JP2005055474A - 光ケーブル用スペーサの製造方法 - Google Patents

光ケーブル用スペーサの製造方法 Download PDF

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Tomohiro Shimada
智博 島田
Kazuhiro Hamada
一弘 濱田
Noboru Shoji
登 東海林
Koichi Nakajima
剛一 中島
Yuji Sato
祐二 佐藤
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Abstract

【課題】光ケーブル用スペーサの被覆樹脂層の押出成形を高速かつ安定に行い、中心抗張力体の引き抜き力の低下を防ぐ。
【解決手段】光ケーブルスペーサは、中心抗張力体1の周囲に接着層2を押出被覆成形し、その周囲に第1の中間層3a、第2の中間層3b、及びスロットsを有する最外層4を順に押出被覆成形して構成している。このように中間層を2層被覆によって成形することにより、中心抗張力体1の引き抜き力を大きく向上させることができ、高品質の光ケーブル用スペーサを得ることができる。また、このときに、各層の押出機のスクリュー回転数を低く押さえることができ、これによって、被覆成形の安定化と生産性の向上とを図ることができる。さらに、押出機によって押出被覆された樹脂を急冷することなく除冷することによって、樹脂の収縮率を抑え、中心抗張力体1の引き抜き力の低下を防ぐことができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ケーブル用スペーサの製造方法に関し、より詳細には、中心抗張力体の周囲に被覆を施し、該被覆層の外周表面には光ファイバを収納するスロットを備えた光ケーブル用スペーサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ケーブル用スペーサとして、中心抗張力体の周囲に熱可塑性樹脂を被覆した構成のものが使用されている。なかでも、中心抗張力体の周囲の樹脂層を多層構成とし、最外層に光ファイバをを収納するスロットが形成される層を高弾性率の樹脂で形成し、内部の中間層を発泡樹脂等の低弾性率の樹脂で構成することにより、光ファイバを保護しつつ、十分な可撓性を付与できるようにした光ケーブル用スペーサが提供されている。
【0003】
図5は、従来の光ケーブル用スペーサの構成例を模式的に示す図で、図中、1は中心抗張力体、2は接着層、3は中間層、4は最外層、sはスロットである。
図5に示す光ケーブル用スペーサは、中心抗張力体1の周囲に3層押出成形により樹脂層を形成した構成例を示すもので、FRPや鋼線等による中心抗張力体1の周囲に接着層2を押出被覆成形し、その周囲に中間層3を押出被覆成形し、さらにその周囲にスロットsを有する最外層4を押出被覆成形して構成している。
このような多層押出被覆による層形成は、特に、外径の太い多心ケーブル用スペーサ、例えば1000心ケーブル用スペーサを製造する場合に必要となる。
【0004】
最外層4は、上述のように、比較的弾性率の高いポリエチレン等の樹脂層で、中間層3には発泡ポリエチレン等の弾性率の低い樹脂が使用される。また接着層2は、中心抗張力体1と中間層3との間に配され、これらを接着一体化するために使用される。例えば、中間層3として上記のような発泡ポリエチレンを使用する場合、接着層2としては、ポリエチレンワックスや酸化ポリエチレンなどの粘着性ポリエチレンが使用される。
【0005】
上記のような、中心抗張力体1と最外層4との間に低弾性率の中間層3を有し、さらに中間層3と中心抗張力体1との間に接着層2を有するケーブル用スペーサとして、例えば、特許文献1が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−234066号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図6は、上述の光ケーブル用スペーサの製造工程を概念的に説明するための図である。中心抗張力体1の周囲に多層構成の樹脂を被覆成型していく場合、各層ごとに押出機を用意し、第1の押出機21で1層目(上記の例では接着層2)の押出被覆を行った後、第1の冷却水槽22によって被覆樹脂を冷却する。そして、第2の押出機23によって2層目(上記の例では中間層3)の押出被覆を行い、第2の冷却水槽24によって被覆樹脂を冷却する。さらに第3の押出機25によって3層目(上記の例では最外層4)の押出被覆を行い、第3の冷却水槽26によって被覆樹脂を冷却する。
【0008】
図7は、上記の接着層2及び中間層3の収縮作用について説明するための図である。上記のような構成の光ケーブル用スペーサにおいて、接着層2及び中間層3の被覆厚が厚い場合、押出し後の冷却過程において接着層2及び中間層3の外周から冷却され、その結果外周側が先に収縮して、接着層2が外周側(図7の矢印の方向)に引っ張られる。この結果、中心抗張力体1と接着層2との密着性が低下して、光ケーブル用スペーサにおける中心抗張力体1の引き抜き力が悪化するという問題が生じる。このような場合、中心抗張力体1が光ケーブルの端末から突き出してしまうことがある。例えば、接着層2の被覆厚が1.2mm以上になってしまうと、樹脂の収縮が大きくなってしまい、中心抗張力体1との密着力が悪化してしまう。
【0009】
また、上記のような構成において、接着層2の被覆厚を下げようとすると、相対的に中間層3の被覆厚が厚くなる。このときに、中間層3を押出成形するための押出機のスクリュー回転数が上昇してしまい、押出量が不安定になって中間層3の外径変動が発生することがある。その結果、次の被覆層を被覆する押出機のダイスに光ケーブルが詰って品質悪化の要因となる。また、中間層3の肉厚化は、中間層用の押出機のスクリュー回転数が上昇するので、製造の高速化に対する阻害要因となる。
【0010】
また、接着層2あるいは中間層3を押出被覆した後、水冷によって急冷すると、被覆樹脂の収縮が大きくなって中心抗張力体1との密着力が悪化して、光ケーブルに対する中心抗張力体1の引き抜き力が低下してしまう。その結果、中心抗張力体1が光ケーブルの端末から突き出してしまうことがある。例えば、押出被覆ラインの線速を高速化(7m/分程度)し、高速化に対応するために上記のような水冷による冷却を行うと、急冷による引き抜き力の低下が問題となる。
【0011】
本発明は上述のごとき実情に鑑みてなされたものであり、光ケーブル用スペーサの被覆樹脂層の押出成形を高速かつ安定に行い、中心抗張力体の引き抜き力の低下を防ぐことができるようにした光ケーブル用スペーサの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の光ケーブル用スペーサの製造方法は、中心抗張力体の周囲に、内層側から順に接着層、中間層、及び最外層が積層され、最外層に光ケーブルを収納するための溝が設けられている光ケーブル用スペーサの製造方法において、中間層を第1の中間層及び第2の中間層の2層によって構成し、中心抗張力体の表面に接着層を押出被覆成形する接着層成形工程と、接着層成形工程の後に第1の中間層を押出被覆成形する第1の中間層成形工程と、第1の中間層成形工程の後に第2の中間層を押出被覆成形する第2の中間層成形工程と、第2の中間層成形工程の後に最外層を押出被覆成形する最外層成形工程とを有することを特徴としたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明によって製造される光ケーブル用スペーサの構成を模式的に示す図で、図中、1は中心抗張力体、2は接着層、3aは第1の中間層、3bは第2の中間層、4は最外層、sはスロットである。本発明の光ケーブル用スペーサは、中心抗張力体1の周囲に4層押出成形により樹脂層を形成した構成を有するものである。すなわち、本発明の光ケーブル用スペーサは、FRPや鋼線等による中心抗張力体1の周囲に接着層2を押出被覆成形し、その周囲に第1の中間層3aを押出被覆成形し、さらにその周囲に第2の中間層3bを押出被覆成形し、さらにその周囲に光ファイバを収納するスロットsを有する最外層4を押出被覆成形して構成している。
【0014】
上述したように、従来の3層構成の被覆層を有するケーブルにおいては、中間層3あるいは接着層2が急冷されると外周から収縮して、中心抗張力体1と接着層2との密着力が不足してしまう。これに対して、本発明では、中間層を2層に分けて層構成し、接着層2の被覆厚を薄くした。特に、接着層2の層厚を1.2mm以下とすることによって、中心抗張力体1と接着層2との密着力を確保することができる。接着層2の層厚が1.2mmを越えると、接着層の収縮が大きくなって、上記密着力が低下する。
【0015】
第1の中間層3aと第2の中間層3bは、基本的には同一の樹脂材料を用いて2層押出被覆による中間層を形成すればよいが、例えば、弾性率を変えた異なる材料を各中間層3a,3bに適用してもよい。
【0016】
図2は、本発明に係わる光ケーブル用スペーサの押出被覆工程を概念的に説明するための図である。本発明の光ケーブル用スペーサの製造方法は、複数の被覆層のそれぞれの層ごとに押出機を用意し、第1の押出機11で1層目(接着層2)の押出被覆を行った後、第1の冷却水槽12によって被覆樹脂を冷却する。そして、第2の押出機13によって2層目(第1の中間層3a)の押出被覆を行い、第2の冷却水槽14によって被覆樹脂を冷却する。さらに第3の押出機15によって3層目(第2の中間層3b)の押出被覆を行い、第3の冷却水槽16によって被覆樹脂を冷却する。さらに第4の押出機17によって第4層(最外層4)の押出被覆を行い、第4の冷却水槽18によって被覆樹脂を冷却する。
【0017】
本発明では、中間層を2層構成とし、それぞれの中間層3a,3bを別の押出機で押出被覆することにより、接着層2の層圧を薄くすることができるようになる。接着層2の層圧を薄くすることによって、押出成形時の冷却による収縮を押さえることができ、これによって、中心抗張力体1と接着層2との接着力を十分に維持することができる。
【0018】
また、各中間層3a,3bを2つの押出機で押出被覆することにより、中間層用の押出量に余裕が生じ、中間層用押出機のスクリュー回転を過度に上昇させる必要がなくなって押出量が安定し、被覆層の外径変動が生じなくなる。この結果、外径変動する被覆層が各押出機の被覆部に詰まるといったことはなくなり、被覆成形の品質を安定させることができる。また、中間層用押出機に余裕が生じ、かつ接着層の層厚が薄くなることにより、被覆成形速度を上げることができ、生産性が向上する。
【0019】
(実施例及び比較例)
中間層を2層構成とした本発明の光ケーブル用スペーサと、中間層を1層によって構成する従来の光ケーブル用スペーサとを製造し、これらの中心抗張力体の引き抜き力と加熱収縮率とを評価した。
図3は、上記本発明に係わる光ケーブル用スペーサの実施例と、従来の光ケーブル用スペーサの比較例の製造条件を示す図である。実施例においては、接着層2の外径を7mmφとし、層厚を0.5mmとした。このときの接着層用の押出機(口径50mmφ)のスクリュー回転数は16.3rpmであった。
【0020】
また実施例の第1の中間層3aの外径を10.5mmφとし、層厚を1.75mmとした。このときの第1の中間層用の押出機(口径65mmφ)のスクリュー回転数は30.0rpmであった。また第2の中間層3bの外径を15.9mmφとし、層厚を2.7mmとした。このときの第2の中間層用の押出機(口径75mmφ)のスクリュー回転数は33.5rpmであった。
【0021】
さらに実施例の最外層4の外径を24.7mmφとし、層厚を8.8mmとした。このときの最外層用の押出機(口径90mmφ)のスクリュー回転数は19.5rpmであった。
【0022】
一方、比較例においては、接着層2の外径を10.5mmφとし、層厚を2.25mmとした。このときの接着層用の押出機(口径50mmφ)のスクリュー回転数は57.8rpmであった。
【0023】
また比較例の中間層の外径を15.9mmφとし、層厚を2.7mmとした。このときの中間層用の押出機(口径65mmφ)のスクリュー回転数は72.3rpmであった。さらに比較例の最外層4の外径を24.7mmφとし、層厚を8.8mmとした。このときの最外層用の押出機(口径90mmφ)のスクリュー回転数は20.0rpmであった。
【0024】
また上記実施例及び比較例の両方において、中心抗張力体1として、外径6.0mmの7/2.OBP鋼撚線を使用した。
【0025】
図4は、図3の条件で製造した光ケーブル用スペーサにおける中心抗張力体1の引き抜き力と加熱収縮率との評価結果を示す図である。加熱収縮率については、成形した各光ケーブル用スペーサの長さ方向の収縮率を温度100℃で1時間加熱後測定した結果を示している。
【0026】
図4に示すように、本発明の実施例においては、中心抗張力体1の引き抜き力が3904(N/30mm)であって、加熱収縮率は0%であった。これに対して比較例においては、中心抗張力体1の引き抜き力は200(N/30mm)であって、加熱収縮率は0.6%であった。
以上の結果から、本発明の構成をとることによって中心抗張力体1の引き抜き力を大きく向上させることができた。また、このときに、図3の条件から分かるように、本発明の実施例では、各押出機のスクリュー回転数を低く押さえることができ、これによって、被覆成形の安定化と生産性の向上を図ることができるようになる。
【0027】
次に、本発明の光ケーブル用スペーサの製造方法における被覆成形時の冷却方法の実施の形態について説明する。本実施の形態では、図2に示す製造工程において、各層の冷却水層12,14,16,18の全てまたは一部に対して、温水を導入し、押出機によって押出被覆された樹脂を急冷することなく、徐冷する。
押出被覆樹脂を徐冷することによって、樹脂の収縮率を抑え、中心抗張力体1の引き抜き力の低下を防ぐようにする。
【0028】
また、各層の押出機11,13,15,17と冷却水槽12,14,16,18との間の空間を長くとり、空冷によって押出被覆樹脂を徐冷する。もしくは、押出機11,13,15,17を出た後、冷却水槽12,14,16,18に入るまでの間に、冷却風を吹き付けて冷却をすすめることにより、上記の徐冷効果を生じせしめるようにしてもよい。また、上記の温水による徐冷と空冷による徐冷とを併用してもよい。特に、押出機11と冷却水槽12とによって成形する接着層2に対して上記の徐冷を適用することにより、中心抗張力体1の引き抜き力を効果的に維持することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、中間層を2層被覆によって成形することにより、中心抗張力体の引き抜き力を大きく向上させることができ、高品質の光ケーブル用スペーサを得ることができる。また、このときに、各押出機のスクリュー回転数を低く押さえることができ、これによって、被覆成形の安定化と生産性の向上とを図ることができるようになる。
さらに、本発明によれば、押出機によって押出被覆された樹脂を急冷することなく徐冷することによって、樹脂の収縮率を抑え、中心抗張力体の引き抜き力の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によって製造される光ケーブル用スペーサの構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明に係わる光ケーブル用スペーサの押出被覆工程を概念的に説明するための図である。
【図3】本発明に係わる光ケーブル用スペーサの実施例と、従来の光ケーブル用スペーサの比較例の製造条件を示す図である。
【図4】図3の条件で製造した光ケーブル用スペーサにおける中心抗張力体の引き抜き力と加熱収縮率との評価結果を示す図である。
【図5】従来の光ケーブル用スペーサの構成例を模式的に示す図である。
【図6】従来の光ケーブル用スペーサの製造工程を概念的に説明するための図である。
【図7】接着層及び中間層の収縮作用について説明するための図である。
【符号の説明】
1…中心抗張力体、2…接着層、3…中間層、3a…第1の中間層、3b…第2の中間層、4…最外層、11,21…第1の押出機、12,22…第1の冷却水槽、13,23…第2の押出機、14,24…第2の冷却水槽、15,25…第3の押出機、16,26…第3の冷却水槽、17…第4の押出機、18…第4の冷却水槽、s…スロット。

Claims (3)

  1. 中心抗張力体の周囲に、内層側から順に接着層、中間層、及び最外層が積層され、前記最外層に光ケーブルを収納するための溝が設けられている光ケーブル用スペーサの製造方法において、前記中間層を第1の中間層及び第2の中間層の2層によって構成し、前記中心抗張力体の表面に前記接着層を押出被覆成形する接着層成形工程と、前記接着層成形工程の後に前記第1の中間層を押出被覆成形する第1の中間層成形工程と、前記第1の中間層成形工程の後に前記第2の中間層を押出被覆成形する第2の中間層成形工程と、前記第2の中間層成形工程の後に前記最外層を押出被覆成形する最外層成形工程とを有することを特徴とする光ケーブル用スペーサの製造方法。
  2. 前記接着層の層厚を1.2mm以下とすることを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル用スペーサの製造方法。
  3. 前記接着層成形工程、前記第1の中間層成形工程、前記第2の中間層成形工程、及び前記最外層成形工程のいずれかまたは複数において、押出機によって被覆した樹脂層を空気及び/または温水によって徐冷することを特徴とする光ケーブル用スペーサの製造方法。
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