JP2005059519A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヘッドとメンテナンス部材とを接触させるための移動要素及び駆動要素を別途設ける必要がなく、簡単な構造で接触させることのできるインクジェット記録装置を提供すること。
【解決手段】ノズル面に形成されたノズルから記録媒体に対してインクを吐出することにより画像記録を行うヘッド1と、前記ヘッド1を主走査方向に沿って往復移動させる第1の移動手段と、前記ヘッドをそのインク吐出方向に沿って移動させることにより、画像記録時における前記ヘッド1のノズル面と前記記録媒体との間隔を調整する第2の移動手段と、前記第1及び第2の移動手段を制御する制御手段とを有するインクジェット記録装置において、前記ヘッド1のメンテナンス部材6を、該ヘッド1が画像記録を行わない位置に対応させて移動不能に設けると共に、前記第2の移動手段は、前記ヘッド1のノズル面が前記メンテナンス部材6に圧接する位置まで該ヘッド1を移動可能とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、インクジェット記録装置に関し、詳しくは、ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス部材を、移動要素及び駆動要素を別途設ける必要がなく簡単な構造でヘッドに対して圧接及び離反させることのできるインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録装置には、記録を行うヘッドに穿設されたノズルの目詰まりを解消することや、ノズルでのインクのメニスカスを規定に保つ目的で、ヘッドをクリーニングすることが行われている。
ヘッドをクリーニングする方法には、ポンプによるノズルからのインク吸引動作や、ブレードと呼ばれる板状の弾性部材によるノズル面の拭き取り動作が知られている。以下、これらのヘッドクリーニング動作を総称してメンテナンスという。
インク吸引動作には、ヘッドのノズルからインクを吸い出すために、ヘッドのノズル内の圧力を大気圧と異なる圧力に保つ必要がある。このため、ポンプの吸引口にヘッドのノズル面と密閉するキャップを設けて、キャップをヘッドと圧接して密着させることにより、ポンプ駆動時にキャップとノズル面との間の空間を減圧することで、ヘッドのノズル内の圧力を変化させる方法が知られている。
このようなキャップとヘッドとを接触させる装置に、特許文献1に記載されているものが知られている。その装置の概要を図8、図9に示す。
4個のヘッド101〜104を搭載したキャリッジ105が、ガイドレール106、107に沿って図8中のA方向に移動し、図9に示すようにキャップ108〜111と一体になっている壁112に突き当たる。すると、カム溝113に沿ってキャップ108〜111が、図9中のB方向に上昇し、これによりヘッド101〜104の各ノズル面と圧接する。
このような装置では、キャップ昇降のために駆動要素を格別必要としない利点があるが、カム溝113による昇降機構に多数の部品が必要になり、記録装置のコストがかかる欠点がある。また、キャリッジ105が移動する力を利用してキャップ108〜111を昇降させるため、キャリッジ105の駆動手段に負荷が掛かり、その分、駆動手段が大型化する問題もある。
また、ブレードによるノズル拭き取り動作には、ブレードの先端をヘッドのノズル面に圧接する必要がある。これには図10(a)に示すように、ヘッドが画像記録を行わない位置に、ブレード200の先端をヘッド101〜104のノズル面101a〜104aまでの高さh1より大きいh2の高さとなるように配置しておき、(b)に示すように、ヘッド101〜104がA方向に移動する際に、ブレード200の弾性を利用して該ブレード200の先端側をノズル面101a〜104aと圧接する装置が知られている。
この図10に示す装置は簡単な構造であるが、複数のヘッド101〜104を1枚のブレード200で一度に拭き取るので、異なる色がブレード200からノズル面101a〜104aに付着して、かえってノズル面101a〜104aを汚す欠点がある。
特開平1−125239号公報
そこで、本発明は、ヘッドとメンテナンス部材とを接触させるための移動要素及び駆動要素を別途設ける必要がなく、簡単な構造で接触させることのできるインクジェット記録装置を提供することを課題とする。
本発明のその他の課題は、以下の記載により明らかとなる。
請求項1記載の発明は、ノズル面に形成されたノズルから記録媒体に対してインクを吐出することにより画像記録を行うヘッドと、前記ヘッドを主走査方向に沿って往復移動させる第1の移動手段と、前記ヘッドをそのインク吐出方向に沿って移動させることにより、画像記録時における前記ヘッドのノズル面と前記記録媒体との間隔を調整する第2の移動手段と、前記第1及び第2の移動手段を制御する制御手段とを有するインクジェット記録装置において、前記ヘッドのメンテナンス部材を、該ヘッドが画像記録を行わない位置に対応させて移動不能に設けると共に、前記第2の移動手段は、前記ヘッドのノズル面が前記メンテナンス部材に圧接する位置まで該ヘッドを移動可能としたことを特徴とするインクジェット記録装置である。
請求項2記載の発明は、前記メンテナンス部材は、前記ヘッドのノズル面と圧接した後に該ヘッドのノズルからインクを吸引するキャップであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置である。
請求項3記載の発明は、前記メンテナンス部材は、前記ヘッドのノズル面を拭き取る板状の弾性部材であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置である。
請求項4記載の発明は、前記ヘッドは複数並設され、前記制御手段は、ヘッド毎に前記弾性部材との圧接及び離反を行うように前記第1及び第2の移動手段を制御することを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録装置である。
請求項5記載の発明は、前記ヘッドは、主走査方向に往復移動する第1の部材と、該第1の部材に対して前記ヘッドのインク吐出方向に沿ってスライド可能に取り付けられた第2の部材とを有するキャリッジの前記第2の部材に搭載され、前記第2の移動手段は、回転中心とカム面との距離を位相に応じて異ならせてなると共に該カム面が前記キャリッジの第2の部材をスライド方向に沿って押圧することにより前記ヘッドを移動させるカムと、前記カムを回転させる駆動手段とを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録装置である。
請求項6記載の発明は、前記カムは、前記ヘッドのノズル面が前記メンテナンス部材に接している間のカム面が連続する曲面により形成されていることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置である。
請求項7記載の発明は、前記ヘッドのノズル面が前記メンテナンス部材に圧接した時に、前記カムの回転を停止状態に維持する停止維持手段を備えたことを特徴とする請求項6記載のインクジェット記録装置である。
本発明によれば、ヘッドとメンテナンス部材とを接触させるための移動要素及び駆動要素を別途設ける必要がなく、簡単な構造で接触させることのできるインクジェット記録装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るインクジェット記録装置における主要部の概略構成を示す斜視図、図2は本発明の主要部の構成ブロック図、図3はキャリッジの断面図、図4はカム形状を示す図である。
図1に示すように、インクジェット記録装置には、例えばYMCKの各色に対応した4個のヘッド1a〜1dからなるヘッド1を有している。なお、ヘッド1を構成するヘッド数は特に限定されない。
各ヘッド1a〜1dの図示下面には多数のノズルが、図中のA−A’方向と直交する方向に沿って配列されており、各ノズルから図中のB方向に向けてインク滴を吐出し、図示しない記録媒体に画像記録を行うようになっている。
ヘッド1はキャリッジ2に設けられている。キャリッジ2は、ヘッド1を搭載するヘッド搭載部21と、図中のA−A’方向に沿って延びるガイドレール7(図3参照)に取り付けられ、A−A’方向に沿って往復にスライド移動可能に設けられるスライド部22とに分割されていると共に、上記ヘッド搭載部21は、上記スライド部22に対して、上記ヘッド1のインク吐出方向に沿う図中B−B’方向に沿って往復移動可能に取り付けられている。
キャリッジ2のスライド部22には、図示しないワイヤーを介してキャリッジモータ8(図2参照)の駆動力が伝達され、該キャリッジモータ8の駆動によってガイドレール7に沿ってスライド部22を往復方向にスライドさせることで、ヘッド1をA−A’方向に沿う主走査方向に往復移動させるようになっている。なお、キャリッジモータ8は、図2に示す制御部10によって駆動制御される。
キャリッジ2のスライド部22の上端部22aにはカム3が配設されており、図示しないばね等の弾発部材を用いた付勢手段によって上記ヘッド搭載部21が図中B’方向に付勢されることによって、そのカム面32が該ヘッド搭載部21の上端部21aと常時当接している。
カム3は、スライド部22の上端部22aにおいて図1中のA−A’方向に沿って延びる回転軸31に取り付けられており、図4に示すように、回転軸31とカム面32との距離が、カム3の位相に応じて異なっている。従って、回転軸31を中心としてカム3を回転させることによって、キャリッジ2のヘッド搭載部21を図1中のB方向に向けて押圧する量を変化させるようになっている。
本実施形態に示すカム3のカム面32は、大きく分けて、図示下面から時計回りにカム面32a、32b、32cの3つの領域に区画されている。
カム面32aは、回転軸31からの距離が最も小さい部分を含み、このカム面32aがキャリッジ2のヘッド搭載部21の上端部21aを押圧するようにカム3が回転する位置では、ヘッド1のノズル面と記録媒体との間隔は最も大きくなる。従って、使用される記録媒体の厚みが厚い場合は、このカム面32aがヘッド搭載部21の上端部21aを押圧するようにカム3の回転角度が調整されることで、ヘッド1を厚みの厚い記録媒体に対応させることができる。
カム面32bは、回転軸31からの距離が上記カム面32aよりも大きく、このカム面32bがキャリッジ2のヘッド搭載部21の上端部21aを押圧するようにカム3が回転する位置では、ヘッド1のノズル面と記録媒体との間隔は上記カム面32aの場合よりも小さくなる。従って、使用される記録媒体の厚みが薄い場合は、このカム面32bがヘッド搭載部21の上端部21aを押圧するようにカム3の回転角度が調整されることで、ヘッド1を厚みの薄い記録媒体に対応させることができる。
カム面32cは、回転軸31からの距離が上記カム面32bよりも更に大きくなり、ヘッド1のノズル面を後述するメンテナンス部材に圧接するための領域とされている。このカム面32cがキャリッジ2のヘッド搭載部21の上端部21aを押圧するようにカム3が回転する位置では、ヘッド1のノズル面は図1中のB方向に沿って大きく移動し、後述するメンテナンス部材と圧接する。
カム面32a及び32bは平坦面とされており、これらカム面32a、32bがヘッド搭載部21の上端部21aを押圧している間は、カム3を強制的に回転させない限りその押圧状態が維持されるようになっている。また、カム面32cは連続するなだらかな曲面とされており、時計回りに回転軸31との距離が次第に大きくなるように形成されている。
なお、カム3の回転軸31は、キャリッジ2のスライド部22の上端部22aに両端部が回転可能に支持されている。回転軸31の一端は、ヘッド搭載部21の上端部21aから突出して、その端部には歯車33が設けられており、回転軸31の他端には、スライド部22の上端部22aとの間に電磁クラッチ34が介設されている。従って、カム3は、歯車33を介して回転軸31に駆動力が伝達されることによって回転すると共に、電磁クラッチ34を作動させることによって、カム3は回転不能に維持される。この電磁クラッチ34は、本発明において好ましく設けられる。
また、本発明に係るインクジェット記録装置には、図1に示すように、キャリッジ2とは別体に間隔調整モータ4が配設されている。この間隔調整モータ4の駆動軸には歯車41が取り付けられており、上記カム3の回転軸31に設けられた歯車33と噛合した時に、その駆動力をカム3に伝達し、該カム3を回転させる。
この間隔調整モータ4の配設位置は、例えばホームポジション等のヘッド1が画像記録を行わない位置の端部に位置しており、従って、キャリッジ2がこの間隔調整モータ4の近傍まで移動した際に、その歯車41がカム3側の歯車33と噛合することによって、カム3に駆動力が伝達されるようになっている。この間隔調整モータ4は、図2に示す制御部10から所定の駆動信号が与えられることによって、ヘッド搭載部21の上端部21aと当接するカム3のカム面がカム面32a又は32bのいずれかとなる位置まで回転させることで、ヘッド11のノズル面と図示しない記録媒体との間隔を調整する。
ヘッド1が画像記録を行わない位置の端部には、図1中のA方向に移動したキャリッジ2の位置を検出する位置検出センサ5が配設されている。ここではキャリッジ2と接触することによりその位置を検出する接触型のセンサにより構成されており、その検出信号は、図2に示す制御部10に送られるようになっている。制御部10は、この位置検出センサ5からの検出信号を受けて、キャリッジモータ8へ駆動停止信号を出力することで、キャリッジ2のA方向の移動を停止させるように制御する。
なお、この位置検出センサ5によるキャリッジ2のA方向の検出位置は、キャリッジ2に設けられたカム3の歯車33が上記間隔調整モータ4の歯車41と噛合する位置である。
また、このようにキャリッジ2に設けられたカム3の歯車33と間隔調整モータ4の歯車41とが噛合する位置にある時に、ヘッド1のノズル面と対向するように、本発明におけるメンテナンス部材としてのキャップ6が記録装置本体に対して移動不能となるように配設されている。キャップ6は、各ヘッド1a〜1dのノズル面に対向する開口6a’〜6d’を備え、各ヘッド1a〜1dに対応する数のキャップ6a〜6dからなり、それぞれ各ヘッド1a〜1dのノズル面に密着してそのノズル全体を覆う容器状に形成され、内部は制御部10によって駆動が制御される吸引ポンプ9(図2参照)と連通している。
ここで、本発明に係るインクジェット記録装置におけるメンテナンス動作について説明する。
ヘッド1のメンテナンス動作は、例えば1枚の画像記録が終了した後等の所定のタイミングで行われる。メンテナンス動作時、制御部10はキャリッジモータ8を駆動し、キャリッジ2をガイドレール7に沿って図1中のA方向に沿って移動させる。各ヘッド1a〜1dのノズル面がキャップ6a〜6dの各開口6a’〜6d’の真上に来る位置までキャリッジ2が移動すると、該キャリッジ2は位置検出センサ5と接触し、この位置検出センサ5の検出信号が制御部10に入力される。制御部10はこの検出信号を受けてキャリッジモータ8の駆動を停止させ、これによりキャリッジ2は移動を停止する。このとき、カム3の歯車33は間隔調整モータ4の歯車41と噛合した状態にある(図5(a)参照)。
画像記録時におけるカム3は、使用される記録媒体の厚みに応じて、カム面32a又は32bのいずれかがキャリッジ2のヘッド搭載部21の上端部21aと当接することで、ヘッド1のノズル面と記録媒体との間隔が予め調整されている。ここで制御部10は、間隔調整モータ4を駆動させ、歯車41及びこれに噛合する歯車33を介して、カム面32cがヘッド搭載部21の上端部21aを押圧する位置までカム3を所定角度回転させる。このときの回転方向は、図4において回転軸31を中心にして反時計回りとされている。
このカム面32cは、時計回りに回転軸31との距離が次第に大きくなるように連続するなだらかな曲面とされているため、次第にキャリッジ2のヘッド搭載部21の上端部21aをB方向に押圧していき、これに伴って、キャリッジ2のヘッド搭載部21はキャップ6に向けて移動する。この移動により、やがて各ヘッド1a〜1dのノズル面はそれに対応する各キャップ6a’〜6d’と接触し、更にカム面32cに押圧されることによって、各ヘッド1a〜1dのノズル面は各キャップ6a〜6dに圧接する。この各ヘッド1a〜1dのノズル面と各キャップ6a〜6dとの圧接により、各ノズル面は各キャップ6a〜6dの開口6a’〜6d’によって密閉される(図5(b)参照)。
カム3が所定の回転角度まで回転すると、制御部10は吸引ポンプ9を駆動して各キャップ61〜64内の空気を吸引することにより減圧し、各ヘッド1a〜1d内の圧力を大気圧と異なる圧力に維持する。これにより各ヘッド1a〜1dの各ノズル内からは、廃インクが各キャップ6a〜6d内に吸引される。吸引された廃インクは各キャップ6a〜6d内から排出される。
なお、このインク吸引時、ヘッド1はキャップ6と密着した状態が維持されている必要がある。特に本実施形態に示すように、メンテナンス動作時のカム3のカム面32cが連続するなだらかな曲面で構成されている場合、ヘッド1にキャップ6と圧接している際の押圧力が掛かった際に、ヘッド搭載部21の上端部21aに押されてカム3が回転することによってヘッド1がキャップ6から離反することのないように、カム3の回転を阻止し、キャリッジ2のヘッド搭載部21をその位置に停止させておく必要がある。このため制御部10は、ヘッド1がキャップ6と圧接すると、電磁クラッチ34をON状態とし、カム3の回転をロックする。これにより、カム3のカム面32cが曲面であっても、ヘッド1とキャップ6との密着状態を維持することが容易となる。
このときの間隔調整モータ4と電磁クラッチ34の動作のタイミングチャートを図6(a)に示す。制御部10からの駆動信号により、間隔調整モータ4は所定の角速度ωで動作(OFF→ON)される。制御部10は、この間隔調整モータ4をt1秒動作させて、図6(b)に示すようにカム3をθ(=ω×t1)回転させた後、電磁クラッチ34をONにする。そして、制御部10は、この電磁クラッチ34をONにしてからt2秒経過した後、間隔調整モータ4の駆動を停止させる。このように電磁クラッチ34をONにした後、t2秒経過してから間隔調整モータ4の駆動を停止させることにより、停止に伴う慣性がカム3に働いて、カム3が微小回転することにより、回転角度に誤差が発生することを防止している。
インク吸引動作が終了してヘッド1とキャップ6との圧接を解除する場合、上述の場合と反対の方向に間隔調整モータ4を回転し、キャリッジ2のヘッド搭載部21をキャップ6から離反するB’方向へ移動させ、初期位置に復帰させる。ここで、カム3のカム面32cはなだらかな曲面からなるため、キャップ6がヘッド1のノズル面に密閉した状態からヘッド搭載部21がカム面32cの曲面によって低速で徐々に移動する。従って、密閉状態から急激に開放されてしまうことがないため、ノズルのインクメニスカスが正常にインクを吐出できる液面状態から崩れてしまうことによる出射不能等の事態を招くおそれが無く、ノズルのインクメニスカスも正常に保たれる。
このように、ヘッド1とキャップ6との圧接を、ヘッド1の記録媒体との間隔を調整するために設けられるヘッド間隔調整機構を利用して、ヘッド1をキャップ6側に移動させることで行うようにしているため、へッド1とキャップ6とを圧接するための専用の移動要素及び駆動要素を別途設ける必要がなく、装置コストを低減することができる。
ヘッド1と圧接するメンテナンス部材としては、以上説明したキャップ6に限らず、本発明においては、ヘッド1のノズル面を拭き取る板状の弾性部材(以下、ブレードという。)とすることも好ましい。
図7は、メンテナンス部材としてこのブレード材を用いた例を示している。ここでは、ヘッド1及びキャリッジ2の構成については図1〜図3と同一であるため、図示省略する。
図中、11はブレードであり、外力が加えられると容易に撓み、外力が除去されると元の状態に復元する機能を有する例えばゴム等の弾性体からなる。
ブレード11は、ヘッド1のノズル配列方向の長さと略同等の長さを有しており、その先端側をヘッド1のノズル面側に向け、その後端側がホームポジション等のヘッド1が画像記録を行わない位置に対応して装置本体に設けられた取り付け台12に、装置本体に対して移動不可となるように取り付けられている。
次に、このブレード12によってノズル面を拭き取り清掃する際の動作について、ヘッド1のうちのヘッド1dのみを拭き取り清掃する場合について説明する。
ここでは、キャリッジ2は、ブレード11が配設された近傍位置、具体的にはブレード11によって最初に拭き取られるヘッド1dが該ブレード11の配設位置の若干手前の位置に来た時に、図5(a)に示した場合と同様に、カム3の歯車33が間隔調整モータ4の歯車41と噛合するようになっている。
次いで、間隔調整モータ4が回転し、歯車41に噛合する歯車33を回転させてカム3を回転させる。カム3の回転により、そのカム面が次第にキャリッジ2のヘッド搭載部21の上端部2aを押圧し、これに伴って、キャリッジ2のヘッド搭載部21は図7中のB方向に移動する。このとき間隔調整モータ4は、ヘッド1のノズル面の高さが、ブレード11の先端の位置よりも若干取り付け台12側となる位置までヘッド搭載部21が移動した後にカム3の回転を停止させる。このヘッド搭載部21の位置は、図4に示すカム3のカム面32cの形状によって規定することができる。また、上記と同様、ヘッド1が所定の位置まで移動した後、電磁クラッチ34によってカム3の回転をロックすることも好ましい。
このようにしてヘッド1が所定の位置まで移動すると、キャリッジ2は、図2に示す制御部10によって制御されるキャリッジモータ8の駆動によって、図7中のA方向に移動する。この実施形態において、間隔調整モータ4は、キャリッジ2の移動方向に沿って延びる図示しないガイド部材によって、該キャリッジ2と同様にスライド可能とされており、ここでは歯車41が歯車32と噛合した状態のまま、キャリッジ2と一体となって同様にA方向に移動するようになっている。
このキャリッジ2の移動により、ヘッド1dはやがてブレード11の先端と接触する。このときブレード11は弾性変形してヘッド1dのノズル面に圧接し、キャリッジ2の更なる移動に伴ってヘッド1dのノズル面を擦るように動作し、該ノズル面を拭き取り清掃する(図7(b))。
ブレード11によってヘッド1dのみがノズル面が拭き取り清掃されるに十分な距離をキャリッジ2が移動すると、上述の場合と反対の方向に間隔調整モータ4を回転させ、キャリッジ2のヘッド搭載部21を図7(c)中のB’方向へ移動させ、ヘッド1dのノズル面をブレード11の先端から離反させる。
その後、再びキャリッジ2を図7(d)中のA方向に移動させれば、残りの他のヘッド1a〜1cはブレード11と圧接することなく通過する。
この後、他のヘッド1a〜1cのノズル面を拭き取り清掃する場合は、ヘッド1dのノズル面を拭き取り清掃した上記ブレード11を、図示しないブレード清掃手段を用いて清掃することによって、表面に付着したインクを除去した後、同一のブレード11に対して、順次上記同様の動作を繰り返すようにしてもよいし、図示しないが、各ヘッド1a〜1d毎に専用のブレードを設けておき、各ヘッド1a〜1d毎に専用のブレードの位置までキャリッジ2をA−A’方向に沿って移動させ、上記のようにヘッド搭載部21を移動させることによって行うようにしてもよい。
これにより、異なる色のインクがブレード11から他のヘッドのノズル面に付着することを防止することができ、かえってノズル面を汚してしまう問題を解消することができる。
このように、メンテナンス部材として板状の弾性部材であるブレード11を用いた場合でも、ヘッド1とブレード11との圧接を、ヘッド1の記録媒体との間隔を調整するために設けられるヘッド間隔調整機構を利用して、ヘッド1をブレード11側に移動させることで行うようにしているため、ヘッド1とブレード11とを圧接するための専用の移動要素及び駆動要素を別途設ける必要がなく、装置コストを低減することができる。
また、ヘッド1がブレード11から急激に離反すると、ブレード11の弾性によって該ブレード11に付着したインクが周囲に飛散するおそれがあるが、ここでも、カム3のカム面32cはなだらかな曲面からなるため、ブレード11がヘッド1のノズル面に密閉した状態からヘッド搭載部21がカム面32cの曲面によって低速で徐々に移動するため、ブレード11の弾性復帰も比較的緩慢となり、インクが周囲に飛散する問題はない。
なお、以上説明したインクジェット記録装置の各実施形態では、メンテナンス部材としてそれぞれキャップ6、ブレード11を単独で設けているが、一つのインクジェット記録装置にこれらを同時に設けるようにしてもよいことはもちろんである。
インクジェット記録装置における主要部の概略構成を示す斜視図 本発明の主要部の構成ブロック図 キャリッジの断面図 カム形状を示す図 (a)(b)はヘッドとキャップの圧接動作を示す図 (a)は間隔調整モータと電磁クラッチの動作のタイミングチャート、(b)はカムの回転角度を説明する図 (a)〜(d)は、ブレードの圧接動作を示す図 従来のインクジェット記録装置における主要部の概略構成を示す斜視図 従来のインクジェット記録装置におけるキャップの圧接動作を示す斜視図 従来のインクジェット記録装置におけるブレードの圧接動作を示す図
符号の説明
1、1a〜1d:ヘッド
2:キャリッジ
21:ヘッド搭載部
22:スライド部
3:カム
31:回転軸
32:歯車
4:駆動モータ
41:歯車
5:位置検出センサ
6、6a〜6d:キャップ
7:ガイドレール
8:キャリッジモータ
9:吸引ポンプ
10:制御部
11:ブレード
12:取り付け台

Claims (7)

  1. ノズル面に形成されたノズルから記録媒体に対してインクを吐出することにより画像記録を行うヘッドと、前記ヘッドを主走査方向に沿って往復移動させる第1の移動手段と、前記ヘッドをそのインク吐出方向に沿って移動させることにより、画像記録時における前記ヘッドのノズル面と前記記録媒体との間隔を調整する第2の移動手段と、前記第1及び第2の移動手段を制御する制御手段とを有するインクジェット記録装置において、前記ヘッドのメンテナンス部材を、該ヘッドが画像記録を行わない位置に対応させて移動不能に設けると共に、前記第2の移動手段は、前記ヘッドのノズル面が前記メンテナンス部材に圧接する位置まで該ヘッドを移動可能としたことを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記メンテナンス部材は、前記ヘッドのノズル面と圧接した後に該ヘッドのノズルからインクを吸引するキャップであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記メンテナンス部材は、前記ヘッドのノズル面を拭き取る板状の弾性部材であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記ヘッドは複数並設され、前記制御手段は、ヘッド毎に前記弾性部材との圧接及び離反を行うように前記第1及び第2の移動手段を制御することを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記ヘッドは、主走査方向に往復移動する第1の部材と、該第1の部材に対して前記ヘッドのインク吐出方向に沿ってスライド可能に取り付けられた第2の部材とを有するキャリッジの前記第2の部材に搭載され、前記第2の移動手段は、回転中心とカム面との距離を位相に応じて異ならせてなると共に該カム面が前記キャリッジの第2の部材をスライド方向に沿って押圧することにより前記ヘッドを移動させるカムと、前記カムを回転させる駆動手段とを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記カムは、前記ヘッドのノズル面が前記メンテナンス部材に接している間のカム面が連続する曲面により形成されていることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記ヘッドのノズル面が前記メンテナンス部材に圧接した時に、前記カムの回転を停止状態に維持する停止維持手段を備えたことを特徴とする請求項6記載のインクジェット記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014188694A (ja) * 2013-03-26 2014-10-06 Seiko Epson Corp 印刷装置
JP2017140810A (ja) * 2016-02-12 2017-08-17 セイコーエプソン株式会社 液体噴射装置

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