JP2005050830A - 圧電/電歪膜型素子、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セラミックスからなる基体44と、この基体44上に、下部電極77、圧電/電歪層73及び上部電極75を順次積層し、圧電/電歪層73が、下部電極77の上面、及び上部電極75の下面を覆い、かつその端部を突出して設けられている圧電/電歪作動部78とを備え、圧電/電歪層73の突出部分が、高分子化合物のマトリックス中に無機粒子を散在させたハイブリッド材料で構成される連結材70で、基体44と連結されている圧電/電歪膜型素子10により達成。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電/電歪膜型素子に関し、より詳しくは、屈曲変位を従来の素子と同等以上に確保しながら、共振周波数が大きな構造を有する圧電/電歪膜型素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、圧電/電歪膜型素子が、変位制御素子、個体素子モータ、インクジェットヘッド、リレー、スイッチ、シャッター、ポンプ、光変調デバイス、又はフィン等の種々の用途に用いられている。当該圧電/電歪膜型素子は、微小変位を制御することができる他、高電気/機械変換効率、高速応答性、高耐久性、及び少消費電力等の点でも優れた特性を有するものであるが、最近は、インクジェットヘッド等の用途では、印字品質及び印字速度の向上等の要請から、より高速の応答が可能な素子が求められている。
【0003】ところで、当該圧電/電歪膜型素子にあっては、セラミックスからなる基体上に、下部電極と、圧電/電歪層と、上部電極とを順に積層した構造が一般的であるが、両電極間の絶縁を確保して圧電/電歪層の絶縁破壊を回避するために、図19に示すような下部電極77の上面を覆い、かつ端部が基板44上へ突出する大きさとした圧電/電歪層73を設けた圧電/電歪膜型素子30が開発されている(特許文献1)。
【0004】また、当該圧電/電歪層の突出部分79を、アルミナ等からなる基体44に直接固着させることは可能であるが、この様な構造では、圧電/電歪層73の両端が固定されてその伸縮(圧電/電歪層は、電圧の付加により厚さ方向に対する垂直方向に伸縮する。)が妨げられるため、屈曲変位が小さくなる問題がある。このため、従来の圧電/電歪膜型素子30では、当該圧電/電歪層73の突出部分79を基板44に対して、不完全結合状態で設けるのが通常であった(特許文献1)。
【0005】更に、従来の圧電/電歪膜型素子30では、この不完全結合状態で設けた圧電/電歪層73の突出部分79と基板44の間に生じる非連続面の存在による上部電極75の断線を防止すべく、圧電/電歪層73の突出部分79と基板44の間に所定の樹脂層を形成することについても開示している(特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−260694号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従来の圧電/電歪素子では、圧電/電歪層の突出部分と基板間の連結は、屈曲変位又は発生力に悪影響を及ぼすとの認識に基づき、素子の剛性を大きくすることは全く考慮されていなかったため、より高速の応答性を可能にするという近年の要請に、必ずしも充分に対応し得るものではなかった。
【0008】即ち、この従来の圧電/電歪素子は、前記樹脂層が、圧電/電歪層を構成しているセラミックス材料又は金属材料に比べ、硬度が大幅に低いため、素子の剛性を向上させる事に関し、実質上何ら寄与するものではなく、従来と同等以上の屈曲変位を有しながらも大きな共振周波数を有し、より高速の応答性を可能とするという近年の要請には必ずしも充分に対応し得るものではなかった。
【0009】また、当該樹脂層は、通常、樹脂成分と溶剤からなる溶液を所望の箇所に塗布後、乾燥して形成されるが、乾燥工程での樹脂層の収縮が大きく、樹脂層や、場合によっては圧電/電歪層にクラックを生じ易いという問題もあった。
【0010】更には、圧電/電歪膜型素子にあっては、高速で繰り返し駆動することが求められるところ、当該樹脂層の靭性が比較的小さく、このような高速の繰り返し駆動に対して充分な耐性を有しないため、得られる圧電/電歪膜型素子が耐久性の点でも必ずしも充分なものではなかった。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その第一の目的は、従来の圧電/電歪膜型素子と同等以上の屈曲変位量及び耐久性を有しながら、大きな共振周波数が得られ、高速応答性に優れる圧電/電歪膜型素子を提供することにある。また、第二の目的は、このような優れた特性を有する圧電/電歪膜型素子を、各部位にクラック等の損傷を生させることなく製造することができる圧電/電歪膜型素子の製造方法を提供することにある。
【0012】本発明者は、上述の課題を解決するべく鋭意研究した結果、圧電/電歪層の突出部分を、特定のハイブリッド材料からなる連結材により、基体と連結したところ、連結材や、圧電/電歪層にクラックを全く生じることなく、大きな共振周波数を有する圧電/電歪膜型素子が得られることを見出した。更に、得られた圧電/電歪膜型素子は、驚くべきことに、従来当然と考えられていた屈曲変位の低下がなく、かつ高速の繰り返し駆動に対する耐久性も大きいものであることが解り、これにより上述した問題を解決し得るという知見に至り、本発明を完成した。
【0013】即ち、本発明は、セラミックスからなる基体と、この基体上に、下部電極、圧電/電歪層及び上部電極を順次積層し、圧電/電歪層が、下部電極の上面、及び上部電極の下面を覆い、かつその端部を突出して設けられている圧電/電歪作動部とを備える圧電/電歪膜型素子において、圧電/電歪層の突出部分が、高分子化合物のマトリックス中に無機粒子を散在させたハイブリッド材料で構成される連結材で、該基体と連結されてなることを特徴とする圧電/電歪膜型素子を提供するものである。
【0014】また、本発明は、セラミックスからなる基体と、該基体上に、複数の電極及び複数の圧電/電歪層を交互に積層し、各圧電/電歪層が、各電極の上面、及び下面を覆い、かつその端部を突出して設けられている圧電/電歪作動部とを備える圧電/電歪膜型素子において、圧電/電歪層の突出部分が、高分子化合物のマトリックス中に無機粒子を散在させたハイブリッド材料で構成される連結材で、基体と連結されてなり、かつ電極が、圧電/電歪層と電極の多層構造中、最上層及び最下層に配設されてなることを特徴とする圧電/電歪膜型素子(以下、「多層型の圧電/電歪膜型素子」ということがある。)を提供するものである。
【0015】ここで、「圧電/電歪層の突出部分」とは、圧電/電歪層の下面又は上面が、各電極の上面又は下面と接触していない部分をいう。
【0016】本発明の各圧電/電歪膜型素子においては、連結材が、ポリシロキサンポリマーを主成分とするマトリックス中に、シリカ粒子を散在させたハイブリッド材料で構成されてなることが好ましく、その際のポリシロキサンポリマーとしては、下記一般式(1)に示す一部に置換基を導入したポリシロキサンポリマーが好ましい。
【0017】
【式5】
「上記一般式(1)中、Rは、メチル基、エチル基、及びプロピル基からなる群より選ばれる少なくとも1種のアルキル基、アリール基、アルケニル基、又はγ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−クロロプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、γ−アミノプロピル基、及びトリフルオロメチル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換アルキル基である。」
【0018】また、無機粒子の平均粒径は、5nm〜1μmであることが好ましく、更に、2峰性の粒度分布を有することが好ましい。また、当該2峰性の粒度分布を有する無機粒子としては、2つのピーク間に存在する変曲点に対応する粒径より大きな大粒径無機粒子の平均粒径(C)と、変曲点に対応する粒径以下の小粒径無機粒子の平均粒径(D)との比(D/C)が、0.05〜0.7であることが好ましい。
【0019】他方、本発明は、セラミックスからなる基体上に、下部電極、圧電/電歪層及び上部電極を順次積層した圧電/電歪作動部を設ける圧電/電歪膜型素子の製造方法であって、圧電/電歪層を、下部電極の上面、及び上部電極の下面を覆い、かつその端部を突出して設け、少なくとも該圧電/電歪層の突出部分と、基体との間に、重合性オリゴマーと無機粒子とを分散媒中に混合した塗布液を塗布した後、塗布液を乾燥して圧電/電歪層の突出部分と、基体とを連結する連結材を形成することを特徴とする圧電/電歪膜型素子の製造方法を提供するものである。
【0020】また、本発明は、セラミックスからなる基体上に、複数の電極及び複数の圧電/電歪層を交互に積層して多層構造の圧電/電歪作動部を設ける圧電/電歪膜型素子の製造方法であって、各圧電/電歪層を、各電極の上面、及び下面を覆い、かつその端部を突出して設け、少なくとも該圧電/電歪層の突出部分と、基体との間に、重合性オリゴマーと無機粒子とを分散媒中に混合した塗布液を塗布した後、塗布液を乾燥して圧電/電歪層の突出部分と、基体とを連結する連結材を形成することを特徴とする圧電/電歪膜型素子の製造方法(以下、「多層型圧電/電歪膜型素子の製造方法」ということがある。)を提供するものである。
【0021】本発明のこれら製造方法においては、塗布液として、シロキサンオリゴマーと、シリカ粒子を極性分散媒中に混合したものを用いることが好ましい。
【0022】また、無機粒子の平均粒径が、5nm〜1μmであることが好ましく、更に、2峰性の粒度分布を有することが好ましい。また、当該2峰性の粒度分布を有する無機粒子としては、2つのピーク間に存在する変曲点に対応する粒径より大きな大粒径無機粒子の平均粒径(C)と、変曲点に対応する粒径以下の小粒径無機粒子の平均粒径(D)との比(D/C)が、0.05〜0.7であることが好ましい。
【0023】また、本発明のこれら製造方法においては、塗布液の塗布を、スピンコート法で回転速度を1500rpm以上として行うことが好ましい。
【0024】また、本発明の多層型圧電/電歪膜型素子の製造方法においては、複数の電極を、圧電/電歪層と電極との多層構造中、最上層及び最下層に配設することが好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の圧電/電歪膜型素子について実施の形態を具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0026】図1〜3に示すように、本発明の圧電/電歪膜型素子10は、セラミックスからなる基体44と、基体44上に下部電極77、圧電/電歪層73及び上部電極75を順次積層し、圧電/電歪層73が、下部電極77の上面、及び上部電極75の下面を覆い、かつその端部を突出して設けられている圧電/電歪作動部78とを備え、少なくとも、当該圧電/電歪層73の突出部分79が、高分子化合物のマトリックス中に無機粒子を散在させたハイブリッド材料からなる連結材70により、基体44と連結されてなることを特徴とするものである。また、図4〜6等に示すように、本発明の多層型の圧電/電歪膜型素子20は、基体44上に、複数の電極75〜77及び複数の圧電/電歪層71、72を交互に積層し、各圧電/電歪層71、72が、各電極75〜77の上面、及び下面を覆い、かつその端部を突出して設けられている圧電/電歪作動部78とを備え、少なくとも、当該圧電/電歪層71、72の突出部分79が、高分子化合物マトリックス中に無機粒子を散在させたハイブリッド材料からなる連結材70により、基体44と連結されてなることを特徴とするものである。これにより、従来の圧電/電歪膜型素子と同等以上の屈曲変位量を有しながら、高速応答性に優れ、かつ高速の繰り返し駆動に対する耐性が大きな圧電/電歪膜型素子とすることができる。以下、各構成要素毎に具体的に説明する。
【0027】図1〜6に示すように、本発明における基体44としては、例えば、薄板状の振動部66と厚肉のセラミックス部材からなる固定部68とを一体化した構造のものを挙げることができる。また、これらの構造の基体44では、薄板状の振動部66が、圧電/電歪層73が載置される位置以外で固定部68と固着しており、圧電/電歪層73が載置される位置に対応して、振動部66の下部には、通常キャビティ48が設けられる。
【0028】また、振動部66は、図3、及び図6に示すように、厚さ方向の断面が四角形の平板でもよいが、図2、及び図5に示すように、振動部66の中央部がキャビティ48の方向へ屈曲した形状、或いは図1、及び図4に示すように、厚さ方向の断面がW形状をなすものが、屈曲変位が大きな点で好ましく、後者のW形状のものが特に好ましい。
【0029】なお、図2、及び図5に示すような屈曲形状や、図1、及び図4に示すようなW形状の振動部66は、圧電/電歪層73の焼成工程の際に、圧電/電歪膜の短手方向への収縮を利用したり、圧電/電歪層73の上部と下部との焼成収縮開始タイミングや、焼成収縮量、更には振動部66の形状を調整することにより形成することができる。
【0030】本発明において振動部66の厚さは、素子の機械的強度を確保しながらも、剛性の増大により圧電/電歪層73の屈曲変位を低下させない範囲とすることが好ましく、具体的には、1μm〜50μmの厚さが好ましく、3〜50μmの厚さがより好ましく、3〜12μmの厚さが特に好ましい。又、固定部68の厚さは、10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましい。
【0031】また、基体44の圧電/電歪作動部78を載置する面の形状としては、特に四角形形状に限られるものではなく、円形でも構わず、三角形等の四角形以外の多角形形状でも構わない。
【0032】本発明における基体44は、セラミックスからなるものであればよいが、振動部66上に積層した圧電/電歪層73又は電極75、77等の加熱処理の際に変質しない耐熱性及び化学的安定性に優れる材料で構成することが好ましい。また、基体44は、当該基体44上に形成される下部電極77に通じる配線の電気的な分離を行うため、電気絶縁材料であることが好ましい。
【0033】具体的には、例えば、安定化された酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、スピネル、ムライト、窒化アルミニウム、窒化珪素、及びガラスよりなる群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。中でも、機械的強度が大きく、靭性に優れるため、構造上薄く振動が負荷される振動部66の耐久性を向上させることができ、しかも、化学的安定性が高く、圧電/電歪層73や電極75、77と反応性が極めて小さい点で、安定化された酸化ジルコニウムを含むものが好ましい。
【0034】また、安定化された酸化ジルコニウムとしては、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化スカンジウム、酸化イッテルビウム、酸化セリウム又は希土類金属の酸化物等の安定化剤を含有するものを挙げることができる。また、これら安定化剤の添加量は、酸化イットリウムや酸化イッテルビウムの場合にあっては、1〜30モル%が好ましく、1.5〜10モル%がより好ましい。また、酸化セリウムの場合にあっては、6〜50モル%が好ましく、8〜20モル%がより好ましい。また、酸化カルシウムや酸化マグネシウムの場合にあっては、5〜40モル%が好ましく、5〜20モル%がより好ましい。
【0035】また、これら安定化剤の中でも特に酸化イットリウムを添加したものが好ましく、その場合の添加量としては、1.5〜10モル%がより好ましく、2〜4モル%が特に好ましい。
【0036】また、当該振動部66は、上記セラミックスの他、焼結助剤として用いられる粘土等に含まれる酸化珪素、酸化ホウ素等の成分を含有するものであってもよい。但し、これらの成分が過剰に含まれると、基体44と圧電/電歪層73との反応により、圧電/電歪層73の特定の組成を維持することが困難となり、圧電/電歪特性を低下する原因となる。従って、本発明における基体44の振動部66では、粘土等に含まれる酸化珪素、酸化ホウ素等は、振動部66中、20質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。
【0037】また、振動部66を構成するセラミックスは、当該振動部66の機械的強度を高めるため、結晶粒の平均粒径が、0.05〜2μmであることが好ましく、0.1〜1μmであることがより好ましい。
【0038】次に、本発明における電極は、図1〜3に示すように、圧電/電歪層73を挟むように、圧電/電歪層73の上面と下面に設けられる少なくとも一対の上部電極75、及び下部電極77を有するものである。また、図4〜9に示すような多層構造の圧電/電歪膜型素子20とする場合には、複数の圧電/電歪層71、72の各層と、交互に積層され、かつこの圧電/電歪層71、72と電極75〜77の多層構造中、最上層と最下層に、電極75、77を配置してなるものである。
【0039】特に、図4〜9に示す多層構造の圧電/電歪膜型素子20では、圧電/電歪層71、72と電極75〜77との多層構造に加え、電極75、77を最上層と最下層に設けることから、圧電/電歪作動部78の屈曲変位が増大することは勿論、圧電/電歪作動部78全体の剛性が大きくなり、後述する接合材との相乗効果により、極めて共振周波数の大きく、高速応答が可能な圧電/電歪膜型素子とすることができる。
【0040】本発明において、これら電極75、77(75〜77)の厚さは、用途に応じて適当な厚さとすればよいが、過剰に厚いと電極が緩和層として作用し、屈曲変位が小さくなり易いため、15μm以下の厚さであることが好ましく、5μm以下の厚さであることがより好ましい。
【0041】また、電極75、77(75〜77)の材料としては、室温で固体であり、電極と基体及び/又は圧電/電歪層を一体化する焼成の際の高温酸化雰囲気に耐えられ、導電性に優れた材料で構成されていることが好ましい。具体的には、例えば、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、銀、スズ、タンタル、タングステン、イリジウム、白金、金、若しくは鉛等の金属単体、又はこれらの合金を挙げることができる。また、これらの金属に圧電/電歪膜、又は前述した基体44と同じ材料を分散させたサーメット材料を用いてもよい。
【0042】また、本発明において電極75、77(75〜77)の材料は、圧電/電歪層73(71、72)の形成方法を考慮することが好ましく、例えば、図1等に示す圧電/電歪膜型素子10において、圧電/電歪層73の加熱処理の際に、既に基体44上に形成されている下部電極77にあっては、その圧電/電歪層73の加熱処理温度においても変化しない白金等の高融点金属を使用することが好ましい。また、図4〜8に示すような多層構造の圧電/電歪膜型素子20においても、各圧電/電歪層71、72の加熱処理の際に、既に形成されている最下層に位置する電極77、及び各圧電/電歪層71、72間に設けられる中間の電極76は、白金等の高融点金属を使用することが好ましい。
【0043】一方、図1等に示す圧電/電歪膜型素子10において、圧電/電歪層73を加熱処理した後に、当該圧電/電歪層73上に形成される上部電極(図4〜8に示す多層型の圧電/電歪膜型素子20の場合には、最上層に位置する電極75)75にあっては、低温で電極形成を行うことが出来るので、アルミニウム、金、銀等の低融点金属を使用してもよい。
【0044】なお、電極を形成する方法としては、例えば、イオンビーム、スパッタリング、真空蒸着、PVD、イオンプレーティング、CVD、メッキ、スクリーン印刷、スプレー、又はディッピング等を挙げることができる。
【0045】次に、本発明における圧電/電歪層73は、下部電極77と上部電極75との間に、下部電極77の上面、及び上部電極75の下面を覆うより広い範囲で設けられている。また、本発明における圧電/電歪層73は、下部電極の上面、及び上部電極の下面と接触していない突出部分79を有し、当該突出部分79が、高分子化合物のマトリックス中に無機粒子を散在させたハイブリッド材料で構成される連結材70により基体44と連結されてなるものである。
【0046】また、図4〜9に示す本発明の多層型の圧電/電歪膜型素子20における圧電/電歪層71、72にあっては、複数の電極75〜77の各電極間に、各電極75〜77の上面、及び下面を覆うより広い範囲で設けられている。また、当該圧電/電歪層71、72は、その下面又は上面が各電極75〜77の上面又は下面と接触していない突出部分79を有し、当該突出部分79が、高分子化合物のマトリックス中に無機粒子を散在させたハイブリッド材料で構成される連結材70で、基体44と連結されてなるものである。
【0047】これにより、各圧電/電歪膜型素子10(20)においては、各電極75、77(75〜77)の絶縁が確実に確保され、絶縁破壊や短絡のない圧電/電歪膜型素子10(20)とすることができる。また、基体44と突出部分79とを連結する連結材70が、高分子化合物のマトリックス中に無機粒子を散在させたハイブリッド材料で構成されることから、同材質同構造の連結材の無い圧電/電歪膜型素子に対して、素子の屈曲変位が実質的に同等で、旦つ共振周波数を3%以上大きくすることができる。また、連結材を構成するハイブリッド材料が、無機粒子の存在により靭性が非常に大きいため、高速の繰り返し駆動に対しても大きな耐久性を有する圧電/電歪膜型素子とすることができる。
【0048】なお、本発明の圧電/電歪膜型素子10(20)が、同材質同構造の連結材の無い圧電/電歪膜型素子と同等以上の屈曲変位が得られ、且つ共振周波数を3%以上大きくすることができるという理由は必ずしも明らかではないが、上記構成により、圧電/電歪層73(71、72)が、厚さ方向へは殆ど拘束されずに、長さ方向(厚さ方向に対する垂直方向)に引っ張り応力を付与された状態で、存在するためと考えられる。
【0049】本発明において、当該連結材を構成するハイブリッド材料は、上記のように高分子化合物のマトリックス中に無機粒子を散在させたものである。
【0050】本発明におけるハイブリッド材料のマトリックスとしては、例えば、アクリル樹脂などのビニル重合体、エポキシ樹脂やポリウレタンなどの付加重合体、ポリエステル、ポリカーボネートなどの縮合重合体、及び有機ケイ素化合物の重合体であるポリシロキサンポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種の高分子化合物を主成分とするものを挙げることができ、中でも耐熱性、耐水性、耐薬品性、及び撥水性などの点でポリシロキサンポリマーが好ましい。
【0051】ここで、本発明においてポリシロキサンポリマーとは、Si−O−Siの基本単位の繰り返しを含むポリマーを意味する。
【0052】但し、本発明においては、上記の耐熱性、耐水性、耐薬品性、及び撥水性などの点から、下記一般式(1)で示されるような一部に置換基を導入したポリシロキサンポリマーが特に好ましい。
【0053】
【式6】
「上記一般式(1)中、Rは、有機基である。」
【0054】なお、本発明において、上記一般式(1)中のRとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基、ビニル基などのアルケニル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−クロロプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、γ−アミノプロピル基、トリフルオロメチル基などの置換アルキル基を挙げることができる。
【0055】また、当該マトリックス中に散在させる無機粒子としては、例えば、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、W、Al、Mn、Fe、Co、Ni及びSiから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物からなる微粒子であることが好ましい。
【0056】本発明においては、上記各種高分子化合物からなるマトリックスと、上記各種無機粒子を組み合わせることが可能であるが、中でも、ポリシロキサンポリマーを主成分とするマトリックス中に、シリカ粒子を散在させたハイブリッド材料が好ましく、上記一般式(1)で示されるポリシロキサンポリマーを主成分とするマトリックス中に、シリカ粒子を散在させたハイブリッド材料が特に好ましい。
【0057】当該ハイブリッド材料で連結材70を構成すると、振動部66及び圧電/電歪層73の屈曲変位量を抑制することなく、圧電/電歪層73の剛性を大きくすることができ、更には靭性が大きいため圧電/電歪膜型素子の高速の繰り返し駆動に対する耐性を大きくすることができる。
【0058】また、本発明におけるハイブリッド材料中の無機粒子は、連結材の圧電/電歪層に対する拘束を回避するという要請と、圧電/電歪層73の剛性を大きくして高速応答性を高めるという要請とのバランスの点で、平均粒径が5nm〜1μmのものが好ましく、平均粒径が10nm〜200nmのものがより好ましい。
【0059】また、当該無機粒子は、大粒径の無機粒子間の空隙を、小粒径の無機粒子で充填して連結材中の無機粒子の体積分率を上げることにより、圧電/電歪層73の剛性を更に大きくして、より高速応答性を高めることができる点で、更に2峰性の粒度分布を有するものが好ましい。また、2峰性の粒度分布を有する無機粒子としては、大粒径の無機粒子間の空隙に小粒径の無機粒子を効果的に充填できる点で、2つのピークの間に存在する変曲点に対応する粒径より大きな大粒径無機粒子の平均粒径(C)と、変曲点の粒径より小さな小粒径無機粒子の平均粒径(D)との比(D/C)が、0.05〜0.7のものが好ましく、0.1〜0.5のものがより好ましい。また、当該2峰性の粒度分布を有する無機粒子は、同様の点で大粒径無機粒子の質量(E)と小粒径無機粒子の質量(F)との比(F/E)が、0.05〜0.7のものが好ましく、0.1〜0.5のものがより好ましい。
【0060】また、上記圧電/電歪層73(71、72)の突出部分79は、特開平6−260694号公報に記載の「不完全結合状態」のものでもよいが、上記効果について、大きな効果を得るためには、基体44との連結を連結材70にのみ依拠することが好ましく、基体44に対して、直接的には非結合状態であることが好ましい。
【0061】本発明においては、図1〜6に示すように、当該連結材70を、少なくとも圧電/電歪層73の突出部分79の下部に設け、当該突出部分79の下面と、基体44とを連結してなるものが、効果的に大きな共振周波数が得られ、かつ連結材70の機械的強度を確保する点で好ましい。この際、当該連結材70は、圧電/電歪層73における突出部分79の下面の一部と、基体44とを連結するものでもよいが、大きな共振周波数が得られるとともに、素子の耐候性(耐湿性、耐光性、耐酸性、耐汚染性)を向上できる点で、圧電/電歪層73の突出部分79の下面全体と、基体44とを連結するものが好ましい。また、圧電/電歪層の長さ方向(厚さ方向に対する垂直方向)への引っ張り応力を増大させてより大きな共振周波数が得られるとともに、素子の耐候性(耐湿性、耐光性、耐酸性、耐汚染性)もより向上できる点で、図7及び図10に示すように、連結材70を圧電/電歪層73の突出部分79における少なくとも下面及び上面の一部を覆って設け、当該突出部分79の少なくとも下面及び上面の一部と、基体44とを連結してなることがより好ましい。
【0062】また同様の点に加え、絶縁距離及び耐久性の低下を抑制する点から、図14、15に示すように、圧電/電歪層73の突出部分79の下面を、当該連結材70により基体44と連結させながら、突出部分79の上面で開口する気孔80(加熱処理時に、圧電/電歪材料の不均一性、温度ムラ等の要因により生じるが、これを完全に除去することは容易ではなく、絶縁距離の低下、或いは湿気、不純物等の進入口となることによる耐久性の低下等の悪影響を及ぼす。)を、連結材70と同材質の材料からなる充填剤81により充填されてなるものも好ましく、図11及び図13に示すように、当該連結材70を、少なくとも圧電/電歪層73の突出部分79全体を覆って設け、当該連結材70により、少なくとも圧電/電歪層73の突出部分79全体を、基体44と連結してなることが特に好ましい。
【0063】また、図7、8、10、11に示す連結材70にあっては、その外表面が基体44に向かってなだらかに傾斜していることが連結材70の機械的強度を増大させる点で好ましい。また、当該連結材70は、更に連結材70を設けた開始点から突出部分の先端に向けて徐々に厚みを増し、突出部分の先端で最大厚みを有するものが圧電/電歪層の長さ方向(厚さ方向に対する垂直方向)への引っ張り応力を効果的に増大させることができる点で好ましい。
【0064】図10、11等に示すように、本発明においては、上記連結材70を、圧電/電歪層73の上部電極75等の電極との接触面、又は上部電極75(図4〜6に示す多層型圧電/電歪膜型素子20にあっては、最上層の電極75)を覆うように設ける必要はない。但し、圧電/電歪層73の上面(突出部分79上面を含む。)等で開口する気孔80を連結材(図示せず)と同材質の材料からなる充填剤81を用いて充填することも、高共振周波数が得られ、かつ素子の耐候性をより向上できる点で好ましい。
【0065】また、本発明においては、圧電/電歪層73の上部電極75等の電極との接触面(この態様は図示せず)、又は図12に示すように上部電極75(図9に示す多層型圧電/電歪膜型素子20にあっては、最上層の電極75)を覆うように、振動部66及び圧電/電歪作動部78の合計厚さに対して1/15以下の厚さ、より好ましくは1/30以下の厚さの連結材70と同材質の材料からなる微拘束層90を設けることも、屈曲変位を殆ど低減することなく、素子の共振周波数や耐候性を著しく向上できる点で好ましい。中でも、素子の製造工程が簡易となり、素子の形状のばらつきにも柔軟に対応可能な点で図12に示すように、微拘束層90を設けることがより好ましい。
【0066】また、図12に示すように、当該微拘束層90は、前述した連結材70と一体的に形成され、その外表面が基体44に向かってなだらかに傾斜しているとともに、圧電/電歪層73の突出部分79の先端に向けて徐々に厚みを増し、当該突出部分79の先端で最大厚みを有するものが圧電/電歪層73の長さ方向(厚さ方向に対する垂直方向)への引っ張り応力を効果的に増大させることができる点で好ましい。
【0067】本発明における連結材70の形成方法としては、例えば、無機粒子と、乾燥後に前述したハイブリッド材料中のマトリックスを構成する高分子化合物に対応する重合性オリゴマーとを分散液中に混合した塗布液を圧電/電歪層73に塗布する方法が好ましい。この方法によれば、連結材の形成に伴う乾燥工程において、連結材の収縮を抑制して、連結材や圧電/電歪層のクラックの発生を抑制しながら前述した好適な特性を有する圧電/電歪膜型素子を得ることができる。なお、本発明においては、当初から前述した高分子化合物を分散液中に混合した塗布液を用いることも可能であるが、好適な特性の連結材を形成するためには、重合性オリゴマーを分散液中に混合したものが好ましい。
【0068】本発明において、当該塗布液に用いる分散媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、又はアセトン等の極性分散媒が均一な分散液が得られやすい点で好ましい。
【0069】また、当該分散媒中に混合する無機粒子としては、前述したように、例えば、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、W、Al、Mn、Fe、Co、Ni及びSiから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物からなる微粒子であることが好ましい。
【0070】また、当該無機粒子は、平均粒径が5nm〜1μmのものが好ましく、平均粒径が10nm〜200nmのものがより好ましい。平均粒径が5nm未満であると、連結材の形成に伴う乾燥工程において、連結材の収縮を抑制する効果が小さく、一方、平均粒径が1μmを超えると無機粒子が塗布液中で沈降し易くなり、均質な連結材を得難くなる。
【0071】また、当該無機粒子は、更に2峰性の粒度分布を有し、2つのピーク間に存在する変曲点に対応する粒径より大きな大粒径無機粒子の平均粒径(C)と、変曲点に対応する粒径以下の小粒径無機粒子の平均粒径(D)との比(D/C)が、0.05〜0.7であるものが好ましい。当該2峰性の粒度分布を有する無機粒子とすると、大粒径の無機粒子間の空隙を、小粒径の無機粒子で充填して連結材中の無機粒子の体積分率を上げることができるため、連結材の形成に伴う乾燥工程において、連結材の収縮を更に抑制することができる。
【0072】また、本発明における重合性オリゴマーとしては、前述したアクリル樹脂などのビニル重合体、エポキシ樹脂やポリウレタンなどの付加重合体、ポリエステル、ポリカーボネートなどの縮合重合体、又は有機ケイ素化合物の重合体であるポリシロキサンポリマーに対応する重合性オリゴマーを挙げることができ、中でも、下記一般式(2)で示されるモノマーが数個から数十個にわたって縮重合した重合性オリゴマーが好ましい。
【0073】
【式7】
RnSi(OR’)4−n …(2)
「上記一般式(2)中、R及びR’は同種又は異種の有機基であり、nは0〜3の整数である。」
【0074】本発明において、上記一般式(2)中、Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基、ビニル基などのアルケニル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−クロロプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、γ−アミノプロピル基、トリフルオロメチル基などの置換アルキル基を挙げることができる。また、R’としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基、β−メトキシエトキシ基、アセチル基などの置換アルキル基を挙げることができる。
【0075】なお、本発明においては、後述する乾燥により、上記重合性オリゴマーを、例えば脱水もしくは脱アルコール反応で縮重合させることにより、連結材のマトリックスを構成する所望の高分子化合物とすることができる。
【0076】本発明において、重合性オリゴマーと無機粒子の配合比率は、各成分の種類に応じて適切な範囲とすることが好ましい。例えば、重合性オリゴマーとして、上記一般式(2)で示されるモノマーを縮重合した重合性オリゴマーを用いる場合には、重合性オリゴマー100重量部に対し、無機粒子が0.1〜300重量部の割合となるように塗布液中に含有させることが好ましく、1〜100重量部の割合となるように塗布液中に含有させることがより好ましい。
【0077】本発明において、塗布液を圧電/電歪層73に塗布する方法としては、ディッピング法、スプレー法、又はスピンコート法等のコート方法を挙げることができるが、連結材以外の箇所に過剰に厚いコート層が形成されることを容易に回避できる点で、スピンコート法が好ましい。
【0078】また、少なくとも圧電/電歪層73の突出部分79の下面全体と基材44を連結する連結材70を、大きな乾燥収縮を伴うことなく設けるには、塗布液を、溶液粘度が1000cP以下のものを用いることが好ましく、溶液粘度が300cP以下のものを用いることがより好ましく、溶液粘度が50cP以下のものを用いることが特に好ましい。
【0079】また、当該連結材70と同材質のもので、圧電/電歪層73の上部電極75との接触面で開口する気孔80を充填する場合、或いは圧電/電歪層73の上部電極75等の電極との接触面、又は上部電極75(図9に示す多層型圧電/電歪膜型素子20にあっては、最上層の電極75)を覆うように所定の厚さの微拘束層90を設ける場合には、上記塗布液を圧電/電歪層73及び/又は上部電極75(最上層の電極75)全体に塗布すればよい。但し、振動部66及び圧電/電歪作動部78の合計厚さに対して1/15以下の厚さ、より好ましくは1/30以下の厚さで微拘束層90を設けるには、上記スピンコート法で、塗布液を滴下直後、回転速度を1500rpm以上として行うことが好ましい。更に開口する気孔80のみを充填する場合には、スピンコート法によるときには、コート後、塗布液を少量滴下し、直ちに回転速度を2500rpm以上に上げることが好ましく、場合によっては、圧縮空気を吹付ける工程や、接触層表面を拭き取る工程を行ってもよい。なお、ディッピング法、又はスプレー法により、上記コーティング剤を圧電/電歪層全体に塗布する場合でも、圧縮空気を吹付ける工程を行うことで微拘束層90を設けることもできるが、容易に薄くて均一な層を形成することができる点で、スピンコート法により形成することが好ましい。
【0080】本発明においては、上記塗布液を塗布した後、乾燥により連結材を形成するが、その乾燥は、塗布液の組成物の種類に応じて適切な条件を選択することが好ましい。例えば、塗布液中に、前述したマトリックスの構成材料であるアクリル樹脂などのビニル重合体、エポキシ樹脂やポリウレタンなどの付加重合体、ポリエステル、又はポリカーボネートなどの縮合重合体に対応する重合性オリゴマーを混合する場合であれば、上記塗布液を塗布した後に、室温で放置して乾燥を行えばよい。
【0081】一方、塗布液中に、前述したマトリックスの構成材料であるポリシロキサンポリマーに対応する重合性オリゴマーを混合する場合であれば、上記塗布液を塗布した後には、室温で10分以上放置して、溶剤の大部分を除去した後、600℃/Hr以下の速度で、所望の温度まで雰囲気温度を上昇させて加熱による乾燥を行うことが好ましい。
【0082】塗布後直ちに加熱して乾燥したり、急速に温度を上昇させて乾燥すると、塗布液中の溶剤の急速な蒸発により、塗布液が急速に収縮し、連結材中にクラックが発生したり、電圧/電歪層との界面に剥離を生ずることがある。
【0083】また、当該加熱による乾燥は、60〜120℃で行うことが好ましく、100〜120℃で行うことがより好ましい。120℃を超える温度で乾燥すると、上記室温放置の理由と同様に塗布液中の溶剤の急速な蒸発により、塗布液が急速に収縮し、連結材中にクラックが発生したり、電圧/電歪層との界面に剥離を生ずることがある。一方、上記加熱温度より低い温度で乾燥すると、有機溶剤とともに、これに溶存する水分の除去が不充分となる。
【0084】ポリシロキサンポリマーに対応する重合オリゴマーを混合した塗布液を塗布した場合には、更に、上記乾燥後、連続して又は別工程で、より高温の加熱による硬化処理を行うことが好ましい。具体的には、好ましくは700℃以下の温度で加熱することが好ましく、600℃以下の温度で加熱することがより好ましく、500℃以下の温度で加熱することが更に好ましく、450℃以下の温度で加熱することが特に好ましい。
【0085】当該加熱による硬化処理の温度が、上記温度範囲を超えると、連結材中のSi等の成分が圧電/電歪層を構成する材料と反応して、圧電/電歪層の性能を低下させ、場合によっては圧電/電歪層に欠陥を生じさせるため、絶縁破壊、機械的破壊等を生じることがある。また、連結材中の有機成分の分解が起こり、連結材にクラックを生じることがある。
【0086】なお、本発明においては塗布液中の重合性オリゴマーと無機粒子の構成比等を調製することにより、又は硬化処理の際に加熱温度を調整して、Si−O−Si結合等の結合強度を変化させることにより硬度等の機械的特性(温度を高くするほど、硬度が上昇する。)、及び撥水性等の化学的特性を最適化することができる。
【0087】図1等に示す本発明における圧電/電歪層73(71、72)の材料としては、圧電若しくは電歪効果等の電界誘起歪みを起こす材料であればよく、結晶質でも非晶質でもよい。また、半導体やセラミックスや強誘電体セラミックス、又は反強誘電体セラミックス何れでもよく、用途に応じて適宜選択し採用すればよい。
【0088】具体的な材料としては、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、ジルコン酸チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、マンガンタングステン酸鉛、コバルトニオブ酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸ナトリウムビスマス、ニオブ酸カリウムナトリウム、又はタンタル酸ストロンチウムビスマスを1種単独で、又は2種以上含有するセラミックスを挙げることができる。特に、高い電気機械結合係数と圧電定数を有し、圧電/電歪膜の焼結時におけるセラミックス基体との反応性が小さく、安定した組成のものが得られる点において、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT系)、及び、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN系)を主成分とする材料、又はチタン酸ナトリウムビスマスを主成分とする材料が好ましい。
【0089】更に、これらセラミックス材料に、ランタン、カルシウム、ストロンチウム、モリブデン、タングステン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガン、セリウム、カドミウム、クロム、コバルト、アンチモン、鉄、イットリウム、タンタル、リチウム、ビスマス、又はスズ等の酸化物の1種単独で、又は2種以上添加した微量成分を含有する材料を用いてもよい。例えば、主成分であるジルコン酸鉛とチタン酸鉛及びマグネシウムニオブ酸鉛にランタンやストロンチウムを含有させることにより、坑電界や圧電特性を調整可能となる等の利点を得られる場合がある。
【0090】本発明において、図1等に示す圧電/電歪層73の厚さは、素子の機械的強度、及び所望の屈曲変位の確保という点から、基体44の振動部66の厚さとほぼ同等の厚さとすることが好ましい。具体的には、基体44の振動部66との厚さの比(振動部/圧電/電歪層)が、0.1〜30であることが好ましく、0.3〜10であることがより好ましく、0.5〜5であることが特に好ましい。
【0091】基体44の振動部との厚さの比(基体の振動部/圧電/電歪層)が、この範囲であれば、基体44上に圧電/電歪材料を塗布した後、加熱処理して圧電/電歪層73を形成する際に、圧電/電歪層73の焼成収縮に基体44(振動部66)が追従両者の界面で剥離を生じることなく緻密な圧電/電歪層73と基体44(振動部66)とを一体化することができる。また、圧電/電歪層73の屈曲による振動に対して充分な耐性を付与することができる。
【0092】もっとも、圧電/電歪層73の厚さにあっても、素子の小型化等を可能とするためには、その厚さが5〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましく、5〜30μmであることが特に好ましい。
【0093】また、図4〜8に示す多層型の圧電/電歪膜型素子20の場合には、薄膜状の多層型圧電/電歪膜型素子とすることで、アスペクト比を高くすることができる点で、圧電/電歪層71、72の1層当たりの厚さを、30μm以下と薄くすることが好ましい。更には、複数の圧電/電歪層71、72を下層から順に徐々に薄くして形成することが好ましく、例えば、下からn番目の圧電/電歪層の厚さtnが、式tn≦tn−1×0.95で示される関係を満たすように形成することが好ましい。圧電/電歪層の歪み量は、同じ駆動電圧では、圧電/電歪層の厚さが薄い程大きいため、上部に形成される圧電/電歪層が、下部に形成される圧電/電歪層より大きく歪むようにすることで、曲げ効率を高め、屈曲変位をより有効に発現することができる。
【0094】本発明における圧電/電歪層73は、例えば、前述したセラミックス材料等からなる圧電/電歪材料を、基体44に形成された下部電極77上に積層した後(図4〜8に示す多層型の圧電/電歪素子20の場合には、各圧電/電歪層71、72を積層した際、その都度、又は各圧電/電歪層71、72を総て積層した後)、所定温度で熱処理することにより得ることができる。
【0095】本発明において用いられる圧電/電歪材料としては、例えば、酸化物混合法、共沈法やアルコキシド法等により調製することができる。
【0096】また、圧電/電歪材料を塗布する方法としては、スクリーン印刷法、ディッピング法、塗布法、若しくは電気泳動法等の各種厚膜形成法、又はイオンビーム法、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、化学気相蒸着法(CVD)、若しくはめっき等の各種薄膜形成法を挙げることができ、中でも、良好な圧電/電歪特性を有する圧電/電歪層73が得られる点で、スクリーン印刷法、ディッピング法、塗布法、又は電気泳動法等の厚膜形成法が好ましい。
【0097】なお、前述した突出部分79を設けるには、圧電/電歪材料を、各電極の上面及び下面を覆うより広い範囲で、印刷、又は塗布等すればよい。また、この際に、基体の材料として、例えば、酸化ジルコニウム等の当該圧電/電歪材料と加熱処理時における反応性が低い材料を選択することで、圧電/電歪層の突出部分79を基体44に対して完全な非結合状態とすることができる。
【0098】また、図4〜8に示す多層型の圧電/電歪膜型素子20とする場合には、例えば、基体44上に電極77を積層した後、圧電/電歪材料を、上記各種方法により、複数の電極75、76と交互に積層させて、最後に電極75を配設すればよい。
【0099】本発明において、圧電/電歪材料を下部電極77上に形成した後(図4等に示す多層型の圧電/電歪素子20の場合には、最下層、及び中間層に位置する電極間にそれぞれ圧電/電歪材料を積層した際、その都度、又は圧電/電歪材料を必要な総ての層で積層した後)の加熱処理は、1000〜1400℃の温度で行えばよく、この際、圧電/電歪材料における各成分の揮発を防いで、所望の組成の磁器組成物とするために、圧電/電歪材料と同組成の雰囲気制御材料を共存させて行うことが好ましい。
【0100】以上、本発明の圧電/電歪膜型素子及びその製造方法について説明したが、本発明の圧電/電歪膜型素子は、例えば、図17、18に示すような表示素子や、インクジェットプリンタヘッドの駆動部120として用いることができる。具体的には、図17に示すように、光源160からの光180が導入される先導波板200とともに、本発明の圧電/電歪膜型素子10を主要構成要素とする駆動部120を、光導波板200の背面に対向し、かつ画素に対応する位置に配設し、更に、当該駆動部120上に画素構成体130を積層し、駆動部120の駆動動作により画素構成体130を光導波板200に接触・離隔させることにより表示素子とすることができる。また、図18に示すように、本発明の圧電/電歪膜型素子10を主要構成要素とし、その基体44のキャビティ48を加圧室100として構成させた駆動部120と、その駆動部120の加圧室100からインク噴出用流路117を通じて外部に開口するノズル孔112、及びインク供給源からインク供給用流路118を通じて駆動部120の加圧室100に開口するオリフィス孔114を有するインクノズル部材111とを接合一体化してインクジェットプリンタヘッドを構成させることができる。なお、表示素子やインクジェットプリンタヘッドの具体的な構成については、特開2001−343598公報、及び特開平11−147318号公報に開示のものを採用すればよく、特開2001−343598公報、及び特開平11−147318号公報を参考までにここに引用する。
【0101】
【実施例】以下、本発明を、圧電膜型素子による実施例により、更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、各実施例、及び比較例についての評価は以下のようにして行った。
【0102】
(評価方法)
(1)屈曲変位
実施例及び比較例で得られた圧電膜型素子に、室温下、3kV/mmの電界を印加した際の変位量をレーザードップラー振動計により測定した。
【0103】
(2)共振周波数
実施例及び比較例で得られた圧電膜型素子について、レーザードップラー振動計と、FFTアナライザを用いて測定した。
具体的には、FFTアナライザの発生するスエプトサイン波形(複数の周波数成分を含んだ波形)を素子に印加して駆動し、素子の振動をレーザードップラー振動計で測定し、そのレーザードップラー振動計の速度出力をFFTアナライザに入力して周波数分析し、最も低次のピークを共振周波数とした。
【0104】
(3)マイクロビッカース圧子押込み深さ
実施例及び比較例で得られた圧電膜型素子の、連結材、圧電/電歪層、及び基体について、微小硬度計圧子を用いて以下の条件で押込み深さを測定した。
▲1▼ 装置:島津ダイナミック超微小硬度計DUH−201
▲2▼ 圧子:対面角136°のビッカース形状を有するダイヤモンド製の圧子
▲3▼ 試験モード:負荷−除荷試験(荷重を一定速度で増加させていき、一時保持後、一定速度で荷重を減らしていく試験)
▲4▼ 押込み荷重:1gf
▲5▼ 押込み速度:0.145gf/sec
▲6▼ 荷重保持時間:10sec
▲7▼ その他:被検対象物(電極、圧電/電歪層、及び基体)が、微小である、或いは曲面又は凹凸部を有する等の理由でビッカース圧子を適切な条件で押込めない場合には、ビッカース圧子を適切な条件で押込める形状の同材料を被検対象物として測定する。
(4)無機粒子の平均粒径、及び粒度分布
実施例及び比較例で用いた無機粒子について、分散媒としてイソプロパノールに十分に分散させたうえで、大塚電子(株)製、ダイナミック光散乱光度計DLS7000を用いて、動的光散乱法により無機粒子の平均粒径、及び粒度分布を測定した。
【0105】
(実施例1)
振動部及び固定部何れもY2O3で安定化されたZrO2からなる基体(振動部の寸法:1.6×1.1mm、厚さ:10μm)上に白金からなる下部電極(寸法:1.2×0.8mm、厚さ:3μm)をスクリーン印刷法により形成し、1300℃、2時間の熱処理により基体と一体化させた。
【0106】その上に、Pbの一部をLaで0.1mol%置換した(Pb0.999La0.001)(Mg1/3Nb2/3)0.375Ti0.375Zr0.250O3(平均粒径0.49μm、最大粒径1.8μm)からなる圧電材料をスクリーン印刷法により下部電極の上面に対応する面を含むより広い1.3×0.9mmの範囲で、厚さ20μmで積層した。
【0107】次いで、圧電材料と同一組成の雰囲気制御材料を、容器内に共存させ、電極が形成された基体上に圧電材料を積層したものを、1275℃、2時間熱処理した。熱処理後の圧電層の厚さは、13μmであった。
【0108】次いで、圧電層の上に、金からなる上部電極を、スクリーン印刷法により、1.2×0.8mmの範囲で厚さ0.5μmで形成した後、600℃で熱処理した。
【0109】次いで、得られた素子を、基体の圧電/電歪層や電極を配設した面とは反対側の部分に、塗布液がまわりこんで付着することのないよう、UVシートを貼った状態で試料台に固定し、2峰性の粒径分布を有し、2つのピーク間に存在する変曲点50nmより大きな平均粒子径100nmの大粒径非晶質シリカと、変曲点50nm以下の平均粒子径20nm小粒径非晶質シリカとが混在するコロイダルシリカ30質量%と、イソプロピルアルコール及び水からなる混合分散媒中にテトラエトキシシラン及びメチルエトキシシランの等モル混合物を20質量%(重合性オリゴマー溶液全量中の含有率)含有させた重合性オリゴマー溶液70質量%とを混合した塗付液を、素子全体にスピンコート法により塗布した。この際、試料台は、最初500rpmで回転し、塗布液を滴下した直後、回転数を2000rpmまで上げて30秒回転させた。また、大粒径非晶質シリカと小粒径非晶質シリカ粒径とが混在するコロイダルシリカは、平均粒子径が100nmの大粒径非晶質シリカをイソプロピルアルコール中に分散したコロイダルシリカ(固形分濃度20質量%)70質量%と、平均粒子径が20nmの小粒径非晶質シリカをイソプロピルアルコール中に分散したコロイダルシリカ(固形分濃度20質量%)30質量%とを混合撹拌して、調製した。
【0110】最後に、回転停止後、無機薄膜用塗布液を塗布した素子を室温で30分放置し、その後、昇温速度200℃/hで昇温し、80℃〜120℃の間で1時間温度を保持した後、連続的に300℃まで昇温して、同温度で60分硬化処理を行い、圧電/電歪層の突出部分全体と基体を連結する連結材及び上部電極を被覆する微拘束層を硬化させ、圧電/電歪膜型素子を製造した。
【0111】得られた圧電/電歪膜型素子の各構成物のビッカース圧子押込み深さは、図16に示すように、基体が0.18μm、圧電/電歪層が、0.27μm、連結材及び微拘束層が0.87μmであった。また、連結材は、圧電/電歪層の突出部分の先端で最大厚みを有し、その厚さは5μmであり、微拘束層の厚さは、0.5μmであった。
【0112】
(比較例1)
素子に、所定の無機薄膜用塗布液を塗布することなく製造し、連結材及び微拘束層を設けなかったこと以外は実施例1と同様にして圧電/電歪膜型素子を製造した。
【0113】得られた圧電/電歪膜型素子の各構成物のビッカース圧子押込み深さは、基体が0.18μm、圧電/電歪層が0.27μmであった。
【0114】
(比較例2)
素子に、ポリスチレンからなる接合材及び微拘束層を実施例1の素子と同様の状態で設けたこと以外は実施例1と同様にして圧電/電歪膜型素子を製造した。
【0115】得られた圧電/電歪膜型素子の各構成物のビッカース圧子押込み深さは、基体が0.18μm、圧電/電歪層が、0.27μm、連結材及び微拘束層が1.5μmであった。また、連結材は、圧電/電歪層の突出部分の先端で最大厚みを有し、その厚さは10μmであり、微拘束層の厚さは、1μmであった。
【0116】
(評価)
所定の連結材及び微拘束層を設けなかった比較例1の圧電/電歪膜型素子では、共振周波数が1.6MHz、屈曲変位が0.14μmであった。また、ポリスチレンからなる接合材及び微拘束層を設けた比較例2の圧電/電歪膜型素子では、共振周波数が1.6MHz、屈曲変位が0.14μmであった。
【0117】これに対して、連結材及び微拘束層を設けた実施例1の圧電/電歪膜型素子では、屈曲変位が0.14μmと比較例1、2の圧電/電歪膜型素子と同様であり、しかも共振周波数が1.7MHzと比較例1、2の圧電/電歪膜型素子より6%大きくなった。
【0118】
(実施例2)
振動部及び固定部何れもY2O3で安定化されたZrO2からなる基体(振動部の寸法:直径1.0mm、厚さ:10μm)上に白金からなる下部電極(寸法:直径0.7mm、厚さ:3μm)をスクリーン印刷法により形成し、1300℃、2時間の熱処理により基体と一体化させた。
【0119】その上に、0.98(Bi0.5Na0.5)TiO3−0.02KNbO3(比表面積0.55m2/g)からなる圧電材料をスクリーン印刷法により下部電極の上面に対応する面を含むより広い直径0.82mmの範囲で、厚さ32μmで積層した。
【0120】次いで、圧電材料と同一組成の雰囲気制御材料を、容器内に共存させ、電極が形成された基体上に圧電材料を積層したものを、1100℃、3時間熱処理した。熱処理後の圧電層の厚さは、20μmであった。
【0121】次いで、圧電層の上に、金からなる上部電極を、スクリーン印刷法により、直径0.74mmの範囲で厚さ0.5μmで形成した後、600℃で熱処理した。
【0122】次いで、得られた素子を、基体の圧電/電歪層や電極を配設した面とは反対側の部分に、塗布液がまわりこんで付着することのないよう、UVシートを貼った状態で試料台に固定し、2峰性の粒径分布を有し、2つのピーク間に存在する変曲点50nmより大きな平均粒子径100nmの大粒径非晶質シリカと、変曲点50nm以下の平均粒子径20nm小粒径非晶質シリカとが混在するコロイダルシリカ30質量%と、イソプロピルアルコール及び水からなる混合分散媒中にテトラエトキシシラン及びメチルエトキシシランの等モル混合物を20質量%(重合性オリゴマー溶液全量中の含有率)含有させた重合性オリゴマー溶液70質量%とを混合した塗付液を、素子全体にスピンコート法により塗布した。この際、試料台は、最初500rpmで回転し、塗布液を滴下した直後、回転数を2000rpmまで上げて30秒回転させた。また、大粒径非晶質シリカと小粒径非晶質シリカ粒径とが混在するコロイダルシリカは、平均粒子径が100nmの大粒径非晶質シリカをイソプロピルアルコール中に分散したコロイダルシリカ(固形分濃度20質量%)70質量%と、平均粒子径が20nmの小粒径非晶質シリカをイソプロピルアルコール中に分散したコロイダルシリカ(固形分濃度20質量%)30質量%とを混合撹拌して、調製した。
【0123】最後に、回転停止後、無機薄膜用塗布液を塗布した素子を室温で30分放置し、その後、昇温速度200℃/hで昇温し、80℃〜120℃の間で1時間温度を保持した後、連続的に300℃まで昇温して、同温度で60分硬化処理を行い、圧電/電歪層の突出部分全体と基体を連結する連結材及び上部電極を被覆する微拘束層を硬化させ、圧電/電歪膜型素子を製造した。得られた圧電/電歪膜型素子の各構成物のビッカース圧子押込み深さは、図16に示すように、基体が0.18μm、圧電/電歪層が、0.22μm、連結材及び微拘束層が0.87μmであった。また、連結材は、圧電/電歪層の突出部分の先端で最大厚みを有し、その厚さは5μmであり、微拘束層の厚さは、0.5μmであった。
【0124】
(比較例3)
素子に、所定の無機薄膜用塗布液を塗布することなく製造し、連結材及び微拘束層を設けなかったこと以外は実施例2と同様にして圧電/電歪膜型素子を製造した。
【0125】得られた圧電/電歪膜型素子の各構成物のビッカース圧子押込み深さは、基体が0.18μm、圧電/電歪層が0.22μmであった。
【0126】
(比較例4)
素子に、ポリスチレンからなる接合材及び微拘束層を実施例1の素子と同様の状態で設けたこと以外は実施例2と同様にして圧電/電歪膜型素子を製造した。
【0127】得られた圧電/電歪膜型素子の各構成物のビッカース圧子押込み深さは、基体が0.18μm、圧電/電歪層が、0.22μm、連結材及び微拘束層が1.5μmであった。また、連結材は、圧電/電歪層の突出部分の先端で最大厚みを有し、その厚さは10μmであり、微拘束層の厚さは、1μmであった。
【0128】
(評価)
所定の連結材及び微拘束層を設けなかった比較例3の圧電/電歪膜型素子では、共振周波数が1.8kHz、屈曲変位が0.10μmであった。また、ポリスチレンからなる接合材及び微拘束層を設けた比較例4の圧電/電歪膜型素子では、共振周波数が1.8kHz、屈曲変位が0.10μmであった。
【0129】これに対して、連結材及び微拘束層を設けた実施例2の圧電/電歪膜型素子では、屈曲変位が0.10μmと比較例3、4の圧電/電歪膜型素子と同様であり、しかも共振周波数が1.9kHzと比較例3、4の圧電/電歪膜型素子より6%大きくなった。
【0130】
(実施例3)
Y2O3で安定化された薄肉部が平坦なZrO2基体(薄肉部の寸法:1.6×1.1mm、厚さ:10μm)上に白金からなる下部電極(寸法:1.2×0.8mm、厚さ:3μm)をスクリーン印刷法により形成し、1300℃、2時間の熱処理により基体と一体化させた。
【0131】次いで、その上にPb1.00{(Mg0.80Ni0.20)1/3Nb2/3}0.20Ti0.43Zr0.37O3からなる第一の圧電材料を、スクリーン印刷法により、寸法1.3×0.9mm、厚さ7μmで積層した。
【0132】次いで、その上に、白金からなる内部電極(寸法:1.0×1.1mm、厚さ:3μm)をスクリーン印刷法により積層した。
【0133】更に、その上にPb1.00(Mg1/3Nb2/3)0.20Ti0.43Zr0.37O398.5質量%と、NiO1.5質量%からなる第二の圧電材料を、スクリーン印刷法により、寸法1.3×0.9mm、厚さ7μmで積層した。
【0134】次いで、第二の圧電材料と同一組成の雰囲気制御用材料を、雰囲気単位体積当たりのNiO換算量で0.15mg/cm3容器内に共存させて、1275℃、2時間熱処理した。熱処理後の圧電/電歪層の厚さは、何れも5μmであった。
【0135】次いで、得られた素子を、基体の圧電/電歪層や電極を配設した面とは反対側の部分に、塗布液がまわりこんで付着することのないよう、UVシートを貼った状態で試料台に固定し、2峰性の粒径分布を有し、2つのピーク間に存在する変曲点50nmより大きな平均粒子径100nmの大粒径非晶質シリカと、変曲点50nm以下の平均粒子径20nm小粒径非晶質シリカとが混在するコロイダルシリカ30質量%と、イソプロピルアルコール及び水からなる混合分散媒中にテトラエトキシシラン及びメチルエトキシシランの等モル混合物を20質量%(重合性オリゴマー溶液全量中の含有率)含有させた重合性オリゴマー溶液70質量%とを混合した塗付液を、素子全体にスピンコート法により塗布した。この際、試料台は、最初500rpmで回転し、塗布液を滴下した直後、回転数を2000rpmまで上げて30秒回転させた。また、大粒径非晶質シリカと小粒径非晶質シリカ粒径とが混在するコロイダルシリカは、平均粒子径が100nmの大粒径非晶質シリカをイソプロピルアルコール中に分散したコロイダルシリカ(固形分濃度20質量%)70質量%と、平均粒子径が20nmの小粒径非晶質シリカをイソプロピルアルコール中に分散したコロイダルシリカ(固形分濃度20質量%)30質量%とを混合撹件して、調製した。
【0136】最後に、回転停止後、無機薄膜用塗布液を塗布した素子を室温で30分放置し、その後、昇温速度200℃/hで昇温し、80℃〜120℃の間で1時間温度を保持した後、連続的に300℃まで昇温して、同温度で60分硬化処理を行い、圧電/電歪層の突出部全体と基体を連結する連結材及び上部電極を被覆する微拘束層を硬化させ、多層型の圧電/電歪膜型素子を製造した。
【0137】得られた圧電/電歪膜型素子の各構成物のビッカース圧子押込み深さは、図16に示すように、基体が0.18μm、圧電/電歪層が、0.27μm、連結材及び微拘束層が0.87μmであった。また、連結材は、圧電/電歪層の突出部分の先端で最大厚みを有し、その厚さは5μmであり、微拘束層の厚さは、0.5μmであった。
【0138】
(比較例5)
素子に、所定の無機薄膜用塗布液を塗布することなく製造し、連結材及び微拘束層を設けなかったこと以外は実施例3と同様にして圧電/電歪膜型素子を製造した。
【0139】得られた圧電/電歪膜型素子の各構成物のビッカース圧子押込み深さは、基体が0.18μm、圧電/電歪層が0.27μmであった。
【0140】
(評価)
所定の連結材及び微拘束層を設けなかった比較例5の圧電/電歪膜型素子では、共振周波数が1.75MHz、屈曲変位が0.16μmであった。
【0141】これに対して、連結材及び微拘束層を設けた実施例3の圧電/電歪膜型素子では、屈曲変位が0.16μmと比較例5の圧電/電歪膜型素子と同様であり、しかも共振周波数が1.85MHzと比較例5の圧電/電歪膜型素子より約6%大きくなった。
【0142】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、従来の圧電/電歪膜型素子と同等以上の屈曲変位量及び耐久性を有しながら、大きな共振周波数が得られ、高速応答性に優れる圧電/電歪膜型素子を提供することができる。また、本発明によれば、このような優れた特性を有する圧電/電歪膜型素子を、各部位にクラック等の損傷を生じることなく製造することができる圧電/電歪膜型素子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一の実施の形態を示す一部断面図である。
【図2】本発明の他の実施の形態を示す一部断面図である。
【図3】本発明の更に他の実施の形態を示す一部断面図である。
【図4】本発明の多層型の圧電/電歪膜型素子における一の実施の形態を示す一部断面図である。
【図5】本発明の多層型の圧電/電歪膜型素子における他の実施の形態を示す一部断面図である。
【図6】本発明の多層型の圧電/電歪膜型素子における更に他の実施の形態を示す一部断面図である。
【図7】本発明の多層型の圧電/電歪膜型素子における更に他の実施の形態を示す一部断面図である。
【図8】本発明の多層型の圧電/電歪膜型素子における更に他の実施の形態を示す一部断面図である。
【図9】本発明の多層型の圧電/電歪膜型素子における更に他の実施の形態を示す一部断面図である。
【図10】本発明の更に他の実施の形態を示す一部断面図である。
【図11】本発明の更に他の実施の形態を示す一部断面図である。
【図12】本発明の更に他の実施の形態を示す一部断面図である。
【図13】図11に示す圧電/電歪膜型素子の一部拡大図である。
【図14】図1に示す圧電/電歪膜型素子の一部拡大図である。
【図15】図4に示す圧電/電歪膜型素子の一部拡大図である。
【図16】各実施例及び比較例の圧電/電歪膜型素子におけるビッカース圧子押込み深さの結果を示すグラフである。
【図17】本発明の圧電/電歪膜型素子を用いた表示素子の一例を示す断面図である。
【図18】本発明の圧電/電歪膜型素子を用いたインクジェットプリンタヘッドの一例を示す断面図である。
【図19】従来の圧電/電歪膜型素子の一例を示す一部断面図である。
【符号の説明】
10…圧電/電歪膜型素子、30…圧電/電歪膜型素子、44…基体、48…キャビティ、66…振動部、68…固定部、70…連結材、71…圧電/電歪層、72…圧電/電歪層、73…圧電/電歪層、75…上部電極、76…電極、77…下部電極、78…圧電/電歪作動部、79…突出部分、80…気孔、81…充填剤、100…加圧室、111…インクノズル部材、112…ノズル孔、114…オリフィス孔、117…インク噴出用流路、118…インク供給用流路、120…駆動部、130…画素構成体、160…光源、180…光、200…光導波板。
Claims (23)
- セラミックスからなる基体と、該基体上に、下部電極、圧電/電歪層及び上部電極を順次積層し、該圧電/電歪層が、該下部電極の上面、及び該上部電極の下面を覆い、かつその端部を突出して設けられている圧電/電歪作動部とを備える圧電/電歪膜型素子において、該圧電/電歪層の突出部分が、高分子化合物のマトリックス中に無機粒子を散在させたハイブリッド材料で構成される連結材で、該基体と連結されてなることを特徴とする圧電/電歪膜型素子。
- 前記連結材が、ポリシロキサンポリマーを主成分とするマトリックス中に、シリカ粒子を散在させたハイブリッド材料で構成されてなる請求項1に記載の圧電/電歪膜型素子。
- 前記無機粒子の平均粒径が、5nm〜1μmである請求頃1に記載の圧電/電歪膜型素子。
- 前記無機粒子が、2峰性の粒度分布を有し、2つのピーク間に存在する変曲点に対応する粒径より大きな大粒径無機粒子の平均粒径(C)と、変曲点に対応する粒径以下の小粒径無機粒子の平均粒径(D)との比(D/C)が、0.05〜0.7である請求項4に記載の圧電/電歪膜型素子。
- セラミックスからなる基体と、該基体上に、複数の電極及び複数の圧電/電歪層を交互に積層し、各圧電/電歪層が、各電極の上面、及び下面を覆い、かつその端部を突出して設けられている圧電/電歪作動部とを備える圧電/電歪膜型素子において、該圧電/電歪層の突出部分が、高分子化合物のマトリックス中に無機粒子を散在させたハイブリッド材料で構成される連結材で、該基体と連結されてなり、かつ該電極が、該圧電/電歪層と該電極の多層構造中、最上層及び最下層に配設されてなることを特徴とする圧電/電歪膜型素子。
- 前記連結材が、ポリシロキサンポリマーを主成分とするマトリックス中に、シリカ粒子を散在させたハイブリッド材料で構成されてなる請求項6に記載の圧電/電歪膜型素子。
- 前記無機粒子の平均粒径が、5nm〜1μmである請求項6に記載の圧電/電歪膜型素子。
- 前記無機粒子が、2峰性の粒度分布を有し、2つのピーク間に存在する変曲点に対応する粒径より大きな大粒径無機粒子の平均粒径(C)と、変曲点に対応する粒径以下の小粒径無機粒子の平均粒径(D)との比(D/C)が、0.05〜0.7である請求項9に記載の圧電/電歪膜型素子。
- セラミックスからなる基体上に、下部電極、圧電/電歪層及び上部電極を順次積層した圧電/電歪作動部を設ける圧電/電歪膜型素子の製造方法であって、
該圧電/電歪層を、該下部電極の上面、及び該上部電極の下面を覆い、かつその端部を突出して設け、少なくとも該圧電/電歪層の突出部分と、該基体との間に、重合性オリゴマー及び/又は重合性モノマーと無機粒子とを分散媒中に混合した塗布液を塗布した後、該塗布液を乾燥して、形成される連結材で、該圧電/電歪層の突出部分と、該基体とを連結することを特徴とする圧電/電歪膜型素子の製造方法。 - 前記塗布液として、シロキサンオリゴマーと、シリカ粒子を極性分散媒中に混合したものを用いる請求項11に記載の圧電/電歪膜型素子の製造方法。
- 前記シロキサンオリゴマーが、下記一般式(2)で示される重合性モノマー又は重合性オリゴマーである請求項12に記載の圧電/電歪膜型素子の製造方法。
【式3】
RnSi(OR’)4−n …(2)
「上記一般式(2)中、Rは、メチル基、エチル基、及びプロピル基からなる群より選ばれる少なくとも1種のアルキル基、アリール基、アルケニル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−クロロプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、γ−アミノプロピル基、及びトリフルオロメチル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換アルキル基である。また、R’は、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基からなる群より選ばれる少なくとも1種のアルキル基、アリール基、β−メトキシエトキシ基若しくはアセチル基から選ばれる置換アルキル基である。また、nは0〜3の整数である。」 - 前記無機粒子の平均粒径が、5nm〜1μmである請求項11に記載の圧電/電歪膜型素子の製造方法。
- 前記無機粒子が、2峰性の粒度分布を有し、2つのピーク間に存在する変曲点に対応する粒径より大きな大粒径無機粒子の平均粒径(C)と、変曲点に対応する粒径以下の小粒径無機粒子の平均粒径(D)との比(D/C)が、0.05〜0.7である請求項14に記載の圧電/電歪膜型素子の製造方法。
- 前記塗布液の塗布を、スピンコート法で回転速度を1500rpm以上として行う請求項11に記載の圧電/電歪膜型素子の製造方法。
- セラミックスからなる基体上に、複数の電極及び複数の圧電/電歪層を交互に積層して多層構造の圧電/電歪作動部を設ける圧電/電歪膜型素子の製造方法であって、
各圧電/電歪層を、各電極の上面、及び下面を覆い、かつその端部を突出して設け、少なくとも該圧電/電歪層の突出部分と該基体との間に、重合性オリゴマーと無機粒子とを分散媒中に混合した塗布液を塗布した後、該塗布液を乾燥して該圧電/電歪層の突出部分と該基体とを連結する連結材を形成することを特徴とする圧電/電歪膜型素子の製造方法。 - 前記塗布液として、シロキサンオリゴマーと、シリカ粒子とを極性分散媒中に混合したものを用いる請求項17に記載の圧電/電歪膜型素子の製造方法。
- 前記シロキサンオリゴマーが、下記一般式(2)で示される重合性オリゴマーである請求項18に記載の圧電/電歪膜型素子の製造方法。
【式4】
RnSi(OR’)4−n …(2)
「上記一般式(2)中、Rは、メチル基、エチル基、及びプロピル基からなる群より選ばれる少なくとも1種のアルキル基、アリール基、アルケニル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−クロロプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、γ−アミノプロピル基、及びトリフルオロメチル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換アルキル基である。また、R’は、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基からなる群より選ばれる少なくとも1種のアルキル基、アリール基、又はβ−メトキシエトキシ基若しくはアセチル基から選ばれる置換アルキル基である。また、nは0〜3の整数である。」 - 前記無機粒子の平均粒径が、5nm〜1μmである請求項17に記載の圧電/電歪膜型素子の製造方法。
- 前記無機粒子が、2峰性の粒度分布を有し、2つのピーク間に存在する変曲点に対応する粒径より大きな大粒径無機粒子の平均粒径(C)と、変曲点に対応する粒径以下の小粒径無機粒子の平均粒径(D)との比(D/C)が、0.05〜0.7である請求項20に記載の圧電/電歪膜型素子の製造方法。
- 前記塗布液の塗布を、スピンコート法で回転速度を1500rpm以上として行う請求項17に記載の圧電/電歪膜型素子の製造方法。
- 前記複数の電極を、前記圧電/電歪層と該電極との多層構造中、最上層及び最下層に配設する請求項17に記載の圧電/電歪膜型素子の製造方法。
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