JP2005052888A - 薄型Al−Cu接合構造物およびその製造方法 - Google Patents

薄型Al−Cu接合構造物およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005052888A
JP2005052888A JP2003289357A JP2003289357A JP2005052888A JP 2005052888 A JP2005052888 A JP 2005052888A JP 2003289357 A JP2003289357 A JP 2003289357A JP 2003289357 A JP2003289357 A JP 2003289357A JP 2005052888 A JP2005052888 A JP 2005052888A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rolling
thin
joint
brazing
thickness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003289357A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4522678B2 (ja
Inventor
Takeshi Koyama
小山健
Keiji Miki
三木啓治
Makoto Yoshida
吉田誠
Kenji Shinozaki
篠崎賢二
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Precision Products Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Precision Products Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Precision Products Co Ltd filed Critical Sumitomo Precision Products Co Ltd
Priority to JP2003289357A priority Critical patent/JP4522678B2/ja
Priority to PCT/JP2003/010324 priority patent/WO2005014217A1/ja
Priority to AU2003257838A priority patent/AU2003257838A1/en
Priority to US10/781,358 priority patent/US6921583B2/en
Publication of JP2005052888A publication Critical patent/JP2005052888A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4522678B2 publication Critical patent/JP4522678B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Metal Rolling (AREA)
  • Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)

Abstract

【課題】加工性に優れたAl−Cu異材接合部材を確保し、これを圧延加工により減肉することによって、優れた寸法特性の薄型Al−Cu接合構造物を提供する。
【解決手段】(1)Al部材とCu部材との接合面にAgをインサート材として用いたろう付け接合部材を圧延加工したことを特徴とする薄型Al−Cu接合構造物である。
上記薄型Al−Cu接合構造物は、厚さが0.1mm以上であり、熱間圧延によって前記ろう付け接合部材を減肉圧下するのが望ましい。(2)Al部材とCu部材との接合面にAgをインサート材として用いたろう付け接合部材を出発素材として、圧延加工を施すことを特徴とする薄型Al−Cu接合構造物の製造方法である。上記薄型Al−Cu接合構造物の製造方法では、熱間圧延を350℃〜500℃で行ったり、熱間圧延を繰り返す場合に各圧延での圧下率を20%±10%にしたり、さらに熱間圧延の仕上後に焼鈍を施すのが望ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルミニウムまたはアルミニウム合金(以下、これらを総称して「Al(アルミニウム)」という)部材と、銅または銅合金(以下、これらを総称して「Cu(銅)」という)部材との薄型接合構造物およびその製造方法に関する。
更に詳しくは、Al部材とCu部材との接合面に銀または銀合金(以下、これらを総称して「Ag」という)をインサート材として用いたろう付け接合部材を圧延加工を施し、望ましくは熱間圧延を施すことにより、優れた寸法特性を発揮することができる薄型Al−Cu接合構造物およびその製造方法に関するものである。
電子機器や通信機器として、さらに自動車や航空機などの輸送機器として使用される熱交換器、放熱器、ヒートパイプおよびヒートシンク等には、優れた伝熱性能はもとより、軽量化が求められる。そのため、熱交換用、または熱伝達用材料として、伝熱性や熱拡散性が優れているものの軽量化の点で難のあるCu(銅)に代わって、軽量でありかつCuに次ぐ伝熱性を有するAl(アルミニウム)が広く採用されている。
特に、電子機器に用いられるAl製熱交換器では、伝熱性能を向上させるべく冷却面積の拡大や材料肉厚の増加等の改良が加えられているが、近年、電子機器産業界における製品の小型化、薄肉化、軽量化、および高性能化が顕著となり、これらの改善の延長線上では、伝熱性能の向上にも限界がある。
このような技術背景を踏まえて、Cuの優れた伝熱性および耐食性とAlの軽量性とを加味し、重量増加をCu以下に抑えつつ、Alを超えた伝熱性能を有するように、Al−Cu接合部を有する構造物の開発が望まれている。
従来から、AlとCuの異材接合に関して、拡散接合、摩擦圧接および爆着等の固相接合法の適用が検討されており、一部では実用化に至っている接合方法もある。しかし、これらの接合方法では、大面積や複雑形状の接合が困難であり、接合体の形状、寸法に制限があるとともに、、電子機器に代表される精密部品への適用は困難である。
一方、ろう付は、金属の接合法として従来から汎用されている技術であり、簡易であるとともに、被接合材の自由度が大きいことから、精密部品への適用も容易である。ところが、Al−Cuのろう付接合において、Cuは高温での反応性が高いため、高温でAlと接合すると酸化物やAl−Cuの金属間化合物を形成し易く、これらが接合を阻害して十分な接合強度が得られない。
このような問題を画期的に解決するものとして、本発明者らは、先に「Al部材とCu部材との接合に際して、前記Cu部材の接合面にインサート層としてAg層を形成し、このAg層と前記Al部材の接合面とろう付することを特徴とするAl部材とCu部材の接合方法および接合構造物」に関する発明を提案している(特願2002−321182、参照)。
しかしながら、前述の通り、電子機器産業界における製品の小型化、薄肉化、軽量化、および高性能化が顕著になると、これに対応して、精密部品への適用も可能にするために、各種の熱交換機器や熱伝達機器に優れた寸法特性が要請されるようになる。
ここで、熱交換機器や熱伝達機器に要求される寸法特性として、機器の寸法精度のみならず、機器が採用する寸法の多様化に伴う寸法適用性を挙げることができる。したがって、先に提案したAl−Cu接合構造物においても、同様に、優れた寸法特性を具備することが必要になる。
本発明は、上述した熱交換機器や熱伝達機器に要求される寸法特性に鑑みてなされたものであり、加工性に優れたAl−Cu異材接合部を有する部材を確保し、これを圧延による減肉加工を施すことによって、優れた寸法精度を有するとともに、寸法の多様化に伴う寸法適用性に対応することができ、しかも、Alの軽量性とCuの伝熱性、熱拡散性、耐食性とを併せ持つことができる、薄型Al−Cu接合構造物およびその製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上述の課題を解決するため、各種のAl−Cu接合部材の接合強度、変形挙動および加工性について詳細な検討を行った。
図1は、Al−Si系ろう材を用いてAl−Cuを直接ろう付した異材接合における、接合部の代表的な組織を模式的に示した図である。このときの接合条件は、Al−Si−Mg−Bi系のろう材を用いて、ろう付け温度を530℃(803K)、ろう付け時間を60secとしている。
同図に示すように、Al−Cuの接合部には、層状に生成したδ相および不定形なθ相の2種類の金属間化合物の形成が認められるが、これらはいずれもAl−Cuの金属間化合物である。
また、ろう付接合部のせん断破壊試験の結果によれば、接合部の変形破壊は脆性的な挙動を示し、母材の変形を殆ど伴わないものである。具体的には、変形破壊は接合部で生じており、接合部の引張強さは12.5Mpa程度に留まり、母材Al(工業用純Al)の引張強さの65Mpaに比べ、著しく低い値となっている。
図2は、Al−Si系ろう材を用いてAl−Cuの接合面にインサート材としてAgを挿入して異材接合した、接合部の代表的な組織を模式的に示した図である。このときの接合条件は、Al−Si−Mg−Bi系の合金ろう材を用いて、ろう付け温度を550℃(823K)、ろう付け時間を600secとしている。
Ag−Cuの2元系平衡状態図によれば、この組み合わせは典型的な共晶反応系であり、すべての組成域で金属間化合物の生成は認められず、また共晶点温度は779℃と高温である。このため、Cu−Agの接合部は、ろう付により組織的な変化は観察されず、AlやCuの反応やそれによる脆弱な金属間化合物の形成は認められない。
一方、Ag−Alの接合部における反応領域では複雑な形態をとっており、図2の模式図に示すように、4つの領域に分類される。ろう材とAgの反応界面には不定形相の第1相が生成しており、この第1相中に塊状の生成相からなる第2相が認められる。第1相からろう材側には板状の生成物が第4相中に網目状に生成して、第3相を構成している。
X線マイクロアナライザー(EPMA)による元素分析によれば、第1相および第3相はAlとAgの金属間化合物であるAg2Alである。また、第2相はろう材に含有されているSiであり、第4相はろう材中のAlである。
ろう付接合部のせん断破壊試験を行うと、変形挙動は母材Al領域での延性的な破壊を示しており、接合部の引張強さも母材Alと同等であって、Al−Cuを直接ろう付した接合に比べ、強度が飛躍的に向上している。
このように、Al−Cuの接合面にインサート材としてAgを挿入して、ろう付け接合することによって、ろう付接合部の強度および変形挙動は母材Alと同等であって、しかも、延性的な破壊を発生するのは、主に母材Al領域になる。
一方、電子機器の小型化、薄肉化、軽量化、および高性能化に伴って、優れた寸法特性を発揮するには、冷間または熱間での圧延加工を施して、圧延素材の減肉加工を行うのが有効である。すなわち、冷間または熱間での圧延加工を施すことによって、所定の寸法精度を確保することができる。さらに、必要とする最終の目標寸法に応じて、適宜、加工率を設定することによって、所定の機器寸法を採用することができるので、要求される寸法適用性に対応することができる。
前述のAl−Cu接合部材の変形挙動は母材Alと同等であって、延性的な破壊は主に母材Al領域で発生する。したがって、従来から行われているAl材の圧延加工を、このAl−Cu接合部材に適用することができ、これにより、寸法特性に優れたAl−Cu接合構造材を製造することができる。
Al−Cu接合部材の圧延においては、加工硬化等による変形能の低下、および接合部における金属間化合物の成長を抑制することが重要になる。冷間圧延によって減肉加工を行う場合には、金属間化合物の成長は抑制されるが、加工硬化により部材の変形能が低下し、十分な減肉を行うことが困難である。このため、1回の冷間圧延毎に熱処理を行い、加工硬化等による変形能の低下を回復させる必要がある。
これに対し、金属間化合物の成長を抑制でき、かつ変形能を低下させないような温度範囲で熱間加工を実施することができれば、加工毎に改めて熱処理を行う必要がない。このような観点から、Al−Cu接合部材の圧延においては、熱間圧延によって減肉加工するのが望ましい。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、下記(1)の薄型Al−Cu接合構造物、および(2)の薄型Al−Cu接合構造物の製造方法を要旨としている。
(1)Al部材とCu部材との接合面にAgをインサート材として用いたろう付け接合部材を圧延加工したことを特徴とする薄型Al−Cu接合構造物である。
上記薄型Al−Cu接合構造物は、厚さが0.1mm以上であり、熱間圧延によって前記ろう付け接合部材を減肉圧下するのが望ましい。
(2)Al部材とCu部材との接合面にAgをインサート材として用いたろう付け接合部材を出発素材として、圧延加工を施すことを特徴とする薄型Al−Cu接合構造物の製造方法である。
上記薄型Al−Cu接合構造物の製造方法では、熱間圧延を350℃〜500℃で行ったり、熱間圧延を繰り返す場合に各圧延での圧下率を20%±10%にしたり、さらに熱間圧延の仕上後に焼鈍を施すのが望ましい。
本発明で採用する「ろう付け」は、特にその条件を限定するものでなく、Al−Ag接合に通常用いられる方法であればよい。ろう付け接合部に安定してAl−Agの金属間化合物であるAg2Alを形成させるには、Al−Si系ろう材を用いるのが望ましく、前記ろう材のうちでAl−Si−Mg−Bi系の合金ろうを使用するのが更に望ましい。
本発明で採用する「圧延加工」は、従来からAlの圧延法として慣用されている冷間または熱間圧延の方法、条件を適用するものであり、特に圧延設備、圧延条件等を限定するものではない。
本発明の製造方法によれば、加工性に優れたAl−Cu異材接合部を有する部材を確保し、これを圧延加工により減肉することによって、優れた寸法精度を有するとともに、寸法の多様化に伴う寸法適用性に対応できる薄型Al−Cu接合構造物を製造できる。この薄型Al−Cu接合構造物は、Alの軽量性とCuの伝熱性、熱拡散性、耐食性とを併せ持つものであり、電子機器の小型化、薄肉化、軽量化、および高性能化の要請に対応できる。
本発明は、Al−Cu接合部材を圧延加工した薄型Al−Cu接合構造物およびその製造方法に関するものであり、その内容をAl−Cu接合部材の加工性およびその圧延加工に項分けして説明する。
1.Al−Cu接合部材の加工性
前記図2に示すように、Al−Si系ろう材を用いてろう付けする際に、Al−Cuの接合面にインサート材としてAgを挿入して異材接合を行うと、ろう付部に初期のAgが残存し、Al−Cu接合部材の加工性に好適な作用を及ぼすことになる。その作用は、次の通りである。
第一には、ろう付されたAl−Cu接合部にAg層を残存させることにより、Al−Cuの直接反応を阻害することである。これにより、Al−Cuによる有害な金属間化合物であるδ相やθ相の生成を抑制できる。
第二としては、ろう付けの反応初期にAg層を残存させることによって、Ag−Alの金属間化合物であるAg2Alが網目状に形成するのを促進し、この形成促進を維持することができる。
一般に、金属間化合物は脆性的であり、Ag2Alもその硬さからみて、Al−Cuの金属間化合物であるδ相やθ相と同様に、低強度を示すことが予測される。しかし、Ag2Alは周辺のAl中に網目状に分散する形態で形成されているため、例え、その一部が破壊したとしても、直ちに全体の破壊に至らず、周辺のAlの延性的な変形挙動に基づいて、延性的な変形を示す。このため、接合部の強度は、母材Alと同等の強度を示すことができる。
さらに、Ag−Alの金属間化合物であるAg2Alは、接合部の応力分布状態にも影響を及ぼすことになる。本発明者らの解析によれば、前記図1に示すAl−Cuの直接接合部では、引張負荷により、θ相の内部に最大主応力の最も大きな応力集中部が生じる。
一方、前記図2に示すAgインサート材を用いた接合部では、網目状Ag2Alの交差部に最大主応力の応力集中部が生じる。このため、周辺のAlには、特に顕著な応力集中部もなく、ほぼ均一な分布状態となる。
このため、両者の変形挙動を比較すると、前記図1に示すAl−Cuの直接接合部では、引張負荷によりθ相内部に発生した最大主応力の応力集中部を起点に破壊が発生し、これが瞬時に伝播し破壊に至る。
これに対し、前記図2に示す接合部、すなわち、Al−Cuの接合面にインサート材としてAgを挿入した接合部では、同様に、引張負荷により第3相中の網目状に形成されたAg2Alに応力集中部が生じるが、ここで局部的に破壊が発生しても、瞬時に破断に至るような挙動は示さず、引張負荷は周辺のAlに負担され、延性的な変形挙動をとることになる。
図3は、ろう付温度をパラメータとした場合のAl−Cu接合部材の引張強さとろう付時間の関係を示す図である。ろう付け温度は813K〜830K(540℃〜557℃)の範囲で変化させている。
ろう付温度813K(540℃)では、接合部は十分な液相が発生せず、ろう付けができなかったため、全てのろう付時間において母材変形を殆ど伴わない脆性的な破壊である。しかも、破断位置はすべてろう付部であり、引張強さは平均で約15Mpaと極めて低い値であった。
また、ろう付け温度が830K(557℃)の場合には、母材Alの溶融が激しくなり、接合部は母材変形を伴わない脆性的な変形挙動を示し、破断位置はろう付部である。
これに対して、ろう付け温度が818K(545℃)および823K(550℃)の場合には、ろう付け時間が1800sec以下では、接合部の引張強さは65Mpaと母材Alの引張強さにまで上昇しており、母材Al側で破壊するものもみられる。また、破壊に至るまでに大きな母材変形をともなっており、延性的な変形挙動を示したのち、破壊に至っている。
したがって、Al部材とCu部材との接合面にAgをインサート材として用いたろう付け接合部材にあっては、適切なろう付温度範囲とともに、適切な保持時間を設定することによって、Al−Cu接合面に有効なAg層を残存させることができる。これにより、延性的な変形挙動を示し、接合部の強度も母材Alと同等の強度を確保でき、優れた加工性を発揮すことができるので、圧延加工における加工素材とすることができる。
2.Al−Cu接合部材の圧延加工
本発明の製造方法では、冷間、または熱間いずれかの圧延加工によってAl−Cu接合部材に減肉加工を施す。この場合において、低下したAlの機械的性質を回復させるに必要な温度範囲で熱間圧延を実施すれば、圧延加工毎に低下した強度を回復させる熱処理が不要となる。
このため、本発明で採用する圧延加工では、熱間圧延を採用すれのが望ましいが、このときの加工温度は、接合部での金属間化合物の成長を抑制できる温度以下にする必要がある。
本発明で、安定して熱間加工を繰り返すために、加工温度は350℃〜500℃で行うのが望ましい。加工温度を350℃未満にすると、低下した変形能の回復が充分に行われず、新たな熱処理を必要とする場合がある。
一方、加工温度の上限を500℃にするのが望ましい。500℃を超えて圧延を行うと、前記図2における第1相の成長の著しい活発化により残存しているAg層の厚さが急激に減少する可能性があり、さらに圧延を繰り返すことより、ついにAg層が消滅し、AlとCuの直接反応による有害なAl−Cuの金属間化合物が形成される可能性があることによる。
本発明の製造方法では、寸法適用性を確保するため、圧延加工後においてAl−Cu接合構造物の肉厚が最少0.1mmまで選択することができる。この場合において、最終の目標寸法に基づいて、圧延加工における加工スケジュールを設定することになるが、熱間圧延を繰り返す場合には各圧延での圧下率を20%±10%に設定するのが望ましい。ただし、圧下率(Rd)は、(加工前肉厚−加工後肉厚)/(加工前肉厚)×100%で示すものとする。
さらに、本発明の製造方法では、仕上圧延後に、焼鈍を施すことが望ましい。圧延加工によって低下したAlの機械的性質を回復させ、薄型Al−Cu接合構造物の機械的性質の回復および強度の安定を図るためである。仕上圧延後の焼鈍は、400℃×30分の処理条件が基準となる。
本発明の薄型Al−Cu接合構造物は、上述したAl−Cu接合部材に圧延加工を施すことによって、優れた寸法精度を有するとともに、寸法の多様化に伴う寸法適用性に対応でき、さらに、Alの軽量性とCuの伝熱性、熱拡散性、耐食性とを併せ持つことができ、熱交換用材料として、また放熱用材料として好適に使用できる。
本発明の薄型Al−Cu接合構造物およびその製造方法の効果を、具体的な実施例に基づいて説明する。
(1)Al−Cu接合部材の作製
実施例に使用した母材Alは、市販の工業用純アルミニウム(A1050)とし、インサート材に用いたAgとして純銀箔(純度99.99%)を使用し、これを無酸素鋼(C1020)にクラッドした市販のAgクラッドCu板(Ag厚さ:100μm、Cu厚さ:3mm)を用いた。
まず、母材Cuの表面にインサート層を形成するため、母材Cuの表面に鏡面仕上げ加工を施したのち、厚さ100μmのAg箔を母材Cuの表面に接触するように載置し、固相拡散処理を行った。このときの拡散条件は、拡散温度が765℃(1038K)で、拡散時間を5Hrとして、接触荷重は2.54MPaとした。拡散接合は、5×10-3Torrの真空中で、加圧には油圧を用いた。
ろう材は、市販のAl−10Si−1.5Mg−0.1Bi系ろう材箔(4104相当、固相線温度:559℃(832K)、液相線温度:591℃(864K)、厚さ:100μm)として、インサート層と母材Al(Al厚さ:3mm)のろう付けを行った。
接合に際して、接合面をアセトンで充分に脱脂した後、スプリングで0.294MPaを付加し、3×10-3Torrの真空中において、接合温度が550℃(823K)で10分の条件で炉中ろう付とした。ろう付け後のAl−Cu接合部材の寸法は肉厚6mmであり、ほぼCu厚さ:3mm、Al厚さ:3mmの比率であった。
(2)圧延加工および接合部の組織
得られたAl−Cu接合部材を出発素材として、多数回に亘る熱間圧延を施して最終肉厚0.8mmの薄型Al−Cu接合構造物を製造した。熱間圧延の加工温度は400℃とし、各圧延での圧下率は20%とした。
具体的な加工スケジュールは、全肉厚6mm→4.8mm(Rd:20%)→3.84mm(Rd:20%)→3.07mm(Rd:20%)→2.46mm(Rd:20%)→1.97mm(Rd:20%)→1.58mm(Rd:20%)→1.26mm(Rd:20%)→1.0mm(Rd:21%)→0.8mm(Rd:20%)として、9回に亘る熱間圧延を繰り返した。熱間圧延でトータル圧下率を87%として、最終肉厚を0.8mmに仕上げた後に、400℃×30分の条件で焼鈍を行った。
図4は、熱間圧延で肉厚0.8mmに仕上げた後の接合部の組織をSEM観察した結果を示す図である。同図に示すように、接合部は図面の右方より、母材Cu、Ag層、Ag−Al反応領域および母材Alで構成されている。Ag層は処理前には厚さ100μmであったが、接合処理後に残存した層厚さは5〜8μmとなっていた。また、母材Cuおよび母材Alも圧下率に応じて均等の減肉状況を示していた。
反応領域では複雑な形態をとっているが、前記図2の模式図に示すように、出発部材としてAl−Cu接合部材で得られた第1相〜第4相の形成形態をそのまま具備していることが分かる。肉厚0.8mmに仕上げた後においても、母材Cu、母材Al、Ag層、および接合部の反応領域のいずれにおいても欠陥等の発生は見られなかった。
さらに、同様の多数回に亘る熱間圧延を施して、最終肉厚が0.1mmまでの減肉加工を行い、母材Cu、母材Al、Ag層およびAg−Alの反応領域のいずれにも欠陥等が発生することがなく、本発明の薄型Al−Cu接合構造物が製造できることを確認している。
本発明の薄型Al−Cu接合構造物および製造方法によれば、加工性に優れたAl−Cu異材接合部を有する部材を確保し、これを圧延加工により減肉することによって、優れた寸法精度を有するとともに、寸法の多様化に伴う寸法適用性に対応できる。得られた薄型Al−Cu接合構造物は、Alの軽量性とCuの伝熱性、熱拡散性、耐食性とを併せ持つものであり、電子機器の小型化、薄肉化、軽量化、および高性能化の要請に対応でき、熱交換用材料、または熱伝達用材料として広く利用することができる。
Al−Si系ろう材を用いてAlとCuを直接ろう付した異材接合における、接合部の代表的な組織を模式的に示した図である。 Al−Si系ろう材を用いてAl−Cuの接合面にインサート材としてAgを挿入した異材接合における、接合部の代表的な組織を模式的に示した図である。 ろう付温度をパラメータとした場合のAl−Cu接合部材の引張強さとろう付時間の関係を示す図である。 熱間圧延で肉厚0.8mmに仕上げた後の接合部の組織をSEM観察した結果を示す図である。

Claims (8)

  1. Al部材とCu部材との接合面にAgをインサート材として用いたろう付け接合部材を圧延加工したことを特徴とする薄型Al−Cu接合構造物。
  2. 熱間圧延によって前記ろう付け接合部材を加工したことを特徴とする請求項1に記載の薄型Al−Cu接合構造物。
  3. 前記構造物の厚さが0.1mm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の薄型Al−Cu接合構造物。
  4. Al部材とCu部材との接合面にAgをインサート材として用いたろう付け接合部材を出発素材として、圧延加工を施すことを特徴とする薄型Al−Cu接合構造物の製造方法。
  5. 前記加工を熱間圧延で行うことを特徴とする薄型Al−Cu接合構造物の製造方法。
  6. 前記熱間圧延を350℃〜500℃で行うことを特徴とする請求項5に記載の薄型Al−Cu接合構造物の製造方法。
  7. 前記熱間圧延を繰り返す場合に各圧延での圧下率が20%±10%であることを特徴とする請求項5または6に記載の薄型Al−Cu接合構造物の製造方法。
  8. 前記熱間圧延の仕上後に焼鈍を施すことを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の薄型Al−Cu接合構造物の製造方法。

JP2003289357A 2003-08-07 2003-08-07 薄型Al−Cu接合構造物およびその製造方法 Expired - Fee Related JP4522678B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003289357A JP4522678B2 (ja) 2003-08-07 2003-08-07 薄型Al−Cu接合構造物およびその製造方法
PCT/JP2003/010324 WO2005014217A1 (ja) 2003-08-07 2003-08-13 Al-Cu接合構造物およびその製造方法
AU2003257838A AU2003257838A1 (en) 2003-08-07 2003-08-13 Al-Cu JUNCTION STRUCTURE AND METHOD FOR MANUFACTURING SAME
US10/781,358 US6921583B2 (en) 2003-08-07 2004-02-17 Al-Cu bonded structure and method for making the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003289357A JP4522678B2 (ja) 2003-08-07 2003-08-07 薄型Al−Cu接合構造物およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005052888A true JP2005052888A (ja) 2005-03-03
JP4522678B2 JP4522678B2 (ja) 2010-08-11

Family

ID=34367724

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003289357A Expired - Fee Related JP4522678B2 (ja) 2003-08-07 2003-08-07 薄型Al−Cu接合構造物およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4522678B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012138306A (ja) * 2010-12-27 2012-07-19 Toshiba Corp 接合体、接合体の製造方法および電池パック
CN113414237A (zh) * 2021-06-21 2021-09-21 西安理工大学 一种轧制制备高性能Al-Cu-Al复合材料的方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4999941A (ja) * 1973-01-31 1974-09-20
JPH11254127A (ja) * 1998-03-12 1999-09-21 Ichiro Kawakatsu 銅とアルミニウムのろう付け法
JP2002113569A (ja) * 2000-10-04 2002-04-16 Sumitomo Precision Prod Co Ltd アルミニウム部材と銅部材の接合方法および熱交換装置とその製造方法
JP3917503B2 (ja) * 2002-04-05 2007-05-23 住友精密工業株式会社 アルミニウム部材と銅部材の接合方法及びその接合構造物

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4999941A (ja) * 1973-01-31 1974-09-20
JPH11254127A (ja) * 1998-03-12 1999-09-21 Ichiro Kawakatsu 銅とアルミニウムのろう付け法
JP2002113569A (ja) * 2000-10-04 2002-04-16 Sumitomo Precision Prod Co Ltd アルミニウム部材と銅部材の接合方法および熱交換装置とその製造方法
JP3917503B2 (ja) * 2002-04-05 2007-05-23 住友精密工業株式会社 アルミニウム部材と銅部材の接合方法及びその接合構造物

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012138306A (ja) * 2010-12-27 2012-07-19 Toshiba Corp 接合体、接合体の製造方法および電池パック
CN113414237A (zh) * 2021-06-21 2021-09-21 西安理工大学 一种轧制制备高性能Al-Cu-Al复合材料的方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4522678B2 (ja) 2010-08-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5698947B2 (ja) 電子機器用放熱板およびその製造方法
WO2017164013A1 (ja) ベーパチャンバーの製造方法
JP4350753B2 (ja) ヒートシンク部材およびその製造方法
TWI683403B (zh) 附有散熱片之電源模組用基板的製造方法
JP5284542B1 (ja) アルミニウム合金クラッド材の製造方法
WO2016152648A1 (ja) 放熱部品用銅合金板及び放熱部品
JP6031576B2 (ja) 放熱部品用銅合金板
JP6109615B2 (ja) ろう付用アルミニウム合金フィンクラッド材
JP2009129983A (ja) 接合体及びその製造方法、並びにパワー半導体モジュール及びその製造方法
US6921583B2 (en) Al-Cu bonded structure and method for making the same
JP4522678B2 (ja) 薄型Al−Cu接合構造物およびその製造方法
JP3398204B2 (ja) アルミニウム合金用ろう材およびアルミニウム合金製品
JP6528559B2 (ja) セラミックス/アルミニウム接合体の製造方法、パワーモジュール用基板の製造方法、及び、セラミックス/アルミニウム接合体、パワーモジュール用基板
JP6426883B2 (ja) 耐食性に優れた接合体の製造方法
JPH07223090A (ja) アルミニウム合金と銅の接合用ろう材およびこのろう材によって接合された複合材
JP2004001069A (ja) アルミニウム部材と銅部材の接合方法及びその接合構造物
JP2004066324A (ja) アルミニウム系金属と異材金属のろう付け方法
JP5247293B2 (ja) 鋼材とアルミニウム材料のろう付け接合構造およびろう付け方法
JP4196776B2 (ja) ろう付け用複合材及びその製造方法
JP2002248597A (ja) 高熱伝導性複合材料および金型
JP4522677B2 (ja) Al−Cu接合構造物およびその製造方法
CN114227064B (zh) 一种银铜钛活性钎料层状复合带材及其制备方法
JP2017147285A (ja) PbフリーZn−Al系合金はんだと金属母材とのクラッド材によって接合された接合体
JP4461809B2 (ja) ろう付け方法及びその方法を用いたろう付け製品
JP2005081390A (ja) ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051227

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090331

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090527

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A132

Effective date: 20100209

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100405

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100518

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100526

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4522678

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130604

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130604

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130604

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130604

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees