JP2005050964A - 配線基板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本方法は基体(11)と導電化パターン(12)と配線パターン(13)とを備える配線板の製造方法において、導電性微粒子、加熱導電化微粒子及び有機金属化合物のうちの少なくとも1種を含有する導電化剤を用いて導電化剤膜を形成する工程1と導電化剤膜を100〜500℃で加熱して導電化膜とする工程2と導電化膜の一部をエッチングにより除去して導電化パターンとする工程6とを備える。本他方法は、同配線板の製造方法において、平均粒径300nm以下の導電性微粒子及び/又は加熱導電化微粒子を含有する導電化剤を用いて同導電化剤膜を形成する工程1と、導電化剤膜を加熱して導電化膜とする工程2と、同工程6と、を備える。また、本配線板は本方法又は本他方法により得られる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は配線基板及びその製造方法に関する。更に詳しくは、新規な配線基板の製造方法であって、簡便な方法で、優れた性能を発揮する導電パターン(本発明では導電化パターンと配線パターンとを合わせて「導電パターン」という)を形成できる配線基板の製造方法を提供する。更に、この配線基板の製造方法により得られた配線基板に関する。
本発明は電子部品関連分野において広く利用できる。また、本発明の製造方法は、樹脂系配線基板及びセラミック系配線基板のいずれも用いることができる。更に、本発明の配線基板は、マザーボード等の通常の配線基板、フリップチップ用配線基板、CSP用配線基板及びMCP用配線基板等の半導体素子搭載用配線基板、アンテナスイッチモジュール用配線基板、ミキサーモジュール用配線基板、PLLモジュール用配線基板及びMCM用配線基板等のモジュール用配線基板等に好適である。
【0002】
【従来の技術】
配線基板に導電パターンを形成する場合、無電解めっきと電解めっきとが併用されるのが一般的である。導電パターンを形成する基体表面は高い絶縁性を有するため直接電解めっきを施すことはできない。このため、基体表面に、まず無電解めっきを施して、電解めっきが可能なように基体表面を導電化した後、電解めっきを施すのが一般的である。
一方、電解めっき及び無電解めっきのいずれをも施すことなく導電パターンを形成する方法が、例えば、下記特許文献1及び下記特許文献2等に開示されている。これらは、金属微粒子等を含有し、加熱により導電化膜が得られる材料を用いて、基体表面に直接導電パターンを形成する方法である。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−324966号公報
【特許文献2】
特開2002−334618号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1及び上記特許文献2に開示された技術で形成される導電パターンは回路パターンとしての導電性が十分に得られ難いという問題がある。また、十分な導電性を得るために導電パターンの厚さを厚くするには手間を要するという問題がある。
この他の方法としては、スパッタリング等の方法を用いて基体表面を導電化する方法が知られているが、高価な装置を要するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、新規な配線基板の製造方法であって、簡便な方法で、優れた性能を発揮する導電パターンを形成でき、更には、近年、急速に進んでいるファインライン化及びファインスペース化にも対応できる配線基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来用いられている無電解めっき層に換えて、ペースト状物を塗布して無電解めっき層と同様な機能を発揮させる配線基板の製法の検討を行った。しかし、従来知られている導電性ペーストを用いた場合は、得られる導電化膜の膜厚が厚くなりがちであり、また、この導電化膜がエッチング時に過度に浸食されてサイドエッチングを生じてしまい、基体と導電パターンとの接合強度を十分に確保し難いという問題があることが分かった。そこで、本発明者らはこの原因について検討を行い、所定の特性を有する導電化剤を用いた製造方法であれば、上記のような問題を生じることがなく、また同時に、前記の従来の課題をも解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
即ち、本発明は、以下に示す通りである。
(1)基体と、該基体上に形成された導電化パターンと、該導電化パターン上に形成された配線パターンとを備える配線基板の製造方法において、導電性を有する微粒子、加熱により導電化される微粒子、及び、有機金属化合物のうちの少なくとも1種を含有する導電化剤を用いて上記基体の表面に該導電化剤からなる導電化剤膜を形成する導電化剤膜形成工程と、該導電化剤膜を100〜500℃で加熱して導電化膜とする加熱工程と、該導電化膜の一部をエッチングにより除去して上記導電化パターンとする導電化膜エッチング工程と、を備えることを特徴とする配線基板の製造方法。
(2)導電性を有する微粒子及び加熱により導電化される微粒子は、平均粒径が350nm以下である上記(1)に記載の配線基板の製造方法。
(3)上記有機金属化合物は、貴金属元素、Ni及びCuのうちの少なくとも1種を含有する上記(1)又は(2)に記載の配線基板の製造方法。
(4)基体と、該基体上に形成された導電化パターンと、該導電化パターン上に形成された配線パターンとを備える配線基板の製造方法において、平均粒径が350nm以下であり導電性を有する微粒子、及び、平均粒径が350nm以下であり加熱により導電化される微粒子、のうちの少なくとも一方を含有する導電化剤を用いて上記基体の表面に該導電化剤からなる導電化剤膜を形成する導電化剤膜形成工程と、該導電化剤膜を加熱して導電化膜とする加熱工程と、該導電化膜の一部をエッチングにより除去して上記導電化パターンとする導電化膜エッチング工程と、を備えることを特徴とする配線基板の製造方法。
(5)上記導電性を有する微粒子は貴金属、ニッケル並びに銅のうちの少なくとも1種からなり、上記加熱により導電化される微粒子は貴金属酸化物、塩化金及び硫化金のうちの少なくとも1種からなる上記(1)乃至(4)のうちのいずれかに記載の配線基板の製造方法。
(6)上記加熱工程後且つ上記導電化膜エッチング工程前に、上記導電化膜上に上記配線パターンの形状に対応したネガパターンを有し、配線材料の鍍着を防止する鍍着防止パターンを形成する鍍着防止パターン形成工程と、該ネガパターンの上記導電化膜上に配線材料を鍍着するめっき工程と、該めっき工程の後に該鍍着防止パターンを除去する鍍着防止パターン除去工程と、を備える上記(1)乃至(5)のうちのいずれかに記載の配線基板の製造方法。
(7)上記加熱工程後に上記導電化膜上に配線材料を鍍着して配線用めっきを形成するめっき工程と、該配線用めっき上に上記配線パターンの形状に対応し、直下の該配線用めっきのエッチングを防止するめっきエッチング防止パターンを形成するめっきエッチング防止パターン形成工程と、該配線用めっきをエッチングするめっきエッチング工程と、該めっきエッチング工程及び上記導電化膜エッチング工程の後に、該めっきエッチング防止パターンを除去するめっきエッチング防止パターン除去工程を備える上記(1)乃至(5)のうちのいずれかに記載の配線基板の製造方法。
(8)上記めっきエッチング工程と上記導電化膜エッチング工程とを同時に行う上記(7)に記載の配線基板の製造方法。
(9)上記(1)乃至(8)のうちのいずれかに記載の配線基板の製造方法により得られたことを特徴とする配線基板。
【0008】
【発明の効果】
本発明の製造方法によると、基体表面の導電化を無電解めっきにより行う場合に比べてより簡便である。また、基体表面の粗化を要しないため、粗化し難い材料を基体として用いることができる。更に、導電パターンのうち配線パターンの形成にめっきを用いることで高い導電性を発揮させることができる。特に、電解めっきを用いた場合は配線パターンの厚さを容易に厚くすることができる。更に、粗化を要しないため得られる配線基板において優れた高周波特性を発揮させることができる。
【0009】
導電性を有する微粒子が貴金属、ニッケル並びに銅のうちの少なくともいずれかの金属を主成分とし、加熱により導電化される微粒子は貴金属酸化物、塩化金及び硫化金のうちの少なくともいずれかを主成分とする場合、及び、有機金属化合物が貴金属元素、Ni及びCuのうちの少なくともいずれかを含有する場合は、得られる配線基板において、特に高い導電性を発揮させることができる。
微粒子の平均粒径が350nm以下である場合は、100〜500℃での加熱により、より確実に優れた導電化膜を形成でき、ファインライン及びファインスペースに適した導電化パターンを得ることができる。更に、粗化を要しないため得られる配線基板において特に優れた高周波特性を発揮させることができる。
加熱工程後且つ上記導電化膜エッチング工程前に鍍着防止パターン形成工程と、めっき工程と、鍍着防止パターン除去工程と、を備える場合は、特に簡便に配線基板を製造することができる。
加熱工程後且つ上記導電化膜エッチング工程前にめっき工程と、めっきエッチング防止パターン形成工程と、めっきエッチング工程と、を備え、めっきエッチング工程及び導電化膜エッチング工程の後にめっきエッチング防止パターン除去工程を備える場合は、特に簡便に配線基板を製造することができる。
めっきエッチング工程と導電化膜エッチング工程とを同時に行う場合は、特に作業効率を向上させることができる。
【0010】
本発明の配線基板は、無電解めっきを用いて得られる配線基板に比べて簡便に得られる。また、粗化し難い材料を基体として用いることができる。更に、めっき形成された配線パターンを備えるため導電性に優れる。また、基体と導電パターンとの間の十分な接合強度が得られる。更に、粗化を要しないため優れた高周波特性を発揮できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下詳細に説明する。
[1]本発明の配線基板
本発明の配線基板は、後述する本発明の第1観点に係る製造方法及び第2観点に係る製造方法により得られた配線基板であって、基体と、基体上に形成された導電化パターンと、導電化パターン上に形成された配線パターンとを備える。
上記「基体」は、導電パターン(導電化パターン及び配線パターン)同士を絶縁する絶縁部を有し、これら導電パターンを支持するものである。また、この基体自身は、その内部に更に導電パターンを備えていてもよく、備えていなくてもよい。基体を構成する絶縁部は、どのような絶縁材料からなるものであってもよい。絶縁部を構成する絶縁材料としては、例えば、有機材料、セラミックス系材料及び有機材料とセラミックス系材料との両方を含む複合材料等を挙げることができる。
【0012】
有機材料は、特に限定されず、配線基板の絶縁部に用いられるあらゆる有機材料を用いることができる。例えば、エポキシ系樹脂、BT(ビスマレイミド・トリアジン)系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、熱硬化性PPE(ポリフェニレンエーテル)系樹脂、LCP(液層ポリマー)、BCB(ベンゾシクロブテン)及びポリノルボルネン等を挙げることができる。これらの有機材料は1種のみからなってもよく、2種以上からなってもよい。また、これらの樹脂に改質のための各種ゴム等を含有することもできる。更に、基体は芯材としてガラスクロス、ガラス不織布、樹脂(ポリアミド等)クロス、樹脂(ポリアミド等)不織布、樹脂(ポリアミド等)フィルム、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等で形成された3次元網目構造を有するフッ素樹脂系芯材及び金属箔等を有していてもよい。
【0013】
セラミックス系材料は、特に限定されず、配線基板の絶縁部に用いられるあらゆるセラミックス系材料を用いることができる。例えば、ガーナイト、チタニア、アルミナ、チタン酸塩(チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等)、ムライト、ジルコニア、石英、コーディエライト、フォルステライト、ワラストナイト、アノーサイト、エンスタタイト、ジオプサイト、アーケルマナイト、ゲーレナイト及びスピネル等のセラミックス材料を挙げることができる。更に、ガラス材料を上記セラミックス材料と併用することができる。ガラス材料は、特に限定されず、結晶性のものであってもよく、非結晶性のものであってもよい。ガラス材料を構成する成分としては、Si、Al、Na、K、Mg、Ca、B、Pb及びZn等を挙げることができる。具体的には、アルミノケイ酸系ガラス及びアルミノホウケイ酸系ガラス等が挙げられる。これらセラミックス系材料は1種のみからなってもよく、2種以上からなってもよい。このセラミックス系材料は、上記複合材料中においては、フィラー等として含有させることができる。
【0014】
本発明の配線基板では、粗化を要しない。特に後述する導電化剤がバインダを含有する場合には粗化しなくてよい。このため、従来、無電解めっきを施すための前処理として粗化を行うことができないために、配線基板の基体として用いることが困難であったLCP(液層ポリマー)、熱硬化性PPE(熱硬化性ポリフェニレンエーテル)、BCB(ベンゾシクロブテン)、ポリノルボルネン、PI(ポリイミド)、及び、熱膨張率の低下や誘電特性等を向上させるためにフィラー等を樹脂中に充填した材料等も基体として用いることができる。
【0015】
上記「導電化パターン」は、後述する導電化剤膜を加熱して得られた導電化膜の一部を除去して得られるパターンである。この導電化パターンは配線パターンと同等の導電性を有してもよく、配線パターンより導電性が劣っていてもよい。特に本発明における導電化パターンは、例えば、配線パターンより100%以上高い抵抗率であってもよい。後述する導電化膜の状態において電解めっきが可能な程度の導電性を有すればよいからである。
【0016】
上記「配線パターン」は、上記導電化パターンに接して導電化パターン上に形成されたパターンである。この配線パターンの厚さは特に限定されないが、通常、50μm以下(好ましくは5〜45μm、より好ましくは7〜40μm、特に好ましくは10〜35μm)である。また、この配線パターンの導電性は、特に限定されないが、通常、常温において3μΩ・cm以下である。配線パターンとしては、例えば、通常の導通用配線、抵抗用配線、コンデンサ用配線(パッド形状等)、インダクタンス用配線、及び、ボンディングパッド等が挙げられる。この配線パターンの形成方法は特に限定されないが、電解めっき法により形成されたものであることが好ましい。電解めっき法を用いて形成された配線パターンは緻密であり、特に高い導電性を発揮できるからである。また、電解めっき法で形成された配線パターンは導電化パターン比べてより緻密である。
この配線パターンを構成する導電材料は、上記導電化パターンを構成する導電材料と同じであってもよく、異なっていてもよい。これら各々のパターンを構成する材料については後述する。
【0017】
本発明の配線基板は、前述のように粗化を要しないため、粗化を行っていない配線基板とすることができる。高周波での使用においては表皮効果により導体表面に電流が集中するために導体表面(導体と基体との界面)の荒れの影響を受けることとなる。しかし、粗化を行っていない配線基板では、この荒れがほとんど無いため影響を受け難い。従って、粗化を行った配線基板に比べて優れた高周波特性が発揮される。
【0018】
[2]本発明の第1観点に係る配線基板の製造方法
本発明の第1観点に係る配線基板の製造方法は、導電性を有する微粒子、加熱により導電化される微粒子及び有機金属化合物のうちの少なくとも1種を含有する導電化剤を基体表面に被膜化して得られる導電化剤膜を形成する導電化剤膜形成工程と、この導電化剤膜を100〜500℃で加熱して導電化膜とする加熱工程と、この導電化膜の一部を除去して導電化パターンとする導電化膜エッチング工程と、を備える。
【0019】
上記「導電化剤」は、これ自身の導電性は問わないが、この導電化剤を用いて形成した導電化剤膜を100〜500℃で加熱することにより導電化膜にできるものである。この導電化剤は、導電性を有する微粒子、加熱により導電化される微粒子及び有機金属化合物のうちの少なくとも1種が含有される。これら導電性を有する微粒子、加熱により導電化される微粒子及び有機金属化合物は、通常、100〜500℃の加熱により導電化膜中において導電化されるものであればよいが、100〜300℃で導電化できることが好ましく、100〜250℃で導電化できることがより好ましい。特に後述する基体が有機材料である場合、又は、有機材料を含む場合は、100〜300℃で導電化できることが好ましく、100〜250℃で導電化できることがより好ましい。
【0020】
上記「導電性を有する微粒子」は、微粒子自身が導電性を有しているものである。この導電性を有する微粒子(以下、単に「導電性微粒子」という)を構成する材料は特に限定されないが、通常、金属からなる(例えば、金属が導電性微粒子全体の90質量%以上を占める)。この金属としては、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、オスミニウム、ルテニウム及びイリジウムの貴金属、銅、ニッケル、スズ、亜鉛、コバルト、クロム、チタン、タンタル、タングステン並びにインジウム等が挙げられる。これらのなかでも、貴金属、銅及びニッケルが好ましく、更には、金、銀及び銅が好ましい。導電性微粒子を構成する金属は1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
上記「加熱により導電化される微粒子」は、微粒子自身は導電性を有さず、加熱により導電化される微粒子である。この加熱により導電化される微粒子(以下、単に「加熱導電化微粒子」という)を構成する材料は特に限定されないが、通常、上記加熱により金属に還元され得る無機金属化合物である。この無機金属化合物としては、貴金属酸化物(酸化銀、酸化金及び酸化白金等)、塩化金及び硫化金等を挙げることができる。これらは1種のみが含有されてもよく、2種以上が含有されてもよい。
【0021】
これら導電性微粒子及び加熱導電化微粒子(以下、総じて「微粒子」という)の大きさは特に限定されないが、通常、平均粒径(後述する形状が球形状でない場合には最大平均長さ)が350nm以下である。350nm以下であれば加熱温度が100〜500℃で導電化膜を得ることができる。この平均粒径は300nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることが更に好ましい。粒径がこの範囲にあればより確実に優れた導電化膜を形成でき、ファインライン及びファインスペースに適した導電化パターンを得ることができる。
【0022】
更に、この微粒子は、その粒度分布において、1つのみのピークを有するものであってもよく、2つ以上のピークを有するものであってもよい。2つ以上のピークを有する場合は、より小径の微粒子がより大径の微粒子の融着を促進するため、比較的大きな粒径の微粒子を含有する場合(例えば、粒度分布において1〜7μmにピークを有する等)に効果的である。また、2つのピークを有することで得られる導電化膜をより緻密なものとすることができる。
また、微粒子の形状も特に限定されず、球形状、ラグビーボール形状、ウィスカー状及び不定形状等とすることができるが、より球形状に近いことが好ましく、球形状であることが好ましい。球形状に近い程、充填率を向上させることができる。
【0023】
上記「有機金属化合物」は、100〜500℃の加熱により導電化されるものであり、有機金属化合物自身の導電性は問わない。また、有機金属化合物は、炭素原子と金属原子(炭素金属間結合)との間の結合を有する化合物以外にも、炭素金属間結合を有さずアルコキサイド等の酸素原子と金属原子との間の結合を有する化合物等を含むものである。この有機金属化合物を構成する金属元素としては、Au、Ag、Pt、Pd、Rh、Ru、Ir及びOsの貴金属、Cu、Ni、Sn、Zn、Co、Cr、Ti、Ta、W並びにY等が挙げられる。これらのなかでも、貴金属、Cu及びNiが好ましく、更には、Au、Ag及びCuが好ましい。これらの金属元素は1種のみが含有されてもよく、2種以上が含有されてもよい。
【0024】
導電化剤中に含有される微粒子及び有機金属化合物の含有量は特に限定されないが、通常、導電化剤全体を100質量%とした場合に、10〜99質量%(より好ましくは20〜95質量%以上)であることが好ましい。微粒子及び有機金属化合物の含有量がこの範囲であれば得られる導電化膜において十分な導電性が得られる。
また、導電化剤の性状は特に限定されないが、例えば、液状及びペースト状等とすることができる。この液状には、液状に振る舞う粉体を含むものとする。即ち、微粒子表面が後述する分散性向上剤等により被覆されているために分散媒を介することなく分散状態を保持できる場合等である。
【0025】
これらの性状は被膜化を行う際の方法により適宜の性状を選択することが好ましい。即ち、例えば、液状の導電化剤は、吹き付け塗布(インクジェット法等であり、ピエゾ方式及びサーマル方式を含む)、スピンコート塗布、刷毛を用いた塗布及びディップ塗布等の方法を用いる場合に好ましい。この場合の粘度は、例えば、30Pa・s以下(好ましくは1〜5Pa・s)とすることができる。また、ペースト状の導電化剤は、スクリーン印刷、コータ印刷及びロール印刷等の方法を用いる場合に好ましい。この場合の粘度は、例えば、500Pa・s以下(好ましくは1〜200Pa・s)とすることができる。更に、液状でもペースト状でもないものとして、樹脂フィルム上に液状又はペーストの導電化剤を被膜化した後、乾燥させて得られる導電化剤膜が挙げられる。この導電化剤膜は、転写等の方法により基体表面に接着できる。この転写等により基体表面に接着する導電化剤膜も、樹脂フィルム上に上記液状又はペースト状の導電化剤を各塗布又は各印刷等の方法を用いて形成することができる。
【0026】
上記のうち液状の導電化剤は、微粒子及び有機金属化合物以外に、微粒子を分散させておく分散媒を含有できる。分散媒の種類は特に限定されず、塗布方法及び性状等により適宜のものを用いることができる。この分散媒としては、例えば、テルピネオール、トリデカン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、ドデシルベンゼン、テトラリン、ミネラルスピリット及びソルベントナフサ等の炭化水素系溶剤、イソプロピルアルコール等の1価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、トリメチルシクロヘキサノン等のケトン類、セロソルブ類(エチルセロソルブ及びブチルセロソルブ等)及びカルビトール類(エチルカルビトール、ブチルカルビトール及び酢酸カルビトール等)などの多価アルコール系溶剤、酢酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル及び酢酸ブチル等)、フタル酸エステル類(フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル及びフタル酸ジオクチル等)及びセバシン酸エステル類(セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル及びセバシン酸ジオクチル等)などのエステル系溶剤等を挙げることができる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
更に、微粒子を含有する場合には、微粒子の凝集を抑制する分散性向上成分を含有することができる。分散性向上成分としては、微粒子を構成する金属に配位可能であり、且つ、上記加熱により微粒子表面から脱離(分解焼失、昇華等を含む)できる化合物を用いることができる。このような化合物としては、窒素原子を有する化合物(アミノ基を有するにアルキルアミン等)、酸素原子を有する化合物(ヒドロキシル基を有するアルカンジオール等)、硫黄原子を有する化合物(スルファニル基を有するアルカンチオール等)等であって、且つ、沸点が250℃以下である化合物を挙げることができる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
上記のうちペースト状の導電化剤は、微粒子及び有機金属化合物以外に粘度を大きくするための粘度調整用樹脂を含有することができる。更に、この粘度調整用樹脂を溶解する粘度調整用溶剤を含有することができる。
粘度調整用樹脂の種類は特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ゴム系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂及びポリビニルアセタール系樹脂等を挙げることができる。これらのなかでも前述の塗布方法のうちスクリーン印刷を目的とする場合にはセルロース系樹脂が好ましく、更にはエチルセルロースがより好ましい。これらの樹脂により特に良好な印刷性を得ることができる。これら樹脂は1種のみが含有されてもよく、2種以上が含有されてもよい。
また、粘度調整用溶剤の種類は特に限定されないが、例えば、セロソルブ類(エチルセロソルブ及びブチルセロソルブ等)及びカルビトール類(エチルカルビトール、ブチルカルビトール及び酢酸カルビトール等)などの多価アルコール系溶剤、酢酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル及び酢酸ブチル等)、フタル酸エステル類(フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル及びフタル酸ジオクチル等)及びセバシン酸エステル類(セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル及びセバシン酸ジオクチル等)などのエステル系溶剤等を挙げることができる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
更に、この導電化剤には、その性状に関係なく、基体と得られる導電化膜との接合性を向上させるためのバインダを含有することができる。このバインダの種類は特に限定されないが、加熱温度範囲で硬化する熱硬化性樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド系樹脂、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びシリコーン系樹脂等を挙げることができる。これらは1種のみが含有されてもよく、2種以上が含有されてもよい。
【0030】
これら分散媒、分散性向上成分、粘度調整用樹脂、粘度調整用溶剤及びバインダは、導電化剤中に1種のみが含有されてもよく、2種以上が含有されてもよい。また、本発明にいう導電化剤には微粒子、有機金属化合物、分散媒、分散性向上成分、粘度調整用樹脂、粘度調整用溶剤及びバインダ以外にも他の成分を含有できる。他の成分としてはレベリング剤成分、滑剤成分、消泡剤成分及び酸化防止剤成分等を挙げることができる。
【0031】
上記「導電化剤膜形成工程」は、基体表面に導電化剤を被膜化し、導電化剤膜を形成する工程である。この被膜化の方法は特に限定されない。被膜化の方法としては、例えば、吹き付け塗布(インクジェット法等であり、ピエゾ方式及びサーマル方式を含む)、スピンコート塗布、刷毛を用いた塗布、ディップ塗布、スクリーン印刷、コータ印刷、ロール印刷及び転写(貼付)等を挙げることができる。これらの方法の中でも、吹き付け塗布及びスピンコート塗布が薄く均一な膜が形成し易いため好ましい。
尚、この導電化剤膜を基体表面に形成する際には、塗布、印刷及び転写等を行う前に、基体表面を粗化してもよい。粗化することにより、導電化剤膜と基体との接合性を向上させることができる。
【0032】
上記「導電化剤膜」は、上記基体の表面に形成される導電化剤による被膜である。この導電化剤膜の厚さは特に限定されず、目的等に応じて適宜のものとすることが好ましいが、通常、0.2〜50μm(好ましくは0.3〜30μm、より好ましくは0.5〜20μm)である。0.2μm以上とすることにより、得られる導電化膜により絶縁性である基体表面を電解めっき可能な程度に導電化できる。
【0033】
上記「基体」は、前記本発明の配線基板において述べた基体である。通常、後述する加熱工程等を経ても変化しないもの又はほとんど変化しないものが用いられる。但し、変化するものであってもよい。即ち、例えば、加熱及び光の照射等により硬化する未硬化樹脂が基体に用いられている場合には、前記本発明の配線基板において述べた基体と、本製造方法における基体とは、硬化の程度が異なるものである。
【0034】
上記「加熱工程」は、導電化剤膜を100〜500℃で加熱して導電化膜とする工程である。
上記「加熱」は、加熱温度が100〜500℃であること以外は特に限定されず、上記導電化膜が得られる条件で行えばよく、例えば、用いる導電化剤及び形成した導電化剤膜の厚さ等により適宜のものとすることができる。この加熱条件のうち、加熱温度は、100〜300℃であることが好ましく、100〜250℃であることがより好ましい。より低温で導電化膜を得られることにより基体材料の選択幅を広げることができる。また、加熱時間は、通常、30分以上であり、加熱雰囲気は、通常、大気雰囲気である。
【0035】
この加熱により、例えば、導電性微粒子は導電化微粒子同士を融着させることができる。また、加熱導電化微粒子は金属化合物を還元して金属化させ、更には、融着させることができる。更に、有機金属化合物は含まれる金属成分を金属化させることができる。また、分散性向上成分により被覆された微粒子は、分散性向上成分を微粒子表面から脱離させ、更には、融着させることができる。更に、基体との接合性を向上させるための熱硬化性のバインダを含有する場合は、バインダを硬化させることができる。
【0036】
上記「導電化膜」は、上記導電化剤膜を加熱して得られる膜である。この導電化膜の厚さは特に限定されないが、通常10μm以下(更には5μm以下、特に3μm以下、通常0.1μm以上)である。導電化膜は10μmを超えて厚く形成してもよいが、10μmを超えることによる有利な効果は得られ難いからである。更に、この導電化膜は0.2〜10μm(より好ましくは0.5〜5μm)とすることが好ましい。この範囲であれば、通常、電解めっきを施すのに十分な導電性を発揮させることができる。この導電化膜の抵抗率は、特に限定されないが、通常、常温において50μΩ・cm以下(好ましくは10μΩ・cm以下)である。この範囲であれば、電解めっきを施すことができる。また、電解めっきを施すことができれば抵抗率は50μΩ・cm以上であってもよい。
この導電化膜に導電性を付与している導電性成分は、上記導電化剤中の微粒子及び有機金属化合物中に含まれた金属成分(無機金属化合物及び有機金属化合物を構成する金属成分を含む)であり、その種類は特に限定されず、例えば、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、オスミニウム、ルテニウム及びイリジウムの貴金属、銅、ニッケル、スズ、亜鉛、コバルト、クロム、チタン、タンタル、タングステン並びにインジウム等が挙げられる。これらのなかでも、貴金属、銅及びニッケルが好ましく、更には、金、銀及び銅が好ましい。導電化膜を構成するこれらの金属成分は1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
上記「導電化膜エッチング工程」は、加熱工程で得られた導電化膜の一部をエッチングにより除去して導電化パターンとする工程である。
上記「エッチング」は、導電化膜を構成する成分等に鑑みて適宜の条件及び薬剤を用いることが好ましい。
【0037】
本製造方法では、上記導電化パターンを形成する各工程以外にも他の工程を備えることができる。他の工程としては、配線パターンを形成する工程が挙げられる。配線パターンの形成は、どのような方法で行ってもよく特に限定されない。例えば、以下の3つの方法で形成することができる。
【0038】
(1):加熱工程(工程2)後且つ導電化膜エッチング工程(工程6)前に、導電化膜(12−2)上に配線パターンの形状に対応したネガパターン(141)を有し、配線材料の鍍着を防止する鍍着防止パターン(14)を形成する鍍着防止パターン形成工程(工程3)と、ネガパターン(141)の導電化膜(12−2)上に配線材料を鍍着するめっき工程(工程4)と、めっき工程の後に鍍着防止パターン(14)を除去する鍍着防止パターン除去工程(工程5)と、を備える方法(図1参照)。
【0039】
(2):加熱工程(工程2)後に導電化膜(12−2)上に配線材料を鍍着して配線用めっき(13−1)を形成するめっき工程(工程7)と、配線用めっき(13−1)上に配線パターンの形状に対応し、直下の配線用めっきのエッチングを防止するめっきエッチング防止パターン(15)を形成するめっきエッチング防止パターン形成工程(工程工程8)と、配線用めっき(13−1)をエッチングするめっきエッチング工程(工程9)と、めっきエッチング工程(工程9)及び導電化膜エッチング工程(工程6)の後に、めっきエッチング防止パターン(15)を除去するめっきエッチング防止パターン除去工程(工程10)を備える方法(図2参照)。
【0040】
(3):上記(2)の方法とめっきエッチング工程(工程9)までは同様に行った後、めっきエッチング防止パターン除去工程(工程10)をめっきエッチング工程(工程9)の後であって、且つ、導電化膜エッチング工程(工程6)の前に行う方法(図示せず)。
【0041】
上記の製造方法のうち(1)における上記「鍍着防止パターン形成工程」は、導電化膜上に配線パターンの形状に対応したネガパターンを有し、配線材料の鍍着を防止する鍍着防止パターンを形成する工程である。上記「ネガパターン」は、導電化膜上において鍍着防止パターンが形成されていない部分であって、後に形成される配線パターンに対応する形状の溝である。このネガパターンにめっき形成されるパターンが配線パターンである。上記「鍍着防止パターン」は、ネガパターンに配線材料を鍍着させる際に、配線材料が鍍着することを防止する層である。鍍着防止パターンの形成方法は特に限定されないが、例えば、導電化膜上の全面又は広域に鍍着防止層(感光性ドライフィルムレジスト、感光性液状レジスト等)を形成(鍍着防止層形成工程)し、その後、鍍着防止層の一部を除去(鍍着防止層パターンニング工程)して得ることができる。この鍍着防止パターンを構成する材料は、特に限定されず、配線材料の鍍着を防止できるあらゆる材料を用いることができる。また、この鍍着防止パターンの厚さも特に限定されないが、通常、目的とする配線パターンの厚さと同じである。
【0042】
上記「めっき工程」は、ネガパターンの導電化膜上に配線材料を鍍着する工程である。上記「配線材料」は、配線パターンを形成することとなる材料である。この配線材料の種類は特に限定されないが、例えば、銅、銀、金、白金、パラジウム、及び、これらのうちの2種以上の合金等を挙げることができる。これらの中でも銅、銀及びこれらを主成分とする合金が好ましい。配線材料として、導電性等に優れるからである。上記「鍍着」は、どのような方法によるものであってもよい。即ち、例えば、電解めっきにより鍍着することもでき、また、無電解めっきにより鍍着することもできる。しかし、本製造方法では電解めっきにより行うことが好ましい。無電解めっきのように多くの前工程を要さないため作業効率を大幅に向上させることができるからである。
上記「鍍着防止パターン除去工程」は、めっき工程の後に鍍着防止パターンを除去する工程であり、上記「除去」は、鍍着防止パターンを除去することができれば、特に限定されない。
【0043】
上記の製造方法のうち(2)における「めっき工程」は、導電化膜上の全面又は広域に配線材料を鍍着して配線用めっきを形成する工程である。上記「配線材料」及び上記「鍍着」は、上記製造方法(1)における配線材料及び鍍着をそのまま適用できる。上記「配線用めっき」は、その一部が後のめっきエッチング工程で除去されて配線パターンとなる導電層である。この配線めっきの厚さは、通常、得られる配線パターンの厚さと同じである。
【0044】
上記「めっきエッチング防止パターン形成工程」は、配線用めっき上にめっきエッチング防止パターンを形成する工程である。上記「めっきエッチング防止パターン」は、通常、配線パターンと同じ平面形状のパターンであり、この平面形状に配線用めっきがエッチングされることを防止するものである。めっきエッチング防止パターンの形成方法は特に限定されないが、例えば、配線用めっき上の全面又は広域にめっきエッチング防止層(感光性ドライフィルムレジスト、感光性液状レジスト等)を形成(めっきエッチング防止層形成工程)し、その後、めっきエッチング防止層の一部を除去(めっきエッチング防止層パターンニング工程)して得ることができる。
【0045】
上記「めっきエッチング工程」は、配線用めっきを配線パターンの形状にエッチングする工程である。この工程は導電化膜エッチング工程と同時に行ってもよく、この工程を行った後に導電化膜エッチング工程を行ってもよい。これらの工程を同時に行う場合は、作業効率が簡略である点において優れている。これらの工程を同時に行うか否かは、導電化膜と配線用めっきとを構成する材料の異同には関わらない。通常、導電化膜と配線用めっきとを各々構成する導電材料が同じである場合に行うことができ、導電化膜と配線用めっきとを各々構成する導電材料が異なる場合に別々に行うことができる。
「めっきエッチング防止パターン除去工程」は、先に形成しためっきエッチング防止パターンを除去する工程である。
【0046】
[3]本発明の第2観点に係る配線基板の製造方法
本発明の第2観点に係る配線基板の製造方法は、平均粒径が350nm以下であり導電性を有する微粒子、及び、平均粒径が350nm以下であり加熱により導電化される微粒子のうちの少なくとも一方を含有する導電化剤を基体表面に被膜化して得られる導電化剤膜を形成する導電化剤膜形成工程と、この導電化剤膜を加熱して導電化膜とする加熱工程と、この導電化膜の一部を除去して導電化パターンとする導電化膜エッチング工程と、を備える。
【0047】
上記「導電化剤」は、平均粒径が350nm以下である導電性微粒子、及び、平均粒径が350nm以下である加熱導電化微粒子のうちの少なくとも一方を含有する。また、導電化剤自身の導電性は問わないが、これを用いて形成した導電化剤膜を加熱することにより導電化膜にできるものである。この導電化剤は、平均粒径350nm以下の導電性微粒子及び平均粒径350nm以下の加熱導電化微粒子以下にも、前記有機金属化合物を含有することができる。
その他、導電化剤中に含有される平均粒径350nm以下の微粒子の含有量(有機金属化合物を含有する場合は、これを含む含有量)、導電化剤の性状及びその選択、並びに、平均粒径が350nm以下であり導電性を有する微粒子及び平均粒径が350nm以下であり加熱により導電化される微粒子以外に導電化剤に含有できるもの(分散媒、分散性向上成分、粘度調整用樹脂、バインダ及び他の成分)等については、本発明の第1観点に係る製造方法における各々をそのまま適用できる。
【0048】
上記「平均粒径が350nm以下であり導電性を有する微粒子」は、平均粒径が350nm以下であること以外、本発明の第1観点に係る配線基板における導電性微粒子をそのまま適用できる。
上記「平均粒径が350nm以下であり加熱により導電化される微粒子」は、平均粒径が350nm以下であること以外、本発明の第1観点に係る配線基板における導電性微粒子をそのまま適用できる。
これらの平均粒径(形状が球形状でない場合には最大平均長さである)は、300nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることが更に好ましい。粒径がこの範囲にあればより確実に優れた導電化膜を形成でき、ファインライン及びファインスペースに適した導電化パターンを得ることができる。
【0049】
上記「導電化剤膜形成工程」、上記「導電化剤膜」、上記「導電化膜エッチング工程」、及び、配線パターンを形成する工程については、本発明の第1観点に係る配線基板における各々をそのまま適用できる。
【0050】
上記「加熱工程」は、導電化剤膜を加熱して導電化膜とする工程である。
上記「加熱」は、加熱温度等の加熱条件は特に限定されず、上記導電化膜が得られる条件で行えばよい。この加熱条件は、例えば、用いる導電化剤及び形成した導電化剤膜の厚さ等により適宜のものとすることができる。この加熱条件のうち、加熱温度は、100〜500℃(好ましくは100〜300℃、より好ましくは100〜280℃、更に好ましくは100〜250℃)とすることができる。より低温で導電化膜を得られることにより基体材料の選択幅を広げることができる。また、加熱時間は、通常、30分以上であり、加熱雰囲気は、通常、大気雰囲気である。
【0051】
この加熱工程を経て得ることが可能な効果、即ち、例えば、350nm以下の導電化微粒子同士の融着、350nm以下の加熱導電化微粒子の還元、金属化及び融着、有機金属化合物は含まれる金属成分の金属化、分散性向上成分により被覆された各微粒子の分散性向上成分の脱離及び融着、熱硬化性のバインダを含有する場合のバインダの硬化等については、本発明の第1観点に係る配線基板における各々をそのまま適用できる。
また、加熱工程を経て得られる上記「導電化膜」については、本発明の第1観点に係る配線基板における導電化膜をそのまま適用できる。
【0052】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明する。
[1]配線基板の作製(アディティブ法、図1参照)
(1)導電化剤膜形成工程(工程1)
下記に示す基体(11)の一面側全面に、下記に示す導電化剤をスピンコート法を用いて塗布して導電化剤膜(12−1)を形成した。
基体:SiO2フィラーを70質量%含有するエポキシ樹脂、厚さ0.1mm、縦100mm、横100mmの板状体
導電化剤:微粒子組成Ag、微粒子粒径0.01μm、溶剤n−デカノール、粘度1Pa・s、金属含有量40質量%、
【0053】
(2)加熱工程(工程2)
上記(1)で得られた導電化剤膜(12−1)を備える基体(11)を、大気雰囲気において温度200℃で60分間加熱した。その後、放冷して基体表面に導電化膜(12−2)が形成されていることを確認した。この導電化膜は、厚さ1μm、抵抗率8μΩ・cmであった。
【0054】
(3)鍍着防止パターン形成工程(工程3)
上記(2)で得られた導電化膜(12−2)の表面全面に、鍍着防止パターン用シート(感光性ドライフィルムレジスト)を貼り付けて鍍着防止層を形成した。その後、所定のマスクを用いて鍍着防止層を露光・現像し、配線パターン形状のネガパターン(141)を有する鍍着防止パターン(14)を形成した。ネガパターン(141)部分は、深さ25μm、溝幅35μm且つ溝間隔35μmである。
【0055】
(4)めっき工程(工程4)
上記(3)で鍍着防止パターン(14)が形成された基体のネガパターン(141)に硫酸銅浴を用いて銅からなる配線パターン(13)を電解めっき形成した。得られた配線パターンは、配線厚さ24μm、配線幅35μm且つ配線間隔35μmであった。
(5)鍍着防止パターン除去工程(工程5)
上記(3)で形成した鍍着防止パターンを所定の薬液を用いて除去した後、十分に洗浄を行った。
【0056】
(6)導電化膜エッチング工程(工程6)
以下の要領にて導電化膜のエッチングを行い、本発明の配線基板を得た。即ち、アグリップ940(メルテックス社製)と過酸化水素水の混合溶液を用いて、導電化膜のエッチングを行った。
得られた配線基板の導電化パターンと配線パターンとを合わせた導電パターンの厚さは約25μmであり、最小配線幅35μmであり、最小配線間隔35μmであった。
【0057】
[2]配線基板の作製(サブトラクティブ法、図2参照)
(1)導電化剤膜形成工程(工程1)
上記[1](1)と同様に行った。
(2)加熱工程(工程2)
上記[1](2)と同様に行った。
(3)めっき工程(工程4)
上記(2)で得られた導電化膜(12−2)の表面全面に、硫酸銅浴を用いて銅からなる配線用めっき(13−1)を電解めっき形成した。得られた配線用めっきは厚さ25μmであった。
【0058】
(4)めっきエッチング防止パターン形成工程(工程7)
上記(3)で得られた配線用めっき(13−1)の表面全面に、めっきエッチング防止用シート(感光性ドライフィルムレジスト)を貼り付けてめっきエッチング防止層を形成した。その後、所定のマスクを用いてめっきエッチング防止層を露光・現像した後、不要部を洗浄した。次いで、完全硬化処理を行って、配線パターン形状と同じポジパターンからなるめっきエッチング防止パターン(15)を形成した。めっきエッチング防止パターン(15)は、厚さ20μm、溝幅50μm且つ溝間隔50μmである。
【0059】
(5)めっきエッチング工程(工程8)
以下の要領にて配線用めっきのエッチングを行った。即ち、塩化第2鉄と塩酸の混合溶液にてエッチングを行った。
(6)導電化膜エッチング工程(工程6)
めっきエッチング工程を行った後、引き続き、下記の要領にて導電化膜のエッチングを行った。即ち、アグリップ940(メルテックス社製)と過酸化水素水の混合溶液を用いて、導電化膜のエッチングを行った。
【0060】
(7)めっきエッチング防止パターン除去工程(工程9)
上記(4)で形成しためっきエッチング防止パターン(15)を所定の薬液を用いて除去した後、十分に洗浄を行って本発明の配線基板を得た。
得られた配線基板の導電化パターンと配線パターンとを合わせた導電パターンの厚さは約26μmであり、最小配線幅50μmであり、最小配線間隔50μmであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板の製造工程の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の配線基板の製造工程の他例を示す模式図である。
【符号の説明】
1;配線基板、11;基体、12;導電化パターン、12−1;導電化剤膜、12−2;導電化膜、13;配線パターン、13−1;配線用めっき、14;鍍着防止パターン、141;ネガパターン、15;めっきエッチング防止パターン、工程1;導電化剤膜形成工程、工程2;加熱工程、工程3;鍍着防止パターン形成工程、工程4;めっき工程、工程5;鍍着防止パターン除去工程、工程6;導電化膜エッチング工程、工程7;めっきエッチング防止パターン形成工程、工程8;めっきエッチング工程、工程9;めっきエッチング防止パターン除去工程。
Claims (9)
- 基体と、該基体上に形成された導電化パターンと、該導電化パターン上に形成された配線パターンとを備える配線基板の製造方法において、
導電性を有する微粒子、加熱により導電化される微粒子、及び、有機金属化合物のうちの少なくとも1種を含有する導電化剤を用いて上記基体の表面に該導電化剤からなる導電化剤膜を形成する導電化剤膜形成工程と、
該導電化剤膜を100〜500℃で加熱して導電化膜とする加熱工程と、
該導電化膜の一部をエッチングにより除去して上記導電化パターンとする導電化膜エッチング工程と、を備えることを特徴とする配線基板の製造方法。 - 導電性を有する微粒子及び加熱により導電化される微粒子は、平均粒径が350nm以下である請求項1に記載の配線基板の製造方法。
- 上記有機金属化合物は、貴金属元素、Ni及びCuのうちの少なくとも1種を含有する請求項1又は2に記載の配線基板の製造方法。
- 基体と、該基体上に形成された導電化パターンと、該導電化パターン上に形成された配線パターンとを備える配線基板の製造方法において、
平均粒径が350nm以下であり導電性を有する微粒子、及び、平均粒径が350nm以下であり加熱により導電化される微粒子のうちの少なくとも一方を含有する導電化剤を用いて上記基体の表面に該導電化剤からなる導電化剤膜を形成する導電化剤膜形成工程と、
該導電化剤膜を加熱して導電化膜とする加熱工程と、
該導電化膜の一部をエッチングにより除去して上記導電化パターンとする導電化膜エッチング工程と、を備えることを特徴とする配線基板の製造方法。 - 上記導電性を有する微粒子は貴金属、ニッケル並びに銅のうちの少なくとも1種からなり、上記加熱により導電化される微粒子は貴金属酸化物、塩化金及び硫化金のうちの少なくとも1種からなる請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の配線基板の製造方法。
- 上記加熱工程後且つ上記導電化膜エッチング工程前に、上記導電化膜上に上記配線パターンの形状に対応したネガパターンを有し、配線材料の鍍着を防止する鍍着防止パターンを形成する鍍着防止パターン形成工程と、
該ネガパターンの上記導電化膜上に配線材料を鍍着するめっき工程と、
該めっき工程の後に該鍍着防止パターンを除去する鍍着防止パターン除去工程と、を備える請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の配線基板の製造方法。 - 上記加熱工程後に上記導電化膜上に配線材料を鍍着して配線用めっきを形成するめっき工程と、
該配線用めっき上に上記配線パターンの形状に対応し、直下の該配線用めっきのエッチングを防止するめっきエッチング防止パターンを形成するめっきエッチング防止パターン形成工程と、
該配線用めっきをエッチングするめっきエッチング工程と、
該めっきエッチング工程及び上記導電化膜エッチング工程の後に、該めっきエッチング防止パターンを除去するめっきエッチング防止パターン除去工程を備える請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の配線基板の製造方法。 - 上記めっきエッチング工程と上記導電化膜エッチング工程とを同時に行う請求項7に記載の配線基板の製造方法。
- 請求項1乃至8のうちのいずれかに記載の配線基板の製造方法により得られたことを特徴とする配線基板。
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-
2003
- 2003-07-31 JP JP2003204888A patent/JP2005050964A/ja active Pending
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