JP2012212778A - 有機el素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光面内の色ムラが抑制された有機EL素子を提供する。
【解決手段】有機EL素子は、二以上のドーパント含有層1と、一以上のドーパント非含有層2とを含む有機層3を備える。発光面Aが所定の大きさの区画に複数の要素Sとして分割される。二以上のドーパント含有層1のうちの少なくとも一つのドーパント含有層1は、当該ドーパント含有層1における各要素Sの平均膜厚が、当該ドーパント含有層1全体の平均膜厚の90〜110%の範囲内である。CIE1976(u’,v’)色度図の、u’値およびv’値で表される各要素の平均色度は、u’値およびv’値の両方において、発光面A全体の平均色度の98〜102%の範囲内である。
【選択図】図1

Description

本発明は、発光面を有する有機EL素子に関する。
近年、照明装置などに用いられる有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)として、面状に発光する有機EL素子が開発されている。発光が面状になることにより、点状に発光されるものよりも発光面積を大きくすることができ、明るく発光することができるという利点がある。そして、このような発光面を有する有機EL素子は、低電力、長寿命などの特性を有することから、次世代の発光素子として注目されている。
特開2007−048732号公報
発光面を有する有機EL素子においては、パネルなどの発光面内において、色ムラなどと呼ばれる、色度のムラや輝度のムラが生じるという問題がある。すなわち、中央部と端部や、隅部同士、一端部と他端部など、発光面内のある一領域と別の領域とにおいて、輝度や色度に差が生じる場合がある。特に発光面積が大きくなればなるほど、輝度ムラや色度ムラが顕著になる。輝度ムラや色度ムラが大きいと、面内において均一な発光性が得られず、発光性能が低下してしまうという問題がある。
特許文献1には、膜厚を調整してダークスポットを抑制する技術が開示されているが、発光面の色度ムラや輝度ムラを改善するものではなかった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、発光面内の色ムラが抑制された有機EL素子を提供することを目的とする。
本発明に係る有機EL素子は、二以上のドーパント含有層と、一以上のドーパント非含有層とを含む有機層を備え、発光面が所定の大きさの区画に複数の要素として分割されたときに、前記二以上のドーパント含有層のうちの少なくとも一つのドーパント含有層は、当該ドーパント含有層における各要素の平均膜厚が、当該ドーパント含有層全体の平均膜厚の90〜110%の範囲内であり、CIE1976(u’,v’)色度図の、u’値およびv’値で表される各要素の平均色度は、u’値およびv’値の両方において、発光面全体の平均色度の98〜102%の範囲内である。
前記各要素は、前記二以上のドーパント含有層の膜厚の総厚が、前記一以上のドーパント非含有層の膜厚の総厚よりも小さいことが好ましい。
前記各要素は、前記二以上のドーパント含有層の膜厚の総厚が、前記有機層の膜厚に対して25〜35%であることが好ましい。
前記二以上のドーパント含有層における各ドーパント含有層は、当該各ドーパント含有層における各要素の平均膜厚が、当該各ドーパント含有層全体の平均膜厚の93〜107%の範囲内であり、前記一以上のドーパント非含有層における各ドーパント非含有層は、当該各ドーパント非含有層における各要素の平均膜厚が、当該各ドーパント非含有層全体の平均膜厚の90〜110%の範囲内であることが好ましい。
また、前記有機層に隣接して反射性電極を備え、前記有機層のうち前記反射性電極に隣接する隣接有機層は、全体の膜厚が30〜50nmであり、当該隣接有機層における各要素の平均膜厚が、当該隣接有機層全体の平均膜厚の93〜107%の範囲内であることが好ましい。
前記複数の要素のうち最小輝度を示す要素は、最大輝度を示す要素に対して70%以上の輝度を示すことが好ましい。
また、前記有機層を反射性電極と透明電極との間に備え、前記透明電極は、外面に光散乱層が設けられた光透過性基板の内面に設けられ、CIE1976(u’,v’)色度図の、u’値およびv’値で表される前記各要素の平均色度は、u’値およびv’値の両方において、発光面全体の平均色度の98.5〜101.5%の範囲内であることが好ましい。
本発明によれば、発光面内の色ムラが抑制され、発光の面内均一性が向上した有機EL素子を得ることができる。
本発明の有機EL素子の発光面の一例を示す概略平面図である。 本発明の有機EL素子の一例を示す概略断面図である。 真空蒸着法における膜厚調整の一例を示す概略図である。 発光面の写真であり、(a)は実施例1の有機EL素子の発光面、(b)は比較例1の有機EL素子の発光面を示している。
図2は、本実施形態の有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)の層構成の一例である。この有機EL素子は、二以上のドーパント含有層1と、一以上のドーパント非含有層2とを含む有機層3を備えている。
有機層3は、第一電極4と第二電極5の間に配置されている。図示の形態では、ドーパント含有層1は、m個のドーパント含有層1からなっており、最も第一電極4側にはドーパント含有層1aが配置され、最も第二電極5側にはドーパント含有層1bが配置されている。なお、mは二以上の正の整数である。また、ドーパント非含有層2は、n個のドーパント非含有層2からなっており、最も第一電極4側にはドーパント非含有層2aが配置され、最も第二電極5側にはドーパント非含有層2bが配置されている。なお、nは一以上の正の整数である。
ドーパント含有層1は、発光ドーパントを含有する層であり、発光層として機能する層である。二以上のドーパント含有層1は、発光色の異なる少なくとも二つのドーパント含有層1を含んでいることが好ましい。発光色が異なるものは色ムラが発生しやすいが、本実施形態では、そのような色ムラをより低減することができる。また、複数の発光色、特に三色以上の発光色があれば、赤、青、緑の発光の組み合わせにより、適宜の発光色を作り出すことが可能であり、好ましい。この場合、例えば、白色発光を得ることが可能である。
ドーパント非含有層2は、発光ドーパントを含有しない層である。ドーパント非含有層2は、電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層、正孔注入層、中間層、結合層、などから選ばれる適宜の層として機能する。ドーパント非含有層2は、有機層3を構成する層の一つであり、基本的に、有機物を含む層であるが、本明細書では、電子注入層や電子輸送層など前記に掲げた層が、有機物を含まず金属などにより構成される場合もドーパント非含有層2と定義する。すなわち、有機層3は、第一電極4と第二電極5とに挟まれた層全体をいうものとする。
ドーパント含有層1の膜厚は、例えば、1〜40nmにすることができる。また、ドーパント非含有層2の膜厚は、例えば、1〜60nmにすることができる。これらの層の膜厚が適宜の範囲になることにより、電気特定及び発光特性の両方を良好にすることができる。
図1は、上記の有機EL素子を発光面Aに垂直な方向から見た平面概略図である。有機層3による発光は、光取り出し電極である第一電極4側(又は第二電極5側)から取り出される。このように本実施形態の有機EL素子は、面状に発光するものであり、発光面Aが比較的面積の広い面状となっている。発光面Aの大きさは、例えば、面積が25cm以上900cm以下程度にすることができるが、これに限定されるものではない。発光面Aの形状は、特に限定されるものではなく、矩形状(正方形又は長方形)であっても、円状であっても、その他の形状であってもよい。ただし、次に説明する要素分割は、矩形状の方が行いやすい。
発光面Aは、所定の大きさの区画に複数の要素Sとして分割される。図1では、複数の要素Sは、各要素Sが面積の同じ正方形形状で構成されている。なお、要素Sは長方形形状であってもよいが、色ムラを低減する観点からは正方形形状である方がよい。そして、発光面Aは、n個の要素Sに分割されている。ここで、nは、正の整数である。なお、このnは、図2におけるnとは関係ない。
要素Sの大きさは、適宜所定の大きさに設定することができるが、要素Sの大きさが大きすぎる場合、要素内での色度・輝度などの勾配が平均化されてしまうため、評価上は勾配なしと評価されてしまい実情を反映しなくなるおそれがある。また、大きい面積の面光源として用いる場合、必要なのは面全体としての均一性(色度・輝度など)であって、極小領域間の均一性は必ずしも必要でなく、また視認性の観点からも不要であることから、要素Sの大きさを小さくしすぎなくてもよい。このように要素Sは、発光面Aにおける発光が人に与える感度を基準として、その大きさが設定されるものである。
要素Sの大きさは、例えば、5mm×5mmの正方形にすることができるが、この限りではなく、正方形形状で構成する場合、例えば、0.2mm×0.2mmの正方形より大きく、30mm×30mmの正方形より小さいことが好ましい。要素Sの大きさは、より好ましくは、1mm×1mmの正方形より大きく、10mm×10mmの正方形又は20mm×20mmの正方形より小さいものである。
また、発光面Aを所定の個数で等分に分割して要素Sを得るようにしてもよい。例えば、発光面Aを、3×3個(計9個)の正方形に分割したり、4×4個(計16個)の正方形に分割したり、あるいは、5×5個(計25個)の正方形に分割したりして、複数の要素Sを得ることができる。
図1においては、要素Sは、横方向にp個で配列され、縦方向にq個で配列されている。p、qは正の整数である。ここで、左上の隅部の要素Sを要素Sとし、この段(一段目)の横方向に並ぶ要素を左から右に順に、S、S、・・・、Sといったように定義する。このとき、縦方向の次の段(二段目)の左端部の要素Sを、Sの次の要素Sとして、要素Sp+1と表せば、この段の横方向に並ぶ要素は左から右に順に、SP+2、SP+3、・・・、S2pと表すことができる。このようにすると、横方向にα番目、縦方向にβ番目の任意の要素Sは、要素S、m=(β−1)p+α、と表すことができる。α、βは正の整数である。このmは、図2におけるmとは関係ない。こうして、横方向及び縦方向の要素を順に番号付けすると、右下の隅部の要素Sは、要素S、n=p×qと表すことができる。このようにして、発光面Aは、要素Sから要素Sまでのn個の要素Sに分割される。
本実施形態の有機EL素子では、このように要素分割したときに、二以上のドーパント含有層1のうちの少なくとも一つのドーパント含有層1が特定の膜厚条件を満たす。この特定の膜厚条件を満たすドーパント含有層1を特定ドーパント含有層として説明する。
特定ドーパント含有層においては、上記のように発光面Aに垂直な方向から見た場合に、特定ドーパント含有層が、n個の要素Sに分割されている。そして、各要素Sにおける特定ドーパント含有層の平均膜厚は、特定ドーパント含有層全体の平均膜厚の90〜110%の範囲内となっている。
ここで、任意の要素Sにおける特定ドーパント含有層の平均膜厚をDSmと表す。すると、例えば、要素Sにおける特定ドーパント含有層の平均膜厚はDS1と表すことができ、要素Sにおける特定ドーパント含有層の平均膜厚はDS2と表すことができ、要素Sにおける特定ドーパント含有層の平均膜厚はDSnと表すことができる。
また、特定ドーパント含有層全体の平均膜厚Davは次のように表すことができる。
av = (DS1+DS2+・・・+DSn)/n
そして、特定ドーパント含有層全体の平均膜厚Davに対して、n個の要素Sから選んだ任意の要素Sの平均膜厚DSmは、次の関係を全ての要素Sにおいて満たす。
av×0.9 ≦ DSm ≦ Dav×1.1
この関係は、
av×0.9 ≦ DS1,DS2,・・・,DSn≦ Dav×1.1
と示してもよい。
あるいは、
av×0.9 ≦ DS1〜Sn≦ Dav×1.1
と示してもよい。
このように本実施形態の有機EL素子では、特定ドーパント含有層が特定の膜厚条件になるように設計される。
また、本実施形態の有機EL素子は、発光面Aに垂直な方向から発光面Aの色度を測定したときに、CIE1976(u’,v’)色度図の、u’値およびv’値で表される各要素Sの平均色度は、u’値およびv’値の両方において、発光面A全体の平均色度の98〜102%の範囲内である。以下、CIE1976(u’,v’)色度図のu’値をCIE−u’と記載し、CIE1976(u’,v’)色度図のv’値をCIE−v’と記載する。
ここで、任意の要素Sの平均色度は、次のように表すことができる。
(CIE−u’,CIE−v’)=(u’,v’
すると、要素Sの平均色度は、
(CIE−u’,CIE−v’)=(u’,v’
と表すことができ、
要素Sの平均色度は、
(CIE−u’,CIE−v’)=(u’,v’
と表すことができ、
要素Sの平均色度は、
(CIE−u’,CIE−v’)=(u’,v’
と表すことができる。
また、発光面A全体の平均色度は、次のように表すことができる。
(CIE−u’,CIE−v’)=(u’,v’
ここで、u’ = (u’+u’+・・・+u’)/n
v’ = (v’+v’+・・・+v’)/n
である。
そして、発光面A全体の平均色度(u’,v’)に対して、n個の要素Sから選んだ任意の要素Sの平均色度(u’,v’)は、次の関係を全ての要素Sにおいて満たす。
u’×0.98 ≦ u’ ≦ u’×1.02
かつ、v’×0.98 ≦ v’ ≦ v’×1.02
この関係は、
u’×0.98 ≦ u’,u’,・・・,u’ ≦ u’×1.02
かつ、v’×0.98 ≦ v’,v’,・・・,v’ ≦ v’×1.02
と示してもよい。
あるいは、
u’×0.98 ≦ u’1〜n ≦ u’×1.02
かつ、v’×0.98 ≦ v’1〜n ≦ v’×1.02
と示してもよい。
すなわち、CIE−u’及びCIE−v’の両方において、発光面A全体に対する各要素Sの平均色度が上記の範囲となるようにするものである。
色度は、例えば、コニカミノルタ社製二次元色彩輝度計(CA−2000)により測定される。
このように本実施形態の有機EL素子では、発光面Aの平均色度が特定の条件になるように設計される。
そして、上記のように、特定ドーパント含有層が特定の膜厚条件になり、発光面Aの平均色度が特定の条件になることにより、面内の発光を均一に近づけることができ、色ムラが抑制され、優れた面状発光性の有機EL素子を構築することができるのである。
特定ドーパント含有層は、二以上のドーパント含有層1のうちの少なくとも一つのドーパント含有層1であればよいが、好ましくは、二以上、さらに好ましくは三以上のドーパント含有層1が特定ドーパント含有層となるものである。一部のドーパント含有層1が特定ドーパント含有層である場合は、全体の発光色における寄与度の高いドーパント含有層1が、特定ドーパント含有層であることが好ましい。例えば、発光波長と発光強度との関係をグラフ化した際に、強度ピークが高いドーパント含有層1が、特定ドーパント含有層であるようにすることが好ましい。発光強度の高いドーパント含有層1を特定の膜厚条件にすることで、色ムラを効果的に低減することができる。そして、さらに、有機層3における全てのドーパント含有層1が、特定ドーパント含有層となることが好ましい。全てのドーパント含有層1が、特定の膜厚条件となることにより、さらに色ムラを抑制することができる。
有機EL素子においては、各要素Sは、二以上のドーパント含有層1の膜厚の総厚が、一以上のドーパント非含有層2の膜厚の総厚よりも薄いことが好ましい。膜厚の総厚とは、有機層3内に複数の層(ドーパント含有層1又はドーパント非含有層2)が存在する場合、その個々の層の厚みを足した合計の厚みのことである。膜厚の総厚は、個々の層における各要素の平均膜厚の合計により計算される。
図2で示すように、有機EL素子は、ドーパント含有層1は、それぞれの膜厚Dを有している。ここで、第一電極4側のドーパント含有層1から順に、その膜厚を、D、D、・・・、Dと定義する。すると、ドーパント含有層1の膜厚の総厚は次のように表すことができる。
= D+D+・・・+D
また、第一電極4側のドーパント非含有層2から順に、その膜厚を、d、d、・・・、dと定義する。すると、ドーパント非含有層2の膜厚の総厚は次のように表すことができる。
= d+d+・・・+d
このとき、有機EL素子では、個々の要素Sの全てにおいて、次の関係を満たすことが好ましい。
> T
上記のような関係を満たせば、色ムラがさらに抑制される。
さらには、各要素Sは、二以上のドーパント含有層1の膜厚の総厚が、有機層3の膜厚に対して25〜35%であることが好ましい。
有機層3の膜厚Tallは、ドーパント含有層1の膜厚の総厚とドーパント非含有層2の膜厚の総厚との合計になる。すなわち、
all = T + T
の関係となる。
このとき、有機EL素子では、個々の要素Sの全てにおいて、次の関係を満たすことが好ましい。
0.25×Tall ≦ T ≦ 0.35×Tall
上記のような関係を満たせば、色ムラがさらに抑制される。
有機EL素子においては、さらに、二以上のドーパント含有層1における各ドーパント含有層1は、当該各ドーパント含有層1における各要素Sの平均膜厚が、当該各ドーパント含有層1全体の平均膜厚の93〜107%の範囲内であることが好ましい。すなわち、好ましい形態においては、要素分割したときに、二以上のドーパント含有層1の全ての各ドーパント含有層1が、特定の膜厚条件を満たす。言い換えれば、有機層3内のドーパント含有層1a、・・・、1bが全て、特定の膜厚条件を満たす。
個々のドーパント含有層1においては、上記のように発光面Aに垂直な方向から見た場合に、ドーパント含有層1が、n個の要素Sに分割されている。そして、各要素Sにおける個々のドーパント含有層1の平均膜厚は、自己の属するドーパント含有層1全体の平均膜厚の93〜107%の範囲内となっている。
ここで、上述の場合と同様、任意の要素Sにおけるドーパント含有層1の平均膜厚をDSmと表せば、各要素S、S、・・・、Sにおけるドーパント含有層1の平均膜厚は、それぞれ、DS1、DS2、・・・、DSnと表すことができる。
また、個々のドーパント含有層1全体の平均膜厚Davは次のように表すことができる。
av = (DS1+DS2+・・・+DSn)/n
そして、個々のドーパント含有層1全体の平均膜厚Davに対して、n個の要素Sから選んだ任意の要素Sの平均膜厚DSmは、次の関係を全ての要素Sにおいて満たす。
av×0.93 ≦ DSm ≦ Dav×1.07
この関係は、次のように示してもよい。
av×0.93 ≦ DS1,DS2,・・・,DSn≦ Dav×1.07
と示してもよい。
あるいは、
av×0.93 ≦ DS1〜Sn≦ Dav×1.07
と示してもよい。
このように有機EL素子の好ましい形態では、全てのドーパント含有層1が特定の膜厚条件になるように設計される。その場合、色ムラが一層抑制される。
また、一以上のドーパント非含有層2における各ドーパント非含有層2は、当該各ドーパント非含有層2における各要素Sの平均膜厚が、当該各ドーパント非含有層2全体の平均膜厚の90〜110%の範囲内であることが好ましい。すなわち、好ましい形態においては、要素分割したときに、一以上のドーパント非含有層2の全てのドーパント非含有層2が、特定の膜厚条件を満たす。言い換えれば、有機層3内のドーパント非含有層1a、・・・、1bが全て、特定の膜厚条件を満たす。
個々のドーパント非含有層2においては、上記のように発光面Aに垂直な方向から見た場合に、ドーパント非含有層2が、n個の要素Sに分割されている。そして、各要素Sにおける個々のドーパント非含有層2の平均膜厚は、自己の属するドーパント非含有層2全体の平均膜厚の90〜110%の範囲内となっている。
ここで、上述の場合と同様、任意の要素Sにおけるドーパント非含有層2の平均膜厚をdSmと表せば、各要素S、S、・・・、Sにおけるドーパント非含有層2の平均膜厚は、それぞれ、dS1、dS2、・・・、dSnと表すことができる。
また、個々のドーパント非含有層2全体の平均膜厚davは次のように表すことができる。
av = (dS1+dS2+・・・+dSn)/n
そして、ドーパント非含有層2全体の平均膜厚davに対して、n個の要素Sから選んだ任意の要素Sの平均膜厚dSmは、次の関係を全ての要素Sにおいて満たす。
av×0.9 ≦ DSm ≦ Dav×1.1
この関係は、
av×0.9 ≦ dS1,dS2,・・・,dSn≦ dav×1.1
と示してもよい。
あるいは、
av×0.9 ≦ dS1〜Sn≦ dav×1.1
と示してもよい。
このように有機EL素子の好ましい形態では、全てのドーパント非含有層2が特定の膜厚条件になるように設計される。その場合、色ムラが一層抑制される。
有機EL素子では、電極の一方は透明電極に、電極の他方は反射性電極に形成されていることが好ましい。それにより、反射性電極において光を反射させ、透明電極から発光層の直接光及び反射光を取り出すことができる。透明電極とは光を透過させる電極である。反射性電極とは光を反射する機能を有する電極である。図2の形態においては、例えば、第一電極4を透明電極とし、第二電極5を反射性電極とする。
このとき、有機層3のうち反射性電極に隣接する隣接有機層3aは、全体の膜厚が30〜50nmであり、当該隣接有機層3aにおける各要素Sの平均膜厚が、当該隣接有機層3a全体の平均膜厚の93〜107%の範囲内であることが好ましい。それにより色ムラが一層抑制される。
図2の形態においては、有機層3のうち反射性電極(第二電極5)に隣接する隣接有機層3aは、ドーパント非含有層2のうちもっとも第二電極5側に配置されるドーパント非含有層2bである。好ましい形態では、このドーパント非含有層2bの膜厚が30〜50nmであるようにする。
そして、上述の場合と同様、任意の要素Sにおけるドーパント非含有層2bの平均膜厚をdSmと表せば、各要素S、S、・・・、Sにおけるドーパント非含有層2bの平均膜厚は、それぞれ、dS1、dS2、・・・、dSnと表すことができる。
また、個々のドーパント非含有層2b全体の平均膜厚davは次のように表すことができる。
av = (dS1+dS2+・・・+dSn)/n
そして、ドーパント非含有層2b全体の平均膜厚davに対して、n個の要素Sから選んだ任意の要素Sの平均膜厚dSmは、次の関係を全ての要素Sにおいて満たす。
av×0.93 ≦ DSm ≦ Dav×1.07
この関係は、
av×0.93 ≦ dS1,dS2,・・・,dSn≦ dav×1.07
と示してもよい。
あるいは、
av×0.93 ≦ dS1〜Sn≦ dav×1.07
と示してもよい。
このように有機EL素子のさらに好ましい形態では、反射性電極に隣接する層であるドーパント非含有層2bが特定の膜厚条件になるように設計される。その場合、色ムラが一層抑制される。
なお、有機層3において各電極に接する層は、ドーパント含有層1であってもよいが、ドーパント非含有層2であることがより好ましい。特に、反射性電極に隣接する層である隣接有機層3aは、ドーパント非含有層2であることが好ましい。それにより、発光性の層への電荷(電子又は正孔)の注入が容易になり、発光性を高めることができる。
有機EL素子では、発光面Aに垂直な方向で輝度を測定した場合、複数の要素Sのうち最小輝度を示す要素Sは、最大輝度を示す要素Sに対して70%以上の輝度を示すことが好ましい。各要素Sにおける輝度は、要素Sの区画範囲の平均輝度として測定される。
ここで、上述の場合に準じて、任意の要素Sにおける平均輝度をLSmと表す。すると、各要素S、S、・・・、Sにおける平均輝度は、それぞれ、LS1、LS2、・・・、LSnと表すことができる。そして、n個の要素Sのうち、最も輝度が大きい要素Sの平均輝度をLmaxと表し、最も輝度が小さい要素Sの平均輝度をLminと表す。すると、好ましい形態では、次の関係を満たす。
min ≧ Lmax×0.70
このように有機EL素子のさらに好ましい形態では、発光面Aの輝度が均一に近づき、色ムラが一層抑制される。
輝度は、例えば、コニカミノルタ社製二次元色彩輝度計(CA−2000)により測定される。
有機EL素子において、電極の一方が透明電極に、電極の他方が反射性電極に形成されている場合、この透明電極は、外面(裏面)に光散乱層が設けられた光透過性基板の内面(表面)に設けられていることが好ましい。それにより、取り出される光が散乱され色ムラが抑制される。
例えば、図2の形態において、第一電極4が透明電極であり、第二電極5が反射性電極であれば、第一電極4は、光透過性基板の表面に形成されるようにする。すなわち、図2のような形態では、二つの電極及び有機層3により構成される有機EL素子の層全体が、光透過性基板の表面に形成される。そして、光透過性基板の第一電極4とは反対側の表面に光散乱層が設けられるようにする。これにより、発光した光は、光透過性電極と光散乱層を通過して、素子から出射することになる。このとき、出射光は光散乱層により散乱されるのである。なお、光透過性電極は光を透過するものであればよく、透明であることが好ましいが、半透明であってもよい。
そして、CIE−u’及びCIE−v’で表される各要素Sの平均色度は、CIE−u’及びCIE−v’の両方において、発光面A全体の平均色度の98.5〜101.5%の範囲内であることが好ましい。すなわち、発光面A全体の平均色度(u’,v’)に対して、n個の要素Sから選んだ任意の要素Sの平均色度(u’,v’)は、次の関係を全ての要素Sにおいて満たすことが好ましい。
u’×0.985 ≦ u’ ≦ u’×1.015
かつ、v’×0.985 ≦ v’ ≦ v’×1.015
この関係は、
u’×0.985 ≦ u’,u’,・・・,u’≦ u’×1.015
かつ、v’×0.985 ≦ v’,v’,・・・,v’≦ v’×1.015
と示してもよい。
あるいは、
u’×0.985 ≦ u’1〜n ≦ u’×1.015
かつ、v’×0.985 ≦ v’1〜n ≦ v’×1.015
と示してもよい。
このように有機EL素子は、好ましくは、発光面Aの平均色度が特定の条件になるように設計される。それにより、面内の発光をさらに均一に近づけることができ、色ムラが抑制され、優れた面状発光性の有機EL素子を構築することができるのである。
有機EL素子を構成する材料、有機EL素子の製造について説明する。
第一電極4及び第二電極5は適宜の導電性材料を用いて形成される。それにより、透明電極又は反射性電極として、第一電極4及び第二電極5が形成される。
透明電極の材料としては、限定されるものではないが、例えば、ITO、酸化錫、酸化亜鉛、IZO(IndiumZinc Oxide)、ヨウ化銅など、PEDOT、ポリアニリンなどの導電性高分子および任意のアクセプタなどでドープした導電性高分子、カーボンナノチューブなどの導電性光透過性材料などを挙げることができる。
反射性電極の材料としては、限定されるものではないが、例えば、アルミニウム、銀、マグネシウム、金、銅、クロム、モリブデン、パラジウム、錫など、およびこれらと他の金属との合金、例えばマグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金を例として挙げることができる。また、金属、金属酸化物など、およびこれらと他の金属との混合物、例えば、酸化アルミニウムからなる極薄膜(ここでは、トンネル注入により電子を流すことが可能な1nm以下の薄膜)とアルミニウムからなる薄膜との積層膜などを挙げることができる。
ドーパント含有層1は、ドーパント化合物と、ドーパント化合物を含有させるホスト材料を含んで形成される。
ドーパント化合物としては、限定されるものではないが、例えば、蛍光発光性のドーパント、燐光発光性のドーパントを適宜用いることが可能である。燐光発光性のドーパントは、三重項状態から発光するため、一重項状態からのみ発光する蛍光発光性のドーパントに比べ、約4倍高い発光効率を有し、理想的には内部量子効率100%の高効率発光が可能となる。蛍光発光性ドーパントとしては、例えば、TBP(1−tert−ブチル−ペリレン)、BCzVBi、perylene、C545T(クマリンC545T;10−2−(ベンゾチアゾリル)−2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H,11H−(1)ベンゾピロピラノ(6,7,−8−ij)キノリジン−11−オン))、DMQA、coumarin6、rubreneなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。燐光発光性ドーパントとしては、例えば、Ir(ppy)(ファクトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム)、Ir(ppy)(acac)、Ir(mppy)、BtpIr(acac)(ビス−(3−(2−(2−ピリジル)ベンゾチエニル)モノ−アセチルアセトネート)イリジウム(III)))、BtIr(acac)、PtOEPなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、白色発光を得るために、これらドーパントを適宜組み合わせてもよい。
ホスト材料としては、限定されるものではないが、例えば、電子輸送性の材料、ホール輸送性の材料、電子輸送性とホール輸送性とを併せ持つ材料の、いずれも使用され得る。ホスト材料として電子輸送性の材料とホール輸送性の材料とが併用されてもよい。ホスト材料としては、例えば、Alq(トリス(8−オキソキノリン)アルミニウム(III))、TBADN(2−t−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン)、ADN、BDAF、CBP、CzTT、TCTA、mCP、CDBPなどを挙げることができる。
ドーパント非含有層2は、その目的に合わせて、電子注入性材料、電子輸送性材料、正孔輸送性材料、正孔注入性材料などにより形成される。
電子注入性材料及び電子輸送性材料としては、限定されるものではないが、例えば、Alq3、オキサジアゾール誘導体、スターバーストオキサジアゾール、トリアゾール誘導体、フェニルキノキサリン誘導体、シロール誘導体などが挙げられる。電子輸送性材料の具体例として、フルオレン、バソフェナントロリン、バソクプロイン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、アントラキノジメタン、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)等やそれらの化合物、金属錯体化合物、含窒素五員環誘導体などが挙げられる。金属錯体化合物としては、具体的には、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリ(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(o−クレゾラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)−4−フェニルフェノラート等が挙げられるが、これらに限定されない。含窒素五員環誘導体としては、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール誘導体などが好ましく、具体的には、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルチアジアゾリル)]ベンゼン、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−トリアゾール、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾールなどを挙げることができる。
正孔輸送性材料、正孔注入性材料としては、限定されるものではないが、例えば、ポリアニリン、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)、2−TNATA、4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)、スピロ−NPD、スピロ−TPD、スピロ−TAD、TNBなどを代表例とする、トリアリールアミン系化合物、カルバゾール基を含むアミン化合物、フルオレン誘導体を含むアミン化合物、スターバーストアミン類(m−MTDATA)、TDATA系材料として1−TMATA、2−TNATA、p−PMTDATA、TFATAなどを挙げることができる。
そして、上記のような材料を適宜の順序で適宜の方法により順に成膜して積層することにより、図2のような層構成の有機EL素子を製造することができる。
各電極の膜厚は、例えば、10〜300nm程度にすることができる。有機層3の全体の膜厚は、例えば、60〜300nm程度にすることができる。
成膜方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法、塗布法などを挙げることができる。
ここで、上述のような膜厚の条件を満たすように、各層の面内での厚みが均一に近づくように成膜することが好ましい。例えば、真空蒸着法においては、蒸発源角度、基板−蒸発源間の距離(高さ)や、基板回転中心−蒸発源間の距離(オフセット)などを適宜調整することにより、厚みのバラツキを小さくすることができ、所望の膜厚条件となった層を得ることができる。
図3は、真空蒸着法における膜厚調整の一例を示す概略図である。
蒸着によって基板11に材料を積層する場合、基板11表面に垂直な軸である回転中心Cを中心として基板11を水平回転させる。そして、蒸着源12から基板11に向けて材料を蒸発させる。このとき、材料が出射する蒸発源12の出射口12aと基板11との垂直方向の距離が、基板−蒸発源間の距離(高さ)Hとなる。また、蒸発源12の出射口12aと回転中心Cとの水平方向の距離が、基板回転中心−蒸発源間の距離(オフセット)δとなる。また、蒸発源12の出射方向は、垂直方向から所定の角度をなしていてもよく、蒸発源12の出射方向と垂直方向とのなす角度が、蒸発源角度θとなる。なお、蒸発源12の出射方向は、回転中心Cと基板11表面との交点よりも上方に向いていることが好ましい。このように、蒸発源角度θや、基板−蒸発源間の距離Hや、基板回転中心−蒸発源間の距離δを適宜設定することにより、基板11表面に厚みのバラツキが小さい層を形成することができる。
以上のような有機EL素子についての設計の論理を説明する。本発明がこの論理によって限定されるものでないことは言うまでもない。
有機EL素子は、電気的/光学的設計により、発光特性が変わる。ここで、発光面Aにおける色ムラ、すなわち、輝度ムラ及び色度ムラの要因として、次の三つが考えられた。この三つは、すべて発光面Aにおける面内のバラツキによるものである。
(1)電圧のバラツキ。
(2)各層の膜厚のバラツキ。
(3)温度分布のバラツキ。
本実施形態の有機EL素子においては、上記(2)に着目し、素子の設計を行った。
有機EL素子には高分子型EL素子と、低分子型EL素子とに大きく大別され、前者は塗布プロセス、後者は蒸着プロセスによって、作製されることが一般的である。その他にも、高分子材料を塗布プロセスで、低分子材料を蒸着プロセスで形成し、両者の特徴を併せ持った、ハイブリッド型素子構造も提案されている。いずれのプロセスを用いても、パネル内均一成膜は困難(膜厚/濃度)であり、面内の有機EL素子の特性にバラつきが生じる要因となっていた。ディスプレイなどの有機EL素子では、駆動回路での補償により各ピクセルの有機EL素子の特性バラつきの影響を低減することが比較的可能であった。一方、照明などの有機EL素子では、大面積での一面発光が求められる。そのため、面内の特性バラつきを補償することが不可能であり、質の低下を引き起こしていた。
有機EL素子内の各層の膜厚がバラツク(一つの層で変化する)ことにより、面内におけるある部分と他の部分とで電気特性及び光学特性が変わることが考えられる。特に、有機EL素子においては、膜厚dと、屈折率nとを掛け合せた光学膜厚(n×d)という指標により、光学特性が支配され、物理的な膜厚dが少しでも変化すると光学膜厚ndが大きく影響を受ける。また、電荷注入型素子である有機EL素子は、物理的な膜厚dの変化により、電荷(正孔、電子)の注入・輸送状態が変わることによって発光特性が大きく影響を受ける。このような電気特性及び光学特性を支配する膜厚をロバスト設計による管理幅設定で行うのである。
そして、有機EL素子は、多層膜の積層によって形成され、各層は相互作用をもって、発光特性を支配する。このように、各層は相互作用をもっており、発光特性と各層の特性影響は1対1で明確に定義できるものではない。しかしながら、層間の相互作用のために各層を個別に分けて考えることはできないものの、各層が特性に影響を与える寄与度について明確に違いがあることが分かった。
そこで、面内バラツキの影響を低減する素子構造として、以上で説明した素子設計を行った。すなわち、より光学特性及び電気特性に対しての寄与度が大きい層について、膜厚等の条件を規定するようにした。例えば、ドーパント非含有層2よりも、発光に直接関与するドーパント含有層1の方が発光への寄与度が大きい。また、有機層3の中では反射性電極に隣接する隣接有機層3aの寄与度が他の層よりも大きい。このようにようにして、本実施形態の有機EL素子が完成されたものであり、これにより、発光の面内均一性が向上するものである。
(層構成例1)
積層した材料を積層順に示す。
・光透過性基板:無アルカリガラス、厚み0.7mm。
・第一電極4(透明電極):ITO、膜厚110nm。
・正孔輸送層(ドーパント非含有層1):トリフェニルアミン誘導体、膜厚60nm。
・第一発光層(ドーパント含有層1):材料トリフェニルアミン誘導体(ホスト)、ジスチリルアリーレン誘導体(ドーパント)、膜厚30nm。
・電子輸送層(ドーパント非含有層2):フェナントロリン誘導体、膜厚30nm。
・中間層(ドーパント非含有層3):LiO(酸化リチウム)/キノリン錯体/ヘキサアザトリフェニレン誘導体、膜厚1.5nm/3nm/10nm。
・正孔輸送層(ドーパント非含有層4):トリフェニルアミン誘導体、膜厚40nm。
・第二発光層(ドーパント含有層2):カルバゾール誘導体(ホスト)、Ir錯体(ドーパント)、膜厚3nm。
・第三発光層(ドーパント含有層3):カルバゾール誘導体(ホスト)、Ir錯体(ドーパント)、膜厚40nm。
・電子輸送層(ドーパント非含有層5):フェナントロリン誘導体、膜厚40nm。
・電子注入層(ドーパント非含有層6):LiF(フッ化リチウム)、膜厚1.5nm。
・第二電極5(反射性電極):Al(アルミニウム)膜厚150nm。
(実施例1)
上記の層構成例1により、発光面Aが100×100mmの有機EL素子を作製した。
ここで、作製にあたっては、要素Sの大きさを20×20mmとして、発光面Aを要素分割したとき、次の条件を満たすように成膜した。
・全てのドーパント含有層1において、各ドーパント含有層1は、その各ドーパント含有層1における各要素Sの平均膜厚が、その各ドーパント含有層1全体の平均膜厚の93〜107%の範囲内である。
・全てのドーパント非含有層2において、各ドーパント非含有層2は、その各ドーパント非含有層2における各要素Sの平均膜厚が、その各ドーパント非含有層2全体の平均膜厚の90〜110%の範囲内である。
・各要素Sの平均色度は、CIE−u’及びCIE−v’の両方において、発光面A全体の平均色度の98〜102%の範囲内である。
(比較例1)
上記の層構成例1により、発光面Aが100×100mmの有機EL素子を作製した。
ここで、作製にあたっては、要素Sの大きさを20×20mmとして、発光面Aを要素分割したとき、次の条件を満たすように成膜した。
・全てのドーパント含有層1において、各ドーパント含有層1は、その各ドーパント含有層1における各要素Sのうち、平均膜厚がその各ドーパント含有層1全体の平均膜厚の93〜107%の範囲内にない要素Sが約30%以上の個数で存在する。
・各要素Sのうち、平均色度がCIE−u’及びCIE−v’のいずれか一方において、発光面A全体の平均色度の98〜102%の範囲内にない要素Sが約30%以上の個数で存在する。
(評価)
電圧を印加し、発光面Aにおける発光を視認した。
図4は、発光面Aの写真であり、図4(a)は実施例1の有機EL素子、図4(b)は比較例1の有機EL素子を示している。発光面積は100mm□であり、各要素Sの大きさは20mm□である。図4では、発光面Aについて各要素Sの境界線を点線で示している。図4に示されるように、比較例1による発光は均一でないのに比べ、実施例1による発光は色度ムラが低減され均一に近づいている。このように、実施例1の有機EL素子は、色ムラ(輝度ムラ及び色度ムラ)が抑制され、面内の均一な発光性に優れたものであることが確認された。
A 発光面
S 要素
1 ドーパント含有層
2 ドーパント非含有層
3 有機層
4 第一電極
5 第二電極

Claims (7)

  1. 二以上のドーパント含有層と、一以上のドーパント非含有層とを含む有機層を備え、
    発光面が所定の大きさの区画に複数の要素として分割されたときに、
    前記二以上のドーパント含有層のうちの少なくとも一つのドーパント含有層は、当該ドーパント含有層における各要素の平均膜厚が、当該ドーパント含有層全体の平均膜厚の90〜110%の範囲内であり、
    CIE1976(u’,v’)色度図の、u’値およびv’値で表される各要素の平均色度は、u’値およびv’値の両方において、発光面全体の平均色度の98〜102%の範囲内である、有機EL素子。
  2. 前記各要素は、前記二以上のドーパント含有層の膜厚の総厚が、前記一以上のドーパント非含有層の膜厚の総厚よりも小さい、請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 前記各要素は、前記二以上のドーパント含有層の膜厚の総厚が、前記有機層の膜厚に対して25〜35%である、請求項1又は2に記載の有機EL素子。
  4. 前記二以上のドーパント含有層における各ドーパント含有層は、当該各ドーパント含有層における各要素の平均膜厚が、当該各ドーパント含有層全体の平均膜厚の93〜107%の範囲内であり、
    前記一以上のドーパント非含有層における各ドーパント非含有層は、当該各ドーパント非含有層における各要素の平均膜厚が、当該各ドーパント非含有層全体の平均膜厚の90〜110%の範囲内である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機EL素子。
  5. 前記有機層に隣接して反射性電極を備え、
    前記有機層のうち前記反射性電極に隣接する隣接有機層は、全体の膜厚が30〜50nmであり、当該隣接有機層における各要素の平均膜厚が、当該隣接有機層全体の平均膜厚の93〜107%の範囲内である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機EL素子。
  6. 前記複数の要素のうち最小輝度を示す要素は、最大輝度を示す要素に対して70%以上の輝度を示す、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機EL素子。
  7. 前記有機層を反射性電極と透明電極との間に備え、
    前記透明電極は、外面に光散乱層が設けられた光透過性基板の内面に設けられ、
    CIE1976(u’,v’)色度図の、u’値およびv’値で表される前記各要素の平均色度は、u’値およびv’値の両方において、発光面全体の平均色度の98.5〜101.5%の範囲内である、請求項1〜6のいずれかに記載の有機EL素子。
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