JP2005060576A - 抗菌性複合粒子用マスター樹脂及びその製造方法 - Google Patents

抗菌性複合粒子用マスター樹脂及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 樹脂成形体や繊維等において十分な抗菌性を発現させることのできる抗菌性複合粒子用マスター樹脂及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明は、抗菌性無機粒子とともに抗菌性複合粒子に配合される抗菌性複合粒子用マスター樹脂において、酸価が0.5〜50mg/KOH/gであり且つ軟化点が60〜150℃である。このマスター樹脂によれば、抗菌性無機粒子とともに抗菌性複合粒子を作製した後、この抗菌性複合粒子と基材樹脂とを溶融させて樹脂成形体や繊維を製造すると、抗菌性無機粒子を基材樹脂中で効果的に拡散浸透させることが可能となり、樹脂成形体や繊維の表層に抗菌性無機粒子を十分に集中させることが可能となる。このため、少量の抗菌性無機粒子で樹脂成形体や繊維に十分な抗菌性を発現させることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂製品や繊維等に抗菌機能を付与するために配合する抗菌性複合粒子用マスター樹脂及びその製造方法に関するものである。
繊維、プラスチック製品などの樹脂製品に抗菌機能を付与するために配合される抗菌剤は、大きく無機系抗菌剤および有機系抗菌剤に分けられ、無機系抗菌剤は人体に対する安全性がより高く、抗菌機能の持続性も優れている。こうした樹脂製品に抗菌性を付与させる方法としては、大きく練込み法と後加工法とに分類出来る。練込み法は、プラスチック成形品、合成繊維、フィルムなどの製造段階で抗菌剤を添加する方法であり、一般的には、抗菌剤と樹脂を押出し機で混練してマスターペレットを作製した後、射出成形機で成形品を作製するものである。後加工法とは、バインダー、コーティング剤等で抗菌剤を表面に固着させる方法であり、抗菌剤塗料で最終製品上に塗装する方法が一般的である。これら2つの方法のうち製造コスト、長期間の耐久性を考慮すると練込み法が好ましく用いられる。
こうした練込み法においては、抗菌剤が成形製品の基材となる樹脂(以下、基材樹脂という)中において適切に分散することが必要である。これは、無機抗菌剤の凝集が起きたり、分散性が悪いと十分な抗菌機能が発現できなくなり、より多量の抗菌剤を配合せざるを得ず、工業化が困難となるからであり、また凝集により生成される粗大粒子は、成形品の製造装置における粗大粒子との接触部分等の摩耗や、製品強度、繊維強度の低下、感触や風合いの悪化を招くことがあるからである。
例えば特開平9−328605号公報には、主鎖にエステル結合がある熱可塑性樹脂と、これより溶解度係数が小さい樹脂と、無機抗菌剤とを含む抗菌性樹脂組成物を作製し、この抗菌性樹脂組成物を用いて樹脂成形体を製造する方法の記載がある。
特開平9−328605号公報
しかしながら、前述した従来の公報に記載の方法は、以下に示す課題を有していた。
即ち特開平9−328605号公報に記載の方法では、上記のような相溶性が異なる組成の樹脂を含む抗菌性樹脂組成物を用いても樹脂成形体において十分な抗菌性が発現しない場合があった。これは無機抗菌剤と樹脂とが分離してしまい最表面の抗菌剤濃度が抗菌性を発現するに不十分である為であると考えられる。従って、充分抗菌性を発現させる組成が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、樹脂成形体や繊維等において十分な抗菌性を発現させることのできる抗菌性複合粒子用マスター樹脂及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、樹脂成形体や繊維に配合される抗菌性複合粒子のマスター樹脂の酸価及び軟化点を特定範囲とすることで上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
即ち本発明は、抗菌性を有する無機粒子とともに抗菌性複合粒子に配合される抗菌性複合粒子用マスター樹脂において、酸価が0.5〜50mg/KOH/gであり且つ軟化点が60〜150℃であることを特徴とする。
この抗菌性複合粒子用マスター樹脂によれば、抗菌性を有する無機粒子(以下、「抗菌性無機粒子」という)とともに配合して抗菌性複合粒子を作製した後、この抗菌性複合粒子と基材樹脂とを溶融させて樹脂成形体や繊維を製造すると、抗菌性複合粒子中の抗菌性無機粒子を基材樹脂中で効果的に拡散浸透させることが可能となり、得られる樹脂成形体や繊維の表層に抗菌性無機粒子を十分に集中させることが可能となる。このため、少量の抗菌性無機粒子で樹脂成形体や繊維に十分な抗菌性を発現させることができる。
ここで、酸価は、樹脂1g中に含まれるカルボキシル基を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数として定義され、この酸価は末端基の数を示す。本発明の酸価は、具体的には以下のようにして求められる。即ち、まず樹脂サンプル10gを200〜300mlの三角フラスコに秤量する。秤量した樹脂サンプルにメタノール:トルエン=30:70の混合溶媒約50mlを加えて樹脂を溶解する。このとき、溶解性が悪い場合、少量のアセトンを加えてもよい。0.1%のブロムチモールブルーとフェノールレッドの混合指示薬を用いて、予め評定された0.1mol/L水酸化カリウム−メタノール溶液で滴定する。この水酸化カリウム−メタノール溶液の消費量から次式:
酸価=添加に要した0.1mol/Lの水酸化カリウム−メタノール標準溶液の使用量(ml)×f×56.1/試料重量
(ただし、上記式中、f=0.1(0.1mol/L水酸化カリウム標準溶液のファクター)
によって酸価が求められる。
なお、マスター樹脂の酸価が0.5mg/KOH/g未満では、抗菌性複合粒子と基材樹脂とを溶融させて樹脂成形体や繊維を製造するときにマスター樹脂と抗菌性無機粒子とが分離し、抗菌性無機粒子を樹脂成形体や繊維の表層に十分に集中させることができなくなり、樹脂成形体や繊維に十分な抗菌性を発現させることができなくなる。一方、マスター樹脂の酸価が50mg/KOH/gを超えると、マスター樹脂の親水性が高まり樹脂成形体や繊維に樹脂成型体の機械的強度の低下や製糸時での糸切れといった悪影響を及ぼしたり、望ましく無い着色が起こったりする。またマスター樹脂の軟化点が60℃未満では、樹脂成形体や繊維の成形安定性に悪影響を与えることとなり、150℃を超えると、抗菌性複合粒子と基材樹脂とを溶融混合させるときに、抗菌性無機粒子を樹脂成形体や繊維の表層に十分に集中させることができなくなる。
上記マスター樹脂の重量平均分子量は1,000〜100,000であることが好ましい。マスター樹脂の重量平均分子量が1,000未満では、樹脂成形体や繊維の成形安定性に悪影響が生じる傾向があり、100,000を超えると、抗菌性無機粒子を樹脂成形体や繊維の表層に十分に集中させることができなくなる傾向がある。ここで、重量平均分子量とは、分子量測定器(東ソー社製、HLC−8120)を用い、THFを溶媒として測定した分子量(ポリスチレン換算)をいう。
上記マスター樹脂の酸価と水酸基価の合計は0.5〜100mg/KOH/gであることが好ましい。ここで、水酸基価は、JIS K0070−1966に準じて、以下の方法によって求められる。即ち、まず試料を100mlのナスフラスコに精秤し、これにアセチル化試薬5mlを正しく加える。その後100℃±5℃の浴中に浸して加熱する。1〜2時間後フラスコを浴から取り出し放冷後、水を加えて振り動かして無水酢酸を分解する。更に分解を完全にするため再びフラスコを浴中で10分間以上加熱し放冷後、有機溶剤でフラスコの壁を良く洗う。この液をガラス電極を用い、0.5N水酸化カリウムエチルアルコール溶液で電位差滴定を行う。こうして水酸基価が求められる。
マスター樹脂の酸価と水酸基価の合計が0.5mg/KOH/g未満では、マスター樹脂の極性が弱くなり、抗菌性複合粒子と基材樹脂とを溶融させるときに、抗菌性無機粒子を樹脂成形体や繊維の表層に集中させることができなくなる傾向があり、100mg/KOH/gを超えると、マスター樹脂の極性が強すぎて、樹脂成形体や繊維の機械的強度を低下させたり、混練しづらくなったりする傾向がある。
上記マスター樹脂のガラス転移温度は40〜80℃であることが好ましい。マスター樹脂のガラス転移温度が40℃未満では、樹脂成形体や繊維の成形安定性に悪影響が生じたり、マスター樹脂と抗菌性無機粒子とを混練装置で混練する場合に、マスター樹脂が融着して粗大化しやすくなる傾向があり、80℃を超えると、マスター樹脂を含む抗菌性複合粒子の粉砕が困難となったり、抗菌性無機粒子を樹脂成形体や繊維の表層に十分に集中させることができなくなる傾向がある。
上記マスター樹脂は熱可塑性樹脂であることが好ましい。この場合、マスター樹脂が熱硬化性樹脂である場合に比べて、抗菌性無機粒子を樹脂成型体や繊維の表層により十分に集中させることが出来る。
上記マスター樹脂は、銀、銅及び亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属からなる抗菌性無機粒子とともに抗菌性複合粒子に配合されるものであることが好ましい。上記マスター樹脂は、これを含む抗菌性複合粒子と基材樹脂とを溶融させるときに、これら金属からなる抗菌性無機粒子と分離しにくく、この抗菌性無機粒子を樹脂成形体や繊維の表層により十分に集中させることができる。このため、得られる樹脂成形体や繊維の抗菌性能を十分に高めることができる。
また本発明は、抗菌性無機粒子を含む抗菌性複合粒子に用いられる抗菌性複合粒子用マスター樹脂の製造方法において、酸と、酸と重合してポリエステル樹脂又はスチレンアクリル共重合体樹脂を形成することが可能なモノマーとを重合反応させる重合工程と、該重合工程において生成した重合反応生成物に酸またはそのエステルを添加する酸添加工程とを有し、該酸添加工程が、前記重合反応生成物の軟化点がマスター樹脂の軟化点の60%となった時以後、即ち60%以上である時に行われるものであることを特徴とする。
この製造方法によれば、ポリマー鎖の末端に酸を結合させることができ、酸添加工程で添加する酸の量を調整することで、得られるマスター樹脂の酸価を0.5〜50mg/KOH/gとすることが可能となる。
本発明の抗菌性複合粒子用マスター樹脂及びその製造方法によれば、抗菌性無機粒子とともに配合して抗菌性複合粒子を作製した後、この抗菌性複合粒子と基材樹脂とを溶融させて樹脂成形体や繊維を製造すると、抗菌性無機粒子を基材樹脂中で効果的に拡散浸透させることが可能となり、樹脂成形体や繊維の表層に抗菌性無機粒子を十分に集中させることが可能となる。このため、少量の抗菌性無機粒子で樹脂成形体や繊維に十分な抗菌性を発現させることができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
[抗菌性複合粒子用マスター樹脂]
まず本発明の抗菌性複合粒子用マスター樹脂について説明する。
本発明のマスター樹脂は、抗菌性無機粒子とともに抗菌性複合粒子に配合されるものである。本発明のマスター樹脂は、その酸価が0.5〜50mg/KOH/gであり且つ軟化点が60〜150℃である。
この抗菌性複合粒子用マスター樹脂によれば、抗菌性無機粒子とともに配合して抗菌性複合粒子を作製した後、この抗菌性複合粒子と基材樹脂とを溶融させて樹脂整形体や繊維を製造すると、抗菌性無機粒子を基材樹脂中で効果的に拡散浸透させることが可能となり、樹脂成形体や繊維の表層に抗菌性無機粒子を十分に集中させることが可能となる。このため、少量の抗菌性無機粒子で樹脂成形体や繊維に十分な抗菌性を発現させることができる。
なお、マスター樹脂の酸価が0.5mg/KOH/g未満では、抗菌性複合粒子と基材樹脂とを溶融させるときにマスター樹脂と抗菌性無機粒子とが分離し、抗菌性無機粒子を樹脂成形体や繊維の表層に十分に集中させることができなくなり、樹脂成形体や繊維に十分な抗菌性を発現させることができなくなる。一方、マスター樹脂の酸価が50mg/KOH/gを超えると、マスター樹脂の親水性が高まり樹脂成形体や繊維に樹脂成型体の強度低下や製糸時の糸切れといった悪影響を及ぼしたり、望ましく無い着色が起こったりする。またマスター樹脂の軟化点が60℃未満では、樹脂成形体や繊維の成形安定性に悪影響が生じることとなり、150℃を超えると、抗菌性無機粒子を樹脂成形体や繊維の表層に十分に集中させることができなくなる。
上記マスター樹脂の酸価は、好ましくは5〜30mg/KOH/gである。マスター樹脂の酸価が上記範囲内にあると、上記範囲を外れた場合に比べて抗菌性と、成型した樹脂及び糸の物性とを高いレベルで両立化することが出来る。またマスター樹脂の軟化点は、好ましくは80〜130℃である。軟化点が上記範囲内にあると、上記範囲を外れた場合に比べて抗菌性と、成型した樹脂及び糸の物性とを高いレベルで両立化することが出来る。
上記マスター樹脂の重量平均分子量は1,000〜100,000であることが好ましい。マスター樹脂の重量平均分子量が1,000未満では、樹脂成形体や繊維の成形安定性に悪影響を与える傾向があり、100,000を超えると、抗菌性無機粒子を樹脂成形体や繊維の表層に十分に集中させることができなくなる傾向がある。
上記マスター樹脂の酸価と水酸基価の合計は0.5〜100mg/KOH/gであることが好ましい。マスター樹脂の酸価と水酸基価の合計が0.5mg/KOH/g未満では、マスター樹脂の極性が弱くなり、抗菌性複合粒子と基材樹脂とを溶融させるときに、抗菌性無機粒子を樹脂成形体や繊維の表層に集中させることができなくなる傾向があり、100mg/KOH/gを超えると、マスター樹脂の極性が強すぎて、樹脂成形体や繊維の機械的強度を低下させたり、混練しづらくなる傾向がある。
上記マスター樹脂のガラス転移温度は40〜80℃であることが好ましい。マスター樹脂のガラス転移温度が40℃未満では、樹脂成形体や繊維の成形安定性に悪影響が生じたり、マスター樹脂と抗菌性無機粒子とを混練装置で混練する場合に、マスター樹脂が融着して粗大化しやすくなる傾向があり、80℃を超えると、マスター樹脂を含む抗菌性複合粒子の粉砕が困難となったり、抗菌性無機粒子を樹脂成形体や繊維の表層に十分に集中させることができなくなる傾向がある。
上記マスター樹脂は熱可塑性樹脂であることが好ましい。この場合、マスター樹脂が熱硬化性樹脂である場合に比べて、無機抗菌性粒子を樹脂成型体や繊維の表層により十分に集中させる事が出来る。
上記マスター樹脂は、酸価を0.5〜50mg/KOH/gとし且つ軟化点を60〜150℃とすることが可能なものであればよく、このようなマスター樹脂としては、例えばスチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα―メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体又は共重合体が挙げられる。またマスター樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等も挙げられる。
さらに、上記マスター樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等も挙げられる。
上記ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(エチレンテレフタレート/イソフタレート)、ポリ(エチレングリコール/シクロヘキサンジメタノール/テレフタレート)、ポリカーボネート又はポリアリレートなどが挙げられる。
上記ポリアミドの具体例としては、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610が挙げられる。
上記マスター樹脂としては、ポリアミド、アクリル、フッ素樹脂又はこれらから誘導される樹脂等を挙げることもできる。
上記マスター樹脂の中でも、抗菌性無機粒子の配合のし易さや分散性、汎用性を考慮すると、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、スチレンアクリル樹脂が特に好ましく、中でも抗菌性無機粒子を良好に分散させる事が可能であり、また樹脂成型物や糸物性に影響を与え難いという理由から、ポリエステル又はスチレンアクリル樹脂がより好ましい。
[マスター樹脂の製造方法]
次に、本発明に係るマスター樹脂の製造方法の実施形態について説明する。
まずマスター樹脂がポリエステル樹脂である場合を例にして説明する。
はじめに、酸とアルコールとを重合反応させる(重合反応工程)。酸としては、上述したマスター樹脂の原料となるモノマーが用いられる。具体的には、テレフタール酸、フマール酸、マレイン酸、コハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が用いられる。アルコールは、上記酸と重合してポリエステル樹脂を形成可能なものであれば特に限定されず、かかるアルコールとしては、例えばビスフェノールA,ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、グリセリン、シクロヘキサンジメタノール、ブタンジオール、等が挙げられる。このとき、酸に対するアルコールのモル比(アルコールのモル数/酸のモル数)は通常、0.8〜1.2であり、好ましくは0.9〜1.1である。上記モル比が0.8未満では得られるマスター樹脂の酸価が大きくなり適正な範囲(0.5〜50mg/KOH/g)から外れる傾向があり、1.2を超えると、得られるマスター樹脂の酸価が小さくなったりOH価が大きくなり、酸価が適正な範囲(0.5〜50mg/KOH/g)から外れる傾向がある。
ここで、上記重合反応に加えて、重合反応の最後の段階で酸またはそのエステルを添加する酸添加工程を付加しても良い。ここで、酸またはそのエステルの添加は、マスター樹脂となる前の重合反応生成物の軟化点がマスター樹脂の軟化点の60%以上である時に行われる。重合反応の途中における重合反応生成物の軟化点は、以下のようにして求めることができる。即ち、樹脂の軟化点と分子量、及び分子量と粘度とは、一般に一次の相関関係を有するため、重合の途中で試料を抜き取って粘度を測定し、該粘度の測定値から重合反応生成物の分子量を換算し、さらに該分子量から軟化点を換算することができる。このようにして、重合反応生成物の軟化点が、目標とするマスター樹脂の軟化点の60%以上となるタイミングを求める事ができる。通常は、重合反応生成物の軟化点が、目標とするマスター樹脂の軟化点の80%程度になった時点で酸を添加する。また酸添加工程で使用される酸またはそのエステルとしては通常、重合反応工程で使用される酸またはそのエステルと同じものが使用されるが、異なる酸またはそのエステルを使用することもできる。
上記の製造方法によれば、ポリマー鎖の末端に酸を結合させることができ、重合反応工程における酸に対するアルコールの比、又は酸添加工程で添加する酸の量を調整することで、得られるマスター樹脂の酸価を0.5〜50mg/KOH/gとすることが可能となる。
なお、上記製造方法を用いて、スチレンアクリル樹脂で構成されるマスター樹脂を製造する場合は、酸をアクリル酸に代え、アルコールをスチレンに代えればよい。
[抗菌性複合粒子]
次に、本発明のマスター樹脂を用いた抗菌性複合粒子について説明する。
抗菌性複合粒子は、上記マスター樹脂のほか、抗菌性無機粒子を含む。
(抗菌性無機粒子)
上記抗菌性無機粒子の平均体積粒径は0.05〜0.5μmであることが好ましい。平均体積粒径が0.05μm未満では、粒径が小さすぎて抗菌性無機粒子が舞い上がるなど、取扱いが困難になる傾向がある。一方、平均体積粒径が0.5μmを超えると、単位重量あたりの担体の表面積が低下し、抗菌性無機粒子に担持可能な抗菌性金属の量が低下するため、抗菌性無機粒子の添加量を増やさざるを得ず、樹脂成形体の物性等に悪影響を与える傾向がある。
抗菌性無機粒子は、抗菌性を有する金属(以下、「抗菌性金属」と言う)と無機系担体とで構成されることが好ましいが、かかる構成に限定されるものではなく、抗菌性金属単体で構成されてもよい。但し、抗菌性無機粒子が、抗菌性金属と無機系担体とで構成される場合、抗菌性金属あるいはその化合物を単体で使用する場合に比べて金属の溶出が著しく少ないため、抗菌機能が維持され、安全性も高く、また日光などによる変色も起こりにくいという利点がある。
上記抗菌性金属としては、銀、銅、亜鉛、金、白金又はニッケル等が代表例として挙げられる。これらは1種類のみを使用することもできるが、2種以上の金属を混合して用いてもよい。更に上記抗菌性金属を用いる場合、これを担持させる無機系担体としては、アルミナ、シリカ、ゼオライト、リン酸塩系化合物、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ベントナイト、酸化チタンの少なくとも1つのセラミックを挙げることができる。これらのセラミックは、人体に安全であり、抗菌性金属及び/又は抗菌性金属イオンを固定する効果に優れているという利点がある。
上記抗菌性金属のうち、より高い抗菌性を維持することと、生産性及び製造コスト等を勘案すると、銀、銅、亜鉛が最も好ましい。これらの金属からなる抗菌性無機粒子は、これを含む抗菌性複合粒子と成形基材樹脂とを溶融混練するときに、上記マスター樹脂と分離しにくく、この抗菌性無機粒子を樹脂成形体や繊維の表層により十分に集中させることができる。このため、より少量の抗菌性無機粒子で樹脂成形体の抗菌性能をより十分に高めることができる。これらの抗菌性金属は単独で用いても良いが、複数種を混合しても良く、複数種の合金であってもよい。
抗菌性無機粒子としては、人体に対する安全性、抗菌力の強さ、抗菌性能の持続性などを考慮すると、銀、銅、亜鉛の1種以上の抗菌性金属と、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、リン酸ジルコニウム、リン酸マグネシウム、リン酸バリウム、リン酸亜鉛及びハイドロキシアパタイトの1種以上の担体との組み合せが好ましい。最も好適な組み合せは、担体であるリン酸カルシウムに、銀または亜鉛の少なくとも1種類を担持させたものである。このリン酸カルシウムと銀または亜鉛との組み合わせによって、担持体と金属との強固な付着が得られる。
また上記抗菌性無機粒子は、二酸化チタンであってもよい。二酸化チタンは一般には抗菌性を発現しないが、樹脂成形体中に配合されることで抗菌性を発現することができる。
抗菌性複合粒子中の抗菌性無機粒子の含水率は、好ましくは0.01〜1wt%であり、より好ましくは0.05〜0.5wt%である。含水率が0.01wt%未満になると、抗菌性複合粒子と成形基材樹脂とを溶融混練する際に、抗菌性無機粒子とマスター樹脂との分離が起こることがあり、1wt%を超えると抗菌性無機粒子のもつ水分量の影響で樹脂成形体の機械的強度や欠陥が起きることがある。
無機系担体に抗菌性金属を担持させた抗菌性無機粒子は、上記抗菌性金属を常法により無機系担体に担持させることにより得ることができる。常法としては、物理的吸着、化学的吸着、イオン交換、蒸着や表面薄膜形成、機械的担持方法などが挙げられる。
抗菌性複合粒子中に含まれる抗菌性無機粒子の含有率は、抗菌性複合粒子に所望の抗菌性能を付与できる限り特に制限はないが、10〜60wt%であることが好ましい。抗菌性複合粒子中の抗菌性無機粒子の含有率が10wt%未満であると、必要な抗菌機能を発揮するためには、抗菌性複合粒子の基材樹脂への添加量が増すため、抗菌性樹脂成形体の製造費用が増加する傾向がある。また抗菌性無機粒子の含有率が60wt%を超えると、抗菌性無機粒子の凝集が起こりやすくなり、また抗菌性複合粒子製造時の混練が困難になる傾向がある。
抗菌性複合粒子の体積平均粒径は、好ましくは1〜2000μmであり、より好ましくは5〜1000μmである。抗菌性複合粒子の体積平均粒径が1μm未満では、粉塵舞の発生といったハンドリング性の悪さや粉砕コストの過度の上昇が生じる傾向があり、2000μmを超えると、併用する他の添加剤との十分な混合が得られなくなる傾向がある。
抗菌性複合粒子には、必要に応じて、抗菌性複合粒子に影響を与えない範囲で公知の添加剤を1種または複数種組み合せて配合することができる。このような添加剤としては、例えば難燃剤、難燃助剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、可塑剤、界面活性剤、分散剤、滑剤、着色剤(染顔料)、充填剤、結着剤、帯電制御剤等が挙げられる。これらの添加物は、マスター樹脂と抗菌性無機粒子が粉砕されるまでの過程のいずれの時点においても配合することができる。但し、抗菌性複合粒子においては、一般的に樹脂と抗菌性無機粒子との相溶性を向上させるために汎用される滑剤、分散剤、分散助剤等は必ずしも必要ではない。
尚、上記抗菌性複合粒子の具体的な用途としては、包装用フィルム等の各種包材、エアコンフィルター、浄水器用フィルター、まな板、冷蔵庫の内装、医療器具、各種チューブ、パッキン、食品用容器などの種々の樹脂成形体が挙げられ、上記抗菌性複合粒子によれば、耐久性のある良好な抗菌性をそれらの樹脂成形体に付与することができる。
[抗菌性複合粒子の製造方法]
上記抗菌性複合粒子は、マスター樹脂及び抗菌性無機粒子の特性を考慮した上で、各種パラメータを制御した溶融混練粉砕法により得ることができる。
抗菌性複合粒子に使用するマスター樹脂や抗菌性無機粒子は、マスター樹脂が上記範囲の酸価及び軟化点を有する限り特に限定されるものではないが、粉砕の難易に関わるガラス転移温度、軟化点、融点や、マスター樹脂との相溶性に関わる酸価、水酸価、官能基、溶解速度のほか、物理的特性である粒径、粒度分布等を鑑みて選択する。
例えば熱可塑性樹脂の酸価が0.5mg/KOH/g未満では、抗菌性無機粒子の分散性が悪くなりやすく、抗菌性複合粒子と成形基材樹脂との溶融混練の際、抗菌性無機粒子を樹脂成形体や繊維の表層に集中させることができなくなり、酸価が50mg/KOH/gを超える場合は着色が起きたり、樹脂成形体の基材樹脂への相溶性が悪くなりやすい。このような場合には、抗菌性無機粒子の分散性を向上させるために、攪拌や混練装置を最適化したり、抗菌性無機粒子の種類を適切に選択しなければならない。
熱可塑性樹脂と抗菌性無機粒子は、事前分散性の付与、粗大原料粒子の磨砕という理由から、溶融混練前に、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等で攪拌混合されることが好ましい。このとき、攪拌機の容量、攪拌機の回転速度、攪拌時間等を適切に組み合わせて選択しなければならない。撹拌機容量が75リットルの撹拌機であるヘンシェルミキサーについて例を挙げると、回転速度は500rpm以上であることが望ましい。回転速度が500rpmを下回ると、十分な攪拌を得るためには長時間の攪拌が必要になり、作業が非効率になる。回転速度の上限は、装置の性能、攪拌時間、樹脂の特性に依存する。また攪拌時間は、攪拌装置の回転速度によるが、15秒から15分間が好ましい。撹拌時間が15秒未満では、攪拌が不十分になり、抗菌性複合粒子において抗菌性無機粒子の偏在が起こりやすく、抗菌性無機粒子の凝集も発生しやすくなる。一方、撹拌時間が15分を超えると、攪拌しても撹拌による効果は向上しないばかりか、却ってマスター樹脂と抗菌性無機粒子とが再分離を起こして撹拌による効果を低下させることもある。更に温度上昇を招き凝集を起こすことがある。
こうしてマスター樹脂と抗菌性無機粒子とを撹拌して攪拌物を得た後は、この撹拌物について、公知の方法により溶融状態での混練を行う。
このとき、抗菌性無機粒子の分散性を向上させる点からは、一軸または多軸押出し機等の混練装置を用いて溶融混練を行うことが好ましい。このとき、上記混練装置のニーディングスクリュウゾーン数、シリンダー温度、混練速度等は、製造する抗菌性複合粒子の物性に大きな影響を与えるため、これらを全て適切な値に設定し、制御する必要がある。例えば、マスター樹脂の物性にあわせて樹脂温度が適切になるような装置制御をすることが必要であり、また、十分な混練状態を得るためにはニーディングスクリュウゾーン数や混練速度を総合的に決定しなければならない。混練時の各制御因子のうち、混練状態に特に大きな影響を与えるのは、混練機の回転数、ニーディングスクリュウゾーン数、およびシリンダー設定温度である。
回転数は、樹脂により異なるが、一般に300〜1,000rpmが望ましく、ニーディングスクリュウゾーン数は1段スクリュウよりも、2段スクリュウ等の多段ゾーンを用いた方がよりよく混練される。またシリンダー設定温度は、マスター樹脂の軟化点より決定し、通常は軟化点よりも−20〜+100℃に設定するのが好ましい。これらを下回ると、十分な混練分散が得られず、抗菌性無機粒子の凝集が起こりやすくなり、これらを上回ると、混練シェアが掛からないため、十分な分散が得られないばかりか、混練後の冷却が困難になることがある。
溶融混練により得られた混練物は十分に冷却した後、ボールミル、サンドミル、ハンマーミル等の機械的粉砕方法、気流式粉砕方法等の公知の方法で粉砕する。常法での冷却が充分できない場合は、冷却または凍結粉砕法も選択できる。これも抗菌性複合粒子である被粉砕物の物性に適した冷却方法と粉砕方法を選択し、冷却温度、粉砕圧力、粉砕温度、気流速度等を最適化する必要がある。
[樹脂成形体]
樹脂成形体は、上記抗菌性複合粒子と、成形基材樹脂とを含む。
成形基材樹脂は、特に限定されず、その選択は用途による。特に好適な樹脂はポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ABS,AS,アクリル系樹脂、アクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリアセタール、メラミン、エポキシ樹脂、ウレタン、フェノール、ポリカーボネート、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂である。
樹脂成形体中の抗菌性複合粒子の配合量は、抗菌性複合粒子に含まれる抗菌性無機粒子の量に依存し、樹脂成形体中の抗菌性無機粒子の濃度が0.01〜30wt%、好ましくは0.05〜20wt%となる量である。樹脂成形体中の抗菌性無機粒子の濃度が0.01wt%未満では、樹脂成形体において抗菌性が発現せず、30wt%を超えても、30wt%以下の場合と比べて抗菌性能の向上は認められない。よって、抗菌性能を少ない費用で最大限に発揮するためには、樹脂成形体中の抗菌性無機粒子の濃度が0.01〜30wt%となるように抗菌性複合粒子を樹脂成形体中に配合することが好ましい。
[樹脂成形体の製造方法]
上記樹脂成形体は、マスターバッチ法、着色ペレット法又はドライカラー法によって製造することができる。マスターバッチ法は、マスター樹脂、抗菌性無機粒子及び分散剤等を溶融押出ししてなるマスターペレット(抗菌性複合粒子)を作製し、これを成形基材樹脂と混合して成形加工する方法であり、着色ペレット法は、抗菌性複合粒子、成形基材樹脂、着色剤、分散剤等の最終製品と同じ組成で押出し作製したペレットを用いて成形加工する方法であり、ドライカラー法は、抗菌性複合粒子、分散剤、金属石鹸、ワックス等を混合したドライカラーを成形基材樹脂と混合し成形する方法である。一般には、マスターバッチ法が広く用いられている。
上記成形加工法としては、公知の方法である射出成形、押出成形、ブロー成形、インフレーション成形、真空成形などを挙げることができる。
上記製造方法においては、いずれの方法においても抗菌性複合粒子と成形基材樹脂とを用いて成形加工が行われる。このとき、抗菌性複合粒子として、本発明のマスター樹脂を含む抗菌性複合粒子を用いると、成形加工の際に、上記抗菌性無機粒子とマスター樹脂とが分離せず、そのため、抗菌性無機粒子を成形基材樹脂中で効果的に拡散浸透(ブリードアウト)させることが可能となり、樹脂成形体の表層に抗菌性無機粒子を十分に集中させることが可能となる。このため、少量の抗菌性無機粒子で樹脂成形体に十分な抗菌性を発現させることができる。
このとき、成形基材樹脂の軟化点が、抗菌性複合粒子を構成する抗菌性マスター樹脂の軟化点より高いことが好ましい。この場合、樹脂成形体を成形する際、抗菌性複合粒子に含まれるマスター樹脂がその成形時の熱により成形基材樹脂よりも先に軟化し樹脂成形体の表面に容易にブリードアウトする。このため、樹脂成形体中の抗菌剤濃度を表面層のみにおいてより高めることができ、少量の添加で樹脂成形体表面の抗菌性をより十分に向上させることができる。
こうして得られた樹脂成形体は、継続使用するうちに、樹脂成形体の表面が研磨されるが、その場合でも新しい表面が現れ、そこにまた新たな抗菌剤が存在する。また継続使用中も極僅かではあるがブリードアウト現象は徐々に生じているこのため、樹脂成形体において、長期間にわたり効果的な抗菌性が維持される。
[抗菌性繊維]
抗菌性繊維は、本発明の抗菌性複合粒子と、繊維用基材樹脂とを含む。
繊維用基材樹脂は、特に限定されず、かかる繊維用基材樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレートなどのポリエステル樹脂類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテンなどのポリオレフィン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、メタクリル樹脂などのアクリル系樹脂、アクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリスチレン系樹脂、ブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート、フッ素樹脂等、又はこれらの混合物などの合成樹脂や半合成樹脂を挙げることができる。これらの中でも、特に好適な繊維用基材樹脂は、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、又はこれらの混合物である。繊維用基材樹脂は、上記樹脂を単独で使用してもよいし、2種以上混合して使用してもよい。
抗菌性繊維中の抗菌性複合粒子の配合量は、抗菌性無機粒子の配合量によって決まり、抗菌性繊維中の抗菌性無機粒子濃度が0.01〜20wt%、好ましくは0.01〜10wt%となる量である。抗菌性繊維中の抗菌性無機粒子の含有率が0.01wt%未満のときは、抗菌性繊維において抗菌性が発現せず、20wt%を超えても、20wt%以下の場合に比べて抗菌性能の向上は認められない。よって、抗菌性繊維において抗菌性能を少ない費用で最大限に発揮するためには、抗菌性繊維中の抗菌性無機粒子の含有率が0.01〜20wt%であることが好ましい。
[抗菌性繊維の製造方法]
上記抗菌性繊維は、繊維用基材樹脂中に、繊維用基材樹脂が紡糸口金から排出されるまでの任意の段階で、上記抗菌性複合粒子を配合して紡糸することにより得ることができる。この場合、抗菌性複合粒子本来の特性を損うことなく十分な抗菌性能を有する抗菌性繊維が得られる。なお、抗菌性複合粒子の繊維用基材樹脂への配合は、ポリマーペレット、若しくは紡糸原液に混合する等、常法によって行うことができる。
尚、上記のようにして得られた抗菌性繊維からは、フィラメント糸、紡績糸、織編物や不織布などを製造することができ、これら抗菌性繊維は、上着、肌着、作業服などの衣類、靴中敷、靴下、雑巾、靴下、玩具、塗料、布団、ベッド、カーペット、白衣、病衣、包帯、ガーゼ、歯ブラシ等に利用することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、以下の説明において、「部」とは特に明示しない限り「重量部」を表す。また実施例及び比較例において、マスター樹脂のガラス転移温度(以下、「Tg」という)及び軟化点、並びに抗菌性無機粒子中の水分量の測定及び抗菌性能の測定方法は、下記にようにして測定した。
(Tgの測定)
示差走査熱量計(「DSC 200型」、セイコー電子工業社製)を用いて、100℃まで昇温し、その温度で3分間放置した後、降温速度10℃/分で室温まで冷却したマスター樹脂を、昇温速度10℃/分で昇温した際に、ピークより低温側のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの間での最大傾斜を示す接線との交点の温度を、Tgとした。
(マスター樹脂の軟化点の測定)
マスター樹脂の軟化点の測定には、フローテスターCFT−500型(島津製作所製)を用いた。測定は、まずマスター樹脂の60meshパス品を約1.0g秤量し、これを成形器にて、100kg/cmの加重で1分間加圧した。この加圧サンプルについて、下記の設定条件で、常温常湿下(温度約20〜30℃、湿度30〜70%RH)、上記フローテスターを用いて測定を行い、温度−見掛け粘度曲線を得た。そして、得られた曲線をスムージングし、そのスムージング曲線より、マスター樹脂が50体積%流出した時の温度(=T1/2)を求め、これを樹脂の軟化点Tmとした。このとき、マスター樹脂が50体積%流出した時の温度(=T1/2)は、フローテスターの測定プランジャー位置が初期値と最降下値の中間の値となった時の温度とした。
−設定条件−
RATE TEMP :6.0 (℃/分)
SET TEMP :50.0 (℃)
MAX TEMP :180.0 (℃)
INTERVAL :3.0 (℃)
PREHEAT :300.0 (秒)
LOAD :20.0(kg)
DIE(Diameter):1.0(mm)
DIE(Length) :1.0(mm)
PLUNGER :1.0(cm
(抗菌性無機粒子中の水分量の測定)
抗菌性無機粒子中の水分量の測定には、水分量測定装置(島津製作所製EB−340MOC)を用いた。抗菌性無機粒子約1gを上皿計りに秤量し、温度を150℃に設定して1時間赤外ランプで加熱した。そして、加熱前後の重量から水分の減少率を測定し、抗菌性無機粒子中の含水分量を測定した。
(抗菌性能の測定方法)
樹脂成形体としての試験片についての抗菌性能は下記実施手順(1)〜(5)に従って測定した。
(1)普通寒天の斜面培地で培養した試験菌(大腸菌,黄色ぶどう状球菌)を水中に懸濁して、菌濃度が2.0×10個/mlの懸濁液を調整する。
(2)上記懸濁液0.5mlを、シャーレ内に静置した試験片の表面に滴下し、プラスチックフィルムで被覆したのち、湿度90%、温度35±1°Cにて24時間保持して試験菌の培養を行う。
(3)24時間培養後、試験片の表面から培地液(例えばSCDLP培地)で菌体を洗い出す。
(4)洗浄液を生理食塩水で適当倍率に希釈したのち、これを培地液と混合し、標準寒天培地を用いて35±1°Cの温度で40〜48時間培養する。
(5)培養後、培地に生じたコロニー数を計数し、得られたコロニー数に希釈倍率を掛け合わせて生菌個数とする。
上記(1)〜(5)の工程とは別に、試験の信頼性を確認するため、抗菌性無機粒子無添加(リファレンス)の測定を行った。測定法は、抗菌性無機粒子添加の場合と同様とした。
(抗菌活性値の計算方法)
抗菌活性値は、下記式:
抗菌活性値=Log(Y/X)・・・(I)
(上記式中、Xは、試験片の生菌個数を、Yは、比較対照用の抗菌性無機粒子無添加の試験片の生菌個数を表す)
に基づいて算出した。
尚、抗菌性の判定は以下の基準で行った。即ち大腸菌及び黄色ブドウ球菌のうちいずれかの抗菌活性値が2.0未満である場合には、樹脂成形体において抗菌性が認められないものとし、大腸菌および黄色ブドウ球菌のいずれも抗菌活性値が2.0以上である場合には、抗菌性が認められるものとした。
(実施例1)
下記表1に示す酸価、水酸基価、軟化点、重量平均分子量およびTgを有するスチレンアクリル樹脂(スチレン/メチルメタクリレートの共重合体、数平均分子量4.5×10)80部、及び抗菌性無機粒子として、リン酸三カルシウムの無機系担体に銀を担持させたもの(含水分量0.3wt%、平均体積粒子径D50=0.1μm、抗菌性無機粒子中の銀含有率1.3%)20部を、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機社製)に投入し、1000rpmで2分間混合し、混合物を得た。
なお、上記スチレンアクリル樹脂は、以下のようにして製造した。即ち、まずメチルエチルケトン114部、イソプロピルアルコール12部および水24部を反応容器に入れ、80℃に加熱した後、以下に示した割合の混合物を、窒素気流中で、一括して仕込み、反応を開始した。
スチレン 164.8部
メチルメタクリレート 181.2部
パーブチルO(日本油脂製重合開始剤) 0.6部
そして、反応開始3時間経過後から1時間おきに二回、反応溶液の一部を採取し、同量のメチエチルケトンで希釈した。そして、採取した各回ごとの反応溶液の希釈液について、単量体残存率を、ガスクロマトグラフィーを用いて定量し、重合率を計算したところ、重合率はそれぞれ51%であった。その後反応溶液の温度を80℃に加熱し、重合反応生成物の軟化点が60℃を超えた後、3時間ごとに3回「パーブチルO」2部及びメチルメタクリレート20部を添加し、さらに4時間反応を継続させ、反応終了後、溶媒を留去した。こうして固形化樹脂、即ちスチレンアクリル樹脂を得た。
Figure 2005060576

その後、エクストルーダ(TEM48BS、東芝機械社製)を用い、スクリュウ回転数500rpm、シリンダー設定温度80℃で上記混合物を溶融混練して混練物を得た後、この混練物を冷却した。そして、この混練物をハンマーミルで粉砕し、平均体積粒径約300ミクロンの抗菌性複合粒子を得た。
次に、この抗菌性複合粒子10部と、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(UMG ABS社製サイコラックABS樹脂、融点I>250℃、フローテスター軟化点>220℃)90部とを良く混合し、シリンダー温度を260℃に設定した二軸押出機(東芝機械社製ZSK−25)を用い回転数300rpmで溶融混練し抗菌性無機粒子含有ペレットを得た。
本ペレットを、射出成形機(名機製作所株式会社製、型式「M−50AII−DM」)によって、シリンダー温度240℃、スクリュー回転数80rpm、射出速度10秒、金型温度250℃で射出成形し、5cm×5cm×2mmの抗菌性評価用の平板状試験片(A)を作製した。
こうして得られた試験片(A)について抗菌活性値を測定したところ、表1にも示すように、試験片(A)の抗菌活性値は、大腸菌=3.6、黄色ブドウ球菌=2.8であり、試験片(A)は十分な抗菌性を発現していることが分かった。また試験片(A)の外観は、シルバーストリークス、ワレ、ヤケ、変色の発生が無く良好であった。
(実施例2)
市販のアクリル変性カルナバワックス(融点90℃、)40部、及び抗菌性無機粒子としての酸化亜鉛無機粒子(含水分量0.1wt%、平均体積粒子径D50=0.08μm)60部を、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機社製)に投入し、200rpmで1分間混合し混合物を得た。なお、上記ガルバナワックスの酸価、水酸基価、軟化点、重量平均分子量およびTgは表1に示す通りであった。その後、加圧ニーダー((株)モリヤマ製DS−30)を用い、羽根回転数100rpm、ジャケット温度80℃で溶融混練した後急冷却し、抗菌性無機粒子とカルナバワックスとからなる抗菌性複合粒子を得た。
次に、この抗菌性複合粒子5部、ポリエチレンテレフタレート樹脂(IV値=0.85、融点>260℃、フローテスター軟化点>220℃)95部を良く混合し、シリンダー温度を260℃に設定した二軸押出機(東芝機械社製ZSK−25)を用い、回転数300rpmで溶融混練して抗菌性無機粒子含有ペレットを得た。
本ペレットを、射出成形機(名機製作所株式会社製、型式「M−50AII−DM」)によって、シリンダー温度240℃、スクリュー回転数80rpm、射出速度10秒、金型温度250℃で射出成形し、5cm×5cm×2mmの抗菌性評価用の平板状試験片(B)を作製した。
この試験片(B)について抗菌活性値を測定したところ、表1にも示すように、抗菌活性値は、大腸菌=4.2、黄色ブドウ球菌=3.2であり、試験片(B)は十分な抗菌性を発現していることが分かった。また試験片(B)の外観は、シルバーストリークス、ワレ、ヤケ、変色の発生が無く良好であった。
(実施例3)
実施例1において、アクリル酸含有スチレンアクリル樹脂(スチレン/メチルメタクリレート/アクリル酸の共重合体、数平均分子量5.5×10)を用い、そのアクリル酸含有スチレンアクリル樹脂の製造時において仕込み材料にアクリル酸20部を加え、重合反応生成物の軟化点が66℃を超えた後3時間ごと3回「パーブチルO」2部を添加した以外は実施例1と同様にして試験片(C)を作製した。なお、アクリル酸含有スチレンアクリル樹脂の酸価、水酸基価、軟化点、重量平均分子量およびTgは表1に示す通りであった。
この試験片(C)について抗菌活性値を測定したところ、表1にも示すように、抗菌活性値は、大腸菌=5.5、黄色ブドウ球菌=3.7であり、試験片(C)は十分な抗菌性を発現することが分かった。また試験片(C)の外観は、シルバーストリークス、ワレ、ヤケ、変色の発生が無く良好であった。
(実施例4)
実施例1において、弗素変性スチレンアクリル樹脂(スチレン/メチルメタクリレート/パーフルオロアクリレートの共重合体、数平均分子量3.5×10)を用い、仕込み材料にパーフルオロアクリレート20部を加え、重合反応生成物の軟化点が64.8℃を超えた後3時間ごと3回「パーブチルO」2部を添加した以外は実施例1と同様にして試験片(D)を作製した。なお、弗素変性スチレンアクリル樹脂の酸価、水酸基価、軟化点、重量平均分子量およびTgは表1に示す通りであった。
そして、この試験片(D)について抗菌活性値を測定したところ、表1にも示すように、試験片(D)の抗菌活性値は、大腸菌=3.4、黄色ブドウ球菌=2.2であり、試験片(D)は十分な抗菌性を発現していることが分かった。また試験片(D)については外観上問題が無かった。
(実施例5)
実施例1において抗菌性複合粒子中の抗菌性無機粒子として、リン酸ジルコニウムに銀を担持させたもの(含水分量0.8wt%、平均体積粒子径D50=0.15μm、銀含有率2.8%)を用いた以外は実施例1と同様にして試験片(E)を作製した。
この試験片(E)について抗菌活性値を測定したところ、表1にも示すように、抗菌活性値は、大腸菌=4.5、黄色ブドウ球菌=3.5であり、試験片(E)は十分な抗菌性を発現することが分かった。また試験片(E)についても外観上問題が無かった。
(実施例6)
実施例1において抗菌性複合粒子中の抗菌性無機粒子として、二酸化チタン(含水分量0.2wt%、CR60;石原産業製)を用いた以外は実施例1と同様にして試験片(F)を作製した。
そして、試験片(F)の抗菌活性値を測定したところ、表1にも示すように、抗菌活性値は、大腸菌=2.8、黄色ブドウ球菌=4.2であり、試験片(F)は十分な抗菌性を発現することが分かった。また試験片(F)についても外観上問題が無かった。
(比較例1)
ポリプロピレンワックス(融点165℃)40部、及び抗菌性無機粒子としてリン酸三カルシウムに銀を担持させた無機粒子(含水分量0.3wt%、平均体積粒子径D50=0.1μm、銀含有率1.3%)60部を、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機社製)に投入し、200rpmで1分間混合し混合物を得た。なお、ポリプロピレンワックスの酸価、水酸基価、軟化点、重量平均分子量およびTgは、表1に示す通りであった。その後、加圧ニーダー((株)モリヤマ製 DS−30)を用い、羽根回転数100rpm、ジャケット温度120℃で溶融混練した後、急冷却及び解砕を行い、抗菌剤とポリプロピレンワックスとからなる抗菌性複合粒子を得た。
次に、この抗菌性複合粒子5部と、ポリエチレンテレフタレート樹脂(IV値=0.85、融点>260℃、フローテスター軟化点>220℃)95部とを良く混合し、シリンダー温度を260℃に設定した二軸押出機(東芝機械社製ZSK−25)を用い回転数300rpmで溶融混練し、抗菌性無機粒子含有ペレットを得た。そして、このペレットを用いてシリンダー温度240℃、スクリュー回転数80rpm、射出速度10秒、金型温度250℃で射出成形を行い、5cm×5cm×2mmの抗菌性評価用の平板状試験片(G)を作製した。
この試験片(G)について抗菌活性値を測定したところ、表1にも示すように、抗菌活性値は、大腸菌=1.1、黄色ブドウ球菌=1.5であり、試験片(G)においては抗菌性が十分に発現していないことが分かった。
(比較例2)
比較例1において、ポリプロピレンワックスの代わりに、ステアリン酸亜鉛を使用し、抗菌性無機粒子としてリン酸三カルシウムに銀を担持させた無機粒子(含水分量0.3wt%、平均体積粒子径D50=0.1μm、銀含有率1.3%)を、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機社製)に投入し、200rpmで1分間混合し混合物を得た。なお、ステアリン酸亜鉛の酸価、水酸基価、軟化点、重量平均分子量およびTgは表1に示す通りであった。
次に、この混合物5部を、ポリカーボネート樹脂(樹脂重量平均分子量=27000、融点260℃、フローテスター軟化点=230℃)95部と良く混合し、シリンダー温度を260℃に設定した二軸押出機(東芝機械社製ZSK−25)を用い回転数300rpmで溶融混練し、抗菌性無機粒子含有ペレットを得た。そして、このペレットを用いてシリンダー温度240℃、スクリュー回転数80rpm、射出速度10秒、金型温度250℃で射出成形を行い、5cm×5cm×2mmの抗菌性評価用の平板状試験片(H)を作製した。
そして、この試験片(H)について抗菌活性値を測定したところ、抗菌活性値は、大腸菌=0.9、黄色ブドウ球菌=1.9であり、試験片(H)においては抗菌性が十分に発現していないことが分かった。
(実施例7)
実施例1の抗菌性複合粒子5部と、繊維用基材樹脂としてのポリエチレンテレフタレート(軟化点240℃、IV値0.4)95部を、シリンダー温度を260℃に設定した二軸押出機(東芝機械社製ZSK−25)に投入し、回転数300rpmで溶融混練し、抗菌剤含有ペレットを得た。
本ペレットを、常法に従い、巻き取り速度1200m/分で溶融紡糸し、スピンドル方式の延伸仮撚機により抗菌性繊維としての抗菌性原糸を得た。
この抗菌性原糸について、繊維製品の抗菌性試験方法(JIS L 1902)に準拠して抗菌試験を行った。すなわち、滅菌した1/20濃度のニュートリエントブロスで、黄色ブドウ球菌を試験菌とし、その菌液1.3×10個/mlを調製した。そして、上記調製菌液0.2mlを抗菌性原糸0.4gに接種し、37℃で18時間培養した。培養終了後、試験菌を洗い出し、その液で混釈平板寒天培地を作製し、37℃で24時間培養して生菌数(Y)を測定した。一方、抗菌性複合粒子を配合しないこと以外は上記と同様にして抗菌性原糸を作製した。そして、この抗菌性原糸に対し、上記と同様にして生菌数(X)を測定した。
そして、上記生菌数X,Yから、上記式(I)に基づき、抗菌活性値を測定したところ、抗菌活性値は3.8であり、抗菌性原糸が十分な抗菌性を発現していることが分かった。
(比較例3)
PET樹脂(軟化点240℃、AV=3mg/KOH)80部、及び抗菌性無機粒子としてリン酸三カルシウムに銀を担持させた無機粒子(含水分率0.3wt%、平均体積粒子径D50=0.1μm、銀含有率1.3%)20部を、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機社製)に投入し、1000rpmで2分間混合した。なお、上記PET樹脂の酸価、水酸基価、軟化点、重量平均分子量およびTgは表1に示す通りであった。その後、エクストルーダ(TEM48BS、東芝機械社製)を用い、スクリュウ回転数500rpm、シリンダー温度260℃で溶融混練した混練物を冷却した後、抗菌性複合粒子を作製した。
抗菌性複合粒子5部、及び繊維用基材樹脂であるポリエチレンテレフタレート(軟化点260℃、IV値0.4)95部を、シリンダー温度を260℃に設定した二軸押出機(東芝機械社製ZSK−25)を用い回転数300rpmで溶融混練してペレットを得た。
本ペレットを、常法に従い巻き取り速度1200m/分で溶融紡糸し、スピンドル方式の延伸仮撚機により抗菌性原糸を得た。
そして、この抗菌性原糸について抗菌活性値を測定した。その結果、抗菌活性値は1.5であり、抗菌性原糸においては抗菌性が十分に発現しないことが分かった。

Claims (7)

  1. 抗菌性を有する無機粒子とともに抗菌性複合粒子に配合される抗菌性複合粒子用マスター樹脂において、
    酸価が0.5〜50mg/KOH/gであり、且つ、軟化点が60〜150℃であることを特徴とする抗菌複合粒子用マスター樹脂。
  2. 重量平均分子量が1,000〜100,000であることを特徴とする請求項1に記載の抗菌複合粒子用マスター樹脂。
  3. 前記酸価と水酸基価の合計が0.5〜100mg/KOH/gであることを特徴とする請求項1又は2に記載の抗菌複合粒子用マスター樹脂。
  4. ガラス転移温度が40〜80℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗菌性複合粒子用マスター樹脂。
  5. 熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗菌性複合粒子用マスター樹脂。
  6. 前記無機粒子が、銀、銅及び亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗菌複合粒子用マスター樹脂。
  7. 抗菌性を有する無機粒子とともに抗菌性複合粒子に配合される抗菌性複合粒子用マスター樹脂の製造方法において、
    該マスター樹脂製造方法は、酸と、前記酸と重合してポリエステル樹脂又はスチレンアクリル共重合体樹脂を形成することが可能なモノマーとを重合反応させる重合工程と、該重合工程において生成した重合反応生成物に酸又はそのエステルを添加する酸添加工程とを含み、
    該酸添加工程において、前記重合反応生成物の軟化点が前記マスター樹脂の軟化点の60%以上である時に酸又はそのエステルの添加が行われるものであることを特徴とする抗菌性複合粒子用マスター樹脂の製造方法。
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