JP2005070066A - ラベル、ラベル表示方法、及び両面画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被着体に貼付されるラベルであって、短時間で作製でき、高品位の画像を有するラベルを提供する。
【解決手段】支持体上に少なくとも感熱記録層を有する感熱記録材料の支持体に、接着剤層を介して可撓性ライナーが貼付され、前記支持体の剛性が15〜60mNであり、かつ前記可撓性ライナーの剛性が40〜120mNであることを特徴とするラベルである。
【選択図】 なし
【解決手段】支持体上に少なくとも感熱記録層を有する感熱記録材料の支持体に、接着剤層を介して可撓性ライナーが貼付され、前記支持体の剛性が15〜60mNであり、かつ前記可撓性ライナーの剛性が40〜120mNであることを特徴とするラベルである。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は包装材料に接着するラベル、ラベル表示方法、及び両面画像部材の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
商標を認識させ、包装品の中身を知らせ、包装品の中身の品質を表示し、製品の使用方法等の消費者向け情報や内容物の成分表示をするため、感圧ラベルが包装体に貼付されている。感圧ラベルへの印刷は、一般的には包装体もしくは印刷媒体に直接行われ、通常、グラビア印刷法で印刷されるか、又は包装体にフレキソグラフィが適用される。感圧ラベルに適用される情報としては、テキスト、グラフィック、及びイメージの3種類がある。包装体の中には、それらの情報のうち1種類しか必要としないものもあれば、2種類以上を必要とするものもある。
【0003】
包装体に貼付される従来のラベルとしては、面素材と、感圧接着剤と、ライナーとからなる形態のものが知られている。一般には、該面素材と、感圧接着剤と、ライナーとからなるラベル基材を積層してから、各種の非写真式印刷法によって印刷を施す。印刷後、一般には、オーバーラミネート材料又は保護コーティングによってラベルを保護する。この保護層と、印刷情報と、面素材と、感圧接着剤と、ライナー材料とからなるラベル完成品を、高速ラベル貼機で包装体に貼付する。
【0004】
フレキソグラフィは、印刷版をゴム又はフォトポリマーで製作するオフセット凸版印刷法である。印刷版の隆起面から被印刷材料の表面へインクを転写することにより、感圧ラベル上に印刷が行われる。グラビア印刷法は、印刷シリンダーの表面の下方に数千もの小さなセルがある印刷シリンダーを使用する。印刷シリンダーが圧ロールにおいて感圧ラベルと接触すると、セルからインクが転写される。フレキソグラフィ又はグラビアの印刷用インクには、溶剤系インク、水性インクおよび輻射線硬化型インクが含まれる。グラビア法もフレキソグラフィ法も十分な画質が得られるが、これら2種の印刷法は、印刷シリンダー又は印刷版の作製にコスト及び時間がかかるため、100,000単位未満の印刷量では、セットアップコストやシリンダー又は印刷版のコストを通常は低減することができないので、割高になってしまう。
【0005】
最近、包装体表面に情報を印刷する方法としてデジタル式印刷法が成長しつつある。「デジタル式印刷」とは、電子デジタル文字又は電子デジタル画像を、デジタル情報を伝達可能な電子出力装置により印刷する手法である。デジタル式印刷法の主流は、インクジェットプリント方式と電子写真方式の二種類が挙げられる。
【0006】
1980年初頭にピエゾインパルス型ドロップ・オン・デマンド(DOD)式及び感熱DOD式のインクジェットプリンターが導入されたことによりインクジェットプリント方式が誕生した。これらの初期型プリンターは非常に印刷速度が遅いうえ、インクジェットノズルもしばしま目詰まりを起こした。1990年代に、Hewlett Packard社が最初のモノクロ式インクジェットプリンターを導入し、その後間もなくカラー式ワイドフォーマット型インクジェットプリンターの導入によりグラフィックアーツ市場への参入が可能となった。今日では、包装用、デスクトップ用、工業用、商業用、写真用、及び織物用に多くの様々なインクジェットプリント方式が採用されている。
【0007】
ピエゾ技法では、ピエゾ結晶に電気刺激を与えて圧力波を発生させることにより、インクをインク室から押し出す。インクを帯電させて電場で曲げることにより、様々な文字を作り出すことができる。最近の開発により、導電性ピエゾセラミック材料を利用するDODマルチジェットが導入された。該材料は、帯電時、流路内部の圧力を高め、ノズル先端からインク液滴を押し出す。この方法により、非常に小さなインク液滴を形成することができ、約1,000dpiという非常に高い解像度で高速の印刷が可能となった。
【0008】
最近まで、インクジェット用インクに着色顔料を使用することは一般的ではなかった。しかしながら、これが急速に変化しつつある。インクジェット用のサブミクロン顔料が日本で開発された。顔料を使用することにより、感熱式インクジェットプリンター及びラミネーションに必要とされる耐熱性の高いインクが得られる。着色水性ジェットインクが市販されており、UV硬化性ジェットインクは開発中である。着色インクは耐光堅牢性が高く、耐水性も高い。
【0009】
インクジェットプリント方式は、短時間かつ低コストでカラープリントを行うことができるため、印刷産業を革新する可能性を秘めている。しかしながら、現段階では、インクジェットプリント方式において大きな改良が求められている。その1つとしては、印刷速度の向上である。この問題は、プリンターが迅速に取り扱うことができるデータ量の限界にあることに起因する。デザインが複雑になるほど、印刷プロセスは遅くなる。今のところ、対応するデジタル静電写真式プリンターの1/10の速度である。
【0010】
電子写真方式は、1930年代にChester Carlsonによって発明された。1970年代初頭までに、多くの会社で電子写真方式のカラー複写機の開発が行われていた。カラー複写機の製造技術はすでに熟していたが、市場における需要が十分になかった。顧客のカラー複写機に対する要求が適当な静電カラー複写機を開発するのに必要なインセンティブを生み出すまで、さらに年月を要した。1970年代後期までは、文書を走査し、イメージを電子信号に変換し、それらを電話回線により送信するファックス装置を使用し、そして別のファックス装置により電子信号を受け取り、原画像を感熱紙に印刷して印刷複製物を得るという企業は少数であった。
【0011】
1993年に、IndigoとXeikonは、シート供給式リソグラフプリンターが主流であった製品サイクルが短い市場をターゲットにして市販型デジタル印刷装置を投入した。オフセット印刷法に用いられるネガや印刷版に関連する中間工程を省くことにより、所要時間が短縮され、顧客サービスが向上する。これらのデジタル印刷機は、伝統的なゼログラフィの特性の一部を共有するが、非常に特殊なインクを使用する。従来の写真複写機のためのインクとは異なり、これらのインクは1μm範囲の非常に小さい粒径成分でできている。ゼログラフィに用いられる乾式トナーの大きさは、通常は8〜10μmの範囲内である。
【0012】
1995年に、Indigo社は、柔軟な包装用製品に印刷するためのOminus印刷機を導入した。Ominusは、6色を有するワン・ショット・カラーと呼ばれるデジタル式オフセットカラープロセスを使用する。重要な改良点は、透明基材のために特殊な白色エレクトロインクを使用したことにある。Ominumウェブ供給型デジタル式印刷装置は、カラー画像を基材へ転写するオフセットシリンダーを使用して各種基材の印刷を可能にする。原理的には、被印刷基材にかかわらず完璧な見当合わせが可能であり、この方法によれば紙、フィルム及び金属への印刷が可能である。このデジタル印刷方式は電子写真プロセスに基づく。すなわち、まずコロナ放電で光導電体を帯電させ、その光導電性表面を像様露光することにより、光導電体の表面に静電画像を作り出す。
【0013】
その後、帯電した静電潜像を、該像上の電荷とは逆の電荷を有するインクを使用して現像する。このプロセス部分は、写真複写機に関連する静電トナーのプロセスに類似する。光導電体表面に形成された静電潜像を、液体トナーの電気泳動的転写によって現像する。次いで、この静電トナー像を高温ブランケットへ転写し、ここでトナーを凝集し、かつ、粘着状態に維持し、その後それを基材へ転写してインクを冷却することにより指触乾燥プリントが得られる。
【0014】
エレクトロインクは、一般的には、鉱物油と揮発性有機化合物を含む。該インクは、熱可塑性樹脂が高温で融合するように設計される。実際の印刷プロセスでは、樹脂が凝集し、そしてインクが基材へ転写される。インクを加熱して乾燥させる必要はない。インクは基材上に実質的に乾燥状態で付着するが、冷却されて室温に到達するにつれ指触乾燥状態となる。
【0015】
数十年にわたり、「マグネットグラフィ」と呼ばれる磁気デジタル技法が開発中である。この方式は、磁性シリンダー上に電気画像を作り出し、インクに磁性トナーを使用して画像を作り出すというものである。この方式の潜在的利点は、印刷速度が速いことにある。試験では200m/分という速度が示されている。これらの磁気デジタル式プリンターは黒白コピーに限定されているが、カラー磁性インクの開発によって、この高速デジタル技法は経済的に実施可能となることが見込まれる。その成長の鍵は、VHSM(超高速磁気)ドラム及びカラー磁性インクのさらなる開発にある。
【0016】
磁気デジタル分野では、Nipson Printing Systems (Belfort, France)によって、マグネットリソグラフィと呼ばれるハイブリッド方式が構築され、狭いウェブについて試験され、そして短時間用途が開発されている。該方式は高解像度を提供し、試験はシリコン系の高密度マグネットグラフィヘッドを用いて行われている。この方式をインクジェットプリント方式や電子写真方式に匹敵するようにするためには、インクについてさらに研究開発することが必要である。しかしながら、この方式は、高速印刷が可能であることから、今日のインクジェットプリント方式や電子写真方式が遅れをとっているラベル用途について魅力的な代替法となる。
【0017】
誕生日や休暇といった特別の行事を保存するためのプリントとして写真材料を使用することが知られている。写真材料はまた、広告に利用される大規模表示材料にも使用されている。写真材料は、摩擦、水又は曲げにより汚損されやすいのでデリケートであり、かつ、コストもかかる高品位製品として知られている。写真は、伝統的に、脆弱でデリケートであると同時に価値が高いことから、フレームやフォトアルバムの中に、かつ、保護材料の裏側に入れられる。写真は、顧客にとって、生活での重要な行事を記録し保存するための贅沢品と考えられている。写真はまた、広告用としては高価な表示材料であるとも考えられている。写真は、その贅沢品としてのステータスから、その他の商業領域においては用いられていない。
【0018】
最近の大量消費財のマーケティングは、より小さなグループに個別にアプローチするためにマーケティングを集中させようとする傾向がある。これらのグループは、地域別、民族別、性別、年齢別、又は特定の趣味別に分けられることができる。このような異なるグループにアプローチするためには、これらのグループに特に向いた包装を提供する必要がある。上述したように、従来の包装材料は一般に長時間用途に適しており、短時間用途の包装を迅速に変更したりすることは不可能であるか又は非常にコストがかかる。さらに、最近では、短時間用途に適した迅速写真処理装置が利用できるようになっている。また、比較的長期の連続高速運転が可能なハロゲン化銀処理装置も利用することができる。低コストの包装に適した写真材料と迅速な短時間及び長時間運転に利用できる処理装置との組合せにより、ハロゲン化銀材料をラベルに利用する機会がもたらされた(例えば、特許文献1参照。)。このハロゲン化銀材料を用いるにより、少ない数量を低コストで短期間で作製するという目的は達成された。しかし、ハロゲン化銀材料は、現像工程が必要であり、設備として、暗室、水源が必要であったり、廃液の処理が必要であったり、依然不便な点が多い。また、露光、現像と2工程が必要であり、さらなる作製時間の短縮化が求められる。
【0019】
【特許文献1】
特開2002−328447号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、被着体に貼付されるラベルであって、短時間で作製でき、高品位の画像を有するラベルを提供することにある。
本発明の別の目的は、被着体におけるラベル表示を短時間で容易に行うことができるラベル表示方法を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、高品位の画像を有する両面画像部材を短時間で容易に形成することができる両面画像部材の形成方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する手段は以下の通りである。即ち、
<1> 支持体上に少なくとも感熱記録層を有する感熱記録材料の支持体に、接着剤層を介して可撓性ライナーが貼付され、前記支持体の剛性が15〜60mNであり、かつ前記可撓性ライナーの剛性が40〜120mNであることを特徴とするラベルである。
<2> 前記可撓性ライナーが、セルロース繊維紙を含むことを特徴とする前記<1>に記載のラベルである。
<3> 前記可撓性ライナーが、さらに、二軸延伸ポリマーシートを含むことを特徴とする前記<2>に記載のラベルである。
<4> 前記二軸延伸ポリマーシートが、前記セルロース繊維紙よりも接着剤層側に位置することを特徴とする前記<3>に記載のラベルである。
<5> 前記可撓性ライナーの厚さが、75〜225μmの範囲内であることを特徴とする前記<1>から<4>のいずれかに記載のラベルである。
<6> 前記可撓性ライナーの引張強度が120MPa以上であることを特徴とする前記<1>から<5>のいずれかに記載のラベルである。
<7> 前記可撓性ライナーの接着剤層側にシリコーンコーティングが施されていることを特徴とする前記<1>から<6>に記載のラベルである。
<8> 前記支持体の厚さが、40〜75μmの範囲内であることを特徴とする前記<1>から<7>のいずれかに記載のラベルである。
<9> 前記支持体が、配向ポリオレフィン又は配向ポリエステルを含むことを特徴とする前記<1>から<8>のいずれかに記載のラベルである。
<10> 感熱記録層と、15〜60mNの剛性を有する支持体と、該支持体に対して接着剤により接着された40〜120mNの剛性を有する可剥性ライナーとを含むラベルを用い、感熱記録装置により前記ラベルに感熱記録画像を印画し、前記可撓性ライナーを剥離し、前記ラベルを被着体に接着させることを特徴とするラベル表示方法である。
<11> 印画された感熱記録画像に、さらに、インクジェット記録領域を設けることを特徴とする前記<10>に記載のラベル表示方法である。
<12> 感熱記録層と、15〜60mNの剛性を有する支持体と、該支持体に対して接着剤層により接着された40〜120mNの剛性を有する可剥性ライナーとを含むラベルを用い、感熱記録装置により前記ラベルに感熱記録画像を印画し、前記ラベルを切断して2つの半ラベルとし、該半ラベルの各可撓性ライナーを剥離し、前記2つの半ラベルの接着剤層同士を貼り合わせることにより、各面に1以上の感熱記録画像を配設させることを特徴とする両面画像部材の形成方法である。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明のラベルは、支持体上に少なくとも感熱記録層を有する感熱記録材料の支持体に、接着剤層を介して可撓性ライナーが貼付され、前記支持体の剛性が15〜60mNであり、かつ前記可撓性ライナーの剛性が40〜120mNであることを特徴としている。
また、本発明のラベル表示方法は、感熱記録層と、15〜60mNの剛性を有する支持体と、該支持体に対して接着剤により接着された40〜120mNの剛性を有する可剥性ライナーとを含むラベルを用い、感熱記録装置により前記ラベルに感熱記録画像を印画し、前記可撓性ライナーを剥離し、前記ラベルを被着体に接着させることを特徴としている。
さらに、本発明の両面画像部材の形成方法は、感熱記録層と、15〜60mNの剛性を有する支持体と、該支持体に対して接着剤層により接着された40〜120mNの剛性を有する可剥性ライナーとを含むラベルを用い、感熱記録装置により前記ラベルに感熱記録画像を印画し、前記ラベルを切断して2つの半ラベルとし、該半ラベルの各可撓性ライナーを剥離し、前記2つの半ラベルの接着剤層同士を貼り合わせることにより、各面に1以上の感熱記録画像を配設させたことを特徴としている。
以上、本発明は、いずれの態様においても、15〜60mNの剛性を有する支持体と該支持体に対して接着剤により接着された40〜120mNの剛性を有する可剥性ライナーとを含むラベルである(を用いる)ため、感熱記録装置の搬送系により好適に搬送することができ、また迅速に感熱記録画像を印画することができる。以下、先ず本発明のラベルについて説明する。
【0023】
<ラベル>
本発明のラベルにおいては、薄くて柔軟性があり、しかも頑丈な感熱記録材料を利用することにより、多くの優れた特性を有するラベルが得られる。本発明のラベルが貼付された包装材料は、包装において現在利用できるいかなるものよりも、明るく、鮮鋭で、かつ、色彩の高い画像を提供することができる。本発明のラベルが貼付された包装材料は、現存する包装材料にはない画像の深みを有する。本発明のラベルが貼付された包装材料は、シャンプーボトル、香水ボトル及びフィルムボックスのような容器の適当な感圧ラベル表示である各種パッキング材料を提供することができる。本発明のラベルは、優れた画像を有しつつ、低コストでありながら強い強度を提供する薄い支持体の上で利用することができる。本発明のラベルは、感熱記録装置により画像形成されるので、短時間で製造することができ、しかもある画像から別の画像へと適宜迅速に切り換えることができる。
【0024】
本発明のラベルによると、該ラベルを貼着した包装体を迅速に設計して市場に送り込むことができる。例えば、スポーツやエンターテイメントにおける重要な行事の画像を事実上即座にマーケットに出すことができる。デジタル画像は、感熱記録装置により印刷され、当該行事から即座に利用することができるからである。このことは、感圧ラベルのためのリード時間が通常数週間も要するグラビア又はフレキソグラフィ系の画像形成法とは対照的である。さらに、例えば、地域によって異なる画像の注文生産を迅速に行うことができる。また、本発明のラベルは、露光・現像工程を有するハロゲン化銀による画像を用いた場合と比較しても、短時間で作製することができる。
【0025】
また、本発明のラベルを用いると、ラベルの表示内容を迅速に変更することができるため、国毎に言語やマーケティングテーマが異なる地域別ラベル表示を提供することができる。さらに、国が異なると、内容物に関するラベル表示要件も異なってくる。例えば、ワインやビールのようなアルコール飲料は、ラベル表示要件が地域別、国別にバリエーションの幅が広い。フランス産ワインは、他国での国内用ラベル表示を待つためにフランスからの輸出の遅れが長期にわたることがある。また、高級なワイン、香水及びチョコレートのようなプレミアム製品には感熱記録画像が特に望ましい。感熱記録画像は高画質であり、当該製品の高品質を包装体に反映させられるからである。
【0026】
本発明のラベルにおいては、印刷版や印刷シリンダーのコストが省けるので、短時間用途の印刷も低コストで行うことができる。感熱記録画像をラベルに適用して使用するため、一般的な画質の低い6色グラビア印刷画像と比較しても、高画質が得られる。
【0027】
感熱記録方式は、感圧ラベル上にテキスト、及びグラフィクスを同時に印刷することができる。感熱記録方式はデジタル方式に適合しているので、ラベル毎に印刷する画像を異ならせることができ、印刷版やシリンダーの余計な出費を伴うことなくラベルを個別に注文生産することができる。さらに、デジタルファイルの印刷により、当該ファイルをインターネットのような電子データ伝送技術を使用して転送することができ、よって包装体への印刷にかかるサイクル時間を短縮することができる。感熱記録方式は、現行のインクジェットプリント方式又は電子写真印刷エンジンに匹敵する印刷速度が得られる。
【0028】
本明細書において使用される「頂部」、「上部」、および「表」という用語は、ラベルの感熱記録層を担持している側又はその方向を意味する。環境保護層とは、記録後の感熱記録層に適用される層を意味する。「面素材」及び「基材」は、感熱記録層が適用される材料を意味する。「底部」、「下側」、「ライナー」及び「裏」は、当該ラベルの感熱記録層側とは反対側又はその方向を意味する。
【0029】
[支持体]
前述のように、本発明において用いる支持体は、15〜60mNの剛性を有する支持体である。支持体の剛性が15mN未満であると、貼付機での搬送貼付けが難しく、60mNを超えると、貼付けが難しくなり不必要にコストが高くなる。支持体の剛性は、より好ましくは、20〜40mNである。
【0030】
感熱記録層が形成される本発明に用いられる支持体は、自動化包装装置において、ラベルの各種容器への貼付について効率的に性能発揮することも必要である。好ましい支持体はセルロース紙である。セルロース紙支持体は、ポリマー支持体に比べて柔軟性があり、強く、しかもコストが低い。さらに、セルロース紙支持体によると、包装用途によっては望ましい場合があるテキスチャー付きラベル面が可能である。紙には防水用のコーティングを付与することができる。好適なコーティングの一例としてアクリルポリマー又はポリエチレンが挙げられる。
【0031】
ポリマー支持体は、耐引裂性があり、コンフォーマビリティに優れ、耐薬品性が良好で、しかも高強度であることから、別の好ましい支持体となる。好適なポリマー支持体として、配向ポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレンのような配向ポリオレフィン、ポリプロピレンやポリエチレンのような流延ポリオレフィン、ポリスチレン、アセテート及びビニルが含まれ、中でも特に、配向ポリオレフィン、配向ポリエステルが好ましい。ポリマーは、強くて柔軟であり、感熱記録層のコーティングとして優れた表面を提供するので好ましい。
【0032】
二軸延伸ポリオレフィンシートは、低コストであり、感熱記録層を最適化する優れた光学特性を有し、しかも高速ラベル貼付装置において包装体に適用可能であることから好ましい。ミクロボイドを有する複合二軸延伸シートは、そのボイド層がTiO2によらずとも不透明性と明るさを付与するので、最も好ましい。ミクロボイドを有する二軸延伸シートは、コア層と表面層とを同時押出し、次いで二軸延伸してコア層に含まれるボイド発生材料の周囲にボイドを形成させることにより製造され、便利である。このような複合シートは米国特許第4,377,616号、同第4,758,462号、同第4,632,869号及び同第5,866,282号に記載されている。必要に応じて、二軸延伸ポリオレフィンシートを紙シートの片面又は両面にラミネートすることにより剛性の一段と高いラベルを形成することもできる。
【0033】
柔軟性ポリマー支持体は2層以上を含有することができる。柔軟性支持体の表皮層は、先にコアマトリックスについて列挙したものと同一の高分子材料でできていてもよい。複合シートは、コアマトリックスと同一の高分子材料の表皮でできていてもよいし、また、コアマトリックスとは異なる高分子材料の表皮でできていてもよい。適合性を考慮し、表皮層のコアへの密着性を高めるために補助層を使用することもできる。
【0034】
柔軟性支持体のボイド生成材料は、各種材料の中から選ぶことができ、コアマトリックスポリマーの質量に対して約5〜50質量%の範囲内の量で存在させるべきである。ボイド生成材料は高分子材料を含むことが好ましい。高分子材料を使用する場合、コアマトリックスを製造するポリマーと溶融混合することができ、懸濁液を冷却した際に分散球形粒子を形成することができるポリマーであることができる。この例として、ポリプロピレンに分散したナイロン(R)、ポリプロピレンに分散したポリブチレンテレフタレート、又はポリエチレンテレフタレートに分散したポリプロピレンが挙げられる。ポリマーを予め付形しておいてマトリックスポリマーに配合する場合、重要な特性は該粒子の大きさと形状である。球体が好ましいが、それは中空体であっても中実体であってもよい。これらの球体は、式:Ar−C(R)=CH2(式中、Arは芳香族炭化水素基又はベンゼン系列の芳香族ハロ炭化水素基を表し、Rは水素又はメチル基を表す)で表されるアルケニル芳香族化合物;式:CH2=C(R’)−C(O)(OR)(式中、Rは水素及び炭素原子数約1〜12のアルキル基からなる群より選ばれ、R’は水素及びメチルからなる群より選ばれる)で表されるモノマーを含むアクリレート系モノマー;塩化ビニルと塩化ビニリデン、アクリロニトリルと塩化ビニル、臭化ビニル、式:CH2=CH(O)COR(式中、Rは炭素原子数2〜18のアルキル基である)で表されるビニルエステルのコポリマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、オレイン酸、ビニル安息香酸;テレフタル酸及びそのテレフタル酸ジアルキル又はエステル形成性誘導体と、式:HO(CH2)nOH系列(式中、nは2〜10の全数である)のグリコールとの反応により合成された合成ポリエステル樹脂であってポリマー分子内に反応性オレフィン結合を有するもの、からなる群より選ばれた部材である架橋ポリマーから製造することができる。上記ポリエステルは、最大20質量%まで、反応性オレフィン系不飽和を有する第2の酸又はそのエステル及びその混合物を共重合させて含み、また、ジビニルベンゼン、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジアリルフマレート、ジアリルフタレート及びそれらの混合物からなる群より選択された架橋剤を含む。
【0035】
架橋ポリマーボイド生成粒子を製造するための典型的なモノマーの例として、スチレン、アクリル酸ブチル、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、エチレングリコールジメタクリレート、ビニルピリジン、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、塩化ビニルベンジル、塩化ビニリデン、アクリル酸、ジビニルベンゼン、アクリルアミドメチル‐プロパンスルホン酸、ビニルトルエン、等が挙げられる。架橋ポリマーはポリスチレン又はポリ(メタクリル酸メチル)であることが好ましい。最も好ましくは、架橋ポリマーはポリスチレンであり、その架橋剤はジビニルベンゼンである。
【0036】
当該技術分野で周知の方法によると、粒径分布幅が広いことを特徴とする大きさが均一にならないボイド生成粒子が得られる。得られたビーズは、初期の粒径分布範囲にわたりビーズをスクリーニングすることによって分級することができる。懸濁重合法、限定凝集法のような他の方法によると、大きさが非常に均一な粒子が直接得られる。
【0037】
ボイド生成材料は、ボイドの発生を促進するための促進剤でコーティングすることができる。適当な促進剤又は潤滑剤として、コロイドシリカ、コロイドアルミナ、及び酸化錫や酸化アルミニウムのような金属酸化物が挙げられる。好適な剤はコロイドシリカ及びアルミナであり、最も好ましいのはシリカである。促進剤をコーティングした架橋ポリマーは、当該技術分野で周知の方法によって調製することができる。例えば、常用の懸濁重合法において当該剤を懸濁液に添加する方法が好適である。当該剤としてはコロイドシリカが好適である。
【0038】
ボイド生成材料は無機球体であってもよく、これには中実もしくは中空のガラス球体、金属もしくはセラミックビーズ又はクレー、タルク、硫酸バリウムもしくは炭酸カルシウムのような無機粒子が含まれる。重要なことは、当該材料がコアマトリックスポリマーと化学的に反応して下記の問題を1つでも引き起こさないことである:(a)マトリックスポリマーの結晶化速度論を変更することにより配向を困難にすること、(b)コアマトリックスポリマーを破壊すること、(c)ボイド生成粒子を破壊すること、(d)ボイド生成粒子をマトリックスポリマーに密着させること、又は(e)毒性部分もしくは高度着色部分のような望ましくない反応生成物を生じること。ボイド生成材料は写真活性を有してはならず、また、二軸延伸ポリオレフィンシートが使用されている写真要素の性能を劣化させてはならない。
【0039】
高分子支持体の最上表皮層の全厚は0.20μm〜1.5μm、好ましくは0.5μm〜1.0μmの範囲内にすることができる。0.02μm〜1.5μmであると、同時押出表皮層に固有の非平面性により、許容できないカラーバリエーションが生じることがなく、解像度などの写真光学特性が低下することなく好ましい。
【0040】
画像形成要素の色を変更するために柔軟性支持体の最上表皮層に添加物を添加してもよい。ラベル表示用途の場合、若干青味がかった白色支持体が好適である。若干の青味付けは、押出工程前に着色濃縮物を機械混合して所望の配合比率で予め配合しておいた青着色剤を溶融押出する方法をはじめとする当該技術分野で公知のどのような方法でも達成することができる。表皮層の同時押出には320℃を上回る温度が必要であるため、320℃よりも高い押出温度に耐え得る着色顔料が好ましい。本発明に用いられる青着色剤は、画像形成要素に悪影響を及ぼさないものであればどのような着色剤であってもよい。好適な青着色剤として、フタロシアニン系青顔料、クロモフタル系青顔料、イルガジン(Irgazin)系青顔料及びイルガライト(Irgalite)系有機青顔料が挙げられる。UVエネルギーを吸収して青領域にて広く発光するように表皮層に蛍光増白剤を添加してもよい。表皮層にTiO2を添加してもよい。表皮層にTiO2を添加しても該シートの光学性能に顕著に寄与することはないが、押出ダイライン及びスポットのようないくつかの製造上の問題を引き起こすことはある。表皮層は実質的にTiO2を含まないことが好ましい。0.20〜1.5μmの範囲内の層に添加されたTiO2は、支持体の光学特性を実質的に改良することはなく、設計コストを増大させ、そして押出プロセスでは望ましくない顔料ラインの問題を引き起こす。
【0041】
柔軟性支持体の光学特性を改良するためにコアマトリックス及び/又は1層以上の表皮層に添加物を添加することができる。このような添加物としては、二酸化チタンが好適であり、本発明では画像鮮鋭性又はMTF、不透明性及び白色度を改良するために用いられる。用いるTiO2はアナターゼ型であってもルチル型であってもよい。さらに、アナターゼ型TiO2とルチル型TiO2の両方を配合することにより白色度と鮮鋭性の両方を改良することができる。写真系に許容できるTiO2の例として、DuPont Chemical社製R101ルチルTiO2及び同R104ルチルTiO2が挙げられる。本発明では、当該技術分野において写真光学応答性を改良することが知られている他の顔料も使用することができる。当該技術分野において白色度を改良することが知られている他の顔料の例として、タルク、カオリン、CaCO3、BaSO4、ZnO、TiO2、ZnS、及びMgCO3が挙げられる。TiO2の好適なタイプは、ボイド含有層と共に画像白色度及び鮮鋭性を最適化することがわかったので、アナターゼ型である。
【0042】
二軸延伸シートを表面から観察する時に画像形成要素が紫外線照射時に可視スペクトルで発光するように柔軟性支持体に添加物を添加することができる。可視スペクトルで発光することにより、紫外エネルギーの存在下で支持体は所望のバックグラウンド色を有することができる。これは、画像を外部で観察する時には、太陽光が紫外エネルギーを含み、これを利用して消費者用途及び商業用途の画質を最適化することができるので、特に有用である。
【0043】
当該技術分野において青色スペクトルの可視光を発することが知られている添加物が好適である。消費者は、一般に、1つのb*単位内のb*がゼロであるとして定義される中性濃度最低値に対して負のb*として定義される画像の濃度最低領域よりも若干青味がかっていることを好む。b*はCIE(国際照明委員会)色空間の黄色/青色の測定値である。b*は正では黄色を示し、b*は負では青色を示す。青色スペクトルにおいて発光する添加物の添加により、画像の白色度を低下させる着色剤を添加することなく支持体の色味付けが可能となる。好適な発光はΔb*単位で1〜5の範囲内である。Δb*は、試料を紫外光源で照明した時と有意な紫外エネルギーを含まない光源で照明した時とのb*測定値の差として定義される。Δb*は、本発明の最上部二軸延伸シートに蛍光増白剤を添加して得られる正味の効果を求めるのに好適な測定値である。1b*単位未満の発光はほとんど認知できないので、b*変化量が1b*単位未満である時には二軸延伸シートへ蛍光増白剤を添加することはコスト的に有効ではない。5b*単位を上回る発光は、画像のカラーバランスを損ない、白色が青く見えすぎる。
【0044】
好適な添加物は蛍光増白剤である。蛍光増白剤は、紫外光を吸収してこれを可視青光として発する無色の蛍光性有機化合物である。蛍光増白剤の例として、4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸の誘導体、4−メチル−7−ジエチルアミノクマリンのようなクマリン誘導体、1,4−ビス(O−シアノスチリル)ベンゾール及び2−アミノ−4−メチルフェノールが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0045】
ボイドは柔軟性支持体の不透明性を増大させる。このボイド含有層は、TiO2、CaCO3、クレー、BaSO4、ZnS、MgCO3、タルク、カオリンその他の2層以上の前記フィルムにおいて高反射性白色層を提供する材料からなる群より選ばれた少なくとも1種の顔料を含有する層との併用も可能である。着色層とボイド含有層を組み合わせることにより、最終画像の光学性能において有利な効果が得られる。
【0046】
柔軟性支持体のボイド含有層は、亀裂や隣接層からの離層のような物理的破損に対して、中実層よりも弱い。特に、TiO2を含むボイド含有構造又はTiO2を含む層に近接しているボイド含有構造は、長期間の露光により機械特性を失い、また物理的破損を受けやすい。TiO2粒子はポリプロピレンの光酸化的分解を開始し、これを促進する。多層二軸延伸フィルムの少なくとも一層に、好ましい態様ではTiO2を含む層に、ヒンダードアミン系安定剤を添加することにより、最も好ましい態様としてはTiO2を含む層とその隣接する層との双方にヒンダードアミンを含めることにより、明所保存及び暗所保存の両方における画像安定性が改良される。
【0047】
ポリマー支持体は、前記フィルムの少なくとも一層に約0.01〜5質量%の安定化量のヒンダードアミンを含有することが好ましい。これらの量で二軸延伸フィルムの安定性が改良されるが、約0.1〜3質量%の好適な範囲により、明所保存及び暗所保存の両方における安定性の改良バランスに優れると同時に、当該構造体のコストが一層効果的になる。
【0048】
ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンを代表とするヒンダードアミン化合物の一般群から得ることができる。ヒンダードアミン系光安定剤という用語は、ヒンダードピペリジン類似体について使用することが受け入れられている。この化合物は、酸素存在下、ポリプロピレンの光酸化を妨害する安定なニトロキシル基を生成することにより、画像形成要素に優れた長期写真安定性を付与する。ヒンダードアミンは、最終製品における移行を極力抑えるに十分な分子量を有し、好適な濃度においてポリプロピレンと混和し、そして最終製品に色を付与することがない。好適な実施態様におけるHALSの例として、ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−4−ピペリジニル]−イミノ]−1,6−ヘキサンジイル[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]](Chimassorb 944 LD/FL)、Chimassorb 119、及びビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]ブチルプロパンジオエート(Tinuvin 144)が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0049】
さらに、柔軟性支持体は、ポリプロピレンの熱安定化に通常用いられているヒンダードフェノール系一次酸化防止剤のいずれかを単独で、又は二次酸化防止剤とを組み合わせて、含有することができる。ヒンダードフェノール系一次酸化防止剤の例として、ペンタエリトリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](例、Irganox 1010)、オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(例、Irganox 1076)、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチル)−4−ヒドロキシ−2[3−[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]−1−オキソプロピル]ヒドラジド(例、Irganox MD1024)、2,2’−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](例、Irganox 1035)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−ベンゼン(例、Irganox 1330)が挙げられるが、これらに限定はされない。二次酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト(例、Irgastab TPP)、トリ(n−プロピルフェニル−ホスファイト)(例、Irgastab SN−55)、2,4−ビス(1,1−ジメチルフェニル)ホスファイト(例、Irgafos 168)のような例をはじめとする有機アルキル及びアリールホスファイトが挙げられ、好適な態様にはIrgafos 168が含まれる。ヒンダードアミンに他の一次及び二次酸化防止剤を組み合わせると、溶融処理及び押出工程中のポリプロピレンのようなポリマーに熱安定性を付与し、さらには写真のような画像形成品の単層系においては自明ではない明所及び暗所保存特性を高めることにより、多層二軸延伸ポリマーシートにおいて相乗効果が得られる。これらの意外な結果により、画像形成品に利用できるポリマーの範囲が広がり、よってそれらの設計に高い特徴を導入することができる。
【0050】
多層同時押出型柔軟性支持体に含まれるいずれの層にも蛍光増白剤を添加することができる。好適な添加場所は、前記シートの露出面層又はその付近である。これにより、蛍光増白剤の濃度の効率化が可能となる。
【0051】
蛍光増白剤の所望の質量%の充填が、蛍光増白剤が支持体の表面に移行してきて感熱記録層中で結晶を形成する濃度に近づき始めた場合、露出層に隣接した層に蛍光増白剤を添加することが好ましい。蛍光増白剤を使用する従来の画像形成支持体では、画像形成層内への移行を防止するために高価なグレードの蛍光増白剤を使用する。感光性ハロゲン化銀画像形成系の場合のように、蛍光増白剤の移行が問題となる時、好適な露出層は蛍光増白剤を実質的に含まないポリエチレンを含む。この場合、露出層に隣接した層からの移行は、露出面層が蛍光増白剤に対してバリヤとして作用するため有意に減少し、画質を最適化するためにはるかに多量の蛍光増白剤を使用することが可能となる。さらに、露出層に隣接した層に蛍光増白剤を配置することにより、実質的に蛍光増白剤を含まない露出層としてより安価な蛍光増白剤を使用することができ、蛍光増白剤の著しい移行が防止される。本発明の二軸延伸シートにおける蛍光増白剤の望ましくない移行を抑える別の好ましい方法は、露出面に隣接する層にポリプロピレンを使用する方法である。
【0052】
柔軟性二軸延伸基材はミクロボイドを含有するコアを有するものが好ましい。ミクロボイド含有コアは、画像形成支持体の不透明性及び白色度を増大させ、さらには画質を改良する。ミクロボイド含有コアの画質の利点と、紫外エネルギーを吸収して可視スペクトルで発光する材料とを組み合わせることにより、画像支持体は、紫外エネルギー照射時に色味を示し、室内光のような有意な紫外エネルギーを含まない照明下で画像を観察した時にも優れた白色度を保持することができるので、画質のユニークな最適化が可能となる。
【0053】
柔軟性支持体の同時押出、急冷、延伸及びヒートセット処理は、フラットシートプロセスやバブル法又はチューブラ法によるような配向シートを製造するための当該技術分野で知られているいずれの方法によっても行うことができる。フラットシートプロセスは、配合物をスリットダイから押し出して、押し出されたウェブを冷却キャスティングドラム上で急冷することにより、シートのコアマトリックスポリマー成分及び表皮成分をガラス凝固温度よりも低温に冷却するという方法である。次いで、急冷したシートを、当該マトリックスポリマーのガラス転移温度よりも高いが溶融温度よりも低い温度において相互に直交する方向に延伸することにより二軸延伸する。シートの延伸は、一方向において行ってから第二方向において行ってもよいし、両方向同時に行ってもよい。シートを延伸した後、該シートを両延伸方向における収縮をある程度抑えながら、ポリマーを結晶化させてアニールするのに十分な温度に加熱することによってヒートセットする。
【0054】
ミクロボイドを有するコアの上にボイドを含まない表皮を少なくとも1つ設けることにより、柔軟性支持体の引張強さが増し、シートの製造適性も高くなる。引張強さが増大することにより、すべての層にボイドを含むシートを製造する場合と比べ、シートの幅を拡張し、また延伸比を高くすることができる。複数の層を同時押出することにより、製造工程がさらに簡略化される。
【0055】
柔軟性支持体は、透明なものが好ましい場合がある。透明な柔軟性支持体を使用することにより、ラベルを通して包装体の中身が観察できるラベル表示用途に特に有用な透明ラベルが得られる。例として、ワインボトルラベル表示、シャンプーボトルラベル表示及び透明又は着色ガラスを使用する飲料ボトルが挙げられる。本発明における「透明」材料は、分光透過率が90%を超える材料として定義される。画像形成要素の場合、分光透過率は、透過出力の入射出力に対する比率であり、式:TRGB=10−D×100による百分率で表される。式中、Dは、X−Riteモデル310(又は相当する)写真透過濃度計によって測定された赤、緑及び青のステータスA透過濃度の平均値である。
【0056】
ほとんどの用途では、光透過率が20%未満である柔軟性支持体が好適である。光透過率が20%未満であることにより、反射性の高い優れた不透明ラベルが得られる。暗くて画質を損なうであろうバックグラウンドに対するラベル表示の場合、不透明で反射性の高いラベルが有用である。一例として黒い包装体にラベル表示する場合が挙げられる。支持体の光透過率が20%よりも高いと、画像が暗くなり、顔の細部のような低濃度詳細部が消失することになる。
【0057】
支持体の厚さとしては、40〜75μmとすることが好ましく、45〜65μmとすることがより好ましい。支持体の厚さを40〜75μmとすることにより、不必要にコスト高となることがなく、搬送もしやすくなり好ましい。
【0058】
[可撓性ライナー]
前述のように、本発明において用いる可撓性ライナーは、40〜120mNの剛性を有する。可撓性ライナーの剛性が40mN未満であると、貼付機での搬送、貼付けが難しくなり、120mNを超えると、貼付けが難しくなり、不必要にコストが高くなる。可撓性ライナーの剛性は、より好ましくは、50〜100mNである。
【0059】
本発明のラベルには、感熱記録装置の内部を効率的に搬送することができる可撓性ライナーが具備されている。従来のライナー材料は、縁部案内にとって十分な剛性を有していない。本発明のラベルによると、効率的な画像処理も可能となる。従来の紙ライナー材料のように、画像形成用薬剤が吸収されて後続の処理工程に持ち込まれることがないからである。
【0060】
本発明のラベルを製造するため、支持体、接着剤、感熱記録層を担持する可撓性ライナーは、製造、画像印刷、ラベル変換及びラベル適用装置においての搬送を効率的に行えることができるため好ましい。
【0061】
本発明のラベルにおいては、ラベル貼付装置の中を搬送できるようにするため、包装体へラベルを付着させるのに必要な接着剤を、剥離可能な可撓性ライナーにより保護している。可撓性ライナーにより、搬送における強度を確保することができ、かつ、包装体へ適用される前の接着剤層を保護することができる。可撓性ライナーは、セルロース繊維紙を含むことが好ましい。セルロース繊維紙を有する可撓性ライナーは、柔軟性があり、強く、しかもポリマー基材に比べ低コストである。セルロース紙基材は、包装用途によっては望ましいとされ得る質感のある(textured)ラベル表面とすることができる。さらに、可撓性ライナーは、二軸延伸ポリマーシートを含むことが好ましい。二軸延伸ポリマーシートを含むことにより、さらに強度を増すことができ好ましい。
【0062】
また、可撓性ライナーは、セルロース繊維紙と二軸延伸ポリマーシートとを含む場合、前記セルロース繊維紙よりも接着剤層側に位置することが、搬送性を良好にする点において好ましい。
【0063】
好適な可撓性ライナーの材料の他の例としては、ポリマーの配向シートである。可撓性ライナーは、配向プロセスで強度及び靭性が発揮されるため、配向ポリマーであることが好ましい。ライナー基材として好適なポリマーに、ポリオレフィン、ポリエステル及びナイロン(R)がある。好適なポリオレフィンとして、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリブチレン及びこれらの混合物が挙げられる。ヘキセン、ブテン及びオクテンのようなエチレンとプロピレンのコポリマーをはじめとするポリオレフィンコポリマーも有用である。中でも、ポリエステルが最も好ましい。これは、ラベルを高速ラベル貼付装置において効率的に搬送するのに必要な望ましい強度及び靭性を有するからである。
【0064】
さらに別の例としては、紙心材に配向ポリマーシートを積層してなる可撓性ライナーがある。積層型の可撓性ライナーが好ましい理由は、ポリマーの配向シートは引張強度を付与することにより該ライナーの厚さをコート紙よりも薄くすることができるからである。
【0065】
可撓性ライナーの引張強度又は基材が破断する際の引張応力は、重要な搬送及び形成パラメータである。引張強度はASTM D882試験法によって測定される。引張強度は120MPa以上であることが好ましい。引張強度が120MPa以上の可撓性ライナーは、自動包装装置において搬送時、形成時及び包装体への適用時に破損することがないからである。可撓性ライナーの摩擦係数、すなわちCOFは、自動ラベル貼付装置における搬送及び形成効率に関係するので、重要な特性である。COFは、ある表面上を移動する物品の質量の、該表面と該物品との間の接触を維持する力に対する比率である。COFを数学的に表現すると以下のようになる。COF=μ=(摩擦力/法線力)
【0066】
可撓性ライナーのCOFは、その静的及び動的両方のCOFを測定するためのステンレススチールスレッドを使用するASTM D−1894によって測定される。本発明のライナーに好適なCOFは0.2〜0.6の範囲内である。一例として、ピック・アンド・プレース用途に用いられるラベルの上にコーティングするためには0.2COFが必要である。ラベルを拾いそれを別の地点に移動させる機械式装置を使用する作業では、該ラベルがその下方のラベルの表面上を容易にスライドするようにCOFが低いことが必要である。反対に、ブックカバーのような大きなシートは、貯蔵の際に積み重ねたときにスリップして横滑りしないように、0.6COFが必要である。場合によっては、片面のCOFが高く、その反対面のCOFが低い材料が必要となることもある。通常は、プラスチックフィルム、ホイル又は紙基材のような支持体自体が、片面に必要なCOFを提供する。適当なコーティングを適用することにより、画像形成面のCOF値が高くなるように又は低くなるように調節することができる。両側の一方に二種類のコーティングを使用できることも想定される。COFは静的であっても動的であってもよい。静摩擦係数は、2つの表面間が、実際には移動していないが、移動し始める時点での値である。動摩擦係数は、2つの表面が相互に一定速度で実際にスライドしている時の値を意味する。COFは、通常、表面に置いたスレッドを使用して測定する。スライド開始時に必要な力が静的COFの測定値となる。一定の長さにわたり一定速度でスレッドを引っ張ることにより動摩擦力値が得られる。
【0067】
本発明に係る可撓性ライナーの厚さは75〜225μmの範囲内であることが好ましい。可撓性ライナーの厚さは、コスト効率のよい設計を達成するために引張強さ又は機械的弾性率として表現される可撓性ライナーの強度を、可撓性ライナーの厚さとバランスさせなければならない点で重要である。例えば、高強度の厚い可撓性ライナーは、ロール径を一定とした場合に薄い可撓性ライナーと比較してロール長が短くなるので、コスト効率がよくない。可撓性ライナーの厚さが75〜225μmであると、感熱記録装置内での搬送不良を引き起こすことなく、製造効率を向上させることができる。
【0068】
本発明のラベルにおいて、可撓性ライナーに帯電防止剤を含有又はコーティングすることが好ましい。このような帯電防止剤の表面電気抵抗率としては、1011Ω/□以上であることが望ましい。最も好ましい実施態様において、帯電防止剤は、酸化錫及び五酸化バナジウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の材料を含む。
【0069】
本発明において、可撓性ライナーの接着剤層側に、再定置するために剥離層を設けることが好ましい。剥離層により、接着剤層と支持体との界面での均一分離が可能になる。剥離層は、剥離層を可撓性ライナーへ適用するための当該技術分野で公知のいずれの方法によっても適用することができる。例として、シリコーンコーティング、テトラフルオロエチレンフルオロカーボンコーティング、フッ素化エチレンプロピレンコーティング及びステアリン酸カルシウムが挙げられる。
【0070】
[接着剤層]
本発明のラベルでは、高速包装装置を使用して包装体表面にラベルを貼付できるようにするため、接着剤を使用する。「剥離可能な分離」、「剥離強度」又は「分離力」は、当該ラベルを適用した被着体からラベルを分離するのに要する力の測定値である。剥離強度は、原子価力もしくはかすがい作用又はその両方からなるラベル接着剤の内部力によって互いに保持されている2つの表面を分離するのに要する力である。剥離強度は、インストロンゲージを使用し、試料を180°方向に1.0m/分のクロスヘッド速度で剥離することにより測定される。試料幅は5cmで、剥離距離は10cmである。
【0071】
剥離可能な接着剤を使用することにより、消費者はラベルを被着体から分離することができる。ラベルが被着体から分離できることにより、例えば、リベートクーポンを包装体(被着体)に貼付し、又は販促に使用することができる。剥離可能な写真ラベル接着剤の場合、ラベルと被着体との間の好適な剥離強度は80g/cm以下である。剥離強度を80g/cm以下とすることにより、支持体を破損することなく、ラベルを被着体から容易に剥離することができる。
【0072】
画像を可撓性ライナーから分離する際、本発明の剥離可能なラベル接着剤は、20g/cm〜100g/cmの範囲内の再定置剥離強度を有することが好ましい。再定置剥離強度は、ラベル接着剤を含む分離された画像を、23℃及び50%RHの条件下でステンレススチールブロックから剥離するのに要する力である。再定置剥離強度が20〜100g/cmであると、ラベル接着剤は、冷蔵庫やフォトアルバムのような各種表面に付着したままでいるのに十分な剥離強度が得られるとともに、後に画像を再定置することが容易となる。
【0073】
本発明における剥離可能な接着剤層は、単層であっても二層以上であってもよい。接着剤層が二層以上ある場合、接着剤層の1つがラベルベースに優先的に付着する。画像が可撓性ライナーから分離すると、接着剤を再定置のためにラベルベースに付着させることができる。
【0074】
本発明において接着剤層は、感熱記録層と相互作用することにより画質を劣化させることがあってはならない。接着剤層を構成する接着剤は、画像を表面付着により所望の表面に結合できるものであれば、無機系であっても有機系であっても、また天然系であっても合成系であってもよい。無機系の接着剤の例として、可溶性シリケート、セラミック、及び熱硬化性粉末ガラスが挙げられる。有機系の接着剤は天然系であっても合成系であってもよい。天然系の接着剤の例としては、骨グルー、大豆スターチ、セルロース類、ゴムラテックス、ガム、テルペン、ゴム糊、及び炭化水素樹脂が挙げられる。合成系の接着剤の例としては、エラストマー溶剤、ポリスルフィドシーラント、イソブチレン及びポリ酢酸ビニルのような熱可塑性樹脂、エポキシ、フェノールホルムアルデヒド、ポリビニルブチラール、及びシアノアクリレートのような熱硬化性樹脂並びにシリコーンポリマーが挙げられる。
【0075】
単層又は多層の接着剤層について、好適な接着剤組成物は、天然ゴム、合成ゴム、アクリル樹脂、アクリル系コポリマー、ビニルポリマー、酢酸ビニル系、ウレタン系、アクリレート系材料、塩化ビニル‐酢酸ビニルのコポリマー混合物、ポリビニリデン、酢酸ビニル‐アクリル酸系コポリマー、スチレンブタジエン、カルボキシル化スチレンブタジエン系コポリマー、エチレン系コポリマー、ポリビニルアルコール、ポリエステル及びコポリマー、セルロース類及び変性セルロース、スターチ及び変性スターチ化合物、エポキシ、ポリイソシアネート、ポリイミドからなる群より選択される。
【0076】
水性感圧接着剤により、溶剤を排出しないという製造工程上の利点が得られる。接着剤層にランダム分布した非写真ラベル接着剤中実粒子を含有する再定置可能な剥離可能な接着剤は、プリントを粘着した後に剥離して所望の最終結果を得ることができる能力を助長する。最も好適な剥離可能な接着剤は、イソオクチルアクリレート/アクリル酸コポリマーのような永久写真ラベル接着剤約5〜20質量%とアクリレート微小球のような粘着性エラストマー材料約95〜80質量%と含有する再定置可能な接着剤層であって、その被覆量を約5〜20g/m2としたものである。
【0077】
好適な剥離可能な接着剤の材料は、当該技術分野で公知の各種方法により適用されて、薄い一致した接着剤コーティングを形成することができる。例として、グラビアコーティング、ロッドコーティング、リバースロールコーティング、及びホッパーコーティングが挙げられる。接着剤は、ラミネーション前に可撓性ライナー又は支持体に塗布することができる。
【0078】
単層又は多層式接着剤系の場合、好適な永久接着剤組成物は、エポキシ、フェノールホルムアルデヒド、ポリビニルブチラール、シアノアクリレート、ゴム系接着剤、スチレン/ブタジエン系接着剤、アクリル樹脂及びビニル誘導体からなる群より選ばれる。剥離可能な接着剤と永久接着剤とを、ラベル積層体における同一層内又は異なる場所に組み合わせて使用することができる。接着剤を組み合わせた構造の一例として、最上部二軸延伸シートと支持体との間に剥離可能な接着剤層を配置し、かつ、最底部二軸延伸シートと支持体との間に永久接着剤層を配置したものが挙げられる。
【0079】
被着体としての包装体としては、好適なものとしては、ボトル、缶、スタンドアップパウチ、ボックス、及びバッグが挙げられる。包装体は、販売のため包装体を必要とする材料を含有することができる。包装される好適な材料には液体物及び粒状物がある。
【0080】
[環境保護層]
本発明のラベルにおいては、感熱記録層上に環境保護層を設けることが好ましい。環境保護層は、環境溶媒から画像を保護し、引掻に耐え、そして画質を害さない好適な材料からなるものであることが好ましい。環境保護層としては、電場の存在下で透明ポリマー粒子を像形成層の最頂部表面に適用し、最頂部層に融着させて、透明ポリマー粒子に連続高分子層を形成させる環境保護層が好ましい。電子写真用トナーを応用したポリマーは、薄い環境保護層を写真ラベルに適用するための有効な手段であり、環境溶媒および取り扱いに起因する損傷に耐えることが示されているので好ましい。
【0081】
また、環境保護層を水溶液から塗布することができ、これは、露光および処理に耐え、処理後の融着工程において水不透過性の連続保護層を形成するものである。この環境保護層は、平均粒径が0.1〜50μmのポリマービーズまたは粒子を、ポリマーラテックスバインダーといっしょに、感熱記録層側に塗布することによって形成させるのが好ましい。必要に応じて、該層に少量の水溶性塗布助剤(粘度調節剤、界面活性剤)を、処理中にコーティングから浸出する限りにおいて、含めることができる。画像形成後のラベルを、熱および/または圧力(融着)、溶媒処理、あるいは他の手段によって、塗布されたポリマービーズの融着並びに凝集を引き起こすような方法で処理して、所望の水不透過性の連続保護層を形成させるてもよい。
【0082】
環境保護層に使用されるポリマー粒子として選ぶことができる好適なポリマーの例には、ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−塩化ビニリデンコポリマー、塩素化ポリプロピレン、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー 、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸コポリマー 、エチルセルロース、ニトロセルロース、ポリアクリル酸エステル、アマニ油変性アルキド樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、フェノール変性アルキド樹脂、フェノール系樹脂、ポリエステル、ポリビニルブチラール、ポリイソシアネート樹脂、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、クロマン樹脂、ダンマルゴム、ケトン樹脂、マレイン酸樹脂、ビニルポリマー(例えばポリスチレンおよびポリビニルトルエンまたはビニルポリマーとメタクリレートまたはアクリレートとのコポリマー)、ポリ (テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン) 、低分子量ポリエチレン、フェノール変性ペンタエリトリトールエステル、スチレン−インデン−アクリロニトリルコポリマー 、スチレン−インデンコポリマー 、スチレン−アクリロニトリルコポリマー 、スチレン−ブタジエンコポリマー 、ポリメタクリル酸メチルを配合したポリメタクリル酸ステアリル、シロキサンとポリアルケンとのコポリマーが含まれる。これらのポリマーは単独で、または組み合わせて使用することができる。本発明の好ましい態様において、上記ポリマーは、ポリエステルまたはスチレン−アクリル酸ブチルコポリマーを含んでなる。好ましいポリエステルは、エトキシル化および/またはプロポキシル化ビスフェノールAと、テレフタル酸、ドデセニルコハク酸、およびフマル酸の1種以上とをベースとするものである。これは、それらが、一般に、包装ラベルの厳しさに耐える適格な環境保護層を形成するからである。
【0083】
環境保護層の耐摩耗性を向上させるために、架橋または分岐しているポリマーを使用することができる。例えば、スチレン−インデン−ジビニルベンゼンコポリマー 、スチレン−アクリロニトリル−ジビニルベンゼンコポリマー 、またはスチレン−ブタジエン−ジビニルベンゼンコポリマーを使用することができる。
【0084】
環境保護層のためのポリマー粒子は無色であることが好ましく、透明であることがより好ましい。しかしながら、オーバーコートを通して画像を観察可能である限り、色補正の目的のため、または特殊な効果を得るために、ポリマー粒子を有色とすることも具体的に企図されている。従って、色を付与する色素をポリマー粒子に導入することができる。さらに、オーバーコートに所望の性質を与える添加剤をポリマー粒子に導入することができる。例えば、紫外線吸収剤をポリマー粒子に導入して、オーバーコートを紫外線吸収性とし、紫外線誘起退色から画像を保護することができる。
【0085】
環境保護層を形成するポリマー粒子の他に、要素の表面特性を改質する他の粒子を上記ポリマー組成物と組み合わせることもできる。このような粒子は、上記ポリマー粒子を融着させる条件において固体であり、かつ非融着性であり、このような粒子には、融着工程においては溶融せず、オーバーコートに表面粗さを付与するシリカなどの無機粒子およびメタクリル酸メチルビーズなどの有機粒子が含まれる。
【0086】
ポリマーラテックスバインダーの好適な例には、アクリル酸ブチル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、およびアセトアセトキシエチルメタクリレートのラテックスコポリマーが含まれる。他の有用なラテックスポリマーには、コロイド状懸濁液として水中に懸濁されている20〜10,000nmの直径および60℃未満のTgを有するポリマーが含まれる。
【0087】
環境保護層のための好適なコーティング助剤の例には、コーティング懸濁液に相当の粘度を付与する、あらゆる水溶性ポリマーまたは他の材料(例えば高分子量多糖類誘導体(例えばキサンタンガム、ガーゴム、アラビアゴム、Keltrol(Merck and Co., Inc.によって供給されているアニオン性多糖類))、高分子量ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸およびその塩、ポリアクリルアミドなど)が含まれる。界面活性剤には、端部の引け、はじき、および他のコーティング欠陥を防止するのに十分にコーティング配合物の表面張力を下げる、あらゆる表面活性材料が含まれる。これらには、アルキルオキシ−またはアルキルフェノキシポリエーテルまたはポリグリシドール誘導体およびそれらの塩(例えばOlin Matheson Corporation から入手可能なノニルフェノキシポリグリシドールまたはオクチルフェノキシポリエチレンオキシド硫酸ナトリウム)、有機スルフェートまたはスルホネート(例えばドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ビス (2−エチルヘキシル) スルホコハク酸ナトリウム (Aerosol OT) )、およびアルキルカルボン酸塩(例えばデカン酸ナトリウム)が含まれる。
【0088】
感熱記録画像の最外層に予備成形されたポリマー層を形成して環境保護層を形成させるのがもっとも好ましい。予備成形されたシートは強靱で耐久性があり、環境溶媒および取り扱い時に像形成されたハロゲン化銀に加えられる力に容易に耐えるので、予備成形されたシートの適用が好ましい。予備成形されたポリマーシートの適用は、画像形成後の積層によって行われるのが好ましい。ラベルおよび予備成形されたポリマーシートを接着し、画像の品質を低下させる閉じ込められた空気を排除する加圧ニップの前に、写真ラベルまたは予備成形されたポリマーシートのいずれかに接着剤を適用する。
【0089】
予備成形されたシートは、配向プロセスで強度及び靭性が発揮されるため、配向ポリマーであることが好ましい。柔軟性基材として好適なポリマーに、ポリオレフィン、ポリエステル及びナイロン(R)がある。好適なポリオレフィンとして、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリブチレン及びこれらの混合物が挙げられる。ヘキセン、ブテン及びオクテンのようなエチレンとプロピレンのコポリマーをはじめとするポリオレフィンコポリマーも有用である。ポリプロピレンが最も好適である。というのは、感圧ラベルに必要とされる所望の強度及び靭性を有し、しかも低コストだからである。
【0090】
環境保護層に合成ラテックスを用いると、さらに好ましい環境保護層となる。合成ラテックスを塗布により、適格な環境保護層が提供され、また、水溶液として塗布することができるので、溶媒への暴露が排除されることが示されている。ラテックスの塗布により、ハロゲン化銀包装用ラベルに適格な環境保護層が提供されることが示されている。環境保護層に好ましい合成ラテックスは、乳化重合技法によって、スチレンブタジエンコポリマー、アクリレート樹脂、およびポリ酢酸ビニルから製造される。合成ラテックスとして好ましい粒径は、0.05〜0.15μm の範囲にわたる。合成ラテックスは、ロッドコーティング、ロールコーティング、およびホッパーコーティングを含む既知のコーティング方法によって、感熱記録層の最外層に適用される。合成ラテックスは適用後に乾燥されなければならず、感熱記録画像の画質を害することのないように、乾燥して透明にならなければならない。
【0091】
本発明のラベルのトータルの厚さは、600μm未満であることが好ましい。ラベルの厚さを600μm未満とすることにより、高速包装装置での搬送が容易となり好ましい。
【0092】
[感熱記録層]
前記感熱記録層は、熱により発色する発色成分及び好ましくは塩基性物質、並びに必要に応じて発色助剤、バインダー、酸化防止剤、界面活性剤等の他の成分などを含有してなり、単一の層よりなるものであっても、発色色相の異なる複数の層よりなるものであってもよい。特に、光反応型ジアゾ発色系の層を含む形態が好ましい。
【0093】
前記発色成分としては、従来公知のもの(組合せ)が使用でき、ジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色させるカプラー化合物との反応を利用したもの(ジアゾ発色系)、電子供与性無色染料と該電子供与性無色染料と熱時反応して発色させる電子受容性化合物との反応を利用したもの、等が好適に挙げられ、中でも、ジアゾニウム塩とカプラー化合物との反応を利用したもの(好ましくは、光反応型ジアゾ発色系のもの)が特に好ましい。
また、好ましくは、前記発色成分の組合せの少なくとも一方(好ましくは、ジアゾニウム塩)がマイクロカプセルに内包された状態で層中に含有される。
【0094】
前記ジアゾニウム塩、カプラー化合物、塩基性物質などは、特公平4−75147号公報、特公平6−55546号公報、特公平6−79867号公報、特開平4−201483号公報、特開昭60−49991号公報、特開昭60−242094号公報、特開昭61−5983号公報、特開昭63−87125号公報、特開平4−59287号公報、特開平5−185717号公報、特開平7−88356号公報、特開平7−96671号公報、特開平8−324129号公報、特開平9−38389号公報、特開平5−185736号公報、特開平5−8544号公報、特開昭59−190866号公報、特開昭62−55190号公報、特開昭60−6493号公報、特開昭60−259492号公報、特開昭63−318546号公報、特開平4−65291号公報、特開平5−185736号公報、特開平5−204089号公報、特開平8−310133号公報、特開平8−324129号公報、特開平9−156229号公報、特開平9−175017号公報、などに詳しく記載されており、適宜選択することができる。以下、好適な具体例を示すが、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0095】
(ジアゾニウム塩の具体例)
【化1】
【0096】
【化2】
【0097】
【化3】
【0098】
【化4】
【0099】
【化5】
【0100】
【化6】
【0101】
【化7】
【0102】
【化8】
【0103】
【化9】
【0104】
【化10】
【0105】
【化11】
【0106】
【化12】
【0107】
【化13】
【0108】
(カプラー化合物の具体例)
【化14】
【0109】
【化15】
【0110】
【化16】
【0111】
【化17】
【0112】
【化18】
【0113】
【化19】
【0114】
【化20】
【0115】
【化21】
【0116】
【化22】
【0117】
【化23】
【0118】
【化24】
【0119】
【化25】
【0120】
【化26】
【0121】
【化27】
【0122】
(塩基性物質の具体例)
前記塩基性物質は、単独で用いても二種以上を併用してもよい。該塩基性物質としては、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、フォルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物が挙げられる。
【0123】
中でも、N,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン、1,4−ビス((3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ)ベンゼンなどのピペラジン類、N−(3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ)プロピルモルホリン、1,4−ビス((3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス((3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ)ベンゼン、などのモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジンなどのピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン等のグアニジン等類、が特に好ましい。
【0124】
前記電子供与性無色染料および電子受容性化合物などは、特開平6−328860号公報、特開平7−290826号公報、特開平7−314904号公報、特開平8−324116号公報、特開平3−37727号公報、特開平9−31345号公報、特開平9−111136号公報、特開平9−118073号公報、特開平11−157221号公報、などに詳しく記載されており、適宜選択することができる。以下、その好適な具体例を示すが、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0125】
(電子供与性無色染料の具体例)
【表1】
【0126】
【表2】
【0127】
【表3】
【0128】
【化28】
【0129】
(電子受容性化合物の具体例)
前記電子受容性化合物としては、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル、等が挙げられる。中でも、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が特に好ましい。これらの一例として、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸及びその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸及びその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸及びその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、等が挙げられる。
【0130】
感熱記録層には、必要に応じて適宜他の成分を添加してもよい。即ち、
耐光性を更に向上させる目的で、酸化防止剤が添加される。該酸化防止剤としては、公知のものから適宜選択でき、例えば、ヨーロッパ公開特許第310551号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、ヨーロッパ公開特許第310552号公報、特開平3−121449号公報、ヨーロッパ公開特許第459416号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開昭63−163351号公報、アメリカ特許第4814262号、特開昭54−48535号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4980275号、特開昭63−113536号公報、特開昭62−262047号公報、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、ヨーロッパ公開特許第309402号公報、ヨーロッパ公開特許第309401号公報、等に記載のものが挙げられる。
【0131】
更に、既に感熱記録材料、感圧記録材料として公知の各種添加剤を用いることも有効である。これらの酸化防止剤の一例として、特開昭60−125470号公報、特開昭60−125471号公報、特開昭60−125472号公報、特開昭60−287485号公報、特開昭60−287486号公報、特開昭60−287487号公報、特開昭62−146680号公報、特開昭60−287488号公報、特開昭62−282885号公報、特開昭63−89877号公報、特開昭63−88380号公報、特開昭63−088381号公報、特開平01−239282号公報、特開平04−291685号公報、特開平04−291684号公報、特開平05−188687号公報、特開平05−188686号公報、特開平05−110490号公報、特開平05−1108437号公報、特開平05−170361号公報、特開昭63−203372号公報、特開昭63−224989号公報、特開昭63−267594号公報、特開昭63−182484号公報、特開昭60−107384号公報、特開昭60−107383号公報、特開昭61−160287号公報、特開昭61−185483号公報、特開昭61−211079号公報、特開昭63−251282号公報、特開昭63−051174号公報、特公昭48−043294号公報、特公昭48−033212号公報、等に記載の化合物が挙げられる。
【0132】
バインダーとして、従来公知のものを添加してもよい。例えば、ポリビニルアルコールやゼラチン等の水溶性高分子やポリマーラテックス等が挙げられる。
【0133】
本発明において、前記ジアゾニウム塩、該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色させるカプラー化合物、塩基性物質、及び電子供与性無色染料、電子受容性化合物、及び他の成分の使用形態については、特に限定はなく、(1)固体分散して使用する方法、(2)乳化分散して使用する方法、(3)ポリマー分散して使用する方法、(4)ラテックス分散して使用する方法、(5)マイクロカプセル化して使用する方法、などが挙げられる。中でも、発色成分については、保存性の観点から、その少なくとも一方をマイクロカプセル化して使用する方法が好ましく、特に、前記ジアゾ発色系ではジアゾニウム塩をマイクロカプセル化する形態が、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを組合せた発色系では電子供与性無色染料をマイクロカプセル化する形態が好ましい。
【0134】
−マイクロカプセル化の方法−
マイクロカプセル形成方法としては、従来公知のマイクロカプセルの形成方法(米国特許第3,726,804号、同第3,796,669号等の明細書など)を用いることができ、具体的には界面重合法や内部重合法が適している。
具体的には、例えば、ジアゾニウム塩を、マイクロカプセル壁前駆体(壁材)や界面活性剤等の他の成分と共に水に難溶又は不溶の有機溶剤に溶解して油相とし、これを水溶性高分子及び必要に応じて界面活性剤等の他の成分を含む水溶液(水相)中に添加してホモジナイザーなどにより乳化分散し、昇温してマイクロカプセル壁となる高分子膜(壁膜)を油/水界面に形成してマイクロカプセル液を得る。このとき、マイクロカプセル壁前駆体(壁材)は、上記油相ではなく水層に、あるいは油相と水相の両相に、含有させてもよい。
【0135】
壁膜となる高分子物質(壁材)としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリレート共重合体樹脂、スチレン−メタクリレート共重合体樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。中でも、ポリウレタン・ポリウレア樹脂からなる壁膜を有するマイクロカプセルが好ましい。
【0136】
以下、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル(ポリウレア・ポリウレタン壁)の製造方法を一例に説明する。
まず、ジアゾニウム塩は、カプセルの芯となる疎水性の有機溶媒(必要に応じ低沸点溶媒を含む)に溶解又は分散させ、マイクロカプセルの芯となる油相を調製する。このとき、好ましくは該油相側に、壁材としての多価イソシアネートや、均一に乳化分散し安定化させる目的で界面活性剤が添加される。また、適宜褪色防止剤やステイン防止剤等の添加剤が添加される。
【0137】
続いて、調製した油相を水相中に乳化分散する。このとき、水相には水溶性高分子を溶解した水溶液を使用し、これに前記油相を投入後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行う。均一に乳化分散し安定化させる点で、好ましくは前記水相中にも界面活性剤が添加される。尚、前記水溶性高分子は、分散を均一かつ容易にするとともに、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒として作用する。
そして、水相中に油相を加えた乳化分散液中では、油相と水相の界面において多価イソシアネートの重合反応が生じてポリウレア壁が形成される。
【0138】
水相中又は油相の疎水性溶媒中に、更にポリオール及び/又はポリアミンを添加しておけば、多価イソシアネートと反応してマイクロカプセル壁の構成成分の一つとして用いることもできる。上記反応において、反応温度を高く保ち、或いは、適当な重合触媒を添加することが反応速度を速める点で好ましい。
【0139】
前記多価イソシアネート化合物としては、3官能以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましく、2官能のイソシアネート化合物であってもよい。具体的には、キシレンジイソシアネート及びその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びその水添物、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートを主原料とし、これらの2量体あるいは3量体(ビューレットあるいはイソシアヌレート)の他、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体として多官能としたもの、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を導入した化合物、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物等が挙げられる。
特開昭62−212190号公報、特開平4−26189号公報、特開平5−317694号公報、特願平8−268721号等に記載の化合物も好ましい。
【0140】
多価イソシアネートの使用量としては、マイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、壁厚みが0.01〜0.3μmとなるように決定され、その分散粒子径としては、0.2〜10μm程度が一般的である。
【0141】
前記油相の調製に際し、ジアゾニウム塩を溶解、分散する前記疎水性の有機溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましく、例えば、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、アルキルジフェニルメタン、アルキルビフェニル、アルキルターフェニル、塩素化パラフィン、リン酸エステル類、マレイン酸エステル類、アジピン酸エステル類、フタル酸エステル類、安息香酸エステル類、炭酸エステル類、エーテル類、硫酸エステル類、スルホン酸エステル類等が挙げられる。これらは2種以上混合して用いてもよい。
また、ジアゾニウム塩の前記有機溶媒に対する溶解性が劣る場合は、ジアゾニウム塩の溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に併用してもよく、該低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
【0142】
即ち、ジアゾニウム塩は、疎水性の有機溶媒、低沸点溶媒に対する適当な溶解度を有することが好ましく、具体的には、下記ジアゾニウム塩の濃度調整を容易に行い得る点で、溶媒への溶解度は5%以上が好ましい。尚、水に対する溶解度は1%以下が好ましい。
【0143】
前記水相に用いる水溶性高分子としては、乳化しようとする温度における、水に対する溶解度が5%以上の水溶性高分子が好ましく、例えば、ポリビニルアルコール及びその変成物、ポリアクリル酸アミド及びその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
また、前記水溶性高分子は、イソシアネート化合物との反応性がないか、若しくは低いことが好ましく、例えば、ゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは、予め変成する等して反応性をなくしておくことが望ましい。
【0144】
前記ポリオール又はポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。
尚、上記の多価イソシアネート、ポリオール、反応触媒、或いは、壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等については成書(岩田敬治編 ポリウレタンハンドブック 日刊工業新聞社(1987))に詳細な記載がある。
【0145】
前記乳化は、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等の公知の乳化装置の中から適宜選択して行うことができる。乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させる目的で、乳化物は30〜70℃に加温される。また、反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、十分な攪拌を行う等の必要がある。また、反応中に凝集防止用の分散物を添加してもよい。
重合反応時は、その進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その終息をもっておよそのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的のジアゾニウム塩内包マイクロカプセルを得ることができる。
【0146】
一方、感熱記録層形成用の塗布液(感熱記録層用塗布液)の調製において、前記ジアゾニウム塩を発色させるカプラーは、例えば水溶性高分子、有機塩基、その他発色助剤等と共に、サンドミル等により固体分散して用いることもできるが、特に好ましくは、予め水に難溶性又は不溶性の高沸点有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして含有する高分子水溶液(水相)と混合し、ホモジナイザー等で乳化した乳化分散物として用いることが好ましい。必要に応じて、低沸点溶剤を溶解助剤として用いてもよい。
【0147】
更に、カプラー、有機塩基等は、別々に乳化分散することも、混合してから高沸点有機溶剤に溶解し、乳化分散することも可能である。好ましい乳化分散粒子径は1μm以下である。前記高沸点有機溶剤としては、例えば特開平2−141279号公報に記載の高沸点オイルの中から適宜選択でき、乳化安定性の点で、エステル類が好ましく、リン酸トリクレジルが特に好ましい。
前記低沸点溶剤としては、油相における前記低沸点溶媒と同様のものが挙げられる。
【0148】
また、水相に含有する界面活性剤としては、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤であって、水溶性高分子と沈澱や凝集を起こさないものを適宜選択でき、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等が挙げられる。
【0149】
−多色感熱記録層−
支持体上に複数の感熱記録層を有してなる場合においては、各感熱記録層の発色色相を変えることにより、多色感熱記録層を有するラベルとすることができる。
即ち、各感熱記録層の発色色相を減色混合における3原色、イエロー、マゼンタ、シアンとなるように選べばフルカラーの画像記録が可能となる。この場合、支持体表面に直接積層される感熱記録層(最下層)の発色機構としては、前記ジアゾニウム塩とカプラー化合物との組合せによるジアゾ発色系に限らず、例えば、電子供与性無色染料及び該電子供与性無色染料と反応して呈色する電子受容性化合物を組合わせた発色系、塩基性化合物と接触して発色する塩基発色系、キレート発色系、求核剤と反応して脱離反応を起こし発色する発色系等のいずれでもよく、該感熱記録層上に最大吸収波長が異なり、かつ互いに発色色相の異なる、ジアゾ発色系の感熱記録層を2層以上設ければよい。
【0150】
例えば、フルカラー感熱記録層の層構成としては、以下のような態様で構成されていてもよい。但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
感光波長が異なる2種のジアゾニウム塩を、それぞれのジアゾニウム塩と熱時反応して異なった色相に発色させうるカプラー化合物と組合わせて別々の層に含有させてなる、発色色相の異なる2層の感熱記録層(B層、C層)と、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを組合わせた感熱記録層(A層)とを積層したフルカラー感熱記録層であってもよく、或いは、上記2層の感熱記録層(B層、C層)と、これらとは更に感光波長が異なるジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色するカプラー化合物を組合わせた感熱記録層(A層)とを積層したフルカラー感熱記録層であってもよい。
【0151】
具体的には、支持体側から、電子供与性無色染料と電子受容性化合物、或いは、最大吸収波長が350nmより短いジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色するカプラー化合物、を含有する第一の感熱記録層(A層)、極大吸収波長が360nm±20nmであるジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色するカプラー化合物を含有する第二の感熱記録層(B層)、極大吸収波長が400±20nmであるジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色するカプラー化合物を含有する第三の感熱記録層(C層)を、順次積層して構成されていてもよい。
【0152】
多色感熱記録層の場合は、以下のようにして記録することができる。
まず、第三の感熱記録層(C層)を加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩とカプラー化合物とを発色させる。次いで、400±20nmの光を照射してC層中に含まれている未反応のジアゾニウム塩を分解させる。次に、第二の感熱記録層(B層)が発色するに十分な熱を与え、該層に含まれているジアゾニウム塩とカプラー化合物とを発色させる。このときC層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩は分解しており、発色能力が失われているので発色しない。この後、360±20nmの光を照射してB層に含まれているジアゾニウム塩を分解させる。最後に、第一の感熱記録層(A層)が発色するに十分な熱を与えて発色させる。このときC層、B層のも同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩は分解しており、発色能力が失われているので発色しない。
【0153】
発色色相の異なる複数の感熱発色層を積層する場合には、混色等を防止するため中間層を設けることができる。該中間層は、水溶性高分子化合物を含有してなり、該水溶性高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、スチレン−マレイン酸共重合体、ゼラチン、等が挙げられる。
【0154】
<ラベル表示方法>
本発明のラベル表示方法は、感熱記録層と、15〜60mNの剛性を有する支持体と、該支持体に対して接着剤により接着された40〜120mNの剛性を有する可剥性ライナーとを含むラベルを用い、感熱記録装置により前記ラベルに感熱記録画像を印画し、前記可撓性ライナーを剥離し、前記ラベルを被着体に接着させることを特徴としている。
【0155】
本発明のラベル表示方法は、換言すると、前記本発明のラベルを用いたラベルの表示方法であって、該ラベルに感熱記録画像を印画し、被着体に接着させる表示方法である。本発明のラベル表示方法におけるラベルは、前述した本発明のラベルを用いているため、被着体におけるラベル表示を短時間で容易に行うことができる。なお、本発明のラベル表示方法におけるラベルは、本発明のラベルと同じであるから、ラベルについての説明は省略する。
【0156】
前記被着体としては、前述した包装体の他、ペットボトル、アルミ缶、缶詰、各種の文房具、家電製品等の商品自体が挙げられる。
【0157】
本発明のラベル表示方法においては、印画された感熱記録画像にインクジェット記録領域を設けることができる。例えば、感熱記録画像を形成しない部分を設けることにより、この部分にインクジェット記録を好適に行うことができる。感熱記録画像が形成された部分でもインクジェット記録を行うことは可能である。
【0158】
<両面画像部材の形成方法>
本発明の両面画像部材の形成方法は、感熱記録層と、15〜60mNの剛性を有する支持体と、該支持体に対して接着剤層により接着された40〜120mNの剛性を有する可剥性ライナーとを含むラベルを用い、感熱記録装置により前記ラベルに感熱記録画像を印画し、前記ラベルを切断して2つの半ラベルとし、該半ラベルの各可撓性ライナーを剥離し、前記2つの半ラベルの接着剤層同士を貼り合わせることにより、各面に1以上の感熱記録画像を配設させることを特徴としている。
【0159】
本発明の両面画像部材の形成方法は、換言すると、前記本発明のラベルを用いた両面画像部材の形成方法であって、該ラベルに感熱記録画像を印画し、該ラベルを切断して2つの半ラベルとし、該半ラベルの各可撓性ライナーを剥離し、前記2つの半ラベルの接着剤層同士を貼り合わせることにより、各面に1以上の感熱記録画像を配設させる両面画像部材の形成方法である。本発明の両面画像部材の形成方法は、前記本発明のラベル表示方法と同様に、本発明のラベルを用いるので、高品位の画像を有する両面画像部材を短時間で容易に形成することができる。
【0160】
本発明の両面画像部材の形成方法において、感熱記録画像を形成したラベルの切断部位としては、特に制限はないが、前記半ラベルが同一の大きさ・形状となるように切断することが好ましい。このように切断して、半ラベル同士を貼り合わせることにより、接着剤層が外部に露出することがなく好ましい。
【0161】
ラベルの形状が矩形の場合、前記感熱記録画像を線対称に印画し、対称線に沿って切断すれば、貼り合わせたとき表裏同一の両面画像とすることができる。
【0162】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明の包装材料について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、下記実施例中「部」は、特に限定のないかぎり「質量部」を意味し、「%」は特に限定のない限り「質量%」を意味する。
【0163】
本実施例では、感圧ラベル素材に感熱記録層を形成することによってラベルを作製した。当該感圧ラベル素材は、積層型コーテッド紙ライナー(可撓性ライナー)に感圧接着剤(接着剤層)を積層し、柔軟性白色二軸延伸ポリプロピレン面素材(支持体)の裏面と前記接着剤とを合わせて積層してなるものとした。本実施例は、従来のグラビア印刷型ラベル材料と比べた本発明のラベルの利点の多くを例証すると共に、積層型紙ライナーの利点を例証するものである。
【0164】
前記二軸延伸ポリオレフィン面素材としては、ミクロボイドを有する延伸ポリプロピレンコア層(全シート厚の約60%)の両面にホモポリマーのミクロボイドを含まない延伸ポリプロピレン層を配してなる複合ポリオレフィンシート(厚さ70μm)(d=0.68g/ml)を使用した。ボイド生成材料にはポリ(ブチレンテレフタレート)を使用した。該ポリオレフィンシートは、ポリエチレンと青色顔料とからなる表皮層を有した。ボイド含有層に隣接したポリプロピレン層に8%ルチル型TiO2を含有させた。この青味がかったポリエチレン表皮層に感熱記録層を形成した。なお、後述する測定方法による当該二軸延伸ポリプロピレン面素材の剛性は30mNであった。
感圧接着剤としては、厚さ12μmの永久溶剤系アクリル接着剤を使用した。
【0165】
前記積層型コーテッドライナーとしては、LDPE樹脂を使用し、セルロース紙コア層(厚さ80μm)の裏側にポリプロピレンの二軸延伸シートを押出積層してなる積層紙ライナーを使用した。裏側の延伸ポリプロピレンは、感熱記録装置における効率的な搬送を可能にするため粗い層とした。この粗い層は、ポリエチレンとポリプロピレンの非混和性ポリマーの混合物からなるものとした。積層型コーテッドライナーの最上部にシリコーンホールドアウトのためLDPEを押出被覆した。積層型コーテッドライナーの全厚は128μmで、後述する測定方法による剛性は縦方向、横方向共に80mNであった。この紙ライナーの押出LDPE層に隣接してシリコーン剥離コートを被覆した。
【0166】
以下のようにして作製した感熱記録層、中間層、及び保護層用の各塗布液を上記感圧ラベル素材上に塗布し、実施例のラベルを作製した。
【0167】
<フタル化ゼラチン水溶液の調製>
フタル化ゼラチン(商品名:MGPゼラチン,ニッピコラーゲン(株)製)32部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.9143部、イオン交換水367.1部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0168】
<アルカリ処理ゼラチン水溶液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名:#750ゼラチン、新田ゼラン(株)製)25.5部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.7286部、水酸化カルシウム0.153部、イオン交換水143.6部を混合し、50℃にて溶解し、乳化物作製用のアルカリ処理ゼラチン水溶液を得た。
【0169】
<イエロー感熱記録層用塗布液の調製>
−ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(a)の調製−
酢酸エチル20.0部に、下記ジアゾニウム塩(A)(最大吸収波長420nm)2.2部、下記ジアゾニウム塩(B)(最大吸収波長420nm)2.2部、モノイソプロビルビフェニル4.0部、フタル酸ジフェニル6.0部、及びジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO、BASFジャパン(株)製)0.4部を添加し、40℃に加熱して均一に溶解した。該混合液に、カプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名:タケネートD119N(50%酢酸エチル溶液)、三井武田ケミカル(株)製)8.6部を添加し、均一に攪拌し混合液(I)を得た。
【0170】
【化29】
【0171】
別途、上記より得たフタル化ゼラチン水溶液58.6部にイオン交換水16.3部、Scraph AG−8(50%;日本精化(株)製)0.34部添加し、混合液(II)を得た。
この混合液(II)に、上記より得た混合液(I)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃下で乳化分散した。得られた乳化液に水20部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。その後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。引き続き、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、マイクロカプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節し、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(a)を得た。
得られたマイクロカブセルの粒径を、LA−700(堀場製作所(株)製)を用いて測定した結果、メジアン径で0.45μmであった。
【0172】
−カプラー化合物乳化液(a)の調製−
酢酸エチル33.0部に、下記カプラー化合物(C)11.0部、トリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)11.0部、4,4−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))20.8部、3,3,3,3−テトラメチル−5,5,6,6−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1−スピロビスインダン3.3部、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)13.6部、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.8部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名:パイオニンA−41−C;70%メタノール溶液、竹本油脂(株)製)4.2部、を溶解し、混合液(III)を得た。
【0173】
【化30】
【0174】
別途、上記より得たアルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(IV)を得た。
上記より得た、混合液(IV)に混合液(III)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化液を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が26.5%になるように濃度調節を行った。このときのカプラー化合物乳化液の粒径を、LA−700(堀場製作所(株)製)を用いて測定した結果、メジアン径で0.20μmであった。
【0175】
更に、前記カブラー化合物乳化液100部に対して、SBRラテックス(商品名:SN−307,48%液、住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5%に濃度調整したものを9部添加して均一に攪拌し、カプラー化合物乳化液(a)を得た。
【0176】
−イエロー感熱記録層用塗布液の調製−
上記より得た、ジアゾニウム塩内包マイクロカブセル液(a)とカプラー化合物乳化液(a)とを、カブラー化合物/ジアゾニウム塩の質量比が2.1/1となるように混合し、イエロー感熱記録層用塗布液を得た。
【0177】
<マゼンタ感熱記録層用塗布液の調製>
−ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(b)の調製−
酢酸エチル15.1部に、下記ジアゾニウム塩(D)(最大吸収波長365nm)3.5部、フタル酸ジフェニル3.5部、フェニル−2−ベンゾイロキシ安息香酸エステル3.5部、及び下記化合物(E)(商品名:ライトエステルTMP,共栄油脂化学(株)製)4.2部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名:パイオニンA−41−C,70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)0.1部を添加し、加熱して均一に溶解した。この混合液に、カプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名:タケネートD119N(50%酢酸エチル溶液)、三井武田ケミカル(株)製)2.5部と、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名:タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液)、三井武田ケミカル(株)製)6.8部とを添加し、均一に攪拌して混合液(V)を得た。
【0178】
【化31】
【0179】
別途、上記より得たフタル化ゼラチン水溶液55.3部にイオン交換水21.0部添加、混合し、混合液(VI)を得た。
そして、上記混合液(VI)に上記混合液(V)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃下で乳化分散した。得られた乳化液に水24部を加えて均一化した後、40℃下で更に攪拌し、酢酸エチルを除去しながら3時間カブセル化反応を行った。その後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間撹絆した。引き続き、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、マイクロカプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節し、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(b)を得た。
得られたマイクロカプセルの粒径を、LA−700(堀場製作所(株)製)を用いて測定した結果、メジアン径で0.45μmであった。
【0180】
−カプラー化合物乳化液(b)の調製−
酢酸エチル36.9部に、下記カプラー化合物(F)13.0部、トリフェニルグアニジン(保土ケ谷化学(株)製)13.0部、4,4−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名:ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))13.0部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル−2−エチルヘキサン13部、3,3,3,3−テトラメチル−5,5,6,6−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1−スピロビスインダン7.0部、下記化合物(G)3.5部、リン酸トリクレジル1.7部、マレイン酸ジエチル0.8部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名:パイオニンA−41−C、70%メタノール溶液、竹本油脂(株)製)4.5部を溶解し、混合液(VII)を得た。
【0181】
【化32】
【0182】
別途、上記より得たアルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(VIII)を得た。
そして、上記混合液(VIII)に上記混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化液を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5%になるように濃度調節を行い、カプラー化合物乳化液(b)を得た。
得られたカプラー化合物乳化液(b)の粒径を、LA−700(堀場製作所(株)製)を用いて測定した結果、メジアン径で0.28μmであった。
【0183】
−マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)の調製−
上記より得た、ジアゾニウム塩内包マイクロカブセル液(b)とカプラー化合物乳化液(b)とを、カプラー化合物/ジアゾニウム塩の質量比が3.2/1になるように混合した。更に、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)を、混合したジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(b)10部に対して0.2部となる量を混合し、マゼンタ感熱記録層用塗布液を得た。
【0184】
<シアン感熱記録層用塗布液の調製>
−電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)の調製−
酢酸エチル18.1部に、下記電子供与性前駆体(H)8.0部、1−メチルプロピルフェニル−フェニルメタン、および1−(メチルプロピルフェニル)−2−フェニルエタンの混合物(商品名:ハイゾールSAS−310、日本石油(株)製)8.0部、下記化合物(I)(商品名:Irgaperm 2140、チバガイギー(株)製)8.0部を添加し、加熱して均一に溶解した。この混合液に、カプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名:タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液)、三井武田ケミカル(株)製)7.2部と、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名:ミリオネートMR−200,日本ポリウレタン工業(株)製)5.3部とを添加し、均一に攪拌して混合液(IX)を得た。
【0185】
【化33】
【0186】
別途、上記より得たフタル化ゼラチン水溶液28.8部に、イオン交換水9.5部、Scraph AG−8(50%;日本精化(株)製)0.17部、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(10%水溶液)4.3部を添加混合し、混合液(X)を得た。
そして、上記混合液(X)に上記混合液(IX)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃下で乳化分散した。得られた乳化液に水50部、テトラエチレンペンタミン0.12部を加えて均一化し、65℃下で攪拌して酢酸エチルを除去しながら3時間カブセル化反応を行った。マイクロカプセル液の固形分濃度が33%になるように濃度調節し、マイクロカプセル液を得た。ここでのマイクロカプセルの粒径を、LA−700(堀場製作所(株)製)を用いて測定した結果、メジアン径でl.10μmであった。
【0187】
更に、得られたマイクロカプセル液100部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液(商品名:ネオペレックスF−25、花王(株)製)3.7部と、4,4−ビストリアジニルアミノスチルベン−2,2−ジスルホン誘導体を含む蛍光増白剤(商品名:Kaycall BXNL、日本曹達(株)製)4.3部とを添加して均一に攪拌し、電子供与性染料前駆体内包マイクロカブセル液(c)を得た。
【0188】
−電子受容性化合物分散液(c)の調製−
上記より得たフタル化ゼラチン水溶液11.3部に、イオン交換水30.1部、4,4−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名:ビスフェノールP、三井石油化学(株)製)15部、2%の2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウム水溶液3.8部を加えて、ボールミルにて一晩分散し分散液を得た。この分散液の固形分濃度は26.6%であった。
得られた分散液100部に、上記より得たアルカリ処理ゼラチン水溶液48.0部加えて30分攪拌した後、分散液の固形分濃度が23.5%となるようにイオン交換水を加え、電子受容性化合物分散液(c)を得た。
【0189】
−シアン感熱記録層用塗布液の調製−
上記より得た、電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)と電子受容性化合物分散液(c)とを、電子受容性化合物/電子供与牲染料前駆体の質量比が9/1となるように混合し、シアン感熱記録層用塗布液を得た。
【0190】
<中間層用塗布液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名:#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)100.0部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)2.857部、水酸化カルシウム0.5部、イオン交換水521.643部を混合して50℃下で溶解し、中間層用塗布液調製用のゼラチン水溶液を得た。
得られたゼラチン水溶液10.0部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製;2.0%水溶液)0.05部、棚酸(4.0%水溶液)2.3部、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)0.19部、下記化合物(J)(和光純薬(株)製)の4%水溶液3.42部、下記化合物(J’)(和光純葉(株)製)の4%水溶液1.13部、イオン交換水0.67部を混合し、中間層用塗布液とした。
【0191】
【化34】
【0192】
<光透過率調整層用塗布液の調製>
−紫外線吸収剤前駆体マイクロカブセル液の調製−
酢酸エチル71部に、紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t一オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート14.0部、2,2’−t−オクチルハイドロキノン6.0部、リン酸トリクレジル1.9部、α−メチルスチレンダイマー(商品名:MSD−100、三井化学(株)製)5.7部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名:パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液)、竹本油脂(株)製)0.45部を混合し、均一に溶解した。
【0193】
得られた混合液に、カブセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名:タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液)、三井武田ケミカル(株)製)54.7部を添加して均一に攪拌し、紫外線吸収剤前駆体混合液を得た。
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−31.8,(株)クラレ製)52部に、30%リン酸水溶液8.9部、イオン交換水532.6部を混合し、紫外線吸収剤前駆体PVA水溶液を得た。
得られた紫外線吸収剤前駆体PVA水溶液516.06部に、上記紫外線吸収剤前駆体混合液を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃下で乳化分散した。得られた乳化液に、イオン交換水254.1部を加えて均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応を行った。その後、これにイオン交換樹脂アンバーライトMB−3(オルガノ(株)製)94.3部を加え、更に1時間攪拌した。
【0194】
引き続き、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、マイクロカプセル液の固形分濃度が13.5%になるように濃度調節した。得られたマイクロカプセルの粒径をLA−700(堀場製作所(株)製)を用いて測定した結果、メジアン径て,0.23±0.05μmであった。
このマイクロカプセル液859.1部に、カルボキシ変性スチレンーブタジエンラテックス(商品名:SN−307(48%水溶液)、住友ノーガタック(株)製)2.416部、イオン交換水39.5部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。
【0195】
−光透過率調整層用塗布液の調製−
上記より得た紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液1000部、4%の水酸化ナトリウム水溶液7.75部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製;2.0%水溶液)73.39部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
【0196】
<保護層用塗布液の調製>
−保護層用PVA溶液の調製−
ビニルアルコ−ル(PVA)−アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130,電気化学工業(株)製)160部、アルキルスルホン酸ナトリウム及びポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルの混合液(商品名:ネオスコアCM−57(54%水溶液)、東邦化学工業(株)製)8.74部、イオン交換水3832部を混合し、90℃下で1時間溶解して均一化し、保護層用PVA溶液を得た。
【0197】
−保護層用顔料分散液の調製−
硫酸バリウム(商品名:BF−21F(硫酸バリウム含有量93%以上),堺化学工業(株)製)8部に、陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40%水溶液),花王(株)製)0.2部、イオン交換水11.8部を混合し、ダイノミルにて分散して硫酸バリウム分散液を得た。このときの粒径を、LA−700(堀場製作所(株)製)を用いて測定した結果、メジアン径で0.15μm以下であった。
そして、得られた硫酸バリウム分散液45.6部に、コロイダルシリカ(商品名:スノーテツクスO(20%水分散液)、日産化学(株)製)、8.1部を添加して、保護層用顔料分散液を得た。
【0198】
−保護層用マット剤分散液の調製−
小麦澱粉(商品名:小麦澱粉S,新進食料工業(株)製)220部に、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンの水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.81部、イオン交換水1976.19部を混合し、均一に分散して、保護層用マット剤分散液を得た。
【0199】
−保護層用塗布液の調製−
上記より得た保護層用PVA溶液1000部に、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル(商品名:ノイゲンLP70,2.0%水溶液、第一工業製薬(株)製)40部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製;2.0%水溶液)50部、上記より得た保護層用顔料分散液49.87部、上記より得た保護層用マット剤分散液16.65部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンL111(20.5%水溶液),中京油脂(株)製)48.7部、及びイオン交換水280部を均一に混合し、保護層用塗布液を得た。
【0200】
<ラベルの作製>
前記感圧ラベル素材の表面に、該表面側から順次、シアン感熱記録層用塗布液(c)、中間層用塗布液、マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)、中間層用途布液、イエロー感熱記録層用塗布液(a)、光透過率調整層用塗布液、及び保護層用塗布液を同時連続塗布(7層同時塗布)し、30℃、30%RHの乾燥条件、及び40℃、30%の乾燥条件で、それぞれ乾燥処理を行い、実施例のラベルを作製した。
【0201】
このとき、イエロー感熱記録層用塗布液(a)は、ジアゾニウム塩(A)の塗布量が固形分塗布量で0.080g/m2となる量を、マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)は、ジアゾニウム塩(D)の塗布量が固形分塗布量で0.210g/m2となる量を、シアン感熱記録層用塗布液(c)は、電子供与性染料前駆体(H)の塗布量が固形分塗布量で0.400g/m2となる量を、それぞれ塗布した。
【0202】
また、中間層用塗布液は、前記塗布液(a)と塗布液(b)との間においては、固形分塗布量が2.50g/m2となる量を、前記塗布液(b)と塗布液(c)との間においては、固形分塗布量が3.50g/m2となる量を、光透過率調整層用塗布液は、固形分塗布量が2.0g/m2となる量を、保護層用塗布液は、固形分塗布量が1.50g/m2となる量を、それぞれ塗布した。
【0203】
前記感圧ラベル素材に塗布された感熱記録層を、感熱記録装置(デジタルプリンタNC600D(富士写真フイルム(株)製)を使用して印画した。本実施例の積層紙ライナー(可撓性ライナー)は、感熱記録画像を含む柔軟性面素材に80mNの剛性を付与するので、該ラベルを従来の感熱記録装置において印画及び搬送することができた。グラフィクス、テキスト、及びイメージを含むいくつかの試験画像を感熱記録包装ラベル材料上に印画し、その後10mm幅にスリットした。この時点で、薄い支持体上に画像が形成された。
【0204】
本発明のラベルは、従来のフレキソグラフィ又はグラビアプリントラベルと比較して多くの利点を有している。本発明は、印刷版又は印刷シリンダーを必要としないため、短期間でのパッケージ用ラベル作成の場合、経済的な画像形成法を提供する。感熱記録方式を用いてラベルを印画するので、高価な印刷プレスの設定コストも不要であり、個々のパッケージの注文製作に容易に対応可能である。
【0205】
本実施例に用いられる感熱記録による画像形成法は、テキスト、図表及び写真品質画像を同一のラベル上に同時に印画することができる。また、感熱記録による画像形成法は、デジタル画像に対応しており、遠隔地から子データ転換技法、例えば、インターネットを用いて送信された画像を直ちに印画することも可能である。これにより、パッケージに印画するサイクル時間を低減することも可能である。
【0206】
[剛性測定法]
剛性は、幅38±0.2mmの試験片を用いて、JIS P 8125−1976に規定する方法によって測定した。
【0207】
【発明の効果】
本発明によれば、被着体に貼付されるラベルであって、短時間で作製でき、高品位の画像を有するラベルを提供することができる。
また、本発明によれば、被着体におけるラベル表示を短時間で容易に行うことができるラベル表示方法を提供することがでできる
さらに、本発明によれば、高品位の画像を有する両面画像部材を短時間で容易に形成することができる両面画像部材の形成方法を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は包装材料に接着するラベル、ラベル表示方法、及び両面画像部材の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
商標を認識させ、包装品の中身を知らせ、包装品の中身の品質を表示し、製品の使用方法等の消費者向け情報や内容物の成分表示をするため、感圧ラベルが包装体に貼付されている。感圧ラベルへの印刷は、一般的には包装体もしくは印刷媒体に直接行われ、通常、グラビア印刷法で印刷されるか、又は包装体にフレキソグラフィが適用される。感圧ラベルに適用される情報としては、テキスト、グラフィック、及びイメージの3種類がある。包装体の中には、それらの情報のうち1種類しか必要としないものもあれば、2種類以上を必要とするものもある。
【0003】
包装体に貼付される従来のラベルとしては、面素材と、感圧接着剤と、ライナーとからなる形態のものが知られている。一般には、該面素材と、感圧接着剤と、ライナーとからなるラベル基材を積層してから、各種の非写真式印刷法によって印刷を施す。印刷後、一般には、オーバーラミネート材料又は保護コーティングによってラベルを保護する。この保護層と、印刷情報と、面素材と、感圧接着剤と、ライナー材料とからなるラベル完成品を、高速ラベル貼機で包装体に貼付する。
【0004】
フレキソグラフィは、印刷版をゴム又はフォトポリマーで製作するオフセット凸版印刷法である。印刷版の隆起面から被印刷材料の表面へインクを転写することにより、感圧ラベル上に印刷が行われる。グラビア印刷法は、印刷シリンダーの表面の下方に数千もの小さなセルがある印刷シリンダーを使用する。印刷シリンダーが圧ロールにおいて感圧ラベルと接触すると、セルからインクが転写される。フレキソグラフィ又はグラビアの印刷用インクには、溶剤系インク、水性インクおよび輻射線硬化型インクが含まれる。グラビア法もフレキソグラフィ法も十分な画質が得られるが、これら2種の印刷法は、印刷シリンダー又は印刷版の作製にコスト及び時間がかかるため、100,000単位未満の印刷量では、セットアップコストやシリンダー又は印刷版のコストを通常は低減することができないので、割高になってしまう。
【0005】
最近、包装体表面に情報を印刷する方法としてデジタル式印刷法が成長しつつある。「デジタル式印刷」とは、電子デジタル文字又は電子デジタル画像を、デジタル情報を伝達可能な電子出力装置により印刷する手法である。デジタル式印刷法の主流は、インクジェットプリント方式と電子写真方式の二種類が挙げられる。
【0006】
1980年初頭にピエゾインパルス型ドロップ・オン・デマンド(DOD)式及び感熱DOD式のインクジェットプリンターが導入されたことによりインクジェットプリント方式が誕生した。これらの初期型プリンターは非常に印刷速度が遅いうえ、インクジェットノズルもしばしま目詰まりを起こした。1990年代に、Hewlett Packard社が最初のモノクロ式インクジェットプリンターを導入し、その後間もなくカラー式ワイドフォーマット型インクジェットプリンターの導入によりグラフィックアーツ市場への参入が可能となった。今日では、包装用、デスクトップ用、工業用、商業用、写真用、及び織物用に多くの様々なインクジェットプリント方式が採用されている。
【0007】
ピエゾ技法では、ピエゾ結晶に電気刺激を与えて圧力波を発生させることにより、インクをインク室から押し出す。インクを帯電させて電場で曲げることにより、様々な文字を作り出すことができる。最近の開発により、導電性ピエゾセラミック材料を利用するDODマルチジェットが導入された。該材料は、帯電時、流路内部の圧力を高め、ノズル先端からインク液滴を押し出す。この方法により、非常に小さなインク液滴を形成することができ、約1,000dpiという非常に高い解像度で高速の印刷が可能となった。
【0008】
最近まで、インクジェット用インクに着色顔料を使用することは一般的ではなかった。しかしながら、これが急速に変化しつつある。インクジェット用のサブミクロン顔料が日本で開発された。顔料を使用することにより、感熱式インクジェットプリンター及びラミネーションに必要とされる耐熱性の高いインクが得られる。着色水性ジェットインクが市販されており、UV硬化性ジェットインクは開発中である。着色インクは耐光堅牢性が高く、耐水性も高い。
【0009】
インクジェットプリント方式は、短時間かつ低コストでカラープリントを行うことができるため、印刷産業を革新する可能性を秘めている。しかしながら、現段階では、インクジェットプリント方式において大きな改良が求められている。その1つとしては、印刷速度の向上である。この問題は、プリンターが迅速に取り扱うことができるデータ量の限界にあることに起因する。デザインが複雑になるほど、印刷プロセスは遅くなる。今のところ、対応するデジタル静電写真式プリンターの1/10の速度である。
【0010】
電子写真方式は、1930年代にChester Carlsonによって発明された。1970年代初頭までに、多くの会社で電子写真方式のカラー複写機の開発が行われていた。カラー複写機の製造技術はすでに熟していたが、市場における需要が十分になかった。顧客のカラー複写機に対する要求が適当な静電カラー複写機を開発するのに必要なインセンティブを生み出すまで、さらに年月を要した。1970年代後期までは、文書を走査し、イメージを電子信号に変換し、それらを電話回線により送信するファックス装置を使用し、そして別のファックス装置により電子信号を受け取り、原画像を感熱紙に印刷して印刷複製物を得るという企業は少数であった。
【0011】
1993年に、IndigoとXeikonは、シート供給式リソグラフプリンターが主流であった製品サイクルが短い市場をターゲットにして市販型デジタル印刷装置を投入した。オフセット印刷法に用いられるネガや印刷版に関連する中間工程を省くことにより、所要時間が短縮され、顧客サービスが向上する。これらのデジタル印刷機は、伝統的なゼログラフィの特性の一部を共有するが、非常に特殊なインクを使用する。従来の写真複写機のためのインクとは異なり、これらのインクは1μm範囲の非常に小さい粒径成分でできている。ゼログラフィに用いられる乾式トナーの大きさは、通常は8〜10μmの範囲内である。
【0012】
1995年に、Indigo社は、柔軟な包装用製品に印刷するためのOminus印刷機を導入した。Ominusは、6色を有するワン・ショット・カラーと呼ばれるデジタル式オフセットカラープロセスを使用する。重要な改良点は、透明基材のために特殊な白色エレクトロインクを使用したことにある。Ominumウェブ供給型デジタル式印刷装置は、カラー画像を基材へ転写するオフセットシリンダーを使用して各種基材の印刷を可能にする。原理的には、被印刷基材にかかわらず完璧な見当合わせが可能であり、この方法によれば紙、フィルム及び金属への印刷が可能である。このデジタル印刷方式は電子写真プロセスに基づく。すなわち、まずコロナ放電で光導電体を帯電させ、その光導電性表面を像様露光することにより、光導電体の表面に静電画像を作り出す。
【0013】
その後、帯電した静電潜像を、該像上の電荷とは逆の電荷を有するインクを使用して現像する。このプロセス部分は、写真複写機に関連する静電トナーのプロセスに類似する。光導電体表面に形成された静電潜像を、液体トナーの電気泳動的転写によって現像する。次いで、この静電トナー像を高温ブランケットへ転写し、ここでトナーを凝集し、かつ、粘着状態に維持し、その後それを基材へ転写してインクを冷却することにより指触乾燥プリントが得られる。
【0014】
エレクトロインクは、一般的には、鉱物油と揮発性有機化合物を含む。該インクは、熱可塑性樹脂が高温で融合するように設計される。実際の印刷プロセスでは、樹脂が凝集し、そしてインクが基材へ転写される。インクを加熱して乾燥させる必要はない。インクは基材上に実質的に乾燥状態で付着するが、冷却されて室温に到達するにつれ指触乾燥状態となる。
【0015】
数十年にわたり、「マグネットグラフィ」と呼ばれる磁気デジタル技法が開発中である。この方式は、磁性シリンダー上に電気画像を作り出し、インクに磁性トナーを使用して画像を作り出すというものである。この方式の潜在的利点は、印刷速度が速いことにある。試験では200m/分という速度が示されている。これらの磁気デジタル式プリンターは黒白コピーに限定されているが、カラー磁性インクの開発によって、この高速デジタル技法は経済的に実施可能となることが見込まれる。その成長の鍵は、VHSM(超高速磁気)ドラム及びカラー磁性インクのさらなる開発にある。
【0016】
磁気デジタル分野では、Nipson Printing Systems (Belfort, France)によって、マグネットリソグラフィと呼ばれるハイブリッド方式が構築され、狭いウェブについて試験され、そして短時間用途が開発されている。該方式は高解像度を提供し、試験はシリコン系の高密度マグネットグラフィヘッドを用いて行われている。この方式をインクジェットプリント方式や電子写真方式に匹敵するようにするためには、インクについてさらに研究開発することが必要である。しかしながら、この方式は、高速印刷が可能であることから、今日のインクジェットプリント方式や電子写真方式が遅れをとっているラベル用途について魅力的な代替法となる。
【0017】
誕生日や休暇といった特別の行事を保存するためのプリントとして写真材料を使用することが知られている。写真材料はまた、広告に利用される大規模表示材料にも使用されている。写真材料は、摩擦、水又は曲げにより汚損されやすいのでデリケートであり、かつ、コストもかかる高品位製品として知られている。写真は、伝統的に、脆弱でデリケートであると同時に価値が高いことから、フレームやフォトアルバムの中に、かつ、保護材料の裏側に入れられる。写真は、顧客にとって、生活での重要な行事を記録し保存するための贅沢品と考えられている。写真はまた、広告用としては高価な表示材料であるとも考えられている。写真は、その贅沢品としてのステータスから、その他の商業領域においては用いられていない。
【0018】
最近の大量消費財のマーケティングは、より小さなグループに個別にアプローチするためにマーケティングを集中させようとする傾向がある。これらのグループは、地域別、民族別、性別、年齢別、又は特定の趣味別に分けられることができる。このような異なるグループにアプローチするためには、これらのグループに特に向いた包装を提供する必要がある。上述したように、従来の包装材料は一般に長時間用途に適しており、短時間用途の包装を迅速に変更したりすることは不可能であるか又は非常にコストがかかる。さらに、最近では、短時間用途に適した迅速写真処理装置が利用できるようになっている。また、比較的長期の連続高速運転が可能なハロゲン化銀処理装置も利用することができる。低コストの包装に適した写真材料と迅速な短時間及び長時間運転に利用できる処理装置との組合せにより、ハロゲン化銀材料をラベルに利用する機会がもたらされた(例えば、特許文献1参照。)。このハロゲン化銀材料を用いるにより、少ない数量を低コストで短期間で作製するという目的は達成された。しかし、ハロゲン化銀材料は、現像工程が必要であり、設備として、暗室、水源が必要であったり、廃液の処理が必要であったり、依然不便な点が多い。また、露光、現像と2工程が必要であり、さらなる作製時間の短縮化が求められる。
【0019】
【特許文献1】
特開2002−328447号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、被着体に貼付されるラベルであって、短時間で作製でき、高品位の画像を有するラベルを提供することにある。
本発明の別の目的は、被着体におけるラベル表示を短時間で容易に行うことができるラベル表示方法を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、高品位の画像を有する両面画像部材を短時間で容易に形成することができる両面画像部材の形成方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する手段は以下の通りである。即ち、
<1> 支持体上に少なくとも感熱記録層を有する感熱記録材料の支持体に、接着剤層を介して可撓性ライナーが貼付され、前記支持体の剛性が15〜60mNであり、かつ前記可撓性ライナーの剛性が40〜120mNであることを特徴とするラベルである。
<2> 前記可撓性ライナーが、セルロース繊維紙を含むことを特徴とする前記<1>に記載のラベルである。
<3> 前記可撓性ライナーが、さらに、二軸延伸ポリマーシートを含むことを特徴とする前記<2>に記載のラベルである。
<4> 前記二軸延伸ポリマーシートが、前記セルロース繊維紙よりも接着剤層側に位置することを特徴とする前記<3>に記載のラベルである。
<5> 前記可撓性ライナーの厚さが、75〜225μmの範囲内であることを特徴とする前記<1>から<4>のいずれかに記載のラベルである。
<6> 前記可撓性ライナーの引張強度が120MPa以上であることを特徴とする前記<1>から<5>のいずれかに記載のラベルである。
<7> 前記可撓性ライナーの接着剤層側にシリコーンコーティングが施されていることを特徴とする前記<1>から<6>に記載のラベルである。
<8> 前記支持体の厚さが、40〜75μmの範囲内であることを特徴とする前記<1>から<7>のいずれかに記載のラベルである。
<9> 前記支持体が、配向ポリオレフィン又は配向ポリエステルを含むことを特徴とする前記<1>から<8>のいずれかに記載のラベルである。
<10> 感熱記録層と、15〜60mNの剛性を有する支持体と、該支持体に対して接着剤により接着された40〜120mNの剛性を有する可剥性ライナーとを含むラベルを用い、感熱記録装置により前記ラベルに感熱記録画像を印画し、前記可撓性ライナーを剥離し、前記ラベルを被着体に接着させることを特徴とするラベル表示方法である。
<11> 印画された感熱記録画像に、さらに、インクジェット記録領域を設けることを特徴とする前記<10>に記載のラベル表示方法である。
<12> 感熱記録層と、15〜60mNの剛性を有する支持体と、該支持体に対して接着剤層により接着された40〜120mNの剛性を有する可剥性ライナーとを含むラベルを用い、感熱記録装置により前記ラベルに感熱記録画像を印画し、前記ラベルを切断して2つの半ラベルとし、該半ラベルの各可撓性ライナーを剥離し、前記2つの半ラベルの接着剤層同士を貼り合わせることにより、各面に1以上の感熱記録画像を配設させることを特徴とする両面画像部材の形成方法である。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明のラベルは、支持体上に少なくとも感熱記録層を有する感熱記録材料の支持体に、接着剤層を介して可撓性ライナーが貼付され、前記支持体の剛性が15〜60mNであり、かつ前記可撓性ライナーの剛性が40〜120mNであることを特徴としている。
また、本発明のラベル表示方法は、感熱記録層と、15〜60mNの剛性を有する支持体と、該支持体に対して接着剤により接着された40〜120mNの剛性を有する可剥性ライナーとを含むラベルを用い、感熱記録装置により前記ラベルに感熱記録画像を印画し、前記可撓性ライナーを剥離し、前記ラベルを被着体に接着させることを特徴としている。
さらに、本発明の両面画像部材の形成方法は、感熱記録層と、15〜60mNの剛性を有する支持体と、該支持体に対して接着剤層により接着された40〜120mNの剛性を有する可剥性ライナーとを含むラベルを用い、感熱記録装置により前記ラベルに感熱記録画像を印画し、前記ラベルを切断して2つの半ラベルとし、該半ラベルの各可撓性ライナーを剥離し、前記2つの半ラベルの接着剤層同士を貼り合わせることにより、各面に1以上の感熱記録画像を配設させたことを特徴としている。
以上、本発明は、いずれの態様においても、15〜60mNの剛性を有する支持体と該支持体に対して接着剤により接着された40〜120mNの剛性を有する可剥性ライナーとを含むラベルである(を用いる)ため、感熱記録装置の搬送系により好適に搬送することができ、また迅速に感熱記録画像を印画することができる。以下、先ず本発明のラベルについて説明する。
【0023】
<ラベル>
本発明のラベルにおいては、薄くて柔軟性があり、しかも頑丈な感熱記録材料を利用することにより、多くの優れた特性を有するラベルが得られる。本発明のラベルが貼付された包装材料は、包装において現在利用できるいかなるものよりも、明るく、鮮鋭で、かつ、色彩の高い画像を提供することができる。本発明のラベルが貼付された包装材料は、現存する包装材料にはない画像の深みを有する。本発明のラベルが貼付された包装材料は、シャンプーボトル、香水ボトル及びフィルムボックスのような容器の適当な感圧ラベル表示である各種パッキング材料を提供することができる。本発明のラベルは、優れた画像を有しつつ、低コストでありながら強い強度を提供する薄い支持体の上で利用することができる。本発明のラベルは、感熱記録装置により画像形成されるので、短時間で製造することができ、しかもある画像から別の画像へと適宜迅速に切り換えることができる。
【0024】
本発明のラベルによると、該ラベルを貼着した包装体を迅速に設計して市場に送り込むことができる。例えば、スポーツやエンターテイメントにおける重要な行事の画像を事実上即座にマーケットに出すことができる。デジタル画像は、感熱記録装置により印刷され、当該行事から即座に利用することができるからである。このことは、感圧ラベルのためのリード時間が通常数週間も要するグラビア又はフレキソグラフィ系の画像形成法とは対照的である。さらに、例えば、地域によって異なる画像の注文生産を迅速に行うことができる。また、本発明のラベルは、露光・現像工程を有するハロゲン化銀による画像を用いた場合と比較しても、短時間で作製することができる。
【0025】
また、本発明のラベルを用いると、ラベルの表示内容を迅速に変更することができるため、国毎に言語やマーケティングテーマが異なる地域別ラベル表示を提供することができる。さらに、国が異なると、内容物に関するラベル表示要件も異なってくる。例えば、ワインやビールのようなアルコール飲料は、ラベル表示要件が地域別、国別にバリエーションの幅が広い。フランス産ワインは、他国での国内用ラベル表示を待つためにフランスからの輸出の遅れが長期にわたることがある。また、高級なワイン、香水及びチョコレートのようなプレミアム製品には感熱記録画像が特に望ましい。感熱記録画像は高画質であり、当該製品の高品質を包装体に反映させられるからである。
【0026】
本発明のラベルにおいては、印刷版や印刷シリンダーのコストが省けるので、短時間用途の印刷も低コストで行うことができる。感熱記録画像をラベルに適用して使用するため、一般的な画質の低い6色グラビア印刷画像と比較しても、高画質が得られる。
【0027】
感熱記録方式は、感圧ラベル上にテキスト、及びグラフィクスを同時に印刷することができる。感熱記録方式はデジタル方式に適合しているので、ラベル毎に印刷する画像を異ならせることができ、印刷版やシリンダーの余計な出費を伴うことなくラベルを個別に注文生産することができる。さらに、デジタルファイルの印刷により、当該ファイルをインターネットのような電子データ伝送技術を使用して転送することができ、よって包装体への印刷にかかるサイクル時間を短縮することができる。感熱記録方式は、現行のインクジェットプリント方式又は電子写真印刷エンジンに匹敵する印刷速度が得られる。
【0028】
本明細書において使用される「頂部」、「上部」、および「表」という用語は、ラベルの感熱記録層を担持している側又はその方向を意味する。環境保護層とは、記録後の感熱記録層に適用される層を意味する。「面素材」及び「基材」は、感熱記録層が適用される材料を意味する。「底部」、「下側」、「ライナー」及び「裏」は、当該ラベルの感熱記録層側とは反対側又はその方向を意味する。
【0029】
[支持体]
前述のように、本発明において用いる支持体は、15〜60mNの剛性を有する支持体である。支持体の剛性が15mN未満であると、貼付機での搬送貼付けが難しく、60mNを超えると、貼付けが難しくなり不必要にコストが高くなる。支持体の剛性は、より好ましくは、20〜40mNである。
【0030】
感熱記録層が形成される本発明に用いられる支持体は、自動化包装装置において、ラベルの各種容器への貼付について効率的に性能発揮することも必要である。好ましい支持体はセルロース紙である。セルロース紙支持体は、ポリマー支持体に比べて柔軟性があり、強く、しかもコストが低い。さらに、セルロース紙支持体によると、包装用途によっては望ましい場合があるテキスチャー付きラベル面が可能である。紙には防水用のコーティングを付与することができる。好適なコーティングの一例としてアクリルポリマー又はポリエチレンが挙げられる。
【0031】
ポリマー支持体は、耐引裂性があり、コンフォーマビリティに優れ、耐薬品性が良好で、しかも高強度であることから、別の好ましい支持体となる。好適なポリマー支持体として、配向ポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレンのような配向ポリオレフィン、ポリプロピレンやポリエチレンのような流延ポリオレフィン、ポリスチレン、アセテート及びビニルが含まれ、中でも特に、配向ポリオレフィン、配向ポリエステルが好ましい。ポリマーは、強くて柔軟であり、感熱記録層のコーティングとして優れた表面を提供するので好ましい。
【0032】
二軸延伸ポリオレフィンシートは、低コストであり、感熱記録層を最適化する優れた光学特性を有し、しかも高速ラベル貼付装置において包装体に適用可能であることから好ましい。ミクロボイドを有する複合二軸延伸シートは、そのボイド層がTiO2によらずとも不透明性と明るさを付与するので、最も好ましい。ミクロボイドを有する二軸延伸シートは、コア層と表面層とを同時押出し、次いで二軸延伸してコア層に含まれるボイド発生材料の周囲にボイドを形成させることにより製造され、便利である。このような複合シートは米国特許第4,377,616号、同第4,758,462号、同第4,632,869号及び同第5,866,282号に記載されている。必要に応じて、二軸延伸ポリオレフィンシートを紙シートの片面又は両面にラミネートすることにより剛性の一段と高いラベルを形成することもできる。
【0033】
柔軟性ポリマー支持体は2層以上を含有することができる。柔軟性支持体の表皮層は、先にコアマトリックスについて列挙したものと同一の高分子材料でできていてもよい。複合シートは、コアマトリックスと同一の高分子材料の表皮でできていてもよいし、また、コアマトリックスとは異なる高分子材料の表皮でできていてもよい。適合性を考慮し、表皮層のコアへの密着性を高めるために補助層を使用することもできる。
【0034】
柔軟性支持体のボイド生成材料は、各種材料の中から選ぶことができ、コアマトリックスポリマーの質量に対して約5〜50質量%の範囲内の量で存在させるべきである。ボイド生成材料は高分子材料を含むことが好ましい。高分子材料を使用する場合、コアマトリックスを製造するポリマーと溶融混合することができ、懸濁液を冷却した際に分散球形粒子を形成することができるポリマーであることができる。この例として、ポリプロピレンに分散したナイロン(R)、ポリプロピレンに分散したポリブチレンテレフタレート、又はポリエチレンテレフタレートに分散したポリプロピレンが挙げられる。ポリマーを予め付形しておいてマトリックスポリマーに配合する場合、重要な特性は該粒子の大きさと形状である。球体が好ましいが、それは中空体であっても中実体であってもよい。これらの球体は、式:Ar−C(R)=CH2(式中、Arは芳香族炭化水素基又はベンゼン系列の芳香族ハロ炭化水素基を表し、Rは水素又はメチル基を表す)で表されるアルケニル芳香族化合物;式:CH2=C(R’)−C(O)(OR)(式中、Rは水素及び炭素原子数約1〜12のアルキル基からなる群より選ばれ、R’は水素及びメチルからなる群より選ばれる)で表されるモノマーを含むアクリレート系モノマー;塩化ビニルと塩化ビニリデン、アクリロニトリルと塩化ビニル、臭化ビニル、式:CH2=CH(O)COR(式中、Rは炭素原子数2〜18のアルキル基である)で表されるビニルエステルのコポリマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、オレイン酸、ビニル安息香酸;テレフタル酸及びそのテレフタル酸ジアルキル又はエステル形成性誘導体と、式:HO(CH2)nOH系列(式中、nは2〜10の全数である)のグリコールとの反応により合成された合成ポリエステル樹脂であってポリマー分子内に反応性オレフィン結合を有するもの、からなる群より選ばれた部材である架橋ポリマーから製造することができる。上記ポリエステルは、最大20質量%まで、反応性オレフィン系不飽和を有する第2の酸又はそのエステル及びその混合物を共重合させて含み、また、ジビニルベンゼン、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジアリルフマレート、ジアリルフタレート及びそれらの混合物からなる群より選択された架橋剤を含む。
【0035】
架橋ポリマーボイド生成粒子を製造するための典型的なモノマーの例として、スチレン、アクリル酸ブチル、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、エチレングリコールジメタクリレート、ビニルピリジン、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、塩化ビニルベンジル、塩化ビニリデン、アクリル酸、ジビニルベンゼン、アクリルアミドメチル‐プロパンスルホン酸、ビニルトルエン、等が挙げられる。架橋ポリマーはポリスチレン又はポリ(メタクリル酸メチル)であることが好ましい。最も好ましくは、架橋ポリマーはポリスチレンであり、その架橋剤はジビニルベンゼンである。
【0036】
当該技術分野で周知の方法によると、粒径分布幅が広いことを特徴とする大きさが均一にならないボイド生成粒子が得られる。得られたビーズは、初期の粒径分布範囲にわたりビーズをスクリーニングすることによって分級することができる。懸濁重合法、限定凝集法のような他の方法によると、大きさが非常に均一な粒子が直接得られる。
【0037】
ボイド生成材料は、ボイドの発生を促進するための促進剤でコーティングすることができる。適当な促進剤又は潤滑剤として、コロイドシリカ、コロイドアルミナ、及び酸化錫や酸化アルミニウムのような金属酸化物が挙げられる。好適な剤はコロイドシリカ及びアルミナであり、最も好ましいのはシリカである。促進剤をコーティングした架橋ポリマーは、当該技術分野で周知の方法によって調製することができる。例えば、常用の懸濁重合法において当該剤を懸濁液に添加する方法が好適である。当該剤としてはコロイドシリカが好適である。
【0038】
ボイド生成材料は無機球体であってもよく、これには中実もしくは中空のガラス球体、金属もしくはセラミックビーズ又はクレー、タルク、硫酸バリウムもしくは炭酸カルシウムのような無機粒子が含まれる。重要なことは、当該材料がコアマトリックスポリマーと化学的に反応して下記の問題を1つでも引き起こさないことである:(a)マトリックスポリマーの結晶化速度論を変更することにより配向を困難にすること、(b)コアマトリックスポリマーを破壊すること、(c)ボイド生成粒子を破壊すること、(d)ボイド生成粒子をマトリックスポリマーに密着させること、又は(e)毒性部分もしくは高度着色部分のような望ましくない反応生成物を生じること。ボイド生成材料は写真活性を有してはならず、また、二軸延伸ポリオレフィンシートが使用されている写真要素の性能を劣化させてはならない。
【0039】
高分子支持体の最上表皮層の全厚は0.20μm〜1.5μm、好ましくは0.5μm〜1.0μmの範囲内にすることができる。0.02μm〜1.5μmであると、同時押出表皮層に固有の非平面性により、許容できないカラーバリエーションが生じることがなく、解像度などの写真光学特性が低下することなく好ましい。
【0040】
画像形成要素の色を変更するために柔軟性支持体の最上表皮層に添加物を添加してもよい。ラベル表示用途の場合、若干青味がかった白色支持体が好適である。若干の青味付けは、押出工程前に着色濃縮物を機械混合して所望の配合比率で予め配合しておいた青着色剤を溶融押出する方法をはじめとする当該技術分野で公知のどのような方法でも達成することができる。表皮層の同時押出には320℃を上回る温度が必要であるため、320℃よりも高い押出温度に耐え得る着色顔料が好ましい。本発明に用いられる青着色剤は、画像形成要素に悪影響を及ぼさないものであればどのような着色剤であってもよい。好適な青着色剤として、フタロシアニン系青顔料、クロモフタル系青顔料、イルガジン(Irgazin)系青顔料及びイルガライト(Irgalite)系有機青顔料が挙げられる。UVエネルギーを吸収して青領域にて広く発光するように表皮層に蛍光増白剤を添加してもよい。表皮層にTiO2を添加してもよい。表皮層にTiO2を添加しても該シートの光学性能に顕著に寄与することはないが、押出ダイライン及びスポットのようないくつかの製造上の問題を引き起こすことはある。表皮層は実質的にTiO2を含まないことが好ましい。0.20〜1.5μmの範囲内の層に添加されたTiO2は、支持体の光学特性を実質的に改良することはなく、設計コストを増大させ、そして押出プロセスでは望ましくない顔料ラインの問題を引き起こす。
【0041】
柔軟性支持体の光学特性を改良するためにコアマトリックス及び/又は1層以上の表皮層に添加物を添加することができる。このような添加物としては、二酸化チタンが好適であり、本発明では画像鮮鋭性又はMTF、不透明性及び白色度を改良するために用いられる。用いるTiO2はアナターゼ型であってもルチル型であってもよい。さらに、アナターゼ型TiO2とルチル型TiO2の両方を配合することにより白色度と鮮鋭性の両方を改良することができる。写真系に許容できるTiO2の例として、DuPont Chemical社製R101ルチルTiO2及び同R104ルチルTiO2が挙げられる。本発明では、当該技術分野において写真光学応答性を改良することが知られている他の顔料も使用することができる。当該技術分野において白色度を改良することが知られている他の顔料の例として、タルク、カオリン、CaCO3、BaSO4、ZnO、TiO2、ZnS、及びMgCO3が挙げられる。TiO2の好適なタイプは、ボイド含有層と共に画像白色度及び鮮鋭性を最適化することがわかったので、アナターゼ型である。
【0042】
二軸延伸シートを表面から観察する時に画像形成要素が紫外線照射時に可視スペクトルで発光するように柔軟性支持体に添加物を添加することができる。可視スペクトルで発光することにより、紫外エネルギーの存在下で支持体は所望のバックグラウンド色を有することができる。これは、画像を外部で観察する時には、太陽光が紫外エネルギーを含み、これを利用して消費者用途及び商業用途の画質を最適化することができるので、特に有用である。
【0043】
当該技術分野において青色スペクトルの可視光を発することが知られている添加物が好適である。消費者は、一般に、1つのb*単位内のb*がゼロであるとして定義される中性濃度最低値に対して負のb*として定義される画像の濃度最低領域よりも若干青味がかっていることを好む。b*はCIE(国際照明委員会)色空間の黄色/青色の測定値である。b*は正では黄色を示し、b*は負では青色を示す。青色スペクトルにおいて発光する添加物の添加により、画像の白色度を低下させる着色剤を添加することなく支持体の色味付けが可能となる。好適な発光はΔb*単位で1〜5の範囲内である。Δb*は、試料を紫外光源で照明した時と有意な紫外エネルギーを含まない光源で照明した時とのb*測定値の差として定義される。Δb*は、本発明の最上部二軸延伸シートに蛍光増白剤を添加して得られる正味の効果を求めるのに好適な測定値である。1b*単位未満の発光はほとんど認知できないので、b*変化量が1b*単位未満である時には二軸延伸シートへ蛍光増白剤を添加することはコスト的に有効ではない。5b*単位を上回る発光は、画像のカラーバランスを損ない、白色が青く見えすぎる。
【0044】
好適な添加物は蛍光増白剤である。蛍光増白剤は、紫外光を吸収してこれを可視青光として発する無色の蛍光性有機化合物である。蛍光増白剤の例として、4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸の誘導体、4−メチル−7−ジエチルアミノクマリンのようなクマリン誘導体、1,4−ビス(O−シアノスチリル)ベンゾール及び2−アミノ−4−メチルフェノールが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0045】
ボイドは柔軟性支持体の不透明性を増大させる。このボイド含有層は、TiO2、CaCO3、クレー、BaSO4、ZnS、MgCO3、タルク、カオリンその他の2層以上の前記フィルムにおいて高反射性白色層を提供する材料からなる群より選ばれた少なくとも1種の顔料を含有する層との併用も可能である。着色層とボイド含有層を組み合わせることにより、最終画像の光学性能において有利な効果が得られる。
【0046】
柔軟性支持体のボイド含有層は、亀裂や隣接層からの離層のような物理的破損に対して、中実層よりも弱い。特に、TiO2を含むボイド含有構造又はTiO2を含む層に近接しているボイド含有構造は、長期間の露光により機械特性を失い、また物理的破損を受けやすい。TiO2粒子はポリプロピレンの光酸化的分解を開始し、これを促進する。多層二軸延伸フィルムの少なくとも一層に、好ましい態様ではTiO2を含む層に、ヒンダードアミン系安定剤を添加することにより、最も好ましい態様としてはTiO2を含む層とその隣接する層との双方にヒンダードアミンを含めることにより、明所保存及び暗所保存の両方における画像安定性が改良される。
【0047】
ポリマー支持体は、前記フィルムの少なくとも一層に約0.01〜5質量%の安定化量のヒンダードアミンを含有することが好ましい。これらの量で二軸延伸フィルムの安定性が改良されるが、約0.1〜3質量%の好適な範囲により、明所保存及び暗所保存の両方における安定性の改良バランスに優れると同時に、当該構造体のコストが一層効果的になる。
【0048】
ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンを代表とするヒンダードアミン化合物の一般群から得ることができる。ヒンダードアミン系光安定剤という用語は、ヒンダードピペリジン類似体について使用することが受け入れられている。この化合物は、酸素存在下、ポリプロピレンの光酸化を妨害する安定なニトロキシル基を生成することにより、画像形成要素に優れた長期写真安定性を付与する。ヒンダードアミンは、最終製品における移行を極力抑えるに十分な分子量を有し、好適な濃度においてポリプロピレンと混和し、そして最終製品に色を付与することがない。好適な実施態様におけるHALSの例として、ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−4−ピペリジニル]−イミノ]−1,6−ヘキサンジイル[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]](Chimassorb 944 LD/FL)、Chimassorb 119、及びビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]ブチルプロパンジオエート(Tinuvin 144)が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0049】
さらに、柔軟性支持体は、ポリプロピレンの熱安定化に通常用いられているヒンダードフェノール系一次酸化防止剤のいずれかを単独で、又は二次酸化防止剤とを組み合わせて、含有することができる。ヒンダードフェノール系一次酸化防止剤の例として、ペンタエリトリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](例、Irganox 1010)、オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(例、Irganox 1076)、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチル)−4−ヒドロキシ−2[3−[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]−1−オキソプロピル]ヒドラジド(例、Irganox MD1024)、2,2’−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](例、Irganox 1035)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−ベンゼン(例、Irganox 1330)が挙げられるが、これらに限定はされない。二次酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト(例、Irgastab TPP)、トリ(n−プロピルフェニル−ホスファイト)(例、Irgastab SN−55)、2,4−ビス(1,1−ジメチルフェニル)ホスファイト(例、Irgafos 168)のような例をはじめとする有機アルキル及びアリールホスファイトが挙げられ、好適な態様にはIrgafos 168が含まれる。ヒンダードアミンに他の一次及び二次酸化防止剤を組み合わせると、溶融処理及び押出工程中のポリプロピレンのようなポリマーに熱安定性を付与し、さらには写真のような画像形成品の単層系においては自明ではない明所及び暗所保存特性を高めることにより、多層二軸延伸ポリマーシートにおいて相乗効果が得られる。これらの意外な結果により、画像形成品に利用できるポリマーの範囲が広がり、よってそれらの設計に高い特徴を導入することができる。
【0050】
多層同時押出型柔軟性支持体に含まれるいずれの層にも蛍光増白剤を添加することができる。好適な添加場所は、前記シートの露出面層又はその付近である。これにより、蛍光増白剤の濃度の効率化が可能となる。
【0051】
蛍光増白剤の所望の質量%の充填が、蛍光増白剤が支持体の表面に移行してきて感熱記録層中で結晶を形成する濃度に近づき始めた場合、露出層に隣接した層に蛍光増白剤を添加することが好ましい。蛍光増白剤を使用する従来の画像形成支持体では、画像形成層内への移行を防止するために高価なグレードの蛍光増白剤を使用する。感光性ハロゲン化銀画像形成系の場合のように、蛍光増白剤の移行が問題となる時、好適な露出層は蛍光増白剤を実質的に含まないポリエチレンを含む。この場合、露出層に隣接した層からの移行は、露出面層が蛍光増白剤に対してバリヤとして作用するため有意に減少し、画質を最適化するためにはるかに多量の蛍光増白剤を使用することが可能となる。さらに、露出層に隣接した層に蛍光増白剤を配置することにより、実質的に蛍光増白剤を含まない露出層としてより安価な蛍光増白剤を使用することができ、蛍光増白剤の著しい移行が防止される。本発明の二軸延伸シートにおける蛍光増白剤の望ましくない移行を抑える別の好ましい方法は、露出面に隣接する層にポリプロピレンを使用する方法である。
【0052】
柔軟性二軸延伸基材はミクロボイドを含有するコアを有するものが好ましい。ミクロボイド含有コアは、画像形成支持体の不透明性及び白色度を増大させ、さらには画質を改良する。ミクロボイド含有コアの画質の利点と、紫外エネルギーを吸収して可視スペクトルで発光する材料とを組み合わせることにより、画像支持体は、紫外エネルギー照射時に色味を示し、室内光のような有意な紫外エネルギーを含まない照明下で画像を観察した時にも優れた白色度を保持することができるので、画質のユニークな最適化が可能となる。
【0053】
柔軟性支持体の同時押出、急冷、延伸及びヒートセット処理は、フラットシートプロセスやバブル法又はチューブラ法によるような配向シートを製造するための当該技術分野で知られているいずれの方法によっても行うことができる。フラットシートプロセスは、配合物をスリットダイから押し出して、押し出されたウェブを冷却キャスティングドラム上で急冷することにより、シートのコアマトリックスポリマー成分及び表皮成分をガラス凝固温度よりも低温に冷却するという方法である。次いで、急冷したシートを、当該マトリックスポリマーのガラス転移温度よりも高いが溶融温度よりも低い温度において相互に直交する方向に延伸することにより二軸延伸する。シートの延伸は、一方向において行ってから第二方向において行ってもよいし、両方向同時に行ってもよい。シートを延伸した後、該シートを両延伸方向における収縮をある程度抑えながら、ポリマーを結晶化させてアニールするのに十分な温度に加熱することによってヒートセットする。
【0054】
ミクロボイドを有するコアの上にボイドを含まない表皮を少なくとも1つ設けることにより、柔軟性支持体の引張強さが増し、シートの製造適性も高くなる。引張強さが増大することにより、すべての層にボイドを含むシートを製造する場合と比べ、シートの幅を拡張し、また延伸比を高くすることができる。複数の層を同時押出することにより、製造工程がさらに簡略化される。
【0055】
柔軟性支持体は、透明なものが好ましい場合がある。透明な柔軟性支持体を使用することにより、ラベルを通して包装体の中身が観察できるラベル表示用途に特に有用な透明ラベルが得られる。例として、ワインボトルラベル表示、シャンプーボトルラベル表示及び透明又は着色ガラスを使用する飲料ボトルが挙げられる。本発明における「透明」材料は、分光透過率が90%を超える材料として定義される。画像形成要素の場合、分光透過率は、透過出力の入射出力に対する比率であり、式:TRGB=10−D×100による百分率で表される。式中、Dは、X−Riteモデル310(又は相当する)写真透過濃度計によって測定された赤、緑及び青のステータスA透過濃度の平均値である。
【0056】
ほとんどの用途では、光透過率が20%未満である柔軟性支持体が好適である。光透過率が20%未満であることにより、反射性の高い優れた不透明ラベルが得られる。暗くて画質を損なうであろうバックグラウンドに対するラベル表示の場合、不透明で反射性の高いラベルが有用である。一例として黒い包装体にラベル表示する場合が挙げられる。支持体の光透過率が20%よりも高いと、画像が暗くなり、顔の細部のような低濃度詳細部が消失することになる。
【0057】
支持体の厚さとしては、40〜75μmとすることが好ましく、45〜65μmとすることがより好ましい。支持体の厚さを40〜75μmとすることにより、不必要にコスト高となることがなく、搬送もしやすくなり好ましい。
【0058】
[可撓性ライナー]
前述のように、本発明において用いる可撓性ライナーは、40〜120mNの剛性を有する。可撓性ライナーの剛性が40mN未満であると、貼付機での搬送、貼付けが難しくなり、120mNを超えると、貼付けが難しくなり、不必要にコストが高くなる。可撓性ライナーの剛性は、より好ましくは、50〜100mNである。
【0059】
本発明のラベルには、感熱記録装置の内部を効率的に搬送することができる可撓性ライナーが具備されている。従来のライナー材料は、縁部案内にとって十分な剛性を有していない。本発明のラベルによると、効率的な画像処理も可能となる。従来の紙ライナー材料のように、画像形成用薬剤が吸収されて後続の処理工程に持ち込まれることがないからである。
【0060】
本発明のラベルを製造するため、支持体、接着剤、感熱記録層を担持する可撓性ライナーは、製造、画像印刷、ラベル変換及びラベル適用装置においての搬送を効率的に行えることができるため好ましい。
【0061】
本発明のラベルにおいては、ラベル貼付装置の中を搬送できるようにするため、包装体へラベルを付着させるのに必要な接着剤を、剥離可能な可撓性ライナーにより保護している。可撓性ライナーにより、搬送における強度を確保することができ、かつ、包装体へ適用される前の接着剤層を保護することができる。可撓性ライナーは、セルロース繊維紙を含むことが好ましい。セルロース繊維紙を有する可撓性ライナーは、柔軟性があり、強く、しかもポリマー基材に比べ低コストである。セルロース紙基材は、包装用途によっては望ましいとされ得る質感のある(textured)ラベル表面とすることができる。さらに、可撓性ライナーは、二軸延伸ポリマーシートを含むことが好ましい。二軸延伸ポリマーシートを含むことにより、さらに強度を増すことができ好ましい。
【0062】
また、可撓性ライナーは、セルロース繊維紙と二軸延伸ポリマーシートとを含む場合、前記セルロース繊維紙よりも接着剤層側に位置することが、搬送性を良好にする点において好ましい。
【0063】
好適な可撓性ライナーの材料の他の例としては、ポリマーの配向シートである。可撓性ライナーは、配向プロセスで強度及び靭性が発揮されるため、配向ポリマーであることが好ましい。ライナー基材として好適なポリマーに、ポリオレフィン、ポリエステル及びナイロン(R)がある。好適なポリオレフィンとして、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリブチレン及びこれらの混合物が挙げられる。ヘキセン、ブテン及びオクテンのようなエチレンとプロピレンのコポリマーをはじめとするポリオレフィンコポリマーも有用である。中でも、ポリエステルが最も好ましい。これは、ラベルを高速ラベル貼付装置において効率的に搬送するのに必要な望ましい強度及び靭性を有するからである。
【0064】
さらに別の例としては、紙心材に配向ポリマーシートを積層してなる可撓性ライナーがある。積層型の可撓性ライナーが好ましい理由は、ポリマーの配向シートは引張強度を付与することにより該ライナーの厚さをコート紙よりも薄くすることができるからである。
【0065】
可撓性ライナーの引張強度又は基材が破断する際の引張応力は、重要な搬送及び形成パラメータである。引張強度はASTM D882試験法によって測定される。引張強度は120MPa以上であることが好ましい。引張強度が120MPa以上の可撓性ライナーは、自動包装装置において搬送時、形成時及び包装体への適用時に破損することがないからである。可撓性ライナーの摩擦係数、すなわちCOFは、自動ラベル貼付装置における搬送及び形成効率に関係するので、重要な特性である。COFは、ある表面上を移動する物品の質量の、該表面と該物品との間の接触を維持する力に対する比率である。COFを数学的に表現すると以下のようになる。COF=μ=(摩擦力/法線力)
【0066】
可撓性ライナーのCOFは、その静的及び動的両方のCOFを測定するためのステンレススチールスレッドを使用するASTM D−1894によって測定される。本発明のライナーに好適なCOFは0.2〜0.6の範囲内である。一例として、ピック・アンド・プレース用途に用いられるラベルの上にコーティングするためには0.2COFが必要である。ラベルを拾いそれを別の地点に移動させる機械式装置を使用する作業では、該ラベルがその下方のラベルの表面上を容易にスライドするようにCOFが低いことが必要である。反対に、ブックカバーのような大きなシートは、貯蔵の際に積み重ねたときにスリップして横滑りしないように、0.6COFが必要である。場合によっては、片面のCOFが高く、その反対面のCOFが低い材料が必要となることもある。通常は、プラスチックフィルム、ホイル又は紙基材のような支持体自体が、片面に必要なCOFを提供する。適当なコーティングを適用することにより、画像形成面のCOF値が高くなるように又は低くなるように調節することができる。両側の一方に二種類のコーティングを使用できることも想定される。COFは静的であっても動的であってもよい。静摩擦係数は、2つの表面間が、実際には移動していないが、移動し始める時点での値である。動摩擦係数は、2つの表面が相互に一定速度で実際にスライドしている時の値を意味する。COFは、通常、表面に置いたスレッドを使用して測定する。スライド開始時に必要な力が静的COFの測定値となる。一定の長さにわたり一定速度でスレッドを引っ張ることにより動摩擦力値が得られる。
【0067】
本発明に係る可撓性ライナーの厚さは75〜225μmの範囲内であることが好ましい。可撓性ライナーの厚さは、コスト効率のよい設計を達成するために引張強さ又は機械的弾性率として表現される可撓性ライナーの強度を、可撓性ライナーの厚さとバランスさせなければならない点で重要である。例えば、高強度の厚い可撓性ライナーは、ロール径を一定とした場合に薄い可撓性ライナーと比較してロール長が短くなるので、コスト効率がよくない。可撓性ライナーの厚さが75〜225μmであると、感熱記録装置内での搬送不良を引き起こすことなく、製造効率を向上させることができる。
【0068】
本発明のラベルにおいて、可撓性ライナーに帯電防止剤を含有又はコーティングすることが好ましい。このような帯電防止剤の表面電気抵抗率としては、1011Ω/□以上であることが望ましい。最も好ましい実施態様において、帯電防止剤は、酸化錫及び五酸化バナジウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の材料を含む。
【0069】
本発明において、可撓性ライナーの接着剤層側に、再定置するために剥離層を設けることが好ましい。剥離層により、接着剤層と支持体との界面での均一分離が可能になる。剥離層は、剥離層を可撓性ライナーへ適用するための当該技術分野で公知のいずれの方法によっても適用することができる。例として、シリコーンコーティング、テトラフルオロエチレンフルオロカーボンコーティング、フッ素化エチレンプロピレンコーティング及びステアリン酸カルシウムが挙げられる。
【0070】
[接着剤層]
本発明のラベルでは、高速包装装置を使用して包装体表面にラベルを貼付できるようにするため、接着剤を使用する。「剥離可能な分離」、「剥離強度」又は「分離力」は、当該ラベルを適用した被着体からラベルを分離するのに要する力の測定値である。剥離強度は、原子価力もしくはかすがい作用又はその両方からなるラベル接着剤の内部力によって互いに保持されている2つの表面を分離するのに要する力である。剥離強度は、インストロンゲージを使用し、試料を180°方向に1.0m/分のクロスヘッド速度で剥離することにより測定される。試料幅は5cmで、剥離距離は10cmである。
【0071】
剥離可能な接着剤を使用することにより、消費者はラベルを被着体から分離することができる。ラベルが被着体から分離できることにより、例えば、リベートクーポンを包装体(被着体)に貼付し、又は販促に使用することができる。剥離可能な写真ラベル接着剤の場合、ラベルと被着体との間の好適な剥離強度は80g/cm以下である。剥離強度を80g/cm以下とすることにより、支持体を破損することなく、ラベルを被着体から容易に剥離することができる。
【0072】
画像を可撓性ライナーから分離する際、本発明の剥離可能なラベル接着剤は、20g/cm〜100g/cmの範囲内の再定置剥離強度を有することが好ましい。再定置剥離強度は、ラベル接着剤を含む分離された画像を、23℃及び50%RHの条件下でステンレススチールブロックから剥離するのに要する力である。再定置剥離強度が20〜100g/cmであると、ラベル接着剤は、冷蔵庫やフォトアルバムのような各種表面に付着したままでいるのに十分な剥離強度が得られるとともに、後に画像を再定置することが容易となる。
【0073】
本発明における剥離可能な接着剤層は、単層であっても二層以上であってもよい。接着剤層が二層以上ある場合、接着剤層の1つがラベルベースに優先的に付着する。画像が可撓性ライナーから分離すると、接着剤を再定置のためにラベルベースに付着させることができる。
【0074】
本発明において接着剤層は、感熱記録層と相互作用することにより画質を劣化させることがあってはならない。接着剤層を構成する接着剤は、画像を表面付着により所望の表面に結合できるものであれば、無機系であっても有機系であっても、また天然系であっても合成系であってもよい。無機系の接着剤の例として、可溶性シリケート、セラミック、及び熱硬化性粉末ガラスが挙げられる。有機系の接着剤は天然系であっても合成系であってもよい。天然系の接着剤の例としては、骨グルー、大豆スターチ、セルロース類、ゴムラテックス、ガム、テルペン、ゴム糊、及び炭化水素樹脂が挙げられる。合成系の接着剤の例としては、エラストマー溶剤、ポリスルフィドシーラント、イソブチレン及びポリ酢酸ビニルのような熱可塑性樹脂、エポキシ、フェノールホルムアルデヒド、ポリビニルブチラール、及びシアノアクリレートのような熱硬化性樹脂並びにシリコーンポリマーが挙げられる。
【0075】
単層又は多層の接着剤層について、好適な接着剤組成物は、天然ゴム、合成ゴム、アクリル樹脂、アクリル系コポリマー、ビニルポリマー、酢酸ビニル系、ウレタン系、アクリレート系材料、塩化ビニル‐酢酸ビニルのコポリマー混合物、ポリビニリデン、酢酸ビニル‐アクリル酸系コポリマー、スチレンブタジエン、カルボキシル化スチレンブタジエン系コポリマー、エチレン系コポリマー、ポリビニルアルコール、ポリエステル及びコポリマー、セルロース類及び変性セルロース、スターチ及び変性スターチ化合物、エポキシ、ポリイソシアネート、ポリイミドからなる群より選択される。
【0076】
水性感圧接着剤により、溶剤を排出しないという製造工程上の利点が得られる。接着剤層にランダム分布した非写真ラベル接着剤中実粒子を含有する再定置可能な剥離可能な接着剤は、プリントを粘着した後に剥離して所望の最終結果を得ることができる能力を助長する。最も好適な剥離可能な接着剤は、イソオクチルアクリレート/アクリル酸コポリマーのような永久写真ラベル接着剤約5〜20質量%とアクリレート微小球のような粘着性エラストマー材料約95〜80質量%と含有する再定置可能な接着剤層であって、その被覆量を約5〜20g/m2としたものである。
【0077】
好適な剥離可能な接着剤の材料は、当該技術分野で公知の各種方法により適用されて、薄い一致した接着剤コーティングを形成することができる。例として、グラビアコーティング、ロッドコーティング、リバースロールコーティング、及びホッパーコーティングが挙げられる。接着剤は、ラミネーション前に可撓性ライナー又は支持体に塗布することができる。
【0078】
単層又は多層式接着剤系の場合、好適な永久接着剤組成物は、エポキシ、フェノールホルムアルデヒド、ポリビニルブチラール、シアノアクリレート、ゴム系接着剤、スチレン/ブタジエン系接着剤、アクリル樹脂及びビニル誘導体からなる群より選ばれる。剥離可能な接着剤と永久接着剤とを、ラベル積層体における同一層内又は異なる場所に組み合わせて使用することができる。接着剤を組み合わせた構造の一例として、最上部二軸延伸シートと支持体との間に剥離可能な接着剤層を配置し、かつ、最底部二軸延伸シートと支持体との間に永久接着剤層を配置したものが挙げられる。
【0079】
被着体としての包装体としては、好適なものとしては、ボトル、缶、スタンドアップパウチ、ボックス、及びバッグが挙げられる。包装体は、販売のため包装体を必要とする材料を含有することができる。包装される好適な材料には液体物及び粒状物がある。
【0080】
[環境保護層]
本発明のラベルにおいては、感熱記録層上に環境保護層を設けることが好ましい。環境保護層は、環境溶媒から画像を保護し、引掻に耐え、そして画質を害さない好適な材料からなるものであることが好ましい。環境保護層としては、電場の存在下で透明ポリマー粒子を像形成層の最頂部表面に適用し、最頂部層に融着させて、透明ポリマー粒子に連続高分子層を形成させる環境保護層が好ましい。電子写真用トナーを応用したポリマーは、薄い環境保護層を写真ラベルに適用するための有効な手段であり、環境溶媒および取り扱いに起因する損傷に耐えることが示されているので好ましい。
【0081】
また、環境保護層を水溶液から塗布することができ、これは、露光および処理に耐え、処理後の融着工程において水不透過性の連続保護層を形成するものである。この環境保護層は、平均粒径が0.1〜50μmのポリマービーズまたは粒子を、ポリマーラテックスバインダーといっしょに、感熱記録層側に塗布することによって形成させるのが好ましい。必要に応じて、該層に少量の水溶性塗布助剤(粘度調節剤、界面活性剤)を、処理中にコーティングから浸出する限りにおいて、含めることができる。画像形成後のラベルを、熱および/または圧力(融着)、溶媒処理、あるいは他の手段によって、塗布されたポリマービーズの融着並びに凝集を引き起こすような方法で処理して、所望の水不透過性の連続保護層を形成させるてもよい。
【0082】
環境保護層に使用されるポリマー粒子として選ぶことができる好適なポリマーの例には、ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−塩化ビニリデンコポリマー、塩素化ポリプロピレン、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー 、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸コポリマー 、エチルセルロース、ニトロセルロース、ポリアクリル酸エステル、アマニ油変性アルキド樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、フェノール変性アルキド樹脂、フェノール系樹脂、ポリエステル、ポリビニルブチラール、ポリイソシアネート樹脂、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、クロマン樹脂、ダンマルゴム、ケトン樹脂、マレイン酸樹脂、ビニルポリマー(例えばポリスチレンおよびポリビニルトルエンまたはビニルポリマーとメタクリレートまたはアクリレートとのコポリマー)、ポリ (テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン) 、低分子量ポリエチレン、フェノール変性ペンタエリトリトールエステル、スチレン−インデン−アクリロニトリルコポリマー 、スチレン−インデンコポリマー 、スチレン−アクリロニトリルコポリマー 、スチレン−ブタジエンコポリマー 、ポリメタクリル酸メチルを配合したポリメタクリル酸ステアリル、シロキサンとポリアルケンとのコポリマーが含まれる。これらのポリマーは単独で、または組み合わせて使用することができる。本発明の好ましい態様において、上記ポリマーは、ポリエステルまたはスチレン−アクリル酸ブチルコポリマーを含んでなる。好ましいポリエステルは、エトキシル化および/またはプロポキシル化ビスフェノールAと、テレフタル酸、ドデセニルコハク酸、およびフマル酸の1種以上とをベースとするものである。これは、それらが、一般に、包装ラベルの厳しさに耐える適格な環境保護層を形成するからである。
【0083】
環境保護層の耐摩耗性を向上させるために、架橋または分岐しているポリマーを使用することができる。例えば、スチレン−インデン−ジビニルベンゼンコポリマー 、スチレン−アクリロニトリル−ジビニルベンゼンコポリマー 、またはスチレン−ブタジエン−ジビニルベンゼンコポリマーを使用することができる。
【0084】
環境保護層のためのポリマー粒子は無色であることが好ましく、透明であることがより好ましい。しかしながら、オーバーコートを通して画像を観察可能である限り、色補正の目的のため、または特殊な効果を得るために、ポリマー粒子を有色とすることも具体的に企図されている。従って、色を付与する色素をポリマー粒子に導入することができる。さらに、オーバーコートに所望の性質を与える添加剤をポリマー粒子に導入することができる。例えば、紫外線吸収剤をポリマー粒子に導入して、オーバーコートを紫外線吸収性とし、紫外線誘起退色から画像を保護することができる。
【0085】
環境保護層を形成するポリマー粒子の他に、要素の表面特性を改質する他の粒子を上記ポリマー組成物と組み合わせることもできる。このような粒子は、上記ポリマー粒子を融着させる条件において固体であり、かつ非融着性であり、このような粒子には、融着工程においては溶融せず、オーバーコートに表面粗さを付与するシリカなどの無機粒子およびメタクリル酸メチルビーズなどの有機粒子が含まれる。
【0086】
ポリマーラテックスバインダーの好適な例には、アクリル酸ブチル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、およびアセトアセトキシエチルメタクリレートのラテックスコポリマーが含まれる。他の有用なラテックスポリマーには、コロイド状懸濁液として水中に懸濁されている20〜10,000nmの直径および60℃未満のTgを有するポリマーが含まれる。
【0087】
環境保護層のための好適なコーティング助剤の例には、コーティング懸濁液に相当の粘度を付与する、あらゆる水溶性ポリマーまたは他の材料(例えば高分子量多糖類誘導体(例えばキサンタンガム、ガーゴム、アラビアゴム、Keltrol(Merck and Co., Inc.によって供給されているアニオン性多糖類))、高分子量ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸およびその塩、ポリアクリルアミドなど)が含まれる。界面活性剤には、端部の引け、はじき、および他のコーティング欠陥を防止するのに十分にコーティング配合物の表面張力を下げる、あらゆる表面活性材料が含まれる。これらには、アルキルオキシ−またはアルキルフェノキシポリエーテルまたはポリグリシドール誘導体およびそれらの塩(例えばOlin Matheson Corporation から入手可能なノニルフェノキシポリグリシドールまたはオクチルフェノキシポリエチレンオキシド硫酸ナトリウム)、有機スルフェートまたはスルホネート(例えばドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ビス (2−エチルヘキシル) スルホコハク酸ナトリウム (Aerosol OT) )、およびアルキルカルボン酸塩(例えばデカン酸ナトリウム)が含まれる。
【0088】
感熱記録画像の最外層に予備成形されたポリマー層を形成して環境保護層を形成させるのがもっとも好ましい。予備成形されたシートは強靱で耐久性があり、環境溶媒および取り扱い時に像形成されたハロゲン化銀に加えられる力に容易に耐えるので、予備成形されたシートの適用が好ましい。予備成形されたポリマーシートの適用は、画像形成後の積層によって行われるのが好ましい。ラベルおよび予備成形されたポリマーシートを接着し、画像の品質を低下させる閉じ込められた空気を排除する加圧ニップの前に、写真ラベルまたは予備成形されたポリマーシートのいずれかに接着剤を適用する。
【0089】
予備成形されたシートは、配向プロセスで強度及び靭性が発揮されるため、配向ポリマーであることが好ましい。柔軟性基材として好適なポリマーに、ポリオレフィン、ポリエステル及びナイロン(R)がある。好適なポリオレフィンとして、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリブチレン及びこれらの混合物が挙げられる。ヘキセン、ブテン及びオクテンのようなエチレンとプロピレンのコポリマーをはじめとするポリオレフィンコポリマーも有用である。ポリプロピレンが最も好適である。というのは、感圧ラベルに必要とされる所望の強度及び靭性を有し、しかも低コストだからである。
【0090】
環境保護層に合成ラテックスを用いると、さらに好ましい環境保護層となる。合成ラテックスを塗布により、適格な環境保護層が提供され、また、水溶液として塗布することができるので、溶媒への暴露が排除されることが示されている。ラテックスの塗布により、ハロゲン化銀包装用ラベルに適格な環境保護層が提供されることが示されている。環境保護層に好ましい合成ラテックスは、乳化重合技法によって、スチレンブタジエンコポリマー、アクリレート樹脂、およびポリ酢酸ビニルから製造される。合成ラテックスとして好ましい粒径は、0.05〜0.15μm の範囲にわたる。合成ラテックスは、ロッドコーティング、ロールコーティング、およびホッパーコーティングを含む既知のコーティング方法によって、感熱記録層の最外層に適用される。合成ラテックスは適用後に乾燥されなければならず、感熱記録画像の画質を害することのないように、乾燥して透明にならなければならない。
【0091】
本発明のラベルのトータルの厚さは、600μm未満であることが好ましい。ラベルの厚さを600μm未満とすることにより、高速包装装置での搬送が容易となり好ましい。
【0092】
[感熱記録層]
前記感熱記録層は、熱により発色する発色成分及び好ましくは塩基性物質、並びに必要に応じて発色助剤、バインダー、酸化防止剤、界面活性剤等の他の成分などを含有してなり、単一の層よりなるものであっても、発色色相の異なる複数の層よりなるものであってもよい。特に、光反応型ジアゾ発色系の層を含む形態が好ましい。
【0093】
前記発色成分としては、従来公知のもの(組合せ)が使用でき、ジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色させるカプラー化合物との反応を利用したもの(ジアゾ発色系)、電子供与性無色染料と該電子供与性無色染料と熱時反応して発色させる電子受容性化合物との反応を利用したもの、等が好適に挙げられ、中でも、ジアゾニウム塩とカプラー化合物との反応を利用したもの(好ましくは、光反応型ジアゾ発色系のもの)が特に好ましい。
また、好ましくは、前記発色成分の組合せの少なくとも一方(好ましくは、ジアゾニウム塩)がマイクロカプセルに内包された状態で層中に含有される。
【0094】
前記ジアゾニウム塩、カプラー化合物、塩基性物質などは、特公平4−75147号公報、特公平6−55546号公報、特公平6−79867号公報、特開平4−201483号公報、特開昭60−49991号公報、特開昭60−242094号公報、特開昭61−5983号公報、特開昭63−87125号公報、特開平4−59287号公報、特開平5−185717号公報、特開平7−88356号公報、特開平7−96671号公報、特開平8−324129号公報、特開平9−38389号公報、特開平5−185736号公報、特開平5−8544号公報、特開昭59−190866号公報、特開昭62−55190号公報、特開昭60−6493号公報、特開昭60−259492号公報、特開昭63−318546号公報、特開平4−65291号公報、特開平5−185736号公報、特開平5−204089号公報、特開平8−310133号公報、特開平8−324129号公報、特開平9−156229号公報、特開平9−175017号公報、などに詳しく記載されており、適宜選択することができる。以下、好適な具体例を示すが、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0095】
(ジアゾニウム塩の具体例)
【化1】
【0096】
【化2】
【0097】
【化3】
【0098】
【化4】
【0099】
【化5】
【0100】
【化6】
【0101】
【化7】
【0102】
【化8】
【0103】
【化9】
【0104】
【化10】
【0105】
【化11】
【0106】
【化12】
【0107】
【化13】
【0108】
(カプラー化合物の具体例)
【化14】
【0109】
【化15】
【0110】
【化16】
【0111】
【化17】
【0112】
【化18】
【0113】
【化19】
【0114】
【化20】
【0115】
【化21】
【0116】
【化22】
【0117】
【化23】
【0118】
【化24】
【0119】
【化25】
【0120】
【化26】
【0121】
【化27】
【0122】
(塩基性物質の具体例)
前記塩基性物質は、単独で用いても二種以上を併用してもよい。該塩基性物質としては、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、フォルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物が挙げられる。
【0123】
中でも、N,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン、1,4−ビス((3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ)ベンゼンなどのピペラジン類、N−(3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ)プロピルモルホリン、1,4−ビス((3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス((3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ)ベンゼン、などのモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジンなどのピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン等のグアニジン等類、が特に好ましい。
【0124】
前記電子供与性無色染料および電子受容性化合物などは、特開平6−328860号公報、特開平7−290826号公報、特開平7−314904号公報、特開平8−324116号公報、特開平3−37727号公報、特開平9−31345号公報、特開平9−111136号公報、特開平9−118073号公報、特開平11−157221号公報、などに詳しく記載されており、適宜選択することができる。以下、その好適な具体例を示すが、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0125】
(電子供与性無色染料の具体例)
【表1】
【0126】
【表2】
【0127】
【表3】
【0128】
【化28】
【0129】
(電子受容性化合物の具体例)
前記電子受容性化合物としては、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル、等が挙げられる。中でも、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が特に好ましい。これらの一例として、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸及びその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸及びその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸及びその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、等が挙げられる。
【0130】
感熱記録層には、必要に応じて適宜他の成分を添加してもよい。即ち、
耐光性を更に向上させる目的で、酸化防止剤が添加される。該酸化防止剤としては、公知のものから適宜選択でき、例えば、ヨーロッパ公開特許第310551号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、ヨーロッパ公開特許第310552号公報、特開平3−121449号公報、ヨーロッパ公開特許第459416号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開昭63−163351号公報、アメリカ特許第4814262号、特開昭54−48535号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4980275号、特開昭63−113536号公報、特開昭62−262047号公報、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、ヨーロッパ公開特許第309402号公報、ヨーロッパ公開特許第309401号公報、等に記載のものが挙げられる。
【0131】
更に、既に感熱記録材料、感圧記録材料として公知の各種添加剤を用いることも有効である。これらの酸化防止剤の一例として、特開昭60−125470号公報、特開昭60−125471号公報、特開昭60−125472号公報、特開昭60−287485号公報、特開昭60−287486号公報、特開昭60−287487号公報、特開昭62−146680号公報、特開昭60−287488号公報、特開昭62−282885号公報、特開昭63−89877号公報、特開昭63−88380号公報、特開昭63−088381号公報、特開平01−239282号公報、特開平04−291685号公報、特開平04−291684号公報、特開平05−188687号公報、特開平05−188686号公報、特開平05−110490号公報、特開平05−1108437号公報、特開平05−170361号公報、特開昭63−203372号公報、特開昭63−224989号公報、特開昭63−267594号公報、特開昭63−182484号公報、特開昭60−107384号公報、特開昭60−107383号公報、特開昭61−160287号公報、特開昭61−185483号公報、特開昭61−211079号公報、特開昭63−251282号公報、特開昭63−051174号公報、特公昭48−043294号公報、特公昭48−033212号公報、等に記載の化合物が挙げられる。
【0132】
バインダーとして、従来公知のものを添加してもよい。例えば、ポリビニルアルコールやゼラチン等の水溶性高分子やポリマーラテックス等が挙げられる。
【0133】
本発明において、前記ジアゾニウム塩、該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色させるカプラー化合物、塩基性物質、及び電子供与性無色染料、電子受容性化合物、及び他の成分の使用形態については、特に限定はなく、(1)固体分散して使用する方法、(2)乳化分散して使用する方法、(3)ポリマー分散して使用する方法、(4)ラテックス分散して使用する方法、(5)マイクロカプセル化して使用する方法、などが挙げられる。中でも、発色成分については、保存性の観点から、その少なくとも一方をマイクロカプセル化して使用する方法が好ましく、特に、前記ジアゾ発色系ではジアゾニウム塩をマイクロカプセル化する形態が、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを組合せた発色系では電子供与性無色染料をマイクロカプセル化する形態が好ましい。
【0134】
−マイクロカプセル化の方法−
マイクロカプセル形成方法としては、従来公知のマイクロカプセルの形成方法(米国特許第3,726,804号、同第3,796,669号等の明細書など)を用いることができ、具体的には界面重合法や内部重合法が適している。
具体的には、例えば、ジアゾニウム塩を、マイクロカプセル壁前駆体(壁材)や界面活性剤等の他の成分と共に水に難溶又は不溶の有機溶剤に溶解して油相とし、これを水溶性高分子及び必要に応じて界面活性剤等の他の成分を含む水溶液(水相)中に添加してホモジナイザーなどにより乳化分散し、昇温してマイクロカプセル壁となる高分子膜(壁膜)を油/水界面に形成してマイクロカプセル液を得る。このとき、マイクロカプセル壁前駆体(壁材)は、上記油相ではなく水層に、あるいは油相と水相の両相に、含有させてもよい。
【0135】
壁膜となる高分子物質(壁材)としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリレート共重合体樹脂、スチレン−メタクリレート共重合体樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。中でも、ポリウレタン・ポリウレア樹脂からなる壁膜を有するマイクロカプセルが好ましい。
【0136】
以下、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル(ポリウレア・ポリウレタン壁)の製造方法を一例に説明する。
まず、ジアゾニウム塩は、カプセルの芯となる疎水性の有機溶媒(必要に応じ低沸点溶媒を含む)に溶解又は分散させ、マイクロカプセルの芯となる油相を調製する。このとき、好ましくは該油相側に、壁材としての多価イソシアネートや、均一に乳化分散し安定化させる目的で界面活性剤が添加される。また、適宜褪色防止剤やステイン防止剤等の添加剤が添加される。
【0137】
続いて、調製した油相を水相中に乳化分散する。このとき、水相には水溶性高分子を溶解した水溶液を使用し、これに前記油相を投入後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行う。均一に乳化分散し安定化させる点で、好ましくは前記水相中にも界面活性剤が添加される。尚、前記水溶性高分子は、分散を均一かつ容易にするとともに、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒として作用する。
そして、水相中に油相を加えた乳化分散液中では、油相と水相の界面において多価イソシアネートの重合反応が生じてポリウレア壁が形成される。
【0138】
水相中又は油相の疎水性溶媒中に、更にポリオール及び/又はポリアミンを添加しておけば、多価イソシアネートと反応してマイクロカプセル壁の構成成分の一つとして用いることもできる。上記反応において、反応温度を高く保ち、或いは、適当な重合触媒を添加することが反応速度を速める点で好ましい。
【0139】
前記多価イソシアネート化合物としては、3官能以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましく、2官能のイソシアネート化合物であってもよい。具体的には、キシレンジイソシアネート及びその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びその水添物、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートを主原料とし、これらの2量体あるいは3量体(ビューレットあるいはイソシアヌレート)の他、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体として多官能としたもの、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を導入した化合物、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物等が挙げられる。
特開昭62−212190号公報、特開平4−26189号公報、特開平5−317694号公報、特願平8−268721号等に記載の化合物も好ましい。
【0140】
多価イソシアネートの使用量としては、マイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、壁厚みが0.01〜0.3μmとなるように決定され、その分散粒子径としては、0.2〜10μm程度が一般的である。
【0141】
前記油相の調製に際し、ジアゾニウム塩を溶解、分散する前記疎水性の有機溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましく、例えば、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、アルキルジフェニルメタン、アルキルビフェニル、アルキルターフェニル、塩素化パラフィン、リン酸エステル類、マレイン酸エステル類、アジピン酸エステル類、フタル酸エステル類、安息香酸エステル類、炭酸エステル類、エーテル類、硫酸エステル類、スルホン酸エステル類等が挙げられる。これらは2種以上混合して用いてもよい。
また、ジアゾニウム塩の前記有機溶媒に対する溶解性が劣る場合は、ジアゾニウム塩の溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に併用してもよく、該低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
【0142】
即ち、ジアゾニウム塩は、疎水性の有機溶媒、低沸点溶媒に対する適当な溶解度を有することが好ましく、具体的には、下記ジアゾニウム塩の濃度調整を容易に行い得る点で、溶媒への溶解度は5%以上が好ましい。尚、水に対する溶解度は1%以下が好ましい。
【0143】
前記水相に用いる水溶性高分子としては、乳化しようとする温度における、水に対する溶解度が5%以上の水溶性高分子が好ましく、例えば、ポリビニルアルコール及びその変成物、ポリアクリル酸アミド及びその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
また、前記水溶性高分子は、イソシアネート化合物との反応性がないか、若しくは低いことが好ましく、例えば、ゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは、予め変成する等して反応性をなくしておくことが望ましい。
【0144】
前記ポリオール又はポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。
尚、上記の多価イソシアネート、ポリオール、反応触媒、或いは、壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等については成書(岩田敬治編 ポリウレタンハンドブック 日刊工業新聞社(1987))に詳細な記載がある。
【0145】
前記乳化は、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等の公知の乳化装置の中から適宜選択して行うことができる。乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させる目的で、乳化物は30〜70℃に加温される。また、反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、十分な攪拌を行う等の必要がある。また、反応中に凝集防止用の分散物を添加してもよい。
重合反応時は、その進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その終息をもっておよそのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的のジアゾニウム塩内包マイクロカプセルを得ることができる。
【0146】
一方、感熱記録層形成用の塗布液(感熱記録層用塗布液)の調製において、前記ジアゾニウム塩を発色させるカプラーは、例えば水溶性高分子、有機塩基、その他発色助剤等と共に、サンドミル等により固体分散して用いることもできるが、特に好ましくは、予め水に難溶性又は不溶性の高沸点有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして含有する高分子水溶液(水相)と混合し、ホモジナイザー等で乳化した乳化分散物として用いることが好ましい。必要に応じて、低沸点溶剤を溶解助剤として用いてもよい。
【0147】
更に、カプラー、有機塩基等は、別々に乳化分散することも、混合してから高沸点有機溶剤に溶解し、乳化分散することも可能である。好ましい乳化分散粒子径は1μm以下である。前記高沸点有機溶剤としては、例えば特開平2−141279号公報に記載の高沸点オイルの中から適宜選択でき、乳化安定性の点で、エステル類が好ましく、リン酸トリクレジルが特に好ましい。
前記低沸点溶剤としては、油相における前記低沸点溶媒と同様のものが挙げられる。
【0148】
また、水相に含有する界面活性剤としては、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤であって、水溶性高分子と沈澱や凝集を起こさないものを適宜選択でき、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等が挙げられる。
【0149】
−多色感熱記録層−
支持体上に複数の感熱記録層を有してなる場合においては、各感熱記録層の発色色相を変えることにより、多色感熱記録層を有するラベルとすることができる。
即ち、各感熱記録層の発色色相を減色混合における3原色、イエロー、マゼンタ、シアンとなるように選べばフルカラーの画像記録が可能となる。この場合、支持体表面に直接積層される感熱記録層(最下層)の発色機構としては、前記ジアゾニウム塩とカプラー化合物との組合せによるジアゾ発色系に限らず、例えば、電子供与性無色染料及び該電子供与性無色染料と反応して呈色する電子受容性化合物を組合わせた発色系、塩基性化合物と接触して発色する塩基発色系、キレート発色系、求核剤と反応して脱離反応を起こし発色する発色系等のいずれでもよく、該感熱記録層上に最大吸収波長が異なり、かつ互いに発色色相の異なる、ジアゾ発色系の感熱記録層を2層以上設ければよい。
【0150】
例えば、フルカラー感熱記録層の層構成としては、以下のような態様で構成されていてもよい。但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
感光波長が異なる2種のジアゾニウム塩を、それぞれのジアゾニウム塩と熱時反応して異なった色相に発色させうるカプラー化合物と組合わせて別々の層に含有させてなる、発色色相の異なる2層の感熱記録層(B層、C層)と、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを組合わせた感熱記録層(A層)とを積層したフルカラー感熱記録層であってもよく、或いは、上記2層の感熱記録層(B層、C層)と、これらとは更に感光波長が異なるジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色するカプラー化合物を組合わせた感熱記録層(A層)とを積層したフルカラー感熱記録層であってもよい。
【0151】
具体的には、支持体側から、電子供与性無色染料と電子受容性化合物、或いは、最大吸収波長が350nmより短いジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色するカプラー化合物、を含有する第一の感熱記録層(A層)、極大吸収波長が360nm±20nmであるジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色するカプラー化合物を含有する第二の感熱記録層(B層)、極大吸収波長が400±20nmであるジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と熱時反応して発色するカプラー化合物を含有する第三の感熱記録層(C層)を、順次積層して構成されていてもよい。
【0152】
多色感熱記録層の場合は、以下のようにして記録することができる。
まず、第三の感熱記録層(C層)を加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩とカプラー化合物とを発色させる。次いで、400±20nmの光を照射してC層中に含まれている未反応のジアゾニウム塩を分解させる。次に、第二の感熱記録層(B層)が発色するに十分な熱を与え、該層に含まれているジアゾニウム塩とカプラー化合物とを発色させる。このときC層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩は分解しており、発色能力が失われているので発色しない。この後、360±20nmの光を照射してB層に含まれているジアゾニウム塩を分解させる。最後に、第一の感熱記録層(A層)が発色するに十分な熱を与えて発色させる。このときC層、B層のも同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩は分解しており、発色能力が失われているので発色しない。
【0153】
発色色相の異なる複数の感熱発色層を積層する場合には、混色等を防止するため中間層を設けることができる。該中間層は、水溶性高分子化合物を含有してなり、該水溶性高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、スチレン−マレイン酸共重合体、ゼラチン、等が挙げられる。
【0154】
<ラベル表示方法>
本発明のラベル表示方法は、感熱記録層と、15〜60mNの剛性を有する支持体と、該支持体に対して接着剤により接着された40〜120mNの剛性を有する可剥性ライナーとを含むラベルを用い、感熱記録装置により前記ラベルに感熱記録画像を印画し、前記可撓性ライナーを剥離し、前記ラベルを被着体に接着させることを特徴としている。
【0155】
本発明のラベル表示方法は、換言すると、前記本発明のラベルを用いたラベルの表示方法であって、該ラベルに感熱記録画像を印画し、被着体に接着させる表示方法である。本発明のラベル表示方法におけるラベルは、前述した本発明のラベルを用いているため、被着体におけるラベル表示を短時間で容易に行うことができる。なお、本発明のラベル表示方法におけるラベルは、本発明のラベルと同じであるから、ラベルについての説明は省略する。
【0156】
前記被着体としては、前述した包装体の他、ペットボトル、アルミ缶、缶詰、各種の文房具、家電製品等の商品自体が挙げられる。
【0157】
本発明のラベル表示方法においては、印画された感熱記録画像にインクジェット記録領域を設けることができる。例えば、感熱記録画像を形成しない部分を設けることにより、この部分にインクジェット記録を好適に行うことができる。感熱記録画像が形成された部分でもインクジェット記録を行うことは可能である。
【0158】
<両面画像部材の形成方法>
本発明の両面画像部材の形成方法は、感熱記録層と、15〜60mNの剛性を有する支持体と、該支持体に対して接着剤層により接着された40〜120mNの剛性を有する可剥性ライナーとを含むラベルを用い、感熱記録装置により前記ラベルに感熱記録画像を印画し、前記ラベルを切断して2つの半ラベルとし、該半ラベルの各可撓性ライナーを剥離し、前記2つの半ラベルの接着剤層同士を貼り合わせることにより、各面に1以上の感熱記録画像を配設させることを特徴としている。
【0159】
本発明の両面画像部材の形成方法は、換言すると、前記本発明のラベルを用いた両面画像部材の形成方法であって、該ラベルに感熱記録画像を印画し、該ラベルを切断して2つの半ラベルとし、該半ラベルの各可撓性ライナーを剥離し、前記2つの半ラベルの接着剤層同士を貼り合わせることにより、各面に1以上の感熱記録画像を配設させる両面画像部材の形成方法である。本発明の両面画像部材の形成方法は、前記本発明のラベル表示方法と同様に、本発明のラベルを用いるので、高品位の画像を有する両面画像部材を短時間で容易に形成することができる。
【0160】
本発明の両面画像部材の形成方法において、感熱記録画像を形成したラベルの切断部位としては、特に制限はないが、前記半ラベルが同一の大きさ・形状となるように切断することが好ましい。このように切断して、半ラベル同士を貼り合わせることにより、接着剤層が外部に露出することがなく好ましい。
【0161】
ラベルの形状が矩形の場合、前記感熱記録画像を線対称に印画し、対称線に沿って切断すれば、貼り合わせたとき表裏同一の両面画像とすることができる。
【0162】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明の包装材料について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、下記実施例中「部」は、特に限定のないかぎり「質量部」を意味し、「%」は特に限定のない限り「質量%」を意味する。
【0163】
本実施例では、感圧ラベル素材に感熱記録層を形成することによってラベルを作製した。当該感圧ラベル素材は、積層型コーテッド紙ライナー(可撓性ライナー)に感圧接着剤(接着剤層)を積層し、柔軟性白色二軸延伸ポリプロピレン面素材(支持体)の裏面と前記接着剤とを合わせて積層してなるものとした。本実施例は、従来のグラビア印刷型ラベル材料と比べた本発明のラベルの利点の多くを例証すると共に、積層型紙ライナーの利点を例証するものである。
【0164】
前記二軸延伸ポリオレフィン面素材としては、ミクロボイドを有する延伸ポリプロピレンコア層(全シート厚の約60%)の両面にホモポリマーのミクロボイドを含まない延伸ポリプロピレン層を配してなる複合ポリオレフィンシート(厚さ70μm)(d=0.68g/ml)を使用した。ボイド生成材料にはポリ(ブチレンテレフタレート)を使用した。該ポリオレフィンシートは、ポリエチレンと青色顔料とからなる表皮層を有した。ボイド含有層に隣接したポリプロピレン層に8%ルチル型TiO2を含有させた。この青味がかったポリエチレン表皮層に感熱記録層を形成した。なお、後述する測定方法による当該二軸延伸ポリプロピレン面素材の剛性は30mNであった。
感圧接着剤としては、厚さ12μmの永久溶剤系アクリル接着剤を使用した。
【0165】
前記積層型コーテッドライナーとしては、LDPE樹脂を使用し、セルロース紙コア層(厚さ80μm)の裏側にポリプロピレンの二軸延伸シートを押出積層してなる積層紙ライナーを使用した。裏側の延伸ポリプロピレンは、感熱記録装置における効率的な搬送を可能にするため粗い層とした。この粗い層は、ポリエチレンとポリプロピレンの非混和性ポリマーの混合物からなるものとした。積層型コーテッドライナーの最上部にシリコーンホールドアウトのためLDPEを押出被覆した。積層型コーテッドライナーの全厚は128μmで、後述する測定方法による剛性は縦方向、横方向共に80mNであった。この紙ライナーの押出LDPE層に隣接してシリコーン剥離コートを被覆した。
【0166】
以下のようにして作製した感熱記録層、中間層、及び保護層用の各塗布液を上記感圧ラベル素材上に塗布し、実施例のラベルを作製した。
【0167】
<フタル化ゼラチン水溶液の調製>
フタル化ゼラチン(商品名:MGPゼラチン,ニッピコラーゲン(株)製)32部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.9143部、イオン交換水367.1部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0168】
<アルカリ処理ゼラチン水溶液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名:#750ゼラチン、新田ゼラン(株)製)25.5部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.7286部、水酸化カルシウム0.153部、イオン交換水143.6部を混合し、50℃にて溶解し、乳化物作製用のアルカリ処理ゼラチン水溶液を得た。
【0169】
<イエロー感熱記録層用塗布液の調製>
−ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(a)の調製−
酢酸エチル20.0部に、下記ジアゾニウム塩(A)(最大吸収波長420nm)2.2部、下記ジアゾニウム塩(B)(最大吸収波長420nm)2.2部、モノイソプロビルビフェニル4.0部、フタル酸ジフェニル6.0部、及びジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO、BASFジャパン(株)製)0.4部を添加し、40℃に加熱して均一に溶解した。該混合液に、カプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名:タケネートD119N(50%酢酸エチル溶液)、三井武田ケミカル(株)製)8.6部を添加し、均一に攪拌し混合液(I)を得た。
【0170】
【化29】
【0171】
別途、上記より得たフタル化ゼラチン水溶液58.6部にイオン交換水16.3部、Scraph AG−8(50%;日本精化(株)製)0.34部添加し、混合液(II)を得た。
この混合液(II)に、上記より得た混合液(I)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃下で乳化分散した。得られた乳化液に水20部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。その後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。引き続き、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、マイクロカプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節し、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(a)を得た。
得られたマイクロカブセルの粒径を、LA−700(堀場製作所(株)製)を用いて測定した結果、メジアン径で0.45μmであった。
【0172】
−カプラー化合物乳化液(a)の調製−
酢酸エチル33.0部に、下記カプラー化合物(C)11.0部、トリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)11.0部、4,4−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))20.8部、3,3,3,3−テトラメチル−5,5,6,6−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1−スピロビスインダン3.3部、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)13.6部、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.8部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名:パイオニンA−41−C;70%メタノール溶液、竹本油脂(株)製)4.2部、を溶解し、混合液(III)を得た。
【0173】
【化30】
【0174】
別途、上記より得たアルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(IV)を得た。
上記より得た、混合液(IV)に混合液(III)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化液を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が26.5%になるように濃度調節を行った。このときのカプラー化合物乳化液の粒径を、LA−700(堀場製作所(株)製)を用いて測定した結果、メジアン径で0.20μmであった。
【0175】
更に、前記カブラー化合物乳化液100部に対して、SBRラテックス(商品名:SN−307,48%液、住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5%に濃度調整したものを9部添加して均一に攪拌し、カプラー化合物乳化液(a)を得た。
【0176】
−イエロー感熱記録層用塗布液の調製−
上記より得た、ジアゾニウム塩内包マイクロカブセル液(a)とカプラー化合物乳化液(a)とを、カブラー化合物/ジアゾニウム塩の質量比が2.1/1となるように混合し、イエロー感熱記録層用塗布液を得た。
【0177】
<マゼンタ感熱記録層用塗布液の調製>
−ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(b)の調製−
酢酸エチル15.1部に、下記ジアゾニウム塩(D)(最大吸収波長365nm)3.5部、フタル酸ジフェニル3.5部、フェニル−2−ベンゾイロキシ安息香酸エステル3.5部、及び下記化合物(E)(商品名:ライトエステルTMP,共栄油脂化学(株)製)4.2部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名:パイオニンA−41−C,70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)0.1部を添加し、加熱して均一に溶解した。この混合液に、カプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名:タケネートD119N(50%酢酸エチル溶液)、三井武田ケミカル(株)製)2.5部と、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名:タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液)、三井武田ケミカル(株)製)6.8部とを添加し、均一に攪拌して混合液(V)を得た。
【0178】
【化31】
【0179】
別途、上記より得たフタル化ゼラチン水溶液55.3部にイオン交換水21.0部添加、混合し、混合液(VI)を得た。
そして、上記混合液(VI)に上記混合液(V)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃下で乳化分散した。得られた乳化液に水24部を加えて均一化した後、40℃下で更に攪拌し、酢酸エチルを除去しながら3時間カブセル化反応を行った。その後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間撹絆した。引き続き、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、マイクロカプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節し、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(b)を得た。
得られたマイクロカプセルの粒径を、LA−700(堀場製作所(株)製)を用いて測定した結果、メジアン径で0.45μmであった。
【0180】
−カプラー化合物乳化液(b)の調製−
酢酸エチル36.9部に、下記カプラー化合物(F)13.0部、トリフェニルグアニジン(保土ケ谷化学(株)製)13.0部、4,4−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名:ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))13.0部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル−2−エチルヘキサン13部、3,3,3,3−テトラメチル−5,5,6,6−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1−スピロビスインダン7.0部、下記化合物(G)3.5部、リン酸トリクレジル1.7部、マレイン酸ジエチル0.8部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名:パイオニンA−41−C、70%メタノール溶液、竹本油脂(株)製)4.5部を溶解し、混合液(VII)を得た。
【0181】
【化32】
【0182】
別途、上記より得たアルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(VIII)を得た。
そして、上記混合液(VIII)に上記混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化液を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5%になるように濃度調節を行い、カプラー化合物乳化液(b)を得た。
得られたカプラー化合物乳化液(b)の粒径を、LA−700(堀場製作所(株)製)を用いて測定した結果、メジアン径で0.28μmであった。
【0183】
−マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)の調製−
上記より得た、ジアゾニウム塩内包マイクロカブセル液(b)とカプラー化合物乳化液(b)とを、カプラー化合物/ジアゾニウム塩の質量比が3.2/1になるように混合した。更に、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)を、混合したジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(b)10部に対して0.2部となる量を混合し、マゼンタ感熱記録層用塗布液を得た。
【0184】
<シアン感熱記録層用塗布液の調製>
−電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)の調製−
酢酸エチル18.1部に、下記電子供与性前駆体(H)8.0部、1−メチルプロピルフェニル−フェニルメタン、および1−(メチルプロピルフェニル)−2−フェニルエタンの混合物(商品名:ハイゾールSAS−310、日本石油(株)製)8.0部、下記化合物(I)(商品名:Irgaperm 2140、チバガイギー(株)製)8.0部を添加し、加熱して均一に溶解した。この混合液に、カプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名:タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液)、三井武田ケミカル(株)製)7.2部と、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名:ミリオネートMR−200,日本ポリウレタン工業(株)製)5.3部とを添加し、均一に攪拌して混合液(IX)を得た。
【0185】
【化33】
【0186】
別途、上記より得たフタル化ゼラチン水溶液28.8部に、イオン交換水9.5部、Scraph AG−8(50%;日本精化(株)製)0.17部、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(10%水溶液)4.3部を添加混合し、混合液(X)を得た。
そして、上記混合液(X)に上記混合液(IX)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃下で乳化分散した。得られた乳化液に水50部、テトラエチレンペンタミン0.12部を加えて均一化し、65℃下で攪拌して酢酸エチルを除去しながら3時間カブセル化反応を行った。マイクロカプセル液の固形分濃度が33%になるように濃度調節し、マイクロカプセル液を得た。ここでのマイクロカプセルの粒径を、LA−700(堀場製作所(株)製)を用いて測定した結果、メジアン径でl.10μmであった。
【0187】
更に、得られたマイクロカプセル液100部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液(商品名:ネオペレックスF−25、花王(株)製)3.7部と、4,4−ビストリアジニルアミノスチルベン−2,2−ジスルホン誘導体を含む蛍光増白剤(商品名:Kaycall BXNL、日本曹達(株)製)4.3部とを添加して均一に攪拌し、電子供与性染料前駆体内包マイクロカブセル液(c)を得た。
【0188】
−電子受容性化合物分散液(c)の調製−
上記より得たフタル化ゼラチン水溶液11.3部に、イオン交換水30.1部、4,4−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名:ビスフェノールP、三井石油化学(株)製)15部、2%の2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウム水溶液3.8部を加えて、ボールミルにて一晩分散し分散液を得た。この分散液の固形分濃度は26.6%であった。
得られた分散液100部に、上記より得たアルカリ処理ゼラチン水溶液48.0部加えて30分攪拌した後、分散液の固形分濃度が23.5%となるようにイオン交換水を加え、電子受容性化合物分散液(c)を得た。
【0189】
−シアン感熱記録層用塗布液の調製−
上記より得た、電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)と電子受容性化合物分散液(c)とを、電子受容性化合物/電子供与牲染料前駆体の質量比が9/1となるように混合し、シアン感熱記録層用塗布液を得た。
【0190】
<中間層用塗布液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名:#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)100.0部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)2.857部、水酸化カルシウム0.5部、イオン交換水521.643部を混合して50℃下で溶解し、中間層用塗布液調製用のゼラチン水溶液を得た。
得られたゼラチン水溶液10.0部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製;2.0%水溶液)0.05部、棚酸(4.0%水溶液)2.3部、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)0.19部、下記化合物(J)(和光純薬(株)製)の4%水溶液3.42部、下記化合物(J’)(和光純葉(株)製)の4%水溶液1.13部、イオン交換水0.67部を混合し、中間層用塗布液とした。
【0191】
【化34】
【0192】
<光透過率調整層用塗布液の調製>
−紫外線吸収剤前駆体マイクロカブセル液の調製−
酢酸エチル71部に、紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t一オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート14.0部、2,2’−t−オクチルハイドロキノン6.0部、リン酸トリクレジル1.9部、α−メチルスチレンダイマー(商品名:MSD−100、三井化学(株)製)5.7部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名:パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液)、竹本油脂(株)製)0.45部を混合し、均一に溶解した。
【0193】
得られた混合液に、カブセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名:タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液)、三井武田ケミカル(株)製)54.7部を添加して均一に攪拌し、紫外線吸収剤前駆体混合液を得た。
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−31.8,(株)クラレ製)52部に、30%リン酸水溶液8.9部、イオン交換水532.6部を混合し、紫外線吸収剤前駆体PVA水溶液を得た。
得られた紫外線吸収剤前駆体PVA水溶液516.06部に、上記紫外線吸収剤前駆体混合液を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃下で乳化分散した。得られた乳化液に、イオン交換水254.1部を加えて均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応を行った。その後、これにイオン交換樹脂アンバーライトMB−3(オルガノ(株)製)94.3部を加え、更に1時間攪拌した。
【0194】
引き続き、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、マイクロカプセル液の固形分濃度が13.5%になるように濃度調節した。得られたマイクロカプセルの粒径をLA−700(堀場製作所(株)製)を用いて測定した結果、メジアン径て,0.23±0.05μmであった。
このマイクロカプセル液859.1部に、カルボキシ変性スチレンーブタジエンラテックス(商品名:SN−307(48%水溶液)、住友ノーガタック(株)製)2.416部、イオン交換水39.5部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。
【0195】
−光透過率調整層用塗布液の調製−
上記より得た紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液1000部、4%の水酸化ナトリウム水溶液7.75部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製;2.0%水溶液)73.39部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
【0196】
<保護層用塗布液の調製>
−保護層用PVA溶液の調製−
ビニルアルコ−ル(PVA)−アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130,電気化学工業(株)製)160部、アルキルスルホン酸ナトリウム及びポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルの混合液(商品名:ネオスコアCM−57(54%水溶液)、東邦化学工業(株)製)8.74部、イオン交換水3832部を混合し、90℃下で1時間溶解して均一化し、保護層用PVA溶液を得た。
【0197】
−保護層用顔料分散液の調製−
硫酸バリウム(商品名:BF−21F(硫酸バリウム含有量93%以上),堺化学工業(株)製)8部に、陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40%水溶液),花王(株)製)0.2部、イオン交換水11.8部を混合し、ダイノミルにて分散して硫酸バリウム分散液を得た。このときの粒径を、LA−700(堀場製作所(株)製)を用いて測定した結果、メジアン径で0.15μm以下であった。
そして、得られた硫酸バリウム分散液45.6部に、コロイダルシリカ(商品名:スノーテツクスO(20%水分散液)、日産化学(株)製)、8.1部を添加して、保護層用顔料分散液を得た。
【0198】
−保護層用マット剤分散液の調製−
小麦澱粉(商品名:小麦澱粉S,新進食料工業(株)製)220部に、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンの水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.81部、イオン交換水1976.19部を混合し、均一に分散して、保護層用マット剤分散液を得た。
【0199】
−保護層用塗布液の調製−
上記より得た保護層用PVA溶液1000部に、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル(商品名:ノイゲンLP70,2.0%水溶液、第一工業製薬(株)製)40部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製;2.0%水溶液)50部、上記より得た保護層用顔料分散液49.87部、上記より得た保護層用マット剤分散液16.65部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンL111(20.5%水溶液),中京油脂(株)製)48.7部、及びイオン交換水280部を均一に混合し、保護層用塗布液を得た。
【0200】
<ラベルの作製>
前記感圧ラベル素材の表面に、該表面側から順次、シアン感熱記録層用塗布液(c)、中間層用塗布液、マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)、中間層用途布液、イエロー感熱記録層用塗布液(a)、光透過率調整層用塗布液、及び保護層用塗布液を同時連続塗布(7層同時塗布)し、30℃、30%RHの乾燥条件、及び40℃、30%の乾燥条件で、それぞれ乾燥処理を行い、実施例のラベルを作製した。
【0201】
このとき、イエロー感熱記録層用塗布液(a)は、ジアゾニウム塩(A)の塗布量が固形分塗布量で0.080g/m2となる量を、マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)は、ジアゾニウム塩(D)の塗布量が固形分塗布量で0.210g/m2となる量を、シアン感熱記録層用塗布液(c)は、電子供与性染料前駆体(H)の塗布量が固形分塗布量で0.400g/m2となる量を、それぞれ塗布した。
【0202】
また、中間層用塗布液は、前記塗布液(a)と塗布液(b)との間においては、固形分塗布量が2.50g/m2となる量を、前記塗布液(b)と塗布液(c)との間においては、固形分塗布量が3.50g/m2となる量を、光透過率調整層用塗布液は、固形分塗布量が2.0g/m2となる量を、保護層用塗布液は、固形分塗布量が1.50g/m2となる量を、それぞれ塗布した。
【0203】
前記感圧ラベル素材に塗布された感熱記録層を、感熱記録装置(デジタルプリンタNC600D(富士写真フイルム(株)製)を使用して印画した。本実施例の積層紙ライナー(可撓性ライナー)は、感熱記録画像を含む柔軟性面素材に80mNの剛性を付与するので、該ラベルを従来の感熱記録装置において印画及び搬送することができた。グラフィクス、テキスト、及びイメージを含むいくつかの試験画像を感熱記録包装ラベル材料上に印画し、その後10mm幅にスリットした。この時点で、薄い支持体上に画像が形成された。
【0204】
本発明のラベルは、従来のフレキソグラフィ又はグラビアプリントラベルと比較して多くの利点を有している。本発明は、印刷版又は印刷シリンダーを必要としないため、短期間でのパッケージ用ラベル作成の場合、経済的な画像形成法を提供する。感熱記録方式を用いてラベルを印画するので、高価な印刷プレスの設定コストも不要であり、個々のパッケージの注文製作に容易に対応可能である。
【0205】
本実施例に用いられる感熱記録による画像形成法は、テキスト、図表及び写真品質画像を同一のラベル上に同時に印画することができる。また、感熱記録による画像形成法は、デジタル画像に対応しており、遠隔地から子データ転換技法、例えば、インターネットを用いて送信された画像を直ちに印画することも可能である。これにより、パッケージに印画するサイクル時間を低減することも可能である。
【0206】
[剛性測定法]
剛性は、幅38±0.2mmの試験片を用いて、JIS P 8125−1976に規定する方法によって測定した。
【0207】
【発明の効果】
本発明によれば、被着体に貼付されるラベルであって、短時間で作製でき、高品位の画像を有するラベルを提供することができる。
また、本発明によれば、被着体におけるラベル表示を短時間で容易に行うことができるラベル表示方法を提供することがでできる
さらに、本発明によれば、高品位の画像を有する両面画像部材を短時間で容易に形成することができる両面画像部材の形成方法を提供することができる。
Claims (12)
- 支持体上に少なくとも感熱記録層を有する感熱記録材料の支持体に、接着剤層を介して可撓性ライナーが貼付され、前記支持体の剛性が15〜60mNであり、かつ前記可撓性ライナーの剛性が40〜120mNであることを特徴とするラベル。
- 前記可撓性ライナーが、セルロース繊維紙を含むことを特徴とする請求項1に記載のラベル。
- 前記可撓性ライナーが、さらに、二軸延伸ポリマーシートを含むことを特徴とする請求項2に記載のラベル。
- 前記二軸延伸ポリマーシートが、前記セルロース繊維紙よりも接着剤層側に位置することを特徴とする請求項3に記載のラベル。
- 前記可撓性ライナーの厚さが、75〜225μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のラベル。
- 前記可撓性ライナーの引張強度が120MPa以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のラベル。
- 前記可撓性ライナーの接着剤層側にシリコーンコーティングが施されていることを特徴とする請求項1から6に記載のラベル。
- 前記支持体の厚さが、40〜75μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のラベル。
- 前記支持体が、配向ポリオレフィン又は配向ポリエステルを含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のラベル。
- 感熱記録層と、15〜60mNの剛性を有する支持体と、該支持体に対して接着剤により接着された40〜120mNの剛性を有する可剥性ライナーとを含むラベルを用い、感熱記録装置により前記ラベルに感熱記録画像を印画し、前記可撓性ライナーを剥離し、前記ラベルを被着体に接着させることを特徴とするラベル表示方法。
- 印画された感熱記録画像に、さらに、インクジェット記録領域を設けることを特徴とする請求項10に記載のラベル表示方法。
- 感熱記録層と、15〜60mNの剛性を有する支持体と、該支持体に対して接着剤層により接着された40〜120mNの剛性を有する可剥性ライナーとを含むラベルを用い、感熱記録装置により前記ラベルに感熱記録画像を印画し、前記ラベルを切断して2つの半ラベルとし、該半ラベルの各可撓性ライナーを剥離し、前記2つの半ラベルの接着剤層同士を貼り合わせることにより、各面に1以上の感熱記録画像を配設させることを特徴とする両面画像部材の形成方法。
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JP2011518079A (ja) * | 2008-04-04 | 2011-06-23 | エイベリ・デニソン・コーポレイション | 物品に感圧収縮ラベルを貼り付ける方法 |
US9221573B2 (en) | 2010-01-28 | 2015-12-29 | Avery Dennison Corporation | Label applicator belt system |
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-
2003
- 2003-08-21 JP JP2003208145A patent/JP2005070066A/ja active Pending
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