JP5123893B2 - 差動制限機構付き差動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、操舵角の増加と共に増加する規範ヨーレートおよび実ヨーレートの偏差に応じて、差動装置の差動制限機構が発生する差動制限トルクを増加させる差動制限トルク制御手段を備える差動制限機構付き差動装置に関する。
左右の駆動輪に駆動力を配分する差動装置に、アクチュエータにより作動して差動機能を制限する差動制限機構を設けた差動制限機構付き差動装置が、例えば下記特許文献1により公知である。
特開2007−56924号公報
ところで、かかる差動制限機構付き差動装置において、差動制限機構により差動装置の差動機能を制限して車両の規範ヨーレートと実ヨーレートとの偏差に応じた差動制限トルクを発生させることで、実ヨーレートを規範ヨーレートに一致させる制御を行う場合、ステアリングホイールをニュートラル位置に向けて戻すと前記偏差が急激に減少してしまい、差動制限機構が発生する差動制限トルクが急激に減少する場合がある。このような場合、トルクステア現象によって運転者がステアリングホイールから受ける操舵反力が突然変化してしまい、運転者に違和感を与える可能性があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、差動制限機構付き差動装置において、操舵角の減少時に差動制限機構が発生する差動制限トルクが急減して運転者に違和感を与えるのを防止することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、操舵角の増加と共に増加する規範ヨーレートおよび実ヨーレートの偏差に応じて、差動装置の差動制限機構が発生する差動制限トルクを増加させる差動制限トルク制御手段を備える差動制限機構付き差動装置において、前記差動制限トルク制御手段は、前記差動制限トルクが閾値を超えた状態で操舵角が減少しているときは、前記偏差に応じて定まる差動制限トルクの減少率よりも緩やかに差動制限トルクを減少させる差動制限トルク漸減制御を行うことを特徴とする差動制限機構付き差動装置が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記差動制限トルク制御手段は、前記差動制限トルク漸減制御の実行により前記差動制限トルクが前記閾値以下になったときは、前記差動制限トルク漸減制御を中止することを特徴とする差動制限機構付き差動装置が提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1または請求項2の構成に加えて、前記差動制限トルク制御手段は、前記差動制限トルク漸減制御の実行中に操舵角速度が所定値以上になったときは、前記差動制限トルク漸減制御を中止することを特徴とする差動制限機構付き差動装置が提案される。
尚、実施の形態のアクチュエータAは本発明の差動制限機構に対応し、実施の形態のLSD制御部91は本発明の差動制限トルク制御手段に対応する。
請求項1の構成によれば、操舵角の増加と共に増加する規範ヨーレートおよび実ヨーレートの偏差に応じて、差動制限トルク制御手段が差動装置の差動制限機構に発生させる差動制限トルクを増加させる。差動制限トルクが閾値を超えた状態で操舵角が減少しているとき、差動制限トルク制御手段は前記偏差に応じて定まる差動制限トルクの減少率よりも緩やかに差動制限トルクを減少させる差動制限トルク漸減制御を行うので、操舵角の減少時に差動制限トルクが急減して運転者に違和感を与えないようにすることで、操舵フィーリングの悪化を防止することができる。
また請求項2の構成によれば、差動制限トルク漸減制御の実行により差動制限トルクが前記閾値以下になった後は、差動制限トルクが急減しても運転者はそもそも違和感を感じないので、差動制限トルク漸減制御を中止することで不必要な制御が行われるのを防止することができる。
また請求項3の構成によれば、差動制限トルク漸減制御の実行中に運転者が所定値以上の操舵角速度でステアリングホイールを操作した場合には、差動制限トルクが急減しても運転者はそもそも違和感を感じないので、差動制限トルク漸減制御を中止することで不必要な制御が行われるのを防止することができる。
自動車用内燃機関の後面図。 差動機構およびアクチュエータの拡大断面図。 差動機構の構造を示す図2の3部拡大図。 アクチュエータの構造を示す図2の4部拡大図。 摩擦多板クラッチの構造を示す図3の5部拡大図。 図3の6−6線断面図。 図3の7−7線断面図。 図4の8−8線断面図。 電動モータの制御系のブロック図。 差動制限トルクの漸減制御の一例を示すタイムチャート。 差動制限トルクの漸減制御の作用を示すフローチャート。
以下、図1〜図11に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1に示すように、フロントエンジン・フロントドライブの自動車の車体前部に横置きに搭載された内燃機関Eは、その左側面に変速機Tが一体に結合され、変速機Tの後面に差動機構Dが設けられる。車体中心線から左方向にずれて配置された差動機構Dから右方向にハーフシャフト11(インターミディエイトシャフト)が延びており、ハーフシャフト11に右駆動輪(図示せず)を駆動する右車軸12が接続され、また差動機構Dから左方向に延びる左車軸13を介して左駆動輪(図示せず)が駆動される。ハーフシャフト11の右端はエンジンブロック22に固定したステー10に支持される。
図2を併せて参照すると明らかなように、差動機構Dを収納するハウジング14は、変速機Tのケーシングと一体に形成されたハウジング本体15と、ハウジング本体15の左端開口部を覆うように複数本のボルト16…で固定されたカバープレート17とを備える。差動機構Dの右側に離間して取り付けられたアクチュエータAは、差動機構Dのハウジング本体15の右端開口部に嵌合するアクチュエータケース18と、アクチュエータケース18の右端開口部を覆うように複数本のボルト19…で固定されたアクチュエータカバー20とを備えており、アクチュエータケース18を貫通する複数本のボルト21…でエンジンブロック22に固定される。差動機構DおよびアクチュエータAは差動装置を構成する。
ハウジング14の内部に収納された差動機構Dは、ハウジング本体15にローラベアリング23で支持された右側の第1ケース24と、カバープレート17にローラベアリング25で支持された左側の第2ケース26とを複数本のボルト27…で結合したディファレンシャルケース28を備えており、第1ケース24の外周に変速機Tにより駆動されるアクスルドライブギヤ29が複数本のボルト30で固定される。
次に、図3および図5〜図7を参照して差動機構Dの構造を説明する。
ハウジング14内に収納される差動機構Dは、十字状に交差するように一体化された4本のピニオンシャフト31…を備える。円形断面を有するピニオンシャフト31…は端部に面取31a…が形成されており、その面取31a…が第1ケース24の内周面に形成された4本の支持溝24a…に嵌合する。4本のピニオンシャフト31…には4個のピニオン32…が回転自在に支持される。ピニオン32…と第1ケース24の内周面との間にスペーサ33…が配置されており、これらのスペーサ33…によってピニオン32…の径方向の位置が規制される。
第1ケース24の内部に挿入されたハーフシャフト11の外周は、右側のサイドギヤ34Rにスプライン結合されてスナップリング35で抜け止めされる。また第2ケース26を貫通して第1ケース24の内部に挿入された左車軸13の右端は、クラッチインナー37にスプライン結合されてスナップリング38で抜け止めされる。クラッチインナー37の右側面に左側のサイドギヤ34Lが一体に形成される。左右のサイドギヤ34L,34Rは4個のピニオン32…に噛み合っている。
クラッチインナー37の外周に対向するように第1ケース24の内周にクラッチアウター40が一体に形成されており、クラッチアウター40の内周面に複数枚(実施の形態では5枚)のクラッチプレート41…の外周部がスプライン嵌合するとともに、クラッチインナー37の外周面に複数枚(実施の形態では6枚)のクラッチディスク42…の内周部がスプライン嵌合する。クラッチディスク42…の両面に貼り付けた摩擦材43…がクラッチプレート41…に接触するように、クラッチプレート41…およびクラッチディスク42…は交互に配置される。
クラッチアウター40の内周面にプレッシャプレート44の外周部がスプライン嵌合し、このプレッシャプレート44の左側面は最右端に位置するクラッチディスク42の右側面に当接可能に対向する。プレッシャプレート44の右側面に対向する第1ケース24の内面に、径方向に延びる複数個(実施の形態では4個)の梃子レバー収納凹部24bが形成されており、各々の梃子レバー収納凹部24bの径方向外端に梃子レバー45の径方向外端の支点45aが揺動自在に係合する。
アクチュエータケース18の内部において、ハーフシャフト11の外周にニードルベアリング46(図1参照)を介して第1中空軸47が相対回転自在かつ軸方向移動自在に嵌合する。第1ケース24の内部において、第1中空軸47の左端に第2中空軸48の右端が相対回転不能に凹凸係合し、更に第2中空軸48の左端に第3中空軸49の右端が相対回転不能に凹凸係合する。第2中空軸48の左端側に第1ケース24の内周面に沿うように拡径した拡径部48aが形成されており、第3中空軸49の直径は拡径部48aの最大直径に一致している。
第2中空軸48の拡径部48aに複数個(実施の形態では6個)の貫通孔48bが形成されており、第1ケース24の内面から突出する4個の延出部24c…が貫通孔48bを緩く貫通して拡径部48aの内側に突出する。各々の延出部24cの先端は摩擦ワッシャ50を介して右側のサイドギヤ34Rの背面に当接する。尚、左側のサイドギヤ34Lの背面、つまりクラッチインナー37の左側面は、摩擦ワッシャ51を介して第2ケース26の内面に当接する。
第3中空軸49には、その左端側に開口するU字状の切欠49a…が90°間隔で4個形成されている。これらの切欠49a…によって4本のピニオンシャフト31…と、その外周に嵌合するスペーサ33…との干渉を回避しながら、第3中空軸49は軸方向に移動することができる。そして第3中空軸49の左端に、梃子レバー45の径方向内端に設けられた力点45bを押圧する押圧部49bが形成される。そして梃子レバー45の中間部に、プレッシャプレート44の右側面に当接する作用点45cが設けられる。
このようにして、クラッチインナー37、クラッチアウター40、クラッチプレート41…、クラッチディスク42…、プレッシャプレート44および梃子レバー45…により、左車軸13をディファレンシャルケース28に締結するための摩擦多板クラッチ52が構成される。
次に、図2、図4および図8に基づいて、第1〜第3中空軸47,48,49を介して摩擦多板クラッチ52を係合させるアクチュエータAの構造を説明する。
アクチュエータケース18およびアクチュエータカバー20の内部に延びる第1中空軸47の右端にフランジ部材61が摺動自在に嵌合しており、第1中空軸47にクリップ62で係止したスプリングシート63とフランジ部材61の背面との間にコイルスプリング64が圧縮状態で配置される。
フランジ部材61およびアクチュエータカバー20の内壁面20a間のハーフシャフト11上に、第1カムプレート67および第2カムプレート68がそれぞれニードルベアリング69,70を介して回転自在、かつ軸方向移動自在に支持される。第1カムプレート67はスラストベアリング85を介してフランジ部材61に当接し、第2カムプレート68はスラストベアリング86を介してアクチュエータカバー20の内壁面20aに当接する。第1、第2カムプレート67,68の対向面に傾斜したカム溝67a…,68a…が形成されており、相対向するカム溝67a…,68a…にそれぞれボール71…が収納される。第1、第2カムプレート67,68およびボール71…はボールカム機構72を構成する。
アクチュエータケース18に、第1軸73がボールベアリング74およびニードルベアリング75を介して支持され、また第2軸76がボールベアリング77,78を介して支持される。アクチュエータケース18に支持した電動モータ79の出力軸79aに直列に接続された第1軸73に設けられた第1ギヤ80が、第2軸76に設けられた第2、第3ギヤ81,82のうちの第2ギヤ81に噛合する。また第1、第2カムプレート67,68の外周にそれぞれ第4、第5ギヤ83,84が形成されており、第4ギヤ83が第2軸76の第2ギヤ81に噛合するとともに、第5ギヤ84が第2軸76の第3ギヤ82に噛合する。第2ギヤ81および第4ギヤ83間のギヤ比と、第3ギヤ82および第5ギヤ84間のギヤ比は僅かに異なっている。
図9に示すように、アクチュエータAの電動モータ79の作動を制御する電子制御ユニットUは、LSD(差動制限)制御部91と、モータ制御部92とを備える。車速センサで検出した車速と、操舵角センサで検出した操舵角と、ヨーレートセンサで検出したヨーレート(実ヨーレート)とが入力されるLSD制御部91は、車速および操舵角から規範ヨーレートを算出し、規範ヨーレートおよび実ヨーレートからヨーレート偏差を算出し、ヨーレート偏差から差動装置に発生させるべき目標差動制限トルクを算出し、操舵角から目標差動制限トルクを補正して出力差動制限トルクを算出し、出力差動制限トルクを電動モータ79の目標モータ回転角に変換する。LSD制御部91が出力する電動モータ79の目標モータ回転角と、インクリメンタル型エンコーダよりなる回転角センサ65(図4参照)で検出した電動モータ79の実モータ回転角との偏差が入力されるモータ制御部92は、その偏差がゼロに収束するように、モータドライバー93を介して電動モータ79の実モータ回転角をフィードバック制御する。
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用について説明する。
差動機構Dは通常の差動機能に加えて差動制限機能を発揮するもので、その差動制限機能により発生する差動制限トルクはアクチュエータAにより制御される。
先ず、差動機構Dの通常の差動機能について説明する。
内燃機関Eの駆動力が変速機Tを介して差動機構Dのアクスルドライブギヤ29に入力されると、アクスルドライブギヤ29にボルト30…で結合されたディファレンシャルケース28が回転する。車両が直進状態にあるとき、4個のピニオン32…はピニオンシャフト31…に対して回転せず、ピニオン32…に噛み合う左側のサイドギヤ34Lと一体の左車軸13と、ピニオン32…に噛み合う右側のサイドギヤ34Rと一体のハーフシャフト11とは同速で回転し、左右の駆動輪に駆動力が均等に配分される。
例えば、車両が左旋回状態にあるとき、左側の駆動輪に連なる左車軸13が減速されて右側の駆動輪に連なるハーフシャフト11が増速されるため、左右のサイドギヤ34L,34Rに差回転が発生するが、その差回転は左右のサイドギヤ34L,34Rに噛み合うピニオン32…の回転により吸収される。同様に、車両が右旋回状態にあるとき、左側の駆動輪に連なる左車軸13が増速されて右側の駆動輪に連なるハーフシャフト11が減速されるため、左右のサイドギヤ34L,34Rに差回転が発生するが、その差回転は左右のサイドギヤ34L,34Rに噛み合うピニオン32…の回転により吸収される。
次に、アクチュエータAの作動により発生する差動制限機能について説明する。
アクチュエータAの電動モータ79を駆動すると、その出力軸79aに結合した第1軸73の第1ギヤ80の回転が第2ギヤ81に伝達されて第2軸76が回転する。第2軸76が回転すると、第2ギヤ81および第4ギヤ83を介して第1カムプレート67が回転し、かつ第3ギヤ82および第5ギヤ84を介して第2カムプレート68が回転するが、第2ギヤ81および第4ギヤ83間のギヤ比と、第3ギヤ82および第5ギヤ84間のギヤ比とが僅かに異なっているため、ボールカム機構72の第1、第2カムプレート67,68が相対回転する。その結果、第1、第2カムプレート67,68のカム溝67a…,68a…の相対位置が、図8(A)の状態から図8(B)の状態に変化し、ボール71…によって第1、第2カムプレート67,68が相互に離反する方向に駆動される。
ボールカム機構72により発生する右向きの荷重を受けた第2カムプレート68は、アクチュエータカバー20によって右方向への移動を阻止される。従って、ボールカム機構72により発生する左向きの荷重、つまり摩擦多板クラッチ52を係合させる押力を受けた第1カムプレート67は左方向に移動し、スラストベアリング85およびフランジ部材61を介して第1中空軸47を左方向に押圧する。
アクチュエータAによって第1中空軸47に左向きの押力が作用すると、第1中空軸47に結合された第2中空軸48および第3中空軸49が左方向に移動し、第3中空軸49の左端に設けた押圧部49b…が4個の梃子レバー45…の力点45b…を押圧する。その結果、各梃子レバー45は支点45aを中心に揺動し、その作用点45cがプレッシャプレート44を左方向に押圧することで、クラッチプレート41…およびクラッチディスク42…が相互に密着し、クラッチインナー37およびクラッチアウター40が一体に結合される。
梃子レバー45の支点45aおよび力点45b間の距離L1は、支点45aおよび作用点45c間の距離L2よりも大きく設定されているため、梃子レバー45に入力される押力F1をL1/L2倍に倍力した押力F2でプレッシャプレート44を押圧することができ、これによりアクチュエータAの電動モータ79を小型化しても摩擦多板クラッチ52に充分な押力を加えることができる。
このようにして摩擦多板クラッチ52が係合すると、クラッチインナー37と一体の左車軸13がディファレンシャルケース28と一体化されることで、左車軸13とハーフシャフト11とが、つまり左車軸13と右車軸12とが相対回転不能に一体化され、差動機構Dの差動機能が制限されてぬかるみ等の軟弱地からの脱出を可能にしたり、高速直線走行時の安定性を高めたりすることができる。このとき、電動モータ79を駆動する電流を制御してアクチュエータAが発生する押力を変化させ、摩擦多板クラッチ52に所定のスリップを発生させることで、差動機構Dに任意の大きさの差動制限トルクを発揮させることができる。
ところで、LSD制御部91は、実ヨーレートを規範ヨーレートに一致させるべく差動装置に発生させる目標差動制限トルクを算出し、この目標差動制限トルクを補正した出力差動制限トルクを差動装置が発生するように差動制限機能を制御している。その理由は以下の通りである。即ち、実ヨーレートを規範ヨーレートに一致させるべく差動装置の差動制限機能を制御しているとき、ステアリングホイールをニュートラル位置に向けて戻すと、規範ヨーレートと実ヨーレートとの偏差が急激に減少して目標差動制限トルク急激に減少するため、トルクステア現象によって運転者がステアリングホイールから受ける操舵反力が突然変化して違和感を与える可能性がある。これを防止するために、目標差動制限トルクを補正した出力差動制限トルクを用いて差動装置の差動制限機能を制御するのである。
これを図10のタイムチャートに基づいて具体的に説明する。
時刻t1まで、ステアリングホイールが所定の操舵角に操舵され、それにより発生したヨーレート偏差(規範ヨーレート−実ヨーレート)に応じて目標差動制限トルクTOBJAorgを算出する。時刻t1に操舵角がニュートラル位置に向けて減少を開始すると、それに応してヨーレート偏差が急激に減少し、ヨーレートによる変化がサチュレートする所定時間が経過した時刻t2からヨーレート偏差の急減に応じて目標差動制限トルクTOBJAorgが急減する。目標差動制限トルクTOBJAorgの減少率は著しいため、その目標差動制限トルクTOBJAorgに基づいて差動制限制御を実行すると、操舵反力が突然変化して運転者に違和感を与えるため、目標差動制限トルクTOBJAorgの減少率を緩やかにした出力差動制限トルクTOBJAに基づいて差動制限制御を実行する。この緩やかに減少する出力差動制限トルクTOBJAに基づいて差動制限制御を実行することで、トルクステア現象による操舵反力の急激な変化を防止して運転者の違和感を解消することができる。
出力差動制限トルクTOBJAは、時刻t3に目標差動制限トルクTOBJAorgがゼロに達した後も緩やかに減少を続け、時刻t4に閾値T1(例えば、500Nm)に達した時点でゼロまで急激に減少する。その理由は、出力差動制限トルクTOBJAが閾値T1以下になれば、その値をゼロまで急激に減少させも操舵反力は大きく変化せず、運転者に違和感を与える虞がないからである。
上記作用を、図11のフローチャートに基づいて更に詳細に説明する。
先ずステップS1で目標差動制限トルクTOBJAorgを取得し、ステップS2で目標差動制限トルクTOBJAorgから目標差動制限トルク前回値TOBJAorgoldを減算した差が負である場合、つまり目標差動制限トルク前回値TOBJAorgoldに対して今回の目標差動制限トルクTOBJAorgが減少している場合には、ステップS3に移行する。ステップS3で出力差動制限トルクTOBJAを差動制限トルク閾値T1と比較し、出力差動制限トルクTOBJAが差動制限トルク閾値T1を上回っている場合には、ステップS4に移行する。ステップS4で操舵角SWA=0でなくて操舵中であり、かつステップS5で操舵角SWA>0で右操舵中である場合、ステップS6で操舵角速度閾値をωとしたときに、ステアリングホイールの操舵角速度に対応する操舵角SWA−操舵角前回値SWAoldを算出し、操舵角SWA−操舵角前回値SWAold<−操舵角速度閾値ωが成立すれば、ステアリングホイールを戻し操作中であると判断し、ステップS8に移行する。また前記ステップS5で操舵角SWA≦0で左操舵中である場合、ステップS7で操舵角SWA−操舵角前回値SWAold>操舵角速度閾値ωが成立すれば、ステアリングホイールを戻し操作中であると判断し、前記ステップS8に移行する。
以上のように、目標差動制限トルクTOBJAorgが減少中であり、かつ出力差動制限トルクTOBJAが差動制限トルク閾値T1を上回っており、かつステアリングホイールが戻し操作中である場合には、ステップS8で操舵角SWAから操舵角前回値SWAoldを減算した差の絶対値をステアリングホイールの操舵角速度ΔSWAとして算出し、続くステップS9で出力差動制限トルク前回値TOBJAoldから差動制限トルク漸減係数α*操舵角速度ΔSWAを減算した差を出力差動制限トルクTOBJAの今回値とし、差動制限トルク漸減中フラグF SWARTNを「1」(差動制限トルク漸減制御実行中)にセットする。
尚、前記ステップS2の答がNOで目標差動制限トルクTOBJAorgが非減少中であるとき、つまり図10の時刻t3〜時刻t4の領域で目標差動制限トルクTOBJAorgがゼロになったとき、ステップS10で既に差動制限トルク漸減中フラグF SWARTNが「1」であって差動制限トルク漸減制御の実行中であれば、前記ステップS3に移行する。これは、前記時刻t3〜時刻t4の領域で差動制限トルク漸減制御が中断され、出力差動制限トルクTOBJAが差動制限トルク閾値T1を上回る状態から急激に減少するのを防止するためである。
そして前記ステップS10で差動制限トルク漸減制御が非実行中である場合、前記ステップS3で出力差動制限トルクTOBJAが差動制限トルク閾値T1以下となった場合、あるいは前記ステップS4で操舵角SWA=0(操舵中)となった場合、ステップS11で差動制限トルク漸減制御を中止し、目標差動制限トルクTOBJAorgをそのまま出力差動制限トルクTOBJAとし、かつ差動制限トルク漸減中フラグF SWARTNを「0」(差動制限トルク漸減制御非実行中)にリセットする。
前記ステップS6あるいは前記ステップS7でステアリングホイールが戻し操作中でない場合、つまりステアリングホイールが保持あるいは切り増しされている場合、ステップS12で差動制限トルク漸減制御が実行中であれば、ステップS13で操舵角SWAから操舵角前回値SWAoldを減算した差(操舵角速度)の絶対値を操舵角速度閾値ωと比較し、その操舵角速度の絶対値が操舵角速度閾値ω未満であってステアリングホイールが保持されていれば、前記ステップS8およびステップS9に移行して差動制限トルク漸減制御を継続する。一方、前記ステップS12で差動制限トルク漸減制御が非実行中である場合と、前記ステップS13でステアリングホイールが切り増しされた場合とには、ステップS14で差動制限トルク漸減制御を中止し、目標差動制限トルクTOBJAorgをそのまま出力差動制限トルクTOBJAとし、かつ差動制限トルク漸減中フラグF SWARTNを「0」(差動制限トルク漸減制御非実行中)にリセットする。
ステアリングホイールを切り増しした場合に差動制限トルク漸減制御を中止するのは、そのような場合にトルクステア現象により操舵反力が変化しても運転者は認識することができないためであり、この制御により必要のない差動制限トルク漸減制御が行われるのを防止することができる。またステアリングホイールが一時的に保持された場合には、差動制限トルク漸減制御は中止されることなく継続されるため、ステアリングホイールの戻し操作中の微妙な振れによって差動制限トルク漸減制御が中止されてしまうのを防止することができる。
そしてステップS15で次回のループに備えて、目標差動制限トルクTOBJAorgを目標差動制限トルク前回値TOBJAorgoldに更新し、出力差動制限トルクTOBJAを出力差動制限トルク前回値TOBJAoldに更新することで、本ルーチンを終了する。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、差動制限機構の構造は実施の形態に限定されず、本発明は種々の構造の差動制限機構に対して適用することができる。
91 LSD制御部(差動制限トルク制御手段)
A アクチュエータ(差動制限機構)
T1 閾値

Claims (3)

  1. 操舵角の増加と共に増加する規範ヨーレートおよび実ヨーレートの偏差に応じて、差動装置の差動制限機構(A)が発生する差動制限トルクを増加させる差動制限トルク制御手段(91)を備える差動制限機構付き差動装置において、
    前記差動制限トルク制御手段(91)は、
    前記差動制限トルクが閾値(T1)を超えた状態で操舵角が減少しているときは、前記偏差に応じて定まる差動制限トルクの減少率よりも緩やかに差動制限トルクを減少させる差動制限トルク漸減制御を行うことを特徴とする差動制限機構付き差動装置。
  2. 前記差動制限トルク制御手段(91)は、
    前記差動制限トルク漸減制御の実行により前記差動制限トルクが前記閾値(T1)以下になったときは、前記差動制限トルク漸減制御を中止することを特徴とする、請求項1に記載の差動制限機構付き差動装置。
  3. 前記差動制限トルク制御手段(91)は、
    前記差動制限トルク漸減制御の実行中に操舵角速度が所定値以上になったときは、前記差動制限トルク漸減制御を中止することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の差動制限機構付き差動装置。
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