JP2005055200A - 超音波検査装置及びこれを用いた検査方法 - Google Patents

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泰和 横野
Shigeyuki Matsubara
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Abstract

【課題】熱脆化等の材料劣化や粒界腐食等の損傷を、特に現場において非破壊的手法により評価することの可能な超音波検査装置及びその超音波検査装置を用いた検査方法を提供する。
【解決手段】送信振動子30から試験体Sに超音波を入射させることにより試験体表面に表面波を発生させ、表面波又はこの表面波に起因する漏洩波を受信振動子40で受信することにより試験体Sの検査を行う。送信振動子30及び受信振動子40の対を少なくとも2対以上配置し、対をなす送信振動子30a〜d,及び受信振動子40a〜d同士を結ぶ線分L1〜L4が互いに交差するように配置する。これら複数の受信振動子40a〜dで受信した各受信信号を互いに合成することの可能な信号処理手段76を有する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、試験体表面に生じる表面波及びこの表面波に起因する漏洩波により、熱脆化や粒界腐食といった損傷部の劣化度や物性、位置、形状、寸法等を調べるための超音波検査装置及び検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
化学プラントや発電プラントにおける配管、反応搭、タービン等の鋼材は、高温高圧環境下で酷使され、熱脆化等の材料劣化や粒界腐食等の損傷が発生する。
従来、これらの損傷部の検査に用いる超音波検査装置として、特許文献1に記載のものが知られている。同文献では、湾曲した振動子を有する探触子から試験体に超音波を入射し、試験体からの漏洩波と直交反射波との比較により試験体に発生する漏洩弾性表面波の音速を求めることにより劣化度等を調べる旨記載されている。しかし、同文献に記載の探触子にあっては、一対の送受信面間で超音波の送受信を行う構成であるため、特に、一定の広がりを有する損傷部の検査にあっては検出精度を向上させることに限界があった。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−131297号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来の実状に鑑みて、本発明の目的は、熱脆化等の材料劣化や粒界腐食等の損傷を、特に現場において非破壊的手法により評価することの可能な超音波検査装置及びその超音波検査装置を用いた検査方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明にかかる超音波検査装置の特徴構成は、送信振動子から試験体に超音波を入射させることにより試験体表面に表面波を発生させると共に、前記表面波又はこの表面波に起因する漏洩波を受信振動子で受信することにより試験体の検査を行うものであって、前記送信振動子及び受信振動子の対を少なくとも2対以上配置し、前記対をなす振動子同士を結ぶ線分が互いに交差するように配置すると共に、これら複数の受信振動子で受信した各受信信号を互いに合成することの可能な信号処理手段を有していることにある。ここで、「対をなす送信振動子及び受信振動子同士を結ぶ線分」とは、平面方向視で対向する一対の送信振動子及び受信振動子を結ぶ線分をいう。また、「各信号を互いに合成する」とは、例えば、各部位における異なる受信振動子の信号値の中から最大値、最小値等の特徴量を抽出することをいう。
【0006】
同特徴構成によれば、送信振動子と受信振動子の対を少なくとも2対以上有することから、試験体表面に生じた損傷部に対して二方向以上から表面波を通過させることができる。
【0007】
また、上記特徴構成において、前記振動子を略円弧状の凹面に貼り付けるとよい。同特徴構成によれば、送信振動子と受信振動子間の距離を常に一定に維持でき、精密な検査を行うことが可能となる。
【0008】
上記いずれかに記載の特徴構成に加え、前記複数の送信振動子及び受信振動子を略円形状に配置するとよい。さらには、これら対をなす送信振動子及び受信振動子同士を結ぶ各線分間が順次等角となるようにこれらの振動子を配置するとよい。
【0009】
また、上記特徴構成に加え、前記送信振動子を収納する第一収納部と、前記受信振動子を収納する第二収納部とを設け、前記第一収納部と前記第二収納部の間に音響隔離壁を設けるとよい。同特徴構成によれば、隣り合う送信振動子及び受信振動子同士のクロストークを防止することができる。
【0010】
上記いずれかの特徴構成に加え、隣接する前記各送信振動子から送信される超音波の送信時刻を異ならせる遅延装置を有するとよい。同特徴構成によれば、隣接する送信振動子からのクロストークと試験体からの超音波との混信を防止することができる。
【0011】
上記いずれかの特徴構成において、前記超音波がバースト波又はパルス波であることが望ましい。同特徴によれば、複数の波の繰り返しからなるバースト波を用いることで、試験体中に超音波を確実に入射させ、試験体に表面波を効率的に発生させることができる。また、時間分解能を向上させるにはパルス波を用いるとよい。
【0012】
上記いずれかの特徴構成に加えて、試験体表面に沿って走査するための走査装置を有していることが望ましい。
【0013】
本発明に係る検査方法の特徴は、上記いずれかに記載の特徴構成を有する超音波検査装置を用いると共に、送信振動子から試験体に超音波を入射させることにより試験体表面に表面波を発生させ、前記表面波又はこの表面波に起因する漏洩波を受信振動子で受信することにより試験体表面に生じた損傷部の検査を行うことにある。
【0014】
【発明の効果】
このように、上記本発明に係る超音波検査装置及びこれを用いた検査方法の特徴によれば、多方向からの信号を合成することで、損傷部の劣化度等をより高精度に判定できるのみならず、試験体内部に生じた損傷部の位置、形状及び寸法を迅速且つ精密に検出することが可能となり、検査精度や検査効率の向上に貢献しうるに至った。
【0015】
本発明の他の目的、構成、効果については、以下の「発明の実施の形態」の欄で明らかになるであろう。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照しながら、本発明の第一実施形態について説明する。
図1、2に示すように、本発明にかかる検査装置1は、大略、互いに同一構造を有する送信振動子30及び受信振動子40を有するセンサーユニット10と、このセンサーユニット10を試験体表面Saに沿って移動させるための走査ユニット20と、これらを駆動させるための駆動ユニット60と、操作・信号処理ユニット70と表示器80とにより構成されている。操作・信号処理ユニット70は、特定機能を実現するためのソフトウェアを組み込んだものである。この操作・信号処理ユニット70により、駆動ユニット60を介して送信振動子30、受信振動子40により超音波を送・受信する。そして、その受信波形を操作・信号処理ユニット70で処理し、処理結果を表示器80に表示する。
【0017】
先の駆動ユニット60は、センサーユニット10を構成する各送信振動子30から超音波を送信させるためのファンクションジェネレータ61と、複数の受信振動子40にて受信した超音波を増幅するための複数のプリアンプ62と、走査ユニット20の駆動モーターM1〜M3を駆動させるためのモータードライバ65とを備えている。本実施形態では、ファンクションジェネレータ61は、第一〜第四送信振動子30a〜dにそれぞれ接続される第一〜第四ファンクションジェネレーター61a〜dにより、プリアンプ62は第一〜第四受信振動子40a〜dにそれぞれ接続される4つの第一〜第四プリアンプ62a〜dによりそれぞれ構成する。
【0018】
図2に示すように、本発明にかかる走査ユニット20は、大略、先のセンサーユニット10と、貯液手段である水Wを蓄える水槽24と、センサーユニット10を走査させるための走査機構25とより構成されている。この走査機構25において、同図紙面垂直方向に配向した一対のY軸ガイド25a,25aが水槽24上に載置されており、一対のY軸スライダー25b,25bが図示しない第一の駆動モーターM1により駆動されて各Y軸ガイド25a上で摺動する。また、一対のY軸スライダー25b,25bに跨る一本のX軸ガイド25cに沿ってX軸スライダー25dが先の第二の駆動モーターM2の駆動により摺動する。Z軸スライダー25fに取り付けられているセンサーユニット支持棒25gに支持されたセンサーユニット10は、X軸スライダー25d上に設けられたZ軸ガイド25eに沿って先の第三駆動モーターM3によりZ軸方向に駆動する。
【0019】
本実施形態では平板状の試験体Sを試験体収納ボックス24の底面上の略水平な載置台24a上に載置する。先のY軸ガイド25a及びX軸ガイド25cは、試験体表面Saないし載置台24aの表面と平行を保って載置される。これら試験体S及び載置台24a上面とほぼ平行を維持しながら、例えば、図5に示す経路Rに沿って走査を行う。
【0020】
操作・信号処理ユニット70におけるモーターコントローラ72は、キーボード等の制御装置73からの入力により起動する。そして、遅延装置63を介して各ファンクションジェネレーター61a〜dが励起するバースト又はパルス電圧信号の送信時刻や周期・位相を互いに異ならせることも可能である。本実施形態では、遅延装置63は各チャンネル毎に個別に対応する遅延回路を有している。
なお、遅延回路を設ける代わりに、制御装置73からの指示により各チャンネル毎の超音波の送信時刻を個別に異ならせるように遅延装置63を構成することもできる。
【0021】
また、モーターコントローラ72は、モータードライバ65を介して駆動モーターM1〜M3を駆動させると共に、その座標信号を処理装置76に送り込む。
【0022】
各プリアンプ62a〜dで受信された信号は、各チャンネル毎にA/Dコンバーター64でデジタル化された後に各チャンネル毎に処理装置76により座標信号と共に信号処理がなされ、分析結果が色調表示等により表示器80に表示される。
【0023】
次に、図3、4を参照しながら、センサーユニット10について説明する。
図4に、本発明に使用するセンサーユニット10の断面図を示す。このセンサーユニット10は、側面視で焦点Fを中心とする基台11の円弧状凹部表面R上に高分子ポリマー等を用いた第一〜第四送信振動子30a〜d及びこれらと対をなす第一〜第四受信振動子40a〜dを貼り付けてある。本実施形態では、この円弧状凹部表面Rの曲率半径が5mmの開口角集束探触子を用いる。そして、対となる送信振動子30a〜d及び受信振動子40a〜dの端部と焦点Fとのなす角θが90°となるようにこれらの振動子を円弧状凹部表面Rに貼り付けてある。
【0024】
送信振動子30a〜d,受信振動子40a〜dは、幅2mm、公称周波数10MHzのものを用いているが、これに限られるものではない。なお、低周波で曲率半径が比較的大きなものはセラミックスにより振動子を構成することも可能である。
【0025】
送信振動子30a〜dから送信した超音波は音響結合媒体である水W中を焦点Fに収束するように進行する。その際、Z軸スライダー25fにより試験体表面Saに直交する軸に対して一定の臨界角irにて試験体Sに超音波を入射するようセンサーユニット10のZ軸方向位置を調整する。試験体Sに入射した超音波は試験体表面Saの表面波音速によって定まる一定の臨界角irにて入射する場合にのみ試験体表面Saにて表面波となる。そして、受信振動子40a〜dでは、臨界角irをもって試験体表面Saから漏洩した波を受信する。なお、本実施形態では、この送信振動子30a〜dにおいて、送信面の横幅を十分確保することで、試験体Sに入射する超音波に指向性を付与してある。
【0026】
図3に示すように、対となる送信振動子30a〜dと受信振動子40a〜dを円弧状凹部13の中心点Cに関して底面方向視で点対称に配してあり、本実施形態では、これらが互いに底面方向視でこの中心点Cを中心とする円形状をなすように配置してある。この中心点Cは焦点Fを通過するZ軸平行線と一致する。また、これら対をなす各送信振動子30と受信振動子40を結ぶ線分L1〜L4の交点は底面方向視でこの中心点Cと一致する。その際、隣り合う送受信間のなす角B1〜B8はすべて約45°の等角としてある。
【0027】
第一〜第四送信振動子30a〜dから送信された超音波は焦点Fに収束するように進行し、試験体Sに入射した後は、試験体表面Saに沿ってその一部を外部に漏洩しながら進行し、漏洩弾性表面波は同じく一定の臨界角irで試験体表面Saから漏洩し、受信振動子40a〜dに向かう。すなわち、各送信振動子30a〜dから送信された超音波は、いずれもこの中心点C直下を通過し、中心点Cを挟んだ対称位置にある受信振動子40a〜dにのみ受信されることとなる。本実施形態では、第一送信振動子30aと第一受信振動子40aが、第二送信振動子30bと第二受信振動子40bが、第三送信振動子30aと第三受信振動子40cが、第四送信振動子30dと第四受信振動子40dがそれぞれ対をなす振動子に該当する。
【0028】
音響隔離壁17は、送信振動子から送信された超音波信号が隣の受信振動子に受信される(クロストーク)のを防止するためのものである。この音響隔離壁17により円弧状凹部13を第一収納部13aと第二収納部13bに二分してある。なお、本実施形態にあっては、第一送信振動子30aと第四受信振動子40d、第四送信振動子30dと第一受信振動子40dがそれぞれ隣り合う振動子に該当する。
【0029】
次に、本発明に係る超音波検査装置1を用いた検査手順について説明する。先ず、センサーユニット10が試験体表面Saに平行になるようにセンサユニット10を配置する。駆動モーターM1〜M3を駆動させ、図5に示す経路Rの如く、センサーユニット10を試験体表面Saに沿って所定のピッチ間隔毎に移動させる。そして、各座標位置において、各送信振動子30a〜dから同時に超音波を送信させる。
【0030】
各座標位置において、図6(a)〜(d)に示す送信振動子−受信振動子配置毎に、各受信振動子40a〜dで受信したバースト波又はパルス波の時間幅(ゲート)内での最大振幅値を「信号値」として抽出する。そして、各座標位置毎に「信号値」を走査マップ上に色調表示することで、図7(a)〜(d)に示すようなCスキャン画像を得ることができる。
【0031】
表面波の伝播経路中に損傷部D1〜D4が存在すれば、係る座標位置における最大振幅値は損傷部D1〜D4の影響を反映した値となる。すなわち、伝播経路中に損傷部D1〜D4が存在すれば、係る損傷部D1〜D4にて表面波は減衰(又は増幅)することから、健全部のみ通過した信号に比べ、振幅値は相対的に低くなる。そのため、係る座標位置の最大振幅値は他の部分の最大振幅値に比べ低い値を示す。
【0032】
このように、対となる送信振動子及び受信振動子の配置位置によって表面波の伝播経路中に損傷部D1〜D4がある場合と存在しない場合が生じる。図7(a)〜(d)に模式的に示すように、各受信振動子40a〜d毎のCスキャン画像にあっては、表面波の進行方向に沿った細長形状の低振幅領域が観察される。
【0033】
図8は、図7(a)〜(d)に示す各受信振動子40a〜d毎の「信号値」の中から、「特徴量」として各々の座標位置毎に最大値を抽出し、その「特徴量」を座標平面上に色調表示したものを模式的に示す図である。例えば、図7(a)〜(d)の一部のみ低振幅値を示す座標位置にあっては、図8に示す合成画像では振幅値の高い健全部として表示されることとなる。一方、いずれのCスキャン画像にあっても、振幅値の低い損傷部として表示されている座標位置にあっては、合成画像においても振幅値の低い損傷部として表示されることとなる。すなわち、この合成画像にあっては、対象座標位置直下近傍に損傷部D1〜D4が存在する場合のみ低振幅値を示すこととなる。よって、本実施形態の如く、平面方向視で円状の損傷部D1〜D4を有する試験体Sに対する検査の結果得られる合成画像は、損傷部中心を極小値とする円状の振幅分布として表示されることとなる。
【0034】
次に、図9、10を参照しながら、本発明の第二実施形態について説明する。
なお、以下の実施形態では主として上記第一実施形態と相違する部分についてのみ説明するものとする。
本実施形態では、図9に示すように二対以上の送信子110及び受信子120を有するセンサーユニット100を用いると共に、水等を介さずに試験体表面Saに表面波を入射させる点で上記第一実施形態と相違する。
【0035】
本実施形態にかかるセンサユニット100は、図10に示すように、平面方向視円形状の天板105と、この天板105の周縁から垂下する側壁116とに囲まれる収納室101内に、天板105から吊り下げた8本の送受信子支持柱117a〜hにより同構成からなる4対の送信子110及び受信子120をそれぞれ取り付けてある。
【0036】
送信子110は、図10に示すように、大略、振動子111と楔112を有し、振動子111で励起した超音波をアクリル製の楔112を介して試験体表面に入射する。その際、楔112と試験体表面Saとの間には接触媒質を介在させてある。この送信子110は、送信子取付中心軸Gと試験体表面Saの法線Hとのなす角で与えられる入射角を適宜調整可能な可変SH探触子であり、この入射角を試験体Sに固有の臨界角irとすることで、試験体Sに入射した超音波は試験体表面Saに沿って伝播する表面波となる。その表面波を対となる受信子120の楔112を介して受信振動子121で受信する。本実施形態では、図9に示すように、4対の送信振動子111a〜d及び受信振動子121a〜d間でそれぞれ超音波の送受信を行うことにより、試験体表面Saに生じた損傷部D1〜D4の検査を行う。
【0037】
最後に本発明のその他の実施形態の可能性について言及する。なお、以下に示す各実施形態を適宜組み合わせて実施してもよい。
【0038】
上記各実施形態では、鋼材の脆化や粒界腐食部等を評価した。しかし、本発明は、粒界腐食以外の損傷や、他の材料劣化部、酸化皮膜、浸炭、窒化、脱炭、元素の濃化のような表面改質部等の検査にも有用である。
【0039】
上記各実施形態においては、試験体Sとして表面が平らな鋼材に本発明を適用したが、鋼管等の表面が屈曲した種々の形状や、鋼材以外の材料の試験体に対しても本発明は適用可能である。
【0040】
上記第一実施形態では、円弧状凹部13を第一収納部13aと第二収納部13bを完全に二分するように音響隔離壁17を設ける場合を例にとって説明した。しかし、振動子間のクロストークを阻止できるのであれば、円弧状凹部13を完全に二分する場合のみならず、例えば、隣り合う送信振動子と受信振動子の近傍部分にのみ設ける場合や、円弧状凹部13の中央部にのみ設けることも可能である。
【0041】
上記第一実施形態では、音響隔離壁17を設ける場合を例にとって説明した。しかし、各送信振動子30a〜d毎に送信時間を適宜異ならせれば、超音波同士の干渉が起こることもなく、音響隔離壁17を設けずとも、隣り合う振動子間のクロストークを防止できる。例えば、図3,4に示すセンサユニット10にあっては、先ず、第一送信振動子30a及び第三送信振動子30cから同時に超音波を送信する。その後、第二送信振動子30b及び第四送信振動子30dから同時に超音波を送信するようにすればよい。この場合、第一受信振動子40aで受信を行う際に隣り合う第四送信振動子30dから超音波は送信されておらず、同様に、第四受信振動子40dで受信を行う際に隣り合う第一送信振動子30aから超音波は送信されていない。よって、これら隣り合う振動子間でクロストークの問題が生じることもない。また、上記第二実施形態においても、各送信振動子111a〜d毎に送信時間を異ならせるように構成してもよい。
【0042】
上記実施形態では、受信信号の低強度部が損傷部に相当し、ある位置の全ての角度の受信信号が未だ低強度である場合に、その部位を損傷部とする合成処理がなされた。しかし、損傷の性状によっては、受信信号の高強度部が損傷部に相当し、ある位置の全ての角度の受信信号が高強度である場合に、その部位を損傷部とする合成処理を行うことも可能である。
【0043】
また、上記実施形態では、「信号値」として受信信号の最大振幅を用いたが、平均振幅、振幅積分値、送信振動子から受信振動子に受信されるまでの送信−受信時間、FFT装置を介して求めたスペクトル、ピーク周波数、中心周波数等から損傷を評価してもよい。例えば、受信信号の初動時間から抽出した送信−受信時間にあっては、損傷部を通過した場合には、健全部のみを通過した超音波に比べ遅延又は早着することから、複数チャンネル毎の送信−受信時間を比較することにより、伝播経路中における損傷部の劣化度やその寸法等を評価することが可能である。また、送信−受信時間より、伝播経路における平均伝播速度を求めることで、損傷部の評価を行うことも可能である。
【0044】
なお、特許請求の範囲の項に記入した符号は、あくまでも図面との対照を便利にするためのものにすぎず、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるセンサーユニットを用いた検査装置の論理ブロック図である。
【図2】本発明の第一実施形態にかかるセンサーユニットの概略を示す水槽の一部を切り欠いた側面図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係るセンサーユニットの底面図である
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】センサユニットによる走査方向と試験体に設けた人工損傷部との関係を示す図である。
【図6】本発明にかかる超音波検査装置を用いて行った走査の際に用いる送信振動子及び受信振動子の位置関係を示す図である。
【図7】(a)〜(d)はぞれぞれ図6(a)〜(d)の各々の送信振動子−受信振動子配置毎に走査を行って得られたCスキャン画像を模式的に示す図である。
【図8】図7(a)〜(d)に示すCスキャン画像から得られる合成画像を模式的に示す図である。
【図9】本発明の第二実施形態におけるセンサーユニットの底面図である。
【図10】図9のA−A断面図である。
【符号の説明】
1:超音波検査装置、10:センサーユニット、11:基台、12:覆い、13:円弧状凹部、17:音響隔離壁、20:走査ユニット、24:水槽(貯液手段)、24a:載置台、25:走査手段、25a:Y軸ガイド、25b:Y軸スライダー、25c:X軸ガイド、25d:X軸スライター、25e:Z軸ガイド、25f:Z軸スライダー、25g:支持棒、30a〜d:第一〜第四送信振動子、40a〜d:第一〜第四受信振動子、60:駆動ユニット、61:ファンクションジェネレーター、61a〜d:第一〜第四ファンクションジェネレーター、62:プリアンプ、62a〜d:第一〜第四プリアンプ、63:遅延装置、64:A/Dコンバーター、65:モータードライバ、70:操作・信号処理ユニット、72:モーターコントローラ、73:制御装置、76:処理装置、80:表示器、100:センサーユニット、101:収納室、105:天板、110a〜d:第一〜第四送信子、111:送信振動子、111a〜d:第一〜第四送信振動子、112:楔、116:側壁、117a〜h:送受信子支持柱、120a〜d:第一〜第四受信子、121:受信振動子、121a〜d:第一〜第四受信振動子、122:楔、D1〜4:人工損傷、G:送信子・受信子取付中心軸、H:法線、ir:臨界角、M1〜M3:駆動モーター、R:円弧状凹部表面、S:試験体、Sa:試験体表面、X:スキャン方向、Y:ステップ方向、W:水

Claims (9)

  1. 送信振動子(30,111)から試験体(S)に超音波を入射させることにより試験体表面に表面波を発生させると共に、前記表面波又はこの表面波に起因する漏洩波を受信振動子(40、121)で受信することにより試験体(S)の検査を行う超音波検査装置であって、前記送信振動子(30,111)及び受信振動子(40、121)の対を少なくとも2対以上配置し、前記対をなす送信振動子(30a〜d,111a〜d)及び受信振動子(40a〜d、121a〜d)同士を結ぶ線分(L1〜L4)が互いに交差するように配置すると共に、これら複数の受信振動子(40a〜d)で受信した各受信信号を互いに合成することの可能な信号処理手段(76)を有していることを特徴とする超音波検査装置。
  2. 前記振動子(30a〜d,40a〜d)が略円弧状の凹面(R)に貼り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の超音波検査装置。
  3. 前記複数の送信振動子(30a〜d、111a〜d)及び受信振動子(40a〜d、121a〜d)を底面方向視で略円形状に配置することを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波検査装置。
  4. 前記線分(L1〜L4)が順次等角となるように前記送信振動子(30a〜d、111a〜d)及び受信振動子(40a〜d、121a〜d)を配置することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の超音波検査装置。
  5. 前記送信振動子(30a〜d)を収納する第一収納部(13a)と、前記受信振動子(40a〜d)を収納する第二収納部(13b)とを設け、前記第一収納部(13a)と前記第二収納部(13b)の間に音響隔離壁(17)を設けることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の超音波検査装置。
  6. 隣接する前記各送信振動子(30a〜d、111a〜d)から送信される超音波の送信時刻を異ならせる遅延装置(63)を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の超音波検査装置。
  7. 前記超音波がバースト波又はパルス波であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の超音波検査装置。
  8. 試験体表面(Sa)に沿って走査するための走査手段(20)を有していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の超音波検査装置。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の超音波検査装置(1)を用いた検査方法であって、送信振動子(30,111)から試験体(S)に超音波を入射させることにより試験体表面に表面波を発生させると共に、前記表面波又はこの表面波に起因する漏洩波を受信振動子(40、121)で受信することにより試験体表面(Sa)に生じた損傷部(D1〜D4)の検査を行うことを特徴とする検査方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008026270A (ja) * 2006-07-25 2008-02-07 Toshiba Corp 欠陥検出装置および欠陥検出方法
JP2008203185A (ja) * 2007-02-22 2008-09-04 Toshiba Corp 表面劣化検出装置およびその方法
JP2017223564A (ja) * 2016-06-16 2017-12-21 千代田化工建設株式会社 圧力タンクの検査方法、検査システム及び検査プログラム

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