JP2005048627A - 内燃機関の可変動弁機構制御装置 - Google Patents

内燃機関の可変動弁機構制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】内燃機関の可変動弁機構制御装置が基準バルブ駆動状態にて正式な学習値を得られるまでの間、内燃機関の運転性悪化を抑制する。
【解決手段】運転状態に基づいて螺旋カムが最大回転角θmaxにあると推定する(S106,S109で「YES」)とθmaxと検出値である回転角θvとの差に基づいて得られた仮学習値VLpを最小バルブ作用角学習値VLgに仮設定する(S110,S112)。この仮学習値VLpは、初期値でもなく予め設定した特定の値でもなく現実に近いバルブ駆動状態に基づいて設定されている。このため可変動弁機構が最小バルブ作用角にされていなくてもエンジンの運転性を維持するために十分な最小バルブ作用角学習値VLgの代替値を設定することができる。このため可変動弁機構の強制的な駆動により生じるエンジンの運転安定性上の問題は生じることはない。したがって課題が達成される。
【選択図】 図15

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は可変動弁機構の状態とセンサの検出値との関係に基づいて学習値を設定して可変動弁機構を制御する内燃機関の可変動弁機構制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
バルブ駆動状態を可変とする可変動弁機構を備えた内燃機関が提案されている。ここでバルブ駆動状態とは、吸気バルブや排気バルブのバルブ作用角、バルブリフト量、バルブタイミングを意味する。したがってバルブ駆動状態の可変とは、吸気バルブや排気バルブのバルブ作用角やバルブリフト量の大小、バルブタイミングの進角・遅角を変更可能としていることを意味する。
【0003】
このような可変動弁機構の制御精度は内燃機関の運転性に大きく影響するため、可変動弁機構を駆動制御する際には、予め可変動弁機構の状態とセンサの検出値とを比較して学習値を求め、この学習値によりセンサの検出値を補正することで正確な状態量を求めている。このようにすることで内燃機関の製造時や、経時にて生じる可変動弁機構によるバルブ駆動状態とセンサの検出値との誤差を補償し、高精度なバルブ駆動制御を実現しようとしている。
【0004】
具体的には、開閉タイミングを最遅角側に移動させる制御を可変動弁機構にて実行し、この時のセンサの検出値と最遅角位置に対応した既知の状態量との関係から学習値を求めている(例えば特許文献1参照)。この従来技術では、バッテリの取り替え等によりバックアップRAMなどに保持されていた学習値が消去された場合に、上述のごとくのバルブタイミングの強制的な最遅角状態への駆動により早期に学習値を求めることで、学習値が存在しないことによる内燃機関の運転性の悪化を極力抑制するようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−82190号公報(第9−10頁、図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上述した従来技術においては、強制的に可変動弁機構を、正式な学習値を求める基準バルブ駆動状態(最遅角状態)に変更しているため、現状の内燃機関にとって適切なバルブ駆動状態と基準バルブ駆動状態とが大きく異なる場合には、バルブ駆動状態が一層不適当な状態となってしまう。したがって、この正式な学習値を求めるための駆動が内燃機関の運転性悪化を招くおそれがある。
【0007】
更に、このような強制的な変更自体が内燃機関の運転状態からして困難な場合がある。この場合には従来技術の処理は不可能であり、やはり全く学習値が存在しない状態が非常に長く継続することになって内燃機関の運転性悪化を生じるおそれがある。
【0008】
本発明は、可変動弁機構が基準バルブ駆動状態にされて正式な学習値を得られるまでの間、内燃機関の運転性悪化を抑制することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の内燃機関の可変動弁機構制御装置は、アクチュエータにより駆動されて内燃機関のバルブ駆動状態を可変とする可変動弁機構においてセンサによりバルブ駆動の状態量を検出し、該状態量が目標値となるように前記アクチュエータを駆動する制御を実行する内燃機関の可変動弁機構制御装置であって、前記制御に用いるために、可変動弁機構が予め設定された基準バルブ駆動状態となった時に前記センサにより検出された状態量と前記基準バルブ駆動状態に対応する既知の状態量との関係に基づいて学習値を設定する基準バルブ駆動状態学習手段と、内燃機関の運転状態に基づいて内燃機関のバルブ駆動状態を推定し、該バルブ駆動状態と前記センサにより検出されている状態量との関係に基づいて仮学習値を設定し、該仮学習値を、前記基準バルブ駆動状態学習手段にて学習値が設定されるまでの間、前記制御に用いる仮学習手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
このように仮学習手段は、基準バルブ駆動状態学習手段にて正式に学習値が設定されるまでの間は仮学習値を設定する。すなわち内燃機関の運転状態に基づいて内燃機関のバルブ駆動状態を推定し、この推定されたバルブ駆動状態と、センサにより検出されている状態量との関係に基づいて仮学習値を設定する。そしてこの仮学習値を正式に学習値が設定されるまで、可変動弁機構の制御に用いている。
【0011】
この仮学習値は、初期値でもなく予め設定した特定の値でもなく、内燃機関の運転状態に基づいて推定された現実に近いバルブ駆動状態に基づいて設定されているので、可変動弁機構が基準バルブ駆動状態にされていなくても内燃機関の運転性を維持するために十分な値を設定することができる。
【0012】
このように仮学習値は学習値の役割を果たすことができるので、強制的に基準バルブ駆動状態に変更しなくても良く、学習値が存在しない状態での制御が継続されることがない。このため強制的な基準バルブ駆動状態への変更により生じる内燃機関の運転性悪化の問題は生じることはない。
【0013】
更に、基準バルブ駆動状態への強制的な変更自体が内燃機関の運転状態から困難な場合であっても、上述した仮学習値が存在するので内燃機関の運転性悪化を生じることはない。
【0014】
こうして、本発明は、可変動弁機構が基準バルブ駆動状態となって正式な学習値を得られるまでの間、内燃機関の運転性悪化を抑制することができる。
請求項2に記載の内燃機関の可変動弁機構制御装置は、アクチュエータにより駆動されて内燃機関のバルブ駆動状態を可変とする可変動弁機構においてセンサによりバルブ駆動の状態量を検出し、該状態量が目標値となるように前記アクチュエータを駆動する制御を実行する内燃機関の可変動弁機構制御装置であって、前記制御に用いるために、可変動弁機構が予め設定された基準バルブ駆動状態となった時に前記センサにより検出された状態量と前記基準バルブ駆動状態に対応する既知の状態量との関係に基づいて学習値を設定する基準バルブ駆動状態学習手段と、前記基準バルブ駆動状態学習手段による学習値を前記制御に利用することが困難な場合に、内燃機関の運転状態に基づいて内燃機関のバルブ駆動状態を推定し、該バルブ駆動状態と前記センサにより検出されている状態量との関係に基づいて仮学習値を設定して前記制御に用いる仮学習手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
基準バルブ駆動状態学習手段による学習値を制御に利用することが困難な場合がある。例えば、以前の内燃機関運転時では学習値が存在していたがバッテリの取り外しなどによりバックアップされていた学習値が消失した場合、未だ一度も学習していなかった場合、更に学習値を得るために学習しようとしても直ちに基準バルブ駆動状態にできない場合などの状況が生じることがある。
【0016】
このような場合に、正式な学習値が設定されるまでの間は、仮学習値に学習値の役割を果たさせている。
この仮学習値は、初期値でもなく予め設定した特定の値でもなく、内燃機関の運転状態に基づいて推定された現実に近いバルブ駆動状態に基づいて設定されているので、可変動弁機構が基準バルブ駆動状態にされていなくても内燃機関の運転性を維持するために十分な値を設定することができる。
【0017】
このように仮学習値は学習値の役割を果たすことができるので、強制的に基準バルブ駆動状態に変更しなくても、あるいは変更できなくても良く、学習値が存在しない状態での制御が継続されることがない。このため強制的な基準バルブ駆動状態への変更により生じる内燃機関の運転性悪化の問題は生じることはなく、更に正式な学習値を得ていなくても上述した仮学習値が存在するので内燃機関の運転性悪化を招くことはない。
【0018】
こうして、本発明は、可変動弁機構が基準バルブ駆動状態にて正式な学習値を得られなくても、内燃機関の運転性悪化を抑制することができる。
請求項3に記載の内燃機関の可変動弁機構制御装置では、請求項2において、前記基準バルブ駆動状態学習手段による学習値を前記制御に利用することが困難な場合とは、前記学習値の記憶が消失している場合であることを特徴とする。
【0019】
このように具体的には、基準バルブ駆動状態学習手段による学習値を制御に利用することが困難な場合とは、学習値の記憶が消失している場合を挙げることができる。例えば、バッテリの取り替え、記憶されたメモリやその基板全体の取り替え等により、学習値の記憶が消失する。
【0020】
このような場合に、仮学習値が用いられるので、可変動弁機構が基準バルブ駆動状態にされて正式な学習値を得られるまでの間、内燃機関の運転性悪化を抑制することができる。
【0021】
請求項4に記載の内燃機関の可変動弁機構制御装置では、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記仮学習手段は、内燃機関が基準機関状態にある時に、該基準機関状態から推定されるバルブ駆動状態と前記センサにより検出されている状態量との関係に基づいて前記仮学習値を設定することを特徴とする。
【0022】
仮学習手段は、内燃機関の運転状態の内で基準機関状態を設定し、内燃機関がこの基準機関状態にある時に、基準機関状態から推定されるバルブ駆動状態とセンサにより検出されている状態量との関係に基づいて仮学習値を設定するようにしても良い。
【0023】
例えば、内燃機関の始動時や冷間アイドル時などの特定の運転状態では、可変動弁機構は内燃機関を始動しやすくするため、あるいは安定回転のために、特定のバルブ駆動状態、吸気バルブであれば最大バルブ作用角あるいはこれに近いバルブ作用角に配置されている。このようなバルブ駆動状態は機械的に実現される。したがって、このように特定のバルブ駆動状態を実現するような内燃機関の運転状態を基準機関状態として、内燃機関が基準機関状態にある時には、基準機関状態からセンサにより検出されるべきバルブ駆動状態を推定できる。したがって、この推定された検出されるべきバルブ駆動状態とセンサにより検出されている実際の状態量との関係に基づいて仮学習値を求めることができる。
【0024】
このため可変動弁機構が基準バルブ駆動状態にされていなくても内燃機関の運転性を維持するために十分な仮学習値を設定することができるので、強制的に基準バルブ駆動状態に変更しなくても、あるいは変更できなくても、学習値が存在しない状態での制御が継続されることがない。このため強制的な駆動により生じる内燃機関の運転性悪化の問題は生じることはない。例えば始動時や冷間アイドル時に強制的に基準バルブ駆動状態にする必要が無く、上述した仮学習値が存在するので内燃機関の始動性や回転安定性の悪化を抑制できる。
【0025】
こうして、本発明は、基準バルブ駆動状態にて正式な学習値を得られなくても、この間、内燃機関の運転性悪化を抑制することができる。
請求項5に記載の内燃機関の可変動弁機構制御装置では、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記バルブ駆動状態とは、バルブ作用角又はバルブリフト量の状態であることを特徴とする。
【0026】
バルブ駆動状態として、バルブ作用角又はバルブリフト量の状態を挙げることができる。バルブ作用角又はバルブリフト量は吸入空気の状態に大きく影響し、内燃機関の出力やエミッションに大きく反映されるため、精密な制御が早期に実行されることが重要である。
【0027】
本発明によれば、正式な学習値が得られる前や得ることが困難な場合にも、仮学習値を設定してバルブ作用角又はバルブリフト量を精密に調節することが可能であるので、内燃機関の運転性の悪化を抑制できる。
【0028】
請求項6に記載の内燃機関の可変動弁機構制御装置では、請求項5において、前記基準バルブ駆動状態学習手段は、前記基準バルブ駆動状態として、バルブ作用角又はバルブリフト量が最小となるバルブ駆動状態を設定していることを特徴とする。
【0029】
基準バルブ駆動状態としては、バルブ作用角又はバルブリフト量が最小となるバルブ駆動状態を挙げることができる。可変動弁機構による駆動が行われていてもバルブ作用角又はバルブリフト量は最小位置にて機械的に停止する。したがってこの停止状態に対応する既知の状態量とセンサ検出値との関係により学習値が得られる。特にバルブ作用角又はバルブリフト量が小さい側での制御誤差は運転性に大きく影響するので、最小側にて学習値を求めることは重要である。
【0030】
このように最小側で正式な学習値を求めるようにすると、始動時などでは最小側にバルブ作用角又はバルブリフト量を設定することは困難となる。この場合でも上記仮学習値が設定できることにより、正式な学習値が存在しなくてもバルブ作用角又はバルブリフト量を精密に調節することが可能となり、内燃機関の始動性の悪化を抑制できる。
【0031】
請求項7に記載の内燃機関の可変動弁機構制御装置では、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記バルブ駆動状態とは、バルブタイミングであることを特徴とする。
【0032】
バルブ駆動状態として、バルブタイミングを挙げることができる。このような、バルブタイミングは吸入空気の状態に大きく影響し、内燃機関の出力やエミッションに大きく反映されるため、精密な制御が早期に実行されることが重要である。
【0033】
本発明によれば、正式な学習値が得られる前や得ることが困難な場合にも、仮学習値を設定してバルブタイミングを精密に調節することが可能であるので、内燃機関の運転性の悪化を抑制できる。
【0034】
請求項8に記載の内燃機関の可変動弁機構制御装置は、アクチュエータにより駆動されて内燃機関のバルブ駆動状態を可変とする可変動弁機構においてセンサによりバルブ駆動の状態量を検出し、該状態量が目標値となるように前記アクチュエータを駆動する制御を実行する内燃機関の可変動弁機構制御装置であって、前記制御に用いるために、可変動弁機構が予め設定された基準バルブ駆動状態となった時に前記センサにより検出された状態量と前記基準バルブ駆動状態に対応する既知の状態量との関係に基づいて学習値を設定する基準バルブ駆動状態学習手段と、前記基準バルブ駆動状態とは異なるバルブ駆動状態に仮基準バルブ駆動状態を設定し、前記基準バルブ駆動状態学習手段による学習値を前記制御に利用することは困難であるが、バルブ駆動状態を前記仮基準バルブ駆動状態にすることが内燃機関運転上可能である場合に、バルブ駆動状態が前記仮基準バルブ駆動状態となるように前記可変動弁機構を駆動して前記センサにより検出された状態量と前記仮基準バルブ駆動状態に対応する既知の状態量との関係に基づいて仮学習値を設定し、該仮学習値を、前記基準バルブ駆動状態学習手段にて学習値が設定されるまで前記制御に用いる仮学習手段とを備えたことを特徴とする。
【0035】
このように仮学習手段は、基準バルブ駆動状態学習手段による学習値を制御に利用することは困難であるが、バルブ駆動状態を仮基準バルブ駆動状態にすることが内燃機関運転上可能である場合に、バルブ駆動状態を積極的に仮基準バルブ駆動状態にして学習している。仮基準バルブ駆動状態は正式な学習値を求める基準バルブ駆動状態とは異なるが、状態量が既知の特定のバルブ駆動状態となっているため、仮基準バルブ駆動状態とすることで、可変動弁機構が基準バルブ駆動状態にされなくても内燃機関の運転性を維持するために十分な仮学習値を設定することができる。
【0036】
このように学習値が存在せず、学習値を得るための基準バルブ駆動状態に移行できず、あるいは移行に時間がかかることなどの理由により、正式な学習値を利用することが困難である場合でも、仮基準バルブ駆動状態に積極的に移行することにより仮学習値が得られる。したがって学習値が全く存在しない状態での制御が長期間継続される頻度が低下する。
【0037】
しかも仮基準バルブ駆動状態へは移行が内燃機関運転上可能である場合に変更しているので、大きなバルブ駆動状態の変更は実行せず、仮学習値の学習時も内燃機関の運転性悪化を抑制できる。
【0038】
こうして、本発明は、可変動弁機構が基準バルブ駆動状態にされて正式な学習値を得られるまでの間、内燃機関の運転性悪化を抑制することができる。
請求項9に記載の内燃機関の可変動弁機構制御装置では、請求項8において、前記基準バルブ駆動状態学習手段による学習値を前記制御に利用することが困難な場合とは、前記学習値の記憶が消失していて、更にバルブ駆動状態を前記基準バルブ駆動状態にすることが困難である場合であることを特徴とする。
【0039】
学習値の記憶が消失している場合に、基準バルブ駆動状態とすることが困難であれば、直ちに仮基準バルブ駆動状態に移行して仮学習値を得る。このことにより、学習値が全く存在しない状態での制御が長期間継続されることがない。こうして、本発明は、可変動弁機構が基準バルブ駆動状態にされて正式な学習値を得られるまでの間、内燃機関の運転性悪化を抑制することができる。
【0040】
請求項10に記載の内燃機関の可変動弁機構制御装置では、請求項8において、前記基準バルブ駆動状態学習手段による学習値を前記制御に利用することが困難な場合とは、前記学習値の記憶が消失していて、更にバルブ駆動状態を前記仮基準バルブ駆動状態にすることが、前記基準バルブ駆動状態にすることよりも容易である場合であることを特徴とする。
【0041】
例えば学習値が存在しない状態での始動時において、この時のバルブ駆動状態が基準バルブ駆動状態よりも仮基準バルブ駆動状態に近い場合には、バルブ駆動状態を仮基準バルブ駆動状態にすることが、基準バルブ駆動状態にすることよりも容易である。したがってこの場合には仮基準バルブ駆動状態に移行して仮学習値を得る方が早い。このことにより、学習値が全く存在しない状態での制御時間を短くすることができる。こうして、本発明は、可変動弁機構が基準バルブ駆動状態にされて正式な学習値を得られるまでの間の内燃機関の運転性悪化を抑制することができる。
【0042】
請求項11に記載の内燃機関の可変動弁機構制御装置では、請求項8において、前記仮学習手段は、前記学習値の記憶が消失した状態で内燃機関が冷間アイドル状態にある場合に、前記基準バルブ駆動状態学習手段による学習値を前記制御に利用することが困難であるが、バルブ駆動状態を前記仮基準バルブ駆動状態にすることが内燃機関運転上可能である場合にあるとすることを特徴とする。
【0043】
内燃機関によっては冷間始動時よりも始動後の冷間アイドル状態にバルブ駆動状態の制限が緩くなり、冷間始動時では仮基準バルブ駆動状態と基準バルブ駆動状態とに駆動することが共に困難であったものが、冷間アイドル状態では仮基準バルブ駆動状態に駆動することが内燃機関運転上可能となる場合がある。このような内燃機関では、学習値の記憶が消失した状態で冷間アイドルとなった場合に上述のごとく仮学習値を設定することにより、早期に学習値の代替値が設定でき、バルブタイミングを精密に調節することが可能であるので、内燃機関の運転性の悪化を抑制できる。
【0044】
請求項12に記載の内燃機関の可変動弁機構制御装置では、請求項8〜11のいずれかにおいて、前記バルブ駆動状態とは、バルブ作用角又はバルブリフト量の状態であることを特徴とする。
【0045】
バルブ駆動状態として、バルブ作用角又はバルブリフト量の状態を挙げることができる。このような、バルブ作用角又はバルブリフト量は吸入空気の状態に大きく影響し、内燃機関の出力やエミッションに大きく反映されるため、精密な制御が早期に実行されることが重要である。
【0046】
本発明によれば、正式な学習値が得られる前や得ることが困難な場合にも、早期に仮学習値を設定してバルブ作用角又はバルブリフト量を精密に調節することが可能であるので、内燃機関の運転性の悪化を抑制できる。
【0047】
請求項13に記載の内燃機関の可変動弁機構制御装置では、請求項12において、前記基準バルブ駆動状態学習手段は、前記基準バルブ駆動状態として、バルブ作用角又はバルブリフト量が最小となるバルブ駆動状態を設定し、前記仮学習手段は、前記仮基準バルブ駆動状態として、バルブ作用角又はバルブリフト量が最大となるバルブ駆動状態を設定していることを特徴とする。
【0048】
基準バルブ駆動状態としてバルブ作用角又はバルブリフト量が最小となるバルブ駆動状態を設定することで、機械的に実際のバルブ作用角又はバルブリフト量が特定のバルブ作用角又はバルブリフト量に限定されるので、センサが検出する状態量との比較により学習値が得られる。同様に、仮基準バルブ駆動状態としてバルブ作用角又はバルブリフト量が最大となるバルブ駆動状態を設定することで、機械的に実際のバルブ作用角又はバルブリフト量が特定のバルブ作用角又はバルブリフト量に限定されるので、センサが検出する状態量との比較により仮学習値が得られる。
【0049】
特に始動時や冷間アイドル時などにおいてはバルブ作用角又はバルブリフト量は最大あるい最大に近いバルブ駆動状態に調節されている。したがって、バルブ作用角又はバルブリフト量を最小にして学習することは困難であっても、バルブ作用角又はバルブリフト量を最大にして早期に仮学習値を得ることは容易である。
【0050】
したがって正式な学習値が得られる前や得ることが困難な場合にも、早期に仮学習値を設定してバルブ作用角又はバルブリフト量を精密に調節することが可能であるので、内燃機関の運転性の悪化を抑制できる。
【0051】
請求項14に記載の内燃機関の可変動弁機構制御装置では、請求項8〜11のいずれかにおいて、前記バルブ駆動状態とは、バルブタイミングであることを特徴とする。
【0052】
バルブ駆動状態として、バルブタイミングを挙げることができる。このような、バルブタイミングは吸入空気の状態に大きく影響し、内燃機関の出力やエミッションに大きく反映されるため、精密な制御が早期に実行されることが重要である。
【0053】
本発明によれば、正式な学習値が得られる前や得ることが困難な場合にも、仮学習値を早期に設定してバルブタイミングを精密に調節することが可能であるので、内燃機関の運転性の悪化を抑制できる。
【0054】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は、車両に搭載された内燃機関としてのガソリンエンジン(以下、「エンジン」と略す)2、及び制御装置としての電子制御ユニット(以下、「ECU」と称す)4の概略構成図を示している。エンジン2は複数気筒エンジン、ここでは4気筒エンジンであり、この内の1気筒についての可変動弁系を図2の縦断面図に示す。各気筒には吸気バルブ2aと排気バルブ2bとが各2つ設けられて、4バルブエンジンとして構成されている。尚、気筒数は6気筒でも8気筒でも良く、更に2バルブエンジンでも5バルブエンジンでも良い。
【0055】
エンジン2の出力は変速機を介して最終的に車輪に走行駆動力として伝達される。エンジン2には、ピストン6、シリンダブロック8及びシリンダヘッド10により区画された燃焼室12が形成されている。そしてシリンダヘッド10には燃焼室12内の混合気に点火するために点火プラグ14及び燃焼室12内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁16が設けられている。尚、燃料噴射弁16は燃焼室12に接続している吸気ポート18に燃料を噴射するものであっも良い。
【0056】
吸気ポート18は吸気バルブ2aの駆動により開閉され、この吸気ポート18に接続された各吸気通路20はサージタンク22に接続されている。サージタンク22の上流側にはモータ24によって開度が調節されるスロットルバルブ26が設けられている。このスロットルバルブ26は通常はほぼ全開状態にあるが、エンジン2の状態によっては、開度(スロットル開度TA)を制御して吸入空気量GAを調節する場合がある。スロットル開度TAはスロットル開度センサ28により検出されECU4に読み込まれている。吸入空気量GAはスロットルバルブ26の上流側に設けられた吸入空気量センサ30により検出され、吸気温THAはスロットルバルブ26の上流側に設けられた吸気温センサ32により検出されてECU4に読み込まれている。
【0057】
燃焼室12に接続している排気ポート34は排気バルブ2bの駆動により開閉される。排気ポート34に接続された排気通路36の途中には排気浄化用触媒コンバータ38が配置されている。この排気浄化用触媒コンバータ38の上流側の排気通路36に設けられた空燃比センサ40により、排気通路36における排気成分に基づいて空燃比AFが検出され、ECU4に読み込まれている。
【0058】
ECU4はデジタルコンピュータを中心として構成されているエンジン制御回路である。このECU4は、上述したスロットル開度センサ28、吸入空気量センサ30、吸気温センサ32、空燃比センサ40以外にもエンジン2の運転状態を検出するセンサ類から信号を入力している。すなわちアクセルペダル42の踏み込み量(アクセル開度ACCP)を検出するアクセル開度センサ44、クランクシャフト6aの回転からエンジン回転数NEを検出するエンジン回転数センサ46、及び吸気カムシャフトの回転から基準クランク角を決定する基準クランク角センサ48から信号を入力している。又、後述するバルブ作用角を検出するための回転角センサ50、エンジン冷却水温THWを検出する冷却水温センサ52からも信号を入力している。尚、このようなセンサ以外にも各種のデータを検出するセンサが設けられている。
【0059】
ECU4は、上述した各センサからの検出内容に基づいて、燃料噴射弁16、スロットルバルブ用モータ24あるいは点火プラグ14に対する制御信号によりエンジン2の燃料噴射時期、燃料噴射量、スロットル開度TA及び点火時期等を適宜制御する。更にECU4は、アクセル開度ACCP及びエンジン回転数NEに基づいて、吸気バルブ2aのバルブ作用角とバルブタイミングとを調節する可変動弁機構54に対する制御信号により、吸気バルブ2aのバルブ作用角とバルブタイミングとを調節している。この内、主としてバルブ作用角により吸入空気量が調節されている。
【0060】
可変動弁機構54はバルブ作用角調節機構56とバルブタイミング調節機構58とから構成されている。バルブ作用角調節機構56は、図2〜図5に示す仲介駆動機構60と、図9,10に示すシャフトスライド機構100とを備えている。
【0061】
図2に示したごとく仲介駆動機構60は、吸気バルブ2aに対して設けられたローラロッカーアーム62と、吸気カムシャフト64に設けられた吸気カム64aとの間に配置されて、吸気カム64aからのバルブ駆動力を仲介してローラロッカーアーム62に与えることで、吸気バルブ2aを駆動させている。
【0062】
各気筒毎に設けられている仲介駆動機構60は図3の斜視図及び図4の水平破断斜視図に示すごとく、図示中央に設けられた入力部66、入力部66の一端側に設けられた第1揺動カム68、第1揺動カム68とは反対側に設けられた第2揺動カム70及び内部に配置されたスライダギア72を備えている。
【0063】
入力部66のハウジング66aは内部に軸方向に空間を形成し、この空間の内周面には軸方向に右ネジの螺旋状に形成されたヘリカルスプライン66bを設けている。又、ハウジング66aの外周面からは平行な2つのアーム66c,66dが突出して形成されている。これらアーム66c,66dの先端には、ハウジング66aの軸方向と平行なシャフト66eを有するローラ66fが回転可能に取り付けられている。尚、図2に示したごとく、ローラ66fが吸気カム64a側に常に接触するように、スプリング66gの付勢力がアーム66c,66dあるいはハウジング66aに与えられている。
【0064】
第1揺動カム68のハウジング68aは、内部に軸方向に空間を形成し、この内部空間の内周面には軸方向に左ネジの螺旋状に形成されたヘリカルスプライン68bを設けている。又、このハウジング68aの内部空間は径の小さい中心孔を有するリング状の軸受部68cにて一端が覆われている。又、ハウジング68aの外周面からは略三角形状のノーズ68dが突出して形成されている。このノーズ68dの一辺は凹状に湾曲するカム面68eを形成している。
【0065】
第2揺動カム70のハウジング70aは、内部に軸方向に空間を形成し、この内部空間の内周面には軸方向に左ネジの螺旋状に形成されたヘリカルスプライン70bを設けている。又、このハウジング70aの内部空間は径の小さい中心孔を有するリング状の軸受部70cにて一端が覆われている。又、ハウジング70aの外周面からは略三角形状のノーズ70dが突出して形成されている。このノーズ70dの一辺は凹状に湾曲するカム面70eを形成している。
【0066】
これらの第1揺動カム68および第2揺動カム70は、軸受部68c,70cを外側にして、入力部66に対して両側から各端面を同軸上で接触させるように配置され、全体が図3に示したごとく内部空間を有する略円柱状となる。
【0067】
入力部66及び2つの揺動カム68,70から構成される内部空間には、スライダギア72が配置されている。スライダギア72は略円柱状をなし、外周面中央には右ネジの螺旋状に形成された入力用ヘリカルスプライン72aが設けられている。この入力用ヘリカルスプライン72aの一端側には小径部72bを挟んで左ネジの螺旋状に形成された第1出力用ヘリカルスプライン72cが設けられている。第1出力用ヘリカルスプライン72cとは反対側には小径部72dを挟んで左ネジの螺旋状に形成された第2出力用ヘリカルスプライン72eが設けられている。尚、これら出力用ヘリカルスプライン72c,72eは入力用ヘリカルスプライン72aに対して外径が小さく形成されている。
【0068】
スライダギア72の内部には中心軸方向に貫通孔72fが形成されている。そして図5に縦断面で示したごとく、入力用ヘリカルスプライン72aの位置にて、貫通孔72fの内周面に周方向に周溝72gが形成されている。この周溝72gには一カ所にて径方向に外部に貫通するピン挿入孔72hが形成されている。
【0069】
スライダギア72の貫通孔72f内には支持パイプ80が周方向に摺動可能に配置される。この支持パイプ80は全気筒の仲介駆動機構60に対して共通の1本が設けられている。支持パイプ80には各仲介駆動機構60に対応する位置に軸方向に長く形成された長孔80aが開口している。
【0070】
更に支持パイプ80内には、コントロールシャフト82が軸方向に摺動可能に貫通して配置されている。そして支持パイプ80の各長孔80aに対応する位置には、軸直角方向の支持穴82bが設けられている。この支持穴82bにはそれぞれコントロールピン82aの基端部が挿入されることにより、コントロールピン82aが軸直角方向に突出するように支持されている。
【0071】
そしてコントロールシャフト82が支持パイプ80の内部に配置されている状態では、各コントロールピン82aの先端は、支持パイプ80に形成されている軸方向の長孔80aを貫通し、スライダギア72の内周面に形成されている周溝72gに挿入されている。
【0072】
このような構成により、各スライダギア72はコントロールシャフト82の移動により軸方向への移動が可能であり、コントロールシャフト82の位置制御により各仲介駆動機構60におけるスライダギア72の位置を決定できる。ただし、各スライダギア72は周溝72gにてコントロールピン82aに係止されているので、軸周りについてはコントロールピン82aの位置に関わらず揺動可能となっている。
【0073】
スライダギア72の内で、入力用ヘリカルスプライン72aは入力部66内部のヘリカルスプライン66bに噛み合わされている。そして第1出力用ヘリカルスプライン72cは第1揺動カム68内部のヘリカルスプライン68bに噛み合わされ、第2出力用ヘリカルスプライン72eは第2揺動カム70内部のヘリカルスプライン70bに噛み合わされている。
【0074】
そして各仲介駆動機構60は、揺動カム68,70の軸受部68c,70c側にてシリンダヘッド10上に軸方向への移動が阻止される状態で取り付けられている。このためコントロールシャフト82がスライダギア72を軸方向に移動させても、入力部66及び揺動カム68,70は軸方向に移動することはない。
【0075】
したがって仲介駆動機構60の内部空間内でスライダギア72の軸方向移動量を調節することにより、ヘリカルスプライン72a,66b,72c,68b,72e,70bの機能により、入力部66と揺動カム68,70との位相差を変更できる。そしてこのことにより、ローラ66fとノーズ68d,70dとの位置関係を変更することができる。
【0076】
ここで図6はコントロールシャフト82を最大限L方向(図3,4の矢印)へ移動させた場合の仲介駆動機構60の作動状態を示している。図6の(A)が閉弁時、図6の(B)が開弁時である。この場合には入力部66のローラ66fと揺動カム68,70のノーズ68d,70dとの相対的位置関係が最も近い状態となる。このため図6の(B)に示すごとく吸気カム64aが最大限に入力部66のローラ66fを押し下げても、ノーズ68d,70dのカム面68e,70eによるロッカーローラ62aの押し下げ量は最小となり、吸気バルブ2aのバルブ作用角及びバルブリフト量は最小となる。したがって吸気ポート18から燃焼室12内への吸入空気量も最小限の状態となる。
【0077】
図7は、コントロールシャフト82を最大限H方向(図3,4の矢印)へ移動させた場合の仲介駆動機構60の作動状態を示している。図7の(A)が閉弁時、図7の(B)が開弁時である。この場合には入力部66のローラ66fと揺動カム68,70のノーズ68d,70dとの相対的位置関係が最も遠い状態となる。このため図7の(B)に示すごとく吸気カム64aが最大限に入力部66のローラ66fを押し下げた時には、ノーズ68d,70dのカム面68e,70eによるロッカーローラ62aの押し下げ量は最大となり、吸気バルブ2aのバルブ作用角及びバルブリフト量は最大となる。したがって吸気ポート18から燃焼室12内への吸入空気量も最大限の状態となる。
【0078】
このようにコントロールシャフト82の軸方向位置を調節することで、図6の状態と図7の状態との間で、図8に示すごとく連続的に吸気バルブ2aのバルブ作用角及びバルブリフト量を調節できる。図8においてMINで示す状態が図6に該当し、MAXで示す状態が図7に該当する。このことによりスロットルバルブ26によることなく、吸入空気量の調節が可能となる。
【0079】
コントロールシャフト82を軸方向に移動させるシャフトスライド機構100を図9に示す。シャフトスライド機構100は、駆動用モータ102(アクチュエータに相当)、螺旋カム機構104及び回転角センサ50を備えている。
【0080】
駆動用モータ102はシリンダヘッド10に固定されてECU4からの駆動信号により小径ギヤ102aを回転させる。小径ギヤ102aは螺旋カム機構104側の大径ギヤ104aを回転させることによりシリンダヘッド10に回転可能に支持されているカム軸104bを介して内部の螺旋カム108の回転位相を変化させることができる。更にカム軸104bは小径ギヤ104cを設けており、この小径ギヤ104cにより、シリンダヘッド10に固定されている回転角センサ50側の大径ギヤ106aを回転させる。このことによりレゾルバ等からなる回転角センサ50内部のロータを回転させることで螺旋カム108の回転位相が回転角センサ50により検出され、ECU4に読み込まれる。尚、カム軸104bに取り付けられたストッパアーム104dが、外部(ここではシリンダヘッド10)に、調整可能に固定された2つのストッパ104e,104fに当接することより、螺旋カム108の回転は360°より小さい範囲、ここでは300°の範囲に限定されている。
【0081】
螺旋カム機構104の構成を図10の斜視図に示す。螺旋カム機構104は、前述した大径ギヤ104a、カム軸104b、小径ギヤ104c、ストッパアーム104d,ストッパ104e,104f及び螺旋カム108以外に、螺旋カム108を内部空間に収納するように配置されたカムフレーム110が備えている。このカムフレーム110には、螺旋カム108の螺旋状カム面108aに接触する断面円形のローラ110aがカム軸104bとは平行の軸110bにて回転可能に支持されている。カムフレーム110におけるローラ110aとは反対側には前述したコントロールシャフト82の一端が固定されている。したがってカムフレーム110がコントロールシャフト82の軸方向に移動すると、コントロールシャフト82も連動して軸方向位置を変化させる。尚、ローラ110aが常に螺旋カム108の螺旋状カム面108aに接触するように、カムフレーム110あるいはコントロールシャフト82には図示するごとくの方向にバネ力が付与されている。
【0082】
ここでカムフレーム110の移動は次のようになされる。図11の(A)に示すごとくストッパアーム104dが最小作用角側ストッパ104eに当接するように駆動用モータ102(図9)を回転させることで、螺旋カム108は螺旋状カム面108a内で最もカム軸104bに近い側がローラ110aに当接する。この時、カムフレーム110は最大限L方向に移動しており、カムフレーム110に連動して、コントロールシャフト82もバネ力により最大限L方向に移動している。したがって図6に示した最小バルブ作用角及び最小バルブリフト量の状態が実現される。
【0083】
駆動用モータ102を回転させて、ストッパアーム104dを図11の(A)に示すごとくR方向に回転させると、ストッパアーム104dは最小作用角側ストッパ104eから離れる。このことにより螺旋カム108の螺旋状カム面108aによりローラ110aはH方向に移動し、カムフレーム110全体もH方向に移動する。これに連動してコントロールシャフト82もバネ力に抗してH方向に移動する。したがってバルブ作用角及びバルブリフト量が増加する。
【0084】
そして、図11の(B)に示すごとく、ストッパアーム104dが300°回転すると、最大作用角側ストッパ104fに当接する。このことにより、螺旋カム108は螺旋状カム面108a内で最もカム軸104bから遠い側がローラ110aに当接する。この時、カムフレーム110は最大限H方向に移動しており、カムフレーム110に連動して、コントロールシャフト82もバネ力に抗して最大限H方向に移動している。したがって図7に示した最大バルブ作用角及び最大バルブリフト量の状態が実現される。
【0085】
尚、図12に示すごとく螺旋カム108の螺旋状カム面108aは最大バルブ作用角(最大バルブリフト量)側(最もカム軸104bから遠い側)において幅dθxの範囲で螺旋カム108の回転角が変化してもカム軸104bとの距離が変化しない不変作用角領域が存在する。したがって不変作用角領域では、螺旋カム108の回転位相にかかわらず、吸気バルブ2aのバルブ作用角及びバルブリフト量は、既知の最大バルブ作用角及び最大バルブリフト量に一定化されることになる。
【0086】
したがって上述した螺旋カム108の回転角θvとバルブ作用角VLとの関係は図13に示すごとくとなる。
バルブタイミング調節機構58について説明する。バルブタイミング調節機構58は、図14の縦断面図に示すごとく、オイルコントロールバルブ(以下、「OCV」と称する)120とベーン式油圧回転機構122とから構成されている。OCV120はECU4からの指令により、オイルポンプからの作動油圧を進角用油路に供給するモード、遅角用油路に供給するモード及びいずれの油路とも密閉遮断するモードを選択的に実行するものである。
【0087】
ベーン式油圧回転機構122は、図14(A)に示すごとく、タイミングスプロケットと一体に形成された短円筒状のケーシング124を備え、このケーシング124の中心部にはベーン体126が配置されている。このベーン体126の中心の軸部126aには吸気カムシャフト64の端部が係合状態で挿入されている。このことにより吸気カムシャフト64はベーン体126に連動して回転する。
【0088】
軸部126aへは、ケーシング124から2つの壁部124a,124bが軸対称な位置から突出して、先端部で油密的に接触している。ベーン体126の軸部126aからも2つのベーン126c,126dが突出してケーシング124の内周面に油密的に接触している。
【0089】
このことによりケーシング124の内部は、4つの部屋に仕切られている。この内、油圧室128,130が進角用油路に接続され、圧縮状態のスプリング132a,134aが配置されている油圧室132,134が遅角用油路に接続されている。そして油圧室128,132内にはストッパ136,138が設けられて、ベーン体126の回転範囲を制限している。
【0090】
図14(B)は進角油路から油圧が排出され、遅角油路から油圧が供給されている状態を示している。この場合、油圧室132,134は拡大し、油圧室128,130は縮小して、ベーン体126はケーシング124に対して相対的に左回転しストッパ136に当接する。この状態では、吸気バルブ2aのバルブタイミングは最も遅角された状態となる。
【0091】
尚、エンジン2の停止状態のごとく油圧が供給されないときには、スプリング132a,134aにより、ベーン式油圧回転機構122は図14(B)の状態となっている。
【0092】
図14(C)は遅角油路から油圧が排出され、進角油路から油圧が供給されている状態を示している。この場合、油圧室128,130は拡大し、油圧室132,134は縮小して、ベーン体126はケーシング124に対して相対的に右回転しストッパ138に当接する。この状態では、吸気バルブ2aのバルブタイミングは最も進角された状態となる。
【0093】
尚、前記図14(A)は図14(B)と(C)との中間の状態を示し、この状態では吸気バルブ2aのバルブタイミングは中間的な進角状態となる。
次にECU4による回転角センサ50による検出されるバルブ作用角と実際のバルブ作用角との関係に基づいて学習が行われるバルブ作用角制御処理について説明する。
【0094】
図15にバルブ作用角制御処理のフローチャートを示す。本処理は一定の時間周期で繰り返し実行される処理である。
本処理が開始されると、まずエンジン2の運転状態、ここではアクセル開度ACCPとエンジン回転数NEとに基づいて予め実験により定められたマップから負荷率(最大機関負荷に対する負荷の割合)が計算され、この負荷率に基づいて目標バルブ作用角VLt(目標値に相当)が設定される(S102)。そして回転角センサ50の検出値(回転角θv)により前記図13に示したマップに基づいてバルブ作用角VLを算出する(S104)。
【0095】
次にバルブ作用角VLを最大とする運転状態にあるか否かが判定される(S106)。例えば始動時などにおいては最大の吸入空気量を得るために螺旋カム機構104のストッパアーム104dを最大作用角側ストッパ104fに当接させる処理が行われる場合がある。具体的には、前記ステップS102において目標バルブ作用角VLtには最大バルブ作用角設定値VLmaxより大きい値が設定される。前述した図13に示したごとくストッパアーム104dが最大作用角側ストッパ104fに当接した状態では、回転角θvは幅dθx(不変作用角領域)に含まれてバルブ作用角VLは最大の一定値となるが、この最大の一定値が最大バルブ作用角設定値VLmaxである。
【0096】
このようにバルブ作用角VLを最大にする運転状態である場合には(S106で「YES」)、次に最小バルブ作用角学習値VLgが存在しないか否かが判定される(S108)。ここで既に最小バルブ作用角学習値VLgがECU4のバックアップRAM内に存在すれば(S108で「NO」)、実バルブ作用角VLaには、既知の値である前記最大バルブ作用角設定値VLmaxが設定される(S114)。すなわち、前述したごとくストッパアーム104dが最大作用角側ストッパ104fに当接した状態では、回転角θvは幅dθx(不変作用角領域)に含まれ、この時、バルブ作用角は最大バルブ作用角設定値VLmaxとなって一定だからである。
【0097】
そして実バルブ作用角VLaが目標バルブ作用角VLtとなるようにモータ102の駆動がなされる(S116)。この時は、実バルブ作用角VLa(=VLmax)と目標バルブ作用角VLt(>VLmax)との差に基づいて算出された回転方向と回転角度に応じてモータ102が駆動される。したがってストッパアーム104dは最大作用角側ストッパ104fに当接した状態となる。こうして一旦本処理を終了する。
【0098】
以後、バルブ作用角VLを最大にする運転状態が継続している限り、ステップS106で「YES」、ステップS108で「NO」と判定される。このため実バルブ作用角VLaには最大バルブ作用角設定値VLmaxが設定され(S114)、実バルブ作用角VLaが目標バルブ作用角VLtとなるようにモータ102の駆動がなされる(S116)状態が継続する。すなわちストッパアーム104dを最大作用角側ストッパ104fに当接させることで、機械的に最大バルブ作用角設定値VLmaxとする状態が継続する。
【0099】
始動が完了してアイドル時に移行すると、吸気バルブ2aのバルブ作用角を小さくするために、ステップS102にて目標バルブ作用角VLtが最大バルブ作用角設定値VLmaxよりも小さく設定されるようになる。このためステップS106では「NO」と判定されるようになる。このため次に最小バルブ作用角学習値VLgが存在しないか否かが判定される(S118)。ここで既に最小バルブ作用角学習値VLgがECU4のバックアップRAM内に存在している場合であるので(S118で「NO」)、次に実バルブ作用角VLaが式1のごとく算出される(S122)。
【0100】
【数1】
VLa ← VL − VLg … [式1]
そして実バルブ作用角VLaが目標バルブ作用角VLtとなるようにモータ102の駆動がなされ(S116)、一旦本処理を終了する。
【0101】
したがって最小バルブ作用角学習値VLgが存在していれば、以後もステップS118で「NO」と判定されて、図13のマップから求められたバルブ作用角VLをバックアップRAMに存在する最小バルブ作用角学習値VLgにて補正して実バルブ作用角VLaとして、モータ102の駆動制御に用いられる。
【0102】
尚、ECU4は別途、図16に示す最小バルブ作用角学習処理を実行している。本処理も一定時間周期で繰り返し実行されている。本処理では、暖機後のアイドル時等において、バルブ作用角VLを最小とする制御が実行されることで、実際に図11(A)に示したごとくにストッパアーム104dを最小作用角側ストッパ104eに当接させていることを回転角センサ50の検出値θvが最小側で変化しないことから判定している(S200)。制御の結果、ストッパアーム104dが最小作用角側ストッパ104eに当接していれば(S200で「YES」)、式2のごとく正式な最小バルブ作用角学習値VLgが算出される(S202)。
【0103】
【数2】
VLg ← VL − VLmin … [式2]
ここで最小バルブ作用角設定値VLminは、バルブ作用角調節機構56の組み立て時に、ストッパアーム104dを最小作用角側ストッパ104eに当接した状態で設定したバルブ作用角であり、既知の値である。
【0104】
したがってステップS202にて正式に最小バルブ作用角学習値VLgが算出されれば、前述したバルブ作用角制御処理(図15)のステップS122では、新たに求められることで更新された最小バルブ作用角学習値VLgを用いて実バルブ作用角VLaの計算がなされることになる。
【0105】
上述した処理は、最小バルブ作用角学習値VLgが始動時に既に存在している場合の例であったが、次にバッテリの取り替え等やECU4のバックアップRAMのメモリクリア処理などで、最小バルブ作用角学習値VLgが存在しなくなっている状態でのバルブ作用角制御処理(図15)について説明する。
【0106】
始動時においてバルブ作用角VLを最大にする運転状態であると(S106で「YES」)、この場合には最小バルブ作用角学習値VLgは存在しないので(S108で「YES」)、確実にストッパアーム104dが最大作用角側ストッパ104fに当接したか否かが判定される(S109)。
【0107】
ストッパアーム104dが最大作用角側ストッパ104fに当接したか否かは、回転角センサ50の検出値θvが最大側で変化しなくなったか否かにより判定する。ストッパアーム104dが最大側への回転途中であり、ストッパアーム104dが最大作用角側ストッパ104fに当接していなければ(S109で「NO」)、前記ステップS114,S116を実行して、モータ102による最大バルブ作用角側への駆動を行う。以後、ストッパアーム104dが最大作用角側ストッパ104fに当接するまで、上述の処理が継続する。
【0108】
そしてストッパアーム104dが最大作用角側ストッパ104fに当接すると(S109で「YES」)、次に式3に示すごとく仮学習値VLpを算出する(S110)。
【0109】
【数3】
VLp ← f(θv − θmax) … [式3]
ここで最大回転角θmaxは、ストッパアーム104dを最大作用角側ストッパ104fに当接した状態で標準とする回転角センサ50が出力する回転角検出値であり、既知の値である。
【0110】
f()は回転角の差をバルブ作用角の差に換算する計算式あるいはマップである。ここでは図13に示した幅dθx(不変作用角領域)以外の領域である、回転角θvの増加に応じてバルブ作用角VLが増加している変化領域の関係により「θv−θmax」の値が換算されて仮学習値VLpに設定される。すなわち図13に示した変化領域の勾配(ΔVL/Δθv)に基づいて式4のごとく算出される。
【0111】
【数4】
VLp ← (ΔVL/Δθv)×(θv−θmax) … [式4]
次に仮学習値VLpを最小バルブ作用角学習値VLgに設定する(S112)。そしてステップS114,S116を実行して、一旦本処理を終了する。
【0112】
次の制御周期では、バルブ作用角VLが最大にする運転状態となっていても(S106で「YES」)、最小バルブ作用角学習値VLgは仮学習(S110,S112)にて存在するので(S108で「NO」)、ステップS114,S116を実行して一旦本処理を終了する。
【0113】
そして始動が完了してアイドル時の制御に移行するとステップS102にて目標バルブ作用角VLtが最大よりも小さく設定されるようになる(S106で「NO」)。この時、仮学習値VLpが設定された最小バルブ作用角学習値VLgが存在するので(S118で「NO」)、前記式1にて最小バルブ作用角学習値VLgを用いて実バルブ作用角VLaが算出されるようになる(S122)。
【0114】
そして完全に暖機後のアイドル時となれば、前述したごとく最小バルブ作用角学習処理(図16)により、バルブ作用角VLを最小とする制御が実行されることにより(S200で「YES」)、前記式2のごとく正式に最小バルブ作用角学習値VLgが算出される(S202)。このように正式に最小バルブ作用角学習値VLgが算出されるので、前述したバルブ作用角制御処理(図15)のステップS122では正式に学習された最小バルブ作用角学習値VLgを用いて実バルブ作用角VLaの計算がなされてモータ102の駆動制御(S116)がなされるようになる。
【0115】
尚、バルブ作用角制御処理(図15)において、最小バルブ作用角学習値VLgが存在していない状態で、始動時にバルブ作用角VLを最大にしていない場合あるいは最大にできなかった場合(S106で「NO」)を考える。この場合にはステップS110,S112にて最小バルブ作用角学習値VLgを仮学習で設定できていない状態であるので、ステップS118では「YES」と判定される。そして実バルブ作用角VLaにはステップS104にて求めたバルブ作用角VLの値が設定される(S120)。そしてこの実バルブ作用角VLaが目標バルブ作用角VLtとなるようにモータ102が駆動される(S116)。
【0116】
しかし暖機状態での始動では、直ちに暖機アイドル時において最小バルブ作用角学習処理(図16)により正式な最小バルブ作用角学習値VLgが算出される(S202)。したがって最小バルブ作用角学習値VLgが早期に設定されて(図15のS118で「NO」)、実バルブ作用角VLaが、前記式1のごとく最小バルブ作用角学習値VLgにより補正されて算出されるようになる(S122)。
【0117】
尚、始動時にバルブ作用角VLを最大にしなかった場合あるいはできなかった場合においても、特に冷間アイドル時においては回転安定性のためにバルブ作用角VLを最大にする場合がある。ここで、ECU4は冷間アイドル時においては回転安定性のためにバルブ作用角VLを最大にする制御をしているものとする。この場合には、最小バルブ作用角学習処理(図16)により正式な最小バルブ作用角学習値VLgが算出される前に、冷間アイドル時となれば、バルブ作用角制御処理(図15)においてバルブ作用角VLを最大にする運転状態となる(S106で「YES」)。
【0118】
したがって最小バルブ作用角学習値VLgが存在していない場合には(S108で「YES」)、ストッパアーム104dが最大作用角側ストッパ104fに当接したことにより(S109で「YES」)、前述したステップS110,S112が実行されて、最小バルブ作用角学習値VLgが仮学習される。したがって、これ以後、冷間アイドル時から暖機後のアイドル状態となって正式な最小バルブ作用角学習値VLgが算出されるまでの間は、仮学習された最小バルブ作用角学習値VLgによって実バルブ作用角VLaが算出され(S122)、モータ102の駆動がなされることになる(S116)。
【0119】
本実施の形態の処理例を図17〜19のタイミングチャートに示す。図17は最小バルブ作用角学習値VLgが存在している状態で時刻t0から暖機状態での始動がなされた場合を示している。尚、既に直前のエンジン2の停止処理において、ストッパアーム104dは最大作用角側ストッパ104fに当接されている。この場合は、始動後(t1)に暖機アイドルとなってバルブ作用角VLが最大バルブ作用角VLmaxから最小バルブ作用角VLminに変更された後に(t2〜)に最小バルブ作用角学習値VLgが更新される。
【0120】
図18は最小バルブ作用角学習値VLgが存在していない状態で時刻t10から暖機状態での始動がなされた場合を示している。したがって始動時に最大バルブ作用角VLmaxに駆動している状態で仮学習がなされて最小バルブ作用角学習値VLgが仮に設定される。そして、始動後(t11)に暖機アイドルとなってバルブ作用角VLが最大バルブ作用角VLmaxから最小バルブ作用角VLminに変更された後に(t12〜)に正式に最小バルブ作用角学習値VLgが学習されて設定される。
【0121】
図19は冷間始動時には最大バルブ作用角VLmaxよりもバルブ作用角VLを小さくしているエンジンの例を示す。この場合に、最小バルブ作用角学習値VLgが存在していない状態で時刻t20から冷間状態での始動がなされた場合を示している。したがって始動後(t21〜)、冷間アイドル時(t21〜t23)に最大バルブ作用角VLmaxに駆動された時(t22)に仮学習がなされて最小バルブ作用角学習値VLgが仮に設定される。そして、暖機アイドルとなって(t23〜)バルブ作用角VLが最大バルブ作用角から最小バルブ作用角に変更された後に(t24〜)に正式に最小バルブ作用角学習値VLgが学習されて設定される。
【0122】
上述した構成において、ECU4が可変動弁機構制御装置に相当し、最小バルブ作用角学習処理(図16)が基準バルブ駆動状態学習手段としての処理に相当する。したがってストッパアーム104dが最小作用角側ストッパ104eに当接した状態が「基準バルブ駆動状態」に、回転角センサ50に検出される回転角θvを換算したバルブ作用角VLが「状態量」に、最小バルブ作用角設定値VLminが「既知の状態量」に相当する。
【0123】
バルブ作用角制御処理(図15)のステップS106〜S112が仮学習手段としての処理に相当する。したがって最大回転角θmaxが「推定されたバルブ駆動状態」に、回転角センサ50により検出された回転角θvが「状態量」に、始動状態あるいは冷間アイドル状態が「基準機関状態」に相当する。
【0124】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).最小バルブ作用角学習値VLgが存在しなくても、バルブ作用角制御処理(図15)では最小バルブ作用角学習値VLgが算出されるまでの間は、エンジン2の運転状態(始動時あるいは冷間アイドル時での運転状態)に基づいて吸気バルブ2aの駆動状態を推定する。具体的には螺旋カム108が最大回転角θmaxにあると推定する。
【0125】
そして、この最大回転角θmaxと、回転角センサ50により検出されている回転角θvとの関係(ここではθmaxとθvとの差)に基づいて仮学習値VLpを設定し(S110)、可変動弁機構54の制御に用いている。このように最小バルブ作用角学習値VLgがステップS202(図16)にて正式に設定されるまでの間は仮学習値VLpを用いている。この仮学習値VLpは、初期値でもなく予め設定した特定の値でもなく、螺旋カム108による現実に近いバルブ駆動状態に基づいて設定されている。このため可変動弁機構54が最小バルブ作用角にされていなくてもエンジン2の運転性を維持するために十分な最小バルブ作用角学習値VLgの代替値を設定することができる。
【0126】
このように仮学習値VLpは最小バルブ作用角学習値VLgの役割を果たすことができるので、学習のために強制的にエンジン2の運転状態を変更しなくても、学習値が存在しない状態での制御が継続されることがない。このため可変動弁機構54の強制的な駆動により生じるエンジン2の運転安定性上の問題は生じることはない。
【0127】
更に、最小バルブ作用角VLminへの強制的な駆動自体が困難であるエンジン運転状態(例えば始動時や冷間アイドル時)であっても、仮学習値VLpが存在するのでエンジン2の運転安定性などに問題を生じることはない。
【0128】
したがって、最小バルブ作用角学習処理(図16)により正式な最小バルブ作用角学習値VLgが算出されるまでの間、エンジン2の運転性悪化を抑制することができる。
【0129】
(ロ).最終的に、正式な最小バルブ作用角学習値VLgはバルブ作用角VLが最小の位置で求められている。特にバルブ作用角が小さい領域では制御誤差はエンジン2の運転性に大きく影響しやすい。このためバルブ作用角VLの最小側で学習値を求めることは重要である。
【0130】
しかし、このようにバルブ作用角VLの最小側で正式な最小バルブ作用角学習値VLgを求めるようにしているため、始動時や冷間アイドル時などでは最小バルブ作用角学習値VLgを設定することは困難となる。しかし本実施の形態では、上述したごとくバルブ作用角VLの最大側で仮学習値VLpが設定できる。このことにより始動時あるいは冷間アイドル時からバルブ作用角を精密に調節することが可能となるので、エンジン2の運転性の悪化を抑制できる。
【0131】
[実施の形態2]
本実施の形態では、学習対象をバルブ作用角ではなく回転角としている。
本実施の形態のハード構成は、前記実施の形態1の図1〜14に示したハード構成と同じであり、同一の符号にて説明する。前記実施の形態1と異なるのは、ECU4におけるバルブ作用角制御処理(図15)の代わりに図20に示す処理が実行される。そして最小バルブ作用角学習処理(図16)の代わりに図21の処理が実行される。
【0132】
バルブ作用角制御処理(図20)及び最小バルブ作用角学習処理(図21)について説明する。これらの処理は一定周期で繰り返し実行されている。
バルブ作用角制御処理(図20)が開始されると、まず前記図15のステップS102にて説明したごとく目標バルブ作用角VLtが設定される(S302)。
【0133】
次にバルブ作用角VLを最大とする運転状態か否かが判定される(S304)。このような運転状態は前記図15のステップS106にて説明したごとくである。バルブ作用角VLを最大にする運転状態である場合には(S304で「YES」)、次に回転角として設定されている最小バルブ作用角時回転角学習値θgが存在しないか否かが判定される(S306)。ここで既に最小バルブ作用角時回転角学習値θgがECU4のバックアップRAM内に存在すれば(S306で「NO」)、前記図15のステップS114と同じ処理により、実バルブ作用角VLaには既知である最大バルブ作用角設定値VLmaxが設定される(S312)。
【0134】
そして前記図15のステップS116と同じ処理により、実バルブ作用角VLaが目標バルブ作用角VLtとなるようにモータ102の駆動がなされ(S314)、一旦本処理を終了する。
【0135】
以後、バルブ作用角VLを最大にしている状態が継続している限り、ステップS304で「YES」、ステップS306で「NO」と判定される。このため実バルブ作用角VLaには最大バルブ作用角設定値VLmaxが設定され(S312)、実バルブ作用角VLaが目標バルブ作用角VLtとなるようにモータ102の駆動がなされる(S314)状態が継続する。
【0136】
そして始動が完了してアイドル制御に移行すると、吸気バルブ2aのバルブ作用角を小さくするために、ステップS302にて目標バルブ作用角VLtが小さく設定されるようになる。このためステップS304では「NO」と判定されるようになる。そして次に最小バルブ作用角時回転角学習値θgが存在しないか否かが判定される(S316)。ここで既に最小バルブ作用角時回転角学習値θgがECU4のバックアップRAM内に存在している場合であるので(S316で「NO」)、次に実回転角θaが式5のごとく算出される(S320)。
【0137】
【数5】
θa ← θv − θg … [式5]
次に実回転角θaから前記図13に示したマップにより実バルブ作用角VLaを算出する(S322)。そして実バルブ作用角VLaが目標バルブ作用角VLtとなるようにモータ102の駆動がなされ(S314)、一旦本処理を終了する。
【0138】
したがって最小バルブ作用角時回転角学習値θgが存在していれば、以後もステップS316で「NO」と判定されて、最小バルブ作用角時回転角学習値θgにて回転角センサ50により実際に検出されている回転角θvを補正して実回転角θaが求められる。そしてこの実回転角θaに基づいて実バルブ作用角VLaが求められて、モータ102の駆動制御に用いられる。
【0139】
ECU4は別途、図21の最小バルブ作用角学習処理を実行している。本処理では、暖機後のアイドル時等において、ストッパアーム104dを最小作用角側ストッパ104eに当接させるバルブ作用角VLを最小とする制御が実行されていると(S402で「YES」)、式6のごとく正式に最小バルブ作用角時回転角学習値θgが算出される(S404)。
【0140】
【数6】
θg ← θv − θmin … [式6]
ここで最小バルブ作用角時回転角設定値θminは、ストッパアーム104dを最小作用角側ストッパ104eに当接した状態で標準の回転センサ50が出力する回転角検出値であり、既知の値である。
【0141】
したがってステップS404にて正式に最小バルブ作用角時回転角学習値θgが算出されれば、前述したバルブ作用角制御処理(図20)のステップS320では新たに求められて更新された最小バルブ作用角時回転角学習値θgを用いて実回転角θaの計算がなされる。
【0142】
上述した処理は、最小バルブ作用角時回転角学習値θgが既に存在している場合の例であったが、次にバッテリの取り替え等やECU4のバックアップRAMのメモリクリア処理などで、最小バルブ作用角時回転角学習値θgが存在しなくなっている場合におけるバルブ作用角制御処理(図20)について説明する。
【0143】
始動時においてバルブ作用角VLを最大にする運転状態では(S304で「YES」)、ここでは最小バルブ作用角時回転角学習値θgは存在しない場合であるので(S306で「YES」)、確実にストッパアーム104dが最大作用角側ストッパ104fに当接したか否かが判定される(S307)。
【0144】
このステップS307の判定は前記図15のステップS109にて述べたごとくである。ストッパアーム104dが最大作用角側ストッパ104fに当接していなければ(S307で「NO」)、前記ステップS312,S314を実行して、モータ102による最大バルブ作用角側への駆動を行う。以後、ストッパアーム104dが最大作用角側ストッパ104fに当接するまで、上述の処理が継続する。
【0145】
そしてストッパアーム104dが最大作用角側ストッパ104fに当接すると(S307で「YES」)、次に式7に示すごとく仮学習値θpを算出する(S308)。
【0146】
【数7】
θp ← θv − θmax … [式7]
ここで最大回転角θmaxは前記図15のステップS110にて述べたごとくである。
【0147】
次に仮学習値θpを最小バルブ作用角時回転角学習値θgに設定する(S310)。そしてステップS312,S314を実行して、一旦本処理を終了する。
次の制御周期では、バルブ作用角VLを最大にする運転状態であっても(S304で「YES」)、最小バルブ作用角時回転角学習値θgは仮学習(S308,S310)にて存在するので(S306で「NO」)、ステップS312,S314を実行して一旦本処理を終了する。
【0148】
そして始動が完了してアイドル制御に移行するとステップS302にて目標バルブ作用角VLtが最大よりも小さく設定されるようになる(S304で「NO」)。この時、仮学習値θpが設定された最小バルブ作用角時回転角学習値θgが存在するので(S316で「NO」)、前記式5にて、最小バルブ作用角時回転角学習値θgを用いて実回転角θaが算出されるようになる(S320)。
【0149】
そして完全に暖機後のアイドル状態となれば、前述したごとく最小バルブ作用角学習処理(図21)により、バルブ作用角VLを最小とする制御が実行されることにより(S402で「YES」)、前記式6のごとく正式に最小バルブ作用角時回転角学習値θgが算出される(S404)。このように正式に最小バルブ作用角時回転角学習値θgが算出されるので、前述したバルブ作用角制御処理(図20)のステップS320では正式な最小バルブ作用角時回転角学習値θgを用いて実回転角θaの計算がなされる。
【0150】
尚、バルブ作用角制御処理(図20)において、最小バルブ作用角時回転角学習値θgが存在していない状態で、始動時にバルブ作用角VLを最大にしていない場合あるいは最大にできなかった場合(S304で「NO」)を考える。この場合にはステップS308,S310にて最小バルブ作用角時回転角学習値θgを仮学習で設定していない状態であるので、ステップS316では「YES」と判定される。そして実回転角θaには回転角センサ50にて検出されている回転角θvの値が設定される(S318)。そしてこの実回転角θaから実バルブ作用角VLaが算出され(S322)、目標バルブ作用角VLtとなるようにモータ102が駆動される(S314)。
【0151】
しかし暖機状態での始動後では、直ちに暖機アイドル状態において最小バルブ作用角学習処理(図21)により正式な最小バルブ作用角時回転角学習値θgが算出される(S404)。したがって早期に最小バルブ作用角時回転角学習値θgが設定されて(S316で「NO」)、実回転角θaが、前記式5のごとく最小バルブ作用角時回転角学習値θgにより補正されて算出されるようになる(S320)。
【0152】
ここで、ECU4は冷間アイドル時においては回転安定性のためにバルブ作用角VLを最大にする制御をしているものとする。この場合には、最小バルブ作用角学習処理(図21)により正式な最小バルブ作用角時回転角学習値θgが算出される前に、冷間アイドル状態となれば、バルブ作用角制御処理(図20)においてバルブ作用角VLを最大にする運転状態となる(S304で「YES」)。
【0153】
したがって最小バルブ作用角時回転角学習値θgが存在していない場合(S306で「YES」)、確実にストッパアーム104dが最大作用角側ストッパ104fに当接すれば(S307で「YES」)、前述したステップS308,S310が実行される。このことにより最小バルブ作用角時回転角学習値θgに仮学習値θpが設定される。したがって、以後の冷間アイドル状態から暖機後のアイドル状態となって正式な最小バルブ作用角時回転角学習値θgが算出されるまでの期間において、仮学習された最小バルブ作用角時回転角学習値θgによって実回転角θaが算出される(S320)。そしてこの実回転角θaから実バルブ作用角VLaが算出され(S322)、目標バルブ作用角VLtとなるようにモータ102が駆動されることになる(S314)。
【0154】
本実施の形態の処理例を図22〜24のタイミングチャートに示す。図22は前記実施の形態1の図17の場合に、図23は前記図18の場合に、図24は前記図19の場合に相当する。図示するごとく、最小バルブ作用角時回転角学習値θgは前記実施の形態1の最小バルブ作用角学習値VLgと同様に設定されている。
【0155】
上述した構成において、最小バルブ作用角学習処理(図21)が基準バルブ駆動状態学習手段としての処理に相当する。したがってストッパアーム104dが最小作用角側ストッパ104eに当接した状態が「基準バルブ駆動状態」に、回転角センサ50に検出される回転角θvが「状態量」に、最小バルブ作用角時回転角設定値θminが「既知の状態量」に相当する。
【0156】
バルブ作用角制御処理(図20)のステップS304〜S310が仮学習手段としての処理に相当する。したがって最大回転角θmaxが「推定されたバルブ駆動状態」に、回転角センサ50により検出された回転角θvが「状態量」に、始動状態あるいは冷間アイドル状態が「基準機関状態」に相当する。
【0157】
以上説明した本実施の形態2によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態1の(イ)、(ロ)と同様の効果が得られる。
[実施の形態3]
本実施の形態では、シャフトスライド機構300が図25に示すごとく、回転角センサを設けずに、スライドセンサ350によりカムフレーム110に連動するコントロールシャフト82のスライド量SLvを検出している。
【0158】
ここでスライドセンサ350は、差動トランスタイプの変位センサであり、カムフレーム110側に設けられたロッド状コア350aとシリンダヘッド10(図2)側に設けられたコイル350bとからなる。モータ102により螺旋カム108が回転してカムフレーム110がコントロールシャフト82を軸方向に移動させると、ロッド状コア350aがコイル350bに対して相対的に移動する。このことでコントロールシャフト82のスライド量SLvを検出することができる。
【0159】
これ以外のハード構成は前記実施の形態1と同じである。同一の構成については同一の符号にて説明する。
そして制御的にはECU4におけるバルブ作用角制御処理(図15)の代わりに図26に示す処理が実行される。最小バルブ作用角学習処理(図16)については前記実施の形態1と同一である。このことにより本実施の形態ではバルブ作用角VLを学習する。
【0160】
バルブ作用角制御処理(図26)について説明する。この処理は一定周期で繰り返し実行されている。バルブ作用角制御処理(図26)が開始されると、まず前記図15のステップS102と同じ処理により目標バルブ作用角VLtが設定される(S502)。そしてスライドセンサ350の検出値SLvからバルブ作用角VLが算出される(S504)。この算出は、図27に示すごとく、予め実験により標準のスライドセンサにより測定しておいたスライド量SLと吸気バルブ2aのバルブ作用角VLと関係を表すマップにより算出される。
【0161】
次に最小バルブ作用角学習値VLgが存在しないか否かが判定される(S506)。ここで既に最小バルブ作用角学習値VLgがECU4のバックアップRAM内に存在すれば(S506で「NO」)、次に実バルブ作用角VLaが式8のごとく算出される(S516)。
【0162】
【数8】
VLa ← VL − VLg … [式8]
そして、前記図15のステップS116と同様の制御処理により実バルブ作用角VLaが目標バルブ作用角VLtとなるようにモータ102の駆動がなされ(S520)、一旦本処理を終了する。
【0163】
したがって最小バルブ作用角学習値VLgが存在すれば、以後もステップS506で「NO」と判定され、図27のマップから求められたバルブ作用角VLをバックアップRAMに存在する最小バルブ作用角学習値VLgにて補正して実バルブ作用角VLaとし、モータ102の駆動制御に用いられることになる。
【0164】
尚、前記実施の形態1にて説明したごとくECU4は別途、前記図16に示す最小バルブ作用角学習処理を実行している。したがってステップS202(図16)にて正式に最小バルブ作用角学習値VLgが算出されれば、前述したバルブ作用角制御処理(図26)のステップS516では新たに求められた最小バルブ作用角学習値VLgを用いて実バルブ作用角VLaの計算がなされることになる。
【0165】
上述した処理は、最小バルブ作用角学習値VLgが既に存在している場合の例であったが、次にバッテリの取り替え等やECU4のバックアップRAMのメモリクリア処理などで、最小バルブ作用角学習値VLgが存在していない場合におけるバルブ作用角制御処理(図26)について説明する。
【0166】
ステップS502,S504の処理の後、最小バルブ作用角学習値VLgが存在しないので(S506で「YES」)、次にバルブ作用角VLを最大に駆動する運転状態か否かが判定される(S508)。始動時においてはバルブ作用角VLを最大にする運転状態であるので(S508で「YES」)、次にモータ102による最大バルブ作用角側への螺旋カム108の回転にもかかわらず、スライドセンサ350の検出値SLvに変化が無くなったか否かが判定される(S510)。
【0167】
前記実施の形態1の図12,13にて示したごとく、螺旋カム108の螺旋状カム面108aは最大バルブ作用角側において幅dθxの範囲では螺旋カム108の回転角が変化してもカム軸104bとの距離が変化しない不変作用角領域が存在する。したがって不変作用角領域にローラ110aが接触した状態では、螺旋カム108の回転位相にかかわらず、スライドセンサ350の検出値SLvに変化が無くなり、吸気バルブ2aのバルブ作用角及びバルブリフト量は、既知の最大バルブ作用角及び最大バルブリフト量に一定化されることになる。したがって、ステップS510は、この不変作用角領域に到達したか否かを判定するためである。
【0168】
最大バルブ作用角側へのモータ102の駆動時にスライドセンサ350の検出値SLvに変化がある間は(S510で「NO」)、実バルブ作用角VLaに最大バルブ作用角設定値VLmaxを設定する(S518)。そして実バルブ作用角VLaが目標バルブ作用角VLtとなるようにモータ102の駆動制御を行う(S520)。
【0169】
螺旋カム108の回転により不変作用角領域にローラ110aが接触する状態となると最大バルブ作用角側へのモータ102の駆動にもかかわらずスライドセンサ350の検出値SLvに変化が無くなるので(S510で「YES」)、次に式9のごとく仮学習値VLpを設定する(S512)。
【0170】
【数9】
VLp ← VL − VLmax … [式9]
ここで最大バルブ作用角VLmaxは、前記実施の形態1の図12にて説明したごとく螺旋カム108に存在する幅dθx(不変作用角領域)における既知のバルブ作用角であり、幅dθx内では一定である。モータ102を回転させて最大限にバルブ作用角VLを大きくしても、このような機械的な設定によりバルブ作用角VLは最大バルブ作用角VLmaxで停止する。したがって前記式9によりスライドセンサ350の検出値SLvに基づいて最大バルブ作用角側で算出されるバルブ作用角VLと最大バルブ作用角VLmaxとの差を仮学習値VLpとすることができる。
【0171】
そして仮学習値VLpの値を最小バルブ作用角学習値VLgに設定し(S514)、実バルブ作用角VLaが目標バルブ作用角VLtとなるようにモータ102を駆動して(S520)、一旦本処理を終了する。
【0172】
次の制御周期では、最小バルブ作用角学習値VLgは仮学習(S512,S514)にて存在するので(S506で「NO」)、ステップS516,S520を実行して一旦本処理を終了する。
【0173】
以後、仮学習値VLpが設定された最小バルブ作用角学習値VLgによるバルブ作用角制御が行われた後、暖機後のアイドル状態となれば、前述したごとくバルブ作用角VLを最小とする制御が実行される。このことにより最小バルブ作用角学習処理(図16)により前記式2のごとく正式に最小バルブ作用角学習値VLgが算出される(S202)。このように正式に最小バルブ作用角学習値VLgが算出されるので、前述したバルブ作用角制御処理(図26)のステップS516では正式な最小バルブ作用角学習値VLgを用いて実バルブ作用角VLaの計算がなされるようになる。
【0174】
尚、バルブ作用角制御処理(図26)において、最小バルブ作用角学習値VLgが存在していない状態で(S506で「YES」)、始動時にバルブ作用角VLを最大にしていない場合あるいは最大にできなかった場合(S508で「NO」)を考える。この場合には実バルブ作用角VLaには、ステップS504で求められたバルブ作用角VLが設定され(S509)、モータ102の駆動がなされる(S520)。
【0175】
しかし暖機状態での始動では、直ちに暖機アイドル時において最小バルブ作用角学習処理(図16)により正式な最小バルブ作用角学習値VLgが算出される(S202)。したがって最小バルブ作用角学習値VLgが早期に設定されて、前記式8のごとく最小バルブ作用角学習値VLgにより補正された実バルブ作用角VLaが算出されるようになる(S516)。
【0176】
ここでECU4が冷間アイドル時においては回転安定性のためにバルブ作用角VLを最大にする制御をしているものとする。この場合には、最小バルブ作用角学習処理(図16)により正式な最小バルブ作用角学習値VLgが算出される前に、冷間アイドル時となれば、バルブ作用角制御処理(図26)においてバルブ作用角VLを最大にする運転状態となる(S508で「YES」)。
【0177】
したがって、スライドセンサ350の検出値SLvに変化が無くなった後は(S510で「YES」)、前述したステップS512,S514が実行されて、最小バルブ作用角学習値VLgが仮学習される。したがって、以後の冷間アイドル状態から暖機後のアイドル状態となって正式な最小バルブ作用角学習値VLgが算出されるまでの期間において、仮学習された最小バルブ作用角学習値VLgによって実バルブ作用角VLaが算出され(S516)、目標バルブ作用角VLtに制御されることになる(S520)。
【0178】
このような構成により、前記実施の形態1のタイミングチャート(図17〜19)に示したごとくの処理が行われる。
上述した構成において、最小バルブ作用角学習処理(図16)が基準バルブ駆動状態学習手段としての処理に相当する。したがってストッパアーム104dが最小作用角側ストッパ104eに当接した状態が「基準バルブ駆動状態」に、スライドセンサ350に検出されるスライド量SLvを換算したバルブ作用角VLが「状態量」に、最小バルブ作用角設定値VLminが「既知の状態量」に相当する。
【0179】
バルブ作用角制御処理(図26)のステップS506〜S514が仮学習手段としての処理に相当する。したがって最大バルブ作用角VLmaxが「推定されたバルブ駆動状態」に、スライドセンサ350により検出されたバルブ作用角VLが「状態量」に、始動状態あるいは冷間アイドル状態が「基準機関状態」に相当する。
【0180】
以上説明した本実施の形態3によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態1の(イ)、(ロ)と同様の効果が得られる。
(ロ).スライド量SLvに変化が無くなれば(S510で「YES」)、仮学習しているので、ストッパアーム104dが最大作用角側ストッパ104fに当接する前に仮学習が完了する頻度が高くなる。このためステップS508の判定が何らかの原因で短時間で「NO」となったとしても、仮学習による最小バルブ作用角学習値VLgが設定される確率が高まり、エンジン2の運転性悪化の抑制を、より効果的なものとできる。
【0181】
[実施の形態4]
本実施の形態は、エンジン運転に影響がでない範囲でバルブ作用角を最大にして仮学習を実行する制御例を示している。
【0182】
本実施の形態のハード構成は、前記実施の形態1の図1〜14に示したハード構成と同じであり、同一の符号にて説明する。前記実施の形態1と異なるのは、ECU4におけるバルブ作用角制御処理(図15)の代わりに図28,29に示す処理が実行される点である。尚、最小バルブ作用角学習処理(図16)は同一である。
【0183】
バルブ作用角制御処理(図28,29)について説明する。これらの処理は一定周期で繰り返し実行されている。本処理が開始されると、まず前記図15のステップS102にて説明したごとく目標バルブ作用角VLtが算出され設定される(S602)。そして前記図15のステップS104にて説明したごとく回転角センサ50の検出値(回転角θv)により前記図13に示したマップに基づいてバルブ作用角VLを算出する(S604)。
【0184】
次に最小バルブ作用角学習値VLgが存在しないか否かが判定される(S606)。ここで既に最小バルブ作用角学習値VLgがECU4のバックアップRAM内に存在すれば(S606で「NO」)、実バルブ作用角VLaが式10のごとく算出される(S620)。
【0185】
【数10】
VLa ← VL − VLg … [式10]
そして実バルブ作用角VLaが目標バルブ作用角VLtとなるようにモータ102の駆動がなされ(S622)、一旦本処理を終了する。
【0186】
以後、上述した処理を繰り返すが、この間に、最小バルブ作用角学習処理(図16)によりステップS202が実行されて最小バルブ作用角学習値VLgが更新されると、ステップS620では新たな最小バルブ作用角学習値VLgによる実バルブ作用角VLaの算出がなされる。
【0187】
一方、最小バルブ作用角学習値VLgが存在しない場合には(S606で「YES」)、次にエンジン2がバルブ作用角VLを最大バルブ作用角とする駆動制御が可能な運転状態か否かが判定される。
【0188】
バルブ作用角VLを最大バルブ作用角とする駆動制御が可能な運転状態とは、既にバルブ作用角VLが最大となっている状態を含むが、これ以外に、目標バルブ作用角VLtが最大に近いことにより、スロットル開度制御側との協調制御の実行によりエンジン運転上問題を生じることなくできる状態を含む。すなわち現在のバルブ作用角から最大のバルブ作用角に変更してもスロットル開度制御側でスロットルバルブ26を絞ることで吸入空気量の状態に与える影響がほとんどなく駆動できる運転状態を含むものである。このような運転状態は、予め実験により、バルブ作用角VL、エンジン回転数NE及び吸入空気量GAの状態毎に求めてマップ化しておく。そしてステップS608においては、このマップ適用の有無、更に適用する場合にはマップに基づいて、バルブ作用角VL、エンジン回転数NE及び吸入空気量GAの値から、バルブ作用角VLを最大とする駆動制御が可能な運転状態か否かを判定する。例えば、始動時においてマップを適用できないようにし、始動時以外ではマップを適用するようにしても良い。あるいは全ての運転状態でマップを適用するようにしても良い。
【0189】
ここでマップの適用によりバルブ作用角VLを最大バルブ作用角とする駆動制御が可能な運転状態であれば(S608で「YES」)、既に最大バルブ作用角になっているか否かが判定される(S610)。まだ最大バルブ作用角でなければ(S610で「NO」)、前述したごとくスロットル開度制御側との協調制御により、スロットルバルブ26の閉方向の駆動に連動してモータ102の駆動により吸気バルブ2aのバルブ作用角を最大にする(S618)。尚、バルブ作用角が最大となったか否かはストッパアーム104dが最大作用角側ストッパ104fに当接することで回転角センサ50の検出値θvの上昇が停止したことで判断する。
【0190】
バルブ作用角が最大となれば(S610で「YES」)、次に式11に示すごとく仮学習値VLpを算出する(S612)。
【0191】
【数11】
VLp ← f(θv − θmax) … [式11]
最大回転角θmax,f()については、前記実施の形態1のステップS110(図15)にて説明したごとくである。
【0192】
次に仮学習値VLpを最小バルブ作用角学習値VLgに設定し(S614)、実バルブ作用角VLaには最大バルブ作用角設定値VLmaxを設定する(S616)。
【0193】
そしてスロットルバルブ26が元の状態に戻るようにスロットル開度制御側に復帰を要求し(S617)、一旦本処理を終了する。この要求により、スロットル開度制御側ではスロットルバルブ26を次第に元のスロットル開度状態に戻す。
【0194】
そしてバルブ作用角制御処理(図28,29)の次の制御周期では、スロットル開度TAの戻し量に適合させて目標バルブ作用角VLtが算出され(S602)、回転角センサ50の検出値θvからバルブ作用角VLが算出される(S604)。そして最小バルブ作用角学習値VLgは、前回のステップS614の処理にて仮学習値VLpの値が設定されている(S606で「NO」)。このため実バルブ作用角VLaが前記式10のごとく算出され(S620)、実バルブ作用角VLaが目標バルブ作用角VLtとなるようにモータ102の駆動がなされ(S622)、一旦本処理を終了する。
【0195】
このようにして仮学習された最小バルブ作用角学習値VLgにより吸気バルブ2aのバルブ作用角制御がなされる。そして、暖機アイドル時となれば最小バルブ作用角学習処理(図16)によりステップS202が実行されて正式に最小バルブ作用角学習値VLgが設定されて、正式な最小バルブ作用角学習値VLgによるバルブ作用角制御がなされるようになる。
【0196】
ステップS608にてバルブ作用角VLを最大にする駆動制御が可能な運転状態でない場合(S608で「NO」)について説明する。この場合には実バルブ作用角VLaにステップS604にて求めたバルブ作用角VLの値が設定される(S624)。そしてこの実バルブ作用角VLaが目標バルブ作用角VLtとなるようにモータ102が駆動される(S622)。しかし暖機状態での始動では、直ちに暖機アイドル状態において最小バルブ作用角学習処理(図16)により正式な最小バルブ作用角学習値VLgが算出される。したがって最小バルブ作用角学習値VLgが早期に設定されて(S606で「NO」)、実バルブ作用角VLaが、前記式10のごとく最小バルブ作用角学習値VLgにより補正されて算出されるようになる(S620)。
【0197】
尚、冷間アイドル時においては、回転安定性のためにバルブ作用角VLを最大にする運転状態となる。したがって、この場合には、最小バルブ作用角学習値VLgが存在していない場合には(S606で「YES」)、ステップS608にて「YES」とされて、前述したごとく最小バルブ作用角学習値VLgが仮学習される。このため、以後の冷間アイドル状態から暖機後のアイドル状態となって正式な最小バルブ作用角学習値VLgが算出されるまでの期間において、仮学習された最小バルブ作用角学習値VLgにて実バルブ作用角VLaが算出され(S620)、目標バルブ作用角VLtに制御されることになる(S622)。
【0198】
本実施の形態の処理例を図30〜32のタイミングチャートに示す。図30は最小バルブ作用角学習値VLgが存在している状態で時刻t40から暖機状態での始動がなされた場合を示している。尚、本エンジンでは、始動時においては最大バルブ作用角設定値VLmaxよりも少し小さいバルブ作用角にしている。始動後(t41)には暖機アイドルとなってバルブ作用角VLが最小バルブ作用角VLminに変更された後に(t42〜)に最小バルブ作用角学習値VLgが更新される。
【0199】
図31は最小バルブ作用角学習値VLgが存在していない状態で時刻t50から暖機状態での始動がなされた場合を示している。本エンジンは、始動時に最大バルブ作用角VLmaxより小さいバルブ作用角にしなくてはならないので、始動時には仮学習はなされない。ただし、暖機状態での始動であるので、始動後(t51)に暖機アイドルとなってバルブ作用角VLが最小バルブ作用角に変更された後に(t52〜)に直ちに正式な最小バルブ作用角学習値VLgが学習されて設定される。
【0200】
図32は冷間アイドル時に最大バルブ作用角VLmaxよりもバルブ作用角を小さくしている例を示す。ただし本エンジンは、冷間アイドル時にスロットル開度制御側との協調制御により最大バルブ作用角VLmaxにすることが可能である。最小バルブ作用角学習値VLgが存在していない状態で時刻t60から冷間状態での始動がなされると、始動後(t61〜)、冷間アイドル時(t61〜t64)において、一時的に最大バルブ作用角VLmaxへ駆動される(t62〜t63)。このことにより最大バルブ作用角VLmaxでの仮学習がなされて最小バルブ作用角学習値VLgが設定される(t63)。そして暖機アイドルとなって(t64〜)バルブ作用角VLが最小バルブ作用角に変更された後に(t65〜)に正式に最小バルブ作用角学習値VLgが学習されて設定される。
【0201】
上述した構成において、最小バルブ作用角学習処理(図16)が基準バルブ駆動状態学習手段としての処理に相当する。したがってストッパアーム104dが最小作用角側ストッパ104eに当接した状態が「基準バルブ駆動状態」に、回転角センサ50に検出される回転角θvを換算したバルブ作用角VLが「状態量」に、最小バルブ作用角設定値VLminが「既知の状態量」に相当する。
【0202】
バルブ作用角制御処理(図28,29)のステップS606〜S614が仮学習手段としての処理に相当する。したがって回転角センサ50により検出された回転角θvが「状態量」に、吸気バルブ2aのバルブ作用角を最大にした時の状態が「仮基準バルブ駆動状態」に、最大回転角θmaxが「仮基準バルブ駆動状態に対応する既知の状態量」に相当する。
【0203】
以上説明した本実施の形態4によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態1の(イ)、(ロ)と同様の効果が得られる。
(ロ).バルブ作用角が最大でなくても、バルブ作用角を最大にすることが許される運転状態であれば、積極的にバルブ作用角を最大にすることにより、仮学習にて最小バルブ作用角学習値VLgを設定しているので仮学習値を設定するチャンスを多くできる。
【0204】
このように最小バルブ作用角学習値VLgが存在せず、最小バルブ作用角状態に移行できずあるいは移行に時間がかかることなどの理由により、正式な最小バルブ作用角学習値VLgを得ることが困難である場合でも、最大バルブ作用角に積極的に移行することにより仮学習値が得られる。このため、最小バルブ作用角学習値VLgが全く存在しない状態での制御が長期間継続される頻度が低下する。
【0205】
こうして、正式な最小バルブ作用角学習値VLgが得られるまでの間、エンジンの運転性悪化を抑制することができる。
[その他の実施の形態]
(a).前記各実施の形態においては、コントロールシャフトの軸方向移動により仲介駆動機構がバルブ作用角及びバルブリフト量を調節するタイプであったが、仲介駆動機構を設けなくても図33,34に示すごとく構成することでバルブ作用角及びバルブリフト量を調節しても良い。すなわち吸気カム464aを3次元カムとし、吸気カムシャフト464にコントロールシャフトを兼ねさせて軸方向に移動しても良い。ここでは、吸気カムシャフト464の端部にはストレートスプライン464bが設けられて、このストレートスプライン464bによりバルブタイミング調節機構58のベーン体126(図14)に係合している。したがってベーン体126が短円筒状のケーシング内で軸方向移動が不能でも、吸気カムシャフト464は軸方向に移動可能となる。
【0206】
ここでシャフトスライド機構100は前記実施の形態1にて説明したごとくである。ただしカムフレーム110は転がり軸受部466を介して吸気カムシャフト464に接続されている。このことにより、バルブタイミング調節機構58を介してクランクシャフトの回転に連動している吸気カムシャフト464に対して、カムフレーム110は回転することなく吸気カムシャフト464を軸方向に移動できる。
【0207】
そして図34の(A)に示すごとく螺旋カム機構104のストッパアーム104dが最小作用角側ストッパ104eに当接している状態では、吸気カムシャフト464はL方向の限界位置に存在する。したがって吸気バルブ2aは吸気カム464aの低バルブリフト量側に接触して駆動され、バルブリフト量及びバルブ作用角は最も小さいものとなる。
【0208】
図34の(A)の状態からモータ駆動により螺旋カム108を回転させると、吸気カムシャフト464はH方向に移動する。このことにより吸気バルブ2aは吸気カム464aの低バルブリフト量側から離れた位置に接触するようになり、バルブリフト量及びバルブ作用角は次第に大きくなる。
【0209】
そして図34の(B)に示すごとく螺旋カム機構104のストッパアーム104dが最大作用角側ストッパ104fに当接すると、吸気カムシャフト464はH方向の限界位置となる。したがって吸気バルブ2aは吸気カム464aの高バルブリフト量側に接触して駆動され、バルブリフト量及びバルブ作用角は最も大きいものとなる。
【0210】
このようにして前記図8に示したごとくの吸気バルブ2aのバルブリフト量及びバルブ作用角の調節が可能となる。そして前記各実施の形態にて説明したごとくの学習が可能となり、同様な効果を生じる。
【0211】
(b).前記各実施の形態では、モータと螺旋カムとの組み合わせによりコントロールシャフトを軸方向に移動させたが、油圧ピストンでコントロールシャフトを軸方向に移動させるようにしても良く、モータとボールネジとの組み合わせによりコントロールシャフトを軸方向に移動させるようにしても良い。
【0212】
(c).前記各実施の形態においては、バルブ作用角について述べた。しかし、図8に示したごとく、バルブ作用角(バルブの開弁から閉弁までのクランクシャフトの回転角度)はバルブリフト量に連動しているので、前記各実施の形態に記載されている「バルブ作用角」との表現を「バルブリフト量」に置き換えても同じである。
【0213】
(d).前記各実施の形態においては、吸気バルブ2aについてのバルブ作用角又はバルブリフト量の制御例であったが、排気バルブ2bのバルブ作用角又はバルブリフト量を可変とする場合にも適用できる。
【0214】
(e).前記各実施の形態においてはバルブ作用角又はバルブリフト量の制御例であったが、バルブタイミングの制御に対しても適用することができる。
すなわち、図14に示したバルブタイミング調節機構58により調節されるバルブタイミングは、エンジン回転数センサ46の出力パルスと、基準クランク角センサ48の出力パルスとのクランク角度差により求められる。このバルブタイミングの学習値を、バルブタイミングの最遅角側と最進角側とのいずれか一方にて正式に学習し、他方にて仮学習するようにしても良い。
【0215】
(f).前記各実施の形態では、学習値及び仮学習値はセンサにより検出された状態量と既知の状態量との差が設定されていたが、これ以外にセンサにより検出された状態量に加算すると、加算後の値が、既知の状態量とは許容範囲内の差となるような加算値を、学習値及び仮学習値として設定しても良い。
【0216】
(g).前記各実施の形態では、仮学習の位置は最大バルブ作用角(最大バルブリフト量)の位置であったが、例えばエンジン停止時あるいはエンジン始動時に、コントロールシャフトを、最大バルブ作用角と最小バルブ作用角との中間の位置で機械的に拘束する場合がある。このような場合にはエンジンの始動状態ではコントロールシャフトは中間位置に拘束されて、バルブ作用角(バルブリフト量)も中間位置であることが推定される。したがって始動時に、この中間位置に対応する既知の状態量(回転角θv、スライド量SLvやバルブ作用角VL)と実際にセンサにより検出される回転角θv、スライド量SLvやバルブ作用角VLとの差に基づいて、仮学習値を求めることができる。
【0217】
このような中間の位置での機械的な拘束は、例えばコントロールシャフトの周面にピン孔を設け、このピン孔にエンジンの停止時や始動時にシリンダヘッド側からバネ、油圧、電磁力などによりピンを挿入することで可能である。バルブタイミングについても同じであり、ベーン体にピン孔を設けてケーシング側からピンを挿入することにより拘束できる。始動後に油圧や電磁力によりピンをピン孔から抜くことにより、バルブ作用角(バルブリフト量)あるいはバルブタイミングを任意に調節できる状態に戻すことができる。
【0218】
又、コントロールシャフトの中間位置での機械的拘束は、螺旋カム機構のストッパアームに対して、最小作用角側ストッパと最大作用角側ストッパとの中間位置に、中間ストッパを出し入れすることによっても可能である。
【0219】
(h).図15のステップS109、図20のステップS307及び図26のステップS510にては、当接の有無や検出値としてのスライド量SLvの変化の有無を判定していたが、エンジン停止時に最大バルブ作用角状態にしてある場合は、始動時にこれらの判定処理は実行しなくて直ちに仮学習しても良い。停止時に中間位置に機械的に拘束している場合も同じである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1のエンジン及びECUの概略構成図。
【図2】上記エンジンの可変動弁系の縦断面図。
【図3】上記可変動弁系の仲介駆動機構の斜視図。
【図4】上記仲介駆動機構の水平破断斜視図。
【図5】上記仲介駆動機構の水平及び垂直破断斜視図。
【図6】上記仲介駆動機構の駆動説明図。
【図7】上記仲介駆動機構の駆動説明図。
【図8】上記仲介駆動機構によるバルブ作用角及びバルブリフト量変化を説明するグラフ。
【図9】上記可変動弁系のシャフトスライド機構の斜視図。
【図10】上記シャフトスライド機構における螺旋カム機構の斜視図。
【図11】上記螺旋カム機構の駆動説明図。
【図12】上記螺旋カム機構の螺旋カムのカム形状説明図。
【図13】上記螺旋カムの検出回転角θvとバルブ作用角VLとの関係を示すグラフ。
【図14】上記可変動弁系のバルブタイミング調節機構の構成及び駆動説明図。
【図15】上記ECUが実行するバルブ作用角制御処理のフローチャート。
【図16】同じく最小バルブ作用角学習処理のフローチャート。
【図17】実施の形態1による処理の一例を示すタイミングチャート。
【図18】実施の形態1による処理の一例を示すタイミングチャート。
【図19】実施の形態1による処理の一例を示すタイミングチャート。
【図20】実施の形態2のECUが実行するバルブ作用角制御処理のフローチャート。
【図21】同じく最小バルブ作用角学習処理のフローチャート。
【図22】実施の形態2による処理の一例を示すタイミングチャート。
【図23】実施の形態2による処理の一例を示すタイミングチャート。
【図24】実施の形態2による処理の一例を示すタイミングチャート。
【図25】実施の形態3のシャフトスライド機構の斜視図。
【図26】実施の形態3のECUが実行するバルブ作用角制御処理のフローチャート。
【図27】コントロールシャフトのスライド量SLとバルブ作用角VLとの関係を示すグラフ。
【図28】実施の形態4のECUが実行するバルブ作用角制御処理のフローチャート。
【図29】実施の形態4のECUが実行するバルブ作用角制御処理のフローチャート。
【図30】実施の形態4による処理の一例を示すタイミングチャート。
【図31】実施の形態4による処理の一例を示すタイミングチャート。
【図32】実施の形態4による処理の一例を示すタイミングチャート。
【図33】他のエンジンの可変動弁系の例を示す斜視図。
【図34】他のエンジンの可変動弁系の駆動状態の説明図。
【符号の説明】
2…エンジン、2a…吸気バルブ、2b…排気バルブ、4…ECU、6…ピストン、6a…クランクシャフト、8…シリンダブロック、10…シリンダヘッド、12…燃焼室、14…点火プラグ、16…燃料噴射弁、18…吸気ポート、20…吸気通路、22…サージタンク、24…モータ、26…スロットルバルブ、28…スロットル開度センサ、30…吸入空気量センサ、32…吸気温センサ、34…排気ポート、36…排気通路、38…排気浄化用触媒コンバータ、40…空燃比センサ、42…アクセルペダル、44…アクセル開度センサ、46…エンジン回転数センサ、48…基準クランク角センサ、50…回転角センサ、52…冷却水温センサ、54…可変動弁機構、56…バルブ作用角調節機構、58…バルブタイミング調節機構、60…仲介駆動機構、62…ローラロッカーアーム、62a…ロッカーローラ、64…吸気カムシャフト、64a…吸気カム、66…入力部、66a…ハウジング、66b…ヘリカルスプライン、66c,66d…アーム、66e…シャフト、66f…ローラ、66g…スプリング、68…第1揺動カム、68a…ハウジング、68b…ヘリカルスプライン、68c…軸受部、68d…ノーズ、68e…カム面、70…第2揺動カム、70a…ハウジング、70b…ヘリカルスプライン、70c…軸受部、70d…ノーズ、70e…カム面、72…スライダギア、72a…入力用ヘリカルスプライン、72b…小径部、72c…第1出力用ヘリカルスプライン、72d…小径部、72e…第2出力用ヘリカルスプライン、72f…貫通孔、72g…周溝、72h…ピン挿入孔、80…支持パイプ、80a…長孔、82…コントロールシャフト、82a…コントロールピン、82b…支持穴、100…シャフトスライド機構、102…モータ、102a…小径ギヤ、104…螺旋カム機構、104a…大径ギヤ、104b…カム軸、104c…小径ギヤ、104d…ストッパアーム、104e…最小作用角側ストッパ、104f…最大作用角側ストッパ、106a…大径ギヤ、108…螺旋カム、108a…螺旋状カム面、110…カムフレーム、110a…ローラ、110b…軸、120…OCV、122…ベーン式油圧回転機構、124…ケーシング、124a,124b…壁部、126…ベーン体、126a…軸部、126c,126d…ベーン、128,130,132,134…油圧室、132a,134a…スプリング、136,138…ストッパ、300…シャフトスライド機構、350…スライドセンサ、350a…ロッド状コア、350b…コイル、464…吸気カムシャフト、464a…吸気カム、464b…ストレートスプライン、466…転がり軸受部。

Claims (14)

  1. アクチュエータにより駆動されて内燃機関のバルブ駆動状態を可変とする可変動弁機構においてセンサによりバルブ駆動の状態量を検出し、該状態量が目標値となるように前記アクチュエータを駆動する制御を実行する内燃機関の可変動弁機構制御装置であって、
    前記制御に用いるために、可変動弁機構が予め設定された基準バルブ駆動状態となった時に前記センサにより検出された状態量と前記基準バルブ駆動状態に対応する既知の状態量との関係に基づいて学習値を設定する基準バルブ駆動状態学習手段と、
    内燃機関の運転状態に基づいて内燃機関のバルブ駆動状態を推定し、該バルブ駆動状態と前記センサにより検出されている状態量との関係に基づいて仮学習値を設定し、該仮学習値を、前記基準バルブ駆動状態学習手段にて学習値が設定されるまでの間、前記制御に用いる仮学習手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。
  2. アクチュエータにより駆動されて内燃機関のバルブ駆動状態を可変とする可変動弁機構においてセンサによりバルブ駆動の状態量を検出し、該状態量が目標値となるように前記アクチュエータを駆動する制御を実行する内燃機関の可変動弁機構制御装置であって、
    前記制御に用いるために、可変動弁機構が予め設定された基準バルブ駆動状態となった時に前記センサにより検出された状態量と前記基準バルブ駆動状態に対応する既知の状態量との関係に基づいて学習値を設定する基準バルブ駆動状態学習手段と、
    前記基準バルブ駆動状態学習手段による学習値を前記制御に利用することが困難な場合に、内燃機関の運転状態に基づいて内燃機関のバルブ駆動状態を推定し、該バルブ駆動状態と前記センサにより検出されている状態量との関係に基づいて仮学習値を設定して前記制御に用いる仮学習手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。
  3. 請求項2において、前記基準バルブ駆動状態学習手段による学習値を前記制御に利用することが困難な場合とは、前記学習値の記憶が消失している場合であることを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記仮学習手段は、内燃機関が基準機関状態にある時に、該基準機関状態から推定されるバルブ駆動状態と前記センサにより検出されている状態量との関係に基づいて前記仮学習値を設定することを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、前記バルブ駆動状態とは、バルブ作用角又はバルブリフト量の状態であることを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。
  6. 請求項5において、前記基準バルブ駆動状態学習手段は、前記基準バルブ駆動状態として、バルブ作用角又はバルブリフト量が最小となるバルブ駆動状態を設定していることを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。
  7. 請求項1〜4のいずれかにおいて、前記バルブ駆動状態とは、バルブタイミングであることを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。
  8. アクチュエータにより駆動されて内燃機関のバルブ駆動状態を可変とする可変動弁機構においてセンサによりバルブ駆動の状態量を検出し、該状態量が目標値となるように前記アクチュエータを駆動する制御を実行する内燃機関の可変動弁機構制御装置であって、
    前記制御に用いるために、可変動弁機構が予め設定された基準バルブ駆動状態となった時に前記センサにより検出された状態量と前記基準バルブ駆動状態に対応する既知の状態量との関係に基づいて学習値を設定する基準バルブ駆動状態学習手段と、
    前記基準バルブ駆動状態とは異なるバルブ駆動状態に仮基準バルブ駆動状態を設定し、前記基準バルブ駆動状態学習手段による学習値を前記制御に利用することは困難であるが、バルブ駆動状態を前記仮基準バルブ駆動状態にすることが内燃機関運転上可能である場合に、バルブ駆動状態が前記仮基準バルブ駆動状態となるように前記可変動弁機構を駆動して前記センサにより検出された状態量と前記仮基準バルブ駆動状態に対応する既知の状態量との関係に基づいて仮学習値を設定し、該仮学習値を、前記基準バルブ駆動状態学習手段にて学習値が設定されるまで前記制御に用いる仮学習手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。
  9. 請求項8において、前記基準バルブ駆動状態学習手段による学習値を前記制御に利用することが困難な場合とは、前記学習値の記憶が消失していて、更にバルブ駆動状態を前記基準バルブ駆動状態にすることが困難である場合であることを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。
  10. 請求項8において、前記基準バルブ駆動状態学習手段による学習値を前記制御に利用することが困難な場合とは、前記学習値の記憶が消失していて、更にバルブ駆動状態を前記仮基準バルブ駆動状態にすることが、前記基準バルブ駆動状態にすることよりも容易である場合であることを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。
  11. 請求項8において、前記仮学習手段は、前記学習値の記憶が消失した状態で内燃機関が冷間アイドル状態にある場合に、前記基準バルブ駆動状態学習手段による学習値を前記制御に利用することが困難であるが、バルブ駆動状態を前記仮基準バルブ駆動状態にすることが可能である場合にあるとすることを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。
  12. 請求項8〜11のいずれかにおいて、前記バルブ駆動状態とは、バルブ作用角又はバルブリフト量の状態であることを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。
  13. 請求項12において、前記基準バルブ駆動状態学習手段は、前記基準バルブ駆動状態として、バルブ作用角又はバルブリフト量が最小となるバルブ駆動状態を設定し、前記仮学習手段は、前記仮基準バルブ駆動状態として、バルブ作用角又はバルブリフト量が最大となるバルブ駆動状態を設定していることを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。
  14. 請求項8〜11のいずれかにおいて、前記バルブ駆動状態とは、バルブタイミングであることを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。
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