JP2004322516A - 感熱記録材料 - Google Patents

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JP2004322516A
JP2004322516A JP2003121603A JP2003121603A JP2004322516A JP 2004322516 A JP2004322516 A JP 2004322516A JP 2003121603 A JP2003121603 A JP 2003121603A JP 2003121603 A JP2003121603 A JP 2003121603A JP 2004322516 A JP2004322516 A JP 2004322516A
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Toshiyuki Watanabe
敏幸 渡辺
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

【課題】高い光沢性を有し、かつ地肌の耐光性に優れると共に、塗布面状の悪化を防止して高画質の画像を安定して出力できる感熱記録材料を提供する。
【解決手段】支持体上に、少なくとも感熱記録層と、水溶性樹脂を含有する保護層とを有する感熱記録材料であって、前記保護層が、アルキルスルホコハク酸塩と、IV族の遷移金属化合物とを含有する感熱記録材料である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーマルヘッドを用いて画像の記録を行う感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録システムは、ファクシミリ、プリンター、ラベル等の多分野においてニーズが拡大しており、それに伴い、より高性能な感熱記録材料が求められている。
サーマルヘッドにより画像様に加熱して画像の記録を行う感熱記録材料では、サーマルヘッドの保護膜の材質や形状等に合ったヘッドマッチング性を有することのみならず、ヘッド汚れやヘッド摩耗を発生させずに高品質の画像を安定して出力することができることが重要である。このようなサーマルヘッドとのマッチング性を改良したものとして、保護層にアルキルスルホコハク酸を含有させた感熱記録材料、あるいは感熱記録層のバインダ中のNa、K、及びClの各イオン含有量を少なくした感熱記録材料が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
通常、感熱記録材料の印画最表面には保護層が設けられることが多いため、感熱記録材料のサーマルヘッド適性は保護層の性能によって決定づけられることが多い。サーマルヘッド適性を付与するためには、顔料や潤滑剤を添加することが一般的である。しかし、顔料や潤滑剤を添加すると、光沢度が低下することがある。感熱記録材料の光沢度は、保護層中の硬化剤の含有量を増大させることによりある程度は向上するが、硬化剤の含有量を一定以上に増大させると、塗布面状が悪化(面アレが発生)し、かえって表面光沢が低下するという問題があった。
また、プリント開始時等の装置内が冷えた状態で高速印画を行った場合に、サーマルヘッドの表面に凝集した水滴が印画最表面に付着し、光沢ムラを生じ、画質の低下の一因となっていた。
高い表面光沢や発色感度の向上を実現し、高画質の画像を安定して出力することができる感熱記録材料を製造することは大きな課題であった。
【0004】
【特許文献1】
特公平1−17479号公報
【特許文献2】
特開平5−185717号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、高い光沢性を有し、かつ地肌の耐光性に優れると共に、塗布面状の悪化を防止して高画質の画像を安定して出力できる感熱記録材料を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の課題は以下の発明により解決された。即ち本発明は、
<1> 支持体上に、少なくとも感熱記録層と、水溶性樹脂を含有する保護層とを有する感熱記録材料であって、前記保護層が、さらに、アルキルスルホコハク酸塩と、IV族の遷移金属化合物とを含有することを特徴とする感熱記録材料である。
<2> 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする前記<1>に記載の感熱記録材料である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の感熱記録材料は、支持体上に、少なくとも感熱記録層と、水溶性樹脂を含有する保護層とを有する感熱記録材料であって、前記保護層が、さらに、アルキルスルホコハク酸塩と、IV族の遷移金属化合物とを含有することを特徴としている。
【0008】
本発明の感熱記録材料は、保護層に、界面活性剤としてアルキルスルホコハク酸塩を含有することにより、保護層を塗布形成する際の微細な塗布欠陥が防止され、面状が良好になる。また、感熱記録材料の耐薬品性(耐可塑剤性)が改善される。さらに、画像の保存性の向上、即ち、地肌の耐光性を改良することができる。
【0009】
また、本発明の感熱記録材料は、保護層にIV族の遷移金属化合物を含有することにより、サーマルヘッド適性と光沢性を両立することができる。
【0010】
以上から、本発明の感熱記録材料は、保護層に、アルキルスルホコハク酸とIV族の遷移金属化合物とを含むことにより、サーマルヘッド適性と光沢性とを両立することができるとともに、面状が良好であり、耐光性に優れている。
【0011】
また、前記支持体と前記保護層との間には、目的に応じて適宜選択したその他の層、例えば、前記支持体と前記感熱記録層との間に設ける下塗り層、前記感熱記録層同士の間に設ける中間層、前記感熱記録層と前記保護層との間に設ける光透過率調整層などを有していてもよい。
以下、本発明の感熱記録材料について詳しく説明する。
【0012】
<保護層>
保護層は、感熱記録層のスティッキングや感熱記録層を溶剤等から保護するために設けられる層であり、該保護層は、水溶性樹脂と、アルキルスルホコハク酸と、IV族の遷移金属化合物とを含有し、その他無機超微粒子、及び熱可融性潤滑剤を含んで構成されることが好ましく、さらに必要に応じて各種添加剤を含んでいてもよい。
【0013】
(アルキルスルホコハク酸塩)
前述のように、本発明において、保護層にはアルキルスルホコハク酸塩を含有する。アルキルスルホコハク酸塩としては、特に、下記構造式で示されるものが好ましく用いられる。
【0014】
【化1】
Figure 2004322516
【0015】
式中、RおよびRはアルキル基を表し、Mはアルカリ金属又はNHを表す。前記アルキル基は特に限定するものではないが、好ましくは炭素数3〜15、より好ましくは炭素数4〜8のアルキル基が望ましく、具体的には、イソブチル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、2−エチル−ヘキシル基等が例示される。中でもとりわけオクチル基、2−エチル−ヘキシル基が、本発明の所定の効果を得るために好ましい。また、RおよびRが同じである所謂対称形のアルキルスルホコハク酸塩は、本発明の所定の効果を得るために好ましい。前記Mが表すアルカリ金属としてはナトリウムが最も好ましい。
【0016】
アルキルスルホコハク酸塩が保護層の全乾燥塗布量に占める割合は、2〜15質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることがより好ましい。
【0017】
(IV族の遷移金属化合物)
前述の通り、本発明においては、保護層に、IV族の遷移金属化合物を含有する。IV族の遷移金属化合物としては、ジルコニウム化合物、及びチタン化合物が好ましく、中でもジルコニウム化合物がより好ましい。
【0018】
ジルコニウム化合物の好ましい例として、水溶性のものとしては、ZrOCOZrO(CO、ZrO(NO、ZrOSO、ZrO(CHCOO)、(NHZrO(CO、Zr(OC(C)、Zr(OC(C、Zr(OC(C)、Zr(OC)(C)(C、Zr(OC(OCOC1735)等を挙げることができ、中でもZrO(NO、ZrOSO、(NHZrO(CO等がより好ましい。
【0019】
ジルコニウム化合物の好ましい例として、油溶性のものとしては、ZrO(C1835、ZrO(C1427、ZrO(C1223、ZrO(C15を挙げることができ、中でもZrO(C1835がより好ましい。
【0020】
前記チタン化合物の好ましい例として、水溶性のものとしては、(OH)Ti(C、(C14N)Ti(CO)、(C17O)Ti(C17、(CO)Ti(C、Ti(C、(C)Ti(C等を挙げることができる。また、前記チタン化合物の好ましい例として、油溶性のものとしては、Ti(OH)(OCOC1735、Ti(OH)(OCOC1939を挙げることができる。
【0021】
前記IV族の遷移金属化合物を保護層に添加するに際し、水溶性のIV族の遷移金属化合物はその反応性を含めた液安定性に、油溶性のIV族の遷移金属化合物は乳化分散した形で添加されるために分散安定性の点に、それぞれ留意する必要がある。
【0022】
前記IV族の遷移金属化合物の含有量は、後述する水溶性樹脂に対して0.1〜25%が好ましく、0.5〜20%がより好ましく、1〜15%が特に好ましい。前記含有量が0.1〜25%の範囲においては、耐水性が不充分となることもなく、塗布乾燥時に表面の平滑性が劣ることによる光沢の低下もない。
【0023】
(水溶性樹脂)
保護層が含有する水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコールが好ましく、変性ポリビニルアルコールがより好ましく、長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。前記長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールを用いることによって、無機超微粒子の分散性を向上させて感熱記録材料表面の平滑性を保ち、無機超微粒子の添加による光沢性の低下を抑制することができる。
【0024】
前記長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールは、炭素原子数8〜20のアルキル基を有するアルキルエーテル変性ポリビニルアルコールであることが好ましく、さらに下記一般式(A)で表されるポリマーであることがより好ましい。
【0025】
【化2】
Figure 2004322516
【0026】
前記一般式(A)中、Rは水素原子、メチル基または−CHCOMを表し、Rは水素原子または−COMを表し、Rは水素原子、−COM、アミノ基、アミド基、置換アミド基、ヒドロキシ基、グリシジル基、スルホン酸基、ポリエチレンオキサイド基、ポリプロピレンオキサイド基、またはこれらの官能基を有する基を表す。Rは水素原子またはメチル基を表し、R、R、Rが水素原子でありRが−COMである組合せ、または、R、Rが水素原子でありRが−CHCOMでありRが−COMである組合せが好ましい。
【0027】
前記一般式(A)中、Mは、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、Na、KまたはLiを表す。
【0028】
前記一般式(A)中、Rは、長鎖アルキル基、即ち、炭素数8以上、好ましくは炭素数8〜20のアルキル基を表す。アルキル基は直鎖でも分岐構造でもよく、また、アリール基等の置換基を有していてもよい。この中でも、潤滑性を向上させる点で炭素数8〜16のアルキル基がさらに好ましく、炭素原子数12のドデシル基が特に好ましい。
【0029】
前記一般式(A)中、n、x、y、zは、それぞれ重合度を表す。nは0〜20が好ましく、0〜10がより好ましい。nの値が大きい場合には、酸性基が増加しゼラチンとの相溶性が良化する。Tg(ガラス転移点)以下でのガスバリア性等、ポリビニルアルコールの特性を引き出すことができる点で、xは60〜99が好ましく、75〜95がさらに好ましい。yは0〜20が好ましい。zは、感熱記録ヘッドとの耐摩擦性、潤滑性の点で大きい方が好ましいが、溶解性、水溶液の粘度の点で限度があり、n、x、y、zの総和に対し、0.5〜10%の値が好ましく、より好ましくは1〜5%である。
【0030】
これらの長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールのTgとしては、50℃以上が好ましく、60℃以上がさらに好ましい。Tg(ガラス転移点)が50℃以上であると、耐傷性が低下することもない。
【0031】
前記長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールは保護層の全バインダー中に50質量%以上含有されることが好ましく、80質量%以上含有されることがさらに好ましい。長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールの含有量が50質量%以上であると、上述の長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールによる特性が十分に発揮される。
【0032】
前記長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールを用いた保護層の表面には長鎖アルキル基が配向され易い。このような表面は印画トルクを低減させるため、印画故障が無くなり、印画面の平滑性(光沢性)向上および発色濃度の向上が可能となる。また、表面の静摩擦および動摩擦の低下はプリンターでのメディアの走行性を良好なものとする。さらに、長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコール系の特徴である耐光性、被膜強度に優れるという特性を発揮するとともに、表面に疎水性基が配向していることから耐水性も向上する。
【0033】
前記保護層においては、長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールの他に、必要に応じて他のバインダーを併用してもよい。該他のバインダーとしては、例えば、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダなどの水溶性高分子およびスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等の合成ゴムラテックス、合成樹脂エマルジョン等が挙げられる。
【0034】
前記バインダーの中でも、ポリビニルアルコールまたはその誘導体(以下、総称して「ポリビニルアルコール」という場合がある。)が好ましく、具体的には、特開2000−118133号公報に記載のもの等が挙げられる。
【0035】
前記バインダーを構成する高分子のTg(ガラス転移点)は、150℃以下、好ましくは0℃〜130℃,特に好ましくは40℃〜100℃である。
【0036】
前記保護層中のバインダーの含有量としては、保護層全体に対して25〜80質量%が好ましく、40〜70質量%がさらに好ましい。
【0037】
(無機超微粒子)
本発明における保護層は、無機超微粒子を含有することが好ましい。粒径の微小な無機超微粒子を用いることにより、表面の平滑性を変化させずに高い硬度を保持することができる。
【0038】
ここで、「無機超微粒子」とは、平均一次粒径が0.5μm以下、好ましくは0.2μm以下、より好ましくは0.15μm以下の無機微粒子をいい、このような無機微粒子であれば特に制限はないが、分散液での最大粒子径(分散液中での粒径分布の大きい方でのしきい値)が0.5μm以下が好ましく、0.4μm以下がより好ましく、0.35μm以下が特に好ましい。また、分散液での平均粒径が0.35μm以上の(凝集)粒子の頻度が5%以下、好ましくは1%以下であり、0.25μm以上の(凝集)粒子の頻度が5%以下であることが特に好ましい。なお、粒子径は公知の方法、例えばCOULTER N4型サブミクロン粒径分析装置(日科機)などにより測定することができる。
【0039】
前記無機超微粒子としては、コロイダルシリカ、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、アルミナが挙げられ、コロイダルシリカ、硫酸バリウム、アルミナが好ましく、コロイダルシリカ、硫酸バリウムが特に好ましい。
【0040】
本発明に好適に使用しうる無機超微粒子としては、具体的に、例えば、硫酸バリウム(商品名:BARIFINE BF−21、BF−20、堺化学工業製)、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO、日産化学(株)製)、酸化ジルコニウム(商品名:NZR−A、日産化学製)、酸化亜鉛(商品名:FINEX−75、堺化学工業製)、酸化チタン(TTO−55、石原産業製)、シリカ(日本アエロジル製)が挙げられる。
【0041】
本発明における保護層は、粒径の異なる2種以上の無機超微粒子を含有するのが好ましく、該無機超微粒子中の2種としては、硫酸バリウムとコロイダルシリカとの組合せが好ましい。粒径の微小なコロイダルシリカを用いることにより、表面の平滑性を変化させずに高い硬度を保持することができる。更に、コロイダルシリカのみでは、親水性が高いため、潤滑剤が拡散して感熱記録材料表面に潤滑剤が保持できなくなる場合があるが、硫酸バリウムを併用することにより必要量の潤滑剤を感熱記録材料表面に安定して存在させることができる。これにより、本発明の感熱記録材料は、その表面の平滑性を維持して高光沢であると共に、その表面が高い硬度を保持し、かつその表面に潤滑剤が安定して存在することにより、ヘッドの汚れを防止して、高画質な画像を安定して出力することができる。
【0042】
前記硫酸バリウムの平均粒径は、0.05〜0.20μmが好ましく、0.10〜0.15μmがさらに好ましく、コロイダルシリカの平均粒径は、10〜50nmが好ましく、10〜30nmがさらに好ましく、15〜25nmが特に好ましい。また、保護層中のコロイダルシリカの含有量は、硫酸バリウムに対して8〜24質量%が好ましく、8〜16質量%がさらに好ましく、8〜10質量%が特に好ましい。硫酸バリウムおよびコロイダルシリカの粒径が前記範囲になく、かつ硫酸バリウムおよびコロイダルシリカの含有割合が前記範囲にない場合には、高光沢を維持できない場合が生じたり、また、ヘッド汚れが顕著となって、多数の画像を支障なく形成することが困難となる場合がある。
【0043】
前記硫酸バリウムおよびコロイダルシリカは、全無機超微粒子中、60質量%以上含まれていることが好ましく、75質量%以上含まれていることがより好ましく、85質量%以上含まれていることが更に好ましい。該硫酸バリウムおよびコロイダルシリカが60質量%以上含まれていることにより、前記効果を有効に発揮することができる。
【0044】
前記無機超微粒子を添加する方法としては、微粒子同士の凝集を防止し、樹脂粒子表面への均一な吸着を達成するために、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコールのような水性分散樹脂とともに樹脂溶液として添加する方法、コロイド分散物を各種ミル等で調製したのち添加する方法などを採用することが、効果および製造上の観点から好ましい。
また、前記バインダーと無機超微粒子との配合割合(バインダー/無機超微粒子)は、質量比で、0.8/0.5〜0.8/0.15が好ましく、0.8/0.45〜0.8/0.3がより好ましい。
【0045】
なお、前記保護層には、雲母等を含む無機質の層状化合物、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、カオリン、合成珪酸塩、非晶質シリカ、尿素ホルマリン樹脂粉末等の顔料を添加してもよい。
【0046】
(硬化剤)
本発明における保護層には、該保護層の硬化度を高める目的で、前記バインダーと硬化剤とを併用するのが好ましい。該硬化剤としては、例えばビニルスルホン系化合物、アルデヒド化合物(ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等)、エポキシ化合物、オキサジン系化合物、トリアジン系化合物、メチル化メラミン、ブロックイソシアネート、メチロール化合物、カルボジイミド樹脂、ホウ素化合物等を使用することができる。
これら硬化剤の中では反応促進剤の添加や高温での処理などを必要とせずにポリビニルアルコールと速やかに架橋反応を起こす点からホウ素化合物が好ましく、該ホウ素化合物の中でも、ホウ酸、ホウ砂等が特に好ましい。
【0047】
ここで、保護層や感熱記録層等を重層塗布(同時塗布)等する場合等には、硬化剤は必ずしも保護層用の塗布液に含める必要はなく、中間層用塗布液に含めてもよい。また、前記ホウ酸を硬化剤として用いる場合には、前記長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコールや保護層のバインダーとして用いるポリビニルアルコール、並びに、後述する感熱記録層および中間層等に含まれるポリビニルアルコールの総量(感熱記録材料の記録面側に設けられている層に含まれるポリビニルアルコールの総量)に対して10〜30質量%ホウ酸が含まれているのが好ましく、15〜27質量%ホウ酸が含まれているのがさらに好ましい。ホウ酸が感熱記録材料に用いられたポリビニルアルコールの総含有量に対して10質量%未満であると、前記保護層等を十分に硬化できない場合があり、30質量%を超えると、潤滑剤が印画時に拡散しやすくなり、結果として保護層表面の疎水性が低下し、画質の低下や光沢度の低下の原因となる場合がある。
【0048】
(熱可融性潤滑剤)
本発明における保護層は、スティッキングなどによる印画故障のないスムーズな印画をおこなうため、印画時に感熱記録材料の表面とサーマルヘッドとの摩擦を低減する目的で熱可融性潤滑剤を含有するのが好ましい。ここで「熱可融性潤滑剤」とは、融点が30℃以上の高級脂肪酸誘導体等を意味する。
前記熱可融性潤滑剤としては、熱可融性を示す公知の潤滑剤を適宜選定して用いることができるが、具体的には、高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪族酸エステル、高級脂肪酸グリセライド等が挙げられ、高級脂肪酸金属塩が好ましい。
【0049】
本発明における保護層中の熱可融性潤滑剤の含有量としては、保護層のバインダーに対して10〜40質量%が好ましく、15〜25質量%がより好ましい。前記保護層中の熱可融性潤滑剤の含有量が10質量%未満であると、印画トルクを十分に低減することができない場合があり、40質量%を超えると、印画面の変形が大きくなることに起因する光沢度の低下や、光照射時の地肌着色が増大するなど諸性能の低下を生じる場合がある。
【0050】
(保護層の形成方法)
本発明における保護層は、水溶性樹脂、アルキルスルホコハク酸、IV族の遷移金属化合物、及び必要に応じて無機超微粒子等を含む保護層用塗布液を、後述する感熱記録層等の上にバーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等の装置を用いて塗布、乾燥して得ることができる。但し、保護層は感熱記録層等と同時に重畳法により塗布してもよく、また感熱記録層等の塗布後、一旦感熱記録層等を乾燥させ、その上に塗布してもよい。保護層の乾燥塗布量は、0.1〜3g/mが好ましく、0.3〜2.0g/mがより好ましい。塗布量が大きいと著しく熱感度が低下してしまうし、あまりに低い塗布量では保護層としての機能(耐摩擦性、潤滑性、耐傷性等)を発揮できない。また、保護層塗布後、必要に応じてキャレンダー処理を施してもよい。
【0051】
なお、保護層には、前記の成分の他に、必要に応じて他の顔料、ワックス類、触媒、離型剤、界面活性剤、および撥水剤等を含有させることも好ましい。
【0052】
<感熱記録層>
前記感熱記録層は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよく、目的に応じて適宜選択した層構成とすることができる。
前記感熱記録層は、発色成分を含み、該発色成分の発色反応により所望の色画像を形成し得るように設計される。前記発色成分としては、特に制限はなく、従来から公知のものが好適に使用することができる。前記発色反応としては、特に制限はなく、例えば、ジアゾニウム塩化合物とカプラーとの発色反応、電子供与性無色染料と電子受容性化合物との発色反応、などが好適に挙げられる。
【0053】
前記感熱記録層が、前記ジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する場合、該感熱記録層には、該ジアゾニウム塩化合物と該カプラーとの発色反応を促進する塩基性物質等が好適に添加される。
【0054】
前記ジアゾニウム塩化合物は、下記一般式(B)で表される化合物であり、これらはAr部分の置換基の位置や種類によってその最大吸収波長を制御することができるものである。
一般式(B): Ar−N Xー
前記一般式(B)において、Arは、アリール基を表す。Xは、酸アニオンを表す。
【0055】
前記ジアゾニウム塩化合物の具体例としては、4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジオクチルアミノベンゼンジアゾニウム、4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジヘキシルアミノ−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−N−エチル−N−ヘキサデシルアミノ−2−エトキシベンゾジアゾニウム、3−クロロ−4−ジオクチルアミノ−2−オクチルオキシオベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−モルホリノベンゼンジアゾニウム、2,5−オクトキシ−4−モルホリノベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジエトキシ−4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−トリルチオベンゼンジアゾニウム、3−(2−オクチルオキシエトキシ)−4−モロホリノベンゼンジアゾニウムなどの酸アニオン塩及び下記ジアゾニウム塩化合物(D−1〜5)が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ヘキサフルオロフォスフェート塩、テトラフルオロボレート塩、1,5−ナフタレンスルホネート塩が特に好ましい。
【0056】
【化3】
Figure 2004322516
【0057】
これらのジアゾニウム塩化合物の中でも、300〜400nmの波長の光により光分解する、4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジオクチルアミノベンゼンジアゾニウム、4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジヘキシルアミノ−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−N−エチル−N−ヘキサデシルアミノ−2−エトキシベンゾジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジエトキシ−4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、前記具体例D−3〜5に示すジアゾニウム塩化合物が特に好ましい。
なお、ここでいうジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長は、それぞれのジアゾニウム化合物を0.1〜1.0g/mの塗布量で塗膜にしたものを分光光度計(Shimazu MPS−2000)により測定したものである。
【0058】
前記ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとしては、例えば、レゾルシン、フルルグルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ−6−スルファニルナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸エタノールアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−N−ドデシルオキシプルピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸テトラデシルアミド、アセトアニリド、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、2−クロロ−5−オクチルアセトアセトアニリド、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’−オクチルフェニル)−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラロン、1−フェニル−3−フェニルアセトアミド−5−ピラゾロン、下記(C−1〜6)に示す化合物、などが挙げられる。これらのカプラーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
【0059】
【化4】
Figure 2004322516
【0060】
【化5】
Figure 2004322516
【0061】
前記塩基性物質としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、無機又は有機の塩基性化合物の外、加熱時に分解等を生じアルカリ物質を放出するような化合物も含まれ、代表的なものとしては、有機アンモニウム塩、有機アミン、アミド、尿素及びチオ尿素さらにそれらの誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルホリン類、ピペリジン類、アミジン類、フォルムアジン類、ピリジン類等の含窒素化合物が挙げられる。
【0062】
これらの具体例としては、トリシクロヘキシルアミン、トリベンジルアミン、オクタデシルベンジルアミン、ステアリルアミン、アリル尿素、チオ尿素、メチルチオ尿素、アリルチオ尿素、エチレンチオ尿素、2−ベンジルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾリン、2,4,5−トリフリル−2−イミダゾリン、1,2−ジフェニル−4,4−ジメチル−2−イミダゾリン、2−フェニル−2−イミダゾリン、1,2,3−トリフェニルグアニジン、1,2−ジシクロヘキシルグアニジン、1,2,3−トリシクロヘキシルグアニジン、グアニジントリクロロ酢酸塩、N,N’−ジベンジルピペラジン、4,4’−ジチオモルホリン、モルホリニウムトリクロロ酢酸塩、2−アミノベンゾチアゾール、2−ベンゾイルヒドラジノベンゾチアゾールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0063】
前記電子供与性無色染料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の物の中から適宜選択することができ、本発明においては電子供与性無色染料前駆体を用いることができる。
【0064】
前記電子供与性無色染料前駆体としては、例えば、トリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、キサンテン系化合物、スピロピラン系化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、これらの中でも、発色濃度が高く有用な点で、トリアリールメタン系化合物、キサンテン系化合物が好ましい。これらの例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(即ちクリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノ)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、2−ベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−シクロヘキシルメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−イソアミルエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−オクチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−2−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン、などが挙げられる。
【0065】
前記電子受容性化合物としては、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル、などが挙げられる。これらの中でも、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が特に好ましく、具体的には、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸及びその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸及びその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸及びその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノールなどが特に好ましい。
【0066】
本発明においては、前記感熱記録層は、増感剤を含有することが好ましく、該増感剤としては、分子内に芳香族性の基と極性基を適度に有している低融点有機化合物が好ましく、具体的には、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、α−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフトエ酸フェニルエステル、α−ヒドロキシ−β−ナフトエ酸フェニルエステル、β−ナフトール−(p−クロロベンジル)エーテル、1,4−ブタンジオールフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−メチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−エチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−m−メチルフェニルエーテル、1−フェノキシ−2−(p−トリルオキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−エチルフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−クロロフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、などが挙げられる。
【0067】
前記感熱記録層における、前記ジアゾニウム塩化合物、該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色する前記カプラー、前記塩基性物質、前記電子供与性無色染料、前記電子受容性化合物、前記増感剤、等の含有の態様については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、これらを、(1)固体分散による含有させる方法、(2)乳化分散により含有させる方法、(3)ポリマー分散により含有させる方法、(4)ラテックス分散により含有させる方法、(5)マイクロカプセル化して含有させる方法、などが挙げられる。
【0068】
これらの中でも、保存性の観点から、マイクロカプセル化して含有させる方法が好ましく、前記ジアゾニウム塩化合物と前記カプラーとの発色反応を利用する場合には、前記ジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセル化して前記感熱記録層中に含有させるのが好ましく、前記電子供与性無色染料と前記電子受容性化合物との発色反応を利用する場合には、前記電子供与性無色染料をマイクロカプセル化して前記感熱記録層中に含有させるのが好ましい。
【0069】
前記感熱記録層を多層構造とする場合、各感熱記録層の色相を変えることにより、多色の感熱記録材料を得ることができる。この場合の層構成としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、本発明においては、感光波長の異なる2種のジアゾニウム塩化合物と、それぞれのジアゾニウム塩化合物と熱時反応して異なった色相に発色するカプラーとを組み合わせた感熱記録層2層と、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを組み合わせた感熱記録層と、を積層した多色の感熱記録層とするのが好ましい。即ち、前記支持体上に、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを含む感熱記録層A、最大吸収波長が360±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する感熱記録層B−1、最大吸収波長が400±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する感熱記録層B−2、をこの順に積層した多色の感熱記録材料が好ましい。
【0070】
この多色の感熱記録材料の記録方法としては、まず感熱記録層B−2を加熱し、該感熱記録層B−2に含まれるジアゾニウム塩化合物とカプラーとを発色させる。次に、400±20nmの光を照射して感熱記録層B−2中に含まれている未反応のジアゾニウム塩化合物を分解させた後、感熱記録層B−1が発色するに十分な熱を加え、該感熱記録層B−1に含まれているジアゾニウム塩化合物とカプラーとを発色させる。このとき、感熱記録層B−2も同時に強く加熱されるが、すでにジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色はしない。さらに360±20nmの光を照射して感熱記録層B−1に含まれているジアゾニウム塩化合物を分解し、最後に感熱記録層Aが発色する十分な熱を加えて発色させる。このとき感熱記録層B−2及び感熱記録層B−1も同時に強く加熱されるが、すでにジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色しない。
【0071】
また、本発明においては、感光波長の異なる3種のジアゾニウム塩化合物と、それぞれのジアゾニウム塩化合物と熱時反応して異なった色相に発色するカプラーとを組み合わせた感熱記録層3層を積層した多色の感熱記録層とするのも好ましい。即ち、前記支持体上に、最大吸収波長が350nm以下、好ましくは、340nm以下であるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する感熱記録層A−1、最大吸収波長が360±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する感熱記録層A−2、最大吸収波長が400±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する感熱記録層A−3を、この順に積層した多色の感熱記録材料が好ましい。
以上の多色の感熱記録層の場合において、各感熱記録層の発色色相を減色混合における3原色、イエロー、マゼンタ、シアンとなるように選んでおけば、フルカラーの画像記録が可能となる。
【0072】
<支持体>
前記支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロースフィルム等のセルロース誘導体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリアクリル酸共重合体フィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルムの外、紙、合成紙、プラスチック樹脂層を有する紙、などが挙げられ、前記プラスチックフィルムの層を有する支持体が好ましい。これらは、透明であってもよいし、不透明であってもよく、また、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0073】
前記プラスチックの層を有する支持体としては、原紙の両面に又は少なくとも記録層が形成される面に、熱可塑性樹脂による層が形成されたものが好適に挙げられ、例えば、(1)原紙に熱可塑性樹脂が溶融押出塗工されたもの、(2)原紙上に溶融押出塗工された熱可塑性樹脂の上にガスバリアー層を塗布したもの、(3)原紙の酸素透過性の低いプラスチックフィルムを接着させたもの、(4)原紙にプラスチックフィルムを接着させた面上に溶融押出により熱可塑性樹脂を設けたもの、(5)原紙に熱可塑性樹脂を溶融押出塗工された後、プラスチックフィルムを接着させたもの、等が挙げられる。
【0074】
前記原紙に溶融押出塗工される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のα−オレフィンの単独重合体及びこれらの各種の重合体の混合物などのオレフィン系重合体、エチレンとビニルアルコールとのランダム共重合体、などが好適に挙げられる。前記ポリエチレンとしては、例えば、LDPE(低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、L−LDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)等が挙げられる。
【0075】
前記原紙に前記プラスチックフィルムを接着する方法としては、特に制限はなく、加工技術研究会編「新ラミネート加工便覧」に記載されているような公知のラミネーション法の中から適宜選択して採用することができ、所謂ドライラミネーション、無溶媒型ドライラミネーション、電子線若しくは紫外線硬化型樹脂を用いたドライラミネーション、又は、ホットドライラミネーションが好適に挙げられる。
本発明においては、前記支持体の中でも、天然パルプを主成分とする原紙の両面にオレフィン系重合体をコーティングしたものが特に好ましい。
【0076】
<下塗り層>
本発明においては、前記支持体と前記感熱記録層との間に、下塗り層を有するのが好ましい。
前記下塗り層としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができるが、PAGI法の粘度が10〜30mP、PAGI法のゼリー強度が15〜70gであるゼラチン(以下単に「ゼラチン」と称する)と、層状の無機化合物とを含有するのが特に好ましい。また、ゼラチンの代わりにポリビニルアルコールを用いることも好ましい。
【0077】
前記PAGI法の粘度と、前記PAGI法のゼリー強度とは、写真用ゼラチン試験法合同審査会発行のパギイ法:写真用ゼラチン試験法、第7版(1992年版)による試験に基づいて測定したものである。
前記ゼラチンは、通常の方法で製造された公知のゼラチン(以下「通常のゼラチン」と称する)を低分子化することによって得られる。ただし、ここで言う「通常のゼラチン」とは、例えば「にかわとゼラチン(我孫子義弘編集、日本にかわ、ゼラチン工業組合刊(1987)に記載されているような牛骨、牛皮、豚皮などの原料を石灰、酸などで処理して製造されるもので、前記ゼラチンと比べるとはるかに大きな粘度とゼリー強度とを有している。
【0078】
前記通常のゼラチンは、原料、処理方法(例えば、石灰処理、酸処理)や抽出条件(温度、抽出回数)などの条件によって特徴づけられる。前記ゼラチンは、どのようなゼラチンを元にして低分子化して得てもよいが、抽出回数が少なく、低温で抽出されたものが、低粘度とゼリー強度とを前記数値範囲内に両立できる点で好ましい。
前記低分子化の方法としては、酵素を用いる方法、熱を用いる方法などが挙げられ、これらの中でも酵素を用いる方法が好ましい。前記熱を用いる方法の場合、粘度を好ましい値に下げたときに前記ゼリー強度が低くなってしまうことがある。なお、前記酵素としては、例えば、パパインが好適に挙げられる。
【0079】
前記ゼラチンにおける、前記PAGI法の粘度は1〜3mPa・sであり、前記PAGI法のゼリー強度は15〜70gであるが、前記PAGI法の粘度が1mPa・s未満であると、塗液の粘度低下が大きくなり、塗液中の顔料(雲母)の分散状態が悪くなることがあり、3mPa・sを超えると、塗工液の粘度が上昇し、塗布故障が生じ易くなることがある。また、前記PAGI法のゼリー強度が15g未満であると、塗膜強度が低下し、前記支持体との接着強度が低下することがあり、前記PAGI法のゼリー強度が70gよりも大きいと、塗膜のカールが環境変化により大きくなることがある。
【0080】
前記ゼラチンは、必要に応じて硬膜剤を用いて架橋してもよく、その場合、該硬膜剤としては、ゼラチンの硬膜剤として用いられている公知のものが挙げられ、例えば、ビニルスルホン化合物、活性ハロゲン化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、などが挙げられる。これらの中でも、エポキシ化合物が特に好ましく、該エポキシ化合物としては、例えば、以下に示す化合物が好適に挙げられる。
【0081】
【化6】
Figure 2004322516
【0082】
前記ゼラチンの前記下塗り層における塗布量としては、プリスター(印画記録時のプリンターサーマルヘッドの熱による細かな膨れ現象)を抑える観点からは、0.5g/m以上が好ましい。
【0083】
前記層状の無機化合物としては、膨潤性無機層状化合物が好適に挙げられる。前記膨潤性無機層状化合物の具体例としては、ベントナイト、ヘクトライト、サポナイト、ビーデライト、ノントロナイト、スチブンサイト、バイデライト、モンモリナイト等の膨潤性粘度鉱物類、膨潤性合成雲母、膨潤性合成スメクタイト、などが挙げられる。
【0084】
これらの膨潤性無機層状化合物は、厚みが10〜15×10−10m程度の単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘土鉱物よりも著しく大きい。その結果、格子層は、正荷電不足を生じ、それを補償するために層間にNa、Ca2+、Mg2+等の陽イオンを吸着している。これらの層間に介在している陽イオンは、「交換性陽イオン」と呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換する。特に層間の陽イオンがLi、Na等の場合、イオン半径が小さいため、層状結晶格子間の結合が弱く、水により大きく膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。前記膨潤性無機層状化合物の具体例の中でも、ベントナイト、膨潤性合成雲母は、その傾向が強い点で好ましく、膨潤性合成雲母が特に好ましい。
【0085】
前記膨潤性合成雲母としては、例えば、以下の化合物が好適に挙げられる。
NaテトラシックマイカNaMg2.5(Si10)F
Na又はLiテニオライト(NaLi)Mg(Si10)F
Na又はLiヘクトライト(NaLi)/3Mg2/3Li1/3(Si10)F
などが挙げられる。
【0086】
前記膨潤性合成雲母のサイズとしては、厚みが1〜50nmであり、平面サイズが1〜20μmである。前記厚みは、拡散制御の点では、薄ければ薄いほど好ましく、前記平面サイズは、塗布面の平滑性及び透明性を悪化しない範囲で大きいほど好ましい。前記膨潤性合成雲母のアスペクト比としては、通常100以上であり、200以上が好ましく、500以上がより好ましい。
【0087】
前記通常のゼラチンを使用した場合、雲母の比率(対ゼラチン1.5〜10以上)が増えると、一定固形分濃度(例えば、5〜10%)で増粘、ゲル化が進むため、粘度を下げることが必要になる。該粘度を下げるには、濃度を下げる方法があるが、濃度を下げることは塗膜の乾燥負荷を増大させ、厚塗りによる塗布面状が悪化してしまう。また、塗布液に尿素、塩等を添加する方法もあるが、十分に粘度低下が得られず、塗布後の面状も悪い。これに対し、前記ゼラチンは、このような弊害を生じることなく、増粘、ゲル化を著しく低減でき、雲母と混合して使用しても増粘、ゲル化を著しく低減することができる点で、有利である。
【0088】
前記水膨潤性合成雲母の前記下塗り層における含有量としては、雲母/ゼラチンの質量比率で1/20〜1/2が好ましい。
前記水膨潤性合成雲母の含有量が、1/20未満であると、下塗層が酸素遮断層として十分に機能しなくなることがあり、1/2を超えると、塗布性等の製造適性が悪化することがある。
【0089】
また、前記下塗層における雲母の塗布量としては、通常0.01g/m以上であり、0.02g/m以上が好ましい。
前記雲母の塗布量が、0.01g/m未満であると、下塗り層における酸素遮断能が低下し、地肌部の着色等を防止するという特性を発揮することができないことがある。
【0090】
<光透過率調整層>
本発明の感熱記録材料には、耐光性を向上させるために光透過率調整層を設けるのが好ましい。
光透過率調整層は、紫外線吸収剤前駆体を含有しており、定着に必要な領域の波長の光照射前は紫外線吸収剤として機能しないので光透過率が高く、光定着型感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を十分に透過させ、しかも可視光線の透過率も高いので、感熱記録層の定着に支障を来すこともない。この紫外線吸収剤前駆体は、マイクロカプセル中に含ませることが好ましい。
また、光透過率調整層に含有する化合物としては、特開平9−1928号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0091】
前記紫外線吸収剤前駆体は、感熱記録層の光照射による定着に必要な領域の波長の光照射が終了した後、光または熱などで反応することにより紫外線吸収剤として機能するようになり、紫外線領域の定着に必要な領域の波長の光は紫外線吸収剤によりその大部分が吸収され、透過率が低くなり、感熱記録材料の耐光性が向上するが、可視光線の吸収効果がないから、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
光透過率調整層は感熱記録材料中に少なくとも1層設けることができ、最も望ましくは感熱記録層と保護層との間に形成するのがよいが、光透過率調整層を保護層と兼用するようにしてもよい。光透過率調整層の特性は、感熱記録層の特性に応じて任意に選定することができる。
【0092】
光透過率調整層形成用の塗布液(光透過率調整層用塗布液)は、前記各成分を混合して得られる。該光透過率調整層塗布液を、例えばバーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等の公知の塗布方法により塗布して形成することができる。光透過率調整層は、感熱記録層等と同時塗布してもよく、例えば感熱記録層形成用の塗布液を塗布し一旦感熱記録層を乾燥させた後、該層上に塗布形成してもよい。
光透過率調整層の乾燥塗布量としては、0.8〜4.0g/mが好ましい。
【0093】
〈中間層〉
感熱記録層を複数積層する場合、各感熱記録層間には中間層を設けることが好ましい。該中間層には、前記保護層と同様、各種バインダーに更に顔料、滑剤、界面活性剤、分散剤、蛍光増白剤、金属石鹸、紫外線吸収剤等を含ませることができる。前記バインダーとしては、保護層と同様のバインダーが使用できる。また、感熱記録材料の膜硬度を向上させるために、中間層用塗布液には、例えば、ホウ酸等保護層のバインダーと架橋反応する架橋剤などの硬化剤を添加してもよい。
【0094】
前記感熱記録層、保護層、光透過率調整層、中間層等は、支持体上に、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等の公知の塗布方法により塗布し、乾燥して形成することができる。
【0095】
(酸化防止剤)
本発明においては、耐光性を更に向上させるため、以下に示す公知の酸化防止剤を前記感熱記録材料中に添加することができる。
このような酸化防止剤としては、例えば、ヨーロッパ公開特許第310551号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、ヨーロッパ公開特許第310552号公報、特開平3−121449号公報、ヨーロッパ公開特許第459416号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開昭63−163351号公報、アメリカ特許第4814262号、特開昭54−48535号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4980275号、特開昭63−113536号公報、特開昭62−262047号公報、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、ヨーロッパ公開特許第309402号公報、ヨーロッパ公開特許第309401号公報等に記載の酸化防止剤などが挙げられ、具体的には、以下のものが挙げられる。
【0096】
【化7】
Figure 2004322516
【0097】
【化8】
Figure 2004322516
【0098】
【化9】
Figure 2004322516
【0099】
【化10】
Figure 2004322516
【0100】
【化11】
Figure 2004322516
【0101】
【化12】
Figure 2004322516
【0102】
【化13】
Figure 2004322516
【0103】
【化14】
Figure 2004322516
【0104】
また、特開昭60−125470号公報、特開昭60−125471号公報、特開昭60−125472号公報、特開昭60−287485号公報、特開昭60−287486号公報、特開昭60−287487号公報、特開昭62−146680号公報、特開昭60−287488号公報、特開昭62−282885号公報、特開昭63−89877号公報、特開昭63−88380号公報、特開昭63−088381号公報、特開平01−239282号公報、特開平04−291685号公報、特開平04−291684号公報、特開平05−188687号公報、特開平05−188686号公報、特開平05−110490号公報、特開平05−1108437号公報、特開平05−170361号公報、特開昭63−203372号公報、特開昭63−224989号公報、特開昭63−267594号公報、特開昭63−182484号公報、特開昭60−107384号公報、特開昭60−107383号公報、特開昭61−160287号公報、特開昭61−185483号公報、特開昭61−211079号公報、特開昭63−251282号公報、特開昭63−051174号公報、特公昭48−043294号公報、特公昭48−033212号公報、などに記載の酸化防止剤が挙げられる。
【0105】
具体例には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス−4−ヒドロキシフェニルプロパン、1,1−ビス−4−ヒドロキシフェニル−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドールがなどが挙げられる。
これらの酸化防止剤は、前記感熱記録層、前記中間層、前記光透過率調整層、前記保護層に添加することができる。
【0106】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において「部」は、特に断りのない限り総て「質量部」を意味する。
【0107】
[実施例1]
<フタル化ゼラチン溶液の調製>
フタル化ゼラチン(商品名;MGPゼラチン,ニッピコラーゲン(株)製)32部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)0.7部、イオン交換水367.1部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0108】
<アルカリ処理ゼラチン溶液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン(株)製)25.5部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)0.6部、水酸化カルシウム0.153部、イオン交換水143.6部を混合し、50℃にて溶解し、乳化物作製用アルカリ処理ゼラチン水溶液を得た。
【0109】
(1)イエロー感熱記録層液の調製
<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製>
酢酸エチル16.1部に、下記ジアゾニウム化合物(A)(最大吸収波長420nm)2.6部、下記ジアゾニウム化合物(B)(最大吸収波長420nm)2.1部、モノイソプロピルビフェニル4.8部、フタル酸ジフェニル4.8部およびジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO,BASFジャパン(株)製)0.4部を添加し、40℃に加熱して均一に溶解した。該混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名;タケネートD119N(50%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)8.6部を添加し、均一に攪拌し混合液(I)を得た。
【0110】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液58.6部にイオン交換水16.3部、Scraph AG−8(50%;日本精化(株)製)0.34部添加し、混合液(II)を得た。
混合液(II)に混合液(I)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水20部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応をおこなった。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.36μmであった。
【0111】
【化15】
Figure 2004322516
【0112】
<カプラー化合物乳化液(a)の調製>
酢酸エチル33.0部に下記カプラー化合物(C)9.9部と、トリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)9.9部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井化学(株)製))20.8部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン3.3部、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)13.6部、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.8部、およびドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C,70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)4.2部とを溶解し、混合液(III)を得た。
【0113】
別途前記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(IV)を得た。
混合液(IV)に混合液(III)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が26.5%になるように濃度調節をおこなった。得られたカプラー化合物乳化物の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.21μmであった。
更に前記カプラー化合物乳化物100部に対して、SBRラテックス(商品名SN−307,48%液、住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5%に濃度調整したものを9部添加して均一に撹拌してカプラー化合物乳化液(a)を得た。
【0114】
【化16】
Figure 2004322516
【0115】
<塗布液(a)の調製>
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)および前記カプラー化合物分乳化液(a)を、内包しているカプラー化合物/ジアゾ化合物の質量比が2.1/1になるように混合し、感熱記録層用塗布液(a)を得た。
【0116】
(2)マゼンタ感熱記録層液の調製
<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)の調製>
酢酸エチル15.1部に、下記ジアゾニウム化合物(D)(最大吸収波長365nm)3.0部、フタル酸ジフェニル2.8部、フェニル2−ベンゾイロキシ安息香酸エステル3.9部および下記エステル化合物(商品名;ライトエステルTMP,共栄油脂化学(株)製)5.2部およびドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C,70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)0.1部を添加し、加熱して、均一に溶解した。該混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名;タケネートD119N(50%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)2.5部とキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)6.8部を添加し、均一に攪拌し混合液(V)を得た。
【0117】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液55.3部にイオン交換水21.0部添加、混合し、混合液(VI)を得た。
混合液(VI)に混合液(V)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水24部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応をおこなった。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.43μmであった。
【0118】
【化17】
Figure 2004322516
【0119】
<カプラー化合物乳化液(b)の調製>
酢酸エチル36.9部に下記カプラー化合物(E)11.9部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)14.0部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))14.0部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン14部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン3.5部、下記化合物(G)3.5部、リン酸トリクレジル1.7部、マレイン酸ジエチル0.8部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C,70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)4.5部を溶解し、混合液(VII)を得た。
【0120】
別途アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(VIII)を得た。
混合液(VIII)に混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5%になるように濃度調節をおこない、カプラー化合物乳化液(b)を得た。得られたカプラー化合物乳化液の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.22μmであった。
【0121】
【化18】
Figure 2004322516
【0122】
<塗布液(b)の調製>
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)および前記カプラー化合物分乳化液(b)を、内包しているカプラー化合物/ジアゾ化合物の質量比が3.3/1になるように混合した。さらに、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)をカプセル液量10部に対し、0.2部になるように混合し、感熱記録層用塗布液(b)を得た。
【0123】
(3)シアン感熱記録層液の調製
<電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)の調製>
酢酸エチル18.1部に、下記電子供与性染料(H)7.6部、1−メチルプロピルフェニル−フェニルメタンおよび1−(1−メチルプロピルフェニル)−2−フェニルエタンの混合物(商品名;ハイゾールSAS−310,日本石油(株)製)8.0部、下記化合物(I)(商品名;Irgaperm2140 チバガイギー(株)製)8.0部を添加し、加熱して、均一に溶解した。該混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)7.2部とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名;ミリオネートMR−200,日本ポリウレタン工業(株)製)5.3部とを添加し、均一に攪拌し混合液(IX)を得た。
【0124】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液28.8部にイオン交換水9.5部、Scraph AG−8(50%;日本精化(株)製)0.17部およびドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(10%水溶液)4.3部を添加混合し、混合液(X)を得た。
混合液(X)に混合液(IX)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水50部、テトラエチレンペンタミン0.12部を加え均一化し、65℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応をおこないカプセル液の固形分濃度が33%になるように濃度調節しマイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で1.00μmであった。
更に前記マイクロカプセル液100部に対して、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム25%水溶液(商品名;ネオペレックスF−25、花王(株)製)2.5部と4,4’−ビストリアジニルアミノスチルベン−2,2‘−ジスルフォン誘導体を含む蛍光増白剤(商品名;Kaycoll BXNL、日本曹達(株)製)4.2部を添加して均一に撹拌してマイクロカプセル分散液(c)を得た。
【0125】
【化19】
Figure 2004322516
【0126】
<電子受容性化合物分散液(c)の調製>
前記フタル化ゼラチン水溶液11.3部にイオン交換水30.1部、4,4‘−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールP、三井石油化学(株)製)15部、2%−2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウム水溶液3.8部を加えて、ボールミルにて一晩分散し、分散液を得た。この分散液の、固形分濃度は26.6%であった。
前記分散液100部に、前記アルカリ処理ゼラチン水溶液45.2部加えて、30分攪拌した後、分散液の固形分濃度が23.5%となるようにイオン交換水を加えて電子受容性化合物分散液(c)を得た。
【0127】
<塗布液(c)の調製>
前記電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)および前記電子受容性化合物分散液(c)を、電子受容性化合物/電子供与性染料前駆体の質量比が10/1になるように混合し、塗布液(c)を得た。
【0128】
(4)中間層用塗布液の調製
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン(株)製)100.0部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)2.857部、水酸化カルシウム0.25部、イオン交換水521.643部を混合し、50℃にて溶解し、中間層作製用ゼラチン水溶液を得た。
【0129】
前記中間層作製用ゼラチン水溶液10.0部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製,2.0%水溶液)0.05部、ホウ酸(4.0%水溶液)2.07部、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)0.19部、下記化合物(J)(和光純薬(株)製)の4%水溶液3.42部、下記化合物(J’)(和光純薬(株)製)の4%水溶液1.13部、イオン交換水0.67部を混合し、中間層用塗布液とした。
【0130】
【化20】
Figure 2004322516
【0131】
(5)光透過率調整用塗布液の調製
<紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液の調製>
酢酸エチル71部に紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート14.5部、2,2’−t−オクチルハイドロキノン2.5部、燐酸トリクレジル1.0部、α−メチルスチレンダイマー(商品名:MSD−100,三井化学(株)製)5.7部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液),竹本油脂(株)製)0.45部を溶解し均一に溶解した。前記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)54.7部を添加し、均一に攪拌し紫外線吸収剤前駆体混合液を得た。
【0132】
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−318,クラレ(株)製)52部に30%燐酸水溶液8.9部、イオン交換水532.6部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液を調製した。
【0133】
前記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液516.06部に前記紫外線吸収剤前駆体混合液を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃の下で乳化分散した。得られた乳化液にイオン交換水254.1部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応をおこなった。この後、イオン交換樹脂アンバーライトMB−3(オルガノ(株)製)94.3部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除きカプセル液の固形分濃度が13.5%になるように濃度調節した。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.23±0.05μmであった。このカプセル液859.1部にカルボキシ変性スチレンブタジエンラテックス(商品名:SN−307,(48%水溶液),住友ノーガタック(株)製)2.416部、イオン交換水39.5部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。
【0134】
<光透過率調整層用塗布液の調製>
前記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液1000部、4%水酸化ナトリウム水溶液7.75部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製,2.0%水溶液)73.39部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
【0135】
(6)保護層用塗布液の調製
保護層形成後の固形分濃度が以下の濃度となるように保護層用塗布液を調製した。
ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物 1.00g/m
(電気化学工業(株)製、EP−130)
下記アルキルスルホコハク酸塩A 0.060g/m
硫酸バリウム 0.50g/m
(堺化学工業(株)製、BF−21F,硫酸バリウム含有量93%以上)
コロイダルシリカ(日産化学(株)製、スノーテックスO)0.050g/m
小麦澱粉(新進食料工業(株)製、小麦澱粉S) 0.040g/m
ステアリン酸亜鉛分散液 0.22g/m
(中京油脂(株)製、ハイミクロンLIII、21%水溶液)
硫酸ジルコニウム(ニューテックス(株)製) 0.016g/m
【0136】
【化21】
Figure 2004322516
【0137】
<支持体の作製>
(下塗り層用塗布液の調製)
酵素分解ゼラチン(平均分子量:10000、PAGI法粘度:1.5mPa・s(15mP)、PAGI法ゼリー強度:20g)40部をイオン交換水60部に加えて40℃で攪拌溶解して下塗り層用ゼラチン水溶液を調製した。
別途水膨潤性の合成雲母(アスペクト比:1000、商品名:ソマシフME100,コープケミカル社製)8部と水82部とを混合した後、ビスコミルで湿式分散し、平均粒径が2.0μmの雲母分散液を得た。この雲母分散液に雲母濃度が5%となるように水を加え、均一に混合し、所望の雲母分散液を調製した。
【0138】
40℃の40%前記下塗り層用ゼラチン水溶液100部に、水120部およびメタノール556部を加え、十分攪拌混合した後、5%前記雲母分散液208部を加えて、十分攪拌混合し、1.66%ポリエチレンオキサイド系界面活性剤9.8部を加えた。そして液温を35℃〜40℃に保ち、エポキシ化合物のゼラチン硬膜剤7.3部を加えて下塗り層用塗布液(5.7%)を調製し、下塗り用塗布液を得た。
【0139】
(下塗り層付き支持体の作製)
LBPS50部とLBPK50部とからなる木材パルプをデイスクリファイナーによりカナデイアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、硫酸アルミニウム1.5部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部をいずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し長網抄紙機により坪量114g/mの原紙を抄造し、キャレンダー処理を施して厚み100μmに調整した。
【0140】
次に原紙の両面にコロナ放電処理を施した後、溶融押し出し機を用いてポリエチレンを樹脂厚36μmとなるようにコーテイングし、マット面からなる樹脂層を形成した(この面を「ウラ面」と称する。)。次に前記樹脂層を形成した面とは反対側に溶融押し出し機を用いてアナターゼ型二酸化チタンを10%および微量の群青を含有したポリエチレンを樹脂厚50μmとなるようにコーテイングし光沢面からなる樹脂層を形成した(この面を「オモテ面」と称する)。ウラ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理を施した後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(商品名;アルミナゾル100、日産化学工業(株)製)/二酸化珪素(商品名;スノーテックスO、日産化学工業(株)製)=1/2(質量比)を水に分散させて乾燥後の質量で0.2g/m塗布した。次にオモテ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理を施した後、前記下塗り層用塗布液を雲母の塗布量が0.26g/mとなるように塗布し、下塗り層付き支持体を得た。
【0141】
<各感熱記録層用塗布液の塗布>
前記下塗り層付き支持体の表面に、下から、前記感熱記録層用塗布液(c)、前記中間層(中間層A)用塗布液、前記感熱記録層用塗布液(b)、前記中間層(中間層B)用塗布液、前記感熱記録層用塗布液(a)、前記光透過率調整層用塗布液、前記保護層用塗布液の順に7層同時に連続塗布し、30℃・湿度30%、および40℃・湿度30%の条件でそれぞれ乾燥して実施例1の多色感熱記録材料を得た。
この際、前記感熱記録層用塗布液(a)の塗布量は液中に含まれるジアゾニウム化合物(A)の塗布量が固形分塗布量で0.078g/mとなるように調整し、同様に前記感熱記録層用塗布液(b)の塗布量は液中に含まれるジアゾニウム化合物(D)の塗布量が固形分塗布量で0.206g/mとなるように調整し、同様に前記感熱記録層用塗布液(c)の塗布量は液中に含まれる電子供与性染料(H)の塗布量が固形分塗布量で0.355g/mとなるように調整して塗布を行った。
【0142】
また、前記中間層B用塗布液は固形分塗布量が2.39g/m、前記中間層A用塗布液は固形分塗布量が3.34g/m、前記光透過率調整層用塗布液は固形分塗布量が2.35g/m、保護層用塗布液は固形分塗布量が1.39g/mとなるように塗布をおこなった。
【0143】
[実施例2]
実施例1の(6)保護層用塗布液の調製において、アルキルスルホコハク酸塩Aを下記アルキルスルホコハク酸塩B0.10g/mに変更したこと以外は実施例1と同様にして実施例2の多色感熱記録材料を得た。
【0144】
【化22】
Figure 2004322516
【0145】
[実施例3]
実施例1の(6)保護層用塗布液の調製において、アルキルスルホコハク酸塩A0.060g/mを0.12g/mに変更したこと以外は実施例1と同様にして実施例3の多色感熱記録材料を得た。
【0146】
[実施例4]
実施例1の(6)保護層用塗布液の調製において、ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物1.00g/mを1.20g/mに変更したこと、及び硫酸ジルコニウム0.016g/mを0.030g/mに変更したこと以外は実施例1と同様にして実施例4の多色感熱記録材料を得た。
【0147】
[実施例5]
実施例1の(6)保護層用塗布液の調製において、硫酸ジルコニウム0.016g/mを炭酸ジルコニウム(ニューテックス(株)製)0.02g/mに変更したこと以外は実施例1と同様にして実施例4の多色感熱記録材料を得た。
【0148】
[比較例1]
実施例1の(6)保護層用塗布液の調製において、アルキルスルホコハク酸塩A0.060g/mを下記化合物C0.06g/mに変更したこと、及び同保護層用塗布液の調製において、硫酸ジルコニウムを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして比較例1の多色感熱記録材料を得た。
【0149】
【化23】
Figure 2004322516
【0150】
[比較例2]
実施例1の(6)保護層用塗布液の調製において、アルキルスルホコハク酸塩A0.060g/mを前記化合物C0.06g/mに変更したこと以外は実施例1と同様にして比較例2の多色感熱記録材料を得た。
【0151】
[比較例3]
実施例1の(6)保護層用塗布液の調製において、アルキルスルホコハク酸塩A0.060g/mを前記化合物C0.10g/mに変更したこと以外は実施例1と同様にして比較例1の多色感熱記録材料を得た。
【0152】
《評価》
前記各実施例および各比較例の多色感熱記録材料について以下の評価を行った。各々の結果を表1に示す。
【0153】
<光沢度の測定>
富士写真フイルム(株)製のデジタルプリンター「NC370D」を用いて、各感熱記録材料にグレーベタ画像(X−Rite、ビジュアル濃度=1.0)を印画した。各感熱記録材料の画像の鏡面光沢度をスガ試験機(株)製のデジタル変角光沢度計「UGV−5D」を用いて20°の入射角で測定した。結果を表1に示す。
【0154】
<耐光性の評価>
前記光沢度の測定と同様にして、デジタルプリンター「NC370D」を用いて、各感熱記録材料にグレーベタ画像を印画し、これを、蛍光灯試験機にて、28000lux、250時間照射後、黄変程度を地肌イエロー濃度(ΔDy)測定で評価した。測定結果を表1に示す。
【0155】
<面状評価>
前記<光沢度の測定>と同様にして、作製したグレーベタサンプルのA4サイズ3枚相当の面積分を目視観察し、スポット状の故障の多少を評価した。故障の大きさはルーペで観察した。「A4」1枚当たりの0.5mm以上の故障の多少を評価した。3個以下を○、4個以上を×とした。結果を表1に示す。
【0156】
【表1】
Figure 2004322516
【0157】
表1から、アルキルスルホコハク酸塩及びIV族の遷移金属化合物を両方とも保護層に含有する実施例1〜5の感熱記録材料は、比較例1〜3の感熱記録材料と比較して、光沢度が高く、地肌のイエローの濃度増加が少なく、また面状が優れていることが分かる。
【0158】
【発明の効果】
本発明によれば、高い光沢性を有し、かつ地肌の耐光性に優れると共に、塗布面状の悪化を防止して高画質の画像を安定して出力できる感熱記録材料を提供することができる。

Claims (2)

  1. 支持体上に、少なくとも感熱記録層と、水溶性樹脂を含有する保護層とを有する感熱記録材料であって、
    前記保護層が、さらに、アルキルスルホコハク酸塩と、IV族の遷移金属化合物とを含有することを特徴とする感熱記録材料。
  2. 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録材料。
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