JP2005053490A - 包装材料及びパッケージの形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】少ない数量であっても低コストで、かつ簡便・迅速に作製することができる包装材料及びパッケージの形成方法を提供する。
【解決手段】感熱記録画像を有する可撓性基材を含んでなることを特徴とする包装材料、及び感熱記録画像を有する可撓性基材で物品を被覆することを特徴とするパッケージの形成方法である。前記感熱記録画像は、発色色相の異なる3層以上からなることが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】感熱記録画像を有する可撓性基材を含んでなることを特徴とする包装材料、及び感熱記録画像を有する可撓性基材で物品を被覆することを特徴とするパッケージの形成方法である。前記感熱記録画像は、発色色相の異なる3層以上からなることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱記録画像を有する包装材料及びパッケージの形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
様々な製品を包装するパッケージには、ブランド、内容や品質の表示、製品の使用についての説明等、消費者向けの情報、又は内容物を表示するための文字、画像情報などが印刷される。具体的には、パッケージ又は印刷媒体に直接印刷され、グラビア印刷またはフレキソ印刷を用いてパッケージに印刷される。パッケージにプリントされる情報としては、テキスト、図表、及び画像の3つが挙げられる。パッケージの種類によって、1つの情報のみで十分であったり、1つ以上の情報が必要であったりする。
【0003】
フレキソ印刷は、オフセット凸版印刷技法であって、その印刷版はゴム又は感光性重合体から作製する。そして、印刷版の突出した面から、被印刷面上にインクを転写することにより印刷を行う。一方、グラビア印刷法は、印刷シリンダを用いるが、この印刷シリンダーはその表面下に数千の小さいセルを有する。圧縮ロールにより印刷シリンダーが被印刷物と接触すると、インクがセルから被印刷物の表面に転写される。
【0004】
フレキソ印刷又はグラビア印刷用のインクとしては、溶剤ベースインク、水ベースインク、及び照射硬化インクが挙げられる。フレキソ印刷又はグラビア印刷ではある程度以上の画質が得られるが、これらの印刷法は、印刷版又は印刷シリンダーの作製にコスト及び時間がかかり、そのため例えば100,000回未満の印刷の場合は、割高となってしまう。これは、設定コスト及び印刷シリンダー又は印刷版のコストはその印刷回数によって低下するからである。
【0005】
近年、デジタル印刷によりパッケージ上に情報を印刷することが可能になった。「デジタル印刷」とは、電子デジタル文字又は電子デジタル画像を、デジタル情報を伝達可能な電子出力装置により印刷する手法である。デジタル印刷の主な方式としては、例えば、インクジェットプリント方式と電子写真方式の2つの方式が挙げられる。
【0006】
1980年代初期に、圧電衝撃ドロップ−オン−ディマンド(DOD)及び感熱ドロップ−オン−ディマンド・インクジェット印刷機が導入されたことにより、インクジェットプリント方式が出現した。その初期の印刷機は印刷速度が極めて遅く、インクジェットノズルが詰まることが多かった。1990年代、Hewlett Packard社は初代のモノクロムインクジェット印刷機を導入し、その後すぐ広範囲のカラーフォーマットインクジェット印刷機を導入して、グラフィックアートの市場に参入することが可能になった。今日、多数の各種インクジェットプリント方式が、パッケージ、デスクトップ、工業用途、商業用途、写真用途及び繊維に応用するために使用されている。
【0007】
圧電(ピエゾ)方式では、ピエゾ結晶を電気的に励起して圧力波を生じさせ、インクをインク室から射出させる。このインクを荷電し、電場で偏向させて各種文字を形成することができる。さらに最近では、導電性ピエゾセラミックス材料を用いるDOD複数ジェットが開発され、これらの材料は荷電するとそのチャンネル中の圧力が増加してインク液滴をノズルの末端から押し出す。このため、インクの極小液滴が形成され、高スピード、約1,000dpiの高解像度のプリントが可能となった。
【0008】
最近まで、インクジェットプリント方式で用いられるインクにカラー顔料を使用することは稀であった。しかしながら、近年、インクジェット用のサブミクロン(次微子)顔料が開発された。そして、顔料の使用により、感熱インクジェット印刷機及びラミネーション用に必要とされるさらに耐熱性のインクが得られるようになった。また、顔料含有水ベースのインクが市販され、UV硬化性インクも開発中である。顔料含有インクの光堅牢性及び耐水性は大きい。
【0009】
インクジェットプリント方式は、短期間でカラープリントを可能とし印刷業界に革命をおこす可能性を持っている。しかしながら、商業的には、インクジェットプリント方式において、印刷速度の向上が求められている。現行において、印刷速度が低速なのは、その印刷機が迅速に取り扱うことができるデータ量が限られているからである。プリント画像がより複雑になれば、印刷プロセスがより遅くなる。現在のインクジェットプリント方式においては、相当するデジタル静電印刷機の1/10の速度である。
【0010】
1995年、Indigoは、可撓性パッケージ製品に印刷するように設計されたOminus印刷機を導入した。Ominusは、6色のOne ShotColorと称されるデジタルオフセットカラープロセスを用いる。この改良点は、透明基材用に特定の白色電子インクを使用した点にある。Ominusウエブ−供給デジタル印刷方式では、カラー画像を基材に転写するオフセットシリンダーを用いることにより、種々の基材への印刷が可能になった。理論上、印刷される基材にかかわらず、完全な位置合わせが可能となり、紙、フィルム、及び金属に印刷することができる。このデジタル印刷方式は、電子写真方式に基づいており、先ずコロナ放電により光導電体を荷電し、その後光導電体表面を画像様に露光することにより静電画像を光導電体の表面上に形成する。
【0011】
次に、荷電された静電潛像を画像上の電荷と反対の電荷を有するインクを用いて現像する。この部分は、フォトコピー機と組み合わされた静電画像のトナーと類似する。光導電体の表面上に形成された静電荷電潛像を、液状トナーの電気泳動転写手段により現像する。この静電トナー画像を、次に熱ブランケットに転写し、そこでトナーが凝集し、基材に転写するまで粘着状態に維持して、インクを冷却して粘着物を含まないプリントを形成する。
【0012】
電子インクは、典型的に従来のオフセット印刷インクのものより鉱油及び揮発性有機化合物の含有量が少ない。それらは、高温で熱可塑性樹脂が溶融するように設計されている。実際の印刷法では、樹脂が凝集し、インクを基材に転写するので、インクを加熱して乾燥する必要はない。インクが冷却され、室温に達するにつれ、粘着物を含まなくなるが、実質的に乾燥状態で基材上に付着する。
【0013】
数十年間、「マグネットグラフィ」と呼ばれる磁気デジタル技法が開発下にあった。この方法は電子画像を磁気シリンダー上に作りだし、インクとして磁性トナーを用いて画像を形成する。この方法の利点は、1分間当たり200メートルという高速印刷が可能であることである。これらの磁気デジタル印刷機は、白黒に限られているが、カラー磁性インクが開発されれば、この高スピードデジタル技法も経済的に実施可能になることが予想される。その発展のキーになるのは、VHSM(極高スピード磁気)ドラム及びカラー磁性インクの開発である。
【0014】
磁気デジタルの範囲内であるが、「マグネットリソグラフィー」と称される混成方式がNipson Printing System(Belfort、フランス)により確立され、狭いウェブ及び短期間用途について試験された。この技法では高解像度が得られ、シリコンベースの高濃度マグネットグラフィヘッドを用いて試験が実施されている。インクジェット又は電子写真に匹敵する程度までこの技法を発展させるためには、インクを開発するためのさらに多くの研究が必要である。しかしながら、高速印刷の可能性を有するという点から、今日のインクジェット及び電子写真技法が遅れをとっているパッケージ用途については、代替品なる可能性を秘めている。
【0015】
銀塩の写真材料を、誕生日や休暇のような特別の行事での画像の保存に使用することは周知である。また、写真材料は広告に用いられる大きなディスプレイ材料に利用されてきた。この写真材料は高品質であるが、コストが高く、しかもデリケートな性質を有し、摩擦、水、又は曲げにより容易に表面が損傷を受けることがある。写真材料は、壊れやすく、デリケートな性質を有するため、通常フレーム、写真アルバム及び保護材料中に収められる。写真は、消費者にとっての人生の重要なイベントの記録を保持するための贅沢なアイテムと考えられてきた。また、広告用の高価なディスプレイ材料と考えられてきた。贅沢なアイテムとしてのそれらのステータスの観点から、それらは商業上の他の分野では利用されていなかった。
【0016】
近年、多数消費者用のアイテムの市場においては、その市場を局在化してより少数グループに個別に対応しようとする傾向がある。その少数グループは、宗教、民族、性別、年齢又は特定の興味により分けることができる。種々のグループにアプローチするために、グループ別に向けられたパッケージを用意する必要がある。先に述べたように、従来から用いられているパッケージ材料は、一般に極めて長期間販売される商品に適しており、短期間販売用パッケージ又は短期間で変更するパッケージにはコスト的に適していない。このような中、写真材料を用いたパッケージが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この写真材料を用いたパッケージにより、少ない数量を低コストで短期間で作製するという目的は達成された。しかし、写真材料は、現像工程が必要であり、設備として、暗室、水源が必要であったり、廃液の処理が必要であったり、依然不便な点が多い。また、露光、現像と2工程が必要であり、さらなる作製時間の短縮化が求められる。
【0017】
【特許文献1】
特開2001−166443号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明の目的は、少ない数量であっても低コストで、かつ簡便・迅速に作製することができる包装材料を提供することにある。
本発明の別の目的は、少ない数量であっても低コストで、かつ簡便・迅速に作製することができるパッケージの形成方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する手段は以下の通りである。即ち、
<1> 感熱記録画像を有する可撓性基材を含んでなることを特徴とする包装材料である。
<2> 前記可撓性基材の厚みが5〜80μmであることを特徴とする前記<1>に記載の包装材料である。
<3> 前記可撓性基材が、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、及びセルロース紙からなる群より選択されるいずれか1種からなることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の包装材料である。
<4> 前記可撓性基材の感熱記録画像を有する面とは反対側の面に接着剤層、及び離型紙を有し、かつ前記感熱記録画像面上に保護層を有することを特徴とする前記<1>から<3>のいずれかに記載の包装材料である。
<5> 前記感熱記録画像が、発色色相の異なる3層以上からなることを特徴とする前記<1>から<4>のいずれかに記載の包装材料である。
<6> 感熱記録画像を有する可撓性基材で物品を被覆することを特徴とするパッケージの形成方法である。
<7> 感熱記録画像が発色色相の異なる3層以上からなることを特徴とする前記<6>に記載のパッケージの形成方法である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の包装材料は、感熱記録画像を有する可撓性基材を含んでなることを特徴としている。
【0021】
本発明の包装材料は、各種のパッケージについてのニーズ、例えば、超音シーリング、冷シーリング、熱シーリング、折り曲げ及び接着剤シーリングに好適の各種のパッケージ材料に適用することができる。本発明の包装材料は、高画質の画像が、低コストで良好な半透明性及び強度を有する薄い可撓性基材上に形成してなる。本発明の包装材料は、感熱記録方式により画像化できるので、画像を短時間で形成することができ、しかも画像の変更を遅滞なく迅速に行うことができる。
【0022】
本発明の包装材料は、画像のデザインを短時間で行うことができ、短期間で市場に投入することができる。例えば、スポーツや催しものなど重要なイベントに対し、包装材料にデジタル画像を感熱記録し、そのイベントの開始からすぐに利用することができる。企画から製品化までの時間が数週間必要であるフォトグラビア又はフレキソグラフィックの画像形成とは対照的である。さらに、感熱記録で形成された画像品質は優れているので、低品質で、且つコレクティング(collecting)用には望ましくない従来の画像より、遥かに良好なパッケージとして形成されるコレクタブル画像に好適な材料となる。その結果、例えば、地域別の注文に合わせた画像形成を迅速に行うことができる。
【0023】
本発明の包装材料は、その画像を迅速に変更することができるため、異なる国で異なる言語で、そしてその売り出しテーマで地域別のラベルを施すことにも使用することができる。さらに、異なる国においては、内容物についての法律上のラベル要件が異なる。例えば、ワイン及びビールのようなアルコール飲料のラベル要件は地域及び国が変わると大きく変わる。フランス製のワインは、他国でラベリングするのを待つためにフランスから出荷されるまで長期間遅滞する。従って、高画質の画像を短時間で印刷可能な感熱記録は、特別の商品、例えば、高級なワイン、香水及びチョコレートのようなプレミアム製品にとって特に適している。
【0024】
感熱記録による画像形成法は、テキスト、図表及び写真品質画像を同一のパッケージ上に同時に印画することができる。また、本発明の包装材料は、デジタル画像に対応しており、遠隔地からの子データ転換技法、例えば、インターネットを介して送信された画像を直ちに印画することも可能である。これにより、パッケージに印画するサイクル時間を低減することも可能である。
【0025】
[可撓性基材]
本発明に係る可撓性基材は、高スピードパッケージ装置で画像を効率よく移送することを可能にするために必要な引っ張り強度及び摩擦係数を有することが好ましい。さらに、本発明に係る可撓性基材は、湿度バリヤー、酸素バリヤー又は有機物バリヤーを必要とするパッケージにとって重要なバリヤー特性を有することが好ましい。
【0026】
任意の適切な可撓性基材を、感熱記録による画像形成のコーティングするのに用いることができる。可撓性基材は、各種容器にラベルを施すための自動パッケージ装置において効率よく行うことができるものであることが好ましい。可撓性基材としては、セルロース紙が好ましい。セルロース紙は、可撓性で、強く、ポリマー基材と比べて低コストである。さらに、セルロース紙を用いれば、織地状のラベル面がある種の用途において望ましいものになりうる。
【0027】
可撓性基材の剛性は、種々の自動パッケージ装置が移送、形成、及びパッケージングへ効率よく行うために、所定の範囲の剛性であることが好ましい。可撓性基材の曲げ剛性は、Lorentzen and Wettre剛性テスター、Model 16Dを用いて測定する。その装置から得られる数値は、長さ20mm、幅38.1mmの一端が固定された試料の、固定されていない方の末端を、荷重をかけない位置から15°の角度で曲げるのに要する力(mN)である。可撓性基材の好ましい剛性は、20〜270mNである。当該範囲内とすることにより、カラー(つば)の周囲に効率よく形成することができ、可撓性基材の形成が容易である。さらに、300mN以上の可撓性基材を円周の周りに曲げるためには、高価な高性能接着剤を必要とする。
【0028】
可撓性基材の引っ張り強度もしくは破壊する引っ張り応力は、重要な伝達パラメーター及び形成パラメーターである。引っ張り強度は、ASTMD882操作により測定する。引っ張り強度としては34MPaを超えることが好ましい。引っ張り強度が34MPaを超えると、自動パッケージ装置中で移送、形成及びパッケージへの適用に際しての強度が十分である。
【0029】
感熱記録層を担持する可撓性基材の摩擦係数、すなわちCOFは、重要な特性である。COFは自動ラベリング装置での移送効率及び形成効率に関連するからである。COFは、表面とアイテム間の接触を維持する力に対する、表面上を移動するアイテムの質量比である。COFは以下の式で与えられる。
COF=μ=(摩擦力/法線力)
可撓性基材のCOFは、可撓性基材の静的COF及び動的COFの両者を測定するためのステンレススチールスレッドを用いて、ASTMD−1894で測定する。本発明に係る可撓性基材において、好ましいCOFは0.2〜0.6である。例として、0.2COFは、ピック−アンド−プレース用途に用いるラベル上にコーティングするのに好適である。ラベルを取り上げて、別の場所にそれを移動させるための機械的装置を用いる操作では、ラベルがその下のラベルの表面上を容易に滑るように低いCOFが好ましい。極端な場合、本のカバーのような大きなシートは、保存の際、互いにその頂部に積み重ねた場合、滑ったり、スライドしたりしないように0.6COFであることが好ましい。特別の材料は、一方の側には高いCOF、他方の側には低いCOFを要する。通常、ベース材料そのもの、例えば、プラスチックフィルム、ホイル又は紙基材は、一方の側に適切なCOFを備えている。他方の側には適切なコーティングを施して、より高いCOF又はより低いCOFを与えるように画像面を改変することが好ましい。二種類の異なるコーティングを、いずれかの側にそれぞれ施すことができる。
【0030】
COFは、静摩擦係数でもあり、動摩擦係数でもある。静摩擦係数は、2表面間の移動しようとしているが、実際には移動していない時点での値である。動摩擦係数は、一定スピードで二表面が互いに実際にスライドしている場合を指す。COFは、通常、表面に載置されたスレッドを用いて測定する。スライドの初期に要する力が、静的COFの測定値である。また、一定スピードでスレッドを所定の長さ引っ張ることにより、動的COFが測定される。
【0031】
可撓性基材がポリマーである場合、それらが引き裂き抵抗性を有し、優れた適合性、良好な化学抵抗性を有し、強度が強いので好ましい。好ましいポリマーとしては、ポリエステル、延伸ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン、注型ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン及びポリエチレン、ポリスチレン、アセテート及びビニルが挙げられる。
【0032】
感熱記録画像上には、保護層を設けることが好ましい。好ましい保護層としては、UV硬化性ポリマー、ラテックス、アクリル及びポリマーの重層シートが挙げられる。保護層は、自動パッケージ装置中での運搬及び形成に重要であるので、改変を要する可能性がある。パッケージ製品は通常各種の滑剤を用いてアブレーション抵抗性及びスリップ特性を付与する。基材、プリントインク、及び塗膜に用いられる滑剤としては、天然ワックス、剛性ワックス、脂肪酸アミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)並びにシリコーンベース化合物が挙げられる。
【0033】
天然ワックスとしては、植物性ワックス、例えば、カルナバ、カンデリラ、及びオーリキュリ(ouricury)が挙げられる。例えば、カルナバは、340〜820の分子量を有し、融点は80〜86℃の範囲内である。水と同程度の比重を有する。動物性及び昆虫ワックスとしては、蜂蝋、セラック及びラノリンが挙げられる。天然の鉱油ワックスとしてはモンタン及びオゾケライトが挙げられる。天然の石油ワックスとしては、パラフィン及び微結晶性ワックスが挙げられる。モンタンはカルナバに非常に似ており、同程度の分子量及び融点特性を有する。
【0034】
脂肪族アミドとしては、エウリックイミド(euricimide)、ステアルアミド及び他の第一アミドが挙げられる。脂肪酸アミドはワックスと同様の挙動を示す。それらは、同程度の分子量(275〜350)と融点範囲(68〜108℃)を有する。パッケージに使用される合成ワックスとしては、Fisher−Topschワックス、PE及びPPワックス並びにPTFEが挙げられる。PEワックスはインク及び塗膜に広く用いられる。それらは、アブレーション抵抗性を向上させ、殆どの普通の溶剤に容易に分散する。インク及び塗膜産業に使用されるPTFEワックスは、化学的にテフロン(R)と関連するが、分子量は低い(10,000〜100,000)。これらのワックスは300℃より高い融点を有し、2より大きい比重を有する。それらは、他のワックスより高い比重を有するので、低粘性系、例えば、水ベースインク及び塗膜中で取り扱うのはさらに困難であろう。
【0035】
PTFEワックスは、サブミクロンから20μmまでの範囲の粒径で製造することができる。これらの粒子は極めて硬く、PTFEは、匹敵する炭化水素ベースワックスのいずれより表面張力が低い。PTFEを使用すると、プリントインク及び塗膜中のCOFを低下させるのに極めて効果的である。PTFEは、溶解せず、又は「表面を曇らせる」ことがないので、それらは、印刷時のCOFを低下させるのに効果的である。PTFEは化学的に不活性である。320℃まで、熱的に安定であり、しかも酸化上も安定である。これは、UV抵抗性で、難燃性であり、放出(release)添加物として使用できる。
【0036】
スリップ、アブレーション及び表面損傷に対する抵抗性、並びに放出特性を付与するために、シリコンベース製品を、インク及び塗膜に広く使用する。シリコンベース製品は、ワックス及びPTFEと同様の目的のために用いられるが、その性能は異なる。シランは、透明が優先される際に使用する。粒径はワックスの最適性能を発揮させるためには、重要なパラメーターである。所定用途のために最適な粒径は、用いられたインクフィルムの厚さと類似する。リソグラフィは2〜3μmの範囲の極薄インクフィルムに適用する。5μmより遙に大きいワックス粒子は、僅か6μmの間隙しか有しないニップの間を通過するのは困難であろう。さらに大きい粒子を用いるならば、「パイリング(piling)」が発生することがある。同時に塗膜をグラビアで施すならば、その塗布法はさらに遙に大きい粒径のワックス構成物を処理するのが困難なことがある。一般に、3μmの範囲のインクフィルムにとっては、4〜6μmの範囲の粒径が、擦り抵抗性及び性能を考慮すると最善である。
【0037】
本発明の包装材料により包装する被包装体(物品)としては、液体又は微粒子状物質を封入するのに有用な任意のパッケージが挙げられる。好ましいパッケージとしては、ボトル、金属製缶もしくはポリマー製缶、立ち型パウチ、バッグもしくは箱が挙げられる。任意の適切な二軸延伸ポリオレフィンシートを、本発明に用いるフェースストック用に使用してもよい。ミクロボイド化複合体二軸延伸シートが好ましく、コアと表面層の共押出し、続いて二軸延伸して、コア層中に含有されるボイド開始剤の周りにボイドを形成することにより製造することが便利である。このような複合体シートは、米国特許第4,377,616号、第4,758,462号及び第4,632,869号に開示されている。
【0038】
好ましい複合体シートのコアは、シートの全厚さの15〜95%、好ましくは全厚さの30〜85%である。非ボイド化スキンは、シートの5〜85%、好ましくは厚さの15〜70%である。好ましい材料は、高バリヤーポリ塩化ビニリデンを1.5〜6.2g/m2の範囲の塗布量でコーティングした二軸延伸ポリオレフィンシートである。ポリビニルアルコールも使用できるが、相対湿度が高い条件下では効果が高くない。前記の写真要素又は画像形成要素では、水蒸気バリヤーは、ポリマーを少なくとも1層以上の層として共押出し、次いでそのシートを縦方向に延伸しその後横方向に延伸することにより、前記の水蒸気バリヤーを一体として形成することにより得ることができる。延伸工程により、さらに結晶性でしかも結晶域をさらに良好に充填配列したシートを形成する。結晶レベルがより高くなると、水蒸気透過率が低下し、その結果乳剤硬化が早くなる。その後この延伸シートを紙ベース上に積層する。
【0039】
水蒸気透過速度の調整は、任意の層、例えば、結合(tie)層又は二軸延伸ポリオレフィンシート又はそれらを組み合わせた独立した任意の層により行うことができる。水蒸気透過速度(WVTR)は、キャリヤー気体中に含まれる湿蒸気が基材を通過して、他の側の乾燥雰囲気中に浸透する速度を意味する。WVTRは、MOCON装置を38℃、90%RHに設定して測定する。ポリオレフィンシートと共に一体として、ポリオレフィンシートに施した、ポリオレフィンシートと結合した、他の層を取り入れることにより、水蒸気透過速度を調整して所望のパッケージ又は画像形成を達成することができる。基材の水蒸気透過性を低下さるために使用できる材料は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチルテレフテレート、アセテート、セロファンポリカーボネート、ポリエチレンビニルアセテート、エチレンビニルアセテート、メタクリレート、ポリエチレンメチルアクリレート、アクリレート、アクリロニトリル、ポリエステルケトン、ポリエチレンアクリル酸、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、非晶質ナイロン、ポリヒドロキシアミドエーテル、及びエチレンメタクリル酸コポリマーの金属塩が挙げられる。0.8g/0.065m2/時間の水蒸気透過速度が好ましい。これは、この水蒸気透過速度は、パン製品を高レベルの湿度に曝した場合その品質が損なわれ始める際に、パン製品の新鮮さを向上させることが判明しているからである。
【0040】
本発明に係る可撓性基材としては、酸素バリヤーを備えた可撓性基材が好ましい。これは、高価な酸素バリヤーをフェースストック上に施す必要がなくなるからである。アクリロニトリル、アルキルアクリレート、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート及びブチルアクリレート、アルキルメタクリレート、例えば、メチルメタクリレート及びエチルメタクリレート、メタクリロニトリル、アルキルビニルエステル、例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルエチルブチレート及びビニルフェニルアセテート、アルキルビニルエーテル、例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル及びクロロエチルビニルエーテル、ビニルアルコール、ビニルクロライド、ビニリデンクロライド、ビニルフルオライド、スチレン及びビニルアセテート(コポリマーの場合はエチレン及び/又はプロピレンをコモノマーとして使用できる)のホモポリマー及びコポリマー;セルロースアセテート、例えば、ジアセチルセルロース及びトリアセチルセルロース、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート、フッ素樹脂、ポリアミド(ナイロン)、ポリカーボネート、ポリサッカライド、脂肪族ポリケトン、ブルーデキストラン、及びセロファンからなる群より選ばれる一種を含んでなる一体層を有するラベル材料であって、2.0ml/m2時間atm.以下の酸素透過速度を有する材料は、酸素バリヤーの性能を改良する。
【0041】
本発明において、可撓性基材として、感光性ハロゲン化銀画像形成層塗膜用に用いるポリマーが好ましく用いることができる。ポリマーは、強度が高くしかも可撓性があり、ハロゲン化銀画像形成層の塗膜用の優れた表面に成りうる。可撓性基材用の好ましいポリマーとしては、ポリオレフィン、ポリエステル及びナイロンである。好ましいポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリブチレン及びそれらの混合物である。ポリオレフィンコポリマー、例えば、プロピレンとエチレン、例えば、ヘキセン、ブテン及びオクテンのコポリマーも有用である。ポリプロピレンが最も好ましいが、コストが低く、望ましい強度特性を有するからである。
【0042】
ポリマーの可撓性基材は、1層より多くの層を有していてもよい。可撓性基材のスキン層は、コアマトリックス用に先に列挙したものと同一のポリマー材料から製造することできる。複合体シートは、コアマトリックスと同一のポリマー材料のスキンで製造することができ、又コアマトリックスとは異なるポリマー組成のスキンで製造することもできる。適合性をよくするために、補助層を用いてスキン層のコア層への接着性を高めることもできる。
【0043】
可撓性基材用のボイド開始材料は、各種材料から選んでよく、コアマトリックスポリマー質量に基づいて約5〜50質量%存在することが好ましい。ボイド開始材料は好ましくはポリマー材料である。ポリマー材料を用いる場合、そのポリマー材料はコアマトリックスの製造に用いるポリマーと溶融混合することができ、そして懸濁液を冷却するにつれて分散球状粒子を形成することができるポリマーであってもよい。これらの例としては、ポリプロピレンに分散したナイロン、ポリプロピレン中のポリブチレンテレフタレートまたはポリエチレンテレフタレートに分散したポリプロピレンが挙げられる。ポリマーを予め形状化し次いでマトリックスポリマーに配合するならば、その重要特性は粒子のサイズと形状である。球体が好ましく、中空体または固体であることができる。これらの球体は、一般式Ar−C(R)=CH2のアルケニル芳香族化合物(式中、Arは芳香族炭化水素基またはベンゼン系の芳香族ハロ炭化水素基を表し、Rは水素またはメチル基である);アクリレートタイプモノマー、例えば、式CH2=C(R’)−C(O)(OR)(式中、Rは水素および炭素数1〜12のアルキル基からなる群より選ばれ、R’は水素およびメチルからなる群より選ばれる)のモノマー;ビニルクロライドおよびビニリデンクロライド、アクリロニトリルおよびビニルクロライド、ビニルブロマイド、式CH2=CH(O)COR(式中、Rは炭素数2〜18のアルキル基)を有するビニルエステルの共重合体、;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、オレイン酸、ビニル安息香酸;テレフタル酸およびジアルキルテレフタル酸もしくはそのエステル形成性誘導体を、HO(CH2)nOH(式中、nは2〜10の範囲の整数である)系のグリコールと反応させ、そして反応性オレフィン結合をポリマー分子内に存在せしめることにより調製する合成ポリエステル樹脂、20質量%までの反応性オレフィン不飽和を有する第二の酸もしくはそのエステルおよびそれらの混合物をその中に共重合せしめたものを含む前記ポリエステルからなる群より選ばれたものである架橋化ポリマー、並びにジビニルベンゼン、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジアリルフマレート、ジアリルフタレートおよびそれらの混合物からなる群より選ばれる架橋剤から製造することができる。
【0044】
架橋化ポリマーボイド開始粒子を形成するためのモノマーの例としては、スチレン、ブチルアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ビニルピリジン、ビニルアセテート、メチルアクリレート、ビニルベンジルクロライド、ビニリデンクロライド、アクリル酸、ジビニルベンゼン、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ビニルトルエン等が挙げられる。好ましくは、架橋化ポリマーはポリスチレンまたはポリ(メチルメタクリレート)である。最も好ましくは、ポリスチレンであり、架橋剤はジビニルベンゼンである。
【0045】
当該技術分野で周知の方法によれば、非均一サイズのボイド開始粒子が形成され、広い粒子サイズ分布を特徴とする。サイズの原分布範囲に亘って生成ビーズをスクリーニングすることにより、得られたビーズを等級分けすることができる。他の方法、例えば、懸濁重合、限定凝集は極めて均一なサイズの粒子を直接生成する。
【0046】
ボイド開始材料には、ボイド生成を容易にするために薬剤を塗布してもよい。適切な薬剤または滑剤としては、コロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、および金属酸化物、例えば、スズ酸化物、アルミニウム酸化物が挙げられる。好ましい薬剤はコロイド状のシリカおよびアルミナであり、最も好ましくはシリカである。薬剤塗膜を有する架橋化ポリマーは、当該技術分野において周知の操作により製造してよい。例えば、従来の懸濁重合法であって、薬剤を、その懸濁液に添加するものが好ましい。薬剤としては、コロイド状シリカが好ましい。
【0047】
ボイド開始粒子は、無機球状体であることもでき、これらとしては固体状もしくは空隙状のガラス球、金属もしくはセラミックのビーズまたは無機粒子、例えば、粘土、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウムが挙げられる。重要なことは、これらの材料がコアマトリックスポリマーと化学的に反応して以下の問題の1つまたはそれ以上を引き起すことがないことである。(a)マトリックスポリマーの結晶化動力学が変化して延伸が困難になること、(b)コアマトリックスポリマーの崩壊、(c)ボイド開始粒子の破壊、(d)ボイド開始粒子のマトリックスポリマーへの接着、または(e)望ましくない反応生成物、例えば、毒性のもしくは高度に着色した部分の発生。ボイド開始粒子は、写真上活性であるべきではなく、又は二軸延伸ポリオレフィンフィルムが使用されている写真要素の性能を劣化させるものであるべきではない。
【0048】
画像形成要素の色を変化させるために、添加物を最頂部スキン層へ添加してもよい。ラベル用には、僅かに青味がかった白色基材が好ましい。当該技術分野において知られている方法、例えば、押出し成形の前のカラー濃縮物の機械配合、及び所望配合比で予め配合された青色着色剤の溶融押出しにより、僅かに青味を加えることができる。320℃を超える温度がスキン層の共押出しに必要であるので、320℃を超える押出成形温度に耐え得る着色顔料が好ましい。本発明に用いられる青色着色剤は、画像形成要素に悪影響を与えない任意の着色剤であってよい。好ましい青色着色剤としては、フタロシアニン青色顔料、クロモフタール青色顔料、イルガジン青色顔料及びイルガライト有機青色顔料が挙げられる。蛍光増白剤をスキン層に添加して、UVエネルギーを吸収し、主に青領域の光を発光させてもよい。TiO2をスキン層に添加してもよい。本発明の薄いスキン層へのTiO2の添加は、シートの光学性能に著しい影響を与えるものではないが、多くの製造上の課題、例えば、押出ダイすじ及びスポットの原因となることがある。実質的にTiO2を含まないスキン層が好ましい。0.20〜1.5μmのスキン層へ添加されたTiO2は支持体の光学性能を実質的に向上させず、コストが高くなり、そして押出工程における好ましくない顔料ラインの原因となるであろう。
【0049】
可撓性基材の光学特性を向上させるために、コアマトリックス及び/又は1層以上のスキン層に添加物を添加してもよい。二酸化チタンが好ましく、鮮鋭性又はMTF,不透明性及び白色性を向上させるために本発明に用いられる。使用されるTiO2はアナターゼ又はルチルタイプのいずれであってもよい。さらにアナターゼ及びルチルタイプのTiO2の両者を配合して白色性及び鮮鋭性の両者を改良してもよい。写真系において許容されるTiO2の例は、Dupont Chemical Co.R101ルチルTiO2及びDuPont Chemical Co.R104ルチルTiO2である。写真光学応答を向上させることが当該技術分野において知られている他の顔料を用いてもよい。白色性を向上させることが当該技術分野において知られている他の顔料の例としては、タルク、カオリン、CaCO3、BaSO4、ZnO、TiO2、ZnS、及びMgCO3が挙げられる。好ましいTiO2のタイプはアナターゼである。これはアナターゼTiO2が画像の白色性及び鮮鋭性をボイド層と共に最適化することが判明しているからである。
【0050】
二軸延伸シートが表面から目視される場合に、その画像形成要素が紫外線に露光された際に可視スペクトル光を発生させるように、本発明に係る可撓性基材に添加物を添加してもよい。可視スペクトル光が発せられて、可撓性基材は紫外線エネルギーの存在下で所望のバックグラウンドカラーを有することができる。紫外線エネルギーを含む日光の下で画像が視覚される場合に、このことは特に有用であり、消費者及び商業用途のために画質を最適化するのに用いてもよい。
【0051】
前記添加物としては、青スペクトルの可視光を発生することが好ましい。消費者は、1b*単位内のb*をゼロとして定義した中性濃度最小値と比較して、負のb*として定義された、現像画像の最小濃度域に加えられた僅かな青味を一般に好む。b*はCIE(Commission Internationale de L’Eclairage)空間での黄色/青色の目安である。正のb*は黄色を意味し、負のb*は青色を意味する。青色スペクトルを発光する添加物の添加により、画像の白色性を低下させるような着色剤の添加なしに支持体を色付けすることが可能になる。好ましい発光は、1〜5デルタb*単位である。デルタb*は、試料を紫外線光源に照射した場合と有意の紫外線エネルギーなしの光源に照射した場合に測定したb*の差異として定義される。デルタb*は、本発明に係る可撓性基材への蛍光増白剤の添加の正味の効果を決定するための好ましい目安である。1b*単位未満の発光では、消費者に知覚されないことがある。したがって、b*が1b*未満だけ変化する場合は、可撓性基材への蛍光増白剤の添加はコスト面で効果的ではない。5b*単位より大きい発光は、プリントの色バランスを壊し、消費者にとって白色体を過度に青色に見えるようにする。
【0052】
本発明に係る可撓性基材において、添加物として、蛍光増白剤を添加することが好ましい。蛍光増白剤は無色、芳香性の有機化合物であり、紫外線を吸収しそして可視青色光として発光する。例示物質としては4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸の誘導体、クマリン誘導体、例えば、4−メチル−7−ジエチルアミノクマリン、1,4−ビス(o−シアノスチリル)ベンゾール及び2−アミノ−4−メチルフェノールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
ボイドは、可撓性基材に更なる不透明性を付与する。このボイド層は、TiO2、CaCO3、粘土、BaSO4、ZnS、MgCO3、タルク、カオリン又は他の材料からなる群より選ばれる少なくとも1種類の顔料を含有する層と組み合わせて用いて、1層より多くの前記フィルム中に高反射性の層を形成することもできる。顔料層とボイド層を組み合わせると、最終画像の光学性能に利点が得られる。
【0054】
ボイド層は、固体層と比較して、機械的損傷、例えば、クラッキング又は隣接層からの離層が起こりやすい。TiO2を含有するか、又はTiO2を含有する層に隣接するボイド化構造は、長期間光に曝されると特に機械的特性が損なわれ、機械不良が起こり易い。TiO2粒子が、ポリプロピレンの光酸化劣化を開始させ、且つ促進する。ヒンダードアミン安定剤を、多層二軸延伸フィルムの少なくとも1層に、好ましい態様ではTiO2含有層に、最も好ましい態様ではTiO2含有層又はその隣接層に添加すると、光及び暗所保存画像の安定性の両者が向上する。
【0055】
フィルムは、好ましくは前記フィルムの少なくとも1層に、ヒンダードアミンを約0.01〜5質量%の安定化量含有する。これらのレベルで二軸延伸フィルムの安定性が向上するが、約0.1〜3質量%の適量では、光安定性及び暗所安定性の両者の安定性に優れたバランスが得られ、その構成物はコスト的にさらに効果的になるので好ましい。
【0056】
ヒンダードアミン光安定剤(HALS)は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン由来のヒンダードアミン化合物の共通のグループから得られるが、用語「ヒンダードアミン光安定剤」は、ヒンダードピペリジン類縁体について用いることが認められている。これらの化合物は、酸素の存在下にポリプロピレンの光酸化を妨害する、安定なニトロキシルラジカルを形成することにより、画像形成要素に長期間にわたって優れた写真安定性を付与する。ヒンダードアミンは、最終製品中での遊動を最小化するのに十分な分子量を有し、好ましい濃度でポリプロピレンと混合し、そして最終製品を着色しない。好ましい態様において、HALSの例としては、ポリ{〔6−〔(1,1,3,3,−テトラメチルブチルアミノ}−1,3,5−トリアジン−4−ピペリジニル)−イミノ〕−1,6−ヘキサンジイル〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ〕}(Chimassorb944LD/FL)、Chimassorb119、及びビス(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジニル)〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕ブチルプロパンジオエート(Tinuvin144)が挙げられるが、これらの化合物に限定されない。
【0057】
さらに、プロピレンの熱安定性に通常用いられるヒンダードフェノール第一酸化防止剤のいずれかを単独で又は第二の酸化防止剤と共に含有させることができる。ヒンダードフェノール第一酸化防止剤の例としては、ペンタエリスリチルテトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(例えば、Irganox1010)、オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(例えば、Irganox1076)、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチル)−4−ヒドロキシ−2〔3−〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシエチル)−1−オキソプロピル)ヒドラジド(例えば、IrganoxMD1024)、2,2’−チオジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(例えば、Irganox1035)、1,3,5−トリメチル−2、4−6−トリ(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−ベンンゼン(例えば、Irganox1330)が挙げられるが、これらに限定されない。第二の酸化防止剤としては、有機アルキル及びアリールホスフィット、例えば、トリフェニルホスフィット(例えば、IrgastabTPP)、トリ(n−プロピルフェニルホスフィン)(例えば、IrgastabSN−55)、2,4−ビス(1、1−ジメチルフェニル)ホスフィット(例えば、Irgafos168)が挙げられ、好ましい態様においてはIrgafos168が挙げられる。ヒンダードアミンと他の第一及び第二酸化防止剤を組み合わせると、処理及び押出しの際ポリマー、例えば、ポリプロピレンに熱安定性を付与し、さらにそれらの光及び暗所保存特性を高めることにより、多層二軸延伸ポリマーシートに相乗効果が生じるが、このことは、画像形成製品、例えば、写真用の単一層においては明らかではなかった。これらの予期せざる結果により、広範囲のポリマーを画像形成製品に用いて、高い特性をそれらのデザインに取り込むことが可能になった。
【0058】
蛍光増白剤を、多層共押出し二軸延伸ポリオレフィンの可撓性基材中のいずれかの層に添加してもよい。好ましい層は、前記シートの露光表面層の近傍又は露光表面層中である。その層に添加すれば、効率的濃度の蛍光増白剤の使用が可能になる。蛍光増白剤が支持体の表面に遊動し、画像形成層に結晶が生じるような濃度に、蛍光増白剤の所望添加質量%が近づき始める場合は、露出層の近傍の層中へ蛍光増白剤を添加することが好ましい。蛍光増白剤を用いる従来の画像形成支持体では、画像形成層への遊動を阻止するために、高価な蛍光増白剤が使用される。蛍光増白剤の遊動が、感光性ハロゲン化銀画像形成方式にとって問題になる場合は、好ましい露出層は、蛍光増白剤を実質的に含まないポリエチレンである。この場合、露出層に近い層からの遊動が有意に低下する。これは、露出表面層が蛍光増白剤遊動のバリヤーとして作用し、遙に高い蛍光増白剤レベルを用いて画質を最適化することができるからである。さらに、露出層に近い層に蛍光増白剤を配備すると、露出層(実質的に蛍光増白剤を含まない)としてより廉価な蛍光増白剤を使用でき、蛍光増白剤の著しい遊動を防止することができる。二軸延伸シート中の蛍光増白剤の遊動を低減する別の好ましい方法は、露出表面に近い層にポリプロピレンを使用することである。
【0059】
本発明に係る可撓性基材はミクロボイド化コアを有するものが好ましい。ミクロボイド化コアは不透明性及び白色性を画像形成支持体に付与して画質をさらに向上させることができる。ミクロボイド化コアによる画質の利点と、紫外線エネルギーを吸収して可視スペクトル光を発生させる材料を組み合わせると、画像支持体が紫外線に露光された場合色味を有し、なおその画像を、ある種のタイプの屋内光のような、大量の紫外線エネルギーを含有しない光で視た場合、優れた白色性を保持するので、画質が特異的に最適化される。
【0060】
可撓性二軸延伸基材のボイド化層に位置するミクロボイド化層は望ましくない圧力カブリを低減することが判明した。1cm2当たり数百キログラムのオーダーの機械的圧力により、望ましくない可逆性の感度低下が、書き込み時点のメカニズムにより引き起こされるが、この原因は十分に解明されていない。機械的圧力の主な影響は、濃度、主にイエロー濃度の望ましくない増加である。二軸延伸可撓性基材のボイド化層は、移送及び写真処理工程に通常見られる、ボイド化層の圧縮により機械的圧力を吸収し、イエロー濃度の変化量を低減する。圧力感度は206MPa荷重を塗布感光性ハロゲン化銀乳剤に加え、イエロー層を現像し、そして濃度差を非荷重の対照試料と荷重試料とを比較して、X−Riteモデル310(又は相当品)写真透過濃度計により測定することにより測定する。イエロー層濃度の好ましい変化量は206MPaの圧力で0.02未満である。イエロー層濃度の0.04の変化量は、知覚上有意であり、望ましくない。
【0061】
これらの可撓性基材の共押出、冷却、延伸及び熱固定は、延伸シートを製造するのに当該技術分野において知られている任意の方法、例えば、フラットシート法又はバブルもしくはチューブラー法により実施できる。フラットシート法は、スリットダイを介して配合物を押出し、押出されたウェブを冷却キャスティングドラム上で急冷して、シートのコアマトリックスポリマー成分及びスキン成分をそれらのガラス固化温度以下に冷却することが含まれる。次に冷却シートをガラス転移温度より高いがマトリックスポリマーの溶融温度より低い温度で互いに垂直方向に延伸することにより二軸延伸する。このシートを一方向に次に第二方向に延伸するか、又は同時に両方向に延伸してもよい。シートを延伸後、両延伸方向への収縮に抗してシートをある程度引っ張りながら、ポリマーを結晶化するか又はアニールするのに十分な温度まで加熱することにより熱固定させる。
【0062】
本発明に係る可撓性基材の厚みとしては、3〜160μmであることが好ましく、5〜120μmであることがより好ましく、5〜80μmであることがさらに好ましい。
【0063】
[感熱記録画像]
前記可撓性基材は感熱記録画像を有する。感熱記録画像は、可撓性基材上に設けられた感熱記録層を感熱記録して形成された画像である。以下、感熱記録層について説明する。
【0064】
(感熱記録層)
感熱記録層の少なくとも1層は、電子供与性無色染料と共に、電子受容性化合物を少なくとも1種含有している層であり、さらに他の感熱記録層が設けられていてもよい。
【0065】
前記電子供与性無色染料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の物の中から適宜選択することができ、本発明においては電子供与性無色染料前駆体を用いることができる。
【0066】
前記電子供与性無色染料前駆体としては、例えば、トリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、キサンテン系化合物、スピロピラン系化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、これらの中でも、発色濃度が高く有用な点で、トリアリールメタン系化合物、キサンテン系化合物が好ましい。これらの例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(即ち、クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノ)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、
【0067】
2−ベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−シクロヘキシルメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−イソアミルエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−オクチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−2−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン、などが挙げられる。
【0068】
前記電子供与性無色染料の塗布量は特に限定されないが、固形分塗布量で0.01〜2.0g/m2が好ましく、0.1〜0.6g/m2がより好ましい。
【0069】
前記電子受容性化合物としては、フェノール誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル、などが挙げられる。これらの中でも、ビスフェノール類が特に好ましく、具体的には、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノールなどが特に好ましい。
【0070】
電子受容性化合物の塗布量は特に限定されないが、固形分塗布量で0.5〜10.0g/m2が好ましく、1.0〜5.0g/m2がより好ましい。
【0071】
感熱記録層を複数有する場合、発色するのに必要なエネルギーの異なる発色剤を用いることが必要である。既述の電子供与性無色染料及び電子受容性化合物を含有する感熱記録層の他に、ジアゾニウム塩化合物、該ジアゾニウム塩化合物とカップリング反応するカプラーを含むジアゾ系発色剤とバインダーとを主成分とする感熱記録層(光定着型感熱記録層)を少なくとも一層有するものが望ましい。
また感熱記録層の発色剤としては、前記のジアゾ系発色剤の他に、塩基性化合物と接触して発色する塩基発色系、キレート発色系、求核剤と反応して脱離反応を起こし発色する発色系等のいずれでもよい。
【0072】
前記感熱記録層が、前記ジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する場合、該感熱記録層には、該ジアゾニウム塩化合物と該カプラーとの発色反応を促進する塩基性物質等が好適に添加される。
【0073】
前記ジアゾニウム塩化合物は、下記一般式(B)で表される化合物であり、これらはAr部分の置換基の位置や種類によってその最大吸収波長を制御することができるものである。
一般式(B): A−N2 +X−
前記一般式(B)において、Aは、アリール基を表す。X−は、酸アニオンを表す。
【0074】
前記ジアゾニウム塩化合物の具体例としては、4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジオクチルアミノベンゼンジアゾニウム、4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジヘキシルアミノ−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−N−エチル−N−ヘキサデシルアミノ−2−エトキシベンゾジアゾニウム、3−クロロ−4−ジオクチルアミノ−2−オクチルオキシオベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−モルホリノベンゼンジアゾニウム、2,5−オクトキシ−4−モルホリノベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジエトキシ−4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−トリルチオベンゼンジアゾニウム、3−(2−オクチルオキシエトキシ)−4−モロホリノベンゼンジアゾニウムなどの酸アニオン塩及び下記ジアゾニウム塩化合物(D−1〜5)が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ヘキサフルオロフォスフェート塩、テトラフルオロボレート塩、1,5−ナフタレンスルホネート塩が特に好ましい。
【0075】
【化1】
【0076】
これらのジアゾニウム塩化合物の中でも、300〜400nmの波長の光により光分解する、4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジオクチルアミノベンゼンジアゾニウム、4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジヘキシルアミノ−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−N−エチル−N−ヘキサデシルアミノ−2−エトキシベンゾジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジエトキシ−4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、前記具体例D−3〜5に示すジアゾニウム塩化合物が特に好ましい。
なお、ここでいうジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長は、それぞれのジアゾニウム化合物を0.1〜1.0g/m2の塗布量で塗膜にしたものを分光光度計(Shimazu MPS−2000)により測定したものである。
【0077】
前記ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとしては、例えば、レゾルシン、フルルグルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ−6−スルファニルナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸エタノールアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−N−ドデシルオキシプルピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸テトラデシルアミド、アセトアニリド、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、2−クロロ−5−オクチルアセトアセトアニリド、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’−オクチルフェニル)−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラロン、1−フェニル−3−フェニルアセトアミド−5−ピラゾロン、下記(C−1〜6)に示す化合物、などが挙げられる。これらのカプラーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
【0078】
【化2】
【0079】
【化3】
【0080】
前記塩基性物質としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、無機又は有機の塩基性化合物の外、加熱時に分解等を生じアルカリ物質を放出するような化合物も含まれ、代表的なものとしては、有機アンモニウム塩、有機アミン、アミド、尿素及びチオ尿素さらにそれらの誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルホリン類、ピペリジン類、アミジン類、フォルムアジン類、ピリジン類等の含窒素化合物が挙げられる。
【0081】
これらの具体例としては、トリシクロヘキシルアミン、トリベンジルアミン、オクタデシルベンジルアミン、ステアリルアミン、アリル尿素、チオ尿素、メチルチオ尿素、アリルチオ尿素、エチレンチオ尿素、2−ベンジルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾリン、2,4,5−トリフリル−2−イミダゾリン、1,2−ジフェニル−4,4−ジメチル−2−イミダゾリン、2−フェニル−2−イミダゾリン、1,2,3−トリフェニルグアニジン、1,2−ジシクロヘキシルグアニジン、1,2,3−トリシクロヘキシルグアニジン、グアニジントリクロロ酢酸塩、N,N’−ジベンジルピペラジン、4,4’−ジチオモルホリン、モルホリニウムトリクロロ酢酸塩、2−アミノベンゾチアゾール、2−ベンゾイルヒドラジノベンゾチアゾールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0082】
感熱記録層に用いることができるバインダーとしては、公知の水溶性高分子化合物やラテックス類等が挙げられる。前記水溶性高分子化合物としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビアゴム、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等及びこれらの変性物、等が挙げられ、前記ラテックス類としては、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
【0083】
また、発色画像の光及び熱に対する堅牢性を向上させる、又は定着後の未印字部分(非画像部)の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることも好ましい。
前記酸化防止剤としては、例えば、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
【0084】
感熱記録層において、前記電子供与性無色染料、前記電子受容性化合物、前記ジアゾニウム塩化合物、前記カプラー、前記塩基性物質、等の含有の態様については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、これらを、(1)固体分散による含有させる方法、(2)乳化分散により含有させる方法、(3)ポリマー分散により含有させる方法、(4)ラテックス分散により含有させる方法、(5)マイクロカプセルに内包して含有させる方法、などが挙げられる。
【0085】
これらの中でも、保存性の観点から、マイクロカプセルに内包して前記感熱記録層中に含有させる方法が好ましい。特に、電子供与性無色染料はマイクロカプセルに内包して含有させる方法が好ましい。また、ジアゾニウム塩化合物およびカプラーを含有する感熱記録層を有する場合も、前記ジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセルに内包して含有させる方法が好ましい。
【0086】
前記電子供与性無色染料をマイクロカプセルに内包させる方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、前記電子供与性無色染料前駆体と、マイクロカプセル壁前駆体とを水に難溶又は不溶の有機溶剤に溶解し、水溶性高分子の水溶液中に添加しホモジナイザーなどを用いて乳化分散し、昇温してマイクロカプセル壁となる高分子物質を油/水界面に壁膜を形成することにより、前記電子供与性無色染料を調製することができる。
【0087】
前記マイクロカプセル壁膜の具体例としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンーアクリレート共重合体樹脂、スチレンーメタクリレート共重合体樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール、などからなる壁膜が挙げられる。これらの中でも、ポリウレタン・ポリウレア樹脂からなる壁膜が好ましい。
【0088】
前記ポリウレタン・ポリウレア樹脂からなる壁膜を有するマイクロカプセルは、例えば、多価イソシアネート等のマイクロカプセル壁前駆体を、マイクロカプセルに内包させる芯物質中に混合し、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子の水溶液に乳化分散し、液温を上昇させて油滴界面で高分子形成反応を起こすことによって製造される。
【0089】
前記多価イソシアネート化合物の具体例としては、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート等のジイソシアネート類、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート等のトリイソシアネート類、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等のテトライソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、2,4ートリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物等のイソシアネートプレポリマー、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、これらの中でも、分子内にイソシアネート基を三個以上有するものが特に好ましい。
【0090】
前記電子供与性無色染料をマイクロカプセルに内包させる方法において、前記電子供与性無色染料を溶解させる有機溶剤は、常温で固体であってもよいし、液体であってもよく、ポリマーであってもよく、酢酸エステル、メチレンクロライド、シクロヘキサノン等の低沸点補助溶剤及び/又は燐酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、その他のカルボン酸エテスル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタン、塩素化パラフィン、アルコール系、フェノール系、エーテル系、モノオレフィン系、エポキシ系、などが挙げられる。具体例としては、燐酸トリクレジル、燐酸トリオクチル、燐酸オクチルジフェニル、燐酸トリシクロヘキシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジラウレート、フタル酸ジシクロヘキシル、オレフィン酸ブチル、ジエチレングリコールベンゾエート、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、トリメリット酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸オクチル、マレイン酸ジブチル、イソアミルビフェニル、塩素化パラフィン、ジイソプロピルナフタレン、1,1’−ジトリルエタン、2,4−ジタ−シャリアミルフェノール、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−ターシャリオクチルアニリン、ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルエステル、ポリエチレングリコール等の高沸点オイル、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、これらの中でも、アルコール系、燐酸エステル系、カルボン酸系エステル系、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタンが好ましい。
【0091】
また、マイクロカプセルの油相を水相中に分散するための水溶性高分子としては、、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アミノ変性ポリビニルアルコール、イタコン酸変性ポリビニルアルコール、スチレンー無水マレイン酸共重合体、ブタジエン無水マレイン酸共重合体、エチレン無水マレイン酸共重合体、イソブチレン無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、ゼラチンなどが挙げられる。
【0092】
ジアゾニウム塩化合物等をマイクロカプセルに内包させる方法も、前記電子供与性無色染料をマイクロカプセルに内包させる方法と同様である。
前記マイクロカプセルの平均粒径としては、0.1〜5.0μmが好ましく、0.2〜2.0μmがより好ましい。
【0093】
感熱記録層は、発色色相が異なる3層以上からなることが好ましい。3層以上の多層構造とすることにより、多色の画像を得ることができる。この場合の層構成としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、本発明においては、感光波長の異なる2種のジアゾニウム塩化合物と、それぞれのジアゾニウム塩化合物と熱時反応して異なった色相に発色するカプラーとを組み合わせた感熱記録層2層と、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを組み合わせた感熱記録層と、を積層した多色の感熱記録層とするのが好ましい。即ち、後述する支持体上に、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを含む感熱記録層A、最大吸収波長が360±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する感熱記録層B−1、最大吸収波長が400±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する感熱記録層B−2、をこの順に積層した多色の感熱記録画像であることが好ましい。
【0094】
この多色の感熱記録層の記録方法としては、まず感熱記録層B−2を加熱し、該感熱記録層B−2に含まれるジアゾニウム塩化合物とカプラーとを発色させる。次に、400±20nmの光を照射して感熱記録層B−2中に含まれている未反応のジアゾニウム塩化合物を分解させた後、感熱記録層B−1が発色するに十分な熱を加え、該感熱記録層B−1に含まれているジアゾニウム塩化合物とカプラーとを発色させる。このとき、感熱記録層B−2も同時に強く加熱されるが、すでにジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色はしない。さらに360±20nmの光を照射して感熱記録層B−1に含まれているジアゾニウム塩化合物を分解し、最後に感熱記録層Aが発色する十分な熱を加えて発色させる。このとき感熱記録層B−2及び感熱記録層B−1も同時に強く加熱されるが、すでにジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色しない。
【0095】
以上の多色の感熱記録層の場合において、各感熱記録層の発色色相を減色混合における3原色、イエロー、マゼンタ、シアンとなるように選んでおけば、フルカラーの画像記録が可能となる。
【0096】
本発明においては、可撓性基材上に単数若しくは複数の感熱記録層を有するほか、光透過率調整層、保護層、中間層を有してなる態様が好ましい。
【0097】
(光透過率調整層)
前記光透過率調整層は、紫外線吸収剤前駆体を含有しており、定着に必要な領域の波長の光照射前は紫外線吸収剤として機能しないので光透過率が高く、光定着型感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を十分に透過させ、しかも可視光線の透過率も高いので、感熱記録層の定着に支障を来すこともない。この紫外線吸収剤前駆体は、マイクロカプセル中に含ませることが好ましい。
また、光透過率調整層に含有する化合物としては、特開平9−1928号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0098】
前記紫外線吸収剤前駆体は、感熱記録層の光照射による定着に必要な領域の波長の光照射が終了した後、光又は熱などで反応することにより紫外線吸収剤として機能するようになり、紫外線領域の定着に必要な領域の波長の光は紫外線吸収剤によりその大部分が吸収され、透過率が低くなり、感熱記録層の耐光性が向上するが、可視光線の吸収効果がないから、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
光透過率調整層は少なくとも1層設けることができ、最も望ましくは感熱記録層と最外保護層との間に形成するのがよいが、光透過率調整層を保護層と兼用するようにしてもよい。光透過率調整層の特性は、感熱記録層の特性に応じて任意に選定することができる。
【0099】
光透過率調整層形成用の塗布液(光透過率調整層用塗布液)は、前記各成分を混合して得られる。該光透過率調整層塗布液を、例えばバーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等の公知の塗布方法により塗布して形成することができる。光透過率調整層は、感熱記録層等と同時塗布してもよく、例えば感熱記録層形成用の塗布液を塗布し一旦感熱記録層を乾燥させた後、該層上に塗布形成してもよい。光透過率調整層の固形分塗布量としては、0.8〜4.0g/m2が好ましい。
【0100】
(中間層)
本発明においては、前記感熱記録層を色相の異なる感熱発色層による積層構造とする場合には、各感熱記録層の間に混色等を防止するための中間層を設けることができる。該中間層としては、特に制限はなく、水溶性高分子化合物などを用いて形成することができる。前記水溶性高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、スチレン−マレイン酸共重合体、ゼラチン及び/又はゼチラン誘導体、ポリエチレングリコール及び/又はポリエチレングリコール誘導体からなるものが好適に挙げられる。
【0101】
また、前記中間層には、前記無機の層状化合物を好適に添加することができる。前記中間層が、前記無機の層状化合物を含有すると、層間の物質移動を抑制・防止することにより混色を防止でき、かつ、酸素の供給を抑制することにより生保存性及び色像保存性を向上させることができる。
【0102】
(保護層)
感熱記録層の表面には保護層を設けることが好ましい。保護層は必要に応じて2層以上積層してもよい。前記保護層に好適に用いられるバインダーとしては、変成ポリビニルアルコール(シラノール変性ポリビニルアルコール、長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール等)、ポリビニルアルコールシリコーン変性ポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられ、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0103】
前記保護層には顔料を含有することが好ましい。前記顔料としては、無機超微粒子が好ましく、該無機超微粒子としては、例えば、コロイダルシリカ、酸化ジルコニア、硫酸バリウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化セリウム、酸化チタン等が挙げられ、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0104】
保護層は、好ましくは、シラノール変性ポリビニルアルコール、及びコロイダルシリカを含有する保護層塗液を、感熱記録層等の上にバーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等の装置を用いて塗布、乾燥して得る。但し、保護層は感熱記録層等と同時に重畳法により塗布しても構わないし、また感熱記録層等の塗布後、一旦感熱記録層等を乾燥させ、その上に塗布しても構わない。保護層の固形分塗布量は0.1〜3g/m2が好ましく、0.3〜2.0g/m2がより好ましい。塗設量が大きいと著しく熱感度が低下してしまうし、あまりに低い塗設量では保護層としての機能(耐摩擦性、潤滑性、耐傷性等)を発揮できない。また、保護層塗布後、必要に応じてキャレンダー処理を施してもよい。
【0105】
さらに、本発明の包装材料は、前記可撓性基材の感熱記録画像を有する面とは反対側の面に接着剤層、及び離型紙を設け、かつ前記感熱記録画像面上に保護層を設けることが好ましい。
【0106】
[接着剤層]
前記接着剤層に用いる接着剤としては、例えば、合成ゴム、天然ゴム、アクリル樹脂(アクリル感圧接着剤)、酢酸ビニル系材料、ウレタン系材料、アクリレート系材料、ポリビニルアルコール、スターチ、エポキシ化合物等が挙げられ、中でも、アクリル感圧接着剤が好ましい。
【0107】
前記接着剤層の層厚としては、4〜30μmであることが好ましく、6〜20μmであることがより好ましく、8〜16μmであることがさらに好ましい。
【0108】
[離型紙]
前記離型紙の材質としては、アクリロニトリル、アルキルアルキレート、アルキルメタクリレート、メタクリロニトリル、アルキルビニルエステル、アルキルビニルエーテル、ビニルアルコール、ビニルクロライド、スチレン系ポリマー、セルロースアセテート、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン)、セルロース等が挙げられ、中でも、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、セルロース紙が好ましい。
【0109】
前記離型紙の厚みとしては、3〜160μmであることが好ましく、5〜120μmであることがより好ましく、5〜80μmであることがさらに好ましい。
【0110】
[パッケージの形成方法]
本発明のパッケージの形成方法は、前記本発明の包装材料で、物品を被覆することを特徴としている。さらに、そのパッケージ自身からバッグを形成するのに、又はラベルを形成するのに使用できる。別のパッケージの利用は、パッケージに付着したディスプレー材料用のカバーとして、又は一群のパッケージを保持するディスプレーラックとして利用することもできる。このようなパッケージとしては、食料雑貨店の通路の端にあるスタンド(その中に材料を置く)、並びに大きい箱、例えば、消費者が個々のバーを選択するためのラック中に置かれたキャンディバー用に利用されるものが挙げられる。
【0111】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明の包装材料について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、下記実施例中「部」は、特に限定のないかぎり「質量部」を意味し、「%」は特に限定のない限り「質量%」を意味する。
【0112】
本実施例の包装材料は、以下に示す感熱記録層を感圧ラベル材料上に塗布することにより作製した。
可撓性基材は、感圧接着剤を塗布し、かつポリエステルライナーにラミネートした二軸延伸ポリプロピレンシートを用いた。該二軸延伸ポリプロピレンシートは、ポリエチレン及び青顔料からなるスキン層を有する。感圧接着剤としては、アクリル系接着剤(厚み:12μm)を用い、ポリエステルライナーとしては透明なポリエチレンテレフタレートライナー(厚み:37μm)を用いた。
【0113】
以下のようにして作製した感熱記録層、中間層、及び保護層を上記の可撓性基材上に塗布し、本実施例の包装材料を作製した。
【0114】
<フタル化ゼラチン溶液の調製>
フタル化ゼラチン(商品名;MGPゼラチン,ニッピコラーゲン(株)製)32部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)0.9143部、イオン交換水367.1部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0115】
<アルカリ処理ゼラチン溶液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン(株)製)25.5部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)0.7286部、水酸化カルシウム0.153部、イオン交換水143.6部を混合し、50℃にて溶解し、乳化物作製用アルカリ処理ゼラチン水溶液を得た。
【0116】
(1)イエロー感熱記録層塗布液の調製
<ジアゾニウム化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製>
酢酸エチル20.0部に、下記ジアゾニウム塩(A)(最大吸収波長420nm)2.2部、下記ジアゾニウム塩(B)(最大吸収波長420nm)2.2部、モノイソプロピルビフェニル4.0部、フタル酸ジフェニル6.0部およびジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO,BASFジャパン(株)製)0.4部を添加し、40℃に加熱して均一に溶解した。該混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名;タケネートD119N(50%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)8.6部を添加し、均一に攪拌し混合液(I)を得た。
【0117】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液58.6部にイオン交換水16.3部、Scraph AG−8(50%;日本精化(株)製)0.34部添加し、混合液(II)を得た。
混合液(II)に混合液(I)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃下で乳化分散した。得られた乳化液に水20部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。その後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。引き続き、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、マイクロカプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(a)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.36μmであった。
【0118】
【化4】
【0119】
<カプラー化合物乳化液(a)の調製>
酢酸エチル33.0部に下記カプラー化合物(C)11.0部と、トリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)11.0部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))20.8部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン3.3部、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)13.6部、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.8部、および、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C,70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)4.2部とを溶解し、混合液(III)を得た。
【0120】
別途前記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(IV)を得た。
混合液(IV)に混合液(III)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化液を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が26.5%になるように濃度調節をおこなった。このときのカプラー化合物乳化液の粒径を、LA−700(堀場製作所(株)製)で測定した結果、メジアン径で0.20μmであった。
更に前記カプラー化合物乳化液100部に対して、SBRラテックス(商品名SN−307,48%液、住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5%に濃度調整したものを9部添加して均一に撹拌してカプラー化合物乳化液(a)を得た。
【0121】
【化5】
【0122】
<イエロー感熱記録層用塗布液の調製>
上記より得た、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(a)と、カプラー化合物分乳化液(a)とを、カプラー化合物/ジアゾニウム塩の質量比が2.1/1となるように混合し、イエロー感熱記録層用塗布液を得た。
【0123】
(2)マゼンタ感熱記録層用塗布液の調製
<ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(b)の調製>
酢酸エチル15.1部に、下記ジアゾニウム塩(D)(最大吸収波長365nm)3.5部、フタル酸ジフェニル3.5部、フェニル−2−ベンゾイロキシ安息香酸エステル3.5部、及び下記エステル化合物(商品名;ライトエステルTMP,共栄油脂化学(株)製)4.2部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)0.1部を添加し、加熱して、均一に溶解した。この混合液に、カプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名;タケネートD119N(50%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)2.5部と、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)6.8部を添加し、均一に攪拌し混合液(V)を得た。
【0124】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液55.3部にイオン交換水21.0部添加、混合し、混合液(VI)を得た。
混合液(VI)に混合液(V)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水24部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。その後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。引き続き、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、マイクロカプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(b)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径を、LA−700(堀場製作所(株)製で測定)を用いて測定した結果、メジアン径で0.45μmであった。
【0125】
【化6】
【0126】
<カプラー化合物乳化液(b)の調製>
酢酸エチル36.9部に下記カプラー化合物(E)13.0部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)13.0部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))13.0部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン13部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン7.0部、下記化合物(G)3.5部、リン酸トリクレジル1.7部、マレイン酸ジエチル0.8部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C,70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)4.5部を溶解し、混合液(VII)を得た。
【0127】
別途アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(VIII)を得た。
混合液(VIII)に混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5%になるように濃度調節を行い、カプラー化合物乳化液(b)を得た。得られたカプラー化合物乳化液の粒径を、LA−700(堀場製作所(株)製)を用いて測定した結果、メジアン径で0.28μmであった。
【0128】
【化7】
【0129】
<マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)の調製>
上記より得た、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(b)と、前記カプラー化合物分乳化液(b)とを、カプラー化合物/ジアゾニウム塩の質量比が3.2/1になるように混合した。さらに、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)を、混合したジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(b)10部に対して0.2部になるように混合し、マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)を得た。
【0130】
(3)シアン感熱記録層液の調製
<電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)の調製>
酢酸エチル18.1部に、下記電子供与性染料(H)8.0部、1−メチルプロピルフェニル−フェニルメタン、及び1−(1−メチルプロピルフェニル)−2−フェニルエタンの混合物(商品名;ハイゾールSAS−310,日本石油(株)製)8.0部、下記化合物(I)(商品名;Irgaperm2140 チバガイギー(株)製)8.0部を添加し、加熱して均一に溶解した。この混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)7.2部とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名;ミリオネートMR−200,日本ポリウレタン工業(株)製)5.3部とを添加し、均一に攪拌し混合液(IX)を得た。
【0131】
別途、上記より得たフタル化ゼラチン水溶液28.8部に、イオン交換水9.5部、Scraph AG−8(50%;日本精化(株)製)0.17部、及びドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(10%水溶液)4.3部を添加混合し、混合液(X)を得た。
そして、上記混合液(X)に上記混合液(IX)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃下で乳化分散した。得られた乳化液に水50部、テトラエチレンペンタミン0.12部を加え均一化し、65℃下で攪拌して酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。カプセル液の固形分濃度が33%になるように濃度調節しマイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの粒径を、LA−700(堀場製作所(株)製)を用いて測定した結果、メジアン径で1.10μmであった。
更に得られたマイクロカプセル液100部に対して、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム25%水溶液(商品名;ネオペレックスF−25、花王(株)製)3.7部と、4,4’−ビストリアジニルアミノスチルベン−2,2’−ジスルフォン誘導体を含む螢光増白剤(商品名;Kaycoll BXNL、日本曹達(株)製)4.3部を添加し、均一に撹拌して電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)を得た。
【0132】
【化8】
【0133】
<電子受容性化合物分散液(c)の調製>
上記より得たフタル化ゼラチン水溶液11.3部に、イオン交換水30.1部、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名:ビスフェノールP、三井石油化学(株)15部、2%−2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウム水溶液3.8部を加えて、ボールミルにて一晩分散し分散液を得た。この分散液の、固形分濃度は26.6%であった。
得られた分散液100部に、上記より得たアルカリ処理ゼラチン水溶液を48.0部加えて30分攪拌した後、分散液の固形分濃度が23.5%となるようにイオン交換水を加えて電子受容性化合物分散液(c)を得た。
【0134】
<シアン感熱記録層用塗布液(c)の調製>
上記より得た電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)と、前記電子受容性化合物分散液(c)とを、電子受容性化合物/電子供与性染料前駆体の質量比が9/1になるように混合し、シアン感熱記録層用塗布液(c)を得た。
【0135】
(4)中間層用塗布液の調製
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン(株)製)100.0部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)2.857部、水酸化カルシウム0.5部、イオン交換水521.643部を混合し、50℃下で溶解し、中間層用塗布液調製用のゼラチン水溶液を得た。
【0136】
得られたゼラチン水溶液10.0部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製,2.0%水溶液)0.05部、ホウ酸(4.0%水溶液)2.3部、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)0.19部、下記化合物(J)(和光純薬(株)製)の4%水溶液3.42部、下記化合物(J’)(和光純薬(株)製)の4%水溶液1.13部、イオン交換水0.67部を混合し、中間層用塗布液とした。
【0137】
【化9】
【0138】
(5)光透過率調整用塗布液の調製
<紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液の調製>
酢酸エチル71部に紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート14.0部、2,2’−t−オクチルハイドロキノン6.0部、リン酸トリクレジル1.9部、α−メチルスチレンダイマー(商品名:MSD−100,三井化学(株)製)5.7部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液),竹本油脂(株)製)0.45部を溶解し均一に溶解した。
【0139】
得られた混合液に、カプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)54.7部を添加し、均一に攪拌し紫外線吸収剤前駆体混合液を得た。
【0140】
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−318,クラレ(株)製)52部に30%リン酸水溶液8.9部、イオン交換水532.6部を混合し、紫外線吸収剤前駆体PVA水溶液を調製した。
【0141】
得られた紫外線吸収剤前駆体PVA水溶液516.06部に、上記紫外線吸収剤前駆体混合液を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃下で乳化分散した。得られた乳化液に、イオン交換水254.1部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応をおこなった。この後、イオン交換樹脂アンバーライトMB−3(オルガノ(株)製)94.3部を加え、更に1時間攪拌した。
【0142】
引き続き、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、マイクロカプセル液の固形分濃度が13.5%になるように濃度調節した。得られたマイクロカプセルの粒径をLA−700(堀場製作所(株)製)を用いて測定した結果、メジアン径で0.23±0.05μmであった。このマイクロカプセル液859.1部にカルボキシ変性スチレンブタジエンラテックス(商品名:SN−307,(48%水溶液),住友ノーガタック(株)製)2.416部、イオン交換水39.5部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。
【0143】
<光透過率調整層用塗布液の調製>
上記より得た紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液1000部、4%の水酸化ナトリウム水溶液7.75部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製,2.0%水溶液)73.39部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
【0144】
(6)保護層用塗布液の調製
<保護層用PVA溶液の調製>
ビニルアルコール(PVA)−アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130,電気化学工業(株)製)160部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルとの混合液(商品名:ネオスコアCM−57(54%水溶液),東邦化学工業(株)製)8.74部、イオン交換水3832部を混合し、90℃下で1時間溶解し均一化し、保護層用PVA溶液を得た。
【0145】
<保護層用顔料分散液の調製>
硫酸バリウム(商品名:BF−21F(硫酸バリウム含有量93%以上),堺化学工業(株)製)8部に、陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40%水溶液),花王(株)製)0.2部、イオン交換水11.8部を混合し、ダイノミルにて分散して硫酸バリウム分散液を調製した。このときの粒径を、LA−700(堀場製作所(株)製)を用いて測定した結果、メジアン径で0.15μm以下であった。
そして、得られた硫酸バリウム分散液45.6部に、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO(20%水分散液)、日産化学(株)製)8.1部を添加して保護層用顔料分散液を得た。
【0146】
<保護層用マット剤分散液の調製>
小麦澱粉(商品名:小麦澱粉S,新進食料工業(株)製)220部に、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンの水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.81部、イオン交換水1976.19部を混合し、均一に分散し、保護層用マット剤分散液を得た。
【0147】
<保護層用塗布液の調製>
上記より得た保護層用PVA溶液1000部に、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル(商品名:ノイゲンLP70,2%水溶液、第一工業製薬(株)製)40部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製,2.0%水溶液)50部、上記より得た保護層用顔料分散液49.87部、前記保護層用マット剤分散液16.65部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンF115(20.5%水溶液),中京油脂(株)製)48.7部、及びイオン交換水280部を均一に混合し、保護層用塗布液を得た。
【0148】
<各感熱記録層用塗布液の塗布>
前記可撓性基材の表面に、該層側から順次、前記シアン感熱記録層用塗布液(c)、前記中間層用塗布液、前記マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)、前記中間層用塗布液、前記イエロー感熱記録層用塗布液(a)、前記光透過率調整層用塗布液、及び前記保護層用塗布液を同時連続塗布(7層同時塗布)し、30℃、30%RH、及び40℃、30%RHの条件でそれぞれ乾燥処理を行い多色の感熱記録層を形成した。
このとき、前記イエロー感熱記録層用塗布液(a)は、ジアゾニウム塩(A)の塗布量が固形分塗布量で0.080g/m2となる量を、前記マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)は、ジアゾニウム化合物(D)の塗布量が固形分塗布量で0.210g/m2となる量を、前記シアン感熱記録層用塗布液(c)は、電子供与性染料前駆体(H)の塗布量が固形分塗布量で0.400g/m2となる量をそれぞれ塗布した。
【0149】
また、中間層用塗布液は、イエロー感熱記録層とマゼンタ感熱記録層との間においては、固形分塗布量が2.50g/m2となる量を、前記マゼンタ感熱記録層とシアン感熱記録層との間においては、固形分塗布量が3.50g/m2となる量を、光透過率調整層用塗布液は、固形分塗布量が2.0g/m2となる量を、保護層用塗布液は、固形分塗布量が1.50g/m2となる量をそれぞれ塗布した。
【0150】
本発明の包装材料は、従来のフレキソグラフィ又はグラビアプリントラベルと比較して多くの利点を有している。つまり、本発明は、印刷版又は印刷シリンダーを必要としないため、短期間でのパッケージ用ラベル作製の場合、低コストで行うことができる。すなわち、感熱記録方式を用いて印画するので、高価な印刷プレスの設定コストも不要であり、個々のパッケージの注文製作に容易に対応可能である。
【0151】
本実施例に用いられる感熱記録による画像形成は、テキスト、図、表、及び写真品質画像を同一のパッケージ上に同時に印画することができる。また、本発明は、デジタル画像に対応しており、遠隔地から子データ転換技法、例えば、インターネットを用いて送信された画像を直ちに印画することも可能である。これにより、パッケージに印画する時間を低減することも可能である。
【0152】
また、本発明の包装材料は、写真材料を用いたパッケージと比較して、露光、現像の2工程が不要であり、また設備的にも暗室、水源、廃液処理が不要で、簡便に高画質画像を有する包装材料を作製することができる。
【0153】
【発明の効果】
本発明によれば、少ない数量であっても低コストで、かつ簡便・迅速に作製することができる包装材料を提供することができる。
また、本発明によれば、少ない数量であっても低コストで、かつ簡便・迅速に作製することができるパッケージの形成方法を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱記録画像を有する包装材料及びパッケージの形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
様々な製品を包装するパッケージには、ブランド、内容や品質の表示、製品の使用についての説明等、消費者向けの情報、又は内容物を表示するための文字、画像情報などが印刷される。具体的には、パッケージ又は印刷媒体に直接印刷され、グラビア印刷またはフレキソ印刷を用いてパッケージに印刷される。パッケージにプリントされる情報としては、テキスト、図表、及び画像の3つが挙げられる。パッケージの種類によって、1つの情報のみで十分であったり、1つ以上の情報が必要であったりする。
【0003】
フレキソ印刷は、オフセット凸版印刷技法であって、その印刷版はゴム又は感光性重合体から作製する。そして、印刷版の突出した面から、被印刷面上にインクを転写することにより印刷を行う。一方、グラビア印刷法は、印刷シリンダを用いるが、この印刷シリンダーはその表面下に数千の小さいセルを有する。圧縮ロールにより印刷シリンダーが被印刷物と接触すると、インクがセルから被印刷物の表面に転写される。
【0004】
フレキソ印刷又はグラビア印刷用のインクとしては、溶剤ベースインク、水ベースインク、及び照射硬化インクが挙げられる。フレキソ印刷又はグラビア印刷ではある程度以上の画質が得られるが、これらの印刷法は、印刷版又は印刷シリンダーの作製にコスト及び時間がかかり、そのため例えば100,000回未満の印刷の場合は、割高となってしまう。これは、設定コスト及び印刷シリンダー又は印刷版のコストはその印刷回数によって低下するからである。
【0005】
近年、デジタル印刷によりパッケージ上に情報を印刷することが可能になった。「デジタル印刷」とは、電子デジタル文字又は電子デジタル画像を、デジタル情報を伝達可能な電子出力装置により印刷する手法である。デジタル印刷の主な方式としては、例えば、インクジェットプリント方式と電子写真方式の2つの方式が挙げられる。
【0006】
1980年代初期に、圧電衝撃ドロップ−オン−ディマンド(DOD)及び感熱ドロップ−オン−ディマンド・インクジェット印刷機が導入されたことにより、インクジェットプリント方式が出現した。その初期の印刷機は印刷速度が極めて遅く、インクジェットノズルが詰まることが多かった。1990年代、Hewlett Packard社は初代のモノクロムインクジェット印刷機を導入し、その後すぐ広範囲のカラーフォーマットインクジェット印刷機を導入して、グラフィックアートの市場に参入することが可能になった。今日、多数の各種インクジェットプリント方式が、パッケージ、デスクトップ、工業用途、商業用途、写真用途及び繊維に応用するために使用されている。
【0007】
圧電(ピエゾ)方式では、ピエゾ結晶を電気的に励起して圧力波を生じさせ、インクをインク室から射出させる。このインクを荷電し、電場で偏向させて各種文字を形成することができる。さらに最近では、導電性ピエゾセラミックス材料を用いるDOD複数ジェットが開発され、これらの材料は荷電するとそのチャンネル中の圧力が増加してインク液滴をノズルの末端から押し出す。このため、インクの極小液滴が形成され、高スピード、約1,000dpiの高解像度のプリントが可能となった。
【0008】
最近まで、インクジェットプリント方式で用いられるインクにカラー顔料を使用することは稀であった。しかしながら、近年、インクジェット用のサブミクロン(次微子)顔料が開発された。そして、顔料の使用により、感熱インクジェット印刷機及びラミネーション用に必要とされるさらに耐熱性のインクが得られるようになった。また、顔料含有水ベースのインクが市販され、UV硬化性インクも開発中である。顔料含有インクの光堅牢性及び耐水性は大きい。
【0009】
インクジェットプリント方式は、短期間でカラープリントを可能とし印刷業界に革命をおこす可能性を持っている。しかしながら、商業的には、インクジェットプリント方式において、印刷速度の向上が求められている。現行において、印刷速度が低速なのは、その印刷機が迅速に取り扱うことができるデータ量が限られているからである。プリント画像がより複雑になれば、印刷プロセスがより遅くなる。現在のインクジェットプリント方式においては、相当するデジタル静電印刷機の1/10の速度である。
【0010】
1995年、Indigoは、可撓性パッケージ製品に印刷するように設計されたOminus印刷機を導入した。Ominusは、6色のOne ShotColorと称されるデジタルオフセットカラープロセスを用いる。この改良点は、透明基材用に特定の白色電子インクを使用した点にある。Ominusウエブ−供給デジタル印刷方式では、カラー画像を基材に転写するオフセットシリンダーを用いることにより、種々の基材への印刷が可能になった。理論上、印刷される基材にかかわらず、完全な位置合わせが可能となり、紙、フィルム、及び金属に印刷することができる。このデジタル印刷方式は、電子写真方式に基づいており、先ずコロナ放電により光導電体を荷電し、その後光導電体表面を画像様に露光することにより静電画像を光導電体の表面上に形成する。
【0011】
次に、荷電された静電潛像を画像上の電荷と反対の電荷を有するインクを用いて現像する。この部分は、フォトコピー機と組み合わされた静電画像のトナーと類似する。光導電体の表面上に形成された静電荷電潛像を、液状トナーの電気泳動転写手段により現像する。この静電トナー画像を、次に熱ブランケットに転写し、そこでトナーが凝集し、基材に転写するまで粘着状態に維持して、インクを冷却して粘着物を含まないプリントを形成する。
【0012】
電子インクは、典型的に従来のオフセット印刷インクのものより鉱油及び揮発性有機化合物の含有量が少ない。それらは、高温で熱可塑性樹脂が溶融するように設計されている。実際の印刷法では、樹脂が凝集し、インクを基材に転写するので、インクを加熱して乾燥する必要はない。インクが冷却され、室温に達するにつれ、粘着物を含まなくなるが、実質的に乾燥状態で基材上に付着する。
【0013】
数十年間、「マグネットグラフィ」と呼ばれる磁気デジタル技法が開発下にあった。この方法は電子画像を磁気シリンダー上に作りだし、インクとして磁性トナーを用いて画像を形成する。この方法の利点は、1分間当たり200メートルという高速印刷が可能であることである。これらの磁気デジタル印刷機は、白黒に限られているが、カラー磁性インクが開発されれば、この高スピードデジタル技法も経済的に実施可能になることが予想される。その発展のキーになるのは、VHSM(極高スピード磁気)ドラム及びカラー磁性インクの開発である。
【0014】
磁気デジタルの範囲内であるが、「マグネットリソグラフィー」と称される混成方式がNipson Printing System(Belfort、フランス)により確立され、狭いウェブ及び短期間用途について試験された。この技法では高解像度が得られ、シリコンベースの高濃度マグネットグラフィヘッドを用いて試験が実施されている。インクジェット又は電子写真に匹敵する程度までこの技法を発展させるためには、インクを開発するためのさらに多くの研究が必要である。しかしながら、高速印刷の可能性を有するという点から、今日のインクジェット及び電子写真技法が遅れをとっているパッケージ用途については、代替品なる可能性を秘めている。
【0015】
銀塩の写真材料を、誕生日や休暇のような特別の行事での画像の保存に使用することは周知である。また、写真材料は広告に用いられる大きなディスプレイ材料に利用されてきた。この写真材料は高品質であるが、コストが高く、しかもデリケートな性質を有し、摩擦、水、又は曲げにより容易に表面が損傷を受けることがある。写真材料は、壊れやすく、デリケートな性質を有するため、通常フレーム、写真アルバム及び保護材料中に収められる。写真は、消費者にとっての人生の重要なイベントの記録を保持するための贅沢なアイテムと考えられてきた。また、広告用の高価なディスプレイ材料と考えられてきた。贅沢なアイテムとしてのそれらのステータスの観点から、それらは商業上の他の分野では利用されていなかった。
【0016】
近年、多数消費者用のアイテムの市場においては、その市場を局在化してより少数グループに個別に対応しようとする傾向がある。その少数グループは、宗教、民族、性別、年齢又は特定の興味により分けることができる。種々のグループにアプローチするために、グループ別に向けられたパッケージを用意する必要がある。先に述べたように、従来から用いられているパッケージ材料は、一般に極めて長期間販売される商品に適しており、短期間販売用パッケージ又は短期間で変更するパッケージにはコスト的に適していない。このような中、写真材料を用いたパッケージが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この写真材料を用いたパッケージにより、少ない数量を低コストで短期間で作製するという目的は達成された。しかし、写真材料は、現像工程が必要であり、設備として、暗室、水源が必要であったり、廃液の処理が必要であったり、依然不便な点が多い。また、露光、現像と2工程が必要であり、さらなる作製時間の短縮化が求められる。
【0017】
【特許文献1】
特開2001−166443号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明の目的は、少ない数量であっても低コストで、かつ簡便・迅速に作製することができる包装材料を提供することにある。
本発明の別の目的は、少ない数量であっても低コストで、かつ簡便・迅速に作製することができるパッケージの形成方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する手段は以下の通りである。即ち、
<1> 感熱記録画像を有する可撓性基材を含んでなることを特徴とする包装材料である。
<2> 前記可撓性基材の厚みが5〜80μmであることを特徴とする前記<1>に記載の包装材料である。
<3> 前記可撓性基材が、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、及びセルロース紙からなる群より選択されるいずれか1種からなることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の包装材料である。
<4> 前記可撓性基材の感熱記録画像を有する面とは反対側の面に接着剤層、及び離型紙を有し、かつ前記感熱記録画像面上に保護層を有することを特徴とする前記<1>から<3>のいずれかに記載の包装材料である。
<5> 前記感熱記録画像が、発色色相の異なる3層以上からなることを特徴とする前記<1>から<4>のいずれかに記載の包装材料である。
<6> 感熱記録画像を有する可撓性基材で物品を被覆することを特徴とするパッケージの形成方法である。
<7> 感熱記録画像が発色色相の異なる3層以上からなることを特徴とする前記<6>に記載のパッケージの形成方法である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の包装材料は、感熱記録画像を有する可撓性基材を含んでなることを特徴としている。
【0021】
本発明の包装材料は、各種のパッケージについてのニーズ、例えば、超音シーリング、冷シーリング、熱シーリング、折り曲げ及び接着剤シーリングに好適の各種のパッケージ材料に適用することができる。本発明の包装材料は、高画質の画像が、低コストで良好な半透明性及び強度を有する薄い可撓性基材上に形成してなる。本発明の包装材料は、感熱記録方式により画像化できるので、画像を短時間で形成することができ、しかも画像の変更を遅滞なく迅速に行うことができる。
【0022】
本発明の包装材料は、画像のデザインを短時間で行うことができ、短期間で市場に投入することができる。例えば、スポーツや催しものなど重要なイベントに対し、包装材料にデジタル画像を感熱記録し、そのイベントの開始からすぐに利用することができる。企画から製品化までの時間が数週間必要であるフォトグラビア又はフレキソグラフィックの画像形成とは対照的である。さらに、感熱記録で形成された画像品質は優れているので、低品質で、且つコレクティング(collecting)用には望ましくない従来の画像より、遥かに良好なパッケージとして形成されるコレクタブル画像に好適な材料となる。その結果、例えば、地域別の注文に合わせた画像形成を迅速に行うことができる。
【0023】
本発明の包装材料は、その画像を迅速に変更することができるため、異なる国で異なる言語で、そしてその売り出しテーマで地域別のラベルを施すことにも使用することができる。さらに、異なる国においては、内容物についての法律上のラベル要件が異なる。例えば、ワイン及びビールのようなアルコール飲料のラベル要件は地域及び国が変わると大きく変わる。フランス製のワインは、他国でラベリングするのを待つためにフランスから出荷されるまで長期間遅滞する。従って、高画質の画像を短時間で印刷可能な感熱記録は、特別の商品、例えば、高級なワイン、香水及びチョコレートのようなプレミアム製品にとって特に適している。
【0024】
感熱記録による画像形成法は、テキスト、図表及び写真品質画像を同一のパッケージ上に同時に印画することができる。また、本発明の包装材料は、デジタル画像に対応しており、遠隔地からの子データ転換技法、例えば、インターネットを介して送信された画像を直ちに印画することも可能である。これにより、パッケージに印画するサイクル時間を低減することも可能である。
【0025】
[可撓性基材]
本発明に係る可撓性基材は、高スピードパッケージ装置で画像を効率よく移送することを可能にするために必要な引っ張り強度及び摩擦係数を有することが好ましい。さらに、本発明に係る可撓性基材は、湿度バリヤー、酸素バリヤー又は有機物バリヤーを必要とするパッケージにとって重要なバリヤー特性を有することが好ましい。
【0026】
任意の適切な可撓性基材を、感熱記録による画像形成のコーティングするのに用いることができる。可撓性基材は、各種容器にラベルを施すための自動パッケージ装置において効率よく行うことができるものであることが好ましい。可撓性基材としては、セルロース紙が好ましい。セルロース紙は、可撓性で、強く、ポリマー基材と比べて低コストである。さらに、セルロース紙を用いれば、織地状のラベル面がある種の用途において望ましいものになりうる。
【0027】
可撓性基材の剛性は、種々の自動パッケージ装置が移送、形成、及びパッケージングへ効率よく行うために、所定の範囲の剛性であることが好ましい。可撓性基材の曲げ剛性は、Lorentzen and Wettre剛性テスター、Model 16Dを用いて測定する。その装置から得られる数値は、長さ20mm、幅38.1mmの一端が固定された試料の、固定されていない方の末端を、荷重をかけない位置から15°の角度で曲げるのに要する力(mN)である。可撓性基材の好ましい剛性は、20〜270mNである。当該範囲内とすることにより、カラー(つば)の周囲に効率よく形成することができ、可撓性基材の形成が容易である。さらに、300mN以上の可撓性基材を円周の周りに曲げるためには、高価な高性能接着剤を必要とする。
【0028】
可撓性基材の引っ張り強度もしくは破壊する引っ張り応力は、重要な伝達パラメーター及び形成パラメーターである。引っ張り強度は、ASTMD882操作により測定する。引っ張り強度としては34MPaを超えることが好ましい。引っ張り強度が34MPaを超えると、自動パッケージ装置中で移送、形成及びパッケージへの適用に際しての強度が十分である。
【0029】
感熱記録層を担持する可撓性基材の摩擦係数、すなわちCOFは、重要な特性である。COFは自動ラベリング装置での移送効率及び形成効率に関連するからである。COFは、表面とアイテム間の接触を維持する力に対する、表面上を移動するアイテムの質量比である。COFは以下の式で与えられる。
COF=μ=(摩擦力/法線力)
可撓性基材のCOFは、可撓性基材の静的COF及び動的COFの両者を測定するためのステンレススチールスレッドを用いて、ASTMD−1894で測定する。本発明に係る可撓性基材において、好ましいCOFは0.2〜0.6である。例として、0.2COFは、ピック−アンド−プレース用途に用いるラベル上にコーティングするのに好適である。ラベルを取り上げて、別の場所にそれを移動させるための機械的装置を用いる操作では、ラベルがその下のラベルの表面上を容易に滑るように低いCOFが好ましい。極端な場合、本のカバーのような大きなシートは、保存の際、互いにその頂部に積み重ねた場合、滑ったり、スライドしたりしないように0.6COFであることが好ましい。特別の材料は、一方の側には高いCOF、他方の側には低いCOFを要する。通常、ベース材料そのもの、例えば、プラスチックフィルム、ホイル又は紙基材は、一方の側に適切なCOFを備えている。他方の側には適切なコーティングを施して、より高いCOF又はより低いCOFを与えるように画像面を改変することが好ましい。二種類の異なるコーティングを、いずれかの側にそれぞれ施すことができる。
【0030】
COFは、静摩擦係数でもあり、動摩擦係数でもある。静摩擦係数は、2表面間の移動しようとしているが、実際には移動していない時点での値である。動摩擦係数は、一定スピードで二表面が互いに実際にスライドしている場合を指す。COFは、通常、表面に載置されたスレッドを用いて測定する。スライドの初期に要する力が、静的COFの測定値である。また、一定スピードでスレッドを所定の長さ引っ張ることにより、動的COFが測定される。
【0031】
可撓性基材がポリマーである場合、それらが引き裂き抵抗性を有し、優れた適合性、良好な化学抵抗性を有し、強度が強いので好ましい。好ましいポリマーとしては、ポリエステル、延伸ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン、注型ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン及びポリエチレン、ポリスチレン、アセテート及びビニルが挙げられる。
【0032】
感熱記録画像上には、保護層を設けることが好ましい。好ましい保護層としては、UV硬化性ポリマー、ラテックス、アクリル及びポリマーの重層シートが挙げられる。保護層は、自動パッケージ装置中での運搬及び形成に重要であるので、改変を要する可能性がある。パッケージ製品は通常各種の滑剤を用いてアブレーション抵抗性及びスリップ特性を付与する。基材、プリントインク、及び塗膜に用いられる滑剤としては、天然ワックス、剛性ワックス、脂肪酸アミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)並びにシリコーンベース化合物が挙げられる。
【0033】
天然ワックスとしては、植物性ワックス、例えば、カルナバ、カンデリラ、及びオーリキュリ(ouricury)が挙げられる。例えば、カルナバは、340〜820の分子量を有し、融点は80〜86℃の範囲内である。水と同程度の比重を有する。動物性及び昆虫ワックスとしては、蜂蝋、セラック及びラノリンが挙げられる。天然の鉱油ワックスとしてはモンタン及びオゾケライトが挙げられる。天然の石油ワックスとしては、パラフィン及び微結晶性ワックスが挙げられる。モンタンはカルナバに非常に似ており、同程度の分子量及び融点特性を有する。
【0034】
脂肪族アミドとしては、エウリックイミド(euricimide)、ステアルアミド及び他の第一アミドが挙げられる。脂肪酸アミドはワックスと同様の挙動を示す。それらは、同程度の分子量(275〜350)と融点範囲(68〜108℃)を有する。パッケージに使用される合成ワックスとしては、Fisher−Topschワックス、PE及びPPワックス並びにPTFEが挙げられる。PEワックスはインク及び塗膜に広く用いられる。それらは、アブレーション抵抗性を向上させ、殆どの普通の溶剤に容易に分散する。インク及び塗膜産業に使用されるPTFEワックスは、化学的にテフロン(R)と関連するが、分子量は低い(10,000〜100,000)。これらのワックスは300℃より高い融点を有し、2より大きい比重を有する。それらは、他のワックスより高い比重を有するので、低粘性系、例えば、水ベースインク及び塗膜中で取り扱うのはさらに困難であろう。
【0035】
PTFEワックスは、サブミクロンから20μmまでの範囲の粒径で製造することができる。これらの粒子は極めて硬く、PTFEは、匹敵する炭化水素ベースワックスのいずれより表面張力が低い。PTFEを使用すると、プリントインク及び塗膜中のCOFを低下させるのに極めて効果的である。PTFEは、溶解せず、又は「表面を曇らせる」ことがないので、それらは、印刷時のCOFを低下させるのに効果的である。PTFEは化学的に不活性である。320℃まで、熱的に安定であり、しかも酸化上も安定である。これは、UV抵抗性で、難燃性であり、放出(release)添加物として使用できる。
【0036】
スリップ、アブレーション及び表面損傷に対する抵抗性、並びに放出特性を付与するために、シリコンベース製品を、インク及び塗膜に広く使用する。シリコンベース製品は、ワックス及びPTFEと同様の目的のために用いられるが、その性能は異なる。シランは、透明が優先される際に使用する。粒径はワックスの最適性能を発揮させるためには、重要なパラメーターである。所定用途のために最適な粒径は、用いられたインクフィルムの厚さと類似する。リソグラフィは2〜3μmの範囲の極薄インクフィルムに適用する。5μmより遙に大きいワックス粒子は、僅か6μmの間隙しか有しないニップの間を通過するのは困難であろう。さらに大きい粒子を用いるならば、「パイリング(piling)」が発生することがある。同時に塗膜をグラビアで施すならば、その塗布法はさらに遙に大きい粒径のワックス構成物を処理するのが困難なことがある。一般に、3μmの範囲のインクフィルムにとっては、4〜6μmの範囲の粒径が、擦り抵抗性及び性能を考慮すると最善である。
【0037】
本発明の包装材料により包装する被包装体(物品)としては、液体又は微粒子状物質を封入するのに有用な任意のパッケージが挙げられる。好ましいパッケージとしては、ボトル、金属製缶もしくはポリマー製缶、立ち型パウチ、バッグもしくは箱が挙げられる。任意の適切な二軸延伸ポリオレフィンシートを、本発明に用いるフェースストック用に使用してもよい。ミクロボイド化複合体二軸延伸シートが好ましく、コアと表面層の共押出し、続いて二軸延伸して、コア層中に含有されるボイド開始剤の周りにボイドを形成することにより製造することが便利である。このような複合体シートは、米国特許第4,377,616号、第4,758,462号及び第4,632,869号に開示されている。
【0038】
好ましい複合体シートのコアは、シートの全厚さの15〜95%、好ましくは全厚さの30〜85%である。非ボイド化スキンは、シートの5〜85%、好ましくは厚さの15〜70%である。好ましい材料は、高バリヤーポリ塩化ビニリデンを1.5〜6.2g/m2の範囲の塗布量でコーティングした二軸延伸ポリオレフィンシートである。ポリビニルアルコールも使用できるが、相対湿度が高い条件下では効果が高くない。前記の写真要素又は画像形成要素では、水蒸気バリヤーは、ポリマーを少なくとも1層以上の層として共押出し、次いでそのシートを縦方向に延伸しその後横方向に延伸することにより、前記の水蒸気バリヤーを一体として形成することにより得ることができる。延伸工程により、さらに結晶性でしかも結晶域をさらに良好に充填配列したシートを形成する。結晶レベルがより高くなると、水蒸気透過率が低下し、その結果乳剤硬化が早くなる。その後この延伸シートを紙ベース上に積層する。
【0039】
水蒸気透過速度の調整は、任意の層、例えば、結合(tie)層又は二軸延伸ポリオレフィンシート又はそれらを組み合わせた独立した任意の層により行うことができる。水蒸気透過速度(WVTR)は、キャリヤー気体中に含まれる湿蒸気が基材を通過して、他の側の乾燥雰囲気中に浸透する速度を意味する。WVTRは、MOCON装置を38℃、90%RHに設定して測定する。ポリオレフィンシートと共に一体として、ポリオレフィンシートに施した、ポリオレフィンシートと結合した、他の層を取り入れることにより、水蒸気透過速度を調整して所望のパッケージ又は画像形成を達成することができる。基材の水蒸気透過性を低下さるために使用できる材料は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチルテレフテレート、アセテート、セロファンポリカーボネート、ポリエチレンビニルアセテート、エチレンビニルアセテート、メタクリレート、ポリエチレンメチルアクリレート、アクリレート、アクリロニトリル、ポリエステルケトン、ポリエチレンアクリル酸、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、非晶質ナイロン、ポリヒドロキシアミドエーテル、及びエチレンメタクリル酸コポリマーの金属塩が挙げられる。0.8g/0.065m2/時間の水蒸気透過速度が好ましい。これは、この水蒸気透過速度は、パン製品を高レベルの湿度に曝した場合その品質が損なわれ始める際に、パン製品の新鮮さを向上させることが判明しているからである。
【0040】
本発明に係る可撓性基材としては、酸素バリヤーを備えた可撓性基材が好ましい。これは、高価な酸素バリヤーをフェースストック上に施す必要がなくなるからである。アクリロニトリル、アルキルアクリレート、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート及びブチルアクリレート、アルキルメタクリレート、例えば、メチルメタクリレート及びエチルメタクリレート、メタクリロニトリル、アルキルビニルエステル、例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルエチルブチレート及びビニルフェニルアセテート、アルキルビニルエーテル、例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル及びクロロエチルビニルエーテル、ビニルアルコール、ビニルクロライド、ビニリデンクロライド、ビニルフルオライド、スチレン及びビニルアセテート(コポリマーの場合はエチレン及び/又はプロピレンをコモノマーとして使用できる)のホモポリマー及びコポリマー;セルロースアセテート、例えば、ジアセチルセルロース及びトリアセチルセルロース、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート、フッ素樹脂、ポリアミド(ナイロン)、ポリカーボネート、ポリサッカライド、脂肪族ポリケトン、ブルーデキストラン、及びセロファンからなる群より選ばれる一種を含んでなる一体層を有するラベル材料であって、2.0ml/m2時間atm.以下の酸素透過速度を有する材料は、酸素バリヤーの性能を改良する。
【0041】
本発明において、可撓性基材として、感光性ハロゲン化銀画像形成層塗膜用に用いるポリマーが好ましく用いることができる。ポリマーは、強度が高くしかも可撓性があり、ハロゲン化銀画像形成層の塗膜用の優れた表面に成りうる。可撓性基材用の好ましいポリマーとしては、ポリオレフィン、ポリエステル及びナイロンである。好ましいポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリブチレン及びそれらの混合物である。ポリオレフィンコポリマー、例えば、プロピレンとエチレン、例えば、ヘキセン、ブテン及びオクテンのコポリマーも有用である。ポリプロピレンが最も好ましいが、コストが低く、望ましい強度特性を有するからである。
【0042】
ポリマーの可撓性基材は、1層より多くの層を有していてもよい。可撓性基材のスキン層は、コアマトリックス用に先に列挙したものと同一のポリマー材料から製造することできる。複合体シートは、コアマトリックスと同一のポリマー材料のスキンで製造することができ、又コアマトリックスとは異なるポリマー組成のスキンで製造することもできる。適合性をよくするために、補助層を用いてスキン層のコア層への接着性を高めることもできる。
【0043】
可撓性基材用のボイド開始材料は、各種材料から選んでよく、コアマトリックスポリマー質量に基づいて約5〜50質量%存在することが好ましい。ボイド開始材料は好ましくはポリマー材料である。ポリマー材料を用いる場合、そのポリマー材料はコアマトリックスの製造に用いるポリマーと溶融混合することができ、そして懸濁液を冷却するにつれて分散球状粒子を形成することができるポリマーであってもよい。これらの例としては、ポリプロピレンに分散したナイロン、ポリプロピレン中のポリブチレンテレフタレートまたはポリエチレンテレフタレートに分散したポリプロピレンが挙げられる。ポリマーを予め形状化し次いでマトリックスポリマーに配合するならば、その重要特性は粒子のサイズと形状である。球体が好ましく、中空体または固体であることができる。これらの球体は、一般式Ar−C(R)=CH2のアルケニル芳香族化合物(式中、Arは芳香族炭化水素基またはベンゼン系の芳香族ハロ炭化水素基を表し、Rは水素またはメチル基である);アクリレートタイプモノマー、例えば、式CH2=C(R’)−C(O)(OR)(式中、Rは水素および炭素数1〜12のアルキル基からなる群より選ばれ、R’は水素およびメチルからなる群より選ばれる)のモノマー;ビニルクロライドおよびビニリデンクロライド、アクリロニトリルおよびビニルクロライド、ビニルブロマイド、式CH2=CH(O)COR(式中、Rは炭素数2〜18のアルキル基)を有するビニルエステルの共重合体、;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、オレイン酸、ビニル安息香酸;テレフタル酸およびジアルキルテレフタル酸もしくはそのエステル形成性誘導体を、HO(CH2)nOH(式中、nは2〜10の範囲の整数である)系のグリコールと反応させ、そして反応性オレフィン結合をポリマー分子内に存在せしめることにより調製する合成ポリエステル樹脂、20質量%までの反応性オレフィン不飽和を有する第二の酸もしくはそのエステルおよびそれらの混合物をその中に共重合せしめたものを含む前記ポリエステルからなる群より選ばれたものである架橋化ポリマー、並びにジビニルベンゼン、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジアリルフマレート、ジアリルフタレートおよびそれらの混合物からなる群より選ばれる架橋剤から製造することができる。
【0044】
架橋化ポリマーボイド開始粒子を形成するためのモノマーの例としては、スチレン、ブチルアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ビニルピリジン、ビニルアセテート、メチルアクリレート、ビニルベンジルクロライド、ビニリデンクロライド、アクリル酸、ジビニルベンゼン、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ビニルトルエン等が挙げられる。好ましくは、架橋化ポリマーはポリスチレンまたはポリ(メチルメタクリレート)である。最も好ましくは、ポリスチレンであり、架橋剤はジビニルベンゼンである。
【0045】
当該技術分野で周知の方法によれば、非均一サイズのボイド開始粒子が形成され、広い粒子サイズ分布を特徴とする。サイズの原分布範囲に亘って生成ビーズをスクリーニングすることにより、得られたビーズを等級分けすることができる。他の方法、例えば、懸濁重合、限定凝集は極めて均一なサイズの粒子を直接生成する。
【0046】
ボイド開始材料には、ボイド生成を容易にするために薬剤を塗布してもよい。適切な薬剤または滑剤としては、コロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、および金属酸化物、例えば、スズ酸化物、アルミニウム酸化物が挙げられる。好ましい薬剤はコロイド状のシリカおよびアルミナであり、最も好ましくはシリカである。薬剤塗膜を有する架橋化ポリマーは、当該技術分野において周知の操作により製造してよい。例えば、従来の懸濁重合法であって、薬剤を、その懸濁液に添加するものが好ましい。薬剤としては、コロイド状シリカが好ましい。
【0047】
ボイド開始粒子は、無機球状体であることもでき、これらとしては固体状もしくは空隙状のガラス球、金属もしくはセラミックのビーズまたは無機粒子、例えば、粘土、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウムが挙げられる。重要なことは、これらの材料がコアマトリックスポリマーと化学的に反応して以下の問題の1つまたはそれ以上を引き起すことがないことである。(a)マトリックスポリマーの結晶化動力学が変化して延伸が困難になること、(b)コアマトリックスポリマーの崩壊、(c)ボイド開始粒子の破壊、(d)ボイド開始粒子のマトリックスポリマーへの接着、または(e)望ましくない反応生成物、例えば、毒性のもしくは高度に着色した部分の発生。ボイド開始粒子は、写真上活性であるべきではなく、又は二軸延伸ポリオレフィンフィルムが使用されている写真要素の性能を劣化させるものであるべきではない。
【0048】
画像形成要素の色を変化させるために、添加物を最頂部スキン層へ添加してもよい。ラベル用には、僅かに青味がかった白色基材が好ましい。当該技術分野において知られている方法、例えば、押出し成形の前のカラー濃縮物の機械配合、及び所望配合比で予め配合された青色着色剤の溶融押出しにより、僅かに青味を加えることができる。320℃を超える温度がスキン層の共押出しに必要であるので、320℃を超える押出成形温度に耐え得る着色顔料が好ましい。本発明に用いられる青色着色剤は、画像形成要素に悪影響を与えない任意の着色剤であってよい。好ましい青色着色剤としては、フタロシアニン青色顔料、クロモフタール青色顔料、イルガジン青色顔料及びイルガライト有機青色顔料が挙げられる。蛍光増白剤をスキン層に添加して、UVエネルギーを吸収し、主に青領域の光を発光させてもよい。TiO2をスキン層に添加してもよい。本発明の薄いスキン層へのTiO2の添加は、シートの光学性能に著しい影響を与えるものではないが、多くの製造上の課題、例えば、押出ダイすじ及びスポットの原因となることがある。実質的にTiO2を含まないスキン層が好ましい。0.20〜1.5μmのスキン層へ添加されたTiO2は支持体の光学性能を実質的に向上させず、コストが高くなり、そして押出工程における好ましくない顔料ラインの原因となるであろう。
【0049】
可撓性基材の光学特性を向上させるために、コアマトリックス及び/又は1層以上のスキン層に添加物を添加してもよい。二酸化チタンが好ましく、鮮鋭性又はMTF,不透明性及び白色性を向上させるために本発明に用いられる。使用されるTiO2はアナターゼ又はルチルタイプのいずれであってもよい。さらにアナターゼ及びルチルタイプのTiO2の両者を配合して白色性及び鮮鋭性の両者を改良してもよい。写真系において許容されるTiO2の例は、Dupont Chemical Co.R101ルチルTiO2及びDuPont Chemical Co.R104ルチルTiO2である。写真光学応答を向上させることが当該技術分野において知られている他の顔料を用いてもよい。白色性を向上させることが当該技術分野において知られている他の顔料の例としては、タルク、カオリン、CaCO3、BaSO4、ZnO、TiO2、ZnS、及びMgCO3が挙げられる。好ましいTiO2のタイプはアナターゼである。これはアナターゼTiO2が画像の白色性及び鮮鋭性をボイド層と共に最適化することが判明しているからである。
【0050】
二軸延伸シートが表面から目視される場合に、その画像形成要素が紫外線に露光された際に可視スペクトル光を発生させるように、本発明に係る可撓性基材に添加物を添加してもよい。可視スペクトル光が発せられて、可撓性基材は紫外線エネルギーの存在下で所望のバックグラウンドカラーを有することができる。紫外線エネルギーを含む日光の下で画像が視覚される場合に、このことは特に有用であり、消費者及び商業用途のために画質を最適化するのに用いてもよい。
【0051】
前記添加物としては、青スペクトルの可視光を発生することが好ましい。消費者は、1b*単位内のb*をゼロとして定義した中性濃度最小値と比較して、負のb*として定義された、現像画像の最小濃度域に加えられた僅かな青味を一般に好む。b*はCIE(Commission Internationale de L’Eclairage)空間での黄色/青色の目安である。正のb*は黄色を意味し、負のb*は青色を意味する。青色スペクトルを発光する添加物の添加により、画像の白色性を低下させるような着色剤の添加なしに支持体を色付けすることが可能になる。好ましい発光は、1〜5デルタb*単位である。デルタb*は、試料を紫外線光源に照射した場合と有意の紫外線エネルギーなしの光源に照射した場合に測定したb*の差異として定義される。デルタb*は、本発明に係る可撓性基材への蛍光増白剤の添加の正味の効果を決定するための好ましい目安である。1b*単位未満の発光では、消費者に知覚されないことがある。したがって、b*が1b*未満だけ変化する場合は、可撓性基材への蛍光増白剤の添加はコスト面で効果的ではない。5b*単位より大きい発光は、プリントの色バランスを壊し、消費者にとって白色体を過度に青色に見えるようにする。
【0052】
本発明に係る可撓性基材において、添加物として、蛍光増白剤を添加することが好ましい。蛍光増白剤は無色、芳香性の有機化合物であり、紫外線を吸収しそして可視青色光として発光する。例示物質としては4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸の誘導体、クマリン誘導体、例えば、4−メチル−7−ジエチルアミノクマリン、1,4−ビス(o−シアノスチリル)ベンゾール及び2−アミノ−4−メチルフェノールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
ボイドは、可撓性基材に更なる不透明性を付与する。このボイド層は、TiO2、CaCO3、粘土、BaSO4、ZnS、MgCO3、タルク、カオリン又は他の材料からなる群より選ばれる少なくとも1種類の顔料を含有する層と組み合わせて用いて、1層より多くの前記フィルム中に高反射性の層を形成することもできる。顔料層とボイド層を組み合わせると、最終画像の光学性能に利点が得られる。
【0054】
ボイド層は、固体層と比較して、機械的損傷、例えば、クラッキング又は隣接層からの離層が起こりやすい。TiO2を含有するか、又はTiO2を含有する層に隣接するボイド化構造は、長期間光に曝されると特に機械的特性が損なわれ、機械不良が起こり易い。TiO2粒子が、ポリプロピレンの光酸化劣化を開始させ、且つ促進する。ヒンダードアミン安定剤を、多層二軸延伸フィルムの少なくとも1層に、好ましい態様ではTiO2含有層に、最も好ましい態様ではTiO2含有層又はその隣接層に添加すると、光及び暗所保存画像の安定性の両者が向上する。
【0055】
フィルムは、好ましくは前記フィルムの少なくとも1層に、ヒンダードアミンを約0.01〜5質量%の安定化量含有する。これらのレベルで二軸延伸フィルムの安定性が向上するが、約0.1〜3質量%の適量では、光安定性及び暗所安定性の両者の安定性に優れたバランスが得られ、その構成物はコスト的にさらに効果的になるので好ましい。
【0056】
ヒンダードアミン光安定剤(HALS)は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン由来のヒンダードアミン化合物の共通のグループから得られるが、用語「ヒンダードアミン光安定剤」は、ヒンダードピペリジン類縁体について用いることが認められている。これらの化合物は、酸素の存在下にポリプロピレンの光酸化を妨害する、安定なニトロキシルラジカルを形成することにより、画像形成要素に長期間にわたって優れた写真安定性を付与する。ヒンダードアミンは、最終製品中での遊動を最小化するのに十分な分子量を有し、好ましい濃度でポリプロピレンと混合し、そして最終製品を着色しない。好ましい態様において、HALSの例としては、ポリ{〔6−〔(1,1,3,3,−テトラメチルブチルアミノ}−1,3,5−トリアジン−4−ピペリジニル)−イミノ〕−1,6−ヘキサンジイル〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ〕}(Chimassorb944LD/FL)、Chimassorb119、及びビス(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジニル)〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕ブチルプロパンジオエート(Tinuvin144)が挙げられるが、これらの化合物に限定されない。
【0057】
さらに、プロピレンの熱安定性に通常用いられるヒンダードフェノール第一酸化防止剤のいずれかを単独で又は第二の酸化防止剤と共に含有させることができる。ヒンダードフェノール第一酸化防止剤の例としては、ペンタエリスリチルテトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(例えば、Irganox1010)、オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(例えば、Irganox1076)、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチル)−4−ヒドロキシ−2〔3−〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシエチル)−1−オキソプロピル)ヒドラジド(例えば、IrganoxMD1024)、2,2’−チオジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(例えば、Irganox1035)、1,3,5−トリメチル−2、4−6−トリ(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−ベンンゼン(例えば、Irganox1330)が挙げられるが、これらに限定されない。第二の酸化防止剤としては、有機アルキル及びアリールホスフィット、例えば、トリフェニルホスフィット(例えば、IrgastabTPP)、トリ(n−プロピルフェニルホスフィン)(例えば、IrgastabSN−55)、2,4−ビス(1、1−ジメチルフェニル)ホスフィット(例えば、Irgafos168)が挙げられ、好ましい態様においてはIrgafos168が挙げられる。ヒンダードアミンと他の第一及び第二酸化防止剤を組み合わせると、処理及び押出しの際ポリマー、例えば、ポリプロピレンに熱安定性を付与し、さらにそれらの光及び暗所保存特性を高めることにより、多層二軸延伸ポリマーシートに相乗効果が生じるが、このことは、画像形成製品、例えば、写真用の単一層においては明らかではなかった。これらの予期せざる結果により、広範囲のポリマーを画像形成製品に用いて、高い特性をそれらのデザインに取り込むことが可能になった。
【0058】
蛍光増白剤を、多層共押出し二軸延伸ポリオレフィンの可撓性基材中のいずれかの層に添加してもよい。好ましい層は、前記シートの露光表面層の近傍又は露光表面層中である。その層に添加すれば、効率的濃度の蛍光増白剤の使用が可能になる。蛍光増白剤が支持体の表面に遊動し、画像形成層に結晶が生じるような濃度に、蛍光増白剤の所望添加質量%が近づき始める場合は、露出層の近傍の層中へ蛍光増白剤を添加することが好ましい。蛍光増白剤を用いる従来の画像形成支持体では、画像形成層への遊動を阻止するために、高価な蛍光増白剤が使用される。蛍光増白剤の遊動が、感光性ハロゲン化銀画像形成方式にとって問題になる場合は、好ましい露出層は、蛍光増白剤を実質的に含まないポリエチレンである。この場合、露出層に近い層からの遊動が有意に低下する。これは、露出表面層が蛍光増白剤遊動のバリヤーとして作用し、遙に高い蛍光増白剤レベルを用いて画質を最適化することができるからである。さらに、露出層に近い層に蛍光増白剤を配備すると、露出層(実質的に蛍光増白剤を含まない)としてより廉価な蛍光増白剤を使用でき、蛍光増白剤の著しい遊動を防止することができる。二軸延伸シート中の蛍光増白剤の遊動を低減する別の好ましい方法は、露出表面に近い層にポリプロピレンを使用することである。
【0059】
本発明に係る可撓性基材はミクロボイド化コアを有するものが好ましい。ミクロボイド化コアは不透明性及び白色性を画像形成支持体に付与して画質をさらに向上させることができる。ミクロボイド化コアによる画質の利点と、紫外線エネルギーを吸収して可視スペクトル光を発生させる材料を組み合わせると、画像支持体が紫外線に露光された場合色味を有し、なおその画像を、ある種のタイプの屋内光のような、大量の紫外線エネルギーを含有しない光で視た場合、優れた白色性を保持するので、画質が特異的に最適化される。
【0060】
可撓性二軸延伸基材のボイド化層に位置するミクロボイド化層は望ましくない圧力カブリを低減することが判明した。1cm2当たり数百キログラムのオーダーの機械的圧力により、望ましくない可逆性の感度低下が、書き込み時点のメカニズムにより引き起こされるが、この原因は十分に解明されていない。機械的圧力の主な影響は、濃度、主にイエロー濃度の望ましくない増加である。二軸延伸可撓性基材のボイド化層は、移送及び写真処理工程に通常見られる、ボイド化層の圧縮により機械的圧力を吸収し、イエロー濃度の変化量を低減する。圧力感度は206MPa荷重を塗布感光性ハロゲン化銀乳剤に加え、イエロー層を現像し、そして濃度差を非荷重の対照試料と荷重試料とを比較して、X−Riteモデル310(又は相当品)写真透過濃度計により測定することにより測定する。イエロー層濃度の好ましい変化量は206MPaの圧力で0.02未満である。イエロー層濃度の0.04の変化量は、知覚上有意であり、望ましくない。
【0061】
これらの可撓性基材の共押出、冷却、延伸及び熱固定は、延伸シートを製造するのに当該技術分野において知られている任意の方法、例えば、フラットシート法又はバブルもしくはチューブラー法により実施できる。フラットシート法は、スリットダイを介して配合物を押出し、押出されたウェブを冷却キャスティングドラム上で急冷して、シートのコアマトリックスポリマー成分及びスキン成分をそれらのガラス固化温度以下に冷却することが含まれる。次に冷却シートをガラス転移温度より高いがマトリックスポリマーの溶融温度より低い温度で互いに垂直方向に延伸することにより二軸延伸する。このシートを一方向に次に第二方向に延伸するか、又は同時に両方向に延伸してもよい。シートを延伸後、両延伸方向への収縮に抗してシートをある程度引っ張りながら、ポリマーを結晶化するか又はアニールするのに十分な温度まで加熱することにより熱固定させる。
【0062】
本発明に係る可撓性基材の厚みとしては、3〜160μmであることが好ましく、5〜120μmであることがより好ましく、5〜80μmであることがさらに好ましい。
【0063】
[感熱記録画像]
前記可撓性基材は感熱記録画像を有する。感熱記録画像は、可撓性基材上に設けられた感熱記録層を感熱記録して形成された画像である。以下、感熱記録層について説明する。
【0064】
(感熱記録層)
感熱記録層の少なくとも1層は、電子供与性無色染料と共に、電子受容性化合物を少なくとも1種含有している層であり、さらに他の感熱記録層が設けられていてもよい。
【0065】
前記電子供与性無色染料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の物の中から適宜選択することができ、本発明においては電子供与性無色染料前駆体を用いることができる。
【0066】
前記電子供与性無色染料前駆体としては、例えば、トリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、キサンテン系化合物、スピロピラン系化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、これらの中でも、発色濃度が高く有用な点で、トリアリールメタン系化合物、キサンテン系化合物が好ましい。これらの例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(即ち、クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノ)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、
【0067】
2−ベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−シクロヘキシルメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−イソアミルエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−オクチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−2−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン、などが挙げられる。
【0068】
前記電子供与性無色染料の塗布量は特に限定されないが、固形分塗布量で0.01〜2.0g/m2が好ましく、0.1〜0.6g/m2がより好ましい。
【0069】
前記電子受容性化合物としては、フェノール誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル、などが挙げられる。これらの中でも、ビスフェノール類が特に好ましく、具体的には、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノールなどが特に好ましい。
【0070】
電子受容性化合物の塗布量は特に限定されないが、固形分塗布量で0.5〜10.0g/m2が好ましく、1.0〜5.0g/m2がより好ましい。
【0071】
感熱記録層を複数有する場合、発色するのに必要なエネルギーの異なる発色剤を用いることが必要である。既述の電子供与性無色染料及び電子受容性化合物を含有する感熱記録層の他に、ジアゾニウム塩化合物、該ジアゾニウム塩化合物とカップリング反応するカプラーを含むジアゾ系発色剤とバインダーとを主成分とする感熱記録層(光定着型感熱記録層)を少なくとも一層有するものが望ましい。
また感熱記録層の発色剤としては、前記のジアゾ系発色剤の他に、塩基性化合物と接触して発色する塩基発色系、キレート発色系、求核剤と反応して脱離反応を起こし発色する発色系等のいずれでもよい。
【0072】
前記感熱記録層が、前記ジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する場合、該感熱記録層には、該ジアゾニウム塩化合物と該カプラーとの発色反応を促進する塩基性物質等が好適に添加される。
【0073】
前記ジアゾニウム塩化合物は、下記一般式(B)で表される化合物であり、これらはAr部分の置換基の位置や種類によってその最大吸収波長を制御することができるものである。
一般式(B): A−N2 +X−
前記一般式(B)において、Aは、アリール基を表す。X−は、酸アニオンを表す。
【0074】
前記ジアゾニウム塩化合物の具体例としては、4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジオクチルアミノベンゼンジアゾニウム、4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジヘキシルアミノ−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−N−エチル−N−ヘキサデシルアミノ−2−エトキシベンゾジアゾニウム、3−クロロ−4−ジオクチルアミノ−2−オクチルオキシオベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−モルホリノベンゼンジアゾニウム、2,5−オクトキシ−4−モルホリノベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジエトキシ−4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−トリルチオベンゼンジアゾニウム、3−(2−オクチルオキシエトキシ)−4−モロホリノベンゼンジアゾニウムなどの酸アニオン塩及び下記ジアゾニウム塩化合物(D−1〜5)が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ヘキサフルオロフォスフェート塩、テトラフルオロボレート塩、1,5−ナフタレンスルホネート塩が特に好ましい。
【0075】
【化1】
【0076】
これらのジアゾニウム塩化合物の中でも、300〜400nmの波長の光により光分解する、4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジオクチルアミノベンゼンジアゾニウム、4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジヘキシルアミノ−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−N−エチル−N−ヘキサデシルアミノ−2−エトキシベンゾジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジエトキシ−4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、前記具体例D−3〜5に示すジアゾニウム塩化合物が特に好ましい。
なお、ここでいうジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長は、それぞれのジアゾニウム化合物を0.1〜1.0g/m2の塗布量で塗膜にしたものを分光光度計(Shimazu MPS−2000)により測定したものである。
【0077】
前記ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとしては、例えば、レゾルシン、フルルグルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ−6−スルファニルナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸エタノールアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−N−ドデシルオキシプルピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸テトラデシルアミド、アセトアニリド、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、2−クロロ−5−オクチルアセトアセトアニリド、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’−オクチルフェニル)−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラロン、1−フェニル−3−フェニルアセトアミド−5−ピラゾロン、下記(C−1〜6)に示す化合物、などが挙げられる。これらのカプラーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
【0078】
【化2】
【0079】
【化3】
【0080】
前記塩基性物質としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、無機又は有機の塩基性化合物の外、加熱時に分解等を生じアルカリ物質を放出するような化合物も含まれ、代表的なものとしては、有機アンモニウム塩、有機アミン、アミド、尿素及びチオ尿素さらにそれらの誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルホリン類、ピペリジン類、アミジン類、フォルムアジン類、ピリジン類等の含窒素化合物が挙げられる。
【0081】
これらの具体例としては、トリシクロヘキシルアミン、トリベンジルアミン、オクタデシルベンジルアミン、ステアリルアミン、アリル尿素、チオ尿素、メチルチオ尿素、アリルチオ尿素、エチレンチオ尿素、2−ベンジルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾリン、2,4,5−トリフリル−2−イミダゾリン、1,2−ジフェニル−4,4−ジメチル−2−イミダゾリン、2−フェニル−2−イミダゾリン、1,2,3−トリフェニルグアニジン、1,2−ジシクロヘキシルグアニジン、1,2,3−トリシクロヘキシルグアニジン、グアニジントリクロロ酢酸塩、N,N’−ジベンジルピペラジン、4,4’−ジチオモルホリン、モルホリニウムトリクロロ酢酸塩、2−アミノベンゾチアゾール、2−ベンゾイルヒドラジノベンゾチアゾールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0082】
感熱記録層に用いることができるバインダーとしては、公知の水溶性高分子化合物やラテックス類等が挙げられる。前記水溶性高分子化合物としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビアゴム、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等及びこれらの変性物、等が挙げられ、前記ラテックス類としては、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
【0083】
また、発色画像の光及び熱に対する堅牢性を向上させる、又は定着後の未印字部分(非画像部)の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることも好ましい。
前記酸化防止剤としては、例えば、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
【0084】
感熱記録層において、前記電子供与性無色染料、前記電子受容性化合物、前記ジアゾニウム塩化合物、前記カプラー、前記塩基性物質、等の含有の態様については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、これらを、(1)固体分散による含有させる方法、(2)乳化分散により含有させる方法、(3)ポリマー分散により含有させる方法、(4)ラテックス分散により含有させる方法、(5)マイクロカプセルに内包して含有させる方法、などが挙げられる。
【0085】
これらの中でも、保存性の観点から、マイクロカプセルに内包して前記感熱記録層中に含有させる方法が好ましい。特に、電子供与性無色染料はマイクロカプセルに内包して含有させる方法が好ましい。また、ジアゾニウム塩化合物およびカプラーを含有する感熱記録層を有する場合も、前記ジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセルに内包して含有させる方法が好ましい。
【0086】
前記電子供与性無色染料をマイクロカプセルに内包させる方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、前記電子供与性無色染料前駆体と、マイクロカプセル壁前駆体とを水に難溶又は不溶の有機溶剤に溶解し、水溶性高分子の水溶液中に添加しホモジナイザーなどを用いて乳化分散し、昇温してマイクロカプセル壁となる高分子物質を油/水界面に壁膜を形成することにより、前記電子供与性無色染料を調製することができる。
【0087】
前記マイクロカプセル壁膜の具体例としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンーアクリレート共重合体樹脂、スチレンーメタクリレート共重合体樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール、などからなる壁膜が挙げられる。これらの中でも、ポリウレタン・ポリウレア樹脂からなる壁膜が好ましい。
【0088】
前記ポリウレタン・ポリウレア樹脂からなる壁膜を有するマイクロカプセルは、例えば、多価イソシアネート等のマイクロカプセル壁前駆体を、マイクロカプセルに内包させる芯物質中に混合し、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子の水溶液に乳化分散し、液温を上昇させて油滴界面で高分子形成反応を起こすことによって製造される。
【0089】
前記多価イソシアネート化合物の具体例としては、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート等のジイソシアネート類、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート等のトリイソシアネート類、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等のテトライソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、2,4ートリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物等のイソシアネートプレポリマー、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、これらの中でも、分子内にイソシアネート基を三個以上有するものが特に好ましい。
【0090】
前記電子供与性無色染料をマイクロカプセルに内包させる方法において、前記電子供与性無色染料を溶解させる有機溶剤は、常温で固体であってもよいし、液体であってもよく、ポリマーであってもよく、酢酸エステル、メチレンクロライド、シクロヘキサノン等の低沸点補助溶剤及び/又は燐酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、その他のカルボン酸エテスル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタン、塩素化パラフィン、アルコール系、フェノール系、エーテル系、モノオレフィン系、エポキシ系、などが挙げられる。具体例としては、燐酸トリクレジル、燐酸トリオクチル、燐酸オクチルジフェニル、燐酸トリシクロヘキシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジラウレート、フタル酸ジシクロヘキシル、オレフィン酸ブチル、ジエチレングリコールベンゾエート、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、トリメリット酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸オクチル、マレイン酸ジブチル、イソアミルビフェニル、塩素化パラフィン、ジイソプロピルナフタレン、1,1’−ジトリルエタン、2,4−ジタ−シャリアミルフェノール、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−ターシャリオクチルアニリン、ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルエステル、ポリエチレングリコール等の高沸点オイル、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、これらの中でも、アルコール系、燐酸エステル系、カルボン酸系エステル系、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタンが好ましい。
【0091】
また、マイクロカプセルの油相を水相中に分散するための水溶性高分子としては、、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アミノ変性ポリビニルアルコール、イタコン酸変性ポリビニルアルコール、スチレンー無水マレイン酸共重合体、ブタジエン無水マレイン酸共重合体、エチレン無水マレイン酸共重合体、イソブチレン無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、ゼラチンなどが挙げられる。
【0092】
ジアゾニウム塩化合物等をマイクロカプセルに内包させる方法も、前記電子供与性無色染料をマイクロカプセルに内包させる方法と同様である。
前記マイクロカプセルの平均粒径としては、0.1〜5.0μmが好ましく、0.2〜2.0μmがより好ましい。
【0093】
感熱記録層は、発色色相が異なる3層以上からなることが好ましい。3層以上の多層構造とすることにより、多色の画像を得ることができる。この場合の層構成としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、本発明においては、感光波長の異なる2種のジアゾニウム塩化合物と、それぞれのジアゾニウム塩化合物と熱時反応して異なった色相に発色するカプラーとを組み合わせた感熱記録層2層と、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを組み合わせた感熱記録層と、を積層した多色の感熱記録層とするのが好ましい。即ち、後述する支持体上に、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを含む感熱記録層A、最大吸収波長が360±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する感熱記録層B−1、最大吸収波長が400±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する感熱記録層B−2、をこの順に積層した多色の感熱記録画像であることが好ましい。
【0094】
この多色の感熱記録層の記録方法としては、まず感熱記録層B−2を加熱し、該感熱記録層B−2に含まれるジアゾニウム塩化合物とカプラーとを発色させる。次に、400±20nmの光を照射して感熱記録層B−2中に含まれている未反応のジアゾニウム塩化合物を分解させた後、感熱記録層B−1が発色するに十分な熱を加え、該感熱記録層B−1に含まれているジアゾニウム塩化合物とカプラーとを発色させる。このとき、感熱記録層B−2も同時に強く加熱されるが、すでにジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色はしない。さらに360±20nmの光を照射して感熱記録層B−1に含まれているジアゾニウム塩化合物を分解し、最後に感熱記録層Aが発色する十分な熱を加えて発色させる。このとき感熱記録層B−2及び感熱記録層B−1も同時に強く加熱されるが、すでにジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色しない。
【0095】
以上の多色の感熱記録層の場合において、各感熱記録層の発色色相を減色混合における3原色、イエロー、マゼンタ、シアンとなるように選んでおけば、フルカラーの画像記録が可能となる。
【0096】
本発明においては、可撓性基材上に単数若しくは複数の感熱記録層を有するほか、光透過率調整層、保護層、中間層を有してなる態様が好ましい。
【0097】
(光透過率調整層)
前記光透過率調整層は、紫外線吸収剤前駆体を含有しており、定着に必要な領域の波長の光照射前は紫外線吸収剤として機能しないので光透過率が高く、光定着型感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を十分に透過させ、しかも可視光線の透過率も高いので、感熱記録層の定着に支障を来すこともない。この紫外線吸収剤前駆体は、マイクロカプセル中に含ませることが好ましい。
また、光透過率調整層に含有する化合物としては、特開平9−1928号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0098】
前記紫外線吸収剤前駆体は、感熱記録層の光照射による定着に必要な領域の波長の光照射が終了した後、光又は熱などで反応することにより紫外線吸収剤として機能するようになり、紫外線領域の定着に必要な領域の波長の光は紫外線吸収剤によりその大部分が吸収され、透過率が低くなり、感熱記録層の耐光性が向上するが、可視光線の吸収効果がないから、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
光透過率調整層は少なくとも1層設けることができ、最も望ましくは感熱記録層と最外保護層との間に形成するのがよいが、光透過率調整層を保護層と兼用するようにしてもよい。光透過率調整層の特性は、感熱記録層の特性に応じて任意に選定することができる。
【0099】
光透過率調整層形成用の塗布液(光透過率調整層用塗布液)は、前記各成分を混合して得られる。該光透過率調整層塗布液を、例えばバーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等の公知の塗布方法により塗布して形成することができる。光透過率調整層は、感熱記録層等と同時塗布してもよく、例えば感熱記録層形成用の塗布液を塗布し一旦感熱記録層を乾燥させた後、該層上に塗布形成してもよい。光透過率調整層の固形分塗布量としては、0.8〜4.0g/m2が好ましい。
【0100】
(中間層)
本発明においては、前記感熱記録層を色相の異なる感熱発色層による積層構造とする場合には、各感熱記録層の間に混色等を防止するための中間層を設けることができる。該中間層としては、特に制限はなく、水溶性高分子化合物などを用いて形成することができる。前記水溶性高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、スチレン−マレイン酸共重合体、ゼラチン及び/又はゼチラン誘導体、ポリエチレングリコール及び/又はポリエチレングリコール誘導体からなるものが好適に挙げられる。
【0101】
また、前記中間層には、前記無機の層状化合物を好適に添加することができる。前記中間層が、前記無機の層状化合物を含有すると、層間の物質移動を抑制・防止することにより混色を防止でき、かつ、酸素の供給を抑制することにより生保存性及び色像保存性を向上させることができる。
【0102】
(保護層)
感熱記録層の表面には保護層を設けることが好ましい。保護層は必要に応じて2層以上積層してもよい。前記保護層に好適に用いられるバインダーとしては、変成ポリビニルアルコール(シラノール変性ポリビニルアルコール、長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール等)、ポリビニルアルコールシリコーン変性ポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられ、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0103】
前記保護層には顔料を含有することが好ましい。前記顔料としては、無機超微粒子が好ましく、該無機超微粒子としては、例えば、コロイダルシリカ、酸化ジルコニア、硫酸バリウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化セリウム、酸化チタン等が挙げられ、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0104】
保護層は、好ましくは、シラノール変性ポリビニルアルコール、及びコロイダルシリカを含有する保護層塗液を、感熱記録層等の上にバーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等の装置を用いて塗布、乾燥して得る。但し、保護層は感熱記録層等と同時に重畳法により塗布しても構わないし、また感熱記録層等の塗布後、一旦感熱記録層等を乾燥させ、その上に塗布しても構わない。保護層の固形分塗布量は0.1〜3g/m2が好ましく、0.3〜2.0g/m2がより好ましい。塗設量が大きいと著しく熱感度が低下してしまうし、あまりに低い塗設量では保護層としての機能(耐摩擦性、潤滑性、耐傷性等)を発揮できない。また、保護層塗布後、必要に応じてキャレンダー処理を施してもよい。
【0105】
さらに、本発明の包装材料は、前記可撓性基材の感熱記録画像を有する面とは反対側の面に接着剤層、及び離型紙を設け、かつ前記感熱記録画像面上に保護層を設けることが好ましい。
【0106】
[接着剤層]
前記接着剤層に用いる接着剤としては、例えば、合成ゴム、天然ゴム、アクリル樹脂(アクリル感圧接着剤)、酢酸ビニル系材料、ウレタン系材料、アクリレート系材料、ポリビニルアルコール、スターチ、エポキシ化合物等が挙げられ、中でも、アクリル感圧接着剤が好ましい。
【0107】
前記接着剤層の層厚としては、4〜30μmであることが好ましく、6〜20μmであることがより好ましく、8〜16μmであることがさらに好ましい。
【0108】
[離型紙]
前記離型紙の材質としては、アクリロニトリル、アルキルアルキレート、アルキルメタクリレート、メタクリロニトリル、アルキルビニルエステル、アルキルビニルエーテル、ビニルアルコール、ビニルクロライド、スチレン系ポリマー、セルロースアセテート、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン)、セルロース等が挙げられ、中でも、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、セルロース紙が好ましい。
【0109】
前記離型紙の厚みとしては、3〜160μmであることが好ましく、5〜120μmであることがより好ましく、5〜80μmであることがさらに好ましい。
【0110】
[パッケージの形成方法]
本発明のパッケージの形成方法は、前記本発明の包装材料で、物品を被覆することを特徴としている。さらに、そのパッケージ自身からバッグを形成するのに、又はラベルを形成するのに使用できる。別のパッケージの利用は、パッケージに付着したディスプレー材料用のカバーとして、又は一群のパッケージを保持するディスプレーラックとして利用することもできる。このようなパッケージとしては、食料雑貨店の通路の端にあるスタンド(その中に材料を置く)、並びに大きい箱、例えば、消費者が個々のバーを選択するためのラック中に置かれたキャンディバー用に利用されるものが挙げられる。
【0111】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明の包装材料について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、下記実施例中「部」は、特に限定のないかぎり「質量部」を意味し、「%」は特に限定のない限り「質量%」を意味する。
【0112】
本実施例の包装材料は、以下に示す感熱記録層を感圧ラベル材料上に塗布することにより作製した。
可撓性基材は、感圧接着剤を塗布し、かつポリエステルライナーにラミネートした二軸延伸ポリプロピレンシートを用いた。該二軸延伸ポリプロピレンシートは、ポリエチレン及び青顔料からなるスキン層を有する。感圧接着剤としては、アクリル系接着剤(厚み:12μm)を用い、ポリエステルライナーとしては透明なポリエチレンテレフタレートライナー(厚み:37μm)を用いた。
【0113】
以下のようにして作製した感熱記録層、中間層、及び保護層を上記の可撓性基材上に塗布し、本実施例の包装材料を作製した。
【0114】
<フタル化ゼラチン溶液の調製>
フタル化ゼラチン(商品名;MGPゼラチン,ニッピコラーゲン(株)製)32部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)0.9143部、イオン交換水367.1部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0115】
<アルカリ処理ゼラチン溶液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン(株)製)25.5部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)0.7286部、水酸化カルシウム0.153部、イオン交換水143.6部を混合し、50℃にて溶解し、乳化物作製用アルカリ処理ゼラチン水溶液を得た。
【0116】
(1)イエロー感熱記録層塗布液の調製
<ジアゾニウム化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製>
酢酸エチル20.0部に、下記ジアゾニウム塩(A)(最大吸収波長420nm)2.2部、下記ジアゾニウム塩(B)(最大吸収波長420nm)2.2部、モノイソプロピルビフェニル4.0部、フタル酸ジフェニル6.0部およびジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO,BASFジャパン(株)製)0.4部を添加し、40℃に加熱して均一に溶解した。該混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名;タケネートD119N(50%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)8.6部を添加し、均一に攪拌し混合液(I)を得た。
【0117】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液58.6部にイオン交換水16.3部、Scraph AG−8(50%;日本精化(株)製)0.34部添加し、混合液(II)を得た。
混合液(II)に混合液(I)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃下で乳化分散した。得られた乳化液に水20部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。その後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。引き続き、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、マイクロカプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(a)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.36μmであった。
【0118】
【化4】
【0119】
<カプラー化合物乳化液(a)の調製>
酢酸エチル33.0部に下記カプラー化合物(C)11.0部と、トリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)11.0部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))20.8部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン3.3部、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)13.6部、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.8部、および、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C,70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)4.2部とを溶解し、混合液(III)を得た。
【0120】
別途前記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(IV)を得た。
混合液(IV)に混合液(III)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化液を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が26.5%になるように濃度調節をおこなった。このときのカプラー化合物乳化液の粒径を、LA−700(堀場製作所(株)製)で測定した結果、メジアン径で0.20μmであった。
更に前記カプラー化合物乳化液100部に対して、SBRラテックス(商品名SN−307,48%液、住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5%に濃度調整したものを9部添加して均一に撹拌してカプラー化合物乳化液(a)を得た。
【0121】
【化5】
【0122】
<イエロー感熱記録層用塗布液の調製>
上記より得た、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(a)と、カプラー化合物分乳化液(a)とを、カプラー化合物/ジアゾニウム塩の質量比が2.1/1となるように混合し、イエロー感熱記録層用塗布液を得た。
【0123】
(2)マゼンタ感熱記録層用塗布液の調製
<ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(b)の調製>
酢酸エチル15.1部に、下記ジアゾニウム塩(D)(最大吸収波長365nm)3.5部、フタル酸ジフェニル3.5部、フェニル−2−ベンゾイロキシ安息香酸エステル3.5部、及び下記エステル化合物(商品名;ライトエステルTMP,共栄油脂化学(株)製)4.2部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)0.1部を添加し、加熱して、均一に溶解した。この混合液に、カプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名;タケネートD119N(50%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)2.5部と、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)6.8部を添加し、均一に攪拌し混合液(V)を得た。
【0124】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液55.3部にイオン交換水21.0部添加、混合し、混合液(VI)を得た。
混合液(VI)に混合液(V)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水24部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。その後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。引き続き、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、マイクロカプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(b)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径を、LA−700(堀場製作所(株)製で測定)を用いて測定した結果、メジアン径で0.45μmであった。
【0125】
【化6】
【0126】
<カプラー化合物乳化液(b)の調製>
酢酸エチル36.9部に下記カプラー化合物(E)13.0部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)13.0部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))13.0部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン13部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン7.0部、下記化合物(G)3.5部、リン酸トリクレジル1.7部、マレイン酸ジエチル0.8部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C,70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)4.5部を溶解し、混合液(VII)を得た。
【0127】
別途アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(VIII)を得た。
混合液(VIII)に混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5%になるように濃度調節を行い、カプラー化合物乳化液(b)を得た。得られたカプラー化合物乳化液の粒径を、LA−700(堀場製作所(株)製)を用いて測定した結果、メジアン径で0.28μmであった。
【0128】
【化7】
【0129】
<マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)の調製>
上記より得た、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(b)と、前記カプラー化合物分乳化液(b)とを、カプラー化合物/ジアゾニウム塩の質量比が3.2/1になるように混合した。さらに、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)を、混合したジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(b)10部に対して0.2部になるように混合し、マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)を得た。
【0130】
(3)シアン感熱記録層液の調製
<電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)の調製>
酢酸エチル18.1部に、下記電子供与性染料(H)8.0部、1−メチルプロピルフェニル−フェニルメタン、及び1−(1−メチルプロピルフェニル)−2−フェニルエタンの混合物(商品名;ハイゾールSAS−310,日本石油(株)製)8.0部、下記化合物(I)(商品名;Irgaperm2140 チバガイギー(株)製)8.0部を添加し、加熱して均一に溶解した。この混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)7.2部とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名;ミリオネートMR−200,日本ポリウレタン工業(株)製)5.3部とを添加し、均一に攪拌し混合液(IX)を得た。
【0131】
別途、上記より得たフタル化ゼラチン水溶液28.8部に、イオン交換水9.5部、Scraph AG−8(50%;日本精化(株)製)0.17部、及びドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(10%水溶液)4.3部を添加混合し、混合液(X)を得た。
そして、上記混合液(X)に上記混合液(IX)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃下で乳化分散した。得られた乳化液に水50部、テトラエチレンペンタミン0.12部を加え均一化し、65℃下で攪拌して酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。カプセル液の固形分濃度が33%になるように濃度調節しマイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの粒径を、LA−700(堀場製作所(株)製)を用いて測定した結果、メジアン径で1.10μmであった。
更に得られたマイクロカプセル液100部に対して、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム25%水溶液(商品名;ネオペレックスF−25、花王(株)製)3.7部と、4,4’−ビストリアジニルアミノスチルベン−2,2’−ジスルフォン誘導体を含む螢光増白剤(商品名;Kaycoll BXNL、日本曹達(株)製)4.3部を添加し、均一に撹拌して電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)を得た。
【0132】
【化8】
【0133】
<電子受容性化合物分散液(c)の調製>
上記より得たフタル化ゼラチン水溶液11.3部に、イオン交換水30.1部、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名:ビスフェノールP、三井石油化学(株)15部、2%−2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウム水溶液3.8部を加えて、ボールミルにて一晩分散し分散液を得た。この分散液の、固形分濃度は26.6%であった。
得られた分散液100部に、上記より得たアルカリ処理ゼラチン水溶液を48.0部加えて30分攪拌した後、分散液の固形分濃度が23.5%となるようにイオン交換水を加えて電子受容性化合物分散液(c)を得た。
【0134】
<シアン感熱記録層用塗布液(c)の調製>
上記より得た電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)と、前記電子受容性化合物分散液(c)とを、電子受容性化合物/電子供与性染料前駆体の質量比が9/1になるように混合し、シアン感熱記録層用塗布液(c)を得た。
【0135】
(4)中間層用塗布液の調製
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン(株)製)100.0部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)2.857部、水酸化カルシウム0.5部、イオン交換水521.643部を混合し、50℃下で溶解し、中間層用塗布液調製用のゼラチン水溶液を得た。
【0136】
得られたゼラチン水溶液10.0部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製,2.0%水溶液)0.05部、ホウ酸(4.0%水溶液)2.3部、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)0.19部、下記化合物(J)(和光純薬(株)製)の4%水溶液3.42部、下記化合物(J’)(和光純薬(株)製)の4%水溶液1.13部、イオン交換水0.67部を混合し、中間層用塗布液とした。
【0137】
【化9】
【0138】
(5)光透過率調整用塗布液の調製
<紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液の調製>
酢酸エチル71部に紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート14.0部、2,2’−t−オクチルハイドロキノン6.0部、リン酸トリクレジル1.9部、α−メチルスチレンダイマー(商品名:MSD−100,三井化学(株)製)5.7部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液),竹本油脂(株)製)0.45部を溶解し均一に溶解した。
【0139】
得られた混合液に、カプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)54.7部を添加し、均一に攪拌し紫外線吸収剤前駆体混合液を得た。
【0140】
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−318,クラレ(株)製)52部に30%リン酸水溶液8.9部、イオン交換水532.6部を混合し、紫外線吸収剤前駆体PVA水溶液を調製した。
【0141】
得られた紫外線吸収剤前駆体PVA水溶液516.06部に、上記紫外線吸収剤前駆体混合液を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃下で乳化分散した。得られた乳化液に、イオン交換水254.1部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応をおこなった。この後、イオン交換樹脂アンバーライトMB−3(オルガノ(株)製)94.3部を加え、更に1時間攪拌した。
【0142】
引き続き、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、マイクロカプセル液の固形分濃度が13.5%になるように濃度調節した。得られたマイクロカプセルの粒径をLA−700(堀場製作所(株)製)を用いて測定した結果、メジアン径で0.23±0.05μmであった。このマイクロカプセル液859.1部にカルボキシ変性スチレンブタジエンラテックス(商品名:SN−307,(48%水溶液),住友ノーガタック(株)製)2.416部、イオン交換水39.5部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。
【0143】
<光透過率調整層用塗布液の調製>
上記より得た紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液1000部、4%の水酸化ナトリウム水溶液7.75部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製,2.0%水溶液)73.39部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
【0144】
(6)保護層用塗布液の調製
<保護層用PVA溶液の調製>
ビニルアルコール(PVA)−アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130,電気化学工業(株)製)160部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルとの混合液(商品名:ネオスコアCM−57(54%水溶液),東邦化学工業(株)製)8.74部、イオン交換水3832部を混合し、90℃下で1時間溶解し均一化し、保護層用PVA溶液を得た。
【0145】
<保護層用顔料分散液の調製>
硫酸バリウム(商品名:BF−21F(硫酸バリウム含有量93%以上),堺化学工業(株)製)8部に、陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40%水溶液),花王(株)製)0.2部、イオン交換水11.8部を混合し、ダイノミルにて分散して硫酸バリウム分散液を調製した。このときの粒径を、LA−700(堀場製作所(株)製)を用いて測定した結果、メジアン径で0.15μm以下であった。
そして、得られた硫酸バリウム分散液45.6部に、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO(20%水分散液)、日産化学(株)製)8.1部を添加して保護層用顔料分散液を得た。
【0146】
<保護層用マット剤分散液の調製>
小麦澱粉(商品名:小麦澱粉S,新進食料工業(株)製)220部に、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンの水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.81部、イオン交換水1976.19部を混合し、均一に分散し、保護層用マット剤分散液を得た。
【0147】
<保護層用塗布液の調製>
上記より得た保護層用PVA溶液1000部に、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル(商品名:ノイゲンLP70,2%水溶液、第一工業製薬(株)製)40部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製,2.0%水溶液)50部、上記より得た保護層用顔料分散液49.87部、前記保護層用マット剤分散液16.65部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンF115(20.5%水溶液),中京油脂(株)製)48.7部、及びイオン交換水280部を均一に混合し、保護層用塗布液を得た。
【0148】
<各感熱記録層用塗布液の塗布>
前記可撓性基材の表面に、該層側から順次、前記シアン感熱記録層用塗布液(c)、前記中間層用塗布液、前記マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)、前記中間層用塗布液、前記イエロー感熱記録層用塗布液(a)、前記光透過率調整層用塗布液、及び前記保護層用塗布液を同時連続塗布(7層同時塗布)し、30℃、30%RH、及び40℃、30%RHの条件でそれぞれ乾燥処理を行い多色の感熱記録層を形成した。
このとき、前記イエロー感熱記録層用塗布液(a)は、ジアゾニウム塩(A)の塗布量が固形分塗布量で0.080g/m2となる量を、前記マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)は、ジアゾニウム化合物(D)の塗布量が固形分塗布量で0.210g/m2となる量を、前記シアン感熱記録層用塗布液(c)は、電子供与性染料前駆体(H)の塗布量が固形分塗布量で0.400g/m2となる量をそれぞれ塗布した。
【0149】
また、中間層用塗布液は、イエロー感熱記録層とマゼンタ感熱記録層との間においては、固形分塗布量が2.50g/m2となる量を、前記マゼンタ感熱記録層とシアン感熱記録層との間においては、固形分塗布量が3.50g/m2となる量を、光透過率調整層用塗布液は、固形分塗布量が2.0g/m2となる量を、保護層用塗布液は、固形分塗布量が1.50g/m2となる量をそれぞれ塗布した。
【0150】
本発明の包装材料は、従来のフレキソグラフィ又はグラビアプリントラベルと比較して多くの利点を有している。つまり、本発明は、印刷版又は印刷シリンダーを必要としないため、短期間でのパッケージ用ラベル作製の場合、低コストで行うことができる。すなわち、感熱記録方式を用いて印画するので、高価な印刷プレスの設定コストも不要であり、個々のパッケージの注文製作に容易に対応可能である。
【0151】
本実施例に用いられる感熱記録による画像形成は、テキスト、図、表、及び写真品質画像を同一のパッケージ上に同時に印画することができる。また、本発明は、デジタル画像に対応しており、遠隔地から子データ転換技法、例えば、インターネットを用いて送信された画像を直ちに印画することも可能である。これにより、パッケージに印画する時間を低減することも可能である。
【0152】
また、本発明の包装材料は、写真材料を用いたパッケージと比較して、露光、現像の2工程が不要であり、また設備的にも暗室、水源、廃液処理が不要で、簡便に高画質画像を有する包装材料を作製することができる。
【0153】
【発明の効果】
本発明によれば、少ない数量であっても低コストで、かつ簡便・迅速に作製することができる包装材料を提供することができる。
また、本発明によれば、少ない数量であっても低コストで、かつ簡便・迅速に作製することができるパッケージの形成方法を提供することができる。
Claims (7)
- 感熱記録画像を有する可撓性基材を含んでなることを特徴とする包装材料。
- 前記可撓性基材の厚みが5〜80μmであることを特徴とする請求項1に記載の包装材料。
- 前記可撓性基材が、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、及びセルロース紙からなる群より選択されるいずれか1種からなることを特徴とする請求項1または2に記載の包装材料。
- 前記可撓性基材の感熱記録画像を有する面とは反対側の面に接着剤層、及び離型紙を有し、かつ前記感熱記録画像面上に保護層を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の包装材料。
- 前記感熱記録画像が、発色色相の異なる3層以上からなることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の包装材料。
- 感熱記録画像を有する可撓性基材で物品を被覆することを特徴とするパッケージの形成方法。
- 感熱記録画像が発色色相の異なる3層以上からなることを特徴とする請求項6に記載のパッケージの形成方法。
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JP2003205671A JP2005053490A (ja) | 2003-08-04 | 2003-08-04 | 包装材料及びパッケージの形成方法 |
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