JP2004216718A - 感熱記録材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い光沢性を有する画像を形成することができる感熱記録材料を提供する。
【解決手段】支持体上に、少なくとも感熱記録層と保護層とを有する感熱記録材料であって、前記保護層に最も近い感熱記録層よりも上に、無機層状化合物を含有する層を有し、前記無機層状化合物の含有量が0.2〜0.5g/m2である感熱記録材料である。前記無機層状化合物を含有する層は、前記保護層自体、又は前記保護層と前記感熱記録層との間に位置する層とすることが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】支持体上に、少なくとも感熱記録層と保護層とを有する感熱記録材料であって、前記保護層に最も近い感熱記録層よりも上に、無機層状化合物を含有する層を有し、前記無機層状化合物の含有量が0.2〜0.5g/m2である感熱記録材料である。前記無機層状化合物を含有する層は、前記保護層自体、又は前記保護層と前記感熱記録層との間に位置する層とすることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーマルヘッドを用いて画像の記録を行う感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録システムは、ファクシミリ、プリンター、ラベル等の多分野においてニーズが拡大しており、それに伴い、より高性能な感熱記録材料が求められている。
サーマルヘッドにより画像様に加熱して画像の記録を行う感熱記録材料では、サーマルヘッドの保護膜の材質や形状等に合ったヘッドマッチング性を有することのみならず、ヘッド汚れやヘッド摩耗を発生させずに高品質の画像を安定して出力することができることが重要である。
【0003】
プリント開始時等の装置が冷えた状態で高速印画を行った場合に、加熱により感熱記録材料から出た水がサーマルヘッドの表面に凝集して水滴となり、感熱記録材料の最表面に付着し、光沢ムラなどの画質低下を生じたり、付着する場所によっては光沢性の低下を発生させたりするという問題があった。
【0004】
一方、耐光性の向上、耐可塑剤性改良等を図ることを目的として、感熱記録材料のいずれかの層に雲母(無機層状化合物)を添加する例が知られている。例えば、下塗り層に雲母を添加添加するもの(特許文献1参照。)、中間層に雲母を添加するもの(特許文献2参照。)、いずれかの層に雲母を添加するもの(特許文献3参照。)等である。しかし、いずれも画像の高い光沢性について追究したものではない。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−5366号公報
【特許文献2】
特開平10−193789号公報
【特許文献3】
特開2001−199163号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明の目的は、高い光沢性を有する画像を形成することができる感熱記録材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
<1> 支持体上に、少なくとも感熱記録層と保護層とを有する感熱記録材料であって、前記保護層に最も近い感熱記録層よりも上に、無機層状化合物を含有する層を有し、前記無機層状化合物の含有量が0.2〜0.5g/m2であることを特徴とする感熱記録材料である。
<2> 前記無機層状化合物を含有する層が、前記保護層自体、又は前記保護層と前記感熱記録層との間に位置する層であることを特徴とする前記<1>に記載の感熱記録材料である。
<3> 前記無機層状化合物が水膨潤性雲母であることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の感熱記録材料である。
<4> 前記無機層状化合物を含有する層のバインダーがポリビニルアルコールであることを特徴とする前記<1>から<3>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の感熱記録材料は、支持体上に、少なくとも感熱記録層と保護層とを有する感熱記録材料であって、前記保護層に最も近い感熱記録層よりも上に、無機層状化合物を含有する層(以下、「水透過性制御層」と呼ぶ。)を有し、前記無機層状化合物の含有量が0.2〜0.5g/m2であることを特徴としている。
以下、本発明の感熱記録材料について詳しく説明する。
【0009】
[水透過性制御層]
本発明の感熱記録材料においては、保護層に最も近い感熱記録層よりも上に、水透過性制御層を有するが、該水透過性制御層を設けることにより、印画時における支持体もしくは感熱記録層からの水の透過を抑制することができ、水に起因して生じる中間濃度での光沢度の低下を抑制することができる。
【0010】
水透過性制御層は、保護層に最も近い感熱記録層よりも上にあればよいが、保護層よりも上に設ける態様、保護層自体とする態様、保護層と感熱記録層との間に設ける態様が挙げられ、保護層自体、又は保護層と感熱記録層との間に設ける態様が好ましい。
【0011】
水透過性制御層の層厚としては、0.5〜3.0μmとすることが好ましく、0.5〜2.0μmとすることがより好ましい。該層の層厚を0.5〜3.0μmとすることにより、既述の水の透過を十分に抑制することができる。
【0012】
水透過性制御層のバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ケイ素変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子、及び酢酸ビニルエマルジョン等の合成樹脂エマルション等が挙げられ、中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。また、これらのバインダーを必要に応じて併用してもよい。
【0013】
(無機層状化合物)
前記無機層状化合物としては、下記一般式(1)で表される雲母群、3MgO・4SiO2・H2Oで表されるタルク、テニオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、リン酸ジルコニウムなどが挙げられる。
A(B,C)2−3D4O10(OH,F,O)2 …一般式(1)
[一般式(1)中、AはK、Na、又はCaを表し、B及びCは、それぞれ独立に、Fe(II)、Fe(III)、Mn、Al、Mg、Vを表す。]
【0014】
前記一般式(1)で表される雲母群において、天然雲母として例えば白雲母、ソーダ雲母、金雲母KMg3(AlSi3O10)F2、カリ四ケイ素雲母KMg2.5(Si4O10)F2等の非膨潤性雲母、及びNaテトラシリシックマイカNaMg2.5(Si4O10)F2、NaもしくはLiテニオライト(Na,Li)Mg2Li(Si4O10)F2、モンモリオナイト系のNa又はLiヘクトライト(Na,Li)1/3Mg2/3(Si4O10)F2等の膨潤性雲母が挙げられる。更に、合成スメクタイトも有用である。
【0015】
本発明においては、前記無機層状化合物の中でも、水膨潤性の合成雲母が好ましく、膨潤性のフッ素系合成雲母が特に好ましい。
【0016】
前記無機層状化合物のアスペクト比としては、20以上が好ましく、100以上がより好ましく、200以上が特に好ましい。該アスペクト比とは、無機層状化合物の粒子の長径に対する厚さの比である。
【0017】
前記無機層状化合物の粒子径としては、その平均直径が0.3〜20μmであることが好ましく、0.5〜10μmであることがより好ましく、1〜5μmであることが特に好ましい。該無機層状化合物の平均の厚さとしては、0.1μm以下が好ましく、0.05μm以下がより好ましく、0.01μm以下が特に好ましい。
【0018】
(質量比)
層中に含まれるバインダー(x)と無機層状化合物(y)との質量比率は2以上30以下であることが好ましく、3以上8以下の範囲であることがより好ましい。また、上記バインダーの塗布量としては、0.05g/m2以上2.0g/m2以下が好ましく、0.3〜1.5g/m2の範囲がさらに好ましい。
さらに、本発明においては、無機層状化合物の含有量は、0.2g/m2〜0.5g/m2としており、0.2〜0.4g/m2が好ましい。無機層状化合物の含有量が0.2g/m2未満では光沢度の低下を抑制することができず、0.5g/m2を超えると塗膜の平滑性が低下する。無機層状化合物の含有量は、上記バインダーの塗布量と上記PVAとの質量比率とから導き出されることが好ましい。
【0019】
水透過性制御層には、前記成分の他、界面活性剤、硬膜剤を含有させてもよい。
【0020】
水透過性制御層形成用の塗布液の調製は、前記各成分を混合して得られる。そして、水透過性制御層は、該塗布液を塗布することにより形成することができる。水透過性制御層の乾燥塗布量としては、0.5〜3.0g/m2が好ましく、0.5〜2.0g/m2がより好ましい。該乾燥塗布量を0.5〜3.0g/m2とすることにより、
【0021】
[保護層]
保護層は、通常、バインダー、顔料、滑剤、分散剤、蛍光増白剤、金属石鹸、界面活性剤、硬膜剤、紫外線吸収剤、架橋剤等を含有してなる。
前記バインダーとしては、例えば、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダなどの水溶性高分子及びスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等の合成ゴムラテックス、合成樹脂エマルジョン等が挙げられる。
前記バインダーの中でも、ゼラチン類が好ましく、該ゼラチンとしては、特に等電点の低いアルカリ処理ゼラチン、アミノ基を反応させた誘導体ゼラチン(例えば、フタル化ゼラチン等)等が好ましい。
【0022】
前記顔料としては、特に制限はないが、例えば、カオリン、焼成カオリン、タルク、ロウ石、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、リトポン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、焼成石コウ、シリカ、炭酸マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、炭酸バリウム、硫酸バリウム、マイカ、マイクロバルーン、尿素−ホルマリンフィラー、ポリエステルパーティクル、セルロースフィラー等が挙げられる。
前記バインダーの含有量としては、保護層中の顔料に対して、10〜500質量%が好ましく、50〜400質量%がより好ましい。
【0023】
また、耐水性を更に向上させる目的で、架橋剤及びその反応を促進させる触媒を併用することが有効であり、該架橋剤としては、例えば、エポキシ化合物、ブロックドイソシアネート、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物、硼酸、カルボン酸無水物、シラン化合物、キレート化合物、ハロゲン化物等が挙げられ、保護層形成用の塗布液のpHを6.0〜7.5に調整できるものが好ましい。触媒としては、公知の酸、金属塩等が挙げられ、上記同様に塗布液のpHを6.0〜7.5に調整できるものが好ましい。
前記滑剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等が好適に挙げられる。
【0024】
また、保護層は界面活性剤を含有していてもよく、界面活性剤としては、既述したアセチレングリコール系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤の他、スルフォコハク酸系のアルカリ金属塩、フッ素含有界面活性剤等が好適に挙げられ、具体的には、ジ−(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸、ジ−(n−ヘキシル)スルホコハク酸等のナトリウム塩、及びアンモニウム塩等が挙げられる。
【0025】
保護層形成用の塗布液(保護層用塗布液)は、前記各成分を混合して得られる。更に、必要に応じて離型剤、ワックス、撥水剤等を加えてもよい。
これらの成分を配合した保護層塗布液は、バブルプレッシャー差圧法による200msで1個の泡を発生させたときの動的表面張力が35mN/m以下であり、かつ、1000msで1個の泡を発生させたときの動的表面張力が30mN/m以下である場合はそのまま塗布される。それを超える場合には、制御の容易性からは、添加する界面活性剤の種類や量を調整することで、前記塗布液の動的表面張力の値を上記範囲に調製することが好ましい。
【0026】
保護層の乾燥塗布量としては、0.2〜7g/m2が好ましく、1〜4g/m2がより好ましい。該乾燥塗設量が、0.2g/m2未満であると、耐水性が維持できないことがあり、7g/m2を超えると、著しく熱感度が低下することがある。保護層の塗布形成後、必要に応じてキャレンダー処理を施してもよい。
【0027】
[感熱記録層]
前記感熱記録層は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよく、目的に応じて適宜選択した層構成とすることができる。
前記感熱記録層は、発色成分を含み、該発色成分の発色反応により所望の色画像を形成し得るように設計される。前記発色成分としては、特に制限はなく、従来から公知のものを好適に使用することができる。前記発色反応としては、特に制限はなく、例えば、ジアゾニウム塩化合物とカプラーとの発色反応、電子供与性無色染料と電子受容性化合物との発色反応、などが好適に挙げられる。
【0028】
前記感熱記録層が、前記ジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する場合、該感熱記録層には、該ジアゾニウム塩化合物と該カプラーとの発色反応を促進する塩基性物質等が好適に添加される。
【0029】
前記ジアゾニウム塩化合物は、下記一般式(B)で表される化合物であり、これらはAr部分の置換基の位置や種類によってその最大吸収波長を制御することができるものである。
一般式(B): Ar−N2+X−
前記一般式(B)において、Arは、アリール基を表す。X−は、酸アニオンを表す。
【0030】
前記ジアゾニウム塩化合物の具体例としては、4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジオクチルアミノベンゼンジアゾニウム、4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジヘキシルアミノ−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−N−エチル−N−ヘキサデシルアミノ−2−エトキシベンゾジアゾニウム、3−クロロ−4−ジオクチルアミノ−2−オクチルオキシオベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−モルホリノベンゼンジアゾニウム、2,5−オクトキシ−4−モルホリノベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジエトキシ−4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−トリルチオベンゼンジアゾニウム、3−(2−オクチルオキシエトキシ)−4−モロホリノベンゼンジアゾニウムなどの酸アニオン塩及び下記ジアゾニウム塩化合物(D−1〜5)が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ヘキサフルオロフォスフェート塩、テトラフルオロボレート塩、1,5−ナフタレンスルホネート塩が特に好ましい。
【0031】
【化1】
【0032】
これらのジアゾニウム塩化合物の中でも、300〜400nmの波長の光により光分解する、4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジオクチルアミノベンゼンジアゾニウム、4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジヘキシルアミノ−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−N−エチル−N−ヘキサデシルアミノ−2−エトキシベンゾジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジエトキシ−4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、上記具体例D−3〜5に示すジアゾニウム塩化合物が特に好ましい。
なお、ここでいうジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長は、それぞれのジアゾニウム化合物を0.1〜1.0g/m2の塗布量で塗膜にしたものを分光光度計(Shimazu MPS−2000)により測定したものである。
【0033】
前記ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとしては、例えば、レゾルシン、フルルグルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ−6−スルファニルナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸エタノールアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−N−ドデシルオキシプルピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸テトラデシルアミド、アセトアニリド、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、2−クロロ−5−オクチルアセトアセトアニリド、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’−オクチルフェニル)−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラロン、1−フェニル−3−フェニルアセトアミド−5−ピラゾロン、下記(C−1〜6)に示す化合物、などが挙げられる。これらのカプラーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
【0034】
【化2】
【0035】
【化3】
【0036】
前記塩基性物質としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、無機又は有機の塩基性化合物の外、加熱時に分解等を生じアルカリ物質を放出するような化合物も含まれ、代表的なものとしては、有機アンモニウム塩、有機アミン、アミド、尿素及びチオ尿素さらにそれらの誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルホリン類、ピペリジン類、アミジン類、フォルムアジン類、ピリジン類等の含窒素化合物が挙げられる。
【0037】
これらの具体例としては、トリシクロヘキシルアミン、トリベンジルアミン、オクタデシルベンジルアミン、ステアリルアミン、アリル尿素、チオ尿素、メチルチオ尿素、アリルチオ尿素、エチレンチオ尿素、2−ベンジルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾリン、2,4,5−トリフリル−2−イミダゾリン、1,2−ジフェニル−4,4−ジメチル−2−イミダゾリン、2−フェニル−2−イミダゾリン、1,2,3−トリフェニルグアニジン、1,2−ジシクロヘキシルグアニジン、1,2,3−トリシクロヘキシルグアニジン、グアニジントリクロロ酢酸塩、N,N’−ジベンジルピペラジン、4,4’−ジチオモルホリン、モルホリニウムトリクロロ酢酸塩、2−アミノベンゾチアゾール、2−ベンゾイルヒドラジノベンゾチアゾールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0038】
前記電子供与性無色染料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の物の中から適宜選択することができ、本発明においては電子供与性無色染料前駆体を用いることができる。
【0039】
前記電子供与性無色染料前駆体としては、例えば、トリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、キサンテン系化合物、スピロピラン系化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、これらの中でも、発色濃度が高く有用な点で、トリアリールメタン系化合物、キサンテン系化合物が好ましい。これらの例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(即ちクリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノ)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、2−ベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−シクロヘキシルメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−イソアミルエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−オクチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−2−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン、などが挙げられる。
【0040】
前記電子受容性化合物としては、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル、などが挙げられる。これらの中でも、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が特に好ましく、具体的には、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸及びその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸及びその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸及びその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノールなどが特に好ましい。
【0041】
本発明においては、前記感熱記録層は、増感剤を含有することが好ましく、該増感剤としては、分子内に芳香族性の基と極性基を適度に有している低融点有機化合物が好ましく、具体的には、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、α−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフトエ酸フェニルエステル、α−ヒドロキシ−β−ナフトエ酸フェニルエステル、β−ナフトール−(p−クロロベンジル)エーテル、1,4−ブタンジオールフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−メチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−エチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−m−メチルフェニルエーテル、1−フェノキシ−2−(p−トリルオキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−エチルフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−クロロフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、などが挙げられる。
【0042】
また、感熱記録層は、下記一般式(A)で表される化合物を0.05g/m2以上含有することが好ましい。感熱記録層が複数の層からなる場合、一般式(A)で表される化合物が含有される層としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、固体分散物で構成される層であるのが好ましい。
【0043】
一般式(A): R−SO3M
前記一般式(A)において、Rは、アルキル基、アリール基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ポリオキシエチレンアリール基、又は、ポリオキシエチレンアルキル基を表し、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜30のアリール基が好ましく、炭素数1〜20のアルコキシル基が好ましく、炭素数1〜30のアリールオキシ基が好ましく、炭素数1〜30のポリオキシエチレンアリール基が好ましく、炭素数1〜20のポリオキシエチレンアルキル基が好ましい。Mは、アルカリ金属を表し、ナトリウム、カリウムなどが好ましい。
【0044】
前記一般式(A)で表される化合物の具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、特殊芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明においては、これらの中でも、地肌部の曝光着色を改良できる点で、下記式で表されるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
【0045】
【化4】
【0046】
前記一般式(A)で表される化合物の前記感熱記録層における含有量としては、0.05g/m2以上であることが好ましく、0.05〜0.50g/m2がより好ましく、0.05〜0.20g/m2がさらに好ましい。
前記含有量が、0.05g/m2未満であると、感熱記録材料の耐光性が十分でなく、地肌曝光着色が生ずる点で好ましくなく、一方、0.05g/m2であると、そのようなことがなく、感熱記録材料の耐候性が著しく改善され、地肌曝光着色が効果的に抑制される点で好ましい。
【0047】
前記感熱記録層における、前記ジアゾニウム塩化合物、該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色する前記カプラー、前記塩基性物質、前記電子供与性無色染料、前記電子受容性化合物、前記増感剤、等の含有の態様については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、これらを、(1)固体分散による含有させる方法、(2)乳化分散により含有させる方法、(3)ポリマー分散により含有させる方法、(4)ラテックス分散により含有させる方法、(5)マイクロカプセル化して含有させる方法、などが挙げられる。
【0048】
これらの中でも、保存性の観点から、マイクロカプセル化して含有させる方法が好ましく、前記ジアゾニウム塩化合物と前記カプラーとの発色反応を利用する場合には、前記ジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセル化して前記感熱記録層中に含有させるのが好ましく、前記電子供与性無色染料と前記電子受容性化合物との発色反応を利用する場合には、前記電子供与性無色染料をマイクロカプセル化して前記感熱記録層中に含有させるのが好ましい。
【0049】
前記感熱記録層を多層構造とする場合、各感熱記録層の色相を変えることにより、多色の感熱記録材料を得ることができる。この場合の層構成としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、本発明においては、感光波長の異なる2種のジアゾニウム塩化合物と、それぞれのジアゾニウム塩化合物と熱時反応して異なった色相に発色するカプラーとを組み合わせた感熱記録層2層と、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを組み合わせた感熱記録層と、を積層した多色の感熱記録層とするのが好ましい。即ち、前記支持体上に、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを含む感熱記録層A、最大吸収波長が360±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する感熱記録層B−1、最大吸収波長が400±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する感熱記録層B−2、をこの順に積層した多色の感熱記録材料が好ましい。
【0050】
この多色の感熱記録材料の記録方法としては、まず感熱記録層B−2を加熱し、該感熱記録層B−2に含まれるジアゾニウム塩化合物とカプラーとを発色させる。次に、400±20nmの光を照射して感熱記録層B−2中に含まれている未反応のジアゾニウム塩化合物を分解させた後、感熱記録層B−1が発色するに十分な熱を加え、該感熱記録層B−1に含まれているジアゾニウム塩化合物とカプラーとを発色させる。このとき、感熱記録層B−2も同時に強く加熱されるが、すでにジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色はしない。さらに360±20nmの光を照射して感熱記録層B−1に含まれているジアゾニウム塩化合物を分解し、最後に感熱記録層Aが発色する十分な熱を加えて発色させる。このとき感熱記録層B−2及び感熱記録層B−1も同時に強く加熱されるが、すでにジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色しない。
【0051】
また、本発明においては、感光波長の異なる3種のジアゾニウム塩化合物と、それぞれのジアゾニウム塩化合物と熱時反応して異なった色相に発色するカプラーとを組み合わせた感熱記録層3層を積層した多色の感熱記録層とするのも好ましい。即ち、前記支持体上に、最大吸収波長が350nm以下、好ましくは、340nm以下であるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する感熱記録層A−1、最大吸収波長が360±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する感熱記録層A−2、最大吸収波長が400±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する感熱記録層A−3を、この順に積層した多色の感熱記録材料が好ましい。
以上の多色の感熱記録層の場合において、各感熱記録層の発色色相を減色混合における3原色、イエロー、マゼンタ、シアンとなるように選んでおけば、フルカラーの画像記録が可能となる。
【0052】
[支持体]
前記支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロースフィルム等のセルロース誘導体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリアクリル酸共重合体フィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルムの外、紙、合成紙、プラスチック樹脂層を有する紙、などが挙げられ、前記プラスチックフィルムの層を有する支持体が好ましい。これらは、透明であってもよいし、不透明であってもよく、また、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0053】
前記プラスチックの層を有する支持体としては、原紙の両面に又は少なくとも記録層が形成される面に、熱可塑性樹脂による層が形成されたものが好適に挙げられ、例えば、(1)原紙に熱可塑性樹脂が溶融押出塗工されたもの、(2)原紙上に溶融押出塗工された熱可塑性樹脂の上にガスバリアー層を塗布したもの、(3)原紙の酸素透過性の低いプラスチックフィルムを接着させたもの、(4)原紙にプラスチックフィルムを接着させた面上に溶融押出により熱可塑性樹脂を設けたもの、(5)原紙に熱可塑性樹脂を溶融押出塗工された後、プラスチックフィルムを接着させたもの、等が挙げられる。
【0054】
前記原紙に溶融押出塗工される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のα−オレフィンの単独重合体及びこれらの各種の重合体の混合物などのオレフィン系重合体、エチレンとビニルアルコールとのランダム共重合体、などが好適に挙げられる。前記ポリエチレンとしては、例えば、LDPE(低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、L−LDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)等が挙げられる。
【0055】
前記原紙に前記プラスチックフィルムを接着する方法としては、特に制限はなく、加工技術研究会編「新ラミネート加工便覧」に記載されているような公知のラミネーション法の中から適宜選択して採用することができ、所謂ドライラミネーション、無溶媒型ドライラミネーション、電子線若しくは紫外線硬化型樹脂を用いたドライラミネーション、又は、ホットドライラミネーションが好適に挙げられる。
本発明においては、前記支持体の中でも、天然パルプを主成分とする原紙の両面にオレフィン系重合体をコーティングしたものが特に好ましい。
【0056】
(下塗り層)
本発明においては、前記支持体と前記感熱記録層との間に、下塗り層を有するのが好ましい。
前記下塗り層としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができるが、PAGI法の粘度が10〜30mP、PAGI法のゼリー強度が15〜70gであるゼラチン(以下単に「ゼラチン」と称する)と、層状の無機化合物とを含有するのが特に好ましい。なお、本発明においては、このような層を後記中間層等として有しているのも好ましい。
【0057】
前記PAGI法の粘度と、前記PAGI法のゼリー強度とは、写真用ゼラチン試験法合同審査会発行のパギイ法:写真用ゼラチン試験法、第7版(1992年版)による試験に基づいて測定したものである。
前記ゼラチンは、通常の方法で製造された公知のゼラチン(以下「通常のゼラチン」と称する)を低分子化することによって得られる。ただし、ここで言う「通常のゼラチン」とは、例えば「にかわとゼラチン(我孫子義弘編集、日本にかわ、ゼラチン工業組合刊(1987)に記載されているような牛骨、牛皮、豚皮などの原料を石灰、酸などで処理して製造されるもので、前記ゼラチンと比べるとはるかに大きな粘度とゼリー強度とを有している。
【0058】
前記通常のゼラチンは、原料、処理方法(例えば、石灰処理、酸処理)や抽出条件(温度、抽出回数)などの条件によって特徴づけられる。前記ゼラチンは、どのようなゼラチンを元にして低分子化して得てもよいが、抽出回数が少なく、低温で抽出されたものが、低粘度とゼリー強度とを前記数値範囲内に両立できる点で好ましい。
前記低分子化の方法としては、酵素を用いる方法、熱を用いる方法などが挙げられ、これらの中でも酵素を用いる方法が好ましい。前記熱を用いる方法の場合、粘度を好ましい値に下げたときに前記ゼリー強度が低くなってしまうことがある。なお、前記酵素としては、例えば、パパインが好適に挙げられる。
【0059】
前記ゼラチンにおける、前記PAGI法の粘度は10〜30mPであり、前記PAGI法のゼリー強度は15〜70gであるが、前記PAGI法の粘度が10mP未満であると、塗液の粘度低下が大きくなり、塗液中の顔料(雲母)の分散状態が悪くなることがあり、30mPを超えると、塗工液の粘度が上昇し、塗布故障が生じ易くなることがある。また、前記PAGI法のゼリー強度が15g未満であると、塗膜強度が低下し、前記支持体との接着強度が低下することがあり、前記PAGI法のゼリー強度が70gよりも大きいと、塗膜のカールが環境変化により大きくなることがある。
【0060】
前記ゼラチンは、必要に応じて硬膜剤を用いて架橋してもよく、その場合、該硬膜剤としては、ゼラチンの硬膜剤として用いられている公知のものが挙げられ、例えば、ビニルスルホン化合物、活性ハロゲン化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、などが挙げられる。これらの中でも、エポキシ化合物が特に好ましく、該エポキシ化合物としては、例えば、以下に示す化合物が好適に挙げられる。
【0061】
【化5】
【0062】
前記ゼラチンの前記下塗り層における塗布量としては、プリスター(印画記録時のプリンターサーマルヘッドの熱による細かな膨れ現象)を抑える観点からは、0.5g/m2以上が好ましい。
【0063】
前記層状の無機化合物としては、膨潤性無機層状化合物が好適に挙げられる。前記膨潤性無機層状化合物の具体例としては、ベントナイト、ヘクトライト、サポナイト、ビーデライト、ノントロナイト、スチブンサイト、バイデライト、モンモリナイト等の膨潤性粘度鉱物類、膨潤性合成雲母、膨潤性合成スメクタイト、などが挙げられる。
【0064】
これらの膨潤性無機層状化合物は、厚みが10〜15オングストローム程度の単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘土鉱物よりも著しく大きい。その結果、格子層は、正荷電不足を生じ、それを補償するために層間にNa+、Ca2+、Mg2+等の陽イオンを吸着している。これらの層間に介在している陽イオンは、「交換性陽イオン」と呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換する。特に層間の陽イオンがLi+、Na+等の場合、イオン半径が小さいため、層状結晶格子間の結合が弱く、水により大きく膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。前記膨潤性無機層状化合物の具体例の中でも、ベントナイト、膨潤性合成雲母は、その傾向が強い点で好ましく、膨潤性合成雲母が特に好ましい。
【0065】
前記膨潤性合成雲母としては、例えば、以下の化合物が好適に挙げられる。
NaテトラシックマイカNaMg2.5(Si4O10)F2、
Na又はLiテニオライト(NaLi)Mg2(Si4O10)F2、
Na又はLiヘクトライト(NaLi)/3Mg2/3Li1/3(Si4O10)F2、
などが挙げられる。
【0066】
前記膨潤性合成雲母のサイズとしては、厚みが1〜50nmであり、平面サイズが1〜20μmである。前記厚みは、拡散制御の点では、薄ければ薄いほど好ましく、前記平面サイズは、塗布面の平滑性及び透明性を悪化しない範囲で大きいほど好ましい。前記膨潤性合成雲母のアスペクト比としては、通常100以上であり、200以上が好ましく、500以上がより好ましい。
【0067】
前記通常のゼラチンを使用した場合、雲母の比率(対ゼラチン1.5〜10以上)が増えると、一定固形分濃度(例えば、5〜10%)で増粘、ゲル化が進むため、粘度を下げることが必要になる。該粘度を下げるには、濃度を下げる方法があるが、濃度を下げることは塗膜の乾燥負荷を増大させ、厚塗りによる塗布面状が悪化してしまう。また、塗布液に尿素、塩等を添加する方法もあるが、十分に粘度低下が得られず、塗布後の面状も悪い。これに対し、前記ゼラチンは、このような弊害を生じることなく、増粘、ゲル化を著しく低減でき、雲母と混合して使用しても増粘、ゲル化を著しく低減することができる点で、有利である。
【0068】
前記水膨潤性合成雲母の前記下塗り層における含有量としては、雲母/ゼラチンの質量比率で1/20〜1/2が好ましい。
前記水膨潤性合成雲母の含有量が、1/20未満であると、下塗層が酸素遮断層として十分に機能しなくなることがあり、1/2を超えると、塗布性等の製造適性が悪化することがある。
【0069】
また、前記下塗層における雲母の塗布量としては、通常0.01g/m2以上であり、0.02g/m2以上が好ましい。
前記雲母の塗布量が、0.01g/m2未満であると、下塗り層における酸素遮断能が低下し、地肌部の着色等を防止するという特性を発揮することができないことがある。
【0070】
(中間層)
本発明においては、前記感熱記録層を色相の異なる感熱発色層による積層構造とする場合には、各感熱記録層の間に混色等を防止するための中間層を設けるのが好ましい。
前記中間層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水溶性高分子化合物などを用いて形成することができる。
【0071】
前記水溶性高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、スチレン−マレイン酸共重合体、ゼラチン及び/又はゼチラン誘導体、ポリエチレングリコール及び/又はポリエチレングリコール誘導体からなるものが好適に挙げられる。
【0072】
また、前記中間層には、前記無機の層状化合物を好適に添加することができる。前記中間層が、前記無機の層状化合物を含有すると、層間の物質移動を抑制・防止することにより混色を防止でき、かつ、酸素の供給を抑制することにより生保存性及び色像保存性を向上させることができる。
【0073】
(光透過率調整層)
本発明においては、光透過率調整層を好適に設けることができる。
前記光透過率調整層は、前記感熱記録材料中に少なくとも1層設けることのが好ましく、前記感熱記録層と前記保護層との間に形成するのがより好ましい。なお、前記光透過率調整層を前記保護層と兼用するように設計してもよい。
前記光透過率調整層は、紫外線吸収剤の前駆体として機能する成分を含有し、定着に必要な領域の波長の光照射前は紫外線吸収剤として機能しないので、光透過率が高く、前記感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を十分に透過させ、また、可視光線の透過率も高く、前記感熱記録層の定着に支障は生じない。
【0074】
前記紫外線吸収剤の前駆体として機能する成分は、前記感熱記録層の光照射による定着に必要な領域の波長の光照射が終了した後、光又は熱などで反応することにより紫外線吸収剤として機能するようになり、紫外線領域の定着に必要な領域の波長の光は、紫外線吸収剤によりその大部分が吸収され、透過率が低くなり、感熱記録材料の耐光性が向上するが、可視光線の吸収効果がないから、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
【0075】
前記紫外線吸収剤の前駆体として機能する成分の例としては、下記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物が好適に挙げられる。
【0076】
【化6】
【0077】
一般式(1)〜(4)において、mは、1又は2を表す。
Aは、m=1のときの一般式(1)、及び一般式(2)〜(4)において、−SO2−R、−CO−R、−CO2−R、−CONH−R、−POR1R2、−CH2R3又は−SiR4R5R6を表す。また、Aは、m=2のときの一般式(1)において、−SO2R7SO2−、−CO−、−COCO−、−COR7CO−、−SO2−又は−SO−を表す。
【0078】
Xは、一般式(1)、(3)及び(4)において、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はハロゲン原子を表す。また、Xは、一般式(2)において、アルキレン基、−OR7O−又は−OCOR7CO2−を表す。
Wは、一般式(1)、(2)及び(4)において、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はハロゲン原子を表す。また、Wは、一般式(3)において、−OR7O−又は−OCOR7CO2−を表す。
【0079】
Yは、一般式(1)、(2)、(3)において、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はハロゲン原子を表す。また、Yは、一般式(4)において、−OR7O−、−OCOR7CO2−、−CH2CH2CO2R7OCOCH2CH2−、−CH2CH2OCOR7CO2CH2CH2−、又は−CH2CH2CON(R8)R7N(R8)COCH2CH2−を表す。
【0080】
Zは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表す。
ここで、Rは、アルキル基又はアリール基を表す。R1及びR2は、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基又はアリール基を表す。R3は、ニトロ基又はメトキシ基で少なくとも1つ置換したフェニル基を表す。R4、R5及びR6は、アルキル基又はアリール基を表す。R7は、アルキレン基又はアリーレン基を表す。R8は、水素原子又はアルキル基を表す。
【0081】
前記アルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよく、また、不飽和結合を有していてもよく、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリール基、ヒドロキシ基などで置換されていてもよい。また前記アリール基は、さらにアルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0082】
前記アルキレン基は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよく、不飽和結合、酸素原子、硫黄原子、窒素原子を含んでいてもよい。また、前記アルキレン基は、さらにアルコキシ基、ヒドロキシ基、アリールオキシ基、又はアリール基で置換されていてもよい。
【0083】
前記アリーレン基は、さらにアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子などで置換されていてもよい。
【0084】
X、Y、及びWで表される置換基としては、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数6〜18のアリール基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子が好ましく、これらの中でも、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、フェニル基、又は水素原子、塩素原子が特に好ましい。
【0085】
Zで表される置換基としては、水素原子、塩素原子、フッ素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基が好ましく、これらの中でも、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は水素原子、塩素原子が特に好ましい。
【0086】
Rで表される置換基としては、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基が好ましく、これらの中でも、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基が特に好ましい。
【0087】
R1及びR2で表される置換基としては、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基が好ましい。
【0088】
R3で表される置換基としては、2−ニトロフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,4,5−トリメトキシフェニル基が好ましい。
【0089】
R4、R5及びR6で表される置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基又はフェニル基が特に好ましい。
【0090】
1分子内にベンゾトリアゾール環を2個有するいわゆるビス体において、R7で表される置換基としては、炭素数1〜12のアルキレン基又は炭素数6〜12のアリーレン基が好ましく、R8で表される置換基としては、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
【0091】
Aで表される置換基としては、−SO2Rが特に好ましい。
【0092】
以下、前記置換基の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
X、Y、及びWで表される置換基のうち1価のものとしては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、アリル基、2−ブテニル基、ベンジル基、α−ジメチルベンジル基、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシエトキシ基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルエチル基、プロピルオキシカルボニルエチル基、ブチルオキシカルボニルエチル基、オクチルオキシカルボニルエチル基、フェノキシカルボニルエチル基、フェニル基、トリル基、塩素原子、フッ素原子、臭素原子などが挙げられ、2価のものとしては、下記のものが挙げられる。
【0093】
【化7】
【0094】
Zで表される置換基としては、水素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、オクチルオキシ基などが挙げられる。
【0095】
Aで表される置換基として1価のものとしては、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、4−メチルベンゼンスルホニル基、2−メシチレンスルホニル基、4−メトキシベンゼンスルホニル基、4−オクチルオキシベンゼンスルホニル基、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル基、β−スチレンスルホニル基、ビニルベンゼンスルホニル基、4−クロロベンゼンスルホニル基、2,5−ジクロロベンゼンスルホニル基、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホニル基、1−ナフタレンスルホニル基、2−ナフタレンスルホニル基、キノリンスルホニル基、チオフェンスルホニル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ピバロイル基、ラウロイル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、シンナモイル基、フロイル基、ニコチノイル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ジフェニルホスホリル基、ジエチルホスホリル基、2−ニトロベンジル基、3,5−ジメトキシベンジル基、3,4,5−トリメトキシベンジル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられ、2価のものとしては下記のものが挙げられる。
【0096】
【化8】
【0097】
Aが−SiR4R5R6の場合は、光反応性の向上を目的として、アンモニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、オニウム塩などの光酸発生剤を併用してもよい。これら光酸発生剤の具体例としては、「イメージング用有機材料」(有機エレクトロニクス材料研究会編、1993年)に記載のものが挙げられる。
【0098】
前記一般式(1)〜(4)で表される化合物は、従来公知の方法で簡易に合成することができ、これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0099】
前記光透過率調整層における前記一般式(1)〜(4)で表される化合物の含有の態様については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、これらを、(1)固体分散による含有させる方法、(2)乳化分散により含有させる方法、(3)ポリマー分散により含有させる方法、(4)ラテックス分散により含有させる方法、(5)マイクロカプセル化して含有させる方法、などが挙げられる。これらの中でも、乳化分散により含有させる方法、マイクロカプセル化して含有させる方法が好ましい。
【0100】
前記乳化分散の方法としては、まず前記一般式(1)〜(4)で表される化合物をオイルに溶解する。
このオイルは、常温で固体であってもよいし、液体であってもよく、ポリマーであってもよく、酢酸エステル、メチレンクロライド、シクロヘキサノン等の低沸点補助溶剤及び/又はりん酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、その他のカルボン酸エテスル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタン、塩素化パラフィン、アルコール系、フェノール系、エーテル系、モノオレフィン系、エポキシ系、などが挙げられる。
【0101】
具体例としては、りん酸トリクレジル、りん酸トリオクチル、りん酸オクチルジフェニル、りん酸トリシクロヘキシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジラウレート、フタル酸ジシクロヘキシル、オレフィン酸ブチル、ジエチレングリコールベンゾエート、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、トリメリット酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸オクチル、マレイン酸ジブチル、イソアミルビフェニル、塩素化パラフィン、ジイソプロピルナフタレン、1,1´−ジトリルエタン、2,4−ジタ−シャリアミルフェノール、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−ターシャリオクチルアニリン、ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルエステル、ポリエチレングリコール等の高沸点オイル、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、これらの中でも、アルコール系、りん酸エステル系、カルボン酸系エステル系、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタンが好ましい。
【0102】
本発明においては、前記オイルに、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の炭化防止剤を添加してもよい。
前記一般式(1)〜(4)で表される化合物を含む前記オイルを、水溶性高分子の水溶液中に添加し、コロイドミル、ホモジナイザー又は超音波により乳化分散させる。
【0103】
前記水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アミノ変性ポリビニルアルコール、イタコン酸変性ポリビニルアルコール、スチレンー無水マレイン酸共重合体、ブタジエン無水マレイン酸共重合体、エチレン無水マレイン酸共重合体、イソブチレン無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、ゼラチンなどが挙げられる。本発明においては、前記水溶性高分子に、必要に応じて界面活性剤等を添加してもよいし、また、疎水性高分子のエマルジョン又はラテックスなどを併用してもよい。
【0104】
前記ジアゾニウム塩化合物、あるいは前記一般式(1)〜(4)で表される化合物をマイクロカプセル化する場合、そのマイクロカプセル化の方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、前記ジアゾニウム塩化合物、又は前記一般式(1)〜(4)で表される化合物と、マイクロカプセル壁前駆体とを水に難溶又は不溶の有機溶剤に溶解し、水溶性高分子の水溶液中に添加しホモジナイザーなどを用いて乳化分散し、昇温してマイクロカプセル壁となる高分子物質を油/水界面に壁膜を形成することにより、該ジアゾニウム塩化合物、又は該一般式(1)〜(4)で表される化合物のマイクロカプセルを調製することができる。
【0105】
前記マイクロカプセル壁膜の具体例としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンーアクリレート共重合体樹脂、スチレンーメタクリレート共重合体樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール、などからなる壁膜が挙げられる。これらの中でも、ポリウレタン・ポリウレア樹脂からなる壁膜が好ましい。
【0106】
該ポリウレタン・ポリウレア樹脂からなる壁膜を有するマイクロカプセルは、例えば、多価イソシアネート等のマイクロカプセル壁前駆体を、マイクロカプセル化すべき芯物質中に混合し、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子の水溶液に乳化分散し、液温を上昇させて油滴界面で高分子形成反応を起こすことによって製造される。
【0107】
前記多価イソシアネート化合物の具体例としては、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート等のジイソシアネート類、4,4′,4″−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート等のトリイソシアネート類、4,4′−ジメチルジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テトライソシアネート等のテトライソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、2,4ートリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物等のイソシアネートプレポリマー、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、これらの中でも、分子内にイソシアネート基を三個以上有するものが特に好ましい。
【0108】
前記マイクロカプセル化の方法において、前記ジアゾニウム塩化合物、又は前記一般式(1)〜(4)で表される化合物を溶解させる有機溶剤としては、前記乳化分散の方法において示したオイルを用いることができる。また、水溶性高分子についても同様である。
【0109】
前記マイクロカプセルの平均粒径としては、0.1〜1.0μmが好ましく、0.2〜0.7μmがより好ましい。
【0110】
本発明においては、耐光性を更に向上させるため、以下に示す公知の酸化防止剤を前記感熱記録材料中に添加することができる。
このような酸化防止剤としては、例えば、ヨーロッパ公開特許第310551号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、ヨーロッパ公開特許第310552号公報、特開平3−121449号公報、ヨーロッパ公開特許第459416号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開昭63−163351号公報、アメリカ特許第4814262号、特開昭54−48535号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4980275号、特開昭63−113536号公報、特開昭62−262047号公報、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、ヨーロッパ公開特許第309402号公報、ヨーロッパ公開特許第309401号公報等に記載の酸化防止剤などが挙げられ、具体的には、以下のものが挙げられる。
【0111】
【化9】
【0112】
【化10】
【0113】
【化11】
【0114】
【化12】
【0115】
【化13】
【0116】
【化14】
【0117】
【化15】
【0118】
【化16】
【0119】
また、特開昭60−125470号公報、特開昭60−125471号公報、特開昭60−125472号公報、特開昭60−287485号公報、特開昭60−287486号公報、特開昭60−287487号公報、特開昭62−146680号公報、特開昭60−287488号公報、特開昭62−282885号公報、特開昭63−89877号公報、特開昭63−88380号公報、特開昭63−088381号公報、特開平01−239282号公報、特開平04−291685号公報、特開平04−291684号公報、特開平05−188687号公報、特開平05−188686号公報、特開平05−110490号公報、特開平05−1108437号公報、特開平05−170361号公報、特開昭63−203372号公報、特開昭63−224989号公報、特開昭63−267594号公報、特開昭63−182484号公報、特開昭60−107384号公報、特開昭60−107383号公報、特開昭61−160287号公報、特開昭61−185483号公報、特開昭61−211079号公報、特開昭63−251282号公報、特開昭63−051174号公報、特公昭48−043294号公報、特公昭48−033212号公報、などに記載の酸化防止剤が挙げられる。
【0120】
具体例には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス−4−ヒドロキシフェニルプロパン、1,1−ビス−4−ヒドロキシフェニル−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドールがなどが挙げられる。
これらの酸化防止剤は、前記感熱記録層、前記中間層、前記光透過率調整層、前記保護層に添加することができる。
【0121】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において「部」は、特に断りのない限り総て「質量部」を意味する。
【0122】
(実施例1)
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明は、これら実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
[実施例1]
<フタル化ゼラチン溶液の調製>
フタル化ゼラチン(商品名:MGPゼラチン、ニッピコラーゲン(株)製)32部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.9143部、イオン交換水367.1部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0123】
<アルカリ処理ゼラチン溶液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)25.5部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.7286部、水酸化カルシウム0.153部、イオン交換水143.6部を混合し、50℃にて溶解し、乳化物作製用ゼラチン水溶液を得た。
【0124】
(1)イエロー感熱記録層液の調製
<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製>
酢酸エチル16.1部に、下記ジアゾニウム化合物(A)(最大吸収波長420nm)2.2部、下記ジアゾニウム化合物(B)(最大吸収波長420nm)2.2部、モノイソプロピルビフェニル4.8部、フタル酸ジフェニル3.6部、およびジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO,BASFジャパン(株)製)0.4部を添加し40℃に加熱して均一に溶解した。この混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の混合物(商品名;タケネートD119N(50質量%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)8.6部を添加し、均一に攪拌し混合液(I)を得た。
【0125】
【化17】
【0126】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液58.6部にイオン交換水16.3部、Scraph AG−8(50質量%)日本精化(株)製)0.34部添加し、混合液(II)を得た。
【0127】
混合液(II)に混合液(I)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水20部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.36μmであった。
【0128】
<カプラー化合物乳化液(a)の調製>
酢酸エチル33.0部に下記カプラー化合物(C)9.9部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)9.9部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))20.8部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン3.3部、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)13.6部、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.8部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名:パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)4.2部を溶解し、混合液(III)を得た。
【0129】
【化18】
【0130】
別途前記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(IV)を得た。
【0131】
混合液(IV)に混合液(III)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が26.5質量%になるように濃度調節を行った。得られたカプラー化合物乳化物の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.21μmであった。
【0132】
更に上記カプラー化合物乳化物100部に対して、SBRラテックス(商品名SN−307,48%液、住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5%に濃度調整したものを9部添加して均一に撹拌してカプラー化合物乳化液(a)を得た。
【0133】
<塗布液(a)の調製>
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)および前記カプラー化合物分乳化液(a)を、内包しているカプラー化合物/ジアゾ化合物の質量比が2.2/1になるように混合し、イエローの感熱記録層用塗布液(a)を得た。
【0134】
(2)マゼンタ感熱記録層液の調製
<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)の調製>
酢酸エチル15.1部に、下記ジアゾニウム化合物(D)(最大吸収波長365nm)2.8部、フタル酸ジフェニル3.8部、フェニル2−ベンゾイロキシ安息香酸エステル3.9部及び下記化合物(E)(商品名;ライトエステルTMP,共栄油脂化学(株)製)3.9部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)0.2部を添加し加熱して均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の混合物(商品名;タケネートD119N(50質量%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)2.5部とキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75質量%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)6.8部を添加し、均一に攪拌し混合液(V)を得た。
【0135】
【化19】
【0136】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液55.3部にイオン交換水21.0部添加、混合し、混合液(VI)を得た。
混合液(VI)に混合液(V)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水24部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.43μmであった。
【0137】
<カプラー化合物乳化液(b)の調製>
酢酸エチル36.9部に下記カプラー化合物(E)11.9部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)14.0部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))14.0部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン14部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’、6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン3.5部、下記化合物(G)3.5部、リン酸トリクレジル1.7部、マレイン酸ジエチル0.8部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名:パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)4.5部を溶解し、混合液(VII)を得た。
【0138】
【化20】
【0139】
別途アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(VIII)を得た。
【0140】
混合液(VIII)に混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5質量%になるように濃度調節を行い、カプラー化合物乳化液(b)を得た。得られたカプラー化合物乳化液の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.22μmであった。
【0141】
<塗布液(b)の調製>
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)および前記カプラー化合物分乳化液(b)を、内包しているカプラー化合物/ジアゾ化合物の質量比が3.5/1になるように混合した。さらに、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5質量%)をカプセル液量10部に対し、0.2部になるように混合し、マゼンタの感熱記録層用塗布液(b)を得た。
【0142】
(3)シアン感熱記録層液の調製
<電子供与性無色染料内包マイクロカプセル液(c)の調製>
酢酸エチル18.1部に、下記電子供与性染料前駆体(H)7.6部、1−メチルプロピルフェニル−フェニルメタン及び1−(1−メチルプロピルフェニル)−2−フェニルエタンの混合物(商品名:ハイゾールSAS−310,日本石油(株)製)8.0部、下記化合物(I)(商品名:Irgaperm2140(チバガイギー(株))8.0部を添加し加熱して均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材として、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名:タケネートD110N(75質量%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)7.2部とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名:ミリオネートMR−200,日本ポリウレタン工業(株)製)5.3部を添加し、均一に攪拌し混合液(IX)を得た。
【0143】
【化21】
【0144】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液28.8部にイオン交換水9.5部、Scraph AG−8(50質量%)日本精化(株)製)0.17部およびドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(10%水溶液)2.5部を添加混合し、混合液(X)を得た。
【0145】
混合液(X)に混合液(IX)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水50部、テトラエチレンペンタミン0.12部を加え均一化し、65℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行ないカプセル液の固形分濃度が33%になるように濃度調節しマイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で1.00μmであった。
【0146】
更に上記マイクロカプセル液100部に対して、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム25%水溶液(商品名;ネオペレックスF−25、花王(株)製)3.7部と4,4’−ビストリアジニルアミノスチルベン−2,2’−ジスルフォン誘導体を含む蛍光増白剤(商品名;Kaycoll BXNL、日本曹達(株)製)4.2部を添加して均一に撹拌してマイクロカプセル分散液(c)を得た。
【0147】
<電子受容性化合物分散液(c)の調製>
前記フタル化ゼラチン水溶液11.3部にイオン交換水30.1部、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールP、三井石油化学(株)製)15部、2質量%の2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウム水溶液3.8部を加えて、ボールミルにて一晩分散した後、分散液を得た。この分散液の、固形分濃度は26.6質量%であった。
上記分散液100部に、前記アルカリ処理ゼラチン水溶液45.2部を加えて、30分攪拌した後、分散液の固形分濃度が23.5%となるようにイオン交換水を加えて電子受容性化合物分散液(c)を得た。
【0148】
<塗布液(c)の調製>
前記電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)および前記電子受容性化合物分散液(c)を、電子受容性化合物/電子供与性染料前駆体の質量比が10/1になるように混合し、シアンの感熱記録層用塗布液(c)を得た。
【0149】
(4)中間層用塗布液の調製
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン (株)製)100.0部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)2.857部、水酸化カルシウム0.5部、イオン交換水521.643部を混合し、50℃にて溶解し、中間層作製用ゼラチン水溶液を得た。
【0150】
前記中間層作製用ゼラチン水溶液10.0部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製 2.0質量%水溶液)0.05部、硼酸(4.0質量%水溶液)2.0部、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5質量%)0.19部、下記化合物(J)(和光純薬(株)製)の4質量%水溶液3.42部、下記化合物(J’)(和光純薬(株)製)の4質量%水溶液1.13部、イオン交換水0.67部を混合し、中間層用塗布液とした。
【0151】
【化22】
【0152】
(5)水透過性制御層塗布液の調製
6%ポリビニルアルコール水溶液(商品名:PVA124C、クラレ(株)製)133部にイオン交換水102部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチレンブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0質量%水溶液)40部、4%合成雲母分散液(ソマシフMEB−3L、コープケミカル(株)製)50部を添加後十分に攪拌して均一に分散させ、目的とする保護層の下層に設ける水透過性制御層塗布液を得た。
【0153】
(6)保護層用塗布液の調製
(vi−1)保護層用ポリビニルアルコール溶液の調製
ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130,電気化学工業(株)製)160部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステルの混合液(商品名:ネオスコアCM−57,(54質量%水溶液),東邦化学工業(株)製)7.5部、アセチレンジオールの酸化エチレン付加物(商品名:ダイノール604、エアープロダクツジャパン(株))7.05部、イオン交換水3832部を混合し、90℃のもとで1時間溶解し均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
【0154】
(vi−2)保護層用顔料分散液の調製
硫酸バリウム(商品名:BF−21F,硫酸バリウム含有量93%以上,堺化学工業(株)製)8部に陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40質量%水溶液),花王(株)製)0.2部、イオン交換水11.8部を混合し、ダイノミルにて分散して保護層用顔料分散液を調製した。この分散液は粒径測定(LA−910,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.15μm以下であった。
【0155】
上記硫酸バリウム分散液45.6部に対し、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO(20質量%水分散液)、日産化学(株)製)5.0部を添加して目的の分散物を得た。
【0156】
(vi−3)保護層用マット剤分散液の調製
小麦澱粉(商品名:小麦澱粉S,新進食料工業(株)製)220部に1−2ベンズイソチアゾリン3オンの水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.81部、イオン交換水1976.19部を混合し、均一に分散し、保護層用マット剤分散液を得た。
【0157】
(vi−4) 保護層用塗布ブレンド液の調製
前記保護層用ポリビニルアルコール溶液1000部に(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム (三協化学(株)製 2.0質量%水溶液)50部、前記保護層用顔料分散液49.87部、前記保護層用マット剤分散液16.65部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンF115,20.5質量%水溶液,中京油脂(株)製)48.7部を均一に混合し保護層用塗布ブレンド液を得た。
【0158】
(7)下塗り層つき支持体の作製
<下塗り層液の調製>
酵素分解ゼラチン(平均分子量:10000、PAGI法粘度:1.5mPa・s、PAGI法ゼリー強度:20g)40部をイオン交換水60部に加えて40℃で攪拌溶解して下塗り層用ゼラチン水溶液を調製した。
【0159】
別途水膨潤性の合成雲母(アスペクト比:1000、商品名:ソマシフME100,コープケミカル社製)8部と水92部とを混合した後、ビスコミルで湿式分散し、平均粒径が2.0μmの雲母分散液を得た。この雲母分散液に雲母濃度が5質量%となるように水を加え、均一に混合し、所望の雲母分散液を調製した。
【0160】
40℃の40質量%の前記ゼラチン水溶液100部に、水120部およびメタノール556部を加え、十分攪拌混合した後、5質量%前記雲母分散液208部を加えて、十分攪拌混合し、1.66質量%ポリエチレンオキサイド系界面活性剤9.8部を加えた。そして液温を35℃から40℃に保ち、エポキシ化合物のゼラチン硬膜剤7.3部を加えて下塗り層用塗布液(5.7質量%)を調製し、下塗り層用塗布液を得た。
【0161】
<下塗り層つき支持体の作製>
LBPS50部LBPK50部からなる木材パルプをデイスクリファイナーによりカナデイアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、硫酸アルミニウム1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部をいずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し長網抄紙機により坪量114g/m2の原紙を抄造しキャレンダー処理によって厚み100μmに調整した。
【0162】
次に原紙の両面にコロナ放電処理を行った後、溶融押し出し機を用いてポリエチレンを樹脂厚36μmとなるようにコーテイングしマット面からなる樹脂層を形成した(この面をウラ面と呼ぶ)。次に上記樹脂層を形成した面とは反対側に溶融押し出し機を用いてアナターゼ型二酸化チタンを10質量%及び微量の群青を含有したポリエチレンを樹脂厚36μmとなるようにコーテイングし光沢面からなる樹脂層を形成した(この面をオモテ面と呼ぶ)。ウラ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(商品名;アルミナゾル100、日産化学工業(株)製)/二酸化珪素(商品名;スノーテックスO、日産化学工業(株)製)=1/2(質量比)を水に分散させて乾燥後の質量で0.2g/m2塗布した。次にオモテ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、上記下塗り液を雲母の塗布量が0.26g/m2となるように塗布し、下塗り層つき支持体を得た。
【0163】
<各感熱記録層用塗布液の塗布>
前記下塗り層つき支持体の上に、下から、前記感熱記録層用塗布液(c)、前記中間層用塗布液、前記感熱記録層用塗布液(b)、前記中間層用塗布液、前記感熱記録層用塗布液(a)、前記光透過率調整層用塗布液、前記水透過性制御層塗布液、前記保護層用塗布液の順に8層同時に連続塗布し、30℃湿度30%、および40℃湿度30%の条件でそれぞれ乾燥して多色の感熱記録材料を得た。
この際前記感熱記録層用塗布液(a)の塗布量は液中に含まれるジアゾ化合物(A)の塗布量が固形分塗布量で0.078g/m2となるように、同様に前記感熱記録層用塗布液(b)の塗布量は液中に含まれるジアゾ化合物(D)の塗布量が固形分塗布量で0.206g/m2となるように、同様に前記感熱記録層用塗布液(c)の塗布量は液中に含まれる電子供与性染料(H)の塗布量が固形分塗布量で0.355g/m2となるように塗布を行った。
また、前記中間層用塗布液は(a)と(b)の間は固形分塗布量が2.39g/m2、(b)と(c)の間は固形分塗布量が3.34g/m2、前記光透過率調整層用塗布液は固形分塗布量が2.35g/m2、前記水透過制御層用塗布液は固形分塗布量が1.20g/m2、保護層は固形分塗布量が1.39g/m2となるように塗布を行った。
以上のようにして、実施例1の感熱記録材料を作製した。
【0164】
[比較例1]
実施例1の(5)水透過性制御層塗布液の調製において、4%合成雲母分散液50部を14部に変更したこと以外は実施例1と同様にして比較例1の感熱記録材料を作製した。
【0165】
[比較例2]
実施例1の(5)水透過性制御層塗布液の調製において、4%合成雲母分散液を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして比較例2の感熱記録材料を作製した。
【0166】
[比較例3]
実施例1において、水透過性制御層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして比較例3の感熱記録材料を作製した。
【0167】
[比較例4]
実施例1の(5)水透過性制御層塗布液の調製において、4%合成雲母分散液を添加する代わりに以下のようにして調製した顔料分散液を10.5部添加したこと以外は実施例1と同様にして比較例4の感熱記録材料を作製した。
《顔料分散液の調製》
20質量%カオグロス(白石工業社製)水溶液20部、10質量%ポリビニルアルコール(商品名:PVA105、クラレ(株)製)12.5部、2質量%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液0.40部を混合し、ダイノミルで分散し顔料分散液を調製した。この分散液は粒度測定(LA−910、堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で1.4μmであった。
【0168】
以下に示す測定を行った。
(光沢性)
富士写真フイルム(株)製デジタルプリンター「NC600D」を用いて印画エネルギー45〜70mj/mm2の帯パターン画像を印画し、各印画エネルギーで印画した印画面の鏡面光沢度をスガ試験機(株)製のデジタル変角光尺度計「UGV−5D」を用いて20°の入射角で測定した。測定結果を表1に示す。
【0169】
【表1】
【0170】
表1より、実施例1の感熱記録材料は、いずれの印画エネルギーにおいても光沢度が高いことが分かる。
【0171】
【発明の効果】
本発明によれば、高い光沢性を有する画像を形成することができる感熱記録材料を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーマルヘッドを用いて画像の記録を行う感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録システムは、ファクシミリ、プリンター、ラベル等の多分野においてニーズが拡大しており、それに伴い、より高性能な感熱記録材料が求められている。
サーマルヘッドにより画像様に加熱して画像の記録を行う感熱記録材料では、サーマルヘッドの保護膜の材質や形状等に合ったヘッドマッチング性を有することのみならず、ヘッド汚れやヘッド摩耗を発生させずに高品質の画像を安定して出力することができることが重要である。
【0003】
プリント開始時等の装置が冷えた状態で高速印画を行った場合に、加熱により感熱記録材料から出た水がサーマルヘッドの表面に凝集して水滴となり、感熱記録材料の最表面に付着し、光沢ムラなどの画質低下を生じたり、付着する場所によっては光沢性の低下を発生させたりするという問題があった。
【0004】
一方、耐光性の向上、耐可塑剤性改良等を図ることを目的として、感熱記録材料のいずれかの層に雲母(無機層状化合物)を添加する例が知られている。例えば、下塗り層に雲母を添加添加するもの(特許文献1参照。)、中間層に雲母を添加するもの(特許文献2参照。)、いずれかの層に雲母を添加するもの(特許文献3参照。)等である。しかし、いずれも画像の高い光沢性について追究したものではない。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−5366号公報
【特許文献2】
特開平10−193789号公報
【特許文献3】
特開2001−199163号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明の目的は、高い光沢性を有する画像を形成することができる感熱記録材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
<1> 支持体上に、少なくとも感熱記録層と保護層とを有する感熱記録材料であって、前記保護層に最も近い感熱記録層よりも上に、無機層状化合物を含有する層を有し、前記無機層状化合物の含有量が0.2〜0.5g/m2であることを特徴とする感熱記録材料である。
<2> 前記無機層状化合物を含有する層が、前記保護層自体、又は前記保護層と前記感熱記録層との間に位置する層であることを特徴とする前記<1>に記載の感熱記録材料である。
<3> 前記無機層状化合物が水膨潤性雲母であることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の感熱記録材料である。
<4> 前記無機層状化合物を含有する層のバインダーがポリビニルアルコールであることを特徴とする前記<1>から<3>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の感熱記録材料は、支持体上に、少なくとも感熱記録層と保護層とを有する感熱記録材料であって、前記保護層に最も近い感熱記録層よりも上に、無機層状化合物を含有する層(以下、「水透過性制御層」と呼ぶ。)を有し、前記無機層状化合物の含有量が0.2〜0.5g/m2であることを特徴としている。
以下、本発明の感熱記録材料について詳しく説明する。
【0009】
[水透過性制御層]
本発明の感熱記録材料においては、保護層に最も近い感熱記録層よりも上に、水透過性制御層を有するが、該水透過性制御層を設けることにより、印画時における支持体もしくは感熱記録層からの水の透過を抑制することができ、水に起因して生じる中間濃度での光沢度の低下を抑制することができる。
【0010】
水透過性制御層は、保護層に最も近い感熱記録層よりも上にあればよいが、保護層よりも上に設ける態様、保護層自体とする態様、保護層と感熱記録層との間に設ける態様が挙げられ、保護層自体、又は保護層と感熱記録層との間に設ける態様が好ましい。
【0011】
水透過性制御層の層厚としては、0.5〜3.0μmとすることが好ましく、0.5〜2.0μmとすることがより好ましい。該層の層厚を0.5〜3.0μmとすることにより、既述の水の透過を十分に抑制することができる。
【0012】
水透過性制御層のバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ケイ素変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子、及び酢酸ビニルエマルジョン等の合成樹脂エマルション等が挙げられ、中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。また、これらのバインダーを必要に応じて併用してもよい。
【0013】
(無機層状化合物)
前記無機層状化合物としては、下記一般式(1)で表される雲母群、3MgO・4SiO2・H2Oで表されるタルク、テニオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、リン酸ジルコニウムなどが挙げられる。
A(B,C)2−3D4O10(OH,F,O)2 …一般式(1)
[一般式(1)中、AはK、Na、又はCaを表し、B及びCは、それぞれ独立に、Fe(II)、Fe(III)、Mn、Al、Mg、Vを表す。]
【0014】
前記一般式(1)で表される雲母群において、天然雲母として例えば白雲母、ソーダ雲母、金雲母KMg3(AlSi3O10)F2、カリ四ケイ素雲母KMg2.5(Si4O10)F2等の非膨潤性雲母、及びNaテトラシリシックマイカNaMg2.5(Si4O10)F2、NaもしくはLiテニオライト(Na,Li)Mg2Li(Si4O10)F2、モンモリオナイト系のNa又はLiヘクトライト(Na,Li)1/3Mg2/3(Si4O10)F2等の膨潤性雲母が挙げられる。更に、合成スメクタイトも有用である。
【0015】
本発明においては、前記無機層状化合物の中でも、水膨潤性の合成雲母が好ましく、膨潤性のフッ素系合成雲母が特に好ましい。
【0016】
前記無機層状化合物のアスペクト比としては、20以上が好ましく、100以上がより好ましく、200以上が特に好ましい。該アスペクト比とは、無機層状化合物の粒子の長径に対する厚さの比である。
【0017】
前記無機層状化合物の粒子径としては、その平均直径が0.3〜20μmであることが好ましく、0.5〜10μmであることがより好ましく、1〜5μmであることが特に好ましい。該無機層状化合物の平均の厚さとしては、0.1μm以下が好ましく、0.05μm以下がより好ましく、0.01μm以下が特に好ましい。
【0018】
(質量比)
層中に含まれるバインダー(x)と無機層状化合物(y)との質量比率は2以上30以下であることが好ましく、3以上8以下の範囲であることがより好ましい。また、上記バインダーの塗布量としては、0.05g/m2以上2.0g/m2以下が好ましく、0.3〜1.5g/m2の範囲がさらに好ましい。
さらに、本発明においては、無機層状化合物の含有量は、0.2g/m2〜0.5g/m2としており、0.2〜0.4g/m2が好ましい。無機層状化合物の含有量が0.2g/m2未満では光沢度の低下を抑制することができず、0.5g/m2を超えると塗膜の平滑性が低下する。無機層状化合物の含有量は、上記バインダーの塗布量と上記PVAとの質量比率とから導き出されることが好ましい。
【0019】
水透過性制御層には、前記成分の他、界面活性剤、硬膜剤を含有させてもよい。
【0020】
水透過性制御層形成用の塗布液の調製は、前記各成分を混合して得られる。そして、水透過性制御層は、該塗布液を塗布することにより形成することができる。水透過性制御層の乾燥塗布量としては、0.5〜3.0g/m2が好ましく、0.5〜2.0g/m2がより好ましい。該乾燥塗布量を0.5〜3.0g/m2とすることにより、
【0021】
[保護層]
保護層は、通常、バインダー、顔料、滑剤、分散剤、蛍光増白剤、金属石鹸、界面活性剤、硬膜剤、紫外線吸収剤、架橋剤等を含有してなる。
前記バインダーとしては、例えば、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダなどの水溶性高分子及びスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等の合成ゴムラテックス、合成樹脂エマルジョン等が挙げられる。
前記バインダーの中でも、ゼラチン類が好ましく、該ゼラチンとしては、特に等電点の低いアルカリ処理ゼラチン、アミノ基を反応させた誘導体ゼラチン(例えば、フタル化ゼラチン等)等が好ましい。
【0022】
前記顔料としては、特に制限はないが、例えば、カオリン、焼成カオリン、タルク、ロウ石、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、リトポン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、焼成石コウ、シリカ、炭酸マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、炭酸バリウム、硫酸バリウム、マイカ、マイクロバルーン、尿素−ホルマリンフィラー、ポリエステルパーティクル、セルロースフィラー等が挙げられる。
前記バインダーの含有量としては、保護層中の顔料に対して、10〜500質量%が好ましく、50〜400質量%がより好ましい。
【0023】
また、耐水性を更に向上させる目的で、架橋剤及びその反応を促進させる触媒を併用することが有効であり、該架橋剤としては、例えば、エポキシ化合物、ブロックドイソシアネート、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物、硼酸、カルボン酸無水物、シラン化合物、キレート化合物、ハロゲン化物等が挙げられ、保護層形成用の塗布液のpHを6.0〜7.5に調整できるものが好ましい。触媒としては、公知の酸、金属塩等が挙げられ、上記同様に塗布液のpHを6.0〜7.5に調整できるものが好ましい。
前記滑剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等が好適に挙げられる。
【0024】
また、保護層は界面活性剤を含有していてもよく、界面活性剤としては、既述したアセチレングリコール系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤の他、スルフォコハク酸系のアルカリ金属塩、フッ素含有界面活性剤等が好適に挙げられ、具体的には、ジ−(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸、ジ−(n−ヘキシル)スルホコハク酸等のナトリウム塩、及びアンモニウム塩等が挙げられる。
【0025】
保護層形成用の塗布液(保護層用塗布液)は、前記各成分を混合して得られる。更に、必要に応じて離型剤、ワックス、撥水剤等を加えてもよい。
これらの成分を配合した保護層塗布液は、バブルプレッシャー差圧法による200msで1個の泡を発生させたときの動的表面張力が35mN/m以下であり、かつ、1000msで1個の泡を発生させたときの動的表面張力が30mN/m以下である場合はそのまま塗布される。それを超える場合には、制御の容易性からは、添加する界面活性剤の種類や量を調整することで、前記塗布液の動的表面張力の値を上記範囲に調製することが好ましい。
【0026】
保護層の乾燥塗布量としては、0.2〜7g/m2が好ましく、1〜4g/m2がより好ましい。該乾燥塗設量が、0.2g/m2未満であると、耐水性が維持できないことがあり、7g/m2を超えると、著しく熱感度が低下することがある。保護層の塗布形成後、必要に応じてキャレンダー処理を施してもよい。
【0027】
[感熱記録層]
前記感熱記録層は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよく、目的に応じて適宜選択した層構成とすることができる。
前記感熱記録層は、発色成分を含み、該発色成分の発色反応により所望の色画像を形成し得るように設計される。前記発色成分としては、特に制限はなく、従来から公知のものを好適に使用することができる。前記発色反応としては、特に制限はなく、例えば、ジアゾニウム塩化合物とカプラーとの発色反応、電子供与性無色染料と電子受容性化合物との発色反応、などが好適に挙げられる。
【0028】
前記感熱記録層が、前記ジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する場合、該感熱記録層には、該ジアゾニウム塩化合物と該カプラーとの発色反応を促進する塩基性物質等が好適に添加される。
【0029】
前記ジアゾニウム塩化合物は、下記一般式(B)で表される化合物であり、これらはAr部分の置換基の位置や種類によってその最大吸収波長を制御することができるものである。
一般式(B): Ar−N2+X−
前記一般式(B)において、Arは、アリール基を表す。X−は、酸アニオンを表す。
【0030】
前記ジアゾニウム塩化合物の具体例としては、4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジオクチルアミノベンゼンジアゾニウム、4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジヘキシルアミノ−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−N−エチル−N−ヘキサデシルアミノ−2−エトキシベンゾジアゾニウム、3−クロロ−4−ジオクチルアミノ−2−オクチルオキシオベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−モルホリノベンゼンジアゾニウム、2,5−オクトキシ−4−モルホリノベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジエトキシ−4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−トリルチオベンゼンジアゾニウム、3−(2−オクチルオキシエトキシ)−4−モロホリノベンゼンジアゾニウムなどの酸アニオン塩及び下記ジアゾニウム塩化合物(D−1〜5)が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ヘキサフルオロフォスフェート塩、テトラフルオロボレート塩、1,5−ナフタレンスルホネート塩が特に好ましい。
【0031】
【化1】
【0032】
これらのジアゾニウム塩化合物の中でも、300〜400nmの波長の光により光分解する、4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジオクチルアミノベンゼンジアゾニウム、4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジヘキシルアミノ−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−N−エチル−N−ヘキサデシルアミノ−2−エトキシベンゾジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジエトキシ−4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、上記具体例D−3〜5に示すジアゾニウム塩化合物が特に好ましい。
なお、ここでいうジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長は、それぞれのジアゾニウム化合物を0.1〜1.0g/m2の塗布量で塗膜にしたものを分光光度計(Shimazu MPS−2000)により測定したものである。
【0033】
前記ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとしては、例えば、レゾルシン、フルルグルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ−6−スルファニルナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸エタノールアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−N−ドデシルオキシプルピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸テトラデシルアミド、アセトアニリド、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、2−クロロ−5−オクチルアセトアセトアニリド、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’−オクチルフェニル)−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラロン、1−フェニル−3−フェニルアセトアミド−5−ピラゾロン、下記(C−1〜6)に示す化合物、などが挙げられる。これらのカプラーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
【0034】
【化2】
【0035】
【化3】
【0036】
前記塩基性物質としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、無機又は有機の塩基性化合物の外、加熱時に分解等を生じアルカリ物質を放出するような化合物も含まれ、代表的なものとしては、有機アンモニウム塩、有機アミン、アミド、尿素及びチオ尿素さらにそれらの誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルホリン類、ピペリジン類、アミジン類、フォルムアジン類、ピリジン類等の含窒素化合物が挙げられる。
【0037】
これらの具体例としては、トリシクロヘキシルアミン、トリベンジルアミン、オクタデシルベンジルアミン、ステアリルアミン、アリル尿素、チオ尿素、メチルチオ尿素、アリルチオ尿素、エチレンチオ尿素、2−ベンジルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾリン、2,4,5−トリフリル−2−イミダゾリン、1,2−ジフェニル−4,4−ジメチル−2−イミダゾリン、2−フェニル−2−イミダゾリン、1,2,3−トリフェニルグアニジン、1,2−ジシクロヘキシルグアニジン、1,2,3−トリシクロヘキシルグアニジン、グアニジントリクロロ酢酸塩、N,N’−ジベンジルピペラジン、4,4’−ジチオモルホリン、モルホリニウムトリクロロ酢酸塩、2−アミノベンゾチアゾール、2−ベンゾイルヒドラジノベンゾチアゾールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0038】
前記電子供与性無色染料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の物の中から適宜選択することができ、本発明においては電子供与性無色染料前駆体を用いることができる。
【0039】
前記電子供与性無色染料前駆体としては、例えば、トリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、キサンテン系化合物、スピロピラン系化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、これらの中でも、発色濃度が高く有用な点で、トリアリールメタン系化合物、キサンテン系化合物が好ましい。これらの例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(即ちクリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノ)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、2−ベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−シクロヘキシルメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−イソアミルエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−オクチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−2−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン、などが挙げられる。
【0040】
前記電子受容性化合物としては、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル、などが挙げられる。これらの中でも、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が特に好ましく、具体的には、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸及びその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸及びその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸及びその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノールなどが特に好ましい。
【0041】
本発明においては、前記感熱記録層は、増感剤を含有することが好ましく、該増感剤としては、分子内に芳香族性の基と極性基を適度に有している低融点有機化合物が好ましく、具体的には、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、α−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフトエ酸フェニルエステル、α−ヒドロキシ−β−ナフトエ酸フェニルエステル、β−ナフトール−(p−クロロベンジル)エーテル、1,4−ブタンジオールフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−メチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−エチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−m−メチルフェニルエーテル、1−フェノキシ−2−(p−トリルオキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−エチルフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−クロロフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、などが挙げられる。
【0042】
また、感熱記録層は、下記一般式(A)で表される化合物を0.05g/m2以上含有することが好ましい。感熱記録層が複数の層からなる場合、一般式(A)で表される化合物が含有される層としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、固体分散物で構成される層であるのが好ましい。
【0043】
一般式(A): R−SO3M
前記一般式(A)において、Rは、アルキル基、アリール基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ポリオキシエチレンアリール基、又は、ポリオキシエチレンアルキル基を表し、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜30のアリール基が好ましく、炭素数1〜20のアルコキシル基が好ましく、炭素数1〜30のアリールオキシ基が好ましく、炭素数1〜30のポリオキシエチレンアリール基が好ましく、炭素数1〜20のポリオキシエチレンアルキル基が好ましい。Mは、アルカリ金属を表し、ナトリウム、カリウムなどが好ましい。
【0044】
前記一般式(A)で表される化合物の具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、特殊芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明においては、これらの中でも、地肌部の曝光着色を改良できる点で、下記式で表されるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
【0045】
【化4】
【0046】
前記一般式(A)で表される化合物の前記感熱記録層における含有量としては、0.05g/m2以上であることが好ましく、0.05〜0.50g/m2がより好ましく、0.05〜0.20g/m2がさらに好ましい。
前記含有量が、0.05g/m2未満であると、感熱記録材料の耐光性が十分でなく、地肌曝光着色が生ずる点で好ましくなく、一方、0.05g/m2であると、そのようなことがなく、感熱記録材料の耐候性が著しく改善され、地肌曝光着色が効果的に抑制される点で好ましい。
【0047】
前記感熱記録層における、前記ジアゾニウム塩化合物、該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色する前記カプラー、前記塩基性物質、前記電子供与性無色染料、前記電子受容性化合物、前記増感剤、等の含有の態様については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、これらを、(1)固体分散による含有させる方法、(2)乳化分散により含有させる方法、(3)ポリマー分散により含有させる方法、(4)ラテックス分散により含有させる方法、(5)マイクロカプセル化して含有させる方法、などが挙げられる。
【0048】
これらの中でも、保存性の観点から、マイクロカプセル化して含有させる方法が好ましく、前記ジアゾニウム塩化合物と前記カプラーとの発色反応を利用する場合には、前記ジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセル化して前記感熱記録層中に含有させるのが好ましく、前記電子供与性無色染料と前記電子受容性化合物との発色反応を利用する場合には、前記電子供与性無色染料をマイクロカプセル化して前記感熱記録層中に含有させるのが好ましい。
【0049】
前記感熱記録層を多層構造とする場合、各感熱記録層の色相を変えることにより、多色の感熱記録材料を得ることができる。この場合の層構成としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、本発明においては、感光波長の異なる2種のジアゾニウム塩化合物と、それぞれのジアゾニウム塩化合物と熱時反応して異なった色相に発色するカプラーとを組み合わせた感熱記録層2層と、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを組み合わせた感熱記録層と、を積層した多色の感熱記録層とするのが好ましい。即ち、前記支持体上に、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを含む感熱記録層A、最大吸収波長が360±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する感熱記録層B−1、最大吸収波長が400±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する感熱記録層B−2、をこの順に積層した多色の感熱記録材料が好ましい。
【0050】
この多色の感熱記録材料の記録方法としては、まず感熱記録層B−2を加熱し、該感熱記録層B−2に含まれるジアゾニウム塩化合物とカプラーとを発色させる。次に、400±20nmの光を照射して感熱記録層B−2中に含まれている未反応のジアゾニウム塩化合物を分解させた後、感熱記録層B−1が発色するに十分な熱を加え、該感熱記録層B−1に含まれているジアゾニウム塩化合物とカプラーとを発色させる。このとき、感熱記録層B−2も同時に強く加熱されるが、すでにジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色はしない。さらに360±20nmの光を照射して感熱記録層B−1に含まれているジアゾニウム塩化合物を分解し、最後に感熱記録層Aが発色する十分な熱を加えて発色させる。このとき感熱記録層B−2及び感熱記録層B−1も同時に強く加熱されるが、すでにジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色しない。
【0051】
また、本発明においては、感光波長の異なる3種のジアゾニウム塩化合物と、それぞれのジアゾニウム塩化合物と熱時反応して異なった色相に発色するカプラーとを組み合わせた感熱記録層3層を積層した多色の感熱記録層とするのも好ましい。即ち、前記支持体上に、最大吸収波長が350nm以下、好ましくは、340nm以下であるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する感熱記録層A−1、最大吸収波長が360±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する感熱記録層A−2、最大吸収波長が400±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーとを含有する感熱記録層A−3を、この順に積層した多色の感熱記録材料が好ましい。
以上の多色の感熱記録層の場合において、各感熱記録層の発色色相を減色混合における3原色、イエロー、マゼンタ、シアンとなるように選んでおけば、フルカラーの画像記録が可能となる。
【0052】
[支持体]
前記支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロースフィルム等のセルロース誘導体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリアクリル酸共重合体フィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルムの外、紙、合成紙、プラスチック樹脂層を有する紙、などが挙げられ、前記プラスチックフィルムの層を有する支持体が好ましい。これらは、透明であってもよいし、不透明であってもよく、また、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0053】
前記プラスチックの層を有する支持体としては、原紙の両面に又は少なくとも記録層が形成される面に、熱可塑性樹脂による層が形成されたものが好適に挙げられ、例えば、(1)原紙に熱可塑性樹脂が溶融押出塗工されたもの、(2)原紙上に溶融押出塗工された熱可塑性樹脂の上にガスバリアー層を塗布したもの、(3)原紙の酸素透過性の低いプラスチックフィルムを接着させたもの、(4)原紙にプラスチックフィルムを接着させた面上に溶融押出により熱可塑性樹脂を設けたもの、(5)原紙に熱可塑性樹脂を溶融押出塗工された後、プラスチックフィルムを接着させたもの、等が挙げられる。
【0054】
前記原紙に溶融押出塗工される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のα−オレフィンの単独重合体及びこれらの各種の重合体の混合物などのオレフィン系重合体、エチレンとビニルアルコールとのランダム共重合体、などが好適に挙げられる。前記ポリエチレンとしては、例えば、LDPE(低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、L−LDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)等が挙げられる。
【0055】
前記原紙に前記プラスチックフィルムを接着する方法としては、特に制限はなく、加工技術研究会編「新ラミネート加工便覧」に記載されているような公知のラミネーション法の中から適宜選択して採用することができ、所謂ドライラミネーション、無溶媒型ドライラミネーション、電子線若しくは紫外線硬化型樹脂を用いたドライラミネーション、又は、ホットドライラミネーションが好適に挙げられる。
本発明においては、前記支持体の中でも、天然パルプを主成分とする原紙の両面にオレフィン系重合体をコーティングしたものが特に好ましい。
【0056】
(下塗り層)
本発明においては、前記支持体と前記感熱記録層との間に、下塗り層を有するのが好ましい。
前記下塗り層としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができるが、PAGI法の粘度が10〜30mP、PAGI法のゼリー強度が15〜70gであるゼラチン(以下単に「ゼラチン」と称する)と、層状の無機化合物とを含有するのが特に好ましい。なお、本発明においては、このような層を後記中間層等として有しているのも好ましい。
【0057】
前記PAGI法の粘度と、前記PAGI法のゼリー強度とは、写真用ゼラチン試験法合同審査会発行のパギイ法:写真用ゼラチン試験法、第7版(1992年版)による試験に基づいて測定したものである。
前記ゼラチンは、通常の方法で製造された公知のゼラチン(以下「通常のゼラチン」と称する)を低分子化することによって得られる。ただし、ここで言う「通常のゼラチン」とは、例えば「にかわとゼラチン(我孫子義弘編集、日本にかわ、ゼラチン工業組合刊(1987)に記載されているような牛骨、牛皮、豚皮などの原料を石灰、酸などで処理して製造されるもので、前記ゼラチンと比べるとはるかに大きな粘度とゼリー強度とを有している。
【0058】
前記通常のゼラチンは、原料、処理方法(例えば、石灰処理、酸処理)や抽出条件(温度、抽出回数)などの条件によって特徴づけられる。前記ゼラチンは、どのようなゼラチンを元にして低分子化して得てもよいが、抽出回数が少なく、低温で抽出されたものが、低粘度とゼリー強度とを前記数値範囲内に両立できる点で好ましい。
前記低分子化の方法としては、酵素を用いる方法、熱を用いる方法などが挙げられ、これらの中でも酵素を用いる方法が好ましい。前記熱を用いる方法の場合、粘度を好ましい値に下げたときに前記ゼリー強度が低くなってしまうことがある。なお、前記酵素としては、例えば、パパインが好適に挙げられる。
【0059】
前記ゼラチンにおける、前記PAGI法の粘度は10〜30mPであり、前記PAGI法のゼリー強度は15〜70gであるが、前記PAGI法の粘度が10mP未満であると、塗液の粘度低下が大きくなり、塗液中の顔料(雲母)の分散状態が悪くなることがあり、30mPを超えると、塗工液の粘度が上昇し、塗布故障が生じ易くなることがある。また、前記PAGI法のゼリー強度が15g未満であると、塗膜強度が低下し、前記支持体との接着強度が低下することがあり、前記PAGI法のゼリー強度が70gよりも大きいと、塗膜のカールが環境変化により大きくなることがある。
【0060】
前記ゼラチンは、必要に応じて硬膜剤を用いて架橋してもよく、その場合、該硬膜剤としては、ゼラチンの硬膜剤として用いられている公知のものが挙げられ、例えば、ビニルスルホン化合物、活性ハロゲン化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、などが挙げられる。これらの中でも、エポキシ化合物が特に好ましく、該エポキシ化合物としては、例えば、以下に示す化合物が好適に挙げられる。
【0061】
【化5】
【0062】
前記ゼラチンの前記下塗り層における塗布量としては、プリスター(印画記録時のプリンターサーマルヘッドの熱による細かな膨れ現象)を抑える観点からは、0.5g/m2以上が好ましい。
【0063】
前記層状の無機化合物としては、膨潤性無機層状化合物が好適に挙げられる。前記膨潤性無機層状化合物の具体例としては、ベントナイト、ヘクトライト、サポナイト、ビーデライト、ノントロナイト、スチブンサイト、バイデライト、モンモリナイト等の膨潤性粘度鉱物類、膨潤性合成雲母、膨潤性合成スメクタイト、などが挙げられる。
【0064】
これらの膨潤性無機層状化合物は、厚みが10〜15オングストローム程度の単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘土鉱物よりも著しく大きい。その結果、格子層は、正荷電不足を生じ、それを補償するために層間にNa+、Ca2+、Mg2+等の陽イオンを吸着している。これらの層間に介在している陽イオンは、「交換性陽イオン」と呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換する。特に層間の陽イオンがLi+、Na+等の場合、イオン半径が小さいため、層状結晶格子間の結合が弱く、水により大きく膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。前記膨潤性無機層状化合物の具体例の中でも、ベントナイト、膨潤性合成雲母は、その傾向が強い点で好ましく、膨潤性合成雲母が特に好ましい。
【0065】
前記膨潤性合成雲母としては、例えば、以下の化合物が好適に挙げられる。
NaテトラシックマイカNaMg2.5(Si4O10)F2、
Na又はLiテニオライト(NaLi)Mg2(Si4O10)F2、
Na又はLiヘクトライト(NaLi)/3Mg2/3Li1/3(Si4O10)F2、
などが挙げられる。
【0066】
前記膨潤性合成雲母のサイズとしては、厚みが1〜50nmであり、平面サイズが1〜20μmである。前記厚みは、拡散制御の点では、薄ければ薄いほど好ましく、前記平面サイズは、塗布面の平滑性及び透明性を悪化しない範囲で大きいほど好ましい。前記膨潤性合成雲母のアスペクト比としては、通常100以上であり、200以上が好ましく、500以上がより好ましい。
【0067】
前記通常のゼラチンを使用した場合、雲母の比率(対ゼラチン1.5〜10以上)が増えると、一定固形分濃度(例えば、5〜10%)で増粘、ゲル化が進むため、粘度を下げることが必要になる。該粘度を下げるには、濃度を下げる方法があるが、濃度を下げることは塗膜の乾燥負荷を増大させ、厚塗りによる塗布面状が悪化してしまう。また、塗布液に尿素、塩等を添加する方法もあるが、十分に粘度低下が得られず、塗布後の面状も悪い。これに対し、前記ゼラチンは、このような弊害を生じることなく、増粘、ゲル化を著しく低減でき、雲母と混合して使用しても増粘、ゲル化を著しく低減することができる点で、有利である。
【0068】
前記水膨潤性合成雲母の前記下塗り層における含有量としては、雲母/ゼラチンの質量比率で1/20〜1/2が好ましい。
前記水膨潤性合成雲母の含有量が、1/20未満であると、下塗層が酸素遮断層として十分に機能しなくなることがあり、1/2を超えると、塗布性等の製造適性が悪化することがある。
【0069】
また、前記下塗層における雲母の塗布量としては、通常0.01g/m2以上であり、0.02g/m2以上が好ましい。
前記雲母の塗布量が、0.01g/m2未満であると、下塗り層における酸素遮断能が低下し、地肌部の着色等を防止するという特性を発揮することができないことがある。
【0070】
(中間層)
本発明においては、前記感熱記録層を色相の異なる感熱発色層による積層構造とする場合には、各感熱記録層の間に混色等を防止するための中間層を設けるのが好ましい。
前記中間層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水溶性高分子化合物などを用いて形成することができる。
【0071】
前記水溶性高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、スチレン−マレイン酸共重合体、ゼラチン及び/又はゼチラン誘導体、ポリエチレングリコール及び/又はポリエチレングリコール誘導体からなるものが好適に挙げられる。
【0072】
また、前記中間層には、前記無機の層状化合物を好適に添加することができる。前記中間層が、前記無機の層状化合物を含有すると、層間の物質移動を抑制・防止することにより混色を防止でき、かつ、酸素の供給を抑制することにより生保存性及び色像保存性を向上させることができる。
【0073】
(光透過率調整層)
本発明においては、光透過率調整層を好適に設けることができる。
前記光透過率調整層は、前記感熱記録材料中に少なくとも1層設けることのが好ましく、前記感熱記録層と前記保護層との間に形成するのがより好ましい。なお、前記光透過率調整層を前記保護層と兼用するように設計してもよい。
前記光透過率調整層は、紫外線吸収剤の前駆体として機能する成分を含有し、定着に必要な領域の波長の光照射前は紫外線吸収剤として機能しないので、光透過率が高く、前記感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を十分に透過させ、また、可視光線の透過率も高く、前記感熱記録層の定着に支障は生じない。
【0074】
前記紫外線吸収剤の前駆体として機能する成分は、前記感熱記録層の光照射による定着に必要な領域の波長の光照射が終了した後、光又は熱などで反応することにより紫外線吸収剤として機能するようになり、紫外線領域の定着に必要な領域の波長の光は、紫外線吸収剤によりその大部分が吸収され、透過率が低くなり、感熱記録材料の耐光性が向上するが、可視光線の吸収効果がないから、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
【0075】
前記紫外線吸収剤の前駆体として機能する成分の例としては、下記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物が好適に挙げられる。
【0076】
【化6】
【0077】
一般式(1)〜(4)において、mは、1又は2を表す。
Aは、m=1のときの一般式(1)、及び一般式(2)〜(4)において、−SO2−R、−CO−R、−CO2−R、−CONH−R、−POR1R2、−CH2R3又は−SiR4R5R6を表す。また、Aは、m=2のときの一般式(1)において、−SO2R7SO2−、−CO−、−COCO−、−COR7CO−、−SO2−又は−SO−を表す。
【0078】
Xは、一般式(1)、(3)及び(4)において、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はハロゲン原子を表す。また、Xは、一般式(2)において、アルキレン基、−OR7O−又は−OCOR7CO2−を表す。
Wは、一般式(1)、(2)及び(4)において、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はハロゲン原子を表す。また、Wは、一般式(3)において、−OR7O−又は−OCOR7CO2−を表す。
【0079】
Yは、一般式(1)、(2)、(3)において、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はハロゲン原子を表す。また、Yは、一般式(4)において、−OR7O−、−OCOR7CO2−、−CH2CH2CO2R7OCOCH2CH2−、−CH2CH2OCOR7CO2CH2CH2−、又は−CH2CH2CON(R8)R7N(R8)COCH2CH2−を表す。
【0080】
Zは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表す。
ここで、Rは、アルキル基又はアリール基を表す。R1及びR2は、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基又はアリール基を表す。R3は、ニトロ基又はメトキシ基で少なくとも1つ置換したフェニル基を表す。R4、R5及びR6は、アルキル基又はアリール基を表す。R7は、アルキレン基又はアリーレン基を表す。R8は、水素原子又はアルキル基を表す。
【0081】
前記アルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよく、また、不飽和結合を有していてもよく、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリール基、ヒドロキシ基などで置換されていてもよい。また前記アリール基は、さらにアルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0082】
前記アルキレン基は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよく、不飽和結合、酸素原子、硫黄原子、窒素原子を含んでいてもよい。また、前記アルキレン基は、さらにアルコキシ基、ヒドロキシ基、アリールオキシ基、又はアリール基で置換されていてもよい。
【0083】
前記アリーレン基は、さらにアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子などで置換されていてもよい。
【0084】
X、Y、及びWで表される置換基としては、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数6〜18のアリール基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子が好ましく、これらの中でも、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、フェニル基、又は水素原子、塩素原子が特に好ましい。
【0085】
Zで表される置換基としては、水素原子、塩素原子、フッ素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基が好ましく、これらの中でも、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は水素原子、塩素原子が特に好ましい。
【0086】
Rで表される置換基としては、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基が好ましく、これらの中でも、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基が特に好ましい。
【0087】
R1及びR2で表される置換基としては、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基が好ましい。
【0088】
R3で表される置換基としては、2−ニトロフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,4,5−トリメトキシフェニル基が好ましい。
【0089】
R4、R5及びR6で表される置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基又はフェニル基が特に好ましい。
【0090】
1分子内にベンゾトリアゾール環を2個有するいわゆるビス体において、R7で表される置換基としては、炭素数1〜12のアルキレン基又は炭素数6〜12のアリーレン基が好ましく、R8で表される置換基としては、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
【0091】
Aで表される置換基としては、−SO2Rが特に好ましい。
【0092】
以下、前記置換基の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
X、Y、及びWで表される置換基のうち1価のものとしては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、アリル基、2−ブテニル基、ベンジル基、α−ジメチルベンジル基、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシエトキシ基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルエチル基、プロピルオキシカルボニルエチル基、ブチルオキシカルボニルエチル基、オクチルオキシカルボニルエチル基、フェノキシカルボニルエチル基、フェニル基、トリル基、塩素原子、フッ素原子、臭素原子などが挙げられ、2価のものとしては、下記のものが挙げられる。
【0093】
【化7】
【0094】
Zで表される置換基としては、水素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、オクチルオキシ基などが挙げられる。
【0095】
Aで表される置換基として1価のものとしては、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、4−メチルベンゼンスルホニル基、2−メシチレンスルホニル基、4−メトキシベンゼンスルホニル基、4−オクチルオキシベンゼンスルホニル基、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル基、β−スチレンスルホニル基、ビニルベンゼンスルホニル基、4−クロロベンゼンスルホニル基、2,5−ジクロロベンゼンスルホニル基、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホニル基、1−ナフタレンスルホニル基、2−ナフタレンスルホニル基、キノリンスルホニル基、チオフェンスルホニル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ピバロイル基、ラウロイル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、シンナモイル基、フロイル基、ニコチノイル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ジフェニルホスホリル基、ジエチルホスホリル基、2−ニトロベンジル基、3,5−ジメトキシベンジル基、3,4,5−トリメトキシベンジル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられ、2価のものとしては下記のものが挙げられる。
【0096】
【化8】
【0097】
Aが−SiR4R5R6の場合は、光反応性の向上を目的として、アンモニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、オニウム塩などの光酸発生剤を併用してもよい。これら光酸発生剤の具体例としては、「イメージング用有機材料」(有機エレクトロニクス材料研究会編、1993年)に記載のものが挙げられる。
【0098】
前記一般式(1)〜(4)で表される化合物は、従来公知の方法で簡易に合成することができ、これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0099】
前記光透過率調整層における前記一般式(1)〜(4)で表される化合物の含有の態様については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、これらを、(1)固体分散による含有させる方法、(2)乳化分散により含有させる方法、(3)ポリマー分散により含有させる方法、(4)ラテックス分散により含有させる方法、(5)マイクロカプセル化して含有させる方法、などが挙げられる。これらの中でも、乳化分散により含有させる方法、マイクロカプセル化して含有させる方法が好ましい。
【0100】
前記乳化分散の方法としては、まず前記一般式(1)〜(4)で表される化合物をオイルに溶解する。
このオイルは、常温で固体であってもよいし、液体であってもよく、ポリマーであってもよく、酢酸エステル、メチレンクロライド、シクロヘキサノン等の低沸点補助溶剤及び/又はりん酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、その他のカルボン酸エテスル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタン、塩素化パラフィン、アルコール系、フェノール系、エーテル系、モノオレフィン系、エポキシ系、などが挙げられる。
【0101】
具体例としては、りん酸トリクレジル、りん酸トリオクチル、りん酸オクチルジフェニル、りん酸トリシクロヘキシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジラウレート、フタル酸ジシクロヘキシル、オレフィン酸ブチル、ジエチレングリコールベンゾエート、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、トリメリット酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸オクチル、マレイン酸ジブチル、イソアミルビフェニル、塩素化パラフィン、ジイソプロピルナフタレン、1,1´−ジトリルエタン、2,4−ジタ−シャリアミルフェノール、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−ターシャリオクチルアニリン、ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルエステル、ポリエチレングリコール等の高沸点オイル、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、これらの中でも、アルコール系、りん酸エステル系、カルボン酸系エステル系、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタンが好ましい。
【0102】
本発明においては、前記オイルに、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の炭化防止剤を添加してもよい。
前記一般式(1)〜(4)で表される化合物を含む前記オイルを、水溶性高分子の水溶液中に添加し、コロイドミル、ホモジナイザー又は超音波により乳化分散させる。
【0103】
前記水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アミノ変性ポリビニルアルコール、イタコン酸変性ポリビニルアルコール、スチレンー無水マレイン酸共重合体、ブタジエン無水マレイン酸共重合体、エチレン無水マレイン酸共重合体、イソブチレン無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、ゼラチンなどが挙げられる。本発明においては、前記水溶性高分子に、必要に応じて界面活性剤等を添加してもよいし、また、疎水性高分子のエマルジョン又はラテックスなどを併用してもよい。
【0104】
前記ジアゾニウム塩化合物、あるいは前記一般式(1)〜(4)で表される化合物をマイクロカプセル化する場合、そのマイクロカプセル化の方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、前記ジアゾニウム塩化合物、又は前記一般式(1)〜(4)で表される化合物と、マイクロカプセル壁前駆体とを水に難溶又は不溶の有機溶剤に溶解し、水溶性高分子の水溶液中に添加しホモジナイザーなどを用いて乳化分散し、昇温してマイクロカプセル壁となる高分子物質を油/水界面に壁膜を形成することにより、該ジアゾニウム塩化合物、又は該一般式(1)〜(4)で表される化合物のマイクロカプセルを調製することができる。
【0105】
前記マイクロカプセル壁膜の具体例としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンーアクリレート共重合体樹脂、スチレンーメタクリレート共重合体樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール、などからなる壁膜が挙げられる。これらの中でも、ポリウレタン・ポリウレア樹脂からなる壁膜が好ましい。
【0106】
該ポリウレタン・ポリウレア樹脂からなる壁膜を有するマイクロカプセルは、例えば、多価イソシアネート等のマイクロカプセル壁前駆体を、マイクロカプセル化すべき芯物質中に混合し、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子の水溶液に乳化分散し、液温を上昇させて油滴界面で高分子形成反応を起こすことによって製造される。
【0107】
前記多価イソシアネート化合物の具体例としては、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート等のジイソシアネート類、4,4′,4″−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート等のトリイソシアネート類、4,4′−ジメチルジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テトライソシアネート等のテトライソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、2,4ートリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物等のイソシアネートプレポリマー、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、これらの中でも、分子内にイソシアネート基を三個以上有するものが特に好ましい。
【0108】
前記マイクロカプセル化の方法において、前記ジアゾニウム塩化合物、又は前記一般式(1)〜(4)で表される化合物を溶解させる有機溶剤としては、前記乳化分散の方法において示したオイルを用いることができる。また、水溶性高分子についても同様である。
【0109】
前記マイクロカプセルの平均粒径としては、0.1〜1.0μmが好ましく、0.2〜0.7μmがより好ましい。
【0110】
本発明においては、耐光性を更に向上させるため、以下に示す公知の酸化防止剤を前記感熱記録材料中に添加することができる。
このような酸化防止剤としては、例えば、ヨーロッパ公開特許第310551号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、ヨーロッパ公開特許第310552号公報、特開平3−121449号公報、ヨーロッパ公開特許第459416号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開昭63−163351号公報、アメリカ特許第4814262号、特開昭54−48535号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4980275号、特開昭63−113536号公報、特開昭62−262047号公報、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、ヨーロッパ公開特許第309402号公報、ヨーロッパ公開特許第309401号公報等に記載の酸化防止剤などが挙げられ、具体的には、以下のものが挙げられる。
【0111】
【化9】
【0112】
【化10】
【0113】
【化11】
【0114】
【化12】
【0115】
【化13】
【0116】
【化14】
【0117】
【化15】
【0118】
【化16】
【0119】
また、特開昭60−125470号公報、特開昭60−125471号公報、特開昭60−125472号公報、特開昭60−287485号公報、特開昭60−287486号公報、特開昭60−287487号公報、特開昭62−146680号公報、特開昭60−287488号公報、特開昭62−282885号公報、特開昭63−89877号公報、特開昭63−88380号公報、特開昭63−088381号公報、特開平01−239282号公報、特開平04−291685号公報、特開平04−291684号公報、特開平05−188687号公報、特開平05−188686号公報、特開平05−110490号公報、特開平05−1108437号公報、特開平05−170361号公報、特開昭63−203372号公報、特開昭63−224989号公報、特開昭63−267594号公報、特開昭63−182484号公報、特開昭60−107384号公報、特開昭60−107383号公報、特開昭61−160287号公報、特開昭61−185483号公報、特開昭61−211079号公報、特開昭63−251282号公報、特開昭63−051174号公報、特公昭48−043294号公報、特公昭48−033212号公報、などに記載の酸化防止剤が挙げられる。
【0120】
具体例には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス−4−ヒドロキシフェニルプロパン、1,1−ビス−4−ヒドロキシフェニル−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドールがなどが挙げられる。
これらの酸化防止剤は、前記感熱記録層、前記中間層、前記光透過率調整層、前記保護層に添加することができる。
【0121】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において「部」は、特に断りのない限り総て「質量部」を意味する。
【0122】
(実施例1)
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明は、これら実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
[実施例1]
<フタル化ゼラチン溶液の調製>
フタル化ゼラチン(商品名:MGPゼラチン、ニッピコラーゲン(株)製)32部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.9143部、イオン交換水367.1部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0123】
<アルカリ処理ゼラチン溶液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)25.5部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.7286部、水酸化カルシウム0.153部、イオン交換水143.6部を混合し、50℃にて溶解し、乳化物作製用ゼラチン水溶液を得た。
【0124】
(1)イエロー感熱記録層液の調製
<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製>
酢酸エチル16.1部に、下記ジアゾニウム化合物(A)(最大吸収波長420nm)2.2部、下記ジアゾニウム化合物(B)(最大吸収波長420nm)2.2部、モノイソプロピルビフェニル4.8部、フタル酸ジフェニル3.6部、およびジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO,BASFジャパン(株)製)0.4部を添加し40℃に加熱して均一に溶解した。この混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の混合物(商品名;タケネートD119N(50質量%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)8.6部を添加し、均一に攪拌し混合液(I)を得た。
【0125】
【化17】
【0126】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液58.6部にイオン交換水16.3部、Scraph AG−8(50質量%)日本精化(株)製)0.34部添加し、混合液(II)を得た。
【0127】
混合液(II)に混合液(I)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水20部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.36μmであった。
【0128】
<カプラー化合物乳化液(a)の調製>
酢酸エチル33.0部に下記カプラー化合物(C)9.9部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)9.9部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))20.8部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン3.3部、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)13.6部、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.8部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名:パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)4.2部を溶解し、混合液(III)を得た。
【0129】
【化18】
【0130】
別途前記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(IV)を得た。
【0131】
混合液(IV)に混合液(III)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が26.5質量%になるように濃度調節を行った。得られたカプラー化合物乳化物の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.21μmであった。
【0132】
更に上記カプラー化合物乳化物100部に対して、SBRラテックス(商品名SN−307,48%液、住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5%に濃度調整したものを9部添加して均一に撹拌してカプラー化合物乳化液(a)を得た。
【0133】
<塗布液(a)の調製>
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)および前記カプラー化合物分乳化液(a)を、内包しているカプラー化合物/ジアゾ化合物の質量比が2.2/1になるように混合し、イエローの感熱記録層用塗布液(a)を得た。
【0134】
(2)マゼンタ感熱記録層液の調製
<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)の調製>
酢酸エチル15.1部に、下記ジアゾニウム化合物(D)(最大吸収波長365nm)2.8部、フタル酸ジフェニル3.8部、フェニル2−ベンゾイロキシ安息香酸エステル3.9部及び下記化合物(E)(商品名;ライトエステルTMP,共栄油脂化学(株)製)3.9部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)0.2部を添加し加熱して均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の混合物(商品名;タケネートD119N(50質量%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)2.5部とキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75質量%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)6.8部を添加し、均一に攪拌し混合液(V)を得た。
【0135】
【化19】
【0136】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液55.3部にイオン交換水21.0部添加、混合し、混合液(VI)を得た。
混合液(VI)に混合液(V)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水24部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.43μmであった。
【0137】
<カプラー化合物乳化液(b)の調製>
酢酸エチル36.9部に下記カプラー化合物(E)11.9部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)14.0部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))14.0部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン14部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’、6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン3.5部、下記化合物(G)3.5部、リン酸トリクレジル1.7部、マレイン酸ジエチル0.8部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名:パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)4.5部を溶解し、混合液(VII)を得た。
【0138】
【化20】
【0139】
別途アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(VIII)を得た。
【0140】
混合液(VIII)に混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5質量%になるように濃度調節を行い、カプラー化合物乳化液(b)を得た。得られたカプラー化合物乳化液の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.22μmであった。
【0141】
<塗布液(b)の調製>
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)および前記カプラー化合物分乳化液(b)を、内包しているカプラー化合物/ジアゾ化合物の質量比が3.5/1になるように混合した。さらに、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5質量%)をカプセル液量10部に対し、0.2部になるように混合し、マゼンタの感熱記録層用塗布液(b)を得た。
【0142】
(3)シアン感熱記録層液の調製
<電子供与性無色染料内包マイクロカプセル液(c)の調製>
酢酸エチル18.1部に、下記電子供与性染料前駆体(H)7.6部、1−メチルプロピルフェニル−フェニルメタン及び1−(1−メチルプロピルフェニル)−2−フェニルエタンの混合物(商品名:ハイゾールSAS−310,日本石油(株)製)8.0部、下記化合物(I)(商品名:Irgaperm2140(チバガイギー(株))8.0部を添加し加熱して均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材として、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名:タケネートD110N(75質量%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)7.2部とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名:ミリオネートMR−200,日本ポリウレタン工業(株)製)5.3部を添加し、均一に攪拌し混合液(IX)を得た。
【0143】
【化21】
【0144】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液28.8部にイオン交換水9.5部、Scraph AG−8(50質量%)日本精化(株)製)0.17部およびドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(10%水溶液)2.5部を添加混合し、混合液(X)を得た。
【0145】
混合液(X)に混合液(IX)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水50部、テトラエチレンペンタミン0.12部を加え均一化し、65℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行ないカプセル液の固形分濃度が33%になるように濃度調節しマイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で1.00μmであった。
【0146】
更に上記マイクロカプセル液100部に対して、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム25%水溶液(商品名;ネオペレックスF−25、花王(株)製)3.7部と4,4’−ビストリアジニルアミノスチルベン−2,2’−ジスルフォン誘導体を含む蛍光増白剤(商品名;Kaycoll BXNL、日本曹達(株)製)4.2部を添加して均一に撹拌してマイクロカプセル分散液(c)を得た。
【0147】
<電子受容性化合物分散液(c)の調製>
前記フタル化ゼラチン水溶液11.3部にイオン交換水30.1部、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールP、三井石油化学(株)製)15部、2質量%の2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウム水溶液3.8部を加えて、ボールミルにて一晩分散した後、分散液を得た。この分散液の、固形分濃度は26.6質量%であった。
上記分散液100部に、前記アルカリ処理ゼラチン水溶液45.2部を加えて、30分攪拌した後、分散液の固形分濃度が23.5%となるようにイオン交換水を加えて電子受容性化合物分散液(c)を得た。
【0148】
<塗布液(c)の調製>
前記電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)および前記電子受容性化合物分散液(c)を、電子受容性化合物/電子供与性染料前駆体の質量比が10/1になるように混合し、シアンの感熱記録層用塗布液(c)を得た。
【0149】
(4)中間層用塗布液の調製
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン (株)製)100.0部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)2.857部、水酸化カルシウム0.5部、イオン交換水521.643部を混合し、50℃にて溶解し、中間層作製用ゼラチン水溶液を得た。
【0150】
前記中間層作製用ゼラチン水溶液10.0部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製 2.0質量%水溶液)0.05部、硼酸(4.0質量%水溶液)2.0部、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5質量%)0.19部、下記化合物(J)(和光純薬(株)製)の4質量%水溶液3.42部、下記化合物(J’)(和光純薬(株)製)の4質量%水溶液1.13部、イオン交換水0.67部を混合し、中間層用塗布液とした。
【0151】
【化22】
【0152】
(5)水透過性制御層塗布液の調製
6%ポリビニルアルコール水溶液(商品名:PVA124C、クラレ(株)製)133部にイオン交換水102部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチレンブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0質量%水溶液)40部、4%合成雲母分散液(ソマシフMEB−3L、コープケミカル(株)製)50部を添加後十分に攪拌して均一に分散させ、目的とする保護層の下層に設ける水透過性制御層塗布液を得た。
【0153】
(6)保護層用塗布液の調製
(vi−1)保護層用ポリビニルアルコール溶液の調製
ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130,電気化学工業(株)製)160部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステルの混合液(商品名:ネオスコアCM−57,(54質量%水溶液),東邦化学工業(株)製)7.5部、アセチレンジオールの酸化エチレン付加物(商品名:ダイノール604、エアープロダクツジャパン(株))7.05部、イオン交換水3832部を混合し、90℃のもとで1時間溶解し均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
【0154】
(vi−2)保護層用顔料分散液の調製
硫酸バリウム(商品名:BF−21F,硫酸バリウム含有量93%以上,堺化学工業(株)製)8部に陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40質量%水溶液),花王(株)製)0.2部、イオン交換水11.8部を混合し、ダイノミルにて分散して保護層用顔料分散液を調製した。この分散液は粒径測定(LA−910,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.15μm以下であった。
【0155】
上記硫酸バリウム分散液45.6部に対し、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO(20質量%水分散液)、日産化学(株)製)5.0部を添加して目的の分散物を得た。
【0156】
(vi−3)保護層用マット剤分散液の調製
小麦澱粉(商品名:小麦澱粉S,新進食料工業(株)製)220部に1−2ベンズイソチアゾリン3オンの水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.81部、イオン交換水1976.19部を混合し、均一に分散し、保護層用マット剤分散液を得た。
【0157】
(vi−4) 保護層用塗布ブレンド液の調製
前記保護層用ポリビニルアルコール溶液1000部に(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム (三協化学(株)製 2.0質量%水溶液)50部、前記保護層用顔料分散液49.87部、前記保護層用マット剤分散液16.65部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンF115,20.5質量%水溶液,中京油脂(株)製)48.7部を均一に混合し保護層用塗布ブレンド液を得た。
【0158】
(7)下塗り層つき支持体の作製
<下塗り層液の調製>
酵素分解ゼラチン(平均分子量:10000、PAGI法粘度:1.5mPa・s、PAGI法ゼリー強度:20g)40部をイオン交換水60部に加えて40℃で攪拌溶解して下塗り層用ゼラチン水溶液を調製した。
【0159】
別途水膨潤性の合成雲母(アスペクト比:1000、商品名:ソマシフME100,コープケミカル社製)8部と水92部とを混合した後、ビスコミルで湿式分散し、平均粒径が2.0μmの雲母分散液を得た。この雲母分散液に雲母濃度が5質量%となるように水を加え、均一に混合し、所望の雲母分散液を調製した。
【0160】
40℃の40質量%の前記ゼラチン水溶液100部に、水120部およびメタノール556部を加え、十分攪拌混合した後、5質量%前記雲母分散液208部を加えて、十分攪拌混合し、1.66質量%ポリエチレンオキサイド系界面活性剤9.8部を加えた。そして液温を35℃から40℃に保ち、エポキシ化合物のゼラチン硬膜剤7.3部を加えて下塗り層用塗布液(5.7質量%)を調製し、下塗り層用塗布液を得た。
【0161】
<下塗り層つき支持体の作製>
LBPS50部LBPK50部からなる木材パルプをデイスクリファイナーによりカナデイアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、硫酸アルミニウム1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部をいずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し長網抄紙機により坪量114g/m2の原紙を抄造しキャレンダー処理によって厚み100μmに調整した。
【0162】
次に原紙の両面にコロナ放電処理を行った後、溶融押し出し機を用いてポリエチレンを樹脂厚36μmとなるようにコーテイングしマット面からなる樹脂層を形成した(この面をウラ面と呼ぶ)。次に上記樹脂層を形成した面とは反対側に溶融押し出し機を用いてアナターゼ型二酸化チタンを10質量%及び微量の群青を含有したポリエチレンを樹脂厚36μmとなるようにコーテイングし光沢面からなる樹脂層を形成した(この面をオモテ面と呼ぶ)。ウラ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(商品名;アルミナゾル100、日産化学工業(株)製)/二酸化珪素(商品名;スノーテックスO、日産化学工業(株)製)=1/2(質量比)を水に分散させて乾燥後の質量で0.2g/m2塗布した。次にオモテ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、上記下塗り液を雲母の塗布量が0.26g/m2となるように塗布し、下塗り層つき支持体を得た。
【0163】
<各感熱記録層用塗布液の塗布>
前記下塗り層つき支持体の上に、下から、前記感熱記録層用塗布液(c)、前記中間層用塗布液、前記感熱記録層用塗布液(b)、前記中間層用塗布液、前記感熱記録層用塗布液(a)、前記光透過率調整層用塗布液、前記水透過性制御層塗布液、前記保護層用塗布液の順に8層同時に連続塗布し、30℃湿度30%、および40℃湿度30%の条件でそれぞれ乾燥して多色の感熱記録材料を得た。
この際前記感熱記録層用塗布液(a)の塗布量は液中に含まれるジアゾ化合物(A)の塗布量が固形分塗布量で0.078g/m2となるように、同様に前記感熱記録層用塗布液(b)の塗布量は液中に含まれるジアゾ化合物(D)の塗布量が固形分塗布量で0.206g/m2となるように、同様に前記感熱記録層用塗布液(c)の塗布量は液中に含まれる電子供与性染料(H)の塗布量が固形分塗布量で0.355g/m2となるように塗布を行った。
また、前記中間層用塗布液は(a)と(b)の間は固形分塗布量が2.39g/m2、(b)と(c)の間は固形分塗布量が3.34g/m2、前記光透過率調整層用塗布液は固形分塗布量が2.35g/m2、前記水透過制御層用塗布液は固形分塗布量が1.20g/m2、保護層は固形分塗布量が1.39g/m2となるように塗布を行った。
以上のようにして、実施例1の感熱記録材料を作製した。
【0164】
[比較例1]
実施例1の(5)水透過性制御層塗布液の調製において、4%合成雲母分散液50部を14部に変更したこと以外は実施例1と同様にして比較例1の感熱記録材料を作製した。
【0165】
[比較例2]
実施例1の(5)水透過性制御層塗布液の調製において、4%合成雲母分散液を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして比較例2の感熱記録材料を作製した。
【0166】
[比較例3]
実施例1において、水透過性制御層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして比較例3の感熱記録材料を作製した。
【0167】
[比較例4]
実施例1の(5)水透過性制御層塗布液の調製において、4%合成雲母分散液を添加する代わりに以下のようにして調製した顔料分散液を10.5部添加したこと以外は実施例1と同様にして比較例4の感熱記録材料を作製した。
《顔料分散液の調製》
20質量%カオグロス(白石工業社製)水溶液20部、10質量%ポリビニルアルコール(商品名:PVA105、クラレ(株)製)12.5部、2質量%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液0.40部を混合し、ダイノミルで分散し顔料分散液を調製した。この分散液は粒度測定(LA−910、堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で1.4μmであった。
【0168】
以下に示す測定を行った。
(光沢性)
富士写真フイルム(株)製デジタルプリンター「NC600D」を用いて印画エネルギー45〜70mj/mm2の帯パターン画像を印画し、各印画エネルギーで印画した印画面の鏡面光沢度をスガ試験機(株)製のデジタル変角光尺度計「UGV−5D」を用いて20°の入射角で測定した。測定結果を表1に示す。
【0169】
【表1】
【0170】
表1より、実施例1の感熱記録材料は、いずれの印画エネルギーにおいても光沢度が高いことが分かる。
【0171】
【発明の効果】
本発明によれば、高い光沢性を有する画像を形成することができる感熱記録材料を提供することができる。
Claims (4)
- 支持体上に、少なくとも感熱記録層と保護層とを有する感熱記録材料であって、
前記保護層に最も近い感熱記録層よりも上に、無機層状化合物を含有する層を有し、
前記無機層状化合物の含有量が0.2〜0.5g/m2であることを特徴とする感熱記録材料。 - 前記無機層状化合物を含有する層が、前記保護層自体、又は前記保護層と前記感熱記録層との間に位置する層であることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録材料。
- 前記無機層状化合物が水膨潤性雲母であることを特徴とする請求項1または2に記載の感熱記録材料。
- 前記無機層状化合物を含有する層のバインダーがポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
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-
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