JP3964176B2 - 画像形成装置における現像方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機などの画像形成装置における現像方法に係り、特に、磁性キャリアを用いて非磁性のトナーを帯電させる2成分現像剤を使用し、現像ロール上に帯電されたトナーのみを保持させて静電潜像担持体(感光体)上の潜像に飛翔させ、該潜像を現像する非接触現像方法に供されるべき現像方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、磁性キャリアを用いて非磁性のトナーを帯電させる2成分現像剤を使用し、現像ロール上に帯電されたトナーのみを保持させて静電潜像担持体(感光体)上の潜像に飛翔させ、該潜像を現像する非接触現像方法は、非接触の1成分現像の手段として検討されてきたが、近年、高速画像形成が可能な現像方法として、特に静電潜像担持体(感光体)上に複数のカラ−画像を順次形成する1ドラム色重ね方法用としても検討されてきた。この方法では、静電潜像担持体(感光体)上に正確にトナーを重ねることで色ズレの少ないカラ−画像形成が可能であり、カラ−の高画質化に対応する技術として注目されてきた。
【0003】
こういった技術に関する従来技術としては、米国特許第3,866,574号公報に、静電潜像担持体(感光体)に対して非接触に設置したドナーロール(現像ロール)上に非磁性トナーで薄層を形成し、交流電界によって静電潜像担持体(感光体)上の潜像に該トナーを飛翔させる提案がなされている。また米国特許第3,929,098号公報には、磁気ロールに2成分現像剤による磁気ブラシを形成し、ドナーロール上にトナーを転移させてトナー層を形成する現像装置が示されている。
【0004】
そして理論面では、電子写真学会誌第19巻第2号(1981)に東芝(株)から、2成分現像剤を用いた現像ロール上のトナー層の形成についての報告がなされ、特開昭59−121077号公報に特許としての出願がある。
【0005】
しかしながらこれらの提案では、2成分現像剤を採用してドナーロール上への薄層形成は可能なものの、トナーの帯電が高くなった場合にドナーロール上のトナーの分離が困難になり、強い交流電界が必要とされる。この電界が静電潜像担持体(感光体)上のトナー層を乱してしまうので、色重ねなどには間題を有していた。そのため特開平3−113474号公報には、ドナーロールと静電潜像担持体(感光体)の間にワイヤからなる補助電極を設け、この補助電極に弱い交流電界を印加してトナークラウドを形成することで強い電界を用いずに現像を可能とし、現像されたトナーを乱さないようにした、いわゆるパウダークラウド現像法が提案されているが、補助電極のワイヤが非常に汚れやすく、また、振動による画像劣化等が発生するため、あまり一般的な方法とはなっていない。
【0006】
また上記した従来の技術は、トナーの帯電制御が複雑で、感光体に高い表面電位と大きな現像電界を印加することを必要としていた。そのため、現像ロール上にトナーの消費領域と非消費領域とが生じると、その現像ロール上におけるトナーの付着状態とトナーの電位差にばらつきが生じる関係から、図4に示したように前の現像画像の一部が次の現像時に残像(ゴースト)として現れる現象、いわゆる履歴現象が発生しやすいという不具合がある。すなわちこの図4において、40、41は矩形の黒ベタで構成されたソリッド画像であり、42、43はそれに続くこのソリッド画像より広いハーフトーン画像で、現像ロール上にトナーの消費領域と非消費領域とが生じた場合、このソリッド画像40、41に続けてこのハーフトーン画像42、43を印字すると、図4(b)における44のような残像(ゴースト)が生じる。
【0007】
また連続印刷時においては、現像ロール上の非消費領域のトナーは入れ替わりが少ないため、現像ロール表面に強固に付着し、それが画像欠陥やトナー帯電量低下、トナー飛散といった問題を引き起こすことがある。
【0008】
これを防止するため特開平11−231652号公報には、現像ロール上の現像残トナーを掻き取るための部材と、掻き取られたトナーの回収装置に関しての提案がなされ、さらに磁気ブラシを用いた履歴現象の対応策として、特開平7−128983号公報に、磁気ロールの磁束密度の半値幅領域を広く設定することにより、現像ロール上のトナーの回収と供給を図る提案がなされている。
【0009】
さらに特開平7−72733号公報(USP5,420,375号公報)、特開平7−92804号公報には、ドナーロールと潜像担持体との間に設けられた電極を有し、この電極に直流と交流からなるバイアスを印加してトナーを潜像担持体に飛翔させ、現像を行うハイブリッド型現像装置において、選択現像による画像濃度低下、トナーを現像ロールに保持させたままで長時間放置することによる現像欠陥、画像劣化、現像ゴースト、トナー飛散、スリーブ付着を防ぐことを目的に、画像形成の完了時、ドナーロール(現像ロール)から磁気ロールへトナーを剥離させるよう直流電圧を印加して現像ロール上のトナーを回収し、また画像形成を始める前に、磁気ロールの磁気ブラシからドナーロールへトナーを飛翔させる直流電圧を印加して画像形成に備えるようにして、上記問題を解消するようにした現像装置が提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら特開平11−231652号公報、特開平7−128983号公報に示された装置は、トナーの掻き取り装置や特別な回収バイアスの印加などによってトナーのストレスが増し、トナーの耐久性能劣化の要因になっていた。また長期使用時に、キャリアの耐久性能劣化によってトナーの帯電性が変化し、現像ロール上のトナーの帯電特性が大きく変化して補給トナーや回収トナーの帯電の分布が広くなり、帯電不良によるトナーの飛散やカブリの原因になっていた。さらに劣化したキャリアの交換の煩わしさがあり、実用にはいたっていないのが実情である。
【0011】
また、特開平6−67546号公報、特開平7−72733号公報(USP5,420,375号公報)、特開平7−792804号公報に示された装置は、ドナーロールと潜像担持体(感光体)との間に電極が設けられたパウダークラウド現像法であり、ワイヤが非常に汚れやすく、また、振動による画像劣化等が発生するおそれがある。また、特開平7−72733号公報、特開平7−92804号公報に示された現像装置では、現像ロール上のトナー層は磁気ブラシから一定の電圧を印加されて形成されるため、連続印刷時など繰り返し磁気ブラシからの電界や摩擦を受け、現像ロール上のトナー帯電量は磁気ブラシ中(2成分現像剤中)のトナーに比べて高くなってくる。そしてこの現像装置では、直流電位差を用いて現像ロール上のトナーの回収を行っているが、現像ロール上のトナーは磁気ブラシ中のトナーと殆ど入れ替わることなく磁気ブラシに掻き取られるため、短時間にトナーを回収させることができるが、その反面、帯電量の異なる現像ロール上のトナーと磁気ブラシ中のトナーが瞬時に混合されるため、2成分現像剤中のトナー帯電分布がブロードとなり、逆チャージの帯電を持つトナーが生じるなどして、磁気ブラシからのトナー飛散の悪化、画像欠陥等の不具合を起こす。
【0012】
本発明は上記の事情に鑑み、現像装置を複雑にすることなく連続現像時の残像の発生を防ぎ、確実に帯電されたトナーを現像ロールに供給し、長期にわたって安定した画像品質が得られるようにした画像形成装置における現像方法を提供することが課題である。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明においては、請求項1に記載したように、
電子写真法で潜像を形成する感光体に対面配置した現像ロールと、2成分現像剤による磁気ブラシを形成して前記現像ロールに対面配置した磁気ロールとを有した現像装置を持ち、前記現像ロールに第1の直流バイアス(Vdc1)と交流バイアスを、前記磁気ロールに第2の直流バイアス(Vdc2)を供給し、前記第1と第2の直流バイアスの電位差と交流バイアスで前記現像ロール上にトナー薄層を形成して前記感光体上の潜像を現像する現像動作を行う画像形成装置における現像方法において、
前記直流バイアス電位Vdc1が200V以下で、且つ電位差|Vdc2−Vdc1|が100Vから350V以内に設定して現像動作を行うとともに、
前記現像ロールと磁気ロールを回転させたまま前記第1と第2の直流バイアス成分を0、または等しくした状態で矩形波とした交流バイアスを印加し、該交流バイアスで前記現像ロール上のトナーを前記磁気ブラシと入れ替えるトナー入れ替え動作を設定し、
前回のトナー入れ替え動作後の連続印刷時における前記現像動作で現像ロールが回転する距離L1が、「(L1/L2)<100」(L2:前記トナー入れ替え動作後次の連続印刷時に行うまでの現像ロールが回転する距離)の範囲内であるときに、画像データを複数区間に分割し、該分割した区間のドット数を計数してドット数が0である場合に、前記磁気ロールの回転速度を現像ロールの回転速度の少なくとも1.0倍を越える速度とし且つ前記トナー入れ替え動作を現像ロールの周長以上にわたって行うようにしたことを特徴とする。
【0014】
このように現像ロール上のトナーを磁気ブラシや直流電位差のみで回収するのではなく、現像動作による現像ロールの回転距離が一定距離を越える前に、また、画像データを複数区間に分割し、該分割した区間のドット数を計数してドット数が0である場合に、現像ロールと磁気ロールを回転させたまま前記第1と第2の直流バイアスを等しくした等電位状態を発生させると共に前記交流バイアスのみを印加することにより、現像装置を複雑にすることなく、またトナーの帯電量分布の変化を起こすことなく現像ロール上のトナーと磁気ブラシ中のトナーとの入れ替えを促進させることができ、連続現像時における残像の発生を防ぎ、確実に帯電されたトナーを現像ロールに供給し、長期にわたって安定した画像品質が得られるようにした画像形成装置における現像方法を提供することができる。
【0015】
特にタンデム型カラー画像形成装置のように、複数色分存在する現像装置の各現像ロールと磁気ロールとの間に現像ロール上にトナー層が形成される方向に直流電位差、及び交流バイアスが印加されている画像形成装置においては、連続印刷の際に特定の色の現像を行わない場合、その現像装置における現像ロール上のトナーの帯電量上昇、トナー外添剤の劣化が急速に進む。そのため、この特定色の現像ロール上のトナーを頻繁に入れ替える必要があるが、連続印刷時においては、前記現像動作による現像ロールの回転距離が一定距離を越える前のみでは十分にこのトナー入れ替えが行えない場合がある。しかし本発明においては、画像データのドット数が0である場合にもトナー入れ替え動作をおこなうから、上記した特定色を使用しない原稿においては原稿データが0と判定されて連続したトナー入れ替え動作が実施され、現像ロールへのトナー付着を防止し、現像残像を発生しにくくすると共に現像装置、現像剤を長寿命化することができる。
【0016】
従って、特開平11−231652号公報、特開平7−128983号公報に示された装置のように、トナーの掻き取り装置や特別な回収バイアスの印加などによってトナーのストレスが増してトナーの耐久性能劣化の要因になったり、また長期使用時に、キャリアの耐久性能劣化によってトナーの帯電性が変化し、現像ロール上のトナーの帯電特性が大きく変化して補給トナーや回収トナーの帯電の分布が広くなり、帯電不良によるトナーの飛散やカブリの原因になるなどの問題が防止できる。また、特開平7−72733号公報、特開平7−92804号公報に示された現像装置の場合、帯電量の異なる現像ロール上のトナーと磁気ブラシ中のトナーが瞬時に混合されるため、2成分現像剤中のトナー帯電分布がブロードとなり、逆チャージの帯電を持つトナーが生じるなどして磁気ブラシからのトナー飛散の悪化、画像欠陥等の不具合を起こすことがあるが、こういったことも防止できる。従って、この請求項1に記載した本発明によれば、現像装置を複雑にすることなく連続現像時の残像の発生を防ぎ、確実に帯電されたトナーを現像ロールに供給し、長期にわたって安定した画像品質が得られるようにした画像形成装置における現像方法を提供することができる。
【0017】
【0018】
【0019】
そして本発明の請求項2に記載した発明は、
前記連続印刷時にトナー入れ替え動作を行う場合、記録媒体間の長さをトナー入れ替え動作により現像ロールが回転する距離L2よりも広くするよう制御することを特徴とする。
【0020】
すなわち、連続印刷時に前記したL1/L2<100の条件によるトナー入れ替え動作を行う場合は、現像ロールが1回転するに要する距離L2よりも記録媒体間の距離を長くなるよう制御することにより、記録媒体間においても現像ロールを1回転以上させて前記した現像ロールのトナーと磁気ブラシ中のトナーとの入れ替えを促進させることができ、連続印刷時においても、長期にわたって安定した画像品質が得られる現像方法を提供することができる。
【0021】
そして、現像ロール上のトナーと磁気ブラシ中のトナーとの入れ替えを促進させるため、前記磁気ロールの回転速度を現像ロールの回転速度の少なくとも1.0倍を越える速度とし、該速度差で磁気ブラシを現像ロールに接触させて現像ロール上のトナーの入れ替えを行う。
【0022】
このように、磁気ロールの回転速度を現像ロールの回転速度の少なくとも1.0倍を越える速度とすることにより、この速度差で現像ロールに接触した磁気ブラシによって現像ロール上のトナーの入れ替えを行うことができ、トナー入れ替えの効果を確実にすることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を例示的に詳しく説明する。但し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りはこの発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0024】
図1は本発明になる画像形成装置における現像方法を実施する現像装置の概略であり、図2は、本発明に用いる静電潜像担持体(感光体)のa−Siの基本的な層構成モデルを示したもの、図3は本発明になる画像形成装置における現像方法で印加するバイアス電圧の適正な現像領域を説明するための図、図4は残像(ゴースト)の発生を評価するためのパターンを説明するための図、図5はタンデム型画像形成装置に本発明になる画像形成装置における現像方法を適用する場合を説明するための概略構成図、図6、図7、図8は、本発明の効果を評価するための条件とその結果を示した図である。
【0025】
図1において、1は内部に配設された磁石によって現像剤に含まれるキャリア4による磁気ブラシ10を発生させる磁気ロール、2は磁気ブラシ10から供給されたトナー5によるトナー薄層6を担持して静電潜像担持体(感光体)3上の静電潜像を現像する現像ロール、4は現像剤を構成するキャリア、5はトナー、6は現像ロール2上のトナー薄層、7は静電潜像担持体(感光体)3と現像ロール2との間に現像バイアスを印加する現像バイアス電源で、7aは第1の直流(DC)バイアスVdc1を供給する直流電源、7bは交流(AC)バイアスを供給する交流電源で、本発明においては、トナー入れ替え時、正帯電トナーを使用する場合は正デューティ比を、負帯電トナーを使用する場合は負デューティ比を、45%以下とした矩形波を供給できる電源とする。8は磁気ロール1へ第2の直流(DC)バイアスVdc2を供給する直流電源、9は磁気ロール1上の磁気ブラシ10の厚さを規制する規制ブレードである。
【0026】
図2において、20は図1に3で示した静電潜像担持体(感光体)における基材、21は阻止層、22はa−Siで構成した感光層、23は表面保護層である。なお、以下の説明において、a−Si静電潜像担持体(感光体)3の「厚さ」と表現した場合には、静電潜像担持体(感光体)3における基材20の表面から、基材と反対側の静電潜像担持体(感光体)3の表面までの距離を意味する。したがって図2に示すように、静電潜像担持体(感光体)3が阻止層21と感光層22、及び表面保護層23とから構成されている場合には、感光層の厚さは、それぞれの層の厚さを合算した値となる。
【0027】
図5において、50は現像剤容器、51は前記図1に1で示した磁気ロール、52は同じく図1に2で示した現像ロール、53は記録媒体を収容した給紙カセット、54は記録媒体の搬送ベルト、55は図1に3で示した静電潜像担持体(感光体)、56は感光体を帯電させるための帯電器、57は画像を感光体55に露光する露光器、58は感光体55上のトナー像を記録媒体に転写するための転写バイアスを印加するための転写装置、59は記録媒体に転写されたトナー像を定着する定着装置である。
【0028】
画像形成装置に用いる静電潜像担持体(感光体)3としては、従来から正帯電の有機感光体(OPC)が知られている。しかしながら、OPC感光体は感光層表面が軟らかく、クリーニングブレードの摺擦により感光層が削れやすいという間題がある。そこで、OPC感光体と比較して表面が硬質であると共に耐久性や機能保持性(メンテナンスフリー)に優れていることから、感光層の厚さが25μm以上のa−Si感光体が近年使用されている。しかしながら、a−Si感光体はグロー放電分解法等を用いて製膜するため、このように感光層が厚いと製造時間や製造コストがかかり、経済的に不利である。そこで本件出願人は、特開平7−175276号公報において、感光層の厚さを25μm未満に設定したa−Si感光体について提案している。
【0029】
静電潜像担持体(感光体)3に感光材料として、a−Si感光体を用いた場合、その膜厚を薄くすると飽和帯電電位が低下し、絶縁破壊に至る耐電圧が低下する。その一方、潜像形成した時の静電潜像担持体(感光体)3における表面の電荷密度は向上し、現像性能は向上する傾向がある。この特性は誘電率が約10程度と高いa−Si感光体では25μm以下、さらに好ましくは20μm以下の場合に特に顕著である。従って、現像バイアス7a(Vdc1)は200V以下、好ましくは100V以下、AC成分の7bとしてVp−pが500〜2000V、周波数が1〜3kHzに設定し、現像することが可能である。
【0030】
しかし感光層22の厚さが10μm未満となると、静電潜像担持体(感光体)3の電位の調節が困難となり、いわゆる黒点やカブリが発生しやすくなる。また、感光層22の厚さが10μm未満となると飽和帯電電位が低下し、必要な帯電電位を確保できない傾向がある。一方、感光層22の厚さが25μmを超えると低電位現像が困難となり、オゾンが発生しやすくなったり、あるいは、感光層の製造時間が長くなるなどして経済的に不利になりやすい。さらには、感光層22における電荷発生層で発生した正孔が感光層の表面まで移動する時間が長くなるため、静電潜像担持体(感光体)3の電位の調節が困難となり、いわゆるカブリが発生したり、画像濃度が低下しやすいなどの間題が生じやすい。よって、静電潜像担持体(感光体)3の電位の調節や、経済性等とのバランスがより優れている観点から、静電潜像担持体(感光体)3における感光層22の厚さを、11〜25μmの範囲の値とするのがより好ましく、12〜18μmの範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0031】
また、より好ましい感光層の態様として、この感光層を感光層22と表面保護層23とから構成した場合、表面保護層23の厚さを0.3μm以上、5μm以下の値とするのが好ましい。すなわち表面保護層23の厚さが0.3μm未満となると、感光層22の飽和帯電電位、耐磨耗性、耐環境性等の特性が低下する傾向があるためであり、一方、表面保護層23の厚さが5μmを超えると、画質劣化の要因になり、また製造時間が長くなり経済的に不利となる。したがって、感光層22の飽和帯電電位と製造時間等とのバランスがより良好な観点から、表面保護層23の厚さを0.3〜3μmの範囲内の値とするのがより好ましい。
【0032】
感光層22を構成する材料は、アモルファスシリコン(a−Si)であれば特に制限されるものではなく、好ましい材料として、a−Si、a−SiC、a−SiO、a−SiON等の無機材料を例示することできる。また、表面保護層23としては、a−SiCが特に高抵抗であり、より優れた飽和帯電電位、耐磨耗性、耐環境性が得られることより、本実施形態における感光層材料として好適である。また、a−SiCのうち、SiとC(炭素)との比率が特定のものを使用するのが好ましく、このようなa−SiCとしては、a−Si(1−X)CX(0.3≦X<1.0)があげられ、さらに好ましくは、a−Si(1−X)CX(0.5≦X≦0.95)である。この理由は、このようなa−SiCは1012〜1013Ωcmという特に高い抵抗を有しており、優れた飽和帯電電位、耐摩耗性、耐環境性(耐湿性)が得られるためである。
【0033】
規制ブレード9と磁気ロール1とのギャップは0.3〜1.5mm、磁気ロール1と現像ロール2間のギャップは同様に0.3〜1.5mm程度である。現像ロール上のトナー薄層6は、10〜100μm、好ましくは30〜70μmの厚さに設定される。この厚さは、トナーの平均粒度を7μmとした場合にトナー層4から10層程度である。また、現像ロール2と静電潜像担持体(感光体)3との間のギャップは、150〜400μm、好ましくは200〜300μmである。150μmより狭いとカブリの要因になり、400μmより広いとトナーを感光体に飛翔させることが困難になり、充分な画像濃度を得ることができない。また、選択現像を発生させる要因になる。
【0034】
静電潜像担持体(感光体)3における表面電位(帯電電位)は、200〜500Vの範囲の値とすることが好ましい。静電潜像担持体(感光体)3における表面電位が200V未満となると、現像が不十分となりやすく、一方、500Vを超えると、感光層22の飽和帯電電位(飽和帯電電流)を超えたり、あるいはオゾンが発生しやすくなるおそれがある。特に、感光層22の厚さを減少させた場合には、それに対応して感光層22の飽和耐電電位が低下する傾向にある。従って、感光層22の長寿命化を図り、よりオゾンの発生を防止できる観点から、感光層22における表面電位を500V以下の値とすることが好ましい。また、現像性と感光層の飽和耐電電位等のバランスがよい観点から、表面電位の値を100〜450Vの範囲の値とすることがより好ましく、さらに好ましくは、表面電位の値を150〜350Vの範囲内の値とすることである。
【0035】
現像ロール2と静電潜像担持体(感光体)3との間のバイアスは、バイアス電源7a、7bで決定されるが、現像ロール2上のトナー5を効率よく入れ替えるためには、直流バイアス7a(Vdc1)の電位は200V以下であることが好ましい。200V以上の電界を印加すると、現像ロール2にトナー5が付着する静電気力が増大し、磁気ブラシ10での回収が困難になる。また、交番電界を用いることにより、静電潜像担持体(感光体)3への現像が正確にでき、現像ロール2上のトナー5の入れ替えが容易になるなどのメリットがある。
【0036】
図3は、本発明の現像方法を実施する現像装置における現像ロール2の第1の直流バイアス電位7a(Vdc1)と、磁気ロール1の第2の直流バイアス電位8(Vdc2)とにおける現像残像(ゴースト)やカブリが生じない良好な範囲を示したものである。横軸は電位差|Vdc2−Vdc1|を表し、縦軸は現像ロール2の第1の直流バイアス電位Vdc1を表す。そして、図3からわかるように、バイアス電位Vdc1が200Vよりも高い場合と、電位差|Vdc2−Vdc1|が100V未満の場合に残像(ゴースト)が発生する。またこの電位差が、350V以上になると今度はトナーが飛散してカブリが発生する。そのため現像ロール2の第1の直流バイアス電位7a(Vdc1)としては200V以下で、且つ、磁気ロール1の第2の直流バイアス電位8(Vdc2)と現像ロール2の第1の直流バイアス電位7a(Vdc1)との電位差|Vdc2−Vdc1|が、100Vから350Vの範囲であれば高品質の画質が得られることがわかる。そして、現像ロール2に印加する交流(AC)バイアス電源7bの電圧は、そのピ−ク間電圧Vp−pが500〜2000V、周波数が2〜4kHzの範囲で、トナー入れ替え動作を行うとき、正帯電トナーを使用する場合は正デューティ比を、負帯電トナーを使用する場合は負デューティ比を、45%以下とした矩形波を発生するように設定するとよい。この様に現像バイアスを低く設定することは、静電潜像担持体(感光体)3のa−Si薄膜の絶縁破壊を抑制するとともに、トナー5の過剰帯電を防止し、現像の履歴現象の発生を抑止するのに有効である。
【0037】
2成分現像剤は、磁気ロール1上にトナー5とキャリア4からなる磁気ブラシ10を形成し、トナー5は撹拌によって帯電する。このキャリア4は、フェライト表面を高分子量のポリエチレンの表面重合体で覆うと共に抵抗調整剤で処理し、トナー付着やコ−ト剥がれなどの間題に対して強靭な表面性能を有するようにして、現像装置の機械的寿命が尽きるまで被覆剤が剥がれないようにしたものを用いる。一般的に表面被覆キャリアの場合、表面のコート剤が20%以上剥がれるとトナーへの帯電性能が変化し、本発明の現像方法の場合、帯電不良トナーの飛散による画像汚染の発生や現像性の低下が見られ、いわゆる選択現像などが発生する。そのため、キャリアの耐久安定性を確保することが重要で、上記したように、現像装置寿命まで被覆剤の剥がれのない重合法のフェライト表面の高分子ポリエチレン被覆によって、表面の抵抗を調整したキャリアを用いる。
【0038】
このように構成した現像装置において、磁気ロール1には図示していない現像剤容器からトナー5、キャリア4で構成された2成分現像剤が供給され、これら現像剤は、撹拌によってトナー5を帯電すると共に磁気ブラシ10を形成し、規制ブレード9で層厚規制がなされる。そしてこの帯電されたトナー5は、磁気ロール1と現像ロール2間の電位差|Vdc2−Vdc1|で現像ロール2側に移って現像ロール2上にトナーのみの薄層6を形成し、さらにこのトナー薄層6は、静電潜像担持体(感光体)3との間に印加された第1の直流(DC)バイアス7a(Vdc1)、交流(AC)バイアス7bの重畳されたバイアスにより、静電潜像担持体(感光体)3上に形成された静電潜像に飛翔し、現像動作が行われる。
【0039】
そして本発明においては、現像ロール2と磁気ロール1とを回転させたまま両者間の直流電位差を無くした等電位状態を発生させると共に、交流バイアス電源 7bにより矩形波で構成される交流電界を形成し、磁気ロール1上の磁気ブラシ10を現像ロール2上のトナー層6に接触させ、現像後に現像ロール2上に残ったトナー薄層6を磁気ブラシ10と交流バイアス7bで入れ替えるトナー入れ替え動作を、次のようなときに行うこととした。この現像ロール2と磁気ロール1の等電位状態は両表面電位が互いに等しければよいから、例えば両表面電位を0Vとしたり、或いは50Vとしてもよい。またこの等電位状態は、現像ロール2と磁気ロール1の両表面電位を制御して実現してもよいし片側の表面電位を他方に合わせるように制御してもよい。
【0040】
まずその1は、前記した現像動作、すなわち磁気ロール1に形成された磁気ブラシ10のトナー5を、磁気ロール1と現像ロール2間の電位差|Vdc2−Vdc1|で現像ロール2側に移して現像ロール2上にトナーのみの薄層6を形成し、さらに静電潜像担持体(感光体)3との間に印加された第1の直流(DC)バイアス7a(Vdc1)、交流(AC)バイアス7bの重畳されたバイアスにより、このトナー薄層6上のトナー5を静電潜像担持体(感光体)3上に形成された静電潜像に飛翔させて行う動作によって現像ロール2が回転する距離をL1、前記トナー入れ替え動作、すなわち現像ロール2と磁気ロール1とを回転させたまま両者間の直流電位差を無くした等電位状態を発生させると共に矩形波で構成される交流(AC)バイアス7bのみを現像ロール2に供給し、磁気ロール1上の磁気ブラシ10を現像ロール2上のトナー層6に接触させ、現像後に現像ロール2上に残ったトナー薄層6を磁気ブラシ10と交流バイアスで入れ替える動作によって現像ロール2が回転する距離をL2としたとき、
L1/L2<100 ……… (1)
を満足する状態において定期的に行うものである。
【0041】
すなわち、現像ロール2と磁気ロール1が回転しているとき、現像ロール2上に第1と第2の直流バイアスによる電位差と交流バイアスでトナー層を形成した状態を長時間保つと、現像ロール2にトナー5が薄くフィルミングする。分析したところ、これはトナー5の微粉が強固に付着したものだということが分かった。そのため、トナー5の付着によって現像ロール2上のトナー5の帯電量が低下し、飛散を起こす。また現像ロール2と磁気ロール1との間には一定電位が印可されているため、付着が起こると現像に寄与できる現像ロール2上のトナー5の量が減少し、現像性低下、現像残像などの原因となる。
【0042】
連続印刷時におけるこういった問題を解決するためには、現像ロール2上のトナー5をあるタイミングで定期的に入れ替えることが必要である。そのため本発明においては、前記(1)式の条件を満たす場合に前記トナー入れ替え動作を現像ロール2の周長以上にわたって行うようにしたもので、それ以下とすると十分に入れ替わりが出来ず、現像ロール上のトナー付着を引き起こす場合がある。また、現像ロール2上の現像残トナー5を入れ替わりやすくするため薄膜のa−Si感光体を用い、現像電界を低く設定して十分な現像濃度を得ることや、そのシステムを安定に維持させるため、フェライトの表面をポリエチレンで重合被覆させた長寿命キャリアによる2成分現像方式を用いることで、トナー5を耐久変化の少ないキャリア4で均一に帯電させ、トナー5の飛散、カブリを防止することも重要な要因となる。
【0043】
そしてトナー入れ替え動作を行うその2は、画像形成装置が印刷する各ページを2分割以上の複数区間に分割し、各区間における画像データのドット数を画像形成装置内のCPU(不図示)等で計測し、ドット数が0である場合に行うものである。
【0044】
そして前記(1)式で示した条件でトナー入れ替え動作を行う場合、現像ロール2の回転距離L2は現像ロール2の周長以上とし、また現像動作時の現像ロール2の回転距離L1は画像形成装置内のCPU(不図示)で算出するものとする。また、この(1)式の条件によるトナー入れ替え時期が印刷終了時に生じた場合はそのまま前記したトナー入れ替え動作を行えばよく、また、現像ロール2が現像を行わない機械の立ち上げ時などに行っても良いが、連続印刷時に前記(1)式の条件を越えることが判明した場合は、(1)式の条件を超える前の印刷における記録媒体と記録媒体の間、すなわち記録媒体間の長さを現像ロール2のトナー入れ替え動作に要する回転距離L2(現像ロール2の周長以上)以上となるよう制御する。なおこの記録媒体間は、例えば画像を静電潜像担持体(感光体)3に露光する露光器に送られる印刷画像データに基づいて検出したり、記録媒体を収容する給紙カセットにおける記録媒体の先端や後端により検出し、記録媒体間の長さが現像ロール2のトナー入れ替え動作に要する回転距離L2(現像ロール2の周長以上)以上となるよう制御する。
【0045】
このように前記(1)式によって定期的に、及び画像データが0である場合の任意の時期にトナー入れ替え動作を実施することにより、回収されたトナーの帯電分布をブロードにしたり殆ど変化させることなく、また、各ロールの周速差によるブラシ効果のみで掻き取りプレ−ドなどの特別な装置を設けることなく、容易にトナーの回収と入れ替えが可能になり、現像ロール2上のトナー付着、トナー飛散、現像残像などの現象が生じなくなる。また本発明においては、このトナーの入れ替えを容易にするため、前記磁気ロール1の回転速度を現像ロール2の回転速度の少なくとも1.0倍を越える速度とした。また、印刷前後、及び記録媒体間で現像ロール2と磁気ロール1との間に直流電位差を無くして交流電界を形成するとき、現像ロール2に印加する交流電圧を矩形波とすることで、現像ロール2上のトナーの入れ替えを向上させることができる。
【0046】
また、前記したその2の条件でのトナー入れ替え動作、すなわち画像形成装置が印刷する各ページを2分割以上の複数区間に分割し、各区間における画像データのドット数を画像形成装置内のCPU(不図示)等で計測してドット数が0である場合に行うトナー入れ替え動作は、図5に示したようなタンデム型画像形成装置において、例えば4色中の現像に寄与しない現像装置に適用した場合に特に有効である。
【0047】
すなわちこの図5に示したタンデム型画像形成装置においては、現像剤容器50のうち、例えばブラックの現像剤容器501、シアンの現像剤容器502、マゼンタの現像剤容器503、イエローの現像剤容器504に収容されたトナーとキャリアからなる現像剤によって、前記したように磁気ロール511、512、513、514上に磁気ブラシが形成され、その磁気ブラシによってそれぞれ対応した現像ロール52上にトナー薄層が形成される。そして図示していない制御回路からプリント開始の信号が来ると、給紙カセット53から記録媒体が送り出されて搬送ベルト54に送られ、その記録媒体が各色の感光体554、553、552、551に達するタイミングに合うように、帯電器564、563、562、561による各感光体55の帯電、各露光器57に送られた画像信号による各感光体55への露光と潜像の形成、各現像ロール52上のトナーによる潜像の現像が行われる。そして記録媒体が感光体554に達すると、転写装置584による転写バイアスが印加されて記録媒体にトナー像が転写され、それが各感光体553、552、551、転写装置583、582、581で繰り返され、定着装置59で定着されて排紙される。
【0048】
このように構成されたタンデム型画像形成装置において、例えばブラックとマゼンタ、そしてイエローのみを使用し、シアンを使用しない原稿などでは、シアン現像装置における現像ロール522と磁気ロール512との間に現像ロール522上にトナー層が形成される方向に直流電位差、及び交流バイアスが印加されているため、連続印刷した場合、現像ロール522上のトナーの帯電量上昇、トナー外添剤の劣化が急速に進む。そのため、現像ロール522上のトナーを頻繁に入れ替える必要があるが、連続印刷時においては、前記(1)式による記録媒体間のみでは十分にこのトナー入れ替えが行えない場合がある。
【0049】
そのため、前記したその2の条件でのトナー入れ替え動作、すなわち画像形成装置が印刷する各ページを2分割以上の複数区間に分割し、各区間における画像データのドット数を画像形成装置内のCPU(不図示)等で計測してドット数が0である場合にトナー入れ替え動作をおこなうことにより、上記したシアンを使用しない原稿などにおいてはシアンの原稿データが0であるから連続したトナー入れ替え動作が実施され、現像ロールへのトナー付着を防止し、現像残像を発生しにくくすると共に現像装置、現像剤を長寿命化することができる。なお、以上の説明では、シアンを使用しない原稿の場合を例にとって説明したが、他の色の場合も全く同様であることは自明である。
【0050】
このような本発明の画像形成装置における現像方法の効果を確認するため、図6の表に示した条件による評価を行った。すなわち、
1.画像データの無い部分で、現像ロール2と磁気ロール1との直流電位差を0Vにする場合としない場合。
2.トナー入れ替え動作を行うために現像ロール2と磁気ロール1との直流電位差を0Vにした時の現像ロール2の回転距離L2と、現像動作を行うために現像ロール2側にトナーを移動させる方向に直流電圧を印加した時の現像ロール2の全回転距離L1との比、L1/L2を変化させた場合。
3.上記1と2を組み合わせた場合。
4.交流バイアスのデューティ比を変化させた場合。
といろいろ変化させ、12枚機の試作機で連続印刷を行って画像の濃度、残像、カブリ、現像ロールへのトナー付着状況などを確認した。なおここでは、トナー入れ替え動作を行わない記録媒体間で、直流電位差、交流バイアス共に通常の状態とした。
【0051】
そしてこの評価のため、図4に示したような矩形の黒ベタで構成されたソリッド画像40、41と、このソリッド画像より広いハーフトーン画像42、43を連続して現像するように配置した画像パターンで画像形成し、初期、100枚、1000枚と印刷して、濃度、黒ベタのソリッド画像40の残像44が現れるか否か、カブリの発生状態はどうかなどをチェックし、これを図7にまとめた。また現像ロール2へのトナー付着状況を、白紙パターンを100枚、1000枚、3000枚と印刷して、現像ロール2へのトナー付着状況を調べ、結果を図8にまとめた。
【0052】
この評価における条件は、図6に示したように静電潜像担持体(感光体)3として層厚14μmのa−Siを用いて表面電位を250Vとし、現像ロール2における第1の直流バイアス7a(Vdc1)を50V、交流(AC)バイアス7bのピ−ク間電圧Vp−pを1.3kVで周波数3.0kHz、デューティ比50%とした。また磁気ロール1への第2の直流バイアス8(Vdc2)を200Vとし、磁気ロール1と現像ロール2間の周速差を2倍として磁気ロール1の回転速度を早くした。そして実施例1〜3として、トナー入れ替え動作時の現像ロール2の表面電位と磁気ロール1の表面電位とをいずれも0Vとした等電位状態を発生させると共に、ピ−ク間電圧Vp−pを1.3kVとして実施例1〜3ではデューティ比を50%、比較例1、2では45%とした矩形波で構成した交流電界を印加し、また、実施例1、3では画像データ無し部分でトナー入れ替え動作を行い、さらに実施例2、3では前記L1/L2を100に、比較例2では110に、実施例1ではこのL1/L2にはよらずに画像データ無し部分でのトナー入れ替え動作のみとし、比較例1ではそれも行わないこととした。
【0053】
そして濃度、残像、カブリの評価においては、図7に示したように初期状態と、100枚、1000枚と印刷した三段階における濃度、残像、及びカブリの発生を確認した。この図7において、濃度の欄の「○」印は形成された画像にかすれが認められないことを示し、「△」印はかすれがわずかに認められた場合を、「×」印ははっきりかすれが認められた場合を示している。さらに残像とカブリの欄における「○」、「△」、「×」印は、図4に示した画像パタ−ンを印字し、(a)のようにハ−フ画像上に残像やカブリがまったく見えない場合は○を、(b)のようにハ−フ画像上に残像やカブリがわずかに認められた場合にΔを、またはっきり認められた場合に×を付した。
【0054】
この図7からわかるように、トナー入れ替えを全く行なわずに連続印刷を続けた比較例1の場合は画像濃度が低下し、残像も悪化する。また比較例2のように、画像データ無し部分でトナー入れ替えを行わないと共に、トナー入れ替えの比率L1/L2を110と設定した場合は画像度濃度が低下し、残像が若干起こっている。一方、画像データが無い部分でトナー入れ替え動作を行うか、またはトナー入れ替えの比率L1/L2を一定とした実施例1から4においては、現像ロール上のトナーの入れ替わりが効率良く行われるため、デューティ比を45%と下げたものを含めて1000枚印字した時点でも画像濃度、残像、カブリ共に良好であった。
【0055】
そして白紙パターンを連続耐刷し、現像ロール2へのトナー付着を加速的に評価した図8においては、初期状態と、100枚、1000枚、3000枚、10000枚と印刷した五段階における現像ロール2へのトナーの付着状況をチェックした。この図8において、「○」印は現像ロール2へのトナー付着が全く見られない状態を示し、「△」印はうっすらとトナーが付着した状態、「×」印は現像ロール2全面にトナーが付着し、トナー飛散により現像ロール下部の汚染、現像器からのトナー落ち等が発生した状態を示す。
【0056】
この図8からわかるように、比較例1では100枚耐刷した時点で既に現像ロール2上にうっすらトナーが付着しており、1000枚印字後には現像ロール2上全面にトナー付着が見られた。これは現像ロール2上のトナーの入れ替わりが殆ど無かったためと考えられる。付着したトナーは現像には関与せずに常に現像ロール2上に居続けるため、新たにその上に載るトナーの帯電量を下げ、トナー飛散の原因となる。またトナー帯電量の低下により、付着部分に対応する画像部分の濃度が濃く出てしまう。また付着トナーの電気抵抗のため、現像ロール2上の現像に関与するトナー層厚が薄くなって現像ゴースト(図4の残像44)が顕著に現われる。そして10000枚印字後には、トナー飛散によって現像ロール2下部の汚染、現像装置からのトナー落ちが顕著に発生した。
【0057】
また比較例2では、100枚、1000枚印字後には全くトナー付着が見られなかったが、3000枚印字した時点で現像ロール全面にトナー付着が見られた。2成分現像剤中のトナー帯電量を測定すると、初期における12μC/gから3000枚印字後には19μC/gまで上昇しており、現像ロール2上のトナー帯電量が上昇して現像性が低下していた。これはL1/L2が110であったため、L1/L2=100に比べて現像ロール2上のトナー入れ替わりが少なかったものと思われる。
【0058】
一方実施例1から3では、初期から1000枚印字時まで全くトナー付着が見られなかったが、3000枚印字時から様子は変わり、実施例1より実施例2の方が、また実施例2より実施例3の方がトナー付着の結果が良くなった。この結果から、現像ロール2上のトナーの入れ替えをより向上していくためには画像データの無い領域でトナー入れ替え動作を行うことと、L1/L2<100とすることを併用することが必要だと分かった。
【0059】
【発明の効果】
以上記載の如く請求項1に記載した本発明によれば、現像ロール上のトナーを磁気ブラシや直流電位差のみで回収するのではなく、現像動作による現像ロールの回転距離が一定距離を越える前に、また、画像データを複数区間に分割し、該分割した区間のドット数を計数してドット数が0である場合に、現像ロールと磁気ロールを回転させたまま前記第1と第2の直流バイアスを等しくした等電位状態を発生させると共に前記交流バイアスのみを印加することにより、現像装置を複雑にすることなく、またトナーの帯電量分布の変化を起こすことなく現像ロール上のトナーと磁気ブラシ中のトナーとの入れ替えを促進させることができ、連続現像時における残像の発生を防ぎ、確実に帯電されたトナーを現像ロールに供給し、長期にわたって安定した画像品質が得られるようにした画像形成装置における現像方法を提供することができる。
【0060】
特にタンデム型カラー画像形成装置のように、複数色分存在する現像装置の各現像ロールと磁気ロールとの間に現像ロール上にトナー層が形成される方向に直流電位差、及び交流バイアスが印加されている画像形成装置においては、連続印刷の際に特定の色の現像を行わない場合、その現像装置における現像ロール上のトナーの帯電量上昇、トナー外添剤の劣化が急速に進む。そのため、この特定色の現像ロール上のトナーを頻繁に入れ替える必要があるが、連続印刷時においては、前記現像動作による現像ロールの回転距離が一定距離を越える前のみでは十分にこのトナー入れ替えが行えない場合がある。しかし本発明においては、画像データのドット数が0である場合にもトナー入れ替え動作をおこなうから、上記した特定色を使用しない原稿においては原稿データが0と判定されて連続したトナー入れ替え動作が実施され、現像ロールへのトナー付着を防止し、現像残像を発生しにくくすると共に現像装置、現像剤を長寿命化することができる。
【0061】
【0062】
そして請求項2に記載した本発明によれば、連続印刷時に前記したL1/L2<100の条件によるトナー入れ替え動作を行う場合、現像ロールが1回転するに要する距離L2よりも記録媒体間の距離を長くなるよう制御することにより、記録媒体間においても現像ロールを1回転以上させて現像ロールのトナーと磁気ブラシ中のトナーとの入れ替えを促進させることができ、連続印刷時においても、長期にわたって安定した画像品質が得られる現像方法を提供することができる。
【0063】
そして、特に本発明によれば、磁気ロールの回転速度を現像ロールの回転速度の少なくとも1.0倍を越える速度とすることにより、この速度差で現像ロールに接触した磁気ブラシによって現像ロール上のトナーの入れ替えを行うことができ、トナー入れ替えの効果を確実にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明になる画像形成装置における現像方法を実施する現像装置の概略である。
【図2】 本発明に用いる静電潜像担持体(感光体)のa−Siの基本的な層構成モデルを示したものである。
【図3】 本発明になる画像形成装置における現像方法で印加するバイアス電圧の適正な現像領域を説明するための図である。
【図4】 残像(ゴースト)の発生を評価するためのパターンを説明するための図である。
【図5】 タンデム型画像形成装置の概略構成図である。
【図6】 本発明になる画像形成装置における現像方法を評価するための条件を示した表である。
【図7】 本発明になる画像形成装置における現像方法の評価結果を示した表である。
【図8】 本発明になる画像形成装置における現像方法の評価結果を示した表である。
【符号の説明】
1 磁気ロール
2 現像ロール
3 静電潜像担持体(感光体)
4 キャリア
5 トナー
6 トナー薄層
7a 第1の直流バイアスVdc1(直流電源)
7b 交流バイアス電源
8 第2の直流バイアスVdc2(直流電源)
9 規制ブレード
10 磁気ブラシ
Claims (2)
- 電子写真法で潜像を形成する感光体に対面配置した現像ロールと、2成分現像剤による磁気ブラシを形成して前記現像ロールに対面配置した磁気ロールとを有した現像装置を持ち、前記現像ロールに第1の直流バイアス(Vdc1)と交流バイアスを、前記磁気ロールに第2の直流バイアス(Vdc2)を供給し、前記第1と第2の直流バイアスの電位差と交流バイアスで前記現像ロール上にトナー薄層を形成して前記感光体上の潜像を現像する現像動作を行う画像形成装置における現像方法において、
前記直流バイアス電位Vdc1が200V以下で、且つ電位差|Vdc2−Vdc1|が100Vから350V以内に設定して現像動作を行うとともに、
前記現像ロールと磁気ロールを回転させたまま前記第1と第2の直流バイアス成分を0、または等しくした状態で矩形波とした交流バイアスを印加し、該交流バイアスで前記現像ロール上のトナーを前記磁気ブラシと入れ替えるトナー入れ替え動作を設定し、
前回のトナー入れ替え動作後の連続印刷時における前記現像動作で現像ロールが回転する距離L1が、「(L1/L2)<100」(L2:前記トナー入れ替え動作後次の連続印刷時に行うまでの現像ロールが回転する距離)の範囲内であるときに、画像データを複数区間に分割し、該分割した区間のドット数を計数してドット数が0である場合に、前記磁気ロールの回転速度を現像ロールの回転速度の少なくとも1.0倍を越える速度とし且つ前記トナー入れ替え動作を現像ロールの周長以上にわたって行うようにしたことを特徴とする画像形成装置における現像方法。 - 前記連続印刷時にトナー入れ替え動作を行う場合、記録媒体間の長さをトナー入れ替え動作により現像ロールが回転する距離L2よりも広くするよう制御することを特徴とする請求項1に記載した画像形成装置における現像方法。
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