JP2005058221A - 種子コーティング用組成物、コーティング種子およびコーティング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、乾燥しやすい環境下でも種子の発芽率を向上させることができる種子コーティング用組成物、該組成物でコーティングされたコーティング種子、および種子のコーティング方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明に係る種子コーティング用組成物は、下記一般式(1)で表されるN−ビニルカルボン酸アミドと架橋性モノマーとを含むモノマー混合物を共重合してなる吸水性樹脂、および造粒材を含有することを特徴とする。
【化1】
Figure 2005058221

(式(1)中、R1は水素原子、メチル基、またはフェニル基を示し、R2は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル基を示し、R1とR2は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、種子コーティングに用いられる種子コーティング用組成物、コーティング種子およびコーティング方法に関するものであり、特に乾燥地域での播種の際、水不足による種子の発芽率の低下を抑えることができる種子コーティング用組成物、該組成物でコーティングされたコーティング種子、および種子のコーティング方法に関するものである。
野菜、花、穀物、牧草などの栽培においては、播種から発芽までの管理がきわめて重要であり、その発芽率が収量の多少を決定する重要な要因である。播種後の発芽率の低下をひきおこす原因として種子の休眠期間のばらつき、種子中の水分不足、播種後の土壌水分の過不足、病原菌による被害、害虫による被害等があげられる。特に、発芽時には、種子周辺に過不足のない水分が必要である。乾燥地や法面の場合、播種後の灌水が充分に行われず、発芽率の低下が顕著である。
さらに、近年では農業の機械化に伴い種子の機械播きが実施されているが、微細な種子を均一に播種し難く、また土床から種子が飛散する等の問題がある。
このような問題を解決するために、特開平5−56707号公報(特許文献1)には、種子を吸水性樹脂を含む水性ゲルで被覆加工し、このゲル被覆種子を乾燥することを特徴とするゲル被覆種子の保存方法が示されている。
また、特開昭57−79802号公報(特許文献2)には、土壌を団粒化する際に水を多量に吸水することができる吸水性樹脂粉末を適量添加することによって、播種に好適でかつ発芽率の高い種子組成物が提示されている。
しかし、これらに使用されている吸水性樹脂としては、デンプン−アクリル酸グラフト重合体、ポリアクリル酸塩系、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物等が挙げられるが、すべてアニオン性の吸水性樹脂である。したがって、土壌中に無機塩類、有機物、肥料が多量に含まれていたり、地下水に塩類等が多量に含まれていると、吸水性樹脂が吸水しても所定の大きさまでに膨潤することができず、本来の目的を達成することが不可能である。
一方、特許2947637号公報(特許文献3)には、N−ビニルカルボン酸アミド系吸水性樹脂が例示されており、この樹脂はノニオン系であるため、塩類等の影響を受けずに、塩類存在下でも吸水、膨潤することができる。その吸水性樹脂の使用例として、種子製剤という記述はあるが、詳細な説明はなく、その効果についても明らかになっていない。また、特許3042546号公報(特許文献4)には、架橋構造を有するN−ビニルカルボン酸アミド系ミクロゲルを使用する例として、種子、肥料、農薬等の被覆との記述があるが、高架橋度の樹脂であり吸水性樹脂のように膨潤しないことで機能が異なることと、樹脂被覆をどの程度行うか等の使用方法の詳細についても明示されていない。
特開平5−56707号公報 特開昭57−79802号公報 特許第2947637号公報 特許第3042546号公報
本発明は、乾燥しやすい環境下でも種子の発芽率を向上させることができる種子コーテ
ィング用組成物、該組成物でコーティングされたコーティング種子、および種子のコーティング方法を提供することを課題の一つとする。
上述の従来技術における実情に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成した。本発明によれば、特定の吸水性樹脂を含む種子コーティング用組成物で、種子表面を被覆することにより、乾燥しやすい条件下でも種子の発芽率を向上させることができる。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]下記一般式(1)で表されるN−ビニルカルボン酸アミドと架橋性モノマーとを含むモノマー混合物を共重合してなる吸水性樹脂、および造粒材を含有することを特徴とする種子コーティング組成物。
Figure 2005058221
(式(1)中、R1は水素原子、メチル基、またはフェニル基を示し、R2は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル基を示し、R1とR2は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
[2]前記モノマー混合物が、さらにN−ビニルカルボン酸アミドと共重合可能な共重合性モノマーを含むことを特徴とする[1]に記載の種子コーティング用組成物。
[3]前記共重合性モノマーが、アクリル酸またはその塩、(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩、ビニルスルホン酸またはその塩よりなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする[2]に記載の種子コーティング用組成物。
[4]N−ビニルカルボン酸アミドと共重合性モノマーとの合計を100重量%とした場合に、N−ビニルカルボン酸アミドを50重量%以上の量で、共重合性モノマーを50重量%以下の量で含むことを特徴とする[2]または[3]に記載の種子コーティング用組成物。
[5]架橋性モノマーが、N−ビニルカルボン酸アミドに対して、2×10-4〜10モル%の量で用いられることを特徴とする[1]に記載の種子コーティング用組成物。
[6]架橋性モノマーが、N−ビニルカルボン酸アミドと共重合性モノマーとの合計に対して、2×10-4〜10モル%の量で用いられることを特徴とする[2]〜[4]のいずれかに記載の種子コーティング用組成物。
[7]前記吸水性樹脂が、前記造粒材100重量部に対して、1〜10重量部となる量で含まれることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の種子コーティング用組成物。
[8]前記吸水性樹脂が、ポリ(N−ビニルアセトアミド)架橋体であることを特徴とする[1]、[5]または[7]のいずれかに記載の種子コーティング用組成物。
[9][1]〜[8]のいずれかに記載の種子コーティング用組成物が、結合剤により種子表面に固着されていることを特徴とするコーティング種子。
[10]種子表面を、[1]〜[8]のいずれかに記載の種子コーティング用組成物で被
覆することを特徴とする種子のコーティング方法。
本発明のコーティング種子は、種子表面が、本発明の種子コーティング用組成物で被覆されているため、乾燥しやすい条件下でも高い発芽率を得ることができる。また、吸水して膨潤した後、一旦乾燥しても、再度容易に吸水することができ、さらに、播種後に土壌水分が不足するような場所や、砂漠地域のような乾燥地において、塩類濃度(特に塩分濃度)が高い水に接しても、容易に吸水することができる。したがって、乾燥しやすい環境下において、どのような土壌条件であっても高い発芽率を得ることができる。
本発明に係るコーティング種子は、種子表面に種子コーティング用組成物を被覆することにより調製される。この本発明の種子コーティング用組成物は、吸水性樹脂、および造粒材を含有してなる。
本発明に用いられる吸水性樹脂(以下、N−ビニルアミド系架橋体ともいう)は、N−ビニルカルボン酸アミドと、架橋性モノマーと、必要に応じて共重合性モノマーとを含むモノマー混合物を(共)重合反応させて得られる。
以下、各成分について説明する。
(N−ビニルカルボン酸アミド)
本発明に用いられる、N−ビニルカルボン酸アミドは、下記一般式(1)で表される。
Figure 2005058221
(式(1)中、R1は水素原子、メチル基、またはフェニル基を示し、R2は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル基を示し、R1とR2は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
このようなN−ビニルカルボン酸アミドは、具体的にはN−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミドが挙げられる。これらの中では、N−ビニルアセトアミドが特に好ましく用いられる。
(共重合性モノマー)
また、必要に応じて用いられる共重合性モノマーは、1分子中に1個の重合性不飽和結合を有し、N−ビニルカルボン酸アミドと共重合し得るモノマーであって、そのようなものとしては(メタ)アクリル酸またはその塩、(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩、ビニルスルホン酸またはその塩、ジメチルアミノ基により置換された低級アルキルの(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシル基により置換された低級アルキルの(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
これらの中では、性能およびコスト的に優れるアクリル酸またはその塩、(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩、ビニルスルホン酸またはその塩を用いることが好ましい。また、これらの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられるが、その他の塩も使用可能である。
このような共重合性モノマーは、吸水性樹脂の吸収速度を向上させる観点から前記N−ビニルカルボン酸アミドと併用される。この場合、N−ビニルカルボン酸アミドと共重合性モノマーとの合計を100重量%とした場合に、該N−ビニルカルボン酸アミドを50重量%以上、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは65重量%以上の量で含み、前記共重合性モノマーを50重量%以下、好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは35重量%以下の量で含むことが望ましい。N−ビニルカルボン酸アミドの上限値と、共重合性モノマーの下限値は特に限定されない。
このような量でN−ビニルカルボン酸アミドと共重合性モノマーとを用いることにより、得られる吸水性樹脂は、電解質やイオンを含有する水溶液であっても優れた吸水性能を発揮することができる。
(架橋性モノマー)
さらに、上記吸水性樹脂の製造において使用される1分子中に少なくとも2個の重合性不飽和結合を有する架橋性モノマー(以下架橋剤ともいう。)は、具体的には、N,N'
−メチレンビスアクリルアミド、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の複数個の(メタ)アクリル基を有する化合物;
N,N'−ブチレンビス(N−ビニルアセトアミド)、N,N'−ジアセチル−N,N'
−ジビニル−1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン等のN,N'−アルキレンビス(
N−ビニルカルボン酸アミド)化合物;
ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、アジピン酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル等のアリル基を2個以上有する化合物;
シュウ酸ジビニル、コハク酸ジビニル、マロン酸ジビニル、アジピン酸ジビニル、マレイン酸ジビニル、クエン酸トリビニル、ピロメリット酸テトラビニル等のビニルエステル構造を2個以上有する化合物などが挙げられる。これらは一種または必要により二種以上組み合わせて用いることができる。
これらの架橋剤は、N−ビニルカルボン酸アミドと共重合性モノマーとの合計に対して、2×10-4〜10モル%、好ましくは5×10-4〜2モル%の範囲で用いられることが望ましい。このような量で架橋性モノマーを使用することにより、適度な架橋密度の吸水性樹脂が得られるため、この吸水性樹脂は吸水性に優れた効果を発揮することができる。
<吸水性樹脂>
本発明に用いられる吸水性樹脂は、N−ビニルカルボン酸アミドと、必要に応じて用いられる共重合性モノマーと、架橋モノマーとを、実質的に酸素の存在しない条件下でラジカル重合開始剤を用いて共重合することにより製造することができる。
上記ラジカル重合開始剤としては、従来知られている過酸化物、有機、無機過酸もしくはその塩、アゾビス系化合物の単独、あるいは還元剤との組み合わせによるレドックス系などが用いられ、これらの中では、アゾビスイソブチロニトリルやアゾビス(2−ジアミノプロパン)二塩酸塩などのアゾビス系開始剤が特に好ましい。また、重合開始剤の使用量は(共)重合成分100重量部に対して0.1重量部〜8重量部が好ましい。重合開始温度は通常−10〜80℃程度であり、反応時間は通常0.5〜30時間程度である。
(共)重合プロセスについては必ずしも限定されないが、従来ポリアクリル酸ソーダ架橋物の製造方法として採用されている水溶液重合法、逆相懸濁重合法、逆相乳化重合法等を採用することができ、その具体例は特開平3−223304号公報、特開平4−230250号公報及び特開平4−346833号公報などに記載されている。得られる吸水性樹脂の主鎖の平均重合度は、100〜500000である。
また、N−ビニルカルボン酸アミド(共)重合体を上記の方法で製造した後に、官能基を2個以上有する各種のエポキシ化合物、アルコール化合物、アミン化合物、イソシアネート化合物、2価以上の金属イオン等と、モノマーに由来する官能基との反応により、さらに後架橋することもできる。
このような吸水性樹脂は、N−ビニルカルボン酸アミド単位と共重合性モノマー単位との合計を100重量%とした場合に、N−ビニルカルボン酸アミド単位が50〜100重量%、好ましくは60〜100重量%、さらに好ましくは65〜100重量%の量で含有され、共重合性モノマー単位が0〜50重量%、好ましくは0〜40重量%、さらに好ましくは0〜35重量%の量で含有されていることが望ましい。
共重合性モノマー単位が50重量%より多くなると、電解質やイオン含有水溶液に対する吸水性樹脂の吸水性能が低下するため好ましくない。この点に関し、共重合性モノマーとしてアクリル酸ソーダを用いた例により説明する。
例えば、N−ビニルカルボン酸アミド単位が100重量%(アクリル酸ソーダ0重量%)からなる吸水樹脂は、その架橋密度、重合度により変化するが、1.0%のCaCl2 水溶液の吸液倍率が自重に対して大体の目安として約50倍である。一方、N−ビニルカルボン酸アミド単位が50重量%、アクリル酸ソーダが50重量%の量からなる吸水樹脂は、自重に対して約30倍となる。さらに、これがN−ビニルカルボン酸アミド単位が50〜0重量%、アクリル酸ソーダが50〜100重量%の量からなる吸水樹脂は、カルシウムイオンによるイオン架橋が生成するため、1.0%のCaCl2 水溶液の吸液倍率は自重に対して数倍程度〜0倍と極めて吸水性能が低下する。
この吸液倍率の測定方法は、吸水性樹脂 約1.0gを液体(例えば1.0%のCaC
2 水溶液)1L程度に投入して飽和まで吸液させ、200メッシュの金網で濾過し、次式により算出したものである。
式:吸液倍率=[膨潤した吸水性樹脂の重量/吸液前の吸水性樹脂の重量]−1
本発明に用いられる吸水性樹脂としては、上記N−ビニルカルボン酸アミドを架橋性モノマーの存在下で重合させて得られる吸水性樹脂が好ましく、具体的には、ポリ(N−ビニルアセトアミド)架橋体、ポリ(N−ビニルホルムアミド)架橋体、ポリ(N−メチル−N−ビニルアセトアミド)架橋体等が挙げられる。この中では、特にポリ(N−ビニルアセトアミド)架橋体が、ノニオン性であり、各種塩溶液を吸液できることや吸液状態の安定性がよいことなどからより好ましい。
<造粒材>
本発明の種子コーティング用組成物に用いられる造粒材としては、通常使用される無機物がそのまま使用できる。例えば、珪藻土、シリカ、赤土、火山灰、長石、タルク、カオリン、クレー、粘度鉱物、ベントナイト、ゼオライト、パーライト、バーミキュライト、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどが挙げられ、これらを単独で又は混合して使用することができる。これらの造粒材の粒子径としては、平均粒径20μm以下であることが好ましいが、特に限定されるものではない。
本発明の種子コーティング用組成物中に造粒材を含有させることにより、この組成物でコーティングされたコーティング種子が飛散することがなく好ましい。
種子コーティング用組成物は、上述の吸水性樹脂と造粒材とを用いて調製される。その調製方法は、特に限定されず、吸水性樹脂と造粒材とを均一に混合できればよい。
吸水性樹脂の添加量は、被覆加工性と吸水特性の面から、造粒材100重量部に対して、1重量部〜10重量部の範囲が好ましい。1重量部未満では、充分に水を保持することができず、一方10重量部より多いとコーティング層の強度が保持できずにコーティング種子の表面が崩れやすくなる。
また、コーティング組成物中には、必要に応じて植物ホルモン、植物栄養剤、植物成長抑制剤、殺菌剤、肥料等の補助成分を添加してもよい。
さらに、コーティングされた種子を乾燥する時に、これらが互いに固着するような場合には、必要に応じてコーティング組成物に疎水剤を添加することもできる。疎水剤としては、炭素数12〜22の飽和又は不飽和の高級脂肪酸又は高級アルコール又はそれらの誘導体を用いる。好適な疎水剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸の金属塩(Na、K、Mg、Ca塩等)、ステアリルアルコール、ステアリルアルコールのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。これらは、種子コーティング用組成物に混合して使用するので、微粉末のものが好ましく、通常は20μm以下のものが使用されるが、特に限定されるものではない。
コーティング種子
本発明のコーティング種子は、上述の種子コーティング用組成物により種子表面が被覆されてなる。このように、コーティング種子は、本発明の種子コーティング用組成物でコーティングされているため、乾燥しやすい状態下でも高い発芽率を得ることができる。また、吸水して膨潤した後、一旦乾燥しても、再度容易に吸水することができ、さらに、特に播種後に土壌水分が不足するような場所や、砂漠地域のような乾燥地において、塩類濃度(特に塩分濃度)が高い水に接しても、容易に吸水することができる。したがって、乾燥しやすい環境下において、どのような土壌条件であっても高い発芽率を得ることができる。
本発明のコーティング種子は、種子表面に、例えば液状の結合剤を散布(スプレー)しながら、種子と種子コーティング用組成物とを接触させ、次いで乾燥することにより製造することができる。本発明のコーティング種子は、そのコーティング層に造粒材が含まれており、コーティング種子が飛散するのを防止している。
コーティング種子を製造する際に用いられる結合剤としては親水性樹脂が挙げられ、そのようなものとしては、特に限定されるものではないが、具体的には、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム(0.2%水溶液粘度/20℃ 500〜900cps)、ポリアクリル酸アンモニウム、カルボキシメチルセルロース(重合度300〜500)、メチルセルロース(2%水溶液粘度/20℃ 20〜5500cps)、カゼイン、ゼラチン、プルラン、澱粉、ポリビニルアルコール(重合度500〜1500 鹸化度70〜100mol%)、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド(重合度3000〜100000)(N−ビニルアセトアミド/アクリル酸ナトリウム)共重合体(重量平均分子量10000〜5000000)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)(重量平均分子量10000〜5000000)等が挙げられる。これらの親水性樹脂は、通常、水溶液として用いられる。
結合剤の添加量は被覆加工性の面から、造粒材100重量部に対して、0.1重量部〜10重量部、好ましくは0.5重量部〜5重量部で用いることが望ましい。0.1重量部
未満では、造粒材、種子、吸水性樹脂等すべてを固着させ、顆粒化させることができず、10重量部以上では、粘性が増し、被覆加工することができない。
コーティング種子を製造するには、段付皿型造粒機、カラー付き皿型造粒機、円錐皿型造粒機、円錐ドラム型造粒機、多段円錐ドラム造粒機、傾斜回転パン型造粒機、円筒型撹拌造粒機、揺動円筒型撹拌造粒機、コニカル回転型撹拌造粒機、回転底板併用型撹拌造粒機、流動層型造粒機など種々の造粒装置を用いることができる。
具体的には、造粒装置に種子を入れ、造粒機中で攪拌(転動)させながら、そこへ親水性樹脂を水に溶解あるいは半溶解状態した水溶液をスプレーしながら種子コーティング用組成物を添加する。補助成分については、結合剤水溶液中に混合するか、水に溶解しないものについては、アルコール等の揮発性溶剤に溶解してスプレー噴射してもよい。
このように種子表面をコーティングした後に、乾燥して本発明のコーティング種子を得ることができる。また、コーティング種子のコーティング層の硬度が不足する場合は、2価または3価の金属塩(カルシウム、マグネシウム、バリウム等)水溶液をさらに噴霧し、結合剤を不溶化させることにより硬度を増加させることもできる。
コーティング種子の大きさは、もとの種子の重量や大きさがそれぞれ異なるので一概にはいえないが、機械播種できる程度の大きさでよい。通常は、コーティング層の重量はもとの種子重量に対して、0.3〜3倍、好ましくは0.7〜1.5倍の重量であることが望ましい。このような重量で種子表面がコーティングされることにより、充分に吸水することができ、乾燥しやすい環境下でも種子の発芽率を向上させることができる。
また、造粒コーティングされる種子の種類は、特に限定されず、通常の種子、あるいは殻をむいたいわゆる剥皮種子などの加工処理された種子を用いることもできる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<製造例1>
N−ビニルアセトアミド 200g、N,N'−ジアセチル−N,N'−ジビニル−1,
4−ビスアミノメチルシクロヘキサン 1.0gを750gの水に溶解し、1Lの三つ口
セパラブルフラスコに入れた。三つ口セパラブルフラスコには窒素導入管、温度計ホルダーおよび排気管をセットし、30℃の恒温槽中に浸した。窒素を1L/分の速度で30分バブルさせ、溶存酸素を除去した後、2,2'−アゾビス(2−ジアミノプロパン)二塩
酸塩 0.40gを49.6gの水に溶解したものを反応液に加えた。フラスコを断熱容
器に入れ、窒素流量を0.1L/分に減少し、静置した。16時間後、ゲル状の内容物を取り出し、ミキサーにて細分した後アセトンにて脱水し、105℃で5時間乾燥した。得られた乾燥ゲルを粉砕し、分級して48〜100メッシュに整えポリ(N−ビニルアセトアミド)の架橋体(吸水性樹脂)を調製した。吸水性樹脂の吸液倍率を以下の方法で測定したところ、51倍であった。
(吸液倍率の測定方法)
吸水性樹脂 約1.0gを、1.0%のCaCl2 水溶液 1L程度に投入して飽和まで吸水させ、200メッシュの金網で濾過し、次式により算出する。
式:吸液倍率=[膨潤した吸水性樹脂の重量/吸液前の吸水性樹脂の重量]−1
<製造例2>
製造例1のN−ビニルアセトアミド 200gを、N−ビニルアセトアミド 190g、アクリル酸ナトリウム 10gに変更した以外は、製造例1と同様にして、吸水性樹脂を
調製した。この吸水性樹脂の吸液倍率を、製造例1と同様の方法で測定したところ、26倍であった。
実施例1
パーライトと製造例1で得られた吸水性樹脂とを、重量比97:3の量で混合して、コーティング用組成物を調製した。一方、白菜の種子1kgを傾斜回転パンに入れ、ここに完全けん化ポリビニルアルコールの10%水溶液をスプレーしながら、このコーティング用組成物200gを加え、種子コーティングを行った。コーティング用組成物とポリビニルアルコールの合計重量が、種子重量の1.2倍になるまで種子コーティングし、次いで40℃、15時間乾燥してコーティング種子を得た。このコーティング種子の7日後の発芽率は、98.8%であった。
(発芽率の測定方法)
発芽率の測定は、直径9cmのシャーレに濾紙2枚を敷き、これに水道水5mlを注いだ後にコーティング種子100粒を置床し、25℃の恒温器に入れて行った。7日後の発芽種子の個数を測定した。この測定は、5個のシャーレで同時に行い、その平均値を求めた。
実施例2
珪藻土と製造例1で得られた吸水性樹脂とを、重量比95:5の量で混合して、コーティング用組成物を調製した。一方、バミューダグラスの種子1kgを傾斜回転パンに入れ、これにアルギン酸ナトリウムの2%水溶液をスプレーしながら、このコーティング用組成物300gを加え、種子コーティングを行った。コーティング用組成物とアルギン酸ナトリウムの合計重量が、種子重量の1.3倍になるまで種子コーティングし、次いで40℃、15時間乾燥してコーティング種子を得た。このコーティング種子の7日後の発芽率は、98.2%であった。
実施例3
珪藻土と、製造例2で得られた吸水性樹脂とを、重量比95:5の量で混合して、コーティング用組成物を調製した。一方、バミューダグラスの種子1kgを傾斜回転パンに入れ、これにアルギン酸ナトリウムの2%水溶液をスプレーしながらコーティング用組成物300gを加え、種子コーティングを行った。コーティング用組成物とアルギン酸ナトリウムの合計重量が、種子重量の1.3倍になるまで種子コーティングし、次いで40℃、15時間乾燥してコーティング種子を得た。このコーティング種子の7日後の発芽率は、93.6%であった。
比較例1
バミューダグラスの種子1kgを傾斜回転パンに入れ、これに完全けん化ポリビニルアルコールの10%水溶液をスプレーしながら、製造例1で得られた吸水性樹脂に水を20重量倍吸水させ膨潤させたものを加えた。吸水性樹脂とポリビニルアルコールとの合計重量が種子の1.3倍になるまで種子コーティングし、次いで40℃、15時間乾燥してコーティング種子を得た。このコーティング種子の7日後の発芽率は、92.0%であった。
比較例2
バミューダグラスの種子1kgを傾斜回転パンに入れ、これに完全けん化ポリビニルアルコールの10%水溶液をスプレーしながら、市販のポリアクリル酸ナトリウム系吸水剤(日本触媒製、アクアキープ)に水道水を300重量倍吸水させ膨潤させたものを加えた。吸水剤とポリビニルアルコールとの合計重量が、種子の1.3倍になるまで種子コーティングし、次いで40℃、15時間乾燥してコーティング種子を得た。このコーティング
種子の7日後の発芽率は、10.0%であった。
(吸液性試験)
実施例2及び実施例3で得られたバミューダグラスのコーティング種子を、肥料水(クノップ液)に所定量浸漬し、3時間後に200メッシュの金網で濾過し増加重量を測定した。その後、膨潤したコーティング種子を乾燥させ、再度肥料水に浸漬し重量増加を測定した。
その結果、実施例2のコーティング種子は、2回ともに柔らかい寒天状にまで膨潤し、重量増加率は、1回目、2回目共に自重の50%であった。実施例3のコーティング種子は、1回目65%、2回目20%となり、肥料水中の塩の影響を受け吸水性樹脂が膨潤しにくくなっていることが分かる。
クノップ液の組成(wt/vol%)
硝酸カリウム:0.02、硝酸カルシウム:0.08、第一燐酸カリウム:0.02、硫酸マグネシウム:0.02、硫酸鉄7水和物:0.02

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表されるN−ビニルカルボン酸アミドと架橋性モノマーとを含むモノマー混合物を共重合してなる吸水性樹脂、および造粒材を含有することを特徴とする種子コーティング用組成物。
    Figure 2005058221
    (式(1)中、R1は水素原子、メチル基、またはフェニル基を示し、R2は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル基を示し、R1とR2は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
  2. 前記モノマー混合物が、さらにN−ビニルカルボン酸アミドと共重合可能な共重合性モノマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の種子コーティング用組成物。
  3. 前記共重合性モノマーが、アクリル酸またはその塩、(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩、ビニルスルホン酸またはその塩よりなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記載の種子コーティング用組成物。
  4. N−ビニルカルボン酸アミドと共重合性モノマーとの合計を100重量%とした場合に、N−ビニルカルボン酸アミドを50重量%以上の量で、共重合性モノマーを50重量%以下の量で含むことを特徴とする請求項2または3に記載の種子コーティング用組成物。
  5. 架橋性モノマーが、N−ビニルカルボン酸アミドに対して2×10-4〜10モル%の量で用いられることを特徴とする請求項1に記載の種子コーティング用組成物。
  6. 架橋性モノマーが、N−ビニルカルボン酸アミドと共重合性モノマーとの合計に対して2×10-4〜10モル%の量で用いられることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の種子コーティング用組成物。
  7. 前記吸水性樹脂が、前記造粒材100重量部に対して、1〜10重量部となる量で含まれることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の種子コーティング用組成物。
  8. 前記吸水性樹脂が、ポリ(N−ビニルアセトアミド)架橋体であることを特徴とする請求項1、5、または7に記載の種子コーティング用組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の種子コーティング用組成物が、結合剤により種子表面に固着されていることを特徴とするコーティング種子。
  10. 種子表面を、請求項1〜8のいずれかに記載の種子コーティング用組成物で被覆することを特徴とする種子のコーティング方法。
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