JP2004009340A - メタルマスクおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はプリント配線板の製造に用いられるメタルマスクおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板上に電子部品を実装するためのクリームハンダ印刷、ビルドアップ配線板の樹脂印刷、導電ペーストの穴埋め印刷、セラミックスまたは有機基板とBGA、CSPタイプのICパッケージを電気的に接続するためのハンダボール印刷等において開口部を有するメタルマスクが多用されている。
従来、メタルマスクの開口部の加工方法としては、エッチング法、ニッケル電鋳によるアディティブ法、YAGまたはエキシマレーザ法等がある。特に携帯電話や携帯端末機器などの高密度実装、ファイン実装分野ではエキシマレーザ法に移行している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エキシマレーザは出力が小さいため、厚さ 500μm以上のステンレス板などには加工することができない。このため、プラスチックスマスクを用いざるを得ないが、印刷耐久性に劣るという問題がある。
出力の大きい炭酸ガスレーザを用いてステンレス板などの金属板に加工しようとすると、炭酸ガスレーザはビーム径が 20〜30μmと大きいため、例えば 50〜60μmの穴あけをする場合、穴の内壁面がギザギザとなり、その後に電解研磨加工などを行なっても平滑な壁面が得られないという問題がある。また、300mm角のステンレス板を加工するのに数時間を要するという問題がある。
【0004】
クリームハンダなどをプリント配線板上に印刷した後のメタルマスクは基板から剥がす必要があるが、高密度実装が進むと、メタルマスクの微小開口部内に充填されたクリームハンダなどの基板への転移が困難になるという問題がある。特に開口部内壁面の表面粗さによって転移が阻害される、あるいは、ハンダやペーストの抜け性が阻害されるという問題がある。
また、メタルマスクとの表面が平滑でないと、クリームハンダなどのメタルマスク裏面への滲みが発生しやすいという問題がある。そのため、ハンダペーストなどの場合、リフロー後にショートや余分なハンダボールができる場合があり、プリント配線板の信頼性を低下させるという問題がある。
【0005】
本発明はこのような問題に対処するためになされたもので、高密度実装が容易な微小開口部であっても、ハンダやペーストの抜け性に優れ、裏面への滲み出しを抑えることができるメタルマスクと、高精度に加工することができ、かつ低コストで製造できる該メタルマスクの製造方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るメタルマスクは、開口部を有する金属板からなり、プリント配線板の製造に用いられるメタルマスクであって、上記金属板の表面が下記式(1)で表されるトリアジンジチオール誘導体処理層を有することを特徴とする。
【化3】
ここで、Rは、−SM、または−NR1R2で表され、R1およびR2は、水素原子、炭化水素基、酸素含有炭化水素基またはフッ素含有炭化水素基を表し、Mは水素原子またはアルカリ金属を表す。
また、上記トリアジンジチオール誘導体処理層表面にフッ素系樹脂被膜層を設けたことを特徴とする。
【0007】
トリアジンジチオール誘導体処理層を表面に有することにより、開口部内壁面にも表面処理層が形成される。そのため、ハンダやペーストの抜け性が向上する。特に表面処理層にさらにフッ素系樹脂被膜層を設けることにより、抜け性がより向上する。また、表面処理層を設けると金属板表面の平滑性が向上し、メタルマスク裏面への滲み出しを抑制できる。
【0008】
本発明に係るメタルマスクの製造方法は、金属板に開口部を形成する穴あけ工程と、上記金属板の表面に上記式(1)で表されるトリアジンジチオール誘導体層を形成する成膜工程とを備えてなるメタルマスクの製造方法であって、上記穴あけ工程はプレス加工によってなされることを特徴とする。
また、上記成膜工程がトリアジンジチオール誘導体層を形成した後、フッ素系樹脂被膜層を形成する工程であることを特徴とする。
また、上記成膜工程が乾式法によりなされることを特徴とする。
また、上記成膜工程後に熱処理および放射線処理の少なくとも一つの処理工程を有することを特徴とする。
また、開口部を形成する前の金属板が式(1)で表されるトリアジンジチオール誘導体層を有することを特徴とする。
【0009】
穴あけ工程をプレス加工とすることにより、短時間で低コストでメタルマスクを製造できる。また、成膜工程を乾式法とすることにより、成膜条件を容易に設定変更でき、簡易な方法でメタルマスクを製造できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
メタルマスクに使用できる金属板の材質としては、ステンレス板、アルミニウムまたはその合金板、マグネシウムまたはその合金板、鉄または鉄合金板等が挙げられる。これらの中で基板への接着、剥離性に優れるステンレス板が好ましい。
【0011】
本発明に使用できる上記式(1)で表されるトリアジンジチオール誘導体において、R1およびR2を構成する炭化水素基は、CnH2n+1−で表される脂肪族飽和炭化水素基、CnH2n−1−で表される脂肪族不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基が挙げられる。ここでnは 1〜24の整数を表す。
酸素含有炭化水素基としては上記炭化水素基に水酸基を導入して得られる基、あるいは上記炭化水素基がエステル結合で連結された基等を挙げることができる。
フッ素含有炭化水素基としては、上記炭化水素基の水素の一部をフッ素原子で置換した基が挙げられる。
【0012】
脂肪族飽和炭化水素基の具体例としては、−CH3、−C2H5、−C4H9、−C6H13、−C8H17、−C10H21、−C12H25、−C18H37、−C20H41、−C22H45、−C24H49が挙げられる。
脂肪族不飽和炭化水素基の具体例としては、−CH2CH=CH2、−(CH2)8CH=CH2、−(CH2)9CH=CH2、−C8H16CH=CHC8H17が挙げられる。
芳香族炭化水素基の具体例としては、−C6H5、−CH2C6H5、−CH2CH2C6H5が挙げられる。
脂環式炭化水素基の具体例としては、−C6H11が挙げられる。
酸素含有炭化水素基の具体例としては、−CH2CH2COO(CH2)4CH=CH2、−CH2CH2COO(CH2)8CH=CH2、−CH2CH2COO(CH2)9CH=CH2が挙げられる。
【0013】
フッ素含有炭化水素基の具体例としては、−C6H4CF3、−C6H4C4F9、−C6H4C6F13、−C6H4C8F17、−C6H4C10F21、−C6H4OC6F11、−C6H4OC9F17、−CH2C4F9、−CH2C6F13、−CH2C8F17、−CH2C10F21、−CH2CH2CF3、−CH2CH2C6F13、−CH2CH2C8F17、−CH2CH2CH2C8F17、−CH2CH2CH2CH2C8F17、−CH2CH2CH2CH2CH2C8F17、−CH2CH2C10F21、−CH2CH2CH2C10F21、−CH2CH=CH2C4F9、−CH2CH=CH2C6F13、−CH2CH=CH2C8F17、−CH2CH=CH2C10F21、−CH2CH(OH)CH2C4F9、−CH2CH(OH)CH2C6F13、−CH2CH(OH)CH2C8F17、−CH2CH(OH)CH2C10F21が挙げられる。
【0014】
R1およびR2は、それぞれ相互に同一であっても、あるいは異なっていてもよい。
本発明に好適なトリアジンジチオール誘導体を例示すれば、例えば、6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−アニリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオールが挙げられる。
これらの中で、6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオールは成膜時あるいは成膜後のアリル基による高分子反応で架橋構造を生成しやすくなるので好ましい。
なお、トリアジンジチオール誘導体は、公知の方法、例えば特開平11−71357号公報の方法等で得られる。
【0015】
トリアジンジチオール誘導体薄層が形成された金属板表面上にフッ素系樹脂被膜層を設けることが好ましい。フッ素系樹脂被膜層を設けることにより、被膜強度が増加し、離型性がより向上する。
フッ素系樹脂としては、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合樹脂(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニルフロライド(PVF)等が例示でき、単体でも混合物としても使用できる。これらの中で、PFAが成膜性に優れるため好ましい。
【0016】
開口部を有するメタルマスクの部分断面図を図1に示す。開口部4を有するメタルマスクは金属板1の表面にトリアジンジチオール誘導体薄層2とフッ素系樹脂被膜層3とが順に形成されている。また、トリアジンジチオール誘導体薄層2およびフッ素系樹脂被膜層3は金属板1の主面1aのみならず開口部内壁面1bにも形成されている。開口部内壁面1bに成膜することによりハンダなどの抜け性が向上する。
金属板1の厚さは 30〜2000μm、好ましくは 30〜200μmである。30μm未満では耐久性に劣り、2000μmをこえると開口部のプレス加工が困難になる。
トリアジンジチオール誘導体薄層2の厚さは 10〜1000nm、好ましくは 50〜150nmである。 10nm未満では密着性が向上せず、1000nmをこえるとトリアジンジチオール誘導体薄層2の成膜が困難になる。
フッ素系樹脂被膜層3の厚さは 50〜2000nm、好ましくは 100〜200nmである。層厚が 2000nmをこえると、寸法変化が大きくなりすぎ、また処理時間が長くなり、生産性が低下する。
【0017】
本発明に係るメタルマスクの製造方法について図2により説明する。図2はステンレス製メタルマスクの製造工程図である。
ステンレス板を準備し(図2(a))、このステンレス板にフォトデータに基づきNCパンチング加工する。Gerberデータとして提供されるフォトデータをNCパンチング装置で読み取れるDXFデータに変換し、NCパンチング装置に入力して所定の開口部を有するステンレス板に穴あけ加工する(図2(b))。
穴あけ加工されたステンレス板はバリ除去加工および端面研磨加工を行なって、スキージ面のブラスト加工を行なう(図2(c)〜(e))。
【0018】
ステンレス板をフォトデータに基づきNCパンチング加工する前に、ステンレス板表面にトリアジンジチオール誘導体層を形成しておくことができる(図2(a’))。この場合、表面層の形成によりNCパンチング加工において、バリの発生などが抑えられる。
【0019】
穴あけ加工され、上記ブラスト加工がなされたステンレス板へトリアジンジチオール誘導体層を形成する(図2(f))。
トリアジンジチオール誘導体層の形成方法は、公知の方法を採用できる。例えば、トリアジンチオール誘導体と電解質からなる電解溶液に処理金属を陽極として電着処理し、金属表面にトリアジンジチオール誘導体被膜を生成させる方法、真空蒸着法またはスパッタ法等の乾式製膜法により生成させる方法等が挙げられる。本発明においては、排水処理の必要性がなく、かつ生産性に優れる乾式製膜法が好ましい。
【0020】
乾式製膜法の中でも真空蒸着法が好ましく、用いるトリアジンジチオール誘導体の種類によっても異なるが、10−2〜10−4Paの真空度において、100〜500℃、好ましくは 150〜200℃の温度にトリアジンジチオール誘導体を加熱することにより開口部内壁面を含むステンレス板表面へトリアジンジチオール誘導体薄層が形成される。加熱方法としては、蒸着源の温度を制御しやすい抵抗加熱式が好ましい。
【0021】
トリアジンジチオール誘導体薄層を形成した後、さらに該薄層上にフッ素系樹脂被膜層を設けることができる。
フッ素系樹脂層の成膜方法は、上記トリアジンジチオール誘導体薄層の成膜方法と同様に真空蒸着法で行なうことが好ましい。真空蒸着法を採用することにより、トリアジンジチオール誘導体薄層形成し、続いてフッ素系樹脂層が形成でき、生産性に優れる。
フッ素系樹脂蒸着源の温度は、200〜800℃、好ましくは 300〜400℃である。
【0022】
金属板表面へ形成されたトリアジンジチオール誘導体薄層は、熱処理および放射線処理の少なくとも一つの処理を施すことにより、薄膜の重合度を上げることにより、あるいは不飽和結合部分の架橋反応により、被膜強度を上げることができる。熱処理条件としては、空気雰囲気中で温度が 100〜350℃、好ましくは 150〜200℃、処理時間が 5〜600分、好ましくは 10〜120分の条件である。熱処理と同時に紫外線処理などの放射線処理を併用できる。
【0023】
熱処理等はトリアジンジチオール誘導体薄層形成後、行なってもよく、またトリアジンジチオール誘導体薄層上にフッ素系樹脂層を形成した後、積層膜を同時に熱処理等してもよい。金属板表面へトリアジンジチオール誘導体薄層とフッ素系樹脂層とを連続して積層膜として形成した後、蒸着装置より取り出した後、上記熱処理することが処理時間が短くなり生産性が向上するため好ましい。
【0024】
加工されたステンレス板に枠をつけるなどコンビネーション加工を行なってメタルマスクが完成する(図2(g))。
【0025】
【実施例】
実施例1
クリームハンダ用メタルマスクを次の方法で作製した。
厚さ140μmのステンレス板(SUS304)を準備し、このステンレス板に穴あけ加工する。穴あけ加工はGerberデータをDXFデータに変換し、NCパンチング装置に入力して行なった。
次に、バリ除去加工および端面研磨加工を行なって、スキージ面のブラスト加工を行なった。
得られた開口部を有するステンレス板をアセトンを用いてブラシ洗浄および超音波洗浄を行なった。
【0026】
このステンレス板にトリアジンジチオール誘導体薄膜を下層に、フッ素系樹脂薄膜を上層に抵抗加熱式による真空蒸着法により成膜した。図3は真空蒸着法を説明するための図である。
真空蒸着装置は排気装置6を備えた容器5内に蒸発源7が配置され、この蒸発源にステンレス板からなる金属板1が対向配置される。8は成膜される薄膜の厚さを調節するためのシャッターであり、9は膜厚計である。
蒸発源7は抵抗加熱装置になっており、また複数層の成膜が可能となるように、複数個の蒸発源7を備えることができる。
トリアジンジチオール誘導体として、6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオールを蒸発源7の一つの容器に充填する。他の容器にテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)を充填する。
また、洗浄されたステンレス板を容器5内の治具に装着する。
【0027】
容器5内を排気装置6により、5×10−4Paの真空度にする。6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオールが充填された容器を 150〜200℃に加熱して、膜厚計9により 150nmになるまでトリアジンジチオール誘導体層を成膜する。
次にトリアジンジチオール誘導体が充填された容器の加熱を中止し、PFAが充填された容器を 300〜400℃に加熱して、膜厚計9により 150nmになるまでPFA層を成膜する。
【0028】
真空蒸着装置より、表面に成膜されたステンレス板を取り出し、大気中にて 150〜200℃で 60分間熱処理した。
得られたクリームハンダ用メタルマスクを、加工穴の断面形状、表面処理膜の特性、ハンダペースト印刷における滲み幅の増減、リフローハンダ付けにおけるハンダ付け不具合により評価した。
【0029】
(1)加工穴の断面形状
プレス加工により得られた実施例1の断面形状を材質、加工工程とともに表1に示す。なお、比較例1はSUS304にエッチング法により、比較例2はSUS304にYAGレーザにより、それぞれ穴あけ加工を行なった例であり、比較例3はアティティブ法によるニッケル板の断面形状である。なお、比較例4は参考として樹脂板にエキシマレーザで穴あけ加工を行なった例である。結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
表1に示すように実施例1の断面形状は、樹脂板へのエキシマレーザ穴あけ加工と略同一の断面形状を示した。
【0031】
(2)表面処理膜の特性
表面処理膜の接触角と摩擦係数を測定した。比較例2は表面処理膜を有しない例である。摩擦係数の測定条件は、荷重:5g、回転速度:10rpm、動作半径:10mmである。結果を表2に示す。
【0032】
【表2】
表2に示すように実施例1は剥離性に優れた接触角を示し、また摩擦係数も表面処理膜がない比較例2と比較して、1/4〜1/5の値を示した。
【0033】
(3)ハンダペースト印刷における滲み幅の増減
ステンレス板に設けられたピッチ 400μm、開口幅 220μmの開口部に対して、ハンダペースト印刷時の滲み幅の増減を測定した。結果を表2に併記する。表2に示すように、実施例1はハンダペーストの滲み幅が減少した。その結果、ハンダショートやハンダ不足などのハンダ付け不良箇所が低減する。
【0034】
(4)リフローハンダ付けにおけるハンダ付け不具合
実施例1および比較例2のメタルマスクを用いて、使用部品:2125サイズ4連抵抗アレー、不具合確認項目:ハンダショートおよびハンダ不足にて、ハンダ付け不具合を評価した。結果を表3に示す。
【0035】
【表3】
表3に示すように実施例1はハンダ付け不具合を大幅に低減することができた。
【0036】
実施例2
トリアジンジチオール誘導体薄膜とフッ素系樹脂薄膜との積層膜とすることなく、トリアジンジチオール誘導体薄膜単層とする以外は実施例1と同一の条件でクリームハンダ用メタルマスクを得た。なお、トリアジンジチオール誘導体は、式(1)においてR1が水素原子、R2が−CH2C6F13を用いた。
得られたクリームハンダ用メタルマスクを、実施例1と同様にハンダペースト印刷における滲み幅の増減、リフローハンダ付けにおけるハンダ付け不具合により評価したところ、実施例1と略同一の結果が得られた。
【0037】
【発明の効果】
本発明に係るメタルマスクは、トリアジンジチオール誘導体処理層を有するので、また、その表面にフッ素系樹脂被膜層を積層するので、ハンダやペーストの抜け性が向上し、また、金属板表面の平滑性が向上し、メタルマスク裏面への滲み出しを抑制できる。
【0038】
本発明に係るメタルマスクの製造方法は、プレス加工による穴あけ工程と、トリアジンジチオール誘導体層を形成する工程とを含むので、短納期でかつ低コストでメタルマスクを製造できる。また、成膜工程を乾式法とすることにより、成膜条件を容易に設定変更でき、簡易な方法でメタルマスクを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】開口部を有するメタルマスクの部分断面図である。
【図2】ステンレス製メタルマスクの製造工程図である。
【図3】真空蒸着法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 金属板
2 トリアジンジチオール誘導体薄層
3 フッ素系樹脂被膜層
4 開口部
5 容器
6 排気装置
7 蒸発源
8 シャッター
9 膜厚計
【発明の属する技術分野】
この発明はプリント配線板の製造に用いられるメタルマスクおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板上に電子部品を実装するためのクリームハンダ印刷、ビルドアップ配線板の樹脂印刷、導電ペーストの穴埋め印刷、セラミックスまたは有機基板とBGA、CSPタイプのICパッケージを電気的に接続するためのハンダボール印刷等において開口部を有するメタルマスクが多用されている。
従来、メタルマスクの開口部の加工方法としては、エッチング法、ニッケル電鋳によるアディティブ法、YAGまたはエキシマレーザ法等がある。特に携帯電話や携帯端末機器などの高密度実装、ファイン実装分野ではエキシマレーザ法に移行している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エキシマレーザは出力が小さいため、厚さ 500μm以上のステンレス板などには加工することができない。このため、プラスチックスマスクを用いざるを得ないが、印刷耐久性に劣るという問題がある。
出力の大きい炭酸ガスレーザを用いてステンレス板などの金属板に加工しようとすると、炭酸ガスレーザはビーム径が 20〜30μmと大きいため、例えば 50〜60μmの穴あけをする場合、穴の内壁面がギザギザとなり、その後に電解研磨加工などを行なっても平滑な壁面が得られないという問題がある。また、300mm角のステンレス板を加工するのに数時間を要するという問題がある。
【0004】
クリームハンダなどをプリント配線板上に印刷した後のメタルマスクは基板から剥がす必要があるが、高密度実装が進むと、メタルマスクの微小開口部内に充填されたクリームハンダなどの基板への転移が困難になるという問題がある。特に開口部内壁面の表面粗さによって転移が阻害される、あるいは、ハンダやペーストの抜け性が阻害されるという問題がある。
また、メタルマスクとの表面が平滑でないと、クリームハンダなどのメタルマスク裏面への滲みが発生しやすいという問題がある。そのため、ハンダペーストなどの場合、リフロー後にショートや余分なハンダボールができる場合があり、プリント配線板の信頼性を低下させるという問題がある。
【0005】
本発明はこのような問題に対処するためになされたもので、高密度実装が容易な微小開口部であっても、ハンダやペーストの抜け性に優れ、裏面への滲み出しを抑えることができるメタルマスクと、高精度に加工することができ、かつ低コストで製造できる該メタルマスクの製造方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るメタルマスクは、開口部を有する金属板からなり、プリント配線板の製造に用いられるメタルマスクであって、上記金属板の表面が下記式(1)で表されるトリアジンジチオール誘導体処理層を有することを特徴とする。
【化3】
ここで、Rは、−SM、または−NR1R2で表され、R1およびR2は、水素原子、炭化水素基、酸素含有炭化水素基またはフッ素含有炭化水素基を表し、Mは水素原子またはアルカリ金属を表す。
また、上記トリアジンジチオール誘導体処理層表面にフッ素系樹脂被膜層を設けたことを特徴とする。
【0007】
トリアジンジチオール誘導体処理層を表面に有することにより、開口部内壁面にも表面処理層が形成される。そのため、ハンダやペーストの抜け性が向上する。特に表面処理層にさらにフッ素系樹脂被膜層を設けることにより、抜け性がより向上する。また、表面処理層を設けると金属板表面の平滑性が向上し、メタルマスク裏面への滲み出しを抑制できる。
【0008】
本発明に係るメタルマスクの製造方法は、金属板に開口部を形成する穴あけ工程と、上記金属板の表面に上記式(1)で表されるトリアジンジチオール誘導体層を形成する成膜工程とを備えてなるメタルマスクの製造方法であって、上記穴あけ工程はプレス加工によってなされることを特徴とする。
また、上記成膜工程がトリアジンジチオール誘導体層を形成した後、フッ素系樹脂被膜層を形成する工程であることを特徴とする。
また、上記成膜工程が乾式法によりなされることを特徴とする。
また、上記成膜工程後に熱処理および放射線処理の少なくとも一つの処理工程を有することを特徴とする。
また、開口部を形成する前の金属板が式(1)で表されるトリアジンジチオール誘導体層を有することを特徴とする。
【0009】
穴あけ工程をプレス加工とすることにより、短時間で低コストでメタルマスクを製造できる。また、成膜工程を乾式法とすることにより、成膜条件を容易に設定変更でき、簡易な方法でメタルマスクを製造できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
メタルマスクに使用できる金属板の材質としては、ステンレス板、アルミニウムまたはその合金板、マグネシウムまたはその合金板、鉄または鉄合金板等が挙げられる。これらの中で基板への接着、剥離性に優れるステンレス板が好ましい。
【0011】
本発明に使用できる上記式(1)で表されるトリアジンジチオール誘導体において、R1およびR2を構成する炭化水素基は、CnH2n+1−で表される脂肪族飽和炭化水素基、CnH2n−1−で表される脂肪族不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基が挙げられる。ここでnは 1〜24の整数を表す。
酸素含有炭化水素基としては上記炭化水素基に水酸基を導入して得られる基、あるいは上記炭化水素基がエステル結合で連結された基等を挙げることができる。
フッ素含有炭化水素基としては、上記炭化水素基の水素の一部をフッ素原子で置換した基が挙げられる。
【0012】
脂肪族飽和炭化水素基の具体例としては、−CH3、−C2H5、−C4H9、−C6H13、−C8H17、−C10H21、−C12H25、−C18H37、−C20H41、−C22H45、−C24H49が挙げられる。
脂肪族不飽和炭化水素基の具体例としては、−CH2CH=CH2、−(CH2)8CH=CH2、−(CH2)9CH=CH2、−C8H16CH=CHC8H17が挙げられる。
芳香族炭化水素基の具体例としては、−C6H5、−CH2C6H5、−CH2CH2C6H5が挙げられる。
脂環式炭化水素基の具体例としては、−C6H11が挙げられる。
酸素含有炭化水素基の具体例としては、−CH2CH2COO(CH2)4CH=CH2、−CH2CH2COO(CH2)8CH=CH2、−CH2CH2COO(CH2)9CH=CH2が挙げられる。
【0013】
フッ素含有炭化水素基の具体例としては、−C6H4CF3、−C6H4C4F9、−C6H4C6F13、−C6H4C8F17、−C6H4C10F21、−C6H4OC6F11、−C6H4OC9F17、−CH2C4F9、−CH2C6F13、−CH2C8F17、−CH2C10F21、−CH2CH2CF3、−CH2CH2C6F13、−CH2CH2C8F17、−CH2CH2CH2C8F17、−CH2CH2CH2CH2C8F17、−CH2CH2CH2CH2CH2C8F17、−CH2CH2C10F21、−CH2CH2CH2C10F21、−CH2CH=CH2C4F9、−CH2CH=CH2C6F13、−CH2CH=CH2C8F17、−CH2CH=CH2C10F21、−CH2CH(OH)CH2C4F9、−CH2CH(OH)CH2C6F13、−CH2CH(OH)CH2C8F17、−CH2CH(OH)CH2C10F21が挙げられる。
【0014】
R1およびR2は、それぞれ相互に同一であっても、あるいは異なっていてもよい。
本発明に好適なトリアジンジチオール誘導体を例示すれば、例えば、6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−アニリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオールが挙げられる。
これらの中で、6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオールは成膜時あるいは成膜後のアリル基による高分子反応で架橋構造を生成しやすくなるので好ましい。
なお、トリアジンジチオール誘導体は、公知の方法、例えば特開平11−71357号公報の方法等で得られる。
【0015】
トリアジンジチオール誘導体薄層が形成された金属板表面上にフッ素系樹脂被膜層を設けることが好ましい。フッ素系樹脂被膜層を設けることにより、被膜強度が増加し、離型性がより向上する。
フッ素系樹脂としては、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合樹脂(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニルフロライド(PVF)等が例示でき、単体でも混合物としても使用できる。これらの中で、PFAが成膜性に優れるため好ましい。
【0016】
開口部を有するメタルマスクの部分断面図を図1に示す。開口部4を有するメタルマスクは金属板1の表面にトリアジンジチオール誘導体薄層2とフッ素系樹脂被膜層3とが順に形成されている。また、トリアジンジチオール誘導体薄層2およびフッ素系樹脂被膜層3は金属板1の主面1aのみならず開口部内壁面1bにも形成されている。開口部内壁面1bに成膜することによりハンダなどの抜け性が向上する。
金属板1の厚さは 30〜2000μm、好ましくは 30〜200μmである。30μm未満では耐久性に劣り、2000μmをこえると開口部のプレス加工が困難になる。
トリアジンジチオール誘導体薄層2の厚さは 10〜1000nm、好ましくは 50〜150nmである。 10nm未満では密着性が向上せず、1000nmをこえるとトリアジンジチオール誘導体薄層2の成膜が困難になる。
フッ素系樹脂被膜層3の厚さは 50〜2000nm、好ましくは 100〜200nmである。層厚が 2000nmをこえると、寸法変化が大きくなりすぎ、また処理時間が長くなり、生産性が低下する。
【0017】
本発明に係るメタルマスクの製造方法について図2により説明する。図2はステンレス製メタルマスクの製造工程図である。
ステンレス板を準備し(図2(a))、このステンレス板にフォトデータに基づきNCパンチング加工する。Gerberデータとして提供されるフォトデータをNCパンチング装置で読み取れるDXFデータに変換し、NCパンチング装置に入力して所定の開口部を有するステンレス板に穴あけ加工する(図2(b))。
穴あけ加工されたステンレス板はバリ除去加工および端面研磨加工を行なって、スキージ面のブラスト加工を行なう(図2(c)〜(e))。
【0018】
ステンレス板をフォトデータに基づきNCパンチング加工する前に、ステンレス板表面にトリアジンジチオール誘導体層を形成しておくことができる(図2(a’))。この場合、表面層の形成によりNCパンチング加工において、バリの発生などが抑えられる。
【0019】
穴あけ加工され、上記ブラスト加工がなされたステンレス板へトリアジンジチオール誘導体層を形成する(図2(f))。
トリアジンジチオール誘導体層の形成方法は、公知の方法を採用できる。例えば、トリアジンチオール誘導体と電解質からなる電解溶液に処理金属を陽極として電着処理し、金属表面にトリアジンジチオール誘導体被膜を生成させる方法、真空蒸着法またはスパッタ法等の乾式製膜法により生成させる方法等が挙げられる。本発明においては、排水処理の必要性がなく、かつ生産性に優れる乾式製膜法が好ましい。
【0020】
乾式製膜法の中でも真空蒸着法が好ましく、用いるトリアジンジチオール誘導体の種類によっても異なるが、10−2〜10−4Paの真空度において、100〜500℃、好ましくは 150〜200℃の温度にトリアジンジチオール誘導体を加熱することにより開口部内壁面を含むステンレス板表面へトリアジンジチオール誘導体薄層が形成される。加熱方法としては、蒸着源の温度を制御しやすい抵抗加熱式が好ましい。
【0021】
トリアジンジチオール誘導体薄層を形成した後、さらに該薄層上にフッ素系樹脂被膜層を設けることができる。
フッ素系樹脂層の成膜方法は、上記トリアジンジチオール誘導体薄層の成膜方法と同様に真空蒸着法で行なうことが好ましい。真空蒸着法を採用することにより、トリアジンジチオール誘導体薄層形成し、続いてフッ素系樹脂層が形成でき、生産性に優れる。
フッ素系樹脂蒸着源の温度は、200〜800℃、好ましくは 300〜400℃である。
【0022】
金属板表面へ形成されたトリアジンジチオール誘導体薄層は、熱処理および放射線処理の少なくとも一つの処理を施すことにより、薄膜の重合度を上げることにより、あるいは不飽和結合部分の架橋反応により、被膜強度を上げることができる。熱処理条件としては、空気雰囲気中で温度が 100〜350℃、好ましくは 150〜200℃、処理時間が 5〜600分、好ましくは 10〜120分の条件である。熱処理と同時に紫外線処理などの放射線処理を併用できる。
【0023】
熱処理等はトリアジンジチオール誘導体薄層形成後、行なってもよく、またトリアジンジチオール誘導体薄層上にフッ素系樹脂層を形成した後、積層膜を同時に熱処理等してもよい。金属板表面へトリアジンジチオール誘導体薄層とフッ素系樹脂層とを連続して積層膜として形成した後、蒸着装置より取り出した後、上記熱処理することが処理時間が短くなり生産性が向上するため好ましい。
【0024】
加工されたステンレス板に枠をつけるなどコンビネーション加工を行なってメタルマスクが完成する(図2(g))。
【0025】
【実施例】
実施例1
クリームハンダ用メタルマスクを次の方法で作製した。
厚さ140μmのステンレス板(SUS304)を準備し、このステンレス板に穴あけ加工する。穴あけ加工はGerberデータをDXFデータに変換し、NCパンチング装置に入力して行なった。
次に、バリ除去加工および端面研磨加工を行なって、スキージ面のブラスト加工を行なった。
得られた開口部を有するステンレス板をアセトンを用いてブラシ洗浄および超音波洗浄を行なった。
【0026】
このステンレス板にトリアジンジチオール誘導体薄膜を下層に、フッ素系樹脂薄膜を上層に抵抗加熱式による真空蒸着法により成膜した。図3は真空蒸着法を説明するための図である。
真空蒸着装置は排気装置6を備えた容器5内に蒸発源7が配置され、この蒸発源にステンレス板からなる金属板1が対向配置される。8は成膜される薄膜の厚さを調節するためのシャッターであり、9は膜厚計である。
蒸発源7は抵抗加熱装置になっており、また複数層の成膜が可能となるように、複数個の蒸発源7を備えることができる。
トリアジンジチオール誘導体として、6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオールを蒸発源7の一つの容器に充填する。他の容器にテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)を充填する。
また、洗浄されたステンレス板を容器5内の治具に装着する。
【0027】
容器5内を排気装置6により、5×10−4Paの真空度にする。6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオールが充填された容器を 150〜200℃に加熱して、膜厚計9により 150nmになるまでトリアジンジチオール誘導体層を成膜する。
次にトリアジンジチオール誘導体が充填された容器の加熱を中止し、PFAが充填された容器を 300〜400℃に加熱して、膜厚計9により 150nmになるまでPFA層を成膜する。
【0028】
真空蒸着装置より、表面に成膜されたステンレス板を取り出し、大気中にて 150〜200℃で 60分間熱処理した。
得られたクリームハンダ用メタルマスクを、加工穴の断面形状、表面処理膜の特性、ハンダペースト印刷における滲み幅の増減、リフローハンダ付けにおけるハンダ付け不具合により評価した。
【0029】
(1)加工穴の断面形状
プレス加工により得られた実施例1の断面形状を材質、加工工程とともに表1に示す。なお、比較例1はSUS304にエッチング法により、比較例2はSUS304にYAGレーザにより、それぞれ穴あけ加工を行なった例であり、比較例3はアティティブ法によるニッケル板の断面形状である。なお、比較例4は参考として樹脂板にエキシマレーザで穴あけ加工を行なった例である。結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
表1に示すように実施例1の断面形状は、樹脂板へのエキシマレーザ穴あけ加工と略同一の断面形状を示した。
【0031】
(2)表面処理膜の特性
表面処理膜の接触角と摩擦係数を測定した。比較例2は表面処理膜を有しない例である。摩擦係数の測定条件は、荷重:5g、回転速度:10rpm、動作半径:10mmである。結果を表2に示す。
【0032】
【表2】
表2に示すように実施例1は剥離性に優れた接触角を示し、また摩擦係数も表面処理膜がない比較例2と比較して、1/4〜1/5の値を示した。
【0033】
(3)ハンダペースト印刷における滲み幅の増減
ステンレス板に設けられたピッチ 400μm、開口幅 220μmの開口部に対して、ハンダペースト印刷時の滲み幅の増減を測定した。結果を表2に併記する。表2に示すように、実施例1はハンダペーストの滲み幅が減少した。その結果、ハンダショートやハンダ不足などのハンダ付け不良箇所が低減する。
【0034】
(4)リフローハンダ付けにおけるハンダ付け不具合
実施例1および比較例2のメタルマスクを用いて、使用部品:2125サイズ4連抵抗アレー、不具合確認項目:ハンダショートおよびハンダ不足にて、ハンダ付け不具合を評価した。結果を表3に示す。
【0035】
【表3】
表3に示すように実施例1はハンダ付け不具合を大幅に低減することができた。
【0036】
実施例2
トリアジンジチオール誘導体薄膜とフッ素系樹脂薄膜との積層膜とすることなく、トリアジンジチオール誘導体薄膜単層とする以外は実施例1と同一の条件でクリームハンダ用メタルマスクを得た。なお、トリアジンジチオール誘導体は、式(1)においてR1が水素原子、R2が−CH2C6F13を用いた。
得られたクリームハンダ用メタルマスクを、実施例1と同様にハンダペースト印刷における滲み幅の増減、リフローハンダ付けにおけるハンダ付け不具合により評価したところ、実施例1と略同一の結果が得られた。
【0037】
【発明の効果】
本発明に係るメタルマスクは、トリアジンジチオール誘導体処理層を有するので、また、その表面にフッ素系樹脂被膜層を積層するので、ハンダやペーストの抜け性が向上し、また、金属板表面の平滑性が向上し、メタルマスク裏面への滲み出しを抑制できる。
【0038】
本発明に係るメタルマスクの製造方法は、プレス加工による穴あけ工程と、トリアジンジチオール誘導体層を形成する工程とを含むので、短納期でかつ低コストでメタルマスクを製造できる。また、成膜工程を乾式法とすることにより、成膜条件を容易に設定変更でき、簡易な方法でメタルマスクを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】開口部を有するメタルマスクの部分断面図である。
【図2】ステンレス製メタルマスクの製造工程図である。
【図3】真空蒸着法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 金属板
2 トリアジンジチオール誘導体薄層
3 フッ素系樹脂被膜層
4 開口部
5 容器
6 排気装置
7 蒸発源
8 シャッター
9 膜厚計
Claims (7)
- 前記トリアジンジチオール誘導体処理層表面にフッ素系樹脂被膜層有することを特徴とする請求項1記載のメタルマスク。
- 前記成膜工程は、前記トリアジンジチオール誘導体層を形成した後、フッ素系樹脂被膜層を形成する工程であることを特徴とする請求項3記載のメタルマスクの製造方法。
- 前記成膜工程が乾式法によりなされることを特徴とする請求項3または請求項4記載のメタルマスクの製造方法。
- 前記成膜工程後に熱処理および放射線処理の少なくとも一つの処理工程を有することを特徴とする請求項5記載のメタルマスクの製造方法。
- 前記金属板が前記式(1)で表されるトリアジンジチオール誘導体層を有することを特徴とする請求項3記載のメタルマスクの製造方法。
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