JP2005054692A - 送風機用羽根車 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、送風機用羽根車自体をさらに制振性の高い合成樹脂で形成し、特にボス部に円筒状の金属やCRゴムなどを使用しない、リサイクル性の優れた送風機用羽根車を提供することを課題とする。
【解決手段】円筒形状のハブ6の周囲に複数の翼型の羽根7を備え、合成樹脂材料にGFを10〜30重量%を混入し、或いはGFとマイカを合わせて20〜40重量%を混入し、さらに前記合成樹脂にポリスチレンブロックとビニル−ポリイソブチレンプロックの共重合体で構成された熱可塑性エラストマーを混入した樹脂2で形成したものである。
【選択図】図1
【解決手段】円筒形状のハブ6の周囲に複数の翼型の羽根7を備え、合成樹脂材料にGFを10〜30重量%を混入し、或いはGFとマイカを合わせて20〜40重量%を混入し、さらに前記合成樹脂にポリスチレンブロックとビニル−ポリイソブチレンプロックの共重合体で構成された熱可塑性エラストマーを混入した樹脂2で形成したものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、剛性・耐熱性・制振性・リサイクル性の優れた空気調和機の送風機用羽根車に関するものである。
従来、この種の空気調和機の送風機用羽根車は、図5に示すような構成のものが一般に知られている。すなわち円柱形状のハブ6の周囲に複数個の翼型の羽根7を設けて形成された送風機用羽根車で、中央のボス5(モータ固定用)をモータのシャフトに固定して送風機用羽根車を回転させて送風させるものである(例えば、特許文献1参照)。
送風機用羽根車の材料は、開発当初はプレス加工して塗装した塗装鋼板やアルミ鋼板の金属を使用していたが、近年は、生産性や性能面を重視してポリプロピレン樹脂などで樹脂化し射出成形して製造されている。また、より性能面を考慮して翼型の羽根の厚みを3から15mm程度に厚くしたものも造られている。また、送風機用羽根車中央のボス部にはファンモーターからの振動を低減するために金属製の円筒内にCRゴムを設けた構造の防振材を用いたボス部を使用しているものもある。
特開平9−228993号公報
従来、樹脂製送風機用羽根車の構成において、ポリプロピレン(以下、PPと称す)系樹脂にGF(ガラスファイバー、以下GFと称す)とマイカ(雲母)を混入した合成樹脂や、AS(アクリロニトリル・スチレン、以下ASと称す)系樹脂、A/EPDM/S(アクリロニトリル・エチレンプロピレン−ジエン・スチレン、以下A/EPDM/と称す)系樹脂に、GFを混入した合成樹脂を用い、特に耐候性・剛性・耐熱性の良好な送風機用羽根車を使用していた。
制振性に関しては、DCモーターを使用したものは送風機用羽根車が振動しやすく、特に高い制振性の要求される空調機においては、送風機用羽根車中央部にファンモーターの軸を取付るアルミ製の軸受け部501と金属製の円筒503とCRゴム502の構造の防振材を用いたボス部5を使用している。また合成樹脂において、屋外夏場の耐熱性を考慮して70℃連続耐熱変形や、台風時の高速回転を考慮した回転破壊強度や、制振性からGFやマイカを混入したPP系樹脂を使用しているが、さらに制振性の高い合成樹脂材が要求されている。また、CRゴムなどの柔軟性の高い防振材の別部品を別途インサート成形するような工程を無くしたい要望が出ている。
本発明はこのような課題を解決するもので、送風機用羽根車自体をさらに制振性の高い合成樹脂で形成し、特にボス部に円筒状の金属やCRゴムなどを使用しない、リサイクル性の優れた送風機用羽根車を提供することを目的とするものである。
請求項1記載の本発明の送風機用羽根車は、合成樹脂材料にGFを10〜30重量%を混入し、或いはGFとマイカを合わせて20〜40重量%を混入し、さらに前記合成樹脂に熱可塑性エラストマーを混入して形成したことを特徴とする。
請求項2記載の本発明の送風機用羽根車は、熱可塑性エラストマーがポリスチレンブロックとビニル−ポリイソブチレンプロックの共重合体で構成したことを特徴とする。
請求項3記載の本発明の送風機用羽根車は、合成樹脂材料がPP系樹脂、AS系樹脂、A/EPDM/S系樹脂、ASA系樹脂のいずれか一つの合成樹脂材により構成したことを特徴とする。
請求項4記載の本発明の送風機用羽根車は、合成樹脂材料が、PP系樹脂にGFとマイカを合わせて20〜40重量%を混入し、前記合成樹脂にGFとマイカを除くPP系樹脂に対して、ポリスチレンブロックとビニル−ポリイソブチレンプロックの共重合体で構成された熱可塑性エラストマーを9:1〜5:5の重量%比率で混入したことを特徴とする。
請求項5記載の本発明の送風機用羽根車は、合成樹脂材料がAS系樹脂或いはA/EPDM/S系樹脂に、GFを10〜30重量%を混入し、前記GFを除く合成樹脂に対して、ポリスチレンブロックとビニル−ポリイソブチレンプロックの共重合体で構成された熱可塑性エラストマーを9:1〜5:5の重量%比率で混入したことを特徴とする。
請求項6記載の本発明の送風機用羽根車は、合成樹脂の曲げ弾性率を2900〜6200MPaとしたことを特徴とする。
請求項7記載の本発明の送風機用羽根車は、合成樹脂の損失係数を、片持梁共振法で0.05〜0.20としたことを特徴とする。
請求項8記載の本発明の送風機用羽根車は、送風機用羽根車の全体を構成する合成樹脂に、熱可塑性エラストマーを混入した合成樹脂材料を用いたこと特徴とする。
請求項9記載の本発明の送風機用羽根車は、ハブの中心部であるボス部に、熱可塑性エラストマーを混入した合成樹脂材料を用い、ボス部以外の合成樹脂には熱可塑性エラストマーを混入しない合成樹脂を二色成形で構成してことを特徴とする。
以上から明かなように、本発明によれば本体振動の軽減が図れ、熱変形や破壊回転強度の優れた送風機用羽根車が得られる。
本発明の請求項1記載の発明は、合成樹脂材料にGFを10〜30重量%を混入し、或いはGFとマイカを合わせて20〜40重量%を混入し、さらに前記合成樹脂に熱可塑性エラストマーを混入して形成したものである。この構成によればGF或いはGFとマイカで耐熱性・剛性が高くなり、ゴム的な柔軟性がある熱可塑性エラストマーによって送風機用羽根車の振動が低減して制振性能の向上が図れる。
本発明の請求項2記載の発明は、熱可塑性エラストマーがポリスチレンブロックとビニル−ポリイソブチレンプロックの共重合体で構成したものである。この構成によれば、特に制振性が高い三次元構造の熱可塑性エラストマーによって共振しにくくなり、送風機用羽根車の振動がさらに低減して制振性能の向上が図れる。
本発明の請求項3載の発明は、合成樹脂材料がPP系樹脂、AS系樹脂、A/EPDM/S系樹脂、ASA系樹脂のいずれか一つの合成樹脂材で構成したものである。この構成によれば、送風機用羽根において剛性・耐熱性・制振性のバランスの取れた合成樹脂となり、さらに耐候処理が容易に出き屋外で10年以上の耐久性を確保することができる。
本発明の請求項4載の発明は、合成樹脂材料が、PP系樹脂にGFとマイカを合わせて20〜40重量%を混入し、前記合成樹脂にGFとマイカを除くPP系樹脂に対して、ポリスチレンブロックとビニル−ポリイソブチレンプロックの共重合体で構成された熱可塑性エラストマーを9:1〜5:5の重量%比率で混入したものである。この構成によれば、特にPP系樹脂の場合は、耐熱変形性や制振性に優れ曲げ強度を高くすることができ、特に送風機用羽根車の破壊回転数が高い送風機用羽根車が得られる。
本発明の請求項5載の発明は、合成樹脂材料がAS系樹脂或いはA/EPDM/S系樹脂に、GFを10〜30重量%を混入し、前記GFを除く合成樹脂に対して、ポリスチレンブロックとビニル−ポリイソブチレンプロックの共重合体で構成された熱可塑性エラストマーを9:1〜5:5の重量%比率で混入したものである。この構成によれば、特にAS系樹脂或いはA/EPDM/S系樹脂の場合、剛性・耐熱性・制振性が優れ、特に成形品の羽根高さのバラツキ少ない寸法安定性の優れた送風機用羽根車が得られる。
本発明の請求項6載の発明は、合成樹脂の曲げ弾性率を2800〜6200MPaとしたものである。この構成によれば剛性が高く、特に回転時の熱変形の小さい優れた送風機用羽根車が得られる。
本発明の請求項7載の発明は、合成樹脂の損失係数ηを片持梁共振法で0.05〜0.20としたものである。この構成によれば、特に制振性が高い合成樹脂となりファンモータの振動が伝達しにくく、本体振動が小さい優れた送風機用羽根車が得られる。
本発明の請求項8載の発明は、送風機用羽根車の全体を構成する合成樹脂に、熱可塑性エラストマーを混入した合成樹脂材料を用い構成したものである。この構成によれば制振性の高い熱可塑性エラストマーを送風機用羽根車の合成樹脂全体に混入しているためファンモータの振動が伝達しにくく、より本体振動が小さい優れた送風機用羽根車が得られる。
本発明の請求項8載の発明は、送風機用羽根車の全体を構成する合成樹脂に、熱可塑性エラストマーを混入した合成樹脂材料を用い構成したものである。この構成によれば制振性の高い熱可塑性エラストマーを送風機用羽根車の合成樹脂全体に混入しているためファンモータの振動が伝達しにくく、より本体振動が小さい優れた送風機用羽根車が得られる。
本発明の請求項9載の発明は、ハブの中心部であるボス部に、熱可塑性エラストマーを混入した合成樹脂材料を用い、ボス部以外の合成樹脂には熱可塑性エラストマーを混入しない合成樹脂を二色成形で構成したものである。この構成によれば、熱可塑性エラストマーがボス部のみ混入しているため送風機用羽根車全体の剛性を下げることがなく、また二色成形によつて容易に成形でき2材料の接合部も強固に融合している。
以下、本発明の一実施例について図面及び表を参照して説明する。図1は本発明の第一の一実施例である、合成樹脂全体にエラストマーを混入した空気調和機の送風機用羽根車の縦断面図。図2は本発明の第二の一実施例である、ハブ中央部を構成する合成樹脂にエラストマーを混入した空気調和機の送風機用羽根車の縦断面図。図3は本発明の一実施例における空気調和機の送風機用羽根車の外観斜視図。図4は従来品のボス部の外観斜視図。図5は従来品の空気調和機の送風機用羽根車の外観斜視図である。
図1〜5に示すように円筒形状のハブ6の周囲に複数個の翼型の羽根7を設けて形成された送風機用羽根車1で、ハブ6の中央にモータ軸の軸を受けるDカットを設けて、モータ軸を通してナットで固定し送風機用羽根車を回転させて送風させるものである。図1においては本発明の第一の実施例を示し、合成樹脂全体に熱可塑性エラストマーを混入して形成したものものである。また、図2は本発明の第二の実施例を示し、ハブの中心部であるボス部に熱可塑性エラストマーを混入した合成樹脂材料を用い、ボス部以外の合成樹脂には熱可塑性エラストマーを混入しない合成樹脂を二色成形で構成したものである。尚、従来品のボス5は、ツバの付いた円筒金属製の外周部503とファンモータの軸と固定するアルミ製の軸受け部501と防振材であるCRゴム502などから構成されていた。従来品のボス5は、インサート成形している。図1と図2は、図3のA−A´部の縦断面図である。尚、送風機用羽根車1は¢410mmの3枚羽根のもので、羽根中央部の断面部の最大肉厚は約6mmにしたものである。尚、従来例も同じ¢410mmの3枚羽根である。
また表1は本発明の第一の実施例における合成樹脂の特性、表2は同送風機用羽根車の特性。また表3は本発明の第二の実施例における送風機用羽根車のボス部に使用する合成樹脂の特性、表4は同送風機用羽根車のボス部以外に使用した合成樹脂の特性、表5は同送風機用羽根車の送風機用羽根車の特性を示す。
送風機用羽根車に使用した合成樹脂の特性で、曲げ弾性率は、JIS−K7171に準拠し(旧JIS−K7203・荷重1.813MPa)1/4インチ試験片を用いMPaで示す。損失係数(η)は、JIS−G−0602制振鋼板の(振動減衰測定測定法)などに準拠し片持梁共振法を用い、短冊状のサンプルの一端を固定し、加振させ測定値を求めたものである。損失係数(η)は、数値が高いほど制振効果が高く、材料の共振を抑える尺度を示す。
また、送風機用羽根車の特性において本体振動は、防音室に空気調和機の室内と室外本体をセットし、送風機用羽根車を過負荷状態の最高回転数を考慮して1300rpmで運転し、その時の本体天面の振動を測定し振動計で振幅幅(μm)を測定したものである。破壊回転数は、モーターに送風機用羽根車をセットし、まず2500回転まで回転数を上げて、その後1分毎に100rpm程度上げ、送風機用羽根車が破壊した時の回転数を求めたものである。寸法安定性は、定番に専用の軸を付けた治具に送風機用羽根車を通して垂直にセットし、3枚の羽根上部の高さ位置をハイトゲージで測定し、その差を求めたものである。また、耐熱変形性は70℃の恒温槽に、使用時の過負荷状態を考慮して約1300rpmで7日間高速運転した時の、試験前後の羽根高さの変化量(mm)を測定したものである。
尚、従来例については従来例1と従来例2を用いた。従来例1はボス無し品で、従来品2は軸部がアルミ製で円筒金属製にCRゴムの防振材を用いたものである。従来例1は、ファン運転使用中の共振が小さく特に制振性が高く要求されない場合に使用し、従来例2はファン運転使用中の共振が大きく、トランジスタモータ使用時などの特有の共振が影響して高い制振性を要求される場合に使用する。
また実施例1〜11は送風羽根車の全体にエラストマーを混入した合成樹脂を使用したもので、実施例12〜22はエラストマーを混入した合成樹脂をハブの中央部のボス部に構成したものである。尚、全体或いはハブ中央に使用しているエラストマーを混入した同量混入量の合成樹脂の特性は同じものである。
まず、本発明の第一の実施例について説明する。第一の実施例は、送風用羽根車を構成する合成樹脂全体に熱可塑性エラストマーを混入し形成した空気調和機の送風機用羽根車で、実施例1〜実施例11について図1と表1・表2を用いて説明する。図1に示すように、エラストマーを混入した合成樹脂2が、羽根7とハブ6の送風用羽根車の全体に使用されている。
実施例1〜6は合成樹脂としてPP系樹脂に充填材としてGFとマイカを20〜40重量%混入したものである。またエラストマーは、ポリスチレンブロックとビニル−ポリイソブチレンプロックの共重合体(例えば、商品名:ハイブラー、クラレ(株))を使用したものである。GFとマイカの混入率は、実施例1が20重量%、実施例2〜4が30重量%、実施例5〜6が40重量%である。またエラストマーの比率は、GFとマイカを除くPP系樹脂に対しての配分を示した。実施例1が9:1はPP樹脂9に対してエラストマー成分が1の重量比率となる。
従って実施例1の場合は、GFとマイカの混入率は20重量%であるため、残りの80重量%がPP樹脂とエラストマーとなり、PP樹脂は80x0.9=72重量%、エラストマーは80x0.1=8重量%となる。実施例2は、GFとマイカの混入率は30重量%であるため、残りの70重量%がPP樹脂とエラストマーとなり、PP樹脂は70x0.8=56重量%、エラストマーは70x0.2=14重量%となる。以下の実施例に関しても、同様の計算した重量比率となり省略する。実施例1の曲げ弾性率は2900MPaで損失係数は0.07であり、実施例1の送風機用羽根車の特性で本体振動は17μm、破壊回転数は3400rpm、羽根高さの差である寸法安定性は2.0mm、羽根高さの変化量は22mmである。
以下表1や表2に示す。実施例に使用したPP系・AS系・AES系・ASA系樹脂の耐候性は、合成樹脂にマイカやGFやエラストマーや顔料を混合(コンパウンド)するときに、紫外線吸収剤や酸化防止剤を0.5〜1%程度混入することにより強化でき、屋外で使用して太陽光に暴露されても10年以上の耐久性を維持することができる。また、送風用羽根車は耐候性を良くするために黒色にしている。尚、PP系樹脂を使用した実施例1〜6の破壊回転数は3400〜4000と高く、特にAS系樹脂の実施例7・8の2500や3000rpmと比較すると優れている。またAES系樹脂やASA系樹脂よりも柔軟で且つ剛性が高くなり、損失係数や破壊回転数も高くなり優れている。
損失係数においては、樹脂とエラストマーの比率を5:5にした実施例4・6・8・10を比較すると、PP系樹脂の実施例4は0.20、実施例6は0.18で、AS系樹脂の実施例8は0.12、AES系樹脂の実施例10は0.13であり実施例4・6は特に優れている。また、本体振幅も実施例4が13μm、実施例6が12μmで特に優れている。
また、寸法安定性の羽根高さにおいてはAS系樹脂の実施例7が1.5mm、実施例8が1.3mmと小さく優れ、AES系樹脂の実施例9が1.7mm、実施例10が1.9mm、ASA系樹脂の実施例11は1.8mmであり、PP系樹脂の実施例よりも優れている。
また、実施例に使用した合成樹脂の曲げ弾性率は2800〜6200MPaである。曲げ弾性率は、2800MPa以下であると熱変形が大きくなり、6200MPa以上であると曲げ弾性率は高いが、充填材が多くなり成形性が劣る。従って2800〜6200MPaが好ましい。
エラストマーの混入率と損失係数は、実施例1は損失係数が0.07であり従来品1の0.05と比較すると良いが、混入重量比率が9:1以下になると効果が少なくなる。熱可塑性エラストマーを9:1〜5:5の重量%比率で混入したのは、混入重量比率が9:1以下になると制振効果が少なくなり、混入重量比率が5:5で5割を超えると、曲げ弾性率の低下しやすくコストも高くなる。従って9:1〜5:5の重量%比率が好ましい。また損失係数は、0.05以下であると効果が少なく、0.20以上であるとエラストマーを含まないベース樹脂に対して曲げ弾性率の低下が大きくなりコストが高くなる。従って損失係数は0.05〜0.20が好ましい。
次に、本発明の第二の実施例について説明する。第二の実施例は、図2に示すように送風用羽根車1を構成するハブ6の中央部のボス部にエラストマーを混入した合成樹脂4を用い、表−3にボス部に使用した実施例12〜22の合成樹脂の特性を示す。また、表−4に実施例12〜22に使用したボス部以外の合成樹脂3の特性を示す。また表−5には送風機用羽根車の特性の特性を示す。
実施例12のボスに使用した合成樹脂はPP系樹脂でGFとマイカを20重量%混入し、曲げ弾性率は2900MPaで損失係数は0.07である。エラストマーの比率は、GFとマイカを除くPP系樹脂に対しての配分を示した。実施例12は9:1でPP樹脂9に対してエラストマー成分が1の重量比率となる。従って実施例12の場合は、GFとマイカの混入率は20重量%であるため、残りの80重量%がPP樹脂とエラストマーとなり、PP樹脂は80x0.9=72重量%、エラストマーは80x0.1=8重量%となる。ボス以外に使用した合成樹脂は、PP系樹脂でGFとマイカを20重量%混入し、曲げ弾性率は3300MPaである。
実施例12の送風機用羽根車の特性で本体振幅は18μm、羽根高さの変化量は20mmである。以下、表−5に本体振幅と耐熱変形性で羽根の変形量を示す。第一の実施例と第2の実施例を比較すると本体振幅は少し大きくなっているが、耐熱変形で羽根高さの変化は小さくなっている。例えば、PP系樹脂のGFとマイカ混入量30重量%で、PP系樹脂とエラストマーの比率7:3の実施例3と実施例14を比較すると、実施例3の本体振幅は15μmで実施例14は16μmである。
また、羽根高さの変化は実施例3が22mmに対し実施例14は20mmである。また、第二の実施例の加工法においては、射出成形時に一次側としてボス部以外の樹脂を成形後、二次側としてボス部の樹脂を二色成形することによって金型内で一体化して成形でき、接合部の融着も強固にできる。接合部の融着は、特にPP系であれば同じPP系の同系の合成樹脂を使用しているため接合強度が高く剥離はない。また、樹脂で二色成形することによって、従来のような金属製ボスを使用しないためリサイクル時に同時に粉砕でき容易に再生できる。
また、第一の実施例と同様に曲げ弾性率は、2800MPa以下であると熱変形が大きくなり、6200MPa以上であると曲げ弾性率は高いが、充填材が多くなり成形性が劣る。従って2800〜6200MPaが好ましい。エラストマーの混入率と損失係数も同様に、混入重量比率が9:1以下になると制振効果が少なくなる。熱可塑性エラストマーを9:1〜5:5の重量%比率で混入したのは、混入重量比率が9:1以下になると本体振動が大きくなり制振効果が少なくなる。またエラストマーの混入重量比率が5:5で5割を超えると、曲げ弾性率の低下が大きくなりコストも高くなる。従って9:1〜5:5の重量%比率が好ましい。また損失係数も同様に、0.05以下であると効果が少なく、0.20以上であるとエラストマーを含まないベース樹脂に対して曲げ弾性率の低下が大きくコストが高くなる。。従って損失係数は0.05〜0.20が好ましい。
尚、本発明の実施例には空気調和機の送風機用羽根車において室外ユニットに使用するプロペラファンについて説明したが、室内ユニットに使用されるクロスフローファンについても同様に実施でき同様の効果が得られる。
1 送風機用羽根車
2 エラストマーを混入した合成樹脂(送風用羽根車の全体に使用)
3 ボス部以外の合成樹脂
4 エラストマーを混入した合成樹脂(送風用羽根車のボス部に使用)
5 従来品のボス部
6 ハブ
7 翼型の羽根
2 エラストマーを混入した合成樹脂(送風用羽根車の全体に使用)
3 ボス部以外の合成樹脂
4 エラストマーを混入した合成樹脂(送風用羽根車のボス部に使用)
5 従来品のボス部
6 ハブ
7 翼型の羽根
Claims (9)
- ハブの周囲に複数の翼型の羽根を備え、合成樹脂材料にGF(ガラスファイバー)を10〜30重量%を混入し、或いはGF(ガラスファイバー)とマイカ(雲母)を合わせて20〜40重量%を混入し、さらに前記合成樹脂に熱可塑性エラストマーを混入して形成したことを特徴とする送風機用羽根車。
- 熱可塑性エラストマーがポリスチレンブロックとビニル−ポリイソブチレンプロックの共重合体で構成された請求項1記載の送風機用羽根車。
- 合成樹脂材料がPP(ポリプロピレン)系樹脂、AS(アクリロニトリル・スチレン)系樹脂、A/EPDM/S(アクリロニトリル・エチレンプロピレン−ジエン・スチレン)系樹脂、ASA(アクリロニトリル・スチレン・アクリル酸エステル)系樹脂のいずれか一つの合成樹脂材とした請求項1または2に記載の送風機用羽根車。
- 合成樹脂材料が、PP(ポリプロピレン)系樹脂にGF(ガラスファイバー)とマイカ(雲母)を合わせて20〜40重量%を混入し、前記GF(ガラスファイバー)とマイカ(雲母)を除くPP(ポリプロピレン)系樹脂に対して、ポリスチレンブロックとビニル−ポリイソブチレンプロックの共重合体で構成された熱可塑性エラストマーを9:1〜5:5の重量%比率で混入した請求項1記載の送風機用羽根車。
- 合成樹脂材料が、AS(アクリロニトリル・スチレン)系樹脂或いはA/EPDM/S(アクリロニトリル・エチレンプロピレン−ジエン・スチレン)系樹脂に、GF(ガラスファイバー)を10〜30重量%を混入し、前記GF(ガラスファイバー)を除く合成樹脂に対して、ポリスチレンブロックとビニル−ポリイソブチレンプロックの共重合体で構成された熱可塑性エラストマーを9:1〜5:5の重量%比率で混入した請求項1記載の送風機用羽根車。
- 合成樹脂の曲げ弾性率を2800〜6200MPaとした、請求項1〜5のいずれかに記載の送風機用羽根車。
- 合成樹脂の損失係数ηを、片持梁共振法で0.05〜0.20とする請求項6記載の送風機用羽根車。
- 送風機用羽根車の全体を構成する合成樹脂に、熱可塑性エラストマーを混入した合成樹脂材料を用いたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の送風機用羽根車。
- ハブの中心部であるボス部に、熱可塑性エラストマーを混入した合成樹脂材料を用い、ボス部以外の合成樹脂には熱可塑性エラストマーを混入しない合成樹脂を二色成形で構成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の送風機用羽根車。
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- 2003-08-05 JP JP2003286665A patent/JP2005054692A/ja active Pending
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