JP2005052546A - 圧力容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 内部圧力を高く保持でき、短時間で生米から美味しく炊飯できる圧力釜等の圧力容器を提供する。
【解決手段】 圧力釜1は、上方開口の釜本体10と、釜本体の上方開口を塞ぐ蓋体20と、釜本体と蓋体との間に設けたパッキング30と、パッキングを挟んで釜本体と蓋体とを全周で締付ける締付け部材40とを備え、釜本体10は上部水平面12を有する下フランジ部11を備え、蓋体20は上部水平面と対向する下部水平面22を有する上フランジ部21を備え、下フランジ部及び上フランジ部はそれぞれ円周状の凹溝13,23を備え、パッキング30は凹溝に嵌合する突条33,34を備える。蓋体20は、圧力調整弁25と減圧装置27を備える。パッキングは断面円形でもよい。
【選択図】 図2

Description

本発明は、釜飯等の炊飯に使用する圧力釜等の圧力容器に係り、特に、生米から短時間に美味しく炊飯できる小容量の圧力容器に関する。
従来、この種の釜めし用圧力釜として、側腕と押圧腕よりなる回動腕を、側腕下端を釜本体乃至はその側方に設ける側方板に回動自在に枢支すると共に、蓋体上に圧接部を半円状に突出形成させ、押圧腕を前記圧接部中央部に持来し圧接自在としたものがある。この釜めし用圧力釜は、簡単な構成により釜めし釜を圧力釜とすることにより、少量の釜めし調理をおいしく簡単に出来るようにするものである(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−292228号公報(図1)
ところで、前記構造の圧力釜は、釜本体と蓋体との密着が均一でないため、内部圧力を高く保つことができず、炊飯時間が長くかかり、炊き上がり状態も良好でない問題点があった。また、従来の一般的な圧力鍋も鍋本体と蓋との密着が均一でないため、内部圧力を高く保つことができず、炊飯を含めて調理時間が余分にかかるという問題点があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、容器本体と蓋体との密着が均一で内部圧力を高く保つことができるため、生米からの炊飯時間を短縮できると共に、炊き上がり状態が良好で美味しく炊飯ができる圧力釜等の圧力容器を提供することにある。
前記目的を達成すべく、本発明に係る圧力容器は、上方開口の容器本体と、容器本体の上方開口を塞ぐ蓋体と、容器本体と蓋体との間に介在されるパッキングと、パッキングを挟んで容器本体と蓋体とを締付ける締付け部材とを備え、容器本体は上部水平面を有する下フランジ部を備え、蓋体は上部水平面と対向する下部水平面を有する上フランジ部を備え、締付け部材は下フランジ部及び上フランジ部の間にパッキングを挟んで締付けることを特徴とする。締付け部材としては、上下のフランジ部の外周を取り巻く形状で締付けねじや、締付けレバー等の締付け手段で締付けるものが好ましく、上下のフランジ部は肉厚で剛性を有するものが好ましい。
このように構成された本発明の圧力容器は、容器本体の上部水平面と蓋体の下部水平面とが締付け部材により全周を均一に締付けられ、密着状態が安定して内部空間の圧力を高く保つことができるため、炊飯時間や調理時間を短縮できる。しかも、内部が高圧のため、米の場合は水分を十分含み、ふっくらと美味しく炊き上げることができる。
また、本発明に係る圧力容器の好ましい具体的な態様としては、下フランジ部の上部水平面、上フランジ部の下部水平面、パッキングの上下面のいずれか一方の対接面に円周状の溝を備え、他方の対接面に前記溝に嵌合する突条を備えることを特徴としている。上部水平面と下部水平面に凹溝を形成し、パッキングの上下面に凹溝に嵌合する突条を突設すると好ましい。この構成によれば、容器本体と蓋体との密着度を高めることができ、圧力容器の内部空間を安定して高圧に保つことができ、炊飯や調理時間を短縮できる。
さらに、本発明に係る圧力容器の好ましい具体的な他の態様としては、締付け部材は、下フランジ部及び上フランジ部の外周を取り巻く複数の締付け片を連結して形成され、締付け片は下フランジ部及び上フランジ部を挟む上壁部及び下壁部を有し、上壁部及び下壁部内に下フランジ部及び上フランジ部を挿入して複数の締付け片を下フランジ部及び上フランジ部の外周に巻回したとき締付け片の開放端部は所定の間隔を有して対向し、締付け片の開放端部を締付け手段で締付けて間隔を縮めることにより、下フランジ部と上フランジ部とを締付けることを特徴とする。この構成によれば、複数の締付け片を圧力容器の外周に巻回して締付け手段を締め込む容易な操作により、容器本体と蓋体とを確実に密着させることができ、炊飯時に内部圧力を高めることができる。
本発明に係る圧力容器の好ましい具体的なさらに他の態様としては、下フランジ部と締付け部材の下壁部との対接面は、少なくとも一方が圧力容器の中心に向けて下降する傾斜面で形成され、上フランジ部と締付け部材の上壁部との対接面は、少なくとも一方が圧力容器の中心に向けて上昇する傾斜面で形成されることを特徴とする。この構成によれば、締付け部材で上フランジ部と下フランジ部と締付けるとき、傾斜面に沿って上フランジ部と下フランジ部とが接近するため、両者の密着状態が安定して内部圧力を高く保つことができる。
さらに、前記蓋体は、圧力容器の内部空間の残圧を抜く減圧装置を備えると好適であり、減圧弁等を備えることが好ましい。減圧装置として、重りを有する圧力調整弁を使用し、重りを手で持ち上げることにより内部の残圧を抜くように構成することができる。この構成によれば、炊飯完了時に蓋体を空けるとき、減圧装置で内部圧力を抜くことができ、開蓋時に内部圧力が噴き出して火傷等を負うことが防止される。
以上の説明から理解できるように、本発明の圧力釜は、釜本体と蓋体とを均一に密着して密着性を高めることができ、内部空間の圧力を高く保持できるため、短時間で美味しく生米から炊き上げることができる。下フランジ部の下部水平面と上フランジ部の上部水平面とのいずれか一方に凹溝、その他方に突条を形成し、これらの凹溝又は突条にパッキングを嵌合させて両者を対接させると密着状態をさらに高めることができ、内部空間の圧力を高めて調理時間を短縮することができる。
以下、本発明に係る圧力容器として圧力釜の一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る圧力釜の断面図、図2は、図1の圧力釜の分解した状態の断面図、図3は、図1の一部を省略した平面図である。
図1〜3において、圧力釜1は上方が開口する釜本体10と、釜本体の上方の開口を塞ぐ蓋体20と、釜本体10と蓋体20との間に介在されるパッキング30と、釜本体10と蓋体20とをパッキング30を挟んで締付ける締付け部材40とから構成される。釜本体10は容器本体を構成し、例えばアルミニウム等の金属の鋳物で形成され、内部に米等が収容される。
釜本体10の上方の開口端部には水平方向に下フランジ部11が延出形成されており、上面は水平面12となっており、外周に沿って円周状に凹溝13が形成されている。下フランジ部11は肉厚で剛性を有するものが好ましく、その下面は傾斜面14となっており、15〜20度程度の傾斜が付けられ先端側が細くなっており、先端の肉厚が2〜3mm程度で根元の肉厚は4〜5mm程度に形成されている。下フランジ部11の凹溝13は、断面の曲率半径が1.5mm程度で深さも1.5mm程度に形成され、断面形状が半円形となっている。なお、断面形状は半円形に限らず、半径より深さの小さいもの、あるいはV溝等、適宜設定できる。釜本体10の外周から鍔部10aが突出している。
蓋体20はアルミニウム等の金属より形成され、高さが大きく内部空間が大きくなるように形成され、釜本体10の下フランジ部11と対向する上フランジ部21が形成されている。上フランジ部21の下面は水平面22となっており、水平の平坦面から凹んだ状態で断面が半円形の凹溝23が形成されている。凹溝23は蓋体20の外周に沿って円周状に形成され、凹溝13と同様に断面の曲率半径は1.5mm程度で深さも1.5mm程度に形成されている。上フランジ部21も肉厚で剛性を有するものが好ましく、その上面外周部は傾斜面24となっており、15〜20度程度の傾斜がついて先端側が細くなっており、先端の肉厚が3〜4mm程度で根元の肉厚は5〜7mm程度に形成されている。
パッキング30は耐熱性を有する例えばシリコーンゴムから形成され、釜本体10と蓋体20との間に介在され、両者を密着状態に対接させるものである。パッキング30は断面が水平面12と水平面22とに挟まれる水平基部31と、水平基部の外周より下方に延出する垂下部32と、この水平基部31の水平面から下方に突出する突条33、上方に突出する突条34とを備えている。パッキング30の上水平面が上フランジ部21と面接触し、下水平面が下フランジ部11と面接触する。そして、突条33は上フランジ部21に形成された凹溝23と略同じ曲率の半円で形成され、突条34は下フランジ部11に形成された凹溝13と略同じ曲率の半円に形成されている。
このように、パッキング30の突条33が釜本体10の下フランジ部11の凹溝13に嵌合し、突条34が蓋体20の上フランジ部21の凹溝23に嵌合すると共に、基部31の上下の水平面が上フランジ部21の水平面22及び下フランジ部11の水平面12と対接するため、釜本体10と蓋体20との密着状態が安定して内部空間の圧力を高く保つことができる。また、外周の垂下部32が下フランジ部11の外周を覆い、さらに密着度を高めることができる。なお、垂下部32は必ずしも必要でない。
蓋体20には圧力調整弁25が固定されている。この圧力調整弁25は、釜本体10と蓋体20とから構成される圧力釜1の内部空間の圧力を所定の圧力に保つためのものである。すなわち、内部空間の圧力が異常に高くなったときは重りを内蔵するキャップ26の重力が圧力に負けて上昇し、排気口を開口して内部の圧力を排出し内圧が異常に高くなることを防ぐものである。この圧力調整弁25は、従来から圧力鍋や圧力釜に使用される機構であり、詳細な説明は省略する。本実施形態の圧力調整弁25は、内部空間の圧力が例えば1.5〜1.7パスカル程度に保たれるように設定されている。
なお、圧力調整弁25は重りの重力によるものに限らず、圧縮ばねで付勢された弁体が圧力に負けて押し戻され、内部の圧力を排出して調整するものでもよい。この圧力調整弁25により、圧力釜1内部は所定の圧力に保持され、前記した釜本体10と蓋体20とがパッキング30を挟んで確実に密着されることと相俟って、米は水分を十分に含んで、ふっくらと炊き上げることができる。
蓋体20には、さらに炊飯が終了したときの残圧を抜くための減圧装置27が装着されている。この減圧装置27は減圧弁から構成され、バルブ本体28と、このバルブ本体の上部に設けた減圧ボタン29とから構成され、減圧ボタン29を付勢ばねに抗して引上げることにより圧力釜1の釜本体10と蓋体20との内部空間と外気とを連通させ、炊飯後に圧力釜1の内部空間の残圧を抜くものである。この減圧装置27を開放することにより、釜本体10から蓋体20を外すときの内部蒸気の吹き出しを防止できる。
なお、減圧装置は、内部空間と連通する連通管とバルブとから構成し、バルブを開放することにより圧力釜1の釜本体10と蓋体20との内部空間と外気とを連通させ、炊飯後に圧力釜1の内部空間の残圧を抜くものでもよい。また、減圧装置の付勢ばねの圧力を調整して圧力調整弁として機能させ、圧力調整弁25を省略するようにしてもよい。
つぎに、釜本体10と蓋体20とをパッキング30を挟んで締付ける締付け部材40について説明する。締付け部材40は、3つの締付け片41,42,43を備え、中間の締付け片42の両端に2つの締付け片41,43が揺動可能にピン44で連結され、一端の締付け片41の開放端には締付けねじ45がピン44で揺動可能に連結され、他方の締付け片43の開放端には締付けねじ45が挿入できる溝部46が形成されている。締付けねじ45には締付けナット47が螺合している。
締付け部材40は、図2に示すように圧力釜1の外周を取り巻くようにセットされ、下フランジ部11及び上フランジ部21の外周に巻回されたときに、締付け片41の端面と締付け片43の端面とが間隔Sを有して対向するように構成されている。この間隔Sは締付け手段を構成する締付けナット47を締付けねじ45に対してねじ込んでいくと間隔Sが狭められるものである。
3つの締付け片41,42,43は釜本体10と蓋体20の外周に沿うように湾曲して形成され、断面形状は水平方向に内側に開口する挿入溝部40aが形成され、下壁部40bと上壁部40cとにより略コ字状をしている。そして、各締付け片の挿入溝部40aに釜本体10の下フランジ部11と蓋体20の上フランジ部21の外周部が挿入する。下フランジ部11の下面は傾斜面14となっており、上フランジ部21の上面は傾斜面24となっており、締付け片41〜43の下壁部40bと上壁部40cにより形成された挿入溝部40aの内面は前記の傾斜面と同じ傾斜の傾斜面が形成され、下フランジ部11と上フランジ部21の傾斜面と、挿入溝部40aの傾斜面が対接する構成であり、各締付け片の挿入溝部40aの内面は下フランジ部及び上フランジ部の傾斜面と均一に対接するように構成されている。締付けねじ45を溝部46に挿入して締付けナット47を締め込むことにより、3つの締付け片は縮径して間隔Sを縮めることにより、下フランジ部11と上フランジ部21とを相互に接近させ、両者の間にパッキング30を挟んで密着させる構造となっている。
前記の如く構成された本実施形態の圧力釜1を用いて、生米から炊飯する動作について以下に説明する。この圧力釜1は内容量が約700ccであり、360ccの洗浄した生米と、380ccの水を釜本体10に入れ、パッキング30を挟んで下フランジ部11に蓋体20の上フランジ部21を対接させる。蓋体20と釜本体10は、上フランジ部21と下フランジ部11とが全周のどの位置でも均等に対接できるため、従来の圧力鍋のように所定の位置で本体と蓋を噛み合わせる等の操作が不要となり、容易に接合して密着状態に締付けることができる。
釜本体10の下フランジ部11上にパッキング30を載せ、その上に蓋体20を載せて上フランジ部21と下フランジ部11との間にパッキング30を挟んだあと、図5に示すように締付け片42の挿入溝部40aに下フランジ部11と上フランジ部21の傾斜面14,24を挿入し、締付け片43をピン44を中心に回動させると共に締付け片41をピン44を中心として回動させ、締付けねじ45を溝部46内に挿入して締付けナット47を締め込んで間隔Sを縮める。
この操作により、締付け片41,42,43の挿入溝部40aの傾斜面が下フランジ部11と上フランジ部21の傾斜面14,24を楔作用で強力に押圧し、下フランジ部11と上フランジ部21は全周で均一にパッキング30を挟んで密着する。すなわち、上フランジ部21と下フランジ部11は全周に傾斜面14,24が形成され、締付け片41,42,43の挿入溝部40aの傾斜面もピン接合のリンク部を除いて略全周に形成され、剛性を有する肉厚の上下のフランジ部21,11でパッキング30を挟むため、釜本体10と蓋体20を全周で均一に密着させることができる。この結果、圧力釜1内の圧力を高く保つことができる。
このあと、3800キロカロリーのガスバーナーで釜本体10を約3分間加熱し、約3分間放置したあと、減圧装置27で圧力釜1の内部の圧力を抜き、約1分間放置すると、合計で約7分間かかり、生米からふっくらと美味しく炊飯できた。炊飯中に、圧力釜1の内部の圧力を測定したところ、平均圧力で約1.5パスカルに圧力調整弁25で調整されていた。
同様の分量の生米を従来の圧力鍋を使用して炊飯したときは、15分かかり、炊き上げ状態も本発明の圧力釜1で炊飯したものと比較して、米の艶が少なく良好ではなかった。このように、本実施形態の圧力釜1は、釜本体10と蓋体20とのパッキング30を介した密着度が高く、内部空間を高圧に保つことができ、従来の圧力鍋等で炊飯したものと比較して、短時間で美味しく炊飯できることが分かった。
なお、生米だけでなく、山菜、アサリ等の具を入れて炊き込み御飯とすることや、もち米を使用して赤飯を炊くことも可能である。また、水を増やして、粥を炊くことも可能である。これらの場合も、前記と同様に圧力釜1内部の圧力を一定に高く保持できるため、短時間で美味しく炊き上げることができる。このように、本実施形態の圧力釜は、下フランジ部11と上フランジ部21とを締付け部材40で外側から挟んで全周を均等に締付けるので、釜本体10と蓋体20との密着性が高く、内部圧力を高く保つことができる。この結果、水の沸点を高めることができ、短時間で美味しく炊飯することができる。
つぎに、図6を参照してパッキングの他の実施形態を説明する。図6(a)は前記の実施形態に使用するパッキング30を示しており、図6(b)に示すパッキング30Aは外周側の水平基部から延出する垂下部が無い形状をしている。このパッキング30Aは、パッキング30と比較して若干気密度が落ちるが、上下面の突条により構成が簡単となり、製造が容易となる効果がある。
図6(c)に示すパッキング30Bは、突条が二重に配列されているもので、このパッキングを使用する場合は上下のフランジ部に二重の凹溝を形成することが必要となる。このパッキング30Bは、気密度をさらに向上させることができる。図6(d)に示すパッキング30Cは、パッキングの上下面に凹溝を形成し、釜本体のフランジ部の水平面に突条を形成し、蓋体の水平面に突条を形成している。このように凹溝と突条を逆に設けても同様の効果を期待できる。
図6(e)に示すパッキング30Dは、水平基部の外周に上下に延出する外周リング部を形成しており、このパッキングの場合は釜本体と蓋体との密着度を高めることができる。図6(f)に示すパッキング30Eは、上面には突条を形成し、下面には凹溝を形成している。このパッキングの場合は、図示していないが蓋体の上フランジ部には凹溝を形成し、釜本体の下フランジ部には突条を形成する。この場合も、同等の密着度を期待できる。
図7を参照して、上下のフランジ部と締付け部材の他の実施形態を説明する。図7(a)は釜本体10の下フランジ部11の下面が傾斜面14であり、蓋体20の上フランジ部21の上面24が傾斜面であり、締付け片41Aの挿入溝には傾斜面が形成されていない例を示している。この例においては、締付け片41Aを中心方向に移動させて締付けると、挿入溝の先端の角部が上下フランジ部21,11の傾斜面24,14を押圧してパッキング30を圧縮する圧力が作用し、釜本体10に蓋体20を密着させることができる。角部に小さい傾斜面をつけたコーナー面取りをつけると好ましく、円弧面をつけたアール面取りとしてもよい。
図7(b)は釜本体10Aの下フランジ部11aの下面14aが平坦面であり、蓋体20Aの上フランジ部21aの上面24aが平坦面であり、締付け片41の挿入溝には傾斜面が形成されている例を示している。この例においては、締付け片41を中心方向に移動させて締付けると、挿入溝の傾斜面が上下フランジ部21a,11aの平坦面の角部を押圧してパッキング30を圧縮する圧力が作用し、釜本体10Aに蓋体20Aを密着させることができる。上下フランジ部の角部にコーナー面取りや、アール面取りをつけると好ましい。
このように、下フランジ部と締付け片の下壁部との対接面は、少なくとも一方が圧力容器の中心に向けて下降する傾斜面で形成し、上フランジ部と締付け片の上壁部との対接面は、少なくとも一方が圧力容器の中心に向けて上昇する傾斜面で形成すると、締付け片を中心方向に移動させたときに蓋体と釜本体に、両者を押圧する方向の押圧力を作用させることができ、肉厚の上下フランジ部でパッキングを挟むことによって蓋体と釜本体との密着性を高めることができる。
つぎに、本発明に係る圧力容器の他の実施形態として、図8〜11に示す圧力釜の例を説明する。図8は本発明に係る圧力釜の他の実施形態の一部を破断した正面図、図9は図8の要部平面図、図10は図9の圧力容器の蓋体を外した状態のC−C線に沿う断面図、図11は締付け手段の開いた状態の要部平面図である。図8〜11において、圧力釜1Aは上方が開口する釜本体50と、釜本体の上方の開口を塞ぐ蓋体60と、釜本体50と蓋体60との間に介在されるパッキング70と、釜本体50と蓋体60とをパッキング70を挟んで締付ける締付け部材80とから構成される。
釜本体50は圧力釜の一方を構成する上方開口の容器本体であり、本実施形態では厚さが2mm程度の金属板材を板金加工で形成した容器部50Aと、同様の厚さの金属板材を板金加工で形成した鍔部50Bとを備えており、リング状の鍔部50Bの中心孔に釜本体50Aを挿入して嵌合したあと溶接で一体化され、内部に米等が収容される。容器部50Aは上端が水平方向に延出され、容器部と同じ程度の肉厚で剛性を有する下フランジ部51が形成されており、上面が水平面52となっている。下フランジ部51の上面には円周状に断面が円弧の凹溝53が形成されている。この凹溝53は切削加工により形成されているが、プレス等で押圧して窪みを形成してもよい。容器部50Aの内面には、テフロン等のコーティングがされていると好適である。
蓋体60は釜本体50と同様に、厚さが2mm程度の金属板材を板金加工して形成したものであり、下端は水平方向に延出され、肉厚が2mm程度で剛性を有する上フランジ部61が形成されおり、下面は水平面62となっている。この上フランジ部61の下面には円周状に断面が円弧状の凹溝63が形成されており、釜本体50の下フランジ部51と同じ形状で対向するように構成される。この凹溝63も切削加工やプレス加工等で形成することができる。蓋体60には、前記の実施形態と同様に圧力調整弁25と減圧装置27とが固定されている。なお、この実施形態に示す釜本体50と、前記の実施形態に示す鋳造の蓋体20とを組み合わせて圧力釜としてもよい。
この実施形態に使用するパッキング70は、断面が直径6mm程度の円形でシリコーンゴム製のものが使用され、下フランジ部51の凹溝53と上フランジ部61の凹溝63との間に挟まれて、釜本体50と蓋体60とを全周で密着させる構成である。この構成の圧力釜1Aは、板金加工された釜本体50と蓋体60、及び断面が円形のパッキング70から構成されるため、前記した実施形態の鋳物の圧力釜1と比較して、構成を簡単にでき、コストを低減することができる。また、パッキング70も特殊形状でなく、標準的な形状であり、汎用品を使用できるため、コストを下げることができる。パッキング70の上下の円弧部分で構成される突条が上下の凹溝63,53に嵌合して密閉される構成である。
締付け部材80は、図9,10に示されるように上下のフランジ部の略半分を締付ける2つの締付け片81,82を連結片83でつないだ形状をしており、締付け片81,82は釜本体50と蓋体60の外周に沿って湾曲し、上下のフランジ部61,51に装着した状態では開放側の端部は間隔Sを有して対向する構成となっている。締付け片81,82は断面が同じ形状であり、一方について詳細に説明すると、板材を屈成して上傾斜壁部81aと、外周壁部81b、下傾斜壁部81cとを有する形状に形成され、上傾斜壁部81aは圧力容器の中心に向けて上昇する傾斜面となっており、下傾斜壁部81cは圧力容器の中心に向けて下降する傾斜面となっており、外周壁部81bは鉛直面となっている。
締付け部材80は、一方の締付け片82の開放端部に締付けリンク84の一端部をピン84aで連結し、締付けリンク84の他端部を締付けレバー85の中間部にピン84bで連結し、締付けレバー85の締付け片82側の係合軸85aを他方の締付け片81の開放端部のフック部81dに係合させ、締付けレバー85を締付け片81の方向へ揺動させて密着させることで前記の間隔Sを狭めることができ、これによりパッキング70を下フランジ部51と上フランジ部61とで挟んで、釜本体50に蓋体60を密着させることができる。
すなわち、締付け片81,82の上傾斜壁部81aが上フランジ部61を下方に押圧し、下傾斜壁部81cが下フランジ部51を上方へ押圧してパッキング70を上下から挟み、全周が密着状態となって圧力釜1Aの内部を所望の圧力に保つことができる。この構成により、前記の実施形態の圧力釜1と同様に、剛性を有する上下のフランジ部61,51の水平面62,52でパッキング70を挟み釜本体50と蓋体60との密着状態が安定し、内部圧力を高く保つことができるため、短い炊飯時間で美味しく炊き上げることができる。
炊飯後に圧力釜1Aを開けるときは、図9の状態から締付けレバー85を反時計方向に回転させると締付けリンク84の左端は、図11のように右端を中心として反時計方向に旋回し、2つの締付け片81,82の間隔Sを広げて締付けレバー85の係合軸85aをフック部81dから外すことができる。これにより、2つの締付け片81,82の開放側の端部はフリーとなり、連結片83を中心として大きく広げることができ、締付け部材80を上フランジ部61と下フランジ部51から外すことが可能となり、蓋体60を釜本体50から外すことが可能となる。そして、パッキング70を取外すと、このままの状態で釜飯として食することができる。
この実施形態では、前記の実施形態と同様に、短時間で美味しく炊飯ができると共に、圧力容器を構成する釜本体と蓋体の構成を板金加工できる構成としたため、圧力容器のコストダウンを達成することができ、パッキングも構成が簡単となるため長期間の使用でパッキングが劣化したときの交換も低コストで行える長所を有する。
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、凹溝及び突条を二重に配列した例では、2連とも同じ形状のものを形成したが、一方の凹溝を細幅とし、細幅の凹溝に対応する突条を細く形成して嵌合させるようにし、他方の凹溝を幅広とし、この幅広の凹溝の嵌合する突条を幅広とする等の変更をしてもよい。溝としては凹溝に限らず断面がV型のV溝でもよく、この場合の突条は断面がV型に突出するように形成する。
また、締付け部材として、3つの締付け片をピンで連結した構成と、2つの締付け片を連結片で連結したものを示したが、下フランジ部と上フランジ部の外周に沿う多数の締付け片を連結したもの等、適宜変更できる。容器本体を構成する金属はアルミニウムに限らず、鉄や他の金属でもよいことは勿論である。さらに本発明は圧力釜に限らず、圧力鍋等の圧力容器にも適用できる。
本発明に係る圧力釜の一実施形態の断面図。 図1に示す圧力釜の分解した状態の断面図。 図1の一部を省略した平面図。 (a)は図3のA−A線に沿う締付け部材の断面図、(b)は図3の締付け部材のB矢視図。 締付け部材の動作状態を示す平面図。 (a)は図1のパッキングの要部断面図、(b),(c),(d),(e),(f)は、それぞれパッキングの他の実施形態を示す要部断面図。 (a),(b)はそれぞれ締付け部材と上下フランジ部の他の実施形態の要部断面図。 本発明に係る圧力釜の他の実施形態の一部を破断した正面図。 図8の要部平面図。 図8,9に示す圧力容器の蓋体を外した状態のC−C線に沿う断面図。 図8〜10に示す締付け手段の開いた状態の要部平面図。
符号の説明
1,1A:圧力釜、
10,50:釜本体(容器本体)、
11,51:下フランジ部、
12,52:上部水平面、
13,53:凹溝、 14:傾斜面、
20,60:蓋体、
21,61:上フランジ部、
22,62:下部水平面、 23,63:凹溝、
24 傾斜面、 25:圧力調整弁、
27:減圧装置、 30,70:パッキング、
33,34:突条、
40,80:締付け部材、
40a:挿入溝部、 40b:下壁部、
40c:上壁部、
41,42,43:締付け片、
44:ピン、
45:締付けねじ(締付け手段)、
46:溝部、 47:締付けナット、
81,82:締付け片、83:連結片、
81a:上傾斜壁部(傾斜面)、
81c:下傾斜壁部(傾斜面)、
84:締付けリンク、
85:締付けレバー(締付け手段)、
S:間隔

Claims (5)

  1. 上方開口の容器本体と、該容器本体の前記上方開口を塞ぐ蓋体と、前記容器本体と前記蓋体との間に介在されるパッキングと、該パッキングを挟んで前記容器本体と前記蓋体とを締付ける締付け部材とを備える圧力容器であって、
    前記容器本体は上部水平面を有する下フランジ部を備え、前記蓋体は前記上部水平面と対向する下部水平面を有する上フランジ部を備え、前記締付け部材は前記下フランジ部及び上フランジ部の間に前記パッキングを挟んで締付けることを特徴とする圧力容器。
  2. 前記上部水平面、下部水平面、パッキングの上下面のいずれか一方の対接面に円周状の溝を備え、他方の対接面に前記溝に嵌合する突条を備えることを特徴とする請求項1に記載の圧力容器。
  3. 前記締付け部材は、前記下フランジ部及び上フランジ部の外周を取り巻く複数の締付け片を連結して形成され、該締付け片は前記下フランジ部及び上フランジ部を挟む上壁部及び下壁部を有し、該上壁部及び下壁部内に前記下フランジ部及び上フランジ部を挿入して前記複数の締付け片を前記下フランジ部及び上フランジ部の外周に巻回したとき前記締付け片の開放端部は所定の間隔を有して対向し、前記締付け片の開放端部を締付け手段で締付けて前記間隔を縮めることにより、前記下フランジ部と上フランジ部とを前記パッキングを挟んで上下方向に締付けることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧力容器。
  4. 前記下フランジ部と前記締付け部材の下壁部との対接面は、少なくとも一方が圧力容器の中心に向けて下降する傾斜面で形成され、前記上フランジ部と前記締付け部材の上壁部との対接面は、少なくとも一方が圧力容器の中心に向けて上昇する傾斜面で形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧力容器。
  5. 前記蓋体は、前記圧力容器の内部空間の残圧を抜く減圧装置を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の圧力容器。
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