JP2005059459A - 印刷版材料及びその印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 合紙がなくとも良好な断裁適性と機上現像性を有する印刷版材料及び両面を印刷版として使用する印刷方法を提供すること。
【解決手段】 印刷機上または印刷機と別体の露光装置を用いて像様露光を行った後に、印刷機上で現像して印刷を行う金属を基材とする印刷版材料において、基材両面の最表面が同一の組成で構成されることを特徴とする印刷版材料。
【選択図】 なし
【解決手段】 印刷機上または印刷機と別体の露光装置を用いて像様露光を行った後に、印刷機上で現像して印刷を行う金属を基材とする印刷版材料において、基材両面の最表面が同一の組成で構成されることを特徴とする印刷版材料。
【選択図】 なし
Description
本発明は印刷版材料に関し、特にコンピューター・トゥー・プレート(CTP)方式により画像形成が可能な印刷版材料に関する。
印刷データのデジタル化に伴い、安価で取り扱いが容易でPS版と同等の印刷適性を有したCTPが求められている。特に近年、特別な薬剤による現像処理が不要であって、ダイレクトイメージング(DI)機能を備えた印刷機に適用可能であり、またPS版と同等の使い勝手を有する、汎用タイプのサーマルプロセスレスプレートへの期待が高まっている。
DI用のサーマルプロセスレスプレートとしては、例えば、アグファ社製のThermo Liteが挙げられる。サーマルプロセスレスプレートの画像形成に主として用いられるのは近赤外〜赤外線の波長を有するサーマルレーザー記録方式である。この方式で画像形成可能なサーマルプロセスレスプレートには、大きく分けて後述するアブレーションタイプと熱融着画像形成層機上現像タイプ、および相変化タイプが存在する。
アブレーションタイプとしては、例えば、特開平8−507727号、同6−186750号、同6−199064号、同7−314934号、同10−58636号、同10−244773号の各公報に記載されているものが挙げられる。また、相変化タイプとしては、特開平11−240270号公報に記載されているような、印刷時に除去されない親水性層中に、疎水化前駆体粒子を含有させ、露光部を親水性から親油性へと相変化させるというものが挙げられる。
感光性平版印刷版はアルミニウム支持体の表面を砂目立てなどの処理を行った後に、その表面に感光性組成物を塗布・乾燥して得られるが、生産から製版作業までの各段階で印刷版を積層状態にストックすると版面が損傷するすることがあるので、感光性組成物層の上面に、重ね合わせる印刷版との中間に合紙を介在させることが行われている。
しかしながら、この合紙は製版作業に先立って取り除く必要があるが、取り除いた合紙は廃棄物として処理しなければならず、製版現場では合紙不要のPS版が望まれている。
他方において、製造した印刷版を出荷するに際しては所定のサイズに断裁する必要があり、この断裁作業では数枚の印刷版を重ね合わせた状態で一度に断裁する断裁機が用いられるが、印刷版と印刷版との間に合紙が配置されていないと、断裁刃の裏面側に支持体であるアルミニウムが固着して切断面を著しく損傷させ、しばしば断裁不能となり、その都度、断裁刃の清掃等のメンテナンスが必要となるので、依然として合紙を廃止することには困難な事情が存在する。従って、合紙不要の印刷版を製造したとしても、断裁作業の段階でわざわざ合紙を挿入して、出荷に際して合紙を取り除くような不合理・非能率的な作業が強いられることになる。そこで、印刷版の断裁に際して合紙が不要となれば、作業能率の向上やコストダウンにつながり非常に好ましいことになる。
従来技術として合紙なしで感光性平版印刷原版の断裁を行うことができる方法としては、支持体としてアルミニウム板を用い、その表面にジアゾ樹脂を含有する感光性組成物を塗布・乾燥した感光性平版印刷原版の複数を合紙を介在させることなく積層状態にセットし、少なくとも裏面側に非粘着性物質を塗布した断裁刃を上下方向に運動させて断裁を行う技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)が、断裁時に非粘着性物質が印刷原版側に転写してしまい製品品質を低下させる懸念があった。
また、合紙を介在させないためのその他の技術として、オーバーコート層とバックコート層との摩擦係数を規定した技術が挙げられる(例えば、特許文献2参照。)が、この場合はバックコート層に印刷版積層時のすべり性を付与させるために滑剤を添加するため、製造時にロールとして巻き取った際に、バックコート層の滑剤が印刷版表面側に転写する問題が生じ、その結果、印刷時の汚れや耐刷性に悪影響を及ぼす懸念があった。またバックコート層として専用の塗布液を用いて塗布を行うため余分な素材を使用する欠点を有していた。
特開平5−216218号公報
特開2000−267292号公報
本発明の目的は、合紙がなくとも良好な断裁適性と機上現像性を有する印刷版材料及び両面を印刷版として使用する印刷方法を提供するものである。
本発明の上記の目的は、以下の構成により達成された。
(請求項1)
印刷機上または印刷機と別体の露光装置を用いて像様露光を行った後に、印刷機上で現像して印刷を行う金属を基材とする印刷版材料において、基材両面の最表面が同一の組成で構成されることを特徴とする印刷版材料。
(請求項2)
印刷機上または印刷機と別体の露光装置を用いて像様露光を行った後に、印刷機上で現像して印刷を行う金属を基材とする印刷版材料において、基材の両面に同一の構成層を形成することを特徴とする印刷版材料。
(請求項3)
基材の主要素材がアルミニウムであることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷版材料。
(請求項4)
請求項2に記載の印刷版材料を用いて、片面に像様露光、現像後、印刷工程を経た後、同一材料の裏面に像様露光、現像後、第2の印刷工程を行うことを特徴とする印刷方法。
(請求項1)
印刷機上または印刷機と別体の露光装置を用いて像様露光を行った後に、印刷機上で現像して印刷を行う金属を基材とする印刷版材料において、基材両面の最表面が同一の組成で構成されることを特徴とする印刷版材料。
(請求項2)
印刷機上または印刷機と別体の露光装置を用いて像様露光を行った後に、印刷機上で現像して印刷を行う金属を基材とする印刷版材料において、基材の両面に同一の構成層を形成することを特徴とする印刷版材料。
(請求項3)
基材の主要素材がアルミニウムであることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷版材料。
(請求項4)
請求項2に記載の印刷版材料を用いて、片面に像様露光、現像後、印刷工程を経た後、同一材料の裏面に像様露光、現像後、第2の印刷工程を行うことを特徴とする印刷方法。
本発明によって、印刷版材料が合紙を用いることなく、合紙を用いた場合と同等の断裁適性を有し、合紙無しでロールに巻き取られた後でも良好な機上現像性を有すると共に、両面を印刷版として使用することも可能となった。
本発明は金属を基材とする印刷版材料の両面、即ち画像形成層側及びバックコート層側におけるそれぞれの最表面は同一組成の塗布液で塗布されていることを特徴としている。より具体的には、画像形成層側及びバックコート層側が同一構成層を形成(同一構成層であれば、それぞれの最表面は同一組成となる)することを特徴としている。そして、かかる印刷版材料によって、合紙を用いることなく、合紙を用いた場合と同等の断裁適性を有し、合紙無しでロールに巻き取られた後でも良好な機上現像性を有すると共に、両面を印刷版として使用することも可能となった。
本発明の印刷版材料の態様の一つとして、画像形成層が親水性表面を有する基材上に形成されており、且つ機上現像性を有する層である印刷版材料を挙げることができる。具体的には、後述する親水性表面を有する基材(例えば、アルミ砂目や表面に親水性層を形成した樹脂基材や金属基材)上に、後述する疎水化前駆体粒子と機上現像可能な画像形成層を設けた印刷版材料が挙げられる。この態様においては、光熱変換素材は画像形成層もしくは基材表層(親水性層)に含有させることができる。赤外線レーザー露光によって、露光部が発色するとともに疎水化前駆体によって疎水化し、印刷機上で除去されない画像部となる。機上現像される未露光部の画像形成層は発色していないため印刷機汚染とはならず、主にインクローラーによって除去されて、最終的に印刷用紙へと移行する。
更に本発明の印刷版材料の好ましい態様は、構成層の一つが光熱変換素材を含有する印刷版材料である。光熱変換素材を含有しない場合でも、公知の感熱ヘッド等により画像記録は可能であるが、光熱変換素材を含有することにより、赤外線レーザー露光による画像記録が可能となる。
光熱変換素材としては下記のような素材を挙げることができる。
一般的な赤外吸収色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、同64−33547号、特開平1−160683号、同1−280750号、同1−293342号、同2−2074号、同3−26593号、同3−30991号、同3−34891号、同3−36093号、同3−36094号、同3−36095号、同3−42281号、同3−97589号、同3−103476号の各公報等に記載の化合物が挙げられる。これらは一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、特開平11−240270号、同11−265062号、特開2000−309174号、同2002−49147号、同2001−162965号、同2002−144750号、同2001−219667号の各公報に記載の化合物も好ましく用いることができる。
顔料としては、カーボン、グラファイト、金属、金属酸化物等が挙げられる。カーボンとしては、特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。グラファイトとしては、粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。
本発明に好ましく用いられる印刷版材料の画像形成方式としては、赤外線レーザーアブレーション方式による画像形成、赤外線レーザー熱溶融・熱融着方式による画像形成(機上現像、相変化)等の、赤外線レーザーを用いた種々の画像形成方式を挙げることができる。特に好ましい態様としては、基材上に後述する親水性層を設け、更にその上に後述する疎水化前駆体粒子を含有する画像形成層を設けた、赤外線レーザー熱溶融・熱融着方式の機上現像タイプの印刷版材料が挙げられる。
[基材]
基材としては、印刷版の基板として使用される公知の金属材料を使用することができる。基材の厚さとしては、印刷機に取り付け可能であれば特に制限されるものではないが、50〜500μmのものが一般的に取り扱いやすい。
基材としては、印刷版の基板として使用される公知の金属材料を使用することができる。基材の厚さとしては、印刷機に取り付け可能であれば特に制限されるものではないが、50〜500μmのものが一般的に取り扱いやすい。
金属板としては、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられるが、比重と剛性との関係から特にアルミニウムが好ましい。アルミニウム板は通常その表面に存在する圧延・巻取り時に使用されたオイルを除去するために、アルカリ、酸、溶剤等で脱脂した後に使用される。脱脂処理としては特にアルカリ水溶液による脱脂が好ましい。また、塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下塗り層塗布を行うことが好ましい。例えば、ケイ酸塩やシランカップリング剤等のカップリング剤を含有する液に浸漬するか、液を塗布した後、十分な乾燥を行う方法が挙げられる。陽極酸化処理も易接着処理の一種と考えられ、使用することができる。また、陽極酸化処理と上記浸漬または塗布処理を組み合わせて使用することもできる。また、公知の方法で粗面化されたアルミニウム基材、いわゆるアルミ砂目を、親水性表面を有する基材として使用することもできる。
[親水性層]
本発明に用いられるの印刷版材料の態様のひとつとして、基材上に親水性層を有する態様が挙げられる。親水性層は一層であってもよいし、複数の層から形成されていてもよい。親水性層の付量としては、0.1〜10g/m2が好ましく、0.2〜5g/m2がより好ましい。
本発明に用いられるの印刷版材料の態様のひとつとして、基材上に親水性層を有する態様が挙げられる。親水性層は一層であってもよいし、複数の層から形成されていてもよい。親水性層の付量としては、0.1〜10g/m2が好ましく、0.2〜5g/m2がより好ましい。
本発明の態様の一つとして、親水性層中に色素前駆体複合化微粒子を含有する態様が挙げられる。親水性層中の色素前駆体複合化微粒子の含有量としては、5〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。
親水性層に用いられる親水性素材としては、金属酸化物が好ましい。
金属酸化物としては、金属酸化物微粒子を含むことが好ましい。例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。該金属酸化物微粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でもよい。平均粒径としては、3〜100nmであることが好ましく、平均粒径が異なる数種の金属酸化物微粒子を併用することもできる。また、粒子表面に表面処理がなされていてもよい。
上記金属酸化物微粒子はその造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、親水性層への使用に適している。
本発明には、上記の中でも特にコロイダルシリカが好ましく使用できる。コロイダルシリカは比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、炭素原子を含まない素材が91質量%以上というような層においても良好な強度を得ることができる。
上記コロイダルシリカとしては、後述するネックレス状コロイダルシリカ、平均粒径20nm以下の微粒子コロイダルシリカを含むことが好ましく、更にコロイダルシリカはコロイド溶液としてアルカリ性を呈することが好ましい。
本発明に用いられるネックレス状コロイダルシリカとは、1次粒子径がnmのオーダーである球状シリカの水分散系の総称である。本発明に用いられるネックレス状コロイダルシリカとは、1次粒粒子径が10〜50nmの球状コロイダルシリカが50〜400nmの長さに結合した「パールネックレス状」のコロイダルシリカを意味する。パールネックレス状(即ち真珠ネックレス状)とは、コロイダルシリカのシリカ粒子が連なって結合した状態のイメージが真珠ネックレスの様な形状をしていることを意味している。ネックレス状コロイダルシリカを構成するシリカ粒子同士の結合は、シリカ粒子表面に存在する−SiOH基が脱水結合した−Si−O−Si−と推定される。ネックレス状のコロイダルシリカとしては、具体的には日産化学工業(株)製の「スノーテックス−PS」シリーズなどが挙げられる。
製品名としては「スノーテックス−PS−S(連結した状態の平均粒子径は110nm程度)」、「スノーテックス−PS−M(連結した状態の平均粒子径は120nm程度)」及び「スノーテックス−PS−L(連結した状態の平均粒子径は170nm程度)」があり、これらにそれぞれ対応する酸性の製品が「スノーテックス−PS−S−O」、「スノーテックス−PS−M−O」及び「スノーテックス−PS−L−O」である。
平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカ/ネックレス状コロイダルシリカの比率は95/5〜5/95が好ましく、70/30〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が更に好ましい。
本発明の印刷版材料の親水性層は金属酸化物として多孔質金属酸化物粒子を含むことが好ましい。多孔質金属酸化物粒子としては、後述する多孔質シリカまたは多孔質アルミノシリケート粒子もしくはゼオライト粒子を好ましく用いることができる。
(多孔質シリカまたは多孔質アルミノシリケート粒子)
多孔質シリカ粒子は一般に湿式法または乾式法により製造される。湿式法ではケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。乾式法では四塩化珪素を水素と酸素と共に燃焼し、シリカを析出することで得られる。これらの粒子は製造条件の調整により多孔性や粒径を制御することが可能である。多孔質シリカ粒子としては、湿式法のゲルから得られるものが特に好ましい。
多孔質シリカ粒子は一般に湿式法または乾式法により製造される。湿式法ではケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。乾式法では四塩化珪素を水素と酸素と共に燃焼し、シリカを析出することで得られる。これらの粒子は製造条件の調整により多孔性や粒径を制御することが可能である。多孔質シリカ粒子としては、湿式法のゲルから得られるものが特に好ましい。
多孔質アルミノシリケート粒子は、例えば、特開平10−71764号公報に記載されている方法により製造される。即ち、アルミニウムアルコキシドと珪素アルコキシドを主成分として加水分解法により合成された非晶質な複合体粒子である。粒子中のアルミナとシリカの比率は1:4〜4:1の範囲で合成することが可能である。また、製造時にその他の金属のアルコキシドを添加して3成分以上の複合体粒子として製造したものも本発明に使用できる。これらの複合体粒子も製造条件の調整により多孔性や粒径を制御することが可能である。
粒子の多孔性としては、分散前の状態で細孔容積で1.0ml/g以上であることが好ましく、1.2ml/g以上であることがより好ましく、1.8〜2.5ml/g以下であることが更に好ましい。
細孔容積は塗膜の保水性と密接に関連しており、細孔容積が大きいほど保水性が良好となって印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなるが、2.5ml/gよりも大きくなると粒子自体が非常に脆くなるため塗膜の耐久性が低下する。細孔容積が1.0ml/g未満の場合には、印刷時の汚れにくさ、水量ラチチュードの広さが不充分となる。
粒径としては、親水性層に含有されている状態で(例えば、分散時に破砕された場合も含めて)、実質的に1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることが更に好ましい。不必要に粗大な粒子が存在すると親水性層表面に多孔質で急峻な突起が形成され、突起周囲にインクが残りやすくなって非画線部汚れやブランケット汚れが劣化する場合がある。
(ゼオライト粒子)
ゼオライトは結晶性のアルミノケイ酸塩であり、細孔径が0.3〜1nmの規則正しい三次元網目構造の空隙を有する多孔質体である。天然及び合成ゼオライトを合わせた一般式は、次のように表される。
ゼオライトは結晶性のアルミノケイ酸塩であり、細孔径が0.3〜1nmの規則正しい三次元網目構造の空隙を有する多孔質体である。天然及び合成ゼオライトを合わせた一般式は、次のように表される。
(M1、M21/2)m(AlmSinO2(m+n))・xH2O
ここで、M1、M2は交換性のカチオンであって、M1はLi+、Na+、K+、Tl+、Me4N+(TMA)、Et4N+(TEA)、Pr4N+(TPA)、C7H15N2+、C8H16N+等であり、M2はCa2+、Mg2+、Ba2+、Sr2+、C8H18N2 2+等である。また、n≧mであり、m/nの値つまりはAl/Si比率は1以下となる。Al/Si比率が高いほど交換性カチオンの量が多く含まれるため極性が高く、従って親水性も高い。好ましいAl/Si比率は0.4〜1.0であり、更に好ましくは0.8〜1.0である。xは整数を表す。
ここで、M1、M2は交換性のカチオンであって、M1はLi+、Na+、K+、Tl+、Me4N+(TMA)、Et4N+(TEA)、Pr4N+(TPA)、C7H15N2+、C8H16N+等であり、M2はCa2+、Mg2+、Ba2+、Sr2+、C8H18N2 2+等である。また、n≧mであり、m/nの値つまりはAl/Si比率は1以下となる。Al/Si比率が高いほど交換性カチオンの量が多く含まれるため極性が高く、従って親水性も高い。好ましいAl/Si比率は0.4〜1.0であり、更に好ましくは0.8〜1.0である。xは整数を表す。
多孔質無機粒子の粒径としては、親水性層に含有されている状態で実質的に1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることが更に好ましい。
また、本発明の印刷版材料の親水性層は金属酸化物として、層状粘土鉱物粒子を含んでもよい。該層状鉱物粒子としては、カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライトといった粘土鉱物及び、ハイドロタルサイト、層状ポリケイ酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト、ケニヤアイト等)等が挙げられる。中でも、単位層(ユニットレイヤー)の電荷密度が高いほど極性が高く、親水性も高いと考えられる。好ましい電荷密度としては0.25以上、更に好ましくは0.6以上である。このような電荷密度を有する層状鉱物としては、スメクタイト(電荷密度0.25〜0.6;陰電荷)、バーミキュライト(電荷密度0.6〜0.9;陰電荷)等が挙げられる。特に、合成フッ素雲母は粒径等安定した品質のものを入手することができ好ましい。また、合成フッ素雲母の中でも膨潤性であるものが好ましく、自由膨潤であるものが更に好ましい。
また、上記の層状鉱物のインターカレーション化合物(ピラードクリスタル等)や、イオン交換処理を施したもの、表面処理(シランカップリング処理、有機バインダとの複合化処理等)を施したものも使用することができる。
平板状層状鉱物粒子のサイズとしては、層中に含有されている状態で(膨潤工程、分散剥離工程を経た場合も含めて)、平均粒径(粒子の最大長)が20μm以下であり、また平均アスペクト比(粒子の最大長/粒子の厚さ)が20以上の薄層状であることが好ましく、平均粒径が5μm以下であり、平均アスペクト比が50以上であることが更に好ましく、平均粒径が1μm以下であり、平均アスペクト比が50以上であることが更に好ましい。粒子サイズが上記範囲にある場合、薄層状粒子の特徴である平面方向の連続性及び柔軟性が塗膜に付与され、クラックが入りにくく乾燥状態で強靭な塗膜とすることができる。また、粒子物を多く含有する塗布液においては、層状粘土鉱物の増粘効果によって、粒子物の沈降を抑制することができる。粒子径が上記範囲をはずれると、引っかきによるキズ抑制効果が低下する場合がある。また、アスペクト比が上記範囲以下である場合、柔軟性が不充分となり、同様に引っかきによるキズ抑制効果が低下する場合がある。
層状鉱物粒子の含有量としては、層全体の0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
本発明は、親水性層中には親水性有機樹脂を含有させてもよい。
親水性有機樹脂としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。
また、カチオン性樹脂を含有してもよく、カチオン性樹脂としては、ポリエチレンアミン、ポリプロピレンポリアミン等のようなポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ジアクリルアミン等が挙げられる。カチオン性樹脂は微粒子状の形態で添加してもよい。これは、例えば、特開平6−161101号公報に記載のカチオン性マイクロゲルが挙げられる。
本発明のより好ましい態様としては、親水性層中に含有される親水性有機樹脂は水溶性であり、且つ少なくともその一部が水溶性の状態のまま、水に溶出可能な状態で存在することが挙げられる。水溶性の素材であっても、架橋剤等によって架橋し、水に不溶の状態になると、その親水性は低下して印刷性能を劣化させる懸念がある。
本発明の親水性層に含有される水溶性素材としては、糖類が好ましい。親水性層に糖類を含有させることにより、後述する画像形成能を有する機能層との組み合わせにおいて、画像形成の解像度を向上させたり、耐刷性を向上させたりする効果が得られる。
糖類としては、後に詳細に説明するオリゴ糖を用いることもできるが、特に多糖類を用いることが好ましい。多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
これは、親水性層に多糖類を含有させることにより、親水性層の表面形状を好ましい状態形成する効果が得られるためである。
親水性層の表面は、PS版のアルミ砂目のように0.1〜50μmピッチの凹凸構造を有することが好ましく、この凹凸により保水性や画像部の保持性が向上する。
このような凹凸構造は、親水性層に適切な粒径のフィラーを適切な量含有させて形成することも可能であるが、親水性層の塗布液に前述のアルカリ性コロイダルシリカと前述の水溶性多糖類とを含有させ、親水性層を塗布、乾燥させる際に相分離を生じさせて形成することがより良好な印刷性能を有する構造を得ることができ、好ましい。
凹凸構造の形態(ピッチ及び表面粗さなど)はアルカリ性コロイダルシリカの種類及び添加量、水溶性多糖類の種類及び添加量、その他添加材の種類及び添加量、塗布液の固形分濃度、ウエット膜厚、乾燥条件等で適宜コントロールすることが可能である。
凹凸構造のピッチとしては0.2〜30μmであることがより好ましく、0.5〜20μmであることが更に好ましい。また、ピッチの大きな凹凸構造の上に、それよりもピッチの小さい凹凸構造が形成されているような多重構造の凹凸構造が形成されていてもよい。表面粗さとしては、Raで100〜1000nmが好ましく、150〜600nmがより好ましい。また、親水性層の膜厚としては、0.01〜50μmであり、好ましくは0.2〜10μmであり、更に好ましくは0.5〜3μmである。
また、本発明の親水性層(の塗布液)には、塗布性改善等の目的で水溶性の界面活性剤を含有させることができる。Si系、またはF系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。該界面活性剤の含有量は親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
[画像形成層]
本発明に用いられる印刷版材料の好ましい態様として、親水性表面基材もしくは親水性層上に機上現像可能な画像形成層を有する態様が挙げられる。画像形成層は、赤外線レーザーによる露光によって発生する熱によって画像形成するものであることが好ましい。本発明の画像形成層の好ましい態様のひとつとして、画像形成層が疎水化前駆体を含有する態様が挙げられる。
本発明に用いられる印刷版材料の好ましい態様として、親水性表面基材もしくは親水性層上に機上現像可能な画像形成層を有する態様が挙げられる。画像形成層は、赤外線レーザーによる露光によって発生する熱によって画像形成するものであることが好ましい。本発明の画像形成層の好ましい態様のひとつとして、画像形成層が疎水化前駆体を含有する態様が挙げられる。
疎水化前駆体としては、熱によって親水性(水溶性または水膨潤性)から疎水性へと変化するポリマーを用いることができる。具体的には、例えば、特開2000−56449号公報に開示されている、アリールジアゾスルホネート単位を含有するポリマーを挙げることができる。
本発明においては、疎水化前駆体としては、熱可塑性疎水性粒子もしくは疎水性物質を内包するマイクロカプセルを用いることが好ましい。熱可塑性微粒子としては、後述する熱溶融性微粒子および熱融着性微粒子を挙げることができる。
本発明に用いられる熱溶融性微粒子とは、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された微粒子である。物性としては、軟化点40℃以上120℃以下、融点60℃以上150℃以下であることが好ましく、軟化点40℃以上100℃以下、融点60℃以上120℃以下であることが更に好ましい。融点が60℃未満では保存性が問題であり、融点が300℃よりも高い場合はインク着肉感度が低下する。
使用可能な素材としては、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。これらは分子量800から10000程度のものである。また、乳化しやすくするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。更には、軟化点を下げたり作業性を向上させるために、これらのワックスにステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミドまたはこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミドなどを添加することも可能である。また、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、これらの樹脂の共重合体も使用することができる。
これらの中でもポリエチレン、マイクロクリスタリン、脂肪酸エステル、脂肪酸の何れかを含有することが好ましい。これらの素材は融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度の画像形成を行うことができる。また、これらの素材は潤滑性を有するため、印刷版材料の表面に剪断力が加えられた際のダメージが低減し、擦りキズ等による印刷汚れ耐性が向上する。
また、熱溶融性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。平均粒径が0.01μmよりも小さい場合、熱溶融性微粒子を含有する層の塗布液を後述する多孔質な親水性層上に塗布した際に、熱溶融性微粒子が親水性層の細孔中に入り込んだり、親水性層表面の微細な凹凸の隙間に入り込んだりしやすくなり、機上現像が不十分になって、地汚れの懸念が生じる。熱溶融性微粒子の平均粒径が10μmよりも大きい場合には、解像度が低下する。
また、熱溶融性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
層中の熱溶融性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%が更に好ましい。
本発明の熱融着性微粒子としては、熱可塑性疎水性高分子重合体微粒子が挙げられ、高分子重合体微粒子の軟化温度に特定の上限はないが、温度は高分子重合体微粒子の分解温度より低いことが好ましい。高分子重合体の重量平均分子量(Mw)は10,000〜1,000,000の範囲であることが好ましい。
高分子重合体微粒子を構成する高分子重合体の具体例としては、例えば、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−ブタジエン共重合体等のジエン(共)重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴム類、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルアクリレート−(N−メチロールアクリルアミド)共重合体、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル(共)重合体、酢酸ビニル−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等及びそれらの共重合体が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ビニルエステル(共)重合体、ポリスチレン、合成ゴム類が好ましく用いられる。
高分子重合体微粒子は乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、気相重合法等、公知の何れの方法で重合された高分子重合体からなるものでもよい。溶液重合法または気相重合法で重合された高分子重合体を微粒子化する方法としては、高分子重合体の有機溶媒に溶解液を不活性ガス中に噴霧、乾燥して微粒子化する方法、高分子重合体を水に非混和性の有機溶媒に溶解し、この溶液を水または水性媒体に分散、有機溶媒を留去して微粒子化する方法等が挙げられる。また、何れの方法においても、必要に応じ重合あるいは微粒子化の際に分散剤、安定剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等の界面活性剤やポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を用いてもよい。
また、熱融着性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。平均粒径が0.01μmよりも小さい場合、熱融着性微粒子を含有する層の塗布液を後述する多孔質な親水性層上に塗布した際に、熱融着性微粒子が親水性層の細孔中に入り込んだり、親水性層表面の微細な凹凸の隙間に入り込んだりしやすくなり、機上現像が不十分になって、地汚れの懸念が生じる。熱融着性微粒子の平均粒径が10μmよりも大きい場合には、解像度が低下する。
また、熱融着性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
層中の熱可塑性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%が更に好ましい。
[画像形成層に含有可能なその他の素材]
本発明に用いられる画像形成層には、更に以下のような素材を含有させることができる。
本発明に用いられる画像形成層には、更に以下のような素材を含有させることができる。
画像形成層には上述の光熱変換素材を含有させることができる。画像形成層は一部が機上現像されるため、可視光での着色の少ない素材を用いることが好ましく、色素を用いることが好ましい。
画像形成層には水溶性樹脂、水分散性樹脂を含有させることができる。水溶性樹脂、水分散性樹脂としては、オリゴ糖、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。
これらの中では、オリゴ糖、多糖類、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩(Na塩等)、ポリアクリルアミドが好ましい。
オリゴ糖としては、ラフィノース、トレハロース、マルトース、ガラクトース、スクロース、ラクトースといったものが挙げられるが、特にトレハロースが好ましい。多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。ポリアクリル酸、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩(Na塩等)、ポリアクリルアミドとしては、分子量3000〜500万であることが好ましく、5000〜100万であることがより好ましい。
また、画像形成層には、水溶性の界面活性剤を含有させることができる。Si系、またはF系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。該界面活性剤の含有量は親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
更に、pH調整のための酸(リン酸、酢酸等)またはアルカリ(水酸化ナトリウム、ケイ酸塩、リン酸塩等)を含有していてもよい。
画像形成層の付量としては、0.01〜10g/m2であり、好ましくは0.1〜3g/m2であり、更に好ましくは0.2〜2g/m2である。
[保護層]
画像形成層の上層として保護層を設けることもできる。保護層に用いる素材としては、上述の水溶性樹脂、水分散性樹脂を好ましく用いることができる。また、特開2002−19318号公報、同2002−86948号公報に記載されている親水性オーバーコート層も好ましく用いることができる。保護層の付量としては0.01〜10g/m2であり、好ましくは0.1〜3g/m2であり、更に好ましくは0.2〜2g/m2である。
画像形成層の上層として保護層を設けることもできる。保護層に用いる素材としては、上述の水溶性樹脂、水分散性樹脂を好ましく用いることができる。また、特開2002−19318号公報、同2002−86948号公報に記載されている親水性オーバーコート層も好ましく用いることができる。保護層の付量としては0.01〜10g/m2であり、好ましくは0.1〜3g/m2であり、更に好ましくは0.2〜2g/m2である。
本発明は上記の各層を、基材の両面に積層することを特徴としている。これにより本発明の印刷版材料は積層時に同一組成の面が接触する。
その結果、製品サイズ加工時の断裁工程や印刷版積層保存時の密着によって表面から裏面、あるいは裏面から表面に画像形成に必要のない余分な成分の移行が生じない。また、画像形成層中に含まれる熱溶融性微粒子が滑剤、離型剤の役目をはたす為、断裁加工時の断裁刃の劣化を防ぎ、製造時にロールとして巻き取ったり、断裁後積層した状態で保存を経た後でも品質の低下なく印刷が可能になっている。また、万が一印刷版表面の成分が裏面に移行、もしくはその逆が生じたとしても表裏面とも同一成分を使用しているため、品質の劣化が生じることがない。
また、本発明においては、画像形成の妨げにならない程度に画像形成上に滑剤を含有させた保護層を設けてもよい。
本発明に置いては表裏面とも印刷版として使用可能であるため、表面を印刷版として使用した後、再度裏面に画像露光を行い、機上現像を行うことで1版で2度の印刷が可能である。そのため、従来よりも使用後に発生する廃材の低減につながる。更に生産時においてはバックコート層として専用の塗布液を用意する必要が無く、また表裏とも同一の塗布条件、例えば、コーティング速度、乾燥条件を採用できるため両面同時塗布することができ生産性も向上させることが出来る。
[機上現像方法]
本発明の印刷版材料の好ましい態様である、赤外線レーザー熱溶融・熱融着方式の印刷版材料の画像形成層は、赤外線レーザー露光部が親油性の画像部となり、未露光部の層が除去されて非画像部となる。未露光部の除去は水洗によっても可能であるが、印刷機上で湿し水および/またはインクを用いて除去する、いわゆる機上現像することも十分に可能である。
本発明の印刷版材料の好ましい態様である、赤外線レーザー熱溶融・熱融着方式の印刷版材料の画像形成層は、赤外線レーザー露光部が親油性の画像部となり、未露光部の層が除去されて非画像部となる。未露光部の除去は水洗によっても可能であるが、印刷機上で湿し水および/またはインクを用いて除去する、いわゆる機上現像することも十分に可能である。
印刷機上での画像形成層の未露光部の除去は、版胴を回転させながら水付けローラーやインクローラーを接触させて行うことができるが、下記に挙げる例のような、もしくはそれ以外の種々のシークエンスによって行うことができる。また、その際には、印刷時に必要な湿し水水量に対して、水量を増加させたり、減少させたりといった水量調整を行ってもよく、水量調整を多段階に分けて、もしくは無段階に変化させて行ってもよい。
(1)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いでインクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで印刷を開始する。
(2)印刷開始のシークエンスとして、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで印刷を開始する。
(3)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーとインクローラーとを実質的に同時に接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで印刷を開始する。
実施例1
(基材1の作製)
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を50℃の1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、溶解量が2g/m2になるように溶解処理を行い、水洗した後、25℃の0.1質量%塩酸水溶液中に30秒間浸漬し、中和処理した後、水洗した。
(基材1の作製)
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を50℃の1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、溶解量が2g/m2になるように溶解処理を行い、水洗した後、25℃の0.1質量%塩酸水溶液中に30秒間浸漬し、中和処理した後、水洗した。
次いで、このアルミニウム板を塩酸10g/L、アルミを0.5g/L含有する電解液により、正弦波の交流を用いて、ピーク電流密度が50A/dm2の条件で電解粗面化処理を行なった。この際の電極と試料表面との距離は10mmとした。電解粗面化処理は12回に分割して行い、一回の処理電気量(陽極時)を40C/dm2とし、合計で480C/dm2の処理電気量(陽極時)とした。また、各回の粗面化処理の間に5秒間の休止時間を設けた。
電解粗面化後は、50℃に保たれた1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、粗面化された面のスマットを含めた溶解量が1.2g/m2になるようにエッチングし、水洗し、次いで25℃に保たれた10%硫酸水溶液中に10秒間浸漬し、中和処理した後、水洗した。次いで、20%硫酸水溶液中で、20Vの定電圧条件で電気量が150C/dm2となるように陽極酸化処理を行い、更に水洗した。
次いで、水洗後の表面水をスクイーズした後、70℃に保たれた1質量%のリン酸二水素ナトリウム水溶液に30秒間浸漬し、水洗を行った後に80℃で5分間乾燥し、基材1を得た。基材1のRaは460nmであった(WYKO社製RST Plusを使用し、40倍で測定した)。
〔印刷版材料の作製〕
(印刷版材料1)
下記組成の素材を十分に混合攪拌し、濾過して固形分10質量%の画像形成層(a)の塗布液を作製した。ロール状の基材1の両面に、画像形成層(a)の塗布液をワイヤーバーを用いて乾燥付量が1.5g/m2となるように塗布し、55℃で3分間乾燥し巻き取った。次いで、40℃24時間のエイジング処理を行って、印刷版材料1を得た。
(印刷版材料1)
下記組成の素材を十分に混合攪拌し、濾過して固形分10質量%の画像形成層(a)の塗布液を作製した。ロール状の基材1の両面に、画像形成層(a)の塗布液をワイヤーバーを用いて乾燥付量が1.5g/m2となるように塗布し、55℃で3分間乾燥し巻き取った。次いで、40℃24時間のエイジング処理を行って、印刷版材料1を得た。
画像形成層(a)
カルナバワックスエマルジョン:A118(岐阜セラック社製、平均粒子径0.3μm、軟化点65℃、融点80℃、140℃での溶融粘度8cps、固形分40質量%)
17質量部
二糖類トレハロース(林原商事社製商品名トレハ、融点97℃)の水溶液、固形分20質量% 12質量部
ポリアクリル酸ナトリウム:アクアリックDL522(日本触媒社製)の水溶液、固形分10質量% 6質量部
光熱変換色素:ADS830WS(American Dye Source社製)の1質量%水溶液 55質量部
純水 10質量部
(印刷版材料2)
下記組成の素材をホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、濾過して、固形分15質量%の親水性層(h)の塗布液を作製した。ロール上の基材1の両面に親水性層(h)の塗布液を、ワイヤーバーを用いて乾燥後の付量が2.0g/m2となるように塗布し、100℃で3分間乾燥し巻き取った。次いで、60℃24時間のエイジング処理を行った。次に、親水性層(h)上に、画像形成層(a)を印刷版材料1と同様にして塗布、巻き取り、同様のエイジング処理をして印刷版材料2を得た。
カルナバワックスエマルジョン:A118(岐阜セラック社製、平均粒子径0.3μm、軟化点65℃、融点80℃、140℃での溶融粘度8cps、固形分40質量%)
17質量部
二糖類トレハロース(林原商事社製商品名トレハ、融点97℃)の水溶液、固形分20質量% 12質量部
ポリアクリル酸ナトリウム:アクアリックDL522(日本触媒社製)の水溶液、固形分10質量% 6質量部
光熱変換色素:ADS830WS(American Dye Source社製)の1質量%水溶液 55質量部
純水 10質量部
(印刷版材料2)
下記組成の素材をホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、濾過して、固形分15質量%の親水性層(h)の塗布液を作製した。ロール上の基材1の両面に親水性層(h)の塗布液を、ワイヤーバーを用いて乾燥後の付量が2.0g/m2となるように塗布し、100℃で3分間乾燥し巻き取った。次いで、60℃24時間のエイジング処理を行った。次に、親水性層(h)上に、画像形成層(a)を印刷版材料1と同様にして塗布、巻き取り、同様のエイジング処理をして印刷版材料2を得た。
親水性層(h)
コロイダルシリカ(アルカリ系):スノーテックス−S(日産化学社製、固形分30質量%) 12.86質量部
ネックレス状コロイダルシリカ(アルカリ系):スノーテックス−PSM(日産化学社製、固形分20質量%) 35.83質量部
赤外線吸収色素:ADS830WS(American Dye Source社製) 0.45質量部
層状鉱物粒子 モンモリロナイト:ミネラルコロイドMO(Southern Clay Products社製、平均粒径0.1μm程度)をホモジナイザで強攪拌して5質量%の水膨潤ゲルとしたもの 6.00質量部
カルボキシメチルセルロースナトリウム:CMC1220(ダイセル化学社製)の4質量%の水溶液 3.75質量部
リン酸三ナトリウム・12水(関東化学社製試薬)の10質量%の水溶液
0.75質量部
多孔質金属酸化物粒子:シルトンAMT08(水澤化学社製、多孔質アルミノシリケート粒子、平均粒径0.6μm) 1.50質量部
多孔質金属酸化物粒子:シルトンJC−30(水澤化学社製、多孔質アルミノシリケート粒子、平均粒径3μm) 1.50質量部
純水 37.36質量部
(印刷版材料3):印刷版材料1の片面のみの印刷版材料を作製した。
コロイダルシリカ(アルカリ系):スノーテックス−S(日産化学社製、固形分30質量%) 12.86質量部
ネックレス状コロイダルシリカ(アルカリ系):スノーテックス−PSM(日産化学社製、固形分20質量%) 35.83質量部
赤外線吸収色素:ADS830WS(American Dye Source社製) 0.45質量部
層状鉱物粒子 モンモリロナイト:ミネラルコロイドMO(Southern Clay Products社製、平均粒径0.1μm程度)をホモジナイザで強攪拌して5質量%の水膨潤ゲルとしたもの 6.00質量部
カルボキシメチルセルロースナトリウム:CMC1220(ダイセル化学社製)の4質量%の水溶液 3.75質量部
リン酸三ナトリウム・12水(関東化学社製試薬)の10質量%の水溶液
0.75質量部
多孔質金属酸化物粒子:シルトンAMT08(水澤化学社製、多孔質アルミノシリケート粒子、平均粒径0.6μm) 1.50質量部
多孔質金属酸化物粒子:シルトンJC−30(水澤化学社製、多孔質アルミノシリケート粒子、平均粒径3μm) 1.50質量部
純水 37.36質量部
(印刷版材料3):印刷版材料1の片面のみの印刷版材料を作製した。
(印刷版材料4):印刷版材料2の片面のみの印刷版材料を作製した。
(印刷版材料5)
印刷版材料3の未塗布面側に、下記の成分からなるバックコート層塗布液Bをワイヤバーコーターを用いて、乾燥後の厚さが1μmとなるように塗布、乾燥した。
印刷版材料3の未塗布面側に、下記の成分からなるバックコート層塗布液Bをワイヤバーコーターを用いて、乾燥後の厚さが1μmとなるように塗布、乾燥した。
バックコート層塗布液B
飽和共重合ポリエステル樹脂(テレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=1:1:1:1、分子量18,000、ガラス転移点67℃)
3.0質量部
メチルエチルケトン 100質量部
メガファックF−177 0.05質量部
(印刷版材料6)
印刷版材料4の未塗布面側に、印刷版材料5と同様にしてバックコート層を形成した。
飽和共重合ポリエステル樹脂(テレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=1:1:1:1、分子量18,000、ガラス転移点67℃)
3.0質量部
メチルエチルケトン 100質量部
メガファックF−177 0.05質量部
(印刷版材料6)
印刷版材料4の未塗布面側に、印刷版材料5と同様にしてバックコート層を形成した。
上記印刷版材料を印刷機にセットできるように断裁機で適正サイズに断裁を行った。
その際、印刷版材料3および4は印刷版の間に合紙を介した場合と介さない場合の2通りの方法で断裁を行った。それぞれの印刷版材料を用いて下記の工程で印刷を行いその性能を比較した。
〈赤外線レーザー露光による画像形成〉
印刷版材料を露光ドラムに巻付け固定した。露光には波長830nm、スポット径約18μmのレーザービームを用い、露光エネルギーを250mJ/cm2として、2400dpi(dpiとは1インチ、即ち2.54cm当たりのドット数を表す)、175線で画像を形成した。露光した画像はベタ画像と1〜99%の網点画像とを含むものである。
印刷版材料を露光ドラムに巻付け固定した。露光には波長830nm、スポット径約18μmのレーザービームを用い、露光エネルギーを250mJ/cm2として、2400dpi(dpiとは1インチ、即ち2.54cm当たりのドット数を表す)、175線で画像を形成した。露光した画像はベタ画像と1〜99%の網点画像とを含むものである。
〈印刷方法〉
印刷機:三菱重工業(株)製DAIYA1F−1を用いて、コート紙、湿し水:アストロマーク3(日研化学研究所製)2質量%、インク(東洋インク社製TKハイユニティ紅)を使用して印刷を行った。印刷版材料は露光後そのままの状態で版胴に取り付け、PS版と同じ刷り出しシークエンスを用いて印刷した。
印刷機:三菱重工業(株)製DAIYA1F−1を用いて、コート紙、湿し水:アストロマーク3(日研化学研究所製)2質量%、インク(東洋インク社製TKハイユニティ紅)を使用して印刷を行った。印刷版材料は露光後そのままの状態で版胴に取り付け、PS版と同じ刷り出しシークエンスを用いて印刷した。
〈印刷評価〉
(機上現像性)
各印刷版材料について、刷り出しから何枚目の印刷で機上現像が終了するか求めた。機上現像終了の指標は印刷物上で非画像部の汚れがなく、且つベタ画像部の濃度が1.6以上(Macbeth RD918を用いてMのモードで測定し)であり、且つ95%の網点画像が開いていることとした。結果を表1に示した。
(機上現像性)
各印刷版材料について、刷り出しから何枚目の印刷で機上現像が終了するか求めた。機上現像終了の指標は印刷物上で非画像部の汚れがなく、且つベタ画像部の濃度が1.6以上(Macbeth RD918を用いてMのモードで測定し)であり、且つ95%の網点画像が開いていることとした。結果を表1に示した。
(断裁性評価)
断裁面の品質について、断裁後の印刷版の断裁面の状態を目視確認し、印刷時の断裁部分の印刷汚れを評価した。
断裁面の品質について、断裁後の印刷版の断裁面の状態を目視確認し、印刷時の断裁部分の印刷汚れを評価した。
A:断裁面形状が歪み無く良好、且つ印刷時の汚れも生じない
B:印刷時に汚れは発生しないが、切断面に歪みが生じている
C:切断面に歪みが生じ、切断面付近に印刷時の汚れが発生
B:印刷時に汚れは発生しないが、切断面に歪みが生じている
C:切断面に歪みが生じ、切断面付近に印刷時の汚れが発生
表1から、本発明の印刷版材料が合紙を用いることなく、合紙を用いた場合と同等の断裁適性を有し、合紙無しでロールに巻き取られた後でも良好な機上現像性を有していることがわかる。なお、上記機上現像性の差は主に印刷版の取り扱い時に生じる小さな傷が汚れとなって発生することに起因する。
実施例2
実施例1で用いた印刷版材料1および2の裏面を用いて、実施例1と同様に印刷を行った。
実施例1で用いた印刷版材料1および2の裏面を用いて、実施例1と同様に印刷を行った。
本発明の印刷版材料は裏面においても良好な性能を示した。
Claims (4)
- 印刷機上または印刷機と別体の露光装置を用いて像様露光を行った後に、印刷機上で現像して印刷を行う金属を基材とする印刷版材料において、基材両面の最表面が同一の組成で構成されることを特徴とする印刷版材料。
- 印刷機上または印刷機と別体の露光装置を用いて像様露光を行った後に、印刷機上で現像して印刷を行う金属を基材とする印刷版材料において、基材の両面に同一の構成層を形成することを特徴とする印刷版材料。
- 基材の主要素材がアルミニウムであることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷版材料。
- 請求項2に記載の印刷版材料を用いて、片面に像様露光、現像後、印刷工程を経た後、同一材料の裏面に像様露光、現像後、第2の印刷工程を行うことを特徴とする印刷方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003294126A JP2005059459A (ja) | 2003-08-18 | 2003-08-18 | 印刷版材料及びその印刷方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003294126A JP2005059459A (ja) | 2003-08-18 | 2003-08-18 | 印刷版材料及びその印刷方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011073212A (ja) * | 2009-09-29 | 2011-04-14 | Fujifilm Corp | 新聞印刷用平版印刷版原版及び製版方法 |
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2003
- 2003-08-18 JP JP2003294126A patent/JP2005059459A/ja active Pending
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