JP2005048927A - 固体潤滑転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高性能の低発塵性転がり軸受であって、特に潤滑性および低発塵性が確実に長時間奏される高耐久性固体潤滑転がり軸受とすることである。
【解決手段】 内輪1、外輪2、これらの間に介在する複数の転動体3、転動体3を保持する保持器4とを備えた深溝玉軸受において、内輪1、外輪2および転動体3の部品の表面に、平均分子量が37000〜55000(分子量30000〜80000)のPTFEの微粒子を多島海状に分散させた固体潤滑皮膜1a、2a、3aを形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】 内輪1、外輪2、これらの間に介在する複数の転動体3、転動体3を保持する保持器4とを備えた深溝玉軸受において、内輪1、外輪2および転動体3の部品の表面に、平均分子量が37000〜55000(分子量30000〜80000)のPTFEの微粒子を多島海状に分散させた固体潤滑皮膜1a、2a、3aを形成する。
【選択図】 図1
Description
この発明は、半導体や液晶など清浄雰囲気下での製造設備用機器に使用されたり、または真空環境下などで使用される固体潤滑転がり軸受に関する。
半導体製造設備などに用いられる軸受は、真空で高い清浄度が要求される雰囲気下で駆動されるため、その潤滑剤として、二硫化モリブデンなどの層状物質、金、銀、鉛などの軟質金属、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)などの潤滑性高分子からなる固体潤滑剤が用いられている。
このような固体潤滑剤を用いた転がり軸受において、その内部に用いる固体潤滑剤の性能向上が要求されており、特に潤滑性を長時間維持できるための耐久性と、軸受から排出される固体潤滑剤の量を可及的に少なくするという低発塵性が要求されている。
このような要求に応じられるように、本願の出願人は、転がり軸受の内外輪に介在する転動体の表面に、平均分子量5000以下のPTFEからなる潤滑被膜を形成し、転動体を保持する保持器を自己潤滑性のポリイミドやPTFEで形成する手段を開示した(特許文献1参照。)。
また、同出願人は、平均分子量が25000以下のPTFEを有機溶媒に分散させて処理液を調整し、この処理液に軸受部品または軸受完成品を浸漬した後、これを乾燥させて、軸受部品または軸受完成品の表面に、PTFEの微粉末を島状(すなわち多島海状)に分布させた固体潤滑性皮膜を形成する方法を開示している(特許文献2参照。)。
このようなPTFEの微粉末を多島海状に分布させた固体潤滑性皮膜は、微小な凹凸のある表面で母材を覆う皮膜であり、凸状の島と島の間は薄い皮膜部分(いわゆる海状部分)によって連続している。
したがって、凸状の島が摩擦接触によって削り取られ、発生した潤滑性の微粉が凹部の皮膜(海状)部分に転着し、皮膜から離れ難いため、発塵量が減少するという作用を奏するものである。
しかし、上記した従来技術による低発塵性は、どのような条件で充分に長く持続するのか、すなわち使用耐久性のある条件が未解明であり、清浄な雰囲気下で低発塵性が充分に長く持続する高性能な固体潤滑転がり軸受が確実に得られていないという問題点がある。
そこで、この発明は、従来品より高性能の低発塵性転がり軸受であって、特に潤滑性および低発塵性が確実に長時間奏される高耐久性固体潤滑転がり軸受とすることを課題としている。
上記の課題を解決するために、この発明においては、内輪、外輪、内輪と外輪との間に介在する複数の転動体、転動体を保持する保持器とを備えた転がり軸受において、前記内輪、外輪、転動体および保持器から選ばれる1以上の部品の表面に、平均分子量が37000〜55000のポリテトラフルオロエチレン微粒子が多島海状に分散した固体潤滑皮膜を形成した固体潤滑転がり軸受としたのである。
上記したように構成されるこの発明の固体潤滑転がり軸受は、所定範囲の平均分子量のPTFEの微粒子が多島海状に分布した固体潤滑皮膜を有し、この皮膜はPTFE微粒子が極めて均一に分散しているから、凸状の島が摩擦接触によって削り取られる際に発生する潤滑性の微粉の量の摩擦面の箇所(場所)による差がなくなり、そのため凹部の皮膜(海状)の部分に平均的に少しずつ確実に転着して、皮膜から剥がれる微粉末の量は極めて少なくなり、発塵量が減少すると考えられる。
上記の作用は、PTFEが、平均分子量37000〜55000のポリテトラフルオロエチレンである場合に、特に確実に奏される。この範囲の分子量のPTFEは、有機溶媒に分散させた際に、特に均一に分散し、これに軸受を浸漬処理する時間中に安定して分散されているから、PTFEの分散液に浸漬した後に乾燥させて形成された皮膜中には、PTFE微粒子が極めて均一に分散して存在することになる。
また、複数の転動体のうち、1以上の転動体がポリテトラフルオロエチレンで成形された転動体である固体潤滑転がり軸受において、上記の構成を採用することにより、軸受の使用状態での耐久性をさらに長くすることができ、軸受寿命の延長化を図ることができる。
この発明は、以上説明したように、転がり軸受の内輪、外輪、転動体および保持器から選ばれる1以上の部品の表面に、所定平均分子量のPTFEの微粒子が多島海状に分布した固体潤滑皮膜を形成したので、部品同士の摩擦接触によって潤滑性微粉が軸受外に放出され難くなり、充分に潤滑性を発揮しつつ低発塵性が確実に長時間持続するという高耐久性の固体潤滑転がり軸受になる利点がある。
上記の効果は、固体潤滑皮膜を構成するPTFEが、平均分子量37000〜55000である場合に、特に確実に奏されるので、高耐久性の固体潤滑転がり軸受になる。
また、複数の転動体のうち、1以上の転動体がPTFE製転動体である固体潤滑転がり軸受では、軸受の使用状態での耐久性をさらに長くすることができ、そのような軸受の寿命が延長化される利点がある。
この発明の実施形態を、以下に、添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、実施形態の転がり軸受は、内輪1、外輪2、これらの間に介在する複数の転動体3、転動体3を保持する保持器4とを備えた深溝玉軸受である。内輪1、外輪2および転動体3の部品の表面には、平均分子量が37000〜55000のPTFEの微粒子を多島海状に分散させた固体潤滑皮膜1a、2a、3aを形成している。PTFEは、分子量30000〜80000のPTFEである。
図1に示すように、実施形態の転がり軸受は、内輪1、外輪2、これらの間に介在する複数の転動体3、転動体3を保持する保持器4とを備えた深溝玉軸受である。内輪1、外輪2および転動体3の部品の表面には、平均分子量が37000〜55000のPTFEの微粒子を多島海状に分散させた固体潤滑皮膜1a、2a、3aを形成している。PTFEは、分子量30000〜80000のPTFEである。
この実施形態では、保持器4は、自己潤滑性を有する高分子材で形成している。保持器4に好適な高分子材の具体例としては、NTN精密樹脂社製のルーロンE(平均分子量2×105〜3×105のPTFEを主成分とする。)、または同社製のメルディンR(ポリイミド樹脂を主成分とする。)等が挙げられる。特に、メルディンRは、軟化点が最大300℃であり、高温部への使用も可能なものである。
固体潤滑皮膜1a、2a、3aは、PTFEを有機溶媒に混ぜ、充分に分散させた処理液中に、軸受部品を10秒程度浸漬した後、液外に引き上げて分散媒を乾燥させ、軸受部品表面に皮膜を形成したものである。PTFEの分散媒として用いる有機溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼン、ナフサなどが挙げられる。
所定平均分子量のPTFEを分散質とする市販のPTFE分散液としては、デュポン社製のドライフィルムRA、喜多村社製のKD−200AM、同社製のKD−200AFなどが挙げられ、またこれらを用いて好ましい結果を得ている。
図1に示したように、乾燥後の固体潤滑皮膜1a、2a、3aは、内・外輪1、2の転走面および転動体3の表面に形成されているが、少なくとも転動体3の表面に形成すれば良い。また、図1では内・外輪1、2の外表面全体に固体潤滑皮膜1a、2aを形成したものを示したが、嵌合面等の固体潤滑皮膜が本来不要な部分については、最終製品となる前に除去しても良い。さらに、軸受の形式は、同図に示すような深溝玉軸受ばかりでなく、その他に周知の転がり軸受であってもよい。
平均分子量の異なる5種類のPTFEを有機溶媒(バートメルXF、キシレン等)に分散させた処理液に深溝玉軸受(SUS440C製608、内径φ8mm、外径22mm、幅7mm)を浸漬し、50℃で乾燥させて、軸受部品の全表面に固体潤滑皮膜が形成された実施例1および比較例1〜4の軸受を製造した。
これらの軸受を高真空軸受耐久試験機で、荷重(アキシャル荷重)9.81N、回転数2500rpmの条件で耐久時間(h)を調べ、この結果を表1および図2の折れ線グラフに示した。
表1および図2の結果からも明らかなように、固体潤滑皮膜を形成するPTFEの平均分子量が、40000の場合に最も軸受の耐久寿命が長く、それは530時間に達した。このように耐久時間が500時間を越える固体潤滑皮膜を形成するPTFEの平均分子量としては、37000〜55000であることが好ましい。
また、実施例と比較例の軸受を真空発塵測定試験機で、荷重(アキシャル荷重)9.81N、回転数50rpm、測定時間70時間(h)、測定粒子径(0.20μm)の条件で発塵総粒子数(個)を調べ、この結果を表2に示した。
表2の結果からも明らかなように、固体潤滑皮膜を形成するPTFEの平均分子量が、40000の実施例1の場合にも軸受の発塵量は、比較例1〜4と大差なく、充分に低発塵量であることがわかる。
1 内輪
1a、2a、3a 固体潤滑皮膜
2 外輪
3 転動体
4 保持器
1a、2a、3a 固体潤滑皮膜
2 外輪
3 転動体
4 保持器
Claims (3)
- 内輪、外輪、内輪と外輪との間に介在する複数の転動体、転動体を保持する保持器とを備えた転がり軸受において、
前記内輪、外輪、転動体および保持器から選ばれる1以上の部品の表面に、平均分子量が37000〜55000のポリテトラフルオロエチレン微粒子が多島海状に分散した固体潤滑皮膜を形成したことを特徴とする固体潤滑転がり軸受。 - ポリテトラフルオロエチレンが、分子量30000〜80000のポリテトラフルオロエチレンである請求項1に記載の固体潤滑転がり軸受。
- 複数の転動体のうち、1以上の転動体がポリテトラフルオロエチレンで成形された転動体である請求項1または2に記載の固体潤滑転がり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003284009A JP2005048927A (ja) | 2003-07-31 | 2003-07-31 | 固体潤滑転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003284009A JP2005048927A (ja) | 2003-07-31 | 2003-07-31 | 固体潤滑転がり軸受 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005048927A true JP2005048927A (ja) | 2005-02-24 |
Family
ID=34268738
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003284009A Pending JP2005048927A (ja) | 2003-07-31 | 2003-07-31 | 固体潤滑転がり軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005048927A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006120984A1 (ja) * | 2005-05-10 | 2006-11-16 | Ntn Corporation | 軸受および回転軸支持構造 |
WO2012104313A1 (en) * | 2011-02-01 | 2012-08-09 | Aktiebolaget Skf | Method for forming a thickened lubricant and thickened lubricant formed thereby |
-
2003
- 2003-07-31 JP JP2003284009A patent/JP2005048927A/ja active Pending
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