部142の高さbより、第3の隔壁145の高さ分、高くなっている。
つまり、第3の隔壁145の高さが、予め設定した第1隔壁部141の高さaと第2隔壁部142の高さbとの差(a−b)になるように、この第3の隔壁145を形成することにより、前記差(a−b)を所望の差にすることができるのである。
なお、第3の隔壁145の形成については、無機材料あるい有機材料からなる層を所望の厚さに形成した後、公知のレジスト技術やエッチング技術を用いて前記層をパターニングする。これにより、図2(a)中に破線による斜線で示す領域、すなわち第1隔壁部141と対応する領域に、第3の隔壁145を形成することができる。
このような第1隔壁部141と第2隔壁部142とを有した隔壁14(有機隔壁13)の開口部14a内には、図1に示すように機能層15が設けられている。なお、図1は、特に隔壁14の開口部14aに関しては、前記の図2(c)に対応する側断面を示す図となっている。機能層15は、複数の機能膜、すなわち、画素電極11側に形成された正孔注入・輸送層16(機能膜)と、その上に積層されて形成された発光層(有機発光層)17(機能膜)と、を備えて形成されたものである。正孔注入・輸送層16は、例えば、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)の分散液、すなわち、ポリスチレンスルフォン酸を分散媒として、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェンを分散させ、さらにこれを水に分散させた分散液等の液状材料を乾燥することによって形成されている。また、発光層17は、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料により形成されている。特にフルカラー表示を行う場合には、赤色、緑色、青色の各波長域に対応する光を発光する材料が用いられる。
ここで、発光層17の形成材料としては、例えば、(ポリ)フルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン系などが好適に用いられる。また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いることもできる。さらに、Ir(ppy)3などの燐光材料を用いることもできる。
機能層15上には、機能層15及び隔壁14を覆って、有機EL素子30の陰極である透明な共通電極(第2電極)18が設けられている。この共通電極18は、低仕事関数の金属であるアルカリ金属やアルカリ土類金属によって形成され、あるいは、MgAgやLiF、ITO(インジウム錫酸化物)などによって形成されたものである。
また、共通電極18上には、光透過性を有する接着層19を介して、例えば、ガラスや石英等の透明な材料で形成された封止基板20が貼着されている。
図3は、本例の有機EL装置1の配線構造を示す模式図である。図3に示すように有機EL装置1は、複数の走査線101と、走査線101に対して交差する方向に延びる複数の信号線102と、信号線102に並列に延びる複数の電源配線103とがそれぞれ配線された構成を有するとともに、走査線101及び信号線102の各交点付近に、画素領域Aを形成したものである。
信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチを備えるデータ側駆動回路104が接続されている。走査線101には、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査側駆動回路105が接続されている。また、画素領域Aの各々には、走査線101を介して走査信号がゲート電極6(図1参照)に供給されるスイッチング用TFT112と、このスイッチング用TFT112を介して信号線102から供給される画素信号を保持する保持容量capと、この保持容量capによって保持された画素信号がゲート電極6に供給される駆動用TFT4と、この駆動用TFT4を介して電源配線103に電気的に接続したときに、電源配線103から駆動電流が流れ込む画素電極11と、この画素電極11と共通電極18との間に挟み込まれた機能層15とが、設けられている。
そして、画素電極11と共通電極18と機能層15とにより、有機EL素子30が構成されている。
このような構成によれば、走査線101が駆動されてスイッチング用TFT112がオンになると、そのときの信号線102の電位が保持容量capに保持され、保持容量capの状態に応じて、駆動用TFT4のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用TFT4のチャネルを介して、電源配線103から画素電極11に電流が流れ、さらに機能層15を介して共通電極18に電流が流れる。すると、機能層15はこれを流れる電流量に応じて発光する。
このような構成の有機EL装置1を製造するには、まず、図4(a)に示すように、基板2上に絶縁膜3を形成し、絶縁膜3上に駆動用TFT4、スイッチング用TFT112及び前述の配線や回路等を形成する。すなわち、絶縁膜3上にポリシリコン等の半導体層5と、半導体層5を覆うゲート絶縁膜(図示略)とを形成し、その上にゲート電極6を形成する。次いで、半導体層5に不純物をドープしてソース領域、ドレイン領域、及びチャネル領域を形成する。そして、これらを覆って層間絶縁膜7を形成し、さらにフォトリソグラフィ法によって層間絶縁膜7を貫通し、半導体層5のソース領域及びドレイン領域に到達するコンタクトホール7a,7bを形成する。
次に、図4(b)に示すように、層間絶縁膜7上に電源配線103を形成する。具体的には、マスクを用いて蒸着法でAlを選択的に成膜することにより、例えば格子状のパターンに形成する。
次いで、層間絶縁膜7上にソース電極8およびドレイン電極9を形成する。
次いで、図4(c)に示すように、スピンコート法等によってこれらを覆うようにアクリル樹脂等を成膜し、平坦化層10を形成する。
次いで、レジスト技術、エッチング技術を用いた公知の手法によって平坦化層10を貫通し、ドレイン電極9に到達するコンタクトホール10aを形成する。
次に、図5(a)に示すように、平坦化層10上に画素電極11を形成し、コンタクトホール10aを介してドレイン電極9に接続する。
次いで、図5(b)に示すように、画素電極11及び平坦化層10を覆ってSiO等からなる絶縁性の無機材料層120を形成する。そして、レジスト技術、エッチング技術等を用いて無機材料層120をパターニングし、画素電極11を区画するとともに画素電極11の上部を露出させる開口部12aを形成し、無機隔壁12を形成する。
次いで、画素電極11、無機隔壁12を覆ってスピンコート法等によりアクリル樹脂等を成膜し、所望の厚さの第3の隔壁材料層(図示せず)を形成する。なお、この第3の隔壁材料層については、有機材料でなく無機材料で形成してもよいのはもちろんある。
続いて、レジスト技術、エッチング技術等によって前記第3の隔壁材料層をパターニングし、図2(a)、(b)に示したように第1隔壁部141の形成領域に、第3の隔壁145を形成する。なお、図5(b)、(c)は、図2(a)におけるC−C線矢視断面図である図2(c)に対応した図となっており、したがって、無機隔壁12上に第3の隔壁145が形成されていない図(状態)となっている。
次いで、図5(c)に示すように、画素電極11、無機隔壁12を覆い、さらに第3の隔壁145(図示せず)を覆ってスピンコート法等によりアクリル樹脂等を成膜し、有機材料層130を形成する。すると、この有機材料層130は、第3の隔壁145を形成した領域では、この第3の隔壁145の高さを反映して高さが相対的に高くなり、第3の隔壁145を形成していない領域では、無機隔壁12上に直接形成されることで、高さが相対的に低くなる。
続いて、レジスト技術、エッチング技術等によって有機材料層130をパターニングし、画素電極11を露出させるテーパ形状の開口部13aを形成する。これにより、図2(b)に示したように第3の隔壁145を形成した領域に高さaの第1隔壁部141が形成され、図2(c)に示したように第3の隔壁145を形成していない領域に高さbの第2隔壁部142が形成される。これにより、第1隔壁部141と第2隔壁部142とを有する、有機隔壁13が得られる。
このとき、開口部13aについては、無機隔壁12の開口部12aよりも一回り大きく形成する。また、特に第3の隔壁145を無機材料で形成した場合には、該第3の隔壁145が有機隔壁13の外側に露出することなく、該有機隔壁13によって完全に覆われるようにしておく。なお、第3の隔壁145を有機材料で形成した場合でも、該第3の隔壁145が有機隔壁13によって完全に覆われるようにしておくのが好ましく、本例では、図2(b)に示したように第3の隔壁145を有機隔壁13によって完全に覆っている。
このようにして有機隔壁13を形成することにより、無機隔壁12と第3の隔壁145と有機隔壁13とを備え、無機隔壁12の開口部12aと有機隔壁13の開口部13aとからなる開口部14aを有した、隔壁14が形成される。そして、このようにして有機隔壁13の開口部13a、すなわち隔壁14の開口部14aを形成すると、その開口縁部では、図2(b)、(c)に示したように高さが異なる第1隔壁部141と第2隔壁部142とが形成される。
次に、画素電極11の表面を洗浄処理し、続いて、画素電極11と無機隔壁12と有機隔壁13とを形成した側の面に酸素プラズマ処理を行う。これにより、表面に付着した有機物等の汚染物を除去して濡れ性を向上させる。具体的には、基板2を所定温度、例えば70〜80℃程度に加熱し、続いて大気圧下で酸素を反応ガスとするプラズマ処理(Oプラズマ処理)を行う。
次いで、撥液化処理を行うことにより、特に有機隔壁13の上面及び内面の濡れ性を低下させる。具体的には、大気圧下で4フッ化メタンを反応ガスとするプラズマ処理(CFプラズマ処理)を行い、その後、プラズマ処理のために加熱された基板2を室温まで冷却することで、有機隔壁13の上面及び側面を撥液化し、その濡れ性を低下させる。
なお、このCFプラズマ処理においては、画素電極11の露出面および無機隔壁12についても多少の影響を受けるが、画素電極11の材料である金属等や無機隔壁12の構成材料であるSiOなどはフッ素に対する親和性に乏しいため、酸素プラズマ処理で濡れ性が向上した面は濡れ性がそのままに保持される。
次に、基板2を、例えば、200℃程度の温度に加熱してアニール処理を行う。
次いで、図1に示したように、隔壁14に囲まれた開口部14a内に正孔注入・輸送層16を形成する。この正孔注入・輸送層16の形成工程では、開口部14a内に正孔注入・輸送層16の形成材料を選択的に配する必要上、特に液滴吐出法であるインクジェット法が採用される。
図6(a)は、インクジェット法で液滴を吐出する装置(液滴吐出装置)に備えられたインクジェットヘッド301の断面図である。このインクジェットヘッド301には、液状体を収容する液体室321に隣接して、ピエゾ素子322が設けられている。液体室321には、液状体を収容する材料タンクを含む液状体供給系323を介して、液状体が供給されるようになっている。ピエゾ素子322は、駆動回路324に接続されており、この駆動回路324を介してピエゾ素子322に電圧を印加し、ピエゾ素子322を変形させる。これにより、液体室321を変形して内圧を高め、ノズル325から液状体の液滴を吐出する。すなわち、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み量を制御し、液状体の吐出量を制御するようになっている。
また、このインクジェットヘッド301は、図6(b)に示すようにその下面に多数の吐出ノズル325を、一定間隔で一列(あるいは複数列)に配置した、マルチノズルタイプのものである。これら吐出ノズル325からは、それぞれ独立して、前記したように機能層15の形成材料となる機能液(液状体)の液滴が吐出されるようになっている。
このようなインクジェットヘッド301を用いたインクジェット法により、正孔注入・輸送層16の形成材料であるPEDOT/PSSの分散液を、前記開口部14a内に所定量吐出し、これによって画素電極11の露出面上に配する。
その後、熱処理(乾燥・焼成処理)を例えば200℃で10分間程度行うことにより、機能層15を構成する機能膜となる正孔注入・輸送層16を、厚さ20nm〜100nm程度に形成する。すると、隔壁14の開口部14aにおける前記第1隔壁部141の高さaを、前記第2隔壁部142の高さbより高くしているので、得られた正孔注入・輸送層16は、前記長軸X方向に沿ってスキャンしたときの膜形状が平坦化する。
次いで、この正孔注入・輸送層16上に、発光層17を形成する。この発光層17の形成工程においても、上記の正孔注入・輸送層16の形成工程と同様に、液滴吐出法であるインクジェット法で行う。
その後、窒素雰囲気中にて130℃で30分間程度熱処理を行い、隔壁14に形成された開口部14a内、すなわち画素領域A上に、機能層15を構成する機能膜となる発光層17を、厚さ50nm〜200nm程度に形成する。なお、発光層17の形成材料中に用いる溶媒としては、正孔注入・輸送層16を再溶解させないもの、例えば、キシレンなどが好適に用いられる。このようにして発光層17を形成すると、この場合にも、第1隔壁部141の高さaを第2隔壁部142の高さbより高くしているので、得られた発光層17は、前記長軸X方向に沿ってスキャンしたときの膜形状が平坦化する。
次いで、発光層17及び有機隔壁13を覆ってMgAgなどの透明導電材料を成膜し、共通電極18を形成する。この共通電極18の形成では、正孔注入・輸送層16や発光層17の形成とは異なり、真空蒸着法等で行うことにより、画素領域Aにのみ選択的に形成するのでなく、基板2のほぼ全面に共通電極18を形成する。
その後、共通電極18上に接着剤を用いて接着層19を形成し、さらにこの接着層19によって封止基板20を接着し、封止を行う。これにより、有機EL素子30を多数備えてなる有機EL装置1が得られる。
本例の有機EL素子30によれば、長円状の開口部14aにおける短軸Y方向に沿う第1隔壁部141の高さaを、長軸X方向に沿う第2隔壁部142の高さbより高く形成したので、開口部14a内に形成した機能膜の、長軸X方向に沿ってスキャンしたときの膜形状が、図10(b)に示したように中央部が凹むU形状となる傾向になる。したがって、従来ではこの長軸X方向に沿ってスキャンしたときの膜形状が、図9(b)に示したように両側と中央部とが凹み、これら両側部と中央部との間が盛り上がるM形状になっていたのに対し、前記のU形状となる傾向を加えることで、この長軸X方向に沿ってスキャンしたときの膜形状が平坦化する。よって、この有機EL素子30にあっては、液滴吐出法で形成される各機能膜(正孔注入・輸送層16、発光層17)の膜厚ムラがより少なくなり、これによって表示性能が向上する。
また、このような有機EL素子30の製造方法によれば、第1隔壁部141の高さaを第2隔壁部142の高さbより高く形成したので、前述したように、長軸方向に沿ってスキャンしたときの機能膜の膜形状を平坦化することができ、したがって、機能膜の膜厚ムラをより少なくし、これによって表示性能を向上することができる。
よって、本発明によれば、例えば前記の特許文献1に記載されている有機EL装置のように、画素間(有機EL素子間)での膜厚ムラに起因する発光ムラを抑制すべく、表示画素領域(有効画素領域)の周囲に、表示画素と同じ形状、同ピッチのダミー画素を設け、基板内での画素分布による膜厚ムラをなくすといった手法を採る必要が少なくなる。したがって、ダミー画素領域を設けることによって表示画素領域(有効画素領域)が縮小し、結果的に大画面化が損なわれるのを防止することができる。
なお、本発明は前記例に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、前記例では、隔壁14(有機隔壁13)の開口部14a(13a)の開口形状を長円状に形成したが、この開口部14a(13a)の開口形状を、図7に示すように楕円状にしてもよい。このように楕円状にしても、長円状の場合と同様の作用効果が得られる。ただし、開口部を楕円状に形成した場合、その短軸Y方向に沿う第1隔壁部141と長軸X方向に沿う第2隔壁部142とは、例えば以下のようにして決定される。
図7に示すように、楕円状の開口部14aの開口縁(周縁)に対する接線Lと、長軸X(あるいは短軸Y)とのなす角θが45°となる、前記周縁上の位置(接点)を点P1〜点P4とする。そして、短軸Y方向に沿う点P1と点P2とを結ぶ曲線D1、及び点P3と点P4とを結ぶ曲線D2に対応する隔壁部分を第1隔壁部141とし、長軸X方向に沿う点P2と点P3とを結ぶ曲線E1、及び点P4と点P1とを結ぶ曲線E2に対応する隔壁部分を第2隔壁部142とする。
このようにしても、長軸X方向に沿ってスキャンしたときの膜形状が、図10(b)に示したように中央部が凹むU形状となる傾向になるため、この長軸X方向に沿ってスキャンしたときの膜形状が平坦化する。
また、前記実施形態ではトップエミッション方式の有機EL装置について説明したが、本発明を、前記実施形態とは反対側から光を取り出すボトムエミッション方式の有機EL装置にも、適用することができる。
[電子機器]
次に、前記有機EL装置を備えた電子機器の例について説明する。図8は、本発明に係る電子機器の一例としての、携帯電話を示す斜視図である。図8に示す携帯電話1300は、前記有機EL装置を表示部1301として備え、さらに、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。したがって、この携帯電話1300にあっては、前記したように機能膜の膜厚ムラがより少なく、これによって表示性能が向上した有機EL素子を有した有機EL装置を備えているので、この電子機器自体も表示性能に優れたものとなる。
なお、電子機器としては、前記した携帯電話に限られることなく、種々のものに適用することができる。例えば、ディスクトップ型コンピュータ、マルチメディア対応のパーソナルコンピュータ(PC)及びエンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルを備えた装置等の画像表示手段として好適に用いることができ、かかる構成とすることで、表示品質が高い表示部を備えた電子機器を提供することができる。
[実験例]
図2(a)〜(c)に示した隔壁14において、第1隔壁部141の高さ(有機隔壁13の高さ)aと第2隔壁部142の高さ(有機隔壁13の高さ)bとを変えて、実験例としての隔壁を作製した。そして、これら隔壁を用いて形成した機能膜の、長円の長軸X方向にスキャンしたときの膜形状(膜厚プロファイル)を、以下のようにして調べた。
なお、以下の実験では、図2(b)、(c)における無機隔壁12の厚さを一定とした。また、無機隔壁12の開口側の端縁が、有機隔壁13の開口側の端縁より延出した長さ(幅)dも、一定にした。
作製した各第1隔壁部141、第2隔壁部142を有する隔壁14に形成された開口部に対し、正孔注入・輸送層16の形成材料をインクジェット法で吐出して、該形成材料をITOからなる画素電極11上に配した。続いて、150℃で乾燥・焼成処理を行い、正孔注入・輸送層16を形成した。なお、正孔注入・輸送層16の形成材料としては、(PEDOT/PSS)の分散液を用い、イソプロピルアルコール(IPA)、ノルマルブタノール、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサメチルホスソルアミド(HMPA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)及びその誘導体、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のグリコールエーテル類といった、高沸点溶媒を添加し、安定した吐出を可能にした。
その後、形成した各正孔注入・輸送層16の、長軸X方向にスキャンしたときの膜形状(膜厚プロファイル)を調べた(実験例1〜8)。また、比較のため、第1隔壁部141の高さaと第2隔壁部142の高さbとが同じ高さである従来のものについても、同様にして膜形状を調べた(比較例)。膜形状の評価については、多数の点で膜厚を測定してその標準偏差(σ)を求め、3σが5nm以下のものを○とした。また、3σが5nmを超えているものの、比較例の3σより小さいものについては△とした。なお、比較例はその3σが5nmを大きく超えており、したがってその膜評価を×とした。
得られた結果を以下に示す。また、第1隔壁部141の高さaと第2隔壁部142の高さbとの比(a/b)を、併せて示す。
・比較例 a=2.0μm、b=2.0μm 膜評価 × a/b=1
・実験例1 a=2.0μm、b=1.8μm 膜評価 △ a/b=1.11
・実験例2 a=2.0μm、b=1.6μm 膜評価 ○ a/b=1.25
・実験例3 a=3.0μm、b=2.7μm 膜評価 △ a/b=1.11
・実験例4 a=3.0μm、b=2.3μm 膜評価 ○ a/b=1.30
・実験例5 a=3.0μm、b=2.0μm 膜評価 ○ a/b=1.50
・実験例6 a=5.0μm、b=4.3μm 膜評価 △ a/b=1.16
・実験例7 a=5.0μm、b=3.8μm 膜評価 ○ a/b=1.32
・実験例8 a=5.0μm、b=3.3μm 膜評価 ○ a/b=1.52
以上の結果より、第1隔壁部141の高さaを第2隔壁部142の高さbより高くした実験例1〜8は、いずれも従来品である比較例に比べ、膜形状が平坦化していることが確認された。また、特に(a/b)を1.3/以上にすれば、機能膜の膜形状がより平坦化することが確認された。
なお、このようにして形成した正孔注入・輸送層16上に、それぞれ発光層17を形成したところ、得られた発光層17は、いずれも下地の正孔注入・輸送層16と同様の傾向を有する膜形状となった。
本発明に係る有機EL装置の一例の概略構成を示す側断面図である。 (a)〜(c)は本発明に係る隔壁の開口部の構造を示す図である。 本発明の有機EL装置の配線構造を示す模式図である。 (a)〜(c)は本発明に係る有機EL装置の製造工程説明図である。 (a)〜(c)は本発明に係る有機EL装置の製造工程説明図である。 (a)、(b)はインクジェットヘッドの概略構成を示す模式図である。 隔壁の開口形状が楕円状である場合の説明図である。 本発明に係る電子機器を示す斜視図である。 (a)〜(c)は従来の隔壁に係る図である。 (a)〜(c)は隔壁の高さと膜形状の関係を調べるための図である。
符号の説明
1…有機エレクトロルミネッセンス装置(有機EL装置)、2…基板、11…画素電極(第1電極)、12…無機隔壁、12a…開口部、13…有機隔壁、13a…開口部、14…隔壁、14a…開口部、15…機能層、16…正孔注入・輸送層(機能膜)、17…発光層(有機発光層、機能膜)、18…共通電極(第2電極)、30…有機EL素子(発光素子)、141…第1隔壁部、142…第2隔壁部、145…第3の隔壁

Claims (7)

  1. 開口部を形成した隔壁の前記開口部内に、第1電極と少なくとも有機発光層を含む機能層と第2電極とが設けられ、前記機能層のうちの少なくとも一層が液滴吐出法で形成されてなる有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記開口部の開口形状が、長軸と短軸とを有してなる長円状又は楕円状に形成され、
    前記隔壁の、前記開口部における短軸方向に沿う第1隔壁部の高さaが、前記開口部における長軸方向に沿う第2隔壁部の高さbより高く形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記第1隔壁部の高さaは、第2隔壁部の高さbの1.3倍以上の高さであることを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記隔壁は、少なくともその表層部が樹脂材料からなり、該表層部の表面が撥液処理されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 基板上に第1電極を形成する工程と、
    前記基板上に、長軸と短軸とを有してなる長円状又は楕円状の開口形状を有し、かつ前記第1電極を露出させる開口部を備えた隔壁を形成する工程と、
    前記開口部内に、有機発光層を含む機能層を液滴吐出法で形成する工程と、
    前記機能層を覆って第2電極を形成する工程と、を備え、
    前記隔壁を形成する工程では、前記開口部における短軸方向に沿う第1隔壁部の高さaが、前記開口部における長軸方向に沿う第2隔壁部の高さbより高くなるように該隔壁を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  5. 前記第1隔壁部の高さaを、第2隔壁部の高さbの1.3倍以上の高さにすることを特徴とする請求項4記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  6. 前記隔壁を形成する工程では、少なくともその表層部を樹脂材料で形成するとともに、該表層部の表面を撥液処理することを特徴とする請求項4又は5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えた電子機器。
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