JP2005056887A - 基板材の搬送装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】第1に、基板材の搬送上のトラブルが解消されて、スムーズな搬送が実現され、第2に、もって基板材の処理が均一化,安定化され、第3に、しかもこれらが、簡単容易に自動的に実現される、基板材の搬送装置を提案する。
【解決手段】この搬送装置4は、基板の製造工程で使用される。そして、基板材Aを水平姿勢で搬送する多数の搬送ローラー6と、複数の搬送ローラー6を収納する流体槽7と、流体槽7に収納された搬送ローラー6間に配設された敷板9と、流体槽7に流体Cを供給する供給管8と、搬送ローラー6の外周面や敷板9の外表面に流体Cにて形成される緩衝膜Jと、を有している。そして基板材Aは、極薄でフレキシブル性に富んでいる。流体槽7の開口面10に臨んで、搬送ローラー6や敷板9が配設されている。緩衝膜Jは、搬送ローラー6の外周面や敷板9の外表面と、搬送される基板材Aとの間に、介在形成される。
【選択図】 図1
【解決手段】この搬送装置4は、基板の製造工程で使用される。そして、基板材Aを水平姿勢で搬送する多数の搬送ローラー6と、複数の搬送ローラー6を収納する流体槽7と、流体槽7に収納された搬送ローラー6間に配設された敷板9と、流体槽7に流体Cを供給する供給管8と、搬送ローラー6の外周面や敷板9の外表面に流体Cにて形成される緩衝膜Jと、を有している。そして基板材Aは、極薄でフレキシブル性に富んでいる。流体槽7の開口面10に臨んで、搬送ローラー6や敷板9が配設されている。緩衝膜Jは、搬送ローラー6の外周面や敷板9の外表面と、搬送される基板材Aとの間に、介在形成される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板材の搬送装置に関する。すなわち、回路用の極薄基板の製造工程において、その基板材を搬送しつつ薬液処理等する際に使用される、基板材の搬送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
《技術的背景》
電子機器の高性能化,高機能化,小型軽量化に伴い、その回路用の基板も、高精度化,ファイン化,極薄化,多様化等が進み、形成される回路の高密度化,微細化が著しい。そして、この種の基板の製造工程では、各工程において、搬送される基板材に対し各々薬液等が噴射され、もって基板材について各種の薬液処理等が行われている。
例えば、現像液,エッチング液,剥離液,洗浄液その他の薬液等が順次噴射され、もって、現像→エッチング→剥膜等の薬液処理,洗浄処理が順次実施されて、回路が形成されていた。又例えば、無電解銅メッキ液への浸漬→現像液の噴射→電解銅メッキ液への浸漬→剥離液の噴射→洗浄液の噴射等が順次行われ、もって、化学銅メッキ→現像→電気銅メッキ→剥膜→洗浄等の薬液処理,洗浄処理が順次実施されて、回路が形成されていた。
そして、このような薬液処理,洗浄処理を行う各工程の製造工程を辿ることにより、例えば、半導体部品がパッケージされたモジュール多層基板、その他各種の回路用の基板が製造されていた。
【0003】
《従来技術》
さて、このような基板の製造工程の各工程では、基板材が、それぞれの処理室に供給され、搬送装置にて搬送されつつ、薬液等が噴射されることにより、薬液処理,洗浄処理が行われていた。
図5の(1)図は、この種従来例の基板材の搬送装置の説明に供し、側面図である。
この図面にも示したように、現像工程,エッチング工程,剥膜工程、更には表面粗化工程,洗浄工程,水洗工程,乾燥工程,それぞれの投入工程,取出し工程等の各工程では、各々の処理室内において、基板材Aを搬送装置1の搬送ローラー2にて水平姿勢で搬送方向Bに搬送しつつ、その上面や下面に対し、前後左右に多数配設されたスプレーノズル3から、流体C(図示例では薬液等の液体D)が噴射されていた。そして、所定の薬液処理等が行われて、回路が形成され、基板が製造されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような従来例の搬送装置1にあっては、次の問題が指摘されていた。
《第1の問題点について》
まず第1に、基板材Aについて、湾曲,波状化,折曲,腰折れ,垂れ下がり,引掛かり,巻付き,落下,跳ね飛び等の搬送上のトラブルが発生する、という問題が指摘されていた。
すなわち、回路用の基板材Aは、前述したように極薄化,フレキシブル化が著しく、例えば、その絶縁層部分の肉厚が1.0mm〜60μm程度、最近では50μm〜10μm程度のものも出現しており、柔らかく柔軟であり腰が極めて弱い。
そして、このように極薄化,フレキシブル化が進む基板材Aは、各工程において、搬送装置1の搬送ローラー2にて搬送されつつ、スプレーノズル3から流体C特に薬液等の液体Dが噴射されると、噴射された流体Cの噴射圧や重みにて、各種の搬送上のトラブルが発生していた。
例えば、搬送ローラー2間の前後間隔Eにおいて、a.水平姿勢で搬送されていた薄板材Aが、図示したように、湾曲,波状化,折曲,腰折れ等したり、b.基板材Aの前端部や後端部が、図示したように、搬送ローラー2へ垂れ下がることが多々あった。もって、c.基板材Aが、搬送ローラー2に引掛かったり,巻付いたり、吸い付いて巻き込まれたり(特に、液体Dにて濡らされた基板材Aと、濡れていない搬送ローラー2との間では、これらが発生しやすい)d.基板材Aが、搬送ローラー2から落下したり、跳ね飛んだりする等々の事故が多発していた。
各工程で用いられる従来の搬送装置1では、基板材Aについて、このように搬送上のトラブルが発生して、不良化する事故が多発しており、歩留まりが悪かった。
【0005】
《第2の問題点について》
第2に、基板材Aについて、前述により湾曲,波状化等して形成された窪みに噴射された薬液,水洗液等の液体Dが滞留して、液溜まりとなったり、前端部や後端部が前述したように垂れ下がったり、表面しわや傷が発生し、もって薬液処理等の処理の均一性が阻害される、という問題が指摘されていた。
すなわち、回路用の基板材Aは、前述したように高精度化,ファイン化が進み、形成される回路の高密度化,微細化が著しいが、上述したように各工程において、液溜まり,垂れ下がり,表面しわ・傷が発生すると、薬液等の液体Dのスプレーの均一化が阻害され、もって外表面の場所によって、処理の遅速・過不足・バラツキが生じてしまい、薬液処理等の均一性が損なわれ処理が不安定化する。
もって、このような従来の搬送装置1によると、各工程において、上述した高精度化,ファイン化,高密度化,微細化の実現が困難化する、という問題が指摘されていた。
【0006】
《第3の問題点について》
第3に、このような搬送上のトラブルや処理の不均一化に鑑み、従来、搬送装置1の使用を断念し、人手に頼って基板材Aを処理することも行われていた。
すなわち各工程において、搬送ローラー2を使用せず、基板材Aを手作業により、1枚毎に慎重に処理室に投入,取り出すことにより、薬液処理等を行うことも、従来実施されていた。
しかしながら、これでは人手がかさみ,作業が面倒で煩わしく,非能率であり、人的コスト面に大きな問題が指摘されていた。
【0007】
《本発明について》
本発明の基板材の搬送装置は、このような実情に鑑み、上記従来例の課題を解決すべく、発明者の鋭意研究努力の結果なされたものである。
そして、搬送ローラーを敷板と共に流体槽に収納し、もって流体の緩衝膜を、搬送されるフレキシブルな基板材との間に介在形成するようにしたこと、を特徴とする。
そこで本発明は、第1に、基板材の搬送上のトラブルが解消されて、スムーズな搬送が実現され、第2に、もって基板材の処理が均一化,安定化され、第3に、しかもこれらが、簡単容易に自動的に実現される、基板材の搬送装置を提案すること、を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
《請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、次のとおりである。まず、請求項1については次のとおり。請求項1の基板材の搬送装置は、基板の製造工程で使用される。そして、該基板材を搬送する搬送ローラーと、該搬送ローラーを収納する流体槽と、該流体槽に流体を供給する供給管と、該搬送ローラーの外周面に該流体にて形成される緩衝膜と、を有してなることを特徴とする。
請求項2については次のとおり。請求項2の基板材の搬送装置は、請求項1において、該基板材は、極薄でフレキシブル性に富んでおり、該搬送ローラーは、多数のストレートローラーよりなり、該基板材を水平姿勢で搬送する。該流体槽は、開口面を備えた箱状をなし、該開口面に臨んで複数の該搬送ローラーが配設されている。該緩衝膜は、少なくとも該搬送ローラーの外周面と搬送される該基板材との間に、介在形成されること、を特徴とする。
請求項3については次のとおり。請求項3の基板材の搬送装置は、請求項2において、更に、搬送される該基板材を保持する敷板が配設されている。
そして該敷板は、該流体槽の開口面に付設され、隣接する該搬送ローラー間の前後間隔に位置しており、該搬送ローラーとの間に僅かな間隙が存すると共に、該搬送ローラーの外周頂面より僅かに引込んだ高さレベルに配されている。
該緩衝膜は、該敷板の外表面にも該流体にて形成されて、搬送される該基板材との間に介在すること、を特徴とする。
【0009】
請求項4については次のとおり。請求項4の基板材の搬送装置は、請求項3において、該搬送装置は、該基板の製造工程中の投入工程,取出し工程,又は乾燥工程等において使用される。
そして該流体は、空気よりなり、該緩衝膜は、該搬送ローラーの外周面および該敷板の外表面に吹き出された空気層として形成され、搬送される該基板材を適宜浮かすように機能すること、を特徴とする。
請求項5については次のとおり。請求項5の基板材の搬送装置は、請求項3において、該搬送装置は、該基板の製造工程中の表面粗化工程,現像工程,エッチング工程,剥膜工程,洗浄工程等の薬液処理工程又は水洗工程において使用される。
そして該流体は、薬液又は水洗液等の液体よりなり、該緩衝膜は、該搬送ローラーの外周面および該敷板の外表面に流出,付着した液層として形成され、該搬送ローラーの外周面および該敷板の外表面を均一に濡らすべく機能すること、を特徴とする。
請求項6については次のとおり。請求項6の基板材の搬送装置は、請求項5において、該搬送装置の一群の該搬送ローラー間つまり該流体槽間には、スプレーノズルが配設されている。
この該スプレーノズルは、搬送される該基板材に対向位置して、該基板材に薬液又は水洗液等の液体を噴射し、もって該基板材を薬液処理,洗浄処理する。そして該流体は、このような薬液又は水洗液等の液体を用いてなること、を特徴とする。
【0010】
請求項7については次のとおり。請求項7の基板材の搬送装置は、請求項3において、該供給管付きの流体槽は、搬送される該基板材の下側に位置する該搬送ローラーについてのみ設けられており、該緩衝膜も、下側の該搬送ローラーや敷板についてのみ形成されること、を特徴とする。
請求項8については次のとおり。請求項8の基板材の搬送装置は、請求項3において、該搬送ローラーは、上下対をなして設けられている。
そして、該供給管付きの流体槽は、搬送される該基板材の下側に位置する該搬送ローラーについてのみ設けられており、該緩衝膜は、下側の該搬送ローラーや敷板のみならず、下側の該搬送ローラーを介し上側の該搬送ローラーについても形成されること、を特徴とする。
【0011】
《作用について》
本発明は、このようになっているので、次のようになる。
▲1▼この搬送装置は、回路用基板の製造工程中、基板材の表面粗化工程,現像工程,エッチング工程,剥膜工程,洗浄工程等の薬液処理工程,水洗工程,乾燥工程、等々において使用される。
この基板材は各工程において、搬送装置の多数の搬送ローラーにて搬送されつつ、スプレーノズル等から流体が噴射されて、薬液処理,洗浄処理,乾燥処理される。
▲2▼そして搬送装置は、搬送ローラー,流体槽,供給管,敷板を有している。流体槽は、開口面に臨んで複数の搬送ローラーが収納されており、供給管は、流体を流体槽に供給し、敷板は、流体槽の搬送ローラー間に、間隙を存しつつ僅かに引込んだ高さレベルにて配設されている。
【0012】
▲3▼さて各工程において、この搬送装置では、流体が、供給管から流体槽に供給されて、搬送ローラーの外周面や敷板の外表面に伝達され、もって緩衝膜が形成されて、基板材との間に介在する。
▲4▼すなわち、流体が空気の場合、緩衝膜は、吹き出された空気層として形成され、搬送される基板材を適宜浮かすように機能する。
流体が液体の場合、緩衝膜は、流出,付着する液層として形成され、搬送ローラーの外周面や敷板の外表面を、均一に濡らすべく機能する。この場合、一群の搬送ローラー間つまり流体槽間には、スプレーノズルが配設されており、基板材に薬液,水洗液等の液体を噴射して、薬液処理,洗浄処理するが、緩衝膜を形成する前記流体としては、このようなスプレーノズルから噴射される液体と、同一液体が用いられる。
▲5▼なお、この搬送装置については、次のパターンが考えられる。a.流体槽が、基板材の上側と下側の搬送ローラーに共に設けられており、緩衝膜も、上側と下側の搬送ローラーや敷板に形成されるパターン。b.流体槽が、基板材の下側の搬送ローラーのみに設けられており、緩衝膜も、下側の搬送ローラーや敷板のみに形成されるパターン。c.搬送ローラーが、上下対をなしており、流体槽は、基板材の下側の搬送ローラーのみに設けられており、緩衝膜が、下側の搬送ローラーや敷板のみならず、下側の搬送ローラーを介し上側の搬送ローラーや敷板にも形成されるパターン。
【0013】
▲6▼さて、この搬送装置を用いると、各工程において、基板材は水平姿勢を維持してスムーズに搬送される。基板材は、極薄でフレキシブル性に富んでいるが、搬送ローラーの外周面や敷板の外表面に形成されて介在する緩衝膜にて、緩衝されると共に、更に、搬送ローラー間の前後間隔に配設された敷板にて、保持,ガイドされる。
緩衝膜は、流体が空気の場合は、吹き出された空気層として形成されて、基板材を適宜浮かすことにより、基板材の付着等を防止する。又、流体が液体の場合は、搬送ローラーの外周面や敷板の外表面に流出,付着した液層として形成され、均一に濡らすことにより基板材の付着等を防止する。
▲7▼この搬送装置によると、このような緩衝膜や敷板の存在により、基板材がスムーズに搬送される。つまり、薬液処理,水洗処理,乾燥処理用に噴射された流体の噴射圧や重みにて、基板材について、湾曲,波状化,折曲,腰折れ,垂れ下がり,巻き付き,吸い付き,巻き込まれ,落下,跳ね飛び、等々が発生することは防止される。
▲8▼このようにして、基板材はスムーズに搬送され、液溜まり、垂れ下がり、表面しわや傷、等々は発生しない。従って基板材は、薬液や水洗液等の流体が均一にスプレーされ、もって全面にわたり遅速・過不足・バラツキなく、回路形成用に薬液処理,洗浄処理,乾燥処理される。
▲9▼しかも、この搬送装置は、搬送ローラーに敷板や供給管付の流体槽を付加した簡単な構成よりなり、上述したところが容易に実現される。各工程では、基板材が、搬送装置にて自動的に搬送されつつ、薬液処理,その他処理される。
【0014】
【発明の実施の形態】
《図面について》
以下、本発明の基板材の搬送装置を、図面に示す発明の実施の形態に基づいて、詳細に説明する。図1,図2,図3,図4等は、本発明の実施の形態の説明に供する。
そして図1は、その第1例の側断面図である。図2は、第1例の正断面図である。図3の(1)図は、第2例の要部の側断面図、(2)図は、第3例の要部の側断面図である。図4の(1)図は、第4例の要部の側断面図、(2)図は、第4例の要部の平面図である。なお、図5の(2)図は、基板(基板材)の模式化した平面図である。
【0015】
《基板Fについて》
この基板材Aの搬送装置4は、回路G用の基板Fの製造工程で、使用される。そこでまず、図5の(2)図を参照しつつ、基板Fの概略を説明しておく。
回路G用の基板Fは、各種電子機器用に広く用いられており、片面基板,両面基板,多層基板(含、最近のビルドアップ法のもの)等、各種のものがある。
そして、このような基板Fの一環として、IC,LSI素子,受動部品,駆動部品,コンデンサー等々の半導体部品が、回路Gと一体的に組み込まれたモジュール基板(半導体一体型のパッケージ基板)や、ガラスベースに回路Gと共に半導体部品が埋め込まれたガラス基板、つまりプラズマディスプレイPDP用のガラス基板や、液晶LCD用のガラス基板や、CSP,PBGA、等々も出現している。勿論、本明細書において基板Fとは、従来よりのプリント配線基板の外、このようなものも包含する。
【0016】
そして、このような回路G用の基板Fは、例えば携帯電話,カメラ,時計等の電子機器の高性能化,高機能化,小型軽量化に伴い、高精度化,ファイン化,そして極薄化,フレキシブル化,更には多層化,多様化等が進み、外表面つまり上面・表面や下面・裏面の一方又は双方に形成される回路G、更には内部に形成される回路G等の高密度化,微細化が著しい。
このような基板F例えばプリント配線基板は、縦横が、例えば500mm×500mm程度よりなる。その肉厚は、絶縁層(コア材)部分の肉厚が、従来の(ガラスクロス入りのリジット板)の1.6mmから、1.0mm〜60μm程度、昨今では(ポリイミド樹脂を用いたフレキシブル基板の)50μm〜10μm前後まで、極薄化されている。回路G部分(銅箔部分)の肉厚も、75μm〜35μm、昨今では16μm〜10μm前後まで、極薄化されている。多層基板の場合でも、全体の肉厚が1.0mm〜0.4mm程度まで、極薄化されつつある。回路G幅や回路G間スペースも、35μm〜25μm程度、昨今では10μm前後と、微細化傾向にある。
基板Fは、概略このようになっている。
【0017】
《基板Fの製造方法の例について》
次に、この基板材Aの搬送装置4が使用される基板Fの製造方法について、図5の(2)図を参照しつつ説明しておく。
まず、第1例の製造方法について述べる。第1例の製造方法において、基板F例えばプリント配線基板は、次のステップを辿って製造される。
まず、ガラスクロス製,セラミックス製,又はフィルム状樹脂製の絶縁層(コア材)の外表面に、銅箔が熱プレス等により張り付けられた、銅張り積層板たる基板材Aが準備される。
そして、このように準備された基板材Aについて、張り付けられた銅箔表面を粗化する表面粗化処理(ソフトエッチング)が行われる。この表面粗化処理は、従来は機械研磨によって行われていたが、最近は薬液の噴射によって行われることが多くなっている。
それから、スルホール用の孔あけ加工が、レーザ等を使用して実施される。スルホールは、基板材A(基板F)の両外表面間の貫通孔よりなり、1枚について、極小径のものが数百個以上形成され、その径が0.5mm〜0.2mm程度以下のものが多くなっている。そしてスルホールは、両外表面の回路G(銅箔)間や多層基板の回路G(銅箔)間の層間導通接続用や、回路Gに実装される部品の取り付け用として使用される。
なお最近は、孔あけ加工を要するスルホールに代えて、小突起状,略円錐台状の接点たるバンプを形成し、もって多層基板等について、このバンプにより、スルホールと同様の機能を実現する技術も開発されている。なおバンプは、回路Gに準じ、現像工程,エッチング工程,剥離工程等を辿って製造される。
【0018】
さてしかる後、基板材Aの銅箔の外表面(上面・表面,下面・裏面の一方又は双方)に、感光性レジストが膜状に塗布又は張り付けられる。それから、回路Gのネガフィルムである回路写真を当てて、露光することにより、外表面の感光性レジストは、露光されて硬化した回路G形成部分を残し、その他の不要部分が、薬液たる現像液の噴射により溶解除去される。
しかる後、このような基板材Aの銅箔は、感光性レジストが硬化して被覆された回路G形成部分を残し、現像により感光性レジストが溶解除去されて露出した不要部分が、薬液たるエッチング液(塩化第二銅,塩化第二鉄,その他の腐食液)の噴射により、溶解除去・エッチングされる。
それから、残っていた回路G形成部分の感光性レジストが、薬液たる剥離液の噴射により剥膜除去され、残った回路G形成部分の銅箔にて、基板材Aの外表面(上面・表面,下面・裏面の一方又は双方)に、所定の回路Gが形成され、もって、基板Fつまりプリント配線基板が製造される。
なお、上述した現像工程,エッチング工程,剥膜工程等には、それぞれの後処理用に、又は剥膜工程の後にまとめての後処理用に、水洗液や、中和剤液その他の薬液たる洗浄液を噴射する洗浄工程(水洗液使用の場合は水洗工程)が付設されており、もって、基板材Aの外表面に付着していた現像液,エッチング液,剥離液等の薬液が、洗浄,除去される。更に、各工程の前処理や後処理として、基板材Aの表面の汚れ,シミ,微細ゴミ,酸化物等を取り除くため、薬液や水洗液を用いた洗浄工程(水洗工程)が、適宜実施される。
これらの洗浄工程は、回路Gの断線,ショート,剥離等の防止にとって、重要な役目を果たす。なお、これらの洗浄工程の後には乾燥工程が付設されており、この乾燥工程では、空気の噴射により、基板材Aに残留していた水洗液,その他の洗浄液を除去する。
第1例の製造方法は、このようなウェットプロセス法よりなる。第1例の製造方法は、このようになっている。
【0019】
次に、第2例の製造方法について述べる。基板F例えばプリント配線基板の製造方法としては、上述した第1例のウェットプロセス法が代表的であるが、第2例のセミアディティブ法も多用されつつある。
このセミアディティブ法では、まず、予めスルホールが形成された基板材Aの外表面(上面・表面,下面・裏面の一方又は双方)に、無電解銅メッキが施される。→それから、この無電解銅メッキに、感光性レジストを膜状に塗布又は張り付けた後、→回路Gフィルムである回路写真を当て、露光する。→そして感光性レジストは、露光されて硬化した部分を残し、他の部分つまり回路G形成部分が、薬液たる現像液の噴射により溶解除去される。
しかる後、→回路G形成部分、つまり現像により感光性レジストが溶解除去されたメッキパターン部分、つまり無電解銅メッキが露出した部分に対し、電解銅メッキが施されて、→回路Gが形成される。
なお、残っていた硬化した回路G形成部分以外の感光性レジストは、薬液たる剥離液の噴射により剥膜除去され、→露出した無電解銅メッキが、薬液たるエッチング液の噴射によりクイックエッチングされて、融解除去される。→なお、各工程の後処理用更には前処理用として、前述した所に準じ、洗浄工程や乾燥工程が設けられる。
第2例のセミアディティブ法では、このようにして、電解銅メッキにて回路Gが形成され、もって、基板Fつまりプリント配線基板が製造される。第2例の製造方法は、このようになっている。ところで、プリント配線基板その他の回路G用の基板Fの製造方法は、最近ますます多様化しつつあり、上述した第1例,第2例以外にも、各種方法が開発,使用されている。本発明は勿論、このような各種の基板Fの製造方法にも、適用される。
基板Fの製造方法は、このようになっている。
【0020】
《搬送装置4の概要について》
以下、本発明の基板材Aの搬送装置4について、図1,図2,図3,図4等を参照しつつ、説明する。
この搬送装置4は、上述した基板Fの製造方法,製造工程で使用される。すなわち、この基板材Aの搬送装置4は、基板材Aを搬送しつつ薬液処理,その他の処理をする、各工程の処理室5において使用される。
前述した表面粗化工程,現像工程,エッチング工程,剥離工程,洗浄工程等の薬液処理工程、薬液によらず水洗液にて洗浄する水洗工程、乾燥工程、更には、これらの各工程の投入工程や取出し工程、等々の処理室5内において、基板材Aは図1に示したように、搬送装置4にて搬送されつつ、スプレーノズル3から薬液,水洗液等の液体Dよりなる流体Cが噴射され、又はエアーノズルから空気Hよりなる流体Cが噴射され、もって所定のごとく薬液処理,洗浄処理,乾燥処理される。
そして搬送装置4は、搬送ローラー6,流体槽7,供給管8,敷板9,緩衝膜J等を、備えている。
すなわち、この基板材Aのコンベアである搬送装置4は、上述した基板Fの製造工程の各工程で使用され、基板材Aを搬送する搬送ローラー6と、搬送ローラー6を収納する流体槽7と、流体槽7に流体Cを供給する供給管8と、基板材Aを搬送する搬送ローラー6の外周面に流体Cにて形成される緩衝膜Jと、を有してなる。
搬送装置4は、概略このようになっている。
【0021】
《搬送ローラー6について》
まず、搬送ローラー6について述べる。この搬送装置4の搬送ローラー6は、多数のストレートローラーよりなり、基板材Aを水平姿勢で搬送する。
このような搬送ローラー6について、更に詳述する。この搬送ローラー6は、軸を左右の幅方向W(図2,図4の(2)図を参照)に平行かつ水平に向けると共に、前後の搬送方向Bに沿って多数列設された、長円柱状のストレートローラーよりなる。
そして、前工程から後工程へと連続的に配設されており、駆動機構(図示せず)にて回転駆動されることにより、供給された基板材Aを、上流側から下流側へと、搬送方向Bに沿って水平姿勢で搬送する。
【0022】
そして図1,図2の例では、このような搬送装置4の搬送ローラー6が、図1中左側の投入工程の処理室5では、基板材Aの下側に列設されており、その投入端部ゾーンでは、上側にも配設されている。つまり、投入工程の下流側の投入端部ゾーンでは、例えば2本ずつが上下で対をなして配設され、基板材Aを挟み込みつつ搬送する。(なお図示例では、投入工程の処理室5の搬送ローラー6が示されているが、図示しない取出し工程や乾燥工程の処理室5の搬送ローラー6についても、これに準じる。)
図1,図2の例において、図1中央の薬液処理工程(例えばエッチング工程や洗浄工程)の処理室5では、搬送装置4の搬送ローラー6が、例えば3本ずつ、基板材Aの上側と下側に、搬送方向Bに沿って交互に配設されている。
図3の(1)図の例の処理室5では、搬送ローラー6が、基板材Aの下側に4本ずつ配設されている。図3の(2)図の例の処理室5では、搬送ローラー6が上下対をなして配設されている。図4の例の処理室5でも、搬送ローラー6が、2本ずつ上下で対をなして配設されている。
搬送ローラー6は、このようになっている。
【0023】
《流体槽7について》
次に、流体槽7について述べる。この搬送装置4の流体槽7は、開口面10を備えた箱状をなしており、この開口面10に上部が臨んで、複数の搬送ローラー6が配設,収納されている。
このような流体槽7について、更に詳述する。この流体槽7は箱状をなし、上面又は下面のいずれかに開放された開口面10を備えており、この開口面10に臨んで、2本以上の搬送ローラー6が配設,収納されている。開口面10は、流体槽7の基板材A側の面に形成される。
そして流体槽7は、流体Cでほぼ満たされており、搬送ローラー6は、基板材Aを接触搬送する外周頂面(外周上面又は外周下面)を除き、流体槽7の流体Cに浸漬されている。つまり搬送ローラー6は、外周頂面が、流体槽7の開口面10から外部に露出,突出している。
【0024】
そして図1,図2の例では、このような搬送装置4の流体槽7が、図1中左側の投入工程の処理室5では、基板材Aの下側に例えば3個配設されており、それぞれ、上面に開口面10が形成されると共に、この上面の開口面10に臨んで、搬送ローラー6が例えば3本ずつ配設,収納されている。(なお図示例では、投入工程の処理室5の流体槽7が示されているが、取出し工程や乾燥工程の処理室5の流体槽7についても、これに準じる。
図1,図2の例において、図1中央の薬液処理工程(例えばエッチング工程や洗浄工程)の処理室5では、このような搬送装置4の流体槽7が、基板材Aの上側と下側に搬送方向Bに沿って交互に配設されている。
そして上側の流体槽7は下面に開口面10が形成され、この下面の開口面10に臨んで、搬送ローラー6が例えば3本ずつ配設,収納されている。又、下側の流体槽7は、上面に開口面10が形成され、この上面の開口面10に臨んで、搬送ローラー6が例えば3本ずつ配設,収納されている。
そしてスプレーノズル3は、流体槽7が基板材Aの上側に配設される場合は、下側に対向位置し、流体槽7が基板材Aの下側に配設される場合は、上側に対向位置して、それぞれ設けられている。
【0025】
図3の(1)図の例の処理室5では、流体槽7の基板材Aの下側に配設され、その上面に開口面10が形成されると共に、この上面の開口面10に臨んで、搬送ローラー6が4本ずつ配設,収納されている。
図3の(2)図の例の処理室5では、流体槽7が基板材Aの下側に配設され、その上面に開口面10が形成されると共に、この上面の開口面10に臨んで搬送ローラー6が少なくとも2本配設,収納されている。なおこの例において、基板材Aの上側については、流体槽7は配設されておらず、上側の搬送ローラー6は雰囲気中に配設されている。
図4の例は、上述した図3の(2)図の例に準じるが、流体槽7には、搬送ローラー6が2本配設,収納されている。又、スプレーノズル3が、上流側では基板材Aの上側に、下流側では基板材Aの下側に、それぞれ設けられている。
流体槽7は、このようになっている。
【0026】
《供給管8について》
次に、供給管8について述べる。この搬送装置4の供給管8は、流体槽7の開口面10とは反対面に接続されており、例えば加圧された流体Cを、流体槽7内に供給する。
このような供給管8について更に詳述する。まず供給管8は、流体槽7について、開口面10とは反対面に連結,接続される。すなわち供給管8は、開口面10が上面に形成される場合は、下面に、開口面10が下面に形成される場合は、上面に、それぞれ連結,接続される。
【0027】
そして搬送装置4が、投入工程(図1中左側を参照),取出し工程,乾燥工程等の処理室5において使用される場合、流体槽7に接続される供給管8は、配管11を介しブロワ12に接続されており、加圧された空気H(流体C)を流体槽7に供給する。もって流体槽7内は、空気溜まりボックスとなる。
なお、ブロワ12に代えエアコンプレッサー,エアーポンプ,ファン,その他の加圧エアー源が用いられることもある。又、乾燥工程にあっては、流体槽7自体が処理室5として使用されることもあり、この場合、供給管8末端がエアーノズルとなる。
次に搬送装置4が、薬液処理工程や水洗工程(例えばエッチング工程や洗浄工程)(図1中央,図2,図3,図4等を参照)の処理室5において使用される場合、流体槽7に接続される供給管8は、配管13やポンプ14を介し、液槽15に接続されており、加圧された薬液や水洗液等の液体D(流体C)を、流体槽7に供給する。もって流体槽7内は、液溜まりボックスとなる。
そしてこの場合、薬液処理や洗浄処理用にスプレーノズル3に供給される配管13を利用,共用して、流体槽7に同一液体Dが供給される。
供給管8は、このようになっている。
【0028】
《敷板9について》
次に、敷板9について述べる。この搬送装置4の敷板9は、流体槽7の開口面10に付設され、隣接する搬送ローラー6間の前後間隔Eに位置している。
そして敷板9は、流体槽7に収納された前後の搬送ローラー6との間に、僅かな間隔Kが存すると共に、収納された搬送ローラー6の外周頂面より、僅かに引込んだ高さレベルに配されており、搬送される基板材Aを保持すべく機能する。
【0029】
このような敷板9ついて、図1,図3,図4等を参照しつつ、更に詳述する。まず敷板9は、流体槽7の開口面10に臨んで、架設されている。つまり敷板9は、流体槽7について、搬送方向Bと直交する左右の幅方向Wの細板材として、流体槽7に一体設され、もって開口面10に掛け渡されている。
そして敷板9は、前後で隣接位置する搬送ローラー6間の前後間隔Eを、ほぼ閉鎖するように位置している。つまり、前後の搬送ローラー6と、その間の敷板9との間には、それぞれ僅かな間隔Kが存するだけの位置関係となっている。
又、この敷板9の高さ位置は、搬送ローラー6の外周頂面より、僅かに上下に引込んだ高さレベルとされている。つまり敷板9は、基板材Aを接触搬送する搬送ローラー6の外周頂面(外周上面又は外周下面)より、例えば基板材Aの肉厚分程度だけ上下に引込んだ位置に、設けられている。
【0030】
なお第1に、この敷板9は、図1,図2の例では、基板材Aの上下の流体槽7について、設けられている。図3の(1)図の例では、基板材Aの下側の流体槽7に、敷板9が設けられている。図3の(2)図や図4の例では、基板材Aの下側の流体槽7に、敷板9が設けられている。
更に、図3の(2)図の例では、基板材Aの上側には流体槽7が配設されていないが、敷板9が、下側の流体槽7その他を利用しつつ、上側の搬送ローラー6間の前後間隔Eにも設けられている。
なお第2に、図1,図2の例のように、上側の流体槽7に設けられた敷板9は、流体槽7内の流体Cを内部に塞ぎ止める機能も発揮する。すなわち、上側の流体槽7内の流体C特に液体Dは、下部へ流出しようとするが、搬送ローラー6とこの敷板9にて大部分が塞ぎ止められており、僅かに、搬送ローラー6との間隙Kを介してのみ下部へと流出する。
【0031】
なお第3に、図3の(1)図,図4に示したように、流体槽7の前後縁部16も、敷板9に準じ、間隙Kを存しつつ搬送ローラー6に隣接配置されている。この前後縁部16について、その高さレベルや機能については、敷板9について前述したところに準じる。
なお第4に、このような敷板9を設けない事例も可能である。すなわち図示例によらず、搬送ローラー6間の前後間隔Eを、より接近させたものとすること、例えば搬送ローラー6間の前後間隔Eを、前後した間隙K程度に設定することも、考えられる。そしてこの場合は、搬送ローラー6が前述した敷板9の機能を代行することになる。
敷板9は、このようになっている。
【0032】
《緩衝膜Jについて》
次に、この搬送装置4の緩衝膜Jについて、図1,図2,特に図3,図4等を参照して述べる。緩衝膜Jは、搬送ローラー6の外周面や敷板9の外表面について、流体Cにより形成される。
そして緩衝膜Jは、搬送ローラー6の外周面や敷板9の外表面と、搬送される基板材Aとの間に、介在位置する。
【0033】
このような緩衝膜Jについて、更に詳述する。まず、流体槽7は供給管8から供給された流体Cで満たされており、搬送ローラー6は、このような流体槽7に収納,配設されている。そこで、搬送ローラー6の外周面、特に、流体槽7から外部に露出,突出して基板材Aを接触搬送する搬送ローラー6の外周頂面(外周上面又は外周下面)には、このような流体槽7内の流体Cや、間隙Kを介して吹き出し,流出される流体Cによって、流体Cの緩衝膜Jが形成される。
又、敷板9については、このように搬送ローラー6の外周面に形成される流体Cによる緩衝膜Jに起因して、これと間隙Kを介して隣接近位置するその外表面についても、流体Cの緩衝膜Jが伝達,付着形成される。
更に、図3の(2)図や図4に示した例のように、上側の搬送ローラー6と下側の搬送ローラー6とが、上下対をなしている場合は、下側の搬送ローラー6の外周面に形成された流体Cによる緩衝膜Jに起因して、基板材Aが搬送されない時に、これと接触する上側の搬送ローラー6の外周面にも、流体Cの緩衝膜Jが形成される。又、このような下側の搬送ローラー6の緩衝膜J,下側の敷板9の緩衝膜J,上側の搬送ローラー6の緩衝膜J等と隣接位置する上側の敷板9の外表面にも、流体Cの緩衝膜Jが形成される。
【0034】
又、流体Cの種類により、この緩衝膜Jを分析すると、次のとおり。まず搬送装置4が、投入工程(図1中左側を参照),取出し工程,又は乾燥工程等の処理室5において使用される場合、流体Cは空気Hよりなる。そして緩衝膜Jは、搬送ローラー6の外周面および敷板9の外表面に吹き出された空気層として形成され、搬送される基板材Aを適宜浮かすように機能する。
これに対し搬送装置4が、表面粗化工程,現像工程,エッチング工程,剥膜工程,洗浄工程等の薬液処理工程又は水洗工程(図1中央,図2,図3,図4等を参照)の処理室5において使用される場合、流体Cは、薬液又は水洗液等の液体Dよりなる。そして緩衝膜Jは、搬送ローラー6の外周面および敷板9の外表面に流出,付着した液層として形成され、搬送ローラー6の外周面および敷板9の外表面を均一に濡らすべく機能する。
なおこの場合、搬送装置4の一群の搬送ローラー6間つまり流体槽7間には、スプレーノズル3が配設されており(図1,図4の(1)図を参照)、このスプレーノズル3は、搬送される基板材Aに対向位置して、基板材Aに薬液又は水洗液等の液体Dを噴射し、もって基板材Aを薬液処理,洗浄処理するが、緩衝膜Jの流体Dは、このようなスプレーノズル3の薬液又は水洗液等の液体Dを用いてなる。つまり緩衝膜Jは、スプレーノズル3から噴射される液体Dと、同一液体Dを使用して形成される。
【0035】
ところで、流体槽7に供給された液体D等の流体Cは、開口面10そして間隙K付近まで流体槽7内を満たしており、このように緩衝膜Jの形成に使用されるが、他の大部分の流体Cは、流体槽7の開口面10付近の間隙Kその他から、流体槽7外へと適宜、流出,流下する。そして、流体Cが薬液等の液体Dの場合は、液槽15に流入,回収される。
勿論、緩衝膜Jを形成していた流体Cも、適宜、重力等により落下,除去されるが、随時、新たな流体Cが流体槽7から供給,補充される。もって緩衝膜Jは、常時継続的に形成され続ける。
緩衝膜Jは、このようになっている。
【0036】
《作用等》
本発明は、以上説明したように構成されている。そこで、以下のようになる。
▲1▼この基板材Aの搬送装置4は、回路G用の基板F(図5の(2)図を参照)の製造工程で使用される。
すなわち、回路G用の基板Fの製造工程中、基板材Aの表面粗化工程,現像工程,エッチング工程,剥膜工程,洗浄工程等の薬液処理工程、又は水洗工程において使用される(図1,図2,図3,図4等を参照)。更には、投入工程(図1の左側を参照),取出し工程又は乾燥工程(図示せず)等においても、使用される。
そして、この基板材Aは、極薄でフレキシブル性に富んでおり、このような各工程において、それぞれ、搬送装置4の多数のストレートローラーよりなる搬送ローラー6にて、水平姿勢で搬送方向Bに搬送されつつ、スプレーノズル3等から流体Cが噴射される。
つまり、各工程ではそれぞれ、スプレーノズル3等から薬液,水洗液等の液体Dや空気H等の流体Cが、噴射され(投入工程や取出し工程を除く)、もって所定の薬液処理,洗浄処理,乾燥処理が行われて、回路Gが形成される。
【0037】
▲2▼そして、この基板材Aの搬送装置4は、搬送ローラー6と共に、次の流体槽7,供給管8,敷板9等を有している(各図を参照)。
流体槽7は、上面又は下面に開口面10を備えた箱状をなし、開口面10に臨んで複数の搬送ローラー6が収納されている。供給管8は、流体槽7の開口面10とは反対面に接続されており、流体Cを流体槽7に供給する。
敷板9は、流体槽7の開口面10に付設され、隣接する搬送ローラー6間の前後間隔Eに位置しており、搬送ローラー6との間に僅かな間隙Kが存すると共に、搬送ローラー6の外周面の外周頂面より僅かに引込んだ高さレベルに配されている。
【0038】
▲3▼さてそこで各工程において、この基板材Aの搬送装置4では、供給管8から流体槽7に供給された流体Cが、→流体槽7内や間隙K付近において、流体槽7に収納された搬送ローラー6の外周面に、伝達されると共に、→このような搬送ローラー6の外周面を介して敷板9の外表面にも、伝達される。→もって、このように伝達された流体Cにて、緩衝膜Jが、搬送ローラー6の外周面や敷板9の外表面に形成されて、→搬送ローラー6の外周面や敷板9の外表面と、搬送される基板材Aとの間に、介在するようになる。
▲4▼ところで、この流体Cが空気Hよりなる場合は(図1中左側の処理室5の投入工程や,取出し工程,又は乾燥工程等の場合は)、→緩衝膜Jは、搬送ローラー6の外周面および敷板9の外表面に吹き出された空気層として形成され、→搬送される基板材Aを、適宜浮かすように機能する。
これに対し、流体Cが薬液又は水洗液等の液体Dよりなる場合は(図1の中央,図2,図3,図4の処理室5の表面粗化工程,現像工程,エッチング工程,剥膜工程,洗浄工程等の薬液処理工程又は水洗工程の場合は)、→緩衝膜Jは、搬送ローラー6の外周面および敷板9の外表面に流出,付着した液層として形成され、→搬送ローラー6の外周面および敷板9の外表面を、均一に濡らすべく機能する。
なおこの場合、搬送装置4の一群の搬送ローラー6間つまり各流体槽7間には、スプレーノズル3が配設されている。そしてスプレーノズル3は、搬送される基板材Aに対向位置して、基板材Aに薬液又は水洗液等の液体Dを噴射し、もって基板材Aを薬液処理,洗浄処理する。そしてこの場合、緩衝膜Jを形成する前記流体Cとしては、このようなスプレーノズル3から噴射される薬液又は水洗液等と同一の液体Dが、用いられる。
【0039】
▲5▼なお、この基板材Aの搬送装置4については、次のパターンが考えられる。
a.供給管8付きの流体槽7が、搬送される基板材Aの上側に位置する搬送ローラー6と下側に位置する搬送ローラー6とに、共に設けられており、→緩衝膜Jも、上側と下側の搬送ローラー6や敷板9に、共に形成されるパターン(図1の中央の処理室5を参照)。
b.供給管8付きの流体槽7が、搬送される基板材Aの下側に位置する搬送ローラー6についてのみ設けられており、→緩衝膜Jも、下側の搬送ローラー6や下側の敷板9についてのみ形成されるパターン(図3の(1)図の処理室5を参照)。
c.搬送ローラー6が、上下対向し対をなして設けられている場合において、→供給管8付きの流体槽7は、搬送される基板材Aの下側に位置する搬送ローラー6についてのみ、設けられており、→緩衝膜Jが、この下側の搬送ローラー6や敷板9について、形成されるのは勿論のこと、下側の搬送ローラー6を介し、上側の搬送ローラー6や敷板9についても、形成されるパターン(図3の(2)図の処理室5,図4の処理室5を参照)。
【0040】
▲6▼さて、この基板材Aの搬送装置4を用いると、各工程において、基板材Aは水平姿勢を維持しつつ、スムーズかつ安全に搬送される。
すなわち、基板材Aは極薄でフレキシブル性に富んでおり、柔らかく柔軟で腰が極めて弱いが、→このような基板材Aを搬送する搬送ローラー6の外周面には、これを覆う緩衝膜Jが形成されており、搬送ローラー6間に配設された敷板9の外表面にも、これを覆う緩衝膜Jが形成されている。更に敷板9は、搬送される基板材Aを、搬送ローラー6間の前後間隔Eにおいて、保持してガイドする。
そこで、→搬送ローラー6にて搬送される基板材Aは、敷板9にて保持,ガイドされると共に、このように搬送ローラー6の外周面や敷板9の外表面との間に介在する緩衝膜Jにて、緩衝される(特に図1,図3の(1)図,(2)図,図4の(1)図を参照)。
すなわち、→流体Cが空気よりなる場合は、緩衝膜Jは、吹き出された空気層として形成されて、→基板材Aを、搬送ローラー6の外周面および敷板9の外表面から、適宜浮かし、→もって基板材Aが、搬送ローラー6の外周面および敷板9の外表面に、付着することを防止すべく機能する。
又、流体Cが薬液又は水洗液等の液体Dよりなる場合は、緩衝膜Jは、流出,付着した液層として形成され、→搬送ローラー6の外周面および敷板9の外表面を均一に濡らして、→基板材Aが、搬送ローラー6の外周面および敷板9の外表面に、付着することを防止すべく機能する(部分的ではなく均一に濡らされたものに対し、基板材Aは付着しにくい)。
【0041】
▲7▼このようにして、この基板材Aの搬送装置4によると、緩衝膜Jや敷板9の存在により、極薄でフレキシブル性に富んだ基板材Aは、水平姿勢を維持しつつスムーズに搬送される。
つまり、薬液処理,洗浄処理,乾燥処理用にスプレーノズル3等から噴射された、薬液や水洗液等の液体D、その他の流体Cの噴射圧や重みにて(図1,図4の(1)図を参照)、a.基板材Aが、湾曲,波状化,折曲,腰折れ等することは、防止される(図5の(1)図のこの種従来例と比較対照)。b.基板材Aの前端部や後端部の垂れ下がりも、防止される(図5の(1)図のこの種従来例と比較対照)。
c.もって基板材Aが、搬送ローラー6の外周面(および敷板9の外表面)に、巻き付いたり,吸い付いたり,巻き込まれることはなくなる。d.基板材Aが、搬送ローラー6から落下したり、跳ね飛んだりすることもない。
【0042】
▲8▼この基板材Aの搬送装置4によると、このように基板材Aは、水平姿勢を維持しつつスムーズに搬送される。
そこで、湾曲,波状化等により形成される基板材Aの窪みに、噴射された薬液処理,洗浄処理用の流体Cつまり薬液,水洗液等の液体D(図1,図4の(1)図を参照)が、液溜まりとなって滞留することはなく、基板材Aの前端部や後端部が垂れ下がることもなく、基板材Aに表面しわや傷が生じることもない。
従って基板材Aは、スプレーノズル3等から噴射された薬液や水洗液等の液体D,その他の流体Cが、均一にスプレーされるようになる。もって基板材Aは、全面にわたり遅速・過不足・バラツキなく、回路G形成用に均一に薬液処理,洗浄処理,乾燥処理される。
【0043】
▲9▼しかも、この基板材Aの搬送装置4は、搬送ローラー6に敷板9や供給管8付の流体槽7を付加した構成よりなり、もって簡単な構成により、上述したところが容易に実現される。
そして各工程では、基板材Aが、この搬送装置4にて搬送されることにより、手作業を要することなく、自動的に薬液処理,洗浄処理,乾燥処理される。
【0044】
《その他》
なお、以上説明した各図示例(特に図1,図2の例)において、流体槽7と液槽15とは、別構成となっていたが、このような図示例によらず、両者を兼用した構成も可能である。
すなわち、基板材Aの下側の流体槽7として、処理室5の液槽15(図1,図2を参照)が使用され、この流体槽7兼用の液槽15に、供給管8が接続されると共に、その開口面10に臨んで、多数の搬送ローラー6や敷板9が設けられ、緩衝膜Jが形成される構成も可能である。
この場合、流体Cとしては薬液等の液体Dが使用され、この液体Dは、基板材Aの上側に配設されたスプレーノズル3から噴射される(図3の(1)図の例を参照)と共に、下側の流体槽7兼用の液槽15の間隙Kから略上方に向けても噴流となって流出し、もって、基板材Aの外表面(上下両面)を薬液処理等する。この場合、供給管8からの液体Dの供給は、高圧にて実施され、もって上述した略上方への流出が実施される。
【0045】
【発明の効果】
本発明に係る基板材の搬送装置は、以上説明したように、搬送ローラーを敷板と共に流体槽に収納し、もって流体の緩衝膜を、搬送されるフレキシブルな基板材との間に、介在形成するようにしたこと、を特徴とする。
そこで、本発明の基板材の搬送装置は、次の効果を発揮する。
【0046】
《第1の効果》
第1に、基板材の搬送上のトラブルが解消されて、スムーズな搬送が実現される。すなわち、本発明の基板材の搬送装置では、搬送ローラー間の前後間隔に敷板を配設すると共に、搬送ローラーの外周面や敷板の外表面に液体の緩衝膜を形成して、搬送される基板材との間に介在させるようにしたので、基板材は、各工程において水平姿勢を維持して、スムーズかつ安全に搬送されるようになる。
前述したこの種従来例の搬送装置のように、搬送される基板材が、途中で湾曲,波状化,折曲,腰折れ,垂れ下がり,引掛かり,巻付き,落下,跳ね飛び等する搬送上のトラブル発生は、確実に防止される。もって各工程において、基板材の不良事故が激減し、歩留まりが大幅に向上するようになる。
そして、このような搬送上のトラブル防止は、極薄化,フレキシブル化の進展が著しい回路用の基板にとって、特にその意義が大である。
【0047】
《第2の効果》
第2に、もって基板材の処理が均一化,安定化される。すなわち、本発明の基板材の搬送装置では、上述したように、基板材が各工程において、水平姿勢を維持してスムーズかつ安全に搬送される。
そこで、前述したこの種従来例の搬送装置のように、搬送される基板材について、液溜まり、垂れ下がり,表面しわ,傷等が発生することはない。もって、基板材が各工程において、全面にわたり遅速・過不足・バラツキなく無傷で処理されて、薬液処理等が均一に実施されるようになり、処理が安定化する。
この点は高精度化,ファイン化が進み、回路の高密度化,微細化が著しい回路用の基板にとって、特にその意義が大である。
【0048】
《第3の効果》
第3に、しかもこれらが、簡単容易に自動的に実現される。すなわち、本発明の基板材の搬送装置では、搬送ローラーに、敷板や供給管付の液体槽を付加したことにより、上述した第1,第2の点が容易に実現される。
そして各工程において、自動的に薬液処理等が行われ、前述したこの種従来例のように、搬送装置の使用を断念して、面倒で煩わしい手作業に頼るようなこともなく、簡単かつ能率的であり、人的コスト面にも優れて入る。
このように、この種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基板材の搬送装置について、発明の実施の形態の説明に供し、その第1例の側断面図である。
【図2】同発明の実施の形態の説明に供し、第1例の正断面図である。
【図3】同発明の実施の形態の説明に供し、(1)図は、第2例の要部の側断面図、(2)図は、第3例の要部の側断面図である。
【図4】同発明の実施の形態の説明に供し、(1)図は、第4例の要部の側断面図、(2)図は、第4例の要部の平面図である。
【図5】(1)図は、この種従来例の基板材の搬送装置の説明に供し、側面図であり、(2)図は、基板(基板材)の模式化した平面図である。
【符号の説明】
1 搬送装置(この種従来例のもの)
2 搬送ローラー(この種従来例のもの)
3 スプレーノズル
4 搬送装置(本発明のもの)
5 処理室
6 搬送ローラー(本発明のもの)
7 流体槽
8 供給管
9 敷板
10 開口面
11 配管
12 ブロワ
13 配管
14 ポンプ
15 液槽
16 前後縁部
A 基板材
B 搬送方向
C 流体
D 液体
E 前後間隔
F 基板
G 回路
H 空気
J 緩衝膜
K 間隙
W 幅方向
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板材の搬送装置に関する。すなわち、回路用の極薄基板の製造工程において、その基板材を搬送しつつ薬液処理等する際に使用される、基板材の搬送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
《技術的背景》
電子機器の高性能化,高機能化,小型軽量化に伴い、その回路用の基板も、高精度化,ファイン化,極薄化,多様化等が進み、形成される回路の高密度化,微細化が著しい。そして、この種の基板の製造工程では、各工程において、搬送される基板材に対し各々薬液等が噴射され、もって基板材について各種の薬液処理等が行われている。
例えば、現像液,エッチング液,剥離液,洗浄液その他の薬液等が順次噴射され、もって、現像→エッチング→剥膜等の薬液処理,洗浄処理が順次実施されて、回路が形成されていた。又例えば、無電解銅メッキ液への浸漬→現像液の噴射→電解銅メッキ液への浸漬→剥離液の噴射→洗浄液の噴射等が順次行われ、もって、化学銅メッキ→現像→電気銅メッキ→剥膜→洗浄等の薬液処理,洗浄処理が順次実施されて、回路が形成されていた。
そして、このような薬液処理,洗浄処理を行う各工程の製造工程を辿ることにより、例えば、半導体部品がパッケージされたモジュール多層基板、その他各種の回路用の基板が製造されていた。
【0003】
《従来技術》
さて、このような基板の製造工程の各工程では、基板材が、それぞれの処理室に供給され、搬送装置にて搬送されつつ、薬液等が噴射されることにより、薬液処理,洗浄処理が行われていた。
図5の(1)図は、この種従来例の基板材の搬送装置の説明に供し、側面図である。
この図面にも示したように、現像工程,エッチング工程,剥膜工程、更には表面粗化工程,洗浄工程,水洗工程,乾燥工程,それぞれの投入工程,取出し工程等の各工程では、各々の処理室内において、基板材Aを搬送装置1の搬送ローラー2にて水平姿勢で搬送方向Bに搬送しつつ、その上面や下面に対し、前後左右に多数配設されたスプレーノズル3から、流体C(図示例では薬液等の液体D)が噴射されていた。そして、所定の薬液処理等が行われて、回路が形成され、基板が製造されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような従来例の搬送装置1にあっては、次の問題が指摘されていた。
《第1の問題点について》
まず第1に、基板材Aについて、湾曲,波状化,折曲,腰折れ,垂れ下がり,引掛かり,巻付き,落下,跳ね飛び等の搬送上のトラブルが発生する、という問題が指摘されていた。
すなわち、回路用の基板材Aは、前述したように極薄化,フレキシブル化が著しく、例えば、その絶縁層部分の肉厚が1.0mm〜60μm程度、最近では50μm〜10μm程度のものも出現しており、柔らかく柔軟であり腰が極めて弱い。
そして、このように極薄化,フレキシブル化が進む基板材Aは、各工程において、搬送装置1の搬送ローラー2にて搬送されつつ、スプレーノズル3から流体C特に薬液等の液体Dが噴射されると、噴射された流体Cの噴射圧や重みにて、各種の搬送上のトラブルが発生していた。
例えば、搬送ローラー2間の前後間隔Eにおいて、a.水平姿勢で搬送されていた薄板材Aが、図示したように、湾曲,波状化,折曲,腰折れ等したり、b.基板材Aの前端部や後端部が、図示したように、搬送ローラー2へ垂れ下がることが多々あった。もって、c.基板材Aが、搬送ローラー2に引掛かったり,巻付いたり、吸い付いて巻き込まれたり(特に、液体Dにて濡らされた基板材Aと、濡れていない搬送ローラー2との間では、これらが発生しやすい)d.基板材Aが、搬送ローラー2から落下したり、跳ね飛んだりする等々の事故が多発していた。
各工程で用いられる従来の搬送装置1では、基板材Aについて、このように搬送上のトラブルが発生して、不良化する事故が多発しており、歩留まりが悪かった。
【0005】
《第2の問題点について》
第2に、基板材Aについて、前述により湾曲,波状化等して形成された窪みに噴射された薬液,水洗液等の液体Dが滞留して、液溜まりとなったり、前端部や後端部が前述したように垂れ下がったり、表面しわや傷が発生し、もって薬液処理等の処理の均一性が阻害される、という問題が指摘されていた。
すなわち、回路用の基板材Aは、前述したように高精度化,ファイン化が進み、形成される回路の高密度化,微細化が著しいが、上述したように各工程において、液溜まり,垂れ下がり,表面しわ・傷が発生すると、薬液等の液体Dのスプレーの均一化が阻害され、もって外表面の場所によって、処理の遅速・過不足・バラツキが生じてしまい、薬液処理等の均一性が損なわれ処理が不安定化する。
もって、このような従来の搬送装置1によると、各工程において、上述した高精度化,ファイン化,高密度化,微細化の実現が困難化する、という問題が指摘されていた。
【0006】
《第3の問題点について》
第3に、このような搬送上のトラブルや処理の不均一化に鑑み、従来、搬送装置1の使用を断念し、人手に頼って基板材Aを処理することも行われていた。
すなわち各工程において、搬送ローラー2を使用せず、基板材Aを手作業により、1枚毎に慎重に処理室に投入,取り出すことにより、薬液処理等を行うことも、従来実施されていた。
しかしながら、これでは人手がかさみ,作業が面倒で煩わしく,非能率であり、人的コスト面に大きな問題が指摘されていた。
【0007】
《本発明について》
本発明の基板材の搬送装置は、このような実情に鑑み、上記従来例の課題を解決すべく、発明者の鋭意研究努力の結果なされたものである。
そして、搬送ローラーを敷板と共に流体槽に収納し、もって流体の緩衝膜を、搬送されるフレキシブルな基板材との間に介在形成するようにしたこと、を特徴とする。
そこで本発明は、第1に、基板材の搬送上のトラブルが解消されて、スムーズな搬送が実現され、第2に、もって基板材の処理が均一化,安定化され、第3に、しかもこれらが、簡単容易に自動的に実現される、基板材の搬送装置を提案すること、を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
《請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、次のとおりである。まず、請求項1については次のとおり。請求項1の基板材の搬送装置は、基板の製造工程で使用される。そして、該基板材を搬送する搬送ローラーと、該搬送ローラーを収納する流体槽と、該流体槽に流体を供給する供給管と、該搬送ローラーの外周面に該流体にて形成される緩衝膜と、を有してなることを特徴とする。
請求項2については次のとおり。請求項2の基板材の搬送装置は、請求項1において、該基板材は、極薄でフレキシブル性に富んでおり、該搬送ローラーは、多数のストレートローラーよりなり、該基板材を水平姿勢で搬送する。該流体槽は、開口面を備えた箱状をなし、該開口面に臨んで複数の該搬送ローラーが配設されている。該緩衝膜は、少なくとも該搬送ローラーの外周面と搬送される該基板材との間に、介在形成されること、を特徴とする。
請求項3については次のとおり。請求項3の基板材の搬送装置は、請求項2において、更に、搬送される該基板材を保持する敷板が配設されている。
そして該敷板は、該流体槽の開口面に付設され、隣接する該搬送ローラー間の前後間隔に位置しており、該搬送ローラーとの間に僅かな間隙が存すると共に、該搬送ローラーの外周頂面より僅かに引込んだ高さレベルに配されている。
該緩衝膜は、該敷板の外表面にも該流体にて形成されて、搬送される該基板材との間に介在すること、を特徴とする。
【0009】
請求項4については次のとおり。請求項4の基板材の搬送装置は、請求項3において、該搬送装置は、該基板の製造工程中の投入工程,取出し工程,又は乾燥工程等において使用される。
そして該流体は、空気よりなり、該緩衝膜は、該搬送ローラーの外周面および該敷板の外表面に吹き出された空気層として形成され、搬送される該基板材を適宜浮かすように機能すること、を特徴とする。
請求項5については次のとおり。請求項5の基板材の搬送装置は、請求項3において、該搬送装置は、該基板の製造工程中の表面粗化工程,現像工程,エッチング工程,剥膜工程,洗浄工程等の薬液処理工程又は水洗工程において使用される。
そして該流体は、薬液又は水洗液等の液体よりなり、該緩衝膜は、該搬送ローラーの外周面および該敷板の外表面に流出,付着した液層として形成され、該搬送ローラーの外周面および該敷板の外表面を均一に濡らすべく機能すること、を特徴とする。
請求項6については次のとおり。請求項6の基板材の搬送装置は、請求項5において、該搬送装置の一群の該搬送ローラー間つまり該流体槽間には、スプレーノズルが配設されている。
この該スプレーノズルは、搬送される該基板材に対向位置して、該基板材に薬液又は水洗液等の液体を噴射し、もって該基板材を薬液処理,洗浄処理する。そして該流体は、このような薬液又は水洗液等の液体を用いてなること、を特徴とする。
【0010】
請求項7については次のとおり。請求項7の基板材の搬送装置は、請求項3において、該供給管付きの流体槽は、搬送される該基板材の下側に位置する該搬送ローラーについてのみ設けられており、該緩衝膜も、下側の該搬送ローラーや敷板についてのみ形成されること、を特徴とする。
請求項8については次のとおり。請求項8の基板材の搬送装置は、請求項3において、該搬送ローラーは、上下対をなして設けられている。
そして、該供給管付きの流体槽は、搬送される該基板材の下側に位置する該搬送ローラーについてのみ設けられており、該緩衝膜は、下側の該搬送ローラーや敷板のみならず、下側の該搬送ローラーを介し上側の該搬送ローラーについても形成されること、を特徴とする。
【0011】
《作用について》
本発明は、このようになっているので、次のようになる。
▲1▼この搬送装置は、回路用基板の製造工程中、基板材の表面粗化工程,現像工程,エッチング工程,剥膜工程,洗浄工程等の薬液処理工程,水洗工程,乾燥工程、等々において使用される。
この基板材は各工程において、搬送装置の多数の搬送ローラーにて搬送されつつ、スプレーノズル等から流体が噴射されて、薬液処理,洗浄処理,乾燥処理される。
▲2▼そして搬送装置は、搬送ローラー,流体槽,供給管,敷板を有している。流体槽は、開口面に臨んで複数の搬送ローラーが収納されており、供給管は、流体を流体槽に供給し、敷板は、流体槽の搬送ローラー間に、間隙を存しつつ僅かに引込んだ高さレベルにて配設されている。
【0012】
▲3▼さて各工程において、この搬送装置では、流体が、供給管から流体槽に供給されて、搬送ローラーの外周面や敷板の外表面に伝達され、もって緩衝膜が形成されて、基板材との間に介在する。
▲4▼すなわち、流体が空気の場合、緩衝膜は、吹き出された空気層として形成され、搬送される基板材を適宜浮かすように機能する。
流体が液体の場合、緩衝膜は、流出,付着する液層として形成され、搬送ローラーの外周面や敷板の外表面を、均一に濡らすべく機能する。この場合、一群の搬送ローラー間つまり流体槽間には、スプレーノズルが配設されており、基板材に薬液,水洗液等の液体を噴射して、薬液処理,洗浄処理するが、緩衝膜を形成する前記流体としては、このようなスプレーノズルから噴射される液体と、同一液体が用いられる。
▲5▼なお、この搬送装置については、次のパターンが考えられる。a.流体槽が、基板材の上側と下側の搬送ローラーに共に設けられており、緩衝膜も、上側と下側の搬送ローラーや敷板に形成されるパターン。b.流体槽が、基板材の下側の搬送ローラーのみに設けられており、緩衝膜も、下側の搬送ローラーや敷板のみに形成されるパターン。c.搬送ローラーが、上下対をなしており、流体槽は、基板材の下側の搬送ローラーのみに設けられており、緩衝膜が、下側の搬送ローラーや敷板のみならず、下側の搬送ローラーを介し上側の搬送ローラーや敷板にも形成されるパターン。
【0013】
▲6▼さて、この搬送装置を用いると、各工程において、基板材は水平姿勢を維持してスムーズに搬送される。基板材は、極薄でフレキシブル性に富んでいるが、搬送ローラーの外周面や敷板の外表面に形成されて介在する緩衝膜にて、緩衝されると共に、更に、搬送ローラー間の前後間隔に配設された敷板にて、保持,ガイドされる。
緩衝膜は、流体が空気の場合は、吹き出された空気層として形成されて、基板材を適宜浮かすことにより、基板材の付着等を防止する。又、流体が液体の場合は、搬送ローラーの外周面や敷板の外表面に流出,付着した液層として形成され、均一に濡らすことにより基板材の付着等を防止する。
▲7▼この搬送装置によると、このような緩衝膜や敷板の存在により、基板材がスムーズに搬送される。つまり、薬液処理,水洗処理,乾燥処理用に噴射された流体の噴射圧や重みにて、基板材について、湾曲,波状化,折曲,腰折れ,垂れ下がり,巻き付き,吸い付き,巻き込まれ,落下,跳ね飛び、等々が発生することは防止される。
▲8▼このようにして、基板材はスムーズに搬送され、液溜まり、垂れ下がり、表面しわや傷、等々は発生しない。従って基板材は、薬液や水洗液等の流体が均一にスプレーされ、もって全面にわたり遅速・過不足・バラツキなく、回路形成用に薬液処理,洗浄処理,乾燥処理される。
▲9▼しかも、この搬送装置は、搬送ローラーに敷板や供給管付の流体槽を付加した簡単な構成よりなり、上述したところが容易に実現される。各工程では、基板材が、搬送装置にて自動的に搬送されつつ、薬液処理,その他処理される。
【0014】
【発明の実施の形態】
《図面について》
以下、本発明の基板材の搬送装置を、図面に示す発明の実施の形態に基づいて、詳細に説明する。図1,図2,図3,図4等は、本発明の実施の形態の説明に供する。
そして図1は、その第1例の側断面図である。図2は、第1例の正断面図である。図3の(1)図は、第2例の要部の側断面図、(2)図は、第3例の要部の側断面図である。図4の(1)図は、第4例の要部の側断面図、(2)図は、第4例の要部の平面図である。なお、図5の(2)図は、基板(基板材)の模式化した平面図である。
【0015】
《基板Fについて》
この基板材Aの搬送装置4は、回路G用の基板Fの製造工程で、使用される。そこでまず、図5の(2)図を参照しつつ、基板Fの概略を説明しておく。
回路G用の基板Fは、各種電子機器用に広く用いられており、片面基板,両面基板,多層基板(含、最近のビルドアップ法のもの)等、各種のものがある。
そして、このような基板Fの一環として、IC,LSI素子,受動部品,駆動部品,コンデンサー等々の半導体部品が、回路Gと一体的に組み込まれたモジュール基板(半導体一体型のパッケージ基板)や、ガラスベースに回路Gと共に半導体部品が埋め込まれたガラス基板、つまりプラズマディスプレイPDP用のガラス基板や、液晶LCD用のガラス基板や、CSP,PBGA、等々も出現している。勿論、本明細書において基板Fとは、従来よりのプリント配線基板の外、このようなものも包含する。
【0016】
そして、このような回路G用の基板Fは、例えば携帯電話,カメラ,時計等の電子機器の高性能化,高機能化,小型軽量化に伴い、高精度化,ファイン化,そして極薄化,フレキシブル化,更には多層化,多様化等が進み、外表面つまり上面・表面や下面・裏面の一方又は双方に形成される回路G、更には内部に形成される回路G等の高密度化,微細化が著しい。
このような基板F例えばプリント配線基板は、縦横が、例えば500mm×500mm程度よりなる。その肉厚は、絶縁層(コア材)部分の肉厚が、従来の(ガラスクロス入りのリジット板)の1.6mmから、1.0mm〜60μm程度、昨今では(ポリイミド樹脂を用いたフレキシブル基板の)50μm〜10μm前後まで、極薄化されている。回路G部分(銅箔部分)の肉厚も、75μm〜35μm、昨今では16μm〜10μm前後まで、極薄化されている。多層基板の場合でも、全体の肉厚が1.0mm〜0.4mm程度まで、極薄化されつつある。回路G幅や回路G間スペースも、35μm〜25μm程度、昨今では10μm前後と、微細化傾向にある。
基板Fは、概略このようになっている。
【0017】
《基板Fの製造方法の例について》
次に、この基板材Aの搬送装置4が使用される基板Fの製造方法について、図5の(2)図を参照しつつ説明しておく。
まず、第1例の製造方法について述べる。第1例の製造方法において、基板F例えばプリント配線基板は、次のステップを辿って製造される。
まず、ガラスクロス製,セラミックス製,又はフィルム状樹脂製の絶縁層(コア材)の外表面に、銅箔が熱プレス等により張り付けられた、銅張り積層板たる基板材Aが準備される。
そして、このように準備された基板材Aについて、張り付けられた銅箔表面を粗化する表面粗化処理(ソフトエッチング)が行われる。この表面粗化処理は、従来は機械研磨によって行われていたが、最近は薬液の噴射によって行われることが多くなっている。
それから、スルホール用の孔あけ加工が、レーザ等を使用して実施される。スルホールは、基板材A(基板F)の両外表面間の貫通孔よりなり、1枚について、極小径のものが数百個以上形成され、その径が0.5mm〜0.2mm程度以下のものが多くなっている。そしてスルホールは、両外表面の回路G(銅箔)間や多層基板の回路G(銅箔)間の層間導通接続用や、回路Gに実装される部品の取り付け用として使用される。
なお最近は、孔あけ加工を要するスルホールに代えて、小突起状,略円錐台状の接点たるバンプを形成し、もって多層基板等について、このバンプにより、スルホールと同様の機能を実現する技術も開発されている。なおバンプは、回路Gに準じ、現像工程,エッチング工程,剥離工程等を辿って製造される。
【0018】
さてしかる後、基板材Aの銅箔の外表面(上面・表面,下面・裏面の一方又は双方)に、感光性レジストが膜状に塗布又は張り付けられる。それから、回路Gのネガフィルムである回路写真を当てて、露光することにより、外表面の感光性レジストは、露光されて硬化した回路G形成部分を残し、その他の不要部分が、薬液たる現像液の噴射により溶解除去される。
しかる後、このような基板材Aの銅箔は、感光性レジストが硬化して被覆された回路G形成部分を残し、現像により感光性レジストが溶解除去されて露出した不要部分が、薬液たるエッチング液(塩化第二銅,塩化第二鉄,その他の腐食液)の噴射により、溶解除去・エッチングされる。
それから、残っていた回路G形成部分の感光性レジストが、薬液たる剥離液の噴射により剥膜除去され、残った回路G形成部分の銅箔にて、基板材Aの外表面(上面・表面,下面・裏面の一方又は双方)に、所定の回路Gが形成され、もって、基板Fつまりプリント配線基板が製造される。
なお、上述した現像工程,エッチング工程,剥膜工程等には、それぞれの後処理用に、又は剥膜工程の後にまとめての後処理用に、水洗液や、中和剤液その他の薬液たる洗浄液を噴射する洗浄工程(水洗液使用の場合は水洗工程)が付設されており、もって、基板材Aの外表面に付着していた現像液,エッチング液,剥離液等の薬液が、洗浄,除去される。更に、各工程の前処理や後処理として、基板材Aの表面の汚れ,シミ,微細ゴミ,酸化物等を取り除くため、薬液や水洗液を用いた洗浄工程(水洗工程)が、適宜実施される。
これらの洗浄工程は、回路Gの断線,ショート,剥離等の防止にとって、重要な役目を果たす。なお、これらの洗浄工程の後には乾燥工程が付設されており、この乾燥工程では、空気の噴射により、基板材Aに残留していた水洗液,その他の洗浄液を除去する。
第1例の製造方法は、このようなウェットプロセス法よりなる。第1例の製造方法は、このようになっている。
【0019】
次に、第2例の製造方法について述べる。基板F例えばプリント配線基板の製造方法としては、上述した第1例のウェットプロセス法が代表的であるが、第2例のセミアディティブ法も多用されつつある。
このセミアディティブ法では、まず、予めスルホールが形成された基板材Aの外表面(上面・表面,下面・裏面の一方又は双方)に、無電解銅メッキが施される。→それから、この無電解銅メッキに、感光性レジストを膜状に塗布又は張り付けた後、→回路Gフィルムである回路写真を当て、露光する。→そして感光性レジストは、露光されて硬化した部分を残し、他の部分つまり回路G形成部分が、薬液たる現像液の噴射により溶解除去される。
しかる後、→回路G形成部分、つまり現像により感光性レジストが溶解除去されたメッキパターン部分、つまり無電解銅メッキが露出した部分に対し、電解銅メッキが施されて、→回路Gが形成される。
なお、残っていた硬化した回路G形成部分以外の感光性レジストは、薬液たる剥離液の噴射により剥膜除去され、→露出した無電解銅メッキが、薬液たるエッチング液の噴射によりクイックエッチングされて、融解除去される。→なお、各工程の後処理用更には前処理用として、前述した所に準じ、洗浄工程や乾燥工程が設けられる。
第2例のセミアディティブ法では、このようにして、電解銅メッキにて回路Gが形成され、もって、基板Fつまりプリント配線基板が製造される。第2例の製造方法は、このようになっている。ところで、プリント配線基板その他の回路G用の基板Fの製造方法は、最近ますます多様化しつつあり、上述した第1例,第2例以外にも、各種方法が開発,使用されている。本発明は勿論、このような各種の基板Fの製造方法にも、適用される。
基板Fの製造方法は、このようになっている。
【0020】
《搬送装置4の概要について》
以下、本発明の基板材Aの搬送装置4について、図1,図2,図3,図4等を参照しつつ、説明する。
この搬送装置4は、上述した基板Fの製造方法,製造工程で使用される。すなわち、この基板材Aの搬送装置4は、基板材Aを搬送しつつ薬液処理,その他の処理をする、各工程の処理室5において使用される。
前述した表面粗化工程,現像工程,エッチング工程,剥離工程,洗浄工程等の薬液処理工程、薬液によらず水洗液にて洗浄する水洗工程、乾燥工程、更には、これらの各工程の投入工程や取出し工程、等々の処理室5内において、基板材Aは図1に示したように、搬送装置4にて搬送されつつ、スプレーノズル3から薬液,水洗液等の液体Dよりなる流体Cが噴射され、又はエアーノズルから空気Hよりなる流体Cが噴射され、もって所定のごとく薬液処理,洗浄処理,乾燥処理される。
そして搬送装置4は、搬送ローラー6,流体槽7,供給管8,敷板9,緩衝膜J等を、備えている。
すなわち、この基板材Aのコンベアである搬送装置4は、上述した基板Fの製造工程の各工程で使用され、基板材Aを搬送する搬送ローラー6と、搬送ローラー6を収納する流体槽7と、流体槽7に流体Cを供給する供給管8と、基板材Aを搬送する搬送ローラー6の外周面に流体Cにて形成される緩衝膜Jと、を有してなる。
搬送装置4は、概略このようになっている。
【0021】
《搬送ローラー6について》
まず、搬送ローラー6について述べる。この搬送装置4の搬送ローラー6は、多数のストレートローラーよりなり、基板材Aを水平姿勢で搬送する。
このような搬送ローラー6について、更に詳述する。この搬送ローラー6は、軸を左右の幅方向W(図2,図4の(2)図を参照)に平行かつ水平に向けると共に、前後の搬送方向Bに沿って多数列設された、長円柱状のストレートローラーよりなる。
そして、前工程から後工程へと連続的に配設されており、駆動機構(図示せず)にて回転駆動されることにより、供給された基板材Aを、上流側から下流側へと、搬送方向Bに沿って水平姿勢で搬送する。
【0022】
そして図1,図2の例では、このような搬送装置4の搬送ローラー6が、図1中左側の投入工程の処理室5では、基板材Aの下側に列設されており、その投入端部ゾーンでは、上側にも配設されている。つまり、投入工程の下流側の投入端部ゾーンでは、例えば2本ずつが上下で対をなして配設され、基板材Aを挟み込みつつ搬送する。(なお図示例では、投入工程の処理室5の搬送ローラー6が示されているが、図示しない取出し工程や乾燥工程の処理室5の搬送ローラー6についても、これに準じる。)
図1,図2の例において、図1中央の薬液処理工程(例えばエッチング工程や洗浄工程)の処理室5では、搬送装置4の搬送ローラー6が、例えば3本ずつ、基板材Aの上側と下側に、搬送方向Bに沿って交互に配設されている。
図3の(1)図の例の処理室5では、搬送ローラー6が、基板材Aの下側に4本ずつ配設されている。図3の(2)図の例の処理室5では、搬送ローラー6が上下対をなして配設されている。図4の例の処理室5でも、搬送ローラー6が、2本ずつ上下で対をなして配設されている。
搬送ローラー6は、このようになっている。
【0023】
《流体槽7について》
次に、流体槽7について述べる。この搬送装置4の流体槽7は、開口面10を備えた箱状をなしており、この開口面10に上部が臨んで、複数の搬送ローラー6が配設,収納されている。
このような流体槽7について、更に詳述する。この流体槽7は箱状をなし、上面又は下面のいずれかに開放された開口面10を備えており、この開口面10に臨んで、2本以上の搬送ローラー6が配設,収納されている。開口面10は、流体槽7の基板材A側の面に形成される。
そして流体槽7は、流体Cでほぼ満たされており、搬送ローラー6は、基板材Aを接触搬送する外周頂面(外周上面又は外周下面)を除き、流体槽7の流体Cに浸漬されている。つまり搬送ローラー6は、外周頂面が、流体槽7の開口面10から外部に露出,突出している。
【0024】
そして図1,図2の例では、このような搬送装置4の流体槽7が、図1中左側の投入工程の処理室5では、基板材Aの下側に例えば3個配設されており、それぞれ、上面に開口面10が形成されると共に、この上面の開口面10に臨んで、搬送ローラー6が例えば3本ずつ配設,収納されている。(なお図示例では、投入工程の処理室5の流体槽7が示されているが、取出し工程や乾燥工程の処理室5の流体槽7についても、これに準じる。
図1,図2の例において、図1中央の薬液処理工程(例えばエッチング工程や洗浄工程)の処理室5では、このような搬送装置4の流体槽7が、基板材Aの上側と下側に搬送方向Bに沿って交互に配設されている。
そして上側の流体槽7は下面に開口面10が形成され、この下面の開口面10に臨んで、搬送ローラー6が例えば3本ずつ配設,収納されている。又、下側の流体槽7は、上面に開口面10が形成され、この上面の開口面10に臨んで、搬送ローラー6が例えば3本ずつ配設,収納されている。
そしてスプレーノズル3は、流体槽7が基板材Aの上側に配設される場合は、下側に対向位置し、流体槽7が基板材Aの下側に配設される場合は、上側に対向位置して、それぞれ設けられている。
【0025】
図3の(1)図の例の処理室5では、流体槽7の基板材Aの下側に配設され、その上面に開口面10が形成されると共に、この上面の開口面10に臨んで、搬送ローラー6が4本ずつ配設,収納されている。
図3の(2)図の例の処理室5では、流体槽7が基板材Aの下側に配設され、その上面に開口面10が形成されると共に、この上面の開口面10に臨んで搬送ローラー6が少なくとも2本配設,収納されている。なおこの例において、基板材Aの上側については、流体槽7は配設されておらず、上側の搬送ローラー6は雰囲気中に配設されている。
図4の例は、上述した図3の(2)図の例に準じるが、流体槽7には、搬送ローラー6が2本配設,収納されている。又、スプレーノズル3が、上流側では基板材Aの上側に、下流側では基板材Aの下側に、それぞれ設けられている。
流体槽7は、このようになっている。
【0026】
《供給管8について》
次に、供給管8について述べる。この搬送装置4の供給管8は、流体槽7の開口面10とは反対面に接続されており、例えば加圧された流体Cを、流体槽7内に供給する。
このような供給管8について更に詳述する。まず供給管8は、流体槽7について、開口面10とは反対面に連結,接続される。すなわち供給管8は、開口面10が上面に形成される場合は、下面に、開口面10が下面に形成される場合は、上面に、それぞれ連結,接続される。
【0027】
そして搬送装置4が、投入工程(図1中左側を参照),取出し工程,乾燥工程等の処理室5において使用される場合、流体槽7に接続される供給管8は、配管11を介しブロワ12に接続されており、加圧された空気H(流体C)を流体槽7に供給する。もって流体槽7内は、空気溜まりボックスとなる。
なお、ブロワ12に代えエアコンプレッサー,エアーポンプ,ファン,その他の加圧エアー源が用いられることもある。又、乾燥工程にあっては、流体槽7自体が処理室5として使用されることもあり、この場合、供給管8末端がエアーノズルとなる。
次に搬送装置4が、薬液処理工程や水洗工程(例えばエッチング工程や洗浄工程)(図1中央,図2,図3,図4等を参照)の処理室5において使用される場合、流体槽7に接続される供給管8は、配管13やポンプ14を介し、液槽15に接続されており、加圧された薬液や水洗液等の液体D(流体C)を、流体槽7に供給する。もって流体槽7内は、液溜まりボックスとなる。
そしてこの場合、薬液処理や洗浄処理用にスプレーノズル3に供給される配管13を利用,共用して、流体槽7に同一液体Dが供給される。
供給管8は、このようになっている。
【0028】
《敷板9について》
次に、敷板9について述べる。この搬送装置4の敷板9は、流体槽7の開口面10に付設され、隣接する搬送ローラー6間の前後間隔Eに位置している。
そして敷板9は、流体槽7に収納された前後の搬送ローラー6との間に、僅かな間隔Kが存すると共に、収納された搬送ローラー6の外周頂面より、僅かに引込んだ高さレベルに配されており、搬送される基板材Aを保持すべく機能する。
【0029】
このような敷板9ついて、図1,図3,図4等を参照しつつ、更に詳述する。まず敷板9は、流体槽7の開口面10に臨んで、架設されている。つまり敷板9は、流体槽7について、搬送方向Bと直交する左右の幅方向Wの細板材として、流体槽7に一体設され、もって開口面10に掛け渡されている。
そして敷板9は、前後で隣接位置する搬送ローラー6間の前後間隔Eを、ほぼ閉鎖するように位置している。つまり、前後の搬送ローラー6と、その間の敷板9との間には、それぞれ僅かな間隔Kが存するだけの位置関係となっている。
又、この敷板9の高さ位置は、搬送ローラー6の外周頂面より、僅かに上下に引込んだ高さレベルとされている。つまり敷板9は、基板材Aを接触搬送する搬送ローラー6の外周頂面(外周上面又は外周下面)より、例えば基板材Aの肉厚分程度だけ上下に引込んだ位置に、設けられている。
【0030】
なお第1に、この敷板9は、図1,図2の例では、基板材Aの上下の流体槽7について、設けられている。図3の(1)図の例では、基板材Aの下側の流体槽7に、敷板9が設けられている。図3の(2)図や図4の例では、基板材Aの下側の流体槽7に、敷板9が設けられている。
更に、図3の(2)図の例では、基板材Aの上側には流体槽7が配設されていないが、敷板9が、下側の流体槽7その他を利用しつつ、上側の搬送ローラー6間の前後間隔Eにも設けられている。
なお第2に、図1,図2の例のように、上側の流体槽7に設けられた敷板9は、流体槽7内の流体Cを内部に塞ぎ止める機能も発揮する。すなわち、上側の流体槽7内の流体C特に液体Dは、下部へ流出しようとするが、搬送ローラー6とこの敷板9にて大部分が塞ぎ止められており、僅かに、搬送ローラー6との間隙Kを介してのみ下部へと流出する。
【0031】
なお第3に、図3の(1)図,図4に示したように、流体槽7の前後縁部16も、敷板9に準じ、間隙Kを存しつつ搬送ローラー6に隣接配置されている。この前後縁部16について、その高さレベルや機能については、敷板9について前述したところに準じる。
なお第4に、このような敷板9を設けない事例も可能である。すなわち図示例によらず、搬送ローラー6間の前後間隔Eを、より接近させたものとすること、例えば搬送ローラー6間の前後間隔Eを、前後した間隙K程度に設定することも、考えられる。そしてこの場合は、搬送ローラー6が前述した敷板9の機能を代行することになる。
敷板9は、このようになっている。
【0032】
《緩衝膜Jについて》
次に、この搬送装置4の緩衝膜Jについて、図1,図2,特に図3,図4等を参照して述べる。緩衝膜Jは、搬送ローラー6の外周面や敷板9の外表面について、流体Cにより形成される。
そして緩衝膜Jは、搬送ローラー6の外周面や敷板9の外表面と、搬送される基板材Aとの間に、介在位置する。
【0033】
このような緩衝膜Jについて、更に詳述する。まず、流体槽7は供給管8から供給された流体Cで満たされており、搬送ローラー6は、このような流体槽7に収納,配設されている。そこで、搬送ローラー6の外周面、特に、流体槽7から外部に露出,突出して基板材Aを接触搬送する搬送ローラー6の外周頂面(外周上面又は外周下面)には、このような流体槽7内の流体Cや、間隙Kを介して吹き出し,流出される流体Cによって、流体Cの緩衝膜Jが形成される。
又、敷板9については、このように搬送ローラー6の外周面に形成される流体Cによる緩衝膜Jに起因して、これと間隙Kを介して隣接近位置するその外表面についても、流体Cの緩衝膜Jが伝達,付着形成される。
更に、図3の(2)図や図4に示した例のように、上側の搬送ローラー6と下側の搬送ローラー6とが、上下対をなしている場合は、下側の搬送ローラー6の外周面に形成された流体Cによる緩衝膜Jに起因して、基板材Aが搬送されない時に、これと接触する上側の搬送ローラー6の外周面にも、流体Cの緩衝膜Jが形成される。又、このような下側の搬送ローラー6の緩衝膜J,下側の敷板9の緩衝膜J,上側の搬送ローラー6の緩衝膜J等と隣接位置する上側の敷板9の外表面にも、流体Cの緩衝膜Jが形成される。
【0034】
又、流体Cの種類により、この緩衝膜Jを分析すると、次のとおり。まず搬送装置4が、投入工程(図1中左側を参照),取出し工程,又は乾燥工程等の処理室5において使用される場合、流体Cは空気Hよりなる。そして緩衝膜Jは、搬送ローラー6の外周面および敷板9の外表面に吹き出された空気層として形成され、搬送される基板材Aを適宜浮かすように機能する。
これに対し搬送装置4が、表面粗化工程,現像工程,エッチング工程,剥膜工程,洗浄工程等の薬液処理工程又は水洗工程(図1中央,図2,図3,図4等を参照)の処理室5において使用される場合、流体Cは、薬液又は水洗液等の液体Dよりなる。そして緩衝膜Jは、搬送ローラー6の外周面および敷板9の外表面に流出,付着した液層として形成され、搬送ローラー6の外周面および敷板9の外表面を均一に濡らすべく機能する。
なおこの場合、搬送装置4の一群の搬送ローラー6間つまり流体槽7間には、スプレーノズル3が配設されており(図1,図4の(1)図を参照)、このスプレーノズル3は、搬送される基板材Aに対向位置して、基板材Aに薬液又は水洗液等の液体Dを噴射し、もって基板材Aを薬液処理,洗浄処理するが、緩衝膜Jの流体Dは、このようなスプレーノズル3の薬液又は水洗液等の液体Dを用いてなる。つまり緩衝膜Jは、スプレーノズル3から噴射される液体Dと、同一液体Dを使用して形成される。
【0035】
ところで、流体槽7に供給された液体D等の流体Cは、開口面10そして間隙K付近まで流体槽7内を満たしており、このように緩衝膜Jの形成に使用されるが、他の大部分の流体Cは、流体槽7の開口面10付近の間隙Kその他から、流体槽7外へと適宜、流出,流下する。そして、流体Cが薬液等の液体Dの場合は、液槽15に流入,回収される。
勿論、緩衝膜Jを形成していた流体Cも、適宜、重力等により落下,除去されるが、随時、新たな流体Cが流体槽7から供給,補充される。もって緩衝膜Jは、常時継続的に形成され続ける。
緩衝膜Jは、このようになっている。
【0036】
《作用等》
本発明は、以上説明したように構成されている。そこで、以下のようになる。
▲1▼この基板材Aの搬送装置4は、回路G用の基板F(図5の(2)図を参照)の製造工程で使用される。
すなわち、回路G用の基板Fの製造工程中、基板材Aの表面粗化工程,現像工程,エッチング工程,剥膜工程,洗浄工程等の薬液処理工程、又は水洗工程において使用される(図1,図2,図3,図4等を参照)。更には、投入工程(図1の左側を参照),取出し工程又は乾燥工程(図示せず)等においても、使用される。
そして、この基板材Aは、極薄でフレキシブル性に富んでおり、このような各工程において、それぞれ、搬送装置4の多数のストレートローラーよりなる搬送ローラー6にて、水平姿勢で搬送方向Bに搬送されつつ、スプレーノズル3等から流体Cが噴射される。
つまり、各工程ではそれぞれ、スプレーノズル3等から薬液,水洗液等の液体Dや空気H等の流体Cが、噴射され(投入工程や取出し工程を除く)、もって所定の薬液処理,洗浄処理,乾燥処理が行われて、回路Gが形成される。
【0037】
▲2▼そして、この基板材Aの搬送装置4は、搬送ローラー6と共に、次の流体槽7,供給管8,敷板9等を有している(各図を参照)。
流体槽7は、上面又は下面に開口面10を備えた箱状をなし、開口面10に臨んで複数の搬送ローラー6が収納されている。供給管8は、流体槽7の開口面10とは反対面に接続されており、流体Cを流体槽7に供給する。
敷板9は、流体槽7の開口面10に付設され、隣接する搬送ローラー6間の前後間隔Eに位置しており、搬送ローラー6との間に僅かな間隙Kが存すると共に、搬送ローラー6の外周面の外周頂面より僅かに引込んだ高さレベルに配されている。
【0038】
▲3▼さてそこで各工程において、この基板材Aの搬送装置4では、供給管8から流体槽7に供給された流体Cが、→流体槽7内や間隙K付近において、流体槽7に収納された搬送ローラー6の外周面に、伝達されると共に、→このような搬送ローラー6の外周面を介して敷板9の外表面にも、伝達される。→もって、このように伝達された流体Cにて、緩衝膜Jが、搬送ローラー6の外周面や敷板9の外表面に形成されて、→搬送ローラー6の外周面や敷板9の外表面と、搬送される基板材Aとの間に、介在するようになる。
▲4▼ところで、この流体Cが空気Hよりなる場合は(図1中左側の処理室5の投入工程や,取出し工程,又は乾燥工程等の場合は)、→緩衝膜Jは、搬送ローラー6の外周面および敷板9の外表面に吹き出された空気層として形成され、→搬送される基板材Aを、適宜浮かすように機能する。
これに対し、流体Cが薬液又は水洗液等の液体Dよりなる場合は(図1の中央,図2,図3,図4の処理室5の表面粗化工程,現像工程,エッチング工程,剥膜工程,洗浄工程等の薬液処理工程又は水洗工程の場合は)、→緩衝膜Jは、搬送ローラー6の外周面および敷板9の外表面に流出,付着した液層として形成され、→搬送ローラー6の外周面および敷板9の外表面を、均一に濡らすべく機能する。
なおこの場合、搬送装置4の一群の搬送ローラー6間つまり各流体槽7間には、スプレーノズル3が配設されている。そしてスプレーノズル3は、搬送される基板材Aに対向位置して、基板材Aに薬液又は水洗液等の液体Dを噴射し、もって基板材Aを薬液処理,洗浄処理する。そしてこの場合、緩衝膜Jを形成する前記流体Cとしては、このようなスプレーノズル3から噴射される薬液又は水洗液等と同一の液体Dが、用いられる。
【0039】
▲5▼なお、この基板材Aの搬送装置4については、次のパターンが考えられる。
a.供給管8付きの流体槽7が、搬送される基板材Aの上側に位置する搬送ローラー6と下側に位置する搬送ローラー6とに、共に設けられており、→緩衝膜Jも、上側と下側の搬送ローラー6や敷板9に、共に形成されるパターン(図1の中央の処理室5を参照)。
b.供給管8付きの流体槽7が、搬送される基板材Aの下側に位置する搬送ローラー6についてのみ設けられており、→緩衝膜Jも、下側の搬送ローラー6や下側の敷板9についてのみ形成されるパターン(図3の(1)図の処理室5を参照)。
c.搬送ローラー6が、上下対向し対をなして設けられている場合において、→供給管8付きの流体槽7は、搬送される基板材Aの下側に位置する搬送ローラー6についてのみ、設けられており、→緩衝膜Jが、この下側の搬送ローラー6や敷板9について、形成されるのは勿論のこと、下側の搬送ローラー6を介し、上側の搬送ローラー6や敷板9についても、形成されるパターン(図3の(2)図の処理室5,図4の処理室5を参照)。
【0040】
▲6▼さて、この基板材Aの搬送装置4を用いると、各工程において、基板材Aは水平姿勢を維持しつつ、スムーズかつ安全に搬送される。
すなわち、基板材Aは極薄でフレキシブル性に富んでおり、柔らかく柔軟で腰が極めて弱いが、→このような基板材Aを搬送する搬送ローラー6の外周面には、これを覆う緩衝膜Jが形成されており、搬送ローラー6間に配設された敷板9の外表面にも、これを覆う緩衝膜Jが形成されている。更に敷板9は、搬送される基板材Aを、搬送ローラー6間の前後間隔Eにおいて、保持してガイドする。
そこで、→搬送ローラー6にて搬送される基板材Aは、敷板9にて保持,ガイドされると共に、このように搬送ローラー6の外周面や敷板9の外表面との間に介在する緩衝膜Jにて、緩衝される(特に図1,図3の(1)図,(2)図,図4の(1)図を参照)。
すなわち、→流体Cが空気よりなる場合は、緩衝膜Jは、吹き出された空気層として形成されて、→基板材Aを、搬送ローラー6の外周面および敷板9の外表面から、適宜浮かし、→もって基板材Aが、搬送ローラー6の外周面および敷板9の外表面に、付着することを防止すべく機能する。
又、流体Cが薬液又は水洗液等の液体Dよりなる場合は、緩衝膜Jは、流出,付着した液層として形成され、→搬送ローラー6の外周面および敷板9の外表面を均一に濡らして、→基板材Aが、搬送ローラー6の外周面および敷板9の外表面に、付着することを防止すべく機能する(部分的ではなく均一に濡らされたものに対し、基板材Aは付着しにくい)。
【0041】
▲7▼このようにして、この基板材Aの搬送装置4によると、緩衝膜Jや敷板9の存在により、極薄でフレキシブル性に富んだ基板材Aは、水平姿勢を維持しつつスムーズに搬送される。
つまり、薬液処理,洗浄処理,乾燥処理用にスプレーノズル3等から噴射された、薬液や水洗液等の液体D、その他の流体Cの噴射圧や重みにて(図1,図4の(1)図を参照)、a.基板材Aが、湾曲,波状化,折曲,腰折れ等することは、防止される(図5の(1)図のこの種従来例と比較対照)。b.基板材Aの前端部や後端部の垂れ下がりも、防止される(図5の(1)図のこの種従来例と比較対照)。
c.もって基板材Aが、搬送ローラー6の外周面(および敷板9の外表面)に、巻き付いたり,吸い付いたり,巻き込まれることはなくなる。d.基板材Aが、搬送ローラー6から落下したり、跳ね飛んだりすることもない。
【0042】
▲8▼この基板材Aの搬送装置4によると、このように基板材Aは、水平姿勢を維持しつつスムーズに搬送される。
そこで、湾曲,波状化等により形成される基板材Aの窪みに、噴射された薬液処理,洗浄処理用の流体Cつまり薬液,水洗液等の液体D(図1,図4の(1)図を参照)が、液溜まりとなって滞留することはなく、基板材Aの前端部や後端部が垂れ下がることもなく、基板材Aに表面しわや傷が生じることもない。
従って基板材Aは、スプレーノズル3等から噴射された薬液や水洗液等の液体D,その他の流体Cが、均一にスプレーされるようになる。もって基板材Aは、全面にわたり遅速・過不足・バラツキなく、回路G形成用に均一に薬液処理,洗浄処理,乾燥処理される。
【0043】
▲9▼しかも、この基板材Aの搬送装置4は、搬送ローラー6に敷板9や供給管8付の流体槽7を付加した構成よりなり、もって簡単な構成により、上述したところが容易に実現される。
そして各工程では、基板材Aが、この搬送装置4にて搬送されることにより、手作業を要することなく、自動的に薬液処理,洗浄処理,乾燥処理される。
【0044】
《その他》
なお、以上説明した各図示例(特に図1,図2の例)において、流体槽7と液槽15とは、別構成となっていたが、このような図示例によらず、両者を兼用した構成も可能である。
すなわち、基板材Aの下側の流体槽7として、処理室5の液槽15(図1,図2を参照)が使用され、この流体槽7兼用の液槽15に、供給管8が接続されると共に、その開口面10に臨んで、多数の搬送ローラー6や敷板9が設けられ、緩衝膜Jが形成される構成も可能である。
この場合、流体Cとしては薬液等の液体Dが使用され、この液体Dは、基板材Aの上側に配設されたスプレーノズル3から噴射される(図3の(1)図の例を参照)と共に、下側の流体槽7兼用の液槽15の間隙Kから略上方に向けても噴流となって流出し、もって、基板材Aの外表面(上下両面)を薬液処理等する。この場合、供給管8からの液体Dの供給は、高圧にて実施され、もって上述した略上方への流出が実施される。
【0045】
【発明の効果】
本発明に係る基板材の搬送装置は、以上説明したように、搬送ローラーを敷板と共に流体槽に収納し、もって流体の緩衝膜を、搬送されるフレキシブルな基板材との間に、介在形成するようにしたこと、を特徴とする。
そこで、本発明の基板材の搬送装置は、次の効果を発揮する。
【0046】
《第1の効果》
第1に、基板材の搬送上のトラブルが解消されて、スムーズな搬送が実現される。すなわち、本発明の基板材の搬送装置では、搬送ローラー間の前後間隔に敷板を配設すると共に、搬送ローラーの外周面や敷板の外表面に液体の緩衝膜を形成して、搬送される基板材との間に介在させるようにしたので、基板材は、各工程において水平姿勢を維持して、スムーズかつ安全に搬送されるようになる。
前述したこの種従来例の搬送装置のように、搬送される基板材が、途中で湾曲,波状化,折曲,腰折れ,垂れ下がり,引掛かり,巻付き,落下,跳ね飛び等する搬送上のトラブル発生は、確実に防止される。もって各工程において、基板材の不良事故が激減し、歩留まりが大幅に向上するようになる。
そして、このような搬送上のトラブル防止は、極薄化,フレキシブル化の進展が著しい回路用の基板にとって、特にその意義が大である。
【0047】
《第2の効果》
第2に、もって基板材の処理が均一化,安定化される。すなわち、本発明の基板材の搬送装置では、上述したように、基板材が各工程において、水平姿勢を維持してスムーズかつ安全に搬送される。
そこで、前述したこの種従来例の搬送装置のように、搬送される基板材について、液溜まり、垂れ下がり,表面しわ,傷等が発生することはない。もって、基板材が各工程において、全面にわたり遅速・過不足・バラツキなく無傷で処理されて、薬液処理等が均一に実施されるようになり、処理が安定化する。
この点は高精度化,ファイン化が進み、回路の高密度化,微細化が著しい回路用の基板にとって、特にその意義が大である。
【0048】
《第3の効果》
第3に、しかもこれらが、簡単容易に自動的に実現される。すなわち、本発明の基板材の搬送装置では、搬送ローラーに、敷板や供給管付の液体槽を付加したことにより、上述した第1,第2の点が容易に実現される。
そして各工程において、自動的に薬液処理等が行われ、前述したこの種従来例のように、搬送装置の使用を断念して、面倒で煩わしい手作業に頼るようなこともなく、簡単かつ能率的であり、人的コスト面にも優れて入る。
このように、この種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基板材の搬送装置について、発明の実施の形態の説明に供し、その第1例の側断面図である。
【図2】同発明の実施の形態の説明に供し、第1例の正断面図である。
【図3】同発明の実施の形態の説明に供し、(1)図は、第2例の要部の側断面図、(2)図は、第3例の要部の側断面図である。
【図4】同発明の実施の形態の説明に供し、(1)図は、第4例の要部の側断面図、(2)図は、第4例の要部の平面図である。
【図5】(1)図は、この種従来例の基板材の搬送装置の説明に供し、側面図であり、(2)図は、基板(基板材)の模式化した平面図である。
【符号の説明】
1 搬送装置(この種従来例のもの)
2 搬送ローラー(この種従来例のもの)
3 スプレーノズル
4 搬送装置(本発明のもの)
5 処理室
6 搬送ローラー(本発明のもの)
7 流体槽
8 供給管
9 敷板
10 開口面
11 配管
12 ブロワ
13 配管
14 ポンプ
15 液槽
16 前後縁部
A 基板材
B 搬送方向
C 流体
D 液体
E 前後間隔
F 基板
G 回路
H 空気
J 緩衝膜
K 間隙
W 幅方向
Claims (8)
- 基板の製造工程で使用される基板材の搬送装置であって、該基板材を搬送する搬送ローラーと、該搬送ローラーを収納する流体槽と、該流体槽に流体を供給する供給管と、該搬送ローラーの外周面に該流体にて形成される緩衝膜と、を有してなること、を特徴とする基板材の搬送装置。
- 請求項1に記載した基板材の搬送装置において、該基板材は、極薄でフレキシブル性に富んでおり、該搬送ローラーは、多数のストレートローラーよりなり該基板材を水平姿勢で搬送し、
該流体槽は、開口面を備えた箱状をなし、該開口面に臨んで複数の該搬送ローラーが配設されており、該緩衝膜は、少なくとも該搬送ローラーの外周面と搬送される該基板材との間に、介在形成されること、を特徴とする基板材の搬送装置。 - 請求項2に記載した基板材の搬送装置において、更に、搬送される該基板材を保持する敷板が配設されており、
該敷板は、該流体槽の開口面に付設され、隣接する該搬送ローラー間の前後間隔に位置しており、該搬送ローラーとの間に僅かな間隙が存すると共に、該搬送ローラーの外周頂面より僅かに引込んだ高さレベルに配されており、
該緩衝膜は、該敷板の外表面にも該流体にて形成されて、搬送される該基板材との間に介在すること、を特徴とする基板材の搬送装置。 - 請求項3に記載した基板材の搬送装置において、該搬送装置は、該基板の製造工程中の投入工程,取出し工程,又は乾燥工程等において使用され、
該流体は空気よりなり、該緩衝膜は、該搬送ローラーの外周面および該敷板の外表面に吹き出された空気層として形成され、搬送される該基板材を適宜浮かすように機能すること、を特徴とする基板材の搬送装置。 - 請求項3に記載した基板材の搬送装置において、該搬送装置は、該基板の製造工程中の表面粗化工程,現像工程,エッチング工程,剥膜工程,洗浄工程等の薬液処理工程又は水洗工程において使用され、
該流体は、薬液又は水洗液等の液体よりなり、該緩衝膜は、該搬送ローラーの外周面および該敷板の外表面に流出,付着した液層として形成され、該搬送ローラーの外周面および該敷板の外表面を均一に濡らすべく機能すること、を特徴とする基板材の搬送装置。 - 請求項5に記載した基板材の搬送装置において、該搬送装置の一群の該搬送ローラー間つまり該流体槽間には、スプレーノズルが配設されており、
該スプレーノズルは、搬送される該基板材に対向位置して、該基板材に薬液又は水洗液等の液体を噴射し、もって該基板材を薬液処理,洗浄処理するが、該流体は、このような薬液又は水洗液等の液体を用いてなること、を特徴とする基板材の搬送装置。 - 請求項3に記載した基板材の搬送装置において、該供給管付きの流体槽は、搬送される該基板材の下側に位置する該搬送ローラーについてのみ設けられており、該緩衝膜も、下側の該搬送ローラーや敷板についてのみ形成されること、を特徴とする基板材の搬送装置。
- 請求項3に記載した基板材の搬送装置において、該搬送ローラーは、上下対をなして設けられており、
該供給管付きの流体槽は、搬送される該基板材の下側に位置する該搬送ローラーについてのみ設けられており、該緩衝膜は、下側の該搬送ローラーや敷板のみならず、下側の該搬送ローラーを介し上側の該搬送ローラーについても形成されること、を特徴とする基板材の搬送装置。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060516 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20061010 |