JP2005056949A - 半導体薄膜の結晶化方法並びに結晶化装置、及び、半導体装置並びに製造方法、及び表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来技術の問題点を解決した半導体薄膜の結晶化方法並びに結晶化装置、及び、半導体装置並びに製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、透明の基板301と、この基板の上面側に配設された半導体薄膜303とを有する。この半導体薄膜は、レーザ光105,108の照射により、上面側から見て表面形状がほぼ矩形を有している結晶粒が形成された照射領域305を有し、この照射領域は、これの上面と直交する断面の結晶方位が(001)面となっている。結晶化領域である。この結晶化領域には、ソース領域とドレイン領域とが、チャネル領域内で電流の流れる方向の断面が前記(001)面となるように形成されている。
【選択図】 図16
【解決手段】半導体装置は、透明の基板301と、この基板の上面側に配設された半導体薄膜303とを有する。この半導体薄膜は、レーザ光105,108の照射により、上面側から見て表面形状がほぼ矩形を有している結晶粒が形成された照射領域305を有し、この照射領域は、これの上面と直交する断面の結晶方位が(001)面となっている。結晶化領域である。この結晶化領域には、ソース領域とドレイン領域とが、チャネル領域内で電流の流れる方向の断面が前記(001)面となるように形成されている。
【選択図】 図16
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,半導体薄膜の結晶化方法並びにこの方法を実施するための結晶化装置、及び、結晶化された半導体薄膜を有する半導体装置並びにその製造方法、及び表示装置に関する。
【0002】
尚、一般的には単結晶でも原子列の乱れ(転位など)が存在しており、“単結晶”と“単結晶に近い結晶”とは、区別が困難なので、本明細書では、“単結晶に近い結晶”も、“単結晶”として説明されている。
【0003】
【従来の技術】
絶縁材料基板,または絶縁膜上に単結晶シリコンを形成するSOI(Silicon On Insulator)技術は,LSI (Ultra large−Scale Integrated circuit)の高集積化,低消費電力や高速化を実現する技術として知られている。この技術のプロセスは,▲1▼単結晶半導体ウエハ、例えば、シリコンウエハの表面下部領域に絶縁膜を形成する方法と,▲2▼絶縁材料基板もしくは絶縁膜の上に形成した非晶質または多結晶半導体薄膜、例えば、単結晶シリコンまたは多結晶シリコン薄膜を結晶化または再結晶化する方法とに分類される。いずれの方法においても,シリコンの結晶性を高めることは極めて重要であり,トランジスタを形成する領域が単結晶であること,さらに,結晶面方位が揃っていて,特に表面が(001)面,電流の流れる方向の結晶方位が(100)面であることが望ましい。このため,単結晶シリコンウエハを用いるSIMOXや貼り合わせ基板のような▲1▼の方法が実用化されている。
【0004】
一方,▲2▼の方法は,今日のシリコンULSI技術では採用されていないが,基板材料に制限なくシリコンなどの高品質の半導体薄膜を形成できれば,さまざまな電子素子や電子装置の応用が可能である。このために、この▲2▼の方法の改良が強く望まれている。
【0005】
1980年代に,面方位の揃った単結晶シリコン薄膜を形成することを目的とした多くの研究が行われた。その中で高周波誘導加熱を用いたゾーンメルティング法は、重要な技術であり,表面の結晶方位が(001)面を有する単結晶シリコン矩形領域を形成することができる技術として知られている。この方法を図1を参照して以下に説明する。なお,詳細は,”深見彰,小林裕,電子通信学会論文誌1986/9vol.J69−C No.9 p.1089−1095.”(非特許文献1)に記載されている。
【0006】
まず、図に示すように石英基板11上に常圧化学気相成長法を用いて多結晶Si薄膜を堆積し,この薄膜を,ネック部14aにより互い連結された2つの矩形領域14となるようにパターニングする。次に、細長い高周波誘導加熱ヒータ17を石英基板11の下側に位置させて、帯状に1412℃以上に加熱し、加熱ヒータ17に対応した個所の多結晶シリコンを溶融させて、帯状のシリコン溶融領域13を形成する。次に、この加熱ヒータ17を矢印15で示す方向に線形に移動させることにより、単結晶シリコンを順次溶融させて矩形領域14全体を溶融させて単結晶化させる。図1は、加熱ヒータ13が、移動の途中にある状態を示し、矩形領域14のうち、符号12で示す部分は、既に単結晶化され、空白の部分は、結晶化されていない。ここで,ネック部14aの寸法(図の長さLと幅W)を変化させると,局部的に熱流が変化し,熱流に依存して結晶方位が変化する。LとWを最適化すると(001)面の方位を有する結晶化矩形領域12を形成することができる。
ところで,ガラスやプラスチック基板上に結晶化シリコン薄膜を形成する技術は,液晶ディスプレイなどの駆動素子に用いられている薄膜トランジスタの高性能化技術に応用されている。例えば,薄膜トランジスタの半導体層を非晶質構造から多結晶構造に変化させると、トランジスタの移動度が100倍以上になる。但し,この場合には,結晶化には基板における熱損傷に注意しなければならない(例えば、一般のガラス基板では600℃以下,プラスチックでは150℃以下にしなければならない)。上記高周波誘導加熱を用いたゾーンメルティング法は、基板(石英基板)を高温にしてしまうため、上記材料で基板が形成されている液晶ディスプレイの分野には適用できない。
【0007】
このために,基板に熱損傷を与えずに非晶質シリコン薄膜を結晶化する方法として,エキシマレーザ結晶化法が開発された。この技術は,図2に示すように、エキシマレーザ光21をホモジナイズ光学系22により光照射断面の強度を均一にし,細長い矩形の開口を有する金属マスク23を通して矩形状に整形(例えば断面形状は,150mm×200μm)して射出させている。この射出されたレーザ光で、ガラス基板26上に堆積した非晶質シリコン薄膜24の表面を矢印27で示す方向に線形的に相対的に走査して、短軸方向に10μm間隔でレーザ照射している。このレーザ光を吸収したシリコン薄膜は溶融シリコン25を経た後,多結晶シリコン28に変換される。この技術では,一般のガラスやプラスチック基板を用いたとしても基板に熱損傷は生じない。なぜなら,エキシマレーザは20ns程度のパルスレーザであり,結晶化は50ないし100ns程度で完了するからである。結晶粒径は、レーザエネルギ密度に依存しており,粒径0.1ないし1μm程度の多結晶薄膜を形成することができる。面方位に関しては,1回のレーザ照射で形成された結晶粒は配向しないが,数百回程度の多数回繰り返しレーザ照射を行うことにより,表面方位が(001)面や(111)面に配向する報告がある。前者は、例えば,D. P. Gosain, A. Machida, T. Fujino, Y. Hitsuda, K. Nakano and J. Sato, “Formation of (100)−Textured Si Film Using an Excimer Laser on a Glass Substrate”, Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 42 (2003) p.L135−L.137.,(非特許文献2)に記載されている。また、後者は、例えば、H.Kuriyama, et al., “Enlargement of Poly−Si Film Grain Size by Excimer Laser Annealing and Its Application to High−Performance Poly−Si Thin Film Transistor” Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 30(1991) p.3700−3703(非特許文献3)に記載されている。
【0008】
また,上記エキシマレーザアニールを発展させた技術として,SLS方式(Sequential Lateral Solidification)と呼ばれている技術が知られている。このような技術は、特許第3204986号公報(特許文献1)に開示されている。この技術では、図3(a)に示すように,ホモジナイズ光学系によって光強度が均一化されたエキシマレーザ光31を2ミクロン幅程度の金属細隙を設けたマスク32を通すことにより断面を長方形状に整形する。この細隙を通ったレーザのフルエンス(エネルギー密度)は,非晶質シリコン薄膜33が厚さ方向に全溶融34になるように設定すると、細隙の外側の領域から内側に向かって横方向成長が起こり,結晶化シリコン36が形成される(図3(b))。次に試料を矢印37で示すように2ミクロンだけ左方向に移動させ、レーザ照射すると溶融シリコン34は前照射によって形成された結晶化シリコン36の右端部を種結晶として横方向成長する(図2(c))。このレーザ照射と試料移動のプロセスを繰り返すことによって大粒径の多結晶シリコン薄膜を形成することができる。この場合に、マスク32の平面形状を図2(d)の様に市松状マスク39にして,繰り返しレーザ照射を行うと処理時間が向上し,また結晶化の重なり領域が良好になり,基板面で均一な横方向成多結晶薄膜を形成できる。
【0009】
上記エキシマレーザ結晶化法をさらに発展させた方法として,位相変調エキシマレーザ結晶化法が知られている。この方法の特徴は,図4(a)に示すようにエキシマレーザ光41を、位相シフタ42(例えば,石英板に段差加工を行ったもの)と呼ばれる光学部品を通すことによって、図4(b)の符号43で示すようにレーザ光強度分布を変調させている。このように変調されたレーザ光で,非晶質シリコン薄膜44に一回の照射を行って、図4(c)に示すように、照射領域45を結晶化している。
【0010】
この方法は、上記エキシマレーザ結晶化法と,SLS方式とは、異なり、均一光強度分布を使用せず,また,多数回レーザ照射を行う必要もない。この方法では、変調された光強度分布43により,レーザ照射された薄膜内には傾斜した温度分布が生じ,エネルギーの小さい所47に結晶核が形成され、この位置を正確に定めることができる。また、図4(d)に示すように、この結晶核をもとにした横方向成長により成長距離が増大し大粒径結晶粒46a,46bを得ることができる。この方法により,大粒径の結晶粒が形成され,しかも結晶粒の位置を制御することができる。この技術の詳細は,“松村正清,表面科学 Vol.21,No.5,pp.278−287,2000”(非特許文献4)に記載されている。
【0011】
【特許文献1】
特願平9−542270
【0012】
【非特許文献1】
電子通信学会論文誌1986/9vol.J69−C No.9 p.1089−1095
【0013】
【非特許文献2】
Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 42 (2003) p.L135−L.137
【0014】
【非特許文献3】
Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 30(1991) p.3700−3703
【0015】
【非特許文献4】
表面科学 Vol.21,No.5,pp.278−287,2000
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、基板材料を選択しないで,絶縁層の上に面方位の揃った単結晶領域を形成する技術において,上記4種類の形式の従来技術には夫々以下に述べる課題がある。
【0017】
図1を参照して説明した高周波誘導加熱を用いたゾーンメルティング法に関しては,基板を部分的にシリコンの融点(1410℃)以上に加熱するため,ガラスなどの低融点材料でできた基板を使用する用途には用いることができない。
【0018】
結晶化膜を(001)面方位に配向させるためには,島状シリコンの連結部(ネック部)の形状を最適化する必要があり,後に形成するトランジスタおよび回路のレイアウトに制限が生じる。
【0019】
図2を参照して説明したエキシマレーザ結晶化法に関しては,結晶粒内部の結晶性は単結晶にすることができるが,多数のトランジスタを形成した場合、チャネル領域に粒界が存在するため移動度が低下し,トランジスタ間の性能(閾電圧,サブシュレッド係数,移動度)のばらつきが生ずる。また、結晶粒を大きくするためには,シリコン薄膜が全溶融になる臨界のレーザフルエンスに極限に近づける必要がある。しかしながら,レーザフルエンスが全溶融条件を超えるとシリコン薄膜は微結晶化し、好ましくない。即ち,レーザフルエンスに関しての裕度が狭い。そして、結晶粒サイズが最大で1から2ミクロン程度であるため,トランジスタサイズを小さくしなければならない制約が生ずる。このため、例えば,1 mx1 m程度のディメンションのディスプレイ用大面積基板を用いた場合には極めて高度な微細加工技術が要求される。また、表面方位を(001)にするためには,レーザを200回以上((111)面にするためには10回程度)照射しなければならない。このため結晶化の処理時間が長くなる。また,結晶化膜の上面(一面)となる個々の結晶粒の表面の方位は(001)と一定にすることはできても、表面軸に対しては無秩序に回転した位置関係にあり,薄膜の断面の結晶方位は配向していない。即ち、結晶化膜の表面に直行する面を(001)方位とすることはできない。
【0020】
図3を参照して説明したSLS方式に関しては,レーザ光の半分近くを金属マスクでシールドするため,レーザエネルギを有効に利用することができない。このため結晶化の処理時間が長くなる。また、結晶粒の位置がばらついているため,上記エキシマレーザ結晶化と同様にトランジスタ間の性能のばらつきが生ずる。そして、結晶粒の面方位が一定でないため,トランジスタ間の性能のばらつきが生ずる。
【0021】
図4を参照して説明した位相変調エキシマレーザ結晶化技術に関しては,
結晶粒の表面形状が主に三角形状であるため,トランジスタ回路を形成するさい回路レイアウトに制限が生ずる。また、結晶粒の面方位が一定でないため,トランジスタ間の性能のばらつきが生ずる。
【0022】
本発明は上記の課題に基づいてなされたもので、その目的は、所望の面方向の結晶粒が半導体薄膜に形成される半導体薄膜の結晶化方法並びに結晶化装置、及び、半導体装置並びに製造方法を提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
かくして、基板と、この基板の一面側に配設された半導体薄膜とを具備し、この半導体薄膜は、一面側から見て表面形状がほぼ矩形を有している結晶粒により形成されている結晶化領域を有し、この結晶化領域は、これの一面と直交する断面の結晶方位が(001)面であることを特徴とする。
【0024】
このような半導体装置においては、従来の欠点が解決され、例えば、動作特性が優れる。
【0025】
本発明の他の態様に係わる半導体装置の製造方法は、基板を準備する工程と、
この基板の一面側に非晶質もしくは多結晶の半導体薄膜を形成する工程と、
この半導体薄膜の結晶化領域に、光学変調素子で光変調されて極小光強度線もしくは最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を照射して前記結晶化領域に結晶核が前記極小光強度線もしくは最小光強度点と対応し、結晶成長方向の面方位が(100)面で、一面側から見てΔ形状の結晶粒を形成する第1のレーザ照射工程と、
前記結晶化領域に、光学変調素子で光変調されて極小光強度線もしくは最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を、これの極小光強度線もしくは最小光強度点が前記Δ形状の結晶粒の底辺領域とほぼ対応させて、照射して、この底辺領域を結晶核にして前記結晶化領域に結晶成長方向の面方位が(100)面で、一面側から見て表面形状がほぼ矩形を有している結晶粒を成長させることにより、前記結晶化領域を単結晶にする第2のレーザ照射工程とを具備することを特徴とする。
【0026】
このような製造方法によれば、単結晶の半導体薄膜を有する半導体装置を容易に製造することができる。
【0027】
本発明の他の態様に係われる結晶化方法は、非単結晶性の半導体薄膜に、最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を一面側から照射して、結晶核が前記最小光強度点と対応した結晶粒を横方向に成長させて形成する第1のレーザ照射工程と、
前記半導体薄膜に、極小光強度線もしくは最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を、これの極小光強度線もしくは最小光強度点が前記結晶粒の成長端部とほぼ対応させて、照射して、この成長端部を結晶核にして前記半導体薄膜に結晶粒を成長させることにより、前記半導体薄膜を結晶化する第2のレーザ照射工程とを具備することを特徴とする。
【0028】
このような結晶化方法によれば、非晶質もしくは多結晶半導体薄膜を容易に単結晶にすることができる。
【0029】
本発明のさらに異なる態様に係わる結晶化装置は、均一な光強度分布のレーザ光を射出する射出手段と、
非単結晶の半導体薄膜を支持する支持手段と、
これら射出手段と支持手段との間に配置され、射出手段から射出されたレーザ光の位相を変調することにより極小光強度線もしくは最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を射出するための光学変調素子と、
前記射出手段と支持手段とを半導体薄膜の一面に沿って第1の位置と第2の位置との間で相対的に移動させる駆動手段とを具備し、
前記光学変調素子は、前記第1の位置で、半導体薄膜を、この半導体薄膜に結晶核が前記極小光強度線もしくは最小光強度点と対応した結晶粒を横方向に成長させて形成されるように照射し、前記第2の位置で、 半導体薄膜を、前記成長の端部を結晶核にして前記半導体薄膜に結晶粒を成長させることにより、前記半導体薄膜を結晶化するように照射することを特徴とする。
【0030】
他の形態の結晶化装置は、均一な光強度分布の第1並びに第2のレーザ光を互いに時間差を有して射出する射出手段と、
非単結晶の半導体薄膜を支持する支持手段と、
これら射出手段と支持手段との間に、夫々配置された第1並びに第2の光学変調素子とを具備し、
前記第1の光学変調素子は、射出手段からの第1のレーザ光を極小光強度線もしくは最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光に変調して、半導体薄膜を照射し、この半導体薄膜に結晶核が前記極小光強度線もしくは最小光強度点と対応した結晶粒を横方向に成長させて形成させ、また、 前記第2の光学変調素子は、射出手段からの第2のレーザ光を最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光に変調して、半導体薄膜を照射し、前記成長の端部を結晶核にして前記半導体薄膜に結晶粒を成長させることにより、前記半導体薄膜を結晶化することを特徴とする。
【0031】
上記のような結晶化装置は、構造が簡単でありながら、容易に半導体薄膜の単結晶化を果たすことができる。
【0032】
本発明のさらに他の態様に係わる表示装置は、互いに離間して対面された面を有する第1並びに第2の基層と、これら対面された面間に配置された液晶と、これら対面された面に夫々配設された複数の第1並びに第2の電極と、一方の基層の前記対面された面上に形成された画素電極並びに半導体薄膜とを有し、各半導体薄膜は、一面側から見て表面形状がほぼ矩形を有している結晶粒により形成されている結晶化領域を有し、この結晶化領域は、これの一面と直交する断面の結晶方位が(001)面であることを特徴とする。
【0033】
このような構成の表示装置においては、半導体薄膜が単結晶化されているので、優れた電気的特性を有する。
上記の夫々の態様に係わる技術で説明した効果は、一例であり、従来技術の他の問題点にも注意が払われていることは容易に推測できるであろう。この発明の実施の形態で、非単結晶基板、例えば、非晶質半導体薄膜が大面積であっても、全面もしくは選択された領域に所望の面方位の単結晶領域を形成することができる。この面方位は、(001)面であり、一般の単結晶シリコンウエハと同等の特性を有する金導体装置を形成することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の基本概念を説明する。
【0035】
本願の発明者らは,図14(a)に示すような、光学変調素子として、石英基板表面に直線の段差加工した位相シフタ141を用いて,光源からのレーザ光を図5(a)に示すようなレーザ光強度分布51に変調して、未結晶化薄膜(この場合には、非晶質シリコン薄膜)に照射させて結晶化(この場合には、他結晶シリコン)させた。そして,この結晶化された薄膜の結晶粒の表面形態と個々の結晶粒の結晶学的方位を走査電子顕微鏡(SEM)法と電子後方散乱(EBSP)法を用いて測定した。この結果,結晶粒の形態は、図5(b)に示すように小粒径結晶粒52と,短冊形状結晶粒53と,Δ形状結晶粒54との3種に分類できることが判った。これら3種の結晶粒を図式化し、判った面方位関係を付加すると,図5(c)に示すようになる。図5(c)では、小粒径結晶粒52と,短冊形状結晶粒53と,Δ形状結晶粒54とに対応する結晶粒を、同じ符号に夫々サフィックス“a”を付している。ここで,本発明者達が着目した点は、Δ形状結晶粒54aの成長距離は長く,結晶成長方向の面方位が(100)面であり,結晶成長方向に対しての2つの垂直方向のうち薄膜の面内の垂直方向は(010)面または(011)面であるということである。そこで、本発明者達は,図6(a)に示すように線状の領域61aがレーザ光強度の極小になるような第1の位相変調エキシマレーザ照射を行い(極小光強度線による照射),それによって形成されたΔ形状結晶粒64の底辺領域61bを種結晶(結晶核)にして,第2の位相変調エキシマレーザ照射を行えば,面方位が揃いしかも結晶粒の形態が方形状64になることを見出した。即ち,図6(b)に示すように,第2位相変調エキシマレーザ照射は,線状の領域61bが極小強度となるようにすればよいことが判った(極小光強度線による照射)。第2位相変調エキシマレーザ照射により,領域61bの左右の領域は全溶融になるため結晶成長は,領域61bの左右の方向に生ずる。この結果,図6(c)のように,少なくとも結晶成長方向の面方位は(001)面を有し,かつ四角形状の結晶粒が形成される。尚、図6は、結晶化膜を上方から見た場合の図である。さらに、図14(a)に示す位相シフタ141を使用して、横方向(左右方向)のピッチPが一定、例えば、10μmの複数の最小光強度点(逆ピーク点)62aを有する図8(a)に示すレーザ光強度分布81のレーザ光で、未結晶膜80を第1の位相変調エキシマレーザ照射し、次に、位相シフタ141と未結晶膜80とをほぼ2/P(約5μm)相対的だけずらせて第2の位相変調エキシマレーザ照射を行えば,図8(b)のように,2次元に位置制御した結晶粒を形成することができる。ここで、ピッチPとは、後で図14を参照して説明するように、入射レーザ光の位相を180°(π)ずらせるために表面に形成された細長い溝と表面との間の段差、即ち、位相シフト線間、の間隔を言う。
【0036】
上記実験並びに測定から以下の結論が,導かれた。
【0037】
表面形態が四角形状の結晶粒が一次元的に位置制御されていて少なくとも成長方向の面方位は(001)となる結晶化膜を製造するには,図14(a)のような一次元の位相シフタ141を用いて,一次元のレーザ光強度分布を形成し,非晶質シリコン薄膜表面にレーザ照射して,一方向成長した結晶粒を形成すればよい(第1のレーザ照射)。このときに、照射するレーザ光は、図5(a)に示すように結晶成長の開始位置と終了位置とは、レーザ光強度の極小値J1と極大値J2になるように設計する。このような第1のレーザ照射による周期的なアニーリングにより,非晶質シリコン薄膜の照射全領域に横方向成長結晶粒が充填される。次に、図7(a)の走査電子顕微鏡写真に示すように,第1のレーザ照射におけるレーザ強度極大領域(Δ形状結晶粒の底辺領域)72が極小領域になるように第2のレーザ照射を行う(極小光強度線による照射)。このとき小結晶粒75や短冊型結晶粒73は全溶融して,Δ形状結晶粒の底辺領域72が種結晶となり,領域72の左右方向に溶融再結晶成長する。第2のレーザ照射後の結晶化薄膜表面の走査電子顕微鏡写真を図7(b)に示す。第2のレーザ照射では,第1のレーザ照射における成長方向が(001)面である三角形状の結晶粒の底辺領域が種結晶となり,第1のレーザ照射で形成された小粒径結晶粒,短冊状結晶粒は再溶融し,種結晶からの結晶成長に取り込まれることを示している。従って,第2のレーザ照射によって,成長方向が(001)面であり,表面形態が四角形状の結晶粒74bが形成される。このことは,電子後方散乱法によって確認した。
【0038】
さらに上記技術思想を発展させて,図14(c)のように、位相シフト部、即ち、位相シフト線、が互いに直交した(a)に示す位相シフタ141と、(b)に示す位相シフタ142とを組合わせることによって,図8(a)に示すような光強度分布81を形成した。この図に示す光強度分布は、3つの極小光強度線と、9つの最小光強度点とを有するが、これらの数は、本発明においては任意である。この光強度分布81は、極小強度領域(線)に最小点が存在することを特徴をしており,結晶成長開始点82を2次元位置制御することによって,5角形状結晶粒83の配列を形成することができる。また、第1の位相シフタの位相シフト線に対応して形成される極小光強度線と第2の位相シフタの位相シフト線に対応して形成される極小光強度線とは、交差していれば、必ずしも直交していなくても良い。前述したような光強度分布81を用いて結晶化したシリコン薄膜の表面形態の走査電子顕微鏡写真を示す図8(b)において、結晶成長開始点82に対応する結晶成長開始点は82aで示し,単結晶化領域は83aで示す。この技術思想と上記2次再結晶化方法を組み合わせれば,成長方位が制御された単結晶領域を二次元的に配列できる。
【0039】
また,上記技術思想を発展させると,あらかじめ使用する基板に方位を示し,それに従って,光強度分布を形成して結晶化を行えば結晶面方位を示す半導体薄膜基板を作製することができる。ほぼ円形の半導体基板を用いた場合は,図9(a)に示すように、基板(半導体ウエハ)にオリフラ91,ノッチ92,基板マーキング93等の方位表示指標を予め形成し、この指標を基準にして,レーザ光強度分布方向(強度勾配方向)を合わせる。また,ガラス基板のように矩形の基板の場合には、図9(b)に示すように,一辺94,角の切りかけ95,基板マーキング96等の方位表示指標を予め形成し、この指標を基準にして,レーザ光強度分布方向(強度勾配方向)を合わせる。このようにして、結晶化を実施することにより、基板から薄膜断面の結晶面方位が判る結晶化半導体薄膜基板を得ることができる。
【0040】
以下に、上記基本概念に基づく種々の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0041】
第1の実施の形態
図9(a)に示すようなオリエンテーションフラット91、ノッチ92、基板マーク93等の方位表示指標を有する半導体基板(図10では符号101で示されている)上に、面方位の揃った四角形状の結晶化領域アレイを有する半導体装置およびその製造法、並びに半導体薄膜の結晶化方法に関する実施の形態を図5,図6,図7,図8,図9,図10を用いて、特に、図10を主に参照して説明する。
【0042】
まず、半導体基板101(例えば,Si,Ge,Si1−xGex ,Si1−x−yGexCy, GaAs, GaP, InAs, GaN, ZnTe, CdSe, CdTeなどの半導体のウエハ)を用意する。この半導体基板101の上に絶縁層102(例えば膜厚500nm)を形成する。この絶縁層102は、例えば、熱酸化または,CVD(例えば,プラズマ化学気相成長法や低圧化学気相成長法など)やスパッタ法を用いて成膜されたSiO2膜である。代わって、この絶縁層102は,例えば、SiN膜とSiO2膜との組合わせのような積層構造にしたものでもよい。また、絶縁層102は、半導体基板101上の全面に形成し、そのまま残しておいても,パターニングによって部分的に残しておいても良い。ここでは,半導体基板101の全面に設けられている場合について説明する。次に、前記絶縁層102の上に、即ち、半導体基板101の一面側に、非晶質または多結晶構造の半導体薄膜103(例えば,膜厚30ないし200nm程度のSi,Si1−xGex, もしくはSi1−x−yGexCy膜など)をCVD(例えば,プラズマ化学気相成長法や低圧化学気相成長法など)やスパッタ法を用いて成膜する。この半導体薄膜103は、絶縁層102の全面,または,パターニングによって絶縁層の部分領域に形成してもよい。ここでは,絶縁膜102の全面に形成されている。
【0043】
そして、図10(a)に示すように、半導体薄膜103の表面全面に、保護膜104(例えば,SiO2,SiON,SiN、または、これらの積層構造膜)を膜厚約300nmの膜厚で成膜する。前記絶縁層102および半導体薄膜103がパターニングされた場合においては,基板全面に保護膜を形成してもよい。
【0044】
次に、図10(b)に示すように、位相変調エキシマレーザ結晶化法を用いて,保護膜104の表面に図8(a)に示すような光強度分布を有するエキシマレーザ光105を照射する。このレーザ照射を第1のレーザ照射と呼ぶ。ここでは,位相変調エキシマレーザ結晶化法は,第3の実施の形態で説明するレーザ結晶化装置を用いている。このようなレーザ光の照射は、予め基板や半導体ウエハに設けられた合わせマークに従って照射位置が設定され得る。
【0045】
前記第1のレーザ照射は,複数の逆ピークを有する光強度分布を使用しているが、図では簡単のために、3つの逆ピークの場合を示す。この光強度分布には、各逆ピーク点(最小光強度点)を中心として1対の,主勾配方向(光強度が最小光強度点からほぼ線形に強くなる光強度の方向)106並びに/もしくは106aが存在する。1対の主勾配方向106と106aとは、紙面内で互いに180°の回転の関係である。主勾配方向106または106aと半導体基板101の方位表示指標の方向とが所定関係を有するように、半導体基板101と、位相シフタとが予め、設定されている。ここでは,主勾配方向106とオリフラ91とが平行となるように設定されている。
【0046】
この第1のレーザ照射において、レーザ光のエネルギ密度は,図5(a)に示すように、光強度の極小値が横方向成長条件の臨界値j1を越えていて,光強度の極大値が半導体薄膜103の蒸発臨界値j2以下であることが望ましい。これら臨界値j1,J2の値は,主に半導体薄膜103のレーザ光に対する吸収係数と膜厚によって決定される。
【0047】
上記第1のレーザ光105による第1のレーザ照射によって,半導体薄膜103の照射領域は、結晶化され多結晶半導体薄膜107に変換される。この結晶化薄膜107の表面形態は,主勾配方向106,106aに沿って横方向に結晶化されている。この段階で、保護膜をエッチングにより除去して走査電子顕微鏡法と電子後方散乱法によって解析すると,個々の結晶粒は,レーザ光強度の低い位置から結晶成長が始まり,主勾配106,106aの方向に沿って結晶成長したことが判る。個々の結晶粒は一つの結晶核から成長していると推定され,図5(c)に分類されるように、小粒径結晶粒52aと,短冊状結晶粒53aと,Δ形状結晶粒54aとが形成されている。この中で,最も横方向成長距離が長いものはΔ形状結晶粒54aである。電子線後方散乱法で個々の結晶粒の結晶方位を解析すると,Δ形状結晶粒54aの成長方向(即ち、主勾配106,106a)の面方位は(100)となっている。また、このΔ形状結晶粒54aの成長距離は,少なくとも2 mm以上になっており,本実施の形態では,5 mmである。一方,小粒径結晶粒52a,短冊形状結晶粒53aの主勾配方向の結晶面方位は,(111)または,(110)面になっている。
【0048】
次に、図10(c)に示すように,第2のレーザ光108を使用して、第2のレーザ照射を、前記多結晶化された領域に行う。この第2のレーザ照射の光強度分布は, 図10(b)と(c)とを比較してみれば判るように,第1のレーザ照射で用いた光強度の極小値の位置が第2のレーザ照射の極大値になるように、第1のレーザ照射の光強度分布を、極小値のピッチの約1/2だけ平行移動した光強度分布になるように設定されている。即ち、図6(a)に示す領域61(a)が第1のレーザ照射の極小値であり,領域61(b)が第2のレーザ照射の極小値である。ここで,図8(a)に示すレーザ光強度分布81のように、最小光強度点62aの位置にさらに強度が下がり最小値となるような光強度分布にすれば,結晶成長開始点が2次元に制御できる。本実施の形態では,前述したように1/2P(5 mm)だけ主勾配方向に平行移動した光強度分布を用いている。図7(a)は、第1のレーザ照射後の結晶化シリコン薄膜の表面形態を走査電子顕微鏡で観察した結果である。この図で、符号71は、第1のレーザ照射の光強度が極小の領域を示し,符号72は極大の領域を示す。この写真においても,図5(b)で示したように小粒径結晶粒75,短冊形状結晶粒73,Δ形状結晶粒74aが形成されていることが判る。第2のレーザ照射は、符号72で示す領域に光強度が極小になるように行っている。第2のレーザ照射のエネルギ密度は、第1のレーザ照射のエネルギ密度と同等もしくは大きくなるように設定されている。この実施の形態では、第2のレーザ照射は,第1のレーザ照射の光強度分布を用いて,試料表面を5 mmだけ主勾配方向に平行移動してから照射させているけれども。必ずしも同じ位相シフタを使用する必要はなく、前記1/2Pだけ位相がずれた別の位相シフタを使用しても良い。
【0049】
上記第2のレーザ照射により,多結晶半導体領域107は,図10(d)に示すように、結晶粒の大きい半導体領域109に変換されている。このときの光強度が最小であった点は、前述した図7(b)で、符号72で示されている。この図では、第2のレーザ照射によって,領域72の左右に横方向に結晶化したことが示されている。また、この図には、図10(d)に示す半導体領域109の結晶粒に相当する結晶粒74bが示されている。この結晶粒74bの表面形状(半導体領域109を上方から見たときの形状、即ち、水平面内の形状)は、ほぼ四角形(矩形)であり,また、光強度分布の主勾配方向106,106aの結晶粒の面方位は、(100)である。なお,この半導体領域109の結晶化された領域の結晶性は、単結晶になっている。図7(b)では,前述したように、図7(a)で観察された小粒径の結晶粒,短冊状の結晶粒,三角形状の結晶粒はほとんど存在しない。これは,第1のレーザ照射で形成されたΔ形状粒74aの底辺部分が,第2のレーザ照射では完全には溶融せず,一方、小粒径結晶粒75,短冊状結晶粒73は,完全に再溶融するからである。このため,光強度が最小であった領域72を種結晶として、主勾配方向106(または106a)の方向に結晶成長がおこっている。主勾配方向に(111)面または(110)面を有していた小結晶粒75と短冊形状結晶粒73は消滅して、主勾配方向106(または106a)方向において(100)面に配向した結晶粒に変換されている。
【0050】
以上の説明で判るように,本実施の形態の方法で形成された半導体領域109の結晶粒の半導体基板101のオリフラに沿った方向の面方位は(100)面となっている。
【0051】
従って,本実施の形態の方法によって,半導体基板上に、断面の一方向に(100)面方位を有し、ほぼ四角形状の結晶粒により構成された単結晶化領域アレイを形成することができる。以上説明した方法では、図面上では、半導体薄膜103の一部を単結晶化しているように見えるが上記処理を繰り返すことにより、半導体薄膜103全体を単結晶化することも、できる。
【0052】
第2の実施の形態
絶縁材料基板上に面方位の揃った四角形状の結晶化領域アレイを有する半導体装置およびその製造法、並びに半導体薄膜の結晶化方法に関する実施の形態を図9,図11を参照して説明する。
【0053】
まず、図9(b)に示すような辺94,ノッチ95,またはマーキング96(基板の表面でも裏面でもよい)を有する絶縁材料基板111(例えば,石英ガラス,ソーダガラス,ホウケイ酸ガラス,鉛ガラス,フッ化物ガラス,サファイア,プラスチック,ポリイミド,など)を用意する(図11(a))。この絶縁材料基板111の上に、絶縁層112(例えば、膜厚500nm)を形成する。この絶縁層112は、例えば、CVD(例えば,プラズマ化学気相成長法や低圧化学気相成長法など)やスパッタ法を用いて形成されたSiO2薄膜である。代わって、この絶縁層112は,例えばSiNやSiO2などの異種の材料により、積層構造にしたものでもよい。絶縁層112は、絶縁材料基板111の全面,または,パターニングによって絶縁材料基板表面の部分領域に形成してもよい。ここでは,絶縁材料基板111の全面に形成している。次に、絶縁層112の上に、非晶質または多結晶構造の半導体薄膜113(例えば,膜厚30ないし200nm程度のSi,Ge,Si1−xGex ,Si1−x−yGexCyなど)をCVD法(例えば,プラズマ化学気相成長法や低圧化学気相成長法など)やスパッタ法を用いて成膜する。この半導体薄膜113は絶縁層112の全面,または,パターニングによって絶縁層の部分領域に形成してもよい。ここでは,絶縁層112の全面に形成している。
【0054】
そして、図11(a)に示すように、半導体薄膜113の表面全面に保護膜114(例えば,SiO2,SiON,SiN、または、これらの積層構造膜)を約300nmの厚さに成膜する。前記絶縁層112および半導体薄膜113がパターニングされた場合においては,基板全面に保護膜を形成してもよい。この後の工程は、前記第1の実施の形態1と実質的に同じであり,簡単に記述する。
【0055】
図11(b)に示すように、保護膜114の表面に、前述したような光強度分布を有する第1のレーザ光115で、第1のレーザ照射を行う。この第1のレーザ照射における光強度の主勾配方向116,116aは,絶縁材料基板111に示された方位表示指標を基準にして設定している。この実施の形態では、主勾配方向116,116aと,方位表示指標が示す方向とを一致させている。この第1のレーザ照射によって、半導体薄膜113の照射領域は、結晶化半導体薄膜117に変換される。
【0056】
次に、図11(c)に示すように、第1の実施の形態と同条件で、ほぼ1/2Pだけ横方向にシフトした第2のレーザ光118により、第2のレーザ照射を行う。この結果、図11(d)に示すように、前記結晶化半導体薄膜117は、単結晶化半導体薄膜109となる。この結晶化半導体薄膜117の結晶粒の表面形態は、四角形状であり、また、絶縁材料基板111の基準に沿った方向の面方位は(100)面となっている。従って,本実施の形態の方法によれば,絶縁材料基板の断面の一方向に(100)面方位を有する四角形状の単結晶化領域アレイを形成できる。
【0057】
第3の実施の形態
半導体薄膜の結晶化方法並びに結晶化装置の実施の形態を、夫々図12,図13,図14,図15を参照して説明する。これら例では,光源としてエキシマレーザ121(例えば,XeCl,KrF,ArFFなど)を用いているが、必ずしもこれらに限定されることはない。
【0058】
図12(a)に示されるように、パルスレーザ光122aを射出するエキシマレーザ121の出射側には、レーザ光122のエネルギ密度 (図5(a)に示す臨界値j1、臨界値j2)を制御するためのアッテネータ123と,レーザ光の強度を均一化するホモジナイズ光学系124とが順次配設されている。尚、符号120aで示す位置は,ホモジナイズ光学系124の結像面(焦点面)である。このホモジナイズ光学系124の射出側には、90度反射鏡を介して、ホモジナイズ光学系の結像面120aを等倍もしくは縮小する投影レンズ125が配置されている。そして、この投影レンズ125の結像面120b(フォーカス位置)には第1の位相シフタ126aが、また,焦点位置からはずれた位置(デフォーカス位置)には第2の位相シフタ127aが、夫々配置されている。ここで,第2の位相シフタ127aは、複数枚の位相シフタ、例えば、位相シフト方向が互いに直交した2つの位相シフタで構成されてもよい。第1の位相シフタ126aは、図8(a)に示されているレーザ光強度分布81おいて、急峻なボトムを形成するためのものである。第2の位相シフタ127aは、図8(a)に示されているレーザ光強度分布81おいて、横方向の結晶成長に必要な勾配を形成するためのものである。即ち、図8(a)に示されているレーザ光強度分布81おいて、最小光強度点62a部のレーザ光強度分布が急峻なボトムの形状は、第1の位相シフタ126aによって形成される。レーザ光強度分布81おいて、最小光強度点62a部から最大のレーザ光強度分布となる形状は、横方向の結晶成長に必要な勾配であって、第2の位相シフタ127aによって形成される。
【0059】
前記第1並びに第2の位相シフタ126a,127aは,光軸上に、図示しないホルダによって固定されている。このホルダは,光軸に沿った方向と、それに垂直な方向とに移動させる機構と,2軸の回転機構とを有するゴニオメータのような駆動機構DMに組み込まれている。
【0060】
前記第2の位相シフタ127aの射出側には、ステージ129の上に載置された試料128が位置されている。このステージ129は、X方向並びにY方向に移動可能であり、試料128を第2の位相シフタ127aに対して相対的に水平方向にシフトさせることができる。
【0061】
次に上記構成の結晶化装置の作用を以下に説明する。
【0062】
エキシマレーザ121から出射したパルスレーザ光122aは,アッテネータ123によりエネルギ密度が制御されて,ホモジナイズ光学系124に入り、ここで強度が均一化されたレーザ光122bとなって、反射鏡に入射される。ここで、レーザ光122bは、試料128方向へと90度偏向されて、投影レンズ125に入射される。この投影レンズ125は、入射レーザ光122bを第1並びに第2の位相シフタ126a,127aによって変調されたレーザ光122dとして試料表面に入射させる。このための位相シフタ126a,127aの構成は、後で図14を参照して説明する。尚、この試料128は、実際には、例えば、図10並びに図11に示す半導体薄膜113を有する積層薄膜基板で有り得る。
【0063】
前記第2の位相シフタ127aにより変調されて形成されたレーザ光強度分布(像)の特徴は,例えば,図8(a)に示すレーザ光強度分布81のように,ミリメートルレベルの巨視的には均一強度であり,ミクロンレベルの微視的には強度変調されていることを特徴とする。このようなレーザ光強度分布81のレーザ光で,第1のレーザ照射を行うと,図8(b)の走査電子顕微鏡写真のような結晶粒が位置制御された結晶化薄膜を形成することができる。
【0064】
尚、前記アッテネータ123によって,レーザ光のエネルギ密度を最適化してレーザ光122dを試料128の表面に照射すると、試料128の半導体薄膜はレーザ光122dを吸収することによって温度が上昇する。ここで,レーザ光122dの強度変調領域において,極小強度での半導体薄膜は,下地界面付近まで溶融状態になり,極大強度では,半導体薄膜が蒸発しない温度になっていることが望ましい。
【0065】
前記第1並びに第2の位相シフタ126a,127aは,図14(a)並びに(b)に、符号141並びに142で夫々示すように、透明な基板、例えば、合成石英板141a(142a)の一面に、互いに一定間隔を有する細長い矩形溝141b(142b)が形成されることによって段差を有する構造になっている。この段差の高さ(溝の深さ) Δtが射出レーザ光の位相差θに相当する。この位相差θは,θ=2πΔt(n−1)/λで与えられる。ここで,λは,レーザの波長,nは合成石英板の屈折率である。例えば,波長248nmのKrFエキシマレーザを用いた場合,屈折率は,1.508であり,段差Δtが244nmのとき位相差は180°となる。このような位相シフタ141(126a),142(127a)は、溝が互いに直交するような配置関係で、図12(a)に示すように位置に設けられている。前記合成石英基板141a(142a)の表面に段差を形成する方法として,例えば,反応性イオンエッチングを用いてエッチングする方法,集束イオンビーム法を用いて,直接加工する方法,合成石英基板の上に非晶質シリコン薄膜を成膜してパターニングしたものを熱酸化する方法がある。前記両位相シフタ141,142は、図面上では、溝のデイメンシヨンも、ピッチP(位相シフト線間の間隔)も異なっているが、同じものでも良い。
【0066】
また,位相シフタには,表面段差に加えて,光吸収によって光強度分布を形成する効果を付加してもよい。このためには、例えば、合成石英板141a(142a)の一面に光吸収膜(たとえば,SiN,SiON,Geなどの膜)を成膜してパターニングする。このような位相シフタ141(142)を使用することにより、光吸収膜の吸収係数と膜厚によって光強度分布が変化する。この方法は,光強度振動を抑制したい位相シフタの領域に形成する場合によい。
【0067】
また,位相シフタの表面上にマイクロレンズを形成して,光強度分布を形成する効果を付加してもよい。
【0068】
図15に示すように,一枚の合成石英基板151の表面に異種構造の段差を形成することによって、複数対の位相シフタとしての位相シフタ領域152a,152b,並びに153a,153bを同一基板に設けてもよい。この例では、対間の溝の幅並びに溝間の距離(即ち、位相シフト部ピッチ)が異なる2対の位相シフタ領域152a,152b並びに153a,153bが設けられている。この場合,各位相シフタ領域の面積は,入射レーザ光の断面154よりも大きくなっていなければならない。各対の位相シフタ領域152a(153a)と152b(153b)は、互いに半周期ずれた(1/2位相シフタピッチずれた)構造になっている。このような位相シフタでは、第1照射は、一方の位相シフタ(領域)152aを用い,第2照射は,合成石英基板151を溝の長手方向に移動させて,他方の位相シフタ(領域)152bを用いて結晶化することができる。他方の対の位相シフタ(領域)153aと153bについても同様であり,異なった対の位相シフタを用いることにより、レーザ光を異なったパターンのレーザ光強度分布を有するようにすることができる。
【0069】
前記第1の位相シフタ141と第2の位相シフタ142とは、図14(c)に示すように、隅部に設けられた4つのスペーサ143を挟んで取着することにより、一体的な構造としてもよい。また、位相シフタ間に塵埃等が入るのを防止することもできるように、4つのスペーサの代わりに、枠形のシールドスペーサを4辺間に設けても良い。代わって,図14(d)に示すように、第1の位相シフタと第2の位相シフタとは、1枚の合成石英基板(共通透明基板)に一体的に形成しても良く、この場合には、一面に第1の位相シフタの溝、即ち、段差が形成され、他面に第2の位相シフタの溝、即ち、段差が形成されている。さらに、第1の位相シフタと第2の位相シフタは、光路における設置位置を入れ換えてもよい。
【0070】
上述したような第1並びに第2の位相シフタ126a,127aによって得られる光強度分布は,透明基板(合成石英基板)の表面段差の幾何学的構造と入射光の角度や光の空間的可干渉性によって決定される。要求する光強度によっては,第2の位相シフタ127aだけでよい場合もある。
【0071】
第4の実施の形態(図示せず)
前記第3の実施の形態において,試料128表面の位置を,投影レンズ125の焦点面に配置し、例えば、ホモジナイズ光学系123の焦点面120aに位相シフタ126aを配置しても良い。この場合には,第3の実施の形態に比べて光強度分布設計の多様化に制限が生じるが,均一性が向上する効果がある。
【0072】
以下に説明する結晶化装置の実施の形態で、前記第3の実施の形態と実質的に同一の個所は、同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0073】
第5の実施の形態
この装置では、図12(b)に示すように,ホモジナイズ光学系123の焦点面120aに第1の位相シフタ126aが配置され,結像レンズ125の焦点位置に試料128の表面が位置されている。第2の位相シフタ127aは、結像レンズ125の焦点はずれの位置に配置されている。この場合,前記第4の実施の形態に比べ光強度分布設計の多様性が向上するが,第1の位相シフタ126aの強度変調は投影レンズの分解能の制限を受ける。
【0074】
第6の実施の形態
この装置では、図12(c)に示すように、ホモジナイズ光学系123の焦点面120aに第1の位相シフタ126aが配置され,また、ホモジナイズ光学系123の焦点はずれの位置に、第2の位相シフタ127aが配置されている。試料128の表面は,投影レンズ125の焦点面に配置されている。このような構成の装置では,試料表面付近に位相シフタが存在しないため,ステージ129周辺の自由度が増す。しかし,光強度分布は,投影レンズの分解能の制限を受ける欠点がある。
【0075】
前記第3ないし第6の実施の形態においては,第2のレーザ照射は,試料128と光学系(位相シフタ126a,127aと投影レンズ125)とを相対的に平行移動させて、即ち、ステージ129を光学系に対して移動させるか、光学系(詳しくは、反射鏡からステージ129側の部分)をステージ129に対して移動させるかして、光強度分布を平行移動させている。しかし、このような手法に本発明は限定されることはない。この例を第7並びに第8の実施の形態として以下に説明する。尚、これら実施の形態では、位相シフタとして同じ構成の2つの位相シフタ127c,127dを使用している。一方の位相シフタ127cは、第1のレーザ照射であり、他方の位相シフタ127dは、第2のレーザ照射用である。このために、第1の位相シフタ127cにより変調されたレーザ光の極小光強度線もしくは最小光強度点を結晶核として成長した結晶粒の成長端部が、Δ形状の結晶粒の場合にはこれの底辺領域が、第2の位相シフタ127dにより変調されたレーザ光の極小光強度線もしくは最小光強度点で照射されるように、両位相シフタ127c,127dは、これらの相対位置が設定されている。また、これら位相シフタ127c,127dは、ホモジナイズ光学系の夫々の焦点面に配置されているが、この位置に限定されることはない。
【0076】
第7の実施の形態
図13(a)に示すように、この装置は、第1のエキシマレーザ121aと,第1のアッテネータ123a,第1のホモジナイズ光学系124aと,第1の位相シフタ127cとからなる第1のレーザ照射用の光学系と、第2のエキシマレーザ121bと,第2のアッテネータ123bと,第2のホモジナイズ光学系124bと,第2の位相シフタ127dとからなる第2のレーザ照射用の光学系とを有する。前記第1の位相シフタ127cと第2の位相シフタ127dとは、同じ構造を有するが、表面段差の周期構造が半周期だけずれている。これら位相シフタ127c,127dは、図14(c)並びに(d)に示す複合構造の位相シフタを使用しているが、図14(b)に示す単一構造の位相シフタでも良い。第1の位相シフタ127cの射出側と第2の位相シフタ127dの射出側とには、共通のハーフミラー135が配置されている。このハーフミラー135は、第1の位相シフタ127cからのレーザ光を結像レンズ125へと90°反射させる機能と、第2の位相シフタ127dからのレーザ光を透過して結像レンズ125に導く機能とを有する。この結像レンズ125を通ったレーザ光は、互いに横方向に約1/2P(位相シフタの段差のピッチの1/2)ずれた光変調強度分布で試料128を照射する。
【0077】
上記構造の装置においては、第1のエキシマレーザ121aと第2のエキシマレーザ121bとが交互に発振するよう制御し,ハーフミラー135,投影レンズ136によって,第1のレーザ照射と第2のレーザ照射とをこれら照射が重ならないようにして交互に行うことにより、半導体薄膜を結晶化する。このような方法は,第2のレーザ照射のために位相シフタを動かす必要がないので、光学系に可動部分をなくすことができ、このための駆動機構をなくすことができると共に、光軸が安定になる特徴がある。
【0078】
第8の実施の形態
図13(b)に示すように、エキシマレーザ121の射出側には、アッテネータ123を介してハーフミラー139aのようなビームスプリッタが設けられている。このハーフミラー139aは、入射レーザ光を2つのレーザ光に分岐する。このハーフミラー139aの透過側には、第1のホモジナイズ光学系124a,並びに第1の位相シフタ127cを順次介して共通のハーフミラー135が配設されている。前記分岐用のハーフミラー139aの反射側には、2つのミラー139b,139cを介して第2ホモジナイズ光学系124bが配置されている。またこのホモジナイズ光学系124bの射出側には、第2の位相シフタ127dを介して、前記共通のハーフミラー135が配設されている。この共通のハーフミラー135は、第1の位相シフタ127cからのレーザ光を反射すると共に、第2の位相シフタ127dからのレーザ光を透過して、投影レンズ125に導く。
【0079】
このような装置においては、レーザ121から射出されたパルス状のレーザ光は、ハーフミラー139bによって2つのレーザ光に分岐され、第1のレーザ光は、第1のホモジナイズ光学系124a,第1の位相シフタ127c、共通のハーフミラー135、並びに投影レンズ125を通って試料128に照射される。第2のレーザ光は、ミラー139b,139c,第2のホモジナイズ光学系124b,第2の位相シフタ127d,並びに投影レンズ125を通って試料128に照射される。そして、これら第1のレーザ光と第2のレーザ光の光路長さは、最初に第1のレーザ光で試料を照射し、この照射が終了した後に第2のレーザ光で試料を照射するように、設定されている。
【0080】
このような技術においても、第7の実施の形態の場合と同様の効果を有する。
【0081】
上記実施形態では、第1の位相シフタ126a,127cを急峻なボトムを形成するための構成にし、第2の位相シフタ127a,127dを横方向の結晶成長に必要な勾配を形成するための構成にして例について説明した。さらに、第1の位相シフタ126a,127cおよび第2の位相シフタ127a,127dの両方のシフタを同一の急峻なボトムを形成する構成にしてもよいし、横方向の結晶成長に必要な勾配を形成するための構成にしてもよい。
【0082】
第9の実施の形態
半導体装置並びにその製造方法を図16を参照して以下に説明する。
【0083】
図16(a)に示すように、絶縁材、例えば、アルカリガラス、石英ガラス、プラスチック、ポリイミド等で形成され、図9(b)に示す方位指示指標が形成された透明な矩形の基板301(図では一部のみが示されている)の平坦な一面上に下地層302と非晶質半導体薄膜303と、保護膜304とを順次、化学気相成長法やスパッタ法等の公知の成膜技術を用いて形成する。前記下地層302は、例えば、50nmの厚さのSiN膜302aと300nmの厚さのSiO2膜302bとの積層膜により形成されている。前記SiN膜302aは、ガラス等でできた基板301からの不純物が非晶質半導体薄膜303に拡散するのを防止し、また、前記SiO2膜302bは、SiN膜302aからの窒素が非晶質半導体薄膜303に拡散するのを防止する。前記非晶質半導体薄膜303は、例えば、厚さが約50nmないし200nmであり、Si,Ge,SiGeのような半導体、この実施の形態ではSiで形成されている。前記保護膜304は、図10を参照して説明した保護膜104と同じである。
【0084】
次に、前記非晶質半導体薄膜303の表面に、保護膜304を介して、第1のレーザ光照射として、位相シフタ(例えば、図14(a)に示す位相シフタ141)により光変調された第1のレーザ光105を、後で詳述するように、各々が照射された領域305(以下に照射領域と称する)と照射されない領域306(以下に非照射領域と称する)とが隣り合わせになった多数のユニット領域を形成するように選択的に照射する(図16(b)は、理解を容易にするために、1つの照射領域と1つの非照射領域とからなる1つのユニット領域のみを示す)。次に、基板301を位相シフタの溝のピッチの約1/2だけ横方向にシフトさせて、第2のレーザ光108により、第2のレーザ照射を行う。このような第1並びに第2のレーザ照射により、照射領域305は、アニール処理されて溶融し、非晶質もしくは多結晶半導体薄膜か単結晶薄膜に変換される。即ち、照射領域305は、少なくとも結晶成長方向の面方位は(001)面を有し,かつ四角形状の結晶粒により形成される。照射領域306の非晶質半導体はそのままの状態に維持される。例えば、液晶表示装置の製造工程において、照射領域305は、早いスイッチング特性が要求される駆動回路用TFTを形成するための領域である。非照射領域306は、高い耐電圧が要求される画素用TFTを形成するための領域である。次に、エッチングにより、図16(c)に示すように、前記保護膜304を除去して、半導体薄膜を露出させる。
【0085】
そして、フォトリソグラフイ技術を用いて、照射領域305と非照射領域306とを選択的にエッチングして2つの第1の島状領域305aと1つの第2の島状領域306aとを形成する。これら島状領域305a,306a上を含む基板上、(正確には、下地層302上)に、SiO2からなり、厚さが約20nmないし300nmのゲート絶縁膜307を上記と同様の成膜技術を用いて形成する。このゲート絶縁膜307の、前記島状領域305a,305bの中央部と対向する部分の上に夫々ゲート電極308を形成する。これらゲート電極308は、シリサイドやMoWの層をパターンニングすることにより形成され得る。
【0086】
次に、図16(d)に示するように、前記ゲート電極308をマスクとして、不純物イオン309を島状領域305a,306aの中に注入し、間にチャネル領域を挟んで、ソース領域とドレイン領域とを形成する。このときに、チャネル領域内で電流の流れる方向の断面が前記(001)面となるようにソース領域とドレイン領域との位置を設定する。この設定は、基板に形成された方位指示指標に基づいて容易になされる。規流れる電流が(001)前記不純物イオンは、NチャネルMOSトランジスタを形成するのであれば、N型の不純物、例えばリンであり、PチャネルMOSトランジスタを形成するのであれば、P型の不純物、例えばホウ素である。この結果の装置を窒素雰囲気でアニール(450℃で、1時間)して、注入された不純物を活性化する。
【0087】
次に、ゲート電極308上も含むゲート絶縁膜307の上に、例えば、SiO2からなる層間絶縁膜330を形成する。この層間絶縁膜130並びにゲート絶縁膜307の、前記島状領域305a,306aの不純物がドープされた領域(ソース領域並びにドレイン領域)上の部分を選択エッチングにより除去してコンタクト孔を形成する。
【0088】
次に、図16(e)に示するように、前記ゲート絶縁膜307の上に、コンタクト孔を介して前記ソース領域並びにドレイン領域と電気的に接続されたソース電極311a並びにドレイン電極311bを形成して、薄膜半導体装置を完成させる。
【0089】
第10の実施の形態
図17(a)並びに(b)は、上記薄膜半導体装置を使用して製造された液晶表示装置の一例を示す。
【0090】
液晶表示装置400は、前後1対の透明基体(基層)421,422、液晶層423、画素電極424、走査配線425、信号配線426、対向電極427、及びTFT430等を備えている。
【0091】
1対の透明基体421,422としては、例えば1対のガラス板を用いることができる。これら透明基体421,422は、枠状のシール材を介して接合されている。液晶層423は、1対の透明基体421,422の間のシール材により囲まれた領域に設けられている。
【0092】
前記1対の透明基体421,422のうちの一方の透明基体、例えば後側の透明基体422の内面には、行方向および列方向にマトリックス状に設けられた複数の画素電極424と、複数の画素電極424と夫々電気的に接続された複数のTFT430(前に詳しく説明した本発明に係わる半導体装置)と、複数のTFT430と電気的に接続された走査配線425及び信号配線426とが設けられている。
【0093】
前記走査配線425は、画素電極424の行方向に夫々沿わせて設けられている。これら走査配線425の一端は、後側の透明基体422の一側縁部に設けられた複数の走査配線端子(図示せず)に夫々接続されている。複数の走査配線端子は夫々走査線駆動回路41に接続されている。
【0094】
前記信号配線426は、画素電極424の列方向に夫々沿わせて設けられている。これら信号配線426の一端は、後側の透明基体422の一端縁部に設けられた複数の信号配線426の端子(図示せず)に夫々接続されている。複数の信号配線426端子は夫々信号線駆動回路442に接続されている。
【0095】
前記走査線駆動回路741および信号線駆動回路442は、夫々液晶コントローラ443に接続されている。液晶コントローラ443は、例えば外部から供給される画像信号及び同期信号を受け取り、画素映像信号Vpix、垂直祖歌制御信号YCT、及び水平走査制御信号XCTを発生する。
【0096】
他方の透明基体である前側の透明基体421の内面には、複数の画素電極424に対向する一枚膜状の透明な対向電極427が設けられている。前側の透明基体421の内面には、複数の画素電極424と対向電極427とが互いに対向する複数の画素部に対応させてカラーフィルタを設けるとともに、前記画素部の間の領域に対応させて遮光膜を設けてもよい。
【0097】
1対の透明基体421,422の外側には、図示しない偏光板が設けられている。また、透過型の液晶表示装置400では、後側の透明基体422の後側に図示しない面光源が設けられている。なお、液晶表示装置400は、反射型或いは半透過反射型であってもよい。
【0098】
以上説明した実施の形態においては、半導体装置としてTFTについて説明したが、半導体薄膜を基礎とする他の半導体素子、例えば、ダイオードについても本発明は適用可能である。
【0099】
半導体素子を使用する表示装置として液晶表示装置について説明したが、これに限定されることはなく、例えば、有機EL表示装置にも適用できる。
【0100】
また、均一な光強度分布を有する入射レーザ光を最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光として射出する光学変調素子として、光の回折、干渉を利用した位相シフタを実施の形態では説明したが、例えば、光の反射並びに/もしくは吸収を利用して上記機能を奏させる他の形式の光学変調素子を使用することもできる。このような光学変調素子は、例えば、図14に示す位相シフタ(141,142)で、基板に溝を形成する代わりに、溝に対応する個所に吸収膜もしくは反射膜を設けることにより形成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の技術であるゾーンメルティング法を説明するための図である。
【図2】従来の技術であるエキシマレーザ結晶化法を説明するための図である。
【図3】従来の技術であるSLS方式を説明するための図である。
【図4】従来の技術である位相変調エキシマレーザ結晶化法を説明するための図である。
【図5】本発明の基本となる技術を説明するためのもので、(a)は、使用したレーザ光の光強度分布を示す図、(b)は、結晶化された薄膜の結晶粒の表面形態と個々の結晶粒の結晶学的方位を走査電子顕微鏡(SEM)法と電子後方散乱(EBSP)法を用いて測定した結果を示す図、そして、(c)は、(b)に示す結晶粒を夫々図式化して示す図である。
【図6】本発明の基本となる技術を説明するためのもので、(a)は、第1の位相変調エキシマレーザ照射による結晶粒を概略的に示す上面図、(b)は、第2の位相変調エキシマレーザ照射後の結晶粒を概略的に示す上面図、そして、(c)は、(b)に示す結晶粒の面方位を概略的に示す図である。
【図7】(a)は、第1のレーザ照射におけるレーザ強度極大領域が極小領域になるように第2のレーザ照射を行う状態の走査電子顕微鏡写真を示す図、(b)は、第2のレーザ照射後の結晶化薄膜表面の走査電子顕微鏡写真を示す図である。
【図8】本発明の基本となる技術を説明するためのもので、(a)は、第1並びに第2の位相変調エキシマレーザ照射を概略的に示す斜視図、(b)は、第2の位相変調エキシマレーザ照射後の2次元に位置制御された結晶粒を示す図である。
【図9】(a)は、方位表示指標が形成された円形の基板の3つの例を示す平面図であり、(b)は、方位表示指標が形成された矩形の基板の3つの例を示す平面図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態の方法を工程ごとに分けて説明するための図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態の方法を工程ごとに分けて説明するための図である。
【図12】(a)ないし(c)は、本発明の第3ないし第6の実施の形態の半導体薄膜の結晶化方法並びに結晶化装置を夫々説明するための概略図である。
【図13】(a)並びに(b)は、本発明の第7並びに第8の実施の形態の半導体薄膜の結晶化方法並びに結晶化装置を夫々説明するための概略図である。
【図14】(a)は、アニール用の位相シフタを示す斜視図であり、(b)は、位置決め用の位相シフタを示す斜視図であり、また、(c)と(d)とは、アニール用の位相シフタと位置決め用の位相シフタとが一体化された夫々異なる構成を示す斜視図である。
【図15】アニール用の位相シフタと位置決め用の位相シフタとが同一基板に形成されている構成を説明するための平面図である。
【図16】本発明の第9の実施の形態に係わる半導体装置並びにその製造方法を工程に従って説明するための図である。
【図17】本発明の第10の実施の形態に係わる液晶表示装置を説明するための図である。
【符号の説明】
52…小粒径結晶粒,53…短冊形状結晶粒,54…Δ形状結晶粒、81…レーザ光強度分布、82…結晶成長開始点、103…半導体薄膜、105…第1のレーザ照射用レーザ光、106,106a…主勾配方向、107…結晶化され多結晶半導体薄膜、108…第2のレーザ照射用レーザ光、141、142…位相シフタ。
【発明の属する技術分野】
本発明は,半導体薄膜の結晶化方法並びにこの方法を実施するための結晶化装置、及び、結晶化された半導体薄膜を有する半導体装置並びにその製造方法、及び表示装置に関する。
【0002】
尚、一般的には単結晶でも原子列の乱れ(転位など)が存在しており、“単結晶”と“単結晶に近い結晶”とは、区別が困難なので、本明細書では、“単結晶に近い結晶”も、“単結晶”として説明されている。
【0003】
【従来の技術】
絶縁材料基板,または絶縁膜上に単結晶シリコンを形成するSOI(Silicon On Insulator)技術は,LSI (Ultra large−Scale Integrated circuit)の高集積化,低消費電力や高速化を実現する技術として知られている。この技術のプロセスは,▲1▼単結晶半導体ウエハ、例えば、シリコンウエハの表面下部領域に絶縁膜を形成する方法と,▲2▼絶縁材料基板もしくは絶縁膜の上に形成した非晶質または多結晶半導体薄膜、例えば、単結晶シリコンまたは多結晶シリコン薄膜を結晶化または再結晶化する方法とに分類される。いずれの方法においても,シリコンの結晶性を高めることは極めて重要であり,トランジスタを形成する領域が単結晶であること,さらに,結晶面方位が揃っていて,特に表面が(001)面,電流の流れる方向の結晶方位が(100)面であることが望ましい。このため,単結晶シリコンウエハを用いるSIMOXや貼り合わせ基板のような▲1▼の方法が実用化されている。
【0004】
一方,▲2▼の方法は,今日のシリコンULSI技術では採用されていないが,基板材料に制限なくシリコンなどの高品質の半導体薄膜を形成できれば,さまざまな電子素子や電子装置の応用が可能である。このために、この▲2▼の方法の改良が強く望まれている。
【0005】
1980年代に,面方位の揃った単結晶シリコン薄膜を形成することを目的とした多くの研究が行われた。その中で高周波誘導加熱を用いたゾーンメルティング法は、重要な技術であり,表面の結晶方位が(001)面を有する単結晶シリコン矩形領域を形成することができる技術として知られている。この方法を図1を参照して以下に説明する。なお,詳細は,”深見彰,小林裕,電子通信学会論文誌1986/9vol.J69−C No.9 p.1089−1095.”(非特許文献1)に記載されている。
【0006】
まず、図に示すように石英基板11上に常圧化学気相成長法を用いて多結晶Si薄膜を堆積し,この薄膜を,ネック部14aにより互い連結された2つの矩形領域14となるようにパターニングする。次に、細長い高周波誘導加熱ヒータ17を石英基板11の下側に位置させて、帯状に1412℃以上に加熱し、加熱ヒータ17に対応した個所の多結晶シリコンを溶融させて、帯状のシリコン溶融領域13を形成する。次に、この加熱ヒータ17を矢印15で示す方向に線形に移動させることにより、単結晶シリコンを順次溶融させて矩形領域14全体を溶融させて単結晶化させる。図1は、加熱ヒータ13が、移動の途中にある状態を示し、矩形領域14のうち、符号12で示す部分は、既に単結晶化され、空白の部分は、結晶化されていない。ここで,ネック部14aの寸法(図の長さLと幅W)を変化させると,局部的に熱流が変化し,熱流に依存して結晶方位が変化する。LとWを最適化すると(001)面の方位を有する結晶化矩形領域12を形成することができる。
ところで,ガラスやプラスチック基板上に結晶化シリコン薄膜を形成する技術は,液晶ディスプレイなどの駆動素子に用いられている薄膜トランジスタの高性能化技術に応用されている。例えば,薄膜トランジスタの半導体層を非晶質構造から多結晶構造に変化させると、トランジスタの移動度が100倍以上になる。但し,この場合には,結晶化には基板における熱損傷に注意しなければならない(例えば、一般のガラス基板では600℃以下,プラスチックでは150℃以下にしなければならない)。上記高周波誘導加熱を用いたゾーンメルティング法は、基板(石英基板)を高温にしてしまうため、上記材料で基板が形成されている液晶ディスプレイの分野には適用できない。
【0007】
このために,基板に熱損傷を与えずに非晶質シリコン薄膜を結晶化する方法として,エキシマレーザ結晶化法が開発された。この技術は,図2に示すように、エキシマレーザ光21をホモジナイズ光学系22により光照射断面の強度を均一にし,細長い矩形の開口を有する金属マスク23を通して矩形状に整形(例えば断面形状は,150mm×200μm)して射出させている。この射出されたレーザ光で、ガラス基板26上に堆積した非晶質シリコン薄膜24の表面を矢印27で示す方向に線形的に相対的に走査して、短軸方向に10μm間隔でレーザ照射している。このレーザ光を吸収したシリコン薄膜は溶融シリコン25を経た後,多結晶シリコン28に変換される。この技術では,一般のガラスやプラスチック基板を用いたとしても基板に熱損傷は生じない。なぜなら,エキシマレーザは20ns程度のパルスレーザであり,結晶化は50ないし100ns程度で完了するからである。結晶粒径は、レーザエネルギ密度に依存しており,粒径0.1ないし1μm程度の多結晶薄膜を形成することができる。面方位に関しては,1回のレーザ照射で形成された結晶粒は配向しないが,数百回程度の多数回繰り返しレーザ照射を行うことにより,表面方位が(001)面や(111)面に配向する報告がある。前者は、例えば,D. P. Gosain, A. Machida, T. Fujino, Y. Hitsuda, K. Nakano and J. Sato, “Formation of (100)−Textured Si Film Using an Excimer Laser on a Glass Substrate”, Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 42 (2003) p.L135−L.137.,(非特許文献2)に記載されている。また、後者は、例えば、H.Kuriyama, et al., “Enlargement of Poly−Si Film Grain Size by Excimer Laser Annealing and Its Application to High−Performance Poly−Si Thin Film Transistor” Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 30(1991) p.3700−3703(非特許文献3)に記載されている。
【0008】
また,上記エキシマレーザアニールを発展させた技術として,SLS方式(Sequential Lateral Solidification)と呼ばれている技術が知られている。このような技術は、特許第3204986号公報(特許文献1)に開示されている。この技術では、図3(a)に示すように,ホモジナイズ光学系によって光強度が均一化されたエキシマレーザ光31を2ミクロン幅程度の金属細隙を設けたマスク32を通すことにより断面を長方形状に整形する。この細隙を通ったレーザのフルエンス(エネルギー密度)は,非晶質シリコン薄膜33が厚さ方向に全溶融34になるように設定すると、細隙の外側の領域から内側に向かって横方向成長が起こり,結晶化シリコン36が形成される(図3(b))。次に試料を矢印37で示すように2ミクロンだけ左方向に移動させ、レーザ照射すると溶融シリコン34は前照射によって形成された結晶化シリコン36の右端部を種結晶として横方向成長する(図2(c))。このレーザ照射と試料移動のプロセスを繰り返すことによって大粒径の多結晶シリコン薄膜を形成することができる。この場合に、マスク32の平面形状を図2(d)の様に市松状マスク39にして,繰り返しレーザ照射を行うと処理時間が向上し,また結晶化の重なり領域が良好になり,基板面で均一な横方向成多結晶薄膜を形成できる。
【0009】
上記エキシマレーザ結晶化法をさらに発展させた方法として,位相変調エキシマレーザ結晶化法が知られている。この方法の特徴は,図4(a)に示すようにエキシマレーザ光41を、位相シフタ42(例えば,石英板に段差加工を行ったもの)と呼ばれる光学部品を通すことによって、図4(b)の符号43で示すようにレーザ光強度分布を変調させている。このように変調されたレーザ光で,非晶質シリコン薄膜44に一回の照射を行って、図4(c)に示すように、照射領域45を結晶化している。
【0010】
この方法は、上記エキシマレーザ結晶化法と,SLS方式とは、異なり、均一光強度分布を使用せず,また,多数回レーザ照射を行う必要もない。この方法では、変調された光強度分布43により,レーザ照射された薄膜内には傾斜した温度分布が生じ,エネルギーの小さい所47に結晶核が形成され、この位置を正確に定めることができる。また、図4(d)に示すように、この結晶核をもとにした横方向成長により成長距離が増大し大粒径結晶粒46a,46bを得ることができる。この方法により,大粒径の結晶粒が形成され,しかも結晶粒の位置を制御することができる。この技術の詳細は,“松村正清,表面科学 Vol.21,No.5,pp.278−287,2000”(非特許文献4)に記載されている。
【0011】
【特許文献1】
特願平9−542270
【0012】
【非特許文献1】
電子通信学会論文誌1986/9vol.J69−C No.9 p.1089−1095
【0013】
【非特許文献2】
Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 42 (2003) p.L135−L.137
【0014】
【非特許文献3】
Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 30(1991) p.3700−3703
【0015】
【非特許文献4】
表面科学 Vol.21,No.5,pp.278−287,2000
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、基板材料を選択しないで,絶縁層の上に面方位の揃った単結晶領域を形成する技術において,上記4種類の形式の従来技術には夫々以下に述べる課題がある。
【0017】
図1を参照して説明した高周波誘導加熱を用いたゾーンメルティング法に関しては,基板を部分的にシリコンの融点(1410℃)以上に加熱するため,ガラスなどの低融点材料でできた基板を使用する用途には用いることができない。
【0018】
結晶化膜を(001)面方位に配向させるためには,島状シリコンの連結部(ネック部)の形状を最適化する必要があり,後に形成するトランジスタおよび回路のレイアウトに制限が生じる。
【0019】
図2を参照して説明したエキシマレーザ結晶化法に関しては,結晶粒内部の結晶性は単結晶にすることができるが,多数のトランジスタを形成した場合、チャネル領域に粒界が存在するため移動度が低下し,トランジスタ間の性能(閾電圧,サブシュレッド係数,移動度)のばらつきが生ずる。また、結晶粒を大きくするためには,シリコン薄膜が全溶融になる臨界のレーザフルエンスに極限に近づける必要がある。しかしながら,レーザフルエンスが全溶融条件を超えるとシリコン薄膜は微結晶化し、好ましくない。即ち,レーザフルエンスに関しての裕度が狭い。そして、結晶粒サイズが最大で1から2ミクロン程度であるため,トランジスタサイズを小さくしなければならない制約が生ずる。このため、例えば,1 mx1 m程度のディメンションのディスプレイ用大面積基板を用いた場合には極めて高度な微細加工技術が要求される。また、表面方位を(001)にするためには,レーザを200回以上((111)面にするためには10回程度)照射しなければならない。このため結晶化の処理時間が長くなる。また,結晶化膜の上面(一面)となる個々の結晶粒の表面の方位は(001)と一定にすることはできても、表面軸に対しては無秩序に回転した位置関係にあり,薄膜の断面の結晶方位は配向していない。即ち、結晶化膜の表面に直行する面を(001)方位とすることはできない。
【0020】
図3を参照して説明したSLS方式に関しては,レーザ光の半分近くを金属マスクでシールドするため,レーザエネルギを有効に利用することができない。このため結晶化の処理時間が長くなる。また、結晶粒の位置がばらついているため,上記エキシマレーザ結晶化と同様にトランジスタ間の性能のばらつきが生ずる。そして、結晶粒の面方位が一定でないため,トランジスタ間の性能のばらつきが生ずる。
【0021】
図4を参照して説明した位相変調エキシマレーザ結晶化技術に関しては,
結晶粒の表面形状が主に三角形状であるため,トランジスタ回路を形成するさい回路レイアウトに制限が生ずる。また、結晶粒の面方位が一定でないため,トランジスタ間の性能のばらつきが生ずる。
【0022】
本発明は上記の課題に基づいてなされたもので、その目的は、所望の面方向の結晶粒が半導体薄膜に形成される半導体薄膜の結晶化方法並びに結晶化装置、及び、半導体装置並びに製造方法を提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
かくして、基板と、この基板の一面側に配設された半導体薄膜とを具備し、この半導体薄膜は、一面側から見て表面形状がほぼ矩形を有している結晶粒により形成されている結晶化領域を有し、この結晶化領域は、これの一面と直交する断面の結晶方位が(001)面であることを特徴とする。
【0024】
このような半導体装置においては、従来の欠点が解決され、例えば、動作特性が優れる。
【0025】
本発明の他の態様に係わる半導体装置の製造方法は、基板を準備する工程と、
この基板の一面側に非晶質もしくは多結晶の半導体薄膜を形成する工程と、
この半導体薄膜の結晶化領域に、光学変調素子で光変調されて極小光強度線もしくは最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を照射して前記結晶化領域に結晶核が前記極小光強度線もしくは最小光強度点と対応し、結晶成長方向の面方位が(100)面で、一面側から見てΔ形状の結晶粒を形成する第1のレーザ照射工程と、
前記結晶化領域に、光学変調素子で光変調されて極小光強度線もしくは最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を、これの極小光強度線もしくは最小光強度点が前記Δ形状の結晶粒の底辺領域とほぼ対応させて、照射して、この底辺領域を結晶核にして前記結晶化領域に結晶成長方向の面方位が(100)面で、一面側から見て表面形状がほぼ矩形を有している結晶粒を成長させることにより、前記結晶化領域を単結晶にする第2のレーザ照射工程とを具備することを特徴とする。
【0026】
このような製造方法によれば、単結晶の半導体薄膜を有する半導体装置を容易に製造することができる。
【0027】
本発明の他の態様に係われる結晶化方法は、非単結晶性の半導体薄膜に、最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を一面側から照射して、結晶核が前記最小光強度点と対応した結晶粒を横方向に成長させて形成する第1のレーザ照射工程と、
前記半導体薄膜に、極小光強度線もしくは最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を、これの極小光強度線もしくは最小光強度点が前記結晶粒の成長端部とほぼ対応させて、照射して、この成長端部を結晶核にして前記半導体薄膜に結晶粒を成長させることにより、前記半導体薄膜を結晶化する第2のレーザ照射工程とを具備することを特徴とする。
【0028】
このような結晶化方法によれば、非晶質もしくは多結晶半導体薄膜を容易に単結晶にすることができる。
【0029】
本発明のさらに異なる態様に係わる結晶化装置は、均一な光強度分布のレーザ光を射出する射出手段と、
非単結晶の半導体薄膜を支持する支持手段と、
これら射出手段と支持手段との間に配置され、射出手段から射出されたレーザ光の位相を変調することにより極小光強度線もしくは最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を射出するための光学変調素子と、
前記射出手段と支持手段とを半導体薄膜の一面に沿って第1の位置と第2の位置との間で相対的に移動させる駆動手段とを具備し、
前記光学変調素子は、前記第1の位置で、半導体薄膜を、この半導体薄膜に結晶核が前記極小光強度線もしくは最小光強度点と対応した結晶粒を横方向に成長させて形成されるように照射し、前記第2の位置で、 半導体薄膜を、前記成長の端部を結晶核にして前記半導体薄膜に結晶粒を成長させることにより、前記半導体薄膜を結晶化するように照射することを特徴とする。
【0030】
他の形態の結晶化装置は、均一な光強度分布の第1並びに第2のレーザ光を互いに時間差を有して射出する射出手段と、
非単結晶の半導体薄膜を支持する支持手段と、
これら射出手段と支持手段との間に、夫々配置された第1並びに第2の光学変調素子とを具備し、
前記第1の光学変調素子は、射出手段からの第1のレーザ光を極小光強度線もしくは最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光に変調して、半導体薄膜を照射し、この半導体薄膜に結晶核が前記極小光強度線もしくは最小光強度点と対応した結晶粒を横方向に成長させて形成させ、また、 前記第2の光学変調素子は、射出手段からの第2のレーザ光を最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光に変調して、半導体薄膜を照射し、前記成長の端部を結晶核にして前記半導体薄膜に結晶粒を成長させることにより、前記半導体薄膜を結晶化することを特徴とする。
【0031】
上記のような結晶化装置は、構造が簡単でありながら、容易に半導体薄膜の単結晶化を果たすことができる。
【0032】
本発明のさらに他の態様に係わる表示装置は、互いに離間して対面された面を有する第1並びに第2の基層と、これら対面された面間に配置された液晶と、これら対面された面に夫々配設された複数の第1並びに第2の電極と、一方の基層の前記対面された面上に形成された画素電極並びに半導体薄膜とを有し、各半導体薄膜は、一面側から見て表面形状がほぼ矩形を有している結晶粒により形成されている結晶化領域を有し、この結晶化領域は、これの一面と直交する断面の結晶方位が(001)面であることを特徴とする。
【0033】
このような構成の表示装置においては、半導体薄膜が単結晶化されているので、優れた電気的特性を有する。
上記の夫々の態様に係わる技術で説明した効果は、一例であり、従来技術の他の問題点にも注意が払われていることは容易に推測できるであろう。この発明の実施の形態で、非単結晶基板、例えば、非晶質半導体薄膜が大面積であっても、全面もしくは選択された領域に所望の面方位の単結晶領域を形成することができる。この面方位は、(001)面であり、一般の単結晶シリコンウエハと同等の特性を有する金導体装置を形成することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の基本概念を説明する。
【0035】
本願の発明者らは,図14(a)に示すような、光学変調素子として、石英基板表面に直線の段差加工した位相シフタ141を用いて,光源からのレーザ光を図5(a)に示すようなレーザ光強度分布51に変調して、未結晶化薄膜(この場合には、非晶質シリコン薄膜)に照射させて結晶化(この場合には、他結晶シリコン)させた。そして,この結晶化された薄膜の結晶粒の表面形態と個々の結晶粒の結晶学的方位を走査電子顕微鏡(SEM)法と電子後方散乱(EBSP)法を用いて測定した。この結果,結晶粒の形態は、図5(b)に示すように小粒径結晶粒52と,短冊形状結晶粒53と,Δ形状結晶粒54との3種に分類できることが判った。これら3種の結晶粒を図式化し、判った面方位関係を付加すると,図5(c)に示すようになる。図5(c)では、小粒径結晶粒52と,短冊形状結晶粒53と,Δ形状結晶粒54とに対応する結晶粒を、同じ符号に夫々サフィックス“a”を付している。ここで,本発明者達が着目した点は、Δ形状結晶粒54aの成長距離は長く,結晶成長方向の面方位が(100)面であり,結晶成長方向に対しての2つの垂直方向のうち薄膜の面内の垂直方向は(010)面または(011)面であるということである。そこで、本発明者達は,図6(a)に示すように線状の領域61aがレーザ光強度の極小になるような第1の位相変調エキシマレーザ照射を行い(極小光強度線による照射),それによって形成されたΔ形状結晶粒64の底辺領域61bを種結晶(結晶核)にして,第2の位相変調エキシマレーザ照射を行えば,面方位が揃いしかも結晶粒の形態が方形状64になることを見出した。即ち,図6(b)に示すように,第2位相変調エキシマレーザ照射は,線状の領域61bが極小強度となるようにすればよいことが判った(極小光強度線による照射)。第2位相変調エキシマレーザ照射により,領域61bの左右の領域は全溶融になるため結晶成長は,領域61bの左右の方向に生ずる。この結果,図6(c)のように,少なくとも結晶成長方向の面方位は(001)面を有し,かつ四角形状の結晶粒が形成される。尚、図6は、結晶化膜を上方から見た場合の図である。さらに、図14(a)に示す位相シフタ141を使用して、横方向(左右方向)のピッチPが一定、例えば、10μmの複数の最小光強度点(逆ピーク点)62aを有する図8(a)に示すレーザ光強度分布81のレーザ光で、未結晶膜80を第1の位相変調エキシマレーザ照射し、次に、位相シフタ141と未結晶膜80とをほぼ2/P(約5μm)相対的だけずらせて第2の位相変調エキシマレーザ照射を行えば,図8(b)のように,2次元に位置制御した結晶粒を形成することができる。ここで、ピッチPとは、後で図14を参照して説明するように、入射レーザ光の位相を180°(π)ずらせるために表面に形成された細長い溝と表面との間の段差、即ち、位相シフト線間、の間隔を言う。
【0036】
上記実験並びに測定から以下の結論が,導かれた。
【0037】
表面形態が四角形状の結晶粒が一次元的に位置制御されていて少なくとも成長方向の面方位は(001)となる結晶化膜を製造するには,図14(a)のような一次元の位相シフタ141を用いて,一次元のレーザ光強度分布を形成し,非晶質シリコン薄膜表面にレーザ照射して,一方向成長した結晶粒を形成すればよい(第1のレーザ照射)。このときに、照射するレーザ光は、図5(a)に示すように結晶成長の開始位置と終了位置とは、レーザ光強度の極小値J1と極大値J2になるように設計する。このような第1のレーザ照射による周期的なアニーリングにより,非晶質シリコン薄膜の照射全領域に横方向成長結晶粒が充填される。次に、図7(a)の走査電子顕微鏡写真に示すように,第1のレーザ照射におけるレーザ強度極大領域(Δ形状結晶粒の底辺領域)72が極小領域になるように第2のレーザ照射を行う(極小光強度線による照射)。このとき小結晶粒75や短冊型結晶粒73は全溶融して,Δ形状結晶粒の底辺領域72が種結晶となり,領域72の左右方向に溶融再結晶成長する。第2のレーザ照射後の結晶化薄膜表面の走査電子顕微鏡写真を図7(b)に示す。第2のレーザ照射では,第1のレーザ照射における成長方向が(001)面である三角形状の結晶粒の底辺領域が種結晶となり,第1のレーザ照射で形成された小粒径結晶粒,短冊状結晶粒は再溶融し,種結晶からの結晶成長に取り込まれることを示している。従って,第2のレーザ照射によって,成長方向が(001)面であり,表面形態が四角形状の結晶粒74bが形成される。このことは,電子後方散乱法によって確認した。
【0038】
さらに上記技術思想を発展させて,図14(c)のように、位相シフト部、即ち、位相シフト線、が互いに直交した(a)に示す位相シフタ141と、(b)に示す位相シフタ142とを組合わせることによって,図8(a)に示すような光強度分布81を形成した。この図に示す光強度分布は、3つの極小光強度線と、9つの最小光強度点とを有するが、これらの数は、本発明においては任意である。この光強度分布81は、極小強度領域(線)に最小点が存在することを特徴をしており,結晶成長開始点82を2次元位置制御することによって,5角形状結晶粒83の配列を形成することができる。また、第1の位相シフタの位相シフト線に対応して形成される極小光強度線と第2の位相シフタの位相シフト線に対応して形成される極小光強度線とは、交差していれば、必ずしも直交していなくても良い。前述したような光強度分布81を用いて結晶化したシリコン薄膜の表面形態の走査電子顕微鏡写真を示す図8(b)において、結晶成長開始点82に対応する結晶成長開始点は82aで示し,単結晶化領域は83aで示す。この技術思想と上記2次再結晶化方法を組み合わせれば,成長方位が制御された単結晶領域を二次元的に配列できる。
【0039】
また,上記技術思想を発展させると,あらかじめ使用する基板に方位を示し,それに従って,光強度分布を形成して結晶化を行えば結晶面方位を示す半導体薄膜基板を作製することができる。ほぼ円形の半導体基板を用いた場合は,図9(a)に示すように、基板(半導体ウエハ)にオリフラ91,ノッチ92,基板マーキング93等の方位表示指標を予め形成し、この指標を基準にして,レーザ光強度分布方向(強度勾配方向)を合わせる。また,ガラス基板のように矩形の基板の場合には、図9(b)に示すように,一辺94,角の切りかけ95,基板マーキング96等の方位表示指標を予め形成し、この指標を基準にして,レーザ光強度分布方向(強度勾配方向)を合わせる。このようにして、結晶化を実施することにより、基板から薄膜断面の結晶面方位が判る結晶化半導体薄膜基板を得ることができる。
【0040】
以下に、上記基本概念に基づく種々の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0041】
第1の実施の形態
図9(a)に示すようなオリエンテーションフラット91、ノッチ92、基板マーク93等の方位表示指標を有する半導体基板(図10では符号101で示されている)上に、面方位の揃った四角形状の結晶化領域アレイを有する半導体装置およびその製造法、並びに半導体薄膜の結晶化方法に関する実施の形態を図5,図6,図7,図8,図9,図10を用いて、特に、図10を主に参照して説明する。
【0042】
まず、半導体基板101(例えば,Si,Ge,Si1−xGex ,Si1−x−yGexCy, GaAs, GaP, InAs, GaN, ZnTe, CdSe, CdTeなどの半導体のウエハ)を用意する。この半導体基板101の上に絶縁層102(例えば膜厚500nm)を形成する。この絶縁層102は、例えば、熱酸化または,CVD(例えば,プラズマ化学気相成長法や低圧化学気相成長法など)やスパッタ法を用いて成膜されたSiO2膜である。代わって、この絶縁層102は,例えば、SiN膜とSiO2膜との組合わせのような積層構造にしたものでもよい。また、絶縁層102は、半導体基板101上の全面に形成し、そのまま残しておいても,パターニングによって部分的に残しておいても良い。ここでは,半導体基板101の全面に設けられている場合について説明する。次に、前記絶縁層102の上に、即ち、半導体基板101の一面側に、非晶質または多結晶構造の半導体薄膜103(例えば,膜厚30ないし200nm程度のSi,Si1−xGex, もしくはSi1−x−yGexCy膜など)をCVD(例えば,プラズマ化学気相成長法や低圧化学気相成長法など)やスパッタ法を用いて成膜する。この半導体薄膜103は、絶縁層102の全面,または,パターニングによって絶縁層の部分領域に形成してもよい。ここでは,絶縁膜102の全面に形成されている。
【0043】
そして、図10(a)に示すように、半導体薄膜103の表面全面に、保護膜104(例えば,SiO2,SiON,SiN、または、これらの積層構造膜)を膜厚約300nmの膜厚で成膜する。前記絶縁層102および半導体薄膜103がパターニングされた場合においては,基板全面に保護膜を形成してもよい。
【0044】
次に、図10(b)に示すように、位相変調エキシマレーザ結晶化法を用いて,保護膜104の表面に図8(a)に示すような光強度分布を有するエキシマレーザ光105を照射する。このレーザ照射を第1のレーザ照射と呼ぶ。ここでは,位相変調エキシマレーザ結晶化法は,第3の実施の形態で説明するレーザ結晶化装置を用いている。このようなレーザ光の照射は、予め基板や半導体ウエハに設けられた合わせマークに従って照射位置が設定され得る。
【0045】
前記第1のレーザ照射は,複数の逆ピークを有する光強度分布を使用しているが、図では簡単のために、3つの逆ピークの場合を示す。この光強度分布には、各逆ピーク点(最小光強度点)を中心として1対の,主勾配方向(光強度が最小光強度点からほぼ線形に強くなる光強度の方向)106並びに/もしくは106aが存在する。1対の主勾配方向106と106aとは、紙面内で互いに180°の回転の関係である。主勾配方向106または106aと半導体基板101の方位表示指標の方向とが所定関係を有するように、半導体基板101と、位相シフタとが予め、設定されている。ここでは,主勾配方向106とオリフラ91とが平行となるように設定されている。
【0046】
この第1のレーザ照射において、レーザ光のエネルギ密度は,図5(a)に示すように、光強度の極小値が横方向成長条件の臨界値j1を越えていて,光強度の極大値が半導体薄膜103の蒸発臨界値j2以下であることが望ましい。これら臨界値j1,J2の値は,主に半導体薄膜103のレーザ光に対する吸収係数と膜厚によって決定される。
【0047】
上記第1のレーザ光105による第1のレーザ照射によって,半導体薄膜103の照射領域は、結晶化され多結晶半導体薄膜107に変換される。この結晶化薄膜107の表面形態は,主勾配方向106,106aに沿って横方向に結晶化されている。この段階で、保護膜をエッチングにより除去して走査電子顕微鏡法と電子後方散乱法によって解析すると,個々の結晶粒は,レーザ光強度の低い位置から結晶成長が始まり,主勾配106,106aの方向に沿って結晶成長したことが判る。個々の結晶粒は一つの結晶核から成長していると推定され,図5(c)に分類されるように、小粒径結晶粒52aと,短冊状結晶粒53aと,Δ形状結晶粒54aとが形成されている。この中で,最も横方向成長距離が長いものはΔ形状結晶粒54aである。電子線後方散乱法で個々の結晶粒の結晶方位を解析すると,Δ形状結晶粒54aの成長方向(即ち、主勾配106,106a)の面方位は(100)となっている。また、このΔ形状結晶粒54aの成長距離は,少なくとも2 mm以上になっており,本実施の形態では,5 mmである。一方,小粒径結晶粒52a,短冊形状結晶粒53aの主勾配方向の結晶面方位は,(111)または,(110)面になっている。
【0048】
次に、図10(c)に示すように,第2のレーザ光108を使用して、第2のレーザ照射を、前記多結晶化された領域に行う。この第2のレーザ照射の光強度分布は, 図10(b)と(c)とを比較してみれば判るように,第1のレーザ照射で用いた光強度の極小値の位置が第2のレーザ照射の極大値になるように、第1のレーザ照射の光強度分布を、極小値のピッチの約1/2だけ平行移動した光強度分布になるように設定されている。即ち、図6(a)に示す領域61(a)が第1のレーザ照射の極小値であり,領域61(b)が第2のレーザ照射の極小値である。ここで,図8(a)に示すレーザ光強度分布81のように、最小光強度点62aの位置にさらに強度が下がり最小値となるような光強度分布にすれば,結晶成長開始点が2次元に制御できる。本実施の形態では,前述したように1/2P(5 mm)だけ主勾配方向に平行移動した光強度分布を用いている。図7(a)は、第1のレーザ照射後の結晶化シリコン薄膜の表面形態を走査電子顕微鏡で観察した結果である。この図で、符号71は、第1のレーザ照射の光強度が極小の領域を示し,符号72は極大の領域を示す。この写真においても,図5(b)で示したように小粒径結晶粒75,短冊形状結晶粒73,Δ形状結晶粒74aが形成されていることが判る。第2のレーザ照射は、符号72で示す領域に光強度が極小になるように行っている。第2のレーザ照射のエネルギ密度は、第1のレーザ照射のエネルギ密度と同等もしくは大きくなるように設定されている。この実施の形態では、第2のレーザ照射は,第1のレーザ照射の光強度分布を用いて,試料表面を5 mmだけ主勾配方向に平行移動してから照射させているけれども。必ずしも同じ位相シフタを使用する必要はなく、前記1/2Pだけ位相がずれた別の位相シフタを使用しても良い。
【0049】
上記第2のレーザ照射により,多結晶半導体領域107は,図10(d)に示すように、結晶粒の大きい半導体領域109に変換されている。このときの光強度が最小であった点は、前述した図7(b)で、符号72で示されている。この図では、第2のレーザ照射によって,領域72の左右に横方向に結晶化したことが示されている。また、この図には、図10(d)に示す半導体領域109の結晶粒に相当する結晶粒74bが示されている。この結晶粒74bの表面形状(半導体領域109を上方から見たときの形状、即ち、水平面内の形状)は、ほぼ四角形(矩形)であり,また、光強度分布の主勾配方向106,106aの結晶粒の面方位は、(100)である。なお,この半導体領域109の結晶化された領域の結晶性は、単結晶になっている。図7(b)では,前述したように、図7(a)で観察された小粒径の結晶粒,短冊状の結晶粒,三角形状の結晶粒はほとんど存在しない。これは,第1のレーザ照射で形成されたΔ形状粒74aの底辺部分が,第2のレーザ照射では完全には溶融せず,一方、小粒径結晶粒75,短冊状結晶粒73は,完全に再溶融するからである。このため,光強度が最小であった領域72を種結晶として、主勾配方向106(または106a)の方向に結晶成長がおこっている。主勾配方向に(111)面または(110)面を有していた小結晶粒75と短冊形状結晶粒73は消滅して、主勾配方向106(または106a)方向において(100)面に配向した結晶粒に変換されている。
【0050】
以上の説明で判るように,本実施の形態の方法で形成された半導体領域109の結晶粒の半導体基板101のオリフラに沿った方向の面方位は(100)面となっている。
【0051】
従って,本実施の形態の方法によって,半導体基板上に、断面の一方向に(100)面方位を有し、ほぼ四角形状の結晶粒により構成された単結晶化領域アレイを形成することができる。以上説明した方法では、図面上では、半導体薄膜103の一部を単結晶化しているように見えるが上記処理を繰り返すことにより、半導体薄膜103全体を単結晶化することも、できる。
【0052】
第2の実施の形態
絶縁材料基板上に面方位の揃った四角形状の結晶化領域アレイを有する半導体装置およびその製造法、並びに半導体薄膜の結晶化方法に関する実施の形態を図9,図11を参照して説明する。
【0053】
まず、図9(b)に示すような辺94,ノッチ95,またはマーキング96(基板の表面でも裏面でもよい)を有する絶縁材料基板111(例えば,石英ガラス,ソーダガラス,ホウケイ酸ガラス,鉛ガラス,フッ化物ガラス,サファイア,プラスチック,ポリイミド,など)を用意する(図11(a))。この絶縁材料基板111の上に、絶縁層112(例えば、膜厚500nm)を形成する。この絶縁層112は、例えば、CVD(例えば,プラズマ化学気相成長法や低圧化学気相成長法など)やスパッタ法を用いて形成されたSiO2薄膜である。代わって、この絶縁層112は,例えばSiNやSiO2などの異種の材料により、積層構造にしたものでもよい。絶縁層112は、絶縁材料基板111の全面,または,パターニングによって絶縁材料基板表面の部分領域に形成してもよい。ここでは,絶縁材料基板111の全面に形成している。次に、絶縁層112の上に、非晶質または多結晶構造の半導体薄膜113(例えば,膜厚30ないし200nm程度のSi,Ge,Si1−xGex ,Si1−x−yGexCyなど)をCVD法(例えば,プラズマ化学気相成長法や低圧化学気相成長法など)やスパッタ法を用いて成膜する。この半導体薄膜113は絶縁層112の全面,または,パターニングによって絶縁層の部分領域に形成してもよい。ここでは,絶縁層112の全面に形成している。
【0054】
そして、図11(a)に示すように、半導体薄膜113の表面全面に保護膜114(例えば,SiO2,SiON,SiN、または、これらの積層構造膜)を約300nmの厚さに成膜する。前記絶縁層112および半導体薄膜113がパターニングされた場合においては,基板全面に保護膜を形成してもよい。この後の工程は、前記第1の実施の形態1と実質的に同じであり,簡単に記述する。
【0055】
図11(b)に示すように、保護膜114の表面に、前述したような光強度分布を有する第1のレーザ光115で、第1のレーザ照射を行う。この第1のレーザ照射における光強度の主勾配方向116,116aは,絶縁材料基板111に示された方位表示指標を基準にして設定している。この実施の形態では、主勾配方向116,116aと,方位表示指標が示す方向とを一致させている。この第1のレーザ照射によって、半導体薄膜113の照射領域は、結晶化半導体薄膜117に変換される。
【0056】
次に、図11(c)に示すように、第1の実施の形態と同条件で、ほぼ1/2Pだけ横方向にシフトした第2のレーザ光118により、第2のレーザ照射を行う。この結果、図11(d)に示すように、前記結晶化半導体薄膜117は、単結晶化半導体薄膜109となる。この結晶化半導体薄膜117の結晶粒の表面形態は、四角形状であり、また、絶縁材料基板111の基準に沿った方向の面方位は(100)面となっている。従って,本実施の形態の方法によれば,絶縁材料基板の断面の一方向に(100)面方位を有する四角形状の単結晶化領域アレイを形成できる。
【0057】
第3の実施の形態
半導体薄膜の結晶化方法並びに結晶化装置の実施の形態を、夫々図12,図13,図14,図15を参照して説明する。これら例では,光源としてエキシマレーザ121(例えば,XeCl,KrF,ArFFなど)を用いているが、必ずしもこれらに限定されることはない。
【0058】
図12(a)に示されるように、パルスレーザ光122aを射出するエキシマレーザ121の出射側には、レーザ光122のエネルギ密度 (図5(a)に示す臨界値j1、臨界値j2)を制御するためのアッテネータ123と,レーザ光の強度を均一化するホモジナイズ光学系124とが順次配設されている。尚、符号120aで示す位置は,ホモジナイズ光学系124の結像面(焦点面)である。このホモジナイズ光学系124の射出側には、90度反射鏡を介して、ホモジナイズ光学系の結像面120aを等倍もしくは縮小する投影レンズ125が配置されている。そして、この投影レンズ125の結像面120b(フォーカス位置)には第1の位相シフタ126aが、また,焦点位置からはずれた位置(デフォーカス位置)には第2の位相シフタ127aが、夫々配置されている。ここで,第2の位相シフタ127aは、複数枚の位相シフタ、例えば、位相シフト方向が互いに直交した2つの位相シフタで構成されてもよい。第1の位相シフタ126aは、図8(a)に示されているレーザ光強度分布81おいて、急峻なボトムを形成するためのものである。第2の位相シフタ127aは、図8(a)に示されているレーザ光強度分布81おいて、横方向の結晶成長に必要な勾配を形成するためのものである。即ち、図8(a)に示されているレーザ光強度分布81おいて、最小光強度点62a部のレーザ光強度分布が急峻なボトムの形状は、第1の位相シフタ126aによって形成される。レーザ光強度分布81おいて、最小光強度点62a部から最大のレーザ光強度分布となる形状は、横方向の結晶成長に必要な勾配であって、第2の位相シフタ127aによって形成される。
【0059】
前記第1並びに第2の位相シフタ126a,127aは,光軸上に、図示しないホルダによって固定されている。このホルダは,光軸に沿った方向と、それに垂直な方向とに移動させる機構と,2軸の回転機構とを有するゴニオメータのような駆動機構DMに組み込まれている。
【0060】
前記第2の位相シフタ127aの射出側には、ステージ129の上に載置された試料128が位置されている。このステージ129は、X方向並びにY方向に移動可能であり、試料128を第2の位相シフタ127aに対して相対的に水平方向にシフトさせることができる。
【0061】
次に上記構成の結晶化装置の作用を以下に説明する。
【0062】
エキシマレーザ121から出射したパルスレーザ光122aは,アッテネータ123によりエネルギ密度が制御されて,ホモジナイズ光学系124に入り、ここで強度が均一化されたレーザ光122bとなって、反射鏡に入射される。ここで、レーザ光122bは、試料128方向へと90度偏向されて、投影レンズ125に入射される。この投影レンズ125は、入射レーザ光122bを第1並びに第2の位相シフタ126a,127aによって変調されたレーザ光122dとして試料表面に入射させる。このための位相シフタ126a,127aの構成は、後で図14を参照して説明する。尚、この試料128は、実際には、例えば、図10並びに図11に示す半導体薄膜113を有する積層薄膜基板で有り得る。
【0063】
前記第2の位相シフタ127aにより変調されて形成されたレーザ光強度分布(像)の特徴は,例えば,図8(a)に示すレーザ光強度分布81のように,ミリメートルレベルの巨視的には均一強度であり,ミクロンレベルの微視的には強度変調されていることを特徴とする。このようなレーザ光強度分布81のレーザ光で,第1のレーザ照射を行うと,図8(b)の走査電子顕微鏡写真のような結晶粒が位置制御された結晶化薄膜を形成することができる。
【0064】
尚、前記アッテネータ123によって,レーザ光のエネルギ密度を最適化してレーザ光122dを試料128の表面に照射すると、試料128の半導体薄膜はレーザ光122dを吸収することによって温度が上昇する。ここで,レーザ光122dの強度変調領域において,極小強度での半導体薄膜は,下地界面付近まで溶融状態になり,極大強度では,半導体薄膜が蒸発しない温度になっていることが望ましい。
【0065】
前記第1並びに第2の位相シフタ126a,127aは,図14(a)並びに(b)に、符号141並びに142で夫々示すように、透明な基板、例えば、合成石英板141a(142a)の一面に、互いに一定間隔を有する細長い矩形溝141b(142b)が形成されることによって段差を有する構造になっている。この段差の高さ(溝の深さ) Δtが射出レーザ光の位相差θに相当する。この位相差θは,θ=2πΔt(n−1)/λで与えられる。ここで,λは,レーザの波長,nは合成石英板の屈折率である。例えば,波長248nmのKrFエキシマレーザを用いた場合,屈折率は,1.508であり,段差Δtが244nmのとき位相差は180°となる。このような位相シフタ141(126a),142(127a)は、溝が互いに直交するような配置関係で、図12(a)に示すように位置に設けられている。前記合成石英基板141a(142a)の表面に段差を形成する方法として,例えば,反応性イオンエッチングを用いてエッチングする方法,集束イオンビーム法を用いて,直接加工する方法,合成石英基板の上に非晶質シリコン薄膜を成膜してパターニングしたものを熱酸化する方法がある。前記両位相シフタ141,142は、図面上では、溝のデイメンシヨンも、ピッチP(位相シフト線間の間隔)も異なっているが、同じものでも良い。
【0066】
また,位相シフタには,表面段差に加えて,光吸収によって光強度分布を形成する効果を付加してもよい。このためには、例えば、合成石英板141a(142a)の一面に光吸収膜(たとえば,SiN,SiON,Geなどの膜)を成膜してパターニングする。このような位相シフタ141(142)を使用することにより、光吸収膜の吸収係数と膜厚によって光強度分布が変化する。この方法は,光強度振動を抑制したい位相シフタの領域に形成する場合によい。
【0067】
また,位相シフタの表面上にマイクロレンズを形成して,光強度分布を形成する効果を付加してもよい。
【0068】
図15に示すように,一枚の合成石英基板151の表面に異種構造の段差を形成することによって、複数対の位相シフタとしての位相シフタ領域152a,152b,並びに153a,153bを同一基板に設けてもよい。この例では、対間の溝の幅並びに溝間の距離(即ち、位相シフト部ピッチ)が異なる2対の位相シフタ領域152a,152b並びに153a,153bが設けられている。この場合,各位相シフタ領域の面積は,入射レーザ光の断面154よりも大きくなっていなければならない。各対の位相シフタ領域152a(153a)と152b(153b)は、互いに半周期ずれた(1/2位相シフタピッチずれた)構造になっている。このような位相シフタでは、第1照射は、一方の位相シフタ(領域)152aを用い,第2照射は,合成石英基板151を溝の長手方向に移動させて,他方の位相シフタ(領域)152bを用いて結晶化することができる。他方の対の位相シフタ(領域)153aと153bについても同様であり,異なった対の位相シフタを用いることにより、レーザ光を異なったパターンのレーザ光強度分布を有するようにすることができる。
【0069】
前記第1の位相シフタ141と第2の位相シフタ142とは、図14(c)に示すように、隅部に設けられた4つのスペーサ143を挟んで取着することにより、一体的な構造としてもよい。また、位相シフタ間に塵埃等が入るのを防止することもできるように、4つのスペーサの代わりに、枠形のシールドスペーサを4辺間に設けても良い。代わって,図14(d)に示すように、第1の位相シフタと第2の位相シフタとは、1枚の合成石英基板(共通透明基板)に一体的に形成しても良く、この場合には、一面に第1の位相シフタの溝、即ち、段差が形成され、他面に第2の位相シフタの溝、即ち、段差が形成されている。さらに、第1の位相シフタと第2の位相シフタは、光路における設置位置を入れ換えてもよい。
【0070】
上述したような第1並びに第2の位相シフタ126a,127aによって得られる光強度分布は,透明基板(合成石英基板)の表面段差の幾何学的構造と入射光の角度や光の空間的可干渉性によって決定される。要求する光強度によっては,第2の位相シフタ127aだけでよい場合もある。
【0071】
第4の実施の形態(図示せず)
前記第3の実施の形態において,試料128表面の位置を,投影レンズ125の焦点面に配置し、例えば、ホモジナイズ光学系123の焦点面120aに位相シフタ126aを配置しても良い。この場合には,第3の実施の形態に比べて光強度分布設計の多様化に制限が生じるが,均一性が向上する効果がある。
【0072】
以下に説明する結晶化装置の実施の形態で、前記第3の実施の形態と実質的に同一の個所は、同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0073】
第5の実施の形態
この装置では、図12(b)に示すように,ホモジナイズ光学系123の焦点面120aに第1の位相シフタ126aが配置され,結像レンズ125の焦点位置に試料128の表面が位置されている。第2の位相シフタ127aは、結像レンズ125の焦点はずれの位置に配置されている。この場合,前記第4の実施の形態に比べ光強度分布設計の多様性が向上するが,第1の位相シフタ126aの強度変調は投影レンズの分解能の制限を受ける。
【0074】
第6の実施の形態
この装置では、図12(c)に示すように、ホモジナイズ光学系123の焦点面120aに第1の位相シフタ126aが配置され,また、ホモジナイズ光学系123の焦点はずれの位置に、第2の位相シフタ127aが配置されている。試料128の表面は,投影レンズ125の焦点面に配置されている。このような構成の装置では,試料表面付近に位相シフタが存在しないため,ステージ129周辺の自由度が増す。しかし,光強度分布は,投影レンズの分解能の制限を受ける欠点がある。
【0075】
前記第3ないし第6の実施の形態においては,第2のレーザ照射は,試料128と光学系(位相シフタ126a,127aと投影レンズ125)とを相対的に平行移動させて、即ち、ステージ129を光学系に対して移動させるか、光学系(詳しくは、反射鏡からステージ129側の部分)をステージ129に対して移動させるかして、光強度分布を平行移動させている。しかし、このような手法に本発明は限定されることはない。この例を第7並びに第8の実施の形態として以下に説明する。尚、これら実施の形態では、位相シフタとして同じ構成の2つの位相シフタ127c,127dを使用している。一方の位相シフタ127cは、第1のレーザ照射であり、他方の位相シフタ127dは、第2のレーザ照射用である。このために、第1の位相シフタ127cにより変調されたレーザ光の極小光強度線もしくは最小光強度点を結晶核として成長した結晶粒の成長端部が、Δ形状の結晶粒の場合にはこれの底辺領域が、第2の位相シフタ127dにより変調されたレーザ光の極小光強度線もしくは最小光強度点で照射されるように、両位相シフタ127c,127dは、これらの相対位置が設定されている。また、これら位相シフタ127c,127dは、ホモジナイズ光学系の夫々の焦点面に配置されているが、この位置に限定されることはない。
【0076】
第7の実施の形態
図13(a)に示すように、この装置は、第1のエキシマレーザ121aと,第1のアッテネータ123a,第1のホモジナイズ光学系124aと,第1の位相シフタ127cとからなる第1のレーザ照射用の光学系と、第2のエキシマレーザ121bと,第2のアッテネータ123bと,第2のホモジナイズ光学系124bと,第2の位相シフタ127dとからなる第2のレーザ照射用の光学系とを有する。前記第1の位相シフタ127cと第2の位相シフタ127dとは、同じ構造を有するが、表面段差の周期構造が半周期だけずれている。これら位相シフタ127c,127dは、図14(c)並びに(d)に示す複合構造の位相シフタを使用しているが、図14(b)に示す単一構造の位相シフタでも良い。第1の位相シフタ127cの射出側と第2の位相シフタ127dの射出側とには、共通のハーフミラー135が配置されている。このハーフミラー135は、第1の位相シフタ127cからのレーザ光を結像レンズ125へと90°反射させる機能と、第2の位相シフタ127dからのレーザ光を透過して結像レンズ125に導く機能とを有する。この結像レンズ125を通ったレーザ光は、互いに横方向に約1/2P(位相シフタの段差のピッチの1/2)ずれた光変調強度分布で試料128を照射する。
【0077】
上記構造の装置においては、第1のエキシマレーザ121aと第2のエキシマレーザ121bとが交互に発振するよう制御し,ハーフミラー135,投影レンズ136によって,第1のレーザ照射と第2のレーザ照射とをこれら照射が重ならないようにして交互に行うことにより、半導体薄膜を結晶化する。このような方法は,第2のレーザ照射のために位相シフタを動かす必要がないので、光学系に可動部分をなくすことができ、このための駆動機構をなくすことができると共に、光軸が安定になる特徴がある。
【0078】
第8の実施の形態
図13(b)に示すように、エキシマレーザ121の射出側には、アッテネータ123を介してハーフミラー139aのようなビームスプリッタが設けられている。このハーフミラー139aは、入射レーザ光を2つのレーザ光に分岐する。このハーフミラー139aの透過側には、第1のホモジナイズ光学系124a,並びに第1の位相シフタ127cを順次介して共通のハーフミラー135が配設されている。前記分岐用のハーフミラー139aの反射側には、2つのミラー139b,139cを介して第2ホモジナイズ光学系124bが配置されている。またこのホモジナイズ光学系124bの射出側には、第2の位相シフタ127dを介して、前記共通のハーフミラー135が配設されている。この共通のハーフミラー135は、第1の位相シフタ127cからのレーザ光を反射すると共に、第2の位相シフタ127dからのレーザ光を透過して、投影レンズ125に導く。
【0079】
このような装置においては、レーザ121から射出されたパルス状のレーザ光は、ハーフミラー139bによって2つのレーザ光に分岐され、第1のレーザ光は、第1のホモジナイズ光学系124a,第1の位相シフタ127c、共通のハーフミラー135、並びに投影レンズ125を通って試料128に照射される。第2のレーザ光は、ミラー139b,139c,第2のホモジナイズ光学系124b,第2の位相シフタ127d,並びに投影レンズ125を通って試料128に照射される。そして、これら第1のレーザ光と第2のレーザ光の光路長さは、最初に第1のレーザ光で試料を照射し、この照射が終了した後に第2のレーザ光で試料を照射するように、設定されている。
【0080】
このような技術においても、第7の実施の形態の場合と同様の効果を有する。
【0081】
上記実施形態では、第1の位相シフタ126a,127cを急峻なボトムを形成するための構成にし、第2の位相シフタ127a,127dを横方向の結晶成長に必要な勾配を形成するための構成にして例について説明した。さらに、第1の位相シフタ126a,127cおよび第2の位相シフタ127a,127dの両方のシフタを同一の急峻なボトムを形成する構成にしてもよいし、横方向の結晶成長に必要な勾配を形成するための構成にしてもよい。
【0082】
第9の実施の形態
半導体装置並びにその製造方法を図16を参照して以下に説明する。
【0083】
図16(a)に示すように、絶縁材、例えば、アルカリガラス、石英ガラス、プラスチック、ポリイミド等で形成され、図9(b)に示す方位指示指標が形成された透明な矩形の基板301(図では一部のみが示されている)の平坦な一面上に下地層302と非晶質半導体薄膜303と、保護膜304とを順次、化学気相成長法やスパッタ法等の公知の成膜技術を用いて形成する。前記下地層302は、例えば、50nmの厚さのSiN膜302aと300nmの厚さのSiO2膜302bとの積層膜により形成されている。前記SiN膜302aは、ガラス等でできた基板301からの不純物が非晶質半導体薄膜303に拡散するのを防止し、また、前記SiO2膜302bは、SiN膜302aからの窒素が非晶質半導体薄膜303に拡散するのを防止する。前記非晶質半導体薄膜303は、例えば、厚さが約50nmないし200nmであり、Si,Ge,SiGeのような半導体、この実施の形態ではSiで形成されている。前記保護膜304は、図10を参照して説明した保護膜104と同じである。
【0084】
次に、前記非晶質半導体薄膜303の表面に、保護膜304を介して、第1のレーザ光照射として、位相シフタ(例えば、図14(a)に示す位相シフタ141)により光変調された第1のレーザ光105を、後で詳述するように、各々が照射された領域305(以下に照射領域と称する)と照射されない領域306(以下に非照射領域と称する)とが隣り合わせになった多数のユニット領域を形成するように選択的に照射する(図16(b)は、理解を容易にするために、1つの照射領域と1つの非照射領域とからなる1つのユニット領域のみを示す)。次に、基板301を位相シフタの溝のピッチの約1/2だけ横方向にシフトさせて、第2のレーザ光108により、第2のレーザ照射を行う。このような第1並びに第2のレーザ照射により、照射領域305は、アニール処理されて溶融し、非晶質もしくは多結晶半導体薄膜か単結晶薄膜に変換される。即ち、照射領域305は、少なくとも結晶成長方向の面方位は(001)面を有し,かつ四角形状の結晶粒により形成される。照射領域306の非晶質半導体はそのままの状態に維持される。例えば、液晶表示装置の製造工程において、照射領域305は、早いスイッチング特性が要求される駆動回路用TFTを形成するための領域である。非照射領域306は、高い耐電圧が要求される画素用TFTを形成するための領域である。次に、エッチングにより、図16(c)に示すように、前記保護膜304を除去して、半導体薄膜を露出させる。
【0085】
そして、フォトリソグラフイ技術を用いて、照射領域305と非照射領域306とを選択的にエッチングして2つの第1の島状領域305aと1つの第2の島状領域306aとを形成する。これら島状領域305a,306a上を含む基板上、(正確には、下地層302上)に、SiO2からなり、厚さが約20nmないし300nmのゲート絶縁膜307を上記と同様の成膜技術を用いて形成する。このゲート絶縁膜307の、前記島状領域305a,305bの中央部と対向する部分の上に夫々ゲート電極308を形成する。これらゲート電極308は、シリサイドやMoWの層をパターンニングすることにより形成され得る。
【0086】
次に、図16(d)に示するように、前記ゲート電極308をマスクとして、不純物イオン309を島状領域305a,306aの中に注入し、間にチャネル領域を挟んで、ソース領域とドレイン領域とを形成する。このときに、チャネル領域内で電流の流れる方向の断面が前記(001)面となるようにソース領域とドレイン領域との位置を設定する。この設定は、基板に形成された方位指示指標に基づいて容易になされる。規流れる電流が(001)前記不純物イオンは、NチャネルMOSトランジスタを形成するのであれば、N型の不純物、例えばリンであり、PチャネルMOSトランジスタを形成するのであれば、P型の不純物、例えばホウ素である。この結果の装置を窒素雰囲気でアニール(450℃で、1時間)して、注入された不純物を活性化する。
【0087】
次に、ゲート電極308上も含むゲート絶縁膜307の上に、例えば、SiO2からなる層間絶縁膜330を形成する。この層間絶縁膜130並びにゲート絶縁膜307の、前記島状領域305a,306aの不純物がドープされた領域(ソース領域並びにドレイン領域)上の部分を選択エッチングにより除去してコンタクト孔を形成する。
【0088】
次に、図16(e)に示するように、前記ゲート絶縁膜307の上に、コンタクト孔を介して前記ソース領域並びにドレイン領域と電気的に接続されたソース電極311a並びにドレイン電極311bを形成して、薄膜半導体装置を完成させる。
【0089】
第10の実施の形態
図17(a)並びに(b)は、上記薄膜半導体装置を使用して製造された液晶表示装置の一例を示す。
【0090】
液晶表示装置400は、前後1対の透明基体(基層)421,422、液晶層423、画素電極424、走査配線425、信号配線426、対向電極427、及びTFT430等を備えている。
【0091】
1対の透明基体421,422としては、例えば1対のガラス板を用いることができる。これら透明基体421,422は、枠状のシール材を介して接合されている。液晶層423は、1対の透明基体421,422の間のシール材により囲まれた領域に設けられている。
【0092】
前記1対の透明基体421,422のうちの一方の透明基体、例えば後側の透明基体422の内面には、行方向および列方向にマトリックス状に設けられた複数の画素電極424と、複数の画素電極424と夫々電気的に接続された複数のTFT430(前に詳しく説明した本発明に係わる半導体装置)と、複数のTFT430と電気的に接続された走査配線425及び信号配線426とが設けられている。
【0093】
前記走査配線425は、画素電極424の行方向に夫々沿わせて設けられている。これら走査配線425の一端は、後側の透明基体422の一側縁部に設けられた複数の走査配線端子(図示せず)に夫々接続されている。複数の走査配線端子は夫々走査線駆動回路41に接続されている。
【0094】
前記信号配線426は、画素電極424の列方向に夫々沿わせて設けられている。これら信号配線426の一端は、後側の透明基体422の一端縁部に設けられた複数の信号配線426の端子(図示せず)に夫々接続されている。複数の信号配線426端子は夫々信号線駆動回路442に接続されている。
【0095】
前記走査線駆動回路741および信号線駆動回路442は、夫々液晶コントローラ443に接続されている。液晶コントローラ443は、例えば外部から供給される画像信号及び同期信号を受け取り、画素映像信号Vpix、垂直祖歌制御信号YCT、及び水平走査制御信号XCTを発生する。
【0096】
他方の透明基体である前側の透明基体421の内面には、複数の画素電極424に対向する一枚膜状の透明な対向電極427が設けられている。前側の透明基体421の内面には、複数の画素電極424と対向電極427とが互いに対向する複数の画素部に対応させてカラーフィルタを設けるとともに、前記画素部の間の領域に対応させて遮光膜を設けてもよい。
【0097】
1対の透明基体421,422の外側には、図示しない偏光板が設けられている。また、透過型の液晶表示装置400では、後側の透明基体422の後側に図示しない面光源が設けられている。なお、液晶表示装置400は、反射型或いは半透過反射型であってもよい。
【0098】
以上説明した実施の形態においては、半導体装置としてTFTについて説明したが、半導体薄膜を基礎とする他の半導体素子、例えば、ダイオードについても本発明は適用可能である。
【0099】
半導体素子を使用する表示装置として液晶表示装置について説明したが、これに限定されることはなく、例えば、有機EL表示装置にも適用できる。
【0100】
また、均一な光強度分布を有する入射レーザ光を最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光として射出する光学変調素子として、光の回折、干渉を利用した位相シフタを実施の形態では説明したが、例えば、光の反射並びに/もしくは吸収を利用して上記機能を奏させる他の形式の光学変調素子を使用することもできる。このような光学変調素子は、例えば、図14に示す位相シフタ(141,142)で、基板に溝を形成する代わりに、溝に対応する個所に吸収膜もしくは反射膜を設けることにより形成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の技術であるゾーンメルティング法を説明するための図である。
【図2】従来の技術であるエキシマレーザ結晶化法を説明するための図である。
【図3】従来の技術であるSLS方式を説明するための図である。
【図4】従来の技術である位相変調エキシマレーザ結晶化法を説明するための図である。
【図5】本発明の基本となる技術を説明するためのもので、(a)は、使用したレーザ光の光強度分布を示す図、(b)は、結晶化された薄膜の結晶粒の表面形態と個々の結晶粒の結晶学的方位を走査電子顕微鏡(SEM)法と電子後方散乱(EBSP)法を用いて測定した結果を示す図、そして、(c)は、(b)に示す結晶粒を夫々図式化して示す図である。
【図6】本発明の基本となる技術を説明するためのもので、(a)は、第1の位相変調エキシマレーザ照射による結晶粒を概略的に示す上面図、(b)は、第2の位相変調エキシマレーザ照射後の結晶粒を概略的に示す上面図、そして、(c)は、(b)に示す結晶粒の面方位を概略的に示す図である。
【図7】(a)は、第1のレーザ照射におけるレーザ強度極大領域が極小領域になるように第2のレーザ照射を行う状態の走査電子顕微鏡写真を示す図、(b)は、第2のレーザ照射後の結晶化薄膜表面の走査電子顕微鏡写真を示す図である。
【図8】本発明の基本となる技術を説明するためのもので、(a)は、第1並びに第2の位相変調エキシマレーザ照射を概略的に示す斜視図、(b)は、第2の位相変調エキシマレーザ照射後の2次元に位置制御された結晶粒を示す図である。
【図9】(a)は、方位表示指標が形成された円形の基板の3つの例を示す平面図であり、(b)は、方位表示指標が形成された矩形の基板の3つの例を示す平面図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態の方法を工程ごとに分けて説明するための図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態の方法を工程ごとに分けて説明するための図である。
【図12】(a)ないし(c)は、本発明の第3ないし第6の実施の形態の半導体薄膜の結晶化方法並びに結晶化装置を夫々説明するための概略図である。
【図13】(a)並びに(b)は、本発明の第7並びに第8の実施の形態の半導体薄膜の結晶化方法並びに結晶化装置を夫々説明するための概略図である。
【図14】(a)は、アニール用の位相シフタを示す斜視図であり、(b)は、位置決め用の位相シフタを示す斜視図であり、また、(c)と(d)とは、アニール用の位相シフタと位置決め用の位相シフタとが一体化された夫々異なる構成を示す斜視図である。
【図15】アニール用の位相シフタと位置決め用の位相シフタとが同一基板に形成されている構成を説明するための平面図である。
【図16】本発明の第9の実施の形態に係わる半導体装置並びにその製造方法を工程に従って説明するための図である。
【図17】本発明の第10の実施の形態に係わる液晶表示装置を説明するための図である。
【符号の説明】
52…小粒径結晶粒,53…短冊形状結晶粒,54…Δ形状結晶粒、81…レーザ光強度分布、82…結晶成長開始点、103…半導体薄膜、105…第1のレーザ照射用レーザ光、106,106a…主勾配方向、107…結晶化され多結晶半導体薄膜、108…第2のレーザ照射用レーザ光、141、142…位相シフタ。
Claims (24)
- 基板と、この基板の一面側に配設された半導体薄膜とを具備し、この半導体薄膜は、一面側から見て表面形状がほぼ矩形を有している結晶粒により形成されている結晶化領域を有し、この結晶化領域は、これの一面と直交する断面の結晶方位が(001)面であることを特徴とする半導体装置。
- 前記結晶化領域は、半導体薄膜の全体に渡って形成されていることを特徴とする請求項1の半導体装置。
- 前記結晶化領域は、互いに分離した複数の島状領域により形成されていることを特徴とする請求項1の半導体膜装置。
- 半導体装置を動作させる電流の少なくとも一部が、前記結晶化領内での電流の流れる方向の断面を前記(001)面となるように規定したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1の半導体装置。
- 基板を準備する工程と、
この基板の一面側に非晶質もしくは多結晶の半導体薄膜を形成する工程と、
この半導体薄膜の結晶化領域に、光学変調素子で光変調されて極小光強度線を有する光強度分布のレーザ光を照射して前記結晶化領域に結晶核が前記極小光強度線と対応し、結晶成長方向の面方位が(100)面で、一面側から見てΔ形状の結晶粒を形成する第1のレーザ照射工程と、
前記結晶化領域に、光学変調素子で光変調されて極小光強度線を有する光強度分布のレーザ光を、これの極小光強度線が前記Δ形状の結晶粒の底辺領域とほぼ対応させて、照射して、この底辺領域を結晶核にして前記結晶化領域に結晶成長方向の面方位が(100)面で、一面側から見て表面形状がほぼ矩形を有している結晶粒を成長させることにより、前記結晶化領域を単結晶にする第2のレーザ照射工程とを具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 基板を準備する工程と、
この基板の一面側に非晶質もしくは多結晶の半導体薄膜を形成する工程と、
この半導体薄膜の結晶化領域に、光学変調素子で光変調されて最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を照射して前記結晶化領域に結晶核が前記最小光強度点と対応し、結晶成長方向の面方位が(100)面で、一面側から見てΔ形状の結晶粒を形成する第1のレーザ照射工程と、
前記結晶化領域に、光学変調素子で光変調されて最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を、これの最小光強度点が前記Δ形状の結晶粒の底辺領域とほぼ対応させて、照射して、この底辺領域を結晶核にして前記結晶化領域に結晶成長方向の面方位が(100)面で、一面側から見て表面形状がほぼ矩形を有している結晶粒を成長させることにより、前記結晶化領域を単結晶にする第2のレーザ照射工程とを具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - さらに、前記単結晶の結晶化領域に、ソース領域とドレイン領域とを、この間のチャネル領域内での電流の流れる方向の断面が前記(001)面となるように形成する工程を具備することを特徴とする請求項5もしくは6の半導体装置の製造方法。
- 非単結晶性の半導体薄膜に、最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を一面側から照射して、結晶核が前記最小光強度点と対応した結晶粒を横方向に成長させて形成する第1のレーザ照射工程と、
前記半導体薄膜に、極小光強度線もしくは最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を、これの極小光強度線もしくは最小光強度点が前記結晶粒の成長端部とほぼ対応させて、照射して、この成長端部を結晶核にして前記半導体薄膜に結晶粒を成長させることにより、前記半導体薄膜を結晶化する第2のレーザ照射工程とを具備することを特徴とする半導体薄膜の結晶化方法。 - 前記第1のレーザ照射工程は、前記結晶粒の成長方向の面方位が所定の面で、他の結晶粒よりも成長の早い結晶粒を形成する工程を有し、
前記第2のレーザ照射工程は、前記極小光強度線もしくは最小光強度点が前記成長の早い結晶粒の成長端部にほぼ対応させて、照射して、この成長端部を結晶核にして前記半導体薄膜に結晶成長方向の面方位が前記所定の面である結晶粒を成長させる工程を有することを特徴とする請求項8の結晶化方法。 - 前記第1のレーザ照射工程は、前記結晶粒の成長方向の面方位が(100)面で、一面側から見てΔ形状の結晶粒を形成する工程を有し、
前記第2のレーザ照射工程は、前記極小光強度線もしくは最小光強度点が前記Δ形状の結晶粒の底辺領域にほぼ対応させて、照射して、この底辺領域を結晶核にして前記半導体薄膜に結晶成長方向の面方位が(100)面で、一面側から見て表面形状がほぼ矩形を有している結晶粒を成長させる工程を有することを特徴とする請求項8の結晶化方法。 - 前記第1のレーザ照射工程と第2のレーザ照射工程とにおいて、光学変調素子により、前記極小光強度線もしくは最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を形成していることを特徴とする請求項8ないし10のいずれか1の結晶化方法。
- 前記第1のレーザ照射工程と第2のレーザ照射工程とで使用されている光学変調素子は、同じ光学変調素子であり、第1のレーザ照射工程と第2のレーザ照射工程とは、光学変調素子と、半導体薄膜とを相対的に横方向にシフトさせて行うことを特徴とする請求項11の結晶化方法。
- 前記第1のレーザ照射工程と第2のレーザ照射工程とに使用されている光学変調素子は、1つの基板に形成された、異なる光学変調素子であることを特徴とする請求項11の結晶化方法。
- 前記光学変調素子は、入射レーザ光の位相を変調することにより極小光強度線もしくは最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を射出する位相シフタを有することを特徴とする請求項11ないし13のいずれか1の結晶化方法。
- 均一な光強度分布のレーザ光を射出する射出手段と、
非単結晶の半導体薄膜を支持する支持手段と、
これら射出手段と支持手段との間に配置され、射出手段から射出されたレーザ光の位相を変調することにより極小光強度線もしくは最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を射出するための光学変調素子と、
前記射出手段と支持手段とを半導体薄膜の一面に沿って第1の位置と第2の位置との間で相対的に移動させる駆動手段とを具備し、
前記光学変調素子は、前記第1の位置で、半導体薄膜を、この半導体薄膜に結晶核が前記極小光強度線もしくは最小光強度点と対応した結晶粒を横方向に成長させて形成されるように照射し、前記第2の位置で、 半導体薄膜を、前記成長の端部を結晶核にして前記半導体薄膜に結晶粒を成長させることにより、前記半導体薄膜を結晶化するように照射することを特徴とする結晶化装置。 - 均一な光強度分布の第1並びに第2のレーザ光を互いに時間差を有して射出する射出手段と、
非単結晶の半導体薄膜を支持する支持手段と、
これら射出手段と支持手段との間に、夫々配置された第1並びに第2の光学変調素子とを具備し、
前記第1の光学変調素子は、射出手段からの第1のレーザ光を極小光強度線もしくは最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光に変調して、半導体薄膜を照射し、この半導体薄膜に結晶核が前記極小光強度線もしくは最小光強度点と対応した結晶粒を横方向に成長させて形成させ、また、
前記第2の光学変調素子は、射出手段からの第2のレーザ光を最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光に変調して、半導体薄膜を照射し、前記成長の端部を結晶核にして前記半導体薄膜に結晶粒を成長させることにより、前記半導体薄膜を結晶化することを特徴とする結晶化装置。 - 前記射出手段は、第1のレーザ光を発する第1の光源と、この光源からの第1のレーザ光の光強度分布を均一にして前記第1の光学変調素子に入射させる第1のホモジナイズ光学系と、第2のレーザ光を第1のレーザ光よりも遅れて発する第2の光源と、この光源からの第2のレーザ光の光強度分布を均一にして前記第2の光学変調素子に入射させる第2のホモジナイズ光学系とを有することを特徴とする請求項16の結晶化装置。
- 前記射出手段は、レーザ光を発する光源と、この光源からのレーザ光を第1のレーザ光と第2のレーザ光とに分岐させる分岐手段と、この分岐手段からの第1のレーザ光の光強度分布を均一にして前記第1の光学変調素子に入射させる第1のホモジナイズ光学系と、前記分岐手段からの第2のレーザ光の光強度分布を均一にして前記第2の光学変調素子に入射させる第2のホモジナイズ光学系とを有することを特徴とする請求項16の結晶化装置。
- 前記射出手段は、光源からのレーザ光のエネルギ密度を制御するためのアッテネータを有することを特徴とする請求項16ないし18のいずれか1の結晶化装置。
- 前記第1並びに第2の光学変調素子は、入射レーザ光の位相を変調することにより最小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を射出する位相シフタを有することを特徴とする請求項16ないし19のいずれか1の結晶化方法。
- 互いに離間して対面された面を有する第1並びに第2の基層と、これら対面された面間に配置された液晶と、これら対面された面に夫々配設された複数の第1並びに第2の電極と、一方の基層の前記対面された面上に形成された画素電極並びに半導体薄膜とを有し、各半導体薄膜は、一面側から見て表面形状がほぼ矩形を有している結晶粒により形成されている結晶化領域を有し、この結晶化領域は、これの一面と直交する断面の結晶方位が(001)面であることを特徴とする表示装置。
- 前記半導体薄膜は、薄膜トランジスタのソース領域と、ドレイン領域と、これら領域間のチャネル領域とを形成し、このチャネル領域内での電流の流れる方向の断面が前記(001)面となっていることを特徴とする請求項21の表示装置。
- 請求項14のいずれか1の結晶化方法に使用される位相シフタであって、基板と、この基板に形成され、同じ位相シフト部ピッチを有する1対の第1の位相シフタ領域並びに第2の位相シフト領域とを有し、これら第1のシフト領域と第2の位相シフト領域とは、互いに1/2だけ位相シフト部ピッチがずれて、基板の一面に配設されていることを特徴とする位相シフタ。
- 前記第1の位相シフト領域の位相シフトピッチとは各々位相シフト部ピッチが異なり、前記基板の一面に配設された少なくとも1対のさらなる位相シフト領域を有することを特徴とする請求項23の位相シフタ。
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