JP2005054870A - ディファレンシャル装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 マニュアルトランスミッションを搭載した車両の坂道発進を、ディファレンシャル装置を利用して容易に行えるようにする。
【解決手段】 ディファレンシャル装置Dのエクステンションシャフト22の外周にスプライン結合されたスリーブ31は、ディファレンシャルケース15のスプライン歯15aに係合可能な第1スプライン歯31bと、ハウジング13のスプライン歯13aに係合可能な第2スプライン歯13cとを備えており、スリーブ31の位置が図示した坂道発進補助状態にあるとき、スプライン歯31b,31c,15a,13aが係合してエクステンションシャフト22および右車軸26Rがハウジング13に回転不能に拘束される。従って、パーキングブレーキを作動させなくても車両を坂道に停止させることができ、車両の発進に伴ってアクチュエータでスリーブ31を左側に移動させてエクステンションシャフト22および右車軸26Rの拘束を解くことで、スムーズな坂道発進が可能になる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、ディファレンシャル機能に加えてディファレンシャルロック機能および坂道発進補助機能を有するディファレンシャル装置に関する。
ディファレンシャルロック機能を有するディファレンシャル装置を搭載した車両において、駆動輪が従動輪よりも下方にある登坂時にディファレンシャルロック機能を発揮させて大きな駆動力を得るとともに、駆動輪が従動輪よりも上方にある降坂時にディファレンシャルロック機能を制限してスリップの発生を防止するものが、下記特許文献1により公知である。
実開昭61−73431号公報
従来、マニュアルトランスミッションを搭載した車両が坂道発進する場合には、パーキングブレーキを作動させて車両のずり下がりを阻止した状態で、アクセルペダルおよびクラッチペダルを操作して車両を発進させると同時にパーキングブレーキを解除する操作が必要であり、運転技術が未熟なドライバーにとって操作負担が大きいものであった。もしも、パーキングブレーキの操作を必要とせずに、アクセルペダルおよびクラッチペダルを操作するだけで平坦地での発進と同様に坂道発進が可能になれば、ドライバーの操作負担を軽減することが可能となる。
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたもので、マニュアルトランスミッションを搭載した車両の坂道発進を、ディファレンシャル装置を利用して容易に行えるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、駆動源からの駆動力がマニュアルトランスミッションを介して入力されるディファレンシャル機構と、ディファレンシャル機構を回転自在に支持するハウジングと、ディファレンシャル機構に入力された駆動力を出力する第1、第2出力軸と、ディファレンシャル機構の差動機能を制限可能であり、かつ第1、第2出力軸を回転不能に拘束可能なディファレンシャルロック機構とを備えたディファレンシャル装置であって、前記ディファレンシャルロック機構は第1出力軸の外周面に嵌合してフォークで該第1出力軸の軸方向に移動するスリーブを備え、このスリーブは第1出力軸、ディファレンシャルケースおよびハウジングを相互に切り離す第1の位置と、第1出力軸をディファレンシャルケースに結合してハウジングから切り離す第2の位置と、第1出力軸、ディファレンシャルケースおよびハウジングを一体に結合する第3の位置とに停止可能であることを特徴とするディファレンシャル装置が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、スリーブを軸方向に駆動するアクチュエータを備え、アクチュエータの駆動力に抗する摩擦力で前記第3の位置に停止させたスリーブを、車両の発進に伴う前記摩擦力の消滅によって移動させることを特徴とするディファレンシャル装置が提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1または請求項2の構成に加えて、スリーブは、第1出力軸のスプライン歯およびディファレンシャルケースのスプライン歯に係合可能な第1スプライン歯と、ハウジングのスプライン歯に係合可能な第2スプライン歯とを有することを特徴とするディファレンシャル装置が提案される。
また請求項4に記載された発明によれば、請求項3の構成に加えて、ハウジングのスプライン歯を該ハウジングと別部材で構成したことを特徴とするディファレンシャル装置が提案される。
また請求項5に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、スリーブは、第1出力軸の外周面に軸方向に摺動自在に嵌合するインナースリーブと、インナースリーブの外周面に軸方向に摺動自在に嵌合して該インナースリーブをボールを介して駆動するアウタースリーブとを備え、前記ボールは第1出力軸の外周面にアウタースリーブの内周面を相対回転自在に支持することを特徴とするディファレンシャル装置が提案される。
尚、実施例のエクステンションシャフト22は本発明の第1出力軸に対応し、実施例の右車軸26R本発明の第2出力軸に対応し、実施例のスプライン部材42は本発明の別部材に対応し、実施例の第1、第2ボール51,52は本発明のボールに対応する。
請求項1の構成によれば、ディファレンシャル装置のディファレンシャルロック機構に、第1、第2出力軸の一方の第1出力軸の外周面に嵌合してフォークで軸方向に移動するスリーブを設け、このスリーブを第1出力軸、ディファレンシャルケースおよびハウジングを相互に切り離す第1の位置に停止させると、ディファレンシャル装置は通常の差動機能を発揮し、第1出力軸をディファレンシャルケースに結合してハウジングから切り離す第2の位置に停止させると、ディファレンシャル装置はディファレンシャルロック機能を発揮し、第1出力軸、ディファレンシャルケースおよびハウジングを一体に結合する第3の位置に停止させると、ディファレンシャル装置は第1、第2出力軸を回転不能に拘束して坂道における車両のずり下がりを阻止することができる。従って、パーキングブレーキの操作を不要にしてドライバーの負担を軽減しながら、車両の坂道発進時にスリーブを第3の位置から第1の位置あるいは第2の位置に戻すことでスムーズな発進を可能にすることができる。
請求項2の構成によれば、スリーブを軸方向に駆動するアクチュエータの駆動力に抗する摩擦力で前記第3の位置に停止させたスリーブを、車両の発進に伴う前記摩擦力の消滅によって移動させることが可能なので、ドライバーは車両を発進させるだけでスリーブを第3の位置から第1の位置あるいは第2の位置に戻すことが可能となり、ドライバーの操作負担が一層軽減される。
請求項3の構成によれば、スリーブに設けた第1スプライン歯を第1出力軸のスプライン歯およびディファレンシャルケースのスプライン歯に係合可能とし、かつスリーブに設けた第2スプライン歯をハウジングのスプライン歯に係合可能としたので、スプラインを用いた簡単な構造でディファレンシャルロック機能および坂道発進補助機能を実現することができる。
請求項4の構成によれば、ハウジングのスプライン歯を該ハウジングと別部材で構成したので、ハウジングにスプライン歯を直接形成する場合に比べて耐久性を高めるとともに、スプライン歯の加工性の向上や設計自由度を向上が可能となる。
請求項5の構成によれば、スリーブをインナースリーブ、アウタースリーブおよびボールで構成し、ボールによって第1出力軸の外周面にアウタースリーブの内周面を相対回転自在に支持したので、フォークで軸方向に駆動されるアウタースリーブに作用する摩擦力を減少させることができる。従って、車両が坂道発進する際に第1、第2出力軸が回転してスリーブのトルクロックが解除されたときに、スリーブを第3の位置から第1の位置あるいは第2の位置にスムーズに戻すことができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
図1〜図4は本発明の第1実施例を示すもので、図1は通常走行時のディファレンシャル装置の断面図(図2の1−1線断面図)、図2は図1の2−2線断面図、図3はディファレンシャルロック時の作用説明図、図4は坂道発進補助時の作用説明図である。
図1および図2に示すように、エンジンの駆動力がマニュアルトランスミッションを介して伝達されるディファレンシャル装置Dは、ディファレンシャル機構11と、ディファレンシャルロック機構12とを備える。ディファレンシャル機構11は、マニュアルトランスミッションのハウジング13にボールベアリング14,14を介して回転自在に支持されたディファレンシャルケース15を備えており、その外周にボルト16…で固定されたファイナルドリブンギヤ17にマニュアルトランスミッションのファイナルドライブギヤから駆動力が伝達される。
ディファレンシャルケース15にピン18で固定されたピニオンシャフト19に一対のディファレンシャルピニオン20,20が回転自在に支持されており、これらのディファレンシャルピニオン20,20に噛合する一対のディファレンシャルサイドギヤ21,21に、ディファレンシャルケース15を回転自在に貫通するエクステンションシャフト22および右車軸26Rの内端部がスプライン結合される。ディファレンシャルケース15の左右両端にボルト23…で結合されたカバー部材24,24に、エクステンションシャフト22および右車軸26Rの外端部がボールベアリング25,25を介して回転自在に支持される。エクステンションシャフト22の外端部に形成した嵌合孔22aに、左車軸26Lの内端部がスプライン結合される。
ディファレンシャルロック機構12は、エクステンションシャフト22の外周面に摺動自在に嵌合するスリーブ31と、スリーブ31の外周面に形成した環状溝31aに一対のローラ32,32を介して係合するU字状のフォーク33と、フォーク33の基端をカバー部材24に揺動自在に支持する支軸34と、フォーク33を支軸34に固定するボルト35と、支軸34を一方向に付勢するリターンスプリング36と、カバー部材24から突出する支軸34の軸端に固定されたアーム37とを備える。アクチュエータ38に接続されたアーム37はリターンスプリング36の弾発力に抗して一方向に揺動し、リターンスプリング36の弾発力で他方向に揺動する。アクチュエータ38は車室に配置された図示せぬスイッチにより作動し、スリーブ31を後述する第1の位置、第2の位置および第3の位置の何れかに停止させる。
スリーブ31の内周面および外周面にそれぞれ第1スプライン歯31bおよび第2スプライン歯31cが形成されており、第1スプライン歯31bはエクステンションシャフト22の外周面のスプライン歯22bおよびディファレンシャルケース15の外周面のスプライン歯15aに係合可能であり、かつ第2スプライン歯31cはハウジング13の内周面のスプライン歯13aに係合可能である。
なお、図2における符号39は、カバー部材24に設けられたセンサであり、フォーク33の位置、つまりスリーブ31の位置を検出する。
次に、上記構成を備えた第1実施例の作用を説明する。
スイッチを操作してアクチュエータ38を駆動することでフォーク33が支軸34まわりに揺動し、フォーク33にローラ32,32を介して係合するスリーブ31がエクステンションシャフト22の軸方向に摺動する。このとき、スリーブ31は図1に示す第1の位置(通常走行状態の位置)と、図3に示す第2の位置(ディファレンシャルロック状態の位置)と、図4に示す第3の位置(発進補助状態の位置)とに停止可能である。
スリーブ31が図1に示す第1の位置にあるとき、スリーブ31の第1スプライン歯31bはエクステンションシャフト22のスプライン歯22bだけに係合してディファレンシャルケース15のスプライン歯15aに係合しておらず、またスリーブ31の第2スプライン歯31cはハウジング13のスプライン歯13aに係合していない。従って、エクステンションシャフト22、ディファレンシャルケース15およびハウジング13は相互に分離した状態にあり、自由に相対回転することができる。
この通常走行状態では、ディファレンシャル機構11は差動機能を発揮することができ、車両の旋回に伴うエクステンションシャフト22および右車軸26Rの差回転をディファレンシャルピニオン20,20の回転で吸収しながら、エンジンの駆動力を左右の車軸26L,26Rに配分することができる。
スリーブ31が図1に示す第1の位置から図3に示す第2の位置へと右側に移動すると、スリーブ31の第1スプライン歯31bはエクステンションシャフト22のスプライン歯22bとディファレンシャルケース15のスプライン歯15aとに係合するが、スリーブ31の第2スプライン歯31cはハウジング13のスプライン歯13aに係合するには至らない。従って、エクステンションシャフト22およびディファレンシャルケース15は一体に結合されるが、それらのエクステンションシャフト22およびディファレンシャルケース15はハウジング13から分離された状態にある。
このように、エクステンションシャフト22およびディファレンシャルケース15が一体に結合されると、左側のディファレンシャルサイドギヤ21がディファレンシャルケース15に回転不能に拘束されることで、その左側のディファレンシャルサイドギヤ21にディファレンシャルピニオン20,20を介して噛合する右側のディファレンシャルサイドギヤ21も回転不能に拘束される。その結果、エクステンションシャフト22および右車軸26Rが相対回転不能に一体化されてディファレンシャルロック状態となる。このディファレンシャルロック状態では、差動機能が抑制されて左右の車輪が一体に回転し、スリップし易い路面で一方の車輪だけが空転するような事態を回避して車両のトラクションを増加させることができる。
スリーブ31が図3に示す第2の位置から図4に示す第3の位置へと更に右側に移動すると、スリーブ31の第1スプライン歯31bはエクステンションシャフト22のスプライン歯22bとディファレンシャルケース15のスプライン歯15aとに係合し、かつスリーブ31の第2スプライン歯31cがハウジング13のスプライン歯13aに係合する。その結果、エクステンションシャフト22、ディファレンシャルケース15およびハウジング13が一体に結合され、エクステンションシャフト22および右車軸26Rがハウジング13に回転不能に拘束される。従って、車両が坂道で停止したときに、アクチュエータ38のスイッチを操作して図4に示す坂道発進補助状態にすれば、パーキングブレーキを解除し、かつブレーキペダルから足を離しても車両のずり下がりを防止することができる。
この状態から車両を発進させるには、先ずアクチュエータ38のスイッチを図1の通常状態になるように操作する。しかしながら重力で車両がずり下がろうとする力でエクステンションシャフト22および右車軸26Rにトルクが作用することで、スリーブ31の第1スプライン歯31bがエクステンションシャフト22のスプライン歯22bとディファレンシャルケース15のスプライン歯15aとに強く係合し、かつスリーブ31の第2スプライン歯31cがハウジング13のスプライン歯13aに強く係合するため、アクチュエータ38は作動を無理に止められた状態になる。続いて車両を発進させるべくドライバーがアクセルペダルを踏み、エンジンEの駆動力でエクステンションシャフト22および右車軸26Rが僅かに回転すると、前記各スプライン歯31b,31c,22b,15a,13aの係合部の面圧が消滅し、その瞬間に無理やり止められていたアクチュエータ38が作動してスリーブ31を図1の第1の位置に移動させることで、車両はずり下がることなくスムーズに発進することができる。
尚、車両の走行中に坂道発進補助状態になるのを防止すべく、センサ39が検出したスリーブ31の位置に基づいてインターロック機構が作動し、車両の走行中にスリーブ31が第3の位置(坂道発進補助状態の位置)に移動するのを規制する。
以上のように、アクセルペダルおよびクラッチペダルの操作にタイミングを合わせてパーキングブレーキの解除操作を行うことなく坂道発進が可能になるため、ドライバーの操作負担を大幅に軽減することができる。
次に、図5〜図7に基づいて本発明の第2実施例を説明する。第2実施例はディファレンシャルロック機構12の構成のみが第1実施例と異なっており、第2実施例において、第1実施例の構成要素に対応する構成要素に第1実施例と同じ符号を付すことで、その重複する説明を省略する。
図5に示す通常走行状態では、スリーブ31は右側の第1の位置にあり、このときスリーブ31の内周面の第1スプライン歯31bはディファレンシャルケース15の外周面のスプライン歯15aだけに係合してエクステンションシャフト22のスプライン歯22bに係合しておらず、またスリーブ31の左端の第2スプライン歯31cはハウジング13にボルト41で固定したスプライン部材42のスプライン歯42aに係合していない。従って、エクステンションシャフト22、ディファレンシャルケース15およびハウジング13は相互に分離した状態にあり、自由に相対回転して差動機能を発揮することができる。
スリーブ31が図5に示す第1の位置から図6に示す第2の位置へと左側に移動するとディファレンシャルロック状態となる。このとき、スリーブ31の第1スプライン歯31bはディファレンシャルケース15のスプライン歯15aとエクステンションシャフト22のスプライン歯22bとに係合するが、ハウジング13に固定したスプライン部材42のスプライン歯42aに係合するには至らない。その結果、エクステンションシャフト22および右車軸26Rが相対回転不能に一体化されて左右の車輪が一体に回転し、一方の車輪だけが空転するのを防止して車両のトラクションを増加させることができる。
スリーブ31が図6に示す第2の位置から図7に示す第3の位置へと更に左側に移動すると、スリーブ31の第1スプライン歯31bはディファレンシャルケース15のスプライン歯15aとエクステンションシャフト22のスプライン歯22bとに係合し、かつスリーブ31の第2スプライン歯31cがハウジング13に固定したスプライン部材42のスプライン歯42aに係合することで、坂道発進補助状態となる。その結果、エクステンションシャフト22および右車軸26Rはハウジング13に回転不能に拘束され、坂道で停止したときにパーキングブレーキを解除し、かつブレーキペダルから足を離しても車両のずり下がりを防止することができる。
この坂道発進補助状態から車両を発進させるには、前述した第1実施例と同様に、アクチュエータ38のスイッチを図1の通常状態になるように操作した後にアクセルペダルを踏み、エンジンEの駆動力でエクステンションシャフト22および右車軸26Rを僅かに回転させる。すると係合状態にある前記各スプライン歯31b,31c,22b,15a,42aの係合部の面圧が消滅し、その瞬間に無理やり止められていたアクチュエータ38が作動してスリーブ31を図5の第1の位置に移動させることで、車両はずり下がることなくスムーズに発進することができる。
このように、第2実施例は前記第1実施例と同様の作用効果に加えて、更に次のような作用効果を達成することができる。即ち、軟質のアルミニウム合金製のハウジング13に直接形成したスプライン歯13aは耐久性が低くなるが、ハウジング13と別部材の硬質材料(例えば炭素鋼)で構成したスプライン部材42にスプライン歯42aを形成することで、その耐久性を高めることができ、しかもハウジング13にスプライン歯13aを直接形成する場合に比べて加工性の向上や設計自由度を向上が可能となる。
次に、図8〜図10に基づいて本発明の第3実施例を説明する。第3実施例はディファレンシャルロック機構12の構成のみが第2実施例と異なっており、第3実施例において、第2実施例の構成要素に対応する構成要素に第2実施例と同じ符号を付すことで、その重複する説明を省略する。
第3実施例のスリーブ31は、エクステンションシャフト22の外周面に摺動自在に嵌合するインナースリーブ31Iと、このインナースリーブ31Iの外周面に摺動自在に嵌合するアウタースリーブ31Oとを有する。アウタースリーブ31Oは、その外周面の環状溝31aに係合するフォーク33で軸方向に移動する。インナースリーブ31Iは内周面の第1スプライン歯31bと左端の第2スプライン歯31cとを備えるとともに、円周方向に所定間隔で形成された複数の第1ボール孔31d…と、その右側で円周方向に所定間隔で形成された複数の第2ボール孔31e…とを備える。一方、アウタースリーブ31Oの内周面にはインナースリーブ31Iの外周面を摺動する凸部31fと、その軸方向両側に位置する第1、第2凹部31g,31hとが形成される。
インナースリーブ31Iの第1ボール孔31d…および第2ボール孔31e…には、それぞれ第1ボール51…および第2ボール52…が嵌合する。エクステンションシャフト22の外周面には、第2ボール52…の約半分が嵌合可能な複数のボール孔22c…が円周方向に所定間隔で形成される。そしてインナースリーブ31Iには、第2実施例のスリーブ31と同様に、内周面の第1スプライン歯31bと左端の第2スプライン歯31cとが形成される。
アウタースリーブ31Oは図8の中央位置、図9の右位置および図10の左位置をとることができ、インナースリーブ31Iは図8および図9の右位置および図10の左位置をとることができる。
図8に示す通常走行状態では、スリーブ31は第1の位置にあり、このときアウタースリーブ31Oは中央位置に、インナースリーブ31Iは右位置にあって第1スプライン歯31bはディファレンシャルケース15のスプライン歯15aだけに係合し、第2スプライン歯31cはハウジング13にボルト41で固定したスプライン部材42のスプライン歯42aに係合していない。またインナースリーブ31Iの第2ボール孔31e…に嵌合する第2ボール52…にアウタースリーブ31Oの第2凹部31hが臨むため、第2ボール52…は遠心力で径方向外側に飛び出してエクステンションシャフト22およびインナースリーブ31Iの結合に寄与することはない。
アウタースリーブ31Oが中央位置から右位置に右動すると、スリーブ31は図8に示す第1の位置から図9に示す第2の位置に移動してディファレンシャルロック状態となる。このとき、インナースリーブ31Iは右位置のまま移動せず、アウタースリーブ31Oだけが移動し、その凸部31fが第2ボール52…の径方向外側を塞ぐことで、第2ボール52…はエクステンションシャフト22のボール孔22c…およびインナースリーブ31Iの第2ボール孔31e…に拘束され、第2ボール52…を介してエクステンションシャフト22およびインナースリーブ31Iが一体に結合される。またインナースリーブ31Iの第1スプライン31bはディファレンシャルケース15のスプライン歯15aに係合している。このようにしてエクステンションシャフト22とディファレンシャルケース15とがインナースリーブ31Iおよび第2ボール52…を介して結合されると、エクステンションシャフト22および右車軸26Rが相対回転不能に一体化されて左右の車輪が一体に回転し、一方の車輪だけが空転するのを防止して車両のトラクションを増加させることができる。
アウタースリーブ31Oが中央位置から左位置に左動すると、スリーブ31は図8に示す第1の位置から図10に示す第3の位置に移動して坂道発進補助状態となる。このとき、インナースリーブ31Iはアウタースリーブ31Oの第1凹部31gおよび第1ボール51…を介して左位置に押し出され、第2ボール52…はエクステンションシャフト22のボール孔22c…から離脱するとともに、インナースリーブ31Iの第2スプライン歯31cがハウジング13に固定したスプライン部材42のスプライン歯42aに係合する。更にインナースリーブ31Iの第1スプライン歯31bが、エクステンションシャフト22のスプライン歯22bおよびディファレンシャルケース15のスプライン歯15aに同時に係合することで坂道発進補助状態となる。その結果、エクステンションシャフト22および右車軸26Rはハウジング13に回転不能に拘束され、坂道で停止したときにパーキングブレーキを解除し、かつブレーキペダルから足を離しても車両のずり下がりを防止することができる。
この坂道発進補助状態から車両を発進させるには、アクチュエータ38のスイッチを図8の通常状態になるように操作した後にアクセルペダルを踏み、エンジンEの駆動力でエクステンションシャフト22および右車軸26Rを僅かに回転させる。すると係合状態にある前記各スプライン歯31b,31c,22b,15a,32aの係合部の面圧が消滅し、その瞬間に無理やり止められていたアクチュエータ38が作動してスリーブ31を図8の第1の位置に移動させることで、車両はずり下がることなくスムーズに発進することができる。
このように、第3実施例は前記第2実施例と同様の作用効果に加えて、更に次のような作用効果を達成することができる。即ち、図10の坂道発進補助状態において、エクステンションシャフト22の外周面とアウタースリーブ31Oの内周面との間に第1、第2ボール51…,52…が介在することで、アウタースリーブ31Oに対してエクステンションシャフト22が小さい摩擦力で相対回転することができる。従って、エンジンEの駆動力が作用したときにエクステンションシャフト22および右車軸26Rがスムーズに回転して係合状態にある前記各スプライン歯31b,31c,22b,15a,42aの係合部の面圧が消滅し、アクチュエータ38の駆動力でスリーブ31を通常走行状態にスムーズに戻すことができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施例ではエクステンションシャフト22にディファレンシャルロック機構12を設けているが、それを前記エクステンションシャフト22と対向する左右何れかの車軸26L,26Rに設けても良い。
また実施例は坂道発進時にスリーブ31を第3の位置から第1の位置に戻しているが、それを第2の位置に戻しても良い。
通常走行時のディファレンシャル装置の断面図(図2の1−1線断面図) 図1の2−2線断面図 ディファレンシャルロック時の作用説明図 坂道発進補助時の作用説明図 第2実施例に係る通常走行時のディファレンシャル装置の断面図 第2実施例に係るディファレンシャルロック時の作用説明図 第2実施例に係る坂道発進補助時の作用説明図 第3実施例に係る通常走行時のディファレンシャル装置の断面図 第3実施例に係るディファレンシャルロック時の作用説明図 第3実施例に係る坂道発進補助時の作用説明図
符号の説明
11 ディファレンシャル機構
12 ディファレンシャルロック機構
13 ハウジング
13a スプライン歯
15 ディファレンシャルケース
15a スプライン歯
22 エクステンションシャフト(第1出力軸)
22b スプライン歯
26R 右車軸(第2出力軸)
31 スリーブ
31I インナースリーブ
31O アウタースリーブ
31b 第1スプライン歯
31c 第2スプライン歯
33 フォーク
38 アクチュエータ
42 スプライン部材(別部材)
42a スプライン歯
51 第1ボール(ボール)
52 第2ボール(ボール)

Claims (5)

  1. 駆動源からの駆動力がマニュアルトランスミッションを介して入力されるディファレンシャル機構(11)と、
    ディファレンシャル機構(11)を回転自在に支持するハウジング(13)と、
    ディファレンシャル機構(11)に入力された駆動力を出力する第1、第2出力軸(22,26R)と、
    ディファレンシャル機構(11)の差動機能を制限可能であり、かつ第1、第2出力軸(22,26R)を回転不能に拘束可能なディファレンシャルロック機構(12)と、
    を備えたディファレンシャル装置であって、
    前記ディファレンシャルロック機構(12)は第1出力軸(22)の外周面に嵌合してフォーク(33)で該第1出力軸(22)の軸方向に移動するスリーブ(31)を備え、このスリーブ(31)は第1出力軸(22)、ディファレンシャルケース(15)およびハウジング(13)を相互に切り離す第1の位置と、第1出力軸(22)をディファレンシャルケース(15)に結合してハウジング(13)から切り離す第2の位置と、第1出力軸(22)、ディファレンシャルケース(15)およびハウジング(13)を一体に結合する第3の位置とに停止可能であることを特徴とするディファレンシャル装置。
  2. スリーブ(31)を軸方向に駆動するアクチュエータ(38)を備え、アクチュエータ(38)の駆動力に抗する摩擦力で前記第3の位置に停止させたスリーブ(31)を、車両の発進に伴う前記摩擦力の消滅によって移動させることを特徴とする、請求項1に記載のディファレンシャル装置。
  3. スリーブ(31)は、第1出力軸(22)のスプライン歯(22b)およびディファレンシャルケース(15)のスプライン歯(15a)に係合可能な第1スプライン歯(31b)と、ハウジング(13)のスプライン歯(13a,42a)に係合可能な第2スプライン歯(31c)とを有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のディファレンシャル装置。
  4. ハウジング(13)のスプライン歯(42a)を該ハウジング(13)と別部材(42)で構成したことを特徴とする、請求項3に記載のディファレンシャル装置。
  5. スリーブ(31)は、第1出力軸(22)の外周面に軸方向に摺動自在に嵌合するインナースリーブ(31I)と、インナースリーブ(31I)の外周面に軸方向に摺動自在に嵌合して該インナースリーブ(31I)をボール(51,52)を介して駆動するアウタースリーブ(31O)とを備え、前記ボール(51,52)は第1出力軸(22)の外周面にアウタースリーブ(31O)の内周面を相対回転自在に支持することを特徴とする、請求項2に記載のディファレンシャル装置。
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JP2011117511A (ja) * 2009-12-02 2011-06-16 Honda Motor Co Ltd 車両の差動装置及び車両

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