JP2005055818A - 電子写真感光体、並びに該電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、並びに該電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 レーザーを光源として用いる画像形成装置において380〜500nmの波長域のレーザー光を用いて潜像形成を行った場合でも、繰り返し使用時の画像の鮮明度の低下が小さい電子写真感光体を提供する。
【解決手段】 導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された感光層とを有する荷電し写真感光体であって、その表面層が少なくとも連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を放射線照射により重合及び架橋することにより硬化して得られる化合物を含有する電子写真感光体を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。詳しくは、特定の化合物を含有する表面層を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
現在、レーザープリンターなどに代表される、レーザーを光源として使用する電子写真装置において使用されているレーザーは、800nm付近或いは680nm付近に発振波長を有する半導体レーザーが主流である。近年、出力画像の高画質化のニーズの高まりから、高解像度化に向けた様々なアプローチがなされている。レーザーの波長もこの高解像度化に深く関わっており、レーザーの発振波長が短くなるほど、レーザーのスポット径を小さくすることが可能となり、高解像度の潜像形成が可能となる(例えば、特許文献1参照)。
レーザーの発振波長の短波長化には、いくつかの手法が挙げられる。一つは、非線形光学材料を利用し、第2高調波発生(SHG)を用いてレーザー光の波長を2分の1にするものである(例えば、特許文献2参照)。この系は、一次光源として、既に技術が確立し、高出力可能なGaAs系半導体レーザーやYAGレーザーを使用することができるため、長寿命化や大出力化が可能である。
もう一つは、ワイドギャップ半導体を用いるもので、SHG利用のデバイスと比べ、装置の小型化が可能である。ZnSe系半導体レーザーやGaN系半導体レーザーが、その発光効率の高さから、以前から多くの研究の対象となっている。
これらの半導体レーザーは素子構造、結晶成長条件及び電極などの最適化が難しく、結晶中の欠陥などにより、実用化に必須である室温での長時間発振が困難であった。ところが、基盤等の技術革新が進み、1997年10月には、GaN系半導体レーザーで1150時間連続発振(50℃条件)が報告されるなど、実用化が目前に迫っている状態であり、これらの短波長レーザーを用いてレーザーのスポット径を小さくし、高解像度の潜像形成を可能とすることで電子写真の更なる高画質化が期待される。
しかしながら、従来の700〜800nm付近の波長域で実用されている電子写真感光体を、400〜500nmに発振波長を有する半導体レーザーを用い、レーザーのスポット径を小さくした電子写真装置に組み込んだ場合には、繰り返し画像形成を行うに従って、画像の鮮明さが大幅に低下するという問題点が発生した。その主な理由は、従来の感光体は繰り返しの画像形成によって感光体表面の面粗さが大きくなり、これによってレーザー光が乱反射され、本来のレーザースポット径に比べてにじんでぼやけた静電潜像が感光体上に形成されるためであると考えられる。この現象は散乱に起因する問題であるため、レーザーの波長が短いほど顕著であり、またスポット径が小さいほど顕著であるために、従来の長波長レーザーでは大きな問題とならなかった現象が、短波長レーザーでスポット径を小さくした装置において顕著に表れたものと思われる。
一方、電子写真感光体として有機材料であるポリビニルカルバゾール、フタロシアニン及びアゾ顔料等は高生産性や無公害性等の利点が注目され、無機材料と比較して光導電特性や耐久性等の点で劣る傾向にあるものの、広く用いられるようになってきた。これらの電子写真感光体は、電気的及び機械的特性の双方を満足するために、電荷発生層と電荷輸
送層を積層した機能分離型の感光体として利用される場合が多いが、当然のことながら、電子写真感光体には適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気的特性、更には光学的特性を備えていることが要求される。特に、繰り返し使用される感光体の表面には、帯電、画像露光、トナー現像、紙への転写、クリーニングといった様々な電気的、機械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性が要求される。
具体的には、摺擦による表面の摩耗や傷の発生に対する耐久性、帯電による表面劣化、例えば転写効率や滑り性の低下、更には感度低下、電位低下等の電気特性の劣化に対する耐久性も要求される。
一般に有機光導電材料を用いた電子写真感光体の表面層は薄い樹脂層であり、樹脂の特性が非常に重要である。上述の諸条件をある程度満足する樹脂として、近年アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等が実用化されている。しかしながら、前述したような特性の全てがこれらの樹脂で満足されるわけではなく、これらの樹脂を表面層用の樹脂として用いた場合でも、繰り返し使用に伴って表面層が摩耗し、傷が発生するために表面の面粗さが増加する傾向にあった。
特開平9−240051号広報 特開平9−275245号広報
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、レーザーを光源として用いる画像形成装置において380〜500nmの波長域のレーザー光を用いて潜像形成を行った場合でも、繰り返し使用時の画像の鮮明度の低下が小さい電子写真感光体を提供することを課題とする。
また、本発明は、このような電子写真感光体と短波長レーザーを使用することによって、実用的で安定して高画質な出力画像が得られる電子写真装置及びこの装置に着脱可能なプロセスカートリッジを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、導電性支持体と該導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光体の表面層が少なくとも連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を放射線照射により重合及び架橋することにより硬化して得られる化合物を含有することにより、書き込み光(像露光光)として380〜500nmの波長を有する半導体レーザー光を照射した場合に、繰り返し使用時にも高精細画像を安定して提供できる短波長対応の電子写真感光体を提供でき、それを用いることによって高精細画像を安定して出力することが可能な電子写真用プロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供できることを見出した。
即ち、本発明は、導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された感光層とを有する電子写真感光体であって、該電子写真感光体は380〜500nmの波長を有する半導体レーザー光が照射されてその表面に静電潜像が形成されるものであり、且つ前記電子写真感光体の表面層が少なくとも連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を放射線照射により重合及び架橋することにより硬化して得られる化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体に関する。
また、本発明は、電子写真感光体と帯電手段、現像手段及びクリーニング手段から選択
される少なくともひとつの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在に装着されたプロセスカートリッジであって、電子写真感光体が導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された感光層とを有し、380〜500nmの波長を有する半導体レーザー光が照射されてその表面に静電潜像が形成されるものであり、且つ電子写真感光体の表面層が少なくとも連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を放射線照射により重合及び架橋することにより硬化して得られる化合物を含有することを特徴とするプロセスカートリッジに関する。
更に、本発明は、電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有する電子写真装置であって、露光手段が露光光源として380〜500nmの発振波長を有する半導体レーザーを有し、電子写真感光体が導電性支持体と該導電性支持体上に形成された感光層を有し、電子写真感光体の表面層が少なくとも連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を放射線照射により重合或いは架橋することにより硬化した化合物を含有することを特徴とする電子写真装置に関する。
本発明の電子写真感光体は、短波長レーザーを光源とした電子写真装置において優れた耐久性能を有する。感度や残留電位等の電子写真特性も非常に良好であり、繰り返し使用時にも安定した高精細画像を提供することができる。
また、電子写真感光体の効果は、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置においても当然に発揮され、長期間高画質が維持される。
以下に本発明の詳細を説明する。本発明の電子写真感光体は、導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された感光層とを有し、その表面層が少なくとも連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を放射線照射により重合及び架橋することにより硬化して得られる化合物を含有することを特徴とする。また、本発明の電子写真感光体は、その表面に静電潜像が形成される際に、380〜500nmの波長を有する半導体レーザー光が照射されるものである。
即ち、本発明の電子写真感光体は、その表面層に連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を放射線照射により重合及び架橋することにより硬化して得られる化合物を含有する。本発明における連鎖重合とは、高分子化合物の生成反応を大きく連鎖重合と逐次重合に分けた場合の前者の重合反応形態を示し、詳しくは、例えば技報堂出版 三羽忠広著の「基礎合成樹脂の化学(新版)」1995年7月25日(1版8刷)P.24に説明されているように、その形態が主にラジカル或いはイオン等の中間体を経由して反応が進行する不飽和重合、開環重合そして異性化重合等のことをいう。
連鎖重合性官能基とは、前述の反応形態が可能な官能基を意味するが、ここではその大半を占め、応用範囲の広い不飽和重合及び開環重合性官能基の具体例を示す。不飽和重合とは、ラジカル及びイオン等によって不飽和基、例えばC=C、C≡C、C=O、C=N、C≡N等が重合する反応であるが、主にはC=Cである。不飽和重合性官能基の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
上記各構造式中、Rは置換基を有してもよいメチル基、エチル基及びプロピル基等のアルキル基;置換基を有してもよいベンジル基及びフェネチル基等のアラルキル基;置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基及びアンスリル基等のアリール基又は水素原子等を示す。
開環重合とは、炭素環、オクソ環及び窒素ヘテロ環等のひずみを有した不安定な環状構造が、触媒の作用で活性化され開環すると同時に重合を繰り返して鎖状高分子物を生成する反応であるが、この場合、基本的にはイオンが活性種として作用するものが大部分である。開環重合官能基の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
上記中、R’は置換基を有してもよいメチル基、エチル基及びプロピル基等のアルキル基;置換基を有してもよいベンジル基及びフェネチル基等のアラルキル基;置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基及びアンスリル基等のアリール基;又は水素原子等を示す。
上記で説明したような本発明に係る連鎖重合性官能基の中でも、下記の一般式(3)で
示されるものが好ましい。
上記式中、Eは水素原子;フッ素、塩素及び臭素等のハロゲン原子;置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基;置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基等のアラルキル基;置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、ピレニル基、チオフェニル基及びフリル基等のアリール基;CN基;ニトロ基;メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等のアルコキシ基、−COOR4、又は−CONR56を示す。
Wは置換基を有してもよい2価のフェニレン、ナフチレン及びアントラセニレン等のアリーレン基;置換基を有してもよいメチレン、エチレン及びブチレン等の2価のアルキレン基;−COO−;−CH2−;−O−;−OO−;−S−又は−CONR7−を示す。
また上記一般式(3)において、R4、R5、R6及びR7は水素原子;フッ素、塩素及び臭素等のハロゲン原子;置換基を有してもよいメチル基、エチル基及びプロピル基等のアルキル基;置換基を有してもよいベンジル基及びフェネチル基等のアラルキル基;又は置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基及びアンスリル基等のアリール基を示し、R5とR6は互いに同一であっても異なってもよい。また、fは0又は1を示す。
E及びWが有してもよい置換基としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;水酸基;メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びナフトキシ基等のアリールオキシ基;ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基等のアラルキル基;フェニル基、ナフチル基、アンスリル基及びピレニル基等のアリール基等が挙げられる。
また、上記一般式(3)の中でも、更に特に好ましい連鎖重合性官能基としては、下記一般式(4)〜(8)で示されるものが挙げられる。
本発明において「連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物」とは、上記で説明した連鎖重合性官能基が正孔輸送性基に官能基として化学結合してなる化合物を示す。本発明
では、正孔輸送性化合物は上記連鎖重合性官能基を同一分子内に2個以上有していること、即ち正孔輸送性基に2個以上の連鎖重合性官能基が化学結合して正孔輸送性化合物を構成していることが好ましい。この場合それらの連鎖重合性官能基は、全て同一でも異なったものであってもよい。このような連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物は下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
(式中、Aは正孔輸送性基を示す。P1及びP2は連鎖重合性官能基を示す。ここでP1とP2は同一でも異なっていても良い。Zは置換基を有しても良い有機残基を示し、Yは水素原子を示す。a、b及びdはそれぞれ0又は1以上の整数を示す。但し、a=0の場合、b+dは3以上の整数であり、b又はdが0の場合、aは2以上の整数であり、その他の場合、a+b+dは3以上の整数を示す。また、aが2以上の場合、P1は同一でも異なっていても良く、dが2以上の場合、P2は同一でも異なっていても良く、またbが2以上の場合、Zは同一でも異なっていても良い。)
上記一般式(1)において、正孔輸性基Aは正孔輸送性を示すものであればいずれのものでもよく、P1及びZとの結合部位を水素原子に置き換えた水素付加化合物(正孔輸送化合物)として示せば、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体及びN−フェニルカルバゾール誘導体等が挙げられる。
中でも短波長レーザーの透過性、耐久使用下での感光体の表面平滑性の保持の点で、正孔輸性基Aは、上記正孔輸送化合物として示したとき下記一般式(2)で表されるものが好ましい。
(式中、R1、R2及びR3はそれぞれ置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアラルキル基又は置換基を有しても良いアリール基を示す。但し、R1、R2及びR3のうち少なくとも2つはアリール基を示す。また、R1、R2及びR3はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物の好ましい具体例は、特開2000−066425号公報、特開2000−206715号公報及び特開2000−206716号公報等に開示されているが、これらに限定されるものではない。
本発明においては、連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物の重合/架橋を放射線照射により行う。放射線照射による重合の最大の利点は、重合開始剤を必要としない点であり、これにより非常に高純度な重合物の作製が可能となり、良好な電子写真特性を確保することができる。また、重合反応が短時間で且つ効率的に行われるため生産性も高い。更に、放射線は透過性に優れるので、添加剤等の遮蔽物質が層中に存在したり厚い層を形成したりする際の硬化阻害の影響が非常に小さいこと等も挙げられる。但し、連鎖重合性官能基の種類や中心骨格の種類によっては重合反応が進行しにくい場合があり、その際には影響のない範囲内で重合開始剤を添加することは可能である。
使用する放射線としては、電子線及びγ線が挙げられるが、効率の点では電子線が好ましい。電子線照射をする場合、加速器としてはスキャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム型、パルス型及びラミナー型等いずれの形式も使用することができる。また、電子線を照射する場合に、本発明においては、電気特性及び耐久性能を発現させる上で照射条件が非常に重要である。加速電圧は300kV以下であることが好ましく、最適には150KV以下である。また、線量は好ましくは1k〜300kGyの範囲、より好ましくは5k〜200kGyの範囲である。加速電圧が300kVを超えると感光体特性に対する電子線照射のダメージが増加する傾向にある。また、線量が1kGyよりも少ない場合には架橋が不十分となり易く、300kGyを超えると感光体の感度特性や繰り返し使用時の電位の変動に放射線照射の影響が観察される場合がある。
本発明においては、放射線照射の後に更に硬化を促進すること、又は反応を停止させ安定化することを目的に感光体の表面層を加熱することも有効である。この場合、加熱する雰囲気は目的によって異なり、硬化を促進するためには不活性ガス中が好ましく、反応を停止させるためには酸素中又は空気中が好ましい。また、放射線照射後にまず不活性ガス中で加熱し反応を完結させ、その後反応を停止させ安定化させるために再度空気中で加熱することもできる。
本発明の電子写真感光体は、連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を放射線照射により重合及び架橋することにより得られる化合物がその表面層中に含有されている。従って、感光体の表面層中において、正孔輸送能を有する化合物は架橋点をもって3次元架橋構造をとる。前記正孔輸送性化合物は、それのみを重合及び架橋させる、或いは他の連鎖重合性官能基を有する化合物との共重合として及び/又は混合物として共に用いることのいずれもが可能であり、その種類/比率は全て任意である。ここでいう他の連鎖重合性官能基を有する化合物とは、連鎖重合性官能基を有する単量体、オリゴマー及びポリマーのいずれもが含まれる。
正孔輸送性化合物の官能基とその他の連鎖重合性化合物の官能基が、同一の基又は互いに重合可能な基である場合には、両者は共有結合を介した共重合3次元架橋構造をとることが可能である。両者の官能基が互いに重合しない官能基である場合には、感光層は少なくとも2種以上の3次元硬化物の混合物、或いは主成分の3次元硬化物中に他の連鎖重合性化合物単量体、或いはその硬化物を含んだものとして構成されるが、その配合比率/製膜方法をうまくコントロールすることで、IPN(Inter Penetrating
Network)、即ち、相互進入網目構造を形成することも可能である。
また、前記正孔輸送性化合物と、連鎖重合性官能基を有さない単量体、オリゴマー及びポリマーや連鎖重合性官能基以外の重合性基を有する単量体、オリゴマー及びポリマー等から感光体の表面層を形成してもよい。更に、場合によっては、3次元架橋構造に化学結合的に組み込まれない、即ち、連鎖重合性官能基を有さない正孔輸送性化合物を表面層に含有させることも可能である。また、その他の各種添加剤、例えばフッ素原子含有樹脂微粒子等の滑剤や酸化防止剤等の安定化剤を含有させてもよい。
本発明の感光体は、前述したように、支持体上に形成された感光層を有している。この感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層及び電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を、この順に積層した構成或いは逆に積層した構成、また電荷発生物質と電荷輸送物質を同一層中に分散した単層からなる構成のいずれの構成をとることも可能である。前者の積層型の感光層においては電荷輸送層が二層以上の構成であってもよく、また後者の単層型においては電荷発生物質と電荷輸送物質を同一に含有する感光層上に更に電荷輸送層を有する構成であってもよい。また、更には電荷発生層、電荷輸送層、又は上記単層型の感光層上に保護層を形成することも可能である。
これらいずれの場合においても、先の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送化合物を含有する混合物を放射線照射により重合及び架橋したものを感光体の表面層が含有していればよい。但し、電子写真感光体としての特性、特に残留電位等の電気的特性及び耐久性の点より、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に積層した機能分離型感光体構成が好ましい。このような構成の感光体に本発明を適用することにより、電荷輸送能を低下させることなく安定した高精細画像の提供を可能にできるという本発明の効果がより一層発揮される。
電子写真感光体を構成する導電性支持体(以下、単に「支持体」と表記することがある)は、導電性を有するものであればよい。例えばアルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレス等の金属や合金をドラム状又はシート状に成形したもの;アルミニウム及び銅等の金属泊をプラスチックフィルムにラミネートしたもの;アルミニウム、酸化インジウム及び酸化錫等をプラスチックフィルムに蒸着したもの;導電性物質を単独又は結着樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム又は紙等が挙げられる。
本発明においては、導電性支持体と感光層の間にバリアー機能と接着機能をもつ下引き層を設けることができる。下引き層は感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、また感光層の電気的破壊に対する保護等のために形成される。下引き層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、にかわ及びゼラチン等が挙げられる。下引き層は、これらの材料をそれぞれに適した溶剤に溶解した溶液を支持体上に塗布し、乾燥することによって形成される。膜厚は、0.1〜2μmであることが好ましい。
上述のように、積層型の感光層は、電荷発生層及び電荷輸送層を有する。電荷発生層に含まれる電荷発生物質は380〜500nmの波長を有する半導体レーザー光に感度を有する必要がある。このような電荷発生物質としては、セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、また各種の中心金属及び結晶系、具体的には例えば、α、β、γ、ε及びX型等の結晶型を有するフタロシアニン化合物、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、モノアゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、非対称キノシアニン顔料、キノシアニン及び特開昭54−143645号公報に記載のアモルファスシリコン等が挙げられる。
電荷発生層は、前記電荷発生物質を0.3〜4倍量の結着樹脂及び溶剤と共にホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アドライダー及びロールミル等の方法でよく分散し、得られた分散液を塗布し、乾燥することによって形成されるか、前記電荷発生物質の蒸着膜等、単独組成の膜として形成される。その膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.1〜2μmであることが好ましい。
電荷発生層を構成する結着樹脂としては、スチレン,酢酸ビニル,塩化ビニル,アクリル酸エステル,メタクリル酸エステル,フッ化ビニリデン,トリフルオロエチレン等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明における連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物は、前述した電荷発生層上に形成される電荷輸送層に電荷輸送物質として含有させて用いることができる。又は、電荷発生層上に電荷輸送物質と結着樹脂からなる電荷輸送層を形成した後に、該電荷輸送層上に形成される表面保護層に正孔輸送性化合物を含有させ、正孔輸送能力を有する表面保護層として用いることができる。この表面保護層は正孔輸送能力を有するので、本発明においては感光層の定義の範囲内に含める。
いずれの場合も、前記連鎖重合性官能基を有する正孔輸送化合物を含有する溶液を塗布後、前述した方法で放射線照射を行うことにより重合/架橋反応させるのが好ましいが、前もって正孔輸送性化合物を含む溶液を反応させて硬化物を得た後に、再度溶剤中に分散或いは溶解させたもの等を用いて、表面層を形成することも可能である。より好ましくは、正孔輸送性化合物を含有する溶液を塗布後、これに放射線照射を行いその後不活性ガス雰囲気下において加熱して重合及び架橋して、上記正孔輸送性化合物を含む表面層を形成することである。
連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を電荷輸送層として用いた場合の正孔輸送性化合物の量は、硬化後の電荷輸送層の全質量に対して、正孔輸送性基の水素付加物として好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上含有される。電荷輸送層中の正孔輸送性化合物の含有量が20質量%に満たないと電荷輸送能が低下し、感度の低下及び残留電位の上昇等の問題点が生じ易くなる。電荷輸送層の膜厚は、1〜50μmであることが好ましく、特には3〜30μmであることが好ましい。
連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を電荷発生層/電荷輸送層上の表面保護層として用いた場合、その下層に当たる電荷輸送層は適当な電荷輸送物質、例えばポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリスチリルアントラセン等の複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物や、ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、トリアゾール及びカルバゾール等の複素環化合物、トリフェニルメタン等のトリアリールアルカン誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体及びヒドラジン誘導体等の低分子化合物等を適当な結着樹脂(前述の電荷発生層用結着樹脂の中から選択できる)と共に溶剤に分散/溶解した溶液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。
この場合の電荷輸送物質と結着樹脂の比率は、両者の全質量を100とした場合に電荷輸送物質の質量が30〜100であることが好ましく、特には50〜100であることが好ましい。電荷輸送物質の量が30に満たないと、電荷輸送能が低下し、感度の低下及び残留電位の上昇等の問題点が生じ易くなる。電荷輸送層の膜厚は、上層の表面保護層と合わせた総膜厚が1〜50μmとなることが好ましく、特には5〜30μmであることが好ましい。
本発明においては上述のいずれの場合においても、連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を硬化してなる化合物を含有する感光体の表面層に、前記電荷輸送物質を更に含有させることが可能である。
単層型感光層の場合は、正孔輸送性化合物と電荷発生物質の両方を含有する溶液を重合/架橋することによって形成するか、電荷発生物質及び電荷輸送物質を含有する単層型感光層上に正孔輸送性化合物を含有する溶液を塗布後、重合/架橋することによって形成する。
上記各層用の溶液を塗布する方法としては、例えば浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法及びスピンコーティング法等が挙げられるが、効率性/生産性の点からは浸漬コーティング法が好ましい。また、蒸着、プラズマ、その他の公知の製膜方法が適宜選択できる。
本発明の電子写真感光体は従来の電子写真法を用いた画像形成装置に広く用いられることができ、特に限定されない。以下に、本発明の電子写真感光体を用いた本発明の電子写真装置の好ましい一態様について、図1を用いて説明する。図1において、ドラム型の電子写真感光体1は、軸1aを中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動する。電子写真感光体1は、その回転過程で帯電手段2によりその周面に正又は負の所定電位の均一帯電を受け、次いで露光部にて不図示の短波長レーザーを用いた露光手段により露光光Lを受ける。これにより、電子写真感光体周面に露光に対応した静電潜像が順次形成されていく。
短波長レーザーの波長は380〜500nmが好ましく、本発明の目的が波長を短波長化しレーザービーム径をしぼることにあることより、波長は短いほどよく450nm以下であることがさらに好ましいが、380nm以下の波長では表面層での光吸収が発生するため感度が極端に低下する。レーザービームは不図示の光学系により円形又は楕円形に形成されるが、レーザービーム径は光量1/σでの直径が40μm以下(楕円の場合には長径が40μm以下)にすることが好ましい。
形成された静電潜像は、次いで現像手段3でトナー現像され、得られたトナー現像像はコロナ転写手段4により、不図示の給紙部から電子写真感光体1と転写手段4との間に、電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送された転写材7の面に順次転写されていく。像転写を受けた転写材7は、電子写真感光体面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として機外ヘプリントアウトされる。像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段5にて転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、前露光手段6により除電処理がされて繰り返して像形成に使用される。電子写真感光体1の均一帯電を行う帯電手段2としては、コロナ帯電装置が一般に広く使用されている。
図2に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の一例を示す。図2において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸1aを中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1は、回転過程において、一次帯電手段9によりその周面に正又は負の所定電位の均一帯電を受け、次いで短波長レーザーを用いたレーザービーム走査露光の露光手段(不図示)からの露光光Lを受ける。こうして感光体1の周面に静電潜像が順次形成されて行く。
形成された静電潜像は、次いで現像手段3によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は、不図示の給紙部から感光体1と転写手段4との間に感光体1の回転と同期して給紙された転写材7に、転写手段4により順次転写されていく。像転写を受けた転写材7は、感光体面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。
像転写後の感光体1の表面は、クリーニング手段5によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された
後、繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段9が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
本発明においては、上述の電子写真感光体1、(一次)帯電手段9、現像手段3及びクリーニング手段5等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に支持して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。例えば、一次帯電手段9、現像手段3及びクリーニング手段5の少なくとも一つを感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール12等の案内手段を用いて装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ11とすることができる。
本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも広く用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。実施例中、「部」は質量部を表す。
〈実施例1〉
10%の酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した酸化チタン粉体50部、レゾール型フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノール5部及びシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサン・ポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3,000)0.002部を、φ1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで2時間分散して導電層用塗料を調製した。アルミニウムシリンダー(φ30mm)上に、導電層用塗料を浸漬法で塗布し、140℃で30分間乾燥させ、膜厚が15μmの導電層を形成した。
導電層上にポリアミド(商品名 M995、日本リルサン株式会社製)10.0部、ポリアミド(商品名 CM−8000、帝国化学産業株式会社製)30.0部をメチルアルコール412部、n−ブチルアルコール206部からなる混合溶媒に溶解した溶液を浸漬法で塗布し、100℃で10分間乾燥して、膜厚が0.65μmの中間層を形成した。中間層の体積抵抗率は2.0×1010Ωcmであった。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°及び28.2°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶2.5部を、ポリビニルブチラール樹脂(商品名 エレックスBX−1、積水化学工業株式会社製)1部をシクロヘキサノン19部に溶解した樹脂溶液と混合し、φ1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して分散液を作り、これにシクロヘキサノン69部と酢酸エチル132部を加えて希釈して電荷発生層用塗料を調製し、それを浸漬法用いて塗布し、100℃で10分間乾燥して膜厚が0.3μmの電荷発生層を形成した。
次いで、下記構造式(A)で表される正孔輸送性化合物60部と、ポリイソブチレン(数平均分子量:2500、アクリル酸への溶解度10wt%以上、主鎖切断タイプ、G値:4.5)10部をモノクロロベンゼン30部/ジクロロメタン30部の混合溶媒中に溶解し、電荷輸送層用塗料を調製した。
この塗料を前記の電荷発生層上に浸漬法で塗布し、窒素雰囲気中にて加速電圧120kV、線量10Mradの条件で電子線を照射し、更に窒素中で引き続き130℃に5分間加熱して樹脂を硬化し、膜厚15μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を得た。
作製した電子写真感光体について、電子写真特性及び耐久使用下での画像変化を評価した。電子写真特性及び耐久性は、キヤノン(株)複写機GP405を改造して、光源として発信波長405nmの半導体レーザーを搭載し、さらに光学系の調整により光量1/σでのビーム径を30μmに設定した複写機に、得られた感光体を装着して評価した。
初期の感光体特性〔暗部電位Vd、光減衰感度(暗部電位−700V設定で−150Vに光減衰させるために必要な光量)及び残留電位Vsl(光減衰感度の光量の3倍の光量を照射した時の電位)〕を測定した後、更に10000枚の通紙耐久試験を行った。耐久試験後に、目視による画像欠陥の発生の有無の評価を行った。また、通紙耐久試験前及び耐久試験終了後において感光体の厚さをそれぞれ測定し、試験前後の感光体の厚さの差を削れ量として評価した。
感光体の表面電位は前記複写機の現像器位置に表面電位計(Trek製344)を装着し測定した。Vdは帯電ローラーに直流電圧−710V、交流電圧1.8kV、周波数1.8kHzの電圧を印加し、露光用短波長レーザー照射をoffとしたときの表面電位とし、VslはVd測定の後、帯電ローラーへの印加電圧をoffにした直後一回転目の電位を測定した。また、耐久試験後の前記感光体特性の測定を行い、各々の変化値ΔVd、ΔVl(初期のVl(明部電位)と、初期にVlを−150Vにするのに必要な光量と同量の光量を耐久後に照射した時のVlとの差)及びΔVslを求めた。また、表面での光散乱度合いの評価として、耐久前後の表面層の粗さとして表面粗さ計(小坂研究所:SE-3500)を用いて10点平均粗さRzjisを測定し評価した。
画像変化の評価はドット再現性と線画像の変化で評価した。すなわち、耐久初期及び耐久後に、現像用のトナーを平均粒径5μmの磁性トナーに代え、30μmのビーム径の孤立ドット及び30μm幅の線画像を出力、現像し、感光体上のトナー像を顕微鏡にて観察し、そのトナー像の鮮明さを観察した。
評価結果を表1に示す。本実施例の感光体では短波長レーザーを光源とする複写機において感光体特性が良好であり、耐久使用時における削れ量が少なく、かつ耐久使用時においても感光体特性にはほとんど変化が見られないというように、非常に安定した良好な特性を示した。また、表面粗さも耐久前後でほとんど変化がなく、ドット再現性、線画像共に初期から非常に鮮明であり、且つ耐久後もその鮮明さにはほとんど変化は見られず、良好なトナー像が維持されていた。
〈実施例2〉
実施例1と同様の方法を用いて、アルミニウムシリンダー上に導電層、中間層及び電荷発生層をこの順に形成した。次いで、下記構造式(B)のスチリル化合物20部、
及び下記構造式(C)の繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂(数平均分子量40,000)25部
をモノクロロベンゼン150部/メチラール50部の混合溶媒中に溶解して調製した電荷輸送層用塗料を用いて浸漬法で塗布し、120℃で60分間乾燥して、前記電荷発生層上に電荷輸送層を形成した。この時の電荷輸送層の膜厚は10μmであった。
次いで、実施例1で用いた、上記構造式(A)で表される正孔輸送性化合物70部及びポリテトラフルオロエチレン粒子(ダイキン(株)製、ルブロンL2)30部をエタノール120部と混合し、この溶液をサンドミルにより1時間分散して表面保護層用塗料を調製した。この塗料をディップコーティング法により先の電荷輸送層上に塗布し、窒素雰囲気中にて加速電圧150kV、線量5Mradの条件で電子線を照射し、更に窒素中で130℃に5分間加熱して樹脂を硬化して膜厚4μmの表面保護層を形成し、更に安定化のために空気中で140℃1時間加熱することにより実施例2の電子写真感光体を得た。この感光体を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
〈実施例3〉
実施例2において、表面保護層用に用いた正孔輸送性化合物を下記構造式(D)で表される化合物に代えた以外は、実施例2と同様の方法を用いて感光体を得た。得られた感光体を実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。

〈実施例4〉
実施例2において、表面保護層用に用いた正孔輸送性化合物を下記構造式(E)で表される化合物に代えた以外は、実施例2と同様の方法を用いて感光体を得た。得られた感光体を実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
〈実施例5〉
実施例2において、表面保護層用に用いた正孔輸送性化合物を下記構造式(F)で表される化合物に代えた以外は、実施例2と同様の方法を用いて感光体を得た。得られた感光体を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
〈比較例1〉
実施例1と同様の方法を用いて、アルミニウムシリンダー上に導電層、中間層及び電荷発生層をこの順に形成した。次いで、上記構造式(B)で表されるスチリル化合物20部及び上記構造式(C)で表されるポリカーボネート樹脂25部をモノクロロベンゼン50部/ジクロロメタン20部の混合溶媒中に溶解して調製した電荷輸送層用塗料を用いて、前記電荷発生層上に電荷輸送層を形成して感光体を得た。この時の電荷輸送層の膜厚は15μmであった。
得られた電子写真感光体を実施例1と同様にして評価した結果、初期の電子写真特性は良好であったが、耐久での表面層の削れ量が多く、表面に深さ2μm以上のキズが多数発生し、表面粗さは10点平均粗さRzjis=1.9μmであった。ドット再現性は初期には良好であったが耐久後は形状に乱れがあり、ぼやけたドットとなっていた。結果を表1に示す。
本発明の電子写真感光体を用いた電子写真装置の概略構成の一例を示す図 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図
符号の説明
1 電子写真感光体
1a 軸
2 帯電手段(コロナ帯電装置)
3 現像手段
4 コロナ転写手段
5 クリーニング手段
6 前露光手段
7 転写材
8 定着手段
9 帯電手段(帯電ローラ)
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 レール

Claims (10)

  1. 導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された感光層とを有する電子写真感光体であって、該電子写真感光体は380〜500nmの波長を有する半導体レーザー光が照射されてその表面に静電潜像が形成されるものであり、且つ前記電子写真感光体の表面層が少なくとも連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を放射線照射により重合及び架橋することにより硬化して得られる化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記正孔輸送性化合物が同一分子内に2個以上の連鎖重合性官能基を有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記正孔輸送性化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項2記載の電子写真感光体。

    (式中、Aは正孔輸送性基を示す。P1及びP2は連鎖重合性官能基を示す。ここでP1とP2は同一でも異なっていても良い。Zは置換基を有しても良い有機残基を示し、Yは水素原子を示す。a、b及びdはそれぞれ0又は1以上の整数を示す。但し、a=0の場合、b+dは3以上の整数であり、b又はdが0の場合、aは2以上の整数であり、その他の場合、a+b+dは3以上の整数を示す。また、aが2以上の場合、P1は同一でも異なっていても良く、dが2以上の場合、P2は同一でも異なっていても良く、またbが2以上の場合、Zは同一でも異なっていても良い。)
  4. 前記一般式(1)において、正孔輸送性基AのP1及びZとの結合部位を水素原子に置き換えてなる化合物が下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項3記載の電子写真感光体。

    (式中、R1、R2及びR3はそれぞれ置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアラルキル基又は置換基を有しても良いアリール基を示す。但し、R1、R2及びR3のうち少なくとも2つはアリール基を示す。また、R1、R2及びR3はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
  5. 前記連鎖重合性官能基が下記一般式(3)で表される不飽和重合性官能基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真感光体。

    (式中、Eは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、シアノ基、ニトロ基、アルコ
    キシ基、−COOR4(R4は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基及び置換基を有してもよいアリール基を示す)、又は−CONR56(R5、R6は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を示す。Wは置換基を有してもよい2価のアリーレン基、置換基を有してもよい2価のアルキレン基、−COO−、−CH2−、−O−、−OO−、−S−、又は−CONR7−(R7は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有しても良いアリール基を示す)を示す。fは0又は1を示す。)
  6. 前記連鎖重合性官能基が下記式(4)〜(8)のいずれかで表される基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記感光層が導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層及び表面保護層をこの順に積層してなる機能分離型の感光層であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  8. 該感光体の表面保護層が、少なくとも連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を含有する混合物を前記電荷輸送層上に塗布することにより該混合物からなる膜を形成し、該膜に放射線照射を行いその後不活性ガス雰囲気下において加熱して重合及び架橋することにより形成されたものであることを特徴とする請求項7記載の電子写真感光体。
  9. 電子写真装置本体に着脱自在に装着されるプロセスカートリッジであって、請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくともひとつの手段とを一体に支持するプロセスカートリッジ。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の電子写真感光体、帯電手段、露光光源として380〜500nmの波長を有する半導体レーザーを用いる像露光手段、現像手段及び転写手段を有する電子写真装置。
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