JP2005058804A - 超音波振動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】超音波を液面近傍に収束することにより、エネルギー効率よく液面に噴流やキャピラリー波を発生することができるようにして、液面に噴流やキャピラリー波を発生する際に必要な超音波のエネルギーを低減するようにして省エネルギー化を図る。
【解決手段】液体を充填した槽と、上記槽の底部側に配置された超音波振動子と、上記槽内において上記液体の液面近傍に配置されるとともに、一方の開口部が上記液面側に開口し、かつ、他方の開口部が上記超音波振動子側に開口するようにして配置された筒状部材とを有し、上記超音波振動子の超音波振動に伴い上記液体中を伝播する超音波を上記筒状部材の内周面で反射して、上記液面近傍に上記超音波を収束するようにした。
【選択図】 図2
【解決手段】液体を充填した槽と、上記槽の底部側に配置された超音波振動子と、上記槽内において上記液体の液面近傍に配置されるとともに、一方の開口部が上記液面側に開口し、かつ、他方の開口部が上記超音波振動子側に開口するようにして配置された筒状部材とを有し、上記超音波振動子の超音波振動に伴い上記液体中を伝播する超音波を上記筒状部材の内周面で反射して、上記液面近傍に上記超音波を収束するようにした。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波振動装置に関し、さらに詳細には、洗浄装置における洗浄液の搬送などのように液体を搬送する際などに用いて好適な超音波振動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、液体に超音波振動を与えることにより、液体を霧化したり搬送したりするようにした超音波振動装置が知られている。
【0003】
即ち、超音波振動装置に配設された超音波振動子を用いて液体中に超音波を照射すると、液体中を超音波が伝播することの作用により液体が液面から噴出して噴流が形成されることになるが、こうした噴流を用いて液体を搬送したり、また、噴流を霧化して室内の湿度調整に用いたりすることが行われている。なお、上記した超音波振動装置を用いた液体の搬送は、例えば、洗浄装置における洗浄液の搬送などに用いられている。
【0004】
【特許文献】
特開2000−49130号公報
図1には、こうした従来の超音波振動装置の概略構成断面説明図が示されており、超音波振動装置100は、上面および下面が開口するとともに外部から液体102を導入するための供給口104aを備えていて外部から液体102を適宜に供給可能な槽104と、槽104の底部側にパッキン106を介して水密状態で配置された超音波振動子ユニット108と、超音波振動子ユニット108を構成する超音波振動子108a(後述する。)を超音波振動させる超音波発振器110とを有して構成されている。
【0005】
ここで、超音波振動子ユニット108は、超音波発振器110により超音波振動される超音波振動子108aと、超音波振動子108aの超音波振動を液体102中に超音波として音響伝送して伝播するための振動板108bとより構成されている。
【0006】
以上の構成において、超音波発振器110により超音波振動子108aが超音波振動されると、振動板108bを介して液体102に超音波が放射されて、液体102中を超音波が伝播する。
【0007】
こうした液体102への超音波の伝播により液体102に直進流が生じて、液面102aの上方に噴水状に立ち上がり形成される噴流102bが生じ、この噴流102bにキャピラリー波102cが立つ。このキャピラリー波102cからは、霧化した液体102の粒子が気体中に放出される。
【0008】
なお、振動板108bは、超音波振動子108aの超音波振動によって生ずる超音波を液体102に効率良く伝播するために設けたものであり、超音波振動子108aとは別途に振動板108bを設けなくてもよいことは勿論である。
【0009】
ところで、上記したような従来の超音波振動装置においては、エネルギー効率よく液面に噴流やキャピラリー波を発生するためには、液面近傍に超音波を収束させる必要があることが知られている。なお、液面近傍における超音波を収束させるのに好ましい位置は、超音波の周波数に応じて異なることも知られている。
【0010】
しかしながら、上記したような従来の超音波振動装置においては、超音波振動子から放射される超音波が収束性を備えていないので、液面に噴流やキャピラリー波を発生するためには多大なエネルギーを有した超音波を発生する必要があるという問題点があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記したような従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、超音波を液面近傍に収束することにより、エネルギー効率よく液面に噴流やキャピラリー波を発生することができるようにして、液面に噴流やキャピラリー波を発生する際に必要な超音波のエネルギーを低減するようにして省エネルギー化を図った超音波振動装置を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による超音波振動装置は、筒状部材を一方が液面側に開口するとともに他方が超音波振動子側に開口するようにして液面近傍に配置し、超音波振動子から液体中に放射されて液体中を伝播する超音波を筒状部材の内周面で反射して、超音波を液面近傍に収束するようにしたものである。
【0013】
従って、本発明による超音波振動装置によれば、筒状部材により超音波を反射して液面近傍に超音波を収束することができるので、エネルギー効率よく液面に噴流やキャピラリー波を発生することができるようになり、液面に噴流やキャピラリー波を発生する際に必要な超音波のエネルギーを低減することが可能になって省エネルギー化を図ることができる。
【0014】
図2には、こうした本発明による超音波振動装置の原理を示す概略構成断面説明図が示されている。
【0015】
なお、本明細書における説明ならびに添付の図面において、それぞれ同一あるいは相当する構成や内容については、それぞれ同一の符号を用いて示すことにより、その構成ならびに作用に関する重複する説明は省略する。
【0016】
即ち、本発明による超音波振動装置10は、液面102aの近傍に配置された筒状部材12を有しており、この筒状部材12は、その一方の端部12a側の開口部12bを液面102a側に向けるようにして配置し、その他方の端部12c側の開口部12dを超音波振動子108a側に向けるようにして配置している。
【0017】
また、筒状部材12は、液面102a側に開口する端部12a側と超音波振動子108a側に開口する端部12c側とが同径とされて筒状部材12の中心軸線方向に沿って全体が同径に形成された円筒形状を備えている。
【0018】
従って、超音波振動装置10によれば、超音波振動子108aから振動板108bを介して液体102中に放射されて液体102中を伝播する超音波により直進流が生じるとともに、液体102中を伝播する超音波は筒状部材12の内周面12eにより反射され、液面102aの近傍の収束点Aで収束する。
【0019】
超音波が液面102aの近傍における収束点Aで収束することにより、エネルギー効率よく液面102aに噴流102bやキャピラリー波102cを発生することができるようになり、液面102に噴流102bやキャピラリー波102cを発生する際に必要な超音波のエネルギーを低減することが可能になるので、省エネルギー化を図ることができるようになる。
【0020】
ここで、筒状部材12の内径r1は、液面から噴出する噴流102bの径r2よりも大きいことが好ましく、例えば、内径r1は径r2の3倍程度であることが好ましい。
【0021】
また、筒状部材12の内径r1は、超音波振動子108aの径r3よりも小さいことが好ましい。
【0022】
なお、筒状部材12の形状としては、上記したように、液面102a側に開口する端部12a側と超音波振動子108a側に開口する端部12c側とが同径とされて筒状部材12の中心軸線方向に沿って全体が同径に形成された円筒形状、液面側に開口する端部側の方が超音波振動子側に開口する端部側よりも小径とされて筒状部材の中心軸線方向に沿って徐々に径が変化するように形成された円筒形状、液面側に開口する端部側の中心軸線方向と直交する方向の断面形状と超音波振動子側に開口する端部側の中心軸線方向と直交する方向の断面形状とが同一形状かつ同一の大きさに形成されて筒状部材の中心軸線方向に沿って中心軸線方向と直交する方向の断面形状が同一形状かつ同一の大きさに形成された角筒形状、液面側に開口する端部側の中心軸線方向と直交する方向の断面形状と超音波振動子側に開口する端部側の中心軸線方向と直交する方向の断面形状とが同一形状かつ異なる大きさに形成されて筒状部材の中心軸線方向に沿って中心軸線方向と直交する方向の断面形状が徐々に変化するように形成された角筒形状など、適宜の形状を選択することができる。
【0023】
即ち、本発明のうちの請求項1に記載の発明は、液体を充填した槽と、上記槽の底部側に配置された超音波振動子と、上記槽内において上記液体の液面近傍に配置されるとともに、一方の開口部が上記液面側に開口し、かつ、他方の開口部が上記超音波振動子側に開口するようにして配置された筒状部材とを有し、上記超音波振動子の超音波振動に伴い上記液体中を伝播する超音波を上記筒状部材の内周面で反射して、上記液面近傍に上記超音波を収束するようにしたものである。
【0024】
ここで、超音波振動子からは、振動が放射状に球面波として伝達される。円形振動運動の速度分布は円錐状となり、その超音波は反射体がある場合には直角に曲がる性質と作用がある。従って、反射体として筒状部材を配置すると、入射された超音波は筒状部材の内周面で反射されて直角に曲がる。その収束点となる焦点位置を水面近くにすると、超音波は合成されて収束される性質と作用がある。このような性質や作用を利用すると、収束点においてエネルギーが合成されてエネルギー密度が向上し、音圧が増加することにより強力な加速度力が得られて効率よく噴流を発生することができ、噴流による洗浄やポンピング能力が向上する。また、エネルギー密度が増加することは、指向性が鋭くなったことを意味するものであり、反射を効率よく行うためには、超音波を透過させず、音響インピーダンスを低下させ反射率を上げることが重要である。超音波を収束させるためには、超音波の音線位置に筒状部材を配置すればよい。
【0025】
また、本発明のうちの請求項2に記載の発明は、本発明のうちの請求項1に記載の発明において、上記筒状部材が、上記液面側の方向あるいは上記超音波振動子側の方向に任意に移動自在とされたものである。
【0026】
即ち、反射体たる筒状部材を用いて超音波を反射させるためには、超音波を直角に曲げる必要があることと、収束点でエネルギー密度を増加させるためには、確実に反射させて収束させることが必要なため、反射体たる筒状部材の移動を行うことにより最良点に調整することが好ましい。つまり、反射体たる筒状部材の移動を行うことにより、効率よく超音波を入射して反射させ液面付近に収束させるように調整して、エネルギー密度をより効率よく高めることができる。このため、収束によって超音波はエネルギー密度が増加した分強力となり、音圧は増加して粒子速度も向上し、噴流による洗浄やポンピング効果も増加する。
【0027】
また、本発明のうちの請求項3に記載の発明は、本発明のうちの請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の発明において、上記筒状部材の上記液面側の開口部の開口径を、上記液面から噴出する噴流の径よりも大であるようにしたものである。
【0028】
即ち、超音波の入射と反射作用から、超音波の収束の焦点は焦点直径や幅があり、この焦点直径や幅より開口部は大きくないと、超音波は反射され出力されないためにエネルギー密度は低下することになるから反射され損失がない大きさの開口部が好ましい。
【0029】
例えば、筒状部材の液面側の開口部の開口径が、音響焦点径の約3倍程度であれば、噴流は筒状部材に妨げられることなく噴出する。噴流を大きくするためには、超音波振動子から音響エネルギーを大きく取り込むために、筒状部材の超音波振動子側の開口部の開口径を大きくし、筒状部材の液面側の開口部の開口径を小さくした円錐構造が好ましい。エネルギーをより多く取り込めば、収束エネルギーは大きくなる。
【0030】
また、本発明のうちの請求項4に記載の発明は、本発明のうちの請求項1、請求項2、請求項3または請求項4のいずれか1項に記載の発明において、上記筒状部材を、上記液面側の開口部の開口径と上記超音波振動子側の開口部の開口径とが同径である円筒形状または角筒形状を備えたものであるようにしたものである。
【0031】
ここで、円筒形状は入射した超音波を全周方向に同位相で反射させることが可能であるが、断面が四角形状の角筒形状は対向する2面のみの反射となる。このため、エネルギー密度が、全周方向に反射する円筒形状と2面のみ反射する断面が四角形状の角筒形状とは異なり、断面が四角形状の角筒形状の収束度は円筒形状の収束度よりも弱くなる。
【0032】
また、円筒形状の筒状部材においては、全周方向から入射と反射が行われ、液面近くに円形の焦点を結び、超音波振動子から振動エネルギーを収束することができる。一方、断面が四角形状の角筒形状の筒状部材においては、全周方向に均一に入射や反射が行われず、対向する2面のみの入射と反射により、液面近くに四角形の焦点を結び、超音波振動子から振動エネルギーを収束することができる。従って、例えば、被洗浄物に対して洗浄液の噴流をポイントで噴射する場合などには円筒形状の筒状部材が好ましく、被洗浄物に対して洗浄液の噴流を四角形状に噴射する場合などには断面が四角形状の角筒形状の筒状部材が好ましい。
【0033】
また、本発明のうちの請求項5に記載の発明は、本発明のうちの請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5のいずれか1項に記載の発明において、上記筒状部材を、上記液面側の開口部の開口径よりも上記超音波振動子側の開口部の開口径が大径である円筒形状または角筒形状を備えたものであるようにしたものである。
【0034】
ここで、筒状部材の液面側の開口部の開口径よりも超音波振動子側の開口部の開口径の方が大きい場合には、超音波は直角に曲がる性質から、開口が大きいほど超音波振動子からの振動エネルギーを多く取り込んで入射して、反射点を合わせると収束することができる。このように、エネルギーを大きく取り込み収束した場合には、エネルギー密度が増加してその分強力な音圧が得られる。逆に、筒状部材の液面側の開口部の開口径よりも超音波振動子側の開口部の開口径の方が小さい場合には、振動エネルギーを小さく取り込むと同時に目的としない方向に反射させてしまうため好ましくない。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面に基づいて、本発明による超音波振動装置の実施の形態の一例について詳細に説明するものとする。
【0036】
図3には、本発明による超音波振動装置の第1の実施の形態を表す概略構成一部断面説明図が示されている。
【0037】
この超音波振動装置20は、下面が開口するとともに外部から液体102を導入するための供給口22aを備えていて外部から液体102を適宜に供給可能に形成されかつ上面に噴流102bを外部へ噴射するための開口部22bを形成された蓋部22cを備えた槽22と、槽22の底部にパッキン106を介して水密状態で配置された超音波振動子ユニット108と、超音波振動子ユニット108を構成する超音波振動子108aを超音波振動させる超音波発振器110と、液面102aの近傍に配置された筒状部材24と、槽22の開口部22bから外部に噴出された噴流102bを受けるための噴流受け容器26とを有して構成されている。
【0038】
ここで、噴流受け容器26の底部には開口部26aが形成されており、また、開口部26aにはパイプ28が配設されていて、噴流受け容器26で受けられた噴流102bの液体102は、開口部26aからパイプ28を介して外部に搬送するようになされている。
【0039】
また、筒状部材24は、外部のモーターなどの駆動源50によって、液体102の液面102a側の方向あるいは超音波振動子ユニット108側の方向に任意に移動自在とされている。
【0040】
図4には、筒状部材24の概略構成斜視図が示されている。この筒状部材24は、液面102a側に開口する端部24a側の開口部24bと超音波振動子108a側に開口する端部24c側の開口部24dとが同径とされて、筒状部材24の中心軸線O−O方向に沿って全体が同径に形成された円筒形状を備えている。
【0041】
そして、この筒状部材24は、上記したように、端部24a側の開口部24bを液面102a側に向けて配置し、端部24c側の開口部24dを超音波振動子108aに向けて配置している。
【0042】
以上の構成において、超音波振動装置20によれば、超音波振動子108aから振動板108bを介して液体102中に放射されて液体102中を伝播する超音波により直進流が生じるとともに、液体102中を伝播する超音波は筒状部材24の内周面24eにより反射され、液面102aの近傍の収束点Aで収束する。
【0043】
このように、超音波が液面102aの近傍における収束点Aで収束することにより、エネルギー効率よく液面102aから槽22の開口部22bを通って外部へ噴出する噴流102bやキャピラリー波102cを発生することができるようになり、液面102aに噴流102bやキャピラリー波102cを発生する際に必要な超音波のエネルギーを低減することが可能になるので、省エネルギー化を図ることができるようになる。
【0044】
そして、槽22の外部へ噴出した噴流102bは、噴流受け容器26により受けられて、開口部26aからパイプ28を介して外部に搬送される。
【0045】
また、駆動源50により筒状部材24を液体102の液面102a側の方向あるいは超音波振動子ユニット108側の方向に適宜に移動することにより、効率よく超音波を入射して反射させ液面付近に収束させるように調整して、エネルギー密度をより効率よく高めることができる。このため、収束によって超音波はエネルギー密度が増加した分強力となり、音圧は増加して粒子速度も向上し、噴流102bによる洗浄やポンピング効果も増加する。
【0046】
次に、図5を参照しながら、本発明による超音波振動装置の第2の実施の形態について説明する。
【0047】
即ち、図5には、本発明による超音波振動装置の第2の実施の形態を表す概略構成一部断面説明図が示されている。この本発明による超音波振動装置の第2の実施の形態は、槽が2層構造となっていて、使用する液体が、超音波を伝達する目的でのみ使用される伝達液と超音波を伝達して噴流を発生する目的で使用される処理液とに分離されている点において、本発明による超音波振動装置の第1の実施の形態と異なる。
【0048】
この超音波振動装置30は、上面および下面が開口するとともに外部から伝達液としての液体102’を導入するための供給口32aを備えていて外部から液体102’を適宜に供給可能に形成された第1槽32と、底面が開口するとともに外部から処理液としての液体102’’を導入するための供給パイプ34(後述する。)を貫通させる貫通孔36aを備えていてかつ上面に噴流102bを外部へ噴射するための開口部36bを形成された蓋部36cを備えた第2槽36と、第1槽32と第2槽36との間にパッキン38、40を介して水密状態で配置された輻射膜42と、第1槽32の底部にパッキン106を介して水密状態で配置された超音波振動子ユニット108と、超音波振動子ユニット108を構成する超音波振動子108aを超音波振動させる超音波発振器110と、第2槽36内において液面102aの近傍に配置されるととともに供給パイプ34を貫通させる貫通孔44fを形成された筒状部材44と、第2槽36内に外部から液体102’’を導入するための供給パイプ34と、第2槽36の開口部36bから外部に噴出された噴流102bを受けるための噴流受け容器26とを有して構成されている。
【0049】
図6には、筒状部材44の概略構成斜視図が示されている。この筒状部材44は、液面102a側に開口する端部44a側の開口部44bと超音波振動子108a側に開口する端部44c側の開口部44dとが同径とされて、筒状部材44の中心軸線O−O方向に沿って全体が同径に形成された円筒形状を備えており、さらに、周壁部に供給パイプ34を貫通させる貫通孔44fが形成されている。
【0050】
そして、この筒状部材44は、上記したように、端部44a側の開口部44bを液面102a側に向けて配置し、端部44c側の開口部44dを超音波振動子108aに向けて配置している。
【0051】
なお、第1槽32には液体102’が満水状態で供給されており、液体102’と輻射膜42とが当接している。
【0052】
以上の構成において、超音波振動装置30によれば、超音波振動子108aから振動板108bを介して液体102’中に放射されて液体102’中を伝播する超音波により直進流が生じるとともに、液体102’中を伝播する超音波は輻射膜42を介して液体102’’に伝播する。
【0053】
そして、液体102’’中を伝播する超音波は、筒状部材44の内周面44eにより反射され、液面102aの近傍の収束点Aで収束する。
【0054】
このように、超音波が液面102aの近傍における収束点Aで収束することにより、エネルギー効率よく液面102aから槽36の開口部36bを通って外部へ噴出する噴流102bやキャピラリー波102cを発生することができるようになり、液面102aに噴流102bやキャピラリー波102cを発生する際に必要な超音波のエネルギーを低減することが可能になるので、省エネルギー化を図ることができるようになる。
【0055】
そして、槽36の外部へ噴出した噴流102bは、噴流受け容器26により受けられて、開口部26aからパイプ28を介して外部に搬送される。
【0056】
ここで、本願発明者による実験結果について説明するが、この実験においては、図3に示す実施の形態の装置構成を用いた。
【0057】
具体的には、直径30mmの円形の超音波振動子108aを備えた超音波振動ユニット108を用い、槽22には水を充填した。超音波振動ユニット108からの直進流が発生していることを確認して(音響や音場で確認した。)、直径が10mmの円筒状の筒状部材24を駆動源50により上下して液面102aから噴出する噴流102bが最大になるように調整した。直進流が発生する電力密度は約2W/cm2であり、超音波発振器110からの出力を調整して確認した。このときの噴流102bの径は約3mm程度であり、高さは約200mm程度に達した。
【0058】
なお、筒状部材24の軸方向の中心位置と超音波振動ユニット108との間の距離Lは、超音波振動子108aの直径に相当する長さとした。従って、この実験装置においては、円筒状の筒状部材24の直径が10mmであり、超音波振動ユニット108の超音波振動子108aの直径が30mmであり、筒状部材24の軸方向の中心位置と超音波振動ユニット108との間の距離Lが30mmである。また、噴流102bの位置は、筒状部材24の軸方向に中心位置からさらに30mm程度の上に位置する液面102aであった。
【0059】
なお、筒状部材24の材質や直径により超音波の収束点は異なり、噴流102bの高さは超音波発振器110の出力を調整することにより変化することができる。
【0060】
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(3)に説明するように適宜に変形してもよい。
【0061】
(1)上記した実施の形態においては、筒状部材24、44として、液面102a側に開口する端部側と超音波振動子108a側に開口する端部側とが同径とされて筒状部材の中心軸線方向O−Oに沿って全体が同径に形成された円筒形状部材を用いたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0062】
筒状部材の形状としては、例えば、液面側に開口する端部側の方が超音波振動子側に開口する端部側よりも小径とされて筒状部材の中心軸線方向に沿って徐々に径が変化するように形成された円筒形状(図7(a)参照)、液面側に開口する端部側の中心軸線方向と直交する方向の断面形状と超音波振動子側に開口する端部側の中心軸線方向と直交する方向の断面形状とが同一形状かつ同一の大きさに形成されて筒状部材の中心軸線方向に沿って中心軸線方向と直交する方向の断面形状が同一形状かつ同一の大きさに形成された角筒形状(図7(b)参照)、液面側に開口する端部側の中心軸線方向と直交する方向の断面形状と超音波振動子側に開口する端部側の中心軸線方向と直交する方向の断面形状とが同一形状かつ異なる大きさに形成されて筒状部材の中心軸線方向に沿って中心軸線方向と直交する方向の断面形状が徐々に変化するように形成された角筒形状(図7(c)参照)など、適宜の形状の筒状部材を用いることができる。
【0063】
(2)上記した実施の形態においては、層が単層構造の場合(第1の実施の形態:超音波振動装置20)ならびに層が2層構造の場合(第2の実施の形態:超音波振動装置30)について示した、層が3層以上の構造を備えていてもよいことは勿論である。
【0064】
(3)上記した実施の形態ならびに上記(1)乃至(2)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【0065】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、超音波を液面近傍に収束することができるようになり、エネルギー効率よく液面に噴流やキャピラリー波を発生することが可能となるので、液面に噴流やキャピラリー波を発生する際に必要な超音波のエネルギーを低減して省エネルギー化を図ることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の超音波振動装置の概略構成断面説明図である。
【図2】本発明による超音波振動装置の原理を示す概略構成断面説明図である。
【図3】本発明による超音波振動装置の第1の実施の形態を表す概略構成一部断面説明図である。
【図4】筒状部材の概略構成斜視図である。
【図5】本発明による超音波振動装置の第2の実施の形態を表す概略構成一部断面説明図である。
【図6】筒状部材の概略構成斜視図である。
【図7】(a)、(b)ならびに(c)は、筒状部材の他の実施の形態を示す概略構成斜視図である。
【符号の説明】
10、20、30、100 超音波振動装置
12、24、44 筒状部材
12a、12c、24a、24c、44a、44c 端部
12b、12d、24b、24d、44b、44d 開口部
12e、24e、44e 内周面
22 槽
22a 供給口
22b 開口部
22c 蓋部
26 噴流受け容器
26a 開口部
28 パイプ
32 第1槽
32a 供給口
34 供給パイプ
36 第2槽
36a 貫通孔
36b 開口部
36c 蓋部
38、40 パッキン
42 輻射膜
44f 貫通孔
50 駆動源
102、102’、102’’ 液体
102a 液面
102b 噴流
102c キャピラリー波
104 槽
104a 供給口
106 パッキン106
108 超音波振動子ユニット
108a 超音波振動子
108b 振動板
110 超音波発振器
A 収束点
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波振動装置に関し、さらに詳細には、洗浄装置における洗浄液の搬送などのように液体を搬送する際などに用いて好適な超音波振動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、液体に超音波振動を与えることにより、液体を霧化したり搬送したりするようにした超音波振動装置が知られている。
【0003】
即ち、超音波振動装置に配設された超音波振動子を用いて液体中に超音波を照射すると、液体中を超音波が伝播することの作用により液体が液面から噴出して噴流が形成されることになるが、こうした噴流を用いて液体を搬送したり、また、噴流を霧化して室内の湿度調整に用いたりすることが行われている。なお、上記した超音波振動装置を用いた液体の搬送は、例えば、洗浄装置における洗浄液の搬送などに用いられている。
【0004】
【特許文献】
特開2000−49130号公報
図1には、こうした従来の超音波振動装置の概略構成断面説明図が示されており、超音波振動装置100は、上面および下面が開口するとともに外部から液体102を導入するための供給口104aを備えていて外部から液体102を適宜に供給可能な槽104と、槽104の底部側にパッキン106を介して水密状態で配置された超音波振動子ユニット108と、超音波振動子ユニット108を構成する超音波振動子108a(後述する。)を超音波振動させる超音波発振器110とを有して構成されている。
【0005】
ここで、超音波振動子ユニット108は、超音波発振器110により超音波振動される超音波振動子108aと、超音波振動子108aの超音波振動を液体102中に超音波として音響伝送して伝播するための振動板108bとより構成されている。
【0006】
以上の構成において、超音波発振器110により超音波振動子108aが超音波振動されると、振動板108bを介して液体102に超音波が放射されて、液体102中を超音波が伝播する。
【0007】
こうした液体102への超音波の伝播により液体102に直進流が生じて、液面102aの上方に噴水状に立ち上がり形成される噴流102bが生じ、この噴流102bにキャピラリー波102cが立つ。このキャピラリー波102cからは、霧化した液体102の粒子が気体中に放出される。
【0008】
なお、振動板108bは、超音波振動子108aの超音波振動によって生ずる超音波を液体102に効率良く伝播するために設けたものであり、超音波振動子108aとは別途に振動板108bを設けなくてもよいことは勿論である。
【0009】
ところで、上記したような従来の超音波振動装置においては、エネルギー効率よく液面に噴流やキャピラリー波を発生するためには、液面近傍に超音波を収束させる必要があることが知られている。なお、液面近傍における超音波を収束させるのに好ましい位置は、超音波の周波数に応じて異なることも知られている。
【0010】
しかしながら、上記したような従来の超音波振動装置においては、超音波振動子から放射される超音波が収束性を備えていないので、液面に噴流やキャピラリー波を発生するためには多大なエネルギーを有した超音波を発生する必要があるという問題点があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記したような従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、超音波を液面近傍に収束することにより、エネルギー効率よく液面に噴流やキャピラリー波を発生することができるようにして、液面に噴流やキャピラリー波を発生する際に必要な超音波のエネルギーを低減するようにして省エネルギー化を図った超音波振動装置を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による超音波振動装置は、筒状部材を一方が液面側に開口するとともに他方が超音波振動子側に開口するようにして液面近傍に配置し、超音波振動子から液体中に放射されて液体中を伝播する超音波を筒状部材の内周面で反射して、超音波を液面近傍に収束するようにしたものである。
【0013】
従って、本発明による超音波振動装置によれば、筒状部材により超音波を反射して液面近傍に超音波を収束することができるので、エネルギー効率よく液面に噴流やキャピラリー波を発生することができるようになり、液面に噴流やキャピラリー波を発生する際に必要な超音波のエネルギーを低減することが可能になって省エネルギー化を図ることができる。
【0014】
図2には、こうした本発明による超音波振動装置の原理を示す概略構成断面説明図が示されている。
【0015】
なお、本明細書における説明ならびに添付の図面において、それぞれ同一あるいは相当する構成や内容については、それぞれ同一の符号を用いて示すことにより、その構成ならびに作用に関する重複する説明は省略する。
【0016】
即ち、本発明による超音波振動装置10は、液面102aの近傍に配置された筒状部材12を有しており、この筒状部材12は、その一方の端部12a側の開口部12bを液面102a側に向けるようにして配置し、その他方の端部12c側の開口部12dを超音波振動子108a側に向けるようにして配置している。
【0017】
また、筒状部材12は、液面102a側に開口する端部12a側と超音波振動子108a側に開口する端部12c側とが同径とされて筒状部材12の中心軸線方向に沿って全体が同径に形成された円筒形状を備えている。
【0018】
従って、超音波振動装置10によれば、超音波振動子108aから振動板108bを介して液体102中に放射されて液体102中を伝播する超音波により直進流が生じるとともに、液体102中を伝播する超音波は筒状部材12の内周面12eにより反射され、液面102aの近傍の収束点Aで収束する。
【0019】
超音波が液面102aの近傍における収束点Aで収束することにより、エネルギー効率よく液面102aに噴流102bやキャピラリー波102cを発生することができるようになり、液面102に噴流102bやキャピラリー波102cを発生する際に必要な超音波のエネルギーを低減することが可能になるので、省エネルギー化を図ることができるようになる。
【0020】
ここで、筒状部材12の内径r1は、液面から噴出する噴流102bの径r2よりも大きいことが好ましく、例えば、内径r1は径r2の3倍程度であることが好ましい。
【0021】
また、筒状部材12の内径r1は、超音波振動子108aの径r3よりも小さいことが好ましい。
【0022】
なお、筒状部材12の形状としては、上記したように、液面102a側に開口する端部12a側と超音波振動子108a側に開口する端部12c側とが同径とされて筒状部材12の中心軸線方向に沿って全体が同径に形成された円筒形状、液面側に開口する端部側の方が超音波振動子側に開口する端部側よりも小径とされて筒状部材の中心軸線方向に沿って徐々に径が変化するように形成された円筒形状、液面側に開口する端部側の中心軸線方向と直交する方向の断面形状と超音波振動子側に開口する端部側の中心軸線方向と直交する方向の断面形状とが同一形状かつ同一の大きさに形成されて筒状部材の中心軸線方向に沿って中心軸線方向と直交する方向の断面形状が同一形状かつ同一の大きさに形成された角筒形状、液面側に開口する端部側の中心軸線方向と直交する方向の断面形状と超音波振動子側に開口する端部側の中心軸線方向と直交する方向の断面形状とが同一形状かつ異なる大きさに形成されて筒状部材の中心軸線方向に沿って中心軸線方向と直交する方向の断面形状が徐々に変化するように形成された角筒形状など、適宜の形状を選択することができる。
【0023】
即ち、本発明のうちの請求項1に記載の発明は、液体を充填した槽と、上記槽の底部側に配置された超音波振動子と、上記槽内において上記液体の液面近傍に配置されるとともに、一方の開口部が上記液面側に開口し、かつ、他方の開口部が上記超音波振動子側に開口するようにして配置された筒状部材とを有し、上記超音波振動子の超音波振動に伴い上記液体中を伝播する超音波を上記筒状部材の内周面で反射して、上記液面近傍に上記超音波を収束するようにしたものである。
【0024】
ここで、超音波振動子からは、振動が放射状に球面波として伝達される。円形振動運動の速度分布は円錐状となり、その超音波は反射体がある場合には直角に曲がる性質と作用がある。従って、反射体として筒状部材を配置すると、入射された超音波は筒状部材の内周面で反射されて直角に曲がる。その収束点となる焦点位置を水面近くにすると、超音波は合成されて収束される性質と作用がある。このような性質や作用を利用すると、収束点においてエネルギーが合成されてエネルギー密度が向上し、音圧が増加することにより強力な加速度力が得られて効率よく噴流を発生することができ、噴流による洗浄やポンピング能力が向上する。また、エネルギー密度が増加することは、指向性が鋭くなったことを意味するものであり、反射を効率よく行うためには、超音波を透過させず、音響インピーダンスを低下させ反射率を上げることが重要である。超音波を収束させるためには、超音波の音線位置に筒状部材を配置すればよい。
【0025】
また、本発明のうちの請求項2に記載の発明は、本発明のうちの請求項1に記載の発明において、上記筒状部材が、上記液面側の方向あるいは上記超音波振動子側の方向に任意に移動自在とされたものである。
【0026】
即ち、反射体たる筒状部材を用いて超音波を反射させるためには、超音波を直角に曲げる必要があることと、収束点でエネルギー密度を増加させるためには、確実に反射させて収束させることが必要なため、反射体たる筒状部材の移動を行うことにより最良点に調整することが好ましい。つまり、反射体たる筒状部材の移動を行うことにより、効率よく超音波を入射して反射させ液面付近に収束させるように調整して、エネルギー密度をより効率よく高めることができる。このため、収束によって超音波はエネルギー密度が増加した分強力となり、音圧は増加して粒子速度も向上し、噴流による洗浄やポンピング効果も増加する。
【0027】
また、本発明のうちの請求項3に記載の発明は、本発明のうちの請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の発明において、上記筒状部材の上記液面側の開口部の開口径を、上記液面から噴出する噴流の径よりも大であるようにしたものである。
【0028】
即ち、超音波の入射と反射作用から、超音波の収束の焦点は焦点直径や幅があり、この焦点直径や幅より開口部は大きくないと、超音波は反射され出力されないためにエネルギー密度は低下することになるから反射され損失がない大きさの開口部が好ましい。
【0029】
例えば、筒状部材の液面側の開口部の開口径が、音響焦点径の約3倍程度であれば、噴流は筒状部材に妨げられることなく噴出する。噴流を大きくするためには、超音波振動子から音響エネルギーを大きく取り込むために、筒状部材の超音波振動子側の開口部の開口径を大きくし、筒状部材の液面側の開口部の開口径を小さくした円錐構造が好ましい。エネルギーをより多く取り込めば、収束エネルギーは大きくなる。
【0030】
また、本発明のうちの請求項4に記載の発明は、本発明のうちの請求項1、請求項2、請求項3または請求項4のいずれか1項に記載の発明において、上記筒状部材を、上記液面側の開口部の開口径と上記超音波振動子側の開口部の開口径とが同径である円筒形状または角筒形状を備えたものであるようにしたものである。
【0031】
ここで、円筒形状は入射した超音波を全周方向に同位相で反射させることが可能であるが、断面が四角形状の角筒形状は対向する2面のみの反射となる。このため、エネルギー密度が、全周方向に反射する円筒形状と2面のみ反射する断面が四角形状の角筒形状とは異なり、断面が四角形状の角筒形状の収束度は円筒形状の収束度よりも弱くなる。
【0032】
また、円筒形状の筒状部材においては、全周方向から入射と反射が行われ、液面近くに円形の焦点を結び、超音波振動子から振動エネルギーを収束することができる。一方、断面が四角形状の角筒形状の筒状部材においては、全周方向に均一に入射や反射が行われず、対向する2面のみの入射と反射により、液面近くに四角形の焦点を結び、超音波振動子から振動エネルギーを収束することができる。従って、例えば、被洗浄物に対して洗浄液の噴流をポイントで噴射する場合などには円筒形状の筒状部材が好ましく、被洗浄物に対して洗浄液の噴流を四角形状に噴射する場合などには断面が四角形状の角筒形状の筒状部材が好ましい。
【0033】
また、本発明のうちの請求項5に記載の発明は、本発明のうちの請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5のいずれか1項に記載の発明において、上記筒状部材を、上記液面側の開口部の開口径よりも上記超音波振動子側の開口部の開口径が大径である円筒形状または角筒形状を備えたものであるようにしたものである。
【0034】
ここで、筒状部材の液面側の開口部の開口径よりも超音波振動子側の開口部の開口径の方が大きい場合には、超音波は直角に曲がる性質から、開口が大きいほど超音波振動子からの振動エネルギーを多く取り込んで入射して、反射点を合わせると収束することができる。このように、エネルギーを大きく取り込み収束した場合には、エネルギー密度が増加してその分強力な音圧が得られる。逆に、筒状部材の液面側の開口部の開口径よりも超音波振動子側の開口部の開口径の方が小さい場合には、振動エネルギーを小さく取り込むと同時に目的としない方向に反射させてしまうため好ましくない。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面に基づいて、本発明による超音波振動装置の実施の形態の一例について詳細に説明するものとする。
【0036】
図3には、本発明による超音波振動装置の第1の実施の形態を表す概略構成一部断面説明図が示されている。
【0037】
この超音波振動装置20は、下面が開口するとともに外部から液体102を導入するための供給口22aを備えていて外部から液体102を適宜に供給可能に形成されかつ上面に噴流102bを外部へ噴射するための開口部22bを形成された蓋部22cを備えた槽22と、槽22の底部にパッキン106を介して水密状態で配置された超音波振動子ユニット108と、超音波振動子ユニット108を構成する超音波振動子108aを超音波振動させる超音波発振器110と、液面102aの近傍に配置された筒状部材24と、槽22の開口部22bから外部に噴出された噴流102bを受けるための噴流受け容器26とを有して構成されている。
【0038】
ここで、噴流受け容器26の底部には開口部26aが形成されており、また、開口部26aにはパイプ28が配設されていて、噴流受け容器26で受けられた噴流102bの液体102は、開口部26aからパイプ28を介して外部に搬送するようになされている。
【0039】
また、筒状部材24は、外部のモーターなどの駆動源50によって、液体102の液面102a側の方向あるいは超音波振動子ユニット108側の方向に任意に移動自在とされている。
【0040】
図4には、筒状部材24の概略構成斜視図が示されている。この筒状部材24は、液面102a側に開口する端部24a側の開口部24bと超音波振動子108a側に開口する端部24c側の開口部24dとが同径とされて、筒状部材24の中心軸線O−O方向に沿って全体が同径に形成された円筒形状を備えている。
【0041】
そして、この筒状部材24は、上記したように、端部24a側の開口部24bを液面102a側に向けて配置し、端部24c側の開口部24dを超音波振動子108aに向けて配置している。
【0042】
以上の構成において、超音波振動装置20によれば、超音波振動子108aから振動板108bを介して液体102中に放射されて液体102中を伝播する超音波により直進流が生じるとともに、液体102中を伝播する超音波は筒状部材24の内周面24eにより反射され、液面102aの近傍の収束点Aで収束する。
【0043】
このように、超音波が液面102aの近傍における収束点Aで収束することにより、エネルギー効率よく液面102aから槽22の開口部22bを通って外部へ噴出する噴流102bやキャピラリー波102cを発生することができるようになり、液面102aに噴流102bやキャピラリー波102cを発生する際に必要な超音波のエネルギーを低減することが可能になるので、省エネルギー化を図ることができるようになる。
【0044】
そして、槽22の外部へ噴出した噴流102bは、噴流受け容器26により受けられて、開口部26aからパイプ28を介して外部に搬送される。
【0045】
また、駆動源50により筒状部材24を液体102の液面102a側の方向あるいは超音波振動子ユニット108側の方向に適宜に移動することにより、効率よく超音波を入射して反射させ液面付近に収束させるように調整して、エネルギー密度をより効率よく高めることができる。このため、収束によって超音波はエネルギー密度が増加した分強力となり、音圧は増加して粒子速度も向上し、噴流102bによる洗浄やポンピング効果も増加する。
【0046】
次に、図5を参照しながら、本発明による超音波振動装置の第2の実施の形態について説明する。
【0047】
即ち、図5には、本発明による超音波振動装置の第2の実施の形態を表す概略構成一部断面説明図が示されている。この本発明による超音波振動装置の第2の実施の形態は、槽が2層構造となっていて、使用する液体が、超音波を伝達する目的でのみ使用される伝達液と超音波を伝達して噴流を発生する目的で使用される処理液とに分離されている点において、本発明による超音波振動装置の第1の実施の形態と異なる。
【0048】
この超音波振動装置30は、上面および下面が開口するとともに外部から伝達液としての液体102’を導入するための供給口32aを備えていて外部から液体102’を適宜に供給可能に形成された第1槽32と、底面が開口するとともに外部から処理液としての液体102’’を導入するための供給パイプ34(後述する。)を貫通させる貫通孔36aを備えていてかつ上面に噴流102bを外部へ噴射するための開口部36bを形成された蓋部36cを備えた第2槽36と、第1槽32と第2槽36との間にパッキン38、40を介して水密状態で配置された輻射膜42と、第1槽32の底部にパッキン106を介して水密状態で配置された超音波振動子ユニット108と、超音波振動子ユニット108を構成する超音波振動子108aを超音波振動させる超音波発振器110と、第2槽36内において液面102aの近傍に配置されるととともに供給パイプ34を貫通させる貫通孔44fを形成された筒状部材44と、第2槽36内に外部から液体102’’を導入するための供給パイプ34と、第2槽36の開口部36bから外部に噴出された噴流102bを受けるための噴流受け容器26とを有して構成されている。
【0049】
図6には、筒状部材44の概略構成斜視図が示されている。この筒状部材44は、液面102a側に開口する端部44a側の開口部44bと超音波振動子108a側に開口する端部44c側の開口部44dとが同径とされて、筒状部材44の中心軸線O−O方向に沿って全体が同径に形成された円筒形状を備えており、さらに、周壁部に供給パイプ34を貫通させる貫通孔44fが形成されている。
【0050】
そして、この筒状部材44は、上記したように、端部44a側の開口部44bを液面102a側に向けて配置し、端部44c側の開口部44dを超音波振動子108aに向けて配置している。
【0051】
なお、第1槽32には液体102’が満水状態で供給されており、液体102’と輻射膜42とが当接している。
【0052】
以上の構成において、超音波振動装置30によれば、超音波振動子108aから振動板108bを介して液体102’中に放射されて液体102’中を伝播する超音波により直進流が生じるとともに、液体102’中を伝播する超音波は輻射膜42を介して液体102’’に伝播する。
【0053】
そして、液体102’’中を伝播する超音波は、筒状部材44の内周面44eにより反射され、液面102aの近傍の収束点Aで収束する。
【0054】
このように、超音波が液面102aの近傍における収束点Aで収束することにより、エネルギー効率よく液面102aから槽36の開口部36bを通って外部へ噴出する噴流102bやキャピラリー波102cを発生することができるようになり、液面102aに噴流102bやキャピラリー波102cを発生する際に必要な超音波のエネルギーを低減することが可能になるので、省エネルギー化を図ることができるようになる。
【0055】
そして、槽36の外部へ噴出した噴流102bは、噴流受け容器26により受けられて、開口部26aからパイプ28を介して外部に搬送される。
【0056】
ここで、本願発明者による実験結果について説明するが、この実験においては、図3に示す実施の形態の装置構成を用いた。
【0057】
具体的には、直径30mmの円形の超音波振動子108aを備えた超音波振動ユニット108を用い、槽22には水を充填した。超音波振動ユニット108からの直進流が発生していることを確認して(音響や音場で確認した。)、直径が10mmの円筒状の筒状部材24を駆動源50により上下して液面102aから噴出する噴流102bが最大になるように調整した。直進流が発生する電力密度は約2W/cm2であり、超音波発振器110からの出力を調整して確認した。このときの噴流102bの径は約3mm程度であり、高さは約200mm程度に達した。
【0058】
なお、筒状部材24の軸方向の中心位置と超音波振動ユニット108との間の距離Lは、超音波振動子108aの直径に相当する長さとした。従って、この実験装置においては、円筒状の筒状部材24の直径が10mmであり、超音波振動ユニット108の超音波振動子108aの直径が30mmであり、筒状部材24の軸方向の中心位置と超音波振動ユニット108との間の距離Lが30mmである。また、噴流102bの位置は、筒状部材24の軸方向に中心位置からさらに30mm程度の上に位置する液面102aであった。
【0059】
なお、筒状部材24の材質や直径により超音波の収束点は異なり、噴流102bの高さは超音波発振器110の出力を調整することにより変化することができる。
【0060】
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(3)に説明するように適宜に変形してもよい。
【0061】
(1)上記した実施の形態においては、筒状部材24、44として、液面102a側に開口する端部側と超音波振動子108a側に開口する端部側とが同径とされて筒状部材の中心軸線方向O−Oに沿って全体が同径に形成された円筒形状部材を用いたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0062】
筒状部材の形状としては、例えば、液面側に開口する端部側の方が超音波振動子側に開口する端部側よりも小径とされて筒状部材の中心軸線方向に沿って徐々に径が変化するように形成された円筒形状(図7(a)参照)、液面側に開口する端部側の中心軸線方向と直交する方向の断面形状と超音波振動子側に開口する端部側の中心軸線方向と直交する方向の断面形状とが同一形状かつ同一の大きさに形成されて筒状部材の中心軸線方向に沿って中心軸線方向と直交する方向の断面形状が同一形状かつ同一の大きさに形成された角筒形状(図7(b)参照)、液面側に開口する端部側の中心軸線方向と直交する方向の断面形状と超音波振動子側に開口する端部側の中心軸線方向と直交する方向の断面形状とが同一形状かつ異なる大きさに形成されて筒状部材の中心軸線方向に沿って中心軸線方向と直交する方向の断面形状が徐々に変化するように形成された角筒形状(図7(c)参照)など、適宜の形状の筒状部材を用いることができる。
【0063】
(2)上記した実施の形態においては、層が単層構造の場合(第1の実施の形態:超音波振動装置20)ならびに層が2層構造の場合(第2の実施の形態:超音波振動装置30)について示した、層が3層以上の構造を備えていてもよいことは勿論である。
【0064】
(3)上記した実施の形態ならびに上記(1)乃至(2)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【0065】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、超音波を液面近傍に収束することができるようになり、エネルギー効率よく液面に噴流やキャピラリー波を発生することが可能となるので、液面に噴流やキャピラリー波を発生する際に必要な超音波のエネルギーを低減して省エネルギー化を図ることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の超音波振動装置の概略構成断面説明図である。
【図2】本発明による超音波振動装置の原理を示す概略構成断面説明図である。
【図3】本発明による超音波振動装置の第1の実施の形態を表す概略構成一部断面説明図である。
【図4】筒状部材の概略構成斜視図である。
【図5】本発明による超音波振動装置の第2の実施の形態を表す概略構成一部断面説明図である。
【図6】筒状部材の概略構成斜視図である。
【図7】(a)、(b)ならびに(c)は、筒状部材の他の実施の形態を示す概略構成斜視図である。
【符号の説明】
10、20、30、100 超音波振動装置
12、24、44 筒状部材
12a、12c、24a、24c、44a、44c 端部
12b、12d、24b、24d、44b、44d 開口部
12e、24e、44e 内周面
22 槽
22a 供給口
22b 開口部
22c 蓋部
26 噴流受け容器
26a 開口部
28 パイプ
32 第1槽
32a 供給口
34 供給パイプ
36 第2槽
36a 貫通孔
36b 開口部
36c 蓋部
38、40 パッキン
42 輻射膜
44f 貫通孔
50 駆動源
102、102’、102’’ 液体
102a 液面
102b 噴流
102c キャピラリー波
104 槽
104a 供給口
106 パッキン106
108 超音波振動子ユニット
108a 超音波振動子
108b 振動板
110 超音波発振器
A 収束点
Claims (5)
- 液体を充填した槽と、
前記槽の底部側に配置された超音波振動子と、
前記槽内において前記液体の液面近傍に配置されるとともに、一方の開口部が前記液面側に開口し、かつ、他方の開口部が前記超音波振動子側に開口するようにして配置された筒状部材と
を有し、
前記超音波振動子の超音波振動に伴い前記液体中を伝播する超音波を前記筒状部材の内周面で反射して、前記液面近傍に前記超音波を収束するようにした
ことを特徴とする超音波振動装置。 - 請求項1に記載の超音波振動装置において、
前記筒状部材は、前記液面側の方向あるいは前記超音波振動子側の方向に任意に移動自在とされた
ことを特徴とする超音波振動装置。 - 請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の超音波振動装置において、
前記筒状部材の前記液面側の開口部の開口径は、前記液面から噴出する噴流の径よりも大である
ことを特徴とする超音波振動装置。 - 請求項1、請求項2、請求項3または請求項4のいずれか1項に記載の超音波振動装置において、
前記筒状部材は、前記液面側の開口部の開口径と前記超音波振動子側の開口部の開口径とが同径である円筒形状または角筒形状を備えた
ことを特徴とする超音波振動装置。 - 請求項1、請求項2、請求項3または請求項4のいずれか1項に記載の超音波振動装置において、
前記筒状部材は、前記液面側の開口部の開口径よりも前記超音波振動子側の開口部の開口径が大径である円筒形状または角筒形状を備えた
ことを特徴とする超音波振動装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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JP2003206939A JP2005058804A (ja) | 2003-08-08 | 2003-08-08 | 超音波振動装置 |
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---|---|
JP2005058804A true JP2005058804A (ja) | 2005-03-10 |
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ID=34363615
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Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
US11426772B2 (en) | 2015-05-13 | 2022-08-30 | Sloan Water Technology Limited | Cleaning apparatus and method of using an acoustic transducer |
US11577284B2 (en) | 2009-08-26 | 2023-02-14 | Sloan Water Technology Limited | Cleaning apparatus and method, and monitoring thereof |
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-
2003
- 2003-08-08 JP JP2003206939A patent/JP2005058804A/ja active Pending
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