JP3634136B2 - 超音波収束装置および超音波液体噴出装置 - Google Patents

超音波収束装置および超音波液体噴出装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、超音波を焦点に収束させる超音波収束装置、および前記超音波収束装置と液体を供給する液体供給装置とを備えた超音波液体噴出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の超音波収束装置としては、例えば図18に示すように音響レンズを用いるものが知られている。図18に示す超音波収束装置は、「超音波技術便覧」、(社)日刊工業新聞社、1991年6月25日発行の171頁から引用したものである。図18において、1は超音波発信源、2は音響レンズ、3は縦波超音波の各音線、5は焦点である。
音響レンズ2を用いた図18に示す超音波収束装置において、超音波発信源1はその開口面が音響レンズ2に装着されており、超音波発信源1から発生した縦波超音波の各音線3が音響レンズ2を介して液体中を伝搬し、液体中の焦点5に収束する。
【0003】
従来の他の超音波収束装置としては、例えば特開昭60−214211号公報、特開昭61−51511号公報、特開平3−136642号公報、特開平3−136643号公報、特開平3−205046号公報に開示されているように、反射面を用いて超音波を焦点に収束させる図19に示すような超音波収束装置も知られている。図19に示す超音波収束装置は特開昭61−51511号公報から引用したものであり、図において、1は図18に示した超音波収束装置とは形が異なる超音波発信源、3は縦波超音波の各音線、5は焦点、4は反射面、6は円錐状の反射体である。図19に示す超音波収束装置においては、反射面4の形状は回転放物面であり、超音波発信源1から発生した縦波超音波の各音線3は、一旦、円錐状の反射体6によって反射され、さらに反射面4によって反射された後、液体中の焦点5に収束する。
【0004】
また、従来の他の超音波収束装置としては、例えば特開平2−55139号公報、特開平2−89647号公報、特開平2−103152号公報、特開平2−164543号公報、特開平2−164546号公報、特開平2−235644号公報、特開平2−238949号公報に開示されているように、反射面を用いて超音波を焦点に収束させる図20に示すような超音波収束装置も知られている。図20に示す超音波収束装置は特開平2−89647号公報から引用したものであり、図において、1は超音波発信源、3は縦波超音波の各音線、5は液体中の焦点、4は反射面である。図20に示す超音波収束装置においては、反射面4の断面形状は放物面であり、前記断面と直行する方向に関して断面形状は一様である。超音波発信源1から発生した縦波超音波の各音線3は、反射面4によって反射された後、焦点5に収束する。
【0005】
ところで、縦波超音波の各音線3が液体中を伝搬して、固体との境界面に入射する際、入射角が縦波に関する臨界角より小さい場合においては、液体から固体中に縦波および横波の透過が生じる。また、入射角が縦波に関する臨界角以上で、かつ、横波に関する臨界角より小さい場合においては、液体から固体中に横波の透過が生じる。入射角が、横波に関する臨界角以上になる場合おいては、固体へは縦波および横波ともに透過は生じることなく縦波超音波は完全反射を起こす。なお、液体中を伝搬した縦波超音波が固体との境界面に入射した際には、一般に、縦波に関する臨界角よりも横波に関する臨界角の方が大きい。
【0006】
このように、縦波超音波が液体中を伝搬して固体との境界面に入射する際、入射角が横波に関する臨界角より小さい場合においては、固体中へ縦波および横波の透過、あるいは横波のみの透過が生じる。これは、液体中へ反射する縦波超音波のエネルギーの一部が失われることを意味しており、反射効率が悪いことを意味している。
【0007】
なお、図18に示した従来の超音波収束装置は、音響レンズ2を用いて縦波超音波を収束させており、反射面を用いて超音波を収束させるものではないので、本発明とは縦波超音波を収束させるという目的は同一であるが、構成が全く異なるものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の超音波収束装置、および当該超音波収束装置を用いた超音波液体噴出装置は以上のように構成されているので、縦波超音波が液体中を伝搬して反射面4に入射する際の入射角に関する上述のような考察や検討は行われておらず、このような考察や検討に基づいて反射面4が形成されていない。このため、反射面4での反射効率が悪く、超音波発信源1から放射された縦波超音波を効率よく焦点5に集めることができないという課題があった。
【0009】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、超音波発信源から放射された縦波超音波を効率よく焦点に収束できる超音波収束装置、および前記超音波収束装置を用いた超音波液体噴出装置を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る超音波収束装置は、固体部材の一部の表面で構成された反射面の形状が、超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線の入射角との関係で、縦波超音波が液体中で完全反射して前記縦波超音波の予め規定された焦点に収束する形状に構成されるとともに、前記各音線が反射される際の反射に伴う位相シフト量が各音線に関して同相となる構成を備えたものである。
【0011】
この発明に係る超音波収束装置は、長さの単位を[m]とし、液体の密度、前記液体中の縦波超音波の音速、固体部材の密度、前記固体部材中の縦波超音波の音速、並びに前記固体部材中の横波超音波の音速によって決定される[m−1]の単位を持つ所定値以上の値である係数をa、回転放物面形状の上端面の直径の長さをDとしたとき、回転軸をy軸にした前記回転放物面形状の断面を規定する2次関数で与えられる曲線が、前記y軸と交差する原点において当該y軸と直行する線がx軸であるy=(2a/D)x で規定される放物線であって、前記回転放物面形状の一部により構成され、前記縦波超音波の各音線を前記回転放物面の焦点に収束させる形状を有した反射面と、前記反射面を構成する前記回転放物面の前記回転軸と平行に、前記各音線が完全反射する入射角で、前記各音線を前記反射面へ放射する位置に配置されている超音波発信源とを備えるようにしたものである。
【0012】
この発明に係る超音波収束装置は、超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線が完全反射する領域において、液体の密度ρ 、前記液体中の縦波超音波の音速ν 、固体部材の密度ρ 、前記固体部材中の縦波超音波の音速ν 、前記固体部材中の横波超音波の音速ν で規定される反射率の位相が−180゜となる第1の入射角θ’以上、かつ90゜以下の範囲内に入射角が制限されるように、回転放物面の下端面の直径dと上端面の直径Dで規定される範囲内の前記回転放物面の形状を決めるy=(2a/D)x で規定される放物線の係数aを決めたものである。
【0013】
この発明に係る超音波収束装置は、長さの単位が[m]であり、液体の密度、前記液体中の縦波超音波の音速、固体部材の密度、前記固体部材中の縦波超音波の音速、並びに、前記固体部材中の横波超音波の音速によって決定される所定値以上の値である[m−1]の単位を持つ係数をa、2つの放物面の上端部の離間距離をD、前記2つの放物面の対称軸をy軸としたとき、前記2つの放物面の断面を規定する2次関数で与えられる曲線が、前記y軸と交差する原点において当該y軸と直行する線がx軸であるy=(2a/D)x で表され、前記断面と直行する方向に一様である前記放物面の一部により構成されて前記縦波超音波の各音線を前記放物面の焦点に収束させる形状である反射面と、前記対称軸と平行に前記反射面へ完全反射する入射角で各音線を放射する超音波発信源を備えるようにしたものである。
【0014】
この発明に係る超音波収束装置は、超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線が完全反射する領域において、2つの放物面の上端面の離間距離をDとしたときの前記放物面の形状を決めるy=(2a/D)x で規定される放物線の係数aを、入射角が、液体の密度ρ 、前記液体中の縦波超音波の音速ν 、固体部材の密度ρ 、前記固体部材中の縦波超音波の音速ν 、前記固体部材中の横波超音波の音速ν で規定される反射率の位相が−180゜になる第1の入射角θ’以上であり、かつ90゜以下の範囲内に制限されるような値にしたものである。
【0015】
この発明に係る超音波収束装置は、超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線の反射面への入射角の範囲を、前記各音線が完全反射し、かつ前記各音線の反射に伴う位相シフト量の各音線間での差が略零になるような範囲にしたものである。
【0016】
この発明に係る超音波収束装置は、超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線の反射面への入射角のとる範囲を、各音線が完全反射し、かつ各音線の反射に伴う位相シフト量の各音線間での差の最大値が略40°以下になる範囲にしたものである。
【0017】
この発明に係る超音波収束装置は、液体を水あるいはインク、固体部材を黄銅として、長さの単位を[m]にしたときの係数aの値を略1.3×10 [m−1]以上にしたものである。
【0018】
この発明に係る超音波収束装置は、液体を水あるいはインク、固体部材を亜鉛として、長さの単位を[m]にしたときの係数aの値を略1×10 [m−1]以上にしたものである。
【0019】
この発明に係る超音波収束装置は、液体を水あるいはインク、固体部材をマグネシウムとして、長さの単位を[m]にしたときの係数aの値を略0.8×10 [m−1]以上にしたものである。
【0020】
この発明に係る超音波収束装置は、液体を水あるいはインク、固体部材をアルミニウムとして、長さの単位を[m]にしたときの係数aの値を略0.7×10 [m−1]以上にしたものである。
【0021】
この発明に係る超音波液体噴出装置は、液体中に縦波超音波を放射する超音波発信源と、該超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線の入射角との関係で、縦波超音波を前記液体中で完全反射させて前記縦波超音波の予め規定された焦点に収束させる形状であるとともに、前記各音線が前記反射面によって反射される際の反射に伴う位相シフト量が各音線に関して同相となる形状である前記液体中に配置された反射面を有した固体部材とを備えた超音波収束装置と、前記液体を逐次供給する液体供給装置と、前記液体中の縦波超音波によって前記液体が噴出する、前記焦点付近に構成された噴出孔とを備えるようにしたものである。
【0022】
この発明に係る超音波液体噴出装置は、長さの単位が[m]であり、液体の密度、前記液体中の縦波超音波の音速、固体部材の密度、前記固体部材中の縦波超音波の音速、並びに前記固体部材中の横波超音波の音速によって決定される[m−1]の単位を持つ所定値以上の値である係数をa、回転放物面形状の上端面の直径の長さをDとしたとき、回転軸をy軸にした前記回転放物面形状の断面を規定する2次関数で与えられる曲線が、前記y軸と交差する原点において当該y軸と直行する線がx軸であるy=(2a/D)x で規定される放物線であって、前記回転放物面形状の一部により構成され、前記縦波超音波の各音線を前記回転放物面の焦点に収束させる形状を有し、固体部材により構成され液体中に配置された反射面と、該反射面を構成する前記回転放物面の前記回転軸と平行に、前記各音線が完全反射する入射角で、前記各音線を前記反射面へ放射する位置に配置されている超音波発信源とを有した超音波収束装置と、前記液体を逐次供給する液体供給装置と、前記液体中の縦波超音波によって前記液体が噴出する、前記焦点付近に構成された噴出孔とを備えるようにしたものである。
【0023】
この発明に係る超音波液体噴出装置は、下端面の直径dと上端面の直径Dで規定される範囲内の回転放物面の形状を決定する放物線y=(2a/D)x の係数aを、超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線が完全反射する領域において、液体の密度ρ 、前記液体中の縦波超音波の音速ν 、固体部材の密度ρ 、前記固体部材中の縦波超音波の音速ν 、前記固体部材中の横波超音波の音速ν で規定される反射率の位相が−180゜となる第1の入射角θ’以上、かつ90゜以下の範囲内に入射角が制限されるような値に決めたものである。
【0024】
この発明に係る超音波液体噴出装置は、長さの単位が[m]であり、液体の密度、前記液体中の縦波超音波の音速、固体部材の密度、前記固体部材中の縦波超音波の音速、並びに、前記固体部材中の横波超音波の音速によって決定される所定値以上の値である[m−1]の単位を持つ係数をa、2つの放物面の上端部の離間距離をD、前記2つの放物面の対称軸をy軸としたとき、前記2つの放物面の断面を規定する2次関数で与えられる曲線が、前記y軸と交差する原点において当該y軸と直行する線がx軸であるy=(2a/D)x で表され、前記断面と直行する方向に一様である前記放物面の一部により構成されて前記縦波超音波の各音線を前記放物面の焦点に収束させる形状の反射面と、該反射面を構成する前記放物面の前記対称軸と平行に前記各音線が完全反射する入射角で各音線を前記反射面へ放射する位置に配置されている超音波発信源とを有した超音波収束装置を備えるようにしたものである。
【0025】
この発明に係る超音波液体噴出装置は、超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線が完全反射する領域において、2つの放物面の形状を決めるy=(2a/D)x で規定される放物線の係数aを、入射角が、液体の密度ρ 、前記液体中の縦波超音波の音速ν 、固体部材の密度ρ 、前記固体部材中の縦波超音波の音速ν 、前記固体部材中の横波超音波の音速ν で規定される反射率の位相が−180゜となる第1の入射角θ’以上であり、かつ90゜以下の範囲内に制限されるような値にしたものである。
【0026】
この発明に係る超音波液体噴出装置は、超音波収束装置における超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線の反射面への入射角の範囲を、前記各音線が完全反射し、かつ前記各音線の反射に伴う位相シフト量の前記各音線間の差を略零にする範囲にしたものである。
【0027】
この発明に係る超音波液体噴出装置は、超音波収束装置における超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線の反射面への入射角のとる範囲を、前記各音線が完全反射し、かつ前記各音線の反射に伴う位相シフト量の差の最大値が略40°以下の範囲にしたものである。
【0028】
この発明に係る超音波液体噴出装置は、超音波収束装置における反射面を黄銅からなる固体部材により構成し、水またはインクである液体中に配置し、長さの単位を[m]で表したとき、係数aの値が略1.3×10 [m−1]以上になるようにしたものである。
【0029】
この発明に係る超音波液体噴出装置は、超音波収束装置における反射面を亜鉛からなる固体部材により構成し、水またはインクである液体中に配置し、長さの単位を[m]で表したとき、係数aの値が略1×10 [m−1]以上になるようにしたものである。
【0030】
この発明に係る超音波液体噴出装置は、超音波収束装置における反射面をマグネシウムからなる固体部材により構成し、水またはインクである液体中に配置し、長さの単位を[m]で表したとき、係数aの値が略0.8×10 [m−1]以上になるようにしたものである。
【0031】
この発明に係る超音波液体噴出装置は、超音波収束装置における反射面をアルミニウムからなる固体部材により構成し、水またはインクである液体中に配置し、長さの単位を[m]で表したとき、係数aの値が略0.7×10 [m−1]以上になるようにしたものである。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1は、この実施の形態1の超音波収束装置の構成を示す模式図、図2は図1に示すx軸とy軸を含む断面図である。図1において、1は超音波発信源である。この超音波発信源1の音響放射面である開口面は円形に形成されている。また超音波発信源1の開口面は液体に接しており、超音波発信源1から前記液体中に超音波が放射される。前記液体中には、表面の一部が回転放物面の一部の形状を有する固体部材が配置されている。前記固体部材の前記表面の一部は、超音波発信源1から液体中に放射された超音波を前記液体中に反射させる超音波の反射面として使用される。図1では、図を見やすくするため、前記固体部材は図示はせず、前記固体部材の前記表面の一部である超音波の反射面に符号4を付して、この反射面4のみを図示している。図2においても同様である。
【0033】
図1において、y軸は前記回転放物面の回転軸に相当する。このy軸が超音波発信源1の開口面と直交するように超音波発信源1を配している。さらに、このy軸が超音波発信源1の開口面の中心を通るように、超音波発信源1と超音波の反射面4とを相対的に配置している。
【0034】
図2では、座標の原点を、前記回転放物面の断面である放物線がy軸と交差する点にとっている。さらに、その断面においてy軸と直交する座標軸をx軸とz軸にとっている。これら座標軸の採りかたは図1においても同じである。長さの単位を[m]で表すと、反射面4の断面形状は、係数a’を用いてy=a’x と表わされる。ここで、係数a’の単位は、[m−1]である。
【0035】
図1において、前記反射面4の下端部に符号41、上端部に符号42を付して示している。前記下端部41の直径は、超音波発信源1の開口面の直径をDとすると、D以下にしてある。また、前記上端部42の直径は、超音波発信源1の開口面の直径Dよりも大きくても小さくても、あるいは同じでも構わない。
但し、上端部42の直径を、超音波発信源1の開口面の直径Dと等しいかあるいは大きくすれば、超音波発信源1から放射された超音波のエネルギーを全て使用できるのでエネルギー利用効率を高くできる利点がある。
【0036】
また、図1では、超音波の反射面4の上端部42と超音波発信源1の開口面とが空間的に離れた場合について図示しているが、この離間距離は零であっても構わないし、上端部42が超音波発信源1の開口面の上側に位置する位置関係でも構わない。
【0037】
次に、図1および図2に示した超音波収束装置の動作について、図2を用いて説明する。なお、図2において、符号3と矢印を付して示した線は、超音波発信源1から放射された超音波の音線を示し、矢印の方向は超音波の伝搬方向を表している。符号5を付して示した点は、超音波発信源1から液体中に放射された縦波超音波の焦点を示している。
【0038】
超音波発信源1から液体中に放射された縦波超音波の各音線3は、y軸に平行に沿って液体中を進み、反射面4に入射する。反射面4によって反射された各音線3は前記液体中を進み焦点5に向かう。
なお、反射面4の形状は回転放物面の形状の一部であることから、各音線3が超音波発信源1から焦点5まで伝搬する距離は音線3によらず一定である。
【0039】
さて、この発明の超音波収束装置では、超音波の反射面4の形状が、前記液体の超音波に係わる特性と、上述した固体部材の弾性的特性とに基づいて決められている点が従来とは異なった点である。次に、この点について図3から図11を参照しながら詳細に説明する。
【0040】
図3は、図中の上半分が液体、下半分が固体であり、液体側から縦波超音波が入射した際の反射と透過の様子を示す動作説明図である。図3において、3は液体中の音線、7は液体と固体との境界面を示す。31と32も音線であるが、液体中の音線3と区別するために新たに符号を付しており、31は固体中に透過した縦波透過波の音線、32は固体中に透過した横波透過波の音線である。θは入射角である。
【0041】
図3は、入射角θが縦波に関する臨界角より小さい場合について示したものであり、固体中に縦波および横波の透過が生じている。前記液体中の密度をρ で表わし、前記液体中の縦波音速をν で表わし、前記固体中の密度をρ で表わし、前記固体中の縦波音速をν で表わし、前記固体中の横波音速をν で表わし、液体中への縦波超音波の反射率をRで表わすと、反射率Rは
【0042】
【数1】
Figure 0003634136
【0043】
で表わされる。
入射角θが縦波に関する臨界角以上で、かつ、横波に関する臨界角より小さい場合においては、固体中へは横波のみの透過が生じる。このときの液体中への縦波超音波の反射率Rは、
【0044】
【数2】
Figure 0003634136
【0045】
で表わされる。
前記式(2)において、jは虚数単位である。
入射角θが、横波に関する臨界角以上になる場合おいては、固体中へは縦波および横波ともに透過は生じることなく縦波超音波は完全反射を起こす。このときの液体中への縦波超音波の反射率Rは、
【0046】
【数3】
Figure 0003634136
【0047】
で表わされる。
前記式(1)、式(2)、および式(3)はスネルの反射・屈折の法則から決まる式である。
なお、液体中を伝搬した縦波超音波が固体との境界面に入射した際には、一般に縦波に関する臨界角よりも横波に関する臨界角の方が大きい。
【0048】
以上のように、縦波超音波が液体中を伝搬して固体との境界面に入射する際、入射角θが横波に関する臨界角より小さい場合においては、固体中へ、縦波および横波の透過、あるいは横波のみの透過が生じる。これは、液体中へ反射する縦波超音波のエネルギーの一部が失われることであり、反射効率が悪いことを意味している。
【0049】
さらに、入射角θが横波に関する臨界角以上になれば、上述したように、縦波超音波は液体中に完全反射するが、後述するように反射の際に位相のシフトが生じる。
【0050】
次に、液体と固体の幾つかの組み合わせの場合について、上述した反射の様子について具体的に例を挙げて説明する。
【0051】
図4の(a)および(b)は、液体が水であり固体が黄銅の場合について、水側から縦波超音波が入射した際の反射率についての絶対値、位相シフト量と入射角との関係をグラフ化した特性図である。図4の(a)において、縦軸は反射率の絶対値(振幅)、横軸は入射角θである。図4の(b)は、縦軸が反射率の位相、横軸は入射角θである。これら反射率の特性は、水の密度を1×10 [Kg/m ]、水中の超音波の縦波音速を1500[m/s]、黄銅の密度を8.6×10 [Kg/m ]、黄銅中の超音波の縦波音速を4700[m/s]、黄銅中の超音波の横波音速を2100[m/s]として、スネルの反射・屈折の法則によって決まる前記式(1),式(2),式(3)に基づいて計算で求めたものである。
【0052】
図4の(a)と(b)に示す特性図において、縦波に関する臨界角は約19°であり、入射角θがこの角度より小さい領域においては、縦波と横波とが固体中へ透過するので、図4の(a)に示すように反射率の絶対値が1より小さくなっている。また、図4の(a)と(b)に示す特性図において、横波に関する臨界角は約45°であり、入射角θが約19°から約45°の領域においては、横波が固体中へ透過するので、図4の(a)に示すように反射率の絶対値が1より小さくなっている。また、入射角θが約45°以上の領域においては、図4の(a)に示すように反射率の絶対値は1となる。これは、完全反射が生じることを意味している。反射率の位相シフト量は、図4の(b)に示すように、入射角θが縦波の臨界角である約19°以下では零である。しかし、入射角θが21°の近傍では零以外の値となっている。特に入射角θが約45°以上の領域では、図4の(b)に示すように位相シフト量は入射角θに依存して大きく変化している。
【0053】
図5の(a)と(b)に示す特性図は、それぞれ液体が水、固体が亜鉛の場合について、図4の(a)と(b)と同様にして求めた反射率の絶対値、位相シフト量と入射角との関係を示すものである。これらの反射率の特性は、水の密度を1×10 [Kg/m ]、水中の超音波の縦波音速を1500[m/s]、亜鉛の密度を7.2×10 [Kg/m ]、亜鉛中の超音波の縦波音速を4210[m/s]、亜鉛中の超音波の横波音速を2440[m/s]として求めた。この場合における縦波に関する臨界角は約21°であり、横波に関する臨界角は約38°であり、反射率の入射角θへの依存性については、図4の(a)と(b)の場合と同様のことが言える。特に、入射角θが約38°以上となる領域においては完全反射が生じるが、反射率の位相は入射角に依存して大きく変化している。
【0054】
図6の(a)と(b)に示す特性図は、それぞれ液体が水、固体がマグネシウムの場合について、図4の(a)と(b)と同様にして求めた反射率の絶対値、位相シフト量と入射角との関係を示すものである。これらの反射率の特性は、水の密度を1×10 [Kg/m ]、水中の超音波の縦波音速を1500[m/s]とし、マグネシウムの密度を1.5×10 [Kg/m ]、マグネシウム中の超音波の縦波音速を5770[m/s]、マグネシウム中の超音波の横波音速を3050[m/s]として求めた。この場合における縦波に関する臨界角は約15°であり、横波に関する臨界角は約30°である。
【0055】
図7の(a)と(b)に示す特性図は、それぞれ液体が水、固体がアルミニウムの場合について、図4の(a)と(b)と同様にして求めた反射率の絶対値、位相シフト量と入射角との関係を示すものである。これらの反射率の特性は、水の密度を1×10 [Kg/m ]、水中の超音波の縦波音速を1500[m/s]、アルミニウムの密度を2.7×10 [Kg/m ]、アルミニウム中の超音波の縦波音速を6420[m/s]、アルミニウム中の超音波の横波音速を3040m/sとして求めた。
この場合における縦波に関する臨界角は約14°であり、横波に関する臨界角は約30°である。
【0056】
図6の(a)と(b)、および図7の(a)と(b)においても、反射率の入射角θへの依存性については、図4の(a)と(b)の場合と同様のことが言える。特に、入射角θが横波に関する臨界角以上となる領域においては完全反射が生じるが、反射率の位相は入射角θに依存して大きく変化している。なお、反射率Rの位相をφとする。すなわち反射率Rは|R|∠φであり、|R|は反射率Rの絶対値である。位相φは前記式(3)から
【0057】
【数4】
Figure 0003634136
【0058】
で与えられる。
なお、図4から図7に示した特性図では液体が水の場合であったが、水とインクの密度および縦波超音波の音速はほぼ同じと考えてよいので、液体がインクであっても反射の様子はほぼ同じであると考えてよい。
【0059】
以上のように、反射率の絶対値および位相シフト量は、液体の密度、液体中の縦波超音波の音速、固体の密度、固体中の縦波超音波の音速、固体中の横波超音波の音速、および音線3の入射角θに依存して決まる。特に、入射角θが横波に関する臨界角以上となる領域においては完全反射が生じるが、反射率の位相シフト量は入射角θに依存して大きく変化しており、180°を越えて変化している場合もある。これは、図1および図2に示した超音波収束装置において、超音波の反射面4によって反射された超音波が、音線3の反射面4への入射角θによっては、一部の音線は他の音線に対して逆相で反射されることを意味しており、これに着目して反射面4を構成しなければ、超音波発信源1から放射された縦波超音波が焦点5へ効率よく集まらないことを意味している。
【0060】
本発明に係る超音波収束装置は、図4から図7に示したような反射率の入射角θへの依存性を考慮に入れて反射面4の形状を決定する点が従来と異なっている。もう少し詳細に述べれば、反射面4は回転放物面の一部となっているが、仮に前記回転放物面をその全面にわたって超音波の反射面4として使用することを考えたとき、前記回転放物面の各点で反射され焦点5へ到達する超音波の位相が逆相となって到達する前記回転放物面上の領域が存在するので、この領域を削除した形状となるように前記回転放物面の一部を切り出し、これを反射面4として用いている。これによって、超音波発信源1から放射され反射面4で反射されて焦点5へ到達する超音波は全て同相で到達するようにできるので、超音波エネルギーの焦点5への収束効率が向上する。
【0061】
次に、反射面4の形状を決定する方法について具体的に説明する。
図1において、反射面4の下端部41の直径をdで表わす。反射面4の上端部の直径(超音波発信源1の開口面の直径)はDとする。反射面4は回転放物面の一部となっているが、図2に示す断面形状において、以下、x軸の座標およびy軸の座標を超音波発信源1の開口面の直径の半分の長さであるD/2で規格化して、前記回転放物面に対応する放物線をy/(D/2)=a{x/(D/2)} で表す。すなわち、y=(2a/D)x で表す。ここで係数aの単位は[m−1]である。
【0062】
まず、超音波発信源1から放射され反射面4で反射される縦波超音波の各音線3が全て同相で焦点5へ到達する回転放物面の断面形状を決める係数aの決定方法について述べる。
【0063】
図1において超音波発信源1から放射される音線3が,反射面4に入射する際の入射角θのとる範囲を求めてみる。前記放物線の傾き、すなわち、y’=dy/dxが4ax/Dであることを考慮して、さらに幾何学的考察から、入射角θのとる範囲は、
【0064】
【数5】
Figure 0003634136
【0065】
になる。
図4から図7に示した液体が水あるいはインク、固体が黄銅、亜鉛、マグネシウムおよびアルミニウムの各場合の反射率の特性においても見られるように、反射率の位相シフト量は、入射角θが横波の臨界角以上の領域、つまり液体中から入射した縦波超音波が液体中へ完全反射する領域において、反射率の位相が−180°になるような入射角が存在する。この入射角をθ’とすると、θ’は前記式(3)において虚部が零となる入射角θに等しい。なぜなら前記式(3)において虚部が零の場合は、簡単な代数計算から反射率R=−1となるからである。前記式(3)において虚部が零となる入射角θ’は次の
【0066】
【数6】
Figure 0003634136
【0067】
によって求められる。
また、入射角θが90°のときには前記式(3)から反射率の位相は−180°になる。また、入射角θが、
【0068】
【数7】
Figure 0003634136
【0069】
で表わされる領域においては反射率の位相は0°以下である。なぜなら、前記式(3)において反射率の位相が0°になるということは、反射率R=1になるということを意味する。反射率Rが1ということは、前記式(3)において虚部が零になるということを意味する。しかし、式(3)において虚部が零になるときの反射率Rは−1である。式(3)において反射率Rが1になるということは数学的にあり得ない。従って、式(3)において入射角θの最小値であるtan−1(2ad/D)が式(6)を満足するθ’以上で90°以下になるように、つまり
【0070】
【数8】
Figure 0003634136
【0071】
を満足するように、回転放物面の断面形状を決める係数aを決定すれば、超音波発信源1から放射され反射面4で反射されて焦点5へ到達する超音波は、全て−180°から0°の範囲内の位相シフト量で焦点5へ到達するようにできるので、すなわち同相で到達するようにできるので、超音波エネルギーの焦点5への収束効率が向上する。なお、式(8)において入射角θが90°以上になることは、前記反射面4の形状を前記回転放物面の一部から構成しているので物理的には実際にはあり得ないが、前記入射角θが90°に近くなることはあり得る。
【0072】
以上、超音波発信源1から放射され反射面4で反射されて焦点5へ到達する縦波超音波の各音線3が、全て同相で焦点5へ到達するような回転放物面の断面形状を決める係数aの決定方法について述べた。
次に、超音波発信源1から放射され反射面4で反射されて焦点5へ到達する縦波超音波の各音線3が、全てほぼ同じ位相シフト量で焦点5へ到達するような回転放物面の断面形状を決める係数aの決定方法について例を挙げて述べる。この場合、反射面4の下端部41の直径dは、反射面4の上端部42の直径Dの半分とする。
【0073】
超音波発信源1から放射される音線3の数を仮にM本とし、その各音線3の振幅を全て1/Mとする。反射面4上での反射率をRで表す。ここで反射率Rは一般に、図4〜図7において示したように複素数である。また、反射率Rは各音線3の反射面4への入射角θに依存してそれぞれ異なった値をとり、液体中での減衰は無視できるものとする。このとき、焦点5における各音線3に関する複素振幅をum(m=1〜M)で表すと、複素振幅um=R/Mである。従って、焦点5において得られる振幅を|u|で表すと、
【0074】
【数9】
Figure 0003634136
【0075】
となる。なお、本明細書においては、単に振幅と表現した場合は複素振幅の絶対値を表し、複素数である場合には複素振幅と呼ぶものとする。
【0076】
液体を水あるいはインク、反射面4を構成する固体部材を黄銅として、前記式(9)を使い、音線3の数Mを十分大きく採り、焦点5において得られる振幅|u|を計算した結果を図8に示す。なお、反射面4の下端部41の直径は、上述したように超音波発信源1の開口面の直径Dの半分とした。また、反射面4の上端部42の直径は、超音波発信源1の開口面の直径D以上とした。上端部42の直径がD以上であれば計算結果は図8と同一となる。また、水と黄銅の超音波ないしは弾性的特性に関する材料定数については上述したものと同じものを用いた。
【0077】
図8より、前記係数aが約1.3×10 [m−1]以上であれば、振幅|u|は、ほぼ1になっている。これは、各音線3は反射面4上で完全反射され、その際の反射に伴う位相シフト量が全ての音線3に関してほぼ同じ値になっていることを意味している。なお、ここで位相シフト量とは前記式(4)に示した反射率Rの位相であるφを表す。
【0078】
前記係数aが1.3×10 [m−1]のとき、入射角θのとる範囲は、前記式(5)から略52°〜略69°である。入射角θがこの範囲をとるとき、前記式(4)で求められる各音線の反射に伴う位相シフト量φの各音線間の差の最大値は略40°である。前記係数aが1.3×10 [m−1]より大きくなるに従って、前記の入射角θのとる範囲は小さくなる。したがって、各音線の反射に伴う位相変化量φの各音線間の差も小さくなる。
【0079】
この実施の形態1の超音波収束装置では、前記放物線の形状を決定する係数aを前記範囲に設定する。これによって、反射面4による反射の際の位相シフト量が反射面4上の全ての点において、ほぼ同じ値となるので、焦点5へのエネルギー収束効率を高くできる。特に前記係数aが1.3×10 [m−1]より大きくなるに従って、前記の入射角θのとる範囲は小さくなり、各音線の反射に伴う位相変化量φの各音線間の差はさらに小さくなるので、焦点5へのエネルギー収束効率をさらに高くできる。
【0080】
図9は、液体が水あるいはインク、前記固体部材が亜鉛の場合について、図8と同様にして求めた焦点5において得られる振幅|u|である。水あるいはインクと亜鉛の超音波ないしは弾性的特性に関する材料定数については上述したものと同じものを用いた。前記係数aが約1×10 [m−1]以上であれば、振幅|u|は、ほぼ1になっている。なお、前記係数aが1.0×10 [m−1]のとき、入射角θのとる範囲は前記式(5)から略45°〜略63°である。入射角θがこの範囲をとるとき、前記式(4)で求められる各音線の反射に伴う位相変化量φの各音線間の差の最大値は略28°である。
【0081】
図10は、液体が水あるいはインク、前記固体部材がマグネシウムの場合について、図8と同様にして求めた焦点5において得られる振幅|u|である。水あるいはインクとマグネシウムの超音波ないしは弾性的特性に関する材料定数については上述したものと同じものを用いた。前記係数aが約0.8×10 [m−1]以上であれば、振幅|u|は、ほぼ1になっている。なお、前記係数aが0.8×10 [m−1]のとき、入射角θのとる範囲は前記式(5)から略39°〜略58°である。入射角θがこの範囲をとるとき、前記式(4)で求められる各音線の反射に伴う位相変化量φの各音線間の差の最大値は略18°である。
【0082】
図11は、液体が水あるいはインク、前記固体部材がアルミニウムの場合について、図8と同様にして求めた焦点5において得られる振幅|u|である。水あるいはインクとアルミニウムの超音波ないしは弾性的特性に関する材料定数については上述したものと同じものを用いた。前記係数aが約0.7×10 [m−1]以上であれば、振幅|u|は、ほぼ1になっている。なお、前記係数aが0.7×10 [m−1]のとき、入射角θのとる範囲は前記式(5)から略35°〜略55°である。入射角θがこの範囲をとるとき、前記式(4)で求められる各音線の反射に伴う位相変化量φの各音線間の差の最大値は略32°である。
【0083】
以上のいくつかの例から判明するように、前記式(4)で求められる各音線の反射に伴う位相変化量φの各音線間の差の最大値が略40°以下になるように前記係数aを決定し、前記式(5)から求まる入射角θのとる範囲を設定すれば、前記式(9)で求められる焦点における振幅|u|は、ほぼ1になる。
また、この実施の形態1においては、従来とは異なり、反射面4における反射率の振幅(絶対値)のみでなく位相も考慮に入れ、超音波発信源1から発生した各音線3が反射面4上で完全反射され、その際の反射に伴う位相変化量の値が全ての音線3に関して同相となるように、反射面4の形状を入射角の最小値であるtan−1(2ad/D)が前記式(6)を満足する入射角であるθ’以上になるように決定した。これにより、従来と比較して高いエネルギー効率で超音波発信源1で発生した超音波エネルギーを焦点5に収束させることができる作用効果が得られる。
【0084】
また、反射面4の形状を決める前記係数aを、超音波発信源1から発生した縦波超音波の各音線3が反射面4上で完全反射され、その際の反射に伴う位相変化量が全ての音線3に関してほぼ同じ値となるように決めたので、焦点5へ収束する超音波エネルギーの収束効率を向上できる作用効果が得られる。
【0085】
なお、以上の説明では、反射面4を構成する固体部材が液体中に配置されている場合であったが、前記固体部材の全体が前記液体中に浸されている必要はなく、この実施の形態1は、超音波発信源1から放射され、反射面4で反射され、焦点5へ到達する縦波超音波の所要の伝搬経路のみが液体で充填されている場合にも適用できることは言うまでもない。
【0086】
以上のように、この実施の形態1によれば、反射面4における反射率の振幅(絶対値)のみでなく位相も考慮に入れ、超音波発信源1から発生した各音線3が反射面4上で完全反射され、その際の反射に伴う位相変化量の値が全ての音線3に関して同相となるように反射面4の形状を構成したので、超音波発信源1で発生した超音波エネルギーを高いエネルギー効率で焦点5に収束させることができる超音波収束装置が得られる効果がある。
【0087】
また、反射面4の形状を決める係数aを、超音波発信源1から発生した縦波超音波の各音線3が反射面4上で完全反射される際の位相シフト量を全ての音線3に関してほぼ同じ値となるように決定したので、焦点5へ収束する超音波エネルギーの収束効率を向上できる超音波収束装置が得られる効果がある。
【0088】
実施の形態2.
図12は、この実施の形態2の超音波収束装置の構成を示す模式図であり、図13は図12に示すz軸に垂直な断面の断面図である。この実施の形態の超音波収束装置では、超音波発信源の音響放射面である開口面は長方形であり、反射面は回転放物面ではなく、ある方向に沿って一様である放物面の一部の形状を有し、前記超音波発信源から液体中に放射された縦波超音波の焦点は線状に形成される。
【0089】
図12において、5は液体中に放射された縦波超音波の線状に形成される焦点である。11は超音波発信源であり、音響放射面である開口面は長方形に構成されている。また、超音波発信源11の開口面は液体に接しており、超音波発信源11から液体中に超音波が放射される。前記液体中には、表面の一部が、ある方向に沿って一様な放物面の一部の形状を有する固体部材が配置されている。前記固体部材の前記表面の一部は、超音波発信源11から前記液体中に放射された超音波を前記液体中で反射させる超音波の反射面として使用される。図12においては、図を見やすくするため前記固体部材は図示はせず、前記固体部材の前記表面の一部である超音波の反射面に符号14を付し、この反射面14のみを図示している。41aは反射面14の下端部、42aは反射面14の上端部である。
なお、図13においても同様であり、図12と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。図13において、符号3と矢印を付して示した線は、超音波発信源11から放射された超音波の音線を示し、矢印の方向は超音波の伝搬方向を表している。
【0090】
図12において、y軸は、前記放物面の断面である放物線の中心軸に相当する。また、z軸は、前記放物面が一様な形状である方向に設定されている。また、x軸はz軸とy軸に垂直な方向に設定している。y軸が超音波発信源11の開口面と直交するように超音波発信源11を配している。さらに、このy軸が超音波発信源11の開口面の中心点を通るように、超音波発信源11と超音波の反射面14とを相対的に配置している。さらに、超音波発信源11の開口面の形状である長方形の各辺はx軸とz軸に平行となるように、超音波発信源11と反射面14を相対的に配置している。
【0091】
また、図12において、座標の原点は、前記放物面の断面である放物線がy軸と交差する点にとられている。長さの単位を[m]で表すと、反射面14の断面形状は、係数a’を用いてy=a’x と表わされる。ここで、係数a’の単位は[m−1]である。
【0092】
また、図12において、前記反射面14の下端部に符号41a、上端部に符号42aを付して示しているが、2つの下端部41aの間のx軸方向に沿った距離は、超音波発信源11の開口面のx軸方向に沿った長さをDとすると、D以下にしてある。また、2つの上端部42aの間のx軸方向に沿った距離は、超音波発信源11の開口面のx軸方向に沿った長さDよりも大きくても、小さくても、あるいは同じでも構わない。但し、2つの上端部42aの間のx軸方向に沿った距離を、超音波発信源11の開口面のx軸方向に沿った長さDと等しいかあるいは大きくすれば、超音波発信源11から放射された超音波のエネルギーを全て使用できるのでエネルギー利用効率を高くできる利点がある。
【0093】
また、図12においては、超音波の反射面14の上端部42aと超音波発信源11の開口面とが空間的に離れた場合について図示しているが、この離間距離は零であっても構わないし、図12において前記上端部42aが超音波発信源11の開口面の上側に位置するようになっていても構わない。
【0094】
次に、図12および図13に示した超音波収束装置の動作について説明する。前記実施の形態1においては、反射面4は回転放物面形状の一部の形状であったので焦点5は空間中の1点であったが、この実施の形態2においては、反射面14はz軸方向に沿って一様な放物面の一部の形状であるので、反射面14によって反射された超音波はz軸に沿って線状に収束する。すなわち、z軸に沿って線状に連続的に分布した焦点5が存在する。超音波が線状に収束するという意味では前記焦点5は焦線と呼ぶこともできるが、ここでは簡単にするため焦点という。
【0095】
超音波発信源11から液体中に放射された縦波超音波の各音線3は、y軸に平行に沿って液体中を進み反射面14に入射する。反射面14によって反射された各音線3は前記液体中を進み焦点5に収束する。
なお、反射面14のz軸に垂直な断面の形状は放物線であることから、各音線3が超音波発信源11から焦点5まで伝搬する距離は、音線によらず一定である。
【0096】
さて、この発明の実施の形態2の超音波収束装置では、超音波の反射面14の形状を前記液体の超音波に係る特性と、上述した固体部材の弾性的特性とに基づいて決める点が従来とは異なった点である。
【0097】
この実施の形態2において、液体が水あるいはインクであり固体が黄銅の場合、液体が水あるいはインクであり固体が亜鉛の場合、液体が水あるいはインクであり固体がマグネシウムの場合、および液体が水あるいはインクで固体がアルミニウムの場合のそれぞれの場合について、反射率の入射角θへの依存性は、それぞれ図4から図7に示したものと同じである。
【0098】
すなわち、前記実施の形態1と同様にこの実施の形態2においても、反射率の絶対値および位相は、液体の密度、液体中の縦波超音波の音速、固体の密度、固体中の縦波超音波の音速、固体中の横波超音波の音速、および音線3の入射角に依存して決まる。特に、入射角θが横波超音波に関する臨界角以上となる領域においては完全反射が生じるが、反射率の位相は入射角θにより大きく異なり、180°を越えて変化する。これは、図12および図13に示した超音波収束装置において、超音波の反射面14によって反射された超音波が、音線3の反射面14への入射角によっては、一部が他に対して逆相で反射されることを意味しており、これに着目して反射面14を構成しなければ、超音波発信源11から放射された縦波超音波が焦点5へ効率よく集まらないことを意味している。
【0099】
この実施の形態2の超音波収束装置でも、図4〜図7に示したような反射率の入射角θへの依存性を考慮に入れて反射面14の形状を決定する点が従来と異なっている。もう少し詳細に述べれば、反射面14のx軸とy軸を含む断面は放物線の一部となっているが、仮に前記断面が放物線である固体部材の表面を全面にわたって超音波の反射面として使用したことを考えたとき、焦点5へ到達する超音波の位相が逆相となって到達する前記表面上の領域が存在するので、この領域を削除した形状となるように、前記表面の一部を切り出して、これを反射面14として用いている。これによって、超音波発信源11から放射され反射面14で反射されて焦点5へ到達する超音波は全て同相で到達するようにできるので、超音波エネルギーの焦点5への収束効率が向上する。
【0100】
次に、具体的に反射面14の形状を決定する方法について述べる。
図12において、反射面14の2つの下端部41aの間のx軸方向に沿った距離をDとした場合について説明する。
2つの上端部42aの間のx軸方向に沿った距離はD以上であり、反射面14はz軸に垂直な断面が放物線である形状の一部となっているが、図13に示す断面形状において、以下、x軸の座標およびy軸の座標を、超音波発信源11の開口面のx軸方向に沿った長さの半分の長さであるD/2で規格化し、前記放物面に対応する放物線をy/(D/2)=a{x/(D/2)} で表す。すなわち、y=(2a/D)x で表す。ここでaの単位は[m−1]である。
【0101】
先ず、超音波発信源11から放射され反射面14で反射される縦波超音波の各音線3が、全て同相で焦点5へ到達するような、前記放物面の断面形状を決定する係数aの決定方法について述べる。
【0102】
図13において超音波発信源11から放射される音線3が反射面14に入射する際の入射角θのとる範囲は、前記実施の形態1の記述にみられる考察と同様の考察をこの実施の形態2について行うことから同じ式で表されることが判る。さらに、反射率の位相は、入射角θが横波超音波の臨界角以上の領域、つまり液体中の縦波超音波が完全反射する領域において、反射率の位相が−180°になるような、前記式(6)を満足する入射角θ’が存在する。また、入射角θが90°のときに反射率の位相は−180°になり、入射角θがθ’〜90°の領域においては、反射率の位相は0゜以下である。従って、入射角θの最小値であるtan−1(2ad/D)がθ’以上になるように、前記放物面の断面形状を決める係数aを決定すれば、超音波発信源11から放射され反射面14で反射されて焦点5へ到達する超音波は全て同相で到達するようにできるので、超音波エネルギーの焦点5への収束効率が向上する。
【0103】
以上、超音波発信源11から放射され反射面14で反射されて焦点5へ到達する縦波超音波の各音線3が全て同相で焦点5へ到達する放物面の断面形状を決める係数aの決定方法について述べた。
【0104】
次に、超音波発信源11から放射され反射面14で反射されて焦点5へ到達する縦波超音波の各音線3が、全てほぼ同じ位相で焦点5へ到達するようにできる放物面の断面形状を決める係数aの決定方法を、反射面14の2つの下端部41aの離間距離dが2つの上端部42aの離間距離Dの半分とした場合について、例を挙げて述べる。
【0105】
前記実施の形態1と同様にこの実施の形態2においても、z軸に垂直な各断面ごとに前記式(9)を使って、超音波発信源11から放射される音線の数を仮にM本として、Mを十分大きくとり、焦点5において得られる振幅|u|を、液体を水あるいはインク、反射面14を構成する固体部材を黄銅、亜鉛、マグネシウム、アルミニウムとして求めると、前記どの断面においても図8〜図11と同じ結果になる。なお、ここで2つの下端部41aの間のx軸方向に沿った距離dは、上述したように超音波発信源11の開口面のx軸方向に沿った長さDの半分であり、また、2つの上端部42aの間のx軸に沿った距離はD以上である。さらに、水あるいはインク、黄銅、亜鉛、マグネシウム、およびアルミニウムの超音波ないしは弾性的特性に関する材料定数については上述したものを用いた。
【0106】
図8より、液体が水あるいはインク、固体が黄銅のときは係数aを約1.3×10 [m−1]以上にすれば、前記式(9)から求まる振幅|u|は、ほぼ1になる。なお、前記式(4)で求められる各音線の反射に伴う位相シフト量φの各音線の間の差の最大値は、前記実施の形態1において述べた値と同じである。これは、z軸に垂直なすべての断面内において各音線3は反射面14上で完全反射され、その際の反射に伴う位相シフト量φが全ての音線に関してほぼ同じ値になっていることを意味している。この実施の形態2での超音波収束装置では、前記放物線の形状を決定する前記係数aを前記範囲に設定する。これによって、反射面14による反射の際の位相シフト量φが反射面14上の全ての点において、ほぼ同じ値となるので、焦点5へのエネルギー収束効率を高くできる。
【0107】
また、図9より、液体が水あるいはインク、固体が亜鉛のときは前記係数aを約1×10 [m−1]以上にすることにより、前記振幅|u|は、ほぼ1になる。なお、このときの前記式(4)で求められる各音線の反射に伴う位相シフト量φの各音線の間の差の最大値は前記実施の形態1において述べた値と同じである。
【0108】
また、図10より、液体が水あるいはインク、固体がマグネシウムのときは前記係数aを約0.8×10 [m−1]以上にすることにより、前記振幅|u|は、ほぼ1になる。なお、このときの前記式(4)で求められる各音線の反射に伴う位相シフト量φの各音線の間の差の最大値は、前記実施の形態1において述べた値と同じである。
【0109】
また、図11より、液体が水あるいはインク、固体がアルミニウムのときは前記係数aを約0.7×10 [m−1]以上にすることにより、前記振幅|u|は、ほぼ1になる。なお、このときの前記式(4)で求められる各音線の反射に伴う位相変化量φの各音線の間の差の最大値は前記実施の形態1において述べた値と同じである。
【0110】
以上のいくつかの例から判るように、前記式(4)で求められる各音線の反射に伴う位相変化量φの各音線の間の差の最大値が略40°以下であるように、前記式(5)から求まる入射角のとる範囲を前記係数aを決定することにより設定すれば、前記式(9)で求められる焦点5における振幅|u|は、ほぼ1になる。
【0111】
以上のように、この実施の形態2によれば、z軸に垂直なすべての断面内において、反射面14における反射率の振幅(絶対値)のみでなく、位相も考慮にいれ、超音波発信源11から発生した各音線3が反射面14上で完全反射され、その際の反射に伴う位相変化量φが全ての音線に関して同相となるように、入射角の最小値であるtan−1(2ad/D)が式(6)を満足する入射角であるθ’以上になるように反射面14の形状を決定した。これにより従来と比較して高いエネルギー効率で超音波発信源11で発生した超音波エネルギーを焦点5に収束できる超音波収束装置が得られる効果がある。
【0112】
また、z軸に垂直なすべての断面内において、反射面14の形状を決める前記係数aを、超音波発信源11から発生した縦波超音波の各音線3が反射面14上で完全反射され、その際の反射に伴う位相シフト量が全ての音線に関してほぼ同じ値となるように決めたので、固体部材の前記各断面により完全反射して焦点5へ収束する超音波エネルギーの収束効率を向上できる超音波収束装置が得られる効果がある。
【0113】
なお、以上の説明では、反射面14が形成されている固体部材が液体中に配置されている場合について説明したが、前記固体部材の全体が前記液体中に配置されている必要はなく、z軸に垂直なすべての断面内において、超音波発信源11から放射されて反射面14で反射され焦点5へ到達する縦波超音波の所要の伝搬経路のみが、液体で充填されている構成であっても適用できることは言うまでもない。
【0114】
実施の形態3.
図14は、この実施の形態3の超音波液体噴出装置の構成を示す斜視図であり、図15はその断面図である。
【0115】
この超音波液体噴出装置では、前記実施の形態1において示した超音波収束装置を利用しており、図14および図15において図1および図2と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
図14および図15において、8は反射面4が形成されている固体部材であり、反射面4は超音波を完全反射する固体部材8の表面の一部である。反射面4の形状は、回転放物面の一部であり、前記実施の形態1で説明した方法に従って決定されている。81は固体部材8の底面、82は反射面4の下端部41から固体部材8の底面81に向けて穿たれた円柱状の貫通孔(噴出孔)である。
【0116】
図14および図15において、9は板材であり、超音波発信源1の音響放射面に装着されている。図15に示す符号91は板材9に設けた貫通穴、10は板材9と固体部材8との間に設けた空隙である。101は液体供給装置、101aは液体供給源、101bは液体供給パイプであり、液体供給装置101はこれら液体供給源101a、液体供給パイプ101bなどから構成されている。液体供給パイプ101bの先端は板材9の貫通穴91に装着されている。12は液体の遮蔽板であり、空隙10は遮蔽板12により周辺が密封されている。
【0117】
なお、超音波発信源1と反射面4との相対的な位置関係は、前記実施の形態1で説明したものと同じである。すなわち、図示はしないが、超音波発信源1の開口面の中心を通り、この開口面に垂直な軸、すなわち、図1において示したy軸に相当する軸に対して反射面4が回転対称となるように、超音波発信源1と反射面4とが相対的に配置されている。
【0118】
次に、図14と図15に示した超音波液体噴出装置の動作について説明する。液体供給装置101によって液体供給源101aから液体が供給される。この液体は、液体供給パイプ101bと板材9の貫通穴91を介して空隙10に導かれる。空隙10に導かれた液体は、板材9と固体部材8との間の空隙10を充填する。さらに、固体部材8の表面の一部である反射面4と、この反射面4の上端部42と下端部41とで囲まれた空間も前記液体により充填される。さらに、前記液体により、固体部材8の貫通孔82も充填される。空隙10の周辺は遮蔽板12で囲まれて密封されているので、この空隙10に充填された液体は、固体部材8の貫通孔82の直径が大きければ、この貫通孔82を通してだけ流出することになる。しかしながら貫通孔82の直径は、液体の表面張力を利用して自然には貫通孔82から流出しないように小さくしてある。ここで、「自然には」という表現は、超音波発信源1から超音波が放射されていない状態であることを意味する。
貫通孔82の直径が大きく液体が貫通孔82から流出する場合には、固体部材8の貫通孔82の開口面に、自然に前記液体が流出しない径の小さい孔が焦点5付近に形成された板材を装着すればよい。
【0119】
上述したように液体が充填された状態において、超音波発信源1から超音波を放射する。放射された超音波は図15の音線3により示すように、板材9を介して液体で充填された空隙10に到達する。さらに、反射面4と、この反射面4の上端部42と下端部41とで囲まれた空間部に超音波は到達する。なお、この空間部も上述したように液体で充填されている。超音波の各音線3は、図15に示すように反射面4で反射され、反射された超音波は、反射面4と、この反射面4の上端部42と下端部41とで囲まれた空間部、並びに貫通孔82内を伝搬して焦点5に収束する。超音波発信源1から放射された超音波が反射面4で反射され焦点5に収束する動作は、前記実施の形態1で述べたものと同じである。
【0120】
自然には前記液体が固体部材8の貫通孔82から流出しない状態において、超音波発信源1から超音波を放射すると、焦点5に収束した超音波エネルギーによって液体の表面張力が打ち破られ、貫通孔82を充填していた液体の一部を液滴となって噴出させることができる。
なお、この際、液体供給装置101からは、逐次、液体が供給されている。
【0121】
なお、この実施の形態3の超音波液体噴出装置において、液体を水ないしはインクとすれば、超音波によって水ないしはインクを液滴として貫通孔82から噴出させることができる。前記実施の形態1の説明において述べた反射面4の形状を決定する係数aは、液体がインクの場合においても、インクの超音波に関する特性は水に関する特性と大差ないので、前記実施の形態1において述べたように決定すれば効率よく超音波エネルギーを焦点5に集められる。特に、液体がインク、固体部材8が黄銅、亜鉛、マグネシウム、またはアルミニウムの場合では、前記係数aをそれぞれの組み合わせにおいて前記実施の形態1で示した値に決定すれば高い効率で超音波エネルギーを焦点5に集められる。
【0122】
なお、この実施の形態3において、超音波発信源1の電極が液体に直接接触すると腐食が生じることがあることから、板材9は前記電極を腐食から保護する役割を果たす。また、液体が帯電している場合は、液体と超音波発信源1とを絶縁する役割も果たす。さらに、板材9として、その音響インピーダンスが超音波発信源1の音響インピーダンスと液体の音響インピーダンスとの中間の値を持つものを使用することにより音響整合層としての役割も持たせることができる。
【0123】
以上のように、この実施の形態3によれば、前記実施の形態1で述べた超音波収束装置を利用して、液体供給装置101から供給された液体を超音波によって噴出させるので、超音波発信源1から放射された超音波のエネルギーを焦点5へ効率良く収束でき、さらに、この収束された超音波によって効率よく液体を噴出できる超音波液体噴出装置が得られる効果がある。
【0124】
なお、図15では、焦点5が固体部材8の底面81とほぼ同じ面上に位置するように構成した場合を図示したが、これに限らず、焦点5の位置は固体部材8の貫通穴82の中心軸の近傍で、かつ、固体部材8の底面81近くにあればよく、上述したものと同じ効果が得られる。
【0125】
また、以上の説明では貫通孔82が円柱状に形成されている場合について説明したが、貫通孔82の形状はこれに限らず側面がテーパーを持った穴でもよい。すなわち、円錐形状に形成されたものであってもよい。そして、この円錐形状の穴の直径は、液滴が噴出する側の内径が反射面4の下端部41の側の内径に比べて小さい構成であれば、より効率よく液滴を噴出できる効果が得られる。
【0126】
実施の形態4.
図16は、この実施の形態4の超音波液体噴出装置の構成を示す斜視図であり、図17はその断面図である。
この実施の形態4の超音波液体噴出装置では、前記実施の形態2において示した超音波収束装置を利用しており、図16および図17において図12から図15と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
【0127】
図16および図17において、固体部材8に構成された反射面14の形状は、ある一定の方向に沿って一様な形状を有する放物面の一部をなしており、前記実施の形態2で説明した方法に従って決定されたものである。83は反射面14の下端部41aから固体部材8の底面81に向けて設けた直方体状の貫通孔(噴出孔)である。
なお、この実施の形態4でも超音波発信源11と反射面14との相対的な位置関係は、前記実施の形態2で説明したものと同じである。
【0128】
次に、図16と図17に示した超音波液体噴出装置の動作について説明する。液体供給装置101により、液体が液体供給源101aから液体供給パイプ101bと板材9の貫通穴91を介して空隙10に導かれる。空隙10に導かれた液体は、板材9と固体部材8との間の空隙10を充填する。さらに、固体部材8の2つの反射面14により構成される内側面を有する空間と固体部材8の貫通孔83とを充填する。空隙10の周辺は遮蔽板12で囲まれて密封されている。そして、このように充填された液体が、貫通孔83から自然に流出しないように貫通孔83の断面積は小さくしてある。
【0129】
このように前記液体が充填された状態において、超音波発信源11から超音波を放射する。放射された超音波は、図17の音線3によって示すように、板材9を介して前記液体で充填された空隙10に到達し、反射板14によって反射されて焦点5に収束する。超音波発信源11から放射された超音波が反射面14で反射され焦点5に収束する動作は、前記実施の形態2で述べたものと同じである。
【0130】
前記液体が固体部材8の貫通孔83から自然には流出しない状態において、超音波発信源11から超音波を放射すると、焦点5に収束した超音波エネルギーによって貫通孔83に充填されている前記液体の表面張力が打ち破られ、貫通孔83を充填していた液体の一部が液滴となって噴出する。
なお、この際、液体供給装置101からは、逐次、液体が供給されていることは、前記実施の形態3の場合と同様である。
【0131】
この実施の形態4の超音波液体噴出装置においても、液体を水ないしはインクとすれば、超音波によって水ないしはインクを液滴として噴出することができる。前記実施の形態2の説明において示した反射面4の形状を決定する係数aは、液体がインクの場合においても、インクの超音波に関する特性は水に関する特性と大差ないので、前記実施の形態2において述べたように決定すれば効率よく超音波エネルギーを焦点5に収束することができる。特に、液体がインク、固体部材8が黄銅、亜鉛、マグネシウム、またはアルミニウムの場合は、前記係数aは、それぞれの組み合わせにおいて前記実施の形態2において示した値にすれば高い効率で超音波エネルギーを焦点5に収束することができる。
なお、この実施の形態4においても、板材9は前記実施の形態3と同じ役割を果たす。
【0132】
以上のように、この実施の形態4によれば、前記実施の形態2で述べた超音波収束装置を利用し、液体供給装置から供給された液体を超音波によって貫通孔83の開口部から噴出させるようにしたので、焦点5へ効率よく収束させた超音波発信源11から放射された超音波のエネルギーによって、効率よく前記液体を貫通孔83の開口部から噴出できる超音波液体噴出装置が得られる効果がある。
【0133】
なお、図17に示す焦点5は、固体部材8の底面81とほぼ同じ面上に位置するように構成したが、これに限らず焦点5の位置は、固体部材8の貫通孔83の中心軸の近傍で、かつ、固体部材8の底面81近くにあれば同様な効果が得られる。
【0134】
また、貫通孔83の側面にテーパーを設けてもよい。このような形状とした場合において、特に貫通孔83の液滴吐出側の開口面積が、反射面14の下端部41aに接する側の開口面積よりも小さくなるように前記テーパーを設ければ、より効率よく液滴を吐出できる効果が得られる。
【0135】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、反射面が固体部材の一部の表面で構成され、超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線の入射角との関係で、縦波超音波が液体中で完全反射して前記縦波超音波の予め規定された焦点に収束する形状に構成されるとともに、前記各音線が反射される際の反射に伴う位相シフト量が各音線に関して同相となる形状に反射面を構成したので、超音波発信源で発生した超音波エネルギーを効率良く焦点に収束できる効果がある。
【0136】
この発明によれば、長さの単位を[m]として、液体の密度、前記液体中の縦波超音波の音速、固体部材の密度、前記固体部材中の縦波超音波の音速、並びに前記固体部材中の横波超音波の音速によって決定される[m−1]の単位を持つ所定値以上の値である係数をa、回転放物面形状の上端面の直径の長さをDとしたとき、回転軸をy軸にした前記回転放物面形状の断面を規定する2次関数で与えられる曲線が、前記y軸と交差する原点において当該y軸と直行する線がx軸であるy=(2a/D)x で規定される放物線であって、前記回転放物面形状の一部により構成され、前記縦波超音波の各音線を前記回転放物面の焦点に収束させる形状の反射面を有し、前記反射面を構成する前記回転放物面の前記回転軸と平行に前記各音線が完全反射する入射角で、前記各音線を前記反射面へ放射する位置に超音波発信源を配置するように構成したので、前記回転放物面形状の一部により構成された反射面で反射させた前記各音線による超音波エネルギーを前記焦点へ効率よく収束できる効果がある。
【0137】
この発明によれば、超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線が完全反射する領域において、回転放物面の下端面の直径dと上端面の直径Dで規定される範囲内の前記回転放物面の形状を決めるy=(2a/D)x で規定される放物線の係数aを、液体の密度ρ 、前記液体中の縦波超音波の音速ν 、前記固体部材の密度ρ 、前記固体部材中の縦波超音波の音速ν 、前記固体部材中の横波超音波の音速ν で規定される反射率の位相が−180゜となる第1の入射角θ’以上、かつ90゜以下の範囲内に入射角が制限される値になるように構成したので、前記係数aにより規定される放物線による前記回転放物面で反射する前記各音線が焦点へ収束する際に、逆相を含んで焦点に収束することがなくなり、前記各音線による超音波エネルギーを前記焦点へ効率よく収束できる効果がある。
【0138】
この発明によれば、長さの単位が[m]であり、液体の密度、前記液体中の縦波超音波の音速、固体部材の密度、前記固体部材中の縦波超音波の音速、並びに、前記固体部材中の横波超音波の音速によって決定される所定値以上の値である[m−1]の単位を持つ係数をa、2つの放物面の上端部の離間距離をD、前記2つの放物面の対称軸をy軸としたとき、前記2つの放物面の断面を規定する2次関数で与えられる曲線が、前記y軸と交差する原点において当該y軸と直行する線がx軸であるy=(2a/D)x で表され、前記断面と直行する方向に一様である前記放物面の一部により構成され、前記対称軸に平行に超音波発信源から放射される前記縦波超音波の各音線を前記放物面の焦点に収束させる形状の反射面を備えるように構成したので、前記2つの方物面の一部により構成された反射面で反射させた、前記超音波発信源で発生した超音波エネルギーを効率よく焦点に収束できる効果がある。
【0139】
この発明によれば、超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線が完全反射する領域において、2つの放物面の上端面の離間距離をDとしたときの前記放物面の形状を決めるy=(2a/D)x で規定される放物線の係数aを、液体の密度ρ 、前記液体中の縦波超音波の音速ν 、固体部材の密度ρ 、前記固体部材中の縦波超音波の音速ν 、前記固体部材中の横波超音波の音速ν で規定される反射率の位相が−180゜となる第1の入射角θ’以上、かつ90゜以下の範囲内に入射角が制限される値になるように構成したので、前記係数aにより規定される放物線による前記2つの放物面で反射する前記各音線が焦点へ収束する際に、逆相を含んで焦点に収束することがなくなり、前記各音線による超音波エネルギーを前記焦点へ効率よく収束できる効果がある。
【0140】
この発明によれば、超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線の反射面への入射角の範囲を、前記各音線が完全反射し、かつ前記各音線の反射に伴う位相シフト量の前記各音線間の差が略零になる範囲になるように構成したので、前記反射面で反射する前記各音線が焦点へ収束する際に、逆相を含んで焦点に収束することがなくなり、前記各音線による超音波エネルギーを前記焦点へ位相のバラツキを略零にして効率よく収束できる効果がある。
【0141】
この発明によれば、超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線の反射面への入射角のとる範囲を、前記各音線が完全反射し、かつ前記各音線の反射に伴う位相シフト量の差の最大値を略40°以下の範囲になるように構成したので、前記反射面で反射する前記各音線が焦点へ収束する際に、前記各音線による超音波エネルギーを高いエネルギー効率で前記焦点へ収束できる効果がある。
【0142】
この発明によれば、液体を水あるいはインク、固体部材を黄銅として、長さの単位を[m]で表したとき、係数aの値を略1.3×10 [m−1]以上になるように構成したので、材質が黄銅である反射面を用いたときの焦点へのエネルギー収束効率を向上できる効果がある。
【0143】
この発明によれば、液体を水あるいはインク、固体部材を亜鉛として、長さの単位を[m]で表したとき、係数aの値を略1×10 [m−1]以上になるように構成したので、材質が亜鉛である反射面を用いたときの焦点へのエネルギー収束効率を向上できる効果がある。
【0144】
この発明によれば、液体を水あるいはインク、固体部材をマグネシウムとして、長さの単位を[m]で表したとき、係数aの値を略0.8×10 [m−1]以上になるように構成したので、材質がマグネシウムである反射面を用いたときの焦点へのエネルギー収束効率を向上できる効果がある。
【0145】
この発明によれば、液体を水あるいはインク、固体部材をアルミニウムとして、長さの単位を[m]で表したとき、係数aの値を略0.7×10 [m−1]以上になるように構成したので、材質がアルミニウムである反射面を用いたときの焦点へのエネルギー収束効率を向上できる効果がある。
【0146】
この発明によれば、液体中に縦波超音波を放射する超音波発信源と、前記超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線の入射角との関係で、縦波超音波を前記液体中で完全反射させて前記縦波超音波の予め規定された焦点に収束させる形状であるとともに、前記各音線が前記反射面によって反射される際の反射に伴う位相シフト量が各音線に関して同相となる形状である前記液体中に配置された反射面を有した固体部材とを備えた超音波収束装置と、前記液体を逐次供給する液体供給装置と、前記液体中の縦波超音波によって前記液体が噴出する、前記焦点付近に構成された噴出孔とを備えるように構成したので、前記超音波発信源で発生した超音波エネルギーを効率良く液体の噴出に利用できる効果がある。
【0147】
この発明によれば、超音波収束装置の固体部材により構成され液体中に配置された反射面を、長さの単位を[m]とし、液体の密度、前記液体中の縦波超音波の音速、固体部材の密度、前記固体部材中の縦波超音波の音速、並びに前記固体部材中の横波超音波の音速によって決定される[m−1]の単位を持つ所定値以上の値である係数をa、回転放物面形状の上端面の直径の長さをDとしたとき、回転軸をy軸にした前記回転放物面形状の断面を規定する2次関数で与えられる曲線が、前記y軸と交差する原点において当該y軸と直行する線がx軸であるy=(2a/D)x で規定される放物線であって、前記回転放物面形状の一部により構成され、前記縦波超音波の各音線を前記回転放物面の焦点に収束させる形状に構成し、超音波発信源を、前記反射面を構成する前記回転放物面の前記回転軸と平行に、前記各音線が完全反射する入射角で、前記各音線を前記反射面へ放射する位置に配置するように構成したので、前記回転放物面形状の一部により構成された反射面で反射させた前記各音線による超音波エネルギーを、超音波収束装置により前記焦点へ効率よく収束させ、前記超音波発信源で発生した超音波エネルギーを効率良く液体の噴出に利用できる効果がある。
【0148】
この発明によれば、超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線が完全反射する領域において、超音波収束装置における回転放物面の下端面の直径d、上端面の直径Dで規定される範囲内の前記放物面の形状を決めるy=(2a/D)x で規定される放物線の係数aを、液体の密度ρ 、前記液体中の縦波超音波の音速ν 、固体部材の密度ρ 、前記固体部材中の縦波超音波の音速ν 、前記固体部材中の横波超音波の音速ν で規定される反射率の位相が−180゜となる第1の入射角θ’以上、かつ90゜以下の範囲内に入射角が制限される値になるように構成したので、前記係数aにより規定される放物線による回転放物面で反射する前記各音線が焦点へ収束する際に、逆相を含んで焦点に収束することがなく、前記各音線による超音波エネルギーを前記焦点へ効率よく収束させ、前記超音波発信源で発生した超音波エネルギーを効率良く液体の噴出に利用できる効果がある。
【0149】
この発明によれば、超音波収束装置における反射面を、長さの単位が[m]であり、液体の密度、前記液体中の縦波超音波の音速、固体部材の密度、前記固体部材中の縦波超音波の音速、並びに、前記固体部材中の横波超音波の音速によって決定される所定値以上の値である[m−1]の単位を持つ係数をa、2つの放物面の上端部の離間距離をD、前記2つの放物面の対称軸をy軸としたとき、前記2つの放物面の断面を規定する2次関数で与えられる曲線が、前記y軸と交差する原点において当該y軸と直行する線がx軸であるy=(2a/D)x で表され、前記断面と直行する方向に一様である前記放物面の一部により構成されて前記縦波超音波の各音線を前記放物面の焦点に収束させる形状に構成したので、超音波収束装置の前記2つの放物面の一部により構成された反射面で反射させた前記各音線による超音波エネルギーを前記焦点へ効率よく収束させ、前記超音波発信源で発生した超音波エネルギーを効率良く液体の噴出に利用できる効果がある。
【0150】
この発明によれば、超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線が完全反射する領域において、超音波収束装置における2つの放物面の上端面の離間距離をDとしたときに前記放物面の形状を決めるy=(2a/D)x で規定される放物線の係数aを、液体の密度ρ 、前記液体中の縦波超音波の音速ν 、固体部材の密度ρ 、前記固体部材中の縦波超音波の音速ν 、前記固体部材中の横波超音波の音速ν で規定される反射率の位相が−180゜となる第1の入射角θ’以上、かつ90゜以下の範囲内に入射角が制限される値になるように構成したので、前記係数aにより規定される放物線による2つの放物面で反射する前記各音線が焦点へ収束する際に、逆相を含んで焦点に収束することがなく、前記各音線による超音波エネルギーを前記焦点へ効率よく収束させ、前記超音波発信源で発生した超音波エネルギーを効率良く液体の噴出に利用できる効果がある。
【0151】
この発明によれば、超音波収束装置における超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線の反射面への入射角の範囲を、前記各音線が完全反射し、かつ前記各音線の反射に伴う位相シフト量の前記各音線間の差が略零になる範囲になるように構成したので、前記反射面で反射する前記各音線が焦点へ収束する際に、逆相を含んで焦点に収束することがない超音波エネルギーを効率良く液体の噴出に利用できる効果がある。
【0152】
この発明によれば、超音波収束装置における超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線の反射面への入射角のとる範囲を、前記各音線が完全反射し、かつ前記各音線の反射に伴う位相シフト量の差の最大値が略40°以下の範囲になるように構成したので、高いエネルギー効率で前記焦点へ収束させた前記各音線による超音波エネルギーを効率良く液体の噴出に利用できる効果がある。
【0153】
この発明によれば、超音波収束装置における反射面が、黄銅からなる固体部材により構成され、水またはインクである液体中に配置されており、長さの単位を[m]で表したとき、係数aの値が略1.3×10 [m−1]以上になるように構成したので、材質が黄銅である反射面による焦点へのエネルギー収束効率を向上させ、効率よく収束させた前記各音線による超音波エネルギーを液体の噴出に利用できる効果がある。
【0154】
この発明によれば、超音波収束装置における反射面が、亜鉛からなる固体部材により構成され、水またはインクである液体中に配置されており、長さの単位を[m]で表したとき、係数aの値を略1×10 [m−1]以上になるように構成したので、材質が亜鉛である反射面による焦点へのエネルギー収束効率を向上させ、効率よく収束させた前記各音線による超音波エネルギーを液体の噴出に利用できる効果がある。
【0155】
この発明によれば、超音波収束装置における反射面が、マグネシウムからなる固体部材により構成され、水またはインクである液体中に配置されており、長さの単位を[m]で表したとき、係数aの値を略0.8×10 [m−1]以上になるように構成したので、材質がマグネシウムである反射面による焦点へのエネルギー収束効率を向上させ、効率よく収束させた前記各音線による超音波エネルギーを液体の噴出に利用できる効果がある。
【0156】
この発明によれば、超音波収束装置における反射面が、アルミニウムからなる固体部材により構成され、水またはインクである液体中に配置されており、長さの単位を[m]で表したとき、係数aの値を略0.7×10 [m−1]以上になるように構成したので、材質がアルミニウムである反射面による焦点へのエネルギー収束効率を向上させ、効率よく収束させた前記各音線による超音波エネルギーを液体の噴出に利用できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による超音波収束装置の構成を示す模式図である。
【図2】この発明の実施の形態1による超音波収束装置の構成を示す断面図である。
【図3】この発明の実施の形態1による超音波収束装置の液体と固体の境界面、縦波の透過波、横波の透過波、入射角などを示す動作説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1による超音波収束装置の入射角が0°〜90°の範囲における、液体が水、固体が黄銅である場合の反射面での反射率の絶対値および位相を示す特性図である。
【図5】この発明の実施の形態1による超音波収束装置の入射角が0°〜90°の範囲における、液体が水、固体が亜鉛である場合の反射面での反射率の絶対値および位相を示す特性図である。
【図6】この発明の実施の形態1による超音波収束装置の入射角が0°〜90°の範囲における、液体が水、固体がマグネシウムである場合の反射面での反射率の絶対値および位相を示す特性図である。
【図7】この発明の実施の形態1による超音波収束装置の入射角が0°〜90°の範囲における、液体が水、固体がアルミニウムである場合の反射面での反射率の絶対値および位相を示す特性図である。
【図8】この発明の実施の形態1による超音波収束装置の各音線の焦点における振幅を、係数aを0から2の範囲で計算した特性図である。
【図9】この発明の実施の形態1による超音波収束装置の各音線の焦点における振幅を、係数aを0から2の範囲で計算した特性図である。
【図10】この発明の実施の形態1による超音波収束装置の各音線の焦点における振幅を、係数aを0から2の範囲で計算した特性図である。
【図11】この発明の実施の形態1による超音波収束装置の各音線の焦点における振幅を、係数aを0から2の範囲で計算した特性図である。
【図12】この発明の実施の形態2による超音波収束装置の構成を示す模式図である。
【図13】この発明の実施の形態2による超音波収束装置の構成を示す断面図である。
【図14】この発明の実施の形態3による超音波液体噴出装置の構成を示す斜視図である。
【図15】この発明の実施の形態3による超音波液体噴出装置の構成を示す断面図である。
【図16】この発明の実施の形態4による超音波液体噴出装置の構成を示す斜視図である。
【図17】この発明の実施の形態4による超音波液体噴出装置の構成を示す断面図である。
【図18】従来の超音波収束装置を示す説明図である。
【図19】従来の超音波収束装置を示す説明図である。
【図20】従来の超音波収束装置を示す説明図である。
【符号の説明】
1,11 超音波発信源、3 音線、4,14 反射面、5 焦点、8 固体部材、82,83 貫通孔(噴出孔)、101 液体供給装置。

Claims (22)

  1. 液体中に縦波超音波を放射する超音波発信源と、前記液体中に配置され、前記超音波発信源から前記液体中に放射された縦波超音波を、前記液体中において収束させるための反射面を有した固体部材とで構成された超音波収束装置において、
    前記反射面は、
    前記固体部材の一部の表面で構成され、形状が前記超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線の入射角との関係で、縦波超音波が前記液体中で完全反射して前記縦波超音波の予め規定された焦点に収束する形状に構成されるとともに、前記各音線が前記反射面によって反射される際の反射に伴う位相シフト量が各音線に関して同相となる形状に構成されていることを特徴とする超音波収束装置。
  2. 反射面は、
    長さの単位を[m]とし、液体の密度、前記液体中の縦波超音波の音速、固体部材の密度、前記固体部材中の縦波超音波の音速、並びに前記固体部材中の横波超音波の音速によって決定される[m−1]の単位を持つ所定値以上の値である係数をa、回転放物面形状の上端面の直径の長さをDとしたとき、回転軸をy軸にした前記回転放物面形状の断面を規定する2次関数で与えられる曲線が、前記y軸と交差する原点において当該y軸と直行する線がx軸であるy=(2a/D)x で規定される放物線であって、前記回転放物面形状の一部により構成され、前記縦波超音波の各音線を前記回転放物面の焦点に収束させる形状を有し、
    超音波発信源は、
    前記反射面を構成する前記回転放物面の前記回転軸と平行に、前記各音線が完全反射する入射角で、前記各音線を前記反射面へ放射する位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の超音波収束装置。
  3. 回転放物面の下端面の直径をd、前記回転放物面の上端面の直径をD、液体の密度をρ 、前記液体中の縦波超音波の音速をν 、固体部材の密度をρ 、前記固体部材中の縦波超音波の音速をν 、前記固体部材中の横波超音波の音速をν としたとき、超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線が完全反射する領域において、前記下端面の直径dと上端面の直径Dで規定される範囲内の前記下端面の直径dと上端面の直径Dで規定される範囲内の前記回転放物面の形状を決めるy=(2a/D)x で規定される放物線の係数aを、前記液体の密度ρ 、前記液体中の縦波超音波の音速ν 、前記固体部材の密度ρ 、前記固体部材中の縦波超音波の音速ν 、前記固体部材中の横波超音波の音速ν で規定される反射率の位相が−180゜となる第1の入射角θ’以上、かつ90゜以下の範囲内に入射角が制限される値にしたことを特徴とする請求項2記載の超音波収束装置。
  4. 反射面は、
    長さの単位が[m]であり、液体の密度、前記液体中の縦波超音波の音速、固体部材の密度、前記固体部材中の縦波超音波の音速、並びに、前記固体部材中の横波超音波の音速によって決定される所定値以上の値である[m−1]の単位を持つ係数をa、2つの放物面の上端部の離間距離をD、前記2つの放物面の対称軸をy軸としたとき、前記2つの放物面の断面を規定する2次関数で与えられる曲線が、前記y軸と交差する原点において当該y軸と直行する線がx軸であるy=(2a/D)x で表され、前記断面と直行する方向に一様である前記放物面の一部により構成されて前記縦波超音波の各音線を前記放物面の焦点に収束させる形状であり、
    超音波発信源は、
    前記反射面を構成する前記放物面の前記対称軸と平行に前記各音線が完全反射する入射角で各音線を前記反射面へ放射する位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の超音波収束装置。
  5. 2つの放物面の下端部の離間距離をd、前記放物面の上端面の離間距離をD、液体の密度をρ 、前記液体中の縦波超音波の音速をν 、固体部材の密度をρ 、前記固体部材中の縦波超音波の音速をν 、前記固体部材中の横波超音波の音速をν としたとき、超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線が完全反射する領域において、前記放物面の形状を決めるy=(2a/D)x で規定される放物線の係数aを、前記液体の密度ρ 、前記液体中の縦波超音波の音速ν 、前記固体部材の密度ρ 、前記固体部材中の縦波超音波の音速ν 、前記固体部材中の横波超音波の音速ν で規定される反射率の位相が−180゜となる第1の入射角θ’以上、かつ90゜以下の範囲内に入射角が制限される値にしたことを特徴とする請求項4記載の超音波収束装置。
  6. 超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線の反射面への入射角の範囲は、前記各音線が完全反射し、かつ前記各音線の反射に伴う位相シフト量の前記各音線間の差を略零にする範囲であることを特徴とする請求項2から請求項5のうちのいずれか1項記載の超音波収束装置。
  7. 超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線の反射面への入射角のとる範囲は、前記各音線が完全反射し、かつ前記各音線の反射に伴う位相シフト量の差の最大値が略40°以下の範囲であることを特徴とする請求項2から請求項5のうちのいずれか1項記載の超音波収束装置。
  8. 液体を水あるいはインク、固体部材を黄銅として、長さの単位を[m]で表したとき、係数aの値が略1.3×10 [m−1]以上であることを特徴とする請求項2から請求項5のうちのいずれか1項記載の超音波収束装置。
  9. 液体を水あるいはインク、固体部材を亜鉛として、長さの単位を[m]で表したとき、係数aの値は略1×10 [m−1]以上であることを特徴とする請求項2から請求項5のうちのいずれか1項記載の超音波収束装置。
  10. 液体を水あるいはインク、固体部材をマグネシウムとして、長さの単位を[m]で表したとき、係数aの値は略0.8×10 [m−1]以上であることを特徴とする請求項2から請求項5のうちのいずれか1項記載の超音波収束装置。
  11. 液体を水あるいはインク、固体部材をアルミニウムとして、長さの単位を[m]で表したとき、係数aの値は略0.7×10 [m−1]以上であることを特徴とする請求項2から請求項5のうちのいずれか1項記載の超音波収束装置。
  12. 液体中に縦波超音波を放射する超音波発信源と、前記超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線の入射角との関係で、縦波超音波を前記液体中で完全反射させて前記縦波超音波の予め規定された焦点に収束させる形状であるとともに、前記各音線が前記反射面によって反射される際の反射に伴う位相シフト量が各音線に関して同相となる形状である前記液体中に配置された反射面を有した固体部材とを備えた超音波収束装置と、
    前記液体を逐次供給する液体供給装置と、
    前記液体中の縦波超音波によって前記液体が噴出する、前記焦点付近に構成された噴出孔とを備えた超音波液体噴出装置。
  13. 固体部材により構成され液体中に配置された反射面は、
    長さの単位を[m]とし、液体の密度、前記液体中の縦波超音波の音速、固体部材の密度、前記固体部材中の縦波超音波の音速、並びに前記固体部材中の横波超音波の音速によって決定される[m−1]の単位を持つ所定値以上の値である係数をa、回転放物面形状の上端面の直径の長さをDとしたとき、回転軸をy軸にした前記回転放物面形状の断面を規定する2次関数で与えられる曲線が、前記y軸と交差する原点において当該y軸と直行する線がx軸であるy=(2a/D)x で規定される放物線であって、前記回転放物面形状の一部により構成され、前記縦波超音波の各音線を前記回転放物面の焦点に収束させる形状を有し、
    超音波発信源が、
    前記反射面を構成する前記回転放物面の前記回転軸と平行に、前記各音線が完全反射する入射角で、前記各音線を前記反射面へ放射する位置に配置されている超音波収束装置と、
    前記液体を逐次供給する液体供給装置と、
    前記液体中の縦波超音波によって前記液体が噴出する、前記焦点付近に構成された噴出孔とを備えていることを特徴とする請求項12記載の超音波液体噴出装置。
  14. 超音波収束装置における回転放物面の下端面の直径をd、前記回転放物面の上端面の直径をD、液体の密度をρ 、前記液体中の縦波超音波の音速をν 、固体部材の密度をρ 、前記固体部材中の縦波超音波の音速をν 、前記固体部材中の横波超音波の音速をν としたとき、超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線が完全反射する領域において、前記下端面の直径dと上端面の直径Dで規定される範囲内の前記回転放物面の形状を決めるy=(2a/D)x で規定される放物線の係数aを、前記液体の密度ρ 、前記液体中の縦波超音波の音速ν 、前記固体部材の密度ρ 、前記固体部材中の縦波超音波の音速ν 、前記固体部材中の横波超音波の音速ν で規定される反射率の位相が−180゜となる第1の入射角θ’以上、かつ90゜以下の範囲内に入射角が制限される値にしたことを特徴とする請求項13記載の超音波液体噴出装置。
  15. 超音波収束装置における反射面は、
    長さの単位が[m]であり、液体の密度、前記液体中の縦波超音波の音速、固体部材の密度、前記固体部材中の縦波超音波の音速、並びに、前記固体部材中の横波超音波の音速によって決定される所定値以上の値である[m−1]の単位を持つ係数をa、2つの放物面の上端部の離間距離をD、前記2つの放物面の対称軸をy軸としたとき、前記2つの放物面の断面を規定する2次関数で与えられる曲線が、前記y軸と交差する原点において当該y軸と直行する線がx軸であるy=(2a/D)x で表され、前記断面と直行する方向に一様である前記放物面の一部により構成されて前記縦波超音波の各音線を前記放物面の焦点に収束させる形状であり、
    超音波収束装置における超音波発信源は、
    前記反射面を構成する前記放物面の前記対称軸と平行に前記各音線が完全反射する入射角で各音線を前記反射面へ放射する位置に配置されていることを特徴とする請求項12記載の超音波液体噴出装置。
  16. 超音波収束装置における2つの放物面の下端部の離間距離をd、前記放物面の上端面の離間距離をD、液体の密度をρ 、前記液体中の縦波超音波の音速をν 、固体部材の密度をρ 、前記固体部材中の縦波超音波の音速をν 、前記固体部材中の横波超音波の音速をν としたとき、超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線が完全反射する領域において、前記放物面の形状を決めるy=(2a/D)x で規定される放物線の係数aを、前記液体の密度ρ 、前記液体中の縦波超音波の音速ν 、前記固体部材の密度ρ 、前記固体部材中の縦波超音波の音速ν 、前記固体部材中の横波超音波の音速ν で規定される反射率の位相が−180゜となる第1の入射角θ’以上、かつ90゜以下の範囲内に入射角が制限される値にしたことを特徴とする請求項15記載の超音波液体噴出装置。
  17. 超音波収束装置における超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線の反射面への入射角の範囲は、前記各音線が完全反射し、かつ前記各音線の反射に伴う位相シフト量の前記各音線間の差を略零にする範囲であることを特徴とする請求項13から請求項16のうちのいずれか1項記載の超音波液体噴出装置。
  18. 超音波収束装置における超音波発信源から放射された縦波超音波の各音線の反射面への入射角のとる範囲は、前記各音線が完全反射し、かつ前記各音線の反射に伴う位相シフト量の差の最大値が略40°以下の範囲であることを特徴とする請求項13から請求項16のうちのいずれか1項記載の超音波液体噴出装置。
  19. 超音波収束装置における反射面が、黄銅からなる固体部材により構成され、水またはインクである液体中に配置されており、長さの単位を[m]で表したとき、係数aの値が略1.3×10 [m−1]以上であることを特徴とする請求項13から請求項16のうちのいずれか1項記載の超音波液体噴出装置。
  20. 超音波収束装置における反射面が、亜鉛からなる固体部材により構成され、水またはインクである液体中に配置されており、長さの単位を[m]で表したとき、係数aの値は略1×10 [m−1]以上であることを特徴とする請求項13から請求項16のうちのいずれか1項記載の超音波液体噴出装置。
  21. 超音波収束装置における反射面が、マグネシウムからなる固体部材により構成され、水またはインクである液体中に配置されており、長さの単位を[m]で表したとき、係数aの値は略0.8×10 [m−1]以上であることを特徴とする請求項13から請求項16のうちのいずれか1項記載の超音波液体噴出装置。
  22. 超音波収束装置における反射面が、アルミニウムからなる固体部材により構成され、水またはインクである液体中に配置されており、長さの単位を[m]で表したとき、係数aの値は略0.7×10 [m−1]以上であることを特徴とする請求項13から請求項16のうちのいずれか1項記載の超音波液体噴出装置。
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