JP2004082573A - 感熱記録材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】高速・高エネルギー下で同一面に複数回印画を行なう感熱記録材料において、高い光沢度を有し、印画トルクを軽減して濃度ムラを抑制し、且つヘッド汚れを改善した、高品質の画像を記録することができる感熱記録材料を提供する。
【解決手段】支持体上に、感熱記録層と、少なくともポリビニルアルコールと平均粒径の異なる2種以上の無機超微粒子を含有する保護層と、を設けた感熱記録材料であって、更にホウ酸と水溶性ジルコニウム化合物を含有することを特徴とする感熱記録材料。
【選択図】 なし
【解決手段】支持体上に、感熱記録層と、少なくともポリビニルアルコールと平均粒径の異なる2種以上の無機超微粒子を含有する保護層と、を設けた感熱記録材料であって、更にホウ酸と水溶性ジルコニウム化合物を含有することを特徴とする感熱記録材料。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーマルヘッド等を用いて画像の記録を行う感熱記録材料に関し、特に高速・高エネルギー下に同一面に複数回印画を行なうのに好適な多色感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録システムは、ファクシミリやプリンター、ラベリング等の多分野においてニーズが拡大しており、それに伴い、より高性能で高画質な感熱記録材料が求められている。
サーマルヘッドにより画像様に加熱して画像の記録を行う感熱記録材料にあっては、サーマルヘッドの保護膜の材質や形状等に合ったヘッドマッチング特性を有することのみならず、ヘッド汚れやヘッド摩耗を発生させずに高品質の画像を長期に亙って安定して記録できることが重要である。
【0003】
この様な感熱記録材料のサーマルヘッド適性を決定付けるのは、主として最上層にある保護層であり、従来より該保護層について様々な改良検討が実施されてきた。例えば、スティッキングによるヘッドへの貼り付き等を防止し、印画適性を付与するためには、顔料の添加が効果的とされ、更にヘッドの汚れを軽減する為には、該顔料の比率を増加したり、顔料の粒径を大きくすること等が必要であると提案されている。しかしながら、顔料の比率の増加や粒径の拡大は、結果として保護層の表面平滑性の低下による光沢度の減少等を招き、品質の低下が生じる。また、酸素等のガス透過性の増加により、ジアゾ化合物を発色剤として使用した場合には曝光時の地肌着色の増大を招く。
【0004】
一方、フルカラーの感熱記録材料では、通常の単色感熱記録材料とは異なり、高速で高エネルギー下で、且つ同一面を3回続けて印画するために、ヘッドの表面温度が上昇し、これにより印画の度に感熱記録材料の表面の潤滑剤が減少していくこと等から、非常にヘッド汚れが発生し易くなっている。しかも品質上、高い表面光沢や低い曝光地肌着色を実現するために、上記の様な一般的な知見(顔料の比率を増加したり、顔料の粒径を大きくすること)の導入が難しいこともあり、ヘッド汚れ等を効果的に防止して、高品質の画像を安定して出力することが出来る感熱記録材料を製造することは非常に困難な課題とされてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、高い光沢性を有すると共に、ヘッド汚れを防止してヘッド耐久性を向上させ、高品質の画像を安定して出力できる感熱記録材料を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決する為の本発明の手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 支持体上に、感熱記録層と、少なくともポリビニルアルコールと平均粒径の異なる2種以上の無機超微粒子を含有する保護層と、を設けた感熱記録材料であって、更にホウ酸と水溶性ジルコニウム化合物を含有することを特徴とする感熱記録材料。
<2> 前記ホウ酸と水溶性ジルコニウム化合物の含有量が、感熱記録材料中の全ポリビニルアルコールに対して、それぞれ10〜30質量%及び0.1〜10質量%であることを特徴とする上記<1>に記載の感熱記録材料。
<3> 前記無機超微粒子の少なくとも1種が、平均粒径が10〜50nmのコロイダルシリカであることを特徴とする上記<1>に記載の感熱記録材料。
<4> 無機超微粒子の他の1種が、平均粒径が0.05〜0.20μmの硫酸バリウムであり、且つ前記コロイダルシリカの該硫酸バリウムに対する配合量が、8〜24質量%であることを特徴とする上記<3>に記載の感熱記録材料。
<5> 前記ポリビニルアルコールが、長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする上記<1>に記載の感熱記録材料。
<6> 前記長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールが、炭素数が8〜20のアルキルエーテル基で変性されたポリビニルアルコールであることを特徴とする上記<5>に記載の感熱記録材料。
<7> 前記長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールが、下記一般式(A)で表されるポリビニルアルコールであることを特徴とする上記<5>に記載の感熱記録材料。
【化2】
〔一般式(A)中、R1は水素原子、メチル基、又は−CH2CO2Mを表し、R2は水素原子、又は−CO2Mを表し、R3は水素原子、−CO2M、アミノ基、アミド基、置換アミド基、ヒドロキシ基、グリシジル基、スルホン酸基、ポリエチレンオキサイド基、ポリプロピレンオキサイド基、又はこれらの官能基を有する基を表し、R4は水素原子又はメチル基を表し、R5は炭素原子数8〜20のアルキル基を表す。該Mは水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、Na、K、又はLiを表す。n、x、y、zはそれぞれ重合度を表す。〕
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の感熱記録材料は、支持体上に、感熱記録層と、少なくともポリビニルアルコールと平均粒径の異なる2種以上の無機超微粒子を含有する保護層と、を設けた感熱記録材料であって、更にホウ酸と水溶性ジルコニウム化合物を含有することを特徴とする。
【0008】
この様に保護層のバインダー樹脂としてポリビニルアルコールを用い、充填剤として、平均粒径の異なる2種以上の無機超微粒子を含有することにより、本発明の感熱記録材料は、表面の平滑性を保持しながら高硬度を示すことができる。更に、ホウ酸と水溶性ジルコニウム化合物を併用することにより、所要の潤滑性を感熱記録材料の表面に安定して存在させながら高硬度化できる。
この様に本発明の感熱記録材料は、その表面の平滑性を維持して高光沢であると共に、その表面が高い硬度を保持し、且つその表面に潤滑性が安定して存在することにより、ヘッド汚れを防止してヘッド耐久性を改善し、高品質の画像を安定して出力することができる。
【0009】
本発明の感熱記録材料においては、支持体上に感熱記録層と保護層とがこの順に設けられるが、更に目的に応じて適宜選択したその他の層、例えば、支持体と感熱記録層との間に設ける下塗り層、感熱記録層同士の間に設ける中間層、及び感熱記録層と保護層との間に設ける光透過率調整層などを有していてもよい。
ここで、本発明においては、上記ホウ酸と水溶性ジルコニウム化合物は、保護層用塗布液に含有させて或いは感熱記録層用塗布液に含有させて付与してもよく、又はこれら以外の上記その他の層を形成する塗布液に含有させて付与することもできる。特に不具合が発生しない場合は、保護層或いは感熱記録層用の塗布液に含有させて使用してもよいが、他の成分との望ましくない反応若しくは相互作用を引き起こす恐れの有る場合などには、中間層用塗布液等に含有させて付与し、拡散により目的の層に移行させる方法を採用することができる。
以下、本発明の感熱記録材料を構成する主要な層及び各成分等について、詳細に説明する。
【0010】
(保護層)
保護層は、感熱記録層のスティッキング特性を改善し感熱記録層を溶剤や外気等から保護するために設けられる層である。本発明の保護層は少なくとも、バインダーとしてポリビニルアルコール樹脂も含み、充填剤として平均粒径の異なる2種以上の無機超微粒子を含有して構成され、必要に応じてその他の各種添加剤及び充填剤等を含んでいてもよい。
【0011】
(ポリビニルアルコール)
本発明における保護層のバインダー樹脂としては、ポリビニルアルコールが用いられる。該ポリビニルアルコールは、本発明の効果を損なわない範囲で従来より公知のポリビニルアルコール系樹脂の中から適宜選定することができ、具体的には、例えば特開2000−118133号に記載のもの等が挙げられる。
本発明のポリビニルアルコールの平均重合度としては、600〜2000が好ましく、1200〜1800が更に好ましい。
本発明に用いるポリビニルアルコールはその誘導体も含み、該ポリビニルアルコール誘導体としては、アルキルエーテル変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、疎水性基変性ポリビニルアルコール、エチレン変性ポリビニルアルコール、イタコン酸変性ポリビニルアルコール等が好ましく、特にアルキルエーテル変性ポリビニルアルコールが好ましい。
【0012】
本発明の保護層においては、ポリビニルアルコール樹脂の他に必要に応じ他のバインダーを併用してもよい。この様な他種バインダーとしては、例えば、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子及びスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等の合成ゴムラテックス、合成樹脂エマルション等が挙げられる。
【0013】
本発明のバインダーを構成するポリビニルアルコールのガラス転移温度(Tg)としては150℃以下、好ましくは0℃〜130℃の範囲、特に好ましくは40℃〜100℃のものである。
【0014】
保護層中のポリビニルアルコールの含有量としては、25〜80質量%が好ましく、40〜70質量%が更に好ましい。他のバインダーを併用する場合にも、バインダー全体として該含有量の範囲を満たすのが望ましい。
【0015】
(長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコール)
本発明の感熱記録材料においては、上記アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールの中でも、長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールが好ましく、該長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールを用いることにより、充填剤として用いる平均粒径の異なる2種以上の無機超微粒子の分散性を改善して、感熱記録材料の表面平滑性を向上させ、該無機超微粒子の添加による光沢度の低下を補償することができる。
【0016】
更に、上記長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールとしては、炭素原子数が8〜20のアルキルエーテル基で変性された長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールが好ましく、特に下記一般式(A)で表されるアルキルエーテル変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。
【0017】
【化3】
【0018】
上記一般式(A)において、R1は水素原子、メチル基、又は−CH2CO2Mを表し、R2は水素原子、又は−CO2Mを表し、R3は水素原子、−CO2M、アミノ基、アミド基、置換アミド基、ヒドロキシ基、グリシジル基、スルホン酸基、ポリエチレンオキサイド基、ポリプロピレンオキサイド基、又はこれらの官能基を有する基を表し、R4は水素原子又はメチル基を表し、R5は炭素原子数8〜20のアルキル基を表す。
これらの中でも、R1、R2、R4が水素原子でありR3が−CO2Mである組合せ、及びR2とR4が水素原子でありR1が−CH2CO2MでありR3が−CO2Mである組合せが好ましい。
【0019】
上記一般式(A)おいて、Mは水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、Na、K又はLiを表す。
【0020】
上記一般式(A)において、R5は長鎖アルキル基、即ち、炭素数8以上、好ましくは炭素数8〜20のアルキル基を表す。該アルキル基は直鎖でも分岐構造でもよく、またアリール基等の置換基を有していてもよい。これらの中でも、潤滑性を向上させる観点より炭素数8〜16のアルキル基がより好ましく、特に炭素原子数12のドデシル基が最も好ましい。
【0021】
上記一般式(A)において、n、x、y、zはそれぞれ重合度を表す。nは0〜20が好ましく、0〜10がより好ましい。nの値を大きくすれば、酸性基が増加しゼラチンとの相溶性が良化する。Tg(ガラス転移点)以下でのガスバリヤー性等のポリビニルアルコールの特性を引き出すことができる点で、xは60〜99が好ましく、75〜95が更に好ましい。yは0〜20が好ましい。zは、感熱記録ヘッドとの耐摩擦性や潤滑性の点で大きい方が好ましいが、溶解性や水溶液の粘度の点で限度があり、n、x、y、zの総和に対し、0.5〜10%の値が好ましく、より好ましくは1〜5%である。
【0022】
本発明の長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールのTg(ガラス転移点)としては、50℃以上が好ましく、60℃以上が更に好ましい。Tgが50℃未満の場合、耐損傷性が低下する場合があり望ましくない。
【0023】
本発明における保護層内に、長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールは該保護層の乾燥質量に対して50質量%以上含有されることが好ましく、80質量%以上含有されることが更に好ましい。該長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールの含有量が50質量%未満だと、上述の長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールによる利点が十分に発揮されないことがある。
【0024】
上記長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールを用いた保護層の表面には、該長鎖アルキル基が配向され易い。この様に配向した表面は印画トルクを低減させるため、印画故障が無くなり、印画面の平滑性(光沢性)の向上及び発色濃度の向上が可能となる。また、表面の静摩擦及び動摩擦係数の低下はプリンターでのメディアの走行性を良好なものとする。更に、長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコール系樹脂の特徴である耐光性及び被膜強度に優れるという特性を発揮すると共に、表面に疎水性基が配向していることから耐水性も向上できる。
【0025】
本発明の保護層においては、上記長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールの他に必要に応じ他のバインダーを併用してもよい。該他のバインダーとしては、例えば、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子及びスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等の合成ゴムラテックス、合成樹脂エマルジョン等が挙げられる。
【0026】
以上述べたバインダーの中でも、ポリビニルアルコール又はその誘導体(以下、総称して「ポリビニルアルコール」という場合がある。)が好ましく、具体的には、特開2000−118133号に記載のもの等が好適に挙げられる。
【0027】
上記バインダーを構成する高分子のTg(ガラス転移点)は、150℃以下、好ましくは0℃〜130℃,特に好ましくは40℃〜100℃である。
【0028】
本発明の保護層中のバインダーの含有量としては、保護層全体に対して25〜80質量%が好ましく、40〜70質量%が更に好ましい。
【0029】
(ホウ酸)
本発明の感熱記録材料においては、上記保護層の硬度や強度を高める目的で、上述のポリビニルアルコールの硬膜剤であるホウ酸を含有させる。
感熱記録材料中の上記ホウ酸の含有量は、感熱記録材料の記録面側に設けられる層に用いられるポリビニルアルコール樹脂の総量に対して、10〜30質量%が好ましく、該含有量は14〜28質量%がより好ましく、特に18〜24質量%が最も好ましい。該ホウ酸含有量が感熱記録材料の上記全ポリビニルアルコールに対して10質量%未満であると、保護層等において十分な膜硬度ないし膜強度が得られないことがあり、また該含有量が30質量%を超えると、潤滑剤が印画時に拡散し易くなり、結果として保護層の疎水性が低下し、画質の低下や光沢度の低下の原因となる場合がある。
【0030】
支持体上に各層を設ける工程において、本発明で用いるホウ酸は、各層いずれの塗布液にも添加することができる。また、保護層を初めポリビニルアルコール樹脂を用いる各層用の何れの塗布液であっても、該塗布液のpHを調整することにより添加することができる。その中でも、硬膜剤として働く本発明のホウ酸は、他の成分との望ましくない反応或いは相互作用等を避ける観点から、中間層用塗布液に添加するのが好ましい。中間層等の塗布液に添加されたホウ酸は、保護層や感熱記録層及び中間層等を支持体上に形成する際、各塗布液を支持体上に塗布するのと略同時に他の層にまで速やかに拡散し、保護層用塗布液等に含まれるポリビニルアルコールと架橋反応を起こすことが出来る。
【0031】
尚、上記硬膜剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、上記ホウ酸以外の公知の架橋剤と併用することもできる。この様な公知の架橋剤としては、例えば、ビニルスルホン系化合物、アルデヒド系化合物(ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒド等)、エポキシ系化合物、オキサジン系化合物、トリアジン系化合物、特開昭62−234157号公報に記載の高分子硬膜剤、メチル化メラミン、ブロックドイソシアネート、メチロール化合物、カルボジイミド樹脂等を挙げることができる。
【0032】
(水溶性ジルコニウム化合物)
また、本発明の感熱記録材料においては、負荷変動ムラを低下させ印画トルクを軽減して濃度ムラを無くす等の目的で、上記ホウ酸と共に水溶性ジルコニウム化合物を含有させる。
感熱記録材料中の上記水溶性ジルコニウム化合物の含有量は、感熱記録材料の記録面側に設けられた層に用いられるポリビニルアルコールの総量に対して0.1〜10質量%が好ましく、該含有量は0.3〜8質量%がより好ましく、特に0.5〜6質量%が最も好ましい。この水溶性ジルコニウム化合物の含有量が感熱記録材料の全ポリビニルアルコールに対して0.1質量%未満であると、保護層等において印画トルクを十分に低減できないことがあり、また該含有量が10質量%を超えると、共存する無機微粒子分散物や潤滑剤微粒子乳化物との相互作用により光沢度の低下の原因となることがある。
【0033】
本発明の感熱記録材料に用いられる水溶性ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムの金属塩又は錯体が挙げられる。本明細書において、「水溶性」ジルコニウム化合物とは、25℃の水100gに対して1g以上の溶解性を有するものを指し、該溶解性としては5g以上が好ましく、10g以上がより好ましい。
上記水溶性ジルコニウム化合物の具体例としては、例えば、ジルコニウムアセチルアセトネート、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、等が挙げられる。
これらの中でも、特に酢酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、硝酸ジルコニウムが好ましい。
また、水溶性ジルコニウム化合物として市販されているもの、例えば、ニューテックス(株)製の商品名「ジルコゾルAC7」、「ジルコゾルHA」、「ジルコゾルZA−2」、「ジルコゾルZN」等も好適に使用できる。
【0034】
支持体上に各層を設ける工程において、本発明の水溶性ジルコニウム化合物は、各層いずれの塗布液にも添加することができる。その中でも、水溶性ジルコニウム化合物は、他の成分との望ましくない反応或いは相互作用等の恐れの無い場合は、直接に保護層用塗布液に添加して使用してよい。また、中間層用塗布液等に添加して付与してもよく、その場合、該塗布液に添加された水溶性ジルコニウム化合物は、各層を支持体上に形成する際、各塗布液を支持体上に塗布するのとほぼ同時に他の層にまで拡散し、保護層内に速やかに移行して効力を発揮することが出来る。
【0035】
尚、上記水溶性ジルコニウム化合物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の公知の水溶性金属塩や疎水性金属塩化合物と併用してもよい。併用できるものとしては、例えば、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、モリブデン、インジウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジミウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、ジスロプロシウム、エルビウム、イッテルビウム、ハフニウム、タングステン、ビスマス等の金属塩又は錯体が挙げられる。
【0036】
(無機超微粒子)
本発明における保護層には、表面の平滑性を維持しながら高い硬度を保持するたす為に、前述のポリビニルアルコールと共に平均粒径の異なる2種以上の無機超微粒子を含有する。
【0037】
本明細書において、「無機超微粒子」とは平均一次粒径が0.5μm以下、好ましくは0.2μm以下、より好ましくは0.15μm以下の無機超微粒子を指し、この様な無機微粒子であれば特に制限はないが、分散液での最大粒子径(分散液中での粒径分布の大きい方での閾値)が0.5μm以下が好ましく、0.4μm以下がより好ましく、特に0.35μm以下が好ましい。また、分散液での平均粒径が0.35μm以上の(凝集)粒子の頻度が5%以下、好ましくは1%以下であり、特に0.25μm以上の(凝集)粒子の頻度が5%以下であることが好ましい。尚、該粒子径は公知の方法、例えば「COULTER N4型サブミクロン粒径分析装置」(日科機製)などにより測定することができる。
【0038】
本発明で用いられる無機超微粒子としては、コロイダルシリカ、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、アルミナ等が挙げられ、中でもコロイダルシリカや硫酸バリウム、アルミナが好ましく、特に、平均粒径が10〜50nmのコロイダルシリカ及び平均粒径が0.05〜0.20μmの硫酸バリウムが、電荷やpHなどの影響を受けにくく、保護層用塗布液中での分散物の安定性が高いので好ましい。
【0039】
本発明に好適に使用し得る無機超微粒子の具体例としては、例えば、堺化学工業(株)製の商品名「BARIFINE BF−21、BF−20」の様な硫酸バリウム、日産化学(株)製の商品名「スノーテックスO」の様なコロイダルシリカ、日産化学(株)製の商品名「NZR−A」の様な酸化ジルコニウム、堺化学工業(株)製の商品名「FINEX−75」の様な酸化亜鉛、石原産業(株)製の商品名「TTO−55」の様な酸化チタン、及び日本アエロジル(株)製の商品名「AEROSIL 200」の様なシリカ等が挙げられる。
【0040】
本発明における保護層には、平均粒径の異なる2種以上の無機超微粒子が含有されるが、該無機超微粒子中の少なくとも1種として、平均粒径が10〜50nmのコロイダルシリカであることが好ましく、更に少なくとも2種としては、上記コロイダルシリカと平均粒径が0.05〜0.20μmの硫酸バリウムの組合せが好ましく、且つ上記コロイダルシリカの該硫酸バリウムに対する配合量が、8〜24質量%であることが好ましい。
この様に粒径の超微小なコロイダルシリカを用いることにより、表面の平滑性を維持したまま高硬度を保持することができる。更に、コロイダルシリカのみでは親水性が高いため、潤滑剤が拡散して感熱記録材料の表面潤滑性が保持できなくなる場合があるが、上記硫酸バリウムを併用することにより所要の潤滑性を感熱記録材料の表面に安定して存在させることができる。斯かる構成により、本発明の感熱記録材料は、その表面の平滑性を維持して高光沢であると共に、その表面が高い硬度を保持し、且つその表面に潤滑性が安定して存在することにより、ヘッドの汚れを防止してヘッド耐久性を改善し、高品質な画像を安定して出力することができる。
【0041】
上記硫酸バリウムの平均粒径は、0.05〜0.20μmが好ましいが、更に0.10〜0.15μmであるのがより好ましく、また上記コロイダルシリカの平均粒径は、10〜50nmが好ましいが、更に10〜30nmであるのがより好ましく、特に15〜25nmが最も好ましい。
また、保護層中の上記コロイダルシリカの硫酸バリウムに対する配合量は、8〜24質量%が好ましく、更に8〜16質量%がより好ましく、特に8〜10質量%が最も好ましい。コロイダルシリカ及び硫酸バリウムの平均粒径が上記範囲を外れ、且つコロイダルシリカの硫酸バリウムに対する配合割合が上記範囲にない場合には、感熱記録材料として高光沢を維持できない場合が生じたり、或いはヘッド汚れが顕著となって、多数の画像を支障なく形成することが困難となることがある。
【0042】
本発明において、上記コロイダルシリカ及び硫酸バリウムは、全無機超微粒子中、60質量%以上含まれていることが好ましく、75質量%以上含まれていることがより好ましく、85質量%以上含まれていることが特に好ましい。該コロイダルシリカ及び硫酸バリウムを60質量%以上含有することにより、その効果を一層有効に発揮することができる。
【0043】
本発明において、上記無機超微粒子を添加する方法としては、超微粒子同士の凝集を防止し、樹脂粒子表面への均一な吸着を達成する為に、カルボキシメチルセルロースやゼラチン、ポリビニルアルコールの様な水性分散樹脂と共に樹脂溶液として添加する方法、又は無機超微粒子のコロイド分散物を各種ミル等で調製した後に添加する方法等を採用することが、効果及び製造の観点から好ましい。また、前記バインダー樹脂と無機超微粒子との質量配合割合(バインダー/無機超微粒子)は、0.8/0.5〜0.8/0.15が好ましく、0.8/0.45〜0.8/0.3がより好ましい。
【0044】
尚、本発明の保護層には、雲母等を含む無機質の層状化合物や酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、カオリン、合成珪酸塩、非晶質シリカ、尿素ホルマリン樹脂粉末等の顔料を添加してもよい。
【0045】
(感熱記録層)
本発明の感熱記録材料においては、光定着型感熱記録層として、最大吸収波長365±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色するカプラー化合物とを含有する光定着型感熱記録層と、最大吸収波長425±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色するカプラー化合物とを含有する光定着型感熱記録層とを有することが好ましい。
【0046】
更に本発明の感熱記録材料は、最大吸収波長が380nm未満のジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色するカプラー化合物とを含有する光定着型感熱記録層と、最大吸収波長が390nmを超えるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色するカプラー化合物とを含有する光定着型感熱記録層とを有する場合にも適用される。
【0047】
また、複数の光定着型感熱記録層を有する場合においては、各光定着型感熱記録層の色相を変えることにより、多色の感熱記録材料が得られる。即ち、各光定着型感熱記録層の発色色相を減色混合における3原色(イエロー、マゼンタ、シアン)となる様に選べば、フルカラーの画像記録が可能となる。この場合、支持体面に直接に積層(光定着型感熱記録層の最下層)される光定着型感熱記録層の発色機構は、電子供与性染料と電子受容性染料との組み合わせに限らず、例えば、ジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と反応し呈色するカプラーとからなるジアゾ発色系、塩基性化合物と接触して発色する塩基発色系、キレート発色系、求核剤と反応して脱離反応を起こし発色する発色系等の何れでもよく、この光定着型感熱記録層上に最大吸収波長が異なるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラー化合物とを各々含有する光定着型感熱記録層を2層以上設けるのが好ましい。
【0048】
本発明において、光定着型感熱記録層に用いられる発色成分としては、従来公知のものが使用できるが、特にジアゾニウム塩化合物とカプラー化合物との反応を利用したもの、又は電子供与性無色染料と電子受容性化合物との反応を利用したものが好ましく、ジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーを含有する光定着型感熱記録層に用いられる化合物は、ジアゾニウム塩化合物、該ジアゾニウム塩化合物と反応して色素を形成しうるカプラー化合物及びジアゾニウム塩化合物とカプラーとの反応を促進する塩基性物質等が挙げられる。該ジアゾニウム塩化合物、カプラー化合物、塩基物質などは、特公平4−75147号公報、特公平6−55546号公報、特公平6−79867号公報、特開平4−201483号公報、特開昭60−49991号公報、特開昭60−242094号公報、特開昭61−5983号公報、特開昭63−87125号公報、特開平4−59287号公報、特開平5−185717号公報、特開平7−88356号公報、特開平7−96671号公報、特開平8−324129号公報、特開平9−38389号公報、特開平5−185736号公報、特開平5−8544号公報、特開昭59−190866号公報、特開昭62−55190号公報、特開昭60−6493号公報、特開昭60−259492号公報、特開昭63−318546号公報、特開平4−65291号公報、特開平5−185736号公報、特開平5−204089号公報、特開平8−310133号公報、特開平8−324129号公報、特開平9−156229号公報、特開平9−175017号公報、などに詳しく記載されている。それらの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0049】
<ジアゾニウム塩化合物の具体例>
【化4】
【0050】
【化5】
【0051】
【化6】
【0052】
【化7】
【0053】
【化8】
【0054】
【化9】
【0055】
【化10】
【0056】
【化11】
【0057】
【化12】
【0058】
【化13】
【0059】
【化14】
【0060】
【化15】
【0061】
【化16】
【0062】
<カプラー化合物の具体例>
【化17】
【0063】
【化18】
【0064】
【化19】
【0065】
【化20】
【0066】
【化21】
【0067】
【化22】
【0068】
【化23】
【0069】
【化24】
【0070】
【化25】
【0071】
【化26】
【0072】
【化27】
【0073】
【化28】
【0074】
【化29】
【0075】
【化30】
【0076】
(塩基の具体例)
上記塩基は、単独でも2種以上を併用してもよい。該塩基としては、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、フォルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物が挙げられる。
【0077】
特に、N,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−(β−ナフトキ)−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N−3−(β−ナフトキ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン、1,4−ビス((3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ)ベンゼンなどのピペラジン類、N−(3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ)プロピルモルホリン、1,4−ビス((3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス((3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ)ベンゼン、などのモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジンなどのピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン等のグアニジン等類が好ましい。
【0078】
電子供与性無色染料及び電子受容性化合物などは、特開平6−328860号公報、特開平7−290826号公報、特開平7−314904号公報、特開平8−324116号公報、特開平3−37727号公報、特開平9−31345号公報、特開平9−111136号公報、特開平9−118073号公報、特開平11−157221号公報、などに詳しく記載されている。その具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0079】
<電子供与性無色染料の具体例>
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【化31】
【0083】
<電子受容性化合物の具体例>
電子受容性化合物としては、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられる。特に、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が好ましい。これらの一部を例示すれば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸およびその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸およびその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸およびその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノールなどが挙げられる。
【0084】
(マイクロカプセル)
本発明においては、上述したジアゾニウム塩化合物、該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラー化合物、塩基性物質、及び電子供与性無色染料、電子受容性化合物、その他増感剤等の使用態様については、特に限定されず、(1)固体分散して使用する方法、(2)乳化分散して使用する方法、(3)ポリマー分散して使用する方法、(4)ラテックス分散して使用する方法、(5)マイクロカプセル化して使用する方法等があるが、これらの中でも特に生保存性の観点から、(4)のマイクロカプセル化して使用する方法が好ましく、特にジアゾニウム塩化合物とカプラーとの反応を利用した発色系では、ジアゾニウム塩化合物をカプセルに内包した場合が、電子供与性無色染料と電子受容性化合物との反応を利用した発色系では、電子供与性無色染料をカプセル内包した場合が好ましい。
【0085】
マイクロカプセルの形成方法は、公知の方法を用いて行うことができる。このマイクロカプセル壁を形成する高分子物質は常温では不透過性であり、加熱時に透過性となることが必要要件であり、特にガラス転移温度が60〜200℃の範囲にあるものが好ましい。これらの具体例としては、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレン−メタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体及びこれらの混合系を挙げることができる。
【0086】
マイクロカプセルの形成方法としては、界面重合法或いは内部重合法が適しており、これらの詳細並びにリアクタントの具体例については、米国特許第3,726,804号、同第3,796,669号等の明細書に記載がある。例えば、ポリウレア、ポリウレタンをカプセル壁剤として用いる場合は、ポリイソシアネート及びこれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えばポリオール、ポリアミン)を水性媒体又はカプセル化すべき油性媒体中に混合し、水中でこれらを乳化分散し、次に加熱することにより油滴界面で高分子形成反応を起こさせ、マイクロカプセル壁を形成する。尚、上記第2物質の添加を省略した場合でもポリウレアを生成することができる。
【0087】
本発明において、マイクロカプセル壁を形成する高分子物質は、ポリウレタンやポリウレアの中から選ばれる少なくとも1種のものであることが好ましい。
【0088】
以下に、ジアゾ化合物含有マイクロカプセル(ポリウレア・ポリウレタン壁)を例にとり、マイクロカプセルの製造方法について述べる。
【0089】
まず、ジアゾ化合物を高沸点有機溶媒に溶解ないし分散させ、マイクロカプセルの芯となる油相を調製する。本発明において、ジアゾ化合物1質量部に対して、高沸点有機溶媒は0.25〜10質量部の割合で使用することが好ましく、更には0.5〜5質量部の割合であることが望ましい。該高沸点有機溶媒の使用量が0.25質量部より少ないと、地肌かぶりが大きくなり易く、また10質量部より多いと十分な発色濃度を得にくい場合がある。更に、この油相の調製時には、壁剤として多価イソシアネートが添加される。
【0090】
上記高沸点溶剤としては、アルキルビフェニル、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、アルキルジフェニルメタン、塩素化パラフィン、トリクレジルフォスフェート、マレイン酸エステル類、アジピン酸エステル類フタル酸エステル類等が挙げられ、これらは、2種以上を併用してもよい。
【0091】
上記油相の調製に際し、通常、ジアゾ化合物は芯オイルに溶解して用いるが、高沸点溶媒に対する該ジアゾ化合物の溶解性が劣る場合には、溶解性の高い低沸点有機溶剤(沸点100℃以下)を補助溶剤として併用することが好ましい。該低沸点有機溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン、アセトン等が挙げられる。この場合、該低沸点溶剤はカプセル形成反応中に蒸散し、完成したカプセル内には残存しない。従って、使用量については特段の制限はない。
【0092】
ジアゾ化合物は、上記した低沸点有機溶剤及び高沸点有機溶剤に対する適当な溶解度を有していることが好ましく、具体的には、該溶剤に対して5%以上の溶解度を有し、水に対してはその溶解度が1%以下であることが好ましい。
【0093】
一方、用いる水相には水溶性高分子を溶解した水溶液を使用し、これに上記油相を投入後、ホモジナイザー等の高速回転手段により乳化分散を行うが、該水溶性高分子は分散を均一に、且つ容易にすると共に、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒としても作用する。ここで更に、均一に乳化分散し安定化させるためには、油相或いは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤は周知の乳化用界面活性剤が使用可能である。また、界面活性剤を添加する場合には、界面活性剤の添加量は、油相の全質量に対して0.1%〜5%、特に0.5%〜2%であることが好ましい。
【0094】
乳化分散時に使用する上記水溶液に添加する水溶性高分子としては、乳化しようとする温度における水に対する溶解度が5以上の水溶性高分子が好ましく、その具体例としては、ポリビニルアルコールおよびその変成物、ポリアクリル酸アミドおよびその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0095】
これらの水溶性高分子は、壁剤として添加されるイソシアネート化合物との反応性がないか、低いことが好ましく、例えばゼラチンの様に分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは、予め変性するなどして反応性を無くしておくことが必要である。
【0096】
多価イソシアネート化合物としては、3官能以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましいが、2官能のイソシアネート化合物を併用してもよい。具体的にはキシレンジイソシアネートおよびその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートおよびその水添物、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートを主原料とし、これらの2量体あるいは3量体(ビューレットあるいはイソシヌレート)の他、トリメチロールプロパンなどのポリオールとのアダクト体として多官能としたもの、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物などが挙げられる。
【0097】
該多価イソシアネートの使用量は、マイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、且つ壁厚みが0.01〜0.3μmとなるように決定される。分散粒子径は0.2〜10μm程度が一般的である。乳化分散液中で油相と水相の界面において多価イソシアネートの重合反応が起こり、ポリウレア壁が形成される。
【0098】
更に該水相中、又は疎水性溶媒中にポリオール又はポリアミンを添加しておけば、多価イソシアネートと反応してマイクロカプセル壁の原料の一つとして用いることもできる。上記反応において、反応温度を高く保ち、あるいは適当な重合触媒を添加することが反応速度を速める点で好ましい。
【0099】
これらのポリオール又はポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。
【0100】
多価イソシアネート、ポリオール、反応触媒、壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等については成書に詳しい。(岩田敬治編「ポリウレタンハンドブック」、日刊工業新聞社、1987)
【0101】
上記乳化操作はホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等の公知の乳化装置を用いて行うことができる。乳化後は、カプセル壁の形成反応を促進させるために乳化物を30〜70℃に加温することが行われる。また反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、充分な攪拌を行う等の必要がある。
【0102】
また、反応中に改めて凝集防止用の分散物を添加してもよい。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その終息をもって凡そのカプセル壁形成反応の終点と見なすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的のジアゾ化合物含有マイクロカプセルを得ることができる。
【0103】
(感熱記録材料の構成)
本発明において、感熱記録材料は感熱記録層を複数枚積層してもよく、各光定着型感熱記録層の色相を変えることにより、多色の感熱記録材料を得ることもできる。その層構成は特に限定されるものではないが、特に感光波長の異なる2種のジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩と熱時反応して異なった色相に発色させるカプラー化合物とを組み合わせた光定着型感熱記録層(2層)や、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを組み合わせた光定着型感熱記録層とを積層した多色感熱記録材料が好ましい。即ち、支持体上に電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを含む第1の光定着型感熱記録層、最大吸収波長が365±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩と熱時反応して呈色するカプラー化合物とを含有する第2の光定着型感熱記録層、最大吸収波長が425±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩と熱時反応して呈色するカプラー化合物とを含有する第3の光定着型感熱記録層とするものである。この例において、各光定着型感熱記録層の発色色相を減色混合における3原色(イエロー、マゼンタ、シアン)となるように選んでおけば、フルカラーの画像記録が可能となる。
【0104】
この多色感熱記録材料の記録方法は、まず第3の光定着型感熱記録層を加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩とカプラーを発色させる。次に425±40nmの光を照射して第3の光定着型感熱記録層中に含まれている未反応のジアゾニウム塩化合物を分解させた後、第2の光定着型感熱記録層が発色するのに十分な熱を加え、該層に含まれているジアゾニウム塩とカプラーとを発色させる。この時、第3の光定着型感熱記録層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色しない。更に365±40nmの光を照射して第2の光定着型感熱記録層に含まれているジアゾニウム塩化合物を分解し、最後に第1の光定着型感熱記録層が発色するのに十分な熱を加えて発色させる。この時、第3と第2の光定着型感熱記録層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色しない。
【0105】
本発明において、耐光性を向上させるために以下に示す公知の酸化防止剤を用いることができる。例えば、ヨーロッパ公開特許第310551号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、ヨーロッパ公開特許第310552号公報、特開平3−121449号公報、ヨーロッパ公開特許第459416号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開昭63−163351号公報、アメリカ特許第4814262号、特開昭54−48535号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4980275号、特開昭63−113536号公報、特開昭62−262047号公報、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、ヨーロッパ公開特許第309402号公報、ヨーロッパ公開特許第309401号公報等に記載のものが挙げられる。
【0106】
更に既に感熱記録材料或いは感圧記録材料として公知の各種添加剤を用いることも有効である。これらの酸化防止剤の一部を示すならば、特開昭60−125470号公報、特開昭60−125471号公報、特開昭60−125472号公報、特開昭60−287485号公報、特開昭60−287486号公報、特開昭60−287487号公報、特開昭62−146680号公報、特開昭60−287488号公報、特開昭62−282885号公報、特開昭63−89877号公報、特開昭63−88380号公報、特開昭63−088381号公報、特開平01−239282号公報、特開平04−291685号公報、特開平04−291684号公報、特開平05−188687号公報、特開平05−188686号公報、特開平05−110490号公報、特開平05−1108437号公報、特開平05−170361号公報、特開昭63−203372号公報、特開昭63−224989号公報、特開昭63−267594号公報、特開昭63−182484号公報、特開昭60−107384号公報、特開昭60−107383号公報、特開昭61−160287号公報、特開昭61−185483号公報、特開昭61−211079号公報、特開昭63−251282号公報、特開昭63−051174号公報、特公昭48−043294号公報、特公昭48−033212号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0107】
感熱記録層に用いるバインダー樹脂としては、従来公知のものを使用することができるが、ポリビニルアルコールが好ましく、ゼラチンなどの水溶性高分子やポリマーラテックスなども使用できる。
【0108】
<光透過率調整層>
本発明の感熱記録材料には、耐光性を向上させるために光透過率調整層を設けることができる。
光透過率調整層は、紫外線吸収剤前駆体を含有しており、定着に必要な領域の波長の光照射前は紫外線吸収剤として機能しないので光透過率が高く、光定着型感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を十分に透過させ、しかも可視光線の透過率も高いので、感熱記録層の定着に支障を来すこともない。この紫外線吸収剤前駆体は、マイクロカプセル中に含ませることが好ましい。
また、光透過率調整層に含有する化合物としては、特開平9−1928号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0109】
上記紫外線吸収剤前駆体は、感熱記録層の光照射による定着に必要な領域の波長の光照射が終了した後、光または熱などで反応することにより紫外線吸収剤として機能するようになり、紫外線領域の定着に必要な領域の波長の光は紫外線吸収剤によりその大部分が吸収され、透過率が低くなり、感熱記録材料の耐光性が向上するが、可視光線の吸収効果がないから、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
光透過率調整層は感熱記録材料中に少なくとも1層設けることができ、最も望ましくは感熱記録層と最外保護層との間に形成するのがよいが、光透過率調整層を保護層と兼用するようにしてもよい。光透過率調整層の特性は、感熱記録層の特性に応じて任意に選定することができる。
【0110】
光透過率調整層形成用の塗布液(光透過率調整層用塗布液)は、上記各成分を混合して得られる。該光透過率調整層塗布液を、例えばバーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等の公知の塗布方法により塗布して形成することができる。光透過率調整層は、感熱記録層等と同時塗布してもよく、例えば感熱記録層形成用の塗布液を塗布し一旦感熱記録層を乾燥させた後、該層上に塗布形成してもよい。
光透過率調整層の乾燥塗布量としては、0.8〜4.0g/m2が好ましい。
【0111】
<中間層>
感熱記録層を複数積層する場合、各感熱記録層間には中間層を設けることが好ましい。該中間層には、上記保護層と同様、各種バインダーに更に顔料、滑剤、界面活性剤、分散剤、蛍光増白剤、金属石鹸、紫外線吸収剤等を含ませることができる。上記バインダーとしては、保護層と同様のバインダーが使用できる。また、感熱記録材料の膜硬度を向上させるために、中間層用塗布液には、例えば、ホウ酸等保護層のバインダーと架橋反応する架橋剤などの硬化剤を添加してもよい。
【0112】
<支持体>
上記支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)トリアセチルセルロース(TAC)、紙、プラスチック樹脂ラミネート紙、合成紙等が挙げられる。また、透明な感熱記録材料を得る場合には、透明支持体を使用する必要があり、該透明支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロースフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルム等の合成高分子フィルムが挙げられる。
【0113】
上記支持体は、単独であるいは貼り合わせて使用することができる。
上記合成高分子フィルムの厚さとしては、25〜300μmが好ましく、100〜250μmがより好ましい。
【0114】
上記合成高分子フィルムは任意の色相に着色されていてもよく、高分子フィルムを着色する方法としては、フィルム成形前に予め樹脂に染料を混練しフィルム状に成形する方法、染料を適当な溶剤に溶かした塗布液を調製しこれを透明無色な樹脂フィルム上に公知の塗布方法、例えばグラビアコート法、ローラーコート法、ワイヤーコート法等により塗布、乾燥する方法等が挙げられる。中でも、青色染料を混練したポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂をフィルム状に成形し、これに耐熱処理、延伸処理、帯電防止処理を施したものが好ましい。
【0115】
上記感熱記録層、保護層、光透過率調整層、中間層等は、支持体上に、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等の公知の塗布方法により塗布し、乾燥して形成することができる。
【0116】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明の感熱記録材料について具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。尚、本実施例中の「部」及び「%」は、特に断わりのない限り「質量部」及び「質量%」を表す。
【0117】
[実施例1]
(フタル化ゼラチン溶液の調製)
フタル化ゼラチン(ニッピコラーゲン(株)製の商品名「MGPゼラチン」)32部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.9143部、イオン交換水367.1部を混合し、40℃にて溶解して、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0118】
(アルカリ処理ゼラチン溶液の調製)
アルカリ処理低イオンゼラチン(新田ゼラチン(株)製の商品名「#750ゼラチン」)25.5部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.7286部、水酸化カルシウム0.153部、イオン交換水143.6部を混合し、50℃にて溶解して、乳化物作製用アルカリ処理ゼラチン水溶液を得た。
【0119】
(1)イエロー感熱記録層液の調製
(ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(a)の調製)
酢酸エチル16.1部に、下記ジアゾニウム塩化合物(A)(最大吸収波長420nm)2.2部、下記ジアゾニウム塩化合物(B)(最大吸収波長420nm)2.2部、モノイソプロピルビフェニル4.8部、フタル酸ジフェニル4.0部及びジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(BASFジャパン(株)製の商品名「ルシリンTPO」)0.4部を添加し、40℃に加熱して均一に溶解した。該混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD119N」、50%酢酸エチル溶液)8.6部を添加し、均一に攪拌し混合液(I)を得た。
【0120】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液58.6部にイオン交換水16.3部、「Scraph AG−8」(50%水溶液、日本精化(株)製)0.34部添加し、混合液(II)を得た。
上記混合液(II)に前記混合液(I)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水20部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行なった。この後、イオン交換樹脂「アンバーライトIRA68」(オルガノ(株)製)4.1部、「アンバーライトIRC50」(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になる様に濃度調節し、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(a)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−700」で測定した結果、メジアン径で0.36μmであった。
【0121】
【化32】
【0122】
(カプラー化合物乳化液(a)の調製)
酢酸エチル33.0部に下記カプラー化合物(C)9.9部と、トリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)9.9部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(三井石油化学(株)製の商品名「ビスフェノールM」)20.8部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン3.3部、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)13.6部、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.8部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(竹本油脂(株)製の商品名「パイオニンA−41−C」、70%メタノール溶液)4.2部を溶解し、混合液(III)を得た。
【0123】
別途、前記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(IV)を得た。
上記混合液(IV)に前記混合液(III)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧し加熱して、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が26.5%になる様に濃度調節を行なった。得られたカプラー化合物乳化物の粒径は、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−700」で測定した結果、メジアン径で0.21μmであった。
更に上記カプラー化合物乳化物100部に対して、SBRラテックス(住化エイビーエスラテックス(株)製の商品名「SN−307」、48%液)を26.5%に濃度調整したものを9部添加して均一に撹拌して、カプラー化合物乳化液(a)を得た。
【0124】
【化33】
【0125】
(塗布液(a)の調製)
前記ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(a)及び上記カプラー化合物乳化液(a)を、内包するカプラー化合物/ジアゾ化合物の質量比が2.2/1になる様に混合し、感熱記録層用塗布液(a)を得た。
【0126】
(2)マゼンタ感熱記録層液の調製
(ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(b)の調製)
酢酸エチル15.1部に、下記ジアゾニウム化合物(D)(最大吸収波長365nm)2.8部、フタル酸ジフェニル3.8部、フェニル−2−ベンゾイロキシ安息香酸エステル3.9部、下記エステル化合物(共栄油脂化学(株)製の商品名「ライトエステルTMP」)5.2部及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(竹本油脂(株)製の商品名「パイオニンA−41−C」、70%メタノール溶液)0.1部を添加し、加熱して均一に溶解した。該混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD119N」、50%酢酸エチル溶液)2.5部とキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD110N」、75%酢酸エチル溶液)6.8部を添加し、均一に攪拌し混合液(V)を得た。
【0127】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液55.3部にイオン交換水21.0部添加し混合して、混合液(VI)を得た。
上記混合液(VI)に前記混合液(V)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水24部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間かけてカプセル化反応を行なった。この後、イオン交換樹脂「アンバーライトIRA68」(オルガノ(株)製)4.1部、「アンバーライトIRC50」(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になる様に濃度を調節して、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(b)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−700」で測定した結果、メジアン径で0.43μmであった。
【0128】
【化34】
【0129】
(カプラー化合物乳化液(b)の調製)
酢酸エチル36.9部に下記カプラー化合物(E)11.9部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)14.0部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(三井石油化学(株)製)の商品名「ビスフェノールM」)14.0部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン14.0部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン3.5部、下記化合物(G)3.5部、リン酸トリクレジル1.7部、マレイン酸ジエチル0.8部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(竹本油脂(株)製の商品名「パイオニンA−41−C」、70%メタノール溶液)4.5部を溶解し、混合液(VII)を得た。
【0130】
別途、前記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(VIII)を得た。
上記混合液(VIII)に前記混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧し加熱して、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5%になる様に濃度調節を行ない、カプラー化合物乳化液(b)を得た。得られたカプラー化合物乳化液の粒径は、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−700」で測定した結果、メジアン径で0.22μmであった。
【0131】
【化35】
【0132】
(塗布液(b)の調製)
前記ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(b)及び上記カプラー化合物乳化液(b)を、内包するカプラー化合物/ジアゾ化合物の質量比が3.5/1になる様に混合した。更に、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)5%水溶液をカプセル液量10部に対し、0.2部になる様に混合し、感熱記録層用塗布液(b)を得た。
【0133】
(3)シアン感熱記録層液の調製
(電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)の調製)
酢酸エチル18.1部に、下記電子供与性染料(H)7.6部、1−メチルプロピルフェニル−フェニルメタン及び1−(1−メチルプロピルフェニル)−2−フェニルエタンの混合物(日本石油(株)製の商品名「ハイゾールSAS−310」)8.0部、下記化合物(I)(チバガイギー(株)製の商品名「Irgaperm2140」)8.0部を添加し、加熱して均一に溶解した。該混合液にカプセル壁剤としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD110N」、75%酢酸エチル溶液)7.2部とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製の商品名「ミリオネートMR−200」)5.3部とを添加し、均一に攪拌し混合液(IX)を得た。
【0134】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液28.8部にイオン交換水9.5部、「Scraph AG−8」(日本精化(株)製、50%)0.17部及びドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(10%水溶液)4.3部を添加し混合して、混合液(X)を得た。
上記混合液(X)に前記混合液(IX)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水50部、テトラエチレンペンタミン0.12部を加え均一化し、65℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行ない、カプセル液の固形分濃度が33%になるように濃度調節してマイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−700」で測定した結果、メジアン径で1.00μmであった。
更に上記マイクロカプセル液100部に対して、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム25%水溶液(花王(株)製の商品名「ネオペレックスF−25」)3.7部と4,4’−ビストリアジニルアミノスチルベン−2,2‘−ジスルフォン誘導体を含む蛍光増白剤(日本曹達(株)製の商品名「Kaycoll BXNL」)4.2部を添加して均一に撹拌して、電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル分散液(c)を得た。
【0135】
【化36】
【0136】
(電子受容性化合物分散液(c)の調製)
前記フタル化ゼラチン水溶液11.3部にイオン交換水30.1部、4,4‘−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(三井石油化学(株)製の商品名「ビスフェノールP」)15部、2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウム2%水溶液3.8部を加えて、ボールミルにて一晩かけて分散し、分散液を得た。この分散液の固形分濃度は26.6%であった。
上記分散液100部に、前記アルカリ処理ゼラチン水溶液45.2部加えて、30分攪拌した後、分散液の固形分濃度が23.5%となる様にイオン交換水を加えて電子受容性化合物分散液(c)を得た。
【0137】
(塗布液(c)の調製)
前記電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)及び上記電子受容性化合物分散液(c)を、電子受容性化合物/電子供与性染料前駆体の質量比が10/1になる様に混合し、塗布液(c)を得た。
【0138】
(4)中間層用塗布液の調製
アルカリ処理低イオンゼラチン(新田ゼラチン(株)製の商品名「#750ゼラチン」)100.0部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)2.857部、水酸化カルシウム0.5部、イオン交換水521.643部を混合し、50℃にて溶解し、中間層作製用ゼラチン水溶液を得た。
【0139】
上記中間層作製用ゼラチン水溶液10.0部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0%水溶液)0.05部、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)5%水溶液0.19部、ホウ酸(4.0%水溶液)2.7部、下記化合物(J)(和光純薬(株)製)の4%水溶液3.42部、下記化合物(J’)(和光純薬(株)製)の4%水溶液1.13部、イオン交換水0.67部を混合し、中間層用塗布液とした。
【0140】
【化37】
【0141】
(5)光透過率調整用塗布液の調製
(紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液の調製)
酢酸エチル71部に、紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート14.5部、2,2’−t−オクチルハイドロキノン5.0部、燐酸トリクレジル1.9部、α−メチルスチレンダイマー(三井化学(株)製の商品名「MSD−100」)5.7部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(竹本油脂(株)製の商品名「パイオニンA−41−C」、70%メタノール溶液)0.55部を均一に溶解した。該混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD110N」、75%酢酸エチル溶液)54.7部を添加し、均一に攪拌して、紫外線吸収剤前駆体混合液(VII)を得た。
【0142】
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製の商品名「KL−318」)52部に30%燐酸水溶液8.9部、イオン交換水532.6部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液を調製した。
【0143】
上記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液516.06部に前記紫外線吸収剤前駆体混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃の下で乳化分散した。得られた乳化液にイオン交換水254.1部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応を行なった。この後、イオン交換樹脂「アンバーライトMB−3」(オルガノ(株)製)94.3部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除きカプセル液の固形分濃度が13.5%になる様に濃度調節した。得られたマイクロカプセルの粒径は、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−700」で測定した結果、メジアン径で0.23±0.05μmであった。
このカプセル液859.1部にカルボキシ変性スチレンブタジエンラテックス(住友ノーガタック(株)製の商品名「SN−307」、48%水溶液)2.416部、イオン交換水39.5部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。
【0144】
(光透過率調整層用塗布液の調製)
上記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液1000部、4%水酸化ナトリウム水溶液7.75部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0%水溶液)73.39部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
【0145】
(6)保護層用塗布液の調製
(保護層用ポリビニルアルコール溶液の調製)
ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物(電気化学工業(株)製の商品名「EP−130」)150部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステルとの混合液(東邦化学工業(株)製の商品名「ネオスコアCM−57」、54%水溶液)7.5部、アセチレンジオールの酸化エチレン付加物(エアープロダクツジャパン(株)製の商品名「ダイノール604」)7.05部、シリコン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング・シリコン(株)製の商品名「SYLGARD309」)7.05部、イオン交換水3592部を混合し、90℃の下で1時間かけて溶解し、均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
【0146】
(保護層用顔料分散液の調製)
硫酸バリウム(堺化学工業(株)製の商品名「BF−21F」、硫酸バリウム含有量93%以上,)8部に陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(花王(株)製の商品名「ポイズ532A」、40%水溶液)0.2部、イオン交換水11.8部を混合し、ダイノミルにて分散して硫酸バリウム(保護層用顔料)分散液を調製した。この分散液の粒径は、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−700」で測定した結果、メジアン径で0.15μmであった。
上記硫酸バリウム分散液82.0部に対し、コロイダルシリカ(日産化学(株)製の商品名「スノーテックスO」、20%水分散液、平均粒径20nm)18.4部を添加して、目的とする保護層用顔料分散液を得た。
【0147】
(保護層用マット剤分散液の調製)
小麦澱粉(新進食料工業(株)製の商品名「小麦澱粉S」)220部に1−2ベンズイソチアゾリン−3−オンの水分散物(I.C.I(株)製の商品名「PROXEL B.D」)3.81部、イオン交換水1976.19部を混合し均一に分散して、保護層用マット剤分散液を得た。
【0148】
(保護層用塗布液の調製)
前記保護層用ポリビニルアルコール溶液1000部に(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0%水溶液)50部、前記保護層用顔料分散液61.2部、上記保護層用マット剤分散液16.65部、ステアリン酸亜鉛分散液(中京油脂(株)製の商品名「ハイミクロンL111」、21%水溶液)48.7部、炭酸ジルコニウムアンモニウム(ニューテックス(株)製の商品名「ジルコゾルAC7」、13%水溶液)4.8部、イオン交換水280部を均一に混合して、保護層用塗布液を得た。
【0149】
(7)支持体の作製
(下塗り層用塗布液の調製)
酵素分解ゼラチン(平均分子量:10000、PAGI法粘度:1.5mPa・s(15mP)、PAGI法ゼリー強度:20g)40部をイオン交換水60部に加えて40℃で攪拌し溶解して下塗り層用ゼラチン水溶液を調製した。
別途、水膨潤性の合成雲母(コープケミカル(株)製の商品名「ソマシフME100」、アスペクト比:1000)8部と水92部とを混合した後、ビスコミルで湿式分散し、平均粒径が2.0μmの雲母分散液を得た。この雲母分散液に雲母濃度が5%となるように水を加え、均一に混合し、所望の雲母分散液を調製した。
【0150】
温度40℃の40%濃度の上記下塗り層用ゼラチン水溶液100部に、水120部及びメタノール556部を加え、十分攪拌混合した後、上記5%雲母分散液208部を加えて、十分攪拌混合し、1.66%ポリエチレンオキサイド系界面活性剤9.8部を加えた。そして液温を35℃〜40℃に保ち、エポキシ化合物のゼラチン硬膜剤7.3部を加えて下塗り層用塗布液(5.7%)を調製し、下塗り層用塗布液を得た。
【0151】
(下塗り層付き支持体の作製)
LBPS50部とLBPK50部とからなる木材パルプをデイスクリファイナーによりカナデイアンフリーネス300ccまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、硫酸アルミニウム1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部をいずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し長網抄紙機により坪量114g/m2の原紙を抄造し、キャレンダー処理を施して厚み100μmに調整した。
【0152】
次に原紙の両面にコロナ放電処理を施した後、溶融押し出し機を用いてポリエチレンを樹脂厚36μmとなる様にコーテイングし、マット面からなる樹脂層を形成した(この面を「ウラ面」と称する)。次に上記樹脂層を形成した面とは反対側に溶融押し出し機を用いてアナターゼ型二酸化チタンを10%および微量の群青を含有したポリエチレンを樹脂厚50μmとなる様にコーテイングし、光沢面からなる樹脂層を形成した(この面を「オモテ面」と称する)。ウラ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理を施した後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(日産化学工業(株)製の商品名「アルミナゾル100」)/二酸化珪素(日産化学工業(株)製の商品名「スノーテックスO」)=1/2(質量比)を水に分散させて乾燥後の質量で0.2g/m2塗布した。次にオモテ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理を施した後、上記下塗り層用塗布液を雲母の塗布量が0.26g/m2となるように塗布し、下塗り層付き支持体を得た。
【0153】
(8)多色感熱記録材料の作製
上記の下塗り層付き支持体の表面に、下から、前記感熱記録層用塗布液(c)、前記中間層用塗布液、前記感熱記録層用塗布液(b)、前記中間層用塗布液、前記感熱記録層用塗布液(a)、前記光透過率調整層用塗布液、前記保護層用塗布液の順に7層同時に連続塗布し、温度30℃相対湿度30%、及び温度40℃相対湿度30%の条件下でそれぞれ乾燥して、実施例1に係わる多色感熱記録材料を得た。
この際、上記感熱記録層用塗布液(a)の塗布量は、液中に含まれるジアゾニウム化合物(A)の固形分塗布量で0.078g/m2となる様に調整し、同様に上記感熱記録層用塗布液(b)の塗布量は、液中に含まれるジアゾニウム化合物(D)の固形分塗布量で0.206g/m2となる様に調整し、上記感熱記録層用塗布液(c)の塗布量は液中に含まれる電子供与性染料(H)の固形分塗布量で0.355g/m2となる様に調整して塗布を行なった。
【0154】
また、上記中間層用塗布液の塗布量は、(a)と(b)の間では固形分塗布量が2.50g/m2、(b)と(c)の間では固形分塗布量が3.45g/m2となる様に調整して、更に上記光透過率調整層用塗布液の塗布量は固形分塗布量で2.35g/m2となる様に、上記保護層用塗布液の塗布量は固形分塗布量で1.60g/m2となる様に調整して塗布を行なった。
【0155】
[実施例2]
実施例1の(保護層用顔料分散液の調製)において、硫酸バリウム分散液76.8部に対し、コロイダルシリカ「スノーテックスO」(日産化学(株)製)29.0部を添加したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2に係わる多色感熱記録材料を得た。
【0156】
[比較例1]
実施例1の(保護層用顔料分散液の調製)において、コロイダルシリカ「スノーテックスO」(日産化学(株)製)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例1に係わる多色感熱記録材料を得た。
【0157】
[比較例2]
実施例1の(保護層用塗布液の調製)において、炭酸ジルコニウム「ジルコゾルAC7」(ニューテックス(株)製)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例2に係わる多色感熱記録材料を得た。
【0158】
[比較例3]
実施例1の(中間層用塗布液の調製)において、ホウ酸(4.0%水溶液)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例3に係わる多色感熱記録材料を得た。
【0159】
[比較例4]
実施例1の(中間層用塗布液の調製)において、ホウ酸(4.0%水溶液)を添加せず、且つ(保護層用塗布液の調製)において、炭酸ジルコニウム「ジルコゾルAC7」(ニューテックス(株)製)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例4に係わる多色感熱記録材料を得た。
【0160】
(9)評価試験
上記の実施例及び比較例の各多色感熱記録材料について、以下の評価試験を行なった。その結果を下記の表4に示した。
【0161】
(光沢度の測定)
富士写真フイルム(株)製のデジタルプリンター「NC370D」を用いて、各感熱記録材料に黒ベタ画像を印画した。各感熱記録材料の黒ベタ印画面の鏡面光沢度をスガ試験機(株)製のデジタル変角光沢度計「UGV−5D」を用いて20°の入射角で測定した。
【0162】
(印画トルクの測定)
ブラテン径12φ、硬さ40°、押圧6kg/cmの治具プリンター((株)マチレス社製の「GX−3機」)にA5サーマルヘッド(京セラ製の型式「KTJ−13SAN24−FFA」)を取り付けて、ライン周期5.29ms、電力0.32W、最大印画エネルギー105.6mJ/mm2、搬送速度16mm/sの印画条件で階調印画を行なった。その際に、感熱記録材料とブラテンロールとの間に生じるトルクを印画エネルギーが17mJ/mm2、40mJ/mm2および95mJ/mm2の時に測定し、これを動摩擦係数に換算した。
【0163】
(負荷変動ムラの評価)
富士写真フイルム(株)製のデジタルプリンター「NC370D」を用いて、各感熱記録材料に高エネルギー部(黒ベタ帯)画像と低エネルギー部(白地部)が連続的に印画されるテストパターンを印画し、濃度のムラの程度を目視によって観察し下記の基準に従って評価した。
〔基準〕
AA: 濃度ムラの発生が認められなかった。
BB: 弱い濃度ムラの発生が部分的に認められた。
CC: 強い濃度ムラの発生が認められた。
【0164】
(ヘッド汚れ)
富士写真フイルム(株)製のデジタルプリンター「NC−300」にて、印画エネルギー(9〜105mJ/mm2)をランダムに加え、A5サイズの黒ベタ画像を連続10000枚印画し、印画後のサーマルヘッドの汚れ具合を、触針式表面形状測定機(KALテンコール(株)製の「P−11」)で印画前後でのサーマルヘッド抵抗体素子表面の形状変化を測定し、その差から汚れ量を算出して規格化した。この値が小さい方がヘッドの汚れも少ないことを意味する。
【0165】
(画質評価)
富士写真フイルム(株)製のPXプリンター「NC−600D」を用いて、A6サイズで9〜105mJ/mm2までの各印画エネルギー領域のテスト画像を連続30000枚印画し、該印画後の画質を目視にて観察し、下記の基準に従って評価した。
〔基準〕
○ : 濃度ムラ、段差、傷等の発生が認められなかった。
濃度ムラ: 弱い濃度ムラの発生が部分的に認められた。
印画障害: 強い濃度ムラ、段差、傷等の発生が認められた。
【0166】
【表4】
【0167】
上記表4の結果から、ポリビニルアルコールと平均粒径の異なる2種以上の無機超微粒子を含有する保護層を有し、更にホウ酸と水溶性ジルコニウム化合物を含有する本発明の多色感熱記録材料(実施例1〜3)は、光沢性に優れ、負荷変動ムラ(濃度ムラ)が抑制され、印画トルクが軽減され、且つヘッド汚れが少なく、高品質な画像を記録できる感熱記録材料であることが判明した。一方、保護層に1種の平均粒径の無機超微粒子しか含有しない感熱記録材料(比較例1)はヘッド汚れや画質に劣り、またホウ酸又は/及び水溶性ジルコニウム化合物を含有しない感熱記録材料(比較例2〜4)は、光沢性や負荷変動ムラ及び印画トルクが良くなく、いずれも品質で劣る多色感熱記録材料であった。
【0168】
【発明の効果】
本発明によれば、高速・高エネルギーで同一面に複数回印画を行なう感熱記録材料において、高い光沢度を有し、印画トルクを軽減して濃度ムラを抑制し、且つヘッド汚れを低減しヘッド耐久性を改善した、高品質な画像を記録することが可能な感熱記録材料を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーマルヘッド等を用いて画像の記録を行う感熱記録材料に関し、特に高速・高エネルギー下に同一面に複数回印画を行なうのに好適な多色感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録システムは、ファクシミリやプリンター、ラベリング等の多分野においてニーズが拡大しており、それに伴い、より高性能で高画質な感熱記録材料が求められている。
サーマルヘッドにより画像様に加熱して画像の記録を行う感熱記録材料にあっては、サーマルヘッドの保護膜の材質や形状等に合ったヘッドマッチング特性を有することのみならず、ヘッド汚れやヘッド摩耗を発生させずに高品質の画像を長期に亙って安定して記録できることが重要である。
【0003】
この様な感熱記録材料のサーマルヘッド適性を決定付けるのは、主として最上層にある保護層であり、従来より該保護層について様々な改良検討が実施されてきた。例えば、スティッキングによるヘッドへの貼り付き等を防止し、印画適性を付与するためには、顔料の添加が効果的とされ、更にヘッドの汚れを軽減する為には、該顔料の比率を増加したり、顔料の粒径を大きくすること等が必要であると提案されている。しかしながら、顔料の比率の増加や粒径の拡大は、結果として保護層の表面平滑性の低下による光沢度の減少等を招き、品質の低下が生じる。また、酸素等のガス透過性の増加により、ジアゾ化合物を発色剤として使用した場合には曝光時の地肌着色の増大を招く。
【0004】
一方、フルカラーの感熱記録材料では、通常の単色感熱記録材料とは異なり、高速で高エネルギー下で、且つ同一面を3回続けて印画するために、ヘッドの表面温度が上昇し、これにより印画の度に感熱記録材料の表面の潤滑剤が減少していくこと等から、非常にヘッド汚れが発生し易くなっている。しかも品質上、高い表面光沢や低い曝光地肌着色を実現するために、上記の様な一般的な知見(顔料の比率を増加したり、顔料の粒径を大きくすること)の導入が難しいこともあり、ヘッド汚れ等を効果的に防止して、高品質の画像を安定して出力することが出来る感熱記録材料を製造することは非常に困難な課題とされてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、高い光沢性を有すると共に、ヘッド汚れを防止してヘッド耐久性を向上させ、高品質の画像を安定して出力できる感熱記録材料を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決する為の本発明の手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 支持体上に、感熱記録層と、少なくともポリビニルアルコールと平均粒径の異なる2種以上の無機超微粒子を含有する保護層と、を設けた感熱記録材料であって、更にホウ酸と水溶性ジルコニウム化合物を含有することを特徴とする感熱記録材料。
<2> 前記ホウ酸と水溶性ジルコニウム化合物の含有量が、感熱記録材料中の全ポリビニルアルコールに対して、それぞれ10〜30質量%及び0.1〜10質量%であることを特徴とする上記<1>に記載の感熱記録材料。
<3> 前記無機超微粒子の少なくとも1種が、平均粒径が10〜50nmのコロイダルシリカであることを特徴とする上記<1>に記載の感熱記録材料。
<4> 無機超微粒子の他の1種が、平均粒径が0.05〜0.20μmの硫酸バリウムであり、且つ前記コロイダルシリカの該硫酸バリウムに対する配合量が、8〜24質量%であることを特徴とする上記<3>に記載の感熱記録材料。
<5> 前記ポリビニルアルコールが、長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする上記<1>に記載の感熱記録材料。
<6> 前記長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールが、炭素数が8〜20のアルキルエーテル基で変性されたポリビニルアルコールであることを特徴とする上記<5>に記載の感熱記録材料。
<7> 前記長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールが、下記一般式(A)で表されるポリビニルアルコールであることを特徴とする上記<5>に記載の感熱記録材料。
【化2】
〔一般式(A)中、R1は水素原子、メチル基、又は−CH2CO2Mを表し、R2は水素原子、又は−CO2Mを表し、R3は水素原子、−CO2M、アミノ基、アミド基、置換アミド基、ヒドロキシ基、グリシジル基、スルホン酸基、ポリエチレンオキサイド基、ポリプロピレンオキサイド基、又はこれらの官能基を有する基を表し、R4は水素原子又はメチル基を表し、R5は炭素原子数8〜20のアルキル基を表す。該Mは水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、Na、K、又はLiを表す。n、x、y、zはそれぞれ重合度を表す。〕
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の感熱記録材料は、支持体上に、感熱記録層と、少なくともポリビニルアルコールと平均粒径の異なる2種以上の無機超微粒子を含有する保護層と、を設けた感熱記録材料であって、更にホウ酸と水溶性ジルコニウム化合物を含有することを特徴とする。
【0008】
この様に保護層のバインダー樹脂としてポリビニルアルコールを用い、充填剤として、平均粒径の異なる2種以上の無機超微粒子を含有することにより、本発明の感熱記録材料は、表面の平滑性を保持しながら高硬度を示すことができる。更に、ホウ酸と水溶性ジルコニウム化合物を併用することにより、所要の潤滑性を感熱記録材料の表面に安定して存在させながら高硬度化できる。
この様に本発明の感熱記録材料は、その表面の平滑性を維持して高光沢であると共に、その表面が高い硬度を保持し、且つその表面に潤滑性が安定して存在することにより、ヘッド汚れを防止してヘッド耐久性を改善し、高品質の画像を安定して出力することができる。
【0009】
本発明の感熱記録材料においては、支持体上に感熱記録層と保護層とがこの順に設けられるが、更に目的に応じて適宜選択したその他の層、例えば、支持体と感熱記録層との間に設ける下塗り層、感熱記録層同士の間に設ける中間層、及び感熱記録層と保護層との間に設ける光透過率調整層などを有していてもよい。
ここで、本発明においては、上記ホウ酸と水溶性ジルコニウム化合物は、保護層用塗布液に含有させて或いは感熱記録層用塗布液に含有させて付与してもよく、又はこれら以外の上記その他の層を形成する塗布液に含有させて付与することもできる。特に不具合が発生しない場合は、保護層或いは感熱記録層用の塗布液に含有させて使用してもよいが、他の成分との望ましくない反応若しくは相互作用を引き起こす恐れの有る場合などには、中間層用塗布液等に含有させて付与し、拡散により目的の層に移行させる方法を採用することができる。
以下、本発明の感熱記録材料を構成する主要な層及び各成分等について、詳細に説明する。
【0010】
(保護層)
保護層は、感熱記録層のスティッキング特性を改善し感熱記録層を溶剤や外気等から保護するために設けられる層である。本発明の保護層は少なくとも、バインダーとしてポリビニルアルコール樹脂も含み、充填剤として平均粒径の異なる2種以上の無機超微粒子を含有して構成され、必要に応じてその他の各種添加剤及び充填剤等を含んでいてもよい。
【0011】
(ポリビニルアルコール)
本発明における保護層のバインダー樹脂としては、ポリビニルアルコールが用いられる。該ポリビニルアルコールは、本発明の効果を損なわない範囲で従来より公知のポリビニルアルコール系樹脂の中から適宜選定することができ、具体的には、例えば特開2000−118133号に記載のもの等が挙げられる。
本発明のポリビニルアルコールの平均重合度としては、600〜2000が好ましく、1200〜1800が更に好ましい。
本発明に用いるポリビニルアルコールはその誘導体も含み、該ポリビニルアルコール誘導体としては、アルキルエーテル変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、疎水性基変性ポリビニルアルコール、エチレン変性ポリビニルアルコール、イタコン酸変性ポリビニルアルコール等が好ましく、特にアルキルエーテル変性ポリビニルアルコールが好ましい。
【0012】
本発明の保護層においては、ポリビニルアルコール樹脂の他に必要に応じ他のバインダーを併用してもよい。この様な他種バインダーとしては、例えば、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子及びスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等の合成ゴムラテックス、合成樹脂エマルション等が挙げられる。
【0013】
本発明のバインダーを構成するポリビニルアルコールのガラス転移温度(Tg)としては150℃以下、好ましくは0℃〜130℃の範囲、特に好ましくは40℃〜100℃のものである。
【0014】
保護層中のポリビニルアルコールの含有量としては、25〜80質量%が好ましく、40〜70質量%が更に好ましい。他のバインダーを併用する場合にも、バインダー全体として該含有量の範囲を満たすのが望ましい。
【0015】
(長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコール)
本発明の感熱記録材料においては、上記アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールの中でも、長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールが好ましく、該長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールを用いることにより、充填剤として用いる平均粒径の異なる2種以上の無機超微粒子の分散性を改善して、感熱記録材料の表面平滑性を向上させ、該無機超微粒子の添加による光沢度の低下を補償することができる。
【0016】
更に、上記長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールとしては、炭素原子数が8〜20のアルキルエーテル基で変性された長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールが好ましく、特に下記一般式(A)で表されるアルキルエーテル変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。
【0017】
【化3】
【0018】
上記一般式(A)において、R1は水素原子、メチル基、又は−CH2CO2Mを表し、R2は水素原子、又は−CO2Mを表し、R3は水素原子、−CO2M、アミノ基、アミド基、置換アミド基、ヒドロキシ基、グリシジル基、スルホン酸基、ポリエチレンオキサイド基、ポリプロピレンオキサイド基、又はこれらの官能基を有する基を表し、R4は水素原子又はメチル基を表し、R5は炭素原子数8〜20のアルキル基を表す。
これらの中でも、R1、R2、R4が水素原子でありR3が−CO2Mである組合せ、及びR2とR4が水素原子でありR1が−CH2CO2MでありR3が−CO2Mである組合せが好ましい。
【0019】
上記一般式(A)おいて、Mは水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、Na、K又はLiを表す。
【0020】
上記一般式(A)において、R5は長鎖アルキル基、即ち、炭素数8以上、好ましくは炭素数8〜20のアルキル基を表す。該アルキル基は直鎖でも分岐構造でもよく、またアリール基等の置換基を有していてもよい。これらの中でも、潤滑性を向上させる観点より炭素数8〜16のアルキル基がより好ましく、特に炭素原子数12のドデシル基が最も好ましい。
【0021】
上記一般式(A)において、n、x、y、zはそれぞれ重合度を表す。nは0〜20が好ましく、0〜10がより好ましい。nの値を大きくすれば、酸性基が増加しゼラチンとの相溶性が良化する。Tg(ガラス転移点)以下でのガスバリヤー性等のポリビニルアルコールの特性を引き出すことができる点で、xは60〜99が好ましく、75〜95が更に好ましい。yは0〜20が好ましい。zは、感熱記録ヘッドとの耐摩擦性や潤滑性の点で大きい方が好ましいが、溶解性や水溶液の粘度の点で限度があり、n、x、y、zの総和に対し、0.5〜10%の値が好ましく、より好ましくは1〜5%である。
【0022】
本発明の長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールのTg(ガラス転移点)としては、50℃以上が好ましく、60℃以上が更に好ましい。Tgが50℃未満の場合、耐損傷性が低下する場合があり望ましくない。
【0023】
本発明における保護層内に、長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールは該保護層の乾燥質量に対して50質量%以上含有されることが好ましく、80質量%以上含有されることが更に好ましい。該長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールの含有量が50質量%未満だと、上述の長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールによる利点が十分に発揮されないことがある。
【0024】
上記長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールを用いた保護層の表面には、該長鎖アルキル基が配向され易い。この様に配向した表面は印画トルクを低減させるため、印画故障が無くなり、印画面の平滑性(光沢性)の向上及び発色濃度の向上が可能となる。また、表面の静摩擦及び動摩擦係数の低下はプリンターでのメディアの走行性を良好なものとする。更に、長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコール系樹脂の特徴である耐光性及び被膜強度に優れるという特性を発揮すると共に、表面に疎水性基が配向していることから耐水性も向上できる。
【0025】
本発明の保護層においては、上記長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールの他に必要に応じ他のバインダーを併用してもよい。該他のバインダーとしては、例えば、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子及びスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等の合成ゴムラテックス、合成樹脂エマルジョン等が挙げられる。
【0026】
以上述べたバインダーの中でも、ポリビニルアルコール又はその誘導体(以下、総称して「ポリビニルアルコール」という場合がある。)が好ましく、具体的には、特開2000−118133号に記載のもの等が好適に挙げられる。
【0027】
上記バインダーを構成する高分子のTg(ガラス転移点)は、150℃以下、好ましくは0℃〜130℃,特に好ましくは40℃〜100℃である。
【0028】
本発明の保護層中のバインダーの含有量としては、保護層全体に対して25〜80質量%が好ましく、40〜70質量%が更に好ましい。
【0029】
(ホウ酸)
本発明の感熱記録材料においては、上記保護層の硬度や強度を高める目的で、上述のポリビニルアルコールの硬膜剤であるホウ酸を含有させる。
感熱記録材料中の上記ホウ酸の含有量は、感熱記録材料の記録面側に設けられる層に用いられるポリビニルアルコール樹脂の総量に対して、10〜30質量%が好ましく、該含有量は14〜28質量%がより好ましく、特に18〜24質量%が最も好ましい。該ホウ酸含有量が感熱記録材料の上記全ポリビニルアルコールに対して10質量%未満であると、保護層等において十分な膜硬度ないし膜強度が得られないことがあり、また該含有量が30質量%を超えると、潤滑剤が印画時に拡散し易くなり、結果として保護層の疎水性が低下し、画質の低下や光沢度の低下の原因となる場合がある。
【0030】
支持体上に各層を設ける工程において、本発明で用いるホウ酸は、各層いずれの塗布液にも添加することができる。また、保護層を初めポリビニルアルコール樹脂を用いる各層用の何れの塗布液であっても、該塗布液のpHを調整することにより添加することができる。その中でも、硬膜剤として働く本発明のホウ酸は、他の成分との望ましくない反応或いは相互作用等を避ける観点から、中間層用塗布液に添加するのが好ましい。中間層等の塗布液に添加されたホウ酸は、保護層や感熱記録層及び中間層等を支持体上に形成する際、各塗布液を支持体上に塗布するのと略同時に他の層にまで速やかに拡散し、保護層用塗布液等に含まれるポリビニルアルコールと架橋反応を起こすことが出来る。
【0031】
尚、上記硬膜剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、上記ホウ酸以外の公知の架橋剤と併用することもできる。この様な公知の架橋剤としては、例えば、ビニルスルホン系化合物、アルデヒド系化合物(ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒド等)、エポキシ系化合物、オキサジン系化合物、トリアジン系化合物、特開昭62−234157号公報に記載の高分子硬膜剤、メチル化メラミン、ブロックドイソシアネート、メチロール化合物、カルボジイミド樹脂等を挙げることができる。
【0032】
(水溶性ジルコニウム化合物)
また、本発明の感熱記録材料においては、負荷変動ムラを低下させ印画トルクを軽減して濃度ムラを無くす等の目的で、上記ホウ酸と共に水溶性ジルコニウム化合物を含有させる。
感熱記録材料中の上記水溶性ジルコニウム化合物の含有量は、感熱記録材料の記録面側に設けられた層に用いられるポリビニルアルコールの総量に対して0.1〜10質量%が好ましく、該含有量は0.3〜8質量%がより好ましく、特に0.5〜6質量%が最も好ましい。この水溶性ジルコニウム化合物の含有量が感熱記録材料の全ポリビニルアルコールに対して0.1質量%未満であると、保護層等において印画トルクを十分に低減できないことがあり、また該含有量が10質量%を超えると、共存する無機微粒子分散物や潤滑剤微粒子乳化物との相互作用により光沢度の低下の原因となることがある。
【0033】
本発明の感熱記録材料に用いられる水溶性ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムの金属塩又は錯体が挙げられる。本明細書において、「水溶性」ジルコニウム化合物とは、25℃の水100gに対して1g以上の溶解性を有するものを指し、該溶解性としては5g以上が好ましく、10g以上がより好ましい。
上記水溶性ジルコニウム化合物の具体例としては、例えば、ジルコニウムアセチルアセトネート、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、等が挙げられる。
これらの中でも、特に酢酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、硝酸ジルコニウムが好ましい。
また、水溶性ジルコニウム化合物として市販されているもの、例えば、ニューテックス(株)製の商品名「ジルコゾルAC7」、「ジルコゾルHA」、「ジルコゾルZA−2」、「ジルコゾルZN」等も好適に使用できる。
【0034】
支持体上に各層を設ける工程において、本発明の水溶性ジルコニウム化合物は、各層いずれの塗布液にも添加することができる。その中でも、水溶性ジルコニウム化合物は、他の成分との望ましくない反応或いは相互作用等の恐れの無い場合は、直接に保護層用塗布液に添加して使用してよい。また、中間層用塗布液等に添加して付与してもよく、その場合、該塗布液に添加された水溶性ジルコニウム化合物は、各層を支持体上に形成する際、各塗布液を支持体上に塗布するのとほぼ同時に他の層にまで拡散し、保護層内に速やかに移行して効力を発揮することが出来る。
【0035】
尚、上記水溶性ジルコニウム化合物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の公知の水溶性金属塩や疎水性金属塩化合物と併用してもよい。併用できるものとしては、例えば、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、モリブデン、インジウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジミウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、ジスロプロシウム、エルビウム、イッテルビウム、ハフニウム、タングステン、ビスマス等の金属塩又は錯体が挙げられる。
【0036】
(無機超微粒子)
本発明における保護層には、表面の平滑性を維持しながら高い硬度を保持するたす為に、前述のポリビニルアルコールと共に平均粒径の異なる2種以上の無機超微粒子を含有する。
【0037】
本明細書において、「無機超微粒子」とは平均一次粒径が0.5μm以下、好ましくは0.2μm以下、より好ましくは0.15μm以下の無機超微粒子を指し、この様な無機微粒子であれば特に制限はないが、分散液での最大粒子径(分散液中での粒径分布の大きい方での閾値)が0.5μm以下が好ましく、0.4μm以下がより好ましく、特に0.35μm以下が好ましい。また、分散液での平均粒径が0.35μm以上の(凝集)粒子の頻度が5%以下、好ましくは1%以下であり、特に0.25μm以上の(凝集)粒子の頻度が5%以下であることが好ましい。尚、該粒子径は公知の方法、例えば「COULTER N4型サブミクロン粒径分析装置」(日科機製)などにより測定することができる。
【0038】
本発明で用いられる無機超微粒子としては、コロイダルシリカ、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、アルミナ等が挙げられ、中でもコロイダルシリカや硫酸バリウム、アルミナが好ましく、特に、平均粒径が10〜50nmのコロイダルシリカ及び平均粒径が0.05〜0.20μmの硫酸バリウムが、電荷やpHなどの影響を受けにくく、保護層用塗布液中での分散物の安定性が高いので好ましい。
【0039】
本発明に好適に使用し得る無機超微粒子の具体例としては、例えば、堺化学工業(株)製の商品名「BARIFINE BF−21、BF−20」の様な硫酸バリウム、日産化学(株)製の商品名「スノーテックスO」の様なコロイダルシリカ、日産化学(株)製の商品名「NZR−A」の様な酸化ジルコニウム、堺化学工業(株)製の商品名「FINEX−75」の様な酸化亜鉛、石原産業(株)製の商品名「TTO−55」の様な酸化チタン、及び日本アエロジル(株)製の商品名「AEROSIL 200」の様なシリカ等が挙げられる。
【0040】
本発明における保護層には、平均粒径の異なる2種以上の無機超微粒子が含有されるが、該無機超微粒子中の少なくとも1種として、平均粒径が10〜50nmのコロイダルシリカであることが好ましく、更に少なくとも2種としては、上記コロイダルシリカと平均粒径が0.05〜0.20μmの硫酸バリウムの組合せが好ましく、且つ上記コロイダルシリカの該硫酸バリウムに対する配合量が、8〜24質量%であることが好ましい。
この様に粒径の超微小なコロイダルシリカを用いることにより、表面の平滑性を維持したまま高硬度を保持することができる。更に、コロイダルシリカのみでは親水性が高いため、潤滑剤が拡散して感熱記録材料の表面潤滑性が保持できなくなる場合があるが、上記硫酸バリウムを併用することにより所要の潤滑性を感熱記録材料の表面に安定して存在させることができる。斯かる構成により、本発明の感熱記録材料は、その表面の平滑性を維持して高光沢であると共に、その表面が高い硬度を保持し、且つその表面に潤滑性が安定して存在することにより、ヘッドの汚れを防止してヘッド耐久性を改善し、高品質な画像を安定して出力することができる。
【0041】
上記硫酸バリウムの平均粒径は、0.05〜0.20μmが好ましいが、更に0.10〜0.15μmであるのがより好ましく、また上記コロイダルシリカの平均粒径は、10〜50nmが好ましいが、更に10〜30nmであるのがより好ましく、特に15〜25nmが最も好ましい。
また、保護層中の上記コロイダルシリカの硫酸バリウムに対する配合量は、8〜24質量%が好ましく、更に8〜16質量%がより好ましく、特に8〜10質量%が最も好ましい。コロイダルシリカ及び硫酸バリウムの平均粒径が上記範囲を外れ、且つコロイダルシリカの硫酸バリウムに対する配合割合が上記範囲にない場合には、感熱記録材料として高光沢を維持できない場合が生じたり、或いはヘッド汚れが顕著となって、多数の画像を支障なく形成することが困難となることがある。
【0042】
本発明において、上記コロイダルシリカ及び硫酸バリウムは、全無機超微粒子中、60質量%以上含まれていることが好ましく、75質量%以上含まれていることがより好ましく、85質量%以上含まれていることが特に好ましい。該コロイダルシリカ及び硫酸バリウムを60質量%以上含有することにより、その効果を一層有効に発揮することができる。
【0043】
本発明において、上記無機超微粒子を添加する方法としては、超微粒子同士の凝集を防止し、樹脂粒子表面への均一な吸着を達成する為に、カルボキシメチルセルロースやゼラチン、ポリビニルアルコールの様な水性分散樹脂と共に樹脂溶液として添加する方法、又は無機超微粒子のコロイド分散物を各種ミル等で調製した後に添加する方法等を採用することが、効果及び製造の観点から好ましい。また、前記バインダー樹脂と無機超微粒子との質量配合割合(バインダー/無機超微粒子)は、0.8/0.5〜0.8/0.15が好ましく、0.8/0.45〜0.8/0.3がより好ましい。
【0044】
尚、本発明の保護層には、雲母等を含む無機質の層状化合物や酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、カオリン、合成珪酸塩、非晶質シリカ、尿素ホルマリン樹脂粉末等の顔料を添加してもよい。
【0045】
(感熱記録層)
本発明の感熱記録材料においては、光定着型感熱記録層として、最大吸収波長365±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色するカプラー化合物とを含有する光定着型感熱記録層と、最大吸収波長425±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色するカプラー化合物とを含有する光定着型感熱記録層とを有することが好ましい。
【0046】
更に本発明の感熱記録材料は、最大吸収波長が380nm未満のジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色するカプラー化合物とを含有する光定着型感熱記録層と、最大吸収波長が390nmを超えるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色するカプラー化合物とを含有する光定着型感熱記録層とを有する場合にも適用される。
【0047】
また、複数の光定着型感熱記録層を有する場合においては、各光定着型感熱記録層の色相を変えることにより、多色の感熱記録材料が得られる。即ち、各光定着型感熱記録層の発色色相を減色混合における3原色(イエロー、マゼンタ、シアン)となる様に選べば、フルカラーの画像記録が可能となる。この場合、支持体面に直接に積層(光定着型感熱記録層の最下層)される光定着型感熱記録層の発色機構は、電子供与性染料と電子受容性染料との組み合わせに限らず、例えば、ジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と反応し呈色するカプラーとからなるジアゾ発色系、塩基性化合物と接触して発色する塩基発色系、キレート発色系、求核剤と反応して脱離反応を起こし発色する発色系等の何れでもよく、この光定着型感熱記録層上に最大吸収波長が異なるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラー化合物とを各々含有する光定着型感熱記録層を2層以上設けるのが好ましい。
【0048】
本発明において、光定着型感熱記録層に用いられる発色成分としては、従来公知のものが使用できるが、特にジアゾニウム塩化合物とカプラー化合物との反応を利用したもの、又は電子供与性無色染料と電子受容性化合物との反応を利用したものが好ましく、ジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーを含有する光定着型感熱記録層に用いられる化合物は、ジアゾニウム塩化合物、該ジアゾニウム塩化合物と反応して色素を形成しうるカプラー化合物及びジアゾニウム塩化合物とカプラーとの反応を促進する塩基性物質等が挙げられる。該ジアゾニウム塩化合物、カプラー化合物、塩基物質などは、特公平4−75147号公報、特公平6−55546号公報、特公平6−79867号公報、特開平4−201483号公報、特開昭60−49991号公報、特開昭60−242094号公報、特開昭61−5983号公報、特開昭63−87125号公報、特開平4−59287号公報、特開平5−185717号公報、特開平7−88356号公報、特開平7−96671号公報、特開平8−324129号公報、特開平9−38389号公報、特開平5−185736号公報、特開平5−8544号公報、特開昭59−190866号公報、特開昭62−55190号公報、特開昭60−6493号公報、特開昭60−259492号公報、特開昭63−318546号公報、特開平4−65291号公報、特開平5−185736号公報、特開平5−204089号公報、特開平8−310133号公報、特開平8−324129号公報、特開平9−156229号公報、特開平9−175017号公報、などに詳しく記載されている。それらの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0049】
<ジアゾニウム塩化合物の具体例>
【化4】
【0050】
【化5】
【0051】
【化6】
【0052】
【化7】
【0053】
【化8】
【0054】
【化9】
【0055】
【化10】
【0056】
【化11】
【0057】
【化12】
【0058】
【化13】
【0059】
【化14】
【0060】
【化15】
【0061】
【化16】
【0062】
<カプラー化合物の具体例>
【化17】
【0063】
【化18】
【0064】
【化19】
【0065】
【化20】
【0066】
【化21】
【0067】
【化22】
【0068】
【化23】
【0069】
【化24】
【0070】
【化25】
【0071】
【化26】
【0072】
【化27】
【0073】
【化28】
【0074】
【化29】
【0075】
【化30】
【0076】
(塩基の具体例)
上記塩基は、単独でも2種以上を併用してもよい。該塩基としては、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、フォルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物が挙げられる。
【0077】
特に、N,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−(β−ナフトキ)−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N−3−(β−ナフトキ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン、1,4−ビス((3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ)ベンゼンなどのピペラジン類、N−(3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ)プロピルモルホリン、1,4−ビス((3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス((3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ)ベンゼン、などのモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジンなどのピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン等のグアニジン等類が好ましい。
【0078】
電子供与性無色染料及び電子受容性化合物などは、特開平6−328860号公報、特開平7−290826号公報、特開平7−314904号公報、特開平8−324116号公報、特開平3−37727号公報、特開平9−31345号公報、特開平9−111136号公報、特開平9−118073号公報、特開平11−157221号公報、などに詳しく記載されている。その具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0079】
<電子供与性無色染料の具体例>
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【化31】
【0083】
<電子受容性化合物の具体例>
電子受容性化合物としては、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられる。特に、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が好ましい。これらの一部を例示すれば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸およびその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸およびその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸およびその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノールなどが挙げられる。
【0084】
(マイクロカプセル)
本発明においては、上述したジアゾニウム塩化合物、該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラー化合物、塩基性物質、及び電子供与性無色染料、電子受容性化合物、その他増感剤等の使用態様については、特に限定されず、(1)固体分散して使用する方法、(2)乳化分散して使用する方法、(3)ポリマー分散して使用する方法、(4)ラテックス分散して使用する方法、(5)マイクロカプセル化して使用する方法等があるが、これらの中でも特に生保存性の観点から、(4)のマイクロカプセル化して使用する方法が好ましく、特にジアゾニウム塩化合物とカプラーとの反応を利用した発色系では、ジアゾニウム塩化合物をカプセルに内包した場合が、電子供与性無色染料と電子受容性化合物との反応を利用した発色系では、電子供与性無色染料をカプセル内包した場合が好ましい。
【0085】
マイクロカプセルの形成方法は、公知の方法を用いて行うことができる。このマイクロカプセル壁を形成する高分子物質は常温では不透過性であり、加熱時に透過性となることが必要要件であり、特にガラス転移温度が60〜200℃の範囲にあるものが好ましい。これらの具体例としては、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレン−メタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体及びこれらの混合系を挙げることができる。
【0086】
マイクロカプセルの形成方法としては、界面重合法或いは内部重合法が適しており、これらの詳細並びにリアクタントの具体例については、米国特許第3,726,804号、同第3,796,669号等の明細書に記載がある。例えば、ポリウレア、ポリウレタンをカプセル壁剤として用いる場合は、ポリイソシアネート及びこれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えばポリオール、ポリアミン)を水性媒体又はカプセル化すべき油性媒体中に混合し、水中でこれらを乳化分散し、次に加熱することにより油滴界面で高分子形成反応を起こさせ、マイクロカプセル壁を形成する。尚、上記第2物質の添加を省略した場合でもポリウレアを生成することができる。
【0087】
本発明において、マイクロカプセル壁を形成する高分子物質は、ポリウレタンやポリウレアの中から選ばれる少なくとも1種のものであることが好ましい。
【0088】
以下に、ジアゾ化合物含有マイクロカプセル(ポリウレア・ポリウレタン壁)を例にとり、マイクロカプセルの製造方法について述べる。
【0089】
まず、ジアゾ化合物を高沸点有機溶媒に溶解ないし分散させ、マイクロカプセルの芯となる油相を調製する。本発明において、ジアゾ化合物1質量部に対して、高沸点有機溶媒は0.25〜10質量部の割合で使用することが好ましく、更には0.5〜5質量部の割合であることが望ましい。該高沸点有機溶媒の使用量が0.25質量部より少ないと、地肌かぶりが大きくなり易く、また10質量部より多いと十分な発色濃度を得にくい場合がある。更に、この油相の調製時には、壁剤として多価イソシアネートが添加される。
【0090】
上記高沸点溶剤としては、アルキルビフェニル、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、アルキルジフェニルメタン、塩素化パラフィン、トリクレジルフォスフェート、マレイン酸エステル類、アジピン酸エステル類フタル酸エステル類等が挙げられ、これらは、2種以上を併用してもよい。
【0091】
上記油相の調製に際し、通常、ジアゾ化合物は芯オイルに溶解して用いるが、高沸点溶媒に対する該ジアゾ化合物の溶解性が劣る場合には、溶解性の高い低沸点有機溶剤(沸点100℃以下)を補助溶剤として併用することが好ましい。該低沸点有機溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン、アセトン等が挙げられる。この場合、該低沸点溶剤はカプセル形成反応中に蒸散し、完成したカプセル内には残存しない。従って、使用量については特段の制限はない。
【0092】
ジアゾ化合物は、上記した低沸点有機溶剤及び高沸点有機溶剤に対する適当な溶解度を有していることが好ましく、具体的には、該溶剤に対して5%以上の溶解度を有し、水に対してはその溶解度が1%以下であることが好ましい。
【0093】
一方、用いる水相には水溶性高分子を溶解した水溶液を使用し、これに上記油相を投入後、ホモジナイザー等の高速回転手段により乳化分散を行うが、該水溶性高分子は分散を均一に、且つ容易にすると共に、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒としても作用する。ここで更に、均一に乳化分散し安定化させるためには、油相或いは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤は周知の乳化用界面活性剤が使用可能である。また、界面活性剤を添加する場合には、界面活性剤の添加量は、油相の全質量に対して0.1%〜5%、特に0.5%〜2%であることが好ましい。
【0094】
乳化分散時に使用する上記水溶液に添加する水溶性高分子としては、乳化しようとする温度における水に対する溶解度が5以上の水溶性高分子が好ましく、その具体例としては、ポリビニルアルコールおよびその変成物、ポリアクリル酸アミドおよびその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0095】
これらの水溶性高分子は、壁剤として添加されるイソシアネート化合物との反応性がないか、低いことが好ましく、例えばゼラチンの様に分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは、予め変性するなどして反応性を無くしておくことが必要である。
【0096】
多価イソシアネート化合物としては、3官能以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましいが、2官能のイソシアネート化合物を併用してもよい。具体的にはキシレンジイソシアネートおよびその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートおよびその水添物、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートを主原料とし、これらの2量体あるいは3量体(ビューレットあるいはイソシヌレート)の他、トリメチロールプロパンなどのポリオールとのアダクト体として多官能としたもの、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物などが挙げられる。
【0097】
該多価イソシアネートの使用量は、マイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、且つ壁厚みが0.01〜0.3μmとなるように決定される。分散粒子径は0.2〜10μm程度が一般的である。乳化分散液中で油相と水相の界面において多価イソシアネートの重合反応が起こり、ポリウレア壁が形成される。
【0098】
更に該水相中、又は疎水性溶媒中にポリオール又はポリアミンを添加しておけば、多価イソシアネートと反応してマイクロカプセル壁の原料の一つとして用いることもできる。上記反応において、反応温度を高く保ち、あるいは適当な重合触媒を添加することが反応速度を速める点で好ましい。
【0099】
これらのポリオール又はポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。
【0100】
多価イソシアネート、ポリオール、反応触媒、壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等については成書に詳しい。(岩田敬治編「ポリウレタンハンドブック」、日刊工業新聞社、1987)
【0101】
上記乳化操作はホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等の公知の乳化装置を用いて行うことができる。乳化後は、カプセル壁の形成反応を促進させるために乳化物を30〜70℃に加温することが行われる。また反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、充分な攪拌を行う等の必要がある。
【0102】
また、反応中に改めて凝集防止用の分散物を添加してもよい。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その終息をもって凡そのカプセル壁形成反応の終点と見なすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的のジアゾ化合物含有マイクロカプセルを得ることができる。
【0103】
(感熱記録材料の構成)
本発明において、感熱記録材料は感熱記録層を複数枚積層してもよく、各光定着型感熱記録層の色相を変えることにより、多色の感熱記録材料を得ることもできる。その層構成は特に限定されるものではないが、特に感光波長の異なる2種のジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩と熱時反応して異なった色相に発色させるカプラー化合物とを組み合わせた光定着型感熱記録層(2層)や、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを組み合わせた光定着型感熱記録層とを積層した多色感熱記録材料が好ましい。即ち、支持体上に電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを含む第1の光定着型感熱記録層、最大吸収波長が365±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩と熱時反応して呈色するカプラー化合物とを含有する第2の光定着型感熱記録層、最大吸収波長が425±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩と熱時反応して呈色するカプラー化合物とを含有する第3の光定着型感熱記録層とするものである。この例において、各光定着型感熱記録層の発色色相を減色混合における3原色(イエロー、マゼンタ、シアン)となるように選んでおけば、フルカラーの画像記録が可能となる。
【0104】
この多色感熱記録材料の記録方法は、まず第3の光定着型感熱記録層を加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩とカプラーを発色させる。次に425±40nmの光を照射して第3の光定着型感熱記録層中に含まれている未反応のジアゾニウム塩化合物を分解させた後、第2の光定着型感熱記録層が発色するのに十分な熱を加え、該層に含まれているジアゾニウム塩とカプラーとを発色させる。この時、第3の光定着型感熱記録層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色しない。更に365±40nmの光を照射して第2の光定着型感熱記録層に含まれているジアゾニウム塩化合物を分解し、最後に第1の光定着型感熱記録層が発色するのに十分な熱を加えて発色させる。この時、第3と第2の光定着型感熱記録層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色しない。
【0105】
本発明において、耐光性を向上させるために以下に示す公知の酸化防止剤を用いることができる。例えば、ヨーロッパ公開特許第310551号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、ヨーロッパ公開特許第310552号公報、特開平3−121449号公報、ヨーロッパ公開特許第459416号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開昭63−163351号公報、アメリカ特許第4814262号、特開昭54−48535号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4980275号、特開昭63−113536号公報、特開昭62−262047号公報、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、ヨーロッパ公開特許第309402号公報、ヨーロッパ公開特許第309401号公報等に記載のものが挙げられる。
【0106】
更に既に感熱記録材料或いは感圧記録材料として公知の各種添加剤を用いることも有効である。これらの酸化防止剤の一部を示すならば、特開昭60−125470号公報、特開昭60−125471号公報、特開昭60−125472号公報、特開昭60−287485号公報、特開昭60−287486号公報、特開昭60−287487号公報、特開昭62−146680号公報、特開昭60−287488号公報、特開昭62−282885号公報、特開昭63−89877号公報、特開昭63−88380号公報、特開昭63−088381号公報、特開平01−239282号公報、特開平04−291685号公報、特開平04−291684号公報、特開平05−188687号公報、特開平05−188686号公報、特開平05−110490号公報、特開平05−1108437号公報、特開平05−170361号公報、特開昭63−203372号公報、特開昭63−224989号公報、特開昭63−267594号公報、特開昭63−182484号公報、特開昭60−107384号公報、特開昭60−107383号公報、特開昭61−160287号公報、特開昭61−185483号公報、特開昭61−211079号公報、特開昭63−251282号公報、特開昭63−051174号公報、特公昭48−043294号公報、特公昭48−033212号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0107】
感熱記録層に用いるバインダー樹脂としては、従来公知のものを使用することができるが、ポリビニルアルコールが好ましく、ゼラチンなどの水溶性高分子やポリマーラテックスなども使用できる。
【0108】
<光透過率調整層>
本発明の感熱記録材料には、耐光性を向上させるために光透過率調整層を設けることができる。
光透過率調整層は、紫外線吸収剤前駆体を含有しており、定着に必要な領域の波長の光照射前は紫外線吸収剤として機能しないので光透過率が高く、光定着型感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を十分に透過させ、しかも可視光線の透過率も高いので、感熱記録層の定着に支障を来すこともない。この紫外線吸収剤前駆体は、マイクロカプセル中に含ませることが好ましい。
また、光透過率調整層に含有する化合物としては、特開平9−1928号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0109】
上記紫外線吸収剤前駆体は、感熱記録層の光照射による定着に必要な領域の波長の光照射が終了した後、光または熱などで反応することにより紫外線吸収剤として機能するようになり、紫外線領域の定着に必要な領域の波長の光は紫外線吸収剤によりその大部分が吸収され、透過率が低くなり、感熱記録材料の耐光性が向上するが、可視光線の吸収効果がないから、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
光透過率調整層は感熱記録材料中に少なくとも1層設けることができ、最も望ましくは感熱記録層と最外保護層との間に形成するのがよいが、光透過率調整層を保護層と兼用するようにしてもよい。光透過率調整層の特性は、感熱記録層の特性に応じて任意に選定することができる。
【0110】
光透過率調整層形成用の塗布液(光透過率調整層用塗布液)は、上記各成分を混合して得られる。該光透過率調整層塗布液を、例えばバーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等の公知の塗布方法により塗布して形成することができる。光透過率調整層は、感熱記録層等と同時塗布してもよく、例えば感熱記録層形成用の塗布液を塗布し一旦感熱記録層を乾燥させた後、該層上に塗布形成してもよい。
光透過率調整層の乾燥塗布量としては、0.8〜4.0g/m2が好ましい。
【0111】
<中間層>
感熱記録層を複数積層する場合、各感熱記録層間には中間層を設けることが好ましい。該中間層には、上記保護層と同様、各種バインダーに更に顔料、滑剤、界面活性剤、分散剤、蛍光増白剤、金属石鹸、紫外線吸収剤等を含ませることができる。上記バインダーとしては、保護層と同様のバインダーが使用できる。また、感熱記録材料の膜硬度を向上させるために、中間層用塗布液には、例えば、ホウ酸等保護層のバインダーと架橋反応する架橋剤などの硬化剤を添加してもよい。
【0112】
<支持体>
上記支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)トリアセチルセルロース(TAC)、紙、プラスチック樹脂ラミネート紙、合成紙等が挙げられる。また、透明な感熱記録材料を得る場合には、透明支持体を使用する必要があり、該透明支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロースフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルム等の合成高分子フィルムが挙げられる。
【0113】
上記支持体は、単独であるいは貼り合わせて使用することができる。
上記合成高分子フィルムの厚さとしては、25〜300μmが好ましく、100〜250μmがより好ましい。
【0114】
上記合成高分子フィルムは任意の色相に着色されていてもよく、高分子フィルムを着色する方法としては、フィルム成形前に予め樹脂に染料を混練しフィルム状に成形する方法、染料を適当な溶剤に溶かした塗布液を調製しこれを透明無色な樹脂フィルム上に公知の塗布方法、例えばグラビアコート法、ローラーコート法、ワイヤーコート法等により塗布、乾燥する方法等が挙げられる。中でも、青色染料を混練したポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂をフィルム状に成形し、これに耐熱処理、延伸処理、帯電防止処理を施したものが好ましい。
【0115】
上記感熱記録層、保護層、光透過率調整層、中間層等は、支持体上に、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等の公知の塗布方法により塗布し、乾燥して形成することができる。
【0116】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明の感熱記録材料について具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。尚、本実施例中の「部」及び「%」は、特に断わりのない限り「質量部」及び「質量%」を表す。
【0117】
[実施例1]
(フタル化ゼラチン溶液の調製)
フタル化ゼラチン(ニッピコラーゲン(株)製の商品名「MGPゼラチン」)32部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.9143部、イオン交換水367.1部を混合し、40℃にて溶解して、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0118】
(アルカリ処理ゼラチン溶液の調製)
アルカリ処理低イオンゼラチン(新田ゼラチン(株)製の商品名「#750ゼラチン」)25.5部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.7286部、水酸化カルシウム0.153部、イオン交換水143.6部を混合し、50℃にて溶解して、乳化物作製用アルカリ処理ゼラチン水溶液を得た。
【0119】
(1)イエロー感熱記録層液の調製
(ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(a)の調製)
酢酸エチル16.1部に、下記ジアゾニウム塩化合物(A)(最大吸収波長420nm)2.2部、下記ジアゾニウム塩化合物(B)(最大吸収波長420nm)2.2部、モノイソプロピルビフェニル4.8部、フタル酸ジフェニル4.0部及びジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(BASFジャパン(株)製の商品名「ルシリンTPO」)0.4部を添加し、40℃に加熱して均一に溶解した。該混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD119N」、50%酢酸エチル溶液)8.6部を添加し、均一に攪拌し混合液(I)を得た。
【0120】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液58.6部にイオン交換水16.3部、「Scraph AG−8」(50%水溶液、日本精化(株)製)0.34部添加し、混合液(II)を得た。
上記混合液(II)に前記混合液(I)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水20部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行なった。この後、イオン交換樹脂「アンバーライトIRA68」(オルガノ(株)製)4.1部、「アンバーライトIRC50」(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になる様に濃度調節し、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(a)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−700」で測定した結果、メジアン径で0.36μmであった。
【0121】
【化32】
【0122】
(カプラー化合物乳化液(a)の調製)
酢酸エチル33.0部に下記カプラー化合物(C)9.9部と、トリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)9.9部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(三井石油化学(株)製の商品名「ビスフェノールM」)20.8部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン3.3部、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)13.6部、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.8部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(竹本油脂(株)製の商品名「パイオニンA−41−C」、70%メタノール溶液)4.2部を溶解し、混合液(III)を得た。
【0123】
別途、前記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(IV)を得た。
上記混合液(IV)に前記混合液(III)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧し加熱して、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が26.5%になる様に濃度調節を行なった。得られたカプラー化合物乳化物の粒径は、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−700」で測定した結果、メジアン径で0.21μmであった。
更に上記カプラー化合物乳化物100部に対して、SBRラテックス(住化エイビーエスラテックス(株)製の商品名「SN−307」、48%液)を26.5%に濃度調整したものを9部添加して均一に撹拌して、カプラー化合物乳化液(a)を得た。
【0124】
【化33】
【0125】
(塗布液(a)の調製)
前記ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(a)及び上記カプラー化合物乳化液(a)を、内包するカプラー化合物/ジアゾ化合物の質量比が2.2/1になる様に混合し、感熱記録層用塗布液(a)を得た。
【0126】
(2)マゼンタ感熱記録層液の調製
(ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(b)の調製)
酢酸エチル15.1部に、下記ジアゾニウム化合物(D)(最大吸収波長365nm)2.8部、フタル酸ジフェニル3.8部、フェニル−2−ベンゾイロキシ安息香酸エステル3.9部、下記エステル化合物(共栄油脂化学(株)製の商品名「ライトエステルTMP」)5.2部及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(竹本油脂(株)製の商品名「パイオニンA−41−C」、70%メタノール溶液)0.1部を添加し、加熱して均一に溶解した。該混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD119N」、50%酢酸エチル溶液)2.5部とキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD110N」、75%酢酸エチル溶液)6.8部を添加し、均一に攪拌し混合液(V)を得た。
【0127】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液55.3部にイオン交換水21.0部添加し混合して、混合液(VI)を得た。
上記混合液(VI)に前記混合液(V)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水24部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間かけてカプセル化反応を行なった。この後、イオン交換樹脂「アンバーライトIRA68」(オルガノ(株)製)4.1部、「アンバーライトIRC50」(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になる様に濃度を調節して、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(b)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−700」で測定した結果、メジアン径で0.43μmであった。
【0128】
【化34】
【0129】
(カプラー化合物乳化液(b)の調製)
酢酸エチル36.9部に下記カプラー化合物(E)11.9部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)14.0部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(三井石油化学(株)製)の商品名「ビスフェノールM」)14.0部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン14.0部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン3.5部、下記化合物(G)3.5部、リン酸トリクレジル1.7部、マレイン酸ジエチル0.8部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(竹本油脂(株)製の商品名「パイオニンA−41−C」、70%メタノール溶液)4.5部を溶解し、混合液(VII)を得た。
【0130】
別途、前記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(VIII)を得た。
上記混合液(VIII)に前記混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧し加熱して、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5%になる様に濃度調節を行ない、カプラー化合物乳化液(b)を得た。得られたカプラー化合物乳化液の粒径は、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−700」で測定した結果、メジアン径で0.22μmであった。
【0131】
【化35】
【0132】
(塗布液(b)の調製)
前記ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液(b)及び上記カプラー化合物乳化液(b)を、内包するカプラー化合物/ジアゾ化合物の質量比が3.5/1になる様に混合した。更に、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)5%水溶液をカプセル液量10部に対し、0.2部になる様に混合し、感熱記録層用塗布液(b)を得た。
【0133】
(3)シアン感熱記録層液の調製
(電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)の調製)
酢酸エチル18.1部に、下記電子供与性染料(H)7.6部、1−メチルプロピルフェニル−フェニルメタン及び1−(1−メチルプロピルフェニル)−2−フェニルエタンの混合物(日本石油(株)製の商品名「ハイゾールSAS−310」)8.0部、下記化合物(I)(チバガイギー(株)製の商品名「Irgaperm2140」)8.0部を添加し、加熱して均一に溶解した。該混合液にカプセル壁剤としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD110N」、75%酢酸エチル溶液)7.2部とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製の商品名「ミリオネートMR−200」)5.3部とを添加し、均一に攪拌し混合液(IX)を得た。
【0134】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液28.8部にイオン交換水9.5部、「Scraph AG−8」(日本精化(株)製、50%)0.17部及びドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(10%水溶液)4.3部を添加し混合して、混合液(X)を得た。
上記混合液(X)に前記混合液(IX)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水50部、テトラエチレンペンタミン0.12部を加え均一化し、65℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行ない、カプセル液の固形分濃度が33%になるように濃度調節してマイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−700」で測定した結果、メジアン径で1.00μmであった。
更に上記マイクロカプセル液100部に対して、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム25%水溶液(花王(株)製の商品名「ネオペレックスF−25」)3.7部と4,4’−ビストリアジニルアミノスチルベン−2,2‘−ジスルフォン誘導体を含む蛍光増白剤(日本曹達(株)製の商品名「Kaycoll BXNL」)4.2部を添加して均一に撹拌して、電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル分散液(c)を得た。
【0135】
【化36】
【0136】
(電子受容性化合物分散液(c)の調製)
前記フタル化ゼラチン水溶液11.3部にイオン交換水30.1部、4,4‘−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(三井石油化学(株)製の商品名「ビスフェノールP」)15部、2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウム2%水溶液3.8部を加えて、ボールミルにて一晩かけて分散し、分散液を得た。この分散液の固形分濃度は26.6%であった。
上記分散液100部に、前記アルカリ処理ゼラチン水溶液45.2部加えて、30分攪拌した後、分散液の固形分濃度が23.5%となる様にイオン交換水を加えて電子受容性化合物分散液(c)を得た。
【0137】
(塗布液(c)の調製)
前記電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)及び上記電子受容性化合物分散液(c)を、電子受容性化合物/電子供与性染料前駆体の質量比が10/1になる様に混合し、塗布液(c)を得た。
【0138】
(4)中間層用塗布液の調製
アルカリ処理低イオンゼラチン(新田ゼラチン(株)製の商品名「#750ゼラチン」)100.0部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)2.857部、水酸化カルシウム0.5部、イオン交換水521.643部を混合し、50℃にて溶解し、中間層作製用ゼラチン水溶液を得た。
【0139】
上記中間層作製用ゼラチン水溶液10.0部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0%水溶液)0.05部、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)5%水溶液0.19部、ホウ酸(4.0%水溶液)2.7部、下記化合物(J)(和光純薬(株)製)の4%水溶液3.42部、下記化合物(J’)(和光純薬(株)製)の4%水溶液1.13部、イオン交換水0.67部を混合し、中間層用塗布液とした。
【0140】
【化37】
【0141】
(5)光透過率調整用塗布液の調製
(紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液の調製)
酢酸エチル71部に、紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート14.5部、2,2’−t−オクチルハイドロキノン5.0部、燐酸トリクレジル1.9部、α−メチルスチレンダイマー(三井化学(株)製の商品名「MSD−100」)5.7部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(竹本油脂(株)製の商品名「パイオニンA−41−C」、70%メタノール溶液)0.55部を均一に溶解した。該混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD110N」、75%酢酸エチル溶液)54.7部を添加し、均一に攪拌して、紫外線吸収剤前駆体混合液(VII)を得た。
【0142】
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製の商品名「KL−318」)52部に30%燐酸水溶液8.9部、イオン交換水532.6部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液を調製した。
【0143】
上記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液516.06部に前記紫外線吸収剤前駆体混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃の下で乳化分散した。得られた乳化液にイオン交換水254.1部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応を行なった。この後、イオン交換樹脂「アンバーライトMB−3」(オルガノ(株)製)94.3部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除きカプセル液の固形分濃度が13.5%になる様に濃度調節した。得られたマイクロカプセルの粒径は、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−700」で測定した結果、メジアン径で0.23±0.05μmであった。
このカプセル液859.1部にカルボキシ変性スチレンブタジエンラテックス(住友ノーガタック(株)製の商品名「SN−307」、48%水溶液)2.416部、イオン交換水39.5部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。
【0144】
(光透過率調整層用塗布液の調製)
上記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液1000部、4%水酸化ナトリウム水溶液7.75部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0%水溶液)73.39部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
【0145】
(6)保護層用塗布液の調製
(保護層用ポリビニルアルコール溶液の調製)
ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物(電気化学工業(株)製の商品名「EP−130」)150部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステルとの混合液(東邦化学工業(株)製の商品名「ネオスコアCM−57」、54%水溶液)7.5部、アセチレンジオールの酸化エチレン付加物(エアープロダクツジャパン(株)製の商品名「ダイノール604」)7.05部、シリコン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング・シリコン(株)製の商品名「SYLGARD309」)7.05部、イオン交換水3592部を混合し、90℃の下で1時間かけて溶解し、均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
【0146】
(保護層用顔料分散液の調製)
硫酸バリウム(堺化学工業(株)製の商品名「BF−21F」、硫酸バリウム含有量93%以上,)8部に陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(花王(株)製の商品名「ポイズ532A」、40%水溶液)0.2部、イオン交換水11.8部を混合し、ダイノミルにて分散して硫酸バリウム(保護層用顔料)分散液を調製した。この分散液の粒径は、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−700」で測定した結果、メジアン径で0.15μmであった。
上記硫酸バリウム分散液82.0部に対し、コロイダルシリカ(日産化学(株)製の商品名「スノーテックスO」、20%水分散液、平均粒径20nm)18.4部を添加して、目的とする保護層用顔料分散液を得た。
【0147】
(保護層用マット剤分散液の調製)
小麦澱粉(新進食料工業(株)製の商品名「小麦澱粉S」)220部に1−2ベンズイソチアゾリン−3−オンの水分散物(I.C.I(株)製の商品名「PROXEL B.D」)3.81部、イオン交換水1976.19部を混合し均一に分散して、保護層用マット剤分散液を得た。
【0148】
(保護層用塗布液の調製)
前記保護層用ポリビニルアルコール溶液1000部に(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0%水溶液)50部、前記保護層用顔料分散液61.2部、上記保護層用マット剤分散液16.65部、ステアリン酸亜鉛分散液(中京油脂(株)製の商品名「ハイミクロンL111」、21%水溶液)48.7部、炭酸ジルコニウムアンモニウム(ニューテックス(株)製の商品名「ジルコゾルAC7」、13%水溶液)4.8部、イオン交換水280部を均一に混合して、保護層用塗布液を得た。
【0149】
(7)支持体の作製
(下塗り層用塗布液の調製)
酵素分解ゼラチン(平均分子量:10000、PAGI法粘度:1.5mPa・s(15mP)、PAGI法ゼリー強度:20g)40部をイオン交換水60部に加えて40℃で攪拌し溶解して下塗り層用ゼラチン水溶液を調製した。
別途、水膨潤性の合成雲母(コープケミカル(株)製の商品名「ソマシフME100」、アスペクト比:1000)8部と水92部とを混合した後、ビスコミルで湿式分散し、平均粒径が2.0μmの雲母分散液を得た。この雲母分散液に雲母濃度が5%となるように水を加え、均一に混合し、所望の雲母分散液を調製した。
【0150】
温度40℃の40%濃度の上記下塗り層用ゼラチン水溶液100部に、水120部及びメタノール556部を加え、十分攪拌混合した後、上記5%雲母分散液208部を加えて、十分攪拌混合し、1.66%ポリエチレンオキサイド系界面活性剤9.8部を加えた。そして液温を35℃〜40℃に保ち、エポキシ化合物のゼラチン硬膜剤7.3部を加えて下塗り層用塗布液(5.7%)を調製し、下塗り層用塗布液を得た。
【0151】
(下塗り層付き支持体の作製)
LBPS50部とLBPK50部とからなる木材パルプをデイスクリファイナーによりカナデイアンフリーネス300ccまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、硫酸アルミニウム1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部をいずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し長網抄紙機により坪量114g/m2の原紙を抄造し、キャレンダー処理を施して厚み100μmに調整した。
【0152】
次に原紙の両面にコロナ放電処理を施した後、溶融押し出し機を用いてポリエチレンを樹脂厚36μmとなる様にコーテイングし、マット面からなる樹脂層を形成した(この面を「ウラ面」と称する)。次に上記樹脂層を形成した面とは反対側に溶融押し出し機を用いてアナターゼ型二酸化チタンを10%および微量の群青を含有したポリエチレンを樹脂厚50μmとなる様にコーテイングし、光沢面からなる樹脂層を形成した(この面を「オモテ面」と称する)。ウラ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理を施した後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(日産化学工業(株)製の商品名「アルミナゾル100」)/二酸化珪素(日産化学工業(株)製の商品名「スノーテックスO」)=1/2(質量比)を水に分散させて乾燥後の質量で0.2g/m2塗布した。次にオモテ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理を施した後、上記下塗り層用塗布液を雲母の塗布量が0.26g/m2となるように塗布し、下塗り層付き支持体を得た。
【0153】
(8)多色感熱記録材料の作製
上記の下塗り層付き支持体の表面に、下から、前記感熱記録層用塗布液(c)、前記中間層用塗布液、前記感熱記録層用塗布液(b)、前記中間層用塗布液、前記感熱記録層用塗布液(a)、前記光透過率調整層用塗布液、前記保護層用塗布液の順に7層同時に連続塗布し、温度30℃相対湿度30%、及び温度40℃相対湿度30%の条件下でそれぞれ乾燥して、実施例1に係わる多色感熱記録材料を得た。
この際、上記感熱記録層用塗布液(a)の塗布量は、液中に含まれるジアゾニウム化合物(A)の固形分塗布量で0.078g/m2となる様に調整し、同様に上記感熱記録層用塗布液(b)の塗布量は、液中に含まれるジアゾニウム化合物(D)の固形分塗布量で0.206g/m2となる様に調整し、上記感熱記録層用塗布液(c)の塗布量は液中に含まれる電子供与性染料(H)の固形分塗布量で0.355g/m2となる様に調整して塗布を行なった。
【0154】
また、上記中間層用塗布液の塗布量は、(a)と(b)の間では固形分塗布量が2.50g/m2、(b)と(c)の間では固形分塗布量が3.45g/m2となる様に調整して、更に上記光透過率調整層用塗布液の塗布量は固形分塗布量で2.35g/m2となる様に、上記保護層用塗布液の塗布量は固形分塗布量で1.60g/m2となる様に調整して塗布を行なった。
【0155】
[実施例2]
実施例1の(保護層用顔料分散液の調製)において、硫酸バリウム分散液76.8部に対し、コロイダルシリカ「スノーテックスO」(日産化学(株)製)29.0部を添加したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2に係わる多色感熱記録材料を得た。
【0156】
[比較例1]
実施例1の(保護層用顔料分散液の調製)において、コロイダルシリカ「スノーテックスO」(日産化学(株)製)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例1に係わる多色感熱記録材料を得た。
【0157】
[比較例2]
実施例1の(保護層用塗布液の調製)において、炭酸ジルコニウム「ジルコゾルAC7」(ニューテックス(株)製)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例2に係わる多色感熱記録材料を得た。
【0158】
[比較例3]
実施例1の(中間層用塗布液の調製)において、ホウ酸(4.0%水溶液)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例3に係わる多色感熱記録材料を得た。
【0159】
[比較例4]
実施例1の(中間層用塗布液の調製)において、ホウ酸(4.0%水溶液)を添加せず、且つ(保護層用塗布液の調製)において、炭酸ジルコニウム「ジルコゾルAC7」(ニューテックス(株)製)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例4に係わる多色感熱記録材料を得た。
【0160】
(9)評価試験
上記の実施例及び比較例の各多色感熱記録材料について、以下の評価試験を行なった。その結果を下記の表4に示した。
【0161】
(光沢度の測定)
富士写真フイルム(株)製のデジタルプリンター「NC370D」を用いて、各感熱記録材料に黒ベタ画像を印画した。各感熱記録材料の黒ベタ印画面の鏡面光沢度をスガ試験機(株)製のデジタル変角光沢度計「UGV−5D」を用いて20°の入射角で測定した。
【0162】
(印画トルクの測定)
ブラテン径12φ、硬さ40°、押圧6kg/cmの治具プリンター((株)マチレス社製の「GX−3機」)にA5サーマルヘッド(京セラ製の型式「KTJ−13SAN24−FFA」)を取り付けて、ライン周期5.29ms、電力0.32W、最大印画エネルギー105.6mJ/mm2、搬送速度16mm/sの印画条件で階調印画を行なった。その際に、感熱記録材料とブラテンロールとの間に生じるトルクを印画エネルギーが17mJ/mm2、40mJ/mm2および95mJ/mm2の時に測定し、これを動摩擦係数に換算した。
【0163】
(負荷変動ムラの評価)
富士写真フイルム(株)製のデジタルプリンター「NC370D」を用いて、各感熱記録材料に高エネルギー部(黒ベタ帯)画像と低エネルギー部(白地部)が連続的に印画されるテストパターンを印画し、濃度のムラの程度を目視によって観察し下記の基準に従って評価した。
〔基準〕
AA: 濃度ムラの発生が認められなかった。
BB: 弱い濃度ムラの発生が部分的に認められた。
CC: 強い濃度ムラの発生が認められた。
【0164】
(ヘッド汚れ)
富士写真フイルム(株)製のデジタルプリンター「NC−300」にて、印画エネルギー(9〜105mJ/mm2)をランダムに加え、A5サイズの黒ベタ画像を連続10000枚印画し、印画後のサーマルヘッドの汚れ具合を、触針式表面形状測定機(KALテンコール(株)製の「P−11」)で印画前後でのサーマルヘッド抵抗体素子表面の形状変化を測定し、その差から汚れ量を算出して規格化した。この値が小さい方がヘッドの汚れも少ないことを意味する。
【0165】
(画質評価)
富士写真フイルム(株)製のPXプリンター「NC−600D」を用いて、A6サイズで9〜105mJ/mm2までの各印画エネルギー領域のテスト画像を連続30000枚印画し、該印画後の画質を目視にて観察し、下記の基準に従って評価した。
〔基準〕
○ : 濃度ムラ、段差、傷等の発生が認められなかった。
濃度ムラ: 弱い濃度ムラの発生が部分的に認められた。
印画障害: 強い濃度ムラ、段差、傷等の発生が認められた。
【0166】
【表4】
【0167】
上記表4の結果から、ポリビニルアルコールと平均粒径の異なる2種以上の無機超微粒子を含有する保護層を有し、更にホウ酸と水溶性ジルコニウム化合物を含有する本発明の多色感熱記録材料(実施例1〜3)は、光沢性に優れ、負荷変動ムラ(濃度ムラ)が抑制され、印画トルクが軽減され、且つヘッド汚れが少なく、高品質な画像を記録できる感熱記録材料であることが判明した。一方、保護層に1種の平均粒径の無機超微粒子しか含有しない感熱記録材料(比較例1)はヘッド汚れや画質に劣り、またホウ酸又は/及び水溶性ジルコニウム化合物を含有しない感熱記録材料(比較例2〜4)は、光沢性や負荷変動ムラ及び印画トルクが良くなく、いずれも品質で劣る多色感熱記録材料であった。
【0168】
【発明の効果】
本発明によれば、高速・高エネルギーで同一面に複数回印画を行なう感熱記録材料において、高い光沢度を有し、印画トルクを軽減して濃度ムラを抑制し、且つヘッド汚れを低減しヘッド耐久性を改善した、高品質な画像を記録することが可能な感熱記録材料を提供することができる。
Claims (7)
- 支持体上に、感熱記録層と、少なくともポリビニルアルコールと平均粒径の異なる2種以上の無機超微粒子を含有する保護層と、を設けた感熱記録材料であって、更にホウ酸と水溶性ジルコニウム化合物を含有することを特徴とする感熱記録材料。
- 前記ホウ酸と水溶性ジルコニウム化合物の含有量が、感熱記録材料中の全ポリビニルアルコールに対して、それぞれ10〜30質量%及び0.1〜10質量%であることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録材料。
- 前記無機超微粒子の少なくとも1種が、平均粒径が10〜50nmのコロイダルシリカであることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録材料。
- 無機超微粒子の他の1種が、平均粒径が0.05〜0.20μmの硫酸バリウムであり、且つ前記コロイダルシリカの該硫酸バリウムに対する配合量が、8〜24質量%であることを特徴とする請求項3に記載の感熱記録材料。
- 前記ポリビニルアルコールが、長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録材料。
- 前記長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールが、炭素数が8〜20のアルキルエーテル基で変性されたポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項5に記載の感熱記録材料。
- 前記長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールが、下記一般式(A)で表されるポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項5に記載の感熱記録材料。
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