JP5697378B2 - 音波を用いた探知方法、非接触音響探知システム、そのシステムで用いるプログラム、およびそのプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents
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Description
本発明は、探知対象物を内部に含む被照射体の表面に音波を照射し、その表面の複数の測定個所において振動速度を測定し、得られた情報から前記探知対象物の位置を特定する音波を用いた探知方法であって、探知対象物の位置を正確に把握することができる探知方法を提供することを目的とする。また、その探知方法を行うことができるシステムを提供することを目的とする。また、そのシステムで用いるプログラムを提供することを目的とする。また、そのプログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
本発明は次の(i)〜(vi)である。
(i)探知対象物を内部に含む被照射体の表面に音波を照射し、その表面の複数の測定個所において振動速度を測定し、得られた情報から前記探知対象物の位置を特定する音波を用いた探知方法であって、
音波発信源から音波を照射し、前記被照射体の表面を振動させる工程と、
前記被照射体の表面のn箇所(n≧2)の測定個所を、各々、P1、P2・・・Px・・Pn(xは1〜nの整数)とし、それらの測定箇所の各々において、照射した音波の角周波数がωである場合の前記被照射体の表面の振動速度を測定し、Pxにおける前記振動速度の波形をfx(t)(tは時間)とし、次式(1)でフーリエ変換してF(ω)を求める工程と、
式(1)の右辺の実数部をR、虚数部をIとし、次式(2)〜(7)によってPxにおける位相角θX(ω)を求める工程と、
を備える探知方法。
(ii)前記被照射体の表面の振動速度をレーザ振動計またはレーザ変位計を用いて測定する、上記(i)に記載の探知方法。
(iii)探知対象物を内部に含む被照射体の表面の複数個所に音波を照射し、その表面における振動速度の情報から、前記探知対象物の位置を特定する非接触音響探知システムであって、
前記被照射体の表面を振動させ得る音波を発生させる音響発信源と、
前記被照射体の表面の振動速度を測定する計測器と、
前記被照射体の表面における振動速度の情報から、前記被照射体における前記探知対象物の位置を特定するために用いる解析装置とを有し、
上記(i)または(ii)に記載の探知方法を行うことができる、非接触音響探知システム。
(iv)被照射体の表面を振動させ得る音波を発生させる音響発信源と、
前記被照射体の表面のn箇所(n≧2)の測定箇所であるP1、P2・・・Px・・Pn(xは1〜nの整数)の各々に角周波数がωの音波を照射し、Pxにおける振動速度とその計測タイミングを示す時間データとを計測して、その振動速度および時間データを出力する計測器と、
前記計測器から出力された振動速度および時間データを入力し、前記被照射体の表面における位相差分布から前記被照射体における前記探知対象物の位置を特定する解析装置とを有し、
前記解析装置が、
入力された振動速度および時間データからPxにおける振動速度の波形であるfx(t)(tは時間)を求め、これを前記式(1)でフーリエ変換してF(ω)を求める処理と、
前記式(1)の右辺の実数部をR、虚数部をIとし、前記式(2)〜(7)によってPxにおける位相角θX(ω)を求める処理と、
隣接する2つの測定箇所における位相角の差を求め、その位相差を、実際のP1、P2・・・Px・・Pnの位置と相似関係の位置に配置して示す位相差分布図を作成して探知対象物の位置を特定する処理と
を行う、上記(iii)に記載の非接触音響探知システム。
(v)探知対象物を内部に含む被照射体の表面に音波を照射し、その表面の複数の測定個所において振動速度を測定し、得られた情報から前記探知対象物の位置を特定する処理を、コンピュータを含む非接触音響探知システムに行わせるためのプログラムであって、
音響発信源から音波を照射して、前記被照射体の表面を振動させ、前記被照射体の表面のn箇所(n≧2)の測定箇所を、P1、P2・・・Px・・Pn(xは1〜nの整数)とし、それらの測定箇所の各々において、照射した音波の角周波数がωである場合の前記被照射体の表面の振動速度を測定することで得られたPxにおける振動速度とその計測タイミングを示す時間データとを用いて、Pxにおける振動速度の波形であるfx(t)(tは時間)を求め、これを前記式(1)でフーリエ変換してF(ω)を求める処理と、
前記式(1)の右辺の実数部をR、虚数部をIとし、前記式(2)〜(7)によってPxにおける位相角θX(ω)を求める処理と、
隣接する2つの測定箇所における位相角の差を求め、その位相差を、実際のP1、P2・・・Px・・Pnの位置と相似関係の位置に配置して示す位相差分布図を作成して探知対象物の位置を特定する処理とを、コンピュータを含む非接触音響探知システムに行わせるためのプログラム。
(vi)上記(v)に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
本発明は探知方法、非接触音響探知システム、そのシステムで用いるプログラム、およびそのプログラムを記録した記録媒体(コンパクトディスク(CD)やフレキシブルディスク(FD)など)であり、本発明の探知方法および本発明の非接触音響探知システムによれば、被照射体の内部の探知対象物の位置を正確に把握することができる。被照射体としては、例えば、コンクリート構造物、地面(土、砂、石、アスファルト等)、木、液体、人体が挙げられる。具体的には、本発明の探知方法および本発明の非接触音響探知システムによれば、例えば、地面に埋められている地雷の位置を正確に把握することができる。この場合、地雷が探知対象物である。また、コンクリート構造物の内部の欠陥部の位置を正確に把握することができる。この場合、欠陥部が探知対象物である。また、人体の内部に存在する腫瘍等の位置を正確に把握することができる。この場合、腫瘍等が探知対象物である。また、各種製品等の内部の欠陥部の位置を正確に把握することができる(すなわち、非破壊検査することができる)。この場合、欠陥部が探知対象物である。また、池、海、湖等の液面の近くに位置する探知対象物(周囲の液体と音響インピーダンスが異なる物体)の位置を正確に把握することができる。
なお、本発明の非接触音響探知システムにおいて音響発信源の数やスピーカの角度等は特に限定されない。
また、被照射体の共振周波数帯が不明な場合には、音響発信源から被照射体へ照射される音波は、ホワイトノイズであることが好ましい。全ての周波数を含んでいるからである。
なお、本発明の非接触音響探知システムにおいて計測器は、被照射体の表面の振動速度を非接触で測定できるものであれば特に限定されず、例えばレーザ変位計を用いることができ、レーザドップラー振動計であることが好ましい。被照射体と計測器とが比較的離れていても、被照射体の表面の振動を正確に測定することができるからである。
また、1度に1点の振動計測が可能なシングルレーザタイプのレーザ振動計を用いることは可能であるが、スキャニングレーザタイプのレーザ振動計を用いることが好ましい。スキャニング振動計であるレーザドップラー振動計としては、具体的に、ポリテックジャパン社製のPSV400−H4が挙げられる。このレーザドップラー振動計は解析装置の一部および制御装置を含むものである。
また、アンプ19は特に限定されず、例えば、市販オーディオアンプ等を用いることができる。
なお、本発明のプログラムは、本発明の探知方法と同様の内容であるので、以下では主に本発明の探知方法について説明する。
本発明の探知方法は、探知対象物を内部に含む被照射体の表面に音波を照射し、その表面の複数の測定個所において振動速度を測定し、得られた情報(位相差分布図等)から前記探知対象物の位置を特定する音波を用いた探知方法であって、音波発信源から音波を照射し、前記被照射体の表面を振動させる工程を備える。この工程は、例えば前述の本発明の非接触音響探知システムを用い、音響発信源から被照射体へバースト波またはホワイトノイズを照射して行うことができる。バースト波の周波数は、ホワイトノイズを照射して得た位相差分布図から求めることができるが、本発明者が既に提案したOFR法(本発明者が特願2010−120901号に示した。また、本発明者が「社団法人電子情報通信学会、電子情報通信学会技術研究報告 信学技報 Vol.109 No.425、2010年2月17日」に示した。また、本発明者が「社団法人日本音響学会、日本音響学会2010年春季研究発表会講演論文集、2010年3月1日」に示した。)によって求めることもできる。なお、本発明はOFR法と組み合わせて用いることができる。埋設物の中心部で振動速度が大きいものはOFR法を適用することが好ましく、埋設物の輪郭(エッジ部)の振動を検出する場合は本発明を適用することが好ましい。ある埋設物に対してOFR法を適用し、得られた最適周波数を考慮したバースト波を用いて本発明を適用すると、埋設物の位置をより明確に把握することができるので好ましい。
また、本発明の非接触音響探知システムはコンピュータに本発明のプログラムをインストールしたものであることが好ましい。
また、本発明の探知方法は、さらに、以下に説明する特定の情報処理を行う各工程を備える。
図2は、図1における被照射体1の表面および2つの音響発信源11を上側(計測器13が存在する側)から見た図である。
図2においてn箇所の測定箇所は碁盤の目状に配置されており、図2に示すように、左下から右上へ向かってP1、P2、P3・・・・Px−1、Px、Px+1・・・Pn−2、Pn−1、Pnと付されている。ただし、本発明の探知方法において測定箇所の配置は特に限定されず、例えばランダムに配置されていてもよい。
そして、n箇所の測定箇所の各々において、音響発信源11から照射した音波の角周波数がωである場合の被照射体1の表面の振動速度を測定する。また、その振動速度を測定するタイミングを示す時間データ(t)を測定する。ここで、照射した音波の角周波数がωである場合のPx(xは1〜nの整数)における振動速度をfx(t)とする。すなわち、各測定箇所におけるωと振動速度の波形を示すfx(t)との関係を把握する。
振動速度およびその振動速度を測定するタイミングを示す時間データ(t)の測定は、例えば前述の本発明の非接触音響探知システムを用い、レーザドップラー振動計などのレーザ変位計によって行うことができる。
図4は、図2と同様に、図1における被照射体1の表面を上側から見た図であるが、理解を容易にするために、測定箇所を16箇所としている。図4において16箇所の実際の測定箇所は碁盤の目状に配置されており、左下から右上へ向かって、P1、P2、P3・・・・P15、P16と付されている。
ここで、隣接する2つの測定箇所における位相角を第1の位相角と第2の位相角とした場合、第1の位相角から第2の位相角を引算して差を求めるのか、第2の位相角から第1の位相角を引算して差を求めるかは、実際の測定箇所の配置に基づいて、全ての測定箇所における位相角について、規則的に行えばよい。例えば、測定箇所が図4に示すような配置であれば、全てについて、左に位置する測定箇所における位相角から、右に位置する測定箇所における位相角を引算し、全てについて、下に位置する測定箇所における位相角から、上に位置する測定箇所における位相角を引算する。すなわち、測定箇所に付された番号が小さいものから大きいものを差し引く。また、全てについて、逆であってもよい。すなわち、測定箇所に付された番号が大きいものから小さいものを差し引いてもよい。
以下では、全てについて、左に位置する測定箇所における位相角から、右に位置する測定箇所における位相角を引算して求めた値を用いて説明する。すなわち、θ5(ω)−θ6(ω)=Δθ5−6とし、θ6(ω)−θ7(ω)=Δθ6−7とし、θ7(ω)−θ8(ω)=Δθ7−8とする。また、全てについて、下に位置する測定箇所における位相角から、上に位置する測定箇所における位相角を引算して求めた値を用いて説明する。すなわち、θ2(ω)−θ6(ω)=Δθ2−6とし、θ6(ω)−θ10(ω)=Δθ6−10とし、θ10(ω)−θ14(ω)=Δθ10−14とする。
位相角の差の補正は、次の式(8)で行うことが好ましい。
例えば、Δθ2−6の値をP2の位置へ、Δθ6−10の値をP6の位置へ、Δθ10−14の値をP10の位置へというように規則的に配置し、さらに、Δθ5−6の値をP5の位置へ、Δθ6−7の値をP6の位置へ、Δθ7−8の値をP7の位置へというように規則的に配置すると、例えばP6にはΔθ6−10の値とΔθ6−7の値とが配置されることとなる。そこで、これらΔθ6−10の値とΔθ6−7の値とを加算した値をP6に配置する。そして、空欄となるP4、P8、P12、P13、P14、P15およびP16に0を配置する。
このような処理を行って、位相差分布図を作成することができる。
このような処理を、以下では位相差表示処理という。
補間処理とは、図5のように位相角の差を配置した後、隙間部分に、その隙間部分の周辺に配置された位相角の差の平均値を配置する処理をいう。例えば、図5のp(2−3)、p(2−6)、p(3−7)およびp(6−7)に囲まれた隙間部分、すなわち、図6に示したp(106)の位置に、Δθ2−3、Δθ2−6、Δθ3−7およびΔθ6−7の平均値を配置する。また、例えば、図5のp(2−6)、p(5−6)、p(6−7)およびp(6−10)に囲まれた隙間部分、すなわち、図6に示したp(109)の位置(図4に示したP6の位置)に、Δθ2−6、Δθ5−6、Δθ6−7およびΔθ6−10の平均値を配置する。また、例えば、図5のp(1−2)、p(2−3)およびp(2−6)に囲まれた隙間部分、すなわち、図6に示したp(102)の位置(図4に示したP2の位置)に、Δθ1−2、Δθ2−3およびΔθ2−6の平均値を配置する。
このような補間処理を施すと、得られる位相差分布図がより明確で、分かりやすい図となるので好ましい。
図1に示した装置を用い、音波発信源から照射した音波によって励起した地表面の振動をレーザドップラー振動計(SLDV、ポリテック社製、PSV400−H4)によって取得した。このレーザ振動計(SLDV)が取得する振動は地表面の垂直方向振動である。もし地表面付近に埋設物が存在すると、その埋設物と周囲の土壌の振動特性に差が生じる。音響発信源としては、平面スピーカ(FPSCorp,2030M3P1R)を2個使用し、図1に示すように互いに向かい合う配置にして音波の送振を行った。第二種縦波を発生させるため、平面スピーカを約20°傾けた状態で実験を行った。
粒径300μm前後に粒径を揃えた砂を用いた研究室内の砂槽(110cm×135cm×50cm)にて実験を行った。実験セットアップ図を図7に示す。埋設物には中空プラスチック容器(11cm×11cm×6cm、85g)と、そこへ砂を詰めたプラスチック容器とを用いた。埋設深度は2cmとした。送振波形は1秒間出力のnoise波と、0.2秒間出力、150Hzのsin波形バースト波を用いた。バースト波の周波数を150Hzにした理由は、中空プラスチック容器の応答周波数が150Hz近辺にあることが確認されているためである。
SLDV のソフトウェアはFFTを行う際の実部、虚部を表示、出力することが可能である。出力されたデータは周波数に対応しているため、特定周波数の位相を計算することになる。また位相差を計算する場合は隣接するポイント同士で計算を行う。位相差が180°以上を示した場合は、計算に用いた2ポイントの位相のどちらかが折り返していると判断してこれを補正した。
埋設物上を含む横方向1ライン上の位相と位相差の変化状況を確認した。埋設物として中空プラスチック容器を用いた場合の各ポイントの位相を図8(a)に、位相差のグラフを図8(b)に示す。図8は150Hzバースト波のデータを用いており、149Hzから151Hzまで、0.5Hz間隔で示している。埋設物は、図8中に矢印で示したように、5から8ポイント目の間に埋設されている。図8を見ると周波数によって値こそ異なるものの、各周波数で似た動きをしている。150Hzと150.5Hzで値が飛んでいる箇所は折り返し現象が起きていると考えられる。また埋設ポイント上とその周辺で位相が変化しており、埋設物上ではほぼ一定の値を示すことが見て取れる。図8(b)の位相差ではどの周波数でもほぼ同一の値を示す。また埋設物上では位相差が0°近辺の値を示し、埋設物と周辺の境界で位相差が大きく変化することが分かった。
<5.1>
中空プラスチック容器を埋設し、位相差を用いてスキャンエリアの映像化を行った。映像化を行うに当たって、位相差を縦方向と横方向でそれぞれ計算し、それを足し合わせて一枚の映像を作成した。ここで、差を出す関係で実際のポイント数よりも縦方向では1行、横方向では1列データが減ってしまうが、減った分は0を代入してデータ数を揃えた。すなわち、位相差表示処理を施して位相差分布図を作成した。映像は算出した位相差に絶対値を掛けて表示した。図10(a)にnoise波の、図10(b)150Hzバースト波の結果を示す。これらの映像は147.5Hzから152.5Hzまで0.5Hz間隔で位相差を計算し、その結果を平均したものである。図10(a)のnoise波結果ではノイズ応答が多いものの、埋設物周辺で高い値を示し、埋設物上ではほぼ0°を示していることが分かる。一方、図10(b)のバースト波の結果では、送振周波数を含むためかノイズ応答は少なく、埋設物を囲むような応答が見られた。
中空プラスチック容器を埋設し、150Hzバースト波送振の映像結果を図11に示す。図11(b)が位相差自体に絶対値を掛け、マイナスの位相差もプラス側に折り返して表示して場合であり、図11(a)が絶対値を掛けない場合である。また、映像化を行うに当たっては、図6を用いて説明した補間処理を行った。いずれの映像も、埋設物上と周囲との境界で位相差が大きく動き、埋設物を囲む映像が作成されている。しかし、図11(b)に比べると図11(a)は分かり難い結果となった。
上記の<5.1>と同様に、中空プラスチック容器を埋設し、位相差を用いてスキャンエリアの映像化を行った。ただし、映像化を行うに当たっては、図6を用いて説明した補間処理を行った。
図12(a)に埋設位置、図12(b)にnoise波の、図12(c)に150Hzバースト波の結果を示す。これらの映像は147.5Hzから152.5Hzまで0.5Hz間隔で位相差を計算し、その結果を平均したものである。図12(b)のnoise波結果ではノイズ応答が多いものの、埋設物周辺で高い値を示し、埋設物上ではほぼ0°を示していることが分かる。一方、図12(c)のバースト波の結果では、送振周波数を含むためかノイズ応答は少なく、埋設物を囲むような応答が見られた。
砂を詰めた中空プラスチック容器を埋設し、位相差を用いてスキャンエリアの映像化を行った。映像は算出した位相差に絶対値を掛けて表示した。さらに、<5.2>および<5.3>と同様に、映像化を行うに当たって、図6を用いて説明した補間処理を行った。
図13(a)に埋設位置、図13(b)にnoise波の、図13(c)に150Hzバースト波の結果を示す。これらの映像は147.5Hzから152.5Hzまで0.5Hz間隔で位相差を計算し、その結果を平均したものである。図13(b)のnoise波結果ではノイズ応答が多いものの、埋設物周辺で高い値を示し、埋設物上ではほぼ0°を示していることが分かる。一方、図13(c)のバースト波の結果では、送振周波数を含むためかノイズ応答は少なく、埋設物を囲むような応答が見られた。
各ポイントの位相を求め、ポイント間の位相差を出すことで埋設物の検出が行えるか検討した。埋設物上では位相は揃い、また埋設物上と周辺の境界で大きく変化することが分かった。映像化を行った結果、noise波、バースト波双方で埋設物の周囲を囲む応答を示し、映像化が可能だということが分かった。noise波ではノイズ応答を多く含んでしまったが、バースト波では綺麗な映像化が行えた。今後は内容物や材質の異なる埋設物に対しても映像化が行えるのか検討する予定である。
3 探知対象物
10 本発明の非接触音響探知システム
11 音響発信源
13 計測器
131 レーザ
15 コンピュータ
151 解析装置
152 制御装置
153 表示部
17 任意波形発生装置
19 アンプ
Claims (5)
- 探知対象物を内部に含む被照射体の表面に音波を照射し、その表面の複数の測定個所において振動速度を測定し、得られた情報から前記探知対象物の位置を特定する音波を用いた探知方法であって、
音波発信源から音波を照射し、前記被照射体の表面を振動させる工程と、
前記被照射体の表面のn箇所(n≧2)の測定個所を、各々、P1、P2・・・Px・・Pn(xは1〜nの整数)とし、それらの測定箇所の各々において、照射した音波の角周波数がωである場合の前記被照射体の表面の振動速度を測定し、Pxにおける前記振動速度の波形をfx(t)(tは時間)とし、次式(1)でフーリエ変換してF(ω)を求める工程と、
(式(1)において、jは虚数を意味する。)
式(1)の右辺の実数部をR、虚数部をIとし、次式(2)〜(7)によってPxにおける位相角θX(ω)を求める工程と、
隣接する2つの測定箇所における位相角の差を求め、その位相差を、実際のP1、P2・・・Px・・Pnの位置と相似関係の位置に配置して示す位相差分布図を作成して探知対象物の位置を特定する工程と
を備える探知方法。 - 前記被照射体の表面の振動速度をレーザ振動計またはレーザ変位計を用いて測定する、請求項1に記載の探知方法。
- 探知対象物を内部に含む被照射体の表面の複数個所に音波を照射し、その表面における振動速度の情報から、前記探知対象物の位置を特定する非接触音響探知システムであって、
前記被照射体の表面を振動させ得る音波を発生させる音響発信源と、
前記被照射体の表面のn箇所(n≧2)の測定箇所であるP 1 、P 2 ・・・P x ・・P n (xは1〜nの整数)の各々に角周波数がωの音波を照射し、P x における振動速度とその計測タイミングを示す時間データとを計測して、その振動速度および時間データを出力する計測器と、
前記計測器から出力された振動速度および時間データを入力し、前記被照射体の表面における位相差分布から前記被照射体における前記探知対象物の位置を特定する解析装置とを有し、
前記解析装置が、
入力された振動速度および時間データからP x における振動速度の波形であるf x (t)(tは時間)を求め、これを前記式(1)でフーリエ変換してF(ω)を求める処理と、
前記式(1)の右辺の実数部をR、虚数部をIとし、前記式(2)〜(7)によってP x における位相角θ X (ω)を求める処理と、
隣接する2つの測定箇所における位相角の差を求め、その位相差を、実際のP 1 、P 2 ・・・P x ・・P n の位置と相似関係の位置に配置して示す位相差分布図を作成して探知対象物の位置を特定する処理と
を行う、
請求項1または2に記載の探知方法を行うことができる、非接触音響探知システム。 - 探知対象物を内部に含む被照射体の表面に音波を照射し、その表面の複数の測定個所において振動速度を測定し、得られた情報から前記探知対象物の位置を特定する処理を、コンピュータを含む非接触音響探知システムに行わせるためのプログラムであって、
音響発信源から音波を照射して、前記被照射体の表面を振動させ、前記被照射体の表面のn箇所(n≧2)の測定箇所を、P1、P2・・・Px・・Pn(xは1〜nの整数)とし、それらの測定箇所の各々において、照射した音波の角周波数がωである場合の前記被照射体の表面の振動速度を測定することで得られたPxにおける振動速度とその計測タイミングを示す時間データとを用いて、Pxにおける振動速度の波形であるfx(t)(tは時間)を求め、これを下記式(1)でフーリエ変換してF(ω)を求める処理と、
前記式(1)の右辺の実数部をR、虚数部をIとし、下記式(2)〜(7)によってPxにおける位相角θX(ω)を求める処理と、
隣接する2つの測定箇所における位相角の差を求め、その位相差を、実際のP1、P2・・・Px・・Pnの位置と相似関係の位置に配置して示す位相差分布図を作成して探知対象物の位置を特定する処理とを、コンピュータを含む非接触音響探知システムに行わせるためのプログラム。 - 請求項4に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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