JP2004142143A - 感熱記録材料 - Google Patents
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Abstract
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱記録材料に関し、特に、画像部の発色濃度に優れた感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、感熱記録材料は比較的廉価であって、その記録機器がコンパクトであり、且つメンテナンスフリーであるため広範囲において使用されている。そのような中、最近では感熱記録材料の販売競争が激化し、感熱記録材料に従来の機能とは差別化された一層の高機能化が要求されている。かかる要求に応えるべく、感熱記録材料の発色濃度や画像保存性、ヘッドマッチング性等についての研究が鋭意おこなわれている。
【0003】
感熱記録材料の保存性を改善するための一つの方法として、電子供与性染料前駆体をマイクロカプセル内に内包し、記録層中で電子受容性化合物と該染料を隔離することにより、画像の保存性を高める方式が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。これによって電子供与性染料前駆体を固体分散物として塗布乾燥した場合と比較して高い発色性と画像安定性を得ることができる。
【0004】
前記電子受容性化合物としては、フェノール誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステルなどが用いられてきた。しかしフェノール誘導体やヒドロキシ安息香酸エステルを電子受容性化合物としたときは、保存性の点で問題を有していた。それに対しサリチル酸金属塩誘導体を電子受容性化合物とすることは、保存性を向上する上で有効である。しかしながら、上記電子供与性染料前駆体をマイクロカプセル内に内包する方式では、電子受容性化合物としてサリチル酸金属塩誘導体を用いると、十分に記録材料の画像部の発色濃度を高めることが困難であり、さらなる改良が望まれていた。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−114153号公報 (第4−10頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、画像部の発色濃度に優れた感熱記録材料を提供することを課題とする
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、電子受容性化合物として一定のサリチル酸金属塩誘導体を用いることにより解決された。
即ち、本発明は、
<1> 支持体上に感熱記録層を有し、該感熱記録層が、電子受容性化合物と、マイクロカプセルに内包された電子供与性無色染料とを、発色成分として含む感熱記録材料であって、前記電子受容性化合物が下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする感熱記録材料である。
【0008】
【化5】
【0009】
前記一般式(1)中、R1は、水素原子、アルキル基、アリル基、アリール基を表す。Mはn価の金属イオンを表し、nは1〜3の整数を表す。Phはフェニル基を表し、1ないし2の置換基を有していてもよい。
【0010】
<2> 前記電子受容性化合物が下記一般式(2)で表される請求項1に記載の感熱記録材料である。
【0011】
【化6】
【0012】
前記一般式(2)中、R1、R2は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリル基、アリール基を表す。Mはn価の金属イオンを表し、nは1〜3の整数を表す。
【0013】
<3> 前記電子受容性化合物が下記一般式(3)で表される請求項1に記載の感熱記録材料である。
【0014】
【化7】
【0015】
前記一般式(3)中、R1、R2は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリル基、アリール基を表す。
【0016】
<4> 前記電子受容性化合物が下記一般式(4)で表される請求項1に記載の感熱記録材料である。
【0017】
【化8】
【0018】
前記一般式(4)中、R1は、水素原子、アルキル基、アリル基、アリール基を表す。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の感熱記録材料は、支持体上に感熱記録層を有し、該感熱記録層が、電子受容性化合物と、マイクロカプセルに内包された電子供与性無色染料とを発色成分として含む感熱記録材料であって、前記電子受容性化合物が下記一般式(1)で表されるサリチル酸金属塩誘導体であることを特徴とする。下記一般式(1)で表されるサリチル酸金属塩誘導体を電子受容性化合物とすることにより、高い発色濃度と、優れた耐光性との両立を実現することができる
以下、本発明の感熱記録材料について説明する。
【0020】
【化9】
【0021】
《サリチル酸金属塩誘導体》
前記一般式(1)中のR1は、水素原子、アルキル基、アリル基、アリール基を表す。
前記アルキル基はC1〜C20のアルキル基が好ましく、C1〜C10のアルキル基がより好ましく、C1〜C4のアルキル基が発色性の観点から最も好ましい。前記アルキル基は直鎖でも分岐していてもよく、さらにはシクロ環でもよい。
【0022】
前記アリル基はC1〜C20のアリル基が好ましく、C1〜C10のアリル基がより好ましく、C1〜C4のアリル基が発色性の観点から最も好ましい。前記アリル基は直鎖でも分岐していてもよく、さらにはシクロ環でもよい。
【0023】
前記アリール基はC1〜C20のアリール基が好ましく、前記アリール基は水酸基、ないしはC1〜C10のアルキル基により置換されていてもよく、置換しているアルキル基は直鎖でも分岐していてもよい。
【0024】
前記R1として具体的には、水素原子、メチル基、t−ブチル基、t−オクチル基、n−ヘキシル基、3−ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ベンジル基、α―メチルベンジル基、α,α―ジメチルベンジル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、アセチル基等を挙げることができる。
これらの中でも、水素原子、メチル基、t−ブチル基、t−オクチル基、フェニル基が特に好ましい。
【0025】
前記一般式(1)中、Mは1から3価の金属イオンを表し、アルミニウムイオン、2価及び3価の鉄イオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオンなどが好ましい。これらの中でも発色性、及び白地部の白色度の観点から亜鉛イオンが特に好ましい。
【0026】
前記一般式(1)中、Phはフェニル基を表す。前記フェニル基の置換位置は特に限定はされないが、オルト位が最も好ましい。前記フェニル基は1ないし2の置換基を有していてもよい。前記置換基としてはアルキル基、アリル基、アリール基が好ましい。前記アリル基としてはC1〜C20のアリル基が好ましく、C1〜C10のアリル基がより好ましく、C1〜C4のアリル基が発色性の観点から最も好ましい。前記アルキル基は直鎖でも分岐していてもよく、さらにはシクロ環でもよい。
【0027】
前記アリル基としてはC1〜C20のアリル基が好ましく、C1〜C10のアリル基がより好ましく、C1〜C4のアリル基が発色性の観点から最も好ましい。前記アリル基は直鎖でも分岐していてもよく、さらにはシクロ環でもよい。
また、前記アリール基としてはC1〜C20のアリール基が好ましく、前記アリール基は水酸基、ないしはC1〜C10のアルキル基により置換されていてもよい。
【0028】
前記一般式(1)で表されるサリチル酸金属塩誘導体は、下記一般式(2)で表される構造がより好ましい。
【0029】
【化10】
【0030】
前記一般式(2)において、R1は前記一般式(1)に示すR1と同一の置換基を表す。またR2としては具体的には、水素原子、メチル基、t−ブチル基、t−オクチル基、n−ヘキシル基、3−ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ベンジル基、α―メチルベンジル基、α,α―ジメチルベンジル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、アセチル基等を挙げることができる。
これらの中でも、水素原子、メチル基、t−ブチル基、t−オクチル基、フェニリ基が特に好ましい。
【0031】
前記一般式(1)で表されるサリチル酸金属塩誘導体の分子量は壁透過性の観点から700以下が好ましく、600以下がさらに好ましい。
また、これらのサリチル酸金属塩は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0032】
前記サリチル酸金属塩の具体例を、前記一般式(2)に表されるR1、R2及びMを具体的に示すことにより下記表1に示すが、本発明においては、これらに限定されるものではない。
【0033】
【表1】
【0034】
《感熱記録層》
本発明における感熱記録層の少なくとも1層は、前記一般式(1)で表される電子受容性化合物と共に、電子供与性無色染料を少なくとも1種含有している層であり、さらに他の感熱記録層が設けられていてもよい。以下、本発明における感熱記録層について説明する。
【0035】
<電子受容性化合物と電子供与性無色染料>
本発明の感熱記録材料は、前記一般式(1)で表される化合物を電子受容性化合物とすることを特徴とするが、前記一般式(1)で表される化合物に加えて、本発明の効果を損なわない範囲において、公知の電子受容性化合物を併用してもよい。
【0036】
前記公知の電子受容性化合物としては、フェノール誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル、などが挙げられる。これらの中でも、ビスフェノール類が特に好ましく、具体的には、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノールなどが特に好ましい。
【0037】
前記一般式(1)で表される電子受容性化合物の塗布量は特に限定されないが、固形分塗布量で0.5〜10.0g/m2が好ましく、1.0〜5.0g/m2がより好ましい。
【0038】
前記電子供与性無色染料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の物の中から適宜選択することができ、本発明においては電子供与性無色染料前駆体を用いることができる。
【0039】
前記電子供与性無色染料前駆体としては、例えば、トリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、キサンテン系化合物、スピロピラン系化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、これらの中でも、発色濃度が高く有用な点で、トリアリールメタン系化合物、キサンテン系化合物が好ましい。これらの例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(即ちクリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノ)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、
【0040】
2−ベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−シクロヘキシルメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−イソアミルエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−オクチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−2−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン、などが挙げられる。
【0041】
前記電子供与性無色染料の塗布量は特に限定されないが、固形分塗布量で0.01〜2.0g/m2が好ましく、0.1〜0.6g/m2がより好ましい。
【0042】
<ジアゾニウム塩化合物とカプラー>
本発明の感熱記録材料は、感熱記録層を複数有する場合、発色するのに必要なエネルギーの異なる発色剤を用いることが必要である。また本発明の感熱記録材料はフルカラーでもよく、また、モノカラーでもよいが、既述の電子供与性無色染料及び前記一般式(1)で表される電子受容性化合物を含有する感熱記録層の他に、ジアゾニウム塩化合物、該ジアゾニウム塩化合物とカップリング反応するカプラーを含むジアゾ系発色剤とバインダーとを主成分とする感熱記録層(光定着型感熱記録層)を少なくとも一層有するものが望ましい。
また感熱記録層の発色剤としては、前記のジアゾ系発色剤の他に、塩基性化合物と接触して発色する塩基発色系、キレート発色系、求核剤と反応して脱離反応を起こし発色する発色系等のいずれでもよい。
【0043】
前記感熱記録層が、前記ジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する場合、該感熱記録層には、該ジアゾニウム塩化合物と該カプラーとの発色反応を促進する塩基性物質等が好適に添加される。
【0044】
前記ジアゾニウム塩化合物は、下記一般式(B)で表される化合物であり、これらはAr部分の置換基の位置や種類によってその最大吸収波長を制御することができるものである。
一般式(B): A−N2 +X−
前記一般式(B)において、Aは、アリール基を表す。X−は、酸アニオンを表す。
【0045】
前記ジアゾニウム塩化合物の具体例としては、4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジオクチルアミノベンゼンジアゾニウム、4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジヘキシルアミノ−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−N−エチル−N−ヘキサデシルアミノ−2−エトキシベンゾジアゾニウム、3−クロロ−4−ジオクチルアミノ−2−オクチルオキシオベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−モルホリノベンゼンジアゾニウム、2,5−オクトキシ−4−モルホリノベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジエトキシ−4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−トリルチオベンゼンジアゾニウム、3−(2−オクチルオキシエトキシ)−4−モロホリノベンゼンジアゾニウムなどの酸アニオン塩及び下記ジアゾニウム塩化合物(D−1〜5)が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ヘキサフルオロフォスフェート塩、テトラフルオロボレート塩、1,5−ナフタレンスルホネート塩が特に好ましい。
【0046】
【化11】
【0047】
これらのジアゾニウム塩化合物の中でも、300〜400nmの波長の光により光分解する、4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジオクチルアミノベンゼンジアゾニウム、4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジヘキシルアミノ−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−N−エチル−N−ヘキサデシルアミノ−2−エトキシベンゾジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジエトキシ−4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、前記具体例D−3〜5に示すジアゾニウム塩化合物が特に好ましい。
なお、ここでいうジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長は、それぞれのジアゾニウム化合物を0.1〜1.0g/m2の塗布量で塗膜にしたものを分光光度計(Shimazu MPS−2000)により測定したものである。
【0048】
前記ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとしては、例えば、レゾルシン、フルルグルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ−6−スルファニルナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸エタノールアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−N−ドデシルオキシプルピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸テトラデシルアミド、アセトアニリド、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、2−クロロ−5−オクチルアセトアセトアニリド、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’−オクチルフェニル)−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラロン、1−フェニル−3−フェニルアセトアミド−5−ピラゾロン、下記(C−1〜6)に示す化合物、などが挙げられる。これらのカプラーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
【0049】
【化12】
【0050】
【化13】
【0051】
前記塩基性物質としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、無機又は有機の塩基性化合物の外、加熱時に分解等を生じアルカリ物質を放出するような化合物も含まれ、代表的なものとしては、有機アンモニウム塩、有機アミン、アミド、尿素及びチオ尿素さらにそれらの誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルホリン類、ピペリジン類、アミジン類、フォルムアジン類、ピリジン類等の含窒素化合物が挙げられる。
【0052】
これらの具体例としては、トリシクロヘキシルアミン、トリベンジルアミン、オクタデシルベンジルアミン、ステアリルアミン、アリル尿素、チオ尿素、メチルチオ尿素、アリルチオ尿素、エチレンチオ尿素、2−ベンジルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾリン、2,4,5−トリフリル−2−イミダゾリン、1,2−ジフェニル−4,4−ジメチル−2−イミダゾリン、2−フェニル−2−イミダゾリン、1,2,3−トリフェニルグアニジン、1,2−ジシクロヘキシルグアニジン、1,2,3−トリシクロヘキシルグアニジン、グアニジントリクロロ酢酸塩、N,N’−ジベンジルピペラジン、4,4’−ジチオモルホリン、モルホリニウムトリクロロ酢酸塩、2−アミノベンゾチアゾール、2−ベンゾイルヒドラジノベンゾチアゾールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0053】
<バインダー、その他>
感熱記録層に用いることができるバインダーとしては、公知の水溶性高分子化合物やラテックス類等が挙げられる。前記水溶性高分子化合物としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビアゴム、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等及びこれらの変性物、等が挙げられ、前記ラテックス類としては、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
【0054】
また、発色画像の光及び熱に対する堅牢性を向上させる、又は定着後の未印字部分(非画像部)の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることも好ましい。
前記酸化防止剤としては、例えば、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
【0055】
<マイクロカプセル>
本発明における感熱記録層において、前記電子供与性無色染料、前記電子受容性化合物、前記ジアゾニウム塩化合物、前記カプラー、前記塩基性物質、等の含有の態様については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、これらを、(1)固体分散による含有させる方法、(2)乳化分散により含有させる方法、(3)ポリマー分散により含有させる方法、(4)ラテックス分散により含有させる方法、(5)マイクロカプセルに内包して含有させる方法、などが挙げられる。
【0056】
これらの中でも、保存性の観点から、マイクロカプセルに内包して前記感熱記録層中に含有させる方法が好ましい。特に、電子供与性無色染料はマイクロカプセルに内包して含有させる方法が好ましい。また、ジアゾニウム塩化合物およびカプラーを含有する感熱記録層を有する場合も、前記ジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセルに内包して含有させる方法が好ましい。
【0057】
前記電子供与性無色染料をマイクロカプセルに内包させる方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、前記電子供与性無色染料前駆体と、マイクロカプセル壁前駆体とを水に難溶又は不溶の有機溶剤に溶解し、水溶性高分子の水溶液中に添加しホモジナイザーなどを用いて乳化分散し、昇温してマイクロカプセル壁となる高分子物質を油/水界面に壁膜を形成することにより、前記電子供与性無色染料を調製することができる。
【0058】
前記マイクロカプセル壁膜の具体例としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンーアクリレート共重合体樹脂、スチレンーメタクリレート共重合体樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール、などからなる壁膜が挙げられる。これらの中でも、ポリウレタン・ポリウレア樹脂からなる壁膜が好ましい。
【0059】
前記ポリウレタン・ポリウレア樹脂からなる壁膜を有するマイクロカプセルは、例えば、多価イソシアネート等のマイクロカプセル壁前駆体を、マイクロカプセルに内包させる芯物質中に混合し、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子の水溶液に乳化分散し、液温を上昇させて油滴界面で高分子形成反応を起こすことによって製造される。
【0060】
前記多価イソシアネート化合物の具体例としては、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート等のジイソシアネート類、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート等のトリイソシアネート類、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等のテトライソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、2,4ートリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物等のイソシアネートプレポリマー、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、これらの中でも、分子内にイソシアネート基を三個以上有するものが特に好ましい。
【0061】
前記電子供与性無色染料をマイクロカプセルに内包させる方法において、前記電子供与性無色染料を溶解させる有機溶剤は、常温で固体であってもよいし、液体であってもよく、ポリマーであってもよく、酢酸エステル、メチレンクロライド、シクロヘキサノン等の低沸点補助溶剤及び/又は燐酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、その他のカルボン酸エテスル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタン、塩素化パラフィン、アルコール系、フェノール系、エーテル系、モノオレフィン系、エポキシ系、などが挙げられる。具体例としては、燐酸トリクレジル、燐酸トリオクチル、燐酸オクチルジフェニル、燐酸トリシクロヘキシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジラウレート、フタル酸ジシクロヘキシル、オレフィン酸ブチル、ジエチレングリコールベンゾエート、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、トリメリット酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸オクチル、マレイン酸ジブチル、イソアミルビフェニル、塩素化パラフィン、ジイソプロピルナフタレン、1,1’−ジトリルエタン、2,4−ジタ−シャリアミルフェノール、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−ターシャリオクチルアニリン、ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルエステル、ポリエチレングリコール等の高沸点オイル、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、これらの中でも、アルコール系、燐酸エステル系、カルボン酸系エステル系、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタンが好ましい。
【0062】
また、マイクロカプセルの油相を水相中に分散するための水溶性高分子としては、、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アミノ変性ポリビニルアルコール、イタコン酸変性ポリビニルアルコール、スチレンー無水マレイン酸共重合体、ブタジエン無水マレイン酸共重合体、エチレン無水マレイン酸共重合体、イソブチレン無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、ゼラチンなどが挙げられる。
【0063】
ジアゾニウム塩化合物等をマイクロカプセルに内包させる方法も、前記電子供与性無色染料をマイクロカプセルに内包させる方法と同様である。
前記マイクロカプセルの平均粒径としては、0.1〜5.0μmが好ましく、0.2〜2.0μmがより好ましい。
【0064】
《感熱記録材料》
<多層構造>
本発明における感熱記録層を多層構造とする場合、各感熱記録層の色相を変えることにより、多色の感熱記録材料を得ることができる。この場合の層構成としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、本発明においては、感光波長の異なる2種のジアゾニウム塩化合物と、それぞれのジアゾニウム塩化合物と熱時反応して異なった色相に発色するカプラーとを組み合わせた感熱記録層2層と、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを組み合わせた感熱記録層と、を積層した多色の感熱記録層とするのが好ましい。即ち、後述する支持体上に、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを含む感熱記録層A、最大吸収波長が360±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する感熱記録層B−1、最大吸収波長が400±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する感熱記録層B−2、をこの順に積層した多色の感熱記録材料が好ましい。
【0065】
この多色の感熱記録材料の記録方法としては、まず感熱記録層B−2を加熱し、該感熱記録層B−2に含まれるジアゾニウム塩化合物とカプラーとを発色させる。次に、400±20nmの光を照射して感熱記録層B−2中に含まれている未反応のジアゾニウム塩化合物を分解させた後、感熱記録層B−1が発色するに十分な熱を加え、該感熱記録層B−1に含まれているジアゾニウム塩化合物とカプラーとを発色させる。このとき、感熱記録層B−2も同時に強く加熱されるが、すでにジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色はしない。さらに360±20nmの光を照射して感熱記録層B−1に含まれているジアゾニウム塩化合物を分解し、最後に感熱記録層Aが発色する十分な熱を加えて発色させる。このとき感熱記録層B−2及び感熱記録層B−1も同時に強く加熱されるが、すでにジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色しない。
【0066】
以上の多色の感熱記録層の場合において、各感熱記録層の発色色相を減色混合における3原色、イエロー、マゼンタ、シアンとなるように選んでおけば、フルカラーの画像記録が可能となる。
【0067】
本発明の感熱記録材料においては、支持体上に単数若しくは複数の感熱記録層を有するほか、光透過率調整層、保護層、中間層を有してなる態様が好ましい。
【0068】
<光透過率調整層>
前記光透過率調整層は、紫外線吸収剤前駆体を含有しており、定着に必要な領域の波長の光照射前は紫外線吸収剤として機能しないので光透過率が高く、光定着型感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を十分に透過させ、しかも可視光線の透過率も高いので、感熱記録層の定着に支障を来すこともない。この紫外線吸収剤前駆体は、マイクロカプセル中に含ませることが好ましい。
また、光透過率調整層に含有する化合物としては、特開平9−1928号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0069】
前記紫外線吸収剤前駆体は、感熱記録層の光照射による定着に必要な領域の波長の光照射が終了した後、光又は熱などで反応することにより紫外線吸収剤として機能するようになり、紫外線領域の定着に必要な領域の波長の光は紫外線吸収剤によりその大部分が吸収され、透過率が低くなり、感熱記録材料の耐光性が向上するが、可視光線の吸収効果がないから、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
光透過率調整層は感熱記録材料中に少なくとも1層設けることができ、最も望ましくは感熱記録層と最外保護層との間に形成するのがよいが、光透過率調整層を保護層と兼用するようにしてもよい。光透過率調整層の特性は、感熱記録層の特性に応じて任意に選定することができる。
【0070】
光透過率調整層形成用の塗布液(光透過率調整層用塗布液)は、前記各成分を混合して得られる。該光透過率調整層塗布液を、例えばバーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等の公知の塗布方法により塗布して形成することができる。光透過率調整層は、感熱記録層等と同時塗布してもよく、例えば感熱記録層形成用の塗布液を塗布し一旦感熱記録層を乾燥させた後、該層上に塗布形成してもよい。光透過率調整層の固形分塗布量としては、0.8〜4.0g/m2が好ましい。
【0071】
<中間層>
本発明においては、前記感熱記録層を色相の異なる感熱発色層による積層構造とする場合には、各感熱記録層の間に混色等を防止するための中間層を設けることができる。該中間層としては、特に制限はなく、水溶性高分子化合物などを用いて形成することができる。前記水溶性高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、スチレン−マレイン酸共重合体、ゼラチン及び/又はゼチラン誘導体、ポリエチレングリコール及び/又はポリエチレングリコール誘導体からなるものが好適に挙げられる。
【0072】
また、前記中間層には、前記無機の層状化合物を好適に添加することができる。前記中間層が、前記無機の層状化合物を含有すると、層間の物質移動を抑制・防止することにより混色を防止でき、かつ、酸素の供給を抑制することにより生保存性及び色像保存性を向上させることができる。
【0073】
<保護層>
本発明の感熱記録材料に必要に応じて感熱記録層の表面に保護層を設けてもよい。保護層は必要に応じて2層以上積層してもよい。前記保護層に好適に用いられるバインダーとしては、変成ポリビニルアルコール(シラノール変性ポリビニルアルコール、長鎖アルキルエーテル変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール等)、ポリビニルアルコールシリコーン変性ポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられ、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0074】
前記保護層には顔料を含有することが好ましい。前記顔料としては、無機超微粒子が好ましく、該無機超微粒子としては、例えば、コロイダルシリカ、酸化ジルコニア、硫酸バリウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化セリウム、酸化チタン等が挙げられ、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0075】
保護層は、好ましくは、シラノール変性ポリビニルアルコール、及びコロイダルシリカを含有する保護層塗液を、感熱記録層等の上にバーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等の装置を用いて塗布、乾燥して得る。但し、保護層は感熱記録層等と同時に重畳法により塗布しても構わないし、また感熱記録層等の塗布後、一旦感熱記録層等を乾燥させ、その上に塗布しても構わない。保護層の固形分塗布量は0.1〜3g/m2が好ましく、0.3〜2.0g/m2がより好ましい。塗設量が大きいと著しく熱感度が低下してしまうし、あまりに低い塗設量では保護層としての機能(耐摩擦性、潤滑性、耐傷性等)を発揮できない。また、保護層塗布後、必要に応じてキャレンダー処理を施してもよい。
【0076】
<支持体>
本発明に用いられる支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロースフィルム等のセルロース誘導体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリアクリル酸共重合体フィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルムの外、紙、合成紙、プラスチック樹脂層を有する紙、などが挙げられ、前記プラスチックフィルムの層を有する支持体が好ましい。これらは、透明であってもよいし、不透明であってもよく、また、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0077】
前記プラスチックの層を有する支持体としては、原紙の両面に又は少なくとも記録層が形成される面に、熱可塑性樹脂による層が形成されたものが好適に挙げられ、例えば、(1)原紙に熱可塑性樹脂が溶融押出塗工されたもの、(2)原紙上に溶融押出塗工された熱可塑性樹脂の上にガスバリアー層を塗布したもの、(3)原紙の酸素透過性の低いプラスチックフィルムを接着させたもの、(4)原紙にプラスチックフィルムを接着させた面上に溶融押出により熱可塑性樹脂を設けたもの、(5)原紙に熱可塑性樹脂を溶融押出塗工された後、プラスチックフィルムを接着させたもの、等が挙げられる。
【0078】
前記原紙に溶融押出塗工される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のα−オレフィンの単独重合体及びこれらの各種の重合体の混合物などのオレフィン系重合体、エチレンとビニルアルコールとのランダム共重合体、などが好適に挙げられる。前記ポリエチレンとしては、例えば、LDPE(低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、L−LDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)等が挙げられる。
【0079】
前記原紙に前記プラスチックフィルムを接着する方法としては、特に制限はなく、加工技術研究会編「新ラミネート加工便覧」に記載されているような公知のラミネーション法の中から適宜選択して採用することができ、所謂ドライラミネーション、無溶媒型ドライラミネーション、電子線若しくは紫外線硬化型樹脂を用いたドライラミネーション、又は、ホットドライラミネーションが好適に挙げられる。
本発明においては、前記支持体の中でも、天然パルプを主成分とする原紙の両面にオレフィン系重合体をコーティングしたものが特に好ましい。
【0080】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)ゼラチン溶液の調製
<フタル化ゼラチン溶液の調製>
フタル化ゼラチン(商品名;MGPゼラチン,ニッピコラーゲン(株)製)28部、 1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,ダイトーケミックス(株)製)0.9143部、イオン交換水367.1部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
<アルカリ処理ゼラチン溶液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン (株)製)25.5部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,ダイトーケミックス(株)製)0.7286部、水酸化カルシウム0.153部、イオン交換水143.6部を混合し、50℃にて溶解し、乳化物作成用ゼラチン水溶液を得た。
【0081】
(2)イエロー感熱記録層液の調整
<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製>
酢酸エチル16.1部に、下記ジアゾニウム化合物(A)(最大吸収波長420nm)2.8部、下記ジアゾニウム化合物(B)(最大吸収波長420nm)1.6部、モノイソプロピルビフェニル4.8部、フタル酸ジフェニル4.8部およびジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO,BASFジャパン(株)製)0.4部を添加し40℃に加熱して均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の混合物(商品名;タケネートD119N(50質量%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)8.6部を添加し、均一に攪拌し混合液(I)を得た。
【0082】
【化14】
【0083】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液58.6部にイオン交換水16.3部、Scraph AG−8(50質量%)日本精化(株)製)0.34部添加し、混合液〔II〕を得た。
混合液(II)に混合液(I)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水20部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.36μmであった。
【0084】
<カプラー化合物乳化液(a)の調製>
酢酸エチル33.0部に下記カプラー化合物(C)9.9部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)9.9部、4,4′−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))16.9部、3,3,3´,3 ´−テトラメチル−5,5´、6,6´−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1´−スピロビスインダン3.3部、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製) 13.6部、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.8部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製) 4.2部を溶解し、混合液(III)を得た。
【0085】
【化15】
【0086】
別途前記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(IV)を得た。
混合液(IV)に混合液(III)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が26.5質量%になるように濃度調節を行った。得られたカプラー化合物乳化物の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.21μmであった。
更に上記カプラー化合物乳化物100部に対して、SBRラテックス(商品名SN−307,48%液、住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5%に濃度調整したものを9部添加して均一に撹拌してカプラー化合物乳化液(a)を得た。
【0087】
<塗布液(a)の調製>
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)、および前記カプラー化合物分乳化液(a)を、内包しているカプラー化合物/ジアゾ化合物の重量比が 2.2/1になるように混合し、感熱記録層用塗布液(a)を得た。
【0088】
(3)マゼンタ感熱記録層液の調整
<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)の調製>
酢酸エチル15.1部に、下記ジアゾニウム化合物(D)(最大吸収波長365nm) 2.8部、フタル酸ジフェニル3.8部、フェニル2−ベンゾイロキシ安息香酸エステル3.9部及び下記エステル化合物(E)(商品名;ライトエステルTMP,共栄油脂化学(株)製)2.6部及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製) 0.1部を添加し加熱して均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の混合物(商品名;タケネートD119N(50質量%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)2.5部とキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75質量%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)6.8部を添加し、均一に攪拌し混合液(V)を得た。
【0089】
【化16】
【0090】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液55.3部にイオン交換水21.0部添加、混合し、混合液(VI)を得た。
混合液(VI)に混合液(V)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水24部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.43μmであった。
【0091】
<カプラー化合物乳化液(b)の調製>
酢酸エチル36.9部に下記カプラー化合物(F)11.9部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)14.0部、4,4′−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))14.0部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン 14部、3,3,3´,3 ´−テトラメチル−5,5´、6,6´−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1´−スピロビスインダン3.5部、下記化合物(G) 3.5部、リン酸トリクレジル 0.8部、マレイン酸ジエチル0.8部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製) 4.5部を溶解し、混合液(VII)を得た。
【0092】
【化17】
【0093】
別途アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(VIII)を得た。
混合液(VIII)に混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5質量%になるように濃度調節を行い、カプラー化合物乳化液(b)を得た。得られたカプラー化合物乳化液の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で 0.22μmであった。
【0094】
<塗布液(b)の調製>
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)および前記カプラー化合物分乳化液(b)を、内包しているカプラー化合物/ジアゾ化合物の重量比が 3.5/1になるように混合した。さらに、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5質量%)をカプセル液量10部に対し、0.2部になるように混合し、感熱記録層用塗布液(b)を得た。
【0095】
(4)シアン感熱記録層液の調整
<電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)の調製>
酢酸エチル18.1部に、下記電子供与性染料(H)7.6部、1‐メチルプロピルフェニル−フェニルメタン及び1−(1−メチルプロピルフェニル)−2−フェニルエタンの混合物(商品名:ハイゾールSAS‐310、日本石油(株)製)6.8部、下記化合物(I)(商品名:Irgaperm2140 チバガイギー(株)製)8.0部を添加し加熱して均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物 (商品名;タケネートD110N(75質量%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)7.2部とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名;ミリオネートMR−200,日本ポリウレタン工業(株)製)5.3部を添加し、均一に攪拌し混合液(IX)を得た。
【0096】
【化18】
【0097】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液28.8部にイオン交換水9.5部、Scraph AG−8(50重量%)日本精化(株)製)0.17部およびドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(10%水溶液)4.3部を添加混合し、混合液(X)を得た。混合液(X)に混合液(IX)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水50部、テトラエチレンペンタミン0.12部を加え均一化し、65℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行ないカプセル液の固形分濃度が33%になるように濃度調節しマイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で1.00μmであった。
更に上記マイクロカプセル液100部に対して、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム25%水溶液(商品名;ネオペレックスF−25、花王(株)製)3.7部と4,4’−ビストリアジニルアミノスチルベン−2,2’−ジスルフォン誘導体を含む蛍光増白剤(商品名;Kaycall BXNL、日本曹達(株)製)1.0部を添加して均一に撹拌してマイクロカプセル分散液(c)を得た。
【0098】
<電子受容性化合物分散液(c)の調製>
前記フタル化ゼラチン水溶液11.3質量部にイオン交換水30.1質量部、本発明のサリチル酸金属塩誘導体である、表1の具体例1に記載の化合物 15質量部、2質量%−2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウム水溶液3.8質量部を加えて、ボールミルにて一晩分散した後、分散液を得た。この分散液の、固形分濃度は26.6質量%であった。
上記分散液100重量部に、前記アルカリ処理ゼラチン水溶液45.2重量部加えて、30分攪拌した後、分散液の固形分濃度が23.5%となるようにイオン交換水を加えて電子受容性化合物分散液(c)を得た。
【0099】
<塗布液(c)の調製>
前記電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)および前記電子受容性化合物分散液(c)を、電子受容性化合物/電子供与性染料前駆体の重量比が10/1になるように混合し、塗布液(c)を得た。
【0100】
(5)中間層用塗布液の調製
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン (株)製)100.0部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)2.857部、水酸化カルシウム0.5部、イオン交換水521.643部を混合し、50℃にて溶解し、中間層作成用ゼラチン水溶液を得た。
前記中間層作成用ゼラチン水溶液10.0部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム (三協化学(株)製2.0質量%水溶液)0.05部、硼酸(4.0質量%水溶液)1.5部、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5質量%)0.86部、下記化合物(J)(和光純薬(株)製)の4質量%水溶液3.42部、下記化合物(J‘)(和光純薬(株)製)の4質量%水溶液1.13部、イオン交換水0.67部を混合し、中間層用塗布液とした。
【0101】
【化19】
【0102】
(6)光透過率調整層用塗布液の調製
<紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液の調製>
酢酸エチル71部に紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート14.5部、2,2’−t−オクチルハイドロキノン5.0部、燐酸トリクレジル1.9部、α−メチルスチレンダイマー(商品名:MSD−100,三井化学(株)製)5.7部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C (70%メタノール溶液),竹本油脂(株)製) 0.45部を溶解し均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物 (商品名;タケネートD110N(75質量%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)68.5部を添加し、均一に攪拌し紫外線吸収剤前駆体混合液(VII)を得た。
【0103】
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−318,クラレ(株)製)52部に30質量%燐酸水溶液8.9部、イオン交換水532.6部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液を作成した。
前記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液516.06部に前記紫外線吸収剤前駆体混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃の下で乳化分散した。得られた乳化液にイオン交換水254.1部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトMB−3 (オルガノ(株)製)94.3部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除きカプセル液の固形分濃度が13.5%になるように濃度調節した。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.23±0.05μmであった。このカプセル液859.1部にカルボキシ変性スチレンブタジエンラテックス(商品名:SN−307,(48質量%水溶液),住友ノーガタック(株)製)2.416部、イオン交換水39.5部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。
【0104】
<光透過率調整層用塗布液の調製>
前記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液1000部、下記化合物(K)(商品名:メガファックF−120, 5質量%水溶液,大日本インキ化学工業(株))5.2部、4質量%水酸化ナトリウム水溶液7.75部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム (三協化学(株)製 2.0質量%水溶液)73.39部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
【0105】
(7)保護層用塗布液の調製
<保護層用ポリビニルアルコール溶液の作成>
ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130,電気化学工業(株)製)160部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステルの混合液(商品名:ネオスコアCM−57,(54質量%水溶液),東邦化学工業(株)製)8.74部、イオン交換水3832部を混合し、90℃のもとで1時間溶解し均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
【0106】
<保護層用顔料分散液の作成>
硫酸バリウム(商品名:BF−21F,硫酸バリウム含有量93%以上,堺化学工業(株)製)8部に陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40質量%水溶液),花王(株)製)0.2部、イオン交換水11.8部を混合し、ダイノミルにて分散して保護層用顔料分散液を作成した。この分散液は粒径測定(LA−910,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.15μm以下であった。
上記硫酸バリウム分散液45.6部に対し、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO(20質量%水分散液)、日産化学(株)製)8.1部を添加して目的の分散物を得た。
【0107】
<保護層用マット剤分散液の作成>
小麦澱粉(商品名:小麦澱粉S,新進食料工業(株)製)220部に1−2ベンズイソチアゾリン3オンの水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.81部、イオン交換水1976.19部を混合し、均一に分散し、保護層用マット剤分散液を得た。
【0108】
<保護層用塗布ブレンド液の調製>
前記保護層用ポリビニルアルコール溶液10000部に化合物(K)(商品名:メガファックF−120, 5質量%水溶液,大日本インキ化学工業(株))40部、 (4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム (三協化学(株)製2.0質量%水溶液)50部、前記保護層用顔料分散液49.87部、前記保護層用マット剤分散液16.65部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンF115, 20.5質量%水溶液,中京油脂(株)製)48.7部、イオン交換水280部を均一に混合し保護層用塗布ブレンド液を得た。
【0109】
(8)下塗り層つき支持体
<下塗り層液の作製>
酵素分解ゼラチン(平均分子量:10000、PAGI法粘度:15mP、PAGI法ゼリー強度:20g)40部をイオン交換水60部に加えて40℃で攪拌溶解して下塗り層用ゼラチン水溶液を調製した。
別途水膨潤性の合成雲母(アスペクト比:1000、商品名:ソマシフME100,コープケミカル社製)8部と水92部とを混合した後、ビスコミルで湿式分散し、平均粒径が2.0μmの雲母分散液を得た。この雲母分散液に雲母濃度が5質量%となるように水を加え、均一に混合し、所望の雲母分散液を調製した。
40℃の40質量%の前記ゼラチン水溶液100部に、水120部およびメタノール556部を加え、十分攪拌混合した後、5質量%前記雲母分散液208部を加えて、十分攪拌混合し、1.66質量%ポリエチレンオキサイド系界面活性剤9.8部を加えた。そして液温を35℃から40℃に保ち、エポキシ化合物のゼラチン硬膜剤7.3部を加えて下塗り層用塗布液(5.7質量%)を調製し、下塗り用塗布液を得た。
【0110】
<下塗り層つき支持体の作製>
LBPS 50部、LBPK 50部からなる木材パルプをデイスクリファイナーによりカナデイアンフリーネス300ccまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、硫酸アルミニウム1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部をいずれもパルプに対する絶乾重量比で添加し長網抄紙機により坪量114g/m2の原紙を抄造しキャレンダー処理によって厚み100μmに調整した。次に原紙の両面にコロナ放電処理を行った後、溶融押し出し機を用いてポリエチレンを樹脂厚36μmとなるようにコーテイングしマット面からなる樹脂層を形成した(この面をウラ面と呼ぶ)。次に上記樹脂層を形成した面とは反対側に溶融押し出し機を用いてアナターゼ型二酸化チタンを10質量%及び微量の群青を含有したポリエチレンを樹脂厚50μmとなるようにコーテイングし光沢面からなる樹脂層を形成した(この面をオモテ面と呼ぶ)。ウラ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(商品名;アルミナゾル100、日産化学工業(株)製)/二酸化珪素(商品名;スノーテックスO、日産化学工業(株)製)=1/2(重量比)を水に分散させて乾燥後の重量で0.2g/m2塗布した。次にオモテ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、上記下塗り液を雲母の塗布量が0.26g/m2となるように塗布し、下塗り層つき支持体を得た。
【0111】
<各感熱記録層用塗布液の塗布>
前記下塗り層つき支持体の上に、下から、前記感熱記録層用塗布液(c)、前記中間層用塗布液、前記感熱記録層用塗布液(b)、前記中間層用塗布液、前記感熱記録層用塗布液(a)、前記光透過率調整層用塗布液、前記保護層用塗布液の順に7層同時に連続塗布し、30℃湿度30%、および40℃湿度30%の条件でそれぞれ乾燥して実施例1の多色感熱記録材料を得た。
この際前記感熱記録層用塗布液(a)の塗布量は液中に含まれるジアゾ化合物(A)の塗布量が固形分塗布量で0.078g/m2となるように、同様に前記感熱記録層用塗布液(b)の塗布量は液中に含まれるジアゾ化合物(D)の塗布量が固形分塗布量で0.206g/m2となるように、同様に前記感熱記録層用塗布液(c)の塗布量は液中に含まれる電子供与性染料(H)の塗布量が固形分塗布量で0.355g/m2となるように塗布を行った。
また、前記中間層用塗布液は(a)と(b)の間は固形分塗布量が2.39g/m2、(b)と(c)の間は固形分塗布量が3.34g/m2、前記光透過率調整層用塗布液は固形分塗布量が2.35g/m2、保護層は固形分塗布量が1.39g/m2となるように塗布を行った。
【0112】
(発色濃度の評価)
(i)熱記録
熱記録は、サーマルヘッドKST(商品名:京セラ社製)と紫外線ランプを用いて以下の方法で行った。
発光中心波長450nmおよび出力40Wの紫外線ランプ下に10秒間曝光の後、さらに発光中心波長365nmおよび出力40Wの紫外線ランプ下に30秒間曝光し、最後に単位面積当りの記録エネルギーを132〜171mJ/mm2の範囲で印画し、シアンの画像を得た。
【0113】
(ii)発色濃度
得られた多色感熱記録材料のシアン濃度を、X‐rite model 310(X−rite,Incorporated製)により測定し、得られた最高濃度を発色濃度とした。その結果を表2に示す。
【0114】
[実施例2]
実施例における<電子受容性化合物分散液(c)の調製>において、本発明のサリチル酸金属塩誘導体である、表1の具体例1に記載の化合物を、表1の具体例7に記載の化合物に変更する他は、実施例1と同様にして実施例2の多色感熱記録材料を作製し、同様の評価をした。結果を表2に示す。
【0115】
[実施例3]
実施例における<電子受容性化合物分散液(c)の調製>において、本発明のサリチル酸金属塩誘導体である、表1の具体例1に記載の化合物を、表1の具体例9に記載の化合物に変更する他は、実施例1と同様にして実施例3の多色感熱記録材料を作製し、同様の評価をした。結果を表2に示す。
【0116】
[実施例4]
実施例における<電子受容性化合物分散液(c)の調製>において、本発明のサリチル酸金属塩誘導体である、表1の具体例1に記載の化合物を、表1の具体例10に記載の化合物に変更する他は、実施例1と同様にして実施例4の多色感熱記録材料を作製し、同様の評価をした。結果を表2に示す。
【0117】
[実施例5]
実施例における<電子受容性化合物分散液(c)の調製>において、本発明のサリチル酸金属塩誘導体である、表1の具体例1に記載の化合物を、表1の具体例14に記載の化合物に変更する他は、実施例1と同様にして実施例5の多色感熱記録材料を作製し、同様の評価をした。結果を表2に示す。
【0118】
[実施例6]
実施例における<電子受容性化合物分散液(c)の調製>において、本発明のサリチル酸金属塩誘導体である、表1の具体例1に記載の化合物を、表1の具体例15に記載の化合物に変更する他は、実施例1と同様にして実施例6の多色感熱記録材料を作製し、同様の評価をした。結果を表2に示す。
【0119】
[比較例1]
実施例における<電子受容性化合物分散液(c)の調製>において、本発明のサリチル酸金属塩誘導体である、表1の具体例1に記載の化合物を、下記構造式で表される化合物Aに変更する他は、実施例と同様にして比較例1の多色感熱記録材料を作製し、同様の評価をした。結果を表2に示す。
【0120】
【化20】
【0121】
[比較例2]
実施例における<電子受容性化合物分散液(c)の調製>において、本発明のサリチル酸金属塩誘導体である、表1の具体例1に記載の化合物を、下記構造式で表される化合物Bに変更する他は、実施例と同様にして比較例2の多色感熱記録材料を作製し、同様の評価をした。結果を表2に示す。
【0122】
【化21】
【0123】
[比較例3]
実施例における<電子受容性化合物分散液(c)の調製>において、本発明のサリチル酸金属塩誘導体である、表1の具体例1に記載の化合物を、下記構造式で表される化合物Cに変更する他は、実施例と同様にして比較例3の多色感熱記録材料を作製し、同様の評価をした。結果を表2に示す。
【0124】
【化22】
【0125】
[比較例4]
実施例における<電子受容性化合物分散液(c)の調製>において、本発明のサリチル酸金属塩誘導体である、表1の具体例1に記載の化合物を、下記構造式で表される化合物Dに変更する他は、実施例と同様にして比較例1の多色感熱記録材料を作製し、同様の評価をした。結果を表2に示す。
【0126】
【化23】
【0127】
【表2】
【0128】
表2の結果は、一般式(1)で表される電子受容性化合物を用いた実施例1〜6の多色感熱記録材料は、比較例1〜4の多色感熱記録材料に比べ、発色濃度が格段に高いことを示している。
【0129】
【発明の効果】
本発明によれば、発色濃度の高い感熱記録材料を提供することができる。
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