JP2005047051A - 合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置及びその動作方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】供給装置は、射出成形機の計量工程時にケーシングに補給すべき1ショット分の供給量が予め計量された樹脂原料を貯留するチャージタンクと、このチャージタンクに貯留された樹脂原料を、原料投入口の原料投入用内筒部を通じて、ケーシング内に供給するため作動制御される原料供給機と、原料供給機を作動制御するための供給機制御手段とを備えており、供給機制御手段は、計量工程時において、成形機からの計量開始信号を受けた所定時間経過後に、チャージタンクに貯留された原料を供給するために供給機を制御開始する構成とする。
【選択図】図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂成形機に樹脂原料を供給する装置、さらに詳細には、スクリューとケーシングから成る加熱シリンダで樹脂原料を加熱・搬送中に発生する水蒸気やガスを速やかに吸引除去させながら、成形機による合成樹脂成形品に銀条や空洞等を発生させない供給装置及びその動作方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スクリューとケーシングから成る加熱シリンダにより樹脂原料を搬送・加熱溶融させながら、合成樹脂成形機(押出成形機、射出成形機)に溶融樹脂を注入させて、合成樹脂成形品を生産するに際し、樹脂の溶融領域である加熱シリンダのケーシング内では、樹脂原料に付着する水分による水蒸気、或いは樹脂成分(モノマー、オリゴマー或いは溶剤)による分解ガスや揮発ガスが発生する。
【0003】
このような水蒸気やガスは、成形機に至るまでに十分に除去されていないと、成形機で生産される合成樹脂成形品に銀条や空洞等が発生し、製品不良の原因となる。
【0004】
特許文献1は、このような製品不良を生じさせないための合成樹脂成形機用のガスや水分等の除去装置を開示するものである。本特許文献1においては、成形機を構成する加熱シリンダの樹脂原料投入口(材料供給口)に、内筒部(材料導入管)と、これを取り囲む外筒部(筒状下部体)とを設け、内筒部から加熱シリンダに樹脂原料を投入しながら、外筒部に接続された吸引空気源により上記原料投入口を経て加熱シリンダ内を吸引排気するものである。
【0005】
特許文献2は、さらに改善されたものであり、未乾燥樹脂ペレットを射出成形機のシリンダ内に供給して最初の射出を行い、最初の射出から所定時間経過後に射出された樹脂パージの品質を検査して得られた単位ショット当たりの最適な堆積量でもって射出を行って射出成形を行う方法を開示するものである。
【0006】
【特許文献1】
実公平7−2182号公報
【特許文献2】
WO99/33630号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に開示されたガスや水蒸気等(以下、ガスと言う)の除去装置は、スクリューフィーダで樹脂原料を成形機に向け搬送させながら加熱溶融させる際に、そのケーシング内で発生するガスを、吸引空気源により逐次排出させんとするものであるが、なお以下のような解決すべき課題があった。
【0008】
すなわち、連続的に供給される樹脂原料が、加熱シリンダによりその先側の成形機への注入口(ノズル)に向け搬送されるに従い、加熱シリンダのケーシング内が溶融した樹脂によって閉塞されるようになり、先側部分で発生するガスの排気が十分に行われなくなる。
【0009】
このように、ケーシング内の排気が十分になされないと、溶融樹脂がガスを内包したまま成形機に注入されることになるため、銀条や空洞の発生の原因となり、製品不良がなお発生することがあった。また、特許文献2の方法の場合、常に最適な堆積量でもって射出を行うから、このような問題が生じないが、成形工程毎に樹脂パージを何度も実施する必要があり、生産効率が悪くなるという問題点があった。
【0010】
また、従来のこの種の樹脂成形機では、計量工程を安定化させるため、成形機には最大供給量の樹脂原料を充填して、すなわち充填率をほぼ100%にして稼動することが常識的に行われていた。
【0011】
一方、成形機内における樹脂原料の噛み込みを防止するためには、成形機内を満杯にしないことが提唱されており、また、ガスの吸引排出の観点からも、成形機内に空隙を生じるように樹脂原料を供給することが望ましいとする考え方が知られつつある。
【0012】
そこで発明者は、充填率および空隙率(または飢餓率ともいう)という考え方に着目し、ガス吸引に最適になるような空隙率値を実験により見つけ出し、そして、空隙率をその最適な数値に安定化させ、かつ空隙を偏ることなく均一にさせることを新たな技術課題としていた。
【0013】
本発明はこのような事情を考慮して提案されたものであり、計量工程時の加熱シリンダ内を最適な空隙を含んだ状態に保持することを前提として、加熱シリンダのケーシング内で発生するガスを速やかかつ滞ることなく排気させ、成形機による製品に上記銀条や空洞等の品質不良を生じさせず、しかも効率的な合成樹脂成形品の生産を行うことができる合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置を提供することを目的とするものである。
【0014】
ここで、充填率および飢餓率は次の計算式により算出されるものである。
【0015】
充填率 = 成形機への実原料供給量 / 成形機への最大原料供給量
飢餓率 = 1 − 充填率
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置は、スクリューとケーシングとよりなる合成樹脂成形機の加熱シリンダの原料投入口に設置される樹脂原料の供給装置であって、次の構成となっている。
【0017】
すなわち、原料投入口には、原料投入用内筒部と、この内筒部を取り囲み、ガス吸引装置に接続された排気用外筒部とが連設され、供給装置は、射出成形機の計量工程時にケーシングに補給すべき1ショット分の供給量が予め計量された樹脂原料を貯留するチャージタンクと、このチャージタンクに貯留された樹脂原料を、原料投入口の原料投入用内筒部を通じて、ケーシング内に供給するため作動制御される原料供給機と、原料供給機を作動制御するための供給機制御手段とを備えており、供給機制御手段は、計量工程時において、成形機からの計量開始信号を受けた所定時間経過後に、チャージタンクに貯留された原料を供給するために供給機を制御開始する構成としている。
【0018】
このような構成によれば、計量工程時には1ショット分を1単位として成形機に原料投入できるので、加熱シリンダ内を一定の飢餓率に保持することができる。そして、一定の飢餓率の空隙を含ませることで、ガス吸引装置により加熱シリンダのケーシング内で発生するガスを逐次排出させやすくなり、銀条や空洞等の原因となる溶融樹脂内でのガスの滞留を防止することができる。特に、計量開始信号を受けてから所定時間経過後に原料供給を開始しているので、この遅延時間を調整すれば1ショット分の原料の約半分をシリンダの先側に給送させ、残り半分を投入口付近に滞留させることが可能となり、その結果、加熱シリンダ内を偏りのない均一の空隙を含んだ状態にすることができる。
【0019】
請求項2では、原料供給機は制御ダンパーを含んで構成され、供給機制御手段は、制御ダンパーの開閉制御により1ショット分の原料を供給する構成としている。
【0020】
請求項3に記載の合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置は、チャージタンクには残材料検出センサが設けられ、成形機の計量工程が終了したときに、残材料検出センサが樹脂原料の残量を検出したときには、警報を出力するアラーム手段をさらに備えている。
【0021】
請求項4に記載の合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置の動作方法は、次の構成を有した樹脂原料供給装置の動作方法である。
【0022】
すなわち、供給装置は、スクリューとケーシングとよりなる合成樹脂成形機の加熱シリンダの原料投入口に設置され、この原料投入口には、原料投入用内筒部と、この内筒部を取り囲み、ガス吸引装置に接続された排気用外筒部とが連設され、樹脂原料を貯留するチャージタンクと、このチャージタンクに貯留された樹脂原料を、原料投入口の上記原料投入用内筒部を通じて、ケーシング内に供給するため開閉制御される制御ダンパーと、制御ダンパーを開閉制御するためのダンパー制御手段とを備えている。
【0023】
そして、その動作方法は、チャージタンクに射出成形機の計量工程時にケーシングに補給すべき1ショット分の計量された樹脂原料を貯留しておき、ダンパー制御手段が、計量工程時において、成形機からの計量開始信号を受けた所定時間経過後に、チャージタンクに貯留された原料を供給するために制御ダンパーを開とすることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面とともに説明する。
【0025】
図1は本発明が採用される合成樹脂成形装置への樹脂原料の供給システムを示す全体構成図である。図2は同システムにおける実施形態の要部の概略的拡大縦断面図である。
【0026】
図1において、1は本システムの主原料である合成樹脂ペレットを貯留するメインホッパー、11は樹脂成形品から発生するバリ等を粉砕回収して再利用するためのリサイクルホッパーであり、これらの下端にはタイマー制御により所定量の原料排出調整が可能とされたロータリーバルブ1a、11aが取り付けられている。12…は着色剤用ホッパーであり、各着色剤用ホッパー12…の下端に取り付けられたフィーダ12a…により、着色剤用サービスホッパー13に各着色剤が供給される。このサービスホッパー13には、計量のためのロードセル13aが設けられており、所望量の着色剤がここで計量され、次の工程に給送される。
【0027】
14は空気輸送ラインであって、上記各ホッパー1、11、12…から排出される樹脂原料は、この空気輸送ライン14に沿って空気輸送され、吸引ホッパー2に捕集される。15はこの空気輸送用吸引ブロアであり、15aはフィルターである。
【0028】
図では、吸引ブロア15による吸引エアを大気に放出するようにしているが、吸引ブロア15の下流側に3方弁及び熱交換器を介して空気輸送ライン14に接続し、気流混合・予備昇温のための気流循環系を構成することも可能である。このようにすれば吸引ホッパー2に捕集された樹脂原料は、吸引ホッパー2内で加熱エアとの接触により予備昇温される。21は、吸引ホッパー2内の樹脂原料が所定量になったか否かを検出するレベルセンサである。
【0029】
上記吸引ホッパー2の下端には、エアシリンダ31aで作動する第2のダンパー31(上部ダンパー)を介してチャージタンク3が連設され、吸引ホッパー2に捕集された樹脂原料は、このダンパー31を開とすることにより、その上端原料投入口32より1ショット分のチャージタンク3内に投入される。33は、チャージタンク3内の樹脂原料の残量を検出するレベルセンサである。ダンパー31は、チャージタンク3とその上流側供給ラインとを気密的に遮断するよう構成される。
【0030】
上記チャージタンク3の下端には、エアシリンダ41で作動する制御ダンパー4が設置され、この制御ダンパー4を介して後述する内筒部5に通じる排出口42に、後述する二重筒5、6が接続され、さらに合成樹脂成形機7の原料投入口70に連接されている。
【0031】
合成樹脂成形機7は、図2に示すように、スクリュー71a及びそのケーシング71bからなる加熱シリンダ71と、該スクリュー71aを前方に移動させる油圧シリンダ72と、スクリュー71aを軸回転させるモータ73と、上記ケーシング71bの廻りに添装されるヒータ74と、加熱シリンダ71の先端ノズル部71cに密着的に配置される射出若しくは押出金型75とよりなる。
【0032】
上記原料投入口70より投入された樹脂原料Pは、スクリュー71aの回転により、ケーシング71b内をノズル部71c方向に給送されながら、ヒータ74により加熱溶融される。溶融樹脂は、先端のノズル部71c付近で高密度に圧縮される。その後、油圧シリンダ72のラム72aの作動によりスクリュー71aが図1及び図2の左方に移動し、これにより溶融樹脂がノズル部71cより射出され、金型75のコア内に注入される。冷却硬化後、金型75が脱型され合成樹脂成形品が取出される。
【0033】
上記二重筒は、原料投入用内筒部5と、この内筒部5を取り囲む排気用外筒部6とよりなる。内筒部5は、上記チャージタンク3の排出側に制御ダンパー4を介して連接され、制御ダンパー4を開いて排出される樹脂原料は、この内筒部5内を経て上記原料投入口70より成形機の加熱シリンダ71に投入される。
【0034】
上記排気用外筒部6は、内筒部5を取り囲むよう配置され、その下端開口部は原料投入口70と連通する。この外筒部6の途中に吸引口61が設けられ、該吸引口61には、脈動発生装置81を介して排気用吸引ブロア8が配管80接続されている。脈動発生装置81は、連続回転するモータ(不図示)により作動する弁体からなり、この弁体の回転に伴う配管80の交互の開閉動作により、配管80中の吸引気流に強弱を付与して吸引気流を脈動させんとするものである。この脈動吸引装置8、81により、成形機の加熱シリンダ71内は600torr程度に減圧される。82はフィルターである。
【0035】
かくして、前記上部ダンパー31を閉じ、制御ダンパー4を開とすると、チャージタンク3内の樹脂原料Pが、内筒部5より原料投入口70を経て、成形機7の加熱シリンダ71内に投入される。投入された樹脂原料Pはスクリュー71aの回転により、ケーシング71bの先側に順次給送され、この給送の間ヒータ74により加熱溶融される。
【0036】
排気用外筒部6には、吸引口61を介して吸引ブロア8が配管接続されているから、上記樹脂原料の投入及びケーシング71b内の給送の際、該外筒部6内から原料投入口70を経てケーシング71b内が減圧吸引され、ケーシング71b内で発生するガスが逐次排出される。この時、上記ダンパー31は、チャージタンク3とその上流の供給ラインとを気密的に遮断するから、この部分でのリークがなく、減圧吸引が効率的になされる。
【0037】
そして本発明では、チャージタンク3には樹脂原料を1ショット分ずつ投入しているため、加熱シリンダ71内を、実験等によって得られた一定の飢餓率の空隙を含ませた状態に保持することが可能となり、その結果、ケーシング71b内を最適なガス流通状態にすることが可能となる。
【0038】
更に、後述する遅延回路Tにより計量開始から一定時間遅らせて制御ダンパー4を開としているため、原料投入口70付近に前ショット分の原料が滞留していない状態で1ショット分の原料が投入され、その原料の適量(たとえば半分程度)がスクリュー71aの回転により先側に給送される。
【0039】
このように、ショットごとに半分程度の原料が加熱シリンダ71に投入されるため、ケーシング71b内の空隙を偏らせることなく均一に設けることができ、加熱シリンダ71内はガス排出にとって最適の空隙状態を確保することができる。
【0040】
次に、本発明の実施形態について、図3の動作タイムチャートと図4の供給動作概念図を参照して説明する。図3において、前段階として、吸引ホッパー2のレベルセンサ21の検出信号により、空気輸送用吸引ブロア15が作動し、また各原料ホッパー1、11、12のロータリーバルブ1a、11a、フィーダ12aが適宜作動して、吸引ホッパー2に樹脂原料が空気輸送され捕集される。レベルセンサ21が満信号を発すれば、吸引ブロア15及び各フィーダ等が停止する。これらの動作は、以下の工程とは独立的に、レベルセンサ21の検出信号に基づきなされる。またこの間、上部ダンパー31は閉とされ、チャージタンク3以下とは気密的に遮断状態とされる。
【0041】
成形工程の開始時においては、成形機7は、前工程における保圧が解除され、脱型後型締めがなされた待機状態であり、この状態では油圧シリンダ72は無負荷ではあるがラム72aは伸張した状態で、したがってスクリュー71aはケーシング71b内で前進位置に待機している。排気用吸引ブロア8は常時オンとされ、また、チャージタンク3には後述するように既に樹脂原料が投入されており、そのレベルセンサ33は満信号を出力している。
【0042】
この状態で、成形機7から計量開始信号sw1が発せられる(t0)と、成形機7のモータ73がオンとされ、スクリュー71aは図2のA方向に回転を開始する。
【0043】
そして、t1時間遅延後、制御ダンパー4が開となって、原料供給を開始する。この遅延時間t1の間に、成形機7の上記原料投入口70付近に堆積している前ショットの樹脂原料の約半分P3bが、スクリュー71aの回転に伴う給送作用により、加熱シリンダ71内の先側に給送されるので、t1時間経過後に1ショット分の原料P4が投入された時には、その樹脂原料の約半分P4aは、スクリュー71aの回転により、この付近に滞ることなく加熱シリンダ71内のケーシング71bの先側に逐次給送されながら、ヒータ74により加熱溶融される。
【0044】
ケーシング71bの先側に溶融樹脂が圧送されるに伴い、加熱シリンダ71にはその反力が加わる。この時油圧シリンダ72は無負荷状態であるから、ラム72aはこの反力により縮退する。ラム72aが縮退し、所定位置に設置された位置センサ(不図示)を動作させると、計量完了信号sw2が発信され(t2)、これに基づき成形機7のモータ73がオフとされる。
【0045】
樹脂原料P4は計量完了まで投入され続けるが、計量完了時までに前半分の原料のみが給送されるため、計量完了時には樹脂原料の残り約半分P4bが原料投入口70付近に滞留する。この後半分の樹脂原料P4bは次サイクルの計量工程の開始により、ケーシング71bの先側に給送される。
【0046】
ようするに、この原料供給方法は、計量開始すなわちスクリュー71aの回転と同時には原料投入をしないようにしたものであり、これにより、前ショットの原料が滞留している投入口70に更に当ショットの原料を投入することによる、原料滞留の増大を防止することができ、さらにシリンダ71内の原料と空隙を均一状態にすることを可能としている。
【0047】
なお、シリンダ内の原料の充填状態をより均一にするためには、計量開始で給送された前ショットの原料が滞留していた位置に、当ショットの原料が移送されればよいため、その量は1ショットの半分量にすればよい。このように、1ショットの半分程度の原料を供給できるように、遅延時間t1を設定すればよい。
【0048】
このように、1ショット分の樹脂原料Pを分散して成形機7に供給させているので、適度な空隙が均一に生まれ、排気を阻害するような樹脂原料Pによる閉塞が生じず、ケーシング71b内で発生するガスが、吸引ブロア8により外筒部6から吸引口61を経て逐次排出される。したがって、溶融樹脂内にガスが内包されることによる銀条や空洞の発生がなく、品質の良い成形品が製せられる。
【0049】
その後、成形機7の油圧シリンダ72が作動し、ラム72aが伸張して加熱シリンダ71の先端部に滞留する1ショット分の溶融樹脂がノズル71cから射出され、金型75に注入される。所定時間保圧状態(油圧シリンダ72が作動状態)に維持され、その後油圧シリンダ72の作動を解除し、無負荷状態とした上で冷却・脱型がなされる。
【0050】
上記供給機4の作動により、チャージタンク3内の樹脂原料が順次排出されて所定レベル以下となると、レベルセンサ33が空信号(原料要求信号)を発する。その後、上部ダンパー31が開とされ、吸引ホッパー2からチャージタンク3に自然落下により樹脂原料の投入がなされる。
【0051】
また、計量完了信号sw2が発信されたにもかかわらず、レベルセンサ33が空信号を発せず残量を検出した場合には、成形機7は、1ショット分の樹脂原料が投入されていないものと判断し、ブザー等のアラーム手段(不図示)により警報を出力する。
【0052】
また、上部ダンパー31が開状態で樹脂原料がチャージタンク3に投入されているときに、吸引ホッパー2内の原料レベルが下がり、そのレベルセンサ21が空信号(原料要求信号)を発する場合がある。この時、上部ダンパー31が閉とされるとともに、制御ダンパー4が開とされた上で、空気輸送用ブロア15が作動して、前述と同様に、吸引ホッパー2に各樹脂原料が空気輸送されて捕集される。そして、チャージタンク3のレベルセンサ33が満信号を発するまでこれが繰り返され、次の成形工程のための準備がなされる。
【0053】
図4には、本発明の供給動作の概念図を示している。この例では、加熱シリンダ71の原料充填能力は5ショット分とする。つまり、最大原料供給量が5ショットである加熱シリンダ71を使用する。
【0054】
加熱シリンダ71内に3ショット分の原料P1〜P3が充填されており、3ショット目の半分の原料P3bは、計量完了時に投入されるため原料投入口70付近に残ったままとなっている(図4(a))。
【0055】
その後、先端部に滞留する1ショット目の溶融樹脂P1がノズル71cから射出され、金型75に注入され、その後、4ショット目の計量開始信号sw1が発信されると、スクリュー71aの回転により原料P3bはケーシング71bの先側に給送され、原料投入口70付近での原料の滞留は徐々に解消し、t1時間遅延後には、4ショット目の樹脂原料P4aが投入され、投入された原料のうち前半分P4aが、計量完了するまでにケーシング71bの先側に給送される(図4(b)、(c))。
【0056】
計量完了信号sw2が発信されるまでに、原料投入口70や内筒部5、チャージタンク3等に残っている4ショット目の後半分の原料P4bがシリンダ71内に供給されるが、計量完了信号sw2が発信されると、スクリュー71aの回転は停止するため、原料P4bはシリンダ71内に投入されても原料投入口70付近に留まった状態となる。
【0057】
以上のように成形ごとに1ショット分の原料を供給するようにしているため、最大原料供給量が5ショット分である加熱シリンダ71には、計量工程時には常に3ショット分の原料が充填された状態となり、飢餓率40%の空隙を有した状態を継続しながら成形サイクルを実施することができる。更に、1ショット分の原料を計量開始からすぐに投入せず、時間を遅らせて投入しているので、原料投入口70付近の過度の原料堆積を防止でき、加熱シリンダ71内には均一の空隙を生成することができる。
【0058】
そして、ケーシング71b内に最適飢餓率の空隙を含ませて計量工程を実施することにより、ケーシング71b内で発生するガスを容易に吸引排出でき、その結果、成形品の品質を向上させることができる。更に、成形ごとの飢餓率を一定に保つことにより、計量工程を安定化させ、成形品の品質を一定に保持することが可能となる。
【0059】
図5は原料供給装置の制御ブロック図を示すものであり、CPU9等で構成される供給機制御手段が上述のような動作シーケンスを実行制御する。
【0060】
CPU9は、レベルセンサ21からの原料要求信号により空気輸送用ブロア15を作動させ、またレベルセンサ33からの原料要求信号により上部ダンパー31を開とする。さらに、成形機7の計量開始信号sw1を受け、遅延回路(タイマー回路)Tを動作させて制御ダンパー4を開にして原料投入動作をさせる。
【0061】
その他、排気用吸引ブロア8の作動制御、原料ホッパー1、11、12における各フィーダ1a、11a、12aの作動制御、ロードセル13aの作動制御などもこのCPU9により実行されることは言うまでもない。なお、成形機7の油圧シリンダ72やモータ73の作動制御は、不図示の成形機独自の制御シーケンスによりなされ、本発明の樹脂原料供給システムでは、成形機7からの上記計量開始信号sw1及び計量完了信号sw2が入力されて上記の作動制御がなされる。
【0062】
以上に説明した実施態様例は原料供給機として、制御ダンパーの例を示したが、スクリューフィーダなど電動式フィーダを使用したものでもよく、また、制御ダンパーと電動式フィーダを組み合わせて、分散投入できるように制御できる供給機であってもよい。
【0063】
図6は、1ショット分の樹脂原料を分散供給するための、原料供給機制御の他の実施態様を示すタイムチャートである。ここでは、原料供給機はスクリューフィーダ(不図示)と制御ダンパーとから構成されており、図には、これらを組み合わせ制御するようにした3種の実施態様例を示している。ここで、(a)は計量工程を示している。
【0064】
(b−1)では、計量工程を実施中は制御ダンパー4が開状態となっており、計量開始からt1時間遅延後、スクリューフィーダの回転を開始し、図3の実施形態と同様に原料を分散してシリンダ内に投入する。なお、t1時間経過後から、スクリューフィーダの回転、停止を繰り返して原料供給するようにしてもよい。
【0065】
(b−2)では、制御ダンパー4を閉じた状態で、計量開始とともにスクリューフィーダ4が回転を開始し、t1時間遅延後、制御ダンパー4を開いて、それまでに制御ダンパー4の上に溜まった20回転分の原料を投下する。いったん制御ダンパー4を閉じ、計量完了時に再度、制御ダンパー4を開いて残りの原料を投下する。
【0066】
(b−1)、(b−2)に示した例は、いずれも計量完了信号sw2にもとづいて残り原料の供給制御を行おうとしたものである。
【0067】
(b−3)は、(b−2)においてt1時間遅延後は制御ダンパー4を開放するようにしたもので、t1時間経過時に原料の半分を投入し、その後は1回転分ずつ投入するようにしたものである。
【0068】
このように、図3の実施形態と同様に計量開始から時間を遅らせて原料投入しているので、原料投入口70付近での過度の原料堆積が防止でき、また、スクリューフィーダと制御ダンパーを組み合わせて制御しているので、より適切な分散投入を実現することができる。
【0069】
【発明の効果】
以上の説明からも理解できるように、請求項1または4に記載の合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置及びその動作方法では、1ショット分ずつの樹脂原料をケーシングに投入しているので、常にケーシング内に一定の飢餓率の空隙を含ませることができる。また、1ショット分の原料を計量開始から時間を遅らせて供給するように供給機を制御しているので、ケーシング内には樹脂原料が分散されて投入され、ケーシング内の空隙を均一にすることができる。そして、以上の作用により、ガス吸引をスムースに行うことができ、それによって、銀条や空洞等の原因となる溶融樹脂内でのガスの滞留を防止して、品質の良い樹脂成形品が効率よく製することができる。
【0070】
請求項2では、制御ダンパーの開閉制御により原料投入するようにしているため、簡単な構造の供給機により、空隙状態の均一化を図ることができる。
【0071】
請求項3では、チャージタンクの残量を検出してアラーム出力するようにしているので、計量工程終了時に、1ショット分の樹脂原料の投入が完了していないことを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が採用される合成樹脂成形装置への樹脂原料の供給システムを示す全体構成図である。
【図2】同システムにおける要部の概略的拡大縦断面図である。
【図3】本発明の実施形態についての動作タイムチャートである。
【図4】本発明の供給装置による樹脂原料の供給動作概念図である。
【図5】本発明の実施形態についての制御ブロック図である。
【図6】供給機制御の各種実施態様例を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
3 チャージタンク
31 第2のダンパー(上部ダンパー)
33 レベルセンサ(残材料検出センサ)
4 制御ダンパー(原料供給機)
41 エアシリンダ
42 排出口
5 原料投入用内筒部
6 排気用外筒部
7 合成樹脂成形機
70 原料投入口
71 加熱シリンダ
71a スクリュー
71b ケーシング
74 加熱ヒータ
8、81 脈動吸引装置
9 供給機(ダンパー)制御手段
T 遅延回路
Claims (4)
- スクリューとケーシングとよりなる合成樹脂成形機の加熱シリンダの原料投入口に設置される樹脂原料の供給装置であって、
上記原料投入口には、原料投入用内筒部と、この内筒部を取り囲み、ガス吸引装置に接続された排気用外筒部とが連設され、
上記供給装置は、
射出成形機の計量工程時に上記ケーシングに補給すべき1ショット分の供給量が予め計量された樹脂原料を貯留するチャージタンクと、
このチャージタンクに貯留された樹脂原料を、上記原料投入口の上記原料投入用内筒部を通じて、上記ケーシング内に供給するため作動制御される原料供給機と、
上記原料供給機を開閉制御するための供給機制御手段とを備えており、
上記供給機制御手段は、上記計量工程時において、上記成形機からの計量開始信号を受けた所定時間経過後に、上記チャージタンクに貯留された原料を供給するために上記供給機を制御する構成としている合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置。 - 請求項1において、
上記原料供給機は制御ダンパーを含んで構成され、
上記供給機制御手段は、上記制御ダンパーの開閉制御により、1ショット分の原料を供給する構成としている合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置。 - 請求項1または2において、
上記チャージタンクには、残材料検出センサが設けられ、
上記成形機の計量工程が終了したときに、上記残材料検出センサが樹脂原料の残量を検出したときには、警報を出力するアラーム手段をさらに備えている合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置。 - スクリューとケーシングとよりなる合成樹脂成形機の加熱シリンダの原料投入口に設置され、この原料投入口には、原料投入用内筒部と、この内筒部を取り囲み、ガス吸引装置に接続された排気用外筒部とが連設され、
樹脂原料を貯留するチャージタンクと、
このチャージタンクに貯留された樹脂原料を、上記原料投入口の上記原料投入用内筒部を通じて、上記ケーシング内に供給するため開閉制御される制御ダンパーと、
上記原料供給機を開閉制御するためのダンパー制御手段とを備えた樹脂原料の供給装置の動作方法であって、
上記チャージタンクには、射出成形機の計量工程時に上記ケーシングに補給すべき1ショット分の計量された樹脂原料を貯留しておき、
上記ダンパー制御手段は、上記計量工程時において、上記成形機からの計量開始信号を受けた所定時間経過後に、上記チャージタンクに貯留された原料を供給するために上記制御ダンパーを開とすることを特徴とする、合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置の動作方法。
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