JP2005050661A - 高圧放電灯点灯装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成で高圧放電灯の始動時に十分な始動電圧が得られるとともに点灯時に高圧放電灯に流れるランプ電流の電流リップルを低減する。
【解決手段】第2の共振回路3を構成する第2のインダクタL2及び第3のコンデンサC3がフィルタとなり、放電灯DLに流れる矩形波のランプ電流IDLからリップル成分を低減することができる。始動時における始動電圧は第1及び第2のインダクタL1,L2と第1のコンデンサC1からなる第1の共振回路2の回路定数によって決めることができ、定常点灯時におけるフィルタ特性を第2のインダクタL2のインダクタンス値及び第3のコンデンサC3の容量値によって決めることができるため、十分な始動電圧と、定格点灯時における電流リップルの低減を両立した設計が容易に行える。
【選択図】 図1
【解決手段】第2の共振回路3を構成する第2のインダクタL2及び第3のコンデンサC3がフィルタとなり、放電灯DLに流れる矩形波のランプ電流IDLからリップル成分を低減することができる。始動時における始動電圧は第1及び第2のインダクタL1,L2と第1のコンデンサC1からなる第1の共振回路2の回路定数によって決めることができ、定常点灯時におけるフィルタ特性を第2のインダクタL2のインダクタンス値及び第3のコンデンサC3の容量値によって決めることができるため、十分な始動電圧と、定格点灯時における電流リップルの低減を両立した設計が容易に行える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、高圧放電灯を始動及び点灯する高圧放電灯点灯装置に関するものである。
特許文献1に開示されている従来の高圧放電灯点灯装置の一例を図18に示す。
この従来装置では、直流電源Eの両端にトランジスタTr1,Tr2の直列回路が接続され、各トランジスタTr1,Tr2にはダイオードD1,D2が逆並列に接続されるとともに、トランジスタTr2の両端にインダクタL10を介して高圧放電灯(以下、「放電灯」と略す)DLとコンデンサC10の直列回路が接続され、さらに放電灯DLにコンデンサC11が並列接続されている。各トランジスタTr1,Tr2の制御電極(ベース)には、それぞれ図19に示すような制御信号が供給されている。
図19に示すように、動作期間T1,T3ではトランジスタTr1,Tr2が交互にオン・オフ(以下、スイッチングという)されることにより、放電灯DLに高周波電圧が印加される。一方、動作期間T2では、トランジスタTr2がオフのままトランジスタTr1が高周波でスイッチングされることにより、放電灯DLに正の直流電圧が印加される。また、動作期間T4では、トランジスタTr1がオフのままトランジスタTr2が高周波でスイッチングされることにより、放電灯DLに負の直流電圧が印加される。したがって、放電灯DLの両端電圧V2は、図20に示すように動作期間T1,T3の高周波交流電圧と、動作期間T2,T4の直流電圧が交互に現れる波形となる。なお、結合用のコンデンサC10として、数十μF〜数百μF程度の静電容量値のものを使用すれば、放電灯DLの定常点灯状態においては、コンデンサC10の両端電圧が直流電源Eの電圧V1の約半分の電圧となる。したがって、動作期間T2,T4で放電灯DLに印加される直流電圧Vaの大きさは、直流電源Eの電圧V1の約半分となる。
ここで、動作期間Tl,T3における回路動作について詳しく説明する。この期間においては、トランジスタTr1,Tr2が所定のデッドオフタイムを経て交互にスイッチングされる。まず、トランジスタTr1がオン、トランジスタTr2がオフのときには、直流電源EからトランジスタTr1、インダクタL10、コンデンサC11を介して電流が流れてコンデンサC10が充電される。放電灯DLは消灯状態(無負荷状態)であるので、ほとんど電流が流れない。その後、トランジスタTr1,Tr2が共にオフすると、インダクタL10に蓄積されたエネルギーが放出されて、インダクタL10からコンデンサC11、コンデンサC10、ダイオードD2を介して電流が流れる。
次に、トランジスタTr1がオフ、トランジスタTr2がオンのときには、コンデンサC10からコンデンサC11、インダクタL10、トランジスタTr2を介して電流が流れてコンデンサC10が放電される。その後、トランジスタTr1,Tr2が共にオフすると、インダクタL10に蓄積されたエネルギーが放出されてインダクタL10からダイオードD1、直流電源E、コンデンサC10を介して電流が流れる。以下、上記の過程を繰り返すことでインダクタL10とコンデンサC11の直列共振回路に高周波電流が流れる。この高周波電流の周波数は、トランジスタTr1,Tr2のスイッチング周波数により決まる。
したがって、スイッチング周波数を直列共振回路の共振周波数に近い周波数(通常は共振周波数よりも少し高い周波数)に設定すれば、コンデンサC11の両端には共振作用により高周波の高電圧が発生し、放電灯DLに印加される。この高周波の高電圧の振幅は、インダクタL10とコンデンサC11よりなる直列共振回路の共振周波数と、トランジスタTr1,Tr2のスイッチング周波数との関係により自由に設定することができるので、使用する放電灯DLに応じてインダクタL10やコンデンサC11の回路定数、スイッチング周波数の設計値を変更すれば、所望の始動性能を得ることが可能となる。
特許第2948600号公報
上記従来装置では、放電灯DLを始動する際の始動電圧については所望の始動電圧が得られるものの、反面、高圧放電灯LDが定格点灯している時のランプ電流に生じる電流リップルが大きくなりやすいという欠点があった。なぜなら、高圧放電灯の場合、定格点灯時は音響的共鳴現象を回避するため、一般的に数100Hz程度の矩形波交流電圧が印加されるが、そのような周波数における電流リップルを低減するために、高圧放電灯LDに直列にインダクタL10を接続し、そのインダクタL10と高圧放電灯LDに並列に接続されたコンデンサC11によるフィルタ効果により電流リップルを低減している。ここで、上述したような高周波電圧を発生させるためは、その高周波の電圧値や直流電源Eの電源電圧V1の値にもよるが、概ね、インダクタL10のインダクタンス値は0.数mH〜数10mH程度、コンデンサC11の容量は、0.数nF〜数10nF程度の値となり、これらの値を有するインダクタL10やコンデンサC11を用いたフィルタでは、数100Hz程度の周波数で点灯する高圧放電灯LDの電流リップルを十分に低減させることができないのである。一方、電流リップルを十分に低減しようとしてインダクタL10のインダクタンス値やコンデンサC11の容量値を大きくすると、共振回路のQ値が減少するため、本来の目的である十分な始動電圧を得るのが困難になったり、あるいは、部品が大型化して装置の大型化を招いてしまうといった問題があった。すなわち、上記従来装置では、十分な始動電圧と、定格点灯時における電流リップルの低減を両立した設計が困難であった。
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、簡単な構成でありながら、高圧放電灯の始動時には十分な始動電圧が得られるとともに点灯時には高圧放電灯に流れるランプ電流の電流リップルを低減することができる高圧放電灯点灯装置を提供することにある。
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、高圧放電灯に矩形波の低周波交流電圧を印加して点灯する高圧放電灯点灯装置において、直流電源の直流電圧が印加される1乃至複数のスイッチング素子を具備し該スイッチング素子をスイッチングすることで直流電圧を交流電圧に変換するインバータ部と、高圧放電灯の始動時には前記インバータ部から高周波交流電圧を出力させるとともに高圧放電灯の点灯時には前記インバータ部から矩形波の低周波交流電圧を出力させるように1乃至複数の前記スイッチング素子をスイッチング制御する制御部と、高圧放電灯の始動時に前記インバータ部の出力を増幅して高圧放電灯に印加する第1の共振回路と、高圧放電灯の点灯時に前記インバータ部の出力を増幅して高圧放電灯に印加する第2の共振回路とを備えたことを特徴とする。
この発明によれば、始動時における始動電圧は第1の共振回路の回路定数によって決めることができるとともに、点灯時におけるフィルタ特性は第2の共振回路の回路定数によって決めることができるため、十分な始動電圧と、点灯時における電流リップルの低減を両立した設計が容易に行える。したがって、簡単な構成でありながら、高圧放電灯の始動時には十分な始動電圧が得られるとともに点灯時には高圧放電灯に流れるランプ電流の電流リップルを低減することができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、逆方向への電流を阻止しない第1及び第2のスイッチング素子が直流電源の両端間に直列接続された直列回路からなる前記インバータ部と、高圧放電灯に直列接続され且つ高圧放電灯とともに前記直列回路に並列接続された第1のコンデンサ、第2のコンデンサを介して前記第1及び第2のスイッチング素子の接続点に一端が接続された第1のインダクタ、該第1のインダクタの他端と前記第1のコンデンサの高圧放電灯に接続された一端とに直列接続された第2のインダクタからなる前記第1の共振回路と、前記第1及び第2のインダクタの接続点に一端が接続されるとともに他端が第3のスイッチング素子を介して前記第1のコンデンサ又は高圧放電灯の前記第1又は第2のスイッチング素子との接続点に接続された第3のコンデンサ、並びに前記第1及び第2のインダクタからなる前記第2の共振回路とを備え、前記制御部は、高圧放電灯の始動時に前記第3のスイッチング素子をオフした状態で前記第1及び第2のスイッチング素子を高周波で交互にスイッチングする第1のスイッチング制御を行い、高圧放電灯の点灯時に前記第3のスイッチング素子をオンした状態で前記第1又は第2のスイッチング素子を高周波でスイッチングするとともに低周波で交番する第2のスイッチング制御を行うことを特徴とする。
この発明によれば、第2の共振回路を構成する第2のインダクタ及び第3のコンデンサがフィルタとなり、高圧放電灯に流れる矩形波のランプ電流からリップル成分を低減することができ、しかも、フィルタを構成する第3のコンデンサは、高圧放電灯の始動時には第3のスイッチング素子がオフすることで回路から切り離され、点灯時にのみ第3のスイッチング素子がオンすることで回路に接続されるから、始動時における始動電圧を第1及び第2のインダクタと第1のコンデンサからなる第1の共振回路の回路定数によって決めることができ、点灯時におけるフィルタ特性を第2の共振回路を構成する第2のインダクタのインダクタンス値及び第3のコンデンサの容量値によって決めることができるため、十分な始動電圧と、点灯時における電流リップルの低減を両立した設計が容易に行える。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記制御部は、高圧放電灯の始動後から所定時間が経過した後に前記第1のスイッチング制御から第2のスイッチング制御に移行することを特徴とする。
この発明によれば、高圧放電灯が始動した後も所定時間だけ第1のスイッチング制御が継続されるため、高圧放電灯には高周波のランプ電流が流れ続けることになり、始動時のランプ電流の押し込み不足による高圧放電灯の立ち消え等の現象を回避することができる。
請求項4の発明は、請求項2又は3の発明において、前記第2の共振回路を構成する第2のインダクタと第3のコンデンサからなるフィルタのカットオフ周波数を前記第1の共振回路の共振周波数よりも低い値に設定したことを特徴とする。
この発明によれば、電流リップルを低減する設計が容易に行える。
請求項5の発明は、請求項2又は3又は4の発明において、前記制御部は、前記第2のスイッチング制御における第1又は第2のスイッチング素子のスイッチング周波数を前記第2の共振回路を構成する第2のインダクタと第3のコンデンサからなるフィルタのカットオフ周波数よりも高くすることを特徴とする。
この発明によれば、点灯時における電流リップルを確実に低減することができる。
請求項6の発明は、請求項2〜5の何れかの発明において、前記制御部は、前記第1及び第2のスイッチング制御において第1及び第2のスイッチング素子のスイッチング周波数を同一の上限値及び下限値の間で連続的に変化させることを特徴とする。
この発明によれば、制御部の構成を複雑にすることなく高圧放電灯の点灯直後における立ち消えが抑制できる。
請求項7の発明は、請求項2〜6の何れかの発明において、前記制御部は、前記第2のスイッチング制御の開始前に、前記第1又は第2のスイッチング素子のうちで前記直流電源と第2のコンデンサと高圧放電灯を含む閉ループ上に存在する方のスイッチング素子を高周波でスイッチングすることにより前記第2のコンデンサを所定電圧に達するまで充電することを特徴とする。
この発明によれば、第1のスイッチング制御から第2のスイッチング制御に移行した時点で第2のコンデンサ並びに高圧放電灯に流れる突入電流を抑制してストレスを低減することができる。
請求項8の発明は、請求項2〜6の何れかの発明において、前記制御部は、前記第1のスイッチング制御において第1及び第2のスイッチング素子のオンデューティ比を異ならせることを特徴とする。
この発明によれば、第1のスイッチング制御から第2のスイッチング制御に移行した時点で第2のコンデンサ並びに高圧放電灯に流れる突入電流を抑制してストレスを低減することができる。
請求項9の発明は、請求項2〜8の何れかの発明において、前記制御部は、前記第2のコンデンサの両端電圧が高圧放電灯の点灯維持電圧に達した時点で第2のスイッチング制御における高周波でスイッチングするスイッチング素子を交番させることを特徴とする。
この発明によれば、高圧放電灯の安定な点灯維持が可能となる。
請求項10の発明は、請求項2〜9の何れかの発明において、前記制御部は、前記第1のスイッチング制御におけるスイッチング周波数を第1の共振回路の共振周波数の近傍で連続的に変化させることを特徴とする。
この発明によれば、高圧放電灯の始動に必要十分な始動電圧を得ることができる。
本発明によれば、始動時における始動電圧は第1の共振回路の回路定数によって決めることができるとともに、点灯時におけるフィルタ特性は第2の共振回路の回路定数によって決めることができるため、十分な始動電圧と、点灯時における電流リップルの低減を両立した設計が容易に行え、したがって、簡単な構成でありながら、高圧放電灯の始動時には十分な始動電圧が得られるとともに点灯時には高圧放電灯に流れるランプ電流の電流リップルを低減することができるという効果がある。
(実施形態1)
本実施形態の高圧放電灯点灯装置は、図1に示すように図示しない寄生ダイオードを有する電界効果トランジスタからなる第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2が直流電源Eの両端間に直列接続された直列回路からなるインバータ部1と、高圧放電灯(以下、「放電灯」と略す)DLに直列接続され且つ放電灯DLとともに第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2の直列回路に並列接続された第1のコンデンサC1、第2のコンデンサC2を介して第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2の接続点に一端が接続された第1のインダクタL1、第1のインダクタL1の他端と第1のコンデンサC1の放電灯DLに接続された一端とに直列接続された第2のインダクタL2からなる第1の共振回路2と、第1及び第2のインダクタL1,L2の接続点に一端が接続されるとともに他端が第3のスイッチング素子Q3を介して放電灯DLの第2のスイッチング素子Q2との接続点に接続された第3のコンデンサC3、並びに第1及び第2のインダクタL1,L2からなる第2の共振回路3と、第1〜第3のスイッチング素子Q1〜Q3をスイッチング制御する制御部4とを備える。なお、第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2として電界効果トランジスタを用いているが、従来例と同様にダイオードが逆並列に接続されたバイポーラトランジスタを用いることも可能である。
本実施形態の高圧放電灯点灯装置は、図1に示すように図示しない寄生ダイオードを有する電界効果トランジスタからなる第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2が直流電源Eの両端間に直列接続された直列回路からなるインバータ部1と、高圧放電灯(以下、「放電灯」と略す)DLに直列接続され且つ放電灯DLとともに第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2の直列回路に並列接続された第1のコンデンサC1、第2のコンデンサC2を介して第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2の接続点に一端が接続された第1のインダクタL1、第1のインダクタL1の他端と第1のコンデンサC1の放電灯DLに接続された一端とに直列接続された第2のインダクタL2からなる第1の共振回路2と、第1及び第2のインダクタL1,L2の接続点に一端が接続されるとともに他端が第3のスイッチング素子Q3を介して放電灯DLの第2のスイッチング素子Q2との接続点に接続された第3のコンデンサC3、並びに第1及び第2のインダクタL1,L2からなる第2の共振回路3と、第1〜第3のスイッチング素子Q1〜Q3をスイッチング制御する制御部4とを備える。なお、第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2として電界効果トランジスタを用いているが、従来例と同様にダイオードが逆並列に接続されたバイポーラトランジスタを用いることも可能である。
制御部4はマイコンを主構成要素とし、予め搭載されているプログラムを実行することで後述するような第1のスイッチング制御並びに第2のスイッチング制御等を実行するものである。また、第2のコンデンサC2は電解コンデンサからなり、第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2の接続点に正極が接続されている。なお、本実施形態では放電灯DLとして高輝度放電灯(HIDランプ)を用いるが、高圧放電灯の種類は高輝度放電灯に限定されるものではない。
次に、図2のタイムチャートを参照して本実施形態の動作を説明する。但し、図2の(a)は制御部4から第1のスイッチング素子Q1の制御端子(ゲート)に出力される制御信号、図2(b)は制御部4から第2のスイッチング素子Q2の制御端子に出力される制御信号、図2(c)は制御部4から第3のスイッチング素子Q3の制御端子に出力される制御信号をそれぞれ示しており、制御信号がHレベルのときに各スイッチング素子Q1〜Q3がオンとなり、Lレベルのときにオフとなる。また、図2(d)は放電灯DLの両端に印加される電圧(ランプ電圧)VDL、図2(e)は放電灯DLに流れる電流(ランプ電流)IDLをそれぞれ示している。
まず、放電灯DLの始動時の動作を説明する。始動時における制御部4は、第3のスイッチング素子Q3をオフした状態で第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2を高周波で交互にスイッチングする第1のスイッチング制御を行う期間T1,T3、第2のスイッチング素子Q2のみを高周波でスイッチングする期間T2、並びに第1のスイッチング素子Q1のみを高周波でスイッチングする期間T4を期間T1−T2−T3−T4−T1の順序で周期的に繰り返している。
期間T1において、第1のスイッチング素子Q1がオフ、第2のスイッチング素子Q2がオンのときには、第1及び第2のインダクタL1,L2に蓄積されているエネルギの放出による回生電流が、第1のインダクタL1→第2のインダクタL2→第1のコンデンサC1→直流電源E→第2のスイッチング素子Q2の寄生ダイオード→第2のコンデンサC2→第1のインダクタL1の経路で流れた後、直流電源Eを電源として直流電源E→第1のコンデンサC1→第2のインダクタL2→第1のインダクタL1→第2のコンデンサC2→第2のスイッチング素子Q2→直流電源Eの経路で電流が流れる。
一方、第1のスイッチング素子Q1がオン、第2のスイッチング素子Q2がオフのときには、第1及び第2のインダクタL1,L2に蓄積されているエネルギの放出による回生電流が、第2のインダクタL2→第1のインダクタL1→第2のコンデンサC2→第1のスイッチング素子Q1の寄生ダイオード→第1のコンデンサC1→第2のインダクタL2の経路で流れた後、第1のコンデンサC1を電源として第1のコンデンサC1→第1のスイッチング素子Q1→第2のコンデンサC2→第1のインダクタL1→第2のインダクタL2→第1のコンデンサC1の経路で電流が流れる。そして、上記動作が高周波で繰り返されることにより、放電灯DLの両端電圧VDLは第1及び第2のインダクタL1,L2と第1のコンデンサC1からなる第1の共振回路2で増幅された高周波電圧となる(図2(d)参照)。
期間T2において、第2のスイッチング素子Q2がオンのときには、直流電源Eを電源として直流電源E→第1のコンデンサC1→第2のインダクタL2→第1のインダクタL1→第2のコンデンサC2→第2のスイッチング素子Q2→直流電源Eの経路で電流が流れ、第2のスイッチング素子Q2がオフのときには、第1及び第2のインダクタL1,L2に蓄積されているエネルギの放出による回生電流が、第2のインダクタL2→第1のインダクタL1→第2のコンデンサC2→第1のスイッチング素子Q1の寄生ダイオード→第1のコンデンサC1→第2のインダクタL2の経路で流れる。そして、上記動作が高周波で繰り返されることにより、放電灯DLの両端電圧VDLは直流電源Eの負極(グランド)に対して負の直流電圧となる(図2(d)参照)。
期間T3における動作は期間T1と共通であって、放電灯DLの両端電圧VDLは第1及び第2のインダクタL1,L2と第1のコンデンサC1からなる第1の共振回路2で増幅された高周波電圧となる(図2(d)参照)。
期間T4において、第1のスイッチング素子Q1がオンのときには、第1のコンデンサC1を電源として第1のコンデンサC1→第1のスイッチング素子Q1→第2のコンデンサC2→第1のインダクタL1→第2のインダクタL2→第1のコンデンサC1の経路で電流が流れ、第1のスイッチング素子Q1がオフのときには、第1のインダクタL1→第2のインダクタL2→第1のコンデンサC1→直流電源E→第2のスイッチング素子Q2の寄生ダイオード→第2のコンデンサC2→第1のインダクタL1の経路で流れる。そして、上記動作が高周波で繰り返されることにより、放電灯DLの両端電圧VDLは直流電源Eの負極(グランド)に対して正の直流電圧となる(図2(d)参照)。
而して、制御部4が期間T1〜T4の動作を繰り返すことにより、放電灯DLの始動に必要十分な高周波電圧(始動電圧)を得ることができる。尚、上述の動作説明における高周波とは、数kHz〜数百kHz程度の周波数である。
次に、放電灯DLが始動した後の定常点灯時の動作を説明する。定常点灯時における制御部4は、第3のスイッチング素子Q3をオンした状態で第1のスイッチング素子Q1を高周波でスイッチングする期間T5と、第2のスイッチング素子Q2を高周波でスイッチングする期間T6を低周波で交番する第2のスイッチング制御を行う。
期間T5において、第1のスイッチング素子Q1がオンのときには、直流電源Eを電源として直流電源E→第1のスイッチング素子Q1→第2のコンデンサC2→第1のインダクタL1→第2のインダクタL2→放電灯DL→直流電源Eの経路で電流が流れ、第1のスイッチング素子Q1がオフのときには、第1及び第2のインダクタL1,L2に蓄積されているエネルギの放出による回生電流が、第1のインダクタL1→第2のインダクタL2→放電灯DL→第2のスイッチング素子Q2の寄生ダイオード→第2のコンデンサC2→第1のインダクタL1の経路で流れる。そして、上記動作が高周波(数kHz〜数百kHz)で繰り返されることにより、放電灯DLの両端には直流電源Eの負極(グランド)に対して正の直流電圧VDLが印加される(図2(d)参照)。
一方、期間T6において、第2のスイッチング素子Q2がオンのときには、第2のコンデンサC2を電源として第2のコンデンサC2→第2のスイッチング素子Q2→放電灯DL→第2のインダクタL2→第1のインダクタL1→第2のコンデンサC2の経路で電流が流れ、第2のスイッチング素子Q2がオフのときには、第1及び第2のインダクタL1,L2に蓄積されているエネルギの放出による回生電流が、第2のインダクタL2→第1のインダクタL1→第2のコンデンサC2→第1のスイッチング素子Q1の寄生ダイオード→直流電源E→放電灯DL→第2のインダクタL2の経路で流れる。そして、上記動作が高周波(数kHz〜数百kHz)で繰り返されることにより、放電灯DLの両端には直流電源Eの負極(グランド)に対して負の直流電圧VDLが印加される(図2(d)参照)。さらに制御部4は、期間T5,T6を低周波(数十Hz〜数百Hz)で交番させており、その結果、定常点灯時における放電灯DLには矩形波の交流電圧が印加されることになる。
ここで期間T5,T6においては、第2の共振回路3を構成する第2のインダクタL2及び第3のコンデンサC3がフィルタとなり、放電灯DLに流れる矩形波のランプ電流IDLからリップル成分を低減することができる。しかも、フィルタを構成する第3のコンデンサC3が始動時には第3のスイッチング素子Q3がオフすることで回路から切り離され、定常点灯時にのみ第3のスイッチング素子Q3がオンすることで回路に接続されるから、始動時における始動電圧を第1及び第2のインダクタL1,L2と第1のコンデンサC1からなる第1の共振回路2の回路定数(インダクタンス値及び容量値)によって決めることができ、定常点灯時におけるフィルタ特性を第2の共振回路3を構成する第2のインダクタL2のインダクタンス値及び第3のコンデンサC3の容量値によって決めることができるため、十分な始動電圧と、定格点灯時における電流リップルの低減を両立した設計が容易に行えるようになる。
また、定常点灯時に放電灯DLに流れるランプ電流IDLは、期間T5,T6においては正極性又は負極性の直流電流となるから、第1のコンデンサC1には2つの期間T5,T6が切り換わる瞬間以外にはほとんど電流が流れない。すなわち、定常点灯時には第1の共振回路2を構成する第1のコンデンサC1から放電灯DLに流れ込む電流がほぼゼロであるため、例えば、放電灯DLが始動した瞬間に第1のコンデンサC1→放電灯DL→直流電源E→第1のコンデンサC1の経路で流れ込む突入電流を低減することができる。尚、このような突入電流の低減効果は第1のコンデンサC1の容量値が小さいほど顕著である。
さらに、第2のインダクタL2のインダクタンス値を第1のインダクタL1のインダクタンス値よりも大きい値に設定すれば、定常点灯時に第2の共振回路3による共振電圧の大部分が第2のインダクタL2に印加され、第3のコンデンサC3及び第3のスイッチング素子Q3に印加される電圧を小さくしてストレスを低減することができる。その結果、始動電圧が数kVとなるような場合においても、第3のスイッチング素子Q3の電圧耐量を第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2の電圧耐量と同程度に抑えることが可能となる。
(実施形態2)
図3に本実施形態の高圧放電灯点灯装置の回路図を示す。但し、実施形態1と共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、本実施形態の特徴である制御部4の構成及び動作についてのみする。
図3に本実施形態の高圧放電灯点灯装置の回路図を示す。但し、実施形態1と共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、本実施形態の特徴である制御部4の構成及び動作についてのみする。
放電灯DLと第3のスイッチング素子Q3との間にランプ電流IDLを検出する検出抵抗Rxが接続され、検出抵抗Rxで検出される検出電圧VRxが制御部4に取り込まれる。制御部4はオペアンプOP1からなる差動増幅器で検出電圧VRxとランプ電流IDLの目標値を決める指令値との差分を増幅しており、この差動増幅器の出力端が第2の切換スイッチSW2の一方の切換端子b2に接続されている。第2の切換スイッチSW2の他方の切換端子a2には直流電圧V2が印加されており、共通端子c2がコンパレータCP1のマイナス側入力端子に接続されている。また、コンパレータCP1のプラス側入力端子には、高周波発振器4aから出力される三角波のパルス信号が入力されている。
コンパレータCP1の出力端は、2つのアンドゲートAD1,AD2の一方の入力端にそれぞれ接続されている。これら2つのアンドゲートAD1,AD2の他方の入力端にオアゲートOR1,OR2の出力端がそれぞれ接続され、アンドゲートAD1,AD2の出力が第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2のゲートに駆動信号を出力する駆動回路4bに入力されている。
2つのオアゲートOR1,OR2の一方の入力端には低周波発振器4cから出力される矩形波のパルス信号が入力され、他方の入力端には第1の切換スイッチSW1の共通端子c1が接続されている。第1の切換スイッチSW1の一方の切換端子b1には直流電圧V1が印加され、他方の切換端子a1はグランドに接地されている。また、第3のスイッチング素子Q3のゲートに駆動信号を出力する駆動回路4dにも第1の切換スイッチSW1の共通端子c1が接続されている。
次に、上述のような回路構成を有する制御部4の動作を説明する。
まず、放電灯DLの始動時の動作を説明する。始動時においては、第1及び第2の切換スイッチSW1,SW2がそれぞれ一方の切換端子a1,a2に切り換えられる。第1の切換スイッチSW1が切換端子a1に接続されていることから、駆動回路4dの入力がLレベルとなり、駆動回路4dから出力される駆動信号もLレベルとなって第3のスイッチング素子Q3はオフ状態となる(図4(c)参照)。また、第1の切換スイッチSW1の共通端子c1に接続されている2つのオアゲートOR1,OR2は、低周波発振器4cの出力に関わらず、その出力が常にHレベルとなるため、2つのアンドゲートAD1,AD2の出力は、コンパレータCP1の出力に応じて相補的にH,Lが切り換えられることになる。コンパレータCP1は、第2の切換スイッチSW2を介して印加される直流電圧V2と高周波発振器4aの出力とを比較することにより高周波の矩形波パルスを出力する。なお、直流電圧V2のレベルを高周波発振器4aの出力パルスのピーク値の半分にすれば、コンパレータCP1の出力パルスのオンデューティ比が50%となり、直流電圧V2を増減することで出力パルスのオンデューティ比が調整可能である。そして、アンドゲートAD1,AD2の出力を受けて駆動回路4bが、若干のデッドオフタイムを設けた上で第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2のゲートに駆動信号を出力することにより、第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2が高周波で交互にオン・オフ(スイッチング)される(図4(a)(b)参照)。
上述のようにして第3のスイッチング素子Q3をオフした状態で第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2を高周波でスイッチングすることにより、図4(d)に示すように放電灯DLに印加される電圧VDLが高周波の交流電圧となる。ここで、図4では模式的に示しているが、高周波発振器4aの出力パルスの周波数を変動させることにより、放電灯DLに印加される始動電圧VDLのレベルを調整することが可能であるから、例えば、周波数を上限値と下限値の間で連続的に変化させることにより、図4(d)に示すように放電灯DLに印加される電圧VDLのピーク値を周期的に増減させることができる。あるいは、高周波発振器4aの出力パルスの周波数を時間的に変動しない一定値に固定すれば、ほぼ一定の振幅を有する電圧VDLを放電灯DLに印加することができることは言うまでもない。なお、本実施形態では実施形態1における期間T2,T4の動作を省略しているため、放電灯DLに印加される電圧VDLが直流電圧となる期間は存在しない。
次に、放電灯DLが始動した後の定常点灯時の動作を説明する。定常点灯時においては、第1及び第2の切換スイッチSW1,SW2がそれぞれ他方の切換端子b1,b2に切り換えられる。第1の切換スイッチSW1が切換端子b1に接続されていることから、駆動回路4dの入力がHレベルとなり、駆動回路4dから出力される駆動信号もHレベルとなって第3のスイッチング素子Q3がオン状態となる(図4(c)参照)。また、第1の切換スイッチSW1の共通端子c1に接続されている2つのオアゲートOR1,OR2の出力が低周波発振器4cの出力に依存するため、2つのアンドゲートAD1,AD2の出力は、コンパレータCP1の出力と低周波発振器4cの出力の論理積に応じて相補的にH,Lが切り換えられることになる。コンパレータCP1は、第2の切換スイッチSW2を介して印加される差動増幅器(オペアンプOP1)の出力と高周波発振器4aの出力とを比較することにより高周波の矩形波パルスを出力する。
ここで差動増幅器においては、ランプ電流IDLの目標値を決める指令値(電圧値)とランプ電流IDLの検出電圧VRxとの差分をオペアンプOP1の入力抵抗R1と帰還抵抗R2の比(=R2/R1)で決まる増幅率で増幅しているため、差動増幅器の出力はランプ電流IDLにフィードバックがかかった形となり、指令値に追従した値となる。
したがって、2つのアンドゲートAD1,AD2の出力は、高周波のパルス信号が低周波で交互に切り換わることとなり、実施形態1と同様に、第2の共振回路3を構成する第2のインダクタL2及び第3のコンデンサC3がフィルタとなってリップル成分が低減された矩形波のランプ電流IDLが放電灯DLに供給される(図4(e)参照)。尚、実施形態1で説明したように定常点灯時に第1のコンデンサC1に流れる電流は、ランプ電流IDLに比べて極めて小さいため、ほとんど無視することができる。
ここで、図5に示すように第3のスイッチング素子Q3と直列に接続された検出抵抗Ryで第3のコンデンサC3に流れる電流IC3を検出し、その検出電圧VRyとランプ電流IDLの検出電圧VRxとの和から第1のインダクタL1に流れる電流IL1を制御部4にて求め、この電流IL1が略ゼロとなる期間を経て連続して流れるように第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2をスイッチングする、いわゆる電流境界モードで動作させれば、第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2におけるスイッチング損失を低減することができる。また、図示は省略しているが、放電灯DLと第2のインダクタL2との接続点の電圧を検出して制御部4に入力し、この電圧を用いて放電灯DLの点灯判別を行うこともできる。
ところで、図6に示すように交流電源ACから直流電圧を得る電源回路5を直流電源Eの代わりに用いても構わない。この電源回路5は、交流電源ACを整流するダイオードブリッジDBと、チョークコイルL3と、スイッチング素子Q4と、ダイオードD1と、平滑コンデンサC4と、平滑コンデンサC4の両端電圧を目標電圧に一致させるようにスイッチング素子Q4をPWM制御するチョッパ制御部5aとを具備する従来周知の昇圧チョッパ回路で構成され、平滑コンデンサC4の両端に第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2の直列回路が接続される。但し、このような昇圧チョッパ回路の動作は従来周知であるから、説明は省略する。
このような電源回路5を用いた場合、放電灯DLが半波放電状態になり、例えば図6における矢印の向きにしかランプ電流IDLが流れなくなったとき、すなわち、平滑コンデンサC4→第1のスイッチング素子Q1→第2のコンデンサC2→第1のインダクタL1→第2のインダクタL2→放電灯DL→平滑コンデンサC4の経路でしか電流が流れなくなったときでも、第1のスイッチング素子Q1の寄生ダイオード(図示せず)によって第2のコンデンサC2の両端電圧が平滑コンデンサC4の両端電圧以上に上昇することはなく、しかも、平滑コンデンサC4の両端電圧(昇圧チョッパ回路の出力電圧)はチョッパ制御部5aによって一定値に制御されるため、第2のコンデンサC2の両端電圧が異常に上昇することもない。また、図6における矢印と反対の向きにしかランプ電流IDLが流れなくなったとき、すなわち、第2のコンデンサC2→第1のインダクタL1→第2のインダクタL2→放電灯DL→第2のスイッチング素子Q2の寄生ダイオード→第2のコンデンサC2の経路でしか電流が流れなくなったときでも、第2のコンデンサC2の両端電圧がゼロになるとそれ以上流れなくなり、第2のコンデンサC2が逆充電されることもなく、第2のコンデンサC2へ加わるストレス(過充電や過放電)を低減することができる。
(実施形態3)
図7に本実施形態の高圧放電灯点灯装置の回路図を示す。但し、実施形態1及び2と共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、本実施形態の特徴である制御部4の構成及び動作についてのみする。
図7に本実施形態の高圧放電灯点灯装置の回路図を示す。但し、実施形態1及び2と共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、本実施形態の特徴である制御部4の構成及び動作についてのみする。
本実施形態における制御部4が実施形態2における制御部4と異なる点は、放電灯DLが点灯しているか否かを判別して第1及び第2の切換スイッチSW1,SW2に対する切換信号FGを出力する点灯判別部4eと、点灯判別部4eから出力される切換信号FGを遅延させて第1及び第2の切換スイッチSW1,SW2に出力する遅延部4fとを具備する点にある。
点灯判別部4eは、ランプ電流IDLを整流するダイオードDf、ダイオードDfで整流されたランプ電流IDLを検出する検出抵抗Rf、検出抵抗Rfと並列接続されたコンデンサCf、検出抵抗Rfで検出された検出電圧VRfがプラス側入力端子に入力され、マイナス側入力端子に入力される基準電圧V3と比較するコンパレータCP2からなり、放電灯DLの消灯時にLレベルとなり、点灯時にHレベルとなる切換信号FGがコンパレータCP2から出力される。
遅延部4fは、マイナス側入力端子に入力される切換信号FGをプラス側入力端子に入力される基準電圧V4と比較するコンパレータCP3、コンパレータCP3のマイナス側入力端子を制御電圧Vccにプルアップするプルアップ抵抗Rd、マイナス側入力端子とグランドの間に挿入されるコンデンサCdからなり、遅延部4fを介して出力される切換信号FGによりアナログスイッチからなる第1及び第2の切換スイッチSW1,SW2が動作する。
放電灯DLの始動時においては、ランプ電流IDLが流れないために点灯判別部4eの検出抵抗Rfの両端に検出電圧が発生せず、コンパレータCP2の出力(切換信号FG)が常にLレベルとなる(図8(d)参照)。遅延部4fに入力される切換信号FGがLレベルであれば、コンパレータCP3のマイナス側入力端子もLレベルとなり、遅延部4fから出力される切換信号FGはHレベルとなる。切換信号FGがHレベルのときには第1の切換スイッチSW1の共通端子c1は切換端子a1に接続され、第2の切換スイッチSW2の共通端子c2は切換端子a2に接続されるから、実施形態2で説明したように動作して放電灯DLに高周波の始動電圧(ランプ電圧VDL)が印加される。
始動電圧の印加によって放電灯DLが絶縁破壊を起こして始動すると、放電灯DLにランプ電流IDLが流れ始めて点灯判別部4eの検出抵抗Rfの両端に検出電圧が発生し、コンパレータCP2の出力(切換信号FG)がLレベルからHレベルに変化する(図8(d)参照)。すると、遅延部4fにおけるコンデンサCfが抵抗Rfを介して制御電圧Vccにより徐々に充電されるからコンパレータCP3のマイナス側入力端子の入力電圧も徐々に上昇し、やがて基準電圧V4を超えた時点でコンパレータCP3の出力、すなわち切換信号FGがHレベルからLレベルに変化することになる。切換信号FGがHレベルからLレベルに変化すると第1及び第2の切換スイッチSW1,SW2では、共通端子c1,c2がそれぞれ一方の切換端子a1,a2から他方の切換端子b1,b2に切り換えられる。ここで、遅延部4fに入力される切換信号FGからLレベルからHレベルに変化した時点t1から遅延部4fから出力される切換信号FGがHレベルからLレベルに変化して第3のスイッチング素子Q3がオンする時点t2までの期間が遅延部4fによる遅延期間tdとなる。
この遅延期間tdにおいては、放電灯DLは点灯しているものの、第1〜第3のスイッチング素子Q1〜Q3は始動時と同様に第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2が高周波で交互にスイッチングされるとともに第3のスイッチング素子Q3がオフしているため、図8(f)に示すように放電灯DLには高周波のランプ電流IDLが流れ続けることになり、始動時のランプ電流IDLの押し込み不足による放電灯DLの立ち消え等の現象を回避することができる。
一方、遅延期間tdの経過後においては、実施形態1における定常点灯時と同様に第3のスイッチング素子Q3がオン、第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2が高周波でスイッチングされる状態が低周波で交互に切り換えられる。このとき、遅延期間tdの経過時点において第1のスイッチング素子Q1を高周波でスイッチングする期間T5から開始することが望ましい。すなわち、第1のスイッチング素子Q1を高周波でスイッチングする場合には直流電源Eを電源として放電灯DLにランプ電流IDLを流すことができるが、第2のスイッチング素子Q2を高周波でスイッチングする場合には第2のコンデンサC2を電源としてランプ電流IDLを流すために第2のコンデンサC2の放電ととともにランプ電流IDLも徐々に減少して電流の不足による立ち消えが生じてしまう虞があり、上述のように期間T5から開始することでこのような立ち消えの発生を未然に防止することができる。
尚、本実施形態では放電灯DLの点灯判別をランプ電流IDLにより行っているが、第1のコンデンサC1と放電灯DLの接続点の電位から高圧放電灯DLのランプ電圧VDLを検出して点灯判別を行うようにしても構わない。
(実施形態4)
本実施形態の回路構成は実施形態3と同一であるから図示並びに説明は省略する。
本実施形態の回路構成は実施形態3と同一であるから図示並びに説明は省略する。
図9の実線イは第2のインダクタL2及び第3のコンデンサC3からなるローパスフィルタのゲイン特性を示しており、カットオフ周波数f0は次式で求められる。
f0={2π(L2・C3)1/2}-1
したがって、放電灯DLの定常点灯時における第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数をカットオフ周波数f0よりも大きい周波数に設定することでランプ電流IDLの電流リップルを低減することができる。
したがって、放電灯DLの定常点灯時における第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数をカットオフ周波数f0よりも大きい周波数に設定することでランプ電流IDLの電流リップルを低減することができる。
一方、図9の実線ロは第1の共振回路2の共振特性を示しており、その共振周波数f1は次式で求められる。
f1=〔2π{(L1+L2)・C1}1/2〕-1
したがって、始動時には第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2を共振周波数f1の近傍の周波数でスイッチングすることにより、十分な始動電圧を得ることができる。
したがって、始動時には第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2を共振周波数f1の近傍の周波数でスイッチングすることにより、十分な始動電圧を得ることができる。
ここで、第1の共振回路2の共振周波数f1をフィルタのカットオフ周波数f0よりも大きい値とし、両者の周波数間隔を十分に離すことにより、定常点灯時における電流リップルを十分に小さくすることができる。このためには、第3のコンデンサC3の容量値を第1のコンデンサC1の容量値よりも十分に大きい値とするか、あるいは第2のインダクタL2のインダクタンス値を第1のインダクタL1のインダクタンス値よりも十分に大きい値とするか、若しくはそれらを同時に行えば良い。このようにすれば、カットオフ周波数f0はより低く、共振周波数f1はより高くなる方向へ設計されるため、放電灯DLの点灯時に十分にリップルを低減できる周波数範囲がより広くなり、設計が容易になる。例えば、第1のコンデンサC1の容量値としては数n〜数10nF、コンデンサC3は0.1μF〜2μF程度に設定すれば良く、第1及び第2のインダクタL1,L2のインダクタンス値としてはそれぞれ数100μH〜1mH、2〜5mH程度に設定すれば良い。
ところで本実施形態においては、始動時における第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数(制御部4の高周波発振器4aの発振周波数)を、図10に示すように上限値fdから下限値fcまで連続的に変化させるとともに下限値fcに達したら再び上限値fdに戻って同じ動作を繰り返すようにしており、放電灯DLの始動直後においても第1の共振回路2の共振をより強める方向へ動作させて押し込み電流不足による放電灯DLの立ち消えを抑制することができる。尚、本実施形態では下限値fcと上限値fdの間に共振周波数f1を含むようにしているが、必ずしも共振周波数f1を含む必要はない。但し、共振周波数f1を含まない場合には下限値fcを共振周波数f1よりも大きい値に設定して第1の共振回路2を誘導側、すなわち、第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2に流れる電流が遅相となる側の領域を用いることが望ましい。このように共振周波数f1近傍の周波数で第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2をスイッチングすることにより、第2の共振回路2の共振電圧を十分に高い値とすることができるため、例えば、始動時における直流電源Eの電源電圧が低くても放電灯DLに十分な始動電圧を印加することができる。
上述の動作は遅延期間tdが終了するまで継続され、遅延期間tdが終了すると第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数がカットオフ周波数f0よりも大きい周波数fbに切り換えられ、以降、時間の経過とともにより低い周波数fa(>f0)まで連続的に変化させられて電流リップルが低減される(図10参照)。
但し、遅延期間td終了後の定常点灯時における第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数を、図11に示すように始動時における上限値fdから下限値fcの範囲で連続的に変化するようにしても構わない。このようにすれば、制御部4の高周波発振器4aの周波数範囲を切り換える必要がなくなり、制御部4の回路構成を簡素化することができる。また、定常点灯時におけるスイッチング周波数がフィルタのカットオフ周波数f0からさらに大きく離れるため、電流リップルの一層の低減が図れるという利点もある。但し、スイッチング周波数は必ずしも連続的に変化させる必要はなく、一定の周波数で固定しても構わない。スイッチング周波数を固定する場合には第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2のオンデューティ比により放電灯DLへの供給電力を調整すればよい。
(実施形態5)
本実施形態の回路構成は実施形態3と同一であるから図示並びに説明は省略する。
本実施形態の回路構成は実施形態3と同一であるから図示並びに説明は省略する。
遅延期間tdを含めて第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2が高周波で交互にスイッチングされている間は電解コンデンサからなる第2のコンデンサC2にはほとんど電荷が蓄積されないが、放電灯DLが点灯して遅延期間tdが終了し、第2のスイッチング制御が開始されると、直流電源E→第1のスイッチング素子Q1→第2のコンデンサC2→第1のインダクタL1→第2のインダクタL2→放電灯DL→直流電源Eの経路で電流が流れて第2のコンデンサC2が充電されることになる。このとき、第2のコンデンサC2の充電電荷がほぼゼロであるから、大きな突入電流が第2のコンデンサC2に流れて大きなストレスが加えられることになる。
そこで本実施形態においては、図12に示すように遅延期間tdが終了した時点t2から所定期間td’だけ第1のスイッチング素子Q1のスイッチング周波数を大きくすることにより、第2のコンデンサC2に流れ込む電流IC2のピーク値Ipを抑え、第2のコンデンサC2に加わるストレスを低減している。但し、所定期間td’のスイッチング周波数を大きくする代わりにオンデューティ比を小さくしても同様の効果が得られ、あるいは、スイッチング周波数とオンデューティ比の両方を制御するようにしても構わない。
(実施形態6)
本実施形態の回路構成は実施形態3と同一であるから図示並びに説明は省略する。
本実施形態の回路構成は実施形態3と同一であるから図示並びに説明は省略する。
実施形態5で説明したように、放電灯DLが点灯して遅延期間tdが終了し、第1又は第2のスイッチング素子Q1,Q2の一方が高周波でスイッチングされる期間が低周波で交番されるようになると、直流電源E→第1のスイッチング素子Q1→第2のコンデンサC2→第1のインダクタL1→第2のインダクタL2→放電灯DL→直流電源Eの経路で放電灯DLにも突入電流が流れることになるが、このときに第2のコンデンサC2に電荷を充電しておけば、放電灯DLに流れる突入電流を抑制することができる。
そこで本実施形態では、図13に示すように第1のスイッチング制御における第1のスイッチング素子Q1のオンデューティ比を第2のスイッチング素子Q2のオンデューティ比よりも大きくしてアンバランスにスイッチングすることにより、第2のコンデンサC2を充電してその両端電圧VC2を徐々に大きくし、やがてオンデューティ比で決まる一定電圧に落ち着くようにしている。このように第2のコンデンサC2に予め電荷を充電することにより、放電灯DLに流れる突入電流を抑制し、放電灯DLに加わるストレスを低減することができる。
あるいは、図14に示すように第2のコンデンサC2及び第2のスイッチング素子Q2と並列にスイッチング素子Q5を接続するとともに第1のスイッチング素子Q1と並列に抵抗Rjを接続し、図15に示すように遅延期間tdには制御部4によりスイッチング素子Q5をオンして直流電源E→抵抗Rj→第2のコンデンサC2→スイッチング素子Q5→直流電源Eの経路で電流を流して第2のコンデンサC2を充電しておき、遅延期間tdの終了時点t2でスイッチング素子Q5をオフするようにしても同様の効果が得られる。但し、この構成では点灯時においても抵抗Rjに電流が流れて電力が消費されるため、抵抗Rjの抵抗値はできるだけ小さくする必要がある。
(実施形態7)
本実施形態の回路構成は実施形態3と同一であるから図示並びに説明は省略する。
本実施形態の回路構成は実施形態3と同一であるから図示並びに説明は省略する。
定常点灯時における第2のコンデンサC2の両端電圧VC2は、第1のスイッチング素子Q1がスイッチングされている間は直流電源Eにより充電されて徐々に上昇し、第2のスイッチング素子Q2がスイッチングされている間は放電灯DLへの電力供給により放電されて徐々に下降する。このとき、第2のスイッチング制御における第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2のオンデューティ比を50%とすれば、第2のコンデンサC2の両端電圧VC2は直流電源Eの電源電圧のおよそ半分の値をピーク値として変動することになる。
一方、一般に高圧放電灯の点灯維持電圧は定格ランプ電圧の約1.5〜2倍が必要であるといわれており、点灯維持電圧以下で点灯させると放電が不安定になって立ち消えを起こす可能性がある。
そこで本実施形態においては、図16に示すように第2のコンデンサC2の両端電圧VC2が放電灯DLの点灯維持電圧Vthに達した時点で第2のスイッチング制御を行うことにより、少なくとも立ち消えの発生する可能性が高いスイッチング制御の切換時点におけるランプ電圧VDLが点灯維持電圧Vthを下回らないようにして安定した放電が維持されるようにしている。
あるいは、図17に示すように第2のコンデンサC2の許容電圧値Vmを上限とし、上記点灯維持電圧Vthを下限として第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2の高周波スイッチングを交番する第2のスイッチング制御を行えば、放電灯DLを一層安定して点灯させることが可能である。
1 インバータ部
2 第1の共振回路
3 第2の共振回路
4 制御部
Q1 第1のスイッチング素子
Q2 第2のスイッチング素子
Q3 第3のスイッチング素子
L2 第2のインダクタ
C3 第3のコンデンサ
2 第1の共振回路
3 第2の共振回路
4 制御部
Q1 第1のスイッチング素子
Q2 第2のスイッチング素子
Q3 第3のスイッチング素子
L2 第2のインダクタ
C3 第3のコンデンサ
Claims (10)
- 高圧放電灯に矩形波の低周波交流電圧を印加して点灯する高圧放電灯点灯装置において、直流電源の直流電圧が印加される1乃至複数のスイッチング素子を具備し該スイッチング素子をスイッチングすることで直流電圧を交流電圧に変換するインバータ部と、高圧放電灯の始動時には前記インバータ部から高周波交流電圧を出力させるとともに高圧放電灯の点灯時には前記インバータ部から矩形波の低周波交流電圧を出力させるように1乃至複数の前記スイッチング素子をスイッチング制御する制御部と、高圧放電灯の始動時に前記インバータ部の出力を増幅して高圧放電灯に印加する第1の共振回路と、高圧放電灯の点灯時に前記インバータ部の出力を増幅して高圧放電灯に印加する第2の共振回路とを備えたことを特徴とする高圧放電灯点灯装置。
- 逆方向への電流を阻止しない第1及び第2のスイッチング素子が直流電源の両端間に直列接続された直列回路からなる前記インバータ部と、高圧放電灯に直列接続され且つ高圧放電灯とともに前記直列回路に並列接続された第1のコンデンサ、第2のコンデンサを介して前記第1及び第2のスイッチング素子の接続点に一端が接続された第1のインダクタ、該第1のインダクタの他端と前記第1のコンデンサの高圧放電灯に接続された一端とに直列接続された第2のインダクタからなる前記第1の共振回路と、前記第1及び第2のインダクタの接続点に一端が接続されるとともに他端が第3のスイッチング素子を介して前記第1のコンデンサ又は高圧放電灯の前記第1又は第2のスイッチング素子との接続点に接続された第3のコンデンサ、並びに前記第1及び第2のインダクタからなる前記第2の共振回路とを備え、前記制御部は、高圧放電灯の始動時に前記第3のスイッチング素子をオフした状態で前記第1及び第2のスイッチング素子を高周波で交互にスイッチングする第1のスイッチング制御を行い、高圧放電灯の点灯時に前記第3のスイッチング素子をオンした状態で前記第1又は第2のスイッチング素子を高周波でスイッチングするとともに低周波で交番する第2のスイッチング制御を行うことを特徴とする請求項1記載の高圧放電灯点灯装置。
- 前記制御部は、高圧放電灯の始動後から所定時間が経過した後に前記第1のスイッチング制御から第2のスイッチング制御に移行することを特徴とする請求項2記載の高圧放電灯点灯装置。
- 前記第2の共振回路を構成する第2のインダクタと第3のコンデンサからなるフィルタのカットオフ周波数を前記第1の共振回路の共振周波数よりも低い値に設定したことを特徴とする請求項2又は3記載の高圧放電灯点灯装置。
- 前記制御部は、前記第2のスイッチング制御における第1又は第2のスイッチング素子のスイッチング周波数を前記第2の共振回路を構成する第2のインダクタと第3のコンデンサからなるフィルタのカットオフ周波数よりも高くすることを特徴とする請求項2又は3又は4記載の高圧放電灯点灯装置。
- 前記制御部は、前記第1及び第2のスイッチング制御において第1及び第2のスイッチング素子のスイッチング周波数を同一の上限値及び下限値の間で連続的に変化させることを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載の高圧放電灯点灯装置。
- 前記制御部は、前記第2のスイッチング制御の開始前に、前記第1又は第2のスイッチング素子のうちで前記直流電源と第2のコンデンサと高圧放電灯を含む閉ループ上に存在する方のスイッチング素子を高周波でスイッチングすることにより前記第2のコンデンサを所定電圧に達するまで充電することを特徴とする請求項2〜6の何れかに記載の高圧放電灯点灯装置。
- 前記制御部は、前記第1のスイッチング制御において第1及び第2のスイッチング素子のオンデューティ比を異ならせることを特徴とする請求項2〜6の何れかに記載の高圧放電灯点灯装置。
- 前記制御部は、前記第2のコンデンサの両端電圧が高圧放電灯の点灯維持電圧に達した時点で第2のスイッチング制御における高周波でスイッチングするスイッチング素子を交番させることを特徴とする請求項2〜8の何れかに記載の高圧放電灯点灯装置。
- 前記制御部は、前記第1のスイッチング制御におけるスイッチング周波数を第1の共振回路の共振周波数の近傍で連続的に変化させることを特徴とする請求項2〜9の何れかに記載の高圧放電灯点灯装置。
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