電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機などの画像形成装置における現像方式には、トナーと磁性キャリアを用いた2成分現像方式、絶縁トナーや導電トナーを用いた1成分現像方式、磁性キャリアを用いて非磁性のトナーを帯電させる2成分現像剤を使用し、現像ローラ上に帯電されたトナーのみを保持させて感光体上の静電潜像に飛翔させ、該潜像を現像するようにしたいわゆるハイブリッド現像方式などがある。
このうちハイブリッド現像方式は、従来、非接触の1成分現像の手段として検討されてきたが、近年、高速の画像形成が可能な現像方式として、特に感光体(感光体)上に複数のカラー画像を順次形成する1ドラム色重ね方式用としても検討されてきた。この方式では、感光体上に正確にトナーを重ねることで色ズレの少ないカラー画像形成が可能であり、カラーの高画質化に対応する技術として注目されてきた。
しかしながらこの1ドラム色重ね方式では、使用する色数分の現像装置を感光体の周りに配置せねばならないから、感光体が大型になり、画像形成装置の小型化の妨げになる。そのため、使用するトナーの色に対応した複数の電子写真プロセス部材を並べて配置し、転写部材の送りに同期させてカラ−画像を形成して転写部材上で色重ねを行うタンデム方式が注目されてきた。また、この場合の現像方式としてハイブリッド現像方式を用いると、現像ローラが感光体と非接触であるから感光体のトルク変動をきたすことがなく、タンデム型の弱点である色ずれをおこさず、ドット再現性に優れた長寿命化が可能な高速の画像形成装置が提供できる。
またこのハイブリッド現像方式では、現像剤中に現像されない微粉や外添剤等が含まれると現像性を落とす原因となる。そこで現像性を向上させるため、現像ローラと感光体間距離を狭くする、又は、現像ドラムに印加する交流バイアスのピーク電圧(Vpp)を高くする、などの方法が用いられているが、このようにすると、現像ローラ上のトナー層と感光体の間でリークが発生し、白地の上にφ0.1〜2.0mmの色点や黒点が生じる不良画像が発生する。
また、この種のハイブリッド現像方式においては、供給ローラのキャリアによって形成される磁気ブラシによって供給ローラと現像ローラとが接触しているため、現像ローラ上のチャージアップされたトナー層から供給ローラへリークが発生して大電流が流れることがある。これは、絶縁性キャリアを用いると、チャージアップによって現像性が落ちるため、キャリアとして108〜1010Ωcmのどちらかと言えば導電性に近いキャリアを使用しているためであり、湿度などの環境条件により、現像ローラと磁気ブラシを介した供給ローラ間の抵抗値が低下し、を通じてリークが発生してしまうわけである。この場合、このリークに起因したノイズによって露光系が誤動作し、露光系を構成するLEDやレーザーが光ってはいけないタイミングで光る、あるいは光るべきタイミングで光らない瞬間が生じ、走査方向に、原画像にない線が描画される(横筋ノイズ)、あるいは必要な線が描画されないなどの不良画像となってしまう。
このうち、現像ローラ上のトナー層と感光体の間でのリークによる色点や黒点を押さえる方法としては、例えば特許文献1および2には、内部に静止磁石を有し、磁石ローラで構成した供給ローラ上の磁気ブラシから現像剤を移し取り、感光体上の潜像を現像するようにした現像ローラを有する現像装置に於いて、現像時における感光体電荷のリーク防止のため、現像ローラ表面に106Ω以上のアルマイト加工などによる絶縁層を設けることが示されている。
また特許文献3には、1成分現像剤を表面に担持し、潜像担持体に接触して接触現像する現像ローラを金属で形成した場合、潜像担持体の非画像部に感光層の一部が欠如したピンホールがあると、現像ローラの現像剤のない現像剤非担持領域がこのピンホールと直接接触し、潜像担持体から現像ローラへ許容電流値より大きな電流が流れ、画像部に白抜けや筋状の黒色部が発生することがあるため、現像ローラ表面をアルマイト処理し、大電流が流れるのを防止した現像装置が示されている。
さらに特許文献4乃至6には、こういったリーク防止が目的ではないが、荷電量調節のために供給ローラ表面を樹脂で被覆したり、硬度アップのためにアルマイト処理すること(特許文献4)、表面にブラスト処理による凹凸を設けたアルミなどを基材とした現像剤担持体において、耐摩耗性向上のために陽極酸化によるアルマイト処理をしたとき、表面抵抗が高くなるとゴーストが発生するため、アルマイト層に微細孔を均一に設け、トナーの持つ電荷のリークサイトを均一に無数設けてアルマイト層の表面抵抗を小さくすること(特許文献5)、感光体を帯電させる帯電ローラにおいて、アルミニウムやアルミニウム合金よりなる支持体表面に陽極酸化処理によって多孔質陽極酸化アルミニウム被膜を設け、この孔中に金属、または遷移金属の酸素酸塩より形成された導電物または純水が付着させ、摩耗しにくく、環境条件が変化しても安定な抵抗値を有して感光体汚染を生じないようにすること(特許文献6)などか示されている。
さらに特許文献7、8には、これもリーク防止が目的ではないが、トナーにより記録画像を得る画像記録装置の画像記録媒体を、導電性基材とその外周面に形成された絶縁体層を備え、絶縁体層を導電性基材の外表面に対してほぼ垂直方向に柱状に分散して充填された導電性金属物質を含む絶縁性金属物質で構成し、摩耗しにくい硬い絶縁体表面層を有しながら、ゴースト及び画像濃度低下を押さえ、たとえ絶縁体表面層が摩耗しても、電気的特性が変化しにくく、画質変化を少なくすること(特許文献7)、アルミニウムあるいはアルミニウム合金からなるアルミニウム材に対し、陽極酸化によって多孔質の陽極酸化皮膜を形成するに際し、多孔質の陽極酸化皮膜を形成可能な有機酸イオンおよび無機酸イオンのうちの少なくとも一方のイオンとともに、硝酸イオンを含む陽極酸化浴中でアルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミニウム材に陽極酸化処理を行ない、アルミニウム材表面に多孔質の陽極酸化皮膜を形成した後、金属イオンを含む電析浴中で前記アルミニウム材に対して電析処理を行い、当該電析浴から前記多孔質の陽極酸化皮膜の細孔中に金属を電析させて当該陽極酸化皮膜に導電性を付与するようにする方法(特許文献8)などが開示されている。
特公平2−37594号公報
特開2001−318526公報
特開2001−343829公報
特公平8−12510号公報
特開2003−35992公報
特開平7−199597号公報
特公平4−199153号公報
再公表特許WO00/01865号公報
図1は本発明になる画像形成装置における現像装置の供給ローラ表面に形成する抵抗値制御膜の形成方法を説明するための図、図2は本発明になる画像形成装置における現像装置の一実施例の模式図、図3は本発明になる画像形成装置における現像装置と従来の現像装置における横筋リークの発生状況を示した表、図4は本発明になる画像形成装置における現像装置の供給ローラの耐摩耗性を確認したグラフ、図5は本発明になる画像形成装置における現像装置の供給ローラに施した抵抗値制御膜としての特定のアルマイト処理による皮膜を含む、種々の供給ローラの現像γ特性を示したグラフ、図6は本発明になる現像方法を実施する画像形成装置の一実施例の模式図である。
図中1は感光体(潜像担持体)ドラム、2はLEDなどを使った露光装置、3は感光体位置を帯電するための帯電器、4は現像ローラ、5は内部に磁石集成体6を有して回転し、表面にキャリアとトナーからなる磁気ブラシ10を担持して回転するスリーブからなる供給ローラ、7は供給ローラ5上の磁気ブラシ10の厚さを規制する規制ブレード、8a、8bはトナーコンテナ9から供給されるトナーをキャリアと混合して撹拌し、帯電させるためのミキサー、11は記録紙、12は現像装置、15は現像ローラ4に交流バイアスを印加するための交流電源、16は同じく直流バイアスを印加するための直流電源、17は供給ローラ5に直流バイアスを印加するための直流電源、20は画像形成装置、図1において31は供給ローラ5を構成するアルミ基材32の表面に陽極酸化処理により形成した多孔質陽極酸化被膜、33は細孔、34は細孔33に析出させた金属、35は金属34を析出する細孔の底部、図6において53は給紙カセット、54は無端状ベルト、58は転写装置、59は定着装置で、抵抗22とコンデンサ23は、供給ローラ5へバイアスを印加するバイアス電源による突入電流制限手段としてのロウパス・フィルタを構成する。なお、感光体1はベルト状の感光体ベルトで構成しても良いことは言うまでもない。
図2、または図6に示した感光体(潜像担持体)1の材料としては、アモルファスシリコン(a−Si)感光体、有機感光体(OPC)などを用いることができる。正帯電有機感光体(正OPC)は、オゾンなどの発生が少なくて帯電が安定しており、特に単層構造の正帯電有機感光体は、長期にわたる使用によって膜厚が変化した場合においても感光特性に変化が少なく、画質も安定するため長寿命のシステムには好適である。そして、正帯電有機感光体を長寿命のシステムに用いる場合、膜厚を20μmから40μm程度に設定することが好ましい。20μm以下の場合は、膜厚が減少して10μm程度になったときに絶縁破壊によって黒点の発生が目だってくる。また、40μm以上とした場合は感度が低下し、画像濃度低下の要因となる。
露光装置2は、半導体レーザ、もしくはLEDを用いることができる。正帯電有機感光体を用いた場合は770nm付近の波長が有効であり、アモルファスシリコン感光体の場合は685nm付近の波長が有効である。以下本発明においては、感光体1として正帯電有機感光体を用い、露光装置2の光源としてLEDを用いた場合を例に説明してゆく。
現像ローラ4の最表面は、均一な導電性のアルミニウム、SUS、導電樹脂被覆などからなるスリーブで構成する。そしてそのシャフト部には、直流(DC)バイアス電源16、交流(AC)バイアス電源15を接続し、回転する現像ローラ4と感光体1、及び供給ローラ5との間にこの直流と交流を重畳したバイアスが作用するようにする。また、供給ローラ5には直流(DC)バイアス電源17を接続し、この直流(DC)バイアス電源17の電位を例えば400Vとし、直流(DC)バイアス電源16の電位を例えば70Vとして、その電位差で現像ローラ4に約1〜1.5mg/cm2のトナー薄層を形成する。この時の現像剤の帯電量は10〜20μC/gが適正で、10μC/g以下、特に5μC/g以下と低いとトナー層厚が厚くなり、飛散が増大する。一方、トナー帯電量が20μC/g以上になるとトナー層厚が薄くなり、帯電が上昇してトナーが感光体1へ飛翔しづらくなり、現像性が低下する。
また、現像ローラ4から感光体1へトナーを飛翔させるため、現像ローラ4へ交流(AC)バイアス電源15から交流電圧を印加することで現像性が得られる。この交流電圧としては、Vppが1.5kV、周波数2.7kHzで画像濃度、ドット再現、カブリ除去のバランスが取れ、デューティ(Duty)
比を27%にすることで、現像ゴーストを除去することができた。また、現像ローラ4のトナー層表面越しの電位を測定すると約320Vとなっており、320V−70V(全露光後感光体電位)=250Vが実質の現像の実行電位であるといえる。
供給ローラ5の表面状態としては、キャリアの搬送性を上げるためにビーズブラスト又はサンドブラストを用いる。この時の表面粗さとしてRz10μm〜25μmが好ましい。もし、Rz10μm以下ならば、キャリアの搬送性が落ちて供給ローラ5上の磁気ブラシ層10が薄くなり、現像性も落ちる。Rz25μm以上になると、必要以上のキャリアを搬送してしまい、磁気ブラシ層10が必要以上に厚くなりすぎて、現像ローラ4と供給ローラ5間のギャップを抜けられなくなり、キャリアが現像器より溢れ出る不具合が発生する。
トナーは、5〜20μC/gに制御され、トナー飛散・カブリを防止し、なお且つ、低電界で現像することで現像ローラ4上に現像履歴現象を残さず、トナーの回収性に優れた現像システムができる。
現像剤には、トナーの回収と供給の役割を有する106Ωcm〜109Ωcmの抵抗のキャリアを使い、現像ローラ4と供給ローラ5の間のニップで、強固に静電的に付着したトナーを磁気ブラシで引き剥がし、現像に必要なトナーを供給する。このとき、トナーとの接点を増やすためには、40μm以下の小径キャリアを用い、キャリアの表面積を高めることが好ましい。キャリアとしては、マグネタイトキャリア、Mn系フェライト、Mn−Mg系フェライトなどを用いることができ、適正な抵抗値を上げない範囲で表面処理して用いることも可能である。本発明では一例として、体積固有抵抗が107Ωcmにシリコーン樹脂被覆をし、飽和磁化が70emu/g、平均粒径35μmのフェライトキャリアを用いた。106Ωcm以下では回収を重視した低抵抗キャリアは現像ゴースト対策には有効であるが、正確な帯電をトナーに付与しカブリの発生の無い現像を維持することは困難であり、さらに長期間運転した場合に現像ローラ4表面からトナーが飛散し、帯電器3や露光装置2を汚染する不具合を発生させてしまう。109Ωcm以上の抵抗では、帯電性能を付与することは可能であるが帯電が上昇しやすい問題があった。キャリアの抵抗値を適正にすることで、現像ローラ4上のトナーを回収しつつ、確実に帯電させたトナーを現像ローラ4に再度投入することが可能になる。
またトナーとキャリアの混合割合は、キャリアおよびトナーの合計量に対しトナーを5〜20重量%、好ましくは5〜15重量%とする。トナーの混合割合が5重量%未満であると、トナーの帯電量が高くなって十分な画像濃度が得られなくなり、20重量%を超えると今度は十分な帯電量が得られなくなるため、トナーが現像器から飛散して画像形成装置内を汚染したり、画像上にトナーカブリが生じる。
現像ローラ4上のトナー薄層は、現像剤の抵抗や現像ローラ4と供給ローラ5の回転速度差などによっても変化するが、この両ローラに与えられる直流バイアス(Vdc2)の直流電源17と直流バイアス(Vdc1)の直流電源16の電位差|(Vdc2)−(Vdc1)|(以下Δと表現する)によっても制御することが可能である。Δを大きくすると現像ローラ4上のトナーの薄層が厚くなり、Δを小さくすると薄い層になる。Δの範囲は、一般的に100Vから250V程度が適切である。そして、現像ローラ4上に10〜100μm、好ましくは30〜70μmのトナー層を形成し、現像ローラ4と感光体1とのギャップを150〜400μm、好ましくは200〜300μmとし、この空間を直流と交流電界によってトナーを感光体1上に飛翔させることで鮮明な画像を得ることができる。
連続印刷での画像濃度を安定させるためには、印刷データによって定期的に現像ローラ4からトナーを剥ぎ取り、リフレッシュする必要がある。これは、現像終了時に交流(AC)バイアス15を印加したまま、直流(DC)バイアス17を変化させて現像ローラ4上のトナーを磁気ブラシ10に回収する。現像終了時毎に現像ローラ4からトナーを剥ぎ取れば常にリフレッシュされるが、再度安定なトナー層を形成するのに時間を要し、十分な印刷速度を達成できない。良好な印刷速度を維持するためには、用紙間隔を調整して一定期間に現像ローラ4上のトナーを出し入れする時間を調整すればよい。用紙間隔を大きくしないで感光体1上の潜像に十分なトナーを供給するためには、感光体1に対して現像ローラ4の周速を1.5倍以上に設定すると、短時間にトナーの出し入れが可能になる。また、供給ローラ5を現像ローラ4に対して1超2倍以下の速度に設定すると、トナーの入れ替えが促進される。この時、供給ローラ5の回転方向が現像ローラ4に対して逆方向であることが好ましい。
供給ローラ5と現像ローラ4のギャップは400μmに設定されており、規制ブレード7と供給ローラ5とのギャップはキャリアの粒径に応じて調整されるが、平均粒径35μmのキャリアとトナー10%の現像剤においては350〜500μmに設定し、磁気ブラシ10が現像ローラ4に接触する設定にしてある。現像ローラ4と供給ローラ5のギャップが広すぎると現像剤がローラ間を通過できずに溢れてしまい、狭すぎると現像ローラ4に接触できず、現像ローラ4上のトナーを回収することが困難になる。そのため、現像動作を繰り返すと次第に現像ローラ4にトナーが固着してしまい、感光体1へトナーが飛翔できなくなってしまう。一方、感光体1と現像ローラ4との距離は150〜300μmに設定されておりリークと現像性能から調整する。狭くすると、ギャップ間の電界強度が高くなるため現像性が上がって現像装置12中の微粉の上昇も抑えられ、長寿命化に繋がるが、リークに関する余裕度が狭くなる。本発明においては、この感光体1と現像ローラ4との距離を250μmに設定し、この空間にはワイヤ電極などは用いない。
最初に、このように構成した現像装置を有する本発明になる画像形成装置20の一実施例の動作について、図2、図6の模式図を用いて説明する。この画像形成装置20は、無端状ベルト54が、給紙カセット53からの記録紙を定着装置59に向かって搬送可能に配設されており、記録紙を搬送するベルト54の上側には、ブラック用現像装置12A、イエロー用現像装置12B、シアン用現像装置12C及びマゼンタ用現像装置12Dが配設されている。そしてこれらの現像装置12(A、B、C、D)には、それぞれ供給ローラ5(A、B、C、D)、該供給ローラ5(A、B、C、D)に近接して現像ローラ4(A、B、C、D)が配設され、該現像ローラ4に対面して感光体1(A、B、C、D)が、さらにこの感光体1の周囲には、帯電器3(A、B、C、D)及び露光装置2(A、B、C、D)が配置されている。
このように構成したハイブリッド型現像装置を有する本発明のタンデム型画像形成装置において、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックなどのそれぞれの色に対応したトナーとキャリアからなる2成分現像剤は、トナーコンテナ9からそれぞれの現像装置12に供給され、図1に示した供給ローラ5上に磁気ブラシ10を形成し、攪拌によってトナーが帯電される。そして、供給ローラ5上の磁気ブラシ10は規制ブレード7によって層規制され、供給ローラ5に加えられた直流バイアス17と現像ローラ4に加えられた直流バイアス16間の電位差、及び交流バイアス15によって現像ローラ4にトナーのみの薄層を形成する。
そして、図示していない制御回路からプリント開始信号が来ると、まず、帯電器3によって正帯電有機感光体(正OPC)で構成された感光体1が例えば420Vに帯電され、その後、例えば770nmの波長のLEDを用いた露光装置2による露光により、感光体1の露光後電位は約70Vになって潜像が形成される。そしてこの潜像は、現像ローラ4に加えられた直流バイアス16と交流バイアス15により、現像ローラ4上のトナー薄層から感光体1に飛翔したトナーで現像され、トナー像が形成される。そして、給紙カセット53から記録紙が送りだされてベルト54で送られて感光体1に達したとき、転写装置58(A、B、C、D)による転写バイアスが印加されて記録紙にトナー像が転写され、定着装置59で定着されて排紙される。その後前記したように、印刷データによって定期的に、交流(AC)バイアス15を印加したまま、直流(DC)バイアス17を変化させて現像ローラ4上のトナー薄層を供給ローラ5に回収する。
そして本発明においては、以下に示す2点から、前記したリークに対する対策を行った。まずその1は、現像ローラ4のアルミ表面に、アルマイトコートを5μm以上好ましくは10μm以上塗布することである。しかしながらこのようにすると、紙間におけるキャリア引きが発生するので、その対策として紙間における交流バイアス電源15の周波数を3.5〜6kHz、好ましくは4.5〜6kHzとした。キャリア引きが発生する要因としては、現像ローラ4の表面にアルマイト処理したことで供給ローラ5と現像ローラ4間での直流成分の電流の行き来が減少し、供給ローラ5が磁力によってキャリアを保持する力よりも、現像ローラ4が電気的にキャリアを引く力が勝るからである。周波数を高めに設定すれば良いのはアルマイトによるコンデンサー層を交流成分が行き来できるからである。
この第1の対策は前記特許文献1乃至3にも記されているが、ハイブリッド現像方式においては、この第1の対策を実施しても現像ローラ4と供給ローラ5間のリークは防止できない。しかもこのリークは、キャリアを導通経路として起こるために電流量が多く、そのため現像ローラ4と感光体1間のリークでは発生しないようなノイズが露光系の信号線などに影響を与え、前記したように横筋画像などの不具合を発生させる。この現像ローラ4と供給ローラ5間のリーク対策としては、供給ローラ5の表面をアルマイト処理することも考えられる。アルマイト処理した供給ローラ5の表面は、通常一般的な無電解ニッケルメッキ処理よりも表面硬度が高く、初期のブラスト処理による表面粗さを、より、長く持続できるという利点があるが、現像性が落ちて濃度が低下するという問題点がある。そのため本発明においては、第2の対策として、供給ローラ5表面に、リーク防止手段としてキャリアの抵抗値より小で、且つ、供給ローラ5の基材より大に抵抗値制御された抵抗値制御膜を形成させるようにした。
この、供給ローラ5表面に形成する抵抗値制御膜の形成方法を説明するための図が図1である。この図1に示した抵抗値制御膜の形成方法は、多孔質の陽極酸化皮膜を形成可能な有機酸イオンおよび無機酸イオンのうちの少なくとも一方のイオンとともに、硝酸イオンを含む陽極酸化浴中でアルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミニウム基材32に陽極酸化処理を行い、当該アルミニウム基材32の表面に図1(A)のように多孔質の陽極酸化皮膜31を形成した後、金属イオンを含む電析浴中でアルミニウム基材32に対して電析処理を行い、この電析浴から、前記多孔質の陽極酸化皮膜31の細孔33中に図1(B)のように金属34を電析させ、当該陽極酸化皮膜31に導電性を付与するようにしたものである。
また、供給ローラ5表面に形成する抵抗値制御膜の形成する他の方法としては、アルミニウムあるいはアルミニウム合金からなるアルミニウム基材32に対し、硫酸浴またはしゅう酸浴中で陽極酸化を行い、その表面に多孔質の陽極酸化皮膜を形成する方法がある。しかしこの方法で多孔質の陽極酸化被膜を形成した場合、細孔33の底部に図示していない厚いバリヤー層が形成され、前記したように細孔33の内部に金属34を電析させて導電性を付与するためには、細孔33の底部に形成されているこの図示していないバリヤー層を除去し、電析処理を行う必要がある。
このバリヤー層を除去する方法としては、硫酸浴またはしゅう酸浴中で陽極酸化を行った後、同一電解浴中、あるいは別の電解浴中で15分から20分間位の時間をかけながら陽極酸化電圧を少しずつ下降させ、陽極酸化皮膜31の細孔33の底部におけるバリヤー層を電気化学的に溶解する方法や、硫酸浴またはしゅう酸浴中で陽極酸化を行った後、そのまま電源を切った状態で同一電解浴中、あるいは別の電解浴中で15分間から30分間放置し、陽極酸化皮膜31の細孔33の底部においてバリヤー層を化学的に溶解する方法が用いられている。さらに、後者の化学的に溶解する方法と、前者の電気化学的に溶解する方法とを併用してバリヤー層を溶解することもある。
しかしながらこれらの方法は、いずれも処理に長い時間がかかるため、生産性が低いという問題点があり、また、このような処理はいずれも煩雑で、かつ、特殊な技術を必要とするため、品質が安定しないという問題点があり、前記し、図1に示した方法で形成するのが好ましい。
すなわち前記し、図1に示した方法によると、陽極酸化浴には、多孔質の陽極酸化皮膜を形成可能な有機酸イオン、または無機酸イオンと共に硝酸イオンが含まれているので、この陽極酸化浴を用いてアルミニウム基材32の表面に陽極酸化を行うと、多孔質の陽極酸化皮膜31が成長する一方で、その細孔33の底部ではバリヤー層の溶解が進行する。このため、陽極酸化処理を終えたときには、多孔質の陽極酸化皮膜31の細孔33における底部35ではバリヤー層がトンネル効果を示すほど薄いか、あるいは細孔33の底部にバリヤー層がなくなる。そのため、多孔質の陽極酸化皮膜31の細孔33における底部35から、バリヤー層を除去するために電流回復法またはガルパニック溶解法、などといった複雑なバリヤー層の除去処理を行わなくても、そのまま電析処理を行うだけで、陽極酸化皮膜31の細孔33の内部に金属34を電析させ、陽極酸化皮膜を導電性にすることができる。
このようにして形成した導電性アルマイトを用いることで、通常のアルマイト処理だとその部分で電圧降下が起こり、ベタ濃度が下がるが、このように抵抗値制御膜の表面層を実現することで、リーク防止、表面硬度の維持、現像性の確保のいずれをも満足させることができる。そして、この供給ローラ5表面の導電性アルマイトの抵抗値は、102Ωcm以上108Ωcm以下がよい。102Ωcm以下だと横筋リーク(供給ローラ5と現像ローラ4の間のキャリアを経由したリーク)が発生し、108Ωcmを越える場合だと現像性が落ちる。
そしてこの抵抗値制御膜の表面層(導電性アルマイト層)の厚みは、上述したような抵抗値となるように適宜決定すればよいが、5μm以上30μm以下がよい。5μm以下であっても初期的には問題ないが、耐久劣化により表面が摩耗し、表面層が無くなるとリークが発生してしまう。30μm以上だと陽極3箇所理事官が長くなり、コストが高くなると共に、電圧降下が顕著となって現像性が著しく落ちる。本発明においては、析出させる金属34として銀を用い、析出量を制御することで表面抵抗値を制御して102Ωcm以上108Ωcm以下とし、さらに導電性アルマイト層の厚さを10μmとした。
図3は、このように構成した本発明になる現像装置を備えた画像形成装置における横筋リークの発生状況を示した表である。この図3において、現像ローラと供給ローラと書かれた下の欄における「ニッケルメッキ」は前記した無電解ニッケルメッキ処理をあらわし、「アルマイト」は供給ローラ5に一例としてアルマイトの絶縁層を設けた場合、「導電性アルマイト102Ωcm」は前記した方法によりアルマイトを102Ωcmの導電性とした場合、「導電性アルマイト108Ωcm」は前記した方法によりアルマイトを108Ωcmの導電性とした場合、「アルマイト(109Ωcm以上)」は109Ωcm以上のアルマイトを用いた場合である。また、「横筋リーク(回/500page)と書かれているのは、500頁印字時における横筋リーク発生回数をあらわしている。
すなわちこの図3に示した表から明らかなように、供給ローラ5表面を導電性アルマイト処理、またはアルマイト処理をしなかったときは、例え現像ローラ4にアルマイト処理してもリークが発生し、供給ローラ5表面を導電性アルマイト処理、またはアルマイト処理したときは、例え現像ローラ4にアルマイト処理をしていなくてもリークが発生していない。
更に、導電性アルマイト処理で形成された酸化皮膜により、供給ローラ5の表面硬度が硬くなるため、一般的なニッケルメッキコートよりも供給ローラ5の耐磨耗性、および機械強度共に向上でき、初期の表面状態を保持できる。それを示したのが図4のグラフであり、この図4において横軸はプリント枚数、縦軸はRzであらわした表面粗さ(単位μm)であり、前述した方法で作成された導電性アルマイト処理した場合とニッケルメッキした場合のプリント枚数による表面粗さの変化を示している。
なお、図3中、供給ローラの表面処理に関する諸条件は以下の通りである。
「アルマイトn=1」
膜厚: 5μm 表面抵抗値:10の2乗
「アルマイトn=2」
膜厚: 30μm 表面抵抗値:10の2乗
「ニッケルメッキn=1」
膜厚: 3μm 表面抵抗値:10の0〜1乗
「ニッケルメッキn=2」
膜厚: 5μm 表面抵抗値:10の0〜1乗
この図4からわかるように、導電性アルマイト処理した場合はその表面粗さに余り変化がないのに対し、ニッケルメッキの場合は表面粗さが明らかに低下している。
ここで、
また、導電性アルマイト処理による酸化皮膜で電気抵抗の比較的小さいアルミニウムの金属ローラ表面に電気抵抗層を形成しているので、金属ローラに所定の電気抵抗を持たせることができる。このとき、金属ローラの表面を均一に導電性アルマイト処理できるので、金属抵抗を金属ローラの導電性アルマイト処理部分の全面にわたってより均一に得ることができ、これによって供給ローラ5の材料として予め所定の金属抵抗を有する特別な材料を用いる必要がなく、供給ローラ5を、所定の大きさの均一な電気抵抗を有する金属から、安価に、かつ、簡単に形成できるようになる。
また、図5は、供給ローラ5の導電性アルマイト処理による現像γ特性を示したグラフであり、前記したアルマイト処理(絶縁性)とニッケルメッキ処理、それに導電性アルマイト102Ωcmと絶縁性アルマイト109Ωcmのそれぞれの場合のγ特性を示したものである。
このように本発明によれば、供給ローラ5の表面に、キャリアの抵抗値より小で且つ供給ローラ5の基材より大に抵抗値制御された抵抗値制御膜(多孔質陽極酸化被膜)31を形成させることにより、現像ローラ4上に担持した荷電トナーから磁気ブラシ10を経由して供給ローラ5に大電流が流れ込むのを防止できるから、簡単、安価な構成で供給ローラ5と現像ローラ4間のリークを防止でき、横筋ノイズや基板への影響による誤動作、ハード的不具合などを防止できる画像形成装置を提供することができる。
そして抵抗値制御膜(多孔質陽極酸化被膜)31を、供給ローラ5の導電性基材表面に酸化膜処理を施し、絶縁若しくは高抵抗酸化層の表面を多孔質化してその多孔質細孔中に導電材を付加して形成させることにより、抵抗値制御膜(多孔質陽極酸化被膜)31を最適な値で作成でき、さらに絶縁層が酸化膜であることにより、表面硬度の維持、リークの防止、現像性の確保のいずれをも満足させることができる供給ローラを有した画像形成装置を提供することができる。
また、前記抵抗値制御膜(多孔質陽極酸化被膜)31の抵抗値を、102Ωcm以上108Ωcm以下に制御することでリークが有効に防止でき、かつ、導電被膜31の膜厚を5μm以上30μm以下に設定することにより、5μm以下の場合は初期的にはリークに効果があるが耐久劣化により表面が摩耗し、抵抗値制御膜が無くなるとリークが発生してしまう。また、30μm以上の場合、処理時間が長くなり、コストが高くなる。しかも、電圧降下が顕著となって現像γの傾きが緩やかになり、現像性が著しく落ちてしまうが、膜厚を5μm以上30μm以下に設定することでこういったことが防止できる。
さらに、現像ローラ4の表面の体積抵抗率を供給ローラ5の表面の体積抵抗率より小にすることにより、現像ローラ4の表面の体積抵抗率を大きくした場合、現像性に影響が出るが、供給ローラ5表面の体積抵抗率を現像ローラ4の表面の体積抵抗より大きくすることにより、現像性を損なうことがなくなり、また、濃度の調整が容易におこなえるようにしながらリークを防止することが可能となる。これは、現像ローラ4の表面の体積抵抗率を供給ローラ5の表面の体積抵抗率より大きくした場合、トナーの保持能力が落ちて現像性が悪くなるのに対し、逆の場合はトナーの保持能力は維持されるから、トナー対キャリアの割合を増やす、などの方法によって供給ローラ5の供給能力低下を補うことができるからであり、同様な理由で、濃度調整も容易にできるためである。