JP2005055365A - 核酸分子を固定化するための固体支持体 - Google Patents

核酸分子を固定化するための固体支持体 Download PDF

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Abstract

【課題】 核酸分子の固定化量が高く、核酸分子の結合強度が高い固体支持体を提供する。
【解決手段】 基板上にダイヤモンドライクカーボン層を有し、その表面に式I:
Figure 2005055365

[式中、nは1〜12の整数である]で表される基が共有結合した固体支持体。
【効果】遺伝子発現のモニタリング、塩基配列の決定、変異の解析及び多型解析等において有用なDNAチップを提供することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、核酸分子を固定化するための固体支持体、核酸分子の固定化方法、核酸分子固定化固体支持体及びこれを用いた核酸分子検出方法に関する。
多彩な生物の全遺伝子機能を効率的に解析するための技術開発が進んでおり、その解析手段として、DNAチップが利用されている。DNAチップは通常、スライドガラス等の固体支持体に多数のDNA断片を整列固定化させたマイクロアレイの形態にあり、DNAチップに固定化されているDNA断片と相補性を持つDNA断片試料をハイブリダイゼーションによってDNAチップ上に固定化し、検出する方法に利用される。形成されたハイブリッドの検出手段としては、DNA断片試料に予め結合させた蛍光標識あるいは放射性標識を利用する方法、そしてハイブリッドに取り込まれる蛍光発生基もしくは導電性基を持つインターカレータを利用する方法などが知られている。
DNAチップ利用技術を実用化するためには、多数のDNA断片やオリゴヌクレオチドを固体支持体表面に整列固定化する技術が必要とされる。DNA断片を固体支持体表面に固定化する方法としては、DNA断片の種類や固体支持体の種類に応じて下記のような方法がある。
固定化するDNA断片がcDNA(mRNAを鋳型にして合成した相補的DNA)やPCR産物(cDNAをPCR法によって増幅させたDNA断片)の場合には、これらをDNAチップ作製装置に備えられたスポッター装置を用いて、ポリ陽イオン(ポリリシン、ポリエチレンイミン等)で表面処理した固体支持体表面にスポッティングして、DNAの荷電を利用して固体支持体に静電結合させる方法が一般的に利用される。また、固体支持体表面の処理方法として、アミノ基、アルデヒド基、エポキシ基等を有するシランカップリング剤を用いる方法も利用されている(例えば、非特許文献1参照)。この場合には、アミノ基、アルデヒド基等は、共有結合により固体支持体表面に導入されるため、ポリ陽イオンによる場合と比較して安定に固体支持体表面に存在する。また、基板の表面に表面処理層及び核酸分子と共有結合しうる官能基を有する化学修飾層を順次設けてなる固体支持体も開発されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
固定化するDNA断片が合成オリゴヌクレオチドの場合には、反応活性基を導入したオリゴヌクレオチドを合成し、表面処理した固体支持体表面に該オリゴヌクレオチドをスポッティグし、共有結合させる方法が知られている(例えば、非特許文献2参照)。例えば、アミノ基を導入したスライドガラスに、PDC(p−フェニレンジイソチオシアネート)存在下、アミノ基導入オリゴヌクレオチドを反応させる方法、および該スライドガラスに、アルデヒド基導入オリゴヌクレオチドを反応させる方法が知られている。これらの二つの方法は、前記のDNAの荷電を利用する方法と比べて、オリゴヌクレオチドが固体支持体表面に安定に固定化される。しかし、PDCを存在させる方法は、PDCとアミノ基導入オリゴヌクレオチドとの反応が遅く、またアルデヒド基導入オリゴヌクレオチドを用いる方法は、反応生成物であるシッフ塩基の安定性が低い(通常、加水分解が起こり易い)という問題点がある。
DNAチップ技術では、検出限界が重要となる。そのため、固体支持体表面に充分な量で安定にDNA断片を固定化する技術の開発は、固定化DNA断片と標識した試料核酸断片とのハイブリダイゼーションの検出限界の向上に大きく寄与する。
従来の固体支持体のDNAの固定化量及びDNAの結合強度は、必ずしも充分とはいえず、DNAの固定化量がより高くDNA結合強度がより高い固体支持体の開発が望まれている。
この出願の発明に関する先行技術文献情報として次のものがある。
国際公開第00/22108号パンフレット 国際公開第 02/12891号パンフレット 特開2002-82116号公報 Geo, Z. et al., Nucleic Acid Research, 22, 5456-5465(1994) 「蛋白質・核酸・酵素」、43巻、(1998)、2004-2011
本発明の課題は、核酸分子の固定化量がより高く、核酸分子の結合強度がより高い固体支持体を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討の結果、基板上にダイヤモンドライクカーボン層を形成し、この層にアミノ基を介してマレイミド基を導入した固体支持体により、核酸分子の固定化量及び核酸分子の結合強度が著しく向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)
基板上にダイヤモンドライクカーボン層を有し、その表面に式I:
Figure 2005055365
[式中、nは1〜12の整数である]
で表される基が共有結合した固体支持体。
(2)
(1)に記載の固体支持体上のマレイミド基に、SH基が導入された核酸分子を結合させることにより核酸分子を固体支持体に固定化する方法。
(3)
(1)に記載の固体支持体上のマレイミド基に、SH基が導入された核酸分子が結合してなる核酸分子固定化固体支持体。
(4)
基板上にダイヤモンドライクカーボン層を形成した後、該ダイヤモンドライクカーボン層にアミノ基を導入し、式II:
Figure 2005055365
[式中、nは1〜12の整数である]
で表される化合物又はその塩を反応させることを含む、(1)に記載の固体支持体の製造方法。
(5)
前記アミノ基はプラズマ法により導入することを特徴とする(4)に記載の方法。
(6)
(3)に記載の核酸分子固定化固体支持体に、標識した試料核酸分子を滴下し、固体支持体に固定化された核酸分子にハイブリダイズした試料核酸分子の標識を検出することを含む、核酸分子の検出方法。
本発明により、固体支持体上に核酸分子を強固かつ高密度に固定化することができる。従って、本発明の固体支持体を用いることにより、検出限界の高いDNAチップの製造が可能になる。このようなDNAチップを用いて、試料核酸分子とのハイブリダイゼーションを行うことにより、DNAチップに固定化されたDNA断片に相補性を有する核酸分子を感度よく検出することができる。
またSH基と特異的に結合するマレイミド基を導入することで、DNA塩基のアミノ基が固体支持体と反応することを防ぎ、純粋にDNA末端にて固体支持体に固定化することが可能となる。
固体支持体
本発明の固体支持体は、基板上にダイヤモンドライクカーボン層を有し、その表面に化学修飾基が結合した構造を有する。
本発明に用いる基板の材料としては、例えば、シリコン、ガラス、繊維、木材、紙、セラミックス、プラスチック(例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene 樹脂)、ナイロン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂)が挙げられる。本発明においては、シリコン基板を使用するのが好ましい。
この基板上にダイヤモンドライクカーボンによる表面処理層を形成する。ダイヤモンドライクカーボン(DLC:Diamond Like Carbon)とは、ダイヤモンドとカーボンとの混合体である不完全ダイヤモンド構造体を総称し、その混合割合は、特に限定されない。表面処理層の厚みは、1nm〜100μmであることが好ましい。
基板の表面処理層の形成は、公知の方法、例えば、マイクロ波プラズマCVD(Chemical Vapor Deposit)法、ECRCVD(Electric Cyclotron Resonance Chemical Vapor Deposit)法、ICP(Inductive Coupled Plasma)法、直流スパッタリング法、ECR(Electric Cyclotron Resonance)スパッタリング法、イオンプレーティング法、アークイオンプレーティング法、EB(Electron Beam)蒸着法、抵抗加熱蒸着法、イオン化蒸着法、アーク蒸着法、レーザ蒸着法などにより行うことができる。
表面処理された基板の一例としては、シリコン基板にダイヤモンドライクカーボンを製膜した基板が挙げられる。このような基板は、ダイヤモンドライクカーボンが、水素ガス0〜99体積%、残りメタンガス100〜1体積%を含んだ混合ガス中で、イオン化蒸着法により作成したものであることが好ましい。
本発明の固体支持体としては、前記のように表面処理層を形成した構造だけでなく、ダイヤモンドライクカーボンと基板材料との積層体や複合体(例えば、ダイヤモンドライクカーボンと他の物質との複合体、(例えば2相体))であってもよい。
基板上にダイヤモンドライクカーボン層を形成することにより、高密度にDNAを固定化でき、高いS/N比が得られるため、感度の高い検出が可能になる。また、繰り返し使用することも可能である。
基板の形状及びサイズは特に限定されないが、形状としては、平板状、糸状、球状、多角形状、粉末状などが挙げられ、サイズは、平板状のものを用いる場合、通常は、幅0.1〜100mm、長さ0.1〜100mm、厚み0.01〜10mm程度である。
また、基板の表面又は裏面に、反射層としてTi、Au、Pt、Nb、Cr、TiC、TiN等の単層又はこれらの複合膜を製膜してもよい。反射層の厚みは、全体に均一であることが必要なため、好ましくは10nm以上、更に好ましくは100nm以上である。
基板としてガラスを用いる場合、その表面は、Ra(JIS B 0601)で1nm〜1000nmの範囲で意図的に粗面化されていることも好ましい。このような粗面化表面は基板の表面積が増えて、多量のDNAプローブ等を高密度で固定化できる点で好都合である。
続いて、上記ダイヤモンドライクカーボン層を施した基板にアミノ基を導入する。アミノ基の導入は、ダイヤモンドライクカーボン層を施した基板に塩素ガス中で紫外線を照射することにより表面を塩素化し、次いでアンモニアガス中で紫外線照射することにより実施できる。あるいはダイヤモンドライクカーボン層を施した基板を、アンモニア雰囲気下でプラズマ法に付すことにより実施できる。ここで、プラズマ法とは、真空条件下、直流あるいは交流による放電にプラズマを発生させ、原料ガスとして例えばベンゼンやメタンを用い、イオン化したガスでバイアスを印加した基板を処理する方法である。
このように形成させたアミノ基と、以下の式II:
Figure 2005055365
で表される化合物又はその塩を反応させることにより、式I:
Figure 2005055365
で表されるような化学修飾基をダイヤモンドライクカーボン層上に形成することができる。
式I又はIIにおいて、nは1〜12、好ましくは4〜6の整数、より好ましくは5である。式IIで表される化合物の塩としては特に限定されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等を使用できる。ナトリウム塩を使用するのが好ましい。
具体的には、アミノ基が導入された固体支持体を、バッファー中に通常0.1〜100mMの濃度で式IIの化合物を含む溶液に浸漬することにより反応させる。バッファーとしては、PBS、トリエタノールアミンバッファー、ホウ酸ナトリウムバッファー等を使用することができる。PBS(pH6〜9)を使用するのが好ましい。反応温度は、通常10〜80℃、好ましくは25〜30℃、反応時間は、通常1〜300分、好ましくは30〜60分である。
本発明の固体支持体において、上記のマレイミド基を有する化学修飾基は、共有結合によってダイヤモンドライクカーボン層中の炭素と強固に結合しているため、洗浄や温度変化によっても剥離することがなく、また固体支持体を長期間保存することも可能である。
核酸分子の固定化
本発明の固体支持体の表面に存在するマレイミド基はSH基との反応性が高いため、SH基を導入した核酸分子を固体支持体上に効果的に結合することができる。また、マレイミド基は、SH基に対する選択性が高いことから、SH基が導入された核酸分子を固体支持体上に特異的に結合させることができる。核酸分子へのSH基の導入は、当技術分野において通常用いられる方法により実施することができる(B. A. Connally and P. Rider, Nucleic Acids Research, 1985, 13, 4485-4502)。SH基の導入は、核酸分子鎖の5’末端や3’末端に導入するのが一般的であるが、ハイブリダイゼーションに際して障害とならない限り、導入部位は末端に限定されるものではない。SH基は、マレイミド基と反応して共有結合を形成するため、核酸分子は本発明の化学修飾基に強固に結合する。すなわち、核酸分子は、マレイミド基の3位にイオウ原子を介して共有結合する。
本発明の固体支持体には、DNA、RNA等のいずれの核酸分子もSH基を導入することにより固定化することができ、目的に応じてその種類を選択できる。遺伝子の発現を調べるためには、cDNA、cDNAの断片、EST等のポリヌクレオチドを使用することが好ましい。これらのポリヌクレオチドは、その機能が未知であってもよいが、一般的にはデータベースに登録された配列を基にしてcDNAのライブラリー、ゲノムのライブラリーあるいは全ゲノムをテンプレートとしてPCR法によって増幅して調製する。増幅しないものも使用することができる。また、遺伝子の変異や多型を調べるには、標準となる既知の配列をもとにして、変異や多型に対応する種々のオリゴヌクレオチドを合成し、これを使用することが好ましい。さらに、塩基配列分析の場合には、4n(nは、塩基の長さ)種のオリゴヌクレオチドを合成したものを使用することが好ましい。DNA断片の塩基配列は、一般的な塩基配列決定法によって予めその配列が決定されていることが好ましい。
固定化する核酸分子における塩基数は、通常1〜200、好ましくは5〜150である。また、DNAは一本鎖、二本鎖のいずれも固定化することができる。
SH基を導入した核酸分子をスポッティグ用バッファーに溶解し、本発明の固体支持体上にスポッティングすることにより、核酸分子を固定化することができる。
SH基を導入した核酸分子を、濃度が通常0.1〜500μM、好ましくは5〜10μMとなるようにスポッティング用バッファーに溶解し、スポッティング用溶液を調製する。スポッティング用バッファーとしては、1〜50%のPEG(ポリエチレングリコール)溶液、PBS(リン酸緩衝化生理食塩水)、50%DMSO(ジメチルスルホキシド)、3×SSC(saline sodium citrate)、純水等を使用することができる。本発明においては、PBS(リン酸緩衝化生理食塩水)を使用するのが好ましい。マレイミド基は加水分解されやすく、pH7付近で反応効率が最も良い。
調製したスポッティング用溶液を、96穴もしくは384穴プラスチックプレートに分注し、分注した溶液をスポッター装置等によって固体支持体上にスポッティングすることができる。このとき、多種類の核酸分子を互いに独立したスポットとしてアレイ状に配列することにより、この複数種の核酸分子と標的核酸とがそれぞれハイブリダイゼーションするか否かを同時に検出することができる。
スポッティング後、核酸分子が固体支持体に結合する反応を進行させるため、インキュベーションを行うことが好ましい。核酸分子の固定化は化学反応による共有結合の生成であるため、反応を確実に進めるべく、スポッティング後速やかにインキュベーションを行うのが好ましい。
インキュベーションは、通常10〜80℃、好ましくは25〜30℃の温度で、通常0.5〜10時間、好ましくは1〜2時間にわたって行う。インキュベーションは、高湿度の雰囲気下、例えば、湿度50〜90%の条件で行うのが望ましい。インキュベーションに続き、固体支持体に結合していない核酸分子を除去するため、洗浄液(例えば、2×SSC/0.2%SDS)を用いて洗浄を行うことが好ましい。
ハイブリダイゼーション
本発明はまた、上記のように固体支持体に固定化された核酸分子に相補性を持つ核酸分子試料をハイブリダイゼーションによって固体支持体上に固定化し、これを検出する方法に関する。
試料として用いる核酸分子としては、その配列や機能が未知であるDNA断片試料あるいはRNA断片試料を用いることが好ましい。試料核酸分子は、遺伝子発現を調べる目的では、真核生物の細胞や組織サンプルから単離することが好ましい。試料がmRNAならば、mRNAが発現される組織サンプルから抽出することが好ましい。mRNAは、逆転写反応により標識dNTP(「dNTP」は、塩基がアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)もしくはチミン(T)であるデオキシリボヌクレオチドを意味する。)を取り込ませて標識cDNAとすることが好ましい。dNTPとしては、化学的な安定性のため、dCTPを用いることが好ましい。1回のハイブリダイゼーションに必要なmRNA量は、液量や標識方法によって異なるが、数μg以下であることが好ましい。尚、固体支持体上の核酸分子がオリゴヌクレオチドである場合には、試料核酸分子は低分子化しておくことが望ましい。原核生物の細胞では、mRNAの選択的な抽出が困難なため、全RNAを標識することが好ましい。試料核酸分子は、遺伝子の変異や多型を調べる目的では、標識プライマーもしくは標識dNTPを含む反応系で標的領域のPCRを行って調製することが好ましい。
上記のような試料核酸分子を標識して、固体支持体上に固定化された核酸分子と反応させ、ハイブリダイズした試料核酸分子に由来する標識を読みとることにより、ハイブリダイゼーションの有無を検出することができる。試料核酸分子の標識は、例えば、PCR法を用いて目的の核酸分子を増幅する際、そのプライマーとして標識を予め結合させた標識プライマーを用いることで、簡便に実施できる。
標識としては、核酸分子に取り込むことが可能なものであれば特に限定されないが、例えば、蛍光標識(Cy3及びCy5などのCyDye、FITC、RITC、ローダミン、テキサスレッド、TET、TAMRA、FAM、HEX、ROXなど)、放射能標識(α−32P、γ−32P、35Sなど)などが挙げられる。蛍光標識核酸分子を用いた場合は、ハイブリダイゼーション後の固体支持体を蛍光撮影することにより、画像として検出することができる。
この試料核酸分子のサンプルは、濃度が通常0.01〜100μM、好ましくは1〜10μMとなるようにハイブリダイズ用バッファーに溶解することによって、ハイブリダイズ用溶液として調製する。このハイブリダイズ用溶液を、上記で調製した核酸分子が固定化された固体支持体上に滴下し、インキュベーションを行うことによりハイブリダイズさせる。
インキュベーションは、通常30〜70℃、好ましくは45〜60℃で、通常0.5〜16時間、好ましくは1〜4時間で行う。ハイブリダイゼーション工程においても、高湿度雰囲気下でインキュベーションを行うのが好ましい。最後に、固体支持体を洗浄し、乾燥後、標識を読みとることにより検出を行う。
伸長反応
また、本発明の固体支持体は、核酸分子、例えば、DNAの伸長反応に用いることもできる。この場合、まず、固体支持体上にプライマーを固定化して、一本鎖又は二本鎖DNAをハイブリダイズさせる。その後、DNA伸長反応によりプライマーにハイブリダイズしたDNAと相補的なDNAを伸長させる。
従来の固体支持体では、伸長反応における熱処理によってプライマーが剥離することがあるが、本発明の固体支持体では、熱を加えてもプライマーが剥離せず、プライマーを固体支持体に固定化した状態で伸長反応を進行させることができる。
この伸長反応の時に、標識した核酸を取り込ませ、伸長反応後、標識に由来するシグナルを読みとることによって、プライマーに特定のDNAがハイブリダイズして伸長反応が進行したか否かを検出することができる。従って、試験した試料中に、固定化支持体上のプライマーにハイブリダイズしうるDNAが含まれているかどうかを判定することができ、研究及び医療における有用な検出手段となりうる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)マレイミド基を導入した固体支持体の作成
イオン化蒸着法によって、3mm角に切断したシリコン基板上に、メタンガス95体積%と水素5体積%を混合したガスを原料として、加速電圧0.5kVでDLC層を100nmの厚みに形成した。その後、アンモニアガス雰囲気でプラズマ法により10分間アミノ化を実施した。
以下の組成の反応液を調製し、これにアミノ化した固体支持体を浸漬させ、30分間浸透した。その後、純水で3回洗浄し、100℃にて30分間真空乾燥した。ここでスルホ−EMCS(株式会社 同仁化学研究所)は、上記の式IIの化合物において、nが5であるナトリウム塩である。

スルホ−EMCS 12.3mg[1mM]
10×PBS(pH7.4) 3ml
超純水 27ml
合計 30ml
micro−ESCA(Electron spectroscopy for chemical analysis: Perkin-Elmer社製)を用いて反応前後の固体支持体表面を解析した。結果を図1に示す。
反応前後の固体支持体表面のESCA解析から、反応後にOとNのピーク強度が増加していることがわかった(図1a)。また反応後のnarrowスキャンから約289eV付近に新たなピークが現れていることがわかる(図1b)。O、Nのピークについてはマレイミド基のO、Nに由来するものであると考えられる。また、289eV付近に新たに出現したピークについてはマレイミドのイミド部分に由来するものであると考えられる。以上から、固体支持体表面には、マレイミド基が導入されていることがわかる。
(実施例2)SH基を導入したDNAの固定化及びハイブリダイゼーション
固体支持体に結合させるオリゴDNAとして、R−WT(5’−ACTGGCCGTCGTTTTACAACGT−3’)(配列番号1)にSH基を導入した5’末端SH修飾R−WTを使用した。また、これにハイブリダイズさせるオリゴDNAとしてF−WT(3’−TGACCGGCAGCAAAATGTTGCA−5’)(配列番号2)をCy5で標識した、5’末端Cy5標識F−WTを使用した。これらの修飾オリゴDNAはいずれもSIGMA GENOSYSから入手した。
(1)20%PEG溶液に、5’末端SH修飾R−WTを5μMで溶解し、スポッティング用溶液を10μl調製した。実施例1で製造した固体支持体上に、SPBIO(日立ソフトウェア社製スポッター装置)を用いて、このスポッティング用溶液を4点にスポッティングした。その後室温で1時間反応させた。固体支持体を2×SSC/0.2%SDSで室温にて15分間洗浄し、次いで95℃に温めた2×SSC/0.2%SDSで5分間洗浄し、エアブローで乾燥させた。
(2)5×SSC/0.5%SDS溶液に5’末端Cy5標識F−WTを1μMで溶解し、ハイブリダイズ用溶液50μlを調製した。5’末端SH修飾R−WTを固定化した固体支持体をハイブリダイズ用溶液に浸漬し、60℃で1時間ハイブリダイズさせた。2×SSC/0.2%SDSで室温にて10分間洗浄し、0.1×SSCでリンスした。
(3)エアブローで乾燥後、蛍光スキャナー(富士写真フィルム社製、FLA−8000)にて画像を読みとった。
(実施例3)
(1)の工程で、20%PEG溶液のかわりに1×PBS溶液(pH7.4)に5’末端SH修飾R−WTを溶解してスポッティング用溶液を調製する点以外は、実施例2と同様にして、DNAハイブリダイゼーションの検出を行った。
(実施例4)
(1)の工程で、20%PEG溶液のかわりに1×PBS(pH7.4)溶液に5’末端SH修飾R−WTを溶解してスポッティング用溶液を調製する点、及びスポッター装置のかわりにマイクロピペッターを用いて0.3μlずつ計2点スポッティングを行った点以外は、実施例2と同様にして、DNAハイブリダイゼーションの検出を行った。
(実施例5)
本実施例では、5’末端SH修飾R−WT、及びR−WTの5’末端をアミノ基で修飾した5’末端NH2修飾R−WTの双方をスポッティングし、両者を比較した。
1×PBS(pH7.4)溶液に、5’末端SH修飾R−WT又は5’末端NH2修飾R−WTをそれぞれ5μMで溶解し、スポッティング用溶液を10μlずつ調製した。実施例1で調製した固体支持体に、この2種類のスポッティング用溶液を、マイクロピペッターでそれぞれ0.4μlずつスポッティングした(図2において、左上及び右下のスポットが5’末端SH修飾R−WT)。スポッティング後、固体支持体を湿箱(飽和食塩水を入れて、湿度を飽和状態にしてスポッティング溶液の蒸発を防いだ)に入れ、室温にて1時間反応させた。あとは実施例2と同様に行った。
実施例2〜5で得られた蛍光画像の結果を図2に示す。実施例5の結果から、本発明の固体支持体がNH2修飾オリゴDNAよりもSH修飾オリゴDNAを選択的に結合することがわかる。
本発明により、遺伝子発現のモニタリング、塩基配列の決定、変異の解析及び多型解析等において有用なDNAチップを提供することができる。
実施例1で作成した本発明の固体支持体の表面をESCA解析した結果を表す。 実施例2〜5において、ハイブリダイゼーション後の固体支持体を蛍光スキャナーで画像撮影した結果を表す。

Claims (6)

  1. 基板上にダイヤモンドライクカーボン層を有し、その表面に式I:
    Figure 2005055365
    [式中、nは1〜12の整数である]
    で表される基が共有結合した固体支持体。
  2. 請求項1に記載の固体支持体上のマレイミド基に、SH基が導入された核酸分子を結合させることにより核酸分子を固体支持体に固定化する方法。
  3. 請求項1に記載の固体支持体上のマレイミド基に、SH基が導入された核酸分子が結合してなる核酸分子固定化固体支持体。
  4. 基板上にダイヤモンドライクカーボン層を形成した後、該ダイヤモンドライクカーボン層にアミノ基を導入し、式II:
    Figure 2005055365
    [式中、nは1〜12の整数である]
    で表される化合物又はその塩を反応させることを含む、請求項1に記載の固体支持体の製造方法。
  5. 前記アミノ基はプラズマ法により導入することを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 請求項3に記載の核酸分子固定化固体支持体に、標識した試料核酸分子を滴下し、固体支持体に固定化された核酸分子にハイブリダイズした試料核酸分子の標識を検出することを含む、核酸分子の検出方法。
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