JP2005057109A - スルーホールの封止方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 特に薄いプリント配線基板であっても研磨圧力により反り不具合を生じることがなく、高品質で高い歩留まりのスルーホールの封止状態を得ることができるスルーホールの封止方法の提供。
【解決手段】 プリント配線基板のスルーホールの片側を封止して擬似的な有底構造とした後、当該有底構造内部に穴埋め材を充填封止することを特徴とするスルーホールの封止方法。
【選択図】 図1

Description

本発明はプリント配線基板のスルーホールの封止方法、特にリベット部を形成することなしにスルーホールの封止状態を得ることで、研磨時のプリント配線基板の反りや過剰研磨不具合を抑制し、高品質なスルーホールの封止状態を得る方法に関する。
近年、モバイル機器などに代表される携帯することに便利な情報通信端末は、その使用用途から軽量でコンパクトな商品が好まれている。それに伴い、その情報通信端末の内部に使用されているプリント配線基板への技術的な要求も一段と高くなり、その需要の中でも特にプリント配線基板自身を薄型で軽量にする技術が要求されている。
このような技術的要求を背景に、プリント配線基板を薄型化するための技術開発が最近では活発に行なわれてきている。しかしながら、プリント配線基板を薄型化することによる問題点や不具合事例も多く挙げられ、その中でも、特に薄いプリント配線基板のスルーホールを穴埋め材で封止する技術分野で多くの不具合が生じている。
プリント配線基板内のスルーホールならびにプリント配線基板の内層に埋め込まれたベリードホール(以後、貫通穴としてスルーホールと同様に表現する)の封止方法について図を用いて説明する。図3は従来技術の説明として、スクリーン印刷法を使用したプリント配線基板のスルーホールの封止方法を模式的に示した図である。図3におけるスルーホールの封止方法では、図3(a)にスルーホール部の穴埋め方法、図3(b)に穴埋め後のスルーホールの封止状態、図3(c)に穴埋め材の加熱硬化及び表面研磨による封止箇所の平坦化を示している。この中で、要素技術として重要視する箇所はスルーホールの上方部及び下方部に存在する穴埋め材が盛られた部分(図3(b)内7、以下、この箇所をリベット部と記載する)を作成するところにある。このリベット部を形成することの意味合いは、スルーホール内の穴埋め材を加熱などにより硬化させる際に、穴埋め材の硬化収縮などが原因で、スルーホールの表層部分に大きな凹みを発生させる不具合を解消するために成されたものであり、リベット部はスルーホール内全体を穴埋め材で完全に充填し、高品質な封止状態を得るために重要とされてきた。しかしながら、前記プリント配線基板の薄型化を背景とした場合にリベット部の研磨が容易ではなく、その箇所での不具合を生じることがある。
従来、プリント配線基板の厚みは主に0.4mm〜1.6mmの商品が多く、穴埋め材にて封止したスルーホールの上下部分に生じるリベット部を研磨する際にも、プリント基板自身が研磨時の圧力に充分に耐えられるほどの剛直性と厚みが存在したために問題視されなかった。しかしながら、近年では前記プリント配線基板の薄型化を背景に、厚みに関しても0.06mm〜0.15mmの商品が多くなってきている。
薄型プリント配線基板のリベット部をバフ研磨などにより切削する際に反り不具合が発生する。これは、リベット部をバフ研磨により切削する際に、研磨圧力がプリント配線基板全域にかかり、研磨圧力によりプリント配線基板が弓状に反り返った状態を形成することを示している。この不具合現象は従来の比較的厚いプリント配線基板では剛直性があるために生じ得なかった問題であり、プリント配線基板が薄型化することによって新たに生じた問題である。
この反り不具合は、次工程の回路形成時に薬液などの基板への接触性が不均一になり、結果として回路形成時での不具合を併発させる。そのためプリント配線基板の一連の製造工程で反り不具合は問題となり、プリント配線基板の品質や歩留まりを低下させる要因となる。
さらに、薄型プリント配線基板のリベット部を研磨する際には、研磨圧がプリント配線基板の中央部より端面部にかかる為に、プリント配線基板の端面部が顕著に研磨される不具合が発生することが度々生じる。この不具合を薄型プリント配線基板の研磨工程に生じる端面部分の過剰研磨不具合と呼称している。この端面部分の過剰研磨不具合は、端面箇所において銅材の厚みが顕著に薄くなり、その結果、回路形成上で回路欠けなどの不具合を生じ易くなる。このように、薄型プリント配線基板のスルーホールの封止状態を得る際に、従来の技術においては「反り不具合」や「端面部分の過剰研磨不具合」を発生させ、高品質で歩留まりの良い薄型プリント配線基板の製造を行なうことは困難であった。
このような技術的な問題点に対して、最近ではいくつかの改良技術が報告されている。すなわち、プリント配線基板の穴埋め後のリベット部を研磨する手段に関するものとして、機械設備的な能力の向上により、薄板プリント配線基板の効果的な研磨方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、スルーホール関連の不具合に関し、品質の良い製品を作成するものとして、スルーホールの上下表面部分に金属材を導入し、かつ平坦化することでスルーホールの同一層の断線や短絡などの発生を抑える方法などが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2000−190197号公報 特開平9−321434号公報
以上のような背景に基づき本発明が解決しようとする課題は、プリント配線基板のスルーホールの封止方法に関し、特に、薄いプリント配線基板のスルーホールの封止方法に関し、リベット部を作成しないことで、研磨負荷を軽減し、プリント配線基板の反り不具合や端面部分の過剰研磨不具合を生じさせずに、高品質で歩留まりの良いスルーホールの封止状態を得ることができる。
発明者らは上記目的を達成するために検討を重ねた。その結果、プリント配線基板のスルーホールを穴埋め材にて封止する際に、リベット部を作成しないことが有効であることを見出して発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、プリント配線基板のスルーホールの片側を封止して擬似的な有底構造とした後、当該有底構造内部に穴埋め材を充填封止することを特徴とするスルーホールの封止方法である。
また、本発明は、前記スルーホールの封止方法において、穴埋め材の充填封止を真空環境下で行なうことを特徴とする。
また、本発明は、前記スルーホールの封止方法において、穴埋め材を充填封止する際に、印刷版を使用しないことを特徴とする。
また、本発明は、前記スルーホールの封止方法において、硬化収縮率が低く、空隙を含まない穴埋め材をスルーホール内部に充填し、当該穴埋め材を硬化させることを特徴とする。
本発明のスルーホールの封止方法は、スルーホールの封止の際にリベット部を形成しない箇所が特徴であり、それより穴埋め終了後の研磨時にプリント配線基板に研磨負荷がかからなくなるという利点から、薄板プリント配線基板においても反り不具合などを生じずに、高品質で高い歩留まりのスルーホールの封止状態を得ることができる。
発明の実施の形態に関し、従来方法として図3を使用し、本発明方法として図1〜2を使用し、さらに表1ではスルーホールの封止工程において本発明で提案しているスルーホールの形成方法の概要を示し、特に発明内容で注目しているリベットを形成しないことの優位点を(A)本発明方法と(B)従来方法とを比較することで明確に説明する。
Figure 2005057109
表1ではスルーホールの封止方法に関し、その工程順序を工程1)〜6)の順に従って行っている。次いでプリント配線基板の求められる構造に添い、工程7)のスルーホール上への蓋状の銅めっき及び工程8)の回路形成を経て完了する。また、従来方法に対し、本発明方法が有効であり、注目している工程の箇所に(*)マークを付け、従来方法との違いをより明確にしている。
表1内の本発明方法における工程3)、4)、6)及び8)についてそれぞれ更に説明する。
工程順序3):印刷用マスクの省略化
工程順序4):真空状態でのスルーホール封止
工程順序6):表面研磨
工程順序8):回路形成
工程3):印刷用マスクの省略化
図3に示すような従来方法によるスルーホールの封止方法では、スクリーン印刷時に印刷用マスク3(又は、印刷用スクリーン版)が必須であった。これはスルーホールを穴埋め材で封止する際に、印刷用マスクを使用することにより、直接スルーホール内部に穴埋め材が挿入すること及び目的とする体積を有するリベット部が形成できることから、穴埋め材の硬化時の収縮による凹みが抑制でき、高品質な封止状態が得られるなどの利点が存在した。しかしながら、印刷用マスクは使用上でいくつかの問題点が存在している。例えば、スルーホール直上部にマスク開口部を合わせる技術が必要であること、1機種につき最低1枚の印刷用マスクが必要であり費用及び作成日数が発生すること、印刷用マスクの清掃や管理が必要なこと、印刷用マスク作成時にマスクの開口部が工程内の微小不純物などにより閉口し、スルーホール部への穴埋め材の充填が行なわれなくなることなどの問題点が挙げられる。
このような技術的問題点に対し、本発明では印刷用マスクを使用しない「印刷用マスクの省略化」に着眼している。ここでは具体的な使用方法として図1〜2を用いて説明する。始めに図1(a)のスルーホール構造の片面にのみフィルム10を貼り付け、図1(b)に示されるようにスルーホールを擬似的な有底構造9とする。次いで図1(c)に示されるようにプリント配線基板のスルーホール開口部側に直接穴埋め材2をスクリーン印刷方法にて充填し、図1(d)に示されるようにスルーホールの封止状態を形成する。この手法は、印刷用マスクを使用しないことが優位点であり、前記印刷用マスクに関する技術的問題点を生じない。
工程4):真空状態でのスルーホール封止
本発明方法では図1(c)に示される擬似的なスルーホールの有底構造9に関し、穴埋め材2を充填する際には真空状態で行なうことが有効であるところに着眼している。例えば、従来方法にて図1(c)に示される擬似的なスルーホールの有底構造の封止を行なった場合、スルーホール内部への穴埋め材の充填が上手く行なうことが困難であり、未充填のスルーホールが多く発生する。しかしながら、当該スルーホールの有底構造に関し、真空状態で行なった場合、大気圧と真空状態の圧力の差を使用することで、有底構造の底部分にまで充分に穴埋め材を充填することができ、特に有利である。
加えて前記の手法は、プリント配線基板の片側のみのフィルム10の貼り付けによるスルーホールの擬似有底構造9の形成及び真空状態での当該スルーホールの擬似有底構造9への穴埋め材2を充填することで、図1(d)に示されるように、スルーホールの上下部分にリベット部を形成しない構造を可能とする。このリベット部分を形成しないスルーホールの構造は本発明で特に注目している箇所であり、次工程プリント配線基板の研磨工程では、研磨負荷が軽減されることから薄板のプリント配線基板において特に有効である。
次いで、スルーホール内部への穴埋め材の充填が真空下で行なわれた後、穴埋め材2を所定の効果方法で硬化させる。ここでは穴埋め材に熱硬化性の材料を好適に使用しているために、プリント配線基板を加熱炉に投入し、穴埋め材の硬化を行なっている。この際、図1(b)にて貼り付けたフィルム10はプリント配線基板に貼り付けたまま加熱炉に投入する。これは、リベット部が存在しない本発明方法においては重要とされることであり、フィルムが無い状態で加熱炉に投入した際、温度上昇に伴う、穴埋め材の一時的な粘度低下が原因で穴埋め材がスルーホール内部から流れ出る不具合を抑制する役割を果たしている。そのため、本発明方法ではプリント配線基板にフィルムを貼り付けたままの状態で加熱炉に投入することが特に有利である。
工程6):表面研磨
加熱終了後のプリント配線基板から片面のみに貼り付けたフィルム10を引き剥がす。次いで、プリント配線基板の表層部に存在する穴埋め材2の残渣をバフ研磨などにより切削処理する。この際、本発明方法では前項に記載の如く、リベット構造を有していないために非常に研磨圧力の弱い状態で穴埋め材の残渣を切削処理することが可能になる。従来、研磨部材とプリント配線基板が接触した際に発生する負荷電流値をアンペア(A)で表示するが、具体的には本発明方法での研磨負荷電流値は0.5A前後とするのが特に効果的である。一方、薄板のプリント配線基板を従来方法で表面研磨した場合は、リベット構造を切削処理する目的で、負荷電流値が2A前後の強めの研磨圧力を必要とされた。それが原因となり、プリント配線基板の反り不具合などを生じることが度々見られたが、本発明方法でプリント配線基板に対する研磨負荷を大幅に低減することが可能になるため、従来のような反り不具合は発生しないことが判明した。
ここで本発明方法にかかるスルーホールの封止方法においては、より高品質にプリント配線基板を製造する手法を説明する。図1(d)にてスルーホールの穴埋めが終了し、加熱硬化及びフィルム10の引き剥がしを行ない、図2(e)の構造を得る。この図2(e)で最も理想的な構造は、スルーホールの表層部において穴埋め材の凹みが生じない構造であるが、穴埋め材の加熱時の硬化収縮などが原因で、図2(f)に示されるようなスルーホールの表層部において凹み11を発生させることがある。この凹み11の問題点に対して本発明では、図2(f)の構造において、始めにフィルムの表層部の穴埋め材残渣を切削処理する目的で、0.5A以下の弱い研磨電流値でバフ研磨を行なう。次いで銅厚みを薄くする意味合いのエッチング工程を行ない、図2(g)の構造を得ることが効果的である。この図2(g)の構造は、エッチングにより銅部材12の厚みが薄くなり、前記凹み部分が構造上なくなり、スルーホール内部の穴埋め材の凸部構造13を有する形状を成す。さらに、次工程で0.5A程度の弱い研磨電流値でバフ研磨を再度行なうことで、体積としては小さい図2(g)内13の凸部は切削され、最終的に図2(h)の構造を得ることが可能になる。
工程8):回路形成
本発明の方法により得たスルーホールを有するプリント配線基板は回路形成工程にて良好な歩留まりを示す。それは、従来方法にてスルーホールの封止状態を得たプリント配線基板はリベット構造7を有するために、高い研磨電流値で強くプリント配線基板を切削しないと表層部分が平坦化しない。加えて、強く研磨されたプリント配線基板は特に薄板の場合に反り不具合が発生する。それ故、回路形成時にプリント配線基板上への薬液の不均一な接触や局部的な液たまりが発生し、特に微細な回路形成時に不具合を生じやすい。一方、本発明方法の場合は前記研磨負荷がかかりにくく、プリント配線基板の反りが発生しにくいために回路形成時においても高品質で歩留まり良く製品が完成できる。
実施例1
図1〜2は本発明の実施の形態に於けるスルーホールを封止する一連の工程を示す図である。以下図1〜2に基づき本発明方法におけるリベット部分を生じない構造及びその構造の優位性を工程の順番に従って本実施例を説明する。
(1)スルーホール部6を有するプリント配線基板4を材料として用意した。
(2)前記(1)のプリント配線基板4の片面にフィルム10を貼り付け、図1(b)内9の構造に示される擬似的な有底構造を形成した。
(3)前記(2)のプリント配線基板のフィルムが無い面の上に直接穴埋め材が接触するように設置し、スクリーン印刷用のスキージ1を使用することにより、図1(c)内9の擬似有底構造のスルーホール内に穴埋め材2を充填した。また、この擬似有底構造に穴埋め材を封止する際には、真空状態で行なうことが効果的であり、特に大気圧と真空状態での差圧を利用することで、有底構造のスルーホールに対しても良好に穴埋め材の封止を行ない、封止後の状態としては図1(d)の構造を得た。
(4)スルーホール内部への穴埋め材の充填後、所定の硬化条件にて穴埋め材を硬化させた。本発明では好適に熱硬化性の穴埋め材を使用しているため、加熱炉を使用して穴埋め材を硬化させた。また、その際にプリント配線基板に貼り付けたフィルム10は剥離せずに、貼り付けたままプリント配線基板を加熱炉に投入した。また、この加熱工程ではフィルム10の粘着力が弱い場合に、プリント配線基板より剥離することがあると品質上での問題点が発生するため、加熱温度でも粘着力が低下しないフィルムを好適に使用している。
(5)加熱終了後、プリント配線基板よりフィルム10を剥離し、穴埋め材が硬化した状態で図2(e)の構造を得る。その後、バフ研磨などを使用し、プリント配線基板の表面の穴埋め材残渣などを切削処理することで、スルーホールの封止工程を完成させた。
(6)一方、前記(5)の工程にて加熱終了後に穴埋め材の熱による硬化収縮が発生することが度々有り、その結果として図2(f)に示されるようにスルーホールの表層部において凹み構造11を生じることがある。本発明方法では、この凹み構造11に対して高品質なスルーホールの封止状態を得ることを目的に配慮を置き、凹みの問題を次工程の内容により解消した。
(7)前記(6)に示されるスルーホールの表層部分の凹み構造11に対し、表層部分の穴埋め材の残渣をバフ研磨にて切削処理した後、銅部の厚みを薄くすることを目的としてエッチング工程を行なった。その結果、銅部はエッチングされ、穴埋め材はエッチング液に対して不溶である特性から、図2(g)の構造を得た。
(8)図2(g)の構造には特徴があり、1つは銅めっき12の厚みが減少し、これは銅厚みが薄くなることによって当該銅部での微細回路形成を容易にすることが可能になる。2つ目はスルーホールの表層部に突起状の穴埋め材13が生じ、結果として前記(7)にて問題となった部分の凹みを解消する構造を得ている。
(10)前記(9)にて生じた穴埋め材の凸状部分13を研磨圧力の少ないバフ研磨などで研磨し、最終的に図2(h)の構造のプリント配線基板を得た。
試験例1
本発明では、図2(f)内11に示される、スルーホール表層部の穴埋め材の凹みを極力少なくすることが重要であると考えている。そのために、本発明では穴埋め材に特別な配慮を置いている。配慮を置いている1点目は硬化収縮性の少ない穴埋め材を使用すること。2点目はスルーホール内部にボイドや空隙を残さないこと。この2点はそれぞれ穴埋め材の凹みを低減させる要素であると考え、以下それを成し得るための検討を行なっている。
硬化収縮性の少ない穴埋め材について種々検討を行なったところ、穴埋め材の内部に含有する粘度調整などを目的としたフィラー各種の充填量及び体積さらには構造を変化させることで硬化収縮の少ない穴埋め材を作成することが可能となる。本発明においては、銅粉体を主なフィラー成分とし、それを高充填した穴埋め材が目的とする穴埋め材として良好であるとした。また、当該穴埋め材に関し、具体的な効果収縮測定を行ないその特性を数値化した。
硬化収縮の測定方法は、硬化前の穴埋め材の比重をハバード形比重瓶を使用した比重瓶法にて測定し、硬化後の穴埋め材の比重を水中置換法にて算出した。その結果、本発明方法で好適に使用している穴埋め材は、硬化収縮率が1.28%である結果を得た。一方、汎用的な穴埋め材も同様に測定したところ、硬化収縮率は4〜5%である結果を得た。これより本発明で使用している穴埋め材は硬化収縮率が小さく、図2(f)に示される如きスルーホール表層部の硬化収縮による凹み11を抑制する一助としている。
試験例2
本発明では印刷用マスクを使用しないスルーホールの封止方法を良好な手法として考えている。しかし、この手法を使用した場合に、穴埋め材にボイドや空隙が混入していると、それらがそのまスルーホール内部に侵入し、結果としてスルーホール表層部の凹み11を併発することを問題点としている。そのため、本発明方法では穴埋め材内部のボイドや空隙を完全に無くすことが重要であると考えた。ここでは工業的な生産背景をベースに前記目的を達成するために検討を行なった。
始めに、真空攪拌機を使用して、穴埋め材の真空状態での脱泡処理について検討を行なった。真空攪拌機は日本ソセー工業社製「真空攪拌機」を使用して行なった。攪拌条件としては、穴埋めペーストを真空攪拌機に投入後に20〜30回転/分の速度にて攪拌冶具を使用し、1torr以下の減圧状態で穴埋め材の脱泡処理を行なった。
評価方法としては、脱泡時間に対する穴埋め材の粘度及び密度の関係を得て、穴埋め材の凹みとの相関を考慮する手法を使用した。穴埋め材の固有粘度は、各脱泡時間の穴埋め材を試験サンプルとして取り出し、「JIS K5600−2.3:1999、コーン・プレート粘度計法」に準ずる試験方法にて測定を行ない、穴埋め材の比重測定は、各脱泡時間の穴埋め材を試験サンプルとして取り出し、「JIS K5600−2.4:1999、比重カップ法」に準ずる試験方法にて測定を行なった。その結果を表2に示す。
Figure 2005057109
表2の結果より、脱泡処理時間が長くなるに従い穴埋め材の固有粘度は低下し、比重値は増加する結果が得られた。これは、穴埋め材の中に存在するボイドなどが脱泡処理で抜けることにより、穴埋め材の流動性が向上し、より高密度になる事で比重値が増加していると考えた。さらに、表2の結果より脱泡処理時間を考えると、脱泡時間60分までは緩やかに粘度の低下、比重値の増加が見られるので、脱泡時間は60分行なうことが望ましいと考えた。ここでは、穴埋め材自身の室温での品質保持時間を考慮し、60分を最長時間として検討している。
前記脱泡処理によるスルーホールの表層部の凹み11を抑制する効果について、スルーホール直径φ200μm、0.15mm厚みのプリント配線基板を使用して、脱泡処理の有無による凹み深さの測定を行なった。その結果、脱泡処理すると凹み深さの平均値が約5μmとなり、未脱泡状態では約20μmとなる結果を得た。つまり、凹み深さが多い状態でのスルーホールの封止状態では結果として品質の低下、歩留まりの低下を導くために、これら脱泡処理は本発明方法では良好な結果が得られる状態として好適に使用している。
本発明のスルーホールの封止方法を示す概略断面工程説明図。 図1に引き続く本発明のスルーホールの封止方法を示す概略断面工程説明図。 従来のスルーホールの封止方法を示す概略断面工程説明図。
符号の説明
1:スクリーン印刷用スキージ
2:穴埋め材
3:印刷用マスク(印刷用スクリーン版)
4:プリント配線基板
5:銅めっき
6:スルーホール
7:リベット部(穴埋め材の突出部)
8:スルーホールの封止状態
9:スルーホールの擬似有底構造
10:フィルム

Claims (4)

  1. プリント配線基板のスルーホールの片側を封止して擬似的な有底構造とした後、当該有底構造内部に穴埋め材を充填封止することを特徴とするスルーホールの封止方法。
  2. 穴埋め材の充填封止を、真空環境化で行なうことを特徴とする請求項1記載のスルーホールの封止方法。
  3. 穴埋め材を充填封止する際に、印刷版を使用しないことを特徴とする請求項1又は2に記載のスルーホールの封止方法。
  4. 硬化収縮率が低く、空隙を含まない穴埋め材をスルーホール内部に充填し、当該穴埋め材を硬化させることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載のスルーホールの封止方法。
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