JP2005056593A - 固体高分子型燃料電池用カソード触媒層及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高電流密度域で駆動した場合においても優れた電池特性を示す固体高分子型燃料電池を実現可能とする固体高分子型燃料電池用カソード触媒層及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の固体高分子型燃料電池用カソード触媒層3は、白金及び白金合金の少なくとも一方を粒子状のカーボン担体に担持してなる担持触媒5b,5cとプロトン電導性固体電解質とを含有し、前記担持触媒の一部5cは凝集体50を形成した固体高分子型燃料電池用カソード触媒層であって、その主面またはそれに平行な一断面を100倍の倍率に拡大して観察した場合に前記凝集体50を100個/mm2以上の割合で視認可能であることを特徴とする。
【選択図】 図3
【解決手段】本発明の固体高分子型燃料電池用カソード触媒層3は、白金及び白金合金の少なくとも一方を粒子状のカーボン担体に担持してなる担持触媒5b,5cとプロトン電導性固体電解質とを含有し、前記担持触媒の一部5cは凝集体50を形成した固体高分子型燃料電池用カソード触媒層であって、その主面またはそれに平行な一断面を100倍の倍率に拡大して観察した場合に前記凝集体50を100個/mm2以上の割合で視認可能であることを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子型燃料電池用のカソード触媒層及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子型燃料電池は、その主要部として、プロトン電導性固体電解質層を一対の電極層で挟んでなる膜電極接合体を備えている。それら電極層,すなわちアノード触媒層及びカソード触媒層,は、ガス拡散性の触媒層であり、白金または白金合金を粒子状のカーボン担体に担持してなる担持触媒とプロトン電導性固体電解質とを含んでいる。
【0003】
この膜電極接合体は、アノード触媒層に水素ガスを供給するとともにカソード触媒層に酸素ガス,典型的には空気,を供給すると、アノード触媒層とカソード触媒層との間に起電力を生じる。より詳細には、アノード触媒層では、白金の触媒としての作用により水素が酸化されて、プロトンと電子とを生じる。ここで生じた電子はカーボン担体などを導体路としてアノード触媒層から外部回路へと取り出され、プロトンはアノード触媒層からプロトン電導性固体電解質層を経由してカソード触媒層へと移動する。カソード触媒層に到達したプロトンは、白金の触媒としての作用により、外部回路からカーボン担体などを導体路として供給される電子及び酸素と反応して水を生じる。固体高分子型燃料電池は、このような現象を利用して、水素ガスと酸素ガスとから電気エネルギーを生成する。
【0004】
上述の現象を効率的に生じさせるためには、アノード触媒層及びカソード触媒層のガス拡散性が高いことが必要である。これに関し、以下の特許文献1には、カーボンブラック担体のDBP給油量が小さいとガス透過性が劣り、DBP給油量が大きいと電解質が多量に必要となるため、DBP吸油量が200乃至650mL/100gのカーボンブラック担体を使用することが好ましいことが記載されている。なお、「DBP給油量」とは、カーボンブラック担体に油(DBP:フタル酸ジブチル)をしみ込ませたときにその担体が吸収する油の量である。
【0005】
このように、カーボンブラック担体のDBP給油量が先の範囲内にある担持触媒をアノード触媒層やカソード触媒層に使用すると、優れたガス拡散性を実現することができる。しかしながら、本発明者らは、本発明を為すに際し、カーボンブラック担体のDBP給油量が先の範囲内にある担持触媒をカソード触媒層に使用すると、高電流密度域で駆動した場合に十分な電池特性が得られないことを見出している。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−117598号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高電流密度域で駆動した場合においても優れた電池特性を示す固体高分子型燃料電池を実現可能とする固体高分子型燃料電池用カソード触媒層及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、白金及び白金合金の少なくとも一方を粒子状のカーボン担体に担持してなる担持触媒とプロトン電導性固体電解質とを含有し、前記担持触媒の一部は凝集体を形成した固体高分子型燃料電池用カソード触媒層であって、その主面またはそれに平行な一断面を100倍の倍率に拡大して観察した場合に前記凝集体を100個/mm2以上の割合で視認可能であることを特徴とする固体高分子型燃料電池用カソード触媒層が提供される。
【0009】
また、本発明によると、白金及び白金合金の少なくとも一方を粒子状のカーボン担体に担持してなる担持触媒とプロトン電導性固体電解質とを含有し、前記担持触媒の一部は凝集体を形成した固体高分子型燃料電池用カソード触媒層であって、その主面またはそれに平行な一断面内に前記凝集体のうち粒径が5.0μm以上のものが100個/mm2以上の割合で分布していることを特徴とする固体高分子型燃料電池用カソード触媒層が提供される。
【0010】
さらに、本発明によると、白金及び白金合金の少なくとも一方を粒子状の第1カーボン担体に担持してなる第1担持触媒と、白金及び白金合金の少なくとも一方を前記第1カーボン担体とは有機溶剤に対する親和性が異なる粒子状の第2カーボン担体に担持してなる第2担持触媒と、プロトン電導性固体電解質と、前記有機溶剤とを含有した分散液を用いて塗膜を形成し、前記塗膜から前記有機溶剤を除去することを特徴とする固体高分子型燃料電池用カソード触媒層の製造方法が提供される。
【0011】
凝集体を形成している担持触媒と、それ以外の担持触媒とは、プロトン電導性固体電解質と有機溶剤とを含有した溶液に対する親和性が互いに異なっていてもよい。また、凝集体を形成している担持触媒は、それ以外の担持触媒と比較して、カーボン担体の(002)面の格子面間隔がより広くてもよい。さらに、凝集体を形成している担持触媒は、それ以外の担持触媒と比較して、カーボン担体の比表面積がより小さくてもよい。
【0012】
また、第1カーボン担体と第2カーボン担体とは、親水性官能基の含量が互いに異なっていてもよい。或いは、第1カーボン担体と第2カーボン担体とは、結晶性が互いに異なっていてもよい。
【0013】
なお、以下、簡略化のため、「白金及び白金合金の少なくとも一方」を「白金触媒」と呼ぶこととする。また、以下に使用する用語「担持量」は白金触媒のそれを担持した担持触媒に対する割合を意味し、用語「比表面積」はBET吸着等温式を利用して得られる比表面積(BET比表面積)を意味している。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る固体高分子型燃料電池用の膜電極接合体を概略的に示す断面図である。
【0015】
この膜電極接合体1は、アノード触媒層2及びカソード触媒層3と、それらの間に介在するとともにプロトン電導性固体電解質を含んだプロトン電導性固体電解質層4とを備えている。
【0016】
図2は、図1に示す膜電極接合体1のアノード触媒層2を概略的に示す断面図である。また、図3は、図1に示す膜電極接合体1のカソード触媒層3を概略的に示す断面図である。
【0017】
アノード触媒層2は、白金触媒を粒子状のカーボン担体に担持してなる担持触媒5aと、それらの間に介在したプロトン電導性固体電解質(図示せず)とを含んでいる。他方、カソード触媒層3は、白金触媒を粒子状のカーボン担体に担持してなる担持触媒5b,5cと、それらの間に介在したプロトン電導性固体電解質(図示せず)とを含んでいる。
【0018】
ところで、膜電極接合体1により発電している間、通常、プロトンは、水素イオン(H+)としてではなく、オキソニウムイオン(H3O+)としてアノード触媒層2からカソード触媒層3へと移動し、その移動の際にさらなる水分子を同伴する。さらに、カソード触媒層3では、水素と酸素との反応生成物として水を生じる。そのため、通常の膜電極接合体では、上述した発電を続けると、カソード触媒層3で水が余剰する。カソード触媒層3中に過剰な量の水が存在していると、カソード触媒層3のガス拡散性が損なわれるのに加え、アノード触媒層2からカソード触媒層3へのプロトンの移動が妨げられる。
【0019】
本実施形態では、図3に示すように、カソード触媒層3中で担持触媒5cの凝集体50を生じさせる(図3では、簡略化のために、少数の担持触媒5cで構成された凝集体50を描いているが、通常、凝集体50は遥かに多数の担持触媒5cで構成される)。こうすると、カソード触媒層3中に凝集体50を生じさせない場合と比較して、カソード触媒層3の排水性が向上する。
【0020】
そのため、本実施形態によると、カソード触媒層3のガス拡散性を高いレベルに維持すること、及び、アノード触媒層2からカソード触媒層3へのプロトンの移動が妨げられるのを抑制することができる。したがって、本実施形態によると、高電流密度域で駆動した場合においても優れた電池特性を実現することが可能となる。
【0021】
なお、理論に束縛されることを望む訳ではないが、担持触媒5cの凝集体50を生じさせることによりカソード触媒層3の排水性が向上するのは、以下の理由によるものと考えられる。
【0022】
カソード触媒層3中において、担持触媒5bは凝集体を形成しておらず、それらの間の隙間7は小さい。これは、例えば、反応が生じ得る表面をより広くすることなどを目的として、担持触媒5bとして比較的粒径の小さなものを使用しているためである。
【0023】
カソード触媒層3中で生じた水は、小さな隙間7を流れ難い。そのため、従来のカソード触媒層では、水の余剰が生じ易い。
【0024】
これに対し、カソード触媒層3中に担持触媒5cの凝集体を形成すると、凝集体50の内部及び/または凝集体50の近傍に、担持触媒5b間の隙間7と比較して、より大きな隙間17が生じる。カソード触媒層3中で生じた水は、小さな隙間7に比べ、大きな隙間17を流れ易い。そのため、本実施形態によると、カソード触媒層3において高い排水性を実現することができる。
【0025】
以上説明した効果は、凝集体50の寸法やカソード触媒層3に対する凝集体50の割合に依存している。すなわち、先の効果は、例えば、光学顕微鏡、走査電子顕微鏡(SEM)、レーザ顕微鏡などの顕微鏡を利用してカソード触媒層3の主面またはそれに平行な断面を100倍の倍率に拡大して観察したときに凝集体50を100個/mm2以上の割合で視認可能である場合に得ることができる。
【0026】
なお、上記の観察は、100μm×100μm或いはそれよりも広い領域に対して行う。また、通常、先の観察により視認可能な最小の凝集体50は5.0μm程度の粒径を有している。
【0027】
図3に示すカソード触媒層3の作製方法に特に制限はないが、例えば、以下の方法を利用することができる。すなわち、担持触媒5bと担持触媒5cとに、カソード触媒層3を形成するための分散液に含まれるプロトン電導性固体電解質と有機溶剤との混合物に対する親和性が互いに異なるものを使用する。
【0028】
例えば、まず、カルボキシル基などの親水性官能基をより多く含有したカーボン担体を用いて担持触媒5cを生成し、そのような親水性官能基の含量がより少ないカーボン担体を用いて担持触媒5bを生成する。次いで、これら担持触媒5b,5cと、パーフルオロスルホン酸イオノマーなどのプロトン電導性固体電解質と、有機溶剤とを含有した分散液を調製する。その後、この分散液をテフロンシートなどの基板上に塗布し、塗膜から有機溶剤を除去する。このようにして、図3に示すカソード触媒層3を得ることができる。
【0029】
この方法では、上記分散液中で、担持触媒5cとプロトン電導性固体電解質との間には静電斥力が作用する。他方、担持触媒5bとプロトン電導性固体電解質との間に大きな静電斥力が作用することはない。そのため、上記分散液中で、担持触媒5cは、互いに凝集して粗大な凝集体50を形成する。したがって、カソード触媒層3は、粗大な凝集体50を含むこととなる。
【0030】
或いは、例えば、担持触媒5bに結晶性がより低いカーボン担体を使用し、担持触媒5cに結晶性がより高いカーボン担体を使用してもよい。すなわち、担持触媒5bに(002)面の格子面間隔がより広いカーボン担体を使用し、担持触媒5cに(002)面の格子面間隔がより狭いカーボン担体を使用してもよい。一般に、カーボン担体の結晶性と比表面積との間には相関がある。また、カーボン担体の比表面積は、そのプロトン電導性固体電解質及び有機溶剤を含有した溶液との親和性に影響を与える。それゆえ、これら担持触媒5b,5cを使用した場合も、先に説明したのと同様の方法により、分散液中で担持触媒5cの凝集体50を形成することができ、したがって、図3に示すカソード触媒層3を得ることができる。
【0031】
なお、先の方法では、カソード触媒層3中の凝集体50の寸法や密度は、例えば、上記分散液中の担持触媒5bと担持触媒5cとの割合、カーボン担体の有機溶剤に対する親和性(或いは、カーボン担体の親水性官能基含量や結晶性)、有機溶剤やプロトン電導性固体電解質の種類などに応じて、容易に調節することができる。また、上記の方法で使用する分散液に対して粒度分布測定を行うと、通常、凝集体の存在に起因して複数のピークを有する曲線が得られる。
【0032】
次に、図1に示す膜電極接合体1の各構成要素に使用可能な材料などについて説明する。
【0033】
担持触媒5a乃至5cの白金触媒としては、白金を使用してもよく、或いは、白金合金を使用してもよく、或いは、それらを混合して使用してもよい。白金と合金を形成して白金触媒として使用可能な元素としては、例えば、白金以外の白金族、金、コバルト、クロム、ニッケル、鉄、モリブデン、タングステン、レニウム、アルミニウム、珪素、亜鉛及び錫などを挙げることができる。また、白金触媒として白金合金を使用する場合、それらに占める白金の割合は、通常、30原子%乃至90原子%程度とする。
【0034】
白金触媒の平均粒径は、1nm乃至5nm程度であってもよい。白金触媒の平均粒径を1nm以上とすると、担持触媒5a乃至5cを生成する過程で、白金触媒同士の凝集を抑制することができる。また、白金触媒の平均粒径を5nm以下とすると、それらの比表面積が大きくなり、その触媒としての能力を十分に引き出すことができる。
【0035】
担持触媒5a乃至5cの担持量は、5重量%乃至80重量%程度とすることが望ましく、20重量%乃至80重量%程度とすることがより望ましい。担持量が先の下限値以上である場合、固体高分子型燃料電池の電流電圧特性を向上させるうえで有利である。また、担持量が約80重量%以下である場合、白金触媒の比表面積を高めるうえで有利であり、また、コストの観点でも有利である。
【0036】
担持触媒5a乃至5cのカーボン担体としては、例えば、カーボンブラックや活性炭などを使用することができる。
【0037】
カーボン担体に含まれる親水性官能基の量が異なる互いに担持触媒5b,5cを用いてカソード触媒層3中に担持触媒5cの凝集体50を形成する場合、担持触媒5bのカーボン担体としては、例えば、カルボキシル基などの親水性官能基の1g当りの含量が0.2mg未満であるものを使用することができる。他方、担持触媒5cのカーボン担体としては、例えば、カルボキシル基などの親水性官能基の1g当りの含量が0.2mg乃至6.0mg程度であるものを使用することができる。この場合、カソード触媒層3中に含まれる全カーボン担体に占める担持触媒5cのカーボン担体の割合は、例えば、5重量%乃至40重量%程度としてもよい。
【0038】
カーボン担体に含まれる親水性官能基の量が異なる担持触媒5b,5cを用いてカソード触媒層3中に担持触媒5cの凝集体50を形成する場合、典型的には、担持触媒5bのカーボン担体の揮発分含量は0.2重量%未満であり、担持触媒5cのカーボン担体の揮発分含量は0.2重量%乃至10重量%程度である。また、この場合、典型的には、担持触媒5bのカーボン担体のDBP吸油量は200mL/100g乃至650mL/100gの範囲内にあり、担持触媒5cのカーボン担体のDBP吸油量は200mL/100g未満である。
【0039】
カーボン担体の結晶性が異なる担持触媒5b,5cを用いてカソード触媒層3中に担持触媒5cの凝集体50を形成する場合、担持触媒5bのカーボン担体としては、例えば、(002)面の格子面間隔が3.4Å未満であるものを使用することができる。他方、担持触媒5cのカーボン担体としては、例えば、(002)面の格子面間隔が3.4Å乃至3.76Åの範囲内にあるものを使用することができる。この場合、カソード触媒層3中に含まれる全カーボン担体に占める担持触媒5cのカーボン担体の割合は、例えば、5重量%乃至20重量%程度としてもよい。
【0040】
カーボン担体の結晶性が異なる担持触媒5b,5cを用いてカソード触媒層3中に担持触媒5cの凝集体50を形成する場合、典型的には、担持触媒5bのカーボン担体の比表面積は800m2/g乃至1200m2/gの範囲内にあり、担持触媒5cのカーボン担体の比表面積は50m2/g乃至500m2/gの範囲内にある。また、この場合、典型的には、担持触媒5bのカーボン担体は、担持触媒5cのカーボン担体よりも平均粒径が小さい。
【0041】
先の観察により視認可能な凝集体50の割合は、200個/mm2以上であることが望ましい。この場合、より優れた電池特性を実現するうえで有利である。また、先の観察により視認可能な凝集体50の割合は、40,000個/mm2以下であることが望ましい。カソード触媒層3中における凝集体50の割合が過剰に高いと、単位体積当りの有効表面,すなわち白金触媒のプロトン電導性固体電解質と接触可能な表面,が狭くなる。
【0042】
凝集体50の粒径は、10μm以上であることが望ましく、12μmよりも大きいことがより望ましい。この場合、より優れた電池特性を実現するうえで有利である。
【0043】
凝集体50の粒径は、カソード触媒層3の厚さよりも小さければよい。但し、通常、凝集体50の最大粒径は20μm以下である。
【0044】
アノード触媒層2、カソード触媒層3及びプロトン電導性固体電解質層4中のプロトン電導性固体電解質は水を含んでいる。プロトン電導性固体電解質としては、例えば、−SO3 −基を有するプロトン電導性固体電解質を使用することができる。そのようなプロトン電導性固体電解質としては、例えばナフィオンに代表される以下の構造式に示すようなパーフルオロスルホン酸イオノマーを使用することが好ましい。また、図1に示す膜電極接合体1では、アノード触媒層2とカソード触媒層3とプロトン電導性固体電解質層4とに同種のプロトン電導性固体電解質を使用してもよく、或いは、それらには互いに異なる種類のプロトン電導性固体電解質を使用してもよい。
【0045】
【化1】
【0046】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
・カソード触媒層[C−1]
まず、カルボキシル基含量がより少ないカーボン担体[A]を3.8gと、カルボキシル基含量がより多いカーボン担体[B]を0.2gとを均一に混合した。なお、担体[A]は、揮発分含量が0.1重量%、1g当りのカルボキシル含量が0.01mg、比表面積が1040m2/g、DBP給油量が410ml/100g、平均粒径が28nm、(002)面の格子面間隔が3.81Åのカーボン粉末である。また、担体[B]は、揮発分含量が3.1重量%、1g当りのカルボキシル含量が1.8mg、比表面積が226m2/g、DBP給油量が34ml/100g、平均粒径が46nm、(002)面の格子面間隔が3.78Åのカーボン粉末である。
【0047】
次に、担体[A]と担体[B]との混合物を、6.0gの白金を含む1Lの塩化白金酸水溶液中に十分に分散させた。その後、この分散液を濾過し、濾過ケークを1Lの脱イオン水で洗浄した。
【0048】
次いで、洗浄後の濾過ケークを1Lの脱イオン水中に再度分散させ、この分散液に、還元剤として2gの水素化ホウ素ナトリウムを添加した。その後、この分散液を濾過し、濾過ケークを洗浄した。さらに、この濾過ケークを80℃で48時間乾燥させることにより、白金触媒の平均粒径が2.3nmの触媒粉末[A−1]を得た。
【0049】
次に、不活性ガス中で、触媒粉末[A−1]とパーフルオロスルホン酸イオノマーと有機溶剤とを混合し、超音波ホモジナイザにより均一な分散液を調製した。この分散液をテフロンシート上に塗布し、得られた塗膜を乾燥させることにより、カソード触媒層[C−1]を得た。
【0050】
このカソード触媒層[C−1]を光学顕微鏡で100倍に拡大して観察した。その結果、視認可能な凝集体50は存在していなかった。
【0051】
・カソード触媒層[C−2]
3.6gの担体[A]と0.4gの担体[B]とを混合したこと以外は、触媒粉末[A−1]に関して上述したのと同様の方法により、白金触媒の平均粒径が2.2nmの触媒粉末[A−2]を得た。次に、この触媒粉末[A−2]を用いたこと以外はカソード触媒層[C−1]に関して上述したのと同様の方法により、カソード触媒層[C−2]を作製した。
【0052】
次いで、このカソード触媒層[C−2]を光学顕微鏡で100倍に拡大して観察した。その結果、視認可能な凝集体50は、680個/mm2の割合で分布していた。
【0053】
・カソード触媒層[C−3]
3.2gの担体[A]と0.8gの担体[B]とを混合したこと以外は、触媒粉末[A−1]に関して上述したのと同様の方法により、白金触媒の平均粒径が2.3nmの触媒粉末[A−3]を得た。次に、この触媒粉末[A−3]を用いたこと以外はカソード触媒層[C−1]に関して上述したのと同様の方法により、カソード触媒層[C−3]を作製した。
【0054】
次いで、このカソード触媒層[C−3]を光学顕微鏡で100倍に拡大して観察した。その結果、視認可能な凝集体50は、670個/mm2の割合で分布していた。
【0055】
・カソード触媒層[C−4]
2.8gの担体[A]と1.2gの担体[B]とを混合したこと以外は、触媒粉末[A−1]に関して上述したのと同様の方法により、白金触媒の平均粒径が2.3nmの触媒粉末[A−4]を得た。次に、この触媒粉末[A−4]を用いたこと以外はカソード触媒層[C−1]に関して上述したのと同様の方法により、カソード触媒層[C−4]を作製した。
【0056】
次いで、このカソード触媒層[C−4]を光学顕微鏡で100倍に拡大して観察した。その結果、視認可能な凝集体50は、700個/mm2の割合で分布していた。
【0057】
・カソード触媒層[C−5]
2.4gの担体[A]と1.6gの担体[B]とを混合したこと以外は、触媒粉末[A−1]に関して上述したのと同様の方法により、白金触媒の平均粒径が2.2nmの触媒粉末[A−5]を得た。次に、この触媒粉末[A−5]を用いたこと以外はカソード触媒層[C−1]に関して上述したのと同様の方法により、カソード触媒層[C−5]を作製した。
【0058】
次いで、このカソード触媒層[C−5]を光学顕微鏡で100倍に拡大して観察した。その結果、視認可能な凝集体50は、200個/mm2の割合で分布していた。
【0059】
・カソード触媒層[C−6]
カーボン担体[A]を3.6gと、結晶性がより高いカーボン担体[C]を0.4gとを均一に混合した。なお、担体[C]は、揮発分含量が0.1重量%、1g当りのカルボキシル含量が0.00mg、比表面積が98m2/g、DBP給油量が17ml/100g、平均粒径が345nm、(002)面の格子面間隔が3.35Åのカーボン粉末である。
【0060】
これら担体[A]と担体[C]との混合物を使用したこと以外は、触媒粉末[A−1]に関して上述したのと同様の方法により、白金触媒の平均粒径が2.2nmの触媒粉末[A−6]を得た。次に、この触媒粉末[A−6]を用いたこと以外はカソード触媒層[C−1]に関して上述したのと同様の方法により、カソード触媒層[C−6]を作製した。
【0061】
次いで、このカソード触媒層[C−6]を光学顕微鏡で100倍に拡大して観察した。その結果、視認可能な凝集体50は、100個/mm2の割合で分布していた。
【0062】
・カソード触媒層[C−7]
3.2gの担体[A]と0.8gの担体[C]とを混合したこと以外は、触媒粉末[A−1]に関して上述したのと同様の方法により、白金触媒の平均粒径が2.2nmの触媒粉末[A−7]を得た。次に、この触媒粉末[A−7]を用いたこと以外はカソード触媒層[C−1]に関して上述したのと同様の方法により、カソード触媒層[C−7]を作製した。
【0063】
次いで、このカソード触媒層[C−7]を光学顕微鏡で100倍に拡大して観察した。その結果、視認可能な凝集体50は、370個/mm2の割合で分布していた。
【0064】
・カソード触媒層[C−8]
2.8gの担体[A]と1.2gの担体[C]とを混合したこと以外は、触媒粉末[A−1]に関して上述したのと同様の方法により、白金触媒の平均粒径が2.3nmの触媒粉末[A−8]を得た。次に、この触媒粉末[A−8]を用いたこと以外はカソード触媒層[C−1]に関して上述したのと同様の方法により、カソード触媒層[C−8]を作製した。
【0065】
次いで、このカソード触媒層[C−8]を光学顕微鏡で100倍に拡大して観察した。その結果、視認可能な凝集体50は、880個/mm2の割合で分布していた。
【0066】
・カソード触媒層[C−9]
2.4gの担体[A]と1.6gの担体[C]とを混合したこと以外は、触媒粉末[A−1]に関して上述したのと同様の方法により、白金触媒の平均粒径が2.1nmの触媒粉末[A−9]を得た。次に、この触媒粉末[A−9]を用いたこと以外はカソード触媒層[C−1]に関して上述したのと同様の方法により、カソード触媒層[C−9]を作製した。
【0067】
次いで、このカソード触媒層[C−9]を光学顕微鏡で100倍に拡大して観察した。その結果、視認可能な凝集体50は、1790個/mm2の割合で分布していた。
【0068】
・カソード触媒層[C−10]
カーボン担体として4.0gの担体[A]のみを用いたこと以外は、触媒粉末[A−1]に関して上述したのと同様の方法により、白金触媒の平均粒径が2.1nmの触媒粉末[A−10]を得た。次に、この触媒粉末[A−10]を用いたこと以外はカソード触媒層[C−1]に関して上述したのと同様の方法により、カソード触媒層[C−10]を作製した。
【0069】
次いで、このカソード触媒層[C−10]を光学顕微鏡で100倍に拡大して観察した。その結果、視認可能な凝集体50は、18個/mm2の割合で分布していた。
【0070】
・アノード触媒層[D−1]の作製
カーボン担体として市販の比表面積が250m2/gのカーボン粉末を使用し、このカーボン粉末7.0gを3.0gの白金を含む1Lの塩化白金酸水溶液中に十分に分散させた。その後、この分散液を濾過し、濾過ケークを1Lの脱イオン水で洗浄した。
【0071】
次いで、洗浄後の濾過ケークを1Lの脱イオン水中に再度分散させ、この分散液に、還元剤として2gの水素化ホウ素ナトリウムを添加した。その後、この分散液を濾過し、濾過ケークを洗浄した。さらに、この濾過ケークを80℃で48時間乾燥させることにより、白金触媒の平均粒径が2.3nmの触媒粉末[B−1]を得た。
【0072】
次に、この触媒粉末[B−1]を用いたこと以外はカソード触媒層[C−1]に関して上述したのと同様の方法により、アノード触媒層[D−1]を作製した。
【0073】
上記の触媒層に利用した担体[A]乃至[C]の物性を以下の表1に纏める。また、上記の方法により得られた各触媒層の組成等を以下の表2に纏める。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
また、カソード触媒層[C−1]乃至[C−10]について撮影した顕微鏡写真の一部を図4及び図5に示す。なお、図4はカソード触媒層[C−10]の顕微鏡写真であり、図5はカソード触媒層[C−3]の顕微鏡写真である。
【0077】
図4に示すように、カソード触媒層3に含まれる担持触媒のカーボン担体として1種のカーボン担体のみを使用した場合、カソード触媒層3中には凝集体50は殆んど生じなかった。それに対し、図5に示すように、カソード触媒層3に含まれる担持触媒のカーボン担体として2種のカーボン担体を混合して使用した場合、カソード触媒層3中に多数の凝集体50を生じさせることができた。
【0078】
・膜電極接合体の作製
アノード触媒層2に触媒層[C−1]乃至[C−10]の何れかを使用するとともに、カソード触媒層3に触媒層[D−1]を使用した複数の膜電極接合体1を作製した。具体的には、触媒層[C−m]と触媒層[D−1]とをプロトン電導性固体電解質層4を介してホットプレスにより貼り合せた。
【0079】
・膜電極接合体の評価
上記の膜電極接合体1について、以下の方法で特性を評価した。
【0080】
すなわち、まず、上記の膜電極接合体1を測定用セルに組み込み、アノード触媒層2には所定の流量で水素ガスを供給し、カソード触媒層3には所定の流量で空気を供給した。このような条件のもと、電流電圧特性を測定した。
【0081】
図6は、カソード触媒層[C−3]を用いた膜電極接合体1の電流電圧特性及びカソード触媒層[C−10]を用いた膜電極接合体1の電流電圧特性を示すグラフである。図中、横軸は電流密度を示し、縦軸は電池電圧を示している。また、図中、参照符号101はカソード触媒層[C−3]を用いた膜電極接合体1について得られたデータを示し、参照符号102はカソード触媒層[C−10]を用いた膜電極接合体1について得られたデータを示している。
【0082】
図6に示すように、カソード触媒層[C−3]を用いた場合、カソード触媒層[C−10]を用いた場合と比較して、高電流密度域でより高い電池電圧を実現すること及びより高い電流密度を実現することができた。すなわち、カソード触媒層3中に凝集体50を生じさせることにより、高電流密度域で駆動した場合においても優れた電池特性を示す固体高分子型燃料電池を実現可能となる。
【0083】
次に、カソード触媒層3に含まれる凝集体50の数と電流電圧特性との関係について調べた。
【0084】
図7は、カソード触媒層3に含まれる凝集体50の数と電流電圧特性との関係を示すグラフである。図中、横軸は、先の条件でカソード触媒層3の単位面積を観察した場合に視認可能な凝集体50の個数を示している。また、図中、縦軸は、電流密度が1.0A/cm2であるときの電池電圧を示している。
【0085】
図7に示すように、先の条件で視認可能な凝集体50が100個/mm2以上の割合で存在している場合、0.67V以上の高い電池電圧が得られた。また、先の条件で視認可能な凝集体50が200個/mm2以上の割合で存在している場合の殆んどにおいて、より高い電池電圧が得られた。
【0086】
次に、カソード触媒層3に含まれる凝集体50の最小粒径と電流電圧特性との関係について調べた。
【0087】
図8は、カソード触媒層3に含まれる凝集体50の最小粒径と電流電圧特性との関係を示すグラフである。図中、横軸は、先の条件でカソード触媒層3の単位面積を観察した場合に視認可能な凝集体50の最小粒径を示している。また、図中、縦軸は、電流密度が1.0A/cm2であるときの電池電圧を示している。
【0088】
図8に示すように、先の条件で視認可能な凝集体50の最小粒径が5μm以上である場合、0.67V以上の高い電池電圧が得られた。また、先の条件で視認可能な凝集体50の最小粒径が約10μm以上の場合により高い電池電圧が得られ、12μmよりも大きい場合にさらに高い電池電圧が得られた。
【0089】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、高電流密度域で駆動した場合においても優れた電池特性を示す固体高分子型燃料電池を実現可能とする固体高分子型燃料電池用カソード触媒層及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る固体高分子型燃料電池用の膜電極接合体を概略的に示す断面図。
【図2】図1に示す膜電極接合体のアノード触媒層を概略的に示す断面図。
【図3】図1に示す膜電極接合体のカソード触媒層を概略的に示す断面図。
【図4】比較例に係るカソード触媒層の顕微鏡写真。
【図5】実施例に係るカソード触媒層の顕微鏡写真。
【図6】実施例に係るカソード触媒層を用いた膜電極接合体の電流電圧特性及び比較例に係るカソード触媒層を用いた膜電極接合体の電流電圧特性を示すグラフ。
【図7】カソード触媒層に含まれる凝集体の数と電流電圧特性との関係を示すグラフ。
【図8】カソード触媒層に含まれる凝集体の最小粒径と電流電圧特性との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1…膜電極接合体、2…アノード触媒層、3…カソード触媒層、4…プロトン電導性固体電解質層、5a…担持触媒、5b…担持触媒、5c…担持触媒、7…隙間、17…隙間、50…凝集体、101…データ、102…データ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子型燃料電池用のカソード触媒層及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子型燃料電池は、その主要部として、プロトン電導性固体電解質層を一対の電極層で挟んでなる膜電極接合体を備えている。それら電極層,すなわちアノード触媒層及びカソード触媒層,は、ガス拡散性の触媒層であり、白金または白金合金を粒子状のカーボン担体に担持してなる担持触媒とプロトン電導性固体電解質とを含んでいる。
【0003】
この膜電極接合体は、アノード触媒層に水素ガスを供給するとともにカソード触媒層に酸素ガス,典型的には空気,を供給すると、アノード触媒層とカソード触媒層との間に起電力を生じる。より詳細には、アノード触媒層では、白金の触媒としての作用により水素が酸化されて、プロトンと電子とを生じる。ここで生じた電子はカーボン担体などを導体路としてアノード触媒層から外部回路へと取り出され、プロトンはアノード触媒層からプロトン電導性固体電解質層を経由してカソード触媒層へと移動する。カソード触媒層に到達したプロトンは、白金の触媒としての作用により、外部回路からカーボン担体などを導体路として供給される電子及び酸素と反応して水を生じる。固体高分子型燃料電池は、このような現象を利用して、水素ガスと酸素ガスとから電気エネルギーを生成する。
【0004】
上述の現象を効率的に生じさせるためには、アノード触媒層及びカソード触媒層のガス拡散性が高いことが必要である。これに関し、以下の特許文献1には、カーボンブラック担体のDBP給油量が小さいとガス透過性が劣り、DBP給油量が大きいと電解質が多量に必要となるため、DBP吸油量が200乃至650mL/100gのカーボンブラック担体を使用することが好ましいことが記載されている。なお、「DBP給油量」とは、カーボンブラック担体に油(DBP:フタル酸ジブチル)をしみ込ませたときにその担体が吸収する油の量である。
【0005】
このように、カーボンブラック担体のDBP給油量が先の範囲内にある担持触媒をアノード触媒層やカソード触媒層に使用すると、優れたガス拡散性を実現することができる。しかしながら、本発明者らは、本発明を為すに際し、カーボンブラック担体のDBP給油量が先の範囲内にある担持触媒をカソード触媒層に使用すると、高電流密度域で駆動した場合に十分な電池特性が得られないことを見出している。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−117598号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高電流密度域で駆動した場合においても優れた電池特性を示す固体高分子型燃料電池を実現可能とする固体高分子型燃料電池用カソード触媒層及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、白金及び白金合金の少なくとも一方を粒子状のカーボン担体に担持してなる担持触媒とプロトン電導性固体電解質とを含有し、前記担持触媒の一部は凝集体を形成した固体高分子型燃料電池用カソード触媒層であって、その主面またはそれに平行な一断面を100倍の倍率に拡大して観察した場合に前記凝集体を100個/mm2以上の割合で視認可能であることを特徴とする固体高分子型燃料電池用カソード触媒層が提供される。
【0009】
また、本発明によると、白金及び白金合金の少なくとも一方を粒子状のカーボン担体に担持してなる担持触媒とプロトン電導性固体電解質とを含有し、前記担持触媒の一部は凝集体を形成した固体高分子型燃料電池用カソード触媒層であって、その主面またはそれに平行な一断面内に前記凝集体のうち粒径が5.0μm以上のものが100個/mm2以上の割合で分布していることを特徴とする固体高分子型燃料電池用カソード触媒層が提供される。
【0010】
さらに、本発明によると、白金及び白金合金の少なくとも一方を粒子状の第1カーボン担体に担持してなる第1担持触媒と、白金及び白金合金の少なくとも一方を前記第1カーボン担体とは有機溶剤に対する親和性が異なる粒子状の第2カーボン担体に担持してなる第2担持触媒と、プロトン電導性固体電解質と、前記有機溶剤とを含有した分散液を用いて塗膜を形成し、前記塗膜から前記有機溶剤を除去することを特徴とする固体高分子型燃料電池用カソード触媒層の製造方法が提供される。
【0011】
凝集体を形成している担持触媒と、それ以外の担持触媒とは、プロトン電導性固体電解質と有機溶剤とを含有した溶液に対する親和性が互いに異なっていてもよい。また、凝集体を形成している担持触媒は、それ以外の担持触媒と比較して、カーボン担体の(002)面の格子面間隔がより広くてもよい。さらに、凝集体を形成している担持触媒は、それ以外の担持触媒と比較して、カーボン担体の比表面積がより小さくてもよい。
【0012】
また、第1カーボン担体と第2カーボン担体とは、親水性官能基の含量が互いに異なっていてもよい。或いは、第1カーボン担体と第2カーボン担体とは、結晶性が互いに異なっていてもよい。
【0013】
なお、以下、簡略化のため、「白金及び白金合金の少なくとも一方」を「白金触媒」と呼ぶこととする。また、以下に使用する用語「担持量」は白金触媒のそれを担持した担持触媒に対する割合を意味し、用語「比表面積」はBET吸着等温式を利用して得られる比表面積(BET比表面積)を意味している。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る固体高分子型燃料電池用の膜電極接合体を概略的に示す断面図である。
【0015】
この膜電極接合体1は、アノード触媒層2及びカソード触媒層3と、それらの間に介在するとともにプロトン電導性固体電解質を含んだプロトン電導性固体電解質層4とを備えている。
【0016】
図2は、図1に示す膜電極接合体1のアノード触媒層2を概略的に示す断面図である。また、図3は、図1に示す膜電極接合体1のカソード触媒層3を概略的に示す断面図である。
【0017】
アノード触媒層2は、白金触媒を粒子状のカーボン担体に担持してなる担持触媒5aと、それらの間に介在したプロトン電導性固体電解質(図示せず)とを含んでいる。他方、カソード触媒層3は、白金触媒を粒子状のカーボン担体に担持してなる担持触媒5b,5cと、それらの間に介在したプロトン電導性固体電解質(図示せず)とを含んでいる。
【0018】
ところで、膜電極接合体1により発電している間、通常、プロトンは、水素イオン(H+)としてではなく、オキソニウムイオン(H3O+)としてアノード触媒層2からカソード触媒層3へと移動し、その移動の際にさらなる水分子を同伴する。さらに、カソード触媒層3では、水素と酸素との反応生成物として水を生じる。そのため、通常の膜電極接合体では、上述した発電を続けると、カソード触媒層3で水が余剰する。カソード触媒層3中に過剰な量の水が存在していると、カソード触媒層3のガス拡散性が損なわれるのに加え、アノード触媒層2からカソード触媒層3へのプロトンの移動が妨げられる。
【0019】
本実施形態では、図3に示すように、カソード触媒層3中で担持触媒5cの凝集体50を生じさせる(図3では、簡略化のために、少数の担持触媒5cで構成された凝集体50を描いているが、通常、凝集体50は遥かに多数の担持触媒5cで構成される)。こうすると、カソード触媒層3中に凝集体50を生じさせない場合と比較して、カソード触媒層3の排水性が向上する。
【0020】
そのため、本実施形態によると、カソード触媒層3のガス拡散性を高いレベルに維持すること、及び、アノード触媒層2からカソード触媒層3へのプロトンの移動が妨げられるのを抑制することができる。したがって、本実施形態によると、高電流密度域で駆動した場合においても優れた電池特性を実現することが可能となる。
【0021】
なお、理論に束縛されることを望む訳ではないが、担持触媒5cの凝集体50を生じさせることによりカソード触媒層3の排水性が向上するのは、以下の理由によるものと考えられる。
【0022】
カソード触媒層3中において、担持触媒5bは凝集体を形成しておらず、それらの間の隙間7は小さい。これは、例えば、反応が生じ得る表面をより広くすることなどを目的として、担持触媒5bとして比較的粒径の小さなものを使用しているためである。
【0023】
カソード触媒層3中で生じた水は、小さな隙間7を流れ難い。そのため、従来のカソード触媒層では、水の余剰が生じ易い。
【0024】
これに対し、カソード触媒層3中に担持触媒5cの凝集体を形成すると、凝集体50の内部及び/または凝集体50の近傍に、担持触媒5b間の隙間7と比較して、より大きな隙間17が生じる。カソード触媒層3中で生じた水は、小さな隙間7に比べ、大きな隙間17を流れ易い。そのため、本実施形態によると、カソード触媒層3において高い排水性を実現することができる。
【0025】
以上説明した効果は、凝集体50の寸法やカソード触媒層3に対する凝集体50の割合に依存している。すなわち、先の効果は、例えば、光学顕微鏡、走査電子顕微鏡(SEM)、レーザ顕微鏡などの顕微鏡を利用してカソード触媒層3の主面またはそれに平行な断面を100倍の倍率に拡大して観察したときに凝集体50を100個/mm2以上の割合で視認可能である場合に得ることができる。
【0026】
なお、上記の観察は、100μm×100μm或いはそれよりも広い領域に対して行う。また、通常、先の観察により視認可能な最小の凝集体50は5.0μm程度の粒径を有している。
【0027】
図3に示すカソード触媒層3の作製方法に特に制限はないが、例えば、以下の方法を利用することができる。すなわち、担持触媒5bと担持触媒5cとに、カソード触媒層3を形成するための分散液に含まれるプロトン電導性固体電解質と有機溶剤との混合物に対する親和性が互いに異なるものを使用する。
【0028】
例えば、まず、カルボキシル基などの親水性官能基をより多く含有したカーボン担体を用いて担持触媒5cを生成し、そのような親水性官能基の含量がより少ないカーボン担体を用いて担持触媒5bを生成する。次いで、これら担持触媒5b,5cと、パーフルオロスルホン酸イオノマーなどのプロトン電導性固体電解質と、有機溶剤とを含有した分散液を調製する。その後、この分散液をテフロンシートなどの基板上に塗布し、塗膜から有機溶剤を除去する。このようにして、図3に示すカソード触媒層3を得ることができる。
【0029】
この方法では、上記分散液中で、担持触媒5cとプロトン電導性固体電解質との間には静電斥力が作用する。他方、担持触媒5bとプロトン電導性固体電解質との間に大きな静電斥力が作用することはない。そのため、上記分散液中で、担持触媒5cは、互いに凝集して粗大な凝集体50を形成する。したがって、カソード触媒層3は、粗大な凝集体50を含むこととなる。
【0030】
或いは、例えば、担持触媒5bに結晶性がより低いカーボン担体を使用し、担持触媒5cに結晶性がより高いカーボン担体を使用してもよい。すなわち、担持触媒5bに(002)面の格子面間隔がより広いカーボン担体を使用し、担持触媒5cに(002)面の格子面間隔がより狭いカーボン担体を使用してもよい。一般に、カーボン担体の結晶性と比表面積との間には相関がある。また、カーボン担体の比表面積は、そのプロトン電導性固体電解質及び有機溶剤を含有した溶液との親和性に影響を与える。それゆえ、これら担持触媒5b,5cを使用した場合も、先に説明したのと同様の方法により、分散液中で担持触媒5cの凝集体50を形成することができ、したがって、図3に示すカソード触媒層3を得ることができる。
【0031】
なお、先の方法では、カソード触媒層3中の凝集体50の寸法や密度は、例えば、上記分散液中の担持触媒5bと担持触媒5cとの割合、カーボン担体の有機溶剤に対する親和性(或いは、カーボン担体の親水性官能基含量や結晶性)、有機溶剤やプロトン電導性固体電解質の種類などに応じて、容易に調節することができる。また、上記の方法で使用する分散液に対して粒度分布測定を行うと、通常、凝集体の存在に起因して複数のピークを有する曲線が得られる。
【0032】
次に、図1に示す膜電極接合体1の各構成要素に使用可能な材料などについて説明する。
【0033】
担持触媒5a乃至5cの白金触媒としては、白金を使用してもよく、或いは、白金合金を使用してもよく、或いは、それらを混合して使用してもよい。白金と合金を形成して白金触媒として使用可能な元素としては、例えば、白金以外の白金族、金、コバルト、クロム、ニッケル、鉄、モリブデン、タングステン、レニウム、アルミニウム、珪素、亜鉛及び錫などを挙げることができる。また、白金触媒として白金合金を使用する場合、それらに占める白金の割合は、通常、30原子%乃至90原子%程度とする。
【0034】
白金触媒の平均粒径は、1nm乃至5nm程度であってもよい。白金触媒の平均粒径を1nm以上とすると、担持触媒5a乃至5cを生成する過程で、白金触媒同士の凝集を抑制することができる。また、白金触媒の平均粒径を5nm以下とすると、それらの比表面積が大きくなり、その触媒としての能力を十分に引き出すことができる。
【0035】
担持触媒5a乃至5cの担持量は、5重量%乃至80重量%程度とすることが望ましく、20重量%乃至80重量%程度とすることがより望ましい。担持量が先の下限値以上である場合、固体高分子型燃料電池の電流電圧特性を向上させるうえで有利である。また、担持量が約80重量%以下である場合、白金触媒の比表面積を高めるうえで有利であり、また、コストの観点でも有利である。
【0036】
担持触媒5a乃至5cのカーボン担体としては、例えば、カーボンブラックや活性炭などを使用することができる。
【0037】
カーボン担体に含まれる親水性官能基の量が異なる互いに担持触媒5b,5cを用いてカソード触媒層3中に担持触媒5cの凝集体50を形成する場合、担持触媒5bのカーボン担体としては、例えば、カルボキシル基などの親水性官能基の1g当りの含量が0.2mg未満であるものを使用することができる。他方、担持触媒5cのカーボン担体としては、例えば、カルボキシル基などの親水性官能基の1g当りの含量が0.2mg乃至6.0mg程度であるものを使用することができる。この場合、カソード触媒層3中に含まれる全カーボン担体に占める担持触媒5cのカーボン担体の割合は、例えば、5重量%乃至40重量%程度としてもよい。
【0038】
カーボン担体に含まれる親水性官能基の量が異なる担持触媒5b,5cを用いてカソード触媒層3中に担持触媒5cの凝集体50を形成する場合、典型的には、担持触媒5bのカーボン担体の揮発分含量は0.2重量%未満であり、担持触媒5cのカーボン担体の揮発分含量は0.2重量%乃至10重量%程度である。また、この場合、典型的には、担持触媒5bのカーボン担体のDBP吸油量は200mL/100g乃至650mL/100gの範囲内にあり、担持触媒5cのカーボン担体のDBP吸油量は200mL/100g未満である。
【0039】
カーボン担体の結晶性が異なる担持触媒5b,5cを用いてカソード触媒層3中に担持触媒5cの凝集体50を形成する場合、担持触媒5bのカーボン担体としては、例えば、(002)面の格子面間隔が3.4Å未満であるものを使用することができる。他方、担持触媒5cのカーボン担体としては、例えば、(002)面の格子面間隔が3.4Å乃至3.76Åの範囲内にあるものを使用することができる。この場合、カソード触媒層3中に含まれる全カーボン担体に占める担持触媒5cのカーボン担体の割合は、例えば、5重量%乃至20重量%程度としてもよい。
【0040】
カーボン担体の結晶性が異なる担持触媒5b,5cを用いてカソード触媒層3中に担持触媒5cの凝集体50を形成する場合、典型的には、担持触媒5bのカーボン担体の比表面積は800m2/g乃至1200m2/gの範囲内にあり、担持触媒5cのカーボン担体の比表面積は50m2/g乃至500m2/gの範囲内にある。また、この場合、典型的には、担持触媒5bのカーボン担体は、担持触媒5cのカーボン担体よりも平均粒径が小さい。
【0041】
先の観察により視認可能な凝集体50の割合は、200個/mm2以上であることが望ましい。この場合、より優れた電池特性を実現するうえで有利である。また、先の観察により視認可能な凝集体50の割合は、40,000個/mm2以下であることが望ましい。カソード触媒層3中における凝集体50の割合が過剰に高いと、単位体積当りの有効表面,すなわち白金触媒のプロトン電導性固体電解質と接触可能な表面,が狭くなる。
【0042】
凝集体50の粒径は、10μm以上であることが望ましく、12μmよりも大きいことがより望ましい。この場合、より優れた電池特性を実現するうえで有利である。
【0043】
凝集体50の粒径は、カソード触媒層3の厚さよりも小さければよい。但し、通常、凝集体50の最大粒径は20μm以下である。
【0044】
アノード触媒層2、カソード触媒層3及びプロトン電導性固体電解質層4中のプロトン電導性固体電解質は水を含んでいる。プロトン電導性固体電解質としては、例えば、−SO3 −基を有するプロトン電導性固体電解質を使用することができる。そのようなプロトン電導性固体電解質としては、例えばナフィオンに代表される以下の構造式に示すようなパーフルオロスルホン酸イオノマーを使用することが好ましい。また、図1に示す膜電極接合体1では、アノード触媒層2とカソード触媒層3とプロトン電導性固体電解質層4とに同種のプロトン電導性固体電解質を使用してもよく、或いは、それらには互いに異なる種類のプロトン電導性固体電解質を使用してもよい。
【0045】
【化1】
【0046】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
・カソード触媒層[C−1]
まず、カルボキシル基含量がより少ないカーボン担体[A]を3.8gと、カルボキシル基含量がより多いカーボン担体[B]を0.2gとを均一に混合した。なお、担体[A]は、揮発分含量が0.1重量%、1g当りのカルボキシル含量が0.01mg、比表面積が1040m2/g、DBP給油量が410ml/100g、平均粒径が28nm、(002)面の格子面間隔が3.81Åのカーボン粉末である。また、担体[B]は、揮発分含量が3.1重量%、1g当りのカルボキシル含量が1.8mg、比表面積が226m2/g、DBP給油量が34ml/100g、平均粒径が46nm、(002)面の格子面間隔が3.78Åのカーボン粉末である。
【0047】
次に、担体[A]と担体[B]との混合物を、6.0gの白金を含む1Lの塩化白金酸水溶液中に十分に分散させた。その後、この分散液を濾過し、濾過ケークを1Lの脱イオン水で洗浄した。
【0048】
次いで、洗浄後の濾過ケークを1Lの脱イオン水中に再度分散させ、この分散液に、還元剤として2gの水素化ホウ素ナトリウムを添加した。その後、この分散液を濾過し、濾過ケークを洗浄した。さらに、この濾過ケークを80℃で48時間乾燥させることにより、白金触媒の平均粒径が2.3nmの触媒粉末[A−1]を得た。
【0049】
次に、不活性ガス中で、触媒粉末[A−1]とパーフルオロスルホン酸イオノマーと有機溶剤とを混合し、超音波ホモジナイザにより均一な分散液を調製した。この分散液をテフロンシート上に塗布し、得られた塗膜を乾燥させることにより、カソード触媒層[C−1]を得た。
【0050】
このカソード触媒層[C−1]を光学顕微鏡で100倍に拡大して観察した。その結果、視認可能な凝集体50は存在していなかった。
【0051】
・カソード触媒層[C−2]
3.6gの担体[A]と0.4gの担体[B]とを混合したこと以外は、触媒粉末[A−1]に関して上述したのと同様の方法により、白金触媒の平均粒径が2.2nmの触媒粉末[A−2]を得た。次に、この触媒粉末[A−2]を用いたこと以外はカソード触媒層[C−1]に関して上述したのと同様の方法により、カソード触媒層[C−2]を作製した。
【0052】
次いで、このカソード触媒層[C−2]を光学顕微鏡で100倍に拡大して観察した。その結果、視認可能な凝集体50は、680個/mm2の割合で分布していた。
【0053】
・カソード触媒層[C−3]
3.2gの担体[A]と0.8gの担体[B]とを混合したこと以外は、触媒粉末[A−1]に関して上述したのと同様の方法により、白金触媒の平均粒径が2.3nmの触媒粉末[A−3]を得た。次に、この触媒粉末[A−3]を用いたこと以外はカソード触媒層[C−1]に関して上述したのと同様の方法により、カソード触媒層[C−3]を作製した。
【0054】
次いで、このカソード触媒層[C−3]を光学顕微鏡で100倍に拡大して観察した。その結果、視認可能な凝集体50は、670個/mm2の割合で分布していた。
【0055】
・カソード触媒層[C−4]
2.8gの担体[A]と1.2gの担体[B]とを混合したこと以外は、触媒粉末[A−1]に関して上述したのと同様の方法により、白金触媒の平均粒径が2.3nmの触媒粉末[A−4]を得た。次に、この触媒粉末[A−4]を用いたこと以外はカソード触媒層[C−1]に関して上述したのと同様の方法により、カソード触媒層[C−4]を作製した。
【0056】
次いで、このカソード触媒層[C−4]を光学顕微鏡で100倍に拡大して観察した。その結果、視認可能な凝集体50は、700個/mm2の割合で分布していた。
【0057】
・カソード触媒層[C−5]
2.4gの担体[A]と1.6gの担体[B]とを混合したこと以外は、触媒粉末[A−1]に関して上述したのと同様の方法により、白金触媒の平均粒径が2.2nmの触媒粉末[A−5]を得た。次に、この触媒粉末[A−5]を用いたこと以外はカソード触媒層[C−1]に関して上述したのと同様の方法により、カソード触媒層[C−5]を作製した。
【0058】
次いで、このカソード触媒層[C−5]を光学顕微鏡で100倍に拡大して観察した。その結果、視認可能な凝集体50は、200個/mm2の割合で分布していた。
【0059】
・カソード触媒層[C−6]
カーボン担体[A]を3.6gと、結晶性がより高いカーボン担体[C]を0.4gとを均一に混合した。なお、担体[C]は、揮発分含量が0.1重量%、1g当りのカルボキシル含量が0.00mg、比表面積が98m2/g、DBP給油量が17ml/100g、平均粒径が345nm、(002)面の格子面間隔が3.35Åのカーボン粉末である。
【0060】
これら担体[A]と担体[C]との混合物を使用したこと以外は、触媒粉末[A−1]に関して上述したのと同様の方法により、白金触媒の平均粒径が2.2nmの触媒粉末[A−6]を得た。次に、この触媒粉末[A−6]を用いたこと以外はカソード触媒層[C−1]に関して上述したのと同様の方法により、カソード触媒層[C−6]を作製した。
【0061】
次いで、このカソード触媒層[C−6]を光学顕微鏡で100倍に拡大して観察した。その結果、視認可能な凝集体50は、100個/mm2の割合で分布していた。
【0062】
・カソード触媒層[C−7]
3.2gの担体[A]と0.8gの担体[C]とを混合したこと以外は、触媒粉末[A−1]に関して上述したのと同様の方法により、白金触媒の平均粒径が2.2nmの触媒粉末[A−7]を得た。次に、この触媒粉末[A−7]を用いたこと以外はカソード触媒層[C−1]に関して上述したのと同様の方法により、カソード触媒層[C−7]を作製した。
【0063】
次いで、このカソード触媒層[C−7]を光学顕微鏡で100倍に拡大して観察した。その結果、視認可能な凝集体50は、370個/mm2の割合で分布していた。
【0064】
・カソード触媒層[C−8]
2.8gの担体[A]と1.2gの担体[C]とを混合したこと以外は、触媒粉末[A−1]に関して上述したのと同様の方法により、白金触媒の平均粒径が2.3nmの触媒粉末[A−8]を得た。次に、この触媒粉末[A−8]を用いたこと以外はカソード触媒層[C−1]に関して上述したのと同様の方法により、カソード触媒層[C−8]を作製した。
【0065】
次いで、このカソード触媒層[C−8]を光学顕微鏡で100倍に拡大して観察した。その結果、視認可能な凝集体50は、880個/mm2の割合で分布していた。
【0066】
・カソード触媒層[C−9]
2.4gの担体[A]と1.6gの担体[C]とを混合したこと以外は、触媒粉末[A−1]に関して上述したのと同様の方法により、白金触媒の平均粒径が2.1nmの触媒粉末[A−9]を得た。次に、この触媒粉末[A−9]を用いたこと以外はカソード触媒層[C−1]に関して上述したのと同様の方法により、カソード触媒層[C−9]を作製した。
【0067】
次いで、このカソード触媒層[C−9]を光学顕微鏡で100倍に拡大して観察した。その結果、視認可能な凝集体50は、1790個/mm2の割合で分布していた。
【0068】
・カソード触媒層[C−10]
カーボン担体として4.0gの担体[A]のみを用いたこと以外は、触媒粉末[A−1]に関して上述したのと同様の方法により、白金触媒の平均粒径が2.1nmの触媒粉末[A−10]を得た。次に、この触媒粉末[A−10]を用いたこと以外はカソード触媒層[C−1]に関して上述したのと同様の方法により、カソード触媒層[C−10]を作製した。
【0069】
次いで、このカソード触媒層[C−10]を光学顕微鏡で100倍に拡大して観察した。その結果、視認可能な凝集体50は、18個/mm2の割合で分布していた。
【0070】
・アノード触媒層[D−1]の作製
カーボン担体として市販の比表面積が250m2/gのカーボン粉末を使用し、このカーボン粉末7.0gを3.0gの白金を含む1Lの塩化白金酸水溶液中に十分に分散させた。その後、この分散液を濾過し、濾過ケークを1Lの脱イオン水で洗浄した。
【0071】
次いで、洗浄後の濾過ケークを1Lの脱イオン水中に再度分散させ、この分散液に、還元剤として2gの水素化ホウ素ナトリウムを添加した。その後、この分散液を濾過し、濾過ケークを洗浄した。さらに、この濾過ケークを80℃で48時間乾燥させることにより、白金触媒の平均粒径が2.3nmの触媒粉末[B−1]を得た。
【0072】
次に、この触媒粉末[B−1]を用いたこと以外はカソード触媒層[C−1]に関して上述したのと同様の方法により、アノード触媒層[D−1]を作製した。
【0073】
上記の触媒層に利用した担体[A]乃至[C]の物性を以下の表1に纏める。また、上記の方法により得られた各触媒層の組成等を以下の表2に纏める。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
また、カソード触媒層[C−1]乃至[C−10]について撮影した顕微鏡写真の一部を図4及び図5に示す。なお、図4はカソード触媒層[C−10]の顕微鏡写真であり、図5はカソード触媒層[C−3]の顕微鏡写真である。
【0077】
図4に示すように、カソード触媒層3に含まれる担持触媒のカーボン担体として1種のカーボン担体のみを使用した場合、カソード触媒層3中には凝集体50は殆んど生じなかった。それに対し、図5に示すように、カソード触媒層3に含まれる担持触媒のカーボン担体として2種のカーボン担体を混合して使用した場合、カソード触媒層3中に多数の凝集体50を生じさせることができた。
【0078】
・膜電極接合体の作製
アノード触媒層2に触媒層[C−1]乃至[C−10]の何れかを使用するとともに、カソード触媒層3に触媒層[D−1]を使用した複数の膜電極接合体1を作製した。具体的には、触媒層[C−m]と触媒層[D−1]とをプロトン電導性固体電解質層4を介してホットプレスにより貼り合せた。
【0079】
・膜電極接合体の評価
上記の膜電極接合体1について、以下の方法で特性を評価した。
【0080】
すなわち、まず、上記の膜電極接合体1を測定用セルに組み込み、アノード触媒層2には所定の流量で水素ガスを供給し、カソード触媒層3には所定の流量で空気を供給した。このような条件のもと、電流電圧特性を測定した。
【0081】
図6は、カソード触媒層[C−3]を用いた膜電極接合体1の電流電圧特性及びカソード触媒層[C−10]を用いた膜電極接合体1の電流電圧特性を示すグラフである。図中、横軸は電流密度を示し、縦軸は電池電圧を示している。また、図中、参照符号101はカソード触媒層[C−3]を用いた膜電極接合体1について得られたデータを示し、参照符号102はカソード触媒層[C−10]を用いた膜電極接合体1について得られたデータを示している。
【0082】
図6に示すように、カソード触媒層[C−3]を用いた場合、カソード触媒層[C−10]を用いた場合と比較して、高電流密度域でより高い電池電圧を実現すること及びより高い電流密度を実現することができた。すなわち、カソード触媒層3中に凝集体50を生じさせることにより、高電流密度域で駆動した場合においても優れた電池特性を示す固体高分子型燃料電池を実現可能となる。
【0083】
次に、カソード触媒層3に含まれる凝集体50の数と電流電圧特性との関係について調べた。
【0084】
図7は、カソード触媒層3に含まれる凝集体50の数と電流電圧特性との関係を示すグラフである。図中、横軸は、先の条件でカソード触媒層3の単位面積を観察した場合に視認可能な凝集体50の個数を示している。また、図中、縦軸は、電流密度が1.0A/cm2であるときの電池電圧を示している。
【0085】
図7に示すように、先の条件で視認可能な凝集体50が100個/mm2以上の割合で存在している場合、0.67V以上の高い電池電圧が得られた。また、先の条件で視認可能な凝集体50が200個/mm2以上の割合で存在している場合の殆んどにおいて、より高い電池電圧が得られた。
【0086】
次に、カソード触媒層3に含まれる凝集体50の最小粒径と電流電圧特性との関係について調べた。
【0087】
図8は、カソード触媒層3に含まれる凝集体50の最小粒径と電流電圧特性との関係を示すグラフである。図中、横軸は、先の条件でカソード触媒層3の単位面積を観察した場合に視認可能な凝集体50の最小粒径を示している。また、図中、縦軸は、電流密度が1.0A/cm2であるときの電池電圧を示している。
【0088】
図8に示すように、先の条件で視認可能な凝集体50の最小粒径が5μm以上である場合、0.67V以上の高い電池電圧が得られた。また、先の条件で視認可能な凝集体50の最小粒径が約10μm以上の場合により高い電池電圧が得られ、12μmよりも大きい場合にさらに高い電池電圧が得られた。
【0089】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、高電流密度域で駆動した場合においても優れた電池特性を示す固体高分子型燃料電池を実現可能とする固体高分子型燃料電池用カソード触媒層及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る固体高分子型燃料電池用の膜電極接合体を概略的に示す断面図。
【図2】図1に示す膜電極接合体のアノード触媒層を概略的に示す断面図。
【図3】図1に示す膜電極接合体のカソード触媒層を概略的に示す断面図。
【図4】比較例に係るカソード触媒層の顕微鏡写真。
【図5】実施例に係るカソード触媒層の顕微鏡写真。
【図6】実施例に係るカソード触媒層を用いた膜電極接合体の電流電圧特性及び比較例に係るカソード触媒層を用いた膜電極接合体の電流電圧特性を示すグラフ。
【図7】カソード触媒層に含まれる凝集体の数と電流電圧特性との関係を示すグラフ。
【図8】カソード触媒層に含まれる凝集体の最小粒径と電流電圧特性との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1…膜電極接合体、2…アノード触媒層、3…カソード触媒層、4…プロトン電導性固体電解質層、5a…担持触媒、5b…担持触媒、5c…担持触媒、7…隙間、17…隙間、50…凝集体、101…データ、102…データ。
Claims (8)
- 白金及び白金合金の少なくとも一方を粒子状のカーボン担体に担持してなる担持触媒とプロトン電導性固体電解質とを含有し、前記担持触媒の一部は凝集体を形成した固体高分子型燃料電池用カソード触媒層であって、その主面またはそれに平行な一断面を100倍の倍率に拡大して観察した場合に前記凝集体を100個/mm2以上の割合で視認可能であることを特徴とする固体高分子型燃料電池用カソード触媒層。
- 白金及び白金合金の少なくとも一方を粒子状のカーボン担体に担持してなる担持触媒とプロトン電導性固体電解質とを含有し、前記担持触媒の一部は凝集体を形成した固体高分子型燃料電池用カソード触媒層であって、その主面またはそれに平行な一断面内に前記凝集体のうち粒径が5.0μm以上のものが100個/mm2以上の割合で分布していることを特徴とする固体高分子型燃料電池用カソード触媒層。
- 前記凝集体を形成している前記担持触媒と、それ以外の前記担持触媒とは、前記プロトン電導性固体電解質と有機溶剤とを含有した溶液に対する親和性が互いに異なっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固体高分子型燃料電池用カソード触媒層。
- 前記凝集体を形成している前記担持触媒は、それ以外の前記担持触媒と比較して、前記カーボン担体の(002)面の格子面間隔がより広いことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の固体高分子型燃料電池用カソード触媒層。
- 前記凝集体を形成している前記担持触媒は、それ以外の前記担持触媒と比較して、前記カーボン担体の比表面積がより小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の固体高分子型燃料電池用カソード触媒層。
- 白金及び白金合金の少なくとも一方を粒子状の第1カーボン担体に担持してなる第1担持触媒と、白金及び白金合金の少なくとも一方を前記第1カーボン担体とは有機溶剤に対する親和性が異なる粒子状の第2カーボン担体に担持してなる第2担持触媒と、プロトン電導性固体電解質と、前記有機溶剤とを含有した分散液を用いて塗膜を形成し、前記塗膜から前記有機溶剤を除去することを特徴とする固体高分子型燃料電池用カソード触媒層の製造方法。
- 前記第1カーボン担体と前記第2カーボン担体とは、親水性官能基の含量が互いに異なっていることを特徴とする請求項6に記載の固体高分子型燃料電池用カソード触媒層の製造方法。
- 前記第1カーボン担体と前記第2カーボン担体とは、結晶性が互いに異なっていることを特徴とする請求項6に記載の固体高分子型燃料電池用カソード触媒層の製造方法。
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WO2005083818A1 (ja) * | 2004-02-26 | 2005-09-09 | Sharp Kabushiki Kaisha | 燃料電池用電極触媒、これを用いた燃料電池 |
WO2007119640A1 (ja) * | 2006-03-31 | 2007-10-25 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | 燃料電池用電極触媒及びその製造方法 |
JP2008159519A (ja) * | 2006-12-26 | 2008-07-10 | Nippon Steel Corp | 燃料電池 |
-
2003
- 2003-08-04 JP JP2003205697A patent/JP2005056593A/ja active Pending
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